説明

印刷システム、POSシステム、接続デバイス、印刷システムの制御方法およびそのプログラム

【課題】 顧客に対し、適切な広告・販促情報を提供可能な印刷システム等を実現することを目的とする。
【解決手段】 トランザクション番号を含む決済処理情報を印刷するための第1印刷データと、広告・販促情報を印刷するための第2印刷データとを受信可能なインターフェース装置51と、インターフェース装置51を介して取得したデータの印刷処理を行う複数の印刷装置50a,50bと、から成り、インターフェース装置51は、第1印刷データを受信した場合、トランザクション番号を含めたまま複数有している印刷装置の中の所定の印刷装置である第1印刷装置50aに転送すると共に、当該トランザクション番号を抽出して一時的に保留し、第2印刷データを受信した場合、保留しておいたトランザクション番号を印刷するためのデータを当該第2印刷データに組み込んで第1印刷装置50a以外の第2印刷装置50bに転送するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、決済処理情報を含む第1印刷データを生成する端末コンピュータと、決済処理情報の分析結果に基づいて生成される広告・販促情報を含む第2印刷データを生成する情報提供サーバと、第1印刷データおよび第2印刷データを受信可能なインターフェース装置と、インターフェース装置を介して取得したデータの印刷処理を行う複数の印刷装置と、によって構成される印刷システム、POSシステム、接続デバイス、印刷システムの制御方法およびそのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーやコンビニエンス・ストア等の小売業では、購入商品並びにその金額に関するいわゆる決済処理情報に加えて、特価品やイベントなどの広告・販促情報をレシート上に印刷可能なPOSシステム(販売時点情報管理システム)が広く利用されている。また、近年では広告・販促情報だけでなく、クーポン券や抽選券を発行する専用のシステムを導入して販促情報を付加する場合もあり、販売促進に有効な広告手段となっている。
【0003】
この種のPOSシステムは、通常、商品マスタを有し複数のPOS端末を統括制御するPOSサーバと、広告・販促情報を提供する情報提供サーバと接続されて構成され、決済処理を行う場合は、顧客の購入商品に付されたバーコードをスキャニングするなどして入力した入力情報(商品コード)をPOSサーバに送信し、POSサーバ内の商品マスタから入力情報に関連する商品名や金額等の商品データを抽出することにより、レシート上に印刷するための決済処理情報を生成する。また、POSサーバ、あるいはPOS端末は、入力情報を取得すると同時に情報提供サーバへもこれを送信し、情報提供サーバは決済情報(一例としては支払決済する商品アイテム)に関連する広告・販促情報を抽出して、これをPOSサーバ、あるいはPOS端末に送信する。そして、これら決済処理情報と広告・販促情報とに基づき印刷データを生成し、決済処理情報印刷データを決済処理情報用の印刷装置に、また広告・販促情報印刷データを広告・販促情報用の印刷装置に送信することにより、決済処理情報レシート、並びに広告・販促情報チケット(例えばクーポン券)を発行する(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特表2003−500767号公報(図2等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようなPOSシステムでは、広告・販促情報チケットを効率的に顧客に提供すべく、広告・販促情報用の印刷装置を、顧客の動線上に配置する(広告・販促情報チケットを顧客が受け取り可能な位置に印刷装置を配置する)場合がある。ところが、購入品数が少なく会計処理の回転が速い場合、次々に広告・販促情報チケットが排出されるため、顧客が誤って他人のチケットを取ってしまうといった問題があった。
【0005】
そこで本発明は、顧客に対し、適切な広告・販促情報を提供可能な印刷システム、POSシステム、接続デバイス、印刷システムの制御方法およびそのプログラムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の印刷システムは、決済処理に関する決済処理情報を用紙上に印刷し、レシートを作成するための第1印刷データを生成する端末コンピュータと、受信した決済処理情報を分析し、その分析結果に基づいて生成される広告・販促情報を用紙上に印刷するための第2印刷データを、決済処理毎に生成する情報提供サーバと、第1印刷データおよび第2印刷データを受信可能な通信ポートを搭載したインターフェース装置と、インターフェース装置を介して取得したデータの印刷処理を行う複数の印刷装置と、を少なくとも有する印刷システムであって、端末コンピュータは、決済処理毎に異なるトランザクション番号を設定して、当該トランザクション番号を含む第1印刷データを生成する第1印刷データ生成部と、生成した第1印刷データをインターフェース装置に送信する第1印刷データ送信部と、を有し、情報提供サーバは、受信した決済処理情報を分析して広告・販促情報を付加すべき情報が含まれているか否かを検索し、含まれている場合、第2印刷データを生成する第2印刷データ生成部と、生成した第2印刷データをインターフェース装置に送信する第2印刷データ送信部と、を有し、インターフェース装置は、端末コンピュータから受信したトランザクション番号を含む第1印刷データを、複数有している印刷装置の中の所定の印刷装置である第1印刷装置に転送すると共に、当該トランザクション番号を抽出して、これを一時的に保留する第1印刷データ処理部と、情報提供サーバから受信した第2印刷データに、トランザクション番号を印刷するためのデータを組み込んで、第1印刷装置以外の第2印刷装置に転送する第2印刷データ処理部と、を有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の印刷システムの制御方法は、決済処理に関する決済処理情報を用紙上に印刷し、レシートを作成するための第1印刷データを生成する端末コンピュータと、受信した決済処理情報を分析し、その分析結果に基づいて生成される広告・販促情報を用紙上に印刷するための第2印刷データを、決済処理毎に生成する情報提供サーバと、第1印刷データおよび第2印刷データを受信可能な通信ポートを搭載したインターフェース装置と、インターフェース装置を介して取得したデータの印刷処理を行う複数の印刷装置と、を少なくとも有する印刷システムの制御方法であって、端末コンピュータが、決済処理毎に異なるトランザクション番号を設定して、当該トランザクション番号を含む第1印刷データを生成し、インターフェース装置に送信するステップ、インターフェース装置が、端末コンピュータから受信したトランザクション番号を含む第1印刷データを、複数有している印刷装置の中の所定の印刷装置である第1印刷装置に転送すると共に、当該トランザクション番号を抽出して、これを一時的に保留するステップ、情報提供サーバが、受信した決済処理情報を分析して広告・販促情報を付加すべき情報が含まれているか否かを検索し、含まれている場合、第2印刷データを生成し、インターフェース装置に送信するステップ、インターフェース装置が、情報提供サーバから受信した第2印刷データに、トランザクション番号を印刷するためのデータを組み込んで、第1印刷装置以外の第2印刷装置に転送するステップ、を実行することを特徴とする。
【0008】
これらの構成によれば、インターフェース装置は、端末コンピュータから受信したトランザクション番号付き第1印刷データを、第1印刷装置に転送すると共に、当該第1印刷データに含まれるトランザクション番号を抽出して、これを一時的に保留しておき、情報提供サーバから受信した第2印刷データにトランザクション番号を印刷するためのデータを組み込むため、第1印刷データと、第2印刷データとが別々の印刷装置で印刷される場合や同じ印刷装置で印刷されても両データが分断された状態で印刷される場合、第1印刷データが印刷された用紙と、第2印刷データが印刷された用紙とを、トランザクション番号によって対応付けすることができる。これにより、例えば第2印刷装置が第1印刷装置から離間した位置に配置され、第2印刷装置から発行される用紙(広告・販促情報)を顧客が受け取るような構成であっても、トランザクション番号が一致するか否かを確認することで、顧客が誤って他人の用紙を受け取ることを防止することができる。
【0009】
上記の印刷システムにおいて、インターフェース装置は、第1印刷装置に装着され、当該第1印刷装置以外の印刷装置と通信を行うための通信ポートを有していることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、第1印刷装置にインターフェース装置を装着するだけで、容易に本発明の印刷システムを構築することができる。なお、この場合第1印刷装置は、インターフェース装置を装着するための装着部(装着スロット)を備えていることが好ましい。
【0011】
上記の印刷システムにおいて、第1印刷データ処理部は、トランザクション番号と共に、第1印刷データに含まれる所定のデータを一時的に保留し、第2印刷データ処理部は、トランザクション番号を印刷するためのデータと共に、所定のデータを印刷するためのデータを第2印刷データに組み込むことが好ましい。
【0012】
この構成によれば、トランザクション番号以外に、所定のデータを、第2印刷データと共に印刷することができる。また、例えば端末コンピュータで、会員カードやクレジットカード等から個人情報を読み取り、その個人情報を所定のデータとして第2印刷データと共に印刷することで、オペレータが誤って違う顧客の用紙を渡したり、(顧客が用紙を自分で取る場合は)顧客の用紙取り間違えをより効果的に防止することができる。
【0013】
上記の印刷システムにおいて、第1印刷データ処理部は、情報提供サーバから第2印刷データを受信するか否かを判別し、受信すると判定した場合、その旨のメッセージを印刷するためのデータを、第1印刷データに組み込むことが好ましい。
【0014】
この構成によれば、インターフェース装置は、第2印刷データを受信する場合(情報提供サーバが受信した決済処理情報を分析し、広告・販促情報を生成することを決定した場合)、第2印刷データを印刷する旨のメッセージを第1印刷データと共に印刷するため、オペレータや顧客は、当該メッセージから第2印刷データが発行されることを知ることができる。また、これにより、顧客の用紙取り忘れを防止することができる。なお、この場合インターフェース装置は、情報提供サーバからの第2印刷データの受信、若しくは送信/非送信を示す何らかのステータスの受信によって、第2印刷データが発行されるか否かを判別することとなる。
【0015】
上記の印刷システムにおいて、第1印刷データは、用紙の切断を指令する用紙カットコマンドを含むと共に、第1印刷装置および第2印刷装置は、用紙カットコマンドの受信に伴って用紙を切断する用紙カット機構を備え、第1印刷データ処理部は、端末コンピュータから受信した第1印刷データの中から、用紙の後端の切断を指令する用紙カットコマンドを検出したとき、これを抽出して一時的に保留し、第2印刷データ処理部は、第2印刷データの後端に用紙カットコマンドを付加して第2印刷装置に転送することが好ましい。
【0016】
この構成によれば、第2印刷データの後端に、用紙カットコマンドを付加するため、第1印刷装置および第2印刷装置の両方から発行される用紙の後端を、用紙カット機構によりそれぞれ適切に自動カットさせることができる。
【0017】
上記の印刷システムにおいて、インターフェース装置は、複数の印刷装置が正常に動作しているか否かのステータスを監視するステータスチェック部をさらに有し、第1印刷データ処理部および/または第2印刷データ処理部は、ステータスチェック部の監視結果に基づいて、第1印刷装置および/または第2印刷装置が正常に動作していないと判定した場合、他の印刷装置に振り替えて印刷データを転送することが好ましい。
【0018】
この構成によれば、第1印刷装置および/または第2印刷装置が正常に動作していないと判定した場合、他の印刷装置に振り替えて印刷データを転送するため、第1印刷装置または第2印刷装置のいずれかに不具合があった場合でも、支障なく第1印刷データと第2印刷データの印刷処理を続行することができる。
【0019】
上記の印刷システムにおいて、第1印刷データ処理部および/または第2印刷データ処理部は、振り替える印刷データがカラー印刷データであり、且つ振り替え先の印刷装置がカラー印刷に対応していない場合、カラー印刷データをモノクロ印刷データに変換することが好ましい。
【0020】
この構成によれば、数の印刷装置の中に、カラー印刷装置とモノクロ印刷装置が含まれている場合であって、カラー印刷データの振り替え先の印刷装置がモノクロ印刷装置である場合でも、モノクロ印刷データとして印刷処理を行うことができる。
【0021】
上記の印刷システムにおいて、第1印刷データ処理部は、端末コンピュータから受信した第1印刷データを、通信ポートを介して情報提供サーバに転送し、第2印刷データ生成部は、インターフェース装置から転送された第1印刷データに含まれる決済処理情報を分析することが好ましい。
【0022】
この構成によれば、情報提供サーバへの第1印刷データの転送を、インターフェース装置によって行うため、当該インターフェース装置を導入するだけで、端末コンピュータの改造やアプリケーションの変更を必要とすることなく、広告・販促情報の印刷機能を追加することができる。
【0023】
上記の印刷システムにおいて、トランザクション番号を含む第1印刷データ、並びに出力対象となる印刷装置が特定されていない第2印刷データを受信可能な通信ポートを搭載したインターフェース装置と、インターフェース装置を介して取得したデータの印刷処理を行う複数の印刷装置と、を少なくとも有する印刷システムであって、インターフェース装置は、受信したトランザクション番号を含む第1印刷データを、複数有している印刷装置の中の所定の印刷装置である第1印刷装置に転送すると共に、当該トランザクション番号を抽出して、これを一時的に保留する第1印刷データ処理部と、受信した第2印刷データに、保留しておいたトランザクション番号を印刷するためのデータを組み込んで、第1印刷装置以外の第2印刷装置に転送する第2印刷データ処理部と、を有することを特徴とする。
【0024】
また、本発明の他の印刷システムの制御方法は、トランザクション番号を含む第1印刷データ、並びに出力対象となる印刷装置が特定されていない第2印刷データを受信可能な通信ポートを搭載したインターフェース装置と、インターフェース装置を介して取得したデータの印刷処理を行う複数の印刷装置と、を少なくとも有する印刷システムの制御方法であって、インターフェース装置が、受信したトランザクション番号を含む第1印刷データを、複数有している印刷装置の中の所定の印刷装置である第1印刷装置に転送すると共に、当該トランザクション番号を抽出して、これを一時的に保留するステップ、受信した第2印刷データに、保留しておいたトランザクション番号を印刷するためのデータを組み込んで、第1印刷装置以外の第2印刷装置に転送するステップ、を実行することを特徴とする。
【0025】
これらの構成によれば、インターフェース装置は、トランザクション番号を含む第1印刷データを、第1印刷装置に転送すると共に、当該第1印刷データに含まれるトランザクション番号を抽出して、これを一時的に保留しておき、その後受信した第2印刷データにトランザクション番号を印刷するためのデータを組み込むため、第1印刷データと、第2印刷データとが別々の印刷装置で印刷される場合や同じ印刷装置で印刷されても両データが分断された状態で印刷される場合、第1印刷データが印刷された用紙と、第2印刷データが印刷された用紙とを、トランザクション番号によって対応付けすることができる。これにより、例えば第2印刷装置が第1印刷装置から離間した位置に配置され、第2印刷装置から発行される用紙を顧客が受け取るような構成であっても、トランザクション番号が一致するか否かを確認することで、顧客が誤って他人の用紙を受け取ることを防止することができる。或いはオペレータが誤って、違う顧客の用紙を渡すことを防止することができる。
【0026】
本発明のPOSシステムは、上記のいずれか1項に記載の印刷システムと、複数の端末コンピュータと接続され、これら複数の端末コンピュータを統括制御するPOSサーバと、によって構成されることを特徴とする。
【0027】
この構成によれば、決済処理情報以外に、適切な広告・販促情報を顧客に提供可能なPOSシステムを実現することができる。
【0028】
本発明の接続デバイスは、上記のいずれか1項に記載の印刷システムにおけるインターフェース装置として機能すると共に、複数の印刷装置と通信を行うための通信ポートを有していることを特徴とする。
【0029】
この接続デバイスを用いることで、決済処理情報以外に、適切な広告・販促情報を顧客に提供可能な印刷システムを構築することができる。
【0030】
本発明のプログラムは、コンピュータに、上記に記載の印刷システムの制御方法における各ステップを実行させるためのものであることを特徴とする。
【0031】
このプログラムを実行することで、決済処理情報以外に、適切な広告・販促情報を顧客に提供可能な印刷システムを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の一実施形態に係る印刷システム、POSシステム、接続デバイス、印刷システムの制御方法およびそのプログラムについて、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0033】
本発明は、特性の異なる2つのデータである第1印刷データおよび第2印刷データを受信可能なインターフェース装置と、当該インターフェース装置を介して取得したデータの印刷処理を行う複数の印刷装置と、を少なくとも有する印刷システムであって、インターフェース装置は、第1印刷データを受信した場合、当該第1印刷データを、そのまま若しくは所定の加工を施して複数有している印刷装置の中の所定の印刷装置である第1印刷装置に転送し、第2印刷データを受信した場合、当該第2印刷データを解析し、第1印刷装置で印刷可能であれば第1印刷装置に、また第1印刷装置で印刷不可能であれば第1印刷装置以外の第2印刷装置に当該第2印刷データを転送するものである。そこで、以下、スーパーやコンビニエンス・ストア等の店舗にて利用されるPOSシステムを例に挙げ、これに適用される端末コンピュータ、情報提供サーバ(以下、「IPサーバ(Information Providing Server)」と称する)、インターフェース装置および印刷装置を有する印刷システム、接続デバイス(インターフェース装置)、並びに印刷システムの制御方法について説明する。
【0034】
図1に示すように、本発明のPOSシステム10は、オペレータ(ユーザ)によって、商品に貼付または予め印刷されたバーコードがバーコードリーダ44で読みとられることにより商品に関する入力情報を取得する複数のPOS端末20(1つのみ図示)と、ネットワーク(図示省略)を介して当該POS端末20と相互に接続され、POS端末20に入力された入力情報の管理を行うPOSサーバ30とによって構成されている。
【0035】
POSサーバ30は、CPU31(制御装置)の他、ROM32およびメモリ部33(RAM、ハードディスクドライブ等)を有し、ROM32内に記憶された制御プログラムにしたがって、メモリ部33内のバッファ39等に記憶された情報の処理を行う。特にメモリ部33内には、商品コードブロック35、商品名ブロック36、金額ブロック37、在庫ブロック38を有しており、CPU31は、POS端末20より送信された商品の入力情報に基づいて、これらから商品コード、商品名、金額に関する情報を抽出し、レシート(第1印刷データ)の印刷およびPOS端末20のディスプレイ42の表示に用いる商品データを生成する。なお、「商品データ」とは、レシート用の用紙61a上に印刷される第1印刷データ(決済処理情報)の元となるデータを指すものである。また、商品コードブロック35、商品名ブロック36および金額ブロック37は、一般に商品マスタと呼ばれるルックアップテーブル34により構成されるものである。
【0036】
一方、POS端末20は、POSサーバ30内の商品マスタ(ルックアップテーブル)34を参照すると共に当該POSサーバ30から商品データを取得する端末コンピュータ40と、インターフェース装置51が装着され、主に決済処理情報を含む第1印刷データの印刷を行う第1印刷装置50aと、主に後述するIPサーバ70から取得した広告・販促情報を含む第2印刷データの印刷を行う第2印刷装置50bとを備え、端末コンピュータ40とインターフェース装置51、またインターフェース装置51と第2印刷装置50bとは、互いにコネクタ(図示省略)を介して接続されている。なお、本実施形態では、第1印刷装置50aは、モノクロ印刷を行うサーマル方式のプリンタであり、POS端末20を操作するオペレータに近接して配置されるものとする。また、第2印刷装置50bは、カラー印刷を行うインクジェット方式のプリンタであり、POS端末20で会計処理を終えた顧客100が通る動線上に配置され、当該印刷装置から排出された用紙61bが顧客100によって受け取られる構成であるものとして説明する。もちろん、オペレータが顧客100に用紙61bを渡してもよい。
【0037】
端末コンピュータ40は、決済処理を行うためのPOSアプリケーション146、印刷装置50を印刷制御するためのプリンタドライバ147、端末コンピュータ40全体を制御する制御部41等を有し、当該制御部41は、キーボード43による入力またはバーコードリーダ44によるバーコードの読み取りによって、POSサーバ30から購入商品の商品コードや商品名、金額等に関する商品データを取得する。また、制御部41は、カードリーダ45によって顧客100のクレジットカードや会員カードを読み取り、クレジット清算に関する情報や会員番号等の会員に関する入力情報を取得する。さらに、制御部41は、POSアプリケーション146と協同して決済処理毎に異なるトランザクション番号(決済処理通番,図9等参照)を設定し、POSサーバ30から送信された商品データを元に決済処理情報を生成する。また、設定したトランザクション番号に関する情報や生成した決済処理情報を含む第1印刷データを生成し、プリンタドライバ147を介して第1印刷装置50a(インターフェース装置51)にこれを送信する。また、制御部41は、ディスプレイ42上に生成した決済処理情報を表示し、オペレータや顧客100に対して少なくとも購入した商品名や支払うべき合計金額を提示する。なお、トランザクション番号を抽出したり、IPサーバ70で印刷データを解析したりするため、端末コンピュータ40から送信される第1印刷データは、テキスト形式若しくはXML形式、HTML形式のデータであって、印刷データのコンテンツが解釈できる形式であることが必要である。
【0038】
第1印刷装置50aは、端末コンピュータ40と接続されるホスト用インターフェース52、IPサーバ70と接続されるIPサーバ用インターフェース54、並びに第2印刷装置50bと接続される印刷装置用インターフェース53を有するインターフェース装置51が装着されており、当該インターフェース装置51は、第1印刷装置50a本体の装着スロット59に着脱可能に構成されている。
【0039】
インターフェース装置51は、端末コンピュータ40から受信した第1印刷データの印刷指令を、印刷装置本体である印刷処理部60(印刷部85、データ格納部80a、印刷制御部55等から成る:図4参照)に対して行うと共に、IPサーバ70から受信した第2印刷データを解析し、その解析結果に応じて、印刷処理部60または第2印刷装置50bに、第2印刷データの印刷指令を行う。具体的には、第2印刷データにカラー印刷データを示すコマンド(以下、「カラーコマンド」と称する)が含まれているか否かを解析し、含まれている場合は第2印刷装置50bに、また、含まれていない場合は印刷処理部60に、第2印刷データの印刷指令を行う。
【0040】
また、インターフェース装置51は、印刷処理部60(第1印刷装置50a)や第2印刷装置50bの状態(ステータス)を監視し、印刷可能であるか否かを判別する。その判別結果により、印刷不能と判定した場合は、他方の印刷装置で代替印刷を行う。なお、代替印刷を行う際は、第2印刷データにカラー印刷データが含まれている場合、そのカラー印刷データをモノクロ印刷データに変換して、印刷処理部60に印刷指令を行う。また、端末コンピュータ40から受信した第1印刷データの中から、書誌事項(日時に関する情報など,図9等参照)やトランザクション番号の抽出を行い、第2印刷データにこれらの情報を組み込むなどの処理も行う。
【0041】
また、印刷装置50a,50bは、それぞれデータ格納部80a,80bを有し、この中には、印刷データや各種制御コマンドを一時的に保存する受信バッファ81(図4参照)が設けられている。そして、印刷装置50a,50bは、この受信バッファ81に格納した印刷データや各種制御コマンドによる印刷指令およびコマンド処理指令に基づいて印刷処理やレシート切断処理など各種処理を実行し、図9等に示すレシート(第1印刷データを印刷した用紙)やクーポン(第2印刷データを印刷した用紙)を発行する。
【0042】
図9は、第2印刷データにカラー印刷データが含まれる場合の、第1印刷装置50aにより発行されるレシート61aの一例、および第2印刷装置50bにより発行されるクーポン61bの一例を示している。このように、レシート61aは、トップロゴ、書誌事項、トランザクション番号および決済処理情報(商品名およびその金額、並びに合計金額などを含む)、ボトムロゴ、メッセージ、カットコマンド等から成る第1印刷データに基づいて発行される。また、クーポン61bは、書誌事項、トランザクション番号、広告・販促情報(割引クーポンや当該クーポンを使用する場合にバーコードリーダ44によって読み取られるバーコード、イベント情報等の広告、そのイベントの情報を公開したURL、またそのURLにアクセスするためのQRコードなどを含む)、カットコマンド等から成る第2印刷データに基づいて発行される。なお、第2印刷データにカラー印刷データが含まれない場合は、レシートおよびクーポンが連続して第1印刷装置50aにより発行され、第1印刷データと第2印刷データの境界を示す仕切り線(例えば、点線)が印刷される(図10参照)。第1印刷装置50aから発行されたレシートおよび/またはクーポンは、オペレータによって顧客100に手渡される。また、第2印刷装置50bから発行されるクーポンは、顧客100が直接受け取る。
【0043】
また、第2印刷装置50bは、ディップスイッチやメモリスイッチ等によりカラー印刷モードか、モノクロ印刷モードかのいずれかのモードに設定可能となっている。そして、このモード設定に関する情報をインターフェース装置51が取得し、モノクロ印刷モードに設定されている場合は、第1印刷データおよび第2印刷データの両方を第1印刷装置50aに転送する。また、カラーモードに設定されている場合は、第2印刷データにカラーコマンドが含まれている場合のみ、第2印刷データを第2印刷装置50bに転送する。また、第1印刷データについては、第2印刷装置50bのモード設定や第2印刷データの内容に関わらず、第1印刷装置50aに転送する。すなわち、第1印刷装置50aと第2印刷装置50bでは、その処理速度や処理性能に応じて、優先順位が定められており(本実施形態の場合、第1印刷装置50aが優先)、第2印刷データはその優先順位に応じて適切な印刷装置に転送される。
【0044】
一方、図1に示すように、IPサーバ70は、CPU71(制御装置)の他、ROM72やRAM73等のメモリおよびデータベース78を有し、ROM72内に記憶された制御プログラムにしたがって、RAM73内のバッファ76等に記憶された情報の処理を行う。特にRAM73内には、第1印刷データの内容に応じて第2印刷データを生成するための広告・販促情報テーブルが格納された広告・販促情報ブロック35、生成した第2印刷データを一時的に記憶する第2印刷データブロック36を有しており、CPU71は、端末コンピュータ40からインターフェース装置51を介して受信した第1印刷データに基づいて、対象となる広告・販促情報テーブルを参照し、第2印刷データを生成すると共に、生成した第2印刷データをインターフェース装置51に送信する。また、CPU71は、生成した第2印刷データの生成履歴をデータベース78内に保存する。この生成履歴は、例えば第2印刷データが割引クーポンを印刷するためのデータである場合、割引クーポンの不正発行を行っていないことを証明するための記録として用いられる。
【0045】
次に、POS端末20の装置構成について、図2および図3を参照して説明する。図2(a)は、POS端末20をオペレータによる操作側から見た正面斜視図であり、図2(b)は、これを顧客側から見た背面斜視図である。両図に示すように、POS端末20は、箱形の本体ケース48によってその主体部を成す端末コンピュータ40と、本体ケース48の後部左側に配置される第1印刷装置50aと、本体ケース48とは離間した位置に配置される第2印刷装置50bと、によって構成されている。なお、第1印刷装置50aは、本体ケース48と、また第2印刷装置50bは第1印刷装置50a(インターフェース装置51)とそれぞれケーブル63,67を介して接続されており、図示の配置に限らず、ケーブル長が許す範囲で任意の場所に配置可能となっている。
【0046】
端末コンピュータ40は、本体ケース48の前部上面にオペレータが商品に関する入力情報を入力するキーボード43と、その後部右側にオペレータが入力情報を確認するオペレータ用ディスプレイ42aとを配置し、本体ケース48内にはキャッシュドロア49が収納さている。また、本体ケース48の右側側面には商品に貼付若しくは予め印刷されたバーコードを読みとるためのバーコードリーダ44がケーブルで接続され、左側側面には印刷装置50と接続するための端末インターフェース47を備え、キーボード43の右側には、顧客100から提示されたクレジットカードを読みとるためのカードリーダ用スロット45が形成されている。さらに、本体ケース48の背面側には、顧客100が購入商品名や支払金額等を確認するための顧客用ディスプレイ42bが配置されている。
【0047】
一方、第1印刷装置50aは、その前面側の装着スロット(インターフェース基板スロット)59に、インターフェース装置51が装着されており、インターフェース装置51と端末コンピュータ40とは、端末インターフェース47,ホスト用インターフェース52を介して接続され、インターフェース装置51とIPサーバ70とは、IPサーバ用インターフェース54を介して接続され(接続ケーブルは図示省略)、さらにインターフェース装置51と第2印刷装置50bとは、印刷装置用インターフェース53,第2印刷装置インターフェース57を介して接続されている。また、第1印刷装置50aの上面には、印刷済みの用紙61aが排出されるレシート排出口64aが形成されている。同様に、第2印刷装置50bの上面には、印刷済みの用紙61bが排出されるレシート排出口64bが形成されている。また、これら第1印刷装置50aおよび第2印刷装置50bのレシート排出口64a,64bの近傍には、用紙61a,61bを切断するための用紙カット機構(図示せず)が備えられていて、印刷された用紙61a,61bを切断して、顧客に渡すことができるようになっている。なお、詳細については後述するが、当該用紙カット機構による用紙の切断は、第1印刷データまたは第2印刷データに含まれる用紙カットコマンドの受信に伴って制御・実行される。
【0048】
図3に示すとおり、インターフェース装置51は、その前面側にホスト用インターフェース52と、IPサーバ用インターフェース54と、印刷装置用インターフェース53と、動作表示インジケータ56とが配置されている。動作表示インジケータ56は、インターフェース装置51の動作状態を示すものであり、点灯または点滅するLEDにより構成されている。また、インターフェース装置51は、中央部にCPU91の他、ROM92、RAM93等のメモリ(図6参照)を有する制御基板157を備え、後部に第1印刷装置50a本体(印刷処理部60)と接続するための接続部58(コネクタ)を備えている。そして、ホスト用インターフェース52と、IPサーバ用インターフェース54と、印刷装置用インターフェース53と、接続部58と、動作表示インジケータ56とが、制御基板157とバス接続されている。
【0049】
なお、ホスト用インターフェース52、およびIPサーバ用インターフェース54は、RS−232規格などのシリアルデータ転送、セントロニクス規格などのパラレルデータ転送、イーサネット(登録商標)の10Base−Tなどのネットワーク接続、若しくはUSBなどのデータ転送規格に対応したものを採用することができる(同図では、ホスト用インターフェース52としてUSBを利用し、IPサーバ用インターフェース54として10Base−Tを利用した場合を図示している)。又、前述の複数のインターフェースは、物理的に複数である必要は無く、イーサネット(登録商標)のように、物理的にはコネクタが1つであっても、インターフェース装置51の内部で論理的に複数のインターフェースポートとして識別可能に構成することもできる。
【0050】
また、端末コンピュータ40から受信した第1印刷データは、FTP(File Transfer Protocol)やUDP(User Datagram Protocol)等のプロトコルを採用することによりIPサーバ70へ転送可能である。なお、イーサネット(登録商標)上でFTPを採用した場合、UDPと比較して信頼性が高く、UDPを採用した場合、FTPと比較して転送速度が速いといった特徴がある。
【0051】
次に、端末コンピュータ40、印刷装置50(インターフェース装置51)およびIPサーバ70の機能(本発明の印刷システムの構成)について、図4および図5の機能ブロック図を参照して説明する。
【0052】
図4に示すように、端末コンピュータ40は、第1印刷データを生成する第1印刷データ生成部141と、生成した第1印刷データを送信する第1印刷データ送信部142と、を備えている。第1印刷データ生成部141は、決済処理毎に異なるトランザクション番号(レシート発行No.)を設定して、当該トランザクション番号を含む第1印刷データを生成する。なお、詳細については後述するが、当該トランザクション番号は、インターフェース装置51において、第1印刷データの一部として印刷処理部60に転送されると共に、インターフェース装置51内に保留されて、IPサーバ70から受信した第2印刷データにも組み込まれることとなる。これにより、クーポンにもトランザクション番号が印刷される(図9等参照)。
【0053】
一方、第1印刷装置50aは、主な構成要素として、インターフェース装置51と、印刷処理部60(第1印刷装置50a本体)とを有する。インターフェース装置51は、印刷処理部60や第2印刷装置50bが正常に動作しているか否かのステータスをチェックするステータスチェック部151と、端末コンピュータ40から受信した第1印刷データを印刷処理部60に転送して印刷指令を行うと共に、当該第1印刷データをIPサーバ70に転送する第1印刷データ処理部152と、IPサーバ70から受信した第2印刷データを解析し、その解析結果や、ステータスチェック部151の監視結果に応じて印刷処理部60または第2印刷装置50bに第2印刷データを転送する第2印刷データ処理部153と、これら各部を制御する制御部155と、を備えている。当該制御部155は、後述のCPU91(図6参照)を主な構成要素とするものであり、インターフェース装置51全体を統括制御する。なお、インターフェース装置51の詳細な機能については、図5にて後述する。
【0054】
印刷処理部60は、印刷制御部55、データ格納部80a、および印刷ヘッド(図示せず)を有する印刷部85から成る。データ格納部80aは、印刷データや各種制御コマンドを受信する受信バッファ81を備えている。そして、印刷処理部60は、当該受信バッファ81に保存されたデータを印刷部85に転送できるデータ形式へ展開するなどして、印刷制御を行う。なお、第2印刷装置50bも、第1印刷装置50aの印刷処理部60と同様の構成を有しているが、ここでは説明を省略する。
【0055】
一方、IPサーバ70は、インターフェース装置51からの第1印刷データの受信開始から受信終了(用紙カットコマンド受信)までの間に受信した第1印刷データを分析して、第2印刷データを生成する第2印刷データ生成部171と、生成した第2印刷データをインターフェース装置51に送信する第2印刷データ送信部172と、を備えている。
【0056】
第2印刷データ生成部171は、インターフェース装置51からの第1印刷データを受信すると、広告・販促情報テーブル(広告・販促情報ブロック74,図1参照)を参照して第2印刷データを生成する。具体的には、第1印刷データに含まれる商品コード(または商品名)と、第2印刷データを生成するための広告・販促情報データ(または各広告・販促情報データを特定する広告・販促情報コード)とが関連づけられて記憶されている広告・販促情報テーブルから、第1印刷データに含まれる商品コードと関連する広告・販促情報データを全て抽出し、当該抽出した広告・販促情報データを抽出順に合成(列記)することで、第2印刷データを生成する。なお、第1印刷データに含まれる商品コードと関連する広告・販促情報データが存在しない場合、第2印刷データ送信部172は、第2印刷データを生成せず、その旨のステータスデータ(非送信ステータスデータ)をインターフェース装置51に送信する。
【0057】
次に、図5を参照し、インターフェース装置51の機能について詳細に説明する。同図に示すように、インターフェース装置51のステータスチェック部151は、各印刷装置50a,50bが元々持っている機能(自身の内部状態(ステータス)を端末コンピュータ40に送信する機能)を利用し、ステータスを監視する。また、このステータスを拾うのではなく、定期的にステータス確認のためのコマンドを各印刷装置50a,50bに送信し、その応答によってステータスを監視するようにしても良い。なお、監視するステータスとしては、「用紙切れでないか」、「紙詰まりを起こしていないか」、「インク切れ、トナー切れでないか」、「電源がON状態か」、「(プリンタカバーを有する印刷装置の場合)カバーが開いていないか」などのエラーチェック項目が挙げられる。
【0058】
また、インターフェース装置51の第1印刷データ処理部152は、端末コンピュータ40から受信した第1印刷データに含まれるトランザクション番号を保留するトランザクション番号保留部201と、同じく第1印刷データに含まれる用紙カットコマンドを保留する用紙カットコマンド保留部202と、IPサーバ70から第2印刷データを受信するか否かを判別する受信判別部203と、受信判別部203の判別結果等に応じて、第1印刷データに所定のメッセージを組み込むメッセージ組み込み部204と、受信した第1印刷データをそのまま或いは所定の加工を施して印刷処理部60およびIPサーバ70に転送する第1印刷データ転送部205と、を備えている。
【0059】
トランザクション番号保留部201は、印刷処理部60に転送する第1印刷データの中からトランザクション番号と書誌事項を抽出し、これをコピーして保留する。したがって、第1印刷データ転送部205により印刷処理部60に転送される第1印刷データの中にも、トランザクション番号および書誌事項は残されたままである(図9等参照)。
【0060】
用紙カットコマンド保留部202は、印刷処理部60に転送する第1印刷データの中から用紙カットコマンドを抽出し、これを切り取って保留するものである。通常、レシート印刷装置のように、用紙の長さが決済処理情報量に応じて変わる印刷装置では、印刷の終端を示す所定のコードが必要となり、用紙カットコマンドが一トランザクションの印刷データの末尾に付加されるため、本実施形態の場合でも、第1印刷データの最後に用紙カットコマンドが含まれている。したがって、第1印刷データを受信した場合(ホスト用インターフェース52からデータを受信した場合)は、この用紙カットコマンドを検索・抽出する。なお、当該用紙カットコマンド保留部202で保留しておいた用紙カットコマンドは、第2印刷データの解析結果に応じて、後述する用紙カットコマンド付加部211,221により処理される。
【0061】
受信判別部203は、IPサーバ70から非送信ステータスまたは第2印刷データそのものを受信することにより、第2データを受信するか否かを判別する。なお、IPサーバ70から非送信ステータスを受信するのではなく、所定時間内に第2印刷データを受信しない場合は、第2印刷データが印刷されないものと判定しても良い。
【0062】
メッセージ組み込み部204は、受信判別部203により第2データが送信されると判定された場合であって、且つ後述するデータ解析部206により第2印刷データにカラーコマンドが含まれる場合、クーポンが発行される旨(「クーポンが発行されます」等)のメッセージ(図9等参照)を印刷するためのメッセージ印刷データを第1印刷データに組み込む。これは、第2印刷データにカラーコマンドが含まれる場合、第2印刷装置50bからクーポンが発行されるため、オペレータや顧客100に対し、取り忘れがないように促すためである。
【0063】
第1印刷データ転送部205は、保留しておいた用紙カットコマンドを第1印刷データに付加する用紙カットコマンド付加部211と、印刷処理部60が使用不可状態である場合、第2印刷装置50bにデータを転送する振り替え転送部212と、を有している。用紙カットコマンド付加部211は、後述するデータ解析部206により第2印刷データにカラーコマンドが含まれると解析された場合、その時点で印刷処理部60に用紙カットコマンドを転送する。なお、この時点で、第1印刷データの転送が終了していない場合は、第1印刷データの最後に用紙カットコマンドを組み込む。また、振り替え転送部212は、ステータスチェック部151の監視結果から、印刷処理部60が使用不可状態にあると判定した場合、当該印刷処理部60に転送すべき第1印刷データを、第2印刷装置50bに転送する。この場合、第2印刷装置50bは、第2印刷データにカラーコマンドが含まれるか否かに関わらず、レシートとクーポンを分断した状態で発行する(図11参照)。
【0064】
一方、インターフェース装置51の第2印刷データ処理部153は、IPサーバ70から受信した第2印刷データのコマンドを解析するコマンド解析部206と、コマンド解析部206の解析結果に基づいて、第2印刷データが第1印刷装置50aで印刷可能であるか否かを判別するデータ判別部207と、トランザクション番号保留部201で保留しておいたトランザクション番号を第2印刷データに組み込むトランザクション番号組み込み部208と、カラー印刷データを振り替え転送する必要が生じた場合、カラー印刷データをモノクロ印刷データに変換するデータ変換部209と、所定の加工を施した第2印刷データを印刷処理部60または第2印刷装置50bに転送する第2印刷データ転送部210と、を備えている。
【0065】
コマンド解析部206は、第2印刷データに含まれるコマンドを解析し、その中にカラーコマンドが含まれている場合、第2印刷データはカラー印刷データであると判定する。なお、カラーコマンドは、そのパラメータによって、第1色や第2色、或いはY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)等の特定の色を指定し、それに続くデータは、次のカラーコマンドが送信されるまで指定された色として解釈される。また、テキストデータの場合は、文字や行などの所定の単位ごとにデータを区切り、そのデータにカラーコマンドを付加して送信する。なお、行単位でデータを送信する場合であって、同じ行で色が混在する場合は、一行の中で、改行をしないで重ね打ちするように、同一行の各色のデータを送信する。また、ビットイメージの場合は、イメージを適当なサイズに分割して(例えば、用紙の送り方向に所定の範囲で)、各色のデータを送信する。この場合、印刷処理部60や第2印刷装置50b内では、各色のデータを合成して印刷することとなる。
【0066】
データ判別部207は、コマンド解析部206の解析結果に応じて、第2印刷データにカラーコマンドが含まれていると判定した場合、当該第2印刷データはモノクロ印刷装置である第1印刷装置50aで印刷できないと判定する。したがって、第2印刷データにカラーコマンドが含まれている場合は、この判定に基づき、第2印刷データ転送部210において、第2印刷装置50bに第2印刷データを転送することとなる。
【0067】
トランザクション番号組み込み部208は、トランザクション番号保留部201で保留しておいたトランザクション番号および書誌事項を、第2印刷データの所定位置に組み込む。トランザクション番号および書誌事項の組み込み位置は、それぞれ予め定められている所定位置であるが、本実施形態では、よりトランザクション番号を目立たせるため、文字の大きさを拡大して組み込む(図9参照)。なお、このとき、文字サイズだけでなく、文字色を変更したり、文字に所定の装飾を施すことも可能である。
【0068】
データ変換部209は、コマンド解析部206で、第2印刷データにカラーコマンドが含まれていると判定された場合であって、ステータスチェック部151の監視結果から、第2印刷装置50bが印刷不可能であると判定された場合、第2印刷データのカラー印刷データをモノクロ印刷データに変換するものである。この色変換は、カラーコマンドの削除、または書き換えによって実現する。
【0069】
第2印刷データ転送部210は、第2印刷データの最後に用紙カットコマンドを付加する用紙カットコマンド付加部221と、第2印刷データの先頭に、仕切り線を印刷するための仕切り線印刷データを付加する仕切り線印刷データ付加部222と、第2印刷データの転送先となる印刷装置(印刷処理部60または第2印刷装置50b)が使用不可状態である場合、他方の印刷装置にデータを転送する振り替え転送部223と、を有している。
【0070】
用紙カットコマンド付加部221は、用紙カットコマンド保留部201で保留しておいた用紙カットコマンドを、第2印刷データの最後に付加する。また、仕切り線印刷データ付加部222は、データ判別部207によって第2印刷データが印刷処理部60で印刷可能と判定された場合に、第1印刷データと第2印刷データとの境目を明確にすべく、第2印刷データの先頭に、点線を印刷するための仕切り線印刷データを付加する。また、振り替え転送部223は、コマンド解析部206の解析結果に応じて決定された第2印刷データの転送先が、ステータスチェック部151の監視結果により使用不可状態と判定された場合、他方の印刷装置に振り替えて第2印刷データを転送する。
【0071】
以上の構成により、制御部155は、端末コンピュータ40から第1データを受信すると、第1印刷データ転送部205により、端末コンピュータ40から受信した第1データを、そのまま(メッセージ無し、用紙カットコマンド付き)IPサーバ70に転送すると共に、トランザクション番号保留部201および用紙カットコマンド保留部202により、印刷処理部60に転送する第1印刷データの中からトランザクション番号、書誌事項および用紙カットコマンドを抽出して保留しておく。また、受信判別部203の判別結果に応じて、メッセージ組み込み部204により第1印刷データに所定のメッセージを組み込み、第1印刷データ転送部205により第1印刷データを印刷処理部60に転送する。このとき、ステータスチェック部151により印刷処理部60が使用不可状態であると判定された場合、第1印刷データを第2印刷装置50bに転送する。また、制御部155は、IPサーバ70から第2データを受信すると、コマンド解析部206により第2印刷データのコマンドを解析し、その解析結果に基づいてデータ判別部207により第2印刷データが第1印刷装置50aで印刷可能であるか否かを判別する。また、制御部155は、トランザクション番号組み込み部208、データ変換部209および第2印刷データ転送部210により、第2印刷データの色変換の他、トランザクション番号、仕切り線印刷データ、用紙カットコマンド等を付加するなど所定の加工を施し、データ判別部207の判別結果に応じた転送先(印刷処理部60または第2印刷装置50b)に第2印刷データを転送する。このとき、ステータスチェック部151により、転送先となる印刷処理部60または第2印刷装置50bが使用不可状態であると判定された場合は、他方の印刷装置に第2印刷データを振替転送する。
【0072】
次に、図6の制御ブロック図を参照し、インターフェース装置51の制御構成について説明する。同図に示すように、インターフェース装置51は、上記のホスト用インターフェース52、IPサーバ用インターフェース54、印刷装置用インターフェース53および接続部58の他、動作表示インジケータ56、CPU91、ROM92、RAM93を有し、互いに内部バス94により接続されている。動作表示インジケータ56は、LEDにより構成され、インターフェース装置51において何らかの処理が行われている場合点灯し、インターフェース装置51にエラーが生じた場合、点滅するようになっている。
【0073】
ROM92は、CPU91で処理する制御プログラムを記憶する制御プログラムブロック92aの他、各種テーブルを含む制御データを記憶する制御データブロック92bを有している。なお、第2印刷データが印刷される(クーポンが発行される)旨のメッセージを印刷するためのメッセージ印刷データ、並びに仕切り線印刷データは、当該制御データブロック92bに記憶されている。
【0074】
RAM93は、フラグ等として使用される各種ワークエリアブロック94の他、端末コンピュータ40から受信した第1印刷データを記憶する第1印刷データブロック95と、第1印刷データの中から抽出したトランザクション番号を記憶するトランザクション番号ブロック96と、第1印刷データの中から抽出した用紙カットコマンドを記憶する用紙カットコマンドブロック97と、印刷処理部60や第2印刷装置50bの監視結果である印刷装置ステータスを記憶する印刷装置ステータスブロック98と、IPサーバ70から受信した第2印刷データを記憶する第2印刷データブロック99と、を有し、制御処理のための作業領域として使用される。
【0075】
また、内部バス94は、ホスト用インターフェース52、IPサーバ用インターフェース54、印刷装置用インターフェース53および接続部58から、第1印刷データ、第2印刷データ、印刷装置ステータス等の入力データを取り込むと共に、CPU91等から出力されたデータや制御信号を、上記の各インターフェース52,54,53,58を介して、端末コンピュータ40、IPサーバ70、第2印刷装置50b、印刷処理部60等に出力する。
【0076】
そして、CPU91は、上記の構成により、ROM92内の制御プログラムに基づいて、インターフェース装置51内の各部から各種信号・データ等を入力し、RAM93内の各種データ等を処理すると共に、各部に各種信号・データ等を出力することにより、印刷データの転送(送受信)を行うなど、インターフェース装置51全体を制御している。
【0077】
次に、図7および図8のフローチャートを参照し、主に上記のCPU91によって制御されるインターフェース装置51の処理について説明する。図7は、ホスト用インターフェース52からのデータ受信をトリガとする処理を示し、図8は、IPサーバ用インターフェース54からのデータ受信をトリガとする処理を示すものである。なお、インターフェース装置51は、第1印刷データおよび第2印刷データのいずれも、行単位でデータを受信・解析するものとする。また、説明を分かり易くするため、ステータスチェック部151(図4参照)の監視結果は、印刷処理部60、第2印刷装置50b共に、印刷可能状態であるものとする。
【0078】
図7に示すように、CPU91は、ホスト用インターフェース52からデータを受信すると(S00)、これを第1印刷データの行データであると判断して第1印刷データブロック95に一時的に格納し、その行データにトランザクション番号が含まれるか否かを判別する(S01)。トランザクション番号が含まれるか否かは、ワイルドカード等による文字列検索、若しくはトランザクション番号に特定のコマンドが付加されている場合、その特定のコマンドの有無により判別可能である。ここで、トランザクション番号が含まれると判定した場合は(S01:Yes)、トランザクション番号をトランザクション番号ブロック96に保留し(S02)、その行データを印刷処理部60およびIPサーバ70へ転送する(S03)。
【0079】
一方、トランザクション番号が含まれないと判定した場合は(S01:No)、その行データに用紙カットコマンドが含まれるか否かを判別する(S04)。当該判別は、コマンドが一致するか否かによって判別する。ここで、用紙カットコマンドが含まれないと判定した場合は(S04:No)、その行データをそのまま印刷処理部60およびIPサーバ70へ転送する(S03)。また、用紙カットコマンドが含まれると判定した場合は(S04:Yes)、用紙カットコマンドを用紙カットコマンドブロック97に保留し(S05)、その行データをIPサーバ70へ転送する(S03)。
【0080】
続いて、図8のフローチャートを説明する。CPU91は、IPサーバ用インターフェース54からデータを受信すると(S10)、そのデータが、IPサーバ70から第2印刷データが送信されないことを示す非送信ステータスであるか否かを判別する(S11)。当該判別は、ステータスコマンドが一致するか否かによって判別する。ここで、非送信ステータスであると判定した場合は(S11:Yes)、用紙カットコマンドブロック97に保留しておいた用紙カットコマンドを印刷処理部60に転送し(S12)、処理を終了する。この場合は、図9に示すレシート(61a)のみが、第1印刷装置50aから発行され、クーポンは発行されない(第2印刷データは印刷されない)。
【0081】
また、非送信ステータスでないと判定した場合は(S11:No)、第2印刷データの行データであると判断して第2印刷データブロック99に格納する。また、第2印刷データを受信完了したか否かを判別し(S13)、完了した場合は(S13:Yes)、第2印刷データの所定位置に、書誌事項とトランザクション番号を印刷するためのデータを組み込む(S14)。第2印刷データの受信完了(S13)は、バーコードデータの受信(図9参照)により判別可能である。なお、本実施形態の場合、第2印刷データの先頭(広告・販促情報の前)に、書誌事項、トランザクション番号の順でデータ組み込むため(図9参照)、データの完了を待たず、第2印刷データの最初の行データを受信したとき、その前に書誌事項とトランザクション番号を印刷するためのデータを組み込んで、第2印刷データブロック99に格納するようにしても良い。また、S14では、トランザクション番号を顧客やオペレータに対して明確に示すべく、トランザクション番号については、フォントサイズを拡大してデータを組み込む。また、書誌事項およびトランザクション番号は、いずれもモノクロ印刷データであるものとする。
【0082】
データの組み込みを完了すると(S14)、第2印刷データブロック99に格納しておいた第2印刷データのコマンドを解析し、第2印刷データにカラーコマンドが含まれるか否かを判別する(S15)。なお、当該判別は、第2印刷データの受信完了を待たなくとも、行データの受信毎に行っても良い。
【0083】
ここで、第2印刷データにカラーコマンドが含まれると判定した場合は(S16:Yes)、制御データブロック92bに記憶されているメッセージ印刷データと用紙カットコマンドブロック97に保留しておいた用紙カットコマンドを印刷処理部60に転送すると共に、第2印刷データの最後にも用紙カットコマンドを付加して第2印刷装置50bに転送し(S16)、処理を終了する。この場合の印刷結果は、図9に示す通りであり、第1印刷装置50aからレシート61aが、また第2印刷装置50bからクーポン61b(カラー印刷されている)が発行される。
【0084】
また、第2印刷データにカラーコマンドが含まれないと判定した場合は(S15:No)、第2印刷データの先頭に、制御データブロック92bに記憶されている仕切り線印刷データを付加し、さらに第2印刷データの最後に、用紙カットコマンドブロック97に保留しておいた用紙カットコマンドを付加して印刷処理部60に転送し(S17)、処理を終了する。この場合の印刷結果は、図10に示す通りであり、第1印刷装置50aからクーポン付きレシート61a(全てモノクロカ印刷されている)が発行される。また、このようにレシートとクーポン(第1印刷データと第2印刷データ)が連続して印刷される場合は、クーポンが発行される場合でも、その旨のメッセージを印刷しない。
【0085】
なお、図7のフローチャートでは、端末コンピュータ40より受信した第1印刷データは、行データ毎に印刷処理部60やIPサーバ70に転送するものとしたが、インターフェース装置51が全ての第1印刷データを第1印刷データブロック95内に受信した後、転送を行うようにしても良い。また、IPサーバ70からの非送信ステータス、または第2印刷データの受信まで、第1印刷データの転送を行わず、これらの受信を待って、メッセージ印刷データを組み込むか否かを判別し、その判別結果に応じて加工を施した第1印刷データを転送するようにしても良い。
【0086】
また、上記の例では、ステータスチェックの監視結果が、印刷処理部60、第2印刷装置50b共に、印刷可能状態であるものとしたが、仮に印刷処理部60が使用不可状態である場合であって、第2印刷データにカラーコマンドが含まれている場合、図11に示すように、第1印刷データおよび第2印刷データ共に、第2印刷装置50bから発行されることとなる(用紙61b)。この場合、第1印刷装置50aへ転送されるべき第1印刷データが、第2印刷装置50bへ転送されてしまうため、第1印刷データと第2印刷データとが分断された状態で印刷される。また、第2印刷データにカラーコマンドが含まれていない場合は、図10に示すように第1印刷データと第2印刷データとが連続した状態で第2印刷装置50bにより印刷される。
【0087】
さらに、第2印刷装置50bが使用不可状態である場合であって、第2印刷データにカラーコマンドが含まれている場合、図9や図11に示すように、第1印刷データと第2印刷データとが分断された状態で印刷され、第2印刷データはモノクロ印刷データに変換される。なお、第2印刷データにカラーコマンドが含まれない場合は、第2印刷装置50bによる印刷は行われないため、使用不可状態であっても支障はない(図10に示すように第1印刷装置50aからレシートおよびクーポンが発行される)。
【0088】
以上、説明したとおり、本実施形態によれば、インターフェース装置51が、IPサーバ70から受信した第2印刷データを解析し、当該第2印刷データが第1印刷装置50aで印刷可能である、すなわちモノクロ印刷データのみであると判定した場合は、印刷処理部60(第1印刷装置50a)に第2印刷データを転送し、印刷処理部60で印刷不可能である、すなわちカラーコマンドが含まれると判定した場合は、第2印刷装置50bに第2印刷データを転送するため、第1印刷データだけでなく、可能な限り第2印刷データもモノクロプリンタである第1印刷装置50aで印刷させることができる。このように、通常は比較的印刷速度の速い第1印刷装置50aを優先的に利用することで、第1印刷データと第2印刷データの印刷処理に要する全体のタクトタイムを短縮することができ、ひいては、顧客100に対し効率良く広告・販促情報を提供することができる。
【0089】
また、インターフェース装置51は、第1印刷装置50aの装着スロット59(図1参照)に着脱可能に構成されており、IPサーバ70への第1印刷データの転送も行い得るため、インターフェース装置51を装着するだけで、端末コンピュータ40の改造やPOSアプリケーション146の変更を必要とすることなく、広告・販促情報チケットを発行する機能を追加することができ、容易に本実施形態のPOSシステム10を構築することができる。
【0090】
また、インターフェース装置51は、第2印刷データを印刷処理部60に転送する場合、第2印刷データの後端に用紙カットコマンドを付加するため、第1印刷データと第2印刷データとを連続して印刷し、さらに自動的に用紙カット機構により用紙61aの後端をカットさせることができる。これにより、オペレータは、自動カットされた1枚の用紙だけを顧客100に渡せば良いため、オペレータの負荷を減らすことができる。また、第2印刷データを第2印刷装置50bに転送する場合、用紙カットコマンドのみを印刷処理部60に転送し、さらに第2印刷データの後端に、用紙カットコマンドを付加するため、2つの印刷装置で印刷を行う場合でも、用紙カット機構により適切に自動カットされた用紙61a,61bを、それぞれ両方の印刷装置50a,50bから発行させることができる。
【0091】
また、インターフェース装置51は、書誌事項やトランザクション番号を含む第1印刷データを印刷処理部60に転送すると共に、当該第1印刷データに含まれる書誌事項やトランザクション番号を抽出して、これらを一時的に保留しておき、IPサーバ70から受信した第2印刷データに書誌事項やトランザクション番号を印刷するためのデータを組み込むため、第1印刷データと、第2印刷データとが別々の印刷装置で印刷される場合や同じ印刷装置で印刷されても両データが分断された状態で印刷される場合、第1印刷データが印刷された用紙と、第2印刷データが印刷された用紙とを、トランザクション番号によって対応付けすることができる。これにより、第2印刷装置50bが第1印刷装置50aから離間した位置に配置され、第2印刷装置50bから発行される用紙(広告・販促情報)を顧客100が受け取るような本実施形態の構成であっても、トランザクション番号が一致するか否かを確認することで、顧客100が誤って他人の用紙を受け取ることやオペレータが誤って違う顧客に渡すことを防止することができる。
【0092】
また、印刷処理部60および第2印刷装置50bのステータスをチェックし、いずれかが正常に動作していないと判定した場合、他の印刷装置に振り替えて印刷データを転送するため、印刷処理部60または第2印刷装置50bのいずれかに不具合があった場合でも、支障なく第1印刷データと第2印刷データの印刷処理を実行することができる。また、第2印刷データにカラーコマンドが含まれる場合であって、振り替え先の印刷装置がモノクロ印刷装置である場合は、カラー印刷データをモノクロ印刷データに変換するため、モノクロ印刷データとして処理することができる。
【0093】
また、インターフェース装置51は、第2印刷データにカラーコマンドが含まれる場合、クーポンを発行する旨のメッセージを第1印刷データに組み込んで印刷するため、オペレータや顧客100は、当該メッセージから第2印刷データが発行されることを知ることができる。また、これにより、オペレータや顧客のクーポン取り忘れを防止することができる。
【0094】
なお、上記の実施形態では、第1印刷装置50aと第2印刷装置50bの2つの印刷装置を利用する場合を例示したが、3つ以上の印刷装置を利用しても良い。また、この場合、印刷装置に優先順位を付けておき、その優先順位に従って第2印刷データを転送するようにしても良い。また、3つ以上の印刷装置を利用する場合は、第1印刷装置が使用不可状態である場合に、第n印刷装置を利用し、第2印刷装置が使用不可状態である場合に、第m印刷装置を利用するなど、振り替え印刷を行う印刷装置を予め定めておいても良い。
【0095】
また、上記の実施形態では、モノクロ印刷装置の第1印刷装置50aと、カラー印刷装置の第2印刷装置50bを用いた場合を例示したが、第1印刷データや第2データの種類や内容に応じて、例えば2色以下の印刷を行うものを第1印刷装置50aに設定し、3色以上の印刷が可能であるものを第2印刷装置50bに設定するなど、適宜変更も可能である。但し、第1印刷装置50aは、第2印刷装置50bと比べて処理速度が速いこと、ランニングコストが低いこと、等の条件を満たすことが好ましい。
【0096】
また、上記の実施形態では、インターフェース装置51が、第1印刷データをIPサーバ70に転送するものとしたが、従来のPOSシステムのように、POSサーバ30若しくは端末コンピュータ40からIPサーバ70に第1印刷データを転送する構成としても良い。
【0097】
また、上記の実施形態では、POSアプリケーション146にて生成される第1印刷データの中に用紙カットコマンドが含まれているものとしたが、POSアプリケーション146が用紙カットコマンドを含まない第1印刷データを生成するような場合、プリンタドライバ147またはインターフェース装置51で第1印刷データの最後に用紙カットコマンドを付加するようにしても良い。
【0098】
また、上記の実施形態では、第1印刷データから抽出した書誌事項とトランザクション番号とを、第2印刷データに組み込むものとしたが(図9等参照)、第1印刷データに、個人情報(端末コンピュータ40のカードリーダ45(図1参照)で、会員カードやクレジットカード等を読み取った読み取り結果など)が含まれている場合は、その個人情報を抽出して、第2印刷データに組み込むようにしても良い。この構成によれば、顧客100の用紙取り間違えをより効果的に防止することができる。
【0099】
また、上記の実施形態では、印刷処理部60が使用不可状態であって、第2印刷データにカラーコマンドが含まれる場合、第1印刷データと第2印刷データとが分断された状態で印刷されるものとしたが(図11参照)、このように印刷装置のステータス監視結果に基づいて、同じ印刷装置から両データを印刷するような場合は、第1印刷データに用紙カットコマンドを付加せず、両データを連続した状態で印刷するようにしても良い。なお、この場合も、第1印刷データと第2印刷データとの境界に仕切り線を印刷することが好ましい。また、この場合、メッセージの印刷を省略するようにしても良い。
【0100】
また、上記の実施形態では、本発明の印刷システムをPOSシステム10に適用した例を示したが、特性の異なる2つのデータ受信可能なインターフェース装置と、当該インターフェース装置を介して取得したデータの印刷処理を行う複数の印刷装置と、を少なくとも有する印刷システムであれば、本発明は適用可能である。すなわち、第1印刷データおよび第2印刷データの種類や内容、並びにこれらのデータを提供する端末の種類は問わない。
【0101】
また、上記の実施形態では、インターフェース装置51が、2つの受信用通信ポート(端末コンピュータ40と接続されるホスト用インターフェース52およびIPサーバ70と接続されるIPサーバ用インターフェース54)を有するものとしたが、ハブ等を介し、1つの通信ポートから第1印刷データおよび第2印刷データを受信するようにしても良い。この場合、各ホスト装置(端末コンピュータ40および/またはIPサーバ70)にIDを設定し、そのIDを各印刷データに付加してインターフェース装置51に送信することで、インターフェース装置51は取得した印刷データがいずれのデータであるかを判別することができる。また、通常、第1印刷データには、用紙カットコマンドが付加されているため、これを検出した場合には第1印刷データと判定し、検出しない場合は第2印刷データと判定する方法を用いても良い。
【0102】
また、インターフェース装置51に代えて、端末コンピュータ40、IPサーバ70および第2印刷装置50bと接続される3つの通信ポート(インターフェース)を有するアダプタ装置(接続デバイス)により、インターフェース装置51における機能を実行させることも可能である。
【0103】
また、上記の両実施形態に示した、インターフェース装置51における各機能(各手段)をプログラムとして提供することも可能である。また、そのプログラムを記憶媒体(図示省略)に格納し、パーソナルコンピュータ等にインストールすることで、本実施形態に示すPOSシステム10以外でも、本発明を実現可能である。記録媒体としては、CD−ROM、フラッシュROM、メモリカード(コンパクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディア、メモリースティック等)、コンパクトディスク、光磁気ディスク、デジタルバーサタイルディスクおよびフレキシブルディスク等を利用することができる。
【0104】
また、上記の実施例によらず、例えばシステム構成や装置構成等について、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の一実施形態に係るPOSシステムの構成図である。
【図2】POS端末の外観斜視図である。
【図3】インターフェース装置の外観斜視図である。
【図4】端末コンピュータ、IPサーバおよび印刷装置の機能ブロック図である。
【図5】インターフェース装置の機能ブロック図である。
【図6】インターフェース装置の制御ブロック図である。
【図7】インターフェース装置における、ホスト用インターフェースからデータを受信した場合の処理を示すフローチャートである。
【図8】インターフェース装置における、IPサーバ用インターフェースからデータを受信した場合の処理を示すフローチャートである。
【図9】レシートおよびクーポンの印刷結果の一例を示す図である。
【図10】レシートおよびクーポンの印刷結果の他の一例を示す図である。
【図11】レシートおよびクーポンの印刷結果の他の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0106】
10:POSシステム,20:POS端末,30:POSサーバ,40:端末コンピュータ,50a:第1印刷装置,50b:第2印刷装置,51:インターフェース装置,60:印刷処理部(第1印刷装置本体),61:用紙,70:IPサーバ,141:第1印刷データ生成部,142:第1印刷データ送信部,151:ステータスチェック部,152:第1印刷データ処理部,153:第2印刷データ処理部,155:制御部,171:第2印刷データ生成部,172:第2印刷データ送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
決済処理に関する決済処理情報を用紙上に印刷し、レシートを作成するための第1印刷データを生成する端末コンピュータと、
前記決済処理情報を分析し、その分析結果に基づいて生成される広告・販促情報を用紙上に印刷するための第2印刷データを、前記決済処理毎に生成する情報提供サーバと、
前記第1印刷データおよび前記第2印刷データを受信可能な通信ポートを搭載したインターフェース装置と、
前記インターフェース装置を介して取得したデータの印刷処理を行う複数の印刷装置と、を少なくとも有する印刷システムであって、
前記端末コンピュータは、
前記決済処理毎に異なるトランザクション番号を設定して、当該トランザクション番号を含む前記第1印刷データを生成する第1印刷データ生成部と、
生成した前記第1印刷データを前記インターフェース装置に送信する第1印刷データ送信部と、を有し、
前記情報提供サーバは、
前記決済処理情報を分析して前記広告・販促情報を付加すべき情報が含まれているか否かを検索し、含まれている場合、前記第2印刷データを生成する第2印刷データ生成部と、
生成した前記第2印刷データを前記インターフェース装置に送信する第2印刷データ送信部と、を有し、
前記インターフェース装置は、
前記端末コンピュータから受信した前記トランザクション番号を含む前記第1印刷データを、前記複数の印刷装置の中の所定の印刷装置である第1印刷装置に転送すると共に、当該トランザクション番号を抽出して、これを一時的に保留する第1印刷データ処理部と、
前記情報提供サーバから受信した前記第2印刷データに、前記トランザクション番号を印刷するためのデータを組み込んで、前記第1印刷装置以外の第2印刷装置に転送する第2印刷データ処理部と、を有することを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記インターフェース装置は、前記第1印刷装置に装着され、当該第1印刷装置以外の印刷装置と通信を行うための通信ポートを有していることを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記第1印刷データ処理部は、前記トランザクション番号と共に、前記第1印刷データに含まれる所定のデータを一時的に保留し、
前記第2印刷データ処理部は、前記トランザクション番号を印刷するためのデータと共に、前記所定のデータを印刷するためのデータを前記第2印刷データに組み込むことを特徴とする請求項1または2に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記第1印刷データ処理部は、前記情報提供サーバから前記第2印刷データを受信するか否かを判別し、受信すると判定した場合、その旨のメッセージを印刷するためのデータを、前記第1印刷データに組み込むことを特徴とする請求項1、2または3に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記第1印刷データは、前記用紙の切断を指令する用紙カットコマンドを含むと共に、前記第1印刷装置および前記第2印刷装置は、前記用紙カットコマンドの受信に伴って前記用紙を切断する用紙カット機構を備え、
前記第1印刷データ処理部は、前記端末コンピュータから受信した前記第1印刷データの中から、前記用紙カットコマンドを検出したとき、これを抽出して一時的に保留し、
前記第2印刷データ処理部は、前記第2印刷データの後端に前記用紙カットコマンドを付加して前記第2印刷装置に転送することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の印刷システム。
【請求項6】
前記インターフェース装置は、
前記複数の印刷装置が正常に動作しているか否かのステータスを監視するステータスチェック部をさらに有し、
前記第1印刷データ処理部および/または前記第2印刷データ処理部は、前記ステータスチェック部の監視結果に基づいて、前記第1印刷装置および/または前記第2印刷装置が正常に動作していないと判定した場合、他の印刷装置に振り替えて印刷データを転送することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の印刷システム。
【請求項7】
前記第1印刷データ処理部および/または前記第2印刷データ処理部は、振り替える印刷データがカラー印刷データであり、且つ振り替え先の印刷装置がカラー印刷に対応していない場合、前記カラー印刷データをモノクロ印刷データに変換することを特徴とする請求項6に記載の印刷システム。
【請求項8】
前記第1印刷データ処理部は、前記端末コンピュータから受信した前記第1印刷データを、前記通信ポートを介して前記情報提供サーバに転送し、
前記第2印刷データ生成部は、前記インターフェース装置から転送された前記第1印刷データに含まれる前記決済処理情報を分析することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の印刷システム。
【請求項9】
トランザクション番号付きの第1印刷データ、並びに出力対象となる印刷装置が特定されていない第2印刷データを受信可能な通信ポートを搭載したインターフェース装置と、
前記インターフェース装置を介して取得したデータの印刷処理を行う複数の印刷装置と、を少なくとも有する印刷システムであって、
前記インターフェース装置は、
受信した前記トランザクション番号を含む前記第1印刷データを、前記複数の印刷装置の中の所定の印刷装置である第1印刷装置に転送すると共に、当該トランザクション番号を抽出して、これを一時的に保留する第1印刷データ処理部と、
受信した前記第2印刷データに、保留しておいた前記トランザクション番号を印刷するためのデータを組み込んで、前記第1印刷装置以外の第2印刷装置に転送する第2印刷データ処理部と、を有することを特徴とする印刷システム。
【請求項10】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の印刷システムと、
複数の前記端末コンピュータと接続され、これら複数の端末コンピュータを統括制御するPOSサーバと、によって構成されることを特徴とするPOSシステム。
【請求項11】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の印刷システムにおける前記インターフェース装置として機能すると共に、前記複数の印刷装置と通信を行うための通信ポートを有していることを特徴とする接続デバイス。
【請求項12】
決済処理に関する決済処理情報を用紙上に印刷し、レシートを作成するための第1印刷データを生成する端末コンピュータと、
前記決済処理情報を分析し、その分析結果に基づいて生成される広告・販促情報を用紙上に印刷するための第2印刷データを、前記決済処理毎に生成する情報提供サーバと、
前記第1印刷データおよび前記第2印刷データを受信可能な通信ポートを搭載したインターフェース装置と、
前記インターフェース装置を介して取得したデータの印刷処理を行う複数の印刷装置と、を少なくとも有する印刷システムの制御方法であって、
前記端末コンピュータが、前記決済処理毎に異なるトランザクション番号を設定して、当該トランザクション番号を含む前記第1印刷データを生成し、前記インターフェース装置に送信するステップ、
前記インターフェース装置が、前記端末コンピュータから受信した前記トランザクション番号を含む前記第1印刷データを、前記複数の印刷装置の中の所定の印刷装置である第1印刷装置に転送すると共に、当該トランザクション番号を抽出して、これを一時的に保留するステップ、
前記情報提供サーバが、前記決済処理情報を分析して前記広告・販促情報を付加すべき情報が含まれているか否かを検索し、含まれている場合、前記第2印刷データを生成し、前記インターフェース装置に送信するステップ、
前記インターフェース装置が、前記情報提供サーバから受信した前記第2印刷データに、前記トランザクション番号を印刷するためのデータを組み込んで、前記第1印刷装置以外の第2印刷装置に転送するステップ、を実行することを特徴とする印刷システムの制御方法。
【請求項13】
トランザクション番号付きの第1印刷データ、並びに出力対象となる印刷装置が特定されていない第2印刷データを受信可能な通信ポートを搭載したインターフェース装置と、
前記インターフェース装置を介して取得したデータの印刷処理を行う複数の印刷装置と、を少なくとも有する印刷システムの制御方法であって、
前記インターフェース装置が、
受信した前記トランザクション番号を含む前記第1印刷データを、前記複数の印刷装置の中の所定の印刷装置である第1印刷装置に転送すると共に、当該トランザクション番号を抽出して、これを一時的に保留するステップ、
受信した前記第2印刷データに、保留しておいた前記トランザクション番号を印刷するためのデータを組み込んで、前記第1印刷装置以外の第2印刷装置に転送するステップ、を実行することを特徴とする印刷システムの制御方法。
【請求項14】
コンピュータに、請求項12または13に記載の印刷システムの制御方法における各ステップを実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−323445(P2006−323445A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−143545(P2005−143545)
【出願日】平成17年5月17日(2005.5.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】