説明

単一電子帯電効果を利用した記憶回路とその製造方 法

【目的】 電子を単一電子帯電効果によって独立した電極に蓄えることを利用するものである。従来素子に比べ、集積度・動作速度の向上を可能ならしめる記憶回路を構成する。
【構成】 情報は、グランド線12に接続された2つの直列接続のトンネル接合21、22、書き込み線13に接続されたコンデンサー31、そして、読み出し回路03に接続されたコンデンサー32が、それぞれ並列に接続された電気的に独立した電極01に、電子を蓄えることによって保持される。直列に接続されたトンネル接合により、書き込み電圧Vw に対し、電子数がNまた(N+1)個が安定に蓄えられる双安定領域が存在することを用いて、書き込み電圧のわずかな変化に対して記憶が失われないような記憶回路を構成する。電子が安定に独立した電極に保たれている。読み出しには単一電子トンネルトランジスターを用いる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はコンピューター等を構成する記憶回路とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】これまで用いられてきた記憶回路は、大きくDRAMとSRAMの2種類に分けることができる。
【0003】SRAMはフリップフロップ回路を利用した記憶回路で、リフレッシュ動作が不要である。しかし、トランジスターを6個必要とするため高集積化には不向きである。一方、DRAMは1個のトランジスターと1個のコンデンサーで構成されていて高集積化に適している。DRAMでは、情報はコンデンサーに微量な蓄積電荷として記憶され、トランジスターによって電圧として読みだす。蓄積された電荷は内部のリーク電流のために変化することから周期的なリフレッシュ動作をおこなわなければならない。今日、記憶回路の主流はDRAMであり、微細加工技術の進歩によって集積度は向上し、1チップあたり16Mビットもの情報を記憶することが可能となってきている。素子や配線構造の微細化は集積度の向上だけでなく、配線を短くできることから、配線の寄生容量を低減でき高速動作が可能となる。このような記憶回路の集積度の向上、動作速度の高速化が産業に与えたインパクトの大きさは計り知れないものがある。
【0004】次に、新機能素子への応用が期待されている単一電子帯電効果について述べる。この効果を利用した素子は、今日、世界中で活発に研究が進められている。例えば、単一電子トランジスターや、電子を1つ1つ送り出すターンスタイル素子、及び電子ポンプなどが提案され、実験的にも動作が確認されている。
【0005】まず、単一電子帯電効果を簡単な回路を用いて説明する。
【0006】図4(a)は1つのトンネル接合が電圧源によってバイアスされている様子を示している。1つの電子(単一電子)は素電荷eを持った不可分の要素であるから、電子がトンネル接合をトンネルする際、連続的にトンネル接合を通過しているのではなく、微視的に見れば1つ1つの電子がトンネル接合をトンネルしている。単一電子が微小接合をトンネルするとその前後でエネルギーが、単一電子の帯電エネルギー分Ec =e2 /2Cだけ変化する。ここで、Cは接合の静電容量である。トンネルが起こるのはトンネルの前後のエネルギー変化が正になるときであるから、トンネルする前の電子が帯電エネルギー分より高いエネルギーを持つとき、すなわち、印加電圧Vがe/2Cを越えたときにトンネルは起こる。一方、トンネルする前の電子が帯電エネルギー分のエネルギーをもたないときはトンネルは抑制される。したがって、図4(a)の回路での電流電圧特性は図4(b)のようになる。単一電子帯電効果とは、単一電子の帯電エネルギーが電気伝導に影響を与える効果のことで、特に、トンネルが抑制される効果はクーロン閉塞(クーロンブロッケード)と呼ばれている。(シングル チャージ トンネリング −クーロン ブロッケード フェノメナ イン ナノストラクチャー−(Single Charge Tunneling −Coulomb Blockade Phenomena−)324ページ、ハーマン グラベルト、ミシェル H.デヴォレ(Hermann Grabert and Michel H.Devoret)編集、プラナム パブリシィング コーポレイション(Plenum Publishing Corporation)発行)単一電子帯電効果が表れるには、単一電子帯電エネルギーが熱擾乱エネルギーを上回ることが必要である。帯電エネルギーはトンネル接合の静電容量を小さくすることによって大きくすることができる。静電容量を小さくするには、トンネル接合の接合面積をできるだけ小さくすることが必要である。
【0007】次に、図5(a)に示したようにトンネル接合とコンデンサーが、電圧源に直列に接続された場合を考える。トンネル接合とコンデンサーによって、電気的に独立したアイランドを形成することができる。電圧源の電圧を増加させるとクーロン閉塞がある電圧で解け、電子1個がトンネルする。このとき、アイランドに1個電子が供給され電子数が変化する。電圧が加わっていない場合には、このアイランドは電気的に中性であり、また、電子はトンネルによってのみアイランドに1個づつ出し入れされる。したがって、図5(b)のようにアイランドに溜まる電子数は電圧源の電圧に対して階段状になる。ここでいう電子数は、外部回路によって帯電された過剰電子の数を示すものであり、全自由電子の数を示すものではない。
【0008】図6(a)は図5(a)に示した回路にさらにトンネル接合を追加し、2つのトンネル接合を直列に接続する。トンネル接合は異なる電圧領域でクーロン閉塞がおこり、アイランドに溜まる電子数が2通り許される領域が表れる。例えば、図6(b)のV=V1 では、アイランドに1個または2個の電子を安定に溜めることができる。2つのトンネル接合を用いた場合、電子数に双安定領域が存在することは簡単な計算によって確かめることができる。
【0009】次に、単一電子帯電効果を用いた素子について説明する。これまで、提案された素子として、1)単一電子トランジスター、2)単一電子トランジスターを組み合わせた単一電子ロジック(NOT回路、NAND回路など)、および、図6に述べた双安定領域を利用した3)単一電子移送素子などが挙げられる。
【0010】1)単一電子トランジスター2つのトンネル接合に囲まれたアイランドにコンデンサーを設け、このコンデンサーに電圧を加えることによってトランジスター動作させるものである(図7(a))。コンデンサーに電圧を加えるとアイランド中の電荷分布が変化し、I−V特性においてクーロン閉塞によるしきい値電圧が変化する(図7(b))。また、クーロン閉塞が起こっている点と解けている点を電圧Vg でスイッチすることによって電流のスイッチングが可能となる。
【0011】2)単一電子ロジックアベリンやリカレフによって提案されているデジタル回路で、単一電子を1ビットに対応させたものである。図8R>8(a)はそのなかでも最も簡単なNOT回路を示したもので、2つの直列に接続された単一電子トランジスターが電圧源によってバイアスされている。各トランジスターは、前段の回路の単一電子の出力によって制御される。電気的に独立した電極に単一電子が存在する場合を”1”、存在しない場合を”0”とすることによってデジタル回路を構成する。回路の動作は、まず、タイミング信号T(+)によってBをオンにして、Cに存在する電荷を”0”とする。これが素子の最初の動作で、Cの電荷をクリアーする動作を行う。次に、入力Xが”1”でAがオンになると、Cに単一電子が溜められ、入力Xが”0”でAがクローズならばCの電荷は”0”のままである。常に、2つの単一電子トランジスターのいずれかはクーロン閉塞の状態にあり、タイミング信号T(+)によってCの電荷をクリアーするとき以外、電流は流れない。
【0012】3)単一電子移送素子1つ1つの電子を移送させる実験をゲーリングらのグループが行った。図6(a)の双安定領域を利用した素子で、図9(a)のゲート電極に高周波電圧を加えると、図9(b)のように加える交流電圧の周波数fに応じた電流I=feを送り出すことができる。図中のa−eは交流電圧の周波数を変化させたもので、ある電圧領域に於いてI=feの電流が得られているのがわかる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】微細加工技術の進歩とともに集積度は年に2倍弱の割合で高まっている。しかし、一方で微細化にともなう様々な問題が露呈している。例えば、記憶回路を微細化するには、面積の大きいコンデンサーを微細化しなければならないが、サイズを小さくすると静電容量が小さくなってしまう。静電容量が小さくなれば蓄積する電子の数が減少するので、読み出し信号が小さくなって検知できなくなったり、電子数のばらつきによって読み出し信号がばらつくなどの問題が生じる。また、トランジスターにとっても構造を微細化すれば必然的に構造内の不純物濃度を大きくし、動作電圧を小さくしなければならない。ところが、不純物濃度を高めていくとなだれ破壊やトンネルが現象おこり、また、動作電圧を低くすると漏れ電流によってオフ時に電流を遮断できなくなる。このような物理的な問題から集積化には限界が存在する。今日までは、技術的な限界が高集積化を制限していたが、今後は、このような物理的限界が高集積化を制限することが予想されている。以上のようなことから、記憶回路のさらなる微細化には多くの問題点を抱えている。
【0014】また、これまで微細化に優れたポテンシャルをもつとされている単一電子帯電効果を利用した素子の中に、実用に即した記憶回路は存在しない。
【0015】本発明の目的は、この様な問題点を解決するために、単一電子帯電効果を利用した記憶回路とその製造方法を提供するものである。単一電子帯電効果は微細な構造に於いても特性が劣化することはなく、逆に、特性が向上する性質を持っている。この効果を利用した記憶回路が実現できれば物理的限界を取り払うことができ、さらなる集積化、高速動作が可能となる。また、単一電子を利用していることから、電子数のばらつきといった問題も解決することができる。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の記憶回路は、2つのトンネル接合が直列接続されたものの一端がグランドに接続され、コンデンサーの一端に書き込み線が接続され、両者の他端が電気的に独立した電極に接続された記憶部と、2つのトンネル接合を直列接続しその接続部にコンデンサーが接続されたトランジスターが2つ直列に接続され、それぞれのトランジスターのコンデンサーが記憶部の前記電極、及び、タイミング線に接続され、しかも2つのトランジスターの前記接続部を出力とした読み出し部を有することを特徴とする。
【0017】記憶回路を形成する基板として、荷電キャリアガスを有する半導体等を用いる。この記憶回路の製造方法は、荷電キャリアガスを有する基板に対し、メサエッチングを施して素子領域のみ前記荷電キャリアガスを残し、トランジスター及びコンデンサーとする部分にショットキー金属を被着し、この金属の下に存在する似電キャリアを空乏化させ、ショッキー金属に加える電圧により、トランジスターとする部分は空乏層の幅を電子の波長程度とし、コンデンサーとする部分は空乏層の幅を電子の波長程度より大きくすることを特徴とする。
【0018】
【作用】本発明の記憶回路は、図6に見られるような双安定領域を記憶部に利用する点と、図7に示された単一電子ロジック読みだし部として用いる点が特徴である。
【0019】記憶回路としての動作について述べる。記憶回路として、必要になる動作は以下の3つに要約される。
【0020】■ 情報の保持■ 情報の書き込み■ 情報の読み出し本発明の記憶回路を図1(a)に示す。
【0021】■で要求される情報の保持には、記憶部を用いる。情報は、グランド線に接続された2つの直列接続のトンネル接合、書き込み線に接続されたコンデンサー、そして、読み出し回路に接続されたコンデンサーが、それぞれ並列に接続された電気的に独立した電極01に、電子を蓄えることによって保持される。電極01は電気的に独立した電極であるから、整数個の電子を電極に蓄えることができる。図1(b)に示すとおり、書き込み動作がないスタンバイ状態では、Vs の位置に書き込み電圧を設定しておく。Vs では”0”と”1”の両方の状態に対して安定(双安定)であるから、前の状態のまま情報を保持することができる。
【0022】■で要求される情報の書き込みでは、双安定領域外に電圧を設定して書き込みをおこなう。図1(b)に示すとおり、書き込み電圧Vw によって電極01の電子数を変化できるのがわかる。Vw (0)ではN=0のみが安定な状態であり、”0”を書き込むことができる。一方、Vw (1)はN=1のみが安定な状態で、”1”の書き込みを示している。
【0023】■で要求される情報の読み出しでは、従来の技術の図8(a)で述べたNOT回路を利用する。この回路は、読みだし時のみに微小電流が流れる超省電力回路である。
【0024】
【実施例】図1(a)に示したのは第1の発明の記憶回路、及び図3(b)に示したのは第2の発明の半導体の価電キャリアガス上に作製した記憶回路の詳細平面図である。これらの図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
【0025】図1(a)の記憶回路について説明する。情報の保持には、記憶部02を用いる。情報は、グランド線に接続された2つの直列接続のトンネル接合21、22、書き込み線13に接続されたコンデンサー31、そして、読み出し回路03に接続されたコンデンサー32が、それぞれ並列に接続された電極01に、電子を蓄えることによって保持される。電極01は電気的に独立した電極であるから、整数個の電子が電極に蓄えられることになる。書き込み線13の電位を増加させると2つの直列に接続されたトンネル接合21、22を介して電子が電極01に蓄えられたり、取り出されたりする。電極01に蓄えられる電子数を書き込み線13の電圧に対して表すと、図1(b)のようになり、ある電圧領域では電子数に双安定な領域が存在することがわかる。これは、直列に接続された2つのトンネル接合21、22のそれぞれに対して、単一電子帯電効果のためトンネルが抑制されていることによっている。
【0026】記憶部において、2つのトンネル接合21、22の静電容量をそれぞれC、2つのコンデンサー31、32の静電容量をそれぞれC′、書き込み電圧Vw 、電極01に蓄えられる電子数Nとする。このとき、単一電子帯電効果によって、書き込み電圧Vw と電子数Nとの関係は、
【0027】
【式1】


【0028】と表すことができる。図1(b)はC′=5/16Cのときの様子を表したものである。情報の書き込み時、または、スタンバイ時での書き込み電圧は、表1のような値に設定すればよい。
【0029】
【表1】


【0030】また、それぞれの値に対しては、余裕ΔVw が設けられている。特に、スタンバイ状態での電圧に対しては大きな余裕を設けており、情報を読み出す際におこるわずかな電圧の変動や、長期間の情報保持に優れた特性を持つようにしている。表1の括弧内の数字はトンネル接合の静電容量が1aFの場合を示している。読みだしについて説明する。読みだしには従来の技術で述べた単一電子ロッジク回路を用いる情報はコンデンサーにおける電荷を読み出す形なので、電極01の電荷を変化させることなく非破壊読み出しができる。コンデンサー32において、N=1の場合にはQ=5/18eの電荷が蓄えられ、N=0ではQ=0である。この電荷の変化に対して単一電子トランジスターをスイッチさせ読み出すことが可能となる。読み出し回路に加えられる電源電圧Eは、電位の変化の影響が記憶部に及ばないように、e/Cに比べて十分小さい必要がある。例えばC=1aFの場合ではE=1mV以下に設定すれば十分である。
【0031】動作速度については、原理的にはトンネル時間で律則される。トンネル接合21、22の抵抗R1 を100kΩ、静電容量1aFとすると、書き込みに要する時間τ=CRt =10- 1 3 sである。これはこれまで用いられてきた素子に比べ数桁早い動作速度を達成することができる。
【0032】さらに、消費電力Pは、1秒間に101 2 回の書き込みを行った場合、P=eVx101 2 =2.6x10- 8 Wときわめて少ない。情報に利用する単位が、これまで用いられてきた記憶素子では数千個を単位であるのに対して、本発明の記憶回路は単一電子を利用しているので、電子を移動させるのに要する電力が少なくてすむことから、消費電力は格段に少なくて済む。
【0033】次に、動作温度について述べる。単一電子帯電効果が現れるためには、単一電子帯電エネルギーが熱擾乱エネルギーを上回ることが必要である。帯電エネルギーはトンネル接合の静電容量を小さくすることによって大きくすることができる。静電容量を小さくするには、トンネル接合の接合面積をできるだけ小さくすることが必要である。表2は、トンネル接合の大きさ、接合容量、動作温度、書き込み電圧、消費電圧の関係を示したものである。本実施例で述べたような静電容量が1aFのものだと、その動作温度は30K程度であり、さらに、0.1aFまで小さい接合を作製すれば室温での動作が可能となる。
【0034】
【表2】


【0035】第2の発明は第1の発明の記憶回路を作り込む基板として、価電キャリアガスを形成する高移動度AlGaAs/GaAs基板または、n+ GaAs/GaAs基板を用いることを特徴とする。図2(a)、(b)は代表的な高移動度AlGaAs/GaAs基板、n+ GaAs/GaAs基板の断面を示したものである。荷電キャリアの存在する領域を限定する為のメサエッチングを図3(a)に示した様に行なう。ここで、接合における静電容量の大きさは、接合の面積に比例するから、静電容量を下げるために接合面積を小さくする必要がある。そこで、伝導領域にエッチングにより切り込みを作り、接合の面積を下げる工夫を行う。現在の微細加工技術では、接合面積は、表2のように100x100nm程度まで加工が可能となっている。今後の、技術の進歩によりさらに微細な加工が可能となるであろう。
【0036】メサエッチングの後に、本発明の中の第3の発明の製造方法を用いて、図3(b)の様にショットキー電極41〜47を基板上部に被着する。この電極によりその下方の荷電キャリアを空乏化し、トンネル接合21〜26、及び、コンデンサー31を作製する。トンネル接合とコンデンサーは役割によって名称は異なるが、作製方法はまったく同じである。コンデンサーは絶縁体であり、そこを電子がトンネルする確率は0である。一方、トンネル接合は有限のトンネル確率をもっていて、あるトンネル電流が流れる。このトンネル確率は接合間の空乏層、あるいは絶縁層の距離を変えることで制御できる。トンネル確率は、電子波長に対するトンネル障壁の厚さ−ここでは接合の空乏層幅−で決定される。空乏層幅が電子の波長より大きいとき、トンネル確率は0となり、コンデンサーを形成することができる。一方、空乏層幅が電子の波長程度であればトンネル確率が有限の値を持つ。ガリウムひ素における電子の波長は50nm程度、であるから、トンネル接合を形成するには、空乏層幅を30〜70nm程度、コンデンサーを形成するには100〜400nm程度の幅の空乏層をゲート電圧で作製すればよい。
【0037】コンデンサー32、33はメサエッチングの段階で100〜400nm程度まで伝導領域を接近させることによって作製する。
【0038】
【発明の効果】本発明を用いれば、従来提案されている回路と比べ大幅に素子面積を削減した記憶回路を実現することができる。これにより、さらなる集積度の向上や配線遅延の減少が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の記憶回路の模式図で、(b)は独立した電極に蓄えられる電子数を書き込み電圧に対して示した図である。
【図2】(a)は本発明で用いる素子の荷電キャリアを生じさせるのに用いるGaAs/AlGaAsヘテロ界面を、(b)はGaAs/n+ GaAs基板の断面図を示している。
【図3】本発明の記憶回路を本発明の製造方法により、作製した素子の一実施例であり、(a)はエッチングを行う領域を、(b)はショットキー電極の領域を表す図である。
【図4】(a)は1つのトンネル接合を電流源によってバイアスされている様子を示す図で、(b)はその電流電圧特性図である。
【図5】(a)は、トンネル接合とコンデンサーを直列に接続し、電圧源によってバイアスされている様子を示す図で、(b)はトンネル接合とコンデンサーによって囲まれた独立した電極に蓄えられる電子の数を印加電圧に対して示した図である。
【図6】(a)は2つの直列に接続したトンネル接合とコンデンサーが電圧源によってバイアスされている様子を示す図で、(b)はトンネル接合をコンデンサーによって囲まれた独立した電極に蓄えられる電子数を印加電圧に対して示した図である。
【図7】(a)はリカレフらが提案した単一電子トランジスターと、(b)ゲート電圧に対する電流電圧特性の変化を示した図である。
【図8】(a)は単一電子ロジックのNOT回路の図と、(b)はその動作を示す図である。
【図9】(a)はゲーリングらが単一電子移送の実験に用いた素子の図と、(b)その実験結果のI−V特性の図である。
【符号の説明】
01 独立した電極
02 記憶部
03 読みだし部
11、12 電源ライン
13 書き込み線
14 出力
15 タイミング線
21〜26 トンネル接合
31〜33 コンデンサー
41〜47 ショットキー電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】 2つのトンネル接合が直列接続されたものの一端がグランドに接続され、コンデンサーの一端に書き込み線が接続され、両者の他端が電気的に独立した電極に接続された記憶部と、2つのトンネル接合を直列接続しその接続部にコンデンサーが接続されたトランジスターが2つ直列に接続され、それぞれのトランジスターのコンデンサーが記憶部の前記電極、及び、タイミング線に接続され、しかも2つのトランジスターの前記接続部を出力とした読み出し部を有することを特徴とする記憶回路。
【請求項2】 記憶回路を形成する基板として、荷電キャリアガスを有する半導体を用いる請求項1に記載の記憶回路。
【請求項3】 荷電キャリアガスを有する基板に対し、メサエッチングを施して素子領域のみ前記荷電キャリアガスを残し、トランジスター及びコンデンサーとする部分にショットキー金属を被着し、この金属の下に存在する荷電キャリアを空乏化させ、ショットキー金属に加える電圧により、トランジスターとする部分は空乏層の幅を電子の波長程度とし、コンデンサーとする部分は空乏層の幅を電子の波長程度より大きくすることを特徴とする請求項2に記載の記憶回路の製造方法。

【図4】
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【図5】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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