説明

印刷システム

【課題】 ホストコンピュータが電波強度の強い無線機能を有する印刷装置に接続を切り替える事により、印字速度を落とすことなく印字を実行できる印刷システムを提供する。
【解決手段】 ホストコンピュータと無線機能を有する印刷装置の間で無線を利用して印字を実行する時、この2つの機器間の電波強度より更に強い電波強度を示す無線機能を有する印刷装置が存在すれば、ホストコンピュータは無線機能を有する印刷装置の接続を切り替え、印字を再び実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば無線機能を有する印刷装置が複数存在する環境において、ホストコンピュータから無線で送信される印字データを、ホストコンピュータとの電波強度が最も強い印刷装置で印字を実行させるための印刷システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ホストコンピュータや印刷装置に無線アダプタを接続し、無線アダプタ間で無線接続状況を監視することにより、随時無線アダプタ内部にあるインデックステーブルの内容を変更し、そのインデックステーブルの内容を基にホストコンピュータは出力先の機器を決定し、データを送受信することが出来る無線アダプタは存在する。(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2001−175433号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ホストコンピュータと印字装置間を無線で接続し印字を行う際、ホストコンピュータと印刷装置間の障害物や設置場所、電子機器から発生する電波の混信など様々な要因により、印刷装置の印字速度は、無線の電波強弱によって変わってしまう問題がある。
【0004】
本発明は、無線機能を有する印刷装置が複数存在する環境において、ホストコンピュータがより電波強度が強い無線機能を有する印刷装置に接続を切り替える事によって、電波強弱による印字速度の低下を防ぐ事が出来る印刷システムを提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の問題点を解決するために本発明は、以下の手段を用いて解決を行う。
【0006】
請求項1記載の発明に関わる印刷システムは、ホストコンピュータと無線機能を有する複数の印刷装置間の無線通信可能な印刷システムにおいて、ホストコンピュータが、前記無線機能を有する複数の印刷装置間の接続・切断の条件となる電波強度を任意に指定する手段と、電波強度に応じて前記無線機能を有する複数の印刷装置の接続を切り替える手段を有することを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明に関わる印刷システムは、ホストコンピュータと前記無線機能を有する複数の印刷装置間の電波強度や、前記無線機能を有する複数の印刷装置の状態を、一定間隔または更新されるごとにホストコンピュータへ送信する送信手段を有し、ホストコンピュータの画面上で表示する手段を有することを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明に関わる印刷システムは、ホストコンピュータは前記無線機能を有する複数の印刷装置を登録する登録手段を有し、登録されている前記無線機能を有する複数の印刷装置だけが通信出来る手段を有することを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明に関わる印刷システムは、ホストコンピュータが印字命令を出した時、印字中の前記無線機能を有する印刷装置はホストコンピュータとの接続の対象から除外することを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明に関わる印刷システムは、ホストコンピュータから印字命令が発生した場合、検出された電波強度が最も強い前記無線機能を有する印刷装置と接続し、印字を実行する手段を有することを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明に関わる印刷システムは、請求項1における印刷システムにおいて、任意に指定した電波強度以上で印字中に、任意に指定した電波強度未満になった場合、検出された電波強度が最も強い前記無線機能を有する印刷装置と接続し、印字を再開する手段を有することを特徴とする印刷システム。
【0012】
請求項7記載の発明に関わる印刷システムは、請求項1における印刷システムにおいて、任意に指定した電波強度未満で印字中に、接続中の前記無線機能を有する印刷装置より強い電波強度を示す前記無線機能を有する印刷装置があれば、検出された電波強度が最も強い前記無線機能を有する印刷装置と接続し、印字を再開する手段を有することを特徴とする印刷システム。
【0013】
請求項8記載の発明に関わる印刷システムは、ホストコンピュータが、ページの印字途中で前記無線機能を有する印刷装置の接続を切り替えた場合、ホストコンピュータと新たに接続された前記無線機能を有する印刷装置で、印字途中で終ってしまったページから印字を再開する手段を有することを特徴とする印刷システム。
【0014】
ホストコンピュータで各々のページがどの前記無線機能を有する複数の印刷装置で印字されたかを、ホストコンピュータの画面上で表示する手段を有することを特徴とする印刷システム。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ホストコンピュータと印刷装置間の電波強度が弱くなり印字速度が低下しても、他に前記ホストコンピュータとの電波強度が強い無線機能を有する印刷装置が複数存在すれば、前記ホストコンピュータはより電波強度の強い前記無線機能を有する印刷装置に接続を切り替え、印字を実行させる事によって、電波強弱による印字速度の低下を防ぐ事が出来る印刷システムが提供可能。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明に関わる実施形態の例を詳細に説明する。
【0017】
図1は、印刷装置とホストコンピュータの内部構成を表すブロック図である.
101は印刷装置である。
【0018】
102は印刷装置のインターフェース部で、ホストコンピュータと接続をする部分である。
【0019】
103は印刷装置のROMで、印刷装置の制御プログラムを記憶している。
【0020】
104は印刷装置のCPUで、印刷装置のROM103で記憶されている制御プログラム等を実行する部分である。
【0021】
105は印刷装置のRAMで、印刷装置のCPU104等のワークエリアである。
【0022】
106は印刷部で、印字動作を行う印刷エンジンである。
【0023】
107は印刷装置の無線通信部で、印刷装置のインターフェース部102の一部であり、他に有線通信部分も存在することも考えられる。
【0024】
108は印刷装置のデータ送受信部で、印刷装置のインターフェース部102を介してホストコンピュータからの印字データや制御コマンドの受信や、ホストコンピュータへ印刷装置の状態等を送信する部分である。
【0025】
109は印刷装置のデータ送受信バッファで、印刷装置のインターフェース部102で受信した印字データや、ホストコンピュータ110へ送信するデータを格納する部分である。
【0026】
110はホストコンピュータである。
【0027】
111はホストコンピュータのインターフェース部である。
【0028】
112はホストコンピュータのRAMで、ホストコンピュータ110のワークエリアである。
【0029】
113はホストコンピュータ内部にある電波強度測定部であり、印刷装置との電波強度を測定する部分である。
【0030】
114ホストコンピュータ内部の無線通信部で、ホストコンピュータのインターフェース部111の一部であり、他に有線通信部分も存在することも考えられる。
【0031】
115はホストコンピュータのデータ送受信部分で、ホストコンピュータのインターフェース111を介して印刷装置へ印字データや制御コマンド等を送信・受信する部分である。
【0032】
116はホストコンピュータのデータ送受信バッファで、ホストコンピュータのインターフェース部111を介して印刷装置へ送信する印字データや制御コマンド等を格納する部分である。
【0033】
図2(a)は、ホストコンピュータ110で登録されている無線機能を有する複数の印刷装置の電波強度と状態を表わす図で、ホストコンピュータ110の電波強度測定部113で測定された電波強度や印刷装置の状態を、データ送受信部108からインターフェース部102を介しホストコンピュータ110へ送信され、ホストコンピュータ110の画面上でホストコンピュータ110と無線機能を有する複数の印刷装置間の電波強度・印刷装置の状態を表示したものである。
【0034】
図3は、データ送受信部108からインターフェース部102を介しホストコンピュータ110へ送信されるデータを基に、各々のページがどの無線機能を有する印刷装置で印字されたのかをホストコンピュータ110の画面上で表示したものである。
【0035】
図4は、本実施例の印刷システムの処理を表わすフローチャート図である。
【0036】
以下、本発明の実施例の説明。
【0037】
ユーザーが、ホストコンピュータ110と無線機能を有する印刷装置501、502、503、504、505間の接続・切断の条件となる電波強度をn%と指定したとする。
【0038】
ホストコンピュータ110は、一定間隔で無線機能を有する印刷装置501、502、503、504、505の電波強度を監視している(S401)。
【0039】
図5に示す構成では、ホストコンピュータ110から印字命令が発生した時(S402)、無線機能を有する複数の印刷装置501、502、503、504、505の対ホストコンピュータとの電波強度をそれぞれ、a、b、c、d、e%(e<d<c<b<a)とする。ただしこの場合、印刷装置505は印字中とする。
【0040】
図2(b)は、ホストコンピュータ110から印字命令が発生した時(S402)、無線機能を有する複数の印刷装置の501、502、503、504、505の対ホストコンピュータ110との電波強度と印刷装置の状態をホストコンピュータの画面上で表示した図とする。
【0041】
この時、印字中の印刷装置505に関しては、接続の対象から除外する(S403)。
【0042】
ホストコンピュータと無線機能を有する印刷装置の間の電波強度がe<d<c<b<a<nとする。
【0043】
S404で電波強度がn%未満の無線機能を有する印刷装置しか存在しないので、ホストコンピュータ110は最も電波強度の強いa%を示す無線機能を有する印刷装置501と接続し(S405)、印字を実行する(S411)。
【0044】
無線機能を有する印刷装置501で印字中に、S412でa%以上の電波強度を示す印刷装置が検出されたら、ホストコンピュータは無線機能を有する印刷装置501との接続を切断し、a%以上の電波強度を示す無線機能を有する複数の印刷装置の中から最も電波強度の強い無線機能を有する印刷装置と接続し、印字を再開する(この場合、a>nならS408、a<nならS411となる)。
【0045】
ホストコンピュータと無線機能を有する印刷装置の間の電波強度がe<d<c<b<n≦aとする。
【0046】
S406で電波強度がn%以上の無線機能を有する印刷装置が501しか存在しないので、ホストコンピュータは501と接続をし、印字を実行する(S408)。
【0047】
無線機能を有する印刷装置501で印字中に、S410で無線機能を有する印刷装置501の電波強度がn%未満になった時、S404で電波強度がn%以上の無線機能を有する印刷装置が存在すれば、検出された無線機能を有する印刷装置の中から、最も電波強度の強い無線機能を有する印刷装置とホストコンピュータ110は接続し、印字を再開する(S408)。
【0048】
S404で電波強度がn%未満の無線機能を有する印刷装置しか存在しなければ、検出された無線機能を有する印刷装置の中から、最も電波強度の強い無線機能を有する印刷装置とホストコンピュータ110は接続し(S405)、印字を再開する(S411)。
【0049】
ホストコンピュータ110と無線機能を有する印刷装置の間の電波強度がe<d<n≦c<b<aとする。
【0050】
S404で電波強度がn%以上の無線機能を有する印刷装置が501、502、503の複数(3台)存在するので(S406)、ホストコンピュータは複数(3台)の印刷装置の中で最も電波強度の強いa%の印刷装置501と接続し(S407)、印字を実行する(S408)。
【0051】
無線機能を有する印刷装置501で印字中に、S410で無線機能を有する印刷装置501の電波強度がn%未満になった時、電波強度がn%以上の無線機能を有する印刷装置が存在すれば、検出された無線機能を有する印刷装置の中から、最も電波強度の強い無線機能を有する印刷装置とホストコンピュータ110は接続し(S407)、印字を再開する(S408)。
【0052】
電波強度がn%未満の無線機能を有する印刷装置しか存在しなければ、検出された無線機能を有する印刷装置の中から、最も電波強度の強い無線機能を有する印刷装置とホストコンピュータ110は接続し(S405)、印字を再開する(S411)。
【0053】
ホストコンピュータ110が、ページの印字途中で無線機能を有する印刷装置の接続を切り替えた時、ホストコンピュータ110と新たに接続された無線機能を有する印刷装置で、印字途中で終ってしまったページから再び印字を実行する。
【0054】
図3は、ホストコンピュータ110からの印字命令が全て印字し終わった時(S409)、各々のページがどの無線機能を有する印刷装置501、502、503、504、505で印字(S413)されたのか、ホストコンピュータ110の画面上で表示させた図である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本実施形態における無線機能を有する印刷装置とホストコンピュータの内部構成を表すブロック図。
【図2】前記ホストコンピュータで登録されている無線機能を有する複数の印刷装置の電波強度と、状態を示したパネル図。
【図3】印字された各々のページが、どの無線機能を有する印字装置で印字されたかを示したパネル図。
【図4】前記ホストコンピュータが、どの無線機能を有する印刷装置で印刷させるかを決定するための処理を示すフローチャート。
【図5】ホストコンピュータとの電波強度を示す図。
【符号の説明】
【0056】
101 印刷装置
102 印刷装置のインターフェース
103 印刷装置のROM
104 印刷装置のCPU
105 印刷装置のRAM
106 印刷部
107 印刷装置の無線通信部
108 印刷装置のデータ送受信部
109 印刷装置のデータ送受信バッファ
110 ホストコンピュータ
111 ホストコンピュータのインターフェース
112 ホストコンピュータのRAM
113 ホストコンピュータの電波強度測定部
114 ホストコンピュータの無線通信部
115 ホストコンピュータのデータ送受信部
116 ホストコンピュータのデータ送受信バッファ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホストコンピュータと無線機能を有する複数の印刷装置間の無線通信可能な印刷システムにおいて、ホストコンピュータが、
前記無線機能を有する複数の印刷装置間の接続・切断の条件となる電波強度を任意に指定する手段と、電波強度に応じて前記無線機能を有する複数の印刷装置の接続を切り替える手段を有することを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
ホストコンピュータと前記無線機能を有する複数の印刷装置間の電波強度や、前記無線機能を有する複数の印刷装置の状態を、一定間隔または更新されるごとにホストコンピュータへ送信する送信手段を有し、ホストコンピュータの画面上で表示する手段を有することを特徴とする、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
ホストコンピュータは前記無線機能を有する複数の印刷装置を登録する登録手段を有し、登録されている前記無線機能を有する複数の印刷装置だけが通信出来る手段を有することを特徴とする、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項4】
ホストコンピュータから印字命令が発生した場合、印字中の前記無線機能を有する印刷装置はホストコンピュータとの接続の対象から除外することを特徴とする、請求項2に記載の印刷システム。
【請求項5】
ホストコンピュータから印字命令が発生した場合、検出された電波強度が最も強い前記無線機能を有する印刷装置と接続し、印字を実行する手段を有することを特徴とする、請求項2に記載の印刷システム。
【請求項6】
請求項1における印刷システムにおいて、任意に指定した電波強度以上で印字中に、任意に指定した電波強度未満になった場合、検出された電波強度が最も強い前記無線機能を有する印刷装置と接続し、印字を再開する手段を有することを特徴とする、請求項2に記載の印刷システム。
【請求項7】
請求項1における印刷システムにおいて、任意に指定した電波強度未満で印字中に、接続中の前記無線機能を有する印刷装置より強い電波強度を示す前記無線機能を有する印刷装置があれば、検出された電波強度が最も強い前記無線機能を有する印刷装置と接続し、印字を再開する手段を有することを特徴とする、請求項2に記載の印刷システム。
【請求項8】
ホストコンピュータが、ページの印字途中で前記無線機能を有する印刷装置の接続を切り替えた場合、ホストコンピュータと新たに接続された前記無線機能を有する印刷装置で、印字途中で終ってしまったページから印字を再開する手段を有することを特徴とする、請求項2,6,7に記載の印刷システム。
【請求項9】
ホストコンピュータで各々のページがどの前記無線機能を有する複数の印刷装置で印字されたかを、ホストコンピュータの画面上で表示する手段を有することを特徴とする、請求項2に記載の印刷システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−65461(P2006−65461A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−245092(P2004−245092)
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】