説明

印刷システム、画像形成装置、データ作成装置、保存装置、および制御方法

【課題】プリントサーバで保存している印刷データを画像形成装置でデータ変更して印刷する場合でも、情報漏えい時にプリントサーバが保存している印刷データを基に追跡することができるようにする。
【解決手段】データ作成装置は、画像形成装置からの要求により、アプリケーションサーバから取得した文書データから前記画像形成装置が印刷可能な形式の印刷データを作成有し、前記画像形成装置は、前記データ作成装置が作成した印刷データに対する設定変更による設定の差分を差分データとして記録する手段と、前記印刷データに対する処理を実行した後に当該処理の完了通知を前記差分データと共に送信する手段とを有し、前記保存装置は、前記データ作成装置が作成した前記印刷データもしくはそれに対応する文書データの少なくともいずれかと、前記画像形成装置が記録した当該印刷データに対する差分データとを関連付けて保存する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システム、画像形成装置、データ作成装置、保存装置および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
機密情報を扱うにあたって、プリンタ、ファクシミリ、複写機などの画像形成装置(デバイス)からそれらの情報が印刷され、知らせたくない者へ流出する問題がある。このような情報漏えいの問題に対応するために、画像形成装置が印刷した画像データを保存しておき、機密情報が流出した場合、保存した画像と照合し、その関連情報(印刷年月日、印刷者の識別情報)から、流出経路を特定することが考えられている。
【0003】
この機能を実現するための一つの方法として、コンピュータからプリントサーバを経てプリンタで印刷する場合、プリントサーバにて印刷画像を保存する、という考えがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−149371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら従来技術では、プリントサーバ等から取得した印刷データをプリンタ側で変更して印刷するような場合は、保存されているデータと印刷されたデータとが異なることになる。その結果、印刷されたデータを保存していたとしても、情報漏えい時に流出経路を特定する、という目的を達成できないことが有る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は次の構成を有する。文書データを編集および保存する機能を備え、要求に応じて前記文書データを提供するアプリケーションサーバと、印刷機能を含む複数の機能を有する画像形成装置と、前記文書データから画像形成装置が印刷可能な印刷データを作成するデータ作成装置と、画像形成装置による処理が完了したデータを保存する保存装置とを備え、ネットワークを介してそれぞれの装置が通信可能な印刷システムであって、前記データ作成装置は、前記画像形成装置からの要求により、前記アプリケーションサーバから取得した文書データから前記画像形成装置が印刷可能な形式の印刷データを作成する作成手段を有し、前記画像形成装置は、前記データ作成装置が作成した印刷データに対する設定変更による設定の差分を差分データとして記録する記録手段と、前記印刷データに対する処理を実行した後に当該処理の完了通知を前記差分データと共に送信する送信手段とを有し、前記保存装置は、前記データ作成装置が作成した前記印刷データもしくは当該印刷データに対応する文書データの少なくともいずれかと、前記画像形成装置の記録手段により記録された当該印刷データに対する前記差分データとを関連付けて保存する保存手段を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、画像形成装置で印刷されたデータをより正確に保存することが可能になり、セキュリティが向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る構成要素のネットワーク上の配置を示す図。
【図2】本発明に係る管理者PCやファイルサーバの構成を示す図。
【図3】本発明に係るデバイスの構成を示す図。
【図4】本発明に係るデバイスのソフトウェア構成を示す図。
【図5】本発明に係るシステム全体の動作を示すフローチャートの図。
【図6】本発明に係るデバイス上で動作するアプリケーションのUIの例図。
【図7】本発明に係る構成要素のブロックを示す図。
【図8】本発明に係るデバイスが返信する情報を決定するフローチャートの図。
【図9】本発明に係るブラウザ上で動作するアプリケーションの例図。
【図10】本発明に係る印刷完了情報の一例を示す表の図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第一の実施形態>
[ハードウェア構成]
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。図1は、本実施形態の印刷システム全体の構成を説明するブロック図である。ユーザPC(Personal Computer)101は、ユーザが操作するコンピュータであり、デバイス102は、画像形成装置である。イントラネット103に接続されたノードは、ノード間で双方向の通信が可能である。イントラネット103側のノードは、Proxyサーバ105を介してインターネット104に接続可能である。また、Proxyサーバ105はインターネット104側のノードから、イントラネット103側のネットワークへ接続を確立することを防ぐ機能も備える。文書サーバ106は、様々な文書データを保持し、要求に応じて、保持している文書データを提供する。アプリケーションサーバ107は、文書サーバ106に保持されている文書データを編集したり、印刷したりするサービスを提供する。保存装置である画像保存サーバ108は、アプリケーションサーバ107から印刷された文書データの画像データを保存する。データ作成装置である印刷データ作成サーバ109は、文書データから印刷装置(デバイス102等)が印刷可能な形式の印刷データを作成する。なお、インターネット104側に位置する各装置間においてもそれぞれ通信可能となっている。
【0010】
上記の構成要素から成るシステムにおいて文書データの編集、印刷時のフローを説明する。ユーザPC101上では、ブラウザ702が動作しており、アプリケーションサーバ107と対話的な操作ができる。ユーザPC101のユーザは、アプリケーションサーバ107にログインする。なお、それぞれのサーバにおいてもログイン処理は必要であるが、今後の説明では省略する。ユーザPC101からアプリケーションサーバ107に文書サーバ106内の文書データの展開が指示されると、アプリケーションサーバ107は文書サーバ106から文書データを取得し、それを編集可能なUI(ユーザインタフェース)をユーザPC101に返す。ユーザによる必要な編集が終わると、ユーザPC101からアプリケーションサーバ107に文書データの保存が指示される。
【0011】
保存指示を受けたアプリケーションサーバ107は文書サーバ106に文書データを保存する。また、ユーザは文書データを印刷する際、インターネット104上のどの印刷データ作成サーバを使用するかを指示することができ、印刷データ作成サーバを示す情報を文書データ内に保存することができる。ユーザはその文書データの印刷を指示するためのURLをアプリケーションサーバ107から取得できるものとする。なお、インターネット104側にある装置は、各装置の機能を明確にするためにそれぞれの役割ごとに異なるサーバとしたが、同一装置に全ての機能を有する構成としても構わない。
【0012】
図2は、図1の構成要素となるコンピュータのブロック図である。ユーザPC101、Proxyサーバ105、文書サーバ106、アプリケーションサーバ107、画像保存サーバ108、印刷データ作成サーバ109は図2に示すような内部構成になっている。通常、サーバは障害回避のためにHDDなどの部品は冗長な構成になっていることが多い。冗長な構成とは、同じ機能を提供する部品を2つ以上備え、一方が故障しても他方が動作することにより、継続動作を保証するものである。
【0013】
図2において、CPU201は、即ち中央処理装置であり、このコンピュータ装置全体の制御および演算処理等を行うものである。ROM202は、即ち読み出し専用メモリであり、システム起動プログラムの情報等の記憶領域である。RAM203は、即ちランダムアクセスメモリであり、使用制限のないデータ記憶領域であって、オペレーティングシステム(OS)、アプリケーション、デバイスドライバ、および通信制御などのプログラムがロードされ、実行される領域である。キーボード部204は、キーボード(不図示)より入力データを受け取りCPU201へ伝達する。
【0014】
CRT部205は、即ちディスプレイ制御部であり、ディスプレイ装置への表示制御をする。HD部206は、FD(フロッピー(登録商標)ディスク装置)、あるいはHD(ハードディスク装置)、SRAM(不揮発性記憶装置)等の外部記憶装置であり、プログラムおよびデータを記憶・格納されている。また、記憶されたデータは、実行時に必要に応じて参照またはRAM203へロードされる。通信部207は、ネットワーク通信制御を行うものであり、図1で説明したようにネットワークに接続された他のコンピュータや周辺機器との通信が可能である。システムバス208は、上述した構成要素間のデータの通路となるべきものである。
【0015】
図3は、デバイス102のブロック図である。デバイスが、複写機能、印刷機能、スキャン機能など複数の機能を備える場合、MFP(Multi Function Peripheral)とも呼ばれる。デバイス102はデバイス全体を示す。コントローラ305は、デバイス102全体を制御する。コントローラ305の内部構成として、CPU301があり、このコントローラ305の制御および演算処理等を行う。また、ROM302は、システム起動プログラムの情報等の記憶領域である。RAM303は、使用制限のないデータ記憶領域であり、HD部304はHD(ハードディスク)あるいはSRAMなど不揮発性記憶装置である。
【0016】
RAM303は、OSや通信制御およびエンジン制御などのプログラムがロードされ、実行されたり、データが記憶されたりする領域である。スキャナ306は、画像読み取り動作をする。プリンタ307は、コントローラの制御のもとで印刷動作をする。UI部308は、ユーザからの指示を受け付けたり、あるいは、表示を行ったりする。通信部309は、ネットワーク通信制御を行い,他のデバイスやコンピュータとの通信を可能にする。システムバス310は、上述した構成要素間のデータの通路となるべきものである。
【0017】
[ソフトウェア構成]
図4は本発明のデバイス102のソフトウェア構成図である。本ソフトウェアはROM302あるいはHD部304に記憶され、デバイス起動時にRAM303にロードされ、実行される。OS401は、デバイス全体の資源を管理/制御する。API−1(402)は、OS401上で動作するアプリケーションのためのインタフェースである。アプリケーションはAPI−1(402)を通じて、デバイス上のリソースにアクセスしたり、CPUでコマンドを実行したりすることができる。
【0018】
コントローラ制御部403はOS401上で動作し、スキャナ306、プリンタ307、UI部308などを制御する。リソース管理部404は、コントローラ制御部403、後述する仮想マシン405、仮想マシン405上の全アプリケーションがメモリ等のリソース資源を使用する際、予め決められた以上の資源が使用できないように制限するものである。仮想マシン405は、特定のアプリケーションを実行するために最適な実行環境である。例えば、Java(登録商標)の仮想マシンなどにより実現されるものである。
【0019】
API−2(406)は、仮想マシン405上で動作するアプリケーションが、コントローラ制御部403、リソース管理部404、API−1(402)などを利用するためのインタフェースである。アプリケーション管理アプリケーション407は、仮想マシン405上で動作するアプリケーションを管理する。後述するアプリケーションのダウンロード、アップロード、消去、有効無効化を行う。アプリケーション408は、仮想マシン405上で動作するアプリケーションのひとつである。デバイスには期待される役割に応じて、任意の機能を持つアプリケーションを任意の数だけインストールし、動作させることが可能である。前述した監視プログラムもアプリケーション408として動作させることができる。
【0020】
[処理フロー]
次に本実施形態における印刷システムの処理を図5のフローチャートを用いて説明する。なお、フローチャートを示す図において、実線は各処理の主体(装置)における処理の流れを示し、破線は装置間におけるデータの流れを示している。図1に示したネットワーク上の各ノードはWeb Serviceを用いて相互に情報交換が可能である。Web Serviceとは、WWW(World Wide Web)の技術を用いてソフトウェアの機能をネットワークを通じて利用できるようにしたものである。実装形態の一つとして、XML(eXtensible Markup Language)/SOAP(Simple Object Access Protocol)がある。
【0021】
まず、処理の中で用いられるUIの例について述べる。図6はデバイス102上で動作する印刷アプリケーション705のUIである。ユーザは、インターネット104上の文書データの印刷を、特定のURLを指定することでデバイス102に指示することができる。このURLはアプリケーションサーバ107のUI(ブラウザ上で提供される)から取得することができる。なお、本実施形態において、文書データを所定の画像形成装置(デバイス102等)が印刷できる形式に変換したデータを印刷用データと呼ぶ。
【0022】
図7は図1に示した各機器のソフトウェア構成を示す図である。ユーザPC101には、ネットワークからデータを送受信する送受信部701とブラウザ702がある。デバイス102には、ネットワークを介してデータを受信する送受信部703と印刷アプリケーション705とブラウザ704、WEBサーバ706がある。文書サーバ106には、ネットワークを介してデータを送受信する送受信部707とWEBサーバ708と文書データを保存する保存部709がある。アプリケーションサーバ107には、ネットワークを介してデータを送受信する送受信部710と文書データを編集する文書編集アプリケーション712とHTTP通信を行うWEBサーバ711がある。画像保存サーバ108には、ネットワークを介してデータを送受信する送受信部713とWEBサーバ714と文書データを保存する保存部715がある。
【0023】
図6のダイアログ上でユーザによって印刷データ取得ボタン603が押されると、S501において、デバイス内の印刷アプリケーション705は印刷要求を受け付ける。S502において、デバイス102はユーザが指定したURLを取得し、S503において文書データのURLをアプリケーションサーバ107に要求する。S504において、アプリケーションサーバ107はデバイス102からの文書データの要求を受け付ける。そして、S505においてアプリケーションサーバ107は、文書データを特定するURLと、その文書データをデバイス102が印刷可能な形式の印刷用データに変換するための印刷データ作成サーバ109のURLをデバイス102に返す。
【0024】
S506において、デバイス102は文書データのURLを取得する。そして、S507において、デバイス102は指定された文書データを印刷可能な形式である印刷用データに変換のために、印刷用データの作成要求を印刷データ作成サーバ109に依頼する。このとき、印刷データ作成サーバ109に文書データのURLを送る。
【0025】
S508において、印刷データ作成サーバ109は、印刷用データの作成要求を受理する。このとき同時に文書データのURLを受け取る。S509において、印刷データ作成サーバ109は、受信した文書データのURLに基づいて文書データを文書サーバ106に要求する。S510において、文書サーバ106は、印刷データ作成サーバ109から文書データ要求を受信する。S511において、文書サーバ106は、印刷データ作成サーバ109からの文書データ要求に応じて、文書データを返信する。そして、S512において印刷データ作成サーバ109は文書サーバ106から送信された文書データを受信する。
【0026】
S513において、印刷データ作成サーバ109は、印刷用データを作成する。このとき印刷用データを一意に特定するためのデータID(識別子)を同時に生成する。データIDの例としてはUUID(Universally Unique Identifier、RFC4122)などがある。S514において、印刷データ作成サーバ109は、印刷用データの作成が終わるとその印刷用データを保存し、そのデータにアクセスできるURLをデバイス102に送信する。次にS515において、印刷用データを画像保存サーバ108に送信する。この印刷用データには上述したデータIDも含まれる。
【0027】
S516において、画像保存サーバ108は印刷用データを保存する。S517において、画像保存サーバ108は、印刷用データの保存が完了したら、それを印刷データ作成サーバ109に通知する。
【0028】
デバイス102は、S518においてS514にて印刷データ作成サーバ109から送信された印刷用データのURLを取得する。そして、S519で取得したURLに基づいて、印刷データ作成サーバ109にデータを要求する。
【0029】
印刷データ作成サーバ109は、S520においてデバイス102からのデータ要求を受理する。そして、S521において印刷用データをデバイス102に送信する。印刷用データには上述したデータIDも含まれる。デバイス102は、S522において印刷データ作成サーバ109から送信された印刷用データを取得する。そして、デバイス102は、S523において、取得した印刷用データの印刷設定を保存する。ここで印刷設定とは、印刷データを印刷する際の条件を指している。例えば色、レイアウト、ページ番号の印刷、地紋を埋め込むか、用紙サイズ、用紙タイプ、部数、配置順、ページ枠、印刷日時を印刷するか否か、詳細な色情報(カラーの彩度、使用スクリーン、コントラストなど)、フォーム合成、ステープル、パンチなどがある。なお、ここで挙げた項目に限定するものではなく、デバイス102が、提供する機能等に応じて必要な項目を設定することがきる。
【0030】
S524において、デバイス102は、図7のような印刷を開始する旨のダイアログを出力する。このダイアログは「印刷」「変更、「設定変更」などのボタンを備える。S525において、デバイス102は、ユーザによってダイアログ中の設定変更が押下されたかを判定する。ユーザによってダイアログ中の設定変更が押下されず、印刷ボタン606が押下された場合(S525にてNO)はS528へ進む。押下された場合(S525にてYES)はS526で、設定を行うための図6(C)のようなダイアログを表示する。ユーザはこのUIを通して白黒・カラーといった印刷色やページレイアウトなどの印刷設定の変更を指示することが可能である。なお、この図6(C)にて示したダイアログは例であり、実際には、上述したように、他にも印刷設定項目は存在し、更なる項目を表示しても良い。
【0031】
図6(C)において保存ボタン615が押下されると設定変更が完了したものとし、デバイス102はS527で印刷設定を保存する。ユーザによって印刷ボタン606が押下されるとデバイス102はS528にて印刷を実行する。S529において、印刷データ作成サーバ109に返信する差分データを決定する。差分データの決定方法については図8を用いて後述する。
【0032】
S530において、デバイス102は差分データを印刷データ作成サーバ109に送信する。S531において、印刷データ作成サーバ109は、画像保存サーバ108からデータ保存完了通知を受信する。S532において、S530にてデバイス102から送信された差分データを受信する。S533において、印刷データ作成サーバ109は差分データを画像保存サーバ108に送信する。そして、印刷データ作成サーバ109は、S534において、画像データを削除する。
【0033】
S535において、画像保存サーバ108は、印刷データ作成サーバ109から送信された差分データを受信する。そして、S536において、画像保存サーバ108はS516にて保存した元データとS535にて受信した差分データを関連付けて保存する。このとき関連付けのキーとして、S513にて生成されたデータIDを利用する。
【0034】
[ダイアログ]
図6(A)はデバイス102上で動作するアプリケーションのUIの一例を示す図である。ダイアログ601は、インターネット104上のドキュメントデータの取得を行うためのダイアログである。テキストボックス602では、印刷したいドキュメントのURLを指定する。印刷データ取得ボタン603は、押下されるとデータの取得を開始する。閉じるボタン604は、本ダイアログをクローズする。
【0035】
図6(B)はデバイス102上で動作するアプリケーションのUIの一例を示す図である。図6(A)に示した印刷データ取得ボタン603が押下され、印刷データの取得が完了すると、図6(B)のダイアログが出力される。ダイアログ605には、取得したデータのURLを示すダイアログ609が含まれる。印刷ボタン606は、押下されると印刷を開始する。印刷設定変更ボタン607は、押下されると印刷設定を変更するためのダイアグラムを表示する。中心ボタン608は、押下されるとアプリケーションを終了する。
【0036】
図6(C)はデバイス102上で動作する印刷アプリケーション705のUIの一例を示す図であり、印刷設定変更ボタン607が押されると、ダイアログ610を表示する。コンボボックス611はカラー設定を指示するコンボボックスであり、カラー/白黒が選択可能である。白黒を選択した場合は、受信したデータにカラー情報が含まれていても、印刷は白黒になる。コンボボックス612はレイアウトを指定するコンボボックスであり、2in1/6in1/8in1/製本印刷などが選択可能である。コンボボックス613は地紋を指定するためのコンボボックスであり、複写禁止/機密が選択でき、あるいは任意の文字列を入力することもできる。コンボボックス614はページ番号を印刷するか否かを指定するコンボボックスであり、印刷する/印刷しないが選択できる。保存ボタン615は、ユーザにより現在選択された印刷設定を保存する。閉じるボタン616を押下することにより、ダイアログ610は閉じられる。
【0037】
図6(D)はデバイス102の透かし設定を行うためのUIである。透かし設定を行う際にダイアログ617が表示される。コンボボックス618は透かし情報として、印刷日時を埋め込むかあるいは埋め込まないかを指定するコンボボックスである。同様に、コンボボックス619、620、621、622ではそれぞれ、印刷ユーザ、機体番号、ドキュメントURL、データID(S513で発行)を埋め込むか否かを指定することができる。
【0038】
[差分データ決定処理]
図8に示す処理は、図5のS529にて示した、デバイス102が差分データを決定する際の処理を示したフローである。まず、S801においてデバイス102は返信データをクリアする。ここで差分データとは、テキスト、画像、その他任意のバイナリデータのリストである。S802において、デバイス102は印刷データに対する印刷設定の変更があったかを判定し、変更があれば(S802にてYES)、S803において差分データに印刷設定を追加する。変更がなければ(S802にてNO)、そのままS804に進む。
【0039】
S804において、デバイス102は印刷データにおいて地紋設定があったかを判定する。地紋設定あれば(S804にてYES)、S805において差分データに地紋設定を追加する。地紋設定がなければ(S804にてNO)、S806へ進む。S806において、デバイス102は、印刷データに透かし設定があったかを判定する。透かし設定があれば(S806にてYES)、S807において差分データに透かし設定を追加する。透かし設定がなければ、そのままS808へ進む。
【0040】
S808において、デバイス102は印刷データに縮退があったかを判定する。縮退があれば(S808にてYES)、S809において差分データに縮退情報を追加する。ここで縮退とは、デバイスが本来備えている機能が、機器の故障やトナーなど印刷リソースの不足により、当初想定していた印刷ができないことである。縮退がなければ、そのままS810へ進む。
【0041】
S810において、デバイス102は印刷データにフォーム合成があったかを判定する。フォーム合成があれば(S810にてYES)、S811において、デバイス102は差分データにフォーム情報を追加する。S812において、デバイス102は印刷完了情報を差分データに付加する。印刷完了情報とは当該ジョブにおける、終了ステイタス、印刷ページ数、印刷枚数、消費トナー量を示す情報である。印刷データにフォーム合成がなければ(S810にてNO)、処理フローを終了する。印刷完了情報の例を図10に示す。本実施形態においては、印刷完了情報は、図5のS530にて差分データと共に送信されることとなる。なお、図10に示された印刷完了情報の項目に限定するものではなく、印刷データに対して管理する情報は、必要に応じて更に追加しても良いし、削減しても良い。
【0042】
上述した“地紋”とは、複写すると、文字や画像が浮かび上がる特殊な模様が背景に印刷されているものである。有価証券、証明書など、複製による悪用を防ぎたいケースに有効である。地紋は、複写後にドットが残る領域と、複写後にドットが消える領域の同じ濃度を持つ2つの領域から構成されている。この2つの領域はほぼ同じ濃度であり、マクロ的には、一見すると「複写物」などの文字や画像が隠れていることが分からないが、ミクロ的にはそれぞれ異なる特性を持っている。
【0043】
上述した“透かし”とは、印刷物にアクセス制御情報を目に見えないように埋め込むものである。一般的な実現方法として、英文字列のスペースの量を制御することにより情報を埋め込むタイプ、文字を回転するタイプ、文字を拡大縮小するタイプ、文字を変形させて情報を埋め込むタイプ等が提案されている。
【0044】
上述した“フォーム合成”とは、あらかじめ登録されたフォーム画像と、投入されたジョブの画像をページ毎に合成して出力することを表している。つまり、フォーム合成が行われたか否かを示すフォーム合成情報に基づいて判定することとなる。
【0045】
[文書編集アプリケーション]
図9はユーザPC101のブラウザ702上で動作する文書編集アプリケーション712のUIの一例である。アプリケーションウインドウ900は、文書編集アプリケーションの表示例である。ツールバー901は、ウインドウベースのアプリケーションがコマンドを受け付けるためのツールバーである。ボタン902はコマンドを指定するために用いられる。ここでは特に詳細を説明しないが、本アプリケーションはWEBブラウザであるので、再読込、中止、ホームページへの移動、などを備える。テキストボックス903は、URLを指定するために用いられる。ここにURLテキストを入力してキーボード(不図示)でEnterキーを押すと、表示領域904に該URLの内容が表示される。本実施形態では、URLにワードプロセッサアプリケーションが指定されている。タグ905はURLに指定されたページのタイトルを示す。ツールバー906には、コマンドを指定するためのボタンが配置される。印刷ボタン907は押下されると、印刷アプリケーション705が立ち上がり、ダイアログ601が表示される。このとき、テキストボックス602には現在の文書を印刷するためのURLが入る。領域908は、編集中の文書データをWYSIWYG(What You See Is What You Get)で表示するための領域である。WYSIWYGとは画面表示と印刷出力が同じであることを示す。
【0046】
以上、第一の実施形態における処理および表示を述べた。これにより、デバイスで印刷されたデータの設定変更を管理し、より正確に出力したデータを保存することが可能になる。このことから、情報管理におけるセキュリティが向上する。具体的には、印刷データ作成サーバ側では、送信する印刷データを保存すると共に、印刷データを受信した側は、印刷が終了した場合は、その完了通知と受け取った印刷用データと出力したデータの差分情報を返送する。これにより、データ転送量をより少なく、かつ、印刷したデータを正確に記録することができ、情報漏えい時の追跡性を向上させることが出来る。
【0047】
<第二の実施形態>
上述した第一の実施形態では、印刷した画像データのテキスト情報を保持していないため、文字列情報で検索するのが難しいという問題がある。印刷データを用いてテキスト抽出することが一般的に考えられるが、抽出精度(文字認識率)が十分得られない可能性がある。
【0048】
この問題を図5のフローを変更することで改善する。S515で印刷用データを画像保存サーバ108に送信する際に、印刷用データに対応するS512で取得した文書データも送信し、S516で文書データも保存するようにする。
【0049】
このように、文書データ、印刷用データ双方を保存することにより、流出情報から印刷者を特定する際に、テキスト情報、画像情報の双方を利用することが可能になる。
【0050】
<第三の実施形態>
第二の実施形態において、データ保存のコストが高い場合、S516で文書データと印刷用データを保存する際に、それらのデータを比較しデータ量の小さい方を保存しても良い。
【0051】
これにより、第二の実施形態の効果に加え、データを保存するために必要な容量を削減することが可能となり、資源の活用を図ることができる。
【0052】
<第四の実施形態>
図5のフローチャートにおいて、S509で文書データを要求しているが、この際、アクセス制限を行うための認証情報が必要なことがある。これは認証情報が必要であれば、文書データに機密性があることを示唆している。ここに着目すると、認証情報が必要でない文書データであれば、その文書データに対する画像保存サーバ108に保存する価値が無いと考えられる。そこで、図5のフローチャートに認証情報が必要か否かを判定するステップを設け、認証情報が必要でない場合は、S516、S536の保存処理を削除することも可能である。
【0053】
以上、文書データのアクセス制御の有無により、データを保存する必要性を判定し、必要な文書データに対してのみデータの保存を行うため、第一の実施形態の効果に加え資源の活用を図ることができる。
【0054】
<その他の実施形態>
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文書データを編集および保存する機能を備え、要求に応じて前記文書データを提供するアプリケーションサーバと、
印刷機能を含む複数の機能を有する画像形成装置と、
前記文書データから画像形成装置が印刷可能な印刷データを作成するデータ作成装置と、
画像形成装置による処理が完了したデータを保存する保存装置と
を備え、ネットワークを介してそれぞれの装置が通信可能な印刷システムであって、
前記データ作成装置は、
前記画像形成装置からの要求により、前記アプリケーションサーバから取得した文書データから前記画像形成装置が印刷可能な形式の印刷データを作成する作成手段を有し、
前記画像形成装置は、
前記データ作成装置が作成した印刷データに対する設定変更による設定の差分を差分データとして記録する記録手段と、
前記印刷データに対する処理を実行した後に当該処理の完了通知を前記差分データと共に送信する送信手段と
を有し、
前記保存装置は、
前記データ作成装置が作成した前記印刷データもしくは当該印刷データに対応する文書データの少なくともいずれかと、前記画像形成装置の記録手段により記録された当該印刷データに対する前記差分データとを関連付けて保存する保存手段を有する
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記データ作成装置の作成手段は、前記印刷データを作成する際に、当該印刷データを一意に特定する識別子を生成することを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記差分データは、印刷設定、地紋設定、透かし情報、縮退情報、フォーム合成情報のうち少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記保存装置の保存手段は更に、データを保存する際に、前記印刷データと当該印刷データに対応する文書データのサイズを比較し、サイズが小さいデータを前記差分データと関連付けて保存することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記保存装置の保存手段は更に、前記文書データに対するアクセス制限の有無に基づいて、当該文書データもしくは当該文書データに対応する印刷データを保存するか否かを決定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の印刷システム。
【請求項6】
文書データを編集および保存する機能を備え、要求に応じて前記文書データを提供するアプリケーションサーバと、
印刷機能を含む複数の機能を有する画像形成装置と、
前記文書データから画像形成装置が印刷可能な印刷データを作成するデータ作成装置と、
画像形成装置による処理が完了したデータを保存する保存装置と
を備え、ネットワークを介してそれぞれの装置が通信可能な印刷システムを構成する画像形成装置であって、
印刷データに対する設定変更による設定の差分を差分データとして記録する記録手段と、
前記印刷データに対する処理を実行し、当該処理の完了通知を前記差分データと共に送信する送信手段と
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
文書データを編集および保存する機能を備え、要求に応じて前記文書データを提供するアプリケーションサーバと、
印刷機能を含む複数の機能を有する画像形成装置と、
前記文書データから画像形成装置が印刷可能な印刷データを作成するデータ作成装置と、
画像形成装置による処理が完了したデータを保存する保存装置と
を備え、ネットワークを介してそれぞれの装置が通信可能な印刷システムを構成するデータ作成装置であって、
前記画像形成装置からの要求により、文書データから前記画像形成装置が印刷可能な形式である印刷データを作成する作成手段を有することを特徴とするデータ作成装置。
【請求項8】
文書データを編集および保存する機能を備え、要求に応じて前記文書データを提供するアプリケーションサーバと、
印刷機能を含む複数の機能を有する画像形成装置と、
前記文書データから画像形成装置が印刷可能な印刷データを作成するデータ作成装置と、
画像形成装置による処理が完了したデータを保存する保存装置と
を備え、ネットワークを介してそれぞれの装置が通信可能な印刷システムを構成する保存装置であって、
文書データもしくは当該文書データから所定の画像形成装置が印刷可能な形式に変換された印刷データの少なくともいずれかのデータと、印刷時における当該印刷データに対する設定変更による設定の差分である差分データとを関連付けて保存する保存手段を有することを特徴とする保存装置。
【請求項9】
文書データを編集および保存する機能を備え、要求に応じて前記文書データを提供するアプリケーションサーバと、
印刷機能を含む複数の機能を有する画像形成装置と、
前記文書データから画像形成装置が印刷可能な印刷データを作成するデータ作成装置と、
画像形成装置による処理が完了したデータを保存する保存装置と
を備え、ネットワークを介してそれぞれの装置が通信可能な印刷システムにおける制御方法であって、
前記データ作成装置において、
作成手段が、前記画像形成装置からの要求により、前記アプリケーションサーバから取得した文書データから前記画像形成装置が印刷可能な形式の印刷データを作成する作成工程を有し、
前記画像形成装置において、
記録手段が、前記データ作成装置において作成された印刷データに対する設定変更による設定の差分を差分データとして記録する記録工程と、
送信手段が、前記印刷データに対する処理が実行された後に当該処理の完了通知を前記差分データと共に送信する送信工程と
を有し、
前記保存装置において、
保存手段が、前記データ作成装置において作成された前記印刷データもしくは当該印刷データに対応する文書データの少なくともいずれかと、前記画像形成装置の記録工程において記録された当該印刷データに対する前記差分データとを関連付けて保存する保存工程を有する
ことを特徴とする制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−248764(P2011−248764A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−123301(P2010−123301)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】