説明

印判および印判作製装置

【課題】 文字と記号、図形、模様等の背景とを重ね合わせて一体にし、文字と背景とを明確に区別できるようにした印判およびその作製装置の提供。
【解決手段】 文字と記号、図形、模様等の背景とを重ね合わせて一体とした印判であって、前記背景がドット或いは平行線(縦線、横線、斜め線)で形成されていて、前記背景のドット或いは平行線は、2.54cmの幅の中に25〜250個または25〜250本が存在し、かつ2.54cm四方の中に集積した場合の濃度が5〜50%である範囲内の条件を満たしていて、文字の色調の濃度よりも淡い中間色の濃度となっていることを特徴とする浸透印又は彫刻印の印判。さらに、前記文字が、自筆サインであり、前記背景が、社章、校章、都道府県章、家紋、風景の内の1つであることも特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浸透印又は彫刻印である印判(スタンプを含む)に係わるものであって、詳しくは、文字と記号、図形、模様等の背景とを重ね合わせて一体とした印判及びその作製装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の印判には、つげ材等の木材、ゴム、金属、セラミックス、ガラス、象牙等の非多孔性材料に印面を彫刻して作製された彫刻印、熱可塑性エラストマー等の多孔性印材に印面を彫刻又は光学的に焼付けして作製された浸透印が知られている。
【0003】
従来、これら彫刻印や浸透印の印判は、文字、記号、図形等の印影を単独で用いることが主体であったが、文字とその背景に記号、図形、模様等を印影とするものがある。
【0004】
しかし、文字と記号、図形、模様等の背景とを一体にすると、両者の区別が不鮮明となるので、記号、図形、模様等の一部に白抜き部分を設けてそこに文字を印字した印判を用いるのが一般的であった(例えば、特許文献2の図2参照)。
【0005】
また、家紋と姓名を組み合わせて刻印した印面のはんこが提案されているが(特許文献1参照)、家紋と姓名の構図の構成の配置や家紋の線を細線とする等の工夫をしなければ、姓名或いは家紋の図柄が不鮮明となるという問題がある。
【0006】
また、これらの印判の作製は、印面の版下の作製工程、印面の作製工程、組立工程がそれぞれ独立の工程であり、しかも、それぞれが煩雑であった。そこで、入力手段、表示手段、記憶手段及び処理手段を備えた版下作製手段により版下を作製し、制御手段とレーザ加工機からなる印面作製手段により前記版下を基にレーザ光線で印材を彫刻して印面を作製し、ホルダーに前記印面を組み込んでなる印判作製装置が提案されている(例えば、特許文献3.参照)。ここで提案されている印判作成装置は、印判を1品ずつ作製することができるため、印判販売業者は既成の印判を大量に保管する必要がなく、経済的な負担の軽減が期待される、
しかし、文字と記号、図形、模様等を背景として一体にするためには、前記特許文献3記載のような印判作成装置によっては困難と考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3144657号公報
【特許文献2】特開平6−135110号公報
【特許文献3】特開2000−43391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたもので、文字と記号、図形、模様等の背景とを重ね合わせて一体にし、両者を明確に区別できるようにした印判およびその作製装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
彫刻印や浸透印の印判は、文字の印影を単独で用いることが主体であったが、文字に記号、図形、模様等を背景としたものもあった。ところが、文字に記号、図形、模様等を背景(以下単に背景と言うことがある)とする場合には、彫刻印や浸透印の印判は直径が3〜20mmφの丸形或いは1辺が3〜20mmの角形で印判の面積が狭いので、この狭い面積の中に文字と背景とを形成することは難しく、かつ、形成しても文字と背景との区別が明確でなくなるという印判特有の問題がある。
【0010】
そこで、本発明者らは、印判の面積を有効に活用できるように、文字と背景とを分離することなく、両者を重ね合わせて一体とした印判とすることに着目し、文字と背景とが明確に区別できる印判について鋭意研究した。その結果、文字の色調を濃くし(単色とする)、背景の色調をグレー等の淡い中間色とすることで、文字と背景とを重ね合わせて一体とした印判であっても、文字と背景とが明確に区別できることを知見して本発明を完成した。
【0011】
本発明の要旨は、次の通りである。
【0012】
(1) 文字と記号或いは図形等の模様の背景とを重ね合わせて一体とした印判であって、前記記号或いは図形等の模様の背景がドット或いは平行線(縦線、横線、斜め線)で形成されていて、文字の色調の濃度よりも淡い色調の濃度となっていることを特徴とする浸透印又は彫刻印の印判。
【0013】
(2) 前記背景のドット或いは平行線は、2.54cmの幅の中に25〜250個または25〜250本が存在し、かつ2.54cm四方の中に集積した場合の濃度が5〜50%である範囲内の条件を満たしていることを特徴とする上記(1)に記載の浸透印又は彫刻印の印判。
【0014】
(3) 前記文字が、自筆サインであることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の浸透印又は彫刻印の印判。
【0015】
(4) 前記は背景が社章、校章、都道府県章、家紋、風景の内の1つであることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の浸透印又は彫刻印の印判。
【0016】
(5) 上記(1)〜(4)のいずれかに記載の印判の印判作製装置であって、文字、および記号、図形、模様等の背景の両方を読み取り、背景はドット或いは平行線(縦線、横線、斜め線)で表す点描画の画像データとし、この読み取られた文字と背景との画像入力データと印面フォームを調整して印面の版下を作成する版下作製手段と、この版下作製手段からの版下データに基づいて印材に印面を加工する印面作製手段を備えていることを特徴とする印判作製装置。
【0017】
(6) 印面作製手段は、NC制御されるレーザ加工機或いは電子ビーム加工機であることを特徴とする上記(5)に記載の印判作製装置。
【発明の効果】
【0018】
文字と背景とが重なって一体となった形態で両者を印判に配設すると、押印時に文字と背景との区別が不鮮明となるが、本発明の印判によれば、背景をドットまたは平行線(縦線、横線、斜め線)とすることで中間色としたので、文字と背景とが明確に区別できる。さらに、自筆文字(サイン)で文字を構成すれば、他に存在しない個性的な印判とすることができ、文字の認証性を高めることができる。さらに、背景も、社章、校章、都道府県章、家紋、風景の内のいずれかとすればその印の持主が背景の社章等の者であることが認識でき認証性を高めることができるという効果を奏する。
【0019】
また、本発明の印判作製装置は、背景を点描画処理し、この背景と文字とを印面とするものであるから、文字と中間色の背景とを組み合わせた印面を作成することができ、印面作製手段がレーザ加工機、電子ビーム加工機のいずれであっても、再現性の高い印面を作製し得るという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】自筆サイン等の文字と広島県の県章とを示す例であって、(a)は自筆サイン等の文字、(b)は県章を示す図である。
【図2】自筆サイン等の文字と広島県の県章とを組み合わせた複合印影を示す例であって、(a)は広島県の県章をドットで表した例で、(b)は広島県の県章を平行線で表した例を示す図である。
【図3】文字の背景に記号を配置した複合印影を示す例であって、(a)は文字、(b)は記号、(c)は背景をドットで表した複合印影を示す図である。
【図4】印判に形成されるドット又は線の2.54cm(1インチ)幅中の個数または本数と濃度との関係を示す図である。
【図5】本発明の印判行装装置の全体構成を概念的に説明するブロック図である。
【図6】本発明の印判作製装置の動作ブログラムを概念的に説明するフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0022】
彫刻印や浸透印の印判は、文字を印影とするものが通常であるが、文字の版下はパソコン等で前以って登録されている文字を選択して作製されているので、同種の印判が数多く作製される。このため、彫刻印や浸透印の印影は、同種の印判では区別が付きにくく、彫刻印や浸透印の固有の持主を特定することが困難な実情となっている。
【0023】
そこで、本発明者らは、彫刻印や浸透印の印判として、文字の背景に社章、校章、都道府県章、家紋等の背景を設けることで、印鑑の持主の所属(認証性)を明らかにするようにし、または、風景や人物絵等を背景とすることで、印鑑の持主の独自の認証性が出るようにし、さらに、文字を自筆文字とすれば、印鑑の持主の独自の認証性が更に向上することに着目して研究を進めた。
【0024】
印判に文字と背景とを配設するためには、印判の面積は狭いので、文字と背景とが重なって一体となった形態で設けることが印判の狭い面積を有効に活用することとなる。ところが、文字と背景とが重なって一体となった形態で両者を印判に配設すると、押印時に文字と背景との区別が不鮮明となって、文字および/または背景の識別が困難になるという問題が生じた。
【0025】
本発明者らは、上記問題に対して、文字と背景との色調の濃度を変えることで、文字と背景とが重なって一体となった形態でも、両者の区別が明確となり、問題を解決できることを知見した。例えば、印影が黒色の場合には、文字を黒色の単色とし、背景をグレー等の淡い色調の中間色にすればよく、そして、背景の色調を変える手段について検討した結果、印判の背景部分をドット或いは平行線で形成すれば、背景が中間色となり文字と識別できる印判か得られることを見出した。
【0026】
具体例を図1および図2に基づいて説明する。
【0027】
図1は、自筆サイン等の文字と広島県の県章とを示す例であって、(a)は自筆サイン等の文字、(b)は県章を示す図である。図2は、自筆サイン等の文字と広島県の県章とを組み合わせた複合印影を示す例であって、(a)は複合印影の中の広島県の県章をドットで表した例で、(b)は複合印影の中の広島県の県章を平行線で表した例を示す図である。
【0028】
図1(a)に示す文字と図1(b)に示す県章である背景とを一体に重なるように組み合わせて図2(a)に示す複合印影とした場合には、県章をドットで構成させることで、県章は中間色の外観となり、文字と背景とが鮮明に区別できるようになった。また、ドットに換えて図2(b)に示すように平行線で県章を構成させても同様の効果が得られる。
【0029】
このように背景となる塗りつぶし部分をドットまたは平行線で表示することによって、背景を中間色で表すことができ、文字と背景とが外観上鮮明に区別できるようになる。
【0030】
また、背景が記号の場合には、記号の線となっている部分を所定の幅のドットまたは平行線で表示すればよい。
【0031】
図3は、文字の背景に記号を配置した場合の例で、(a)は文字、(b)は記号を示す図で、(c)は記号をドットで表した複合印影とした例を示す図である。図3に示すように、記号の線で表される部分をドットで複合印影として表示することにより、文字と背景の記号とが鮮明に区別できるようになる。この場合は、線を2〜5個のドットで表すことが好ましい。ドットの個数が1個では、点線と同様になり背景が明りょうでなくなる。また、5個を超えると、線としての認識が困難となるからである。また、記号をドットで表示することに代えて所定の幅の平行線(縦線、横線、斜め線)で表示しても同様である。たとえば、ドットの大きさが0.05〜0.5mmとすることが好ましいので、所定の幅となる線の長さは0.1〜4.0mmとすることが好ましい。
【0032】
そして、背景が線と塗りつぶし部とで構成されている場合には、その線および塗りつぶし部をドットまたは平行線を組み合わせて、中間色となるように表示すれば良い。
【0033】
一般に、中間色等の色調をドットまたは平行線で表す方法としては、白と黒の点或いは線が、ある一定の比率で存在する状態を「AL/B%」で表記する方法が知られている。この方法は、2.54cm(1インチ)の幅の中にA本の線またはA個のドットのラインがあり、2.54cm(1インチ)四方の中の黒い部分(線またはドットが集合した面積)の濃度がB%であることを表す方法である。
【0034】
例えば、25L/30%で表記される場合の意味は、線の場合は2.54cm(1インチ)の幅の中に25本の線があり、この線を集合させると2.54cmの4角形中の部分の30%が線で覆われる濃度となることを意味するものである。また、ドットの場合は、2.54cmの幅の中に25個の点があり、線の場合と同様に、ドットを集合させると2.54cmの4角形中の部分の30%がドットで覆われる濃度となることを意味するものである。
【0035】
本発明におけるドット又は線で形成される背景のドットの個数又は線の本数(A)と濃度(B%)との関係について説明する。
【0036】
図4は、印判に形成されるドット又は線の2.54cm(1インチ)幅中の個数または本数と濃度との関係を示す図である。
【0037】
浸透印の場合では、スタンプ生地の立体網目構造の平均径は2〜10μmであり、その上限の10μmの5倍以下とすることが好ましく、このため最大数は、1mm当りドットが10個又は線が10本となり、これを、2.54cm(1インチ)当りに換算すると250個又は250本となる。
【0038】
また、彫刻印の場合は、マイクロミルの長径が約50μmであるから、最小線径および最小ドット径が50μmであるから、作製できる最大数は1mm当りドットが10個又は線が10本となり、これを、2.54cm(1インチ)当りに換算すると250個又は250本となる。
【0039】
したがって、浸透印、彫刻印共に、最大ドット数および最大線数は、2.54cm(1インチ)当りに換算すると250個又は250本、即ち、最大で250Lとなる。
【0040】
一方、ドットの個数又は線の本数の最小数は、文字の太さの最小値は1mmであるから、少なくとも背景も1個のドット又は1本の線[2.54cm(1インチ)に換算すると25個のドット又は25本の線、すなわち25Lとなる]が必要となり、これより少ないと背景の認識ができなくなる。
【0041】
したがって、本発明では、2.54cm(1インチ)当りのドット個数又は線本数を25〜250としたが、作製の容易さから好ましくは50〜150である。
【0042】
また、濃度については、濃度が5%未満となると背景の色調の中間色が薄くなりすぎて、背景を認識することが困難となる。一方、濃度が50%を超えると色調が濃くなりすぎて塗りつぶされた状態となり、文字と背景の区別ができなくなる。
【0043】
したがって、本発明では濃度を5〜50%としたが、文字と背景との識別を容易とするためには濃度を15〜35%とすることが好ましい。一般的な表示に従えば、本発明の中間色のドット個数または線の本数は、「25〜250L/5〜50%」となる。
【0044】
上記に述べたように、本発明では、図4中の本発明範囲であれば、印判に文字と背景とを一体に重ね合わせて形成しても、文字と背景との明確な識別が可能となる。よって、ドットの大きさ、線の太さも任意に調整して、図4の本発明の範囲に入るようにすれば良いが、ドットの直径又は線の太さは図4に含まれる範囲内の0.05mm以上としなければ印影としての転写が鮮明とならない。また、0.5mmを超えると文字及び背景が干渉して識別が困難となる。
【0045】
なお、本発明においては、背景を構成するドットの形状としては、丸形、四角形、六角形、星形等の任意の形状のものを用いることができるが、作製上からは丸形または四角形とすることが好ましい。また、平行線としては、縦線、横線、斜め線の内のいずれであっても良く、文字が明瞭となるように配置を調整すればよい。
【0046】
また、文字としては、草書、行書、楷書、隷書等の文字を使用することができるが、自筆文字(サイン)で文字を構成すれば、他に存在しない個性的な印判とすることができ、文字の認証性を高めることができ好ましい。さらに、背景も、社章、校章、都道府県章、家紋、風景、人物絵等とすれば認証性を高めることができて好ましい。すなわち、例えば、背景が社章であれば、その印の持主が背景の社章の者であることが認識できるからである。校章、都道府県章、家紋、人物絵、風景等についても同様である。
【0047】
次いで、本発明の印判を作製するための印判作製装置について図5及び図6を参酌して説明する。
図5は、本発明の印判作製装置の全体構成を概念的に説明するブロック図で、図6は、本発明の印判作製装置の動作ブログラムを概念的に説明するフローナャートを示す図である。
【0048】
図5.において、印判作製装置は、版下作製手段6と印面作製手段7とを備えている。版下作製手段6は、人力手段8、表示手段9、記憶装置10、演算装置11を備えている。入力手段8は、文字または背景の画像データを読み取るスキャナ等の光学読み取り手段と、演算装置11に対して各種の指令を行わせるキーボードやマウス等からなる。表示手段9は、各種のデータを両面表示する液晶ディスプレイ装置等である。記憶装置10は、ハードディスク装置等からなり、版下作製プログラム、文字または背景の画像データ、組み版後の版下データを格納するものである。演算装置11は、マイクロブロセッサ、ROM、RAM等を備え、版下プログラムを読み込んで実行処理させたり、入力された画像データを特定又は任意のレイアウトに展開処理したり各種のデータを表示手段9に供給して表示処理を行うものである。
【0049】
印面作製手段7は、NC制御装置により制御されるレーザ加工機であり、版下作製手段6により作成された版下データに基づいて印材に印面を彫刻するようになっている。なお、レーザ加工機に替えて電子ビーム加工機又はポジフィルムに照射するキセノンランプを有する焼付け装置であってもよい。
【0050】
次いで、版下の作製及び印面の作製の一例を図6に示すフローチヤートに従って以下に説明する。
【0051】
マウス等の入力手段8で版下作成開始の指令をする(S1)。演算装置11は記憶装置10に格納されたプログラムを読み込み、スタンプタイブ選択画面を表示手段9に表示する(S2)。スタンプタイプ選択両面は、正方形、長方形、円、楕円、小判等の印面形状と、縦書き横書き等の印面方向と、印刷サイズについて所定の条件のものを選択してマウス等で指令する(S3)。決定された条件を基に記憶装置10から所定の印面フォームを読み込んで表示手段9に展開する。その際、予め印面フォームと対応するようにパターン化されたレイアウトが記憶装置10に登録されており、印面形状、印面方向、印面サイズを選択した時点でこれに.適合する幾つかのレイアウトが前記印面フォーム上に重ねて表示手段9に展開され、さらにこれを選択できるようレイアウト選択画面を表示する(S4)。
【0052】
次に、レイアウト選択画面の複数のレイアウトから所定のレイアウトを選択してマウス等の人力手段8で決定指令し(S5)、ブレビュー領域からなる背景入力画面を表示する(S6)。演算装置7は、選択したレイアウトに準じた背景(記号/画像)の点描画処理(例えばドット処理或いは平行線処理)をして画像データとし(S7)、背景を入力する(S8)。
【0053】
次に、文字入力するためのフィールドと作製される印面のブレビューを表示し、ブレビュー領域からなる文字入力画面を表示する(S9)。演算装置11は先に選択したレイアウトに従って文字入力し(S10)、文字と背景とを展開して印面を作製し、その印面のプレビューをプレビュー領域に表示する(S11)。
【0054】
次に、文字書体、割符等を修正・変更し調整する場合には調整両面に切り換えた後、調整するキャラクタバーの行を指定し、文字の級数や文字の縦横比率を変更したり、文字をマウス等で直接指定して上下左右に移動させたりして調整し体裁を整.える(S12)。再びプレビューを確認し、印面を再調整する必要が無い場合は版下の作製を完了する(S 13)。版下を保存する場合は、保存の命令を入力し、印面を確定すると同時に版下をファイル化して記憶装置10に格納する。
【0055】
版下の作製が完了した後、版下データを印面作成手段7の制御装置に供給し、この版下データに基づいて、彫刻印或いは浸透印をレーザ加工機或いは電子ビーム加工機を用いて、再現性の高い印面を作製する。なお、レーザ加工機のレーザビームの径、電子ビーム加工機のビームの径を小さくすれば印面の精度を高めることができる。勿論、作成された版下を記憶装置10に格納した後、記憶装置10から版下データの供給を受けてレーザ加工機等を作動しても良い。
【符号の説明】
【0056】
1 文字
2 県章
3 ドット
4 線
5 記号
6 版下作製手段
7 印面作製手段
8 入力手段
9 表示手段
10 記憶装置
11 演算装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字と記号、図形、模様等の背景とを重ね合わせて一体とした印判であって、前記記号、図形、模様等の背景がドット或いは平行線(縦線、横線、斜め線)で形成されていて、文字の色調の濃度よりも淡い中間色の濃度となっていることを特徴とする浸透印又は彫刻印の印判。
【請求項2】
前記背景のドット或いは平行線は、2.54cmの幅の中に25〜250個または25〜250本が存在し、かつ2.54cm四方の中に集積した場合の濃度が5〜50%である範囲内の条件を満たしていることを特徴とする請求項1に記載の浸透印又は彫刻印の印判。
【請求項3】
前記文字が、自筆サインであることを特徴とする請求項1または2に記載の浸透印又は彫刻印の印判。
【請求項4】
前記は背景が、社章、校章、都道府県章、家紋、風景の内の1つであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の浸透印又は彫刻印の印判。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の印判の印判作製装置であって、文字、および記号、図形、模様等の背景の両方を読み取り、背景はドット或いは平行線(縦線、横線、斜め線)で表す点描画の画像データとし、この読み取られた文字と背景との画像入力データと印面フォームを調整して印面の版下を作成する版下作製手段と、この版下作製手段からの版下データに基づいて印材に印面を加工する印面作製手段を備えていることを特徴とする印判作製装置。
【請求項6】
印面作製手段は、NC制御されるレーザ加工機或いは電子ビーム加工機であることを特徴とする請求項5に記載の印判作製装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−121172(P2012−121172A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271776(P2010−271776)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(510288987)
【Fターム(参考)】