印刷ジョブ振分装置および印刷ジョブ振分方法
【課題】エアコン等の空調設備を直接制御することなくオフィス等の省エネを図る。
【解決手段】プリントサーバ2に次の手段を設ける。画像形成装置1および空調設備が少なくとも1台ずつ設置される複数のエリアそれぞれの気温を検知する気温データ取得部204。これら複数のエリアのうちの、検知された気温が所定の温度未満である好適エリアに設置される画像形成装置1を選出する実行装置決定部203。そして、選出された画像形成装置1へ印刷データ6Bおよび条件データ6Cを与えるジョブ実行命令部205。
【解決手段】プリントサーバ2に次の手段を設ける。画像形成装置1および空調設備が少なくとも1台ずつ設置される複数のエリアそれぞれの気温を検知する気温データ取得部204。これら複数のエリアのうちの、検知された気温が所定の温度未満である好適エリアに設置される画像形成装置1を選出する実行装置決定部203。そして、選出された画像形成装置1へ印刷データ6Bおよび条件データ6Cを与えるジョブ実行命令部205。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数台の装置のうちのいずれかにジョブを振り分ける技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネのための様々な技術が提案されている。オフィスなどの部屋の温度の調整に要する電力を削減することも、省エネのための1つの方法である。
【0003】
部屋の温度は、エアーコンディショナー(以下、「エアコン」と記載する。)によって調整されることが多い。よって、エアコンを上手く制御することによって、省エネを図ることができる。
【0004】
また、近年、企業などのオフィスでは、画像形成装置およびパーソナルコンピューターなどの様々なOA(Office Automation)機器が設置されている。OA機器にも、省エネのための技術が採用されている。例えば、スリープモードの技術によると、操作が一定の時間行われないとOA機器のハードディスクおよびディスプレイなどの動作を一時的に停止させ、電力の消費を抑える。
【0005】
画像形成装置および空調機(エアコン)が設置された部屋の温度を調整する方法として、次の方法が提案されている。
【0006】
画像形成装置は、ホームサーバによって空調機とともに一元管理される。画像形成装置は、プリントのジョブ量を読み込み、それを空調機に送信する。空調機は、プリントのジョブ量に応じて室内の冷房または暖房を行う。一方、空調機は、室内の温度および湿度を検出して、それを画像形成装置に送信する。画像形成装置は、その室内の温度および湿度に基づいて装置内の駆動ファン、結露防止ヒータ、および除湿ヒータを制御し、装置内の温度および湿度を調整する(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−186373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の方法によると、ホームサーバによって空調機を管理しなければならない。近年、ネットワークを介して他の装置と通信を行う機能を有する電化製品、つまり、いわゆる情報家電が提案されている。しかし、情報家電が普及するのは、これからである。現在、通信の機能を有しない電化製品のほうが、圧倒的に多い。よって、上述の方法が広く用いられるのはもう少し先であると、考えられる。
【0009】
一方、近年、ほとんどの画像形成装置は、通信の機能が設けられている。また、サーバなどによって画像形成装置を制御する技術が既に幾つか普及している。
【0010】
本発明は、これらの点に鑑み、エアコン等の空調設備を直接制御することなくオフィス等の省エネを図ることを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一形態に係る印刷ジョブ振分装置は、印刷装置および空調設備が少なくとも1台ずつ設置される複数のエリアそれぞれの気温を検知する気温検知手段と、前記複数のエリアのうちの前記検知された気温が所定の温度未満である好適エリアに設置される印刷装置を選出する印刷装置選出手段と、前記選出された印刷装置へ印刷ジョブを与える印刷ジョブ付与手段と、を有する。
【0012】
または、印刷装置選出手段は、前記複数のエリアのうちの前記検知された気温が所定の温度よりも最も低いエリアに設置される印刷装置を選出してもよい。
【0013】
本発明の他の一形態に係る印刷ジョブ振分装置は、印刷装置および空調設備が少なくとも1台ずつ設置される複数のエリアそれぞれの気温を検知する気温検知手段と、前記複数のエリアのそれぞれについて、それぞれに設置される印刷装置によって印刷ジョブを実行した後の気温を前記検知された気温および当該印刷装置の特性に基づいて推測する気温推測手段と、前記複数のエリアのうちの前記推測された気温が所定の温度未満である好適エリアに設置される印刷装置を選出する印刷装置選出手段と、前記選出された印刷装置へ前記印刷ジョブを与える印刷ジョブ付与手段と、を有する。
【0014】
または、印刷装置選出手段は、前記複数のエリアのうちの前記推測された気温が所定の温度よりも最も低いエリアに設置される印刷装置を選出してもよい。
【0015】
本発明の他の一形態に係る印刷ジョブ振分装置は、P個(P≧2)の印刷ジョブを1番目から順に振り分ける印刷ジョブ振分装置であって、印刷装置および空調設備が少なくとも1台ずつ設置される複数のエリアそれぞれの気温を検知する気温検知手段と、前記P個の印刷ジョブのうちのQ番目(1≦Q≦P)の印刷ジョブを振り分ける際に、前記複数のエリアそれぞれについて、設置される印刷装置に振り分けられた(Q−1)番目以前の印刷ジョブを当該印刷装置によって実行しさらにQ番目の印刷ジョブを当該印刷装置によって実行した後の気温を前記検知された気温および当該印刷装置の特性に基づいて推測する気温推測手段と、前記複数のエリアのうちの前記推測された気温が最も低いエリアに設置される印刷装置を、前記Q番目の印刷ジョブの付与先として選出する、印刷装置選出手段と、前記選出された印刷装置へ前記Q番目の印刷ジョブを与える印刷ジョブ付与手段と、を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、エアコン等の空調設備を直接制御することなくオフィス等の省エネを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】印刷システムの全体的な構成の例を示す図である。
【図2】画像形成装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【図3】プリントサーバのハードウェア構成の例を示す図である。
【図4】プリントサーバの機能的構成の例を示す図である。
【図5】一般的な気温の変化およびエアコンの出力の変化の例を示す図である。
【図6】ジョブ実行装置決定処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図7】各エリアにおける設定温度、気温、温度差の例を示す図である。
【図8】各エリアにおいて印刷ジョブを実行した場合の気温の上昇の推測の例を説明するための図である。
【図9】プリントサーバにおける全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図10】ジョブ実行装置決定処理の流れの変形例を説明するフローチャートである。
【図11】ジョブ実行装置決定処理の流れの変形例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、印刷システム100の全体的な構成の例を示す図である。図2は、画像形成装置1のハードウェア構成の例を示す図である。図3は、プリントサーバ2のハードウェア構成の例を示す図である。図4は、プリントサーバ2の機能的構成の例を示す図である。
【0019】
印刷システム100は、図1に示すように、複数台の画像形成装置1、1台のプリントサーバ2、および1台または複数台の端末装置3、および通信回線4などによって構成される。
【0020】
印刷システム100は、画像を用紙に印刷するためのシステムであって、企業または役所などの組織の施設に設けられる。そして、この組織のメンバーによって使用される。つまり、この組織のメンバーが、ユーザーである。
【0021】
この組織の施設のスペース(例えば、ある1つのフロア)は、複数のエリア(領域)5に分割されている。そして、エリア5ごとにエアーコンディショナー(以下、「エアコン」と記載する。)が1台ずつ設けられている。1つのエリア5の広さは、そこに設置されているエアコンで気温を調整できる程度である。隣り合う2つのエリア5は、間仕切りされていても、間仕切りされていなくても、どちらでもよい。また、各エリア5には、画像形成装置1が1台ずつ設置されている。
【0022】
以下、4つのエリアがある場合を例に、説明する。そして、各エリア5をそれぞれ「エリア51」、「エリア52」、「エリア53」、および「エリア54」と区別して記載することがある。また、エリア51、52、53、および54に設置されている画像形成装置1をそれぞれ「画像形成装置11」、「画像形成装置12」、「画像形成装置13」、および「画像形成装置14」と記載する。
【0023】
各エリア5には、ユニークなエリア識別子ECが1つずつ、与えられている。また、各画像形成装置1には、ユニークなデバイス識別子DCが1つずつ、与えられている。エリア5のエリア識別子ECと、そのエリア5に設置されている画像形成装置1のデバイス識別子DCとは、互いに対応付けられてプリントサーバ2に登録されている。デバイス識別子DCとして、IP(Internet Protocol)アドレスまたはMAC(Media Access Control)アドレスなどのネットワークアドレスが用いられる。
【0024】
各画像形成装置1、プリントサーバ2、および各端末装置3は、通信回線4を介して通信を行うことができる。通信回線4として、いわゆるLAN(Local Area Network)回線、インターネット、専用線、または公衆回線などが用いられる。
【0025】
画像形成装置1は、コピー、スキャン、ファックス、およびネットワークプリンティングなどの様々な機能を集約した処理装置である。複合機またはMFP(Multi Function Peripherals)などと呼ばれることもある。
【0026】
「ネットワークプリンティング」とは、パーソナルコンピューターなどの端末装置から画像データを受信し画像を用紙に印刷する機能である。「ネットワークプリンター機能」または「PCプリント機能」などと呼ばれることもある。ただし、印刷システム100においては、画像データは、端末装置3からダイレクトに画像形成装置1へ送信されるのではなく、プリントサーバ2を介して送信される。この詳細については、後述する。
【0027】
画像形成装置1は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)10a、RAM(Random Access Memory)10b、ROM(Read Only Memory)10c、ハードディスク10d、操作パネル10e、スキャナーユニット10f、印刷ユニット10g、ネットワークインタフェース10h、モデム10i、および温度センサー10jのほか種々の制御用の回路などによって構成される。
【0028】
ネットワークインタフェース10hは、プリントサーバ2および端末装置3とTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)などのプロトコルで通信を行う。ネットワークインタフェース10hとして、例えばNIC(Network Interface Card)が用いられる。
【0029】
モデム10iは、他のファックス端末との間でG3などのプロトコルで画像データをやり取りする。
【0030】
スキャナーユニット10fは、用紙に記されている文字、記号、写真、図表、またはイラストなどの画像を光学的に読み取って画像データを生成する。
【0031】
印刷ユニット10gは、スキャナーユニット10fによって読み取られた画像のほか、プリントサーバ2、端末装置3、またはファックス端末などから受信したデータに示される画像を用紙に印刷する。
【0032】
操作パネル10eは、タッチパネルディスプレイおよびテンキーなどによって構成される。タッチパネルディスプレイには、ユーザーに対してメッセージまたは指示を与えるための画面、ユーザーが所望する処理の種類および処理条件を入力するための画面、およびCPU10aなどで実行された処理の結果を示す画面などが表示される。ユーザーは、これらの画面を見ながらタッチパネルディスプレイまたはテンキーを操作することによって、その画像形成装置1に対して情報および指令を入力することができる。
【0033】
温度センサー10jは、その画像形成装置1が設置されているエリアの気温を測定する。
【0034】
ROM10cまたはハードディスク10dには、上述の機能を実現するためのソフトウェアとしてオペレーティングシステムおよびミドルウェアなどがインストールされている。そのほか、プリントサーバ2からの問合せに応じて温度センサー10jが測定した気温を回答するための気温回答アプリケーションがインストールされている。これらのソフトウェアは、RAM10bに適宜ロードされ、CPU10aによって実行される。
【0035】
プリントサーバ2は、端末装置3からの印刷ジョブをいずれかの画像形成装置1へ振り分けるサービスを提供する。プリントサーバ2は、図3に示すように、CPU20a、RAM20b、ROM20c、ハードディスク20d、およびネットワークインタフェース20eなどによって構成される。
【0036】
ネットワークインタフェース20eは、画像形成装置1および端末装置3とTCP/IPなどのプロトコルで通信を行うNICである。
【0037】
ROM20cまたはハードディスク20dには、オペレーティングシステムおよびミドルウェアのほか、印刷ジョブの振分けのためのアプリケーションがインストールされている。このアプリケーションによると、図4に示す特性データ記憶部201、ジョブデータ受信部202、実行装置決定部203、気温データ取得部204、およびジョブ実行命令部205などの機能が実現される。
【0038】
これらのソフトウェアは、RAM20bに適宜ロードされ、CPU20aによって実行される。なお、後に図6、図9、図10、および図11で説明する各処理も、CPU20aによる演算および制御などの処理によって、実現される。
【0039】
端末装置3は、画像形成装置1から提供される印刷のサービスをユーザーが受けるためのクライアントである。端末装置3として、パーソナルコンピューター、PDA(Personal Digital Assistant)、またはスマートフォンなどが用いられる。端末装置3には、画像形成装置1のプリンタードライバがインストールされている。
【0040】
端末装置3の設置場所は、いずれかのエリア5の中であってもよいし、いずれのエリア5にも属しない場所であってもよい。
【0041】
図5は、一般的な気温の変化およびエアコンの出力の変化の例を示す図である。図6は、ジョブ実行装置決定処理の流れの例を説明するフローチャートである。図7は、エリア51〜54それぞれにおける設定温度TS、気温TP、温度差TDの例を示す図である。図8は、エリア53、54において印刷ジョブを実行した場合の気温の上昇の推測の例を説明するための図である。
【0042】
次に、印刷ジョブの振分けの際の画像形成装置1、プリントサーバ2、および端末装置3の処理を、図6などを参照しながら説明する。
【0043】
プリントサーバ2において、特性データ記憶部201には、エリア5ごとの特性データ6Aが記憶されている。特性データ6Aには、そのエリア5に関する種々の特性が示されている。特に、本実施形態では、そのエリア5に設置されているエアコンの設定温度TSおよびそのエリア5を識別するエリア識別子ECが示されている。例えば、エリア51の特性データ6Aには、エリア51に設置されているエアコンの設定温度TSが示されている。これらの特性データ6Aは、予め特性データ記憶部201に記憶されている。
【0044】
なお、一般に、エアコンは、付近の気温が設定温度になるように稼働する。冷房の場合は、図5に示すように、付近の気温が設定温度を上回ると高出力で稼働し、設定温度を下回ると停止しまたは低出力で稼働する。
【0045】
ユーザーは、印刷したい画像の画像データを端末装置3に用意する。この画像データは、ワープロソフトまたは描画ソフトなどのアプリケーションで画像を作成することによって用意すればよい。または、インターネット上のウェブサイトからウェブページのデータをダウンロードし、このデータを画像データとして用いることもできる。
【0046】
そして、ユーザーは、印刷ジョブの条件として部数などを指定し、印刷のコマンドを端末装置3に入力する。
【0047】
すると、端末装置3は、ドライバによって画像データをPDL(Page Description Language)のデータに変換するなどして印刷データ6Bを生成する。そして、印刷データ6Bを、指定された条件を示す条件データ6Cとともにプリントサーバ2へ送信する。
【0048】
プリントサーバ2において、ジョブデータ受信部202は、端末装置3から印刷データ6Bおよび条件データ6Cを受信する。
【0049】
実行装置決定部203は、印刷データ6Bおよび条件データ6Cが受信されると、これらのデータに基づいて印刷ジョブを実行するのに適切な画像形成装置1を決定する。この際に、気温データ取得部204は、各画像形成装置1から各エリア5の気温のデータを取得する処理を行う。
【0050】
ここで、実行装置決定部203および気温データ取得部204の処理の内容を、図6のフローチャートを参照しながら説明する。
【0051】
実行装置決定部203は、印刷データ6Bおよび条件データ6Cを受信すると、気温のデータを取得するように気温データ取得部204に対して指令する。すると、気温データ取得部204は、1番目のエリア5であるエリア51に設置されている画像形成装置11に対して、現在の気温のデータを要求し、取得する(#702)。
【0052】
このとき、画像形成装置11において、気温回答アプリケーションによって、次の処理が行われる。温度センサー10jによって現在の気温TPが測定される。CPU10aによって、測定された気温TPおよびエリア51のエリア識別子ECを示す気温データ6Dが生成される。そして、ネットワークインタフェース10hによって気温データ6Dがプリントサーバ2へ送信される。
【0053】
実行装置決定部203は、画像形成装置11からの気温データ6Dに示される気温TPからエリア51の特性データ6Aに示される設定温度TSを減算することによって、温度差TDを算出する(#703)。
【0054】
実行装置決定部203および気温データ取得部204は、2番目〜4番目のエリア5についても同様に、画像形成装置12〜14のそれぞれから気温データ6Dを受信し、気温TPから設定温度TSを減算することによって、温度差TDを算出する(#702〜#705)。
【0055】
そして、実行装置決定部203は、エリア51〜54それぞれの温度差TDのうち最も小さいものを抽出し、抽出した温度差TDに対応するエリア5に設置されている画像形成装置1を、印刷ジョブを実行するのに適切な画像形成装置1に決定する(#706)。つまり、この印刷ジョブの振分け先を、このエリア5に設置されている画像形成装置1に決定する。
【0056】
例えば、エリア51〜54それぞれの温度差TDとして、図7(A)〜(D)に示すようなTD1〜TD4が得られたとする。温度差TD3が最も小さい(つまり、気温TPが設定温度TSよりも低く、その差が最も大きい)ので、実行装置決定部203は、エリア53の画像形成装置1つまり画像形成装置13を、印刷ジョブを実行するのに適切な画像形成装置1に決定する。
【0057】
ジョブ実行命令部205は、実行装置決定部203によって決定された画像形成装置1へ、印刷ジョブの実行を指令するとともに、印刷データ6Bおよび条件データ6Cを送信する。
【0058】
画像形成装置1は、印刷データ6Bおよび条件データ6Cを受信すると、印刷データ6Bおよび条件データ6Cに基づいて印刷ジョブを実行する。これにより、画像が用紙に印刷される。
【0059】
各エリア5の温度差TDがそれぞれ図7(A)〜(D)に示した温度差TD1〜TD4である場合は、上述の処理によると、画像形成装置13によって印刷ジョブが実行される。よって、画像形成装置13が稼働することによって画像形成装置13から熱が放出され、エリア53の気温が上昇する。
【0060】
エリア53は、すべてのエリア5の中で、温度差TDが最小である。したがって、エリア53は、印刷ジョブによる熱で気温が図8(A)に示すように上昇しても、設定温度未満である可能性がすべてのエリア5の中で最も高い。
【0061】
一方、もしも、エリア53以外のエリア5、例えば、エリア54において印刷ジョブが実行されたら、図8(B)に示すように、エリア54において、気温TPがますます設定温度TSよりも高くなる。そうすると、冷房の場合は、エリア54のエアコンが高出力で稼働する時間がますます長くなる。
【0062】
また、暖房の場合は、エリア53で印刷ジョブを実行させることによって、エリア53の気温TPを上昇させ設定温度TSに近づけることができる。よって、印刷による発熱を上手く利用し、エリア53のエアコンが高出力で稼働する時間を短くすることができる。
【0063】
よって、温度差TDが最小であるエリア5の画像形成装置1に印刷ジョブを実行させることによって、エリア51〜54のエアコン全体の、ある期間における消費電力を抑えることができる。
【0064】
図9は、プリントサーバ2における全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【0065】
次に、プリントサーバ2における印刷ジョブの振分けの全体的な処理の流れを、図9に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0066】
プリントサーバ2は、端末装置3から印刷データ6Bおよび条件データ6Cを受信すると(#711)、印刷ジョブを実行するのに適切な画像形成装置1を決定する(#712)。決定の手順は、前に図6を用いて説明した通りである。
【0067】
そして、プリントサーバ2は、決定した画像形成装置1へ、印刷ジョブの実行を指令するとともに、印刷データ6Bおよび条件データ6Cを転送する(#713)。
【0068】
本実施形態によると、エアコンを直接制御せず、好適な画像形成装置1を決定し印刷ジョブを振り分けることによって、オフィス等の省エネを図ることができる。
【0069】
以下、本実施形態の変形例を順次、説明する。
【0070】
〔ユーザーによる選択を組み合わせた画像形成装置1の決定方法〕
本実施形態では、温度差TDが最も小さいエリア5に設置されている画像形成装置1に印刷ジョブを実行させると、決定した。しかし、温度差TDが一定の値(例えば、マイナス2度)以下であるエリア5を選出し、これらのエリア5のいずれかにある画像形成装置1をユーザーに提示してもよい。そして、これらの画像形成装置1の中からユーザーが選択した画像形成装置1に印刷ジョブを実行させてもよい。
【0071】
〔特性データ6Aおよび気温データ6Dを取得するタイミング〕
本実施形態では、プリントサーバ2は、特性データ6Aを予め特性データ記憶部201に記憶させておいた。また、気温データ6Dを、印刷ジョブをいずれかの画像形成装置1に実行させる必要が生じるごとに、取得した。しかし、特性データ6Aおよび気温データ6Dを次のようなタイミングで取得してもよい。
【0072】
各エリア5のエアコンに通信機能を設けておく。そして、エアコンは、設定温度TSが変更されると、この設定温度TSおよびエアコンの識別子を示すデータをプリントサーバ2へ送信する。エアコンの識別子は、エリア5のエリア識別子ECと対応付けられている。プリントサーバ2は、このデータを受信すると、このデータを、このエリア5の特性データ6Aとして特性データ記憶部201によって記憶する。または、プリントサーバ2は、定期的に各エリア5のエアコンに現在の設定温度TSを問い合わせ、設定温度TSが変更されていればそれに応じて特性データ6Aを更新してもよい。
【0073】
一方、画像形成装置1は、定期的に気温TPを計測し、この気温TPおよび設置場所であるエリア5のエリア識別子ECを示すデータをプリントサーバ2へ通知する。プリントサーバ2は、このデータを受信すると、このデータを、このエリア5の気温データ6Dとして所定のデータベースに保存する。または、プリントサーバ2は、定期的に各エリア5の画像形成装置1に現在の気温TPを問い合わせ、気温TPが変化していればそれに応じて気温データ6Dを更新してもよい。
【0074】
または、エリア5の気温TPを画像形成装置1の代わりにエアコンが測定しプリントサーバ2へ通知してもよい。
【0075】
〔印刷ジョブの実行に伴う気温の上昇を考慮した画像形成装置1の決定方法〕
図10は、ジョブ実行装置決定処理の流れの変形例を説明するフローチャートである。
【0076】
印刷ジョブを実行すると、画像形成装置1の周囲の気温が上昇する。どれくらい上昇するのかは、画像形成装置1の特性および状態などによって異なる。特に冷房の場合は、上昇が小さいほど、電力消費量を抑えるのに好ましい。
【0077】
そこで、プリントサーバ2は、印刷ジョブを実行する画像形成装置1を、図6などで説明した方法の代わりに次の方法を用いて決定する。
【0078】
特性データ記憶部201に、エリア5ごとに、特性データ6Aの代わりに、特性データ6Eを用意しておく。特性データ6Eには、そのエリア5のエリア識別子ECおよびエアコンの設定温度TSに加えて、そのエリア5の画像形成装置1のウォームアップ上昇温度TWおよび印刷上昇温度TJが示されている。
【0079】
ウォームアップ上昇温度TWは、印刷ユニット10gを起動(ウォームアップ)させることによってエリア識別子ECが対応するエリア5が上昇する温度である。ウォームアップ上昇温度TWは、例えば次の方法で予め算出すればよい。印刷ユニット10gが起動していない状態の気温TM1を測定する。直ちに印刷ユニット10gを起動させ、起動後の気温TM2を測定する。なお、測定は、温度センサー10jによって行ってもよいし、エアコンによって行ってもよい。以下、同様である。そして、気温TM2から気温TM1を減算した値を、ウォームアップ上昇温度TWとする。
【0080】
一方、印刷上昇温度TJは、画像を1枚の用紙に印刷することによって上昇する温度である。印刷上昇温度TJは、例えば次の方法で予め算出すればよい。印刷ユニット10gが起動しアイドリングの状態の気温TN1を測定する。直ちに、N枚の用紙に印刷する印刷ジョブを印刷ユニット10gに実行させ、実行後の気温TN2を測定する。そして、気温TN2から気温TN1を減算した値をNで割った値を、印刷上昇温度TJとする。
【0081】
ウォームアップ上昇温度TWおよび印刷上昇温度TJは、画像形成装置1ごとに求めておく。
【0082】
また、印刷ジョブの実行のたびに、気温TM1、TM2、TN1、およびTN2と印刷の枚数Nとを逐一記録しておき、これらのデータに基づいてウォームアップ上昇温度TWおよび印刷上昇温度TJを算出し直してもよい。または、一定の期間に実行した印刷ジョブのこれらのデータを用いて、一定の期間が経過するごとにこれらのデータに基づいてウォームアップ上昇温度TWおよび印刷上昇温度TJを算出し直してもよい。
【0083】
そして、ジョブデータ受信部202によって印刷データ6Bおよび条件データ6Cが受信されると、実行装置決定部203および気温データ取得部204は、図10に示す手順で、この印刷データ6Bおよび条件データ6Cに基づいて印刷ジョブを実行するのに好ましい画像形成装置1を決定する。
【0084】
実行装置決定部203は、エリアの状態のデータを取得するように気温データ取得部204に対して指令する。すると、気温データ取得部204は、1番目のエリア5であるエリア51に設置されている画像形成装置11に対して、現在のエリア51の状態のデータを要求し、取得する(#722)。
【0085】
このとき、画像形成装置11において、気温回答アプリケーションによって、次の処理が行われ、気温データ6Dの代わりに状態データ6Fが生成されプリントサーバ2へ送信される。
【0086】
温度センサー10jによって現在の気温TPが測定される。CPU10aによって、状態データ6Fが生成される。状態データ6Fには、気温データ6Dと同様に、測定された気温TPおよびエリア51のエリア識別子ECが示されるが、さらに、状態データ6Fには、起動フラグFGが含まれている。起動フラグFGは、印刷ユニット10gの起動の状態を示すフラグであって、起動していなければ「1」を示し起動していれば「0」を示す。
【0087】
そして、ネットワークインタフェース10hによって状態データ6Fがプリントサーバ2へ送信される。
【0088】
実行装置決定部203は、画像形成装置11からの状態データ6Fおよび特性データ記憶部201に記憶されている画像形成装置11の特性データ6Eに基づいて、次の(1)式によって、印刷ジョブの実行後のエリア51の気温(以下、「実行後温度TF」と記載する。)を推測する(#723)。
TF=TP+TW・FG+TJ・CP …… (1)
ただし、「TP」および「FG」は、それぞれ、画像形成装置11からの状態データ6Fに示される気温TPおよび起動フラグFGである。「TW」および「TJ」は、画像形成装置11の特性データ6Aに示されるウォームアップ上昇温度TWおよび印刷上昇温度TJである。「CP」は、今回の印刷ジョブで出力される用紙の総数であって、印刷データ6Bおよび条件データ6Cから求めることができる。例えば、印刷データ6Bに示される画像が3ページであり、条件データ6Cに示される部数が5部である場合は、CP=3×5=15、である。
【0089】
実行装置決定部203および気温データ取得部204は、2番目〜4番目のエリア5についても同様に、画像形成装置12〜14のそれぞれから状態データ6Fを受信し、それぞれの特性データ6Aおよび状態データ6Fに基づいて(1)式によって、実行後温度TFを算出する(#722〜#725)。
【0090】
そして、実行装置決定部203は、エリア51〜54それぞれの実行後温度TFのうち最も低いものを抽出し、抽出した実行後温度TFに対応するエリア5に設置されている画像形成装置1を、印刷ジョブを実行するのに適切な画像形成装置1に決定する(#726)。
【0091】
〔湿度に基づく印刷ジョブの振分け〕
上述の実施形態および変形例によると、ある1つの印刷ジョブの振分け先として複数の画像形成装置1が該当する場合がある。
【0092】
この場合は、これらの画像形成装置1のうちの1台を次のように振分け先として選出すればよい。
【0093】
各画像形成装置1に、湿度センサーを設けておく。実行装置決定部203は、ある1つの印刷ジョブの振分け先として複数の画像形成装置1が候補に挙がった場合は、これらの画像形成装置1のそれぞれに対して、湿度を問い合わせる。これらの画像形成装置1は、それぞれ、湿度を測定し回答する。そして、実行装置決定部203は、湿度が最も低い画像形成装置1を、この印刷ジョブの振分け先に決定する。
【0094】
なお、各画像形成装置1の湿度センサーに定期的に湿度を測定させプリントサーバ2へ通知させ、プリントサーバ2のデータベースに湿度を記録しておき、これに基づいて振分け先を決定してもよい。
【0095】
湿度が高いほど、用紙がカールを起こし、紙詰まりが起きやすい。また、湿度が高いほど、結露により印字がかすれたり薄くなったりしやすい。このように湿度に鑑みて振分け先を決めることによって、より質の高い印刷画像を得ることができる。
【0096】
〔共通の標準温度との差異に基づく画像形成装置1の決定方法〕
上述の実施形態および変形例によると、エリア5ごとに設定温度TSが決められていた。しかし、すべてのエリア5に共通に1つの標準温度THを決めておき、次のように画像形成装置1を決定してもよい。
【0097】
実行装置決定部203は、気温TPが標準温度THよりも低いエリア5の画像形成装置1を選出する。選出した画像形成装置1をユーザーに提示する。そして、これらの画像形成装置1の中からユーザーが選択した画像形成装置1に印刷ジョブを振り分ける。
【0098】
または、実行装置決定部203は、気温TPが最も低いエリア5の画像形成装置1へ印刷ジョブを振り分けてもよい。
【0099】
〔複数の印刷ジョブを同時期に連続的に受け付けた場合〕
図11は、ジョブ実行装置決定処理の流れの変形例を説明するフローチャートである。
【0100】
プリントサーバ2は、同じ時期に1台または複数台の端末装置3から複数の印刷ジョブを連続的に受け付けることがある。画像形成装置1への振分けを、1つの印刷ジョブを受け付けるごとに上述の実施例または変形例の通りに行ってもよいが、次のように行ってもよい。
【0101】
実行装置決定部203は、ある印刷ジョブがジョブデータ受信部202によって受け付けられたら(具体的には、印刷データ6Bおよび条件データ6Cが受信されたら)、この印刷ジョブの振分け先を直ちに決めず、一定の時間(例えば、1分間)、他の印刷ジョブが受け付けられるのを待つ。
【0102】
そして、一定の時間が経過するまでに複数個(P個)のジョブが受け付けられたら、実行装置決定部203は、この間に受け付けられた印刷ジョブそれぞれの振分け先を、図11に示す方法で決定する。
【0103】
実行装置決定部203は、各エリア5の気温データ6Dを取得するように気温データ取得部204に対して指令する。すると、気温データ取得部204は、各エリア5の画像形成装置1に対して気温データ6Dを要求し、取得する(#731)。
【0104】
実行装置決定部203は、エリア5ごとに、印刷ジョブの実行後の予測の気温である予測温度TQを定義する(#732)。予測温度TQの初期値は、その予測温度TQに対応するエリア5の画像形成装置1から受信した気温データ6Dに示される気温TPである。
【0105】
実行装置決定部203は、未だ振り分けていない印刷ジョブのうちの実行による発熱量が最も多い印刷ジョブを、予測温度TQが最も低いエリア5の画像形成装置1へ振り分ける(#734)。なお、印刷の枚数が最も多い印刷ジョブが、発熱量が最も多い印刷ジョブである。
【0106】
そして、実行装置決定部203は、その画像形成装置1においてその印刷ジョブを実行した場合に上昇する温度(上昇温度)を算出し、その画像形成装置1のエリア5の予測温度TQにその上昇温度を加算する(#735)。上昇温度は、前に説明した通り、その画像形成装置1の特性データ6Eのウォームアップ上昇温度TW、印刷上昇温度TJ、および印刷の枚数によって算出することができる。
【0107】
実行装置決定部203は、残りの印刷ジョブについても同様に、ステップ#734、#735の処理を繰り返すことによって、発熱量が多いものを予測温度TQの最も低いエリア5の画像形成装置1へ振り分ける。
【0108】
本変形例では、複数の印刷ジョブのうち発熱量が多いものから順に振り分けたが、別の順に振り分けてもよい。例えば、発熱量が少ないものから順に振り分けてもよいし、受け付けた順に振り分けてもよい。
【0109】
〔1つのエリア5に複数台の画像形成装置1が設置されている場合〕
上述の実施形態および変形例では、1つのエリア5に1台の画像形成装置1が設置されている場合について説明したが、複数台の画像形成装置1が設置されている場合は、プリントサーバ2は、次のように印刷ジョブを振り分ければよい。
【0110】
エリア5ごとに、代表の画像形成装置1を1台、予め決めておく。プリントサーバ2は、代表の画像形成装置1と上述の各データのやり取りを行い、印刷ジョブを実行するのに好適なエリア5を決める。そして、そのエリア5に設置されている画像形成装置1のうちの任意の1台にその印刷ジョブを付与する。つまり、その印刷ジョブの印刷データ6Bおよび条件データ6Cを送信する。例えば、これらの画像形成装置1のうちユーザーが選択した1台に付与する。または、その印刷ジョブを実行する際の発熱量が最も少ない1台に付与する。この場合は、ウォームアップによる発熱も考慮する。
【0111】
〔その他〕
上述の実施形態および変形例では、エアコン、つまり、冷房および暖房の両方の機能を有する空調設備が各エリア5に設けられている場合について説明したが、これらの機能のうち一方の機能しか有しない空調設備が設けられている場合にも、本発明を適用することができる。
【0112】
上述の実施形態および変形例では、各エリア5に多機能な画像形成装置1が設けられている場合について説明したが、コピーの機能のみを有する装置またはPCプリントの機能のみを有する装置などが設けられている場合にも、本発明を適用することができる。
【0113】
上述の実施形態および変形例では、印刷ジョブを実行させる画像形成装置1をプリントサーバ2が決定したが、端末装置3が決定してもよい。
【0114】
上述の実施形態および変形例では、印刷ジョブを実行することによる発熱量を、出力する用紙の枚数によって推測したが、カラー印刷であるか否か、用紙のサイズ、および両面印刷であるか否かなどの条件をも考慮して推測してもよい。
【0115】
その他、印刷システム100、画像形成装置1、プリントサーバ2の全体または各部の構成、処理内容、処理順序、データの構成などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0116】
1 画像形成装置(印刷装置)
2 プリントサーバ(印刷ジョブ振分装置)
203 実行装置決定部(印刷装置選出手段、気温推測手段)
204 気温データ取得部(気温検知手段)
205 ジョブ実行命令部(印刷ジョブ付与手段)
5 エリア
6D 気温データ
6E 特性データ
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数台の装置のうちのいずれかにジョブを振り分ける技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネのための様々な技術が提案されている。オフィスなどの部屋の温度の調整に要する電力を削減することも、省エネのための1つの方法である。
【0003】
部屋の温度は、エアーコンディショナー(以下、「エアコン」と記載する。)によって調整されることが多い。よって、エアコンを上手く制御することによって、省エネを図ることができる。
【0004】
また、近年、企業などのオフィスでは、画像形成装置およびパーソナルコンピューターなどの様々なOA(Office Automation)機器が設置されている。OA機器にも、省エネのための技術が採用されている。例えば、スリープモードの技術によると、操作が一定の時間行われないとOA機器のハードディスクおよびディスプレイなどの動作を一時的に停止させ、電力の消費を抑える。
【0005】
画像形成装置および空調機(エアコン)が設置された部屋の温度を調整する方法として、次の方法が提案されている。
【0006】
画像形成装置は、ホームサーバによって空調機とともに一元管理される。画像形成装置は、プリントのジョブ量を読み込み、それを空調機に送信する。空調機は、プリントのジョブ量に応じて室内の冷房または暖房を行う。一方、空調機は、室内の温度および湿度を検出して、それを画像形成装置に送信する。画像形成装置は、その室内の温度および湿度に基づいて装置内の駆動ファン、結露防止ヒータ、および除湿ヒータを制御し、装置内の温度および湿度を調整する(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−186373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の方法によると、ホームサーバによって空調機を管理しなければならない。近年、ネットワークを介して他の装置と通信を行う機能を有する電化製品、つまり、いわゆる情報家電が提案されている。しかし、情報家電が普及するのは、これからである。現在、通信の機能を有しない電化製品のほうが、圧倒的に多い。よって、上述の方法が広く用いられるのはもう少し先であると、考えられる。
【0009】
一方、近年、ほとんどの画像形成装置は、通信の機能が設けられている。また、サーバなどによって画像形成装置を制御する技術が既に幾つか普及している。
【0010】
本発明は、これらの点に鑑み、エアコン等の空調設備を直接制御することなくオフィス等の省エネを図ることを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一形態に係る印刷ジョブ振分装置は、印刷装置および空調設備が少なくとも1台ずつ設置される複数のエリアそれぞれの気温を検知する気温検知手段と、前記複数のエリアのうちの前記検知された気温が所定の温度未満である好適エリアに設置される印刷装置を選出する印刷装置選出手段と、前記選出された印刷装置へ印刷ジョブを与える印刷ジョブ付与手段と、を有する。
【0012】
または、印刷装置選出手段は、前記複数のエリアのうちの前記検知された気温が所定の温度よりも最も低いエリアに設置される印刷装置を選出してもよい。
【0013】
本発明の他の一形態に係る印刷ジョブ振分装置は、印刷装置および空調設備が少なくとも1台ずつ設置される複数のエリアそれぞれの気温を検知する気温検知手段と、前記複数のエリアのそれぞれについて、それぞれに設置される印刷装置によって印刷ジョブを実行した後の気温を前記検知された気温および当該印刷装置の特性に基づいて推測する気温推測手段と、前記複数のエリアのうちの前記推測された気温が所定の温度未満である好適エリアに設置される印刷装置を選出する印刷装置選出手段と、前記選出された印刷装置へ前記印刷ジョブを与える印刷ジョブ付与手段と、を有する。
【0014】
または、印刷装置選出手段は、前記複数のエリアのうちの前記推測された気温が所定の温度よりも最も低いエリアに設置される印刷装置を選出してもよい。
【0015】
本発明の他の一形態に係る印刷ジョブ振分装置は、P個(P≧2)の印刷ジョブを1番目から順に振り分ける印刷ジョブ振分装置であって、印刷装置および空調設備が少なくとも1台ずつ設置される複数のエリアそれぞれの気温を検知する気温検知手段と、前記P個の印刷ジョブのうちのQ番目(1≦Q≦P)の印刷ジョブを振り分ける際に、前記複数のエリアそれぞれについて、設置される印刷装置に振り分けられた(Q−1)番目以前の印刷ジョブを当該印刷装置によって実行しさらにQ番目の印刷ジョブを当該印刷装置によって実行した後の気温を前記検知された気温および当該印刷装置の特性に基づいて推測する気温推測手段と、前記複数のエリアのうちの前記推測された気温が最も低いエリアに設置される印刷装置を、前記Q番目の印刷ジョブの付与先として選出する、印刷装置選出手段と、前記選出された印刷装置へ前記Q番目の印刷ジョブを与える印刷ジョブ付与手段と、を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、エアコン等の空調設備を直接制御することなくオフィス等の省エネを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】印刷システムの全体的な構成の例を示す図である。
【図2】画像形成装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【図3】プリントサーバのハードウェア構成の例を示す図である。
【図4】プリントサーバの機能的構成の例を示す図である。
【図5】一般的な気温の変化およびエアコンの出力の変化の例を示す図である。
【図6】ジョブ実行装置決定処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図7】各エリアにおける設定温度、気温、温度差の例を示す図である。
【図8】各エリアにおいて印刷ジョブを実行した場合の気温の上昇の推測の例を説明するための図である。
【図9】プリントサーバにおける全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図10】ジョブ実行装置決定処理の流れの変形例を説明するフローチャートである。
【図11】ジョブ実行装置決定処理の流れの変形例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、印刷システム100の全体的な構成の例を示す図である。図2は、画像形成装置1のハードウェア構成の例を示す図である。図3は、プリントサーバ2のハードウェア構成の例を示す図である。図4は、プリントサーバ2の機能的構成の例を示す図である。
【0019】
印刷システム100は、図1に示すように、複数台の画像形成装置1、1台のプリントサーバ2、および1台または複数台の端末装置3、および通信回線4などによって構成される。
【0020】
印刷システム100は、画像を用紙に印刷するためのシステムであって、企業または役所などの組織の施設に設けられる。そして、この組織のメンバーによって使用される。つまり、この組織のメンバーが、ユーザーである。
【0021】
この組織の施設のスペース(例えば、ある1つのフロア)は、複数のエリア(領域)5に分割されている。そして、エリア5ごとにエアーコンディショナー(以下、「エアコン」と記載する。)が1台ずつ設けられている。1つのエリア5の広さは、そこに設置されているエアコンで気温を調整できる程度である。隣り合う2つのエリア5は、間仕切りされていても、間仕切りされていなくても、どちらでもよい。また、各エリア5には、画像形成装置1が1台ずつ設置されている。
【0022】
以下、4つのエリアがある場合を例に、説明する。そして、各エリア5をそれぞれ「エリア51」、「エリア52」、「エリア53」、および「エリア54」と区別して記載することがある。また、エリア51、52、53、および54に設置されている画像形成装置1をそれぞれ「画像形成装置11」、「画像形成装置12」、「画像形成装置13」、および「画像形成装置14」と記載する。
【0023】
各エリア5には、ユニークなエリア識別子ECが1つずつ、与えられている。また、各画像形成装置1には、ユニークなデバイス識別子DCが1つずつ、与えられている。エリア5のエリア識別子ECと、そのエリア5に設置されている画像形成装置1のデバイス識別子DCとは、互いに対応付けられてプリントサーバ2に登録されている。デバイス識別子DCとして、IP(Internet Protocol)アドレスまたはMAC(Media Access Control)アドレスなどのネットワークアドレスが用いられる。
【0024】
各画像形成装置1、プリントサーバ2、および各端末装置3は、通信回線4を介して通信を行うことができる。通信回線4として、いわゆるLAN(Local Area Network)回線、インターネット、専用線、または公衆回線などが用いられる。
【0025】
画像形成装置1は、コピー、スキャン、ファックス、およびネットワークプリンティングなどの様々な機能を集約した処理装置である。複合機またはMFP(Multi Function Peripherals)などと呼ばれることもある。
【0026】
「ネットワークプリンティング」とは、パーソナルコンピューターなどの端末装置から画像データを受信し画像を用紙に印刷する機能である。「ネットワークプリンター機能」または「PCプリント機能」などと呼ばれることもある。ただし、印刷システム100においては、画像データは、端末装置3からダイレクトに画像形成装置1へ送信されるのではなく、プリントサーバ2を介して送信される。この詳細については、後述する。
【0027】
画像形成装置1は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)10a、RAM(Random Access Memory)10b、ROM(Read Only Memory)10c、ハードディスク10d、操作パネル10e、スキャナーユニット10f、印刷ユニット10g、ネットワークインタフェース10h、モデム10i、および温度センサー10jのほか種々の制御用の回路などによって構成される。
【0028】
ネットワークインタフェース10hは、プリントサーバ2および端末装置3とTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)などのプロトコルで通信を行う。ネットワークインタフェース10hとして、例えばNIC(Network Interface Card)が用いられる。
【0029】
モデム10iは、他のファックス端末との間でG3などのプロトコルで画像データをやり取りする。
【0030】
スキャナーユニット10fは、用紙に記されている文字、記号、写真、図表、またはイラストなどの画像を光学的に読み取って画像データを生成する。
【0031】
印刷ユニット10gは、スキャナーユニット10fによって読み取られた画像のほか、プリントサーバ2、端末装置3、またはファックス端末などから受信したデータに示される画像を用紙に印刷する。
【0032】
操作パネル10eは、タッチパネルディスプレイおよびテンキーなどによって構成される。タッチパネルディスプレイには、ユーザーに対してメッセージまたは指示を与えるための画面、ユーザーが所望する処理の種類および処理条件を入力するための画面、およびCPU10aなどで実行された処理の結果を示す画面などが表示される。ユーザーは、これらの画面を見ながらタッチパネルディスプレイまたはテンキーを操作することによって、その画像形成装置1に対して情報および指令を入力することができる。
【0033】
温度センサー10jは、その画像形成装置1が設置されているエリアの気温を測定する。
【0034】
ROM10cまたはハードディスク10dには、上述の機能を実現するためのソフトウェアとしてオペレーティングシステムおよびミドルウェアなどがインストールされている。そのほか、プリントサーバ2からの問合せに応じて温度センサー10jが測定した気温を回答するための気温回答アプリケーションがインストールされている。これらのソフトウェアは、RAM10bに適宜ロードされ、CPU10aによって実行される。
【0035】
プリントサーバ2は、端末装置3からの印刷ジョブをいずれかの画像形成装置1へ振り分けるサービスを提供する。プリントサーバ2は、図3に示すように、CPU20a、RAM20b、ROM20c、ハードディスク20d、およびネットワークインタフェース20eなどによって構成される。
【0036】
ネットワークインタフェース20eは、画像形成装置1および端末装置3とTCP/IPなどのプロトコルで通信を行うNICである。
【0037】
ROM20cまたはハードディスク20dには、オペレーティングシステムおよびミドルウェアのほか、印刷ジョブの振分けのためのアプリケーションがインストールされている。このアプリケーションによると、図4に示す特性データ記憶部201、ジョブデータ受信部202、実行装置決定部203、気温データ取得部204、およびジョブ実行命令部205などの機能が実現される。
【0038】
これらのソフトウェアは、RAM20bに適宜ロードされ、CPU20aによって実行される。なお、後に図6、図9、図10、および図11で説明する各処理も、CPU20aによる演算および制御などの処理によって、実現される。
【0039】
端末装置3は、画像形成装置1から提供される印刷のサービスをユーザーが受けるためのクライアントである。端末装置3として、パーソナルコンピューター、PDA(Personal Digital Assistant)、またはスマートフォンなどが用いられる。端末装置3には、画像形成装置1のプリンタードライバがインストールされている。
【0040】
端末装置3の設置場所は、いずれかのエリア5の中であってもよいし、いずれのエリア5にも属しない場所であってもよい。
【0041】
図5は、一般的な気温の変化およびエアコンの出力の変化の例を示す図である。図6は、ジョブ実行装置決定処理の流れの例を説明するフローチャートである。図7は、エリア51〜54それぞれにおける設定温度TS、気温TP、温度差TDの例を示す図である。図8は、エリア53、54において印刷ジョブを実行した場合の気温の上昇の推測の例を説明するための図である。
【0042】
次に、印刷ジョブの振分けの際の画像形成装置1、プリントサーバ2、および端末装置3の処理を、図6などを参照しながら説明する。
【0043】
プリントサーバ2において、特性データ記憶部201には、エリア5ごとの特性データ6Aが記憶されている。特性データ6Aには、そのエリア5に関する種々の特性が示されている。特に、本実施形態では、そのエリア5に設置されているエアコンの設定温度TSおよびそのエリア5を識別するエリア識別子ECが示されている。例えば、エリア51の特性データ6Aには、エリア51に設置されているエアコンの設定温度TSが示されている。これらの特性データ6Aは、予め特性データ記憶部201に記憶されている。
【0044】
なお、一般に、エアコンは、付近の気温が設定温度になるように稼働する。冷房の場合は、図5に示すように、付近の気温が設定温度を上回ると高出力で稼働し、設定温度を下回ると停止しまたは低出力で稼働する。
【0045】
ユーザーは、印刷したい画像の画像データを端末装置3に用意する。この画像データは、ワープロソフトまたは描画ソフトなどのアプリケーションで画像を作成することによって用意すればよい。または、インターネット上のウェブサイトからウェブページのデータをダウンロードし、このデータを画像データとして用いることもできる。
【0046】
そして、ユーザーは、印刷ジョブの条件として部数などを指定し、印刷のコマンドを端末装置3に入力する。
【0047】
すると、端末装置3は、ドライバによって画像データをPDL(Page Description Language)のデータに変換するなどして印刷データ6Bを生成する。そして、印刷データ6Bを、指定された条件を示す条件データ6Cとともにプリントサーバ2へ送信する。
【0048】
プリントサーバ2において、ジョブデータ受信部202は、端末装置3から印刷データ6Bおよび条件データ6Cを受信する。
【0049】
実行装置決定部203は、印刷データ6Bおよび条件データ6Cが受信されると、これらのデータに基づいて印刷ジョブを実行するのに適切な画像形成装置1を決定する。この際に、気温データ取得部204は、各画像形成装置1から各エリア5の気温のデータを取得する処理を行う。
【0050】
ここで、実行装置決定部203および気温データ取得部204の処理の内容を、図6のフローチャートを参照しながら説明する。
【0051】
実行装置決定部203は、印刷データ6Bおよび条件データ6Cを受信すると、気温のデータを取得するように気温データ取得部204に対して指令する。すると、気温データ取得部204は、1番目のエリア5であるエリア51に設置されている画像形成装置11に対して、現在の気温のデータを要求し、取得する(#702)。
【0052】
このとき、画像形成装置11において、気温回答アプリケーションによって、次の処理が行われる。温度センサー10jによって現在の気温TPが測定される。CPU10aによって、測定された気温TPおよびエリア51のエリア識別子ECを示す気温データ6Dが生成される。そして、ネットワークインタフェース10hによって気温データ6Dがプリントサーバ2へ送信される。
【0053】
実行装置決定部203は、画像形成装置11からの気温データ6Dに示される気温TPからエリア51の特性データ6Aに示される設定温度TSを減算することによって、温度差TDを算出する(#703)。
【0054】
実行装置決定部203および気温データ取得部204は、2番目〜4番目のエリア5についても同様に、画像形成装置12〜14のそれぞれから気温データ6Dを受信し、気温TPから設定温度TSを減算することによって、温度差TDを算出する(#702〜#705)。
【0055】
そして、実行装置決定部203は、エリア51〜54それぞれの温度差TDのうち最も小さいものを抽出し、抽出した温度差TDに対応するエリア5に設置されている画像形成装置1を、印刷ジョブを実行するのに適切な画像形成装置1に決定する(#706)。つまり、この印刷ジョブの振分け先を、このエリア5に設置されている画像形成装置1に決定する。
【0056】
例えば、エリア51〜54それぞれの温度差TDとして、図7(A)〜(D)に示すようなTD1〜TD4が得られたとする。温度差TD3が最も小さい(つまり、気温TPが設定温度TSよりも低く、その差が最も大きい)ので、実行装置決定部203は、エリア53の画像形成装置1つまり画像形成装置13を、印刷ジョブを実行するのに適切な画像形成装置1に決定する。
【0057】
ジョブ実行命令部205は、実行装置決定部203によって決定された画像形成装置1へ、印刷ジョブの実行を指令するとともに、印刷データ6Bおよび条件データ6Cを送信する。
【0058】
画像形成装置1は、印刷データ6Bおよび条件データ6Cを受信すると、印刷データ6Bおよび条件データ6Cに基づいて印刷ジョブを実行する。これにより、画像が用紙に印刷される。
【0059】
各エリア5の温度差TDがそれぞれ図7(A)〜(D)に示した温度差TD1〜TD4である場合は、上述の処理によると、画像形成装置13によって印刷ジョブが実行される。よって、画像形成装置13が稼働することによって画像形成装置13から熱が放出され、エリア53の気温が上昇する。
【0060】
エリア53は、すべてのエリア5の中で、温度差TDが最小である。したがって、エリア53は、印刷ジョブによる熱で気温が図8(A)に示すように上昇しても、設定温度未満である可能性がすべてのエリア5の中で最も高い。
【0061】
一方、もしも、エリア53以外のエリア5、例えば、エリア54において印刷ジョブが実行されたら、図8(B)に示すように、エリア54において、気温TPがますます設定温度TSよりも高くなる。そうすると、冷房の場合は、エリア54のエアコンが高出力で稼働する時間がますます長くなる。
【0062】
また、暖房の場合は、エリア53で印刷ジョブを実行させることによって、エリア53の気温TPを上昇させ設定温度TSに近づけることができる。よって、印刷による発熱を上手く利用し、エリア53のエアコンが高出力で稼働する時間を短くすることができる。
【0063】
よって、温度差TDが最小であるエリア5の画像形成装置1に印刷ジョブを実行させることによって、エリア51〜54のエアコン全体の、ある期間における消費電力を抑えることができる。
【0064】
図9は、プリントサーバ2における全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【0065】
次に、プリントサーバ2における印刷ジョブの振分けの全体的な処理の流れを、図9に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0066】
プリントサーバ2は、端末装置3から印刷データ6Bおよび条件データ6Cを受信すると(#711)、印刷ジョブを実行するのに適切な画像形成装置1を決定する(#712)。決定の手順は、前に図6を用いて説明した通りである。
【0067】
そして、プリントサーバ2は、決定した画像形成装置1へ、印刷ジョブの実行を指令するとともに、印刷データ6Bおよび条件データ6Cを転送する(#713)。
【0068】
本実施形態によると、エアコンを直接制御せず、好適な画像形成装置1を決定し印刷ジョブを振り分けることによって、オフィス等の省エネを図ることができる。
【0069】
以下、本実施形態の変形例を順次、説明する。
【0070】
〔ユーザーによる選択を組み合わせた画像形成装置1の決定方法〕
本実施形態では、温度差TDが最も小さいエリア5に設置されている画像形成装置1に印刷ジョブを実行させると、決定した。しかし、温度差TDが一定の値(例えば、マイナス2度)以下であるエリア5を選出し、これらのエリア5のいずれかにある画像形成装置1をユーザーに提示してもよい。そして、これらの画像形成装置1の中からユーザーが選択した画像形成装置1に印刷ジョブを実行させてもよい。
【0071】
〔特性データ6Aおよび気温データ6Dを取得するタイミング〕
本実施形態では、プリントサーバ2は、特性データ6Aを予め特性データ記憶部201に記憶させておいた。また、気温データ6Dを、印刷ジョブをいずれかの画像形成装置1に実行させる必要が生じるごとに、取得した。しかし、特性データ6Aおよび気温データ6Dを次のようなタイミングで取得してもよい。
【0072】
各エリア5のエアコンに通信機能を設けておく。そして、エアコンは、設定温度TSが変更されると、この設定温度TSおよびエアコンの識別子を示すデータをプリントサーバ2へ送信する。エアコンの識別子は、エリア5のエリア識別子ECと対応付けられている。プリントサーバ2は、このデータを受信すると、このデータを、このエリア5の特性データ6Aとして特性データ記憶部201によって記憶する。または、プリントサーバ2は、定期的に各エリア5のエアコンに現在の設定温度TSを問い合わせ、設定温度TSが変更されていればそれに応じて特性データ6Aを更新してもよい。
【0073】
一方、画像形成装置1は、定期的に気温TPを計測し、この気温TPおよび設置場所であるエリア5のエリア識別子ECを示すデータをプリントサーバ2へ通知する。プリントサーバ2は、このデータを受信すると、このデータを、このエリア5の気温データ6Dとして所定のデータベースに保存する。または、プリントサーバ2は、定期的に各エリア5の画像形成装置1に現在の気温TPを問い合わせ、気温TPが変化していればそれに応じて気温データ6Dを更新してもよい。
【0074】
または、エリア5の気温TPを画像形成装置1の代わりにエアコンが測定しプリントサーバ2へ通知してもよい。
【0075】
〔印刷ジョブの実行に伴う気温の上昇を考慮した画像形成装置1の決定方法〕
図10は、ジョブ実行装置決定処理の流れの変形例を説明するフローチャートである。
【0076】
印刷ジョブを実行すると、画像形成装置1の周囲の気温が上昇する。どれくらい上昇するのかは、画像形成装置1の特性および状態などによって異なる。特に冷房の場合は、上昇が小さいほど、電力消費量を抑えるのに好ましい。
【0077】
そこで、プリントサーバ2は、印刷ジョブを実行する画像形成装置1を、図6などで説明した方法の代わりに次の方法を用いて決定する。
【0078】
特性データ記憶部201に、エリア5ごとに、特性データ6Aの代わりに、特性データ6Eを用意しておく。特性データ6Eには、そのエリア5のエリア識別子ECおよびエアコンの設定温度TSに加えて、そのエリア5の画像形成装置1のウォームアップ上昇温度TWおよび印刷上昇温度TJが示されている。
【0079】
ウォームアップ上昇温度TWは、印刷ユニット10gを起動(ウォームアップ)させることによってエリア識別子ECが対応するエリア5が上昇する温度である。ウォームアップ上昇温度TWは、例えば次の方法で予め算出すればよい。印刷ユニット10gが起動していない状態の気温TM1を測定する。直ちに印刷ユニット10gを起動させ、起動後の気温TM2を測定する。なお、測定は、温度センサー10jによって行ってもよいし、エアコンによって行ってもよい。以下、同様である。そして、気温TM2から気温TM1を減算した値を、ウォームアップ上昇温度TWとする。
【0080】
一方、印刷上昇温度TJは、画像を1枚の用紙に印刷することによって上昇する温度である。印刷上昇温度TJは、例えば次の方法で予め算出すればよい。印刷ユニット10gが起動しアイドリングの状態の気温TN1を測定する。直ちに、N枚の用紙に印刷する印刷ジョブを印刷ユニット10gに実行させ、実行後の気温TN2を測定する。そして、気温TN2から気温TN1を減算した値をNで割った値を、印刷上昇温度TJとする。
【0081】
ウォームアップ上昇温度TWおよび印刷上昇温度TJは、画像形成装置1ごとに求めておく。
【0082】
また、印刷ジョブの実行のたびに、気温TM1、TM2、TN1、およびTN2と印刷の枚数Nとを逐一記録しておき、これらのデータに基づいてウォームアップ上昇温度TWおよび印刷上昇温度TJを算出し直してもよい。または、一定の期間に実行した印刷ジョブのこれらのデータを用いて、一定の期間が経過するごとにこれらのデータに基づいてウォームアップ上昇温度TWおよび印刷上昇温度TJを算出し直してもよい。
【0083】
そして、ジョブデータ受信部202によって印刷データ6Bおよび条件データ6Cが受信されると、実行装置決定部203および気温データ取得部204は、図10に示す手順で、この印刷データ6Bおよび条件データ6Cに基づいて印刷ジョブを実行するのに好ましい画像形成装置1を決定する。
【0084】
実行装置決定部203は、エリアの状態のデータを取得するように気温データ取得部204に対して指令する。すると、気温データ取得部204は、1番目のエリア5であるエリア51に設置されている画像形成装置11に対して、現在のエリア51の状態のデータを要求し、取得する(#722)。
【0085】
このとき、画像形成装置11において、気温回答アプリケーションによって、次の処理が行われ、気温データ6Dの代わりに状態データ6Fが生成されプリントサーバ2へ送信される。
【0086】
温度センサー10jによって現在の気温TPが測定される。CPU10aによって、状態データ6Fが生成される。状態データ6Fには、気温データ6Dと同様に、測定された気温TPおよびエリア51のエリア識別子ECが示されるが、さらに、状態データ6Fには、起動フラグFGが含まれている。起動フラグFGは、印刷ユニット10gの起動の状態を示すフラグであって、起動していなければ「1」を示し起動していれば「0」を示す。
【0087】
そして、ネットワークインタフェース10hによって状態データ6Fがプリントサーバ2へ送信される。
【0088】
実行装置決定部203は、画像形成装置11からの状態データ6Fおよび特性データ記憶部201に記憶されている画像形成装置11の特性データ6Eに基づいて、次の(1)式によって、印刷ジョブの実行後のエリア51の気温(以下、「実行後温度TF」と記載する。)を推測する(#723)。
TF=TP+TW・FG+TJ・CP …… (1)
ただし、「TP」および「FG」は、それぞれ、画像形成装置11からの状態データ6Fに示される気温TPおよび起動フラグFGである。「TW」および「TJ」は、画像形成装置11の特性データ6Aに示されるウォームアップ上昇温度TWおよび印刷上昇温度TJである。「CP」は、今回の印刷ジョブで出力される用紙の総数であって、印刷データ6Bおよび条件データ6Cから求めることができる。例えば、印刷データ6Bに示される画像が3ページであり、条件データ6Cに示される部数が5部である場合は、CP=3×5=15、である。
【0089】
実行装置決定部203および気温データ取得部204は、2番目〜4番目のエリア5についても同様に、画像形成装置12〜14のそれぞれから状態データ6Fを受信し、それぞれの特性データ6Aおよび状態データ6Fに基づいて(1)式によって、実行後温度TFを算出する(#722〜#725)。
【0090】
そして、実行装置決定部203は、エリア51〜54それぞれの実行後温度TFのうち最も低いものを抽出し、抽出した実行後温度TFに対応するエリア5に設置されている画像形成装置1を、印刷ジョブを実行するのに適切な画像形成装置1に決定する(#726)。
【0091】
〔湿度に基づく印刷ジョブの振分け〕
上述の実施形態および変形例によると、ある1つの印刷ジョブの振分け先として複数の画像形成装置1が該当する場合がある。
【0092】
この場合は、これらの画像形成装置1のうちの1台を次のように振分け先として選出すればよい。
【0093】
各画像形成装置1に、湿度センサーを設けておく。実行装置決定部203は、ある1つの印刷ジョブの振分け先として複数の画像形成装置1が候補に挙がった場合は、これらの画像形成装置1のそれぞれに対して、湿度を問い合わせる。これらの画像形成装置1は、それぞれ、湿度を測定し回答する。そして、実行装置決定部203は、湿度が最も低い画像形成装置1を、この印刷ジョブの振分け先に決定する。
【0094】
なお、各画像形成装置1の湿度センサーに定期的に湿度を測定させプリントサーバ2へ通知させ、プリントサーバ2のデータベースに湿度を記録しておき、これに基づいて振分け先を決定してもよい。
【0095】
湿度が高いほど、用紙がカールを起こし、紙詰まりが起きやすい。また、湿度が高いほど、結露により印字がかすれたり薄くなったりしやすい。このように湿度に鑑みて振分け先を決めることによって、より質の高い印刷画像を得ることができる。
【0096】
〔共通の標準温度との差異に基づく画像形成装置1の決定方法〕
上述の実施形態および変形例によると、エリア5ごとに設定温度TSが決められていた。しかし、すべてのエリア5に共通に1つの標準温度THを決めておき、次のように画像形成装置1を決定してもよい。
【0097】
実行装置決定部203は、気温TPが標準温度THよりも低いエリア5の画像形成装置1を選出する。選出した画像形成装置1をユーザーに提示する。そして、これらの画像形成装置1の中からユーザーが選択した画像形成装置1に印刷ジョブを振り分ける。
【0098】
または、実行装置決定部203は、気温TPが最も低いエリア5の画像形成装置1へ印刷ジョブを振り分けてもよい。
【0099】
〔複数の印刷ジョブを同時期に連続的に受け付けた場合〕
図11は、ジョブ実行装置決定処理の流れの変形例を説明するフローチャートである。
【0100】
プリントサーバ2は、同じ時期に1台または複数台の端末装置3から複数の印刷ジョブを連続的に受け付けることがある。画像形成装置1への振分けを、1つの印刷ジョブを受け付けるごとに上述の実施例または変形例の通りに行ってもよいが、次のように行ってもよい。
【0101】
実行装置決定部203は、ある印刷ジョブがジョブデータ受信部202によって受け付けられたら(具体的には、印刷データ6Bおよび条件データ6Cが受信されたら)、この印刷ジョブの振分け先を直ちに決めず、一定の時間(例えば、1分間)、他の印刷ジョブが受け付けられるのを待つ。
【0102】
そして、一定の時間が経過するまでに複数個(P個)のジョブが受け付けられたら、実行装置決定部203は、この間に受け付けられた印刷ジョブそれぞれの振分け先を、図11に示す方法で決定する。
【0103】
実行装置決定部203は、各エリア5の気温データ6Dを取得するように気温データ取得部204に対して指令する。すると、気温データ取得部204は、各エリア5の画像形成装置1に対して気温データ6Dを要求し、取得する(#731)。
【0104】
実行装置決定部203は、エリア5ごとに、印刷ジョブの実行後の予測の気温である予測温度TQを定義する(#732)。予測温度TQの初期値は、その予測温度TQに対応するエリア5の画像形成装置1から受信した気温データ6Dに示される気温TPである。
【0105】
実行装置決定部203は、未だ振り分けていない印刷ジョブのうちの実行による発熱量が最も多い印刷ジョブを、予測温度TQが最も低いエリア5の画像形成装置1へ振り分ける(#734)。なお、印刷の枚数が最も多い印刷ジョブが、発熱量が最も多い印刷ジョブである。
【0106】
そして、実行装置決定部203は、その画像形成装置1においてその印刷ジョブを実行した場合に上昇する温度(上昇温度)を算出し、その画像形成装置1のエリア5の予測温度TQにその上昇温度を加算する(#735)。上昇温度は、前に説明した通り、その画像形成装置1の特性データ6Eのウォームアップ上昇温度TW、印刷上昇温度TJ、および印刷の枚数によって算出することができる。
【0107】
実行装置決定部203は、残りの印刷ジョブについても同様に、ステップ#734、#735の処理を繰り返すことによって、発熱量が多いものを予測温度TQの最も低いエリア5の画像形成装置1へ振り分ける。
【0108】
本変形例では、複数の印刷ジョブのうち発熱量が多いものから順に振り分けたが、別の順に振り分けてもよい。例えば、発熱量が少ないものから順に振り分けてもよいし、受け付けた順に振り分けてもよい。
【0109】
〔1つのエリア5に複数台の画像形成装置1が設置されている場合〕
上述の実施形態および変形例では、1つのエリア5に1台の画像形成装置1が設置されている場合について説明したが、複数台の画像形成装置1が設置されている場合は、プリントサーバ2は、次のように印刷ジョブを振り分ければよい。
【0110】
エリア5ごとに、代表の画像形成装置1を1台、予め決めておく。プリントサーバ2は、代表の画像形成装置1と上述の各データのやり取りを行い、印刷ジョブを実行するのに好適なエリア5を決める。そして、そのエリア5に設置されている画像形成装置1のうちの任意の1台にその印刷ジョブを付与する。つまり、その印刷ジョブの印刷データ6Bおよび条件データ6Cを送信する。例えば、これらの画像形成装置1のうちユーザーが選択した1台に付与する。または、その印刷ジョブを実行する際の発熱量が最も少ない1台に付与する。この場合は、ウォームアップによる発熱も考慮する。
【0111】
〔その他〕
上述の実施形態および変形例では、エアコン、つまり、冷房および暖房の両方の機能を有する空調設備が各エリア5に設けられている場合について説明したが、これらの機能のうち一方の機能しか有しない空調設備が設けられている場合にも、本発明を適用することができる。
【0112】
上述の実施形態および変形例では、各エリア5に多機能な画像形成装置1が設けられている場合について説明したが、コピーの機能のみを有する装置またはPCプリントの機能のみを有する装置などが設けられている場合にも、本発明を適用することができる。
【0113】
上述の実施形態および変形例では、印刷ジョブを実行させる画像形成装置1をプリントサーバ2が決定したが、端末装置3が決定してもよい。
【0114】
上述の実施形態および変形例では、印刷ジョブを実行することによる発熱量を、出力する用紙の枚数によって推測したが、カラー印刷であるか否か、用紙のサイズ、および両面印刷であるか否かなどの条件をも考慮して推測してもよい。
【0115】
その他、印刷システム100、画像形成装置1、プリントサーバ2の全体または各部の構成、処理内容、処理順序、データの構成などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0116】
1 画像形成装置(印刷装置)
2 プリントサーバ(印刷ジョブ振分装置)
203 実行装置決定部(印刷装置選出手段、気温推測手段)
204 気温データ取得部(気温検知手段)
205 ジョブ実行命令部(印刷ジョブ付与手段)
5 エリア
6D 気温データ
6E 特性データ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置および空調設備が少なくとも1台ずつ設置される複数のエリアそれぞれの気温を検知する気温検知手段と、
前記複数のエリアのうちの前記検知された気温が所定の温度未満である好適エリアに設置される印刷装置を選出する印刷装置選出手段と、
前記選出された印刷装置へ印刷ジョブを与える印刷ジョブ付与手段と、
を有することを特徴とする印刷ジョブ振分装置。
【請求項2】
印刷装置および空調設備が少なくとも1台ずつ設置される複数のエリアそれぞれの気温を検知する気温検知手段と、
前記複数のエリアのうちの前記検知された気温が所定の温度よりも最も低いエリアに設置される印刷装置を選出する印刷装置選出手段と、
前記選出された印刷装置へ印刷ジョブを与える印刷ジョブ付与手段と、
を有することを特徴とする印刷ジョブ振分装置。
【請求項3】
印刷装置および空調設備が少なくとも1台ずつ設置される複数のエリアそれぞれの気温を検知する気温検知手段と、
前記複数のエリアのそれぞれについて、それぞれに設置される印刷装置によって印刷ジョブを実行した後の気温を前記検知された気温および当該印刷装置の特性に基づいて推測する気温推測手段と、
前記複数のエリアのうちの前記推測された気温が所定の温度未満である好適エリアに設置される印刷装置を選出する印刷装置選出手段と、
前記選出された印刷装置へ前記印刷ジョブを与える印刷ジョブ付与手段と、
を有することを特徴とする印刷ジョブ振分装置。
【請求項4】
印刷装置および空調設備が少なくとも1台ずつ設置される複数のエリアそれぞれの気温を検知する気温検知手段と、
前記複数のエリアのそれぞれについて、それぞれに設置される印刷装置によって印刷ジョブを実行した後の気温を前記検知された気温および当該印刷装置の特性に基づいて推測する気温推測手段と、
前記複数のエリアのうちの前記推測された気温が所定の温度よりも最も低いエリアに設置される印刷装置を選出する印刷装置選出手段と、
前記選出された印刷装置へ前記印刷ジョブを与える印刷ジョブ付与手段と、
を有することを特徴とする印刷ジョブ振分装置。
【請求項5】
前記所定の温度は、前記複数のエリアそれぞれの空調設備に設定されている設定温度であり、前記複数のエリアのそれぞれに対して個々に設定されている、
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の印刷ジョブ振分装置。
【請求項6】
前記所定の温度は、前記複数のエリアに対して共通に設定されている、
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の印刷ジョブ振分装置。
【請求項7】
前記気温検知手段は、前記複数のエリアそれぞれの前記気温を、それぞれに設置される印刷装置または空調設備から当該気温を示すデータを受信することによって、検知する、
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の印刷ジョブ振分装置。
【請求項8】
P個(P≧2)の印刷ジョブを1番目から順に振り分ける印刷ジョブ振分装置であって、
印刷装置および空調設備が少なくとも1台ずつ設置される複数のエリアそれぞれの気温を検知する気温検知手段と、
前記P個の印刷ジョブのうちのQ番目(1≦Q≦P)の印刷ジョブを振り分ける際に、前記複数のエリアそれぞれについて、設置される印刷装置に振り分けられた(Q−1)番目以前の印刷ジョブを当該印刷装置によって実行しさらにQ番目の印刷ジョブを当該印刷装置によって実行した後の気温を前記検知された気温および当該印刷装置の特性に基づいて推測する気温推測手段と、
前記複数のエリアのうちの前記推測された気温が最も低いエリアに設置される印刷装置を、前記Q番目の印刷ジョブの付与先として選出する、印刷装置選出手段と、
前記選出された印刷装置へ前記Q番目の印刷ジョブを与える印刷ジョブ付与手段と、
を有することを特徴とする印刷ジョブ振分装置。
【請求項9】
前記印刷ジョブ付与手段は、前記P個の印刷ジョブのうちの実行することによる発熱の量が大きい印刷ジョブから順に与える、
請求項8に記載の印刷ジョブ振分装置。
【請求項10】
前記印刷ジョブ付与手段は、前記選出された印刷装置が複数台である場合は、前記複数のエリアのうち湿度が最も低いエリアに設置される印刷装置へ前記印刷ジョブを与える、
請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の印刷ジョブ振分装置。
【請求項11】
印刷装置および空調設備が少なくとも1台ずつ設置される複数のエリアそれぞれの気温を検知し、
前記複数のエリアのうちの前記検知した気温が所定の温度未満である好適エリアに設置される印刷装置を選出し、
前記選出した印刷装置へ印刷ジョブを与える、
ことを特徴とする印刷ジョブ振分方法。
【請求項12】
印刷装置および空調設備が少なくとも1台ずつ設置される複数のエリアそれぞれの気温を検知し、
前記複数のエリアのうちの前記検知した気温が所定の温度よりも最も低いエリアに設置される印刷装置を選出し、
前記選出した印刷装置へ印刷ジョブを与える、
ことを特徴とする印刷ジョブ振分方法。
【請求項13】
印刷装置および空調設備が少なくとも1台ずつ設置される複数のエリアそれぞれの気温を検知し、
前記複数のエリアのそれぞれについて、それぞれに設置される印刷装置によって印刷ジョブを実行した後の気温を前記検知した気温および当該印刷装置の特性に基づいて推測し、
前記複数のエリアのうちの前記推測した気温が所定の温度未満である好適エリアに設置される印刷装置を選出し、
前記選出した印刷装置へ前記印刷ジョブを与える、
ことを特徴とする印刷ジョブ振分方法。
【請求項14】
印刷装置および空調設備が少なくとも1台ずつ設置される複数のエリアそれぞれの気温を検知し、
前記複数のエリアのそれぞれについて、それぞれに設置される印刷装置によって印刷ジョブを実行した後の気温を前記検知した気温および当該印刷装置の特性に基づいて推測し、
前記複数のエリアのうちの前記推測した気温が所定の温度よりも最も低いエリアに設置される印刷装置を選出し、
前記選出した印刷装置へ前記印刷ジョブを与える、
ことを特徴とする印刷ジョブ振分方法。
【請求項15】
P個(P≧2)の印刷ジョブを1番目から順に振り分ける印刷ジョブ振分方法であって、
印刷装置および空調設備が少なくとも1台ずつ設置される複数のエリアそれぞれの気温を検知し、
前記P個の印刷ジョブのうちのQ番目(1≦Q≦P)の印刷ジョブを振り分ける際に、前記複数のエリアそれぞれについて、設置される印刷装置に振り分けられた(Q−1)番目以前の印刷ジョブを当該印刷装置によって実行しさらにQ番目の印刷ジョブを当該印刷装置によって実行した後の気温を前記検知した気温および当該印刷装置の特性に基づいて推測し、
前記複数のエリアのうちの前記推測した気温が最も低いエリアに設置される印刷装置を、前記Q番目の印刷ジョブの付与先として選出し、
前記選出した印刷装置へ前記Q番目の印刷ジョブを与える、
ことを特徴とする印刷ジョブ振分方法。
【請求項1】
印刷装置および空調設備が少なくとも1台ずつ設置される複数のエリアそれぞれの気温を検知する気温検知手段と、
前記複数のエリアのうちの前記検知された気温が所定の温度未満である好適エリアに設置される印刷装置を選出する印刷装置選出手段と、
前記選出された印刷装置へ印刷ジョブを与える印刷ジョブ付与手段と、
を有することを特徴とする印刷ジョブ振分装置。
【請求項2】
印刷装置および空調設備が少なくとも1台ずつ設置される複数のエリアそれぞれの気温を検知する気温検知手段と、
前記複数のエリアのうちの前記検知された気温が所定の温度よりも最も低いエリアに設置される印刷装置を選出する印刷装置選出手段と、
前記選出された印刷装置へ印刷ジョブを与える印刷ジョブ付与手段と、
を有することを特徴とする印刷ジョブ振分装置。
【請求項3】
印刷装置および空調設備が少なくとも1台ずつ設置される複数のエリアそれぞれの気温を検知する気温検知手段と、
前記複数のエリアのそれぞれについて、それぞれに設置される印刷装置によって印刷ジョブを実行した後の気温を前記検知された気温および当該印刷装置の特性に基づいて推測する気温推測手段と、
前記複数のエリアのうちの前記推測された気温が所定の温度未満である好適エリアに設置される印刷装置を選出する印刷装置選出手段と、
前記選出された印刷装置へ前記印刷ジョブを与える印刷ジョブ付与手段と、
を有することを特徴とする印刷ジョブ振分装置。
【請求項4】
印刷装置および空調設備が少なくとも1台ずつ設置される複数のエリアそれぞれの気温を検知する気温検知手段と、
前記複数のエリアのそれぞれについて、それぞれに設置される印刷装置によって印刷ジョブを実行した後の気温を前記検知された気温および当該印刷装置の特性に基づいて推測する気温推測手段と、
前記複数のエリアのうちの前記推測された気温が所定の温度よりも最も低いエリアに設置される印刷装置を選出する印刷装置選出手段と、
前記選出された印刷装置へ前記印刷ジョブを与える印刷ジョブ付与手段と、
を有することを特徴とする印刷ジョブ振分装置。
【請求項5】
前記所定の温度は、前記複数のエリアそれぞれの空調設備に設定されている設定温度であり、前記複数のエリアのそれぞれに対して個々に設定されている、
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の印刷ジョブ振分装置。
【請求項6】
前記所定の温度は、前記複数のエリアに対して共通に設定されている、
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の印刷ジョブ振分装置。
【請求項7】
前記気温検知手段は、前記複数のエリアそれぞれの前記気温を、それぞれに設置される印刷装置または空調設備から当該気温を示すデータを受信することによって、検知する、
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の印刷ジョブ振分装置。
【請求項8】
P個(P≧2)の印刷ジョブを1番目から順に振り分ける印刷ジョブ振分装置であって、
印刷装置および空調設備が少なくとも1台ずつ設置される複数のエリアそれぞれの気温を検知する気温検知手段と、
前記P個の印刷ジョブのうちのQ番目(1≦Q≦P)の印刷ジョブを振り分ける際に、前記複数のエリアそれぞれについて、設置される印刷装置に振り分けられた(Q−1)番目以前の印刷ジョブを当該印刷装置によって実行しさらにQ番目の印刷ジョブを当該印刷装置によって実行した後の気温を前記検知された気温および当該印刷装置の特性に基づいて推測する気温推測手段と、
前記複数のエリアのうちの前記推測された気温が最も低いエリアに設置される印刷装置を、前記Q番目の印刷ジョブの付与先として選出する、印刷装置選出手段と、
前記選出された印刷装置へ前記Q番目の印刷ジョブを与える印刷ジョブ付与手段と、
を有することを特徴とする印刷ジョブ振分装置。
【請求項9】
前記印刷ジョブ付与手段は、前記P個の印刷ジョブのうちの実行することによる発熱の量が大きい印刷ジョブから順に与える、
請求項8に記載の印刷ジョブ振分装置。
【請求項10】
前記印刷ジョブ付与手段は、前記選出された印刷装置が複数台である場合は、前記複数のエリアのうち湿度が最も低いエリアに設置される印刷装置へ前記印刷ジョブを与える、
請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の印刷ジョブ振分装置。
【請求項11】
印刷装置および空調設備が少なくとも1台ずつ設置される複数のエリアそれぞれの気温を検知し、
前記複数のエリアのうちの前記検知した気温が所定の温度未満である好適エリアに設置される印刷装置を選出し、
前記選出した印刷装置へ印刷ジョブを与える、
ことを特徴とする印刷ジョブ振分方法。
【請求項12】
印刷装置および空調設備が少なくとも1台ずつ設置される複数のエリアそれぞれの気温を検知し、
前記複数のエリアのうちの前記検知した気温が所定の温度よりも最も低いエリアに設置される印刷装置を選出し、
前記選出した印刷装置へ印刷ジョブを与える、
ことを特徴とする印刷ジョブ振分方法。
【請求項13】
印刷装置および空調設備が少なくとも1台ずつ設置される複数のエリアそれぞれの気温を検知し、
前記複数のエリアのそれぞれについて、それぞれに設置される印刷装置によって印刷ジョブを実行した後の気温を前記検知した気温および当該印刷装置の特性に基づいて推測し、
前記複数のエリアのうちの前記推測した気温が所定の温度未満である好適エリアに設置される印刷装置を選出し、
前記選出した印刷装置へ前記印刷ジョブを与える、
ことを特徴とする印刷ジョブ振分方法。
【請求項14】
印刷装置および空調設備が少なくとも1台ずつ設置される複数のエリアそれぞれの気温を検知し、
前記複数のエリアのそれぞれについて、それぞれに設置される印刷装置によって印刷ジョブを実行した後の気温を前記検知した気温および当該印刷装置の特性に基づいて推測し、
前記複数のエリアのうちの前記推測した気温が所定の温度よりも最も低いエリアに設置される印刷装置を選出し、
前記選出した印刷装置へ前記印刷ジョブを与える、
ことを特徴とする印刷ジョブ振分方法。
【請求項15】
P個(P≧2)の印刷ジョブを1番目から順に振り分ける印刷ジョブ振分方法であって、
印刷装置および空調設備が少なくとも1台ずつ設置される複数のエリアそれぞれの気温を検知し、
前記P個の印刷ジョブのうちのQ番目(1≦Q≦P)の印刷ジョブを振り分ける際に、前記複数のエリアそれぞれについて、設置される印刷装置に振り分けられた(Q−1)番目以前の印刷ジョブを当該印刷装置によって実行しさらにQ番目の印刷ジョブを当該印刷装置によって実行した後の気温を前記検知した気温および当該印刷装置の特性に基づいて推測し、
前記複数のエリアのうちの前記推測した気温が最も低いエリアに設置される印刷装置を、前記Q番目の印刷ジョブの付与先として選出し、
前記選出した印刷装置へ前記Q番目の印刷ジョブを与える、
ことを特徴とする印刷ジョブ振分方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−61714(P2013−61714A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198336(P2011−198336)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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