説明

単一のアレイ特徴部に複数のオリゴヌクレオチドを有するマイクロアレイ

【課題】異なるオリゴヌクレオチドがアレイの1つの特徴領域内に存在するマイクロアレイを合成する方法を提供する。
【解決手段】マイクロアレイ合成に共通の手法を用いるが、アレイ上の選ばれた特徴領域に最初に光を与え、アレイの結合層を形成する計算比の化合物だけを脱保護する持続時間を制限する。最初に脱保護された化合物は、ジメトキシトリチルのような非感光保護基でキャップされてアレイに構築されたDNA鎖の第1グループの合成との関係を阻害する。一旦DNA鎖の第1グループが合成されると、もとの脱保護基は、次に、DNA鎖の第1グループと同一の特徴領域にDNA鎖の1以上のグループを構築するために更に処理することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の説明
本発明は、2002年10月1日出願の米国仮特許出願第60/415,046号の優先権を主張する。
【0002】
連邦政府によって後援を受けた研究又は開発に関する供述
適用なし
【背景技術】
【0003】
DNAマイクロアレイテクノロジーの出現は、顕微鏡スライドのサイズのような非常に小さな領域において、数十万のDNA配列のアレイを構築することを可能にする。米国特許第6 375,903号や米国特許第5,143,854号を参照のこと。これらの明細書の記載のそれぞれは、全体で本願明細書に含まれるものとする。特許第6,375,903号の開示は、いわゆるマスクのないアレイシンセサイザ(MAS)装置の構築を可能にし、光がDNA配列の直接的な合成に用いられ、光の方向がデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を用いて行われている。MAS装置を用いる、マイクロアレイにおいて構築されるDNA配列の選択は、ソフトウェア制御下にあるので、個々に特注されたアレイは、注文に応じて構築することができる。一般に、DNAマイクロアレイ合成技術に基づくMASは、標準の顕微鏡スライドの非常に小さな領域において800,000以上のユニークなオリゴヌクレオチドの同時合成を可能にする。マイクロアレイは、通常は、アレイ上の特定の位置の構築中に、オリゴヌクレオチドに単一のヌクレオチドの付加を進める光を用いて合成され、これらの位置は特徴部と呼ばれている。典型的には、目的は多くの同一のオリゴヌクレオチドを合成することであり、各々がアレイの各特徴部において同じヌクレオチド配列を有する。即ち、各特徴部に複数のプローブがあるが、全てのそれらのプローブは同じヌクレオチド配列を有する。ある種の適用の場合、異なる配列のオリゴヌクレオチドがアレイの1つの特徴部内に存在すること、また、これらのオリゴヌクレオチドの比や方向(5'-3'又は3'-5')を制御することができることは有利である。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、異なる配列のオリゴヌクレオチドがアレイの1つの特徴部内に存在するマイクロアレイを合成する方法として要約される。本発明は、また、オリゴヌクレオチドの比や方向(5'-3'又は3'-5')を制御するためにマイクロアレイを合成する方法を含んでいる。本発明は、また、開示された方法を用いて製造されたマイクロアレイを含んでいる。
本方法は、マイクロアレイ合成に共通の手法を用いるが、アレイ上の選ばれた特徴領域に最初に光を与え、アレイの結合層を形成する計算比の化合物だけを脱保護する持続時間を制限する。最初に脱保護された化合物は、ジメトキシトリチルのような非感光保護基でキャップされてアレイに構築されたDNA鎖の第1グループの合成との関係を阻害する。一旦DNA鎖の第1グループが合成されると、もとの脱保護基は、次に、DNA鎖の第1グループと同一の特徴領域にDNA鎖の第2グループを構築するために更に処理することができる。同じ概念がDNA鎖の追加グループを構築するために使われてもよく、2つを超える異なるグループのDNA鎖を含有する特徴領域を与える。DNA鎖は、5' → 3'又は3' → 5'を構築することができ、単に工程で用いられる光不安定な共役ヌクレオシドの向きに左右される。
本発明の他の目的、利点、特徴は、次の明細書と図面から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】図1は同一の特徴領域において合成された2つのオリゴヌクレオチドを含んでいるマイクロアレイ合成の概略図工程である。
【図2】図2は同一の特徴領域において合成された2つのオリゴヌクレオチドを含んでいるマイクロアレイ合成の概略図工程である。
【図3】図3は同一の特徴領域において合成された2つのオリゴヌクレオチドを含んでいるマイクロアレイ合成の概略図工程である。
【図4】図4は同一の特徴領域において合成された2つのオリゴヌクレオチドを含んでいるマイクロアレイ合成の概略図工程である。
【図5】図5は、マイクロアレイが各特徴部に2つのオリゴヌクレオチドを有するという事実から始めて可能になったタイプの分析の図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明は、多くの特徴部を有するマイクロアレイを合成する方法を提供し、1つ以上の特徴部は異なる配列の複数のプローブがその中に存在することができる。該方法は、2つ以上のプローブ又はオリゴヌクレオチドが、マイクロアレイの単一の特徴部において構築され得ることを企図し、更に、特徴部における2つのプローブの相対数の比を制御する方法を提供する。該方法は、制御すべきこれらのオリゴヌクレオチドの方向(5'-3'又は3'-5')を可能にするので、単一特徴部における2つのオリゴヌクレオチドの各々は同一向きでもあり得、逆向きでもあり得る。
ここに記載される方法の利点は、マイクロアレイ合成に共通の手法を用いるが、新規生成物を達成するためにそれらの方法の変更を用いることである。例えば、該方法は、脱保護ステップのためにマイクロアレイ上の領域を選ぶ光特異的脱保護を用いるここでよく理解された工程を利用するが、アレイ上の選ばれた特徴領域に最初に光を与えて特徴部全体を単に脱保護しないが、各特徴部の領域の算出部分だけを脱保護する。このように脱保護したアレイの領域を、次に、非感光保護基でキャップしてアレイの特徴部に構築されたオリゴヌクレオチドの第1グループの合成においてそれらの領域の関与を阻害する。一旦オリゴヌクレオチドの第1グループが合成されると、次に、もとの非保護されキャップした領域をキャップ除去してもよい。これは、保護しているキャップを酸不安定又は塩基不安定にするとともに酸又は塩基をマイクロアレイへ導入して、キャップされた領域をキャップ除去することにより行うことができる。次に、適切なpHを回復させた後に、オリゴヌクレオチドの第1グループと同じ特徴領域のオリゴヌクレオチドの第2グループを合成するヌクレオチド付加工程を再出発させることができる。同じ概念が、DNA鎖の追加グループを構築するために使われてもよく、2つを超える異なるグループのDNA鎖を含有する特徴領域を与える。
本発明のための特徴部という用語は、その領域の全体にわたって1つ又は複数の同じヌクレオチドプローブを有する従来技術のマイクロアレイにおいて企図されたアレイ上の領域に用いられる。従来、マイクロアレイは、特徴部が同一ヌクレオチド配列のプローブだけ又はオリゴヌクレオチドだけを含有する特徴部を有した。これは、マイクロアレイの同一特徴部において2つ以上の異なる配列のプローブを置くことを提唱した又は可能にした最初に知られた場合である。そのように、本発明のための特徴部は、マイクロアレイの一部を意味し、2つ以上のプローブがマイクロアレイの同一の物理的な一般領域において合成され、領域は、好ましくは、他のプローブが構築される領域と異なる。
プローブ及びオリゴヌクレオチドという用語は、ここでは同じ意味で用いられ、マイクロアレイ上で合成される一本鎖DNA(又はRNA)の分子を意味する。
【0007】
更にまた、単一特徴部において複数のプローブの構築が可能である方法は、手際がよく、既存のマイクロアレイ合成法の比較的簡単な変法である。まず、活性化された基体に、持続時間が制限されている光特異的脱保護ステップが行われる。時間は、特徴部の全表面積を脱保護するのに必要であることがわかった時間の選ばれた割合(例えば半分)であるように選ばれる。特徴部の全面積を脱保護するのに必要な最少限の露光時間の半分が用いられる場合には、各特徴領域の表面積の約半分が脱保護されることを我々は見い出した。この概念は、図1の概略図に示される。図1においては、調製された基体10は、光不安定な保護基“P"が結合された反応性基、例えば、反応性ヒドロキシル基を有するシランで被覆されている。光不安定な保護基の層は、符号12によって示されている。マイクロアレイのこの部分は、ここでは14と16を示す、2つの特徴部を包含するものである。18で示される光は、光不安定な保護基“P"の約半分を保護するのに十分な時間全てのアレイに照射される。特徴部の脱保護された領域は、次に、残っているプローブの合成によって妨げられない保護基で、例えば、図2では“B"で示される酸不安定な保護基を添加することによってキャップされる。従って、この点で、各特徴部の領域の約半分が光不安定な保護基で保護され、もう半分が酸不安定な保護基によって保護される。次に、光特異的脱保護ステップが飽和まで行われるので、残りの光不安定な保護基は全てマイクロアレイ領域から取り出される。その後、ほかの従来のプローブ合成法が行われて酸不安定な遮断剤によってキャップされていない全ての領域で完了する。これは図3に示され、示された3つのヌクレオチドプローブセットTAAが特徴部14で合成され、配列GACのプローブセットが特徴16で合成された。実際には、もちろん、プローブは非常に長く、典型的には長さが約25ヌクレオチドであるが、それらが相当な正確さで100ヌクレオチドまで構築し得るので、3つのヌクレオチドは単なる説明のためのものである。この最初のセットのオリゴヌクレオチドプローブの合成が完了した後、合成されたプローブは、光でもなく酸不安定でもないキャッピング剤によってキャップされる。次に、酸不安定な保護基“B"を基体から除去するために酸を用いてまだプローブが合成されていないマイクロアレイの領域が晒される。次に、合成プローブの配列が異なってもよいこと以外は前と正確に同じ方法でプローブの他のセットがマイクロアレイ上に合成される。単に説明のために、図4の図での自明な例において、配列CATの第2プローブが特徴14において構築され、配列CAGの第2プローブセットが特徴16において構築される。実際には、ここに記載された方法によって各特徴部において2つのプローブセットを合成すると実用的で容易に達成しうることがわかった。第1プローブセットと第2プローブセットの相対量は、工程の開始時に部分的な光特異的脱保護ステップの時間を変化させることによって簡単に調整さえすることができる。
【0008】
プローブ合成の方向は、単にヌクレオチド使用の種類だけに左右されるを留意のこと。ヌクレオチドが構築プローブセットに付加される場合、付加されたヌクレオチドが付加され、光不安定な保護基がすでに結合されている。プローブ合成の方向、即ち、プローブが3'→5'又は5'→3'に合成されるかは、付加されたヌクレオチドが光不安定な保護基がその3'端又は5'端に結合したかで単に決定される。本明細書に用いるの好ましい試薬であるNPPOCを含む適切な光不安定な保護基を有するヌクレオチドが、ヌクレオチドの3'端又は5'端でNPPOCが結合されて用いうるので、プローブをいずれの選ばれた向きでも容易に合成が可能である。実際に、一定の特徴部における一組のプローブの方向は同じ特徴部におけるプローブのその他のセットの方向に合わせる必要はない。我々は、3'→5'及び5'→3'プローブがマイクロアレイと同一の特徴領域において合成されるマイクロアレイを作成した。
マイクロアレイの合成の間、多くの異なる化合物が結合化合物又は保護基として用いることができることが確認される。合成工程の間に用いられる特定の化合物が下で言及されるが、当業者により他の結合化合物や保護基が、また、本発明の実施において用いることができることが認識される。下記実施例は単に本発明の一実施態様の説明として役に立つものであり、決してその範囲を制限するものではない。
本発明は、異なる2つ以上オリゴヌクレオチドが単一特徴領域において構築されることを可能にする。特徴領域につき2つのオリゴヌクレオチドを生産するために、感光性保護基、例えば、NPPOC保護塩基と関連している塩基の一層をアレイ表面に結合する。次に、塩基は適切な光源によって部分的に脱保護される。アレイ上に与える光の量は特徴領域の割合だけから感光性保護基を取り出す効果があるので、合成された異なるオリゴヌクレオチドの比が制御される。もとの塩基の所望の割合が取り出された場合、使われている光に感受性がない保護基を持つ第2塩基、例えば、酸不安定なジメトキシトリチル(DMT)が、特徴領域の脱保護部分の表面上の遊離ヒドロキシルに結合する。一旦結合すると、残りの感光性保護基がより多くの光源を特徴領域に与えることによって取り出される。このように、第2光量によって除かれるヒドロキシル基(従って、DMTで保護されていない)は通常の方法で光特異的DNAプローブを合成するために用いられない。いかなる強い酸性化合物、例えばトリクロロ酢酸(TCA)も存在しないとき、各特徴部内のDMT保護部位は、影響を受けず、DNA鎖の第2グループを構築する際の将来の使用に確保される。
【0009】
DNA鎖の第1グループが合成された後、DNAをキャッピング化合物、例えば、酢酸無水物やテトラヒドロフランでキャップされて更に鎖構築を阻害し、DNA鎖の第2グループの合成が、開始される。最初に、DMTを取り出すのに有効な化合物、例えば、強い酸性化合物TCAに晒すことによってDMT保護基がもとの脱保護基グループから取り出される。一旦DMTが取り出されると、DNA鎖の第2グループが通常の方法で合成される。完了時に、アレイを脱保護溶液に入れて塩基保護基を除去し、キャップをDNA鎖の第1セット上に載せ、特徴部につき2つの異なるオリゴヌクレオチド鎖を有するアレイが得られる。
2種を超えるプローブでさえマイクロアレイの共通の特徴部において構築することができることが想定される。1つの特徴部に存在する異なるオリゴヌクレオチドの数を増やすために、異なる種類の保護基とカップリングすることによって混ざった、光による数回の部分的な脱保護を使うことができる。これらの保護基の各々は、表面から独立して取り出されることができなければならない。各種類の基が取り出される場合、DNA鎖はそれらの位置で構築される。例えば、13%の部位を光で脱保護した後、DMT基は保護化合物として用いることができる。第2の33%の部位を光で脱保護した後、塩基不安定なFMOC基は、第2保護化合物として付加することができる。次に、残りのグループを光で取り出することができ、DNA鎖の第1グループが構築されキャップされる。次に、DMT基を取り出すためにTCAを用いることができ、DNA鎖の第2グループを構築しキャップすることを可能にする。最後に、FMOCを弱塩基を用いて除去することができ、DNA鎖の第3のグループを構築しキャップすることを可能にする。
他の種類の保護基を用いることもできるので、異なる化学処理又は異波長の光の適用が可能になることが想定される。合成DNAの方向も、また、一定の鎖の合成のために5'アミダイトか又は3'アミダイトを用いて制御することができる。1つの鎖の中で5'と3'アミダイトを混合することも可能である。マイクロアレイを構築することができ、それらの中には特徴部全てが1つを超えるプローブを有し、それらの中にはマイクロアレイが単一のプローブを有するいくつかの特徴部と複数のプローブを有するいくつかの特徴部を有することもできる。この手法により、特定のユニークな適用に高度に特注することが可能になる。
【0010】
特徴部内に1つを超えるオリゴヌクレオチドを有するマイクロアレイを作成する能力によって、マイクロアレイにおいて行うことができる解析の範囲が広がる。例えば、この方法によって可能になる1つの興味深い適用は、真核遺伝子の発現における転写物スプライシングの研究を可能にするものであるマイクロアレイの設計である。例えば、ヒトゲノムの遺伝子の数がヒト体内で全てのタンパク質を説明するのに不十分なことがあること、また、中間mRNAスプライシングがタンパク質の多様性の一部を説明することができることが考えられる。この現象は、従来のマイクロアレイを用いて研究することが困難である。mRNAスプライシングを研究するために特徴部内に2つのプローブを有するマイクロアレイを用いる方法が、図5に示される。この説明的特徴部において構築される2つのプローブは、遺伝子の2つのエキソン間の共有結合が一定のmRNA試料で生じるかを検出するように、即ち、双方のエキソンを含む組織細胞中にmRNAが存在するかを知るように設計されている。セットの1つ又は特徴部内のプローブは、研究されている遺伝子の具体的な第1標的エキソンのmRNAと相補的に設計されている。mRNAはマイクロアレイに対してハイブリダイズされ、mRNA種は、標的エキソンがmRNA種にある場合にのみプローブの第1セットに対してハイブリダイズする。これは、図5においてステップ20で示されている。第2エキソンのプローブが第1エキソンプローブと対向する意味を有するので、mRNAは第1エキソンのためのプローブだけに結合する。次に、図5の22に示されるように、鋳型として結合したmRNAを用いてプローブオリゴヌクレオチドを伸ばすために逆転写酵素が用いられる。第1エキソンは、cDNAのようにmRNAに配列が相補的な長いDNA片であるように共有結合して伸びる。次に、mRNAを、例えば、mRNAを消化するRNアーゼHを用いてマイクロアレイから取り出し、伸びたプローブだけが残る。次に、他のハイブリダイゼーションステップが行われ、図5において24に示されるように、第2プローブセットが伸びた第1プローブの遠端に相補的な場合にだけ、伸びた第1プローブの遠端が第2プローブに対してハイブリダイズする。このように、第2プローブセットは、研究されている遺伝子において他の標的エキソンのDNA(mRNAでない)と相補的であるように設計されている。次に、DNAエクステンション反応がDNAポリメラーゼ、例えば、DNAポリメラーゼIにより行われ、第2のプローブの末端から始まる、複合体の一本鎖部分にヌクレオチドを付加する。DNAエクステンション反応は、プローブの第2セットに対してハイブリダイゼーションが起こる場合にのみ生じる。図5の26に示されるDNAエクステンションステップにおいて蛍光的に標識したヌクレオチドを取り込むことによって、完了した二本鎖DNA分子は、蛍光性にすることができ、又は他のいかなる便利な方法でも検出することができる。マイクロアレイが読み取られる場合、mRNAと結合した特徴部だけが蛍光を発する点でDNAプローブの双方に相補的な配列を含有する。遺伝子における種々のエキソンを試験するように設計されたいくつかの特徴部セットにおいては、細胞又は組織の全ての遺伝子スプライシングパターンを求めることができる。従って、一定の細胞においてどのエキソンが共通の転写物によって結合されるかを求めることができ、遺伝子スプライシングについての情報は、マイクロアレイを用いて明らかにすることができる。
【実施例】
【0011】
実施例1. 上記方法とマスクのないアレイシンセサイザ装置を用いて、一方のオリゴヌクレオチドとその他のオリゴヌクレオチドとの比がアレイ全体に水平に変化した、本発明の方法を用いた同一特徴領域において2つのオリゴヌクレオチドを合成した。次に、アレイを、アレイオリゴヌクレオチドと相補的である2つのオリゴヌクレオチドとハイブリダイズした。これらのオリゴヌクレオチドの一方をCy3で標識し、もう一方をCy5で標識した。試験試料に対してハイブリダイズしたマイクロアレイの得られたスキャンから、Cy3オリゴの表面密度が左から右に上がり、Cy5オリゴの密度が右から左に上がることがわかった。結果は、蛍光イメージングにおいて容易に明らかであった。
【0012】
実施例2. 10×10の6特徴部分を有するアレイを設計し、アレイの共通の特徴部において異なるオリゴヌクレオチドを合成した。3つの異なるオリゴヌクレオチドを、その他のオリゴヌクレオチドの各々とアレイにおいて起こり得る全てに並べ替えて組合わせた。次に、既知の配列の試験試料を、このように作成したマイクロアレイに対してハイブリダイズした。各試料は、特定の領域だけにハイブリダイズし、その試料に相補的なプローブを合成した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の特徴部を含むマイクロアレイであって、該特徴部の各々が一本鎖オリゴヌクレオチドから形成され、該特徴部の少なくとも一部が同一の特徴部内に1を超える配列のオリゴヌクレオチドを含んでいる、前記マイクロアレイ。
【請求項2】
各特徴部が、2つの異なる配列のオリゴヌクレオチドを含んでいる、請求項1記載のマイクロアレイ。
【請求項3】
マイクロアレイにおいてオリゴヌクレオチドの少なくとも一部が共に3'→5'に向いており、少なくとも一部の他のオリゴヌクレオチドが5'→3'に向いている、請求項1記載のマイクロアレイ。
【請求項4】
単一特徴部内の2つのオリゴヌクレオチドが、各々、同一真核遺伝子における異なるエキソンに対してハイブリダイズするように設計されている、請求項1記載のマイクロアレイ。
【請求項5】
2つのプローブが、各々、特徴部内に約50%のプローブを作成する、請求項1記載のマイクロアレイ。
【請求項6】
同一特徴領域内において異なるオリゴヌクレオチドを合成する方法であって、
マイクロアレイを製造するための基体を準備するステップであって、該基体がその表面上に形成された光不安定な保護基を有し、該マイクロアレイが少なくとも1つの特徴領域を有する、前記ステップと;
該特徴領域を光源に光不安定な保護基を特徴領域の一部だけから切断するのに十分な時間さらすステップと;
第2保護基を特徴部の非保護領域にカップリングするステップであって、該第2保護基が光不安定でない、前記ステップと;
該特徴領域を光源に残りの光不安定な保護基を該特徴領域から切断する時間晒して該特徴部の非保護領域が残るステップと;
該特徴部の該非保護領域にオリゴヌクレオチドの第1グループを構築するステップと;
オリゴヌクレオチドの該第1グループを光不安定でないキャッピング化合物でキャップするステップと;
該特徴領域から該第2保護基を取り出して該特徴部の非保護領域が残るステップと;
該特徴部の該非保護領域にオリゴヌクレオチドの第2グループを構築するステップと
を含む、前記方法。
【請求項7】
最初の光に晒すステップが行われる特徴領域の部分が約50%の特徴領域であるので、オリゴヌクレオチドの各々が特徴部において約50%のオリゴヌクレオチドである、請求項6記載の方法。
【請求項8】
最初の光に晒すステップが行われる特徴領域の部分が約33%の特徴領域であるので、オリゴヌクレオチドの1つが特徴部において約33%のオリゴヌクレオチドである、請求項6記載の方法。
【請求項9】
第2保護基が酸不安定である、請求項6記載の方法。
【請求項10】
第2保護基がジメトキシトリチルである、請求項9記載の方法。
【請求項11】
キャッピング化合物が酢酸無水物とテトラヒドロフランである、請求項9記載の方法。
【請求項12】
1を超えるエキソンを有する遺伝子からmRNA転写物のスプライシングを解析するためにマイクロアレイを用いる方法であって、
少なくとも1つの特徴部の該特徴部内に2つのオリゴヌクレオチドを有するマイクロアレイを準備するステップであって、第1オリゴヌクレオチドが1つのエキソンに対応する該mRNAの一部での該mRNAに相補的であり、第2オリゴヌクレオチドが他のエキソンに対応する部分での該mRNAに配列が対応している、前記ステップと;
該mRNAに対して該マイクロアレイをハイブリダイズするので、mRNAが存在する場合には、該mRNAに相補的なヌクレオチドに結合するステップと;
鋳型として結合したmRNAを用いて該第1オリゴヌクレオチドを伸ばすステップと;
結合したmRNAを取り出すステップと;
伸びた第1オリゴヌクレオチドを該第2オリゴヌクレオチドに対してハイブリダイズするステップと;
標識したヌクレオチドを用いて第1オリゴヌクレオチドに対して該第2オリゴヌクレオチドを伸ばすので、ハイブリダイゼーションが起こった場合には該特徴部を検出し得るステップと
を含む、前記方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−22384(P2010−22384A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−255033(P2009−255033)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【分割の表示】特願2004−541857(P2004−541857)の分割
【原出願日】平成15年9月30日(2003.9.30)
【出願人】(305029162)ニンブルゲン システムズ インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】