印刷データ処理システム
【課題】システムの起動時から補助用の解釈装置をシステムに参加させる方式よりも省エネルギーを図ることができ、操作者が補助用の解釈装置をシステムに参加させる操作を行う場合よりもシステムの動作停止期間が短くなるようにする。
【解決手段】印刷データ処理システム100の起動時には、フロントエンドユニット110及びプリンタエンジン200に接続されたCMYK各色用のRIPユニット120C〜Kには電源が投入されるが、補助ユニット150には電源が投入されない。ページ管理部114は各RIPユニット120C〜Kの負荷を監視し、その負荷があらかじめ定めたオン閾値を上回ると、Wake on LAN等を用いて補助ユニット150に電源を投入する。電源を投入した補助ユニット150が使用可能な状態になると、ページ管理部114はその補助ユニット150にもページのRIP処理を割り当てる。
【解決手段】印刷データ処理システム100の起動時には、フロントエンドユニット110及びプリンタエンジン200に接続されたCMYK各色用のRIPユニット120C〜Kには電源が投入されるが、補助ユニット150には電源が投入されない。ページ管理部114は各RIPユニット120C〜Kの負荷を監視し、その負荷があらかじめ定めたオン閾値を上回ると、Wake on LAN等を用いて補助ユニット150に電源を投入する。電源を投入した補助ユニット150が使用可能な状態になると、ページ管理部114はその補助ユニット150にもページのRIP処理を割り当てる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷データ処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ページ記述言語で記述された印刷データを解釈してラスター画像データを生成するRIP(Raster Image Processor)装置を複数設け、それら複数のRIP装置に例えば異なるページの印刷データを並列に処理させることで、RIP処理の高速化を図ることが行われている。
【0003】
特許文献1には、ラスタライズ処理をネットワーク上の複数の演算処理装置で行い、ネットワーク上の1つ以上の印刷処理装置を用いて出力する印刷処理システムが開示される。このシステムは、演算処理装置の処理能力と現在の処理状況、およびネットワークの転送能力と現在の転送状態を管理する能力情報管理部と、能力情報管理部に基づいて印刷ジョブの分割を行う印刷ジョブ分割部と、分割された印刷ジョブを複数の演算処理装置2に転送する転送部、転送された演算処理装置にてラスタライズ処理を行うラスタライズ処理部と、ラスタライズ処理された分割画素情報をページ単位の画素情報に合成する画素合成部と、合成されたページ単位の画素情報を出力するように制御する出力制御部と、を備える。
【0004】
特許文献2に開示されたシステムでは、複数の分散処理サーバのうちのどれが印刷データを早く展開処理できるかを判断し、判断されたサーバにジョブの展開処理を実行させ、最終的にプリンタに展開済みデータを送信し印刷を行う。
【0005】
特許文献3に開示されたシステムは、ユーザパソコンからの印刷要求による印刷データを受信してスプールするプリントマネージャと、該プリントマネージャの下にジョブ管理される複数のRIPと、前記プリントマネージャに接続されたプリンタとからなり、前記プリントマネージャはジョブ内容に応じて前記複数のRIPにジョブを分配して並列処理を行わせる。
【0006】
複数のRIP装置を並列動作させるシステムでは、一般にRIP装置の数を増やすほど、RIP処理を高速化することができる。このため、システム内に通常用の1以上のRIP装置の他に補助用の1以上のRIP装置を設け、処理負荷が高い印刷データを処理する場合には、通常用のRIP装置に加え、補助用のRIP装置も動作させることも行われている。このような従来のシステムの一例では、補助用のRIP装置を用いる場合には、システムを操作する操作者がシステム起動時に通常用だけでなく補助用のRIP装置にも電源投入し、起動時に補助用のRIP装置も含むようにシステムを構成していた。また、システムの運用を一時停止して操作者が未起動の補助用のRIP装置に電源を投入し、システム構成用のユーザインタフェースを使用してその補助用のRIP装置をシステムに参加させる操作を行う例も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−282494号公報
【特許文献2】特開2005−092444号公報
【特許文献3】特開2007−310450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、システムの起動時から補助用の解釈装置をシステムに参加させる方式よりも省エネルギーを図ることができ、操作者が補助用の解釈装置をシステムに参加させる操作を行う場合よりもシステムの動作停止期間が短くなるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、ページ記述言語で記述された印刷データを解釈し、印刷装置に供給するための印刷画像データを生成する複数の主解釈装置と、前記印刷データを解釈し、前記印刷装置に供給するための印刷画像データを生成する補助解釈装置であって、前記複数の主解釈装置に対する電源の投入時には電源が投入されない補助解釈装置と、印刷データをあらかじめ定められた単位ごとに分割し、分割された各単位の印刷データの解釈処理を前記複数の主解釈装置のそれぞれに割り当てる割当装置と、を備え、前記割当装置は、前記複数の主解釈装置の負荷を評価する負荷評価手段と、前記複数の主解釈装置について前記負荷評価手段で評価された負荷が、前記補助解釈装置を起動するためのあらかじめ定められたオン閾値を上回る場合に、前記補助解釈装置に電源を投入する電源投入手段と、を備え、前記分割された各単位の印刷データの処理を電源投入後の前記補助解釈装置に対しても割り当てる、ことを特徴とする印刷データ処理システムである。
【0010】
請求項2に係る発明は、前記電源投入手段は、前記複数の主解釈装置について前記負荷評価手段で評価された負荷が前記オン閾値を上回り、且つ前記印刷データのうち前記複数の主解釈装置に割り当てられていない部分の量があらかじめ定められた第1の残量閾値を上回る場合に、前記補助解釈装置に電源を投入する、ことを特徴とする請求項1に記載の印刷データ処理システムである。
【0011】
請求項3に係る発明は、前記割当装置は、前記複数の主解釈装置について前記負荷評価手段で評価された負荷が、電源を投入され動作中の前記補助解釈装置の電源を遮断するためのあらかじめ定められたオフ閾値を下回る場合に、動作中の前記補助解釈装置の少なくとも1つの電源を遮断する電源遮断手段、を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷データ処理システムである。
【0012】
請求項4に係る発明は、前記電源遮断手段は、前記複数の主解釈装置について前記負荷評価手段で評価された負荷が前記オフ閾値を下回り、且つ前記印刷データのうち前記複数の主解釈装置に割り当てられていない部分の量があらかじめ定められた第2の残量閾値を下回る場合に、動作中の前記補助解釈装置の少なくとも1つの電源を遮断する、ことを特徴とする請求項3に記載の印刷データ処理システムである。
【0013】
請求項5に係る発明は、ページ記述言語で記述された印刷データを解釈し、印刷装置に供給するための印刷画像データを生成する複数の主解釈装置と、前記印刷データを解釈し、前記印刷装置に供給するための印刷画像データを生成する補助解釈装置であって、前記複数の主解釈装置に対する電源の投入時には電源が投入されない補助解釈装置と、を備え、前記複数の主解釈装置のそれぞれは、当該主解釈装置の負荷を評価する負荷評価手段と、前記負荷評価手段で評価された当該主解釈装置の負荷が、前記補助解釈装置を起動するためのあらかじめ定められたオン閾値を上回る場合に、前記補助解釈装置に電源を投入する電源投入手段と、当該主解釈装置に割り当てられた単位の印刷データの解釈処理を、電源投入後の前記補助解釈装置に割り当てる再割当手段と、を備えることを特徴とする印刷データ処理システムである。
【0014】
請求項6に係る発明は、前記電源投入手段は、前記主解釈装置について前記負荷評価手段で評価された負荷が前記オン閾値を上回り、且つ前記印刷データのうち前記複数の主解釈装置に割り当てられていない部分の量があらかじめ定められた第1の残量閾値を上回る場合に、前記補助解釈装置に電源を投入する、ことを特徴とする請求項5に記載の印刷データ処理システムである。
【0015】
請求項7に係る発明は、前記複数の主解釈装置のそれぞれは、当該主解釈装置について前記負荷評価手段で評価された負荷が、電源を投入され動作中の前記補助解釈装置の電源を遮断するためのあらかじめ定められたオフ閾値を下回る場合に、動作中の前記補助解釈装置の少なくとも1つの電源を遮断する電源遮断手段、を更に備えることを特徴とする請求項5又は6に記載の印刷データ処理システムである。
【0016】
請求項8に係る発明は、前記電源遮断手段は、前記主解釈装置について前記負荷評価手段で評価された負荷が前記オフ閾値を下回り、且つ前記印刷データのうち前記複数の主解釈装置に割り当てられていない部分の量があらかじめ定められた第2の残量閾値を下回る場合に、動作中の前記補助解釈装置の少なくとも1つの電源を遮断する、ことを特徴とする請求項7に記載の印刷データ処理システムである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1又は5に係る発明によれば、システムの起動時から補助用の解釈装置をシステムに参加させる方式よりも省エネルギーを図ることができ、操作者が補助用の解釈装置をシステムに参加させる操作を行う場合よりもシステムの動作停止期間が短くなるようにすることができる。
【0018】
請求項2又は6に係る発明によれば、電源を投入した補助用の解釈装置が使用されないまま終わるという無駄を低減することができる。
【0019】
請求項3又は7に係る発明によれば、主解釈装置のみで十分な処理性能が得られる場合に、補助用の解釈装置の電源を遮断して、省エネルギーを実現することができる。
【0020】
請求項4又は8に係る発明によれば、主解釈装置のみで十分な処理性能が得られる場合でも、再度補助用の解釈装置が必要となる可能性がある場合には、補助用の解釈装置の電源を遮断しないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】補助ユニットの電源投入をフロントエンドユニットにて制御する場合のシステム構成の一例を示す図である。
【図2】図1の例における補助ユニットに対する電源投入の制御の手順の一例を示す図である。
【図3】図1の例における各RIP処理部へのページ割当の手順の一例を示す図である。
【図4】補助ユニットの電源投入を各RIPユニットにて制御する場合のシステム構成の一例を示す図である。
【図5】図4の例における補助ユニットに対する電源投入の制御の手順の一例を示す図である。
【図6】図4の例において処理制御部が行うページ再割当の手順の一例を示す図である。
【図7】図1の例における補助ユニットの電源遮断の制御の手順の一例を示す図である。
【図8】図4の例における補助ユニットの電源遮断の制御の手順の一例を示す図である。
【図9】図1の例における補助ユニットに対する電源投入の制御の手順の別の一例を示す図である。
【図10】図4の例における補助ユニットに対する電源投入の制御の手順の別の一例を示す図である。
【図11】図1の例における補助ユニットの電源遮断の制御の手順の別の一例を示す図である。
【図12】図4の例における補助ユニットの電源遮断の制御の手順の別の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1を参照して、実施の形態の印刷データ処理システム100の第1の例を説明する。
【0023】
印刷データ処理システム100は、パーソナルコンピュータやワークステーションなどのホスト300から、ページ記述言語(以下、PDLと呼ぶ。PDLはPage Description Languageの略)で記述された印刷データを受け取り、その印刷データを処理することでビットマップデータ(又はラスターデータ)を生成し、生成したビットマップデータをプリンタエンジン200に供給して用紙に印刷させる。プリンタエンジン200は、用紙上に、C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラック)等の各原色の色材(インク、トナーなど)を用いて、ビットマップデータに応じた画像を印刷する。
【0024】
印刷データ処理システム100は、フロントエンドユニット110、CMYK各色にそれぞれ1つずつ設けられたRIPユニット120C,120M,120Y,120K、及び1以上の補助ユニット150を有する。プロセスカラー以外の特色の色材を用いるシステムの場合、特色用のRIPユニットを更に追加してもよい。
【0025】
図1において、点線の矢印はPDLで記述された印刷データの流れを示し、実線の矢印はその印刷データを解釈して生成されたビットマップ画像データの流れを示す。
【0026】
フロントエンドユニット110は、ホスト300から受け取った印刷データを分割してRIP処理部122C〜K,152に割り当てるためのユニットである。フロントエンドユニット110は、データ受信部112,ページ管理部114,データ配信処理部116を有する。
【0027】
データ受信部112は、ホスト300が生成した印刷データを受信する。
【0028】
ページ管理部114は、データ受信部112が受信した印刷データをあらかじめ定められた単位毎に分割し、分割結果の各単位を各RIP処理部122C〜K,152に割り当てるための管理を行う。ここでの分割の単位は、典型的には「ページ」であるが、これに限られるわけではない。例えばあらかじめ定められたページ数のページを単位としてもよい。以下ではページ単位に分割して分配する場合を例にとって説明する。
【0029】
印刷データが、PDF(Portable Document Format)のようにページ独立のPDLで記述されている場合には、ページ管理部114は、印刷データ自体をページ単位に分割し、ページ毎のPDLデータを各RIP処理部122C〜K,152に割り当てればよい。なお、「ページ独立」とは、個々のページの画像を表すデータが当該ページのPDLデータ内にすべて含まれており、他のページのデータを必要としないことを表す。
【0030】
一方、PostScript(登録商標)のように「ページ非独立」の場合には、前のページのPDLコマンドで指定された状態が後のページにも引き継がれていくので、ページ毎の印刷データを解釈して描画したのでは、正しいページの画像が得られない。そこで、印刷データがページ非独立のPDLで記述されている場合は、ページ管理部114は、各RIP処理部122C〜K,152に対して、担当するページの割当のみをおこなう。この場合、各RIP処理部122C〜K,152には、分割しない印刷データ全体をそれぞれ渡し、当該印刷データの先頭から順に解釈だけ進めさせ、担当するページのみ、解釈結果を用いて実際にビットマップ画像をページメモリ上に描画させる。このように、ページ非独立の印刷データの場合には、ページ管理部114が行う印刷データのページ毎の「分割」はあくまでRIP処理の割当についての分割であり、印刷データそのものを実際に分割するわけではない。PDFの場合でもPostScriptと同様に印刷データ全体を渡し、各RIPで指定ページを処理する方法で良い。
【0031】
ページ管理部114が各RIP処理部122C〜K,152に対してどのようにページを割り当てていくかは、例えば従来の様々な割当方式のいずれを用いてもよく、特に限定されるものではない。例えば、ページの順に従って順に割り当てていく方式でもよい。また、後述する例では、各RIP処理部122C〜K,152の負荷を見ながら、最も負荷の低いRIP処理部に割り当てていく方式を説明する。なお、後述するように、各補助ユニット150は、当該印刷データ処理システム100の起動時にはまだ起動していない(すなわち電源投入されていない)。このため、各補助ユニット150のRIP処理部152にページの割当が行われるのは、当該補助ユニット150に電源が投入され、起動処理が完了して印刷データ処理システム100に参加した状態(すなわち印刷データを受け取ってRIP処理を行い、その処理結果を出力できる状態)となった後のことになる。
【0032】
ページ管理部114は、各RIP処理部122C〜122K,152にどのページを割り当てたかを記録していてもよい。
【0033】
また、ページ管理部114は、各RIP処理部122C〜122Kの負荷状態を監視し、それらRIP処理部122の負荷が過大になった場合に、補助ユニット150を起動する。この補助ユニット150の起動制御については、後で詳しく説明する。
【0034】
データ配信処理部116は、ページ管理部114が決定した各RIP処理部122C〜122K,152へのページの割当に従って、各RIP処理部122C〜122K,152にデータを配信する。すなわち、ページ独立の印刷データを処理する場合には、データ配信処理部116は、その印刷データをページ単位に分割し、ページごとのPDLのデータを各RIP処理部122C〜122K,152に配信する。また、ページ非独立の印刷データの場合は、データ配信処理部116は、各RIP処理部122C〜122K,152にその印刷データをそれぞれ配信すると共に、ページ管理部114が決定した割り当てページを特定する情報を、それぞれ各RIP処理部122C〜122K,152に配信する。
【0035】
C,M,Y,Kの各色用のRIPユニット120C,120M,120Y,120Kは、印刷データを解釈して割当されたページのビットマップ画像(ラスター画像とも呼ばれる)を生成するためのユニットである。RIPユニット120C,120M,120Y,120Kは、どの色版のビットマップ画像を出力するかが異なるだけで、内蔵する要素やそれら各要素の処理内容も同一である。そこで、区別する必要のない場合は、RIPユニット120C,120M,120Y,120KをRIPユニット120と総称し、また内部のRIP処理部122C,122M,122Y,122K等の要素についても、区別の必要がない場合には、同様に符号の末尾のC〜Mを省いた形で総称する。
【0036】
各RIPユニット120は、RIP処理部122,データ保存部124,プリンタエンジン制御部126を備える。
【0037】
RIP処理部122は、印刷データをRIP処理する。RIP処理は、PDLで記述された印刷データを解釈し、その解釈結果に従ってビットマップ画像を生成する処理である。RIP処理部122は、印刷データを解釈することで、フロントエンドユニット110から割り当てられたページのビットマップ画像を生成する。ここで、印刷データがフルカラー画像を表す場合、各色用のRIPユニット120のRIP処理部122は、印刷データからそれぞれC,M,Y,Kのすべての色版のビットマップ画像を生成する。C色RIPユニット120CのRIP処理部122Cだからといって、C版のビットマップ画像だけを生成するわけではない。
【0038】
各RIP処理部122は、生成した各色版のビットマップ画像を、それぞれ対応する色用のRIPユニット120内のデータ保存部124に保存する。例えば、C色RIPユニット120CのRIP処理部122Cは、RIP処理により生成したC版のビットマップ画像はデータ保存部124Cに、M版のビットマップ画像はデータ保存部124Mに、Y版のビットマップ画像はデータ保存部124Yに、K版のビットマップ画像はデータ保存部124Kに、それぞれ保存する。したがって、例えばC色RIPユニット120C内のデータ保存部124Cには、各色用のRIPユニット120内のRIP処理部122で生成された各ページのC版のビットマップ画像が保存されることになる。
【0039】
データ保存部124は、上流側のRIP処理部122群と、下流側のプリンタエンジン制御部126及びエンジン210と、の間の処理速度の差を吸収するためのバッファである。上述のように、各色用のRIPユニット120内のデータ保存部124には、各RIP処理部122C〜Kから、当該色の各ページのビットマップ画像が例えばページ番号と対応づけて入力され、保存される。
【0040】
各色版用のプリンタエンジン制御部126は、上流のデータ保存部124にバッファされている各ページの当該色版のビットマップ画像をページ順に読み出し、プリンタエンジン200内の対応する色用のエンジン210に供給する。すなわち、例えばエンジン210は、現在処理中のビットマップ画像の用紙への印刷が完了する毎に完了信号を対応するプリンタエンジン制御部126に送り、この完了信号に応じてプリンタエンジン制御部126が次のページのビットマップ画像をそのエンジン210に転送する。前ページの印刷完了通知をエンジンから受けた後に、次ページの転送が行われる場合もあれば、エンジン側で保持できる分先送りする場合もある。また、プリンタエンジン制御部126は、例えば、対応するデータ保存部124内に次にエンジン210に転送すべきページのビットマップ画像がない場合は、そのページのビットマップ画像が生成されデータ保存部124に入ってくるのを待ち、入って来たらそのページのビットマップ画像をエンジン210に供給する。このような動作により、各エンジン210は、それぞれ対応する色版のビットマップ画像を用紙上に印刷する。
【0041】
このように、各色用のRIPユニット120には、それぞれ対応する色用のエンジン210が、例えば通信ケーブルを介して接続されている。
【0042】
プリンタエンジン200は、印刷データ処理システム100が生成したビットマップ画像を、インク等の色材を用いて用紙上に印刷する装置である。プリンタエンジン200は、各色版のためのエンジン210C〜Kを有する。プロセス色以外の特色の色材を用いる場合には、特色用のエンジンを備えていてもよい。各色版用のエンジン210は、それぞれ当該色版のビットマップ画像データに従って用紙上に当該色版の色材を用いて画像を形成する。プリンタエンジン200内では、例えばそれら各エンジン210C〜Kがタンデム配列されており、それら各エンジン210C〜Kが各色版のビットマップ画像を用紙上の同じ位置に対し順に重ねて印刷していくことで、フルカラーの画像が印刷されることになる。
【0043】
なお、このプリンタエンジン200は、連帳紙用のものであってもよいし、カット紙用のものであってもよい。また、プリンタエンジン200の後段には、印刷済の用紙に対して後処理を行う後処理ユニットが接続されてもよい。後処理ユニットが行う後処理には、連帳紙のカット、折り、製本、封筒への封入など様々なものがある。
【0044】
印刷データ処理システム100は、1以上の補助ユニット150を備えている。これら補助ユニット150は、メインである各色用のRIPユニット120内の各RIP処理部122の処理能力が足りなくなった場合に、RIP処理を補助するためのユニットである。各補助ユニット150は、それぞれRIP処理部152を備えているが、データ保存部124及びプリンタエンジン制御部126は備えていない。補助ユニット150のRIP処理部152の昨日は、RIP処理部122と同様である。すなわちRIP処理部152は、印刷データを解釈して、フロントエンドユニット110から割り当てられたページの各色版のビットマップ画像を生成し、生成した各色版のビットマップ画像をそれぞれ対応する色版用のRIPユニット120のデータ保存部124に転送する。
【0045】
各補助ユニット150には、印刷データ処理システム100が起動した時点ではまだ電源を投入しない。メインである各RIP処理部122の処理能力が足りなくなって(あるいは足りなくなることが予測されて)初めて、補助ユニット150に電源を投入する。各RIP処理部122の処理能力が足りなくなる状況とは、RIP処理部122の負荷が高くなってビットマップ画像の生成速度がプリンタエンジン200の印刷速度に比して遅くなる状況である。この実施の形態では、このような状況になった場合、又はなることが予測される場合に、補助ユニット150を起動してRIP処理を行わせることで、システム全体としてのRIP速度を上昇させ、プリンタエンジン200の印刷速度を有効に利用できるようにする。
【0046】
補助ユニット150に電源が投入され、起動のための処理、及び既に動作している各RIPユニット120との同期のための処理が完了すると、当該補助ユニット150は印刷データ処理システム100に参加したことになり、フロントエンドユニット110からページの割当を受けてRIP処理を行う。
【0047】
図1に例示したシステム構成において、各色版用のRIPユニット120及び各補助ユニット150は、例えば、それぞれCPUやメモリ等を有する個別のコンピュータとして構成される。個々のコンピュータは、別々の筐体の独立した装置として構成してもよいし、同一筐体に収容される別々のボード(基板)として構成してもよい。また、フロントエンドユニット110は、それらRIPユニットとは別のコンピュータとして実装してもよいし、各色版用のRIPユニット120のうちの1つが実装されるコンピュータ上に実装(すなわちこのコンピュータ上でフロントエンドユニット110のプログラムも実行する)してもよい。そして、これらコンピュータは、例えば、共通のデータ通信ネットワークに接続されており、印刷データやビットマップ画像データをそのネットワークを介して相互に受け渡しする。なお、コンピュータ間を接続する共通のネットワークの代わりに、それらコンピュータ同士をケーブルで一対一に接続してデータをやりとりするようにしてももちろんよい。ページ管理部114や各RIP処理部122及び152等の各モジュールは、それら各モジュールの機能を記述したプログラムをそれら各コンピュータで実行することにより実現される。それらプログラムは、可搬型のコンピュータ読取可能な記録媒体又はデータ通信ネットワークを介してそれらコンピュータに導入され、インストールされる。
【0048】
次に、図2を参照して、図1のシステムのページ管理部114が行う補助ユニット150の起動制御の一例を説明する。
【0049】
この制御の前提として、ページ管理部114は、例えば定期的に、各RIP処理部122(及び起動している場合にはRIP処理部152も)の負荷状況を監視し、それら各RIP処理部の負荷の程度を表す負荷評価値を求めている。
【0050】
RIP処理部122の負荷評価値としては、例えば、当該RIP処理部122の未処理ページ数がある。すなわち、RIP処理部122は、フロントエンドユニット110から割り当てられるページの待ち行列を有しており、1ページのRIP処理が終わる毎にその待ち行列から先頭のページを取り出してRIP処理を行う。この待ち行列内にあるページ数が未処理ページ数である。未処理ページ数が多いということは、割り当てられたページの処理が進んでいないということであり、それだけRIP処理部122の負荷が高いということである。この例では、ページ管理部114は、各RIP処理部122C〜K(及び動作中の補助ユニット150のRIP処理部152)から、それぞれ待ち行列内の未処理ページ数を定期的に受け取り、その未処理ページ数を負荷評価値とする。
【0051】
また、RIP処理部122のプログラムを実行中のCPU(中央演算装置)の負荷量(例えばCPUの使用率)に基づき、当該RIP処理部122の負荷評価値を求めてもよい。CPUの負荷が高いほど負荷評価値は高くなる。
【0052】
また、ページ独立の印刷データを処理する場合には、RIP処理部122に割り当てられるページの待ち行列を記憶するバッファの残り容量に基づき、当該RIP処理部122の負荷評価値を求めてもよい。(厳密にはそうでない場合もあるが)大まかな傾向として、印刷データのデータ量が多いほどRIP処理に長い時間がかかる。したがって、バッファの空き容量が少ないということは、RIP処理部122の処理待ちとなっているデータ量が多いということであり、未処理ページ数が多い場合と同様、RIP処理部122の負荷が高いことを示す。バッファの空き容量が少ないほど、負荷評価値は高くなる。
【0053】
未処理ページ数、CPU負荷、及びバッファ空き容量は、負荷評価値を求める材料の一例に過ぎない。RIP処理部122の状況を示す別の情報を用いて負荷評価値を求めてもよい。また、未処理ページ数、CPU負荷、及びバッファ空き容量のうちの2以上を総合評価して負荷評価値を求めてもよい。
【0054】
この明細書に説明する各種の例では、負荷評価値は正の値であり、その評価値が高くなるほど負荷も高くなるものとする。しかし、これは一例に過ぎず、例えばこの代わりにRIP処理部122又は152の負荷は高くなるほど値が低くなる負荷評価値を用いてももちろんよい。どのような負荷評価値を用いるとしても、以下の説明において「負荷評価値が閾値を上回る」と言った場合、それは負荷評価値の数値が閾値を上回ったことを示すのではなく、RIP処理部122又は152の負荷が閾値に対応する負荷よりも高く(すなわち処理負担がより重く)なっていることを示すものとする。
【0055】
以上の例は、未処理ページ数等の判断材料の数値の現在の値から負荷評価値を求めるものであったが、それら数値の直近の一定期間のトレンド(上昇又は下降の傾向)も考慮して負荷評価値を計算してもよい。この場合、判断材料の数値が同じでも、現在から見て直近のあらかじめ定められた期間においてその数値が上昇傾向にある場合には下降傾向にある場合よりも負荷評価値を高くする。また、数値が同じでも上昇率が高いほど負荷評価値は高くする。同様に下降率が高い(すなわち下降率の絶対値が大きい)ほど、負荷評価値は低くする。
【0056】
ある時点におけるRIP処理部122の負荷評価値は、その時点でそのRIP処理部122に新たなページを割り当てた場合に、そのページのRIP処理が完了するまでに要するおおよその時間(予測値)を表すものといえる。
【0057】
以上のように各RIP処理部122の負荷評価値が定期的に求められているという状況の下で、ページ管理部114は、定期的に図2の手順を実行する。この手順では、ページ管理部114は、各RIP処理部122の最新の負荷評価値を取得する(S12)。そして、取得した各RIP処理部122の負荷評価値をあらかじめ定められたオン閾値と比較し(S14)、少なくとも1つのRIP処理部122の負荷評価値がそのオン閾値を上回ると、まだ電源が投入されていない補助ユニット150の中から1つを選択し、電源を投入する(S16)。オン閾値は、補助ユニット150を起動するための判断基準となる閾値であり、あらかじめ定められている。電源投入は、例えば、WoL(Wake on LAN)等、ネットワーク経由で電源のオン・オフを制御するための既存技術を用いて行えばよい。このために、フロントエンドユニット110(ページ管理部114)には、各補助ユニット150のアドレス情報(例えばMACアドレスやIPアドレス)等をあらかじめコンフィグレーションしておく。
【0058】
この電源投入操作により、対象となった補助ユニット150に電源が投入され、当該補助ユニット150の起動処理が実行される。この起動処理が完了してその補助ユニット150が他のユニット110,122と同期すると、その補助ユニット150が印刷データ処理システム100に参加した状態となる(S18)。この参加状態になった補助ユニット150には、ページの割当が行われる。
【0059】
なお、S14の判定結果がNo、すなわちすべてのRIP処理部122の負荷評価値がオン閾値以下であれば、S16及びS18は実行せずに処理を終了する。
【0060】
この処理によれば、動作中のRIPユニット120,152の負荷がオン閾値を超える毎に、未起動の補助ユニット150が起動され、システムに参加することになる。
【0061】
また、補助ユニット150はシステムに参加した後、ページ管理部114はその参加中の補助ユニット150についても負荷評価値を求め、S14の判定の際に参加中の補助ユニット150のRIP処理部152についてもオン閾値と比較するようにしてもよい。
【0062】
以上の例では、S14にて少なくとも1つのRIP処理部122の負荷評価値がオン閾値を超えた場合に補助ユニット150に電源を投入したが、これは一例に過ぎない。例えば、システムに参加中のすべてのRIP処理部122,152の負荷評価値がオン閾値を上回った場合に初めて未起動の補助ユニット150に電源投入を行うようにしてもよい。
【0063】
次に、ページ管理部114が行う、システムに参加中の各RIP処理部122,152へのページの割当処理の一例を、図3を参照して説明する。
【0064】
ページ管理部114は、ホスト300からの受け取った印刷データのページを先頭から順に割り当てていく過程で、未割当のページがあるかどうかを判定し(S22)、あればS24に進む。S24では、システムに参加中の各RIP処理部122,152の負荷評価値を取得し(S24)、その中での最低値(すなわち最も低負荷)を持つRIP処理部122又は152に、未割当のページの先頭ページを割り当てる(S26)。負荷評価値が最低のRIP処理部にページを割り当てることで、そのページのRIP処理結果(ビットマップ画像)が最も早く得られると期待される。S22で未割当のページがなければ、印刷すべきページがなくなったと言うことなので、処理を終了する。
【0065】
なお、図3に示したページ割当の手順はあくまで一例に過ぎず、この他従来から知られているページ割当方式、又はこれから開発されるページ割当方式を用いてももちろんよい。
【0066】
次に、この実施の形態のシステムの第2の例を説明する。図4は、第2の例の印刷データ処理システム100の構成例を示す図である。
【0067】
図1に示した第1の例では、フロントエンドユニット110内のページ管理部114が補助ユニット150の電源投入の制御を行ったのに対し、図4に示す第2の例では、各色版用のRIPユニット120に設けた処理制御部128C〜Kが補助ユニット150の電源投入の制御を行う。この第2の例のページ管理部114aは、補助ユニット150の電源投入の制御を行わない点以外は、第1の例のページ管理部114と同様でよい。
【0068】
この例では、個々のRIPユニット120から起動された補助ユニット150は、起動指示を行ったRIPユニット120からページの割当を受け、RIP結果のビットマップ画像をそのRIPユニット120に返す。すなわち、起動された補助ユニット150は、起動指示を行ったRIPユニット120専用のものとなる。このようにあるRIPユニット120専用となった動作中の補助ユニット150のことは、以下ではそのRIPユニット120の「対応補助ユニット」と呼ぶ。
【0069】
各色版用のRIPユニット120に設けた処理制御部128C〜Kが実行する処理手順の一例を、図5に示す。この手順では、処理制御部128は、自分が属するRIPユニット120のRIP処理部122の負荷評価値を取得する(S32)。そのRIPユニット120を補助する対応補助ユニット150が既に1個以上存在する場合には、S32ではそれら各対応補助ユニット150のRIP処理部152の負荷評価値も取得する。そして、それら自ユニット120及び対応補助ユニット150の負荷評価値をオン閾値と比較し(S34)、その中の少なくとも1つの負荷評価値がオン閾値を上回った場合、処理制御部128は未起動の補助ユニット150の中から1つを選択し、電源を投入する(S36)。このために、処理制御部128には、各補助ユニット150のアドレス情報(例えばMACアドレスやIPアドレス)等をあらかじめコンフィグレーションしておく。
【0070】
この電源投入操作により、対象となった補助ユニット150に電源が投入され、当該補助ユニット150の起動処理が実行される。この起動処理が完了してその補助ユニット150が他のユニット110,122と同期すると、その補助ユニット150が印刷データ処理システム100に参加した状態となり、その補助ユニット150を対応補助ユニット150として記憶する(S38)。これ以降、処理制御部128は、自ユニットのRIP処理部122にフロントエンドユニット110から割り当てられたページの一部を、対応補助ユニット150に再割当する。なお、S34の判定結果がNo、すなわち自ユニットのRIP処理部122及び対応補助ユニット150のRIP処理部152のすべての負荷評価値がオン閾値以下であれば、S36及びS38は実行せずに処理を終了する。
【0071】
以上の例では、S34にて自ユニットのRIP処理部122又は対応補助ユニット150のRIP処理部152の少なくとも1つの負荷評価値がオン閾値を超えた場合に補助ユニット150に電源を投入したが、これは一例に過ぎない。例えば、自ユニットのRIP処理部122又は対応補助ユニット150のRIP処理部152のすべての負荷評価値がオン閾値を上回った場合に未起動の補助ユニット150に電源投入を行うようにしてもよい。
【0072】
次に、処理制御部128が行う、自ユニット120のRIP処理部122及び対応補助ユニット150のRIP処理部152へのページの割当処理の一例を、図6を参照して説明する。
【0073】
処理制御部128は、フロントエンドユニット110から自ユニット120にページが割り当てられる毎に(S42の判定結果がYES)、自ユニット120のRIP処理部122及び各対応補助ユニット150のRIP処理部152の負荷評価値を取得し(S44)、その中での最低値(すなわち最も低負荷)を持つRIP処理部122又は152にそのページを割り当てる(S46)。以上の処理を、印刷データの最後のページまで繰り返す。
【0074】
なお、図6に示したページ割当の手順はあくまで一例に過ぎず、この他従来から知られているページ割当方式、又はこれから開発されるページ割当方式を用いてももちろんよい。
【0075】
あるRIPユニット120の処理制御部128からページの割当を受けた対応補助ユニット150のRIP処理部152は、そのページのRIPを完了すると、RIP結果のビットマップ画像を、割当元のRIPユニット120に返す。割当元のRIPユニット120は、そのビットマップ画像を色版毎に分版し、各色版のビットマップ画像をそれぞれ対応する色版用のデータ保存部124に転送する。
【0076】
なお、対応補助ユニット150のRIP処理部152は、RIP結果のビットマップ画像を割当元のRIPユニット120に返す代わりに、各色版のビットマップ画像を直接、対応する色版用のデータ保存部124に転送してもよい。
【0077】
次に、上記実施の形態の第1の変形例を説明する。上述の実施の形態では、RIP処理部122及び152の負荷が過大になると未起動の補助ユニット150を自動的に起動したが、この第1の変形例では、更に、起動した補助ユニット150が不要になったとき、すなわち起動中の補助ユニット150を1つ減らしても残りのRIPユニット120(及び補助ユニット150)でプリンタエンジン200の印刷処理速度に見合ったRIP処理速度が達成されるときに、補助ユニット150の電源を自動的に遮断する制御を行う。
【0078】
まず、フロントエンドユニット110が補助ユニット150の電源制御を行う図1のシステム構成におけるこの第1の変形例の制御を、図7を参照して説明する。
【0079】
図7は、この例において図1のページ管理部114が行う制御手順の一例を示す。ページ管理部114は、この図7の手順を定期的に実行する。
【0080】
図7の手順では、ページ管理部114は、プリンタエンジン200に接続された各RIPユニット120のRIP処理部122及び電源投入済みの各補助ユニット150のRIP処理部152の最新の負荷評価値を取得する(S52)。また、ページ管理部114は、印刷データ処理システム100に装備された補助ユニット150のうち少なくとも1つにシステムに参加中か(すなわち電源が投入されているか)どうかを判定する(S54)。電源が投入されている補助ユニット150が一つもない場合、ページ管理部114は図2のS14に進み、以降図2の処理手順を実行する。
【0081】
S54で補助ユニット150が1以上起動中と判定した場合、S52で取得したメインの各RIPユニット120のRIP処理部122及びシステムに参加中の各補助ユニット150のRIP処理部152の負荷評価値をオフ閾値と比較する(S56)。オフ閾値は、起動中の補助ユニット150の電源を遮断するための判断基準となる閾値であり、起動中の補助ユニット150を1つ減らしても残りのRIPユニット120(及び補助ユニット150)でプリンタエンジン200の印刷処理速度に見合ったRIP処理速度が達成されるような値としてあらかじめ定められている。オフ閾値をオン閾値よりも低い値としてもよい。例えば、S56の判定が成立(Yes)となって動作中の1つの補助ユニット150をオフしても、(オフした補助ユニット150の負荷を分担することとなる)残りの動作中のRIP処理部122及び152の負荷評価値がオン閾値に達しないようなオフ閾値を、実験やシミュレーションなどにより定めておけばよい。また、この条件で定められる閾値よりも低い値をオフ閾値とすることで、いったん起動した補助ユニット150の電源がオフされにくくなるようにし、補助ユニット150の電源のオン・オフが頻繁に繰り返される事態が少なくなるようにしてもよい。補助ユニット150に電源を投入してからその補助ユニット150がシステムに参加するまでにはある程度の時間が掛かり、また補助ユニット150の起動処理には定常運転時に比べてかなり多くの電力を要するので、補助ユニット150の電源を頻繁にオン・オフしない方が有利である。
【0082】
S56の判定結果がNo、すなわちRIP処理部122及び152のうちの少なくとも1つでも負荷評価値がオフ閾値以上であれば、ページ管理部114は図2のS14に進み、以降図2の処理手順を実行する。
【0083】
S56の判定結果がYes、すなわちRIP処理部122及び152のすべての負荷評価値がオフ閾値を下回っていれば、ページ管理部114は、システム参加中の補助ユニット150のうちの1つを削除対象に選定する(S58)。削除対象に選定した補助ユニット150のRIP処理部152の待ち行列に未処理のページが残っている場合もあるので、S58以降、ページ管理部114はその削除対象の補助ユニット150に新たなページを割り当てることはせず、待ち行列中の未処理ページのRIP処理が完了するのを待つ(S60)。そして、削除対象の補助ユニット150の待ち行列が空になり、その補助ユニット150におけるRIP処理が完了すると、ページ管理部114は、その削除対象の補助ユニット150の電源をオフする(S62)。この電源オフの操作は、リモートシェルなどのリモート操作技術等の既存技術を用いて行えばよい。
【0084】
次に、各RIPユニット120が補助ユニット150の電源制御を行う図4のシステム構成に第1の変形例の制御を適用した場合の処理を、図8を参照して説明する。
【0085】
図8は、この例において図4の各RIP処理ユニット120の処理制御部128が行う制御手順の一例を示す。処理制御部128は、この図8の手順を定期的に実行する。
【0086】
図8の手順では、処理制御部128は、自ユニット120のRIP処理部122及び各対応補助ユニット150のRIP処理部152の最新の負荷評価値を取得する(S72)。また、処理制御部128は、対応補助ユニット150(すなわち自ユニットを補助するために起動中の補助ユニット150)があるか否かを判定する(S74)。なければ、処理制御部128は図5のS34に進み、以降図5の処理手順を実行する。
【0087】
S74で対応補助ユニット150があると判定した場合、処理制御部128はS72で取得した自ユニット120のRIP処理部122及び各対応補助ユニット150のRIP処理部152の負荷評価値をオフ閾値と比較する(S76)。オフ閾値は、対応補助ユニット150の電源を遮断するための判断基準となる閾値であり、対応補助ユニット150を1つ減らしても自ユニット120(及び残った対応補助ユニット150)でプリンタエンジン200の印刷処理速度に見合ったRIP処理速度が達成されるような値としてあらかじめ定められている。オフ閾値をオン閾値よりも低い値としてもよい。例えば、S76の判定が成立(Yes)となって動作中の1つの対応補助ユニット150をオフしても、自ユニット120のRIP処理部122及び残った対応補助ユニット150のRIP処理部152の負荷評価値がオン閾値に達しないようなオフ閾値を、実験やシミュレーションなどにより定めておけばよい。また、この条件で定められる閾値よりも低い値をオフ閾値とすることで、いったん起動した補助ユニット150の電源がオフされにくくなるようにし、補助ユニット150の電源のオン・オフが頻繁に繰り返される事態が少なくなるようにしてもよい。
【0088】
S76の判定結果がNo、すなわち自ユニット120のRIP処理部122及び対応補助ユニット150のRIP処理部152のうちの少なくとも1つでも負荷評価値がオフ閾値以上であれば、処理制御部128は図5のS34に進み、以降図5の処理手順を実行する。
【0089】
S76の判定結果がYes、すなわち自ユニット120のRIP処理部122及び対応補助ユニット150のRIP処理部152のすべての負荷評価値がオフ閾値を下回っていれば、処理制御部128は、対応補助ユニット150のうちの1つを削除対象に選定する(S78)。削除対象に選定した補助ユニット150のRIP処理部152の待ち行列に未処理のページが残っている場合もあるので、S78以降、処理制御部128はその削除対象の補助ユニット150に新たなページを割り当てることはせず、待ち行列中の未処理ページのRIP処理が完了するのを待つ(S80)。そして、削除対象の補助ユニット150の待ち行列が空になり、その補助ユニット150におけるRIP処理が完了すると、処理制御部128は、その削除対象の補助ユニット150の電源をオフする(S82)。
【0090】
次に、上記実施の形態の第2の変形例を説明する。上述の実施の形態では、未起動の補助ユニット150を起動する際の判断基準としてRIP処理部122及び152の負荷評価値を用いたが、この第2の変形例では、負荷評価値に加え、印刷データのうちまだRIPユニット120又は補助ユニット150に割り当てられていない部分の量(以下「残量」と呼ぶ)も判断基準として用いる。以下の例では、残量として、印刷データのうち未割当のページの数(以下では「残りページ数」と呼ぶ)を用いる場合を説明する。しかし、残りページ数以外に、例えば印刷データのうちの未割当の部分のデータ量(例えばバイト単位)を判定に用いてもよい。
【0091】
上述したように、補助ユニット150に電源を投入してからその補助ユニット150がシステムに参加するまでにはある程度の時間が掛かる。補助ユニット150に電源を投入してからその補助ユニット150がシステムに参加するまでに印刷データの処理が完了してしまったのでは、補助ユニット150を起動した意味がない。そこで、この第2の変形例では、そのような無駄な起動を前もって防ぐべく、印刷データの残量(1つの例では残りページ数)を考慮する。すなわち、少なくとも、電源を投入した補助ユニット150がシステムに参加するまでに印刷データの全ページの割当が完了してしまう事態にはならないように制御する。
【0092】
まず、フロントエンドユニット110が補助ユニット150の電源制御を行う図1のシステム構成におけるこの第2の変形例の制御を、図9を参照して説明する。
【0093】
図9は、この例において図1のページ管理部114が行う制御手順の一例を示す。ページ管理部114は、この図9の手順を定期的に実行する。
【0094】
この手順では、ページ管理部114は、各RIP処理部122及び152の最新の負荷評価値と、印刷データの残りページ数を取得する(S92)。残りページ数は、印刷データ全体のページ数から、既に各RIP処理部122,152に割当済みのページ数を差し引く等の処理により求めればよい。そして、取得した各RIP処理部122の負荷評価値をあらかじめ定められたオン閾値と比較すると共に、残りページ数をページ数閾値と比較する(S94)。
【0095】
ページ数閾値は、残りページ数についての閾値である。例えば、補助ユニット150に電源を投入してからその補助ユニット150がシステムに参加するまでの平均的な所要時間の間にプリンタエンジン200が印刷する平均的なページ数に基づきページ数閾値を定めてもよい。その平均的なページ数は、その平均的な所要時間の間に印刷データ処理システム100がRIP処理するページ数とほぼ等しいと見なせる。したがって、例えばその平均的なページ数自体をページ数閾値とし、印刷データの残りページ数がそのページ数閾値以上を補助ユニット150の電源オンの必要条件とすれば、少なくとも起動した補助ユニット150がまったく使用されないまま印刷データの処理が終わってしまうという事態は避けられる。なお、実際には、起動した補助ユニット150をある程度のページ数分は使用しないと補助ユニット150の起動処理に要する電力量に見合わないので、ページ数閾値はそのような起動処理に要する電力量も考慮して定める。
【0096】
S94では、少なくとも1つのRIP処理部122の負荷評価値がそのオン閾値を上回る(あるいは起動中のRIP処理部122及び152のすべての負荷評価値がオン閾値を上回る)という条件、及び印刷データの残りページ数がページ数閾値を上回るという条件の両方が満たされるか否かを判定する。両方が満たされた場合、ページ管理部114は、未起動の補助ユニット150の中から1つを選択し、電源を投入する(S96)。この電源投入操作により、対象となった補助ユニット150に電源が投入され、当該補助ユニット150の起動処理が実行される。この起動処理が完了してその補助ユニット150が他のユニット110,122と同期すると、その補助ユニット150が印刷データ処理システム100に参加した状態となる(S98)。
【0097】
S94の判定結果がNo、すなわち上述した2つの条件のうちの少なくとも一方が満たされない場合は、S96及びS98は実行せずに処理を終了する。
【0098】
次に、各RIPユニット120が補助ユニット150の電源制御を行う図4のシステム構成に第2の変形例の制御を適用した場合の処理を、図10を参照して説明する。
【0099】
この手順では、各RIPユニット120の処理制御部128は、自ユニット120のRIP処理部122及び対応補助ユニット150のRIP処理部152(もし存在すれば)の最新の負荷評価値と、印刷データの残りページ数を取得する(S102)。そして、取得した各RIP処理部122及び152の負荷評価値をあらかじめ定められたオン閾値と比較すると共に、残りページ数をページ数閾値と比較する(S104)。
【0100】
S104では、自ユニット120のRIP処理部122及び対応補助ユニット150のRIP処理部152のうちの少なくとも1つの負荷評価値がそのオン閾値を上回る(あるいは別の例としてそれらすべての負荷評価値がオン閾値を上回る)という条件、及び印刷データの残りページ数がページ数閾値を上回るという条件の両方が満たされるか否かを判定する。両方が満たされた場合、処理制御部128は、未起動の補助ユニット150の中から1つを選択し、電源を投入する(S106)。この電源投入操作により、対象となった補助ユニット150に電源が投入され、当該補助ユニット150の起動処理が実行される。この起動処理が完了してその補助ユニット150が他のユニット110,122と同期すると、その補助ユニット150が印刷データ処理システム100に参加した状態となり、その補助ユニット150を対応補助ユニット150として記憶する(S108)。これ以降、処理制御部128は、自ユニットのRIP処理部122にフロントエンドユニット110から割り当てられたページの一部を、対応補助ユニット150に再割当する。
【0101】
S104の判定結果がNo、すなわち上述した2つの条件のうちの少なくとも一方が満たされない場合は、S106及びS108は実行せずに処理を終了する。
【0102】
次に、上記実施の形態の第3の変形例を説明する。上述の第1の変形例では、起動中のRIP処理部122又は152の負荷評価値がオフ閾値以下となった場合に、起動中の補助ユニット150の1つをオフにした。これに対し、この第3の変形例では、負荷評価値に加え、印刷データの「残量」も考慮して、補助ユニット150をオフしてよいかどうかを判定する。
【0103】
上述したように、補助ユニット150を起動するのには補助ユニット150の定常運転時よりも大きな電力を消費するので、いったん起動した補助ユニット150をオフし、更にその後再び起動するなどということになると、消費電力の無駄が多い。そこで、この第3の変形例では、再起動の可能性のある状態での電源オフを防ぐべく、印刷データの残量(1つの例では残りページ数)を考慮する。すなわち、いったんオフした補助ユニット150を再起動することがなくなる程度に印刷データの残量が十分少なくなるまで、補助ユニット150をオフしないようにする。
【0104】
まず、フロントエンドユニット110が補助ユニット150の電源制御を行う図1のシステム構成におけるこの第3の変形例の制御を、図11を参照して説明する。
【0105】
図11は、この例において図1のページ管理部114が行う制御手順の一例を示す。ページ管理部114は、この図11の手順を定期的に実行する。
【0106】
図11の手順では、ページ管理部114は、各RIP処理部122及び152の最新の負荷評価値と、印刷データの残りページ数を取得する(S112)。また、ページ管理部114は、印刷データ処理システム100に装備された補助ユニット150のうち少なくとも1つにシステムに参加中かどうかを判定する(S114)。電源が投入されている補助ユニット150が一つもない場合、ページ管理部114は図9のS94に進み、以降図9の処理手順を実行する。
【0107】
S114で補助ユニット150が1以上起動中と判定した場合、S112で取得した各RIP処理部122の負荷評価値をあらかじめ定められたオン閾値と比較すると共に、残りページ数をページ数閾値と比較する(S116)。S116では、起動中のRIP処理部122及び152のすべての負荷評価値がオフ閾値を下回るという条件、及び印刷データの残りページ数がページ数閾値以下となるという条件の両方が満たされるか否かを判定する。ここで用いるページ数閾値は、図9の手順のS94で用いるページ数閾値と同じものでもよいし、異なるものでもよい。同じものとした場合、印刷データの残りページ数がページ数閾値以下となるという条件が満たされて補助ユニット150の電源をオフした場合、そのオフした補助ユニット150が図9の手順により再び起動されることはない。
【0108】
S116の判定で、上述の2つの条件の両方が満たされた場合、ページ管理部114は、システムに参加中の補助ユニット150の中から1つを削除対象に選定する(S118)。削除対象に選定した補助ユニット150には、新たなページを割り当てることはせず、待ち行列中の未処理ページのRIP処理が完了するのを待つ(S120)。そして、削除対象の補助ユニット150の待ち行列が空になり、その補助ユニット150におけるRIP処理が完了すると、ページ管理部114は、その削除対象の補助ユニット150の電源をオフする(S122)。
【0109】
S116の判定結果がNo、すなわち上述した2つの条件のうちの少なくとも一方が満たされない場合は、ページ管理部114は図9のS94に進み、以降図9の処理手順を実行する。
【0110】
次に、各RIPユニット120が補助ユニット150の電源制御を行う図4のシステム構成に第3の変形例の制御を適用した場合の処理を、図12を参照して説明する。
【0111】
この手順では、各RIPユニット120の処理制御部128は、自ユニット120のRIP処理部122及び対応補助ユニット150のRIP処理部152(もし存在すれば)の最新の負荷評価値と、印刷データの残りページ数を取得する(S132)。また、処理制御部128は、対応補助ユニット150があるか否かを判定する(S134)。なければ、処理制御部128は図10のS104に進み、以降図10の処理手順を実行する。
【0112】
S134で対応補助ユニット150があると判定した場合、S132で取得した各RIP処理部122及び152の負荷評価値をあらかじめ定められたオフ閾値と比較すると共に、残りページ数をページ数閾値と比較する(S136)。このページ数閾値は、図11の例のS114で用いるページ数閾値と同じものでよい。S136では、自ユニット120のRIP処理部122及び対応補助ユニット150のRIP処理部152のすべての負荷評価値がオフ閾値を下回るという条件、及び印刷データの残りページ数がページ数閾値以下となるという条件の両方が満たされるか否かを判定する。
【0113】
S136の判定で、上述の2つの条件の両方が満たされた場合、処理制御部128は、システムに参加中の対応補助ユニット150の中から1つを削除対象に選定する(S138)。削除対象に選定した対応補助ユニット150には、新たなページを割り当てることはせず、待ち行列中の未処理ページのRIP処理が完了するのを待つ(S140)。そして、削除対象の対応補助ユニット150の待ち行列が空になり、その対応補助ユニット150におけるRIP処理が完了すると、処理制御部128は、その削除対象の対応補助ユニット150の電源をオフする(S142)。
【0114】
S136の判定結果がNo、すなわち上述した2つの条件のうちの少なくとも一方が満たされない場合は、処理制御部128は図10のS104に進み、以降図10の処理手順を実行する。
【符号の説明】
【0115】
100 印刷データ処理システム、110 フロントエンドユニット、112 データ受信部、114,114a ページ管理部、116 データ配信処理部、120C,120M,120Y,120K RIPユニット、122C,122M,122Y,122K RIP処理部、124C,124M,124Y,124K データ保存部、126 プリンタエンジン制御部、128 処理制御部、150 補助ユニット、152 RIP処理部、200 プリンタエンジン、210 エンジン、300 ホスト。
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷データ処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ページ記述言語で記述された印刷データを解釈してラスター画像データを生成するRIP(Raster Image Processor)装置を複数設け、それら複数のRIP装置に例えば異なるページの印刷データを並列に処理させることで、RIP処理の高速化を図ることが行われている。
【0003】
特許文献1には、ラスタライズ処理をネットワーク上の複数の演算処理装置で行い、ネットワーク上の1つ以上の印刷処理装置を用いて出力する印刷処理システムが開示される。このシステムは、演算処理装置の処理能力と現在の処理状況、およびネットワークの転送能力と現在の転送状態を管理する能力情報管理部と、能力情報管理部に基づいて印刷ジョブの分割を行う印刷ジョブ分割部と、分割された印刷ジョブを複数の演算処理装置2に転送する転送部、転送された演算処理装置にてラスタライズ処理を行うラスタライズ処理部と、ラスタライズ処理された分割画素情報をページ単位の画素情報に合成する画素合成部と、合成されたページ単位の画素情報を出力するように制御する出力制御部と、を備える。
【0004】
特許文献2に開示されたシステムでは、複数の分散処理サーバのうちのどれが印刷データを早く展開処理できるかを判断し、判断されたサーバにジョブの展開処理を実行させ、最終的にプリンタに展開済みデータを送信し印刷を行う。
【0005】
特許文献3に開示されたシステムは、ユーザパソコンからの印刷要求による印刷データを受信してスプールするプリントマネージャと、該プリントマネージャの下にジョブ管理される複数のRIPと、前記プリントマネージャに接続されたプリンタとからなり、前記プリントマネージャはジョブ内容に応じて前記複数のRIPにジョブを分配して並列処理を行わせる。
【0006】
複数のRIP装置を並列動作させるシステムでは、一般にRIP装置の数を増やすほど、RIP処理を高速化することができる。このため、システム内に通常用の1以上のRIP装置の他に補助用の1以上のRIP装置を設け、処理負荷が高い印刷データを処理する場合には、通常用のRIP装置に加え、補助用のRIP装置も動作させることも行われている。このような従来のシステムの一例では、補助用のRIP装置を用いる場合には、システムを操作する操作者がシステム起動時に通常用だけでなく補助用のRIP装置にも電源投入し、起動時に補助用のRIP装置も含むようにシステムを構成していた。また、システムの運用を一時停止して操作者が未起動の補助用のRIP装置に電源を投入し、システム構成用のユーザインタフェースを使用してその補助用のRIP装置をシステムに参加させる操作を行う例も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−282494号公報
【特許文献2】特開2005−092444号公報
【特許文献3】特開2007−310450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、システムの起動時から補助用の解釈装置をシステムに参加させる方式よりも省エネルギーを図ることができ、操作者が補助用の解釈装置をシステムに参加させる操作を行う場合よりもシステムの動作停止期間が短くなるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、ページ記述言語で記述された印刷データを解釈し、印刷装置に供給するための印刷画像データを生成する複数の主解釈装置と、前記印刷データを解釈し、前記印刷装置に供給するための印刷画像データを生成する補助解釈装置であって、前記複数の主解釈装置に対する電源の投入時には電源が投入されない補助解釈装置と、印刷データをあらかじめ定められた単位ごとに分割し、分割された各単位の印刷データの解釈処理を前記複数の主解釈装置のそれぞれに割り当てる割当装置と、を備え、前記割当装置は、前記複数の主解釈装置の負荷を評価する負荷評価手段と、前記複数の主解釈装置について前記負荷評価手段で評価された負荷が、前記補助解釈装置を起動するためのあらかじめ定められたオン閾値を上回る場合に、前記補助解釈装置に電源を投入する電源投入手段と、を備え、前記分割された各単位の印刷データの処理を電源投入後の前記補助解釈装置に対しても割り当てる、ことを特徴とする印刷データ処理システムである。
【0010】
請求項2に係る発明は、前記電源投入手段は、前記複数の主解釈装置について前記負荷評価手段で評価された負荷が前記オン閾値を上回り、且つ前記印刷データのうち前記複数の主解釈装置に割り当てられていない部分の量があらかじめ定められた第1の残量閾値を上回る場合に、前記補助解釈装置に電源を投入する、ことを特徴とする請求項1に記載の印刷データ処理システムである。
【0011】
請求項3に係る発明は、前記割当装置は、前記複数の主解釈装置について前記負荷評価手段で評価された負荷が、電源を投入され動作中の前記補助解釈装置の電源を遮断するためのあらかじめ定められたオフ閾値を下回る場合に、動作中の前記補助解釈装置の少なくとも1つの電源を遮断する電源遮断手段、を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷データ処理システムである。
【0012】
請求項4に係る発明は、前記電源遮断手段は、前記複数の主解釈装置について前記負荷評価手段で評価された負荷が前記オフ閾値を下回り、且つ前記印刷データのうち前記複数の主解釈装置に割り当てられていない部分の量があらかじめ定められた第2の残量閾値を下回る場合に、動作中の前記補助解釈装置の少なくとも1つの電源を遮断する、ことを特徴とする請求項3に記載の印刷データ処理システムである。
【0013】
請求項5に係る発明は、ページ記述言語で記述された印刷データを解釈し、印刷装置に供給するための印刷画像データを生成する複数の主解釈装置と、前記印刷データを解釈し、前記印刷装置に供給するための印刷画像データを生成する補助解釈装置であって、前記複数の主解釈装置に対する電源の投入時には電源が投入されない補助解釈装置と、を備え、前記複数の主解釈装置のそれぞれは、当該主解釈装置の負荷を評価する負荷評価手段と、前記負荷評価手段で評価された当該主解釈装置の負荷が、前記補助解釈装置を起動するためのあらかじめ定められたオン閾値を上回る場合に、前記補助解釈装置に電源を投入する電源投入手段と、当該主解釈装置に割り当てられた単位の印刷データの解釈処理を、電源投入後の前記補助解釈装置に割り当てる再割当手段と、を備えることを特徴とする印刷データ処理システムである。
【0014】
請求項6に係る発明は、前記電源投入手段は、前記主解釈装置について前記負荷評価手段で評価された負荷が前記オン閾値を上回り、且つ前記印刷データのうち前記複数の主解釈装置に割り当てられていない部分の量があらかじめ定められた第1の残量閾値を上回る場合に、前記補助解釈装置に電源を投入する、ことを特徴とする請求項5に記載の印刷データ処理システムである。
【0015】
請求項7に係る発明は、前記複数の主解釈装置のそれぞれは、当該主解釈装置について前記負荷評価手段で評価された負荷が、電源を投入され動作中の前記補助解釈装置の電源を遮断するためのあらかじめ定められたオフ閾値を下回る場合に、動作中の前記補助解釈装置の少なくとも1つの電源を遮断する電源遮断手段、を更に備えることを特徴とする請求項5又は6に記載の印刷データ処理システムである。
【0016】
請求項8に係る発明は、前記電源遮断手段は、前記主解釈装置について前記負荷評価手段で評価された負荷が前記オフ閾値を下回り、且つ前記印刷データのうち前記複数の主解釈装置に割り当てられていない部分の量があらかじめ定められた第2の残量閾値を下回る場合に、動作中の前記補助解釈装置の少なくとも1つの電源を遮断する、ことを特徴とする請求項7に記載の印刷データ処理システムである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1又は5に係る発明によれば、システムの起動時から補助用の解釈装置をシステムに参加させる方式よりも省エネルギーを図ることができ、操作者が補助用の解釈装置をシステムに参加させる操作を行う場合よりもシステムの動作停止期間が短くなるようにすることができる。
【0018】
請求項2又は6に係る発明によれば、電源を投入した補助用の解釈装置が使用されないまま終わるという無駄を低減することができる。
【0019】
請求項3又は7に係る発明によれば、主解釈装置のみで十分な処理性能が得られる場合に、補助用の解釈装置の電源を遮断して、省エネルギーを実現することができる。
【0020】
請求項4又は8に係る発明によれば、主解釈装置のみで十分な処理性能が得られる場合でも、再度補助用の解釈装置が必要となる可能性がある場合には、補助用の解釈装置の電源を遮断しないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】補助ユニットの電源投入をフロントエンドユニットにて制御する場合のシステム構成の一例を示す図である。
【図2】図1の例における補助ユニットに対する電源投入の制御の手順の一例を示す図である。
【図3】図1の例における各RIP処理部へのページ割当の手順の一例を示す図である。
【図4】補助ユニットの電源投入を各RIPユニットにて制御する場合のシステム構成の一例を示す図である。
【図5】図4の例における補助ユニットに対する電源投入の制御の手順の一例を示す図である。
【図6】図4の例において処理制御部が行うページ再割当の手順の一例を示す図である。
【図7】図1の例における補助ユニットの電源遮断の制御の手順の一例を示す図である。
【図8】図4の例における補助ユニットの電源遮断の制御の手順の一例を示す図である。
【図9】図1の例における補助ユニットに対する電源投入の制御の手順の別の一例を示す図である。
【図10】図4の例における補助ユニットに対する電源投入の制御の手順の別の一例を示す図である。
【図11】図1の例における補助ユニットの電源遮断の制御の手順の別の一例を示す図である。
【図12】図4の例における補助ユニットの電源遮断の制御の手順の別の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1を参照して、実施の形態の印刷データ処理システム100の第1の例を説明する。
【0023】
印刷データ処理システム100は、パーソナルコンピュータやワークステーションなどのホスト300から、ページ記述言語(以下、PDLと呼ぶ。PDLはPage Description Languageの略)で記述された印刷データを受け取り、その印刷データを処理することでビットマップデータ(又はラスターデータ)を生成し、生成したビットマップデータをプリンタエンジン200に供給して用紙に印刷させる。プリンタエンジン200は、用紙上に、C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラック)等の各原色の色材(インク、トナーなど)を用いて、ビットマップデータに応じた画像を印刷する。
【0024】
印刷データ処理システム100は、フロントエンドユニット110、CMYK各色にそれぞれ1つずつ設けられたRIPユニット120C,120M,120Y,120K、及び1以上の補助ユニット150を有する。プロセスカラー以外の特色の色材を用いるシステムの場合、特色用のRIPユニットを更に追加してもよい。
【0025】
図1において、点線の矢印はPDLで記述された印刷データの流れを示し、実線の矢印はその印刷データを解釈して生成されたビットマップ画像データの流れを示す。
【0026】
フロントエンドユニット110は、ホスト300から受け取った印刷データを分割してRIP処理部122C〜K,152に割り当てるためのユニットである。フロントエンドユニット110は、データ受信部112,ページ管理部114,データ配信処理部116を有する。
【0027】
データ受信部112は、ホスト300が生成した印刷データを受信する。
【0028】
ページ管理部114は、データ受信部112が受信した印刷データをあらかじめ定められた単位毎に分割し、分割結果の各単位を各RIP処理部122C〜K,152に割り当てるための管理を行う。ここでの分割の単位は、典型的には「ページ」であるが、これに限られるわけではない。例えばあらかじめ定められたページ数のページを単位としてもよい。以下ではページ単位に分割して分配する場合を例にとって説明する。
【0029】
印刷データが、PDF(Portable Document Format)のようにページ独立のPDLで記述されている場合には、ページ管理部114は、印刷データ自体をページ単位に分割し、ページ毎のPDLデータを各RIP処理部122C〜K,152に割り当てればよい。なお、「ページ独立」とは、個々のページの画像を表すデータが当該ページのPDLデータ内にすべて含まれており、他のページのデータを必要としないことを表す。
【0030】
一方、PostScript(登録商標)のように「ページ非独立」の場合には、前のページのPDLコマンドで指定された状態が後のページにも引き継がれていくので、ページ毎の印刷データを解釈して描画したのでは、正しいページの画像が得られない。そこで、印刷データがページ非独立のPDLで記述されている場合は、ページ管理部114は、各RIP処理部122C〜K,152に対して、担当するページの割当のみをおこなう。この場合、各RIP処理部122C〜K,152には、分割しない印刷データ全体をそれぞれ渡し、当該印刷データの先頭から順に解釈だけ進めさせ、担当するページのみ、解釈結果を用いて実際にビットマップ画像をページメモリ上に描画させる。このように、ページ非独立の印刷データの場合には、ページ管理部114が行う印刷データのページ毎の「分割」はあくまでRIP処理の割当についての分割であり、印刷データそのものを実際に分割するわけではない。PDFの場合でもPostScriptと同様に印刷データ全体を渡し、各RIPで指定ページを処理する方法で良い。
【0031】
ページ管理部114が各RIP処理部122C〜K,152に対してどのようにページを割り当てていくかは、例えば従来の様々な割当方式のいずれを用いてもよく、特に限定されるものではない。例えば、ページの順に従って順に割り当てていく方式でもよい。また、後述する例では、各RIP処理部122C〜K,152の負荷を見ながら、最も負荷の低いRIP処理部に割り当てていく方式を説明する。なお、後述するように、各補助ユニット150は、当該印刷データ処理システム100の起動時にはまだ起動していない(すなわち電源投入されていない)。このため、各補助ユニット150のRIP処理部152にページの割当が行われるのは、当該補助ユニット150に電源が投入され、起動処理が完了して印刷データ処理システム100に参加した状態(すなわち印刷データを受け取ってRIP処理を行い、その処理結果を出力できる状態)となった後のことになる。
【0032】
ページ管理部114は、各RIP処理部122C〜122K,152にどのページを割り当てたかを記録していてもよい。
【0033】
また、ページ管理部114は、各RIP処理部122C〜122Kの負荷状態を監視し、それらRIP処理部122の負荷が過大になった場合に、補助ユニット150を起動する。この補助ユニット150の起動制御については、後で詳しく説明する。
【0034】
データ配信処理部116は、ページ管理部114が決定した各RIP処理部122C〜122K,152へのページの割当に従って、各RIP処理部122C〜122K,152にデータを配信する。すなわち、ページ独立の印刷データを処理する場合には、データ配信処理部116は、その印刷データをページ単位に分割し、ページごとのPDLのデータを各RIP処理部122C〜122K,152に配信する。また、ページ非独立の印刷データの場合は、データ配信処理部116は、各RIP処理部122C〜122K,152にその印刷データをそれぞれ配信すると共に、ページ管理部114が決定した割り当てページを特定する情報を、それぞれ各RIP処理部122C〜122K,152に配信する。
【0035】
C,M,Y,Kの各色用のRIPユニット120C,120M,120Y,120Kは、印刷データを解釈して割当されたページのビットマップ画像(ラスター画像とも呼ばれる)を生成するためのユニットである。RIPユニット120C,120M,120Y,120Kは、どの色版のビットマップ画像を出力するかが異なるだけで、内蔵する要素やそれら各要素の処理内容も同一である。そこで、区別する必要のない場合は、RIPユニット120C,120M,120Y,120KをRIPユニット120と総称し、また内部のRIP処理部122C,122M,122Y,122K等の要素についても、区別の必要がない場合には、同様に符号の末尾のC〜Mを省いた形で総称する。
【0036】
各RIPユニット120は、RIP処理部122,データ保存部124,プリンタエンジン制御部126を備える。
【0037】
RIP処理部122は、印刷データをRIP処理する。RIP処理は、PDLで記述された印刷データを解釈し、その解釈結果に従ってビットマップ画像を生成する処理である。RIP処理部122は、印刷データを解釈することで、フロントエンドユニット110から割り当てられたページのビットマップ画像を生成する。ここで、印刷データがフルカラー画像を表す場合、各色用のRIPユニット120のRIP処理部122は、印刷データからそれぞれC,M,Y,Kのすべての色版のビットマップ画像を生成する。C色RIPユニット120CのRIP処理部122Cだからといって、C版のビットマップ画像だけを生成するわけではない。
【0038】
各RIP処理部122は、生成した各色版のビットマップ画像を、それぞれ対応する色用のRIPユニット120内のデータ保存部124に保存する。例えば、C色RIPユニット120CのRIP処理部122Cは、RIP処理により生成したC版のビットマップ画像はデータ保存部124Cに、M版のビットマップ画像はデータ保存部124Mに、Y版のビットマップ画像はデータ保存部124Yに、K版のビットマップ画像はデータ保存部124Kに、それぞれ保存する。したがって、例えばC色RIPユニット120C内のデータ保存部124Cには、各色用のRIPユニット120内のRIP処理部122で生成された各ページのC版のビットマップ画像が保存されることになる。
【0039】
データ保存部124は、上流側のRIP処理部122群と、下流側のプリンタエンジン制御部126及びエンジン210と、の間の処理速度の差を吸収するためのバッファである。上述のように、各色用のRIPユニット120内のデータ保存部124には、各RIP処理部122C〜Kから、当該色の各ページのビットマップ画像が例えばページ番号と対応づけて入力され、保存される。
【0040】
各色版用のプリンタエンジン制御部126は、上流のデータ保存部124にバッファされている各ページの当該色版のビットマップ画像をページ順に読み出し、プリンタエンジン200内の対応する色用のエンジン210に供給する。すなわち、例えばエンジン210は、現在処理中のビットマップ画像の用紙への印刷が完了する毎に完了信号を対応するプリンタエンジン制御部126に送り、この完了信号に応じてプリンタエンジン制御部126が次のページのビットマップ画像をそのエンジン210に転送する。前ページの印刷完了通知をエンジンから受けた後に、次ページの転送が行われる場合もあれば、エンジン側で保持できる分先送りする場合もある。また、プリンタエンジン制御部126は、例えば、対応するデータ保存部124内に次にエンジン210に転送すべきページのビットマップ画像がない場合は、そのページのビットマップ画像が生成されデータ保存部124に入ってくるのを待ち、入って来たらそのページのビットマップ画像をエンジン210に供給する。このような動作により、各エンジン210は、それぞれ対応する色版のビットマップ画像を用紙上に印刷する。
【0041】
このように、各色用のRIPユニット120には、それぞれ対応する色用のエンジン210が、例えば通信ケーブルを介して接続されている。
【0042】
プリンタエンジン200は、印刷データ処理システム100が生成したビットマップ画像を、インク等の色材を用いて用紙上に印刷する装置である。プリンタエンジン200は、各色版のためのエンジン210C〜Kを有する。プロセス色以外の特色の色材を用いる場合には、特色用のエンジンを備えていてもよい。各色版用のエンジン210は、それぞれ当該色版のビットマップ画像データに従って用紙上に当該色版の色材を用いて画像を形成する。プリンタエンジン200内では、例えばそれら各エンジン210C〜Kがタンデム配列されており、それら各エンジン210C〜Kが各色版のビットマップ画像を用紙上の同じ位置に対し順に重ねて印刷していくことで、フルカラーの画像が印刷されることになる。
【0043】
なお、このプリンタエンジン200は、連帳紙用のものであってもよいし、カット紙用のものであってもよい。また、プリンタエンジン200の後段には、印刷済の用紙に対して後処理を行う後処理ユニットが接続されてもよい。後処理ユニットが行う後処理には、連帳紙のカット、折り、製本、封筒への封入など様々なものがある。
【0044】
印刷データ処理システム100は、1以上の補助ユニット150を備えている。これら補助ユニット150は、メインである各色用のRIPユニット120内の各RIP処理部122の処理能力が足りなくなった場合に、RIP処理を補助するためのユニットである。各補助ユニット150は、それぞれRIP処理部152を備えているが、データ保存部124及びプリンタエンジン制御部126は備えていない。補助ユニット150のRIP処理部152の昨日は、RIP処理部122と同様である。すなわちRIP処理部152は、印刷データを解釈して、フロントエンドユニット110から割り当てられたページの各色版のビットマップ画像を生成し、生成した各色版のビットマップ画像をそれぞれ対応する色版用のRIPユニット120のデータ保存部124に転送する。
【0045】
各補助ユニット150には、印刷データ処理システム100が起動した時点ではまだ電源を投入しない。メインである各RIP処理部122の処理能力が足りなくなって(あるいは足りなくなることが予測されて)初めて、補助ユニット150に電源を投入する。各RIP処理部122の処理能力が足りなくなる状況とは、RIP処理部122の負荷が高くなってビットマップ画像の生成速度がプリンタエンジン200の印刷速度に比して遅くなる状況である。この実施の形態では、このような状況になった場合、又はなることが予測される場合に、補助ユニット150を起動してRIP処理を行わせることで、システム全体としてのRIP速度を上昇させ、プリンタエンジン200の印刷速度を有効に利用できるようにする。
【0046】
補助ユニット150に電源が投入され、起動のための処理、及び既に動作している各RIPユニット120との同期のための処理が完了すると、当該補助ユニット150は印刷データ処理システム100に参加したことになり、フロントエンドユニット110からページの割当を受けてRIP処理を行う。
【0047】
図1に例示したシステム構成において、各色版用のRIPユニット120及び各補助ユニット150は、例えば、それぞれCPUやメモリ等を有する個別のコンピュータとして構成される。個々のコンピュータは、別々の筐体の独立した装置として構成してもよいし、同一筐体に収容される別々のボード(基板)として構成してもよい。また、フロントエンドユニット110は、それらRIPユニットとは別のコンピュータとして実装してもよいし、各色版用のRIPユニット120のうちの1つが実装されるコンピュータ上に実装(すなわちこのコンピュータ上でフロントエンドユニット110のプログラムも実行する)してもよい。そして、これらコンピュータは、例えば、共通のデータ通信ネットワークに接続されており、印刷データやビットマップ画像データをそのネットワークを介して相互に受け渡しする。なお、コンピュータ間を接続する共通のネットワークの代わりに、それらコンピュータ同士をケーブルで一対一に接続してデータをやりとりするようにしてももちろんよい。ページ管理部114や各RIP処理部122及び152等の各モジュールは、それら各モジュールの機能を記述したプログラムをそれら各コンピュータで実行することにより実現される。それらプログラムは、可搬型のコンピュータ読取可能な記録媒体又はデータ通信ネットワークを介してそれらコンピュータに導入され、インストールされる。
【0048】
次に、図2を参照して、図1のシステムのページ管理部114が行う補助ユニット150の起動制御の一例を説明する。
【0049】
この制御の前提として、ページ管理部114は、例えば定期的に、各RIP処理部122(及び起動している場合にはRIP処理部152も)の負荷状況を監視し、それら各RIP処理部の負荷の程度を表す負荷評価値を求めている。
【0050】
RIP処理部122の負荷評価値としては、例えば、当該RIP処理部122の未処理ページ数がある。すなわち、RIP処理部122は、フロントエンドユニット110から割り当てられるページの待ち行列を有しており、1ページのRIP処理が終わる毎にその待ち行列から先頭のページを取り出してRIP処理を行う。この待ち行列内にあるページ数が未処理ページ数である。未処理ページ数が多いということは、割り当てられたページの処理が進んでいないということであり、それだけRIP処理部122の負荷が高いということである。この例では、ページ管理部114は、各RIP処理部122C〜K(及び動作中の補助ユニット150のRIP処理部152)から、それぞれ待ち行列内の未処理ページ数を定期的に受け取り、その未処理ページ数を負荷評価値とする。
【0051】
また、RIP処理部122のプログラムを実行中のCPU(中央演算装置)の負荷量(例えばCPUの使用率)に基づき、当該RIP処理部122の負荷評価値を求めてもよい。CPUの負荷が高いほど負荷評価値は高くなる。
【0052】
また、ページ独立の印刷データを処理する場合には、RIP処理部122に割り当てられるページの待ち行列を記憶するバッファの残り容量に基づき、当該RIP処理部122の負荷評価値を求めてもよい。(厳密にはそうでない場合もあるが)大まかな傾向として、印刷データのデータ量が多いほどRIP処理に長い時間がかかる。したがって、バッファの空き容量が少ないということは、RIP処理部122の処理待ちとなっているデータ量が多いということであり、未処理ページ数が多い場合と同様、RIP処理部122の負荷が高いことを示す。バッファの空き容量が少ないほど、負荷評価値は高くなる。
【0053】
未処理ページ数、CPU負荷、及びバッファ空き容量は、負荷評価値を求める材料の一例に過ぎない。RIP処理部122の状況を示す別の情報を用いて負荷評価値を求めてもよい。また、未処理ページ数、CPU負荷、及びバッファ空き容量のうちの2以上を総合評価して負荷評価値を求めてもよい。
【0054】
この明細書に説明する各種の例では、負荷評価値は正の値であり、その評価値が高くなるほど負荷も高くなるものとする。しかし、これは一例に過ぎず、例えばこの代わりにRIP処理部122又は152の負荷は高くなるほど値が低くなる負荷評価値を用いてももちろんよい。どのような負荷評価値を用いるとしても、以下の説明において「負荷評価値が閾値を上回る」と言った場合、それは負荷評価値の数値が閾値を上回ったことを示すのではなく、RIP処理部122又は152の負荷が閾値に対応する負荷よりも高く(すなわち処理負担がより重く)なっていることを示すものとする。
【0055】
以上の例は、未処理ページ数等の判断材料の数値の現在の値から負荷評価値を求めるものであったが、それら数値の直近の一定期間のトレンド(上昇又は下降の傾向)も考慮して負荷評価値を計算してもよい。この場合、判断材料の数値が同じでも、現在から見て直近のあらかじめ定められた期間においてその数値が上昇傾向にある場合には下降傾向にある場合よりも負荷評価値を高くする。また、数値が同じでも上昇率が高いほど負荷評価値は高くする。同様に下降率が高い(すなわち下降率の絶対値が大きい)ほど、負荷評価値は低くする。
【0056】
ある時点におけるRIP処理部122の負荷評価値は、その時点でそのRIP処理部122に新たなページを割り当てた場合に、そのページのRIP処理が完了するまでに要するおおよその時間(予測値)を表すものといえる。
【0057】
以上のように各RIP処理部122の負荷評価値が定期的に求められているという状況の下で、ページ管理部114は、定期的に図2の手順を実行する。この手順では、ページ管理部114は、各RIP処理部122の最新の負荷評価値を取得する(S12)。そして、取得した各RIP処理部122の負荷評価値をあらかじめ定められたオン閾値と比較し(S14)、少なくとも1つのRIP処理部122の負荷評価値がそのオン閾値を上回ると、まだ電源が投入されていない補助ユニット150の中から1つを選択し、電源を投入する(S16)。オン閾値は、補助ユニット150を起動するための判断基準となる閾値であり、あらかじめ定められている。電源投入は、例えば、WoL(Wake on LAN)等、ネットワーク経由で電源のオン・オフを制御するための既存技術を用いて行えばよい。このために、フロントエンドユニット110(ページ管理部114)には、各補助ユニット150のアドレス情報(例えばMACアドレスやIPアドレス)等をあらかじめコンフィグレーションしておく。
【0058】
この電源投入操作により、対象となった補助ユニット150に電源が投入され、当該補助ユニット150の起動処理が実行される。この起動処理が完了してその補助ユニット150が他のユニット110,122と同期すると、その補助ユニット150が印刷データ処理システム100に参加した状態となる(S18)。この参加状態になった補助ユニット150には、ページの割当が行われる。
【0059】
なお、S14の判定結果がNo、すなわちすべてのRIP処理部122の負荷評価値がオン閾値以下であれば、S16及びS18は実行せずに処理を終了する。
【0060】
この処理によれば、動作中のRIPユニット120,152の負荷がオン閾値を超える毎に、未起動の補助ユニット150が起動され、システムに参加することになる。
【0061】
また、補助ユニット150はシステムに参加した後、ページ管理部114はその参加中の補助ユニット150についても負荷評価値を求め、S14の判定の際に参加中の補助ユニット150のRIP処理部152についてもオン閾値と比較するようにしてもよい。
【0062】
以上の例では、S14にて少なくとも1つのRIP処理部122の負荷評価値がオン閾値を超えた場合に補助ユニット150に電源を投入したが、これは一例に過ぎない。例えば、システムに参加中のすべてのRIP処理部122,152の負荷評価値がオン閾値を上回った場合に初めて未起動の補助ユニット150に電源投入を行うようにしてもよい。
【0063】
次に、ページ管理部114が行う、システムに参加中の各RIP処理部122,152へのページの割当処理の一例を、図3を参照して説明する。
【0064】
ページ管理部114は、ホスト300からの受け取った印刷データのページを先頭から順に割り当てていく過程で、未割当のページがあるかどうかを判定し(S22)、あればS24に進む。S24では、システムに参加中の各RIP処理部122,152の負荷評価値を取得し(S24)、その中での最低値(すなわち最も低負荷)を持つRIP処理部122又は152に、未割当のページの先頭ページを割り当てる(S26)。負荷評価値が最低のRIP処理部にページを割り当てることで、そのページのRIP処理結果(ビットマップ画像)が最も早く得られると期待される。S22で未割当のページがなければ、印刷すべきページがなくなったと言うことなので、処理を終了する。
【0065】
なお、図3に示したページ割当の手順はあくまで一例に過ぎず、この他従来から知られているページ割当方式、又はこれから開発されるページ割当方式を用いてももちろんよい。
【0066】
次に、この実施の形態のシステムの第2の例を説明する。図4は、第2の例の印刷データ処理システム100の構成例を示す図である。
【0067】
図1に示した第1の例では、フロントエンドユニット110内のページ管理部114が補助ユニット150の電源投入の制御を行ったのに対し、図4に示す第2の例では、各色版用のRIPユニット120に設けた処理制御部128C〜Kが補助ユニット150の電源投入の制御を行う。この第2の例のページ管理部114aは、補助ユニット150の電源投入の制御を行わない点以外は、第1の例のページ管理部114と同様でよい。
【0068】
この例では、個々のRIPユニット120から起動された補助ユニット150は、起動指示を行ったRIPユニット120からページの割当を受け、RIP結果のビットマップ画像をそのRIPユニット120に返す。すなわち、起動された補助ユニット150は、起動指示を行ったRIPユニット120専用のものとなる。このようにあるRIPユニット120専用となった動作中の補助ユニット150のことは、以下ではそのRIPユニット120の「対応補助ユニット」と呼ぶ。
【0069】
各色版用のRIPユニット120に設けた処理制御部128C〜Kが実行する処理手順の一例を、図5に示す。この手順では、処理制御部128は、自分が属するRIPユニット120のRIP処理部122の負荷評価値を取得する(S32)。そのRIPユニット120を補助する対応補助ユニット150が既に1個以上存在する場合には、S32ではそれら各対応補助ユニット150のRIP処理部152の負荷評価値も取得する。そして、それら自ユニット120及び対応補助ユニット150の負荷評価値をオン閾値と比較し(S34)、その中の少なくとも1つの負荷評価値がオン閾値を上回った場合、処理制御部128は未起動の補助ユニット150の中から1つを選択し、電源を投入する(S36)。このために、処理制御部128には、各補助ユニット150のアドレス情報(例えばMACアドレスやIPアドレス)等をあらかじめコンフィグレーションしておく。
【0070】
この電源投入操作により、対象となった補助ユニット150に電源が投入され、当該補助ユニット150の起動処理が実行される。この起動処理が完了してその補助ユニット150が他のユニット110,122と同期すると、その補助ユニット150が印刷データ処理システム100に参加した状態となり、その補助ユニット150を対応補助ユニット150として記憶する(S38)。これ以降、処理制御部128は、自ユニットのRIP処理部122にフロントエンドユニット110から割り当てられたページの一部を、対応補助ユニット150に再割当する。なお、S34の判定結果がNo、すなわち自ユニットのRIP処理部122及び対応補助ユニット150のRIP処理部152のすべての負荷評価値がオン閾値以下であれば、S36及びS38は実行せずに処理を終了する。
【0071】
以上の例では、S34にて自ユニットのRIP処理部122又は対応補助ユニット150のRIP処理部152の少なくとも1つの負荷評価値がオン閾値を超えた場合に補助ユニット150に電源を投入したが、これは一例に過ぎない。例えば、自ユニットのRIP処理部122又は対応補助ユニット150のRIP処理部152のすべての負荷評価値がオン閾値を上回った場合に未起動の補助ユニット150に電源投入を行うようにしてもよい。
【0072】
次に、処理制御部128が行う、自ユニット120のRIP処理部122及び対応補助ユニット150のRIP処理部152へのページの割当処理の一例を、図6を参照して説明する。
【0073】
処理制御部128は、フロントエンドユニット110から自ユニット120にページが割り当てられる毎に(S42の判定結果がYES)、自ユニット120のRIP処理部122及び各対応補助ユニット150のRIP処理部152の負荷評価値を取得し(S44)、その中での最低値(すなわち最も低負荷)を持つRIP処理部122又は152にそのページを割り当てる(S46)。以上の処理を、印刷データの最後のページまで繰り返す。
【0074】
なお、図6に示したページ割当の手順はあくまで一例に過ぎず、この他従来から知られているページ割当方式、又はこれから開発されるページ割当方式を用いてももちろんよい。
【0075】
あるRIPユニット120の処理制御部128からページの割当を受けた対応補助ユニット150のRIP処理部152は、そのページのRIPを完了すると、RIP結果のビットマップ画像を、割当元のRIPユニット120に返す。割当元のRIPユニット120は、そのビットマップ画像を色版毎に分版し、各色版のビットマップ画像をそれぞれ対応する色版用のデータ保存部124に転送する。
【0076】
なお、対応補助ユニット150のRIP処理部152は、RIP結果のビットマップ画像を割当元のRIPユニット120に返す代わりに、各色版のビットマップ画像を直接、対応する色版用のデータ保存部124に転送してもよい。
【0077】
次に、上記実施の形態の第1の変形例を説明する。上述の実施の形態では、RIP処理部122及び152の負荷が過大になると未起動の補助ユニット150を自動的に起動したが、この第1の変形例では、更に、起動した補助ユニット150が不要になったとき、すなわち起動中の補助ユニット150を1つ減らしても残りのRIPユニット120(及び補助ユニット150)でプリンタエンジン200の印刷処理速度に見合ったRIP処理速度が達成されるときに、補助ユニット150の電源を自動的に遮断する制御を行う。
【0078】
まず、フロントエンドユニット110が補助ユニット150の電源制御を行う図1のシステム構成におけるこの第1の変形例の制御を、図7を参照して説明する。
【0079】
図7は、この例において図1のページ管理部114が行う制御手順の一例を示す。ページ管理部114は、この図7の手順を定期的に実行する。
【0080】
図7の手順では、ページ管理部114は、プリンタエンジン200に接続された各RIPユニット120のRIP処理部122及び電源投入済みの各補助ユニット150のRIP処理部152の最新の負荷評価値を取得する(S52)。また、ページ管理部114は、印刷データ処理システム100に装備された補助ユニット150のうち少なくとも1つにシステムに参加中か(すなわち電源が投入されているか)どうかを判定する(S54)。電源が投入されている補助ユニット150が一つもない場合、ページ管理部114は図2のS14に進み、以降図2の処理手順を実行する。
【0081】
S54で補助ユニット150が1以上起動中と判定した場合、S52で取得したメインの各RIPユニット120のRIP処理部122及びシステムに参加中の各補助ユニット150のRIP処理部152の負荷評価値をオフ閾値と比較する(S56)。オフ閾値は、起動中の補助ユニット150の電源を遮断するための判断基準となる閾値であり、起動中の補助ユニット150を1つ減らしても残りのRIPユニット120(及び補助ユニット150)でプリンタエンジン200の印刷処理速度に見合ったRIP処理速度が達成されるような値としてあらかじめ定められている。オフ閾値をオン閾値よりも低い値としてもよい。例えば、S56の判定が成立(Yes)となって動作中の1つの補助ユニット150をオフしても、(オフした補助ユニット150の負荷を分担することとなる)残りの動作中のRIP処理部122及び152の負荷評価値がオン閾値に達しないようなオフ閾値を、実験やシミュレーションなどにより定めておけばよい。また、この条件で定められる閾値よりも低い値をオフ閾値とすることで、いったん起動した補助ユニット150の電源がオフされにくくなるようにし、補助ユニット150の電源のオン・オフが頻繁に繰り返される事態が少なくなるようにしてもよい。補助ユニット150に電源を投入してからその補助ユニット150がシステムに参加するまでにはある程度の時間が掛かり、また補助ユニット150の起動処理には定常運転時に比べてかなり多くの電力を要するので、補助ユニット150の電源を頻繁にオン・オフしない方が有利である。
【0082】
S56の判定結果がNo、すなわちRIP処理部122及び152のうちの少なくとも1つでも負荷評価値がオフ閾値以上であれば、ページ管理部114は図2のS14に進み、以降図2の処理手順を実行する。
【0083】
S56の判定結果がYes、すなわちRIP処理部122及び152のすべての負荷評価値がオフ閾値を下回っていれば、ページ管理部114は、システム参加中の補助ユニット150のうちの1つを削除対象に選定する(S58)。削除対象に選定した補助ユニット150のRIP処理部152の待ち行列に未処理のページが残っている場合もあるので、S58以降、ページ管理部114はその削除対象の補助ユニット150に新たなページを割り当てることはせず、待ち行列中の未処理ページのRIP処理が完了するのを待つ(S60)。そして、削除対象の補助ユニット150の待ち行列が空になり、その補助ユニット150におけるRIP処理が完了すると、ページ管理部114は、その削除対象の補助ユニット150の電源をオフする(S62)。この電源オフの操作は、リモートシェルなどのリモート操作技術等の既存技術を用いて行えばよい。
【0084】
次に、各RIPユニット120が補助ユニット150の電源制御を行う図4のシステム構成に第1の変形例の制御を適用した場合の処理を、図8を参照して説明する。
【0085】
図8は、この例において図4の各RIP処理ユニット120の処理制御部128が行う制御手順の一例を示す。処理制御部128は、この図8の手順を定期的に実行する。
【0086】
図8の手順では、処理制御部128は、自ユニット120のRIP処理部122及び各対応補助ユニット150のRIP処理部152の最新の負荷評価値を取得する(S72)。また、処理制御部128は、対応補助ユニット150(すなわち自ユニットを補助するために起動中の補助ユニット150)があるか否かを判定する(S74)。なければ、処理制御部128は図5のS34に進み、以降図5の処理手順を実行する。
【0087】
S74で対応補助ユニット150があると判定した場合、処理制御部128はS72で取得した自ユニット120のRIP処理部122及び各対応補助ユニット150のRIP処理部152の負荷評価値をオフ閾値と比較する(S76)。オフ閾値は、対応補助ユニット150の電源を遮断するための判断基準となる閾値であり、対応補助ユニット150を1つ減らしても自ユニット120(及び残った対応補助ユニット150)でプリンタエンジン200の印刷処理速度に見合ったRIP処理速度が達成されるような値としてあらかじめ定められている。オフ閾値をオン閾値よりも低い値としてもよい。例えば、S76の判定が成立(Yes)となって動作中の1つの対応補助ユニット150をオフしても、自ユニット120のRIP処理部122及び残った対応補助ユニット150のRIP処理部152の負荷評価値がオン閾値に達しないようなオフ閾値を、実験やシミュレーションなどにより定めておけばよい。また、この条件で定められる閾値よりも低い値をオフ閾値とすることで、いったん起動した補助ユニット150の電源がオフされにくくなるようにし、補助ユニット150の電源のオン・オフが頻繁に繰り返される事態が少なくなるようにしてもよい。
【0088】
S76の判定結果がNo、すなわち自ユニット120のRIP処理部122及び対応補助ユニット150のRIP処理部152のうちの少なくとも1つでも負荷評価値がオフ閾値以上であれば、処理制御部128は図5のS34に進み、以降図5の処理手順を実行する。
【0089】
S76の判定結果がYes、すなわち自ユニット120のRIP処理部122及び対応補助ユニット150のRIP処理部152のすべての負荷評価値がオフ閾値を下回っていれば、処理制御部128は、対応補助ユニット150のうちの1つを削除対象に選定する(S78)。削除対象に選定した補助ユニット150のRIP処理部152の待ち行列に未処理のページが残っている場合もあるので、S78以降、処理制御部128はその削除対象の補助ユニット150に新たなページを割り当てることはせず、待ち行列中の未処理ページのRIP処理が完了するのを待つ(S80)。そして、削除対象の補助ユニット150の待ち行列が空になり、その補助ユニット150におけるRIP処理が完了すると、処理制御部128は、その削除対象の補助ユニット150の電源をオフする(S82)。
【0090】
次に、上記実施の形態の第2の変形例を説明する。上述の実施の形態では、未起動の補助ユニット150を起動する際の判断基準としてRIP処理部122及び152の負荷評価値を用いたが、この第2の変形例では、負荷評価値に加え、印刷データのうちまだRIPユニット120又は補助ユニット150に割り当てられていない部分の量(以下「残量」と呼ぶ)も判断基準として用いる。以下の例では、残量として、印刷データのうち未割当のページの数(以下では「残りページ数」と呼ぶ)を用いる場合を説明する。しかし、残りページ数以外に、例えば印刷データのうちの未割当の部分のデータ量(例えばバイト単位)を判定に用いてもよい。
【0091】
上述したように、補助ユニット150に電源を投入してからその補助ユニット150がシステムに参加するまでにはある程度の時間が掛かる。補助ユニット150に電源を投入してからその補助ユニット150がシステムに参加するまでに印刷データの処理が完了してしまったのでは、補助ユニット150を起動した意味がない。そこで、この第2の変形例では、そのような無駄な起動を前もって防ぐべく、印刷データの残量(1つの例では残りページ数)を考慮する。すなわち、少なくとも、電源を投入した補助ユニット150がシステムに参加するまでに印刷データの全ページの割当が完了してしまう事態にはならないように制御する。
【0092】
まず、フロントエンドユニット110が補助ユニット150の電源制御を行う図1のシステム構成におけるこの第2の変形例の制御を、図9を参照して説明する。
【0093】
図9は、この例において図1のページ管理部114が行う制御手順の一例を示す。ページ管理部114は、この図9の手順を定期的に実行する。
【0094】
この手順では、ページ管理部114は、各RIP処理部122及び152の最新の負荷評価値と、印刷データの残りページ数を取得する(S92)。残りページ数は、印刷データ全体のページ数から、既に各RIP処理部122,152に割当済みのページ数を差し引く等の処理により求めればよい。そして、取得した各RIP処理部122の負荷評価値をあらかじめ定められたオン閾値と比較すると共に、残りページ数をページ数閾値と比較する(S94)。
【0095】
ページ数閾値は、残りページ数についての閾値である。例えば、補助ユニット150に電源を投入してからその補助ユニット150がシステムに参加するまでの平均的な所要時間の間にプリンタエンジン200が印刷する平均的なページ数に基づきページ数閾値を定めてもよい。その平均的なページ数は、その平均的な所要時間の間に印刷データ処理システム100がRIP処理するページ数とほぼ等しいと見なせる。したがって、例えばその平均的なページ数自体をページ数閾値とし、印刷データの残りページ数がそのページ数閾値以上を補助ユニット150の電源オンの必要条件とすれば、少なくとも起動した補助ユニット150がまったく使用されないまま印刷データの処理が終わってしまうという事態は避けられる。なお、実際には、起動した補助ユニット150をある程度のページ数分は使用しないと補助ユニット150の起動処理に要する電力量に見合わないので、ページ数閾値はそのような起動処理に要する電力量も考慮して定める。
【0096】
S94では、少なくとも1つのRIP処理部122の負荷評価値がそのオン閾値を上回る(あるいは起動中のRIP処理部122及び152のすべての負荷評価値がオン閾値を上回る)という条件、及び印刷データの残りページ数がページ数閾値を上回るという条件の両方が満たされるか否かを判定する。両方が満たされた場合、ページ管理部114は、未起動の補助ユニット150の中から1つを選択し、電源を投入する(S96)。この電源投入操作により、対象となった補助ユニット150に電源が投入され、当該補助ユニット150の起動処理が実行される。この起動処理が完了してその補助ユニット150が他のユニット110,122と同期すると、その補助ユニット150が印刷データ処理システム100に参加した状態となる(S98)。
【0097】
S94の判定結果がNo、すなわち上述した2つの条件のうちの少なくとも一方が満たされない場合は、S96及びS98は実行せずに処理を終了する。
【0098】
次に、各RIPユニット120が補助ユニット150の電源制御を行う図4のシステム構成に第2の変形例の制御を適用した場合の処理を、図10を参照して説明する。
【0099】
この手順では、各RIPユニット120の処理制御部128は、自ユニット120のRIP処理部122及び対応補助ユニット150のRIP処理部152(もし存在すれば)の最新の負荷評価値と、印刷データの残りページ数を取得する(S102)。そして、取得した各RIP処理部122及び152の負荷評価値をあらかじめ定められたオン閾値と比較すると共に、残りページ数をページ数閾値と比較する(S104)。
【0100】
S104では、自ユニット120のRIP処理部122及び対応補助ユニット150のRIP処理部152のうちの少なくとも1つの負荷評価値がそのオン閾値を上回る(あるいは別の例としてそれらすべての負荷評価値がオン閾値を上回る)という条件、及び印刷データの残りページ数がページ数閾値を上回るという条件の両方が満たされるか否かを判定する。両方が満たされた場合、処理制御部128は、未起動の補助ユニット150の中から1つを選択し、電源を投入する(S106)。この電源投入操作により、対象となった補助ユニット150に電源が投入され、当該補助ユニット150の起動処理が実行される。この起動処理が完了してその補助ユニット150が他のユニット110,122と同期すると、その補助ユニット150が印刷データ処理システム100に参加した状態となり、その補助ユニット150を対応補助ユニット150として記憶する(S108)。これ以降、処理制御部128は、自ユニットのRIP処理部122にフロントエンドユニット110から割り当てられたページの一部を、対応補助ユニット150に再割当する。
【0101】
S104の判定結果がNo、すなわち上述した2つの条件のうちの少なくとも一方が満たされない場合は、S106及びS108は実行せずに処理を終了する。
【0102】
次に、上記実施の形態の第3の変形例を説明する。上述の第1の変形例では、起動中のRIP処理部122又は152の負荷評価値がオフ閾値以下となった場合に、起動中の補助ユニット150の1つをオフにした。これに対し、この第3の変形例では、負荷評価値に加え、印刷データの「残量」も考慮して、補助ユニット150をオフしてよいかどうかを判定する。
【0103】
上述したように、補助ユニット150を起動するのには補助ユニット150の定常運転時よりも大きな電力を消費するので、いったん起動した補助ユニット150をオフし、更にその後再び起動するなどということになると、消費電力の無駄が多い。そこで、この第3の変形例では、再起動の可能性のある状態での電源オフを防ぐべく、印刷データの残量(1つの例では残りページ数)を考慮する。すなわち、いったんオフした補助ユニット150を再起動することがなくなる程度に印刷データの残量が十分少なくなるまで、補助ユニット150をオフしないようにする。
【0104】
まず、フロントエンドユニット110が補助ユニット150の電源制御を行う図1のシステム構成におけるこの第3の変形例の制御を、図11を参照して説明する。
【0105】
図11は、この例において図1のページ管理部114が行う制御手順の一例を示す。ページ管理部114は、この図11の手順を定期的に実行する。
【0106】
図11の手順では、ページ管理部114は、各RIP処理部122及び152の最新の負荷評価値と、印刷データの残りページ数を取得する(S112)。また、ページ管理部114は、印刷データ処理システム100に装備された補助ユニット150のうち少なくとも1つにシステムに参加中かどうかを判定する(S114)。電源が投入されている補助ユニット150が一つもない場合、ページ管理部114は図9のS94に進み、以降図9の処理手順を実行する。
【0107】
S114で補助ユニット150が1以上起動中と判定した場合、S112で取得した各RIP処理部122の負荷評価値をあらかじめ定められたオン閾値と比較すると共に、残りページ数をページ数閾値と比較する(S116)。S116では、起動中のRIP処理部122及び152のすべての負荷評価値がオフ閾値を下回るという条件、及び印刷データの残りページ数がページ数閾値以下となるという条件の両方が満たされるか否かを判定する。ここで用いるページ数閾値は、図9の手順のS94で用いるページ数閾値と同じものでもよいし、異なるものでもよい。同じものとした場合、印刷データの残りページ数がページ数閾値以下となるという条件が満たされて補助ユニット150の電源をオフした場合、そのオフした補助ユニット150が図9の手順により再び起動されることはない。
【0108】
S116の判定で、上述の2つの条件の両方が満たされた場合、ページ管理部114は、システムに参加中の補助ユニット150の中から1つを削除対象に選定する(S118)。削除対象に選定した補助ユニット150には、新たなページを割り当てることはせず、待ち行列中の未処理ページのRIP処理が完了するのを待つ(S120)。そして、削除対象の補助ユニット150の待ち行列が空になり、その補助ユニット150におけるRIP処理が完了すると、ページ管理部114は、その削除対象の補助ユニット150の電源をオフする(S122)。
【0109】
S116の判定結果がNo、すなわち上述した2つの条件のうちの少なくとも一方が満たされない場合は、ページ管理部114は図9のS94に進み、以降図9の処理手順を実行する。
【0110】
次に、各RIPユニット120が補助ユニット150の電源制御を行う図4のシステム構成に第3の変形例の制御を適用した場合の処理を、図12を参照して説明する。
【0111】
この手順では、各RIPユニット120の処理制御部128は、自ユニット120のRIP処理部122及び対応補助ユニット150のRIP処理部152(もし存在すれば)の最新の負荷評価値と、印刷データの残りページ数を取得する(S132)。また、処理制御部128は、対応補助ユニット150があるか否かを判定する(S134)。なければ、処理制御部128は図10のS104に進み、以降図10の処理手順を実行する。
【0112】
S134で対応補助ユニット150があると判定した場合、S132で取得した各RIP処理部122及び152の負荷評価値をあらかじめ定められたオフ閾値と比較すると共に、残りページ数をページ数閾値と比較する(S136)。このページ数閾値は、図11の例のS114で用いるページ数閾値と同じものでよい。S136では、自ユニット120のRIP処理部122及び対応補助ユニット150のRIP処理部152のすべての負荷評価値がオフ閾値を下回るという条件、及び印刷データの残りページ数がページ数閾値以下となるという条件の両方が満たされるか否かを判定する。
【0113】
S136の判定で、上述の2つの条件の両方が満たされた場合、処理制御部128は、システムに参加中の対応補助ユニット150の中から1つを削除対象に選定する(S138)。削除対象に選定した対応補助ユニット150には、新たなページを割り当てることはせず、待ち行列中の未処理ページのRIP処理が完了するのを待つ(S140)。そして、削除対象の対応補助ユニット150の待ち行列が空になり、その対応補助ユニット150におけるRIP処理が完了すると、処理制御部128は、その削除対象の対応補助ユニット150の電源をオフする(S142)。
【0114】
S136の判定結果がNo、すなわち上述した2つの条件のうちの少なくとも一方が満たされない場合は、処理制御部128は図10のS104に進み、以降図10の処理手順を実行する。
【符号の説明】
【0115】
100 印刷データ処理システム、110 フロントエンドユニット、112 データ受信部、114,114a ページ管理部、116 データ配信処理部、120C,120M,120Y,120K RIPユニット、122C,122M,122Y,122K RIP処理部、124C,124M,124Y,124K データ保存部、126 プリンタエンジン制御部、128 処理制御部、150 補助ユニット、152 RIP処理部、200 プリンタエンジン、210 エンジン、300 ホスト。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ページ記述言語で記述された印刷データを解釈し、印刷装置に供給するための印刷画像データを生成する複数の主解釈装置と、
前記印刷データを解釈し、前記印刷装置に供給するための印刷画像データを生成する補助解釈装置であって、前記複数の主解釈装置に対する電源の投入時には電源が投入されない補助解釈装置と、
印刷データをあらかじめ定められた単位ごとに分割し、分割された各単位の印刷データの解釈処理を前記複数の主解釈装置のそれぞれに割り当てる割当装置と、
を備え、
前記割当装置は、
前記複数の主解釈装置の負荷を評価する負荷評価手段と、
前記複数の主解釈装置について前記負荷評価手段で評価された負荷が、前記補助解釈装置を起動するためのあらかじめ定められたオン閾値を上回る場合に、前記補助解釈装置に電源を投入する電源投入手段と、
を備え、
前記分割された各単位の印刷データの処理を電源投入後の前記補助解釈装置に対しても割り当てる、
ことを特徴とする印刷データ処理システム。
【請求項2】
前記電源投入手段は、前記複数の主解釈装置について前記負荷評価手段で評価された負荷が前記オン閾値を上回り、且つ前記印刷データのうち前記複数の主解釈装置に割り当てられていない部分の量があらかじめ定められた第1の残量閾値を上回る場合に、前記補助解釈装置に電源を投入する、ことを特徴とする請求項1に記載の印刷データ処理システム。
【請求項3】
前記割当装置は、
前記複数の主解釈装置について前記負荷評価手段で評価された負荷が、電源を投入され動作中の前記補助解釈装置の電源を遮断するためのあらかじめ定められたオフ閾値を下回る場合に、動作中の前記補助解釈装置の少なくとも1つの電源を遮断する電源遮断手段、
を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷データ処理システム。
【請求項4】
前記電源遮断手段は、前記複数の主解釈装置について前記負荷評価手段で評価された負荷が前記オフ閾値を下回り、且つ前記印刷データのうち前記複数の主解釈装置に割り当てられていない部分の量があらかじめ定められた第2の残量閾値を下回る場合に、動作中の前記補助解釈装置の少なくとも1つの電源を遮断する、ことを特徴とする請求項3に記載の印刷データ処理システム。
【請求項5】
ページ記述言語で記述された印刷データを解釈し、印刷装置に供給するための印刷画像データを生成する複数の主解釈装置と、
前記印刷データを解釈し、前記印刷装置に供給するための印刷画像データを生成する補助解釈装置であって、前記複数の主解釈装置に対する電源の投入時には電源が投入されない補助解釈装置と、
を備え、
前記複数の主解釈装置のそれぞれは、
当該主解釈装置の負荷を評価する負荷評価手段と、
前記負荷評価手段で評価された当該主解釈装置の負荷が、前記補助解釈装置を起動するためのあらかじめ定められたオン閾値を上回る場合に、前記補助解釈装置に電源を投入する電源投入手段と、
当該主解釈装置に割り当てられた単位の印刷データの解釈処理を、電源投入後の前記補助解釈装置に割り当てる再割当手段と、
を備えることを特徴とする印刷データ処理システム。
【請求項6】
前記電源投入手段は、前記主解釈装置について前記負荷評価手段で評価された負荷が前記オン閾値を上回り、且つ前記印刷データのうち前記複数の主解釈装置に割り当てられていない部分の量があらかじめ定められた第1の残量閾値を上回る場合に、前記補助解釈装置に電源を投入する、ことを特徴とする請求項5に記載の印刷データ処理システム。
【請求項7】
前記複数の主解釈装置のそれぞれは、
当該主解釈装置について前記負荷評価手段で評価された負荷が、電源を投入され動作中の前記補助解釈装置の電源を遮断するためのあらかじめ定められたオフ閾値を下回る場合に、動作中の前記補助解釈装置の少なくとも1つの電源を遮断する電源遮断手段、
を更に備えることを特徴とする請求項5又は6に記載の印刷データ処理システム。
【請求項8】
前記電源遮断手段は、前記主解釈装置について前記負荷評価手段で評価された負荷が前記オフ閾値を下回り、且つ前記印刷データのうち前記複数の主解釈装置に割り当てられていない部分の量があらかじめ定められた第2の残量閾値を下回る場合に、動作中の前記補助解釈装置の少なくとも1つの電源を遮断する、ことを特徴とする請求項7に記載の印刷データ処理システム。
【請求項1】
ページ記述言語で記述された印刷データを解釈し、印刷装置に供給するための印刷画像データを生成する複数の主解釈装置と、
前記印刷データを解釈し、前記印刷装置に供給するための印刷画像データを生成する補助解釈装置であって、前記複数の主解釈装置に対する電源の投入時には電源が投入されない補助解釈装置と、
印刷データをあらかじめ定められた単位ごとに分割し、分割された各単位の印刷データの解釈処理を前記複数の主解釈装置のそれぞれに割り当てる割当装置と、
を備え、
前記割当装置は、
前記複数の主解釈装置の負荷を評価する負荷評価手段と、
前記複数の主解釈装置について前記負荷評価手段で評価された負荷が、前記補助解釈装置を起動するためのあらかじめ定められたオン閾値を上回る場合に、前記補助解釈装置に電源を投入する電源投入手段と、
を備え、
前記分割された各単位の印刷データの処理を電源投入後の前記補助解釈装置に対しても割り当てる、
ことを特徴とする印刷データ処理システム。
【請求項2】
前記電源投入手段は、前記複数の主解釈装置について前記負荷評価手段で評価された負荷が前記オン閾値を上回り、且つ前記印刷データのうち前記複数の主解釈装置に割り当てられていない部分の量があらかじめ定められた第1の残量閾値を上回る場合に、前記補助解釈装置に電源を投入する、ことを特徴とする請求項1に記載の印刷データ処理システム。
【請求項3】
前記割当装置は、
前記複数の主解釈装置について前記負荷評価手段で評価された負荷が、電源を投入され動作中の前記補助解釈装置の電源を遮断するためのあらかじめ定められたオフ閾値を下回る場合に、動作中の前記補助解釈装置の少なくとも1つの電源を遮断する電源遮断手段、
を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷データ処理システム。
【請求項4】
前記電源遮断手段は、前記複数の主解釈装置について前記負荷評価手段で評価された負荷が前記オフ閾値を下回り、且つ前記印刷データのうち前記複数の主解釈装置に割り当てられていない部分の量があらかじめ定められた第2の残量閾値を下回る場合に、動作中の前記補助解釈装置の少なくとも1つの電源を遮断する、ことを特徴とする請求項3に記載の印刷データ処理システム。
【請求項5】
ページ記述言語で記述された印刷データを解釈し、印刷装置に供給するための印刷画像データを生成する複数の主解釈装置と、
前記印刷データを解釈し、前記印刷装置に供給するための印刷画像データを生成する補助解釈装置であって、前記複数の主解釈装置に対する電源の投入時には電源が投入されない補助解釈装置と、
を備え、
前記複数の主解釈装置のそれぞれは、
当該主解釈装置の負荷を評価する負荷評価手段と、
前記負荷評価手段で評価された当該主解釈装置の負荷が、前記補助解釈装置を起動するためのあらかじめ定められたオン閾値を上回る場合に、前記補助解釈装置に電源を投入する電源投入手段と、
当該主解釈装置に割り当てられた単位の印刷データの解釈処理を、電源投入後の前記補助解釈装置に割り当てる再割当手段と、
を備えることを特徴とする印刷データ処理システム。
【請求項6】
前記電源投入手段は、前記主解釈装置について前記負荷評価手段で評価された負荷が前記オン閾値を上回り、且つ前記印刷データのうち前記複数の主解釈装置に割り当てられていない部分の量があらかじめ定められた第1の残量閾値を上回る場合に、前記補助解釈装置に電源を投入する、ことを特徴とする請求項5に記載の印刷データ処理システム。
【請求項7】
前記複数の主解釈装置のそれぞれは、
当該主解釈装置について前記負荷評価手段で評価された負荷が、電源を投入され動作中の前記補助解釈装置の電源を遮断するためのあらかじめ定められたオフ閾値を下回る場合に、動作中の前記補助解釈装置の少なくとも1つの電源を遮断する電源遮断手段、
を更に備えることを特徴とする請求項5又は6に記載の印刷データ処理システム。
【請求項8】
前記電源遮断手段は、前記主解釈装置について前記負荷評価手段で評価された負荷が前記オフ閾値を下回り、且つ前記印刷データのうち前記複数の主解釈装置に割り当てられていない部分の量があらかじめ定められた第2の残量閾値を下回る場合に、動作中の前記補助解釈装置の少なくとも1つの電源を遮断する、ことを特徴とする請求項7に記載の印刷データ処理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−61910(P2013−61910A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201546(P2011−201546)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【特許番号】特許第4952859号(P4952859)
【特許公報発行日】平成24年6月13日(2012.6.13)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【特許番号】特許第4952859号(P4952859)
【特許公報発行日】平成24年6月13日(2012.6.13)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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