説明

単一容器中にある重炭酸塩ベースの溶液

【課題】容易に操作され得、保存条件下で安定性および滅菌性を維持し得、医療(例えば、透析治療)の間に容易にかつ有効に使用され得る、重炭酸塩ベース溶液を提供すること。
【解決手段】炭酸水素塩ベースの溶液を含む容器であって、ガスバリアを備える該容器の中に貯蔵された約1mmol/L〜約45mmol/Lの炭酸水素塩および約0.1mmol/L〜約2.5mmol/Lのカルシウムを含有する単一の溶液であって、該溶液が約6.9〜約7.9の範囲のpHで少なくとも3ヶ月の安定性を有する、溶液、を含有する炭酸水素塩ベースの溶液を含む、容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、医療処置に関する。より具体的には、本発明は、透析治療、注入治療などを含む医療処置のために使用される、溶液に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
疾患、傷害または他の原因に起因して、腎臓系が作用しなくなり得る。あらゆる原因の腎不全において、いくつかの病理的障害が存在する。水と、ミネラル(例えば、Na、K、Cl、Ca、P、Mg、SO)と、固定イオンの食餌代謝負荷の排出とのバランスが、腎不全においてはもはや不可能である。腎不全の間に、窒素代謝(例えば、尿素、クレアチニン、尿酸など)の毒性最終生成物が、血液および組織中に蓄積し得る。
【0003】
透析プロセスが、濃度勾配を通る半透膜を通る拡散(拡散溶質輸送)による、溶液中の元素の分離のために考案された。透析プロセスの例としては、血液透析、腹膜透析、血液濾過、および血液透析濾過が挙げられる。
【0004】
血液透析処置は、患者の血液を利用して、その患者から、排泄物、毒素および過剰な水分を除去する。その患者に、血液透析機器が連結され、その患者の血液は、その機器を通して汲み出される。針またはカテーテルが、その患者の静脈および動脈中に挿入されて、その血液透析機器から血流へと連結される。排出物、毒素および過剰な水分が、その患者の血液から除去され、そしてその血液が、その患者へと注入により戻される。血液透析処置は、数時間継続し得、一般的には、処置センターにおいて1週間当たり約3〜4回実施される。
【0005】
しばしば古典的血液透析に関連する不利点を克服するために、他の技術(例えば、腹膜透析、血液濾過、および血液透析濾過)が、開発された。腹膜透析は、患者自身の腹膜を、半透膜として利用する。腹膜は、多量の血管および毛細血管に起因して天然の半透膜として作用し得る、体腔の膜状内壁である。
【0006】
腹膜透析において、滅菌透析溶液が、カテーテルを利用して腹膜腔中に導入される。十分な時間がたった後、透析液と血液との間の溶質交換が、達成される。流体の除去は、血液から透析液への適切な浸透圧勾配を提供して血液からの水の流出を可能にすることによって、達成される。これにより、血液中に戻るべき適切な酸−塩基の電解質および流体のバランスが可能になる。この透析溶液は、カテーテルを通して体腔から簡単に排出される。種々の型の腹膜透析の例としては、連続携行式腹膜灌流、自動腹膜透析および連続フロー腹膜透析(continuous flow peritoneal dialysis)が挙げられる。
【0007】
血液濾過は、対流に基づく血液清浄化技術である。血液への接近は、静脈−静脈式(venovenous)であっても、動脈−静脈式(arteriovenous)であってもよい。血液が血液濾過器を通って流れると、血液区画と限外濾過区画との間の膜透過圧(transmembrane pressure)勾配が、血漿水分が高浸透膜を通って濾過されることを引き起こす。水分がこの膜を通ると、その水分は、その膜を通して小さい分子および大きな分子を対流させ、それによって血液を清浄化する。過剰量の血漿水分が、濾過によって除去される。従って、身体の水分を平衡状態で維持するために、静脈内注入される平衡化電解質溶液(置換液(replacement fluidまたはsubstitution fluid)))によって、液体(fluid)は、連続的に置換されなければならない。この置換液は、動脈血ラインに注入されて血液濾過器へと導かれるか(プレ透析(predilution))か、または血液濾過器から出る静脈血ライン中に注入される(ポスト透析(post dilution))かのいずれかであり得る。
【0008】
代謝生成物に加えて、あらゆる腎臓置換療法(例えば、血液透析、血液濾過、および腹膜透析)の最も重要な問題の1つは、代謝アシドーシスの矯正にある。この理由によって、これらのプロセスの各々において使用される透析溶液は、緩衝剤を含む。
【0009】
透析溶液においてしばしば使用される3つの一般的緩衝剤は、重炭酸塩、乳酸塩、および酢酸塩である。当初は、重炭酸塩が、透析溶液において使用される主要な緩衝剤であったが、時間経過とともに、乳酸塩および酢酸塩が、重炭酸塩の代用品として使用された。これは、重炭酸塩緩衝化透析溶液の調製および保存における困難性が原因であった。乳酸塩緩衝剤および酢酸塩緩衝剤は、以前の重炭酸塩緩衝化溶液よりもすぐれた安定性を使用時に提供することが、公知である。
【0010】
しかし、重炭酸イオンは、酢酸イオンまたは乳酸イオンを超える利点を提供するので、重炭酸塩は、再び透析溶液において使用される主要な緩衝液として考えられる。患者が重炭酸塩透析溶液に対してより良好な寛容を示すことを示す試験が行なわれた。多臓器不全を有する患者において、重炭酸緩衝化溶液が好ましい。なぜなら、代謝干渉を欠如しているからである。さらに、特定の処理は、重炭酸塩、カルシウムおよびマグネシウムを含む滅菌透析溶液を必要する。
【0011】
しかし、重炭酸塩の存在において、これらのイオンは、それぞれ、重炭酸カルシウムおよび重炭酸マグネシウムを形成し得る。これらは高いpHで、代表的に溶液から沈殿する。この問題を最初に解決するために、重炭酸溶液を、しばしば、濃縮物(2倍以下のわずかに濃縮した溶液からより濃縮した溶液の範囲にある)から作製される。さらに、一方では、重炭酸塩、他方ではカルシウムおよび/または他方では、マグネシウムが、別個の濃縮物の状態で含まれ、そして使用前まで別個に保存される。例えば、この濃縮物は、別個の容器またはマルチチャンバ容器中の別個のチャンバ中に保存され得る。次いで、重炭酸塩濃縮物および電解質(カルシウム、マグネシウムなどを含み得る)の濃縮物を、使用の直前に混合し、重炭酸塩の沈殿を防ぐ。
【0012】
しかし、使用の前に重炭酸塩濃縮物および電解質濃縮物を別個に保存するためのマルチチャンバ容器または個々の容器を使用することは、透析治療を実施するのに必要な時間および努力の量を増大させ得る。マルチチャンバ容器中の重炭酸塩ベースの溶液の使用によって、患者は、代表的に、これらの濃縮物を使用前に混合させるために脆弱部分を破ることが必要である。さらに、ガスバリアオーバーパウチをマルチチャンバ容器で使用する場合、このオーバーパウチは、代表的に、混合前に除去される。ガスバリアオーバーパウチが除去されない場合、脆弱部分の破壊はガスバリアを損傷し得、従って長期間の溶液安定性の損失を導く。
【0013】
さらに、混合前にこれらの濃縮物を別個に保存する、複数の個々の容器の使用は、さらなる取り扱いおよび保存能力を必要とし得る。特許文献1(「Zander」)は、2つの別個に保存された一種類の溶液(1つは、代謝性有機酸、および他のアルカリ重炭酸塩およびアルカリ炭酸塩を含む)の形式での、安定な水溶液の使用を記載する。Zanderの特許は、有機酸を用いた、デキストロース成分のpH調節に関連し;このデキストロース成分は、4.0〜6.0のpH範囲に調節される。本発明者らが、生理学的溶液はデキストロース成分についてこのような高いpHでは達成されないと考えるだけでなく、問題は、有機酸の使用から生じる。例えば、肝不全を有する患者において、身体は、有機酸を代謝することが困難であり、従って、重炭酸塩として利用可能な全ての緩衝液を有することが好ましい。腹膜透析の場合、同じ容器内にある有機酸およびデキストロースの存在は、グルコース分解産物の形成を促進し、これは、次に腹膜を損傷し得る。
【0014】
重炭酸塩および他の構成要素(例えば、カルシウムおよびマグネシウム)に加えて、安定剤の使用を必要とする重炭酸塩ベースの溶液が公知である。例えば、特許文献2は、安定剤(例えば、グリシルグリシン)を使用して、炭酸塩の沈殿を防ぐことを開示する。欧州特許出願番号EP1166787は、クエン酸水素二ナトリウムのような他の型の安定剤の使用を開示する。しかし、安定剤の使用は、望ましくない副作用を有し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第5,296,242号明細書
【特許文献2】米国特許第4,959,175号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従って、容易に操作され得、保存条件下で安定性および滅菌性を維持し得、医療(例えば、透析治療)の間に容易にかつ有効に使用され得る、重炭酸塩ベース溶液を提供する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
(発明の要旨)
本発明は、医学的治療(特に、透析治療、吸入治療、または他の適切な医学的治療)の間に使用され得る改善された重炭酸塩ベースの溶液に関する。本発明の重炭酸塩ベースの溶液は、単一の溶液として提供される。この溶液は、ガスバリアを有する容器中で提供される。単一の溶液は、好ましくは、治療有効量の重炭酸塩およびカルシウムを含む。これはまた、種々の他の適切な成分およびそれらの組み合わせ(例えば、ナトリウム、カリウム、塩化物、乳酸塩、酢酸塩、および浸透物質(osmotic agent))を含み得る。
【0018】
本発明の溶液は、保存安定性を有する。本出願人は、本発明の重炭酸塩ベースの溶液が、約3ヶ月までまたはそれ以上安定なまま維持され得ることを発見した。本発明の重炭酸塩ベースの溶液は、滅菌されかつ安定な単一の溶液として処方され得、そしてさらに、使用前に混合される必要がない。このことは、医学的治療(特に、透析治療)の間の使用の容易さを促進し得る。
【0019】
この単一の溶液は、任意の適切な量で種々の異なる成分を含み得る。好ましくは、単一の溶液は、約1mmol/L〜約45mmol/Lの重炭酸塩および約0.1mmol/L〜約2.5mmol/Lのカルシウムを含有する。1つの実施形態において、この単一の溶液は、さらなる成分(例えば、約0mmol/L〜約160mmol/Lのナトリウム、約0mmol/L〜約1.5mmol/Lのマグネシウム、約0mmol/L〜約5mmol/Lのカリウム、約0mmol/L〜約130mmol/Lの塩化物、約0mmol/L〜約45mmol/Lの乳酸塩、約0mmol/L〜約45mmol/Lの酢酸塩、約0mmol/L〜約100g/Lの浸透物質、およびこれらの類似の成分および量および組み合わせを含む)を含む。1つの実施形態において、この単一の溶液のpHは、約6.9〜約7.9(好ましくは、約7.0〜約7.4)の範囲である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の利点は、改善された重炭酸塩ベースの溶液を提供することである。
【0021】
本発明の別の利点は、単回のready to use溶液として包装され得る重炭酸塩ベースの溶液を提供することである。
【0022】
さらに、本発明の利点は、3ヶ月以上の保存安定性を有する重炭酸塩ベースの単一の溶液を提供することである。
【0023】
本発明のさらに別の利点は、安定化剤の使用を必要としない保存安定性の重炭酸塩ベースの単一の溶液を提供することである。
【0024】
本発明のさらに別の利点は、透析治療の間に効果的に使用され得る安定かつ滅菌性の単一の重炭酸塩ベースの溶液を提供することである。
【0025】
本発明のなおさらに別の利点は、重炭酸塩およびカルシウムを少なくとも含有する改善された単一の安定溶液を製造する改善された方法を提供することである。
【0026】
本発明のさらなる利点は、ready to useの重炭酸塩ベースの溶液を使用する医学的治療(例えば、透析治療)を提供することである。
【0027】
本発明のなおさらなる利点は、透析溶液を安定化させる方法を提供することである。
【0028】
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の発明の詳細な説明および図面に記載され、そしてこれらから明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、本発明の実施形態に従うガスバリアを有する容器中に保存された溶液を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(発明の詳細な説明)
本発明は、改善された重炭酸塩ベースの溶液ならびにそれを製造および使用する方法を提供する。特に、本発明は、医学的治療(透析治療、吸入治療などを含む)の一部として使用され得、かつready to use溶液として提供される重炭酸塩ベースの溶液に関する。これに関して、本発明の溶液は、混合を必要としない単一の、ready to use溶液として提供される。このことは、その溶液が透析治療の間に使用され得る際の容易さを促進する。
【0031】
本発明の重炭酸塩ベースの溶液は、治療有効量の重炭酸塩およびカルシウムを少なくとも含む。この溶液は、ガスバリアを有する容器中に単一の溶液として保存される。以下に詳細に議論されるように、本出願人は、本発明の単一の重炭酸塩ベースの溶液が、延長された期間(例えば、約3ヶ月までまたはそれ以上の期間)安定なまま維持され得ることを発見した。さらに、本出願人は、本発明の単一の重炭酸塩ベースの溶液が、安定化剤(例えば、グルシルグリシン、クエン酸塩、クエン酸水素二ナトリウム、それらの組み合わせなど)を使用することなく安定に保存し得ることを実証した。
【0032】
透析療法に関して、本発明は、腎臓疾患を処置するための種々の異なる透析療法に使用され得る。透析療法とは、文章中でその用語または類似する用語が使用される場合、老廃物、毒素および過剰の水を患者から除去するための任意の全ての形態の療法を含む。血液療法(例えば、血液透析、血液濾過および血液透析濾過)は、連続的な腎臓置換療法(CRRT)のために使用される間欠性療法および連続的療法の両方を含む。連続的療法としては、例えば、遅い連続的限外濾過(SCUR)、連続的静脈静脈血液濾過(CVVH)、連続的静脈静脈血液透析(CVVHD)、連続的静脈静脈血液透析濾過(CVVHDF)、連続的動脈静脈血液濾過(CAVH)、連続的動脈静脈血液透析(CAVHD)、連続的動脈静脈血液透析濾過(CAVHDF)、連続的限外濾過、周期的間欠性血液透析などが挙げられる。重炭酸塩ベースの溶液もまた、腹膜透析(例えば、継続に通院しての腹膜透析、自動化腹膜透析、連続的フロー腹膜透析など)の間に使用され得る。さらに、1つの実施形態において、本発明は慢性腎不全または慢性腎疾患を有する患者のための透析療法を提供する方法において、利用され得るが、本発明は、急な透析の必要性(例えば、救急室の状況)のためにも使用され得ることが理解されるべきである。
【0033】
本明細書で使用される場合、「注入療法」(infusion therapy)またはその類似語は、溶液が患者の静脈に導入または注入される、任意の医療療法を意味する。
【0034】
1つの実施形態において、重炭酸ベースの溶液は、任意の適切な透析療法の間に透析物として使用され得る。あるいは、本発明の溶液は、透析療法(例えば、血液濾過、血液透析濾過または他の適切な透析療法)の間の置換流体などとして,患者に投与または注入され得る。この点において、置換流体、注入流体などは、代表的には、継続的腎臓置換療法(血液濾過などの継続的形態が挙げられる)の間に除去される超過量の血漿水の置換物として患者に継続的に、必ず供給されなければならない。この点において、患者の体内の適切な水分バランスが、効果的に維持され得る。
【0035】
本発明の安定かつ単一の溶液は、種々の異なる成分を任意の適切な量で含み得る。1つの実施形態において、単一の溶液は、少なくとも、約1mmol/L〜約45mmol/Lの重炭酸塩、好ましくは約5mmol/L〜約45mmol/Lの重炭酸塩;および、約0.1mmol/L〜約2.5mmol/Lのカルシウム、好ましくは約0.2mmol/L〜約2.0mmol/Lのカルシウムを含む。
【0036】
単一の溶液は、重炭酸塩およびカルシウムに加えて、種々の他の成分を含み得る。例えば、本発明の単一の溶液は、約0mmol/L〜約160mmol/Lのナトリウム、好ましくは約100mmol/L〜約150mmol/Lのナトリウム;約0mmol/L〜約1.5mmol/Lのマグネシウム、好ましくは約0.2mmol/L〜約1.0mmol/Lのマグネシウム;約0mmol/L〜約5mmol/Lのカリウム;約0mmol/L〜約130mmol/Lの塩化物、好ましくは約70mmol/L〜約120mmol/Lの塩化物;約0mmol/L〜約45mmol/Lの乳酸塩、好ましくは約0mmol/L〜約40mmol/Lの乳酸塩;約0mmol/L〜約45mmol/Lの酢酸塩;約0mmol/L〜約100mmol/Lの浸透物質、およびそれらの組合せを含み得る。
【0037】
浸透物質は、任意の材料を含み得る。1つの実施形態において、浸透物質は、グルコースおよびそのポリマー、アミノ酸、ペプチド、グリセロール、類似の組成物およびそれらの組合せを含み得る。1つの実施形態において、本発明の重炭酸ベースの溶液は、約6.9〜約7.9、好ましくは約7.0〜約7.4の範囲のpHを有する。
【0038】
既に考察したように、本発明は、透析療法の間に容易かつ効果的に使用され得る、単一の安定な重炭酸塩ベースの溶液を提供する。1つの実施形態において、単一の溶液10は、図1に示すように、容器材料中14にガスバリア(示さず)を有する容器12に保存または梱包される。容器は、代表的には医療溶液(例えば、透析溶液)を保存および投与するために使用される医薬等級の溶液バッグなどの任意の適切な容器を含み得る。容器は、任意の適切な医療等級の材料(例えば、ポリエチレンおよび/または他の適切な材料)から製造され得る。
【0039】
容器は、任意の適切な方法で、ガスバリアを有して作製され得る。好ましくは、ガスバリアは、上で考察したように容器材料中にある。あるいは、ガスバリアは、嚢状(over pouch)、2次的ラインなどであり得る。ガスバリアは、任意の適切な材料から構成され得る。1つの実施形態において、ガスバリアは、エチルビニルアセテート、ポリビニルジクロリド、エチルビニルアセテートとポリビニルジクロリドとのコポリマー、他の適切な材料(ポリマー材料またはそれらの組合せが挙げられる)から構成される。
【0040】
本発明の安定な単一の重炭酸塩ベースの溶液は、任意の適切な方法で製造され得る。重炭酸塩ベースの溶液は、まず、所望の成分(例えば、上述の他のさらなる成分に加えて、重炭酸、カルシウム)を組合せて、単一の溶液を形成することで、任意の適切な様式で調製される。成分は、濃縮形態で提供され得る。次いで、濃縮物が混合され得、単一の溶液を形成する。例えば、重炭酸塩を含有する濃縮物は、カルシウムを含有する濃縮物と混合され得る。次いで、単一の溶液は、滅菌の様式で容器中に梱包および/または保存され得る。さらに、単一の溶液は、任意の適切な方法(例えば、濾過滅菌、熱滅菌、スチーム滅菌、放射線滅菌および/または同様の滅菌技術)で滅菌され得る。
【0041】
既に考察したように、本発明の単一の重炭酸塩ベースの溶液は、3ヶ月よりも長い間、好ましくは12ヶ月以上まで安定であり得る。この点において,本発明の単一の重炭酸塩ベースの溶液は、長い保存期間の後でも、使用できる状態のままであり、透析療法の間に単一の溶液が容易かつ効果的に使用されることを可能にする。
【0042】
出願人の発明の例示の方法であって、非限定的な例をここに示す。
【実施例】
【0043】
(安定性試験)
本出願人らは、多数の実験を行って、本発明の実施形態に従って作製されたガスバリアを備える容器内に貯蔵された単一の溶液の安定性の性質を実証した。以下に示されるように、実験試験Iは、本発明の単一の溶液の安定性の性質を実証し、そして実験試験IIは、本発明の重炭酸塩ベースの単一の溶液が、安定化剤の使用を必要とせずに貯蔵安定を維持し得ることを実証する、比較試験を提供する。
【0044】
(実験試験I)
溶液を、本発明の実施形態に従って作製した。この溶液は、以下の成分を含有した:
約194mmol/Lのグルコース、
約132mmol/Lのナトリウム、
約97mmol/Lの塩化物、
約1.25mmol/Lのカルシウム、
約0.25mmol/Lのマグネシウム、および
約38mmol/Lの重炭酸塩。
【0045】
この溶液のpHを、二酸化炭素を用いて調整し、そして0.22マイクロメートルのフィルタを通して、エチルビニルアセテート、ポリビニルジクロリドおよびポリエチレンからなる滅菌溶液バッグ内に濾過した。この溶液のpHおよび全カルシウムレベルを、以下の表Iに示されるように、12ヶ月の期間にわたって定期的にモニタリングした。
【0046】
【表1】

【0047】
表1に示されるように、単一の溶液は、12ヶ月の期間にわたって安定なままであった。これに関して、pHおよび全カルシウムレベルは、この期間にわたって、比較的一定に維持された。
【0048】
(実験試験II)
安定性試験を、3つの異なる重炭酸塩ベースの溶液(すなわち、試験溶液IIA、試験溶液IIB、および試験溶液IIC)に対して実施した。試験溶液IIAは、安定化剤(すなわち、グリシルグリシン)を含む重炭酸塩ベースの溶液を含んだ。この試験溶液は、米国特許第4,959,175号(「Yatzidis」)に開示される重炭酸塩ベースの溶液に従って、作製した。試験溶液IIBおよびIICは、安定化剤(例えば、グリシルグリシン)なしの重炭酸塩ベースの溶液を含んだ。これらの試験溶液を、本発明の実施形態に従って作製した。
【0049】
試験溶液の各々を、2リットルの溶液バッグ内(これは、バッグ材料にガスバリアを含んだ)に貯蔵した。この溶液バッグの材料は、エチルビニルアセテート、ポリビニルジクロリドおよびポリエチレンからなった。エチルビニルアセテート成分およびポリビニルジクロリド成分は、ガスバリアを提供した。試験溶液の組成は、以下に示される:
【0050】
【数1】

【0051】
一般に、試験溶液を、成分を蒸留水に溶解することによって調製した。試験溶液IIAは、バッグに充填する前に、7.27のpHを有し、そして充填後には、7.45のpHを有した。試験溶液IIBに関して、全ての成分を添加し、次いで、pHを、二酸化炭素を溶液中にバブリングすることによって、充填前に7.28のpHまで調整した。試験溶液IIBの、充填後のpHは、6.91であった。試験溶液IICに関して、重炭酸塩以外の全ての成分を添加し、その後、重炭酸塩を、溶液中への二酸化炭素の連続的なバブリング下でゆっくりと添加し、充填前に7.21のpHを得た。充填後、pHは7.02であった。
【0052】
各溶液バッグに、2リットルの試験溶液を充填した。全体として、9個の溶液バッグを、各試験溶液について満たした。試験溶液IIAを、窒素圧力下で充填した。試験溶液IIBおよびIICを、二酸化炭素圧力下で充填した。各試験溶液を、0.22ミクロンのフィルタでの濾過によって滅菌した。次いで、試験溶液を満たされた溶液バッグを絞り、そして上に議論されたような各バッグの充填の終了時に、pHを再度確認した。試験溶液を満たされた溶液バッグを、ボール紙の箱内のオーバーパウチなしで、25℃で、60%湿度下で保存した。
【0053】
試験溶液を、多数のパラメータ(例えば、pH)について定期的にモニタリングし、経時的な溶液の安定性を評価した。これらのパラメータを、以下の表IIA〜IICに示されるように、時刻=0(P0)、1ヶ月(P1)、3ヶ月(P3)、7ヶ月(P7)、10ヶ月(P10)および12ヶ月(P12)においてモニタリングした。
【0054】
【表2】

【0055】
全体として、これらの試験結果は、安定化剤を含む重炭酸塩ベースの試験溶液および安定化剤を含まない重炭酸塩ベースの試験溶液が、25℃で少なくとも12ヶ月間、比較的安定なままであったことを示す。このことは、重炭酸塩ベースの溶液を安定化させるために、安定化剤(例えば、グリシルグリシン)の使用が必要ではないことを実証する。
【0056】
本明細書中に記載される現在好ましい実施形態に対する、種々の変化および変更が、当業者に明らかであることが、理解されるべきである。このような変化および変更は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、そして意図される利点を減少させることなくなされ得る。従って、このような変化および変更は、添付の特許請求の範囲によって網羅されることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明により、例えば以下の容器などが提供される:
(項1)
炭酸水素塩ベースの溶液を含む容器であって、以下:
ガスバリアを備える該容器の中に貯蔵された約1mmol/L〜約45mmol/Lの炭酸水素塩および約0.1mmol/L〜約2.5mmol/Lのカルシウムを含有する単一の溶液であって、該溶液が約6.9〜約7.9の範囲のpHで少なくとも3ヶ月の安定性を有する、溶液、
を含有する炭酸水素塩ベースの溶液を含む、容器。
(項2)
項1に記載の炭酸水素塩ベースの溶液を含む容器であって、前記単一の溶液が、約5mmol/L〜約45mmol/Lの炭酸水素塩および約0.2mmol/L〜約2mmol/Lのカルシウムを含有する、炭酸水素塩ベースの溶液を含む容器。
(項3)
項1に記載の炭酸水素塩ベースの溶液を含む容器であって、前記単一の溶液が、約0mmol/L〜約160mmol/Lのナトリウム、約0mmol/L〜約1.5mmol/Lのマグネシウム、約0mmol/L〜約5mmol/Lのカリウム、約0mmol/L〜約130mmol/Lの塩化物、約0mmol/L〜約45mmol/Lの乳酸塩、約0mmol/L〜約45mmol/Lの酢酸塩、約0mmol/L〜約100g/Lの浸透物質およびこれらの組み合わせからなる群から選択される成分を含有する、炭酸水素塩ベースの溶液を含む容器。
(項4)
項3に記載の炭酸水素塩ベースの溶液を含む容器であって、前記浸透物質が、グルコースおよびこれのポリマー、アミノ酸、ペプチド、グリセリン、ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される成分を含有する、炭酸水素塩ベースの溶液を含む容器。
(項5)
項1に記載の炭酸水素塩ベースの溶液を含む容器であって、前記単一の溶液が、約100mmol/L〜約150mmol/Lのナトリウム、約0.2mmol/L〜約1.0mmol/Lのマグネシウム、約70mmol/L〜約120mmol/Lの塩化物、および約0mmol/L〜約40mmol/Lの乳酸塩をさらに含有する、炭酸水素塩ベースの溶液を含む容器。
(項6)
項1に記載の炭酸水素塩ベースの溶液を含む容器であって、前記pHが、約7.0〜約7.4の範囲である、炭酸水素塩ベースの溶液を含む容器。
(項7)
項1に記載の容器であって、前記炭酸水素塩ベースの溶液が、透析溶液を含有する、容器。
(項8)
項1に記載の容器であって、前記炭酸水素塩ベースの溶液が、輸液(infusion solution)を含有する、容器。
(項9)
医療用溶液を含む容器であって、以下:
ガスバリアを備える該容器の中に貯蔵された約1mmol/L〜約45mmol/Lの炭酸水素塩、約0.1mmol/L〜約2.5mmol/Lのカルシウムを含有し、かつ安定剤を含有しない単一の溶液、
を含有する医療用溶液を含む、容器。
(項10)
項9に記載の医療用溶液を含む容器であって、前記単一の溶液が、約5mmol/L〜約45mmol/Lの炭酸水素塩および約0.2mmol/L〜約2mmol/Lのカルシウムを含有する、医療用溶液を含む容器。
(項11)
項9に記載の医療用溶液を含む容器であって、前記単一の溶液が、約0mmol/L〜約160mmol/Lのナトリウム、約0mmol/L〜約1.5mmol/Lのマグネシウム、約0mmol/L〜約5mmol/Lのカリウム、約0mmol/L〜約130mmol/Lの塩化物、約0mmol/L〜約45mmol/Lの乳酸塩、約0mmol/L〜約45mmol/Lの酢酸塩、約0mmol/L〜約100g/Lの浸透物質およびこれらの組み合わせからなる群から選択される成分を含有する、医療用溶液を含む容器。
(項12)
項9に記載の医療用溶液を含む容器であって、前記単一の溶液が、約100mmol/L〜約150mmol/Lのナトリウム、約0.2mmol/L〜約1.0mmol/Lのマグネシウム、約70mmol/L〜約120mmol/Lの塩化物、および約0mmol/L〜約40mmol/Lの乳酸塩をさらに含有する、医療用溶液を含む容器。
(項13)
項9に記載の容器であって、前記医療用溶液が、透析溶液を含有する、容器。
(項14)
項9に記載の容器であって、前記医療用溶液が、輸液である、容器。
(項15)
項9に記載の容器であって、前記単一の溶液が、約1mmol/L〜約45mmol/Lの炭酸水素塩、約0.1mmol/L〜約2.5mmol/Lのカルシウムを含み、かつグリシルグリシン、クエン酸水素二ナトリウム、クエン酸塩およびこれらの組み合わせからなる群から選択される安定剤を含まず、ガスバリアを備える該容器の中に貯蔵される、容器。
(項16)
透析溶液を含む容器であって、以下:
約1mmol/L〜約45mmol/Lの炭酸水素塩、約0.1mmol/L〜約2.5mmol/Lのカルシウム、ならびに、約0mmol/L〜約160mmol/Lのナトリウム、約0mmol/L〜約1.5mmol/Lのマグネシウム、約0mmol/L〜約5mmol/Lのカリウム、約0mmol/L〜約130mmol/Lの塩化物、約0mmol/L〜約45mmol/Lの乳酸塩、約0mmol/L〜約45mmol/Lの酢酸塩、約0mmol/L〜約100g/Lの浸透物質およびこれらの組み合わせからなる群から選択される成分から本質的になる単一の溶液、
を含有する透析溶液を含む、容器。
(項17)
項16に記載の透析溶液を含む容器であって、前記炭酸水素塩が、約5mmol/L〜約45mmol/Lの範囲であり、かつカルシウムが、約0.2mmol/L〜約2mmol/Lの範囲である、透析溶液を含む容器。
(項18)
項16に記載の透析溶液を含む容器であって、前記単一の溶液が、約6.9〜約7.9の範囲のpHで少なくとも3ヶ月間安定に保管され得る、透析溶液を含む容器。
(項19)
項16に記載の透析溶液を含む容器であって、ナトリウムが約100mmol/L〜約150mmol/Lの範囲であり、マグネシウムが約0.2mmol/L〜約1.0mmol/Lの範囲であり、塩化物が約70mmol/L〜約120mmol/Lの範囲であり、かつ乳酸塩が約0mmol/L〜約40mmol/Lの範囲である、透析溶液を含む容器。
(項20)
炭酸水素塩ベースの溶液を提供する方法であって、該方法が、以下:
約1mmol/L〜約45mmol/Lの炭酸水素塩および約0.1mmol/L〜約2.5mmol/Lのカルシウムを含み、グリシルグリシン、クエン酸水素二ナトリウム、クエン酸塩およびこれらの組み合わせからなる群から選択される安定剤を含まない単一の溶液を生成する工程;ならびに、
該単一の溶液をガスバリアを有する容器の中に貯蔵する工程、
の工程を包含する、方法。
(項21)
前記単一の溶液を濾過滅菌により滅菌する工程を含む、項20に記載の方法。
(項22)
前記単一の溶液を加熱滅菌により滅菌する工程を含む、項20に記載の方法。
(項23)
前記単一の溶液を蒸気滅菌により滅菌する工程を含む、項20に記載の方法。
(項24)
項20に記載の方法であって、前記溶液が、使用前少なくとも3ヶ月間貯蔵される、方法。
(項25)
項20に記載の方法であって、前記単一の溶液が、約0mmol/L〜約160mmol/Lのナトリウム、約0mmol/L〜約1.5mmol/Lのマグネシウム、約0mmol/L〜約5mmol/Lのカリウム、約0mmol/L〜約130mmol/Lの塩化物、約0mmol/L〜約45mmol/Lの乳酸塩、約0mmol/L〜約45mmol/Lの酢酸塩、約0mmol/L〜約100g/Lの浸透物質およびこれらの組み合わせからなる群から選択される成分を含有する、方法。
(項26)
項20に記載の方法であって、前記単一の溶液が、約5mmol/L〜約45mmol/Lの炭酸水素塩および約0.2mmol/L〜約2mmol/Lのカルシウムを含有する、方法。
(項27)
項20に記載の方法であって、前記単一の溶液が、透析療法の間に使用され得る、方法。
(項28)
項20に記載の方法であって、前記単一の溶液が、輸液療法(infusion therapy)の間に使用され得る、方法。
(項29)
炭酸水素塩ベースの溶液を供給する方法であって、該方法が、以下:
炭酸水素塩を含む第一の濃縮物とカルシウムを含む第二の濃縮物を混合することにより単一の溶液を調製する工程であって、該単一の溶液が、約1mmol/L〜約45mmol/Lの炭酸水素塩および約0.1mmol/L〜約2.5mmol/Lのカルシウムを含み、グリシルグリシン、クエン酸水素二ナトリウム、クエン酸塩およびこれらの組み合わせからなる群から選択される安定剤を含まない、工程;ならびに、
該単一の溶液をガスバリアを有する容器の中に貯蔵する工程、
の工程を包含する、方法。
(項30)
項29に記載の方法であって、前記単一の溶液が、透析療法の間に使用され得る、方法。
(項31)
項29に記載の方法であって、前記単一の溶液が、輸液療法の間に使用され得る、方法。
(項32)
透析溶液を貯蔵する方法であって、該方法が、以下:
約1mmol/L〜約45mmol/Lの炭酸水素塩および約0.1mmol/L〜約2.5mmol/Lのカルシウム、ならびに、約0mmol/L〜約160mmol/Lのナトリウム、約0mmol/L〜約1.5mmol/Lのマグネシウム、約0mmol/L〜約5mmol/Lのカリウム、約0mmol/L〜約130mmol/Lの塩化物、約0mmol/L〜約45mmol/Lの乳酸塩、約0mmol/L〜約45mmol/Lの酢酸塩、約0mmol/L〜約100g/Lの浸透物質およびこれらの組み合わせからなる群から選択される成分を含む単一の溶液を調製する工程;
該単一の溶液をガスバリアを備える容器の中にパッケージングする工程;ならびに、
該単一の溶液を該容器の中に使用前少なくとも3ヶ月間貯蔵する工程、
を包含する、方法。
(項33)
項32に記載の方法であって、前記単一の溶液が、約5mmol/L〜約45mmol/Lの炭酸水素塩および約0.2mmol/L〜約2.0mmol/Lのカルシウムを含有する、方法。
(項34)
項32に記載の方法であって、前記単一の溶液が、約7.0〜約7.4の範囲のpHで維持される、方法。
(項35)
項32に記載の方法であって、前記単一の溶液が、約12ヶ月以上までの間安定化される、方法。
(項36)
項32に記載の方法であって、前記単一の溶液が、グリシルグリシン、クエン酸塩、クエン酸水素二ナトリウムおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される安定剤を使用せずに調製される、方法。
(項37)
項32に記載の方法であって、前記単一の溶液が、透析溶液を含む、方法。
(項38)
項32に記載の方法であって、前記単一の溶液が、輸液を含む、方法。
(項39)
透析療法を患者に提供する方法であって、該方法が、以下:
約1mmol/L〜約45mmol/Lの炭酸水素塩および約0.1mmol/L〜約2.5mmol/Lのカルシウムを含有する、混合する必要のない透析溶液を供給する工程であって、該透析溶液が、ガスバリアを備える容器の中に貯蔵される、工程;ならびに、治療的に有効な量の該透析溶液を該溶液の必要のある患者に供給する工程、
の工程を包含する、方法。
(項40)
項39に記載の方法であって、前記透析溶液が、約0mmol/L〜約160mmol/Lのナトリウム、約0mmol/L〜約1.5mmol/Lのマグネシウム、約0mmol/L〜約5mmol/Lのカリウム、約0mmol/L〜約130mmol/Lの塩化物、約0mmol/L〜約45mmol/Lの乳酸塩、約0mmol/L〜約45mmol/Lの酢酸塩、約0mmol/L〜約100g/Lの浸透物質およびこれらの組み合わせからなる群から選択される成分を含有する、方法。
(項41)
項39に記載の方法であって、前記透析溶液が、約5mmol/L〜約45mmol/Lの炭酸水素塩および約0.2mmol/L〜約2mmol/Lのカルシウムを含有する、方法。
(項42)
項39に記載の方法であって、前記透析溶液が、血液透析、血液濾過、血液透析濾過、腹膜透析および連続腎交換からなる群から選択される透析療法の間に使用される、方法。
(項43)
項39に記載の方法であって、前記透析溶液が、透析液として使用される、方法。
(項44)
項39に記載の方法であって、前記透析溶液が、該患者の中に輸液として注入される、方法。
(項45)
項39に記載の方法であって、前記透析溶液が、安定剤を使用せずに約3ヶ月以上までの間安定に保管され得る、方法。
(項46)
項39に記載の方法であって、前記安定剤が、グリシルグリシン、クエン酸塩、クエン酸水素二ナトリウムおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される、方法。
(項47)
項39に記載の方法であって、前記単一の溶液を滅菌する前記工程が、濾過滅菌、加熱滅菌および蒸気滅菌からなる群から選択される滅菌技術を含む、方法。
(項48)
項39に記載の方法であって、前記単一の溶液が、使用前少なくとも3ヶ月間貯蔵される、方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭酸水素塩ベースの溶液を提供する方法であって、該方法が、以下:
約1mmol/L〜約45mmol/Lの炭酸水素塩および約0.1mmol/L〜約2.5mmol/Lのカルシウムを含み、グリシルグリシン、クエン酸水素二ナトリウム、クエン酸塩およびこれらの組み合わせからなる群から選択される安定剤を含まない単一の溶液を生成する工程;ならびに、
該単一の溶液をガスバリアを有する容器の中に貯蔵する工程、
の工程を包含する、方法。
【請求項2】
前記単一の溶液を濾過滅菌により滅菌する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記単一の溶液を加熱滅菌により滅菌する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記単一の溶液を蒸気滅菌により滅菌する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記溶液が、使用前少なくとも3ヶ月間貯蔵される、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記単一の溶液が、約0mmol/L〜約160mmol/Lのナトリウム、約0mmol/L〜約1.5mmol/Lのマグネシウム、約0mmol/L〜約5mmol/Lのカリウム、約0mmol/L〜約130mmol/Lの塩化物、約0mmol/L〜約45mmol/Lの乳酸塩、約0mmol/L〜約45mmol/Lの酢酸塩、約0mmol/L〜約100g/Lの浸透物質およびこれらの組み合わせからなる群から選択される成分を含有する、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、前記単一の溶液が、約5mmol/L〜約45mmol/Lの炭酸水素塩および約0.2mmol/L〜約2mmol/Lのカルシウムを含有する、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、前記単一の溶液が、透析療法の間に使用され得る、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、前記単一の溶液が、輸液療法の間に使用され得る、方法。
【請求項10】
炭酸水素塩ベースの溶液を供給する方法であって、該方法が、以下:
炭酸水素塩を含む第一の濃縮物とカルシウムを含む第二の濃縮物を混合することにより単一の溶液を調製する工程であって、該単一の溶液が、約1mmol/L〜約45mmol/Lの炭酸水素塩および約0.1mmol/L〜約2.5mmol/Lのカルシウムを含み、グリシルグリシン、クエン酸水素二ナトリウム、クエン酸塩およびこれらの組み合わせからなる群から選択される安定剤を含まない、工程;ならびに、
該単一の溶液をガスバリアを有する容器の中に貯蔵する工程、
の工程を包含する、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、前記単一の溶液が、透析療法の間に使用され得る、方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法であって、前記単一の溶液が、輸液療法の間に使用され得る、方法。
【請求項13】
透析溶液を貯蔵する方法であって、該方法が、以下:
約1mmol/L〜約45mmol/Lの炭酸水素塩および約0.1mmol/L〜約2.5mmol/Lのカルシウム、ならびに、約0mmol/L〜約160mmol/Lのナトリウム、約0mmol/L〜約1.5mmol/Lのマグネシウム、約0mmol/L〜約5mmol/Lのカリウム、約0mmol/L〜約130mmol/Lの塩化物、約0mmol/L〜約45mmol/Lの乳酸塩、約0mmol/L〜約45mmol/Lの酢酸塩、約0mmol/L〜約100g/Lの浸透物質およびこれらの組み合わせからなる群から選択される成分を含む単一の溶液を調製する工程;
該単一の溶液をガスバリアを備える容器の中にパッケージングする工程;ならびに、
該単一の溶液を該容器の中に使用前少なくとも3ヶ月間貯蔵する工程、
を包含する、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、前記単一の溶液が、約5mmol/L〜約45mmol/Lの炭酸水素塩および約0.2mmol/L〜約2.0mmol/Lのカルシウムを含有する、方法。
【請求項15】
請求項13に記載の方法であって、前記単一の溶液が、約7.0〜約7.4の範囲のpHで維持される、方法。
【請求項16】
請求項13に記載の方法であって、前記単一の溶液が、約12ヶ月以上までの間安定化される、方法。
【請求項17】
請求項13に記載の方法であって、前記単一の溶液が、グリシルグリシン、クエン酸塩、クエン酸水素二ナトリウムおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される安定剤を使用せずに調製される、方法。
【請求項18】
請求項13に記載の方法であって、前記単一の溶液が、透析溶液を含む、方法。
【請求項19】
請求項13に記載の方法であって、前記単一の溶液が、輸液を含む、方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−131668(P2009−131668A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−63680(P2009−63680)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【分割の表示】特願2004−510807(P2004−510807)の分割
【原出願日】平成15年5月29日(2003.5.29)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【出願人】(501453189)バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム (289)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER HEALTHCARE S.A.
【Fターム(参考)】