説明

印刷システム

【課題】印刷装置の管理用情報を示す管理用ファイルを、管理しやすく、かつ、見やすいディレクトリ構成により保存する。また、印刷装置を容易かつ適切に管理する。
【解決手段】印刷装置12と、記憶装置であるHDD16とを備える印刷システム10であって、HDD16には、印刷装置12のメーカ名を示す第1のディレクトリと、第1のディレクトリのサブディレクトリであり、印刷装置12の装置名を示す第2のディレクトリと、第2のディレクトリのサブディレクトリであり、同じ装置名の複数の印刷装置のそれぞれを識別する号機番号を示す第3のディレクトリとが作成され、HDD16は、印刷装置12の管理に用いる管理用情報を示す管理用ファイルを保存し、かつ、少なくとも、印刷装置12に固有の管理用情報である装置固有情報を示す管理用ファイルを、第3のディレクトリに保存する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置には、メディアに対して印刷ヘッドを相対的に移動させる機構部品や、インク等の消耗品が使用される。そのため、印刷装置を安定して使用するためには、印刷装置の状態を適切に管理することが必要になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来、例えば、契約して販売されたプリンタの状況情報等をデータベースに記憶することにより、プリンタのインクの管理等をメーカ側で行う方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、このような方法では、ユーザにとってかえって管理の手間がかかる場合もある。また、管理をメーカに任せるために、管理コストが大きくなるおそれもある。
【0004】
そのため、従来、より適切な方法で印刷装置を管理することが求められていた。例えば、ユーザにとって管理を行いやすく、かつ、管理に用いる各種の管理用情報が見やすい方法が求められていた。そこで、本発明は、上記の課題を解決できる印刷システムを提供することを目的とする。
【特許文献1】特開2002−92299号公報
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明は、以下の構成を有する。
(構成1)印刷装置と、記憶装置とを備える印刷システムであって、記憶装置には、印刷装置のメーカ名を示す第1のディレクトリと、第1のディレクトリのサブディレクトリであり、印刷装置の装置名を示す第2のディレクトリと、第2のディレクトリのサブディレクトリであり、同じ装置名の複数の印刷装置のそれぞれを識別する号機番号を示す第3のディレクトリとが作成され、記憶装置は、印刷装置の管理に用いる管理用情報を示す管理用ファイルを保存し、かつ、少なくとも、印刷装置に固有の管理用情報である装置固有情報を示す管理用ファイルを、第3のディレクトリに保存する。装置固有情報は、例えば、複数の印刷装置が存在する場合に、それぞれの印刷装置毎に異なる管理用情報である。
【0006】
このように構成すれば、例えば、印刷装置の管理用情報を示す管理用ファイルを、管理しやすく、かつ、見やすいディレクトリ構成により保存できる。また、これにより、管理用情報が見やすくなり、印刷装置を容易かつ適切に管理できる。
【0007】
尚、記憶装置は、例えばHDD(ハードディスクドライブ)等の、印刷装置の外部に設けられる外部記憶装置である。記憶装置は、例えばUSBメモリ等であってもよい。
【0008】
印刷システムは、例えば、印刷装置を制御するホストPCを更に備えてもよい。この場合、記憶装置は、例えば、ホストPCに接続される。記憶装置は、ホストPCに内蔵されてもよい。また、ホストPCは、例えば、記憶装置に対する管理用ファイルの書き込み及び読み出しを行う。例えば、ホストPCは、記憶装置に保存されている管理用ファイルに対する読み出し、管理用ファイルが示す管理用情報に基づく表示を行う。また、ホストPCは、印刷装置に対して、例えば、管理用情報に基づく設定等を行う。
【0009】
また、記憶装置は、例えば、USB(Universal Serial Bus)インターフェース等により、印刷装置に直接接続されてもよい。この場合、印刷装置は、例えば、記憶装置に直接アクセスすることにより、管理用ファイルを保存する。また、記憶装置に保存されている管理用ファイルに対する読み出し、管理用ファイルが示す管理用情報に基づく表示や設定等を行う。
【0010】
(構成2)記憶装置は、第2のディレクトリ又は第3のディレクトリに、印刷装置のファームウェアのバージョンアップに用いるバージョンアップファイルを更に保存する。このように構成すれば、印刷装置のファームウェアのバージョンアップを適切に行うことができる。また、これにより、印刷装置をより適切に管理できる。
【0011】
尚、記憶装置がホストPCに接続されている場合、例えば、ホストPCが記憶装置からバージョンアップファイルを読み出し、印刷装置のファームウェアをバージョンアップさせる。また、記憶装置が印刷装置に直接接続されている場合、例えば、印刷装置自身が記憶装置からバージョンアップファイルを読み出し、ファームウェアのバージョンアップを行う。
【0012】
(構成3)記憶装置には、複数の印刷装置のそれぞれにそれぞれ対応する複数の第3のディレクトリが作成されており、記憶装置は、それぞれの第3のディレクトリに、当該第3のディレクトリに対応する印刷装置の装置固有情報を示す管理用ファイルを保存する。
【0013】
このように構成すれば、複数の印刷装置の管理用ファイルを、管理しやすく、かつ、見やすい状態で適切に保存できる。また、これにより、複数の印刷装置を容易かつ適切に管理できる。更には、同じ装置名の複数の印刷装置に対しても、それぞれの管理用ファイルを適切に区別して、適切な管理を行うことができる。
【0014】
尚、同じ装置名の印刷装置に対応する第3のディレクトリは、例えば、同じ第2のディレクトリ内に作成される。同じメーカの印刷装置に対応する第2のディレクトリは、例えば、同じ第1のディレクトリ内に作成される。
【0015】
また、記憶装置が印刷装置のファームウェアのバージョンアップファイルを更に保存する場合、記憶装置は、例えば、各印刷装置に対応する第2のディレクトリ又は第3のディレクトリにその印刷装置のバージョンアップファイルをそれぞれ保存する。このように構成すれば、複数の印刷装置のファームウェアのバージョンアップファイルを適切に保存できる。
【0016】
(構成4)記憶装置は、同一メーカの印刷装置に対して共通の管理用情報であるメーカ別情報を示す管理用ファイルを第1のディレクトリに保存し、かつ、同一の装置名の印刷装置に対して共通の管理用情報である装置別情報を示す管理用ファイルを第2のディレクトリに保存し、かつ、装置固有情報を示す管理用ファイルを第3のディレクトリに保存する。
【0017】
このように構成すれば、例えば、複数の印刷装置に対応する複数の第3のディレクトリが作成されている場合であっても、ファイルの重複を避けて、効率よく管理用ファイルを保存できる。また、これにより、複数の印刷装置をより適切に管理できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、例えば、印刷装置の管理用情報を示す管理用ファイルを、管理しやすく、かつ、見やすいディレクトリ構成により保存できる。また、これにより、印刷装置を容易かつ適切に管理できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態の係る印刷システム10の第1の例を示す。図1(a)は、印刷システム10の構成の一例を示す。
【0020】
印刷システム10は、印刷を行う印刷システムであり、印刷装置12、HDD16、及びホストPC14を備える。印刷システム10は、複数の印刷装置12を備えてもよい。この場合、印刷システム10は、各印刷装置12にそれぞれ接続される複数のホストPC14を更に備える。また、複数の印刷装置12は、共通のホストPC14に接続されてもよい。
【0021】
印刷装置12は、例えばインクジェットプリンタ等であり、例えば、ホストPC14から受け取る印刷データに基づいて印刷を行う。HDD16は、記憶装置の一例であり、印刷装置12の管理に用いる管理用情報を示す管理用ファイルを保存する。本例において、HDD16は、例えばホストPC14に外付けされるHDD(ハードディスクドライブ)である。HDD16は、ホストPC14に内蔵されるHDDであってもよい。
【0022】
ホストPC14は、印刷装置12を制御するコンピュータであり、例えばユーザの操作に応じて、印刷装置12へ印刷データを送る。また、ホストPC14は、HDD16に保存されている管理用ファイルに基づき、印刷装置12を管理する。印刷装置12の管理にあたって、ホストPC14は、必要に応じて、HDD16に対する管理用ファイルの書き込み及び読み出しを行う。
【0023】
図1(b)は、印刷システム10におけるHDD16のディレクトリ構成の一例を示す。本例において、HDD16には、管理用ファイルを保存するディレクトリとして、ルート(ROOT)ディレクトリ下に、第1、第2、及び第3の3階層のディレクトリが作成される。第1のディレクトリは、印刷装置12のメーカ名を示すディレクトリであり、ルートディレクトリに作成される。第2のディレクトリは、印刷装置12の装置名を示すディレクトリであり、第1のディレクトリのサブディレクトリとして、第1のディレクトリに作成される。第3のディレクトリは、印刷装置12の号機番号を示すディレクトリであり、第2のディレクトリのサブディレクトリとして、第2のディレクトリに作成される。
【0024】
尚、号機番号とは、例えば、同じ装置名の複数の印刷装置12のそれぞれを識別する番号である。号機番号は、例えばホストPC14に接続される順番に応じて、ホストPC14により割り振られる。号機番号は、例えば製造番号等の印刷装置12に予め設定された番号であってもよい。
【0025】
ここで、本例において、ホストPC14には、例えば順次交換されること、又は同時に接続されることにより、複数の印刷装置12が接続される。複数の印刷装置12は、メーカ名及び装置名が同じ印刷装置12であってもよく、メーカ名又は装置名が異なる印刷装置12であってもよい。
【0026】
そのため、HDD16には、複数の印刷装置12のそれぞれにそれぞれ対応する複数の第3のディレクトリが作成される。また、必要に応じて、複数の第1及び第2のディレクトリが作成される。尚、同じ装置名の印刷装置12に対応する第3のディレクトリは、同じ第2のディレクトリ内に作成される。また、同じメーカの印刷装置12に対応する第2のディレクトリは、同じ第1のディレクトリ内に作成される。
【0027】
このようなディレクトリ構成により、HDD16は、各ディレクトリに、管理用ファイルを保存する。例えば、HDD16は、メーカ別情報を示す管理用ファイルを、メーカ名を示す第1のディレクトリに保存する。メーカ別情報とは、例えば、同一メーカの印刷装置に対して共通の管理用情報である。また、HDD16は、装置別情報を示す管理用ファイルを、装置名を示す第2のディレクトリに保存する。装置別情報とは、例えば、同一の装置名の印刷装置に対して共通の管理用情報である。尚、本発明の変形例において、HDD16は、メーカ別情報を示す管理用ファイルや、装置別情報を示す管理用ファイルを、第3のディレクトリの保存してもよい。
【0028】
また、HDD16は、印刷装置12に対応する第3のディレクトリに、その印刷装置12の装置固有情報、及び定期メンテナンス情報をそれぞれ示す管理用ファイルを保存する。装置固有情報とは、例えば、各印刷装置12毎に異なる管理用情報である。装置固有情報としては、例えば、印刷装置12の印刷の設定等を示す情報、印刷装置12の部品等を管理する識別情報、ファームウェアを管理する情報等を用いることができる。また、定期メンテナンス情報とは、各印刷装置12の定期メンテナンスに用いる管理用情報である。定期メンテナンス情報としては、例えば、印刷装置12の保守・点検の記録、部品の稼働時間、部品の交換履歴等のハードウェアを管理する情報、サプライ品の使用状況を管理する情報等を用いることができる。
【0029】
本例によれば、メーカ名、装置名、及び印刷装置12とそれぞれ対応付けられたディレクトリに、各ディレクトリに応じた管理用ファイルを保存することで、管理用ファイルを、管理しやすく、かつ、見やすいディレクトリ構成により保存できる。また、これにより、印刷装置12を容易かつ適切に管理できる。更には、同じ装置名の複数の印刷装置12に対しても、それぞれの管理用ファイルを適切に区別して、適切な管理を行うことができる。
【0030】
また、本例において、HDD16は、必要に応じて、第2のディレクトリに、その第2のディレクトリに対応する装置名の印刷装置のファームウェアのバージョンアップに用いる装置別のバージョンアップファイルを保存する。印刷装置12のファームウェアをバージョンアップさせる場合、ホストPC14は、HDD16からバージョンアップファイルを読み出し、印刷装置12のファームウェアをバージョンアップさせる。そのため、本例によれば、更に、印刷装置12のファームウェアのバージョンアップを適切に行うことができる。また、これにより、印刷装置12をより適切に管理できる。尚、HDD16は、バージョンアップファイルを、印刷装置12に対応する第3のディレクトリに保存してもよい。
【0031】
図2は、印刷システム10の第2の例を示す。本例において、印刷システム10は、印刷装置12及びHDD16を備える。尚、以下に説明する点を除き、本例における印刷装置12及びHDD16は、図1を用いて説明した印刷装置12及びHDD16と同一又は同様である。
【0032】
HDD16は、例えばUSB(Universal Serial Bus)インターフェース等により、ホストPC14(図1参照)を介さずに、印刷装置12に接続される。HDD16のディレクトリ構成は、図1(b)を用いて説明したディレクトリ構成と同一又は同様である。
【0033】
また、本例において、印刷装置12は、例えばHDD16に保存されている画像等の印刷データを読み出し、印刷を行う。更に、印刷装置12は、例えば、HDD16に直接アクセスすることにより、HDD16に管理用ファイルを保存する。また、HDD16に保存されている管理用ファイルに対する読み出し、管理用ファイルが示す管理用情報に基づく表示や設定等を行うことにより、管理用情報に応じた動作を行う。また、印刷装置12は、必要に応じて、HDD16からバージョンアップファイルを読み出し、ファームウェアのバージョンアップを行う。
【0034】
本例においても、印刷装置12の管理用情報を示す管理用ファイルを、管理しやすく、かつ、見やすいディレクトリ構成により保存できる。また、これにより、印刷装置12を容易かつ適切に管理できる。更には、印刷装置12のバージョンアップを適切に行うことができる。
【0035】
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、例えば印刷システムに好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態の係る印刷システム10の第1の例を示す図である。図1(a)は、印刷システム10の構成の一例を示す。図1(b)は、印刷システム10におけるHDD16のディレクトリ構成の一例を示す。
【図2】印刷システム10の第2の例を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
10・・・印刷システム、12・・・印刷装置、14・・・ホストPC、16・・・HDD(記憶装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置と、記憶装置とを備える印刷システムであって、
前記記憶装置には、
前記印刷装置のメーカ名を示す第1のディレクトリと、
前記第1のディレクトリのサブディレクトリであり、前記印刷装置の装置名を示す第2のディレクトリと、
前記第2のディレクトリのサブディレクトリであり、同じ装置名の複数の前記印刷装置のそれぞれを識別する号機番号を示す第3のディレクトリと
が作成され、
前記記憶装置は、前記印刷装置の管理に用いる管理用情報を示す管理用ファイルを保存し、かつ、少なくとも、前記印刷装置に固有の前記管理用情報である装置固有情報を示す前記管理用ファイルを、前記第3のディレクトリに保存することを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記記憶装置は、前記第2のディレクトリ又は前記第3のディレクトリに、前記印刷装置のファームウェアのバージョンアップに用いるバージョンアップファイルを更に保存することを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記記憶装置には、複数の前記印刷装置のそれぞれにそれぞれ対応する複数の前記第3のディレクトリが作成されており、
前記記憶装置は、それぞれの前記第3のディレクトリに、当該第3のディレクトリに対応する前記印刷装置の前記装置固有情報を示す前記管理用ファイルを保存することを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記記憶装置は、
同一メーカの印刷装置に対して共通の前記管理用情報であるメーカ別情報を示す前記管理用ファイルを前記第1のディレクトリに保存し、
かつ、同一の装置名の印刷装置に対して共通の前記管理用情報である装置別情報を示す前記管理用ファイルを前記第2のディレクトリに保存し、
かつ、前記装置固有情報を示す前記管理用ファイルを前記第3のディレクトリに保存することを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−116766(P2009−116766A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−291529(P2007−291529)
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【出願人】(000137823)株式会社ミマキエンジニアリング (437)
【Fターム(参考)】