説明

単官能化ペリレンテトラカルボン酸ビスイミド

本発明は、構造式(I)[式中、R及びRは異なる有機基を表し、その際、前記基の1つは結合パートナーへの結合のための基を有し、R、R、R及びRの少なくとも2つはそれぞれ無関係に、少なくとも1つの親水基を含む有機基を表す]の新規のペリレンテトラカルボン酸ビスイミドに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は、改善された適用特性を有する新規のペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体に関する。
【0002】
ペリレンテトラカルボン酸ビスイミドはその際立った熱安定性、化学的安定性及び光物理的安定性に関して公知である(1)。ペリレンテトラカルボン酸ビスイミドは着色剤及び顔料として、例えば電子複写法(2)、蛍光太陽熱収集器(3)、光電池(4)及び色素レーザー(5)において使用される。もう1つの可能な応用分野は、検出法、殊に生きた細胞を含む生物試験体に関する診断法又は分析法における標識群としての使用である。前記の適用の多くは、ペリレン発色団基の蛍光強度が高いこと、並びに、ペリレンテトラカルボン酸ビスイミドの蛍光励起−放出波長が500nmを上回る波長であり、その際、細胞、生体組織又は生物学的液体の自己蛍光により生じる信号変調を無視することができることに基づく。
【0003】
しかしながら、公知のペリレンテトラカルボン酸ビスイミドの欠点は、公知のペリレンテトラカルボン酸ビスイミドが劣悪な水溶性及び/又は水中での弱い蛍光強度を有することにある(6)。前記の欠点は主に親水性環境内での着色剤分子の凝集により生じ、それにより生物学的適用の数が制限される(7)。
【0004】
DE−A−3703513には、1つ以上のスルホン酸基をイミド構造中に有するペリレンテトラカルボン酸ビスイミドが記載されている。
【0005】
Quanteら(Macromol. Chem. Phys. 197 (1996), 4029-4044)は、スルホン酸基をペリレン発色団の基礎骨格上に含むペリレンテトラカルボン酸ビスイミドを開示している。他の変性されたペリレンテトラカルボン酸ビスイミドは、EP−A−0648817、EP−A−0654504、US−A−4,378,302、EP−A−0869959、WO97/22607並びにZhubanovら(Zh. Org. Khim. 28 (1992), 1486-1488)により記載されている。
【0006】
EP0896964の記載から、カルボニル化合物のための検出試薬として使用することができるペリレンヒドラジドイミドは公知である。
【0007】
WO02/14414には、重合反応のための開始剤として又は/及び反応パートナーとして準備される官能化ペリレンテトラカルボン酸ビスイミドが開示されている。
【0008】
前記の化合物は水溶液中で高められた蛍光を示す。しかしながら、公知技術の欠点、殊に水溶液中での凝集物形成の傾向を完全に排除することは不可能であった。
【0009】
従って、殊に結合パートナーへの結合可能性、水溶性又は/及び水もしくは水性媒体中での蛍光強度に関して改善された特性を有する新規のペリレンテトラカルボン酸ビスイミドを提供することが強く求められている。
【0010】
前記の課題は、本発明によれば、有利にペリレン発色団の基礎骨格上に少なくとも2つの親水基を有する単官能化ペリレンテトラカルボン酸ビスイミドが提供されることにより解決される。前記の単官能化ペリレンテトラカルボン酸ビスイミドは、水中で80%までの蛍光量子収率を示し、かつ定義されて、結合パートナー、例えば生体分子に結合されることができる。
【0011】
従って、本発明の対象は、構造式(I)
【0012】
【化1】

[式中、
及びRは異なる有機基を表し、その際、前記基の1つは結合パートナーへの結合のための基を有し、
、R、R及びRの少なくとも2つはそれぞれ無関係に、少なくとも1つの親水基を含む有機基を表す]
のペリレンテトラカルボン酸ビスイミドである。
【0013】
本発明の本質的な特徴は、化合物(I)が、単官能化化合物、即ち、基R及びRの双方のうちの一方が結合パートナーへの結合のための基を有する化合物であることである。前記結合基は、有利に、生体物質中で、結合パートナー、殊にアミノ基、チオール基又は/及びカルボキシル基への結合を可能にする反応性官能基又はそのような反応性官能基の前駆体である。適当な生体物質のための例は、核酸塩基、ヌクレオシド、ヌクレオチド及びその類似体、例えば核酸の化学合成のためのヌクレオチド誘導体、例えばフォスフォアミダイト、核酸、例えばDNA又はRNA又は核酸類似体、例えばPNA又はLNA、アミノ酸、アミノ酸誘導体、ペプチド、ポリペプチド、糖タンパク質、単糖類、オリゴ糖類及び多糖類、脂質等である。
【0014】
適当な反応性官能基の例は、活性エステル、マレイミド、イソシアネート、スルホニルハロゲン化物、カルボン酸ハロゲン化物、殊にカルボン酸塩化物、ヨードアセトアミド、アジリジン、エポキシド、アシルアジド及びアクリロニトリルである。反応性官能基のための前駆体の例は、公知の方法により反応性官能基へと移行可能なスルホン酸基及びカルボン酸基である。前記の移行は、有利に化合物の基礎骨格の合成の後に行われ、その際、不所望な副反応を回避するために場合により付加的な保護基を例えばR、R、R及びRの位置で使用することができる。
【0015】
イミド構造の成分として存在する基R及びRは、有利に2級炭素原子又は3級炭素原子を介してイミド窒素原子に結合しているが、しかしながらその際、1級炭素原子を介した、即ちCH基を介した結合も可能である。殊に有利に、R及びRは、通常3〜30個の炭素原子を有する2級又は3級脂肪族基又は環式基、殊に単環式又は二環式芳香族基又は複素芳香族基、例えばフェニル、ピリジル又はナフチルであり、前記基は場合により1つ以上の置換基を有する。脂肪族又は飽和環式基のための適当な置換基のための例は、CN、NO、ハロゲン(例えばF、Cl、Br又はI)、OH、OR、OCOR、SH、SR、SCOR、SO、CHO、COR、COOH、COOM、COOR、CONH、CONHR、CON(R、SOH、SOM、SO、NH、NHR又はN(Rであり、その際、Mはカチオン、例えばアルカリ金属イオン、例えばナトリウム、カリウム等であり、Rは場合よりハロゲン置換されたC〜C−アルキル基である。環式基、例えば芳香族基又は複素芳香族基は更に1つ以上の基Rにより置換されていてよい。
【0016】
基R、R、R及びRの少なくとも2つは少なくとも1つの親水基を有する。有利に、基R、R、R及びRの4つ全ては少なくとも1つの親水基を有する。親水基は電荷を有しないか又は電荷を有する基であってよい。適当な電荷を有しない基のための例は、ヒドロキシル基、及び、3つ以上、例えば50個までか又は100個のアルキレンオキシド単位を有するポリ−オキシ−C〜C−アルキレン基、殊にポリオキシエチレン基である。しかしながら有利に、親水基は、電荷を有する基、即ち中性媒体中で、例えばpH7で電荷を有する基、例えば正の電荷を有する基、例えばアミノ基又はアンモニウム基、殊に4級アンモニウム基、又はアルキル化複素芳香族N−原子、殊にN−アルキル−ピリジニウム基、N−アルキル−キノリニウム基又はN−アルキル−イソキノリニウム基であり、その際、アルキル基は有利に6個までの炭素原子を有し、かつ場合により前記の通りに置換されていてよい。適当な負の電荷を有する基のための例は、スルホン酸基ないしカルボン酸基、SOH及びCOOH、並びにその塩、SOM及びCOOMであり、その際、Mはカチオン、例えばアルカリ金属イオン、例えばカリウム又はナトリウムを表す。更に、R、R、R又は/及びRは複数の同じか又は逆の電荷を有する基を含有してもよく、その際、R、R、R又は/及びRが逆の電荷を有する基を含有する場合には、両性基が生じる。殊に有利な両親媒性基は、−COH基、−SOH基、−COM基又は−SOM基を有する基でアルキル化されている複素芳香族N−原子である。
【0017】
更に、基R、R、R及びRの少なくとも2つが、芳香族基又は複素芳香族基、殊に単環式基又は二環式基、例えばフェニル又はピリジンを含むことは有利である。
【0018】
殊に有利な実施態様において、R、R、R及びRの少なくとも2つは、一般構造式(II)
−O−Ar (II)
[式中、
Arは、前記のような少なくとも1つの親水基、例えば電荷を有する基を含有する芳香族基又は複素芳香族基を表す]
により表される。負の電荷キャリアを有するペリレンテトラカルボン酸ビスイミドを使用する場合、R、R、R及びRの少なくとも1つは一般構造式(III)
【0019】
【化2】

[式中、
Mはカチオンであり、nは1、2又は3である]
を有してよい。
【0020】
正の電荷キャリアを有するペリレンテトラカルボン酸ビスイミドを使用する場合、R、R、R及びはRの少なくとも1つは一般構造式(IV)
【0021】
【化3】

[式中、
は場合により置換されたC〜C−、有利にC〜C−アルキル基であり、Yはアニオン、例えばハロゲン化物イオンである]
を有してよい。基Rが置換基として負の電荷を有する基を有する場合、両親媒性基が得られる。
【0022】
本発明によるペリレンテトラカルボン酸ビスイミドは、通常、工業的に良好に入手可能な、一般構造式(V)
【0023】
【化4】

[式中、
、X、X及びXの少なくとも2つはハロゲン、殊にCl又はBrを表し、
他は水素を表す]
の二ハロゲン置換又は四ハロゲン置換ペリレンテトラカルボン酸ビス無水物から、2つの異なる1級アミンHNR及びHNR
[ここで、
及びRは既に定義されている通りである]
との縮合により製造される。アミンの殊に有利なモル比は、二ハロゲン置換又は四ハロゲン置換ペリレンテトラカルボン酸ビス無水物1当量に対してアミン1〜3当量であり、その際、立体的に要求の多いアミンは比較的高い過剰で使用される。驚異的にも、前記反応の際に混合された置換生成物が高い収率で生じ、この置換生成物から、場合により生じる副生成物を、容易に、例えばカラムクロマトグラフィーにより分離することができることが確認された。その結果生じる、一般構造式(VI)
【0024】
【化5】

[式中、
、X、X及びXの少なくとも2つはハロゲン、殊にCl又はBrを表し、
他は水素を表す]
のハロゲン置換ペリレンテトラカルボン酸ビスイミドを、引き続き、一般構造式(VII)
HO−Ar’ (VII)
[式中、
Ar’は芳香族基又は複素芳香族基を表す]
の化合物と反応させる。前記の反応において、一般構造式(VIIIa)の四置換ペリレンテトラカルボン酸ビスイミド又は一般構造式(VIIIb):
【0025】
【化6】

の二置換ペリレンテトラカルボン酸ビスイミドが生じる。
【0026】
引き続き、例えば上記のような親水基を芳香族基又は複素芳香族基Ar’に導入することができる。例えば、適当な条件下でのHSOとの反応によって、基SOH又はSOMの少なくとも1つをAr’に導入することができる。その一方で、Ar’中の複素芳香族N−原子のアルキル化を、例えば適当な条件下でのアルキルハロゲン化物、例えばCHIとの反応によって行うことができる。
【0027】
化合物の基礎骨格の合成の後に、R又はRの中の反応性官能基の前駆体から反応性官能基自体への移行を行うことができる。
【0028】
単官能化化合物(I)は、引き続き、場合により保護基の除去の後に、結合パートナー、例えば既に記載されたような生体分子と共有結合することができる。従って、本発明は、化合物(I)と結合パートナーとの共役体にも関する。
【0029】
更に本発明による化合物は、ペリレンテトラカルボン酸ビスイミドの使用のために適当な全ての工業分野において、例えば色素レーザーにおいて、分析法における標識群として、トレーサーとして、シンチレーションカウンターにおいて、蛍光太陽熱収集器において、液晶において、冷光源において、材料試験において、光伝導体として、写真法において、照明要素及び表示要素において、半導体等として使用することができる。
【0030】
化合物又はその共役体、例えば生体分子、例えば核酸、タンパク質、ペプチド、糖類等との共有共役体を、液体、例えば有機溶剤又は/及び水性溶剤中に、又は固体、例えばプラスチック中に溶解させることができる。
【0031】
更に、本発明は図及び実施例により詳説されるはずである。
【0032】
図1は実施例1〜5に記載された四置換化合物を製造するための反応式を示す。
【実施例】
【0033】
実施例
実施例1:N−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−N’−[(4−酪酸)−フェニル]−1,6,7,12−テトラクロロペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミドの製造
プロピオン酸400ml中のテトラクロロペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビス無水物13.25g(25ミリモル)、ジイソプロピルアニリン13.5g及び酪酸アニリン5g(28ミリモル)の混合物を、シュレンク器具中でアルゴン下で140℃に加熱し、この温度で12時間放置した。室温に冷却した後、反応混合物を水中に注ぎ、粗生成物を濾過により収集した。所望のN,N’−の種々に置換された生成物をカラムクロマトグラフィーによりシリカゲル上で溶離液としてのCHCl/アセトン(20:1)を用いて精製した。
【0034】
【化7】

【0035】
実施例2:N−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−N’−[(4−酪酸)−フェニル]−1,6,7,12−テトラフェノキシペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミドの製造
実施例1で製造した化合物8.48g(10ミリモル)、フェノール5.4g(100ミリモル)及びKCO8.62g(68.5ミリモル)を不活性ガス雰囲気下でN−メチルピロリドン(NMP)400ミリモル中に懸濁させた。反応混合物を90℃に加熱し、24時間撹拌した。室温に冷却した後、混合物を水性HCl 5l中に注いだ。生じる沈殿物を濾過し、中性で洗浄し、75℃で真空下で乾燥させた。生成物を更にクロマトグラフィーによりシリカゲル上で溶離液としてのCHCl/アセトン(10:1)を用いて精製した。
【0036】
【化8】

【0037】
実施例3:N−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−N’−[(4−酪酸)−フェニル]−1,6,7,12−テトラ(4−スルホニルフェノキシ)−ペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミドの製造
実施例2で製造した化合物0.5g(0.46ミリモル)を濃硫酸1ml中に溶解させ、室温(20℃)で16時間撹拌した。水を添加することにより生成物を沈殿させ、濾過し、真空中で75℃で乾燥させた。
【0038】
【化9】

【0039】
【化10】

【0040】
実施例4:N−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−N’−[(4−酪酸)−フェニル]−1,6,7,12−テトラ(3−ピリドキシ)ペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミドの製造
実施例1で製造した化合物1.5g(1.77ミリモル)、3−ヒドロキシピリジン1.1g(10.7ミリモル)及びKCO1.2g(0.8ミリモル)をNMP150ml中に溶解させた。反応混合物を110℃で不活性ガス雰囲気下で撹拌した。36時間後、室温に冷却し、希塩酸で中和した。粗生成物を濾過し、水で洗浄し、75℃で真空中で乾燥させた。得られた固形物をクロマトグラフィーによりシリカゲル上で溶離液としてのCHCl/アセトン(10:1)を用いて更に精製した。
【0041】
【化11】

【0042】
実施例5:N−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−N’−[(4−酪酸)−フェニル]−1,6,7,12−テトラ[(3−(N−メチルピリジニウム)オキシ]ペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミドの製造
実施例4で製造した化合物300mg(0.28ミリモル)を80℃でメタノール100ml中に溶解させた。撹拌した溶液に、ヨウ化メチル2mlを添加し、混合物を48時間に亘って還流下に保持した。生じた生成物は高純度で得られた。
【0043】
【化12】

【0044】
実施例6:二置換ペリレンテトラカルボン酸ビスイミドの製造
N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)−1,7−ジブロモペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミドから出発して、実施例1〜3に記載された反応実施に相応して、N−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−N’−[(4−酪酸)−フェニル]−1,7−ジ(4−スルホニルフェノキシ)ペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミドを製造し、実施例1及び4〜5に記載された反応実施に相応して、N−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−N’−[(4−酪酸)−フェニル]−1,7−ジ−[3−(N−メチルピリジニウム)オキシ]ペリレン−3,4:9,10−テトラカルボン酸ビスイミドを製造した。
【0045】
【化13】

【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】実施例1〜5に記載された四置換化合物を製造するための反応式。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式(I)
【化1】

[式中、
及びRは異なる有機基を表し、その際、前記基の1つは結合パートナーへの結合のための基を有し、
、R、R及びRの少なくとも2つはそれぞれ無関係に、少なくとも1つの親水基を含む有機基を表す]
のペリレンテトラカルボン酸ビスイミド。
【請求項2】
結合基が、アミノ基、チオール基又はカルボキシル基に結合するための反応性官能基又はその前駆体である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
結合基が活性エステル、マレイミド、イソシアネート、スルホニルハロゲン化物、カルボン酸ハロゲン化物、ヨードアセトアミド、アジリジン、エポキシド、アシルアジド、アクリロニトリル又はその前駆体である、請求項1又は2記載の化合物。
【請求項4】
又は/及びRが2級又は3級脂肪族基又は環式基である、請求項1から3までのいずれか1項記載の化合物。
【請求項5】
又は/及びRが芳香族又は複素芳香族基、殊にフェニル基、ピリジル基又はナフチル基であり、前記基は場合により1つ以上の置換基を含有している、請求項1から4までのいずれか1項記載の化合物。
【請求項6】
、R、R及びRの少なくとも2つは、電荷を有しない親水基を有する有機基を表す、請求項1から5までのいずれか1項記載の化合物。
【請求項7】
、R、R及びRの少なくとも2つはそれぞれ無関係に、(中性媒体中で)正の電荷を有する基を有する有機基を表す、請求項1から6までのいずれか1項記載の化合物。
【請求項8】
、R、R及びRの少なくとも2つはそれぞれ無関係に、4級アンモニウム基及びN−アルキル化複素芳香族N−基、例えばN−アルキル−ピリジニウム基、N−アルキル−キノリニウム基又はN−アルキル−イソキノリニウム基から選択される基を有する有機基を表す、請求項1から7までのいずれか1項記載の化合物。
【請求項9】
、R、R及びRはそれぞれ無関係に、(中性媒体中で)負の電荷を有する基を有する有機基を表す、請求項1から8までのいずれか1項記載の化合物。
【請求項10】
、R、R及びRの少なくとも2つはそれぞれ無関係に、SOH、COOH、SOM及びCOOMから選択される基を有する有機基を表し、ここで、Mはカチオンを表す、請求項1から9までのいずれか1項記載の化合物。
【請求項11】
、R、R又は/及びRが、芳香族基又は複素芳香族基、殊にフェニル基又はピリジン基を含む、請求項1から10までのいずれか1項記載の化合物。
【請求項12】
、R、R及びRの少なくとも1つが一般構造式(II):
−O−Ar (II)
[式中、
Arは少なくとも1つの電荷を有する基を有する芳香族基又は複素芳香族基を表す]
を有する、請求項1から11までのいずれか1項記載の化合物。
【請求項13】
、R、R及びRの少なくとも1つが一般構造式(III):
【化2】

[式中、
Mはカチオンであり、nは1〜3の整数である]
を有する、請求項12記載の化合物。
【請求項14】
、R、R及びRの少なくとも1つが一般構造式(IV):
【化3】

[式中、
は場合により置換されたC〜C−アルキル基であり、Yはアニオンである]
を有する、請求項13記載の化合物。
【請求項15】
請求項1から14までのいずれか1項記載の化合物と結合パートナーとの共役体。
【請求項16】
結合パートナーが生体分子である、請求項15記載の共役体。
【請求項17】
一般構造式(I)のペリレンテトラカルボン酸ビスイミドの製造法において、以下の工程:
(a)一般構造式(V):
【化4】

[式中、
、X、X及びXの少なくとも2つはハロゲン、殊にCl又はBrを表し、
他は水素を表す]
のハロゲン置換されたペリレンジカルボン酸ビス無水物又はハロゲン置換されたペリレンテトラカルボン酸ビス無水物を、2つの異なるアミンHNR及びHNR
[ここで、
及びRは請求項1に定義されている通りである]
の混合物と反応させ、一般構造式(VI)
【化5】

の化合物に変換する工程
(b)化合物(VI)を、一般構造式(VII):
HO−Ar’ (VII)
[式中、
Ar’は芳香族基又は複素芳香族基を表す]
の化合物と反応させ、一般構造式(VIIIa)の四置換ペリレンテトラカルボン酸ビスイミド又は一般構造式(VIIIb)
【化6】

の二置換ペリレンテトラカルボン酸ビスイミドに変換する工程
及び
(c)親水基を、芳香族基又は複素芳香族基Ar’に導入する工程
を含むことを特徴とする、一般構造式(I)のペリレンテトラカルボン酸ビスイミドの製造法。
【請求項18】
工程(b)が、少なくとも1つの基SOH又はSOMをAr’に導入することを含み、ここでMはカチオンである、請求項17記載の方法。
【請求項19】
工程(b)が、Ar’中の少なくとも1つの複素芳香族N−原子のアルキル化を含む、請求項17記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2006−519284(P2006−519284A)
【公表日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501970(P2006−501970)
【出願日】平成16年2月27日(2004.2.27)
【国際出願番号】PCT/EP2004/001971
【国際公開番号】WO2004/076563
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(390040420)マックス−プランク−ゲゼルシャフト・ツア・フェルデルング・デア・ヴィッセンシャフテン・エー・ファオ (54)
【氏名又は名称原語表記】Max−Planck−Gesellschaft zur Foerderung der Wissenschaften e.V.
【住所又は居所原語表記】Berlin,Germany
【Fターム(参考)】