説明

印刷データ生成装置、印刷装置、およびプログラム

【課題】原稿読み取り時に原稿に特定波長光を照射する画像読取装置で画像読み取りが行われたことをその原稿となる印刷物自体で識別でき、画像読み取りによる複製行為を抑止することができる印刷物を作成する。
【解決手段】複合機などにドキュメントの印刷を依頼する端末装置に、印刷指示されたドキュメントの画像と、特定波長光の照射により消色する消色トナーを使用して印刷される消去可能マークとが同一の記録紙に印刷される印刷データを生成する機能を備える。複合機などはこの印刷データに基づいて、印刷指示されたドキュメントの画像と、消色トナーを使用して印刷される消去可能マークとを同一の記録紙に印刷して出力する。この印刷物を複合機などで読み取る際に特定波長光を照射すると、印刷物から消去可能マークが消去する。印刷物の画像読み取りが行われたか否かは、この消去可能マークの有無により印刷物自体で識別することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複製抑止機能を備えた印刷物を作成する印刷データ生成装置、印刷装置、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
原本書類や機密書類などに対する不正な複写行為を抑止する技術としては、書類の背景を構成する地紋に複写の形跡を示す「コピー」などの文字を隠し文字(潜像)として埋め込み、この書類を複写機で複写すると複写物にその複写の形跡を示す文字が現れて複写抑止効果を発揮する地紋印刷技術が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
一方、印刷用のトナーにおいては近赤外線を照射すると消色(無色化)する消色トナーが知られており、この消色トナーを用いて原稿の複写を行う複写機などが提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−121518号公報
【特許文献2】特開平5−69675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の一般的な地紋印刷技術は、原稿側の隠し文字が複写物側に複写の形跡(証拠)として現れるようにすることで複写行為に対する心理的な抑止効果を与えるものであるが、複写元の原稿には複写の形跡が残らないため原稿自体からは複写の有無を判断することができない。たとえば、職場内で複写厳禁書類を回覧するような場合に、回覧中に複写されていないことをその書類自体からは見分けることができない。そのため、複写行為を抑止する技術としては改善の余地がある。
【0006】
消色トナーを用いた複写機は、たとえば、機密書類などの複写に利用して複写物の文書内容を消去可能とすることにより、機密情報の漏洩を防止するような使い方もある。しかし、この複写機で原稿を複写した場合も、原稿自体から複写の形跡を把握することはできない。
【0007】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、原稿読み取り時に原稿に特定波長光を照射する画像読取装置で画像読み取りが行われたことをその原稿となる印刷物自体で識別でき、画像読み取りによる複製行為を抑止することができる印刷物を作成する印刷データ生成装置、印刷装置、およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0009】
[1]印刷指示された画像と、特定波長光の照射により消色する消色印刷剤を使用して印刷される第1マークとが同一の記録紙に印刷される印刷データを生成する
ことを特徴とする印刷データ生成装置。
【0010】
上記発明では、印刷データ生成装置により生成された印刷データに基づいて印刷装置などは、印刷指示された画像と第1マークとを同一の記録紙に印刷して出力する。この印刷では、第1マークは特定波長光の照射により消色する消色印刷剤を使用して記録紙に印刷される。第1マークは、たとえば、文字、記号、図形(幾何模様)などからなる各種のマークで構成することができる。
【0011】
原稿読み取り時に原稿に特定波長光を照射する画像読取装置で、上記の画像と第1マークとが印刷された記録紙である印刷物が読み取られる際に特定波長光が照射されると、印刷物から第1マークが消去する。印刷物の画像読み取りが行われたか否かはこの第1マークの有無により印刷物自体で識別することができ、印刷物の画像読み取りによる複製を禁止する場合にその複製行為を抑止することができる。
【0012】
[2]前記印刷データを、前記特定波長光の照射により消色しない非消色印刷剤を使用して印刷される第2マークが、前記記録紙に更に印刷される印刷データとして生成する
ことを特徴とする[1]に記載の印刷データ生成装置。
【0013】
上記発明では、印刷データ生成装置により生成された印刷データに基づいて印刷装置などは、印刷指示された画像と第1マークと第2マークとを同一の記録紙に印刷して出力する。この印刷では、第2マークは特定波長光の照射により消色しない非消色印刷剤を使用して記録紙に印刷される。この印刷物(記録紙)の画像読み取り時に特定波長光が照射されると、印刷物から第1マークが消去し第2マークは消去されずに残存する。
【0014】
たとえば、第2マークが残存している印刷物を見て以前(画像読み取り前)は印刷物に第1マークが印刷されたことを推測したり間接的に把握したりすることができる。また、第1マークと第2マークによって何らかの付加画像を構成し、印刷物の画像読み取りで特定波長光が照射されると第1マークが消去してその付加画像が第2マークのみからなる付加画像に変化することにより、印刷物の画像読み取りが行われたことを印刷物自体で識別することもできる。
【0015】
[3]前記印刷データを、前記第1マークと前記第2マークの組み合せにより1つの組み合せマークが構成される印刷データとして生成する
ことを特徴とする[2]に記載の印刷データ生成装置。
【0016】
上記発明では、印刷データに基づいて印刷された印刷物には、第1マークと第2マークとが1つの組み合せマークとして印刷される。これにより、第1マークと第2マークを見た目では違和感の少ない付加画像として印刷物に付加することができる。
【0017】
[4]前記組み合せマークは、前記第1マークと前記第2マークの境界が目立たないようにされて前記第1マークと前記第2マークとが同化して組み合せられた同化マークを含む
ことを特徴とする[3]に記載の印刷データ生成装置。
【0018】
上記発明では、印刷データに基づいて印刷された印刷物には、第1マークと第2マークが境界の目立たない同化マークとして印刷される。これにより、第1マークと第2マークを目視では識別困難な1つのマークとして印刷物に付加することができる。この印刷物の画像読み取り時に特定波長光が照射されると第1マークが消去し、予期していない第2マークが現れて意外性の高い変化が起こる。たとえば、不正な画像読み取りに対し、読み取り元の印刷物自体に意外性の高い変化が起こることで、不正を戒める高い心理的効果(猛省を促す効果)を与えることができる。これにより、印刷物の画像読み取りによる複製行為の再発抑止効果が高められる。
【0019】
[5]前記同化マークは、前記第1マークと前記第2マークのうちの一方が背景となり他方が該背景に隠されて組み合せられた地紋マークを含む
ことを特徴とする[4]に記載の印刷データ生成装置。
【0020】
上記発明では、印刷データに基づいて印刷された印刷物には、第1マークと第2マークが一方の背景に他方が隠された地紋マークとして印刷される。これにより、第1マークと第2マークを目視では識別困難な1つのマークとし、かつ、見た目でより違和感の少ない付加画像(背景画像)として印刷物に付加することができる。
【0021】
[6]前記第1マークと前記第2マークのうちの一方は所定の読取解像度で読み取ることができる大きさおよび密度のドットで構成され他方は前記所定の読取解像度で読み取ることができない大きさおよび密度のドットで構成される
ことを特徴とする[2]〜[5]のいずれか1項に記載の印刷データ生成装置。
【0022】
上記発明では、印刷物が所定の読取解像度で読み取られる場合に、印刷物に付加された第1マークおよび第2マークのうち、所定の読取解像度で読み取ることができる大きさおよび密度のドットで構成された方は読取画像に再現され、所定の読取解像度で読み取ることができない大きさおよび密度のドットで構成された方は読取画像に再現されないことになる。なお、印刷物に特定波長光を照射してから画像読み取りを行う場合には、画像読み取りを行う前に第1マークは消去されることとなり、読取画像には再現されないことになる。
【0023】
[7]前記第1マークと前記第2マークが同一かつ連続したパターンのドットで構成される
ことを特徴とする[4]または[5]に記載の印刷データ生成装置。
【0024】
上記発明では、第1マークと第2マークを目視では識別不可能な1つのマーク(同化マーク/地紋マーク)として印刷物に付加することができる。
【0025】
[8]前記第2マークは、前記記録紙に前記第1マークが印刷されたことを示す表示情報である
ことを特徴とする[2]に記載の印刷データ生成装置。
【0026】
上記発明では、印刷物の画像読み取りで特定波長光が照射され第1マークが消去しても、消去されずに残存している表示情報(第2マーク)から、印刷物に第1マークが印刷されたことを把握することができる。
【0027】
[9]前記画像の印刷設定で前記第1マークの印刷に関する設定を受け付けた場合は該設定を示す印刷設定情報を前記画像に関連付けて記憶し、該画像に対する次回以降の印刷設定では該画像に関連付けて記憶されている印刷設定情報を使用可能とする
ことを特徴とする[1]〜[8]のいずれか1項に記載の印刷データ生成装置。
【0028】
上記発明では、印刷指示を行う画像の印刷設定で、第1マークの印刷に関する設定を行う場合に、以前に設定を行って記憶されている印刷設定情報を使用して簡単に設定を行うことができる。
【0029】
[10][1]に記載の印刷データ生成装置と、
前記印刷データ生成装置により生成された印刷データに基づき前記画像と前記消色印刷剤を使用して印刷される前記第1マークとを同一の記録紙に印刷する印刷部と、
を備えたことを特徴とする印刷装置。
【0030】
上記発明では、印刷装置は、印刷データ生成装置により生成された印刷データに基づき、印刷指示された画像と、消色印刷剤を使用して印刷される第1マークとを同一の記録紙に印刷する。この印刷物(記録紙)の画像読み取り時に特定波長光が照射されると、印刷物から第1マークが消去する。これにより、画像読み取りが行われたことを印刷物自体で識別でき、画像読み取りによる複製行為を抑止することができる印刷物を作成することができる。
【0031】
[11][2]〜[8]のいずれか1項に記載の印刷データ生成装置と、
前記印刷データ生成装置により生成された印刷データに基づき前記画像と前記消色印刷剤を使用して印刷される前記第1マークと前記非消色印刷剤を使用して印刷される前記第2マークとを同一の記録紙に印刷する印刷部と、
を備えたことを特徴とする印刷装置。
【0032】
上記発明では、印刷装置は、印刷データ生成装置により生成された印刷データに基づき、印刷指示された画像と、消色印刷剤を使用して印刷される第1マークと、非消色印刷剤を使用して印刷される第2マークとを同一の記録紙に印刷する。この印刷物(記録紙)の画像読み取り時に特定波長光が照射されると、印刷物から第1マークが消去し第2マークは消去されずに残存する。これにより、画像読み取りが行われたことを印刷物自体で識別でき、画像読み取りによる複製行為を抑止することができる印刷物を作成することができる。
【0033】
[12]情報処理装置を[1]〜[9]のいずれか1項に記載の印刷データ生成装置として機能させるためのプログラム。
【発明の効果】
【0034】
本発明の印刷データ生成装置、印刷装置、およびプログラムによれば、原稿読み取り時に原稿に特定波長光を照射する画像読取装置で画像読み取りが行われたことをその原稿となる印刷物自体で識別でき、画像読み取りによる複製行為を抑止することができる印刷物を作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る端末装置および複合機が接続されたシステムの構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る端末装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る複合機の概略構成を示すブロック図である。
【図4】複合機が備えるスキャナ部の概略構成を示す図である。
【図5】端末装置から消去可能マークを付加したドキュメントの印刷を依頼し複合機がその印刷物を出力する流れを示す図である。
【図6】端末装置によるドキュメントの印刷依頼動作を示す流れ図である。
【図7】複合機による印刷依頼を受けたドキュメントの印刷動作を示す流れ図である。
【図8】複合機による原稿の複写で消去可能マークを付加した印刷物を出力する流れを示す図である。
【図9】複合機による原稿の複写で消去可能マークを付加した印刷物を出力する動作を示す流れ図である。
【図10】消去可能マークが付加された原稿と、この原稿を複合機で読み取った場合に取得される原稿の読取画像と読み取り後の原稿を示す図である。
【図11】複合機による原稿の読取動作を示す流れ図である。
【図12】原稿の読取動作における光源の点灯/消灯タイミングと原稿の読み取りタイミングを示すタイミングチャートである。
【図13】消去可能マークが付加された原稿と、この原稿を複合機で途中まで読み取った場合の読み取り後の原稿を示す図である。
【図14】図13の読み取り後の原稿を詳細に示す図である。
【図15】本発明の第2の実施形態に係る端末装置から消去可能マークと消去不可マークを付加したドキュメントの印刷を依頼し複合機がその印刷物を出力する流れを示す図である。
【図16】消去可能マークと消去不可マークが付加された原稿を複合機で読み取った場合に取得される原稿の読取画像と読み取り後の原稿を示す図である。
【図17】図15に対して消去不可マークの付加位置が異なる例を示す図である。
【図18】図17の消去可能マークと消去不可マークが付加された原稿を複合機で読み取った場合に取得される原稿の読取画像と読み取り後の原稿を示す図である。
【図19】消去不可マークを印刷物の裏面に付加する例を示す図である。
【図20】消去不可マークを印刷物の空き領域に付加する例を示す図である。
【図21】従来の地紋印刷技術の概要を示す図である。
【図22】従来の地紋印刷技術で原稿に印刷された地紋画像と、この原稿の読取画像と、読み取り後の原稿の地紋画像をそれぞれ構成するドットを拡大イメージにて示す図である。
【図23】従来の地紋印刷技術で地紋画像が印刷された原稿と、この原稿を読み取った場合の読取画像と読み取り後の原稿の一例を示す図である。
【図24】本発明の第3の実施形態に係る地紋印刷技術で原稿に印刷された地紋マークと、この原稿の読取画像と、読み取り後の原稿の地紋マークをそれぞれ構成するドットを拡大イメージにて示す図である。
【図25】本発明の第3の実施形態に係る地紋印刷技術で印刷された原稿を読み取った場合の画像と読み取り後の原稿の一例を説明する図である。
【図26】本発明の第1の実施形態に係る消去可能マークおよび第3の実施形態に係る地紋マークを印刷物に付加する場合の付加パターンを一覧にして示す図である。
【図27】図26の(f)、(g)による原稿の読取動作における光源の点灯/消灯タイミングと原稿の読み取りタイミングを示すタイミングチャートである。
【図28】図26の(f)、(g)による付加パターンの地紋マークが印刷された原稿と、この原稿を図27のタイミングチャートに示す読取動作で読み取った場合の読取画像と読み取り後の原稿の一例を示す図である。
【図29】本発明の第3の実施形態に係る地紋マークの他の例を示す図である。
【図30】本発明の第3の実施形態に係る同化マークの一例を示す図である。
【図31】本発明の第3の実施形態に係る非同化マークの一例を示す図である。
【図32】本発明の第3の実施形態に係る同化マークと非同化マークを組み合せた場合の一例を示す図である。
【図33】本発明の第4の実施形態に係る端末装置によるドキュメントの印刷依頼動作を示す流れ図である。
【図34】図33におけるセキュリティ出力設定処理のサブルーチンを示す流れ図である。
【図35】端末装置に表示される印刷設定画面の一例を示す図である。
【図36】端末装置に表示される印刷設定画面の一例を示す図である。
【図37】端末装置に表示される印刷設定画面の一例を示す図である。
【図38】端末装置に表示される印刷設定画面の一例を示す図である。
【図39】端末装置に表示される印刷設定画面の一例を示す図である。
【図40】端末装置に表示される印刷設定画面の一例を示す図である。
【図41】端末装置に表示される印刷設定画面の一例を示す図である。
【図42】端末装置に表示される印刷設定画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面に基づき本発明の実施形態を説明する。
【0037】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る端末装置10と複合機20をLAN(Local Area Network)などのネットワーク2に接続して構成されたシステムの構成を示す図である。
【0038】
端末装置10は、複合機20に対してネットワーク2を通じてアクセスし、ドキュメントの印刷など各種作業の指示や操作の依頼などを行う情報処理装置である。たとえば、パーソナルコンピュータ(Personal Computer;PC)に複合機20のプリンタドライバ(ドライバプログラム)などを組み込んで構成される。
【0039】
また端末装置10は、印刷指示されたドキュメントの画像と、特定波長光の照射により消色する消色トナーを使用して印刷される消去可能マーク(第1マーク)とが同一の記録紙に印刷される印刷データを生成したり、特定波長光の照射により消色しない通常トナー(非消色トナー)を使用して印刷される消去不可マーク(第2マーク)がこの記録紙に更に印刷される印刷データを生成したりする印刷データ生成装置としての機能を備えている。
【0040】
端末装置10が生成する印刷データは、ページ記述言語(Page Description Language;PDL)で作成されたデータと、ラスターイメージのデータ(ラスターイメージデータ)とを含む。複合機20がページ記述言語に対応している場合には、端末装置10はその複合機20のプリンタドライバによりページ記述言語で作成したデータ(印刷データ)を生成する。複合機20がページ記述言語に対応していない場合には、端末装置10はその複合機20のプリンタドライバによりラスターイメージのデータ(印刷データ)を生成する。またページ記述言語によるデータは、ベクターイメージと制御系コマンドからなるデータや、ベクターイメージとラスターイメージと制御系コマンドからなるデータを含む。
【0041】
通常トナーを使用して印刷する箇所と消色トナーを使用して印刷する箇所は、たとえば、使用するトナーの種類を箇所毎に指定する情報(トナー指定情報)として印刷データに記載する。ページ記述言語で作成するデータの場合はベクターイメージに記載する。ラスターイメージデータの場合はピクセルに記載する。ピクセルへの記載は、当該ピクセルを通常トナーと消色トナーのいずれのトナーを使用して印字するかを示す情報(トナー指定情報)をピクセルの情報に含ませることで行う。
【0042】
なお、本実施形態では複合機20がページ記述言語に対応しており、端末装置10はページ記述言語で作成したデータを生成する場合を例に説明する。
【0043】
複合機20は、原稿の画像を光学的に読み取ってその複製画像を記録紙に印刷して出力するコピー機能、読み取った原稿の画像データ(ラスターイメージデータ)をファイルにして保存したり端末装置10やサーバなどへ送信したりするスキャン機能、端末装置10から受信した印刷データに係る画像や当該複合機20に保存されている画像データ(ファイル)に係る画像を記録紙に印刷して出力するプリンタ機能、画像データを送受信するファクシミリ機能などを備えたマルチファンクションの画像処理装置(Multi Function Peripheral/Multi Function Printer;MFP)である。
【0044】
また複合機20は、読み取った原稿の画像と、消色トナーを使用して印刷される消去可能マーク(第1マーク)とが同一の記録紙に印刷される画像データを生成したり、通常トナーを使用して印刷される消去不可マーク(第2マーク)がこの記録紙に更に印刷される画像データを生成したりする画像データ生成装置としての機能と、本機能で生成した画像データや端末装置10から受信した印刷データに基づき、同一の記録紙に画像(原稿の画像または印刷指示された画像)と消色トナーを使用して消去可能マークとを印刷したり、この記録紙に更に通常トナーを使用して消去不可マークを印刷したりする印刷装置としての機能とを備えている。複合機20における画像データ生成装置の機能は、端末装置10における印刷データ生成装置の機能と実質的に同じである。複合機20が本機能によって生成する上記の画像データは、端末装置10が同機能によって生成する上述の印刷データと実質的に同じである。なお、消去不可マークについては第2の実施形態以降で説明する。
【0045】
本実施形態では、ネットワーク2に複数台の複合機20(図示の例ではMFP1〜MFP5)が接続されている。各複合機20のネットワーク識別名(ホスト名)は、会社コードを示す第1属性と、機種コードを示す第2属性と、製番コードを示す第3属性とで構成されている。
【0046】
図2は、端末装置10の概略構成を示すブロック図である。端末装置10は、制御部としてのCPU(Central Processing Unit)11に、バス12を介してROM(Read Only Memory)13と、RAM(Random Access Memory)14と、不揮発メモリ15と、ハードディスク装置16と、表示部17と、操作部18と、ネットワーク通信部19とを接続して構成される。
【0047】
CPU11は、ROM13に格納されているプログラムに基づいて端末装置10の動作を制御する。RAM14はCPU11がプログラムを実行する際に各種データを一時的に格納するワークメモリなどとして使用される。不揮発メモリ15は、電源がオフされても記憶が保持されるメモリであり、装置固有の情報や各種の設定情報などが記憶される。ハードディスク装置16は、各種の保存データ、ドキュメントの電子データ、複合機20のプリンタドライバ50、ドキュメントの印刷履歴に関する情報を記憶管理する履歴管理テーブル51などを格納する。プリンタドライバ50は、ドキュメントの画像に付加する消去可能マークの電子データと消去不可マークの電子データを有している。
【0048】
表示部17は液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display;LCD)などの表示装置で構成されており、各種の画面、ドキュメントの画像などを表示する。操作部18はキーボードやマウスなどの入力装置で構成されており、ユーザが端末装置10に対して行う操作や入力を受け付ける。ネットワーク通信部19は、ネットワーク2を通じて複合機20と通信する。
【0049】
図3は、複合機20の概略構成を示すブロック図である。複合機20は、制御部としてのCPU21に、バス22を介してROM23と、RAM24と、不揮発メモリ25と、ハードディスク装置26と、表示部27と、操作部28と、ファクシミリ通信部29と、ネットワーク通信部30と、画像処理部31と、スキャナ部32と、プリンタ部33と、トナー残量検出部34とを接続して構成される。
【0050】
CPU21は、ROM23に格納されているプログラムに基づいて複合機20の動作を制御する。RAM24は、CPU21がプログラムを実行する際に各種データを一時的に格納するワークメモリとして使用されるほか、画像データを一時的に保存するための画像メモリなどにも使用される。
【0051】
不揮発メモリ25は、電源がオフされても記憶が保持されるメモリであり、装置固有の情報や各種の設定情報などが記憶される。ハードディスク装置26は、各種の保存データを格納するほか、入力された画像データなども保存する。不揮発メモリ25もしくはハードディスク装置26には、読み取った原稿の画像に付加する消去可能マークの電子データと消去不可マークの電子データが記憶されている。
【0052】
表示部27は、液晶ディスプレイなどで構成され、操作画面、設定画面、確認画面、通知画面などの各種の画面を表示する。操作部28は、スタートボタン、ストップボタン、テンキーなどの各種のボタン類と、液晶ディスプレイの表面に設けられて押下された座標位置を検出するタッチパネルなどで構成され、ユーザが複合機20に対して行う各種の操作を受け付ける。
【0053】
ファクシミリ通信部29は、ファクシミリ機能を備えた外部装置と公衆回線を通じて画像データを送受信する。ネットワーク通信部30は、ネットワーク2を通じて端末装置10やサーバなどと通信を行う。
【0054】
画像処理部31は、端末装置10から受信した印刷データ(ページ記述言語で作成されたデータ)に対してラスタライズ処理を施したり、画像データに対して、画像補正、回転、拡大/縮小、圧縮/伸張など各種の画像処理を施したりする。
【0055】
スキャナ部32は、原稿を光学的に読み取って画像データを取得する。スキャナ部32の構成については後述する。
【0056】
プリンタ部33は、画像データに基づく画像を電子写真プロセスによって記録紙上に形成して出力する。プリンタ部33は、たとえば、記録紙の搬送装置と、感光体ドラムと、帯電装置と、入力される画像データに応じて点灯制御されるLD(Laser Diode)と、LDから射出されたレーザ光を感光体ドラム上で走査させる走査ユニットと、現像装置と、転写分離装置と、クリーニング装置と、定着装置とを有する、いわゆるレーザープリンタとして構成されている。レーザ光に代えてLED(Light Emitting Diode)で感光体ドラムを照射するLEDプリンタのほか他の方式のプリンタであってもかまわない。
【0057】
またプリンタ部33は、特定波長光を照射すると消色(無色化)する消色トナー(C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック))と、通常トナー(CMYK)とを選択的に使用して記録紙にカラー画像を形成する機能を備えている。プリンタ部33は、たとえば上記の感光体ドラム、帯電装置、LD(またはLED)、走査ユニット、現像装置、転写分離装置、クリーニング装置などを通常トナー用と消色トナー用とで個別に備えており、記録紙単位(印刷面単位)で両トナーを使い分けて画像を形成したり、1枚の記録紙内(1つの印刷面内)で両トナーを使い分けて画像を形成したりすることが可能となっている。
【0058】
消色トナーは、たとえば、近赤外線を照射すると無色化するトナーである。たとえば、着色剤としてシアニン系染料、消色助剤として有機ホウ素アンモニウム塩を用い、近赤外線を照射すると染料が無色のロイコ体になるものである。
【0059】
トナー残量検出部34は、通常トナーの残量と消色トナーの残量を個別に検出する。
【0060】
複合機20におけるスキャナ部32は、原稿を読み取るための照明光を原稿に照射する読取用光源と、消色トナーを無色化する特定波長光(近赤外線)を原稿に照射する消去用光源と、読取用光源により照明光が照射された原稿からの反射光を受光して原稿を読み取る読取部などを備えて構成される。スキャナ部32は、原稿を読み取る機能の他に、原稿に特定波長光を照射し、原稿内の消色トナーで印刷されている画像(消去可能マーク)を消去する機能を備えている。
【0061】
図4にスキャナ部32の概略構成を示す。本実施形態に係るスキャナ部32は、フラッドベッド型(原稿固定型)スキャナとして構成されている。本図の(A)に示すように、スキャナ部32は、原稿Mが載置されるプラテンガラス41(原稿台)と、プラテンガラス41上の原稿Mを読み取る読取装置42と、読取装置42を原稿Mの長さ方向(読み取り方向X)へ移動させる移動機構43とを備えている。
【0062】
読取装置42は、プラテンガラス41上の原稿Mに照明光Laを照射する読取用光源44と、原稿Mからの反射光Lbを受光して原稿Mを幅方向に1ライン分読み取る読取部としてのラインイメージセンサ(光電変換素子)45と、特定波長光IRを原稿Mに照射するための消去用光源46と、消去用光源46からの特定波長光IRを反射集光してラインイメージセンサ45による原稿Mの読取範囲(読取位置)Sへ照射させる反射板47と、これらの部品を保持して移動機構43に取り付けられた保持部材48とを備えている。本図の(B)では、読取装置42を上方から見た平面図を示している。
【0063】
ラインイメージセンサ45による所定サイズの読取範囲Sはライン状(一次元状)である。読取用光源44による照明光Laと消去用光源46による特定波長光IRは、ラインイメージセンサ45による原稿Mの読取範囲Sへ向けて照射される。ラインイメージセンサ45は、移動機構43によって原稿Mの長さ方向へ順次移動し、ライン状の読取範囲Sで原稿Mをライン毎に読み取る(走査読取)。またスキャナ部32は、ラインイメージセンサ45の出力するアナログ画像信号をデジタルの画像データに変換する変換部なども備えている。
【0064】
本実施形態に係るスキャナ部32は、読取装置42を移動させなくても、照明光Laと特定波長光IRとをラインイメージセンサ45による読取範囲Sに照射できる、すなわち、プラテンガラス41上の原稿Mにおける同一ライン上(同一走査線上)に照射できる構成となっている。プラテンガラス41上の原稿Mに特定波長光IRを照射した場合、その原稿Mの画像が消色トナーで印刷されていれば特定波長光IRの照射領域は無色化し、通常トナーで印刷されていれば無色化しないことになる。両トナーの画像が混在している場合は消色トナーで印刷されている画像領域のみが無色化することになる。
【0065】
一般に消色トナーは、特定波長光の照射強度(光量)に応じて消色時間(消色速度)が変化する。本実施形態では、消去用光源46から発散される特定波長光IRをラインイメージセンサ45による読取範囲Sに集光し、光量を高めて消色時間を短くするために、その集光機能を備えた反射板47を設けている。
【0066】
次に、端末装置10と複合機20の動作について説明する。
【0067】
図5は端末装置10から消去可能マークを付加したドキュメントの印刷を依頼し複合機20がその印刷物を出力する流れを示す図である。図6は端末装置10によるドキュメントの印刷依頼動作を示す流れ図である。図7は複合機20による印刷依頼を受けたドキュメントの印刷動作を示す流れ図である。
【0068】
図6に示すように、端末装置10はユーザから表示部17および操作部18を通じて印刷するドキュメントの選択を受け付け(ステップS101(図5のD1))、プリンタドライバ50を通じて印刷設定を受け付ける(ステップS102)。印刷設定では、ユーザはドキュメントの印刷物に消色トナーを使用して印刷される消去可能マークを付加するか否かの設定を行う(図5および図37参照)。
【0069】
消去可能マークは、「コピーされていません。」などの文字(文字情報)で構成された、ドキュメントの画像の背景に付加される背景文字である。予め用意された複数種類のマーク(文字情報)、たとえば、「コピーされていません。」や「未コピー」などの中から付加する種類のマークを選択する構成としてもよい。さらに消去可能マークに関する設定では、文字の色、フォント(字体)、サイズ、角度(組み込み角度)などの設定を行うこともできる。色については、予め用意された複数種類の色濃度の低い色彩、たとえば、灰色や水色などの中から選択する構成としてもよい。図5の例では、上記の設定によって付加される消去可能マークをD2に示すように、色濃度の低い色彩による「コピーされていません。」の文字で示している。
【0070】
端末装置10はユーザからドキュメントの印刷指示を受け付けると(ステップS103)、消去可能マークの付加が設定されていない場合には(ステップS104;No)、ドキュメントの電子データ(ドキュメントデータ)と印刷設定情報とを含む印刷データを生成し(ステップS105)、複合機20に送信する(ステップS106/End)。消去可能マークの付加が設定されている場合には(ステップS104;Yes)、ドキュメントの画像(図5のD1)に消去可能マーク(図5のD2)を付加した電子データ(ドキュメントデータ)と、付加した消去可能マークの印刷には消色トナーの使用を指定した消色トナー指定情報と、印刷設定情報とを含む印刷データ(図5のD3)を生成し(ステップS107)、複合機20に送信する(ステップS106/End)。
【0071】
図7に示すように、複合機20は端末装置10から印刷データを受信すると(ステップS201)、印刷データに含まれているドキュメントの画像に消去可能マークが付加されているか否かを解析する(ステップS202)。消去可能マークが付加されていない場合には(ステップS203;No)、印刷データに含まれている印刷設定情報に従いドキュメントデータに基づく画像をプリンタ部33で通常トナーを使用して記録紙に印刷し出力する(ステップS204(印刷処理)/End)。
【0072】
消去可能マークが付加されている場合には(ステップS203;Yes)、印刷データに含まれている印刷設定情報に従いドキュメントデータに基づく画像をプリンタ部33で通常トナーを使用して記録紙に印刷し、この記録紙に消去可能マークをプリンタ部33で消色トナーを使用して重畳印刷し出力する(ステップS205(印刷処理)/End)。この印刷処理における通常トナーと消色トナーの印刷順はどちらが先でもかまわない。
【0073】
図5に例示するように、複合機20によって消去可能マークが付加されたドキュメントの印刷物P1には、ドキュメントの画像の背景に消去可能マークである「コピーされていません。」の文字(背景文字)が紙面全域に羅列して印刷される。この消去可能マークは、消色トナーを使用し色濃度の低い色彩で印刷される。
【0074】
図8は複合機20による原稿の複写(コピー)で消去可能マークを付加した印刷物を出力する流れを示す図である。図9は複合機20による原稿の複写で消去可能マークを付加した印刷物を出力する動作を示す流れ図である。
【0075】
図9に示すように、複合機20はユーザによって原稿がスキャナ部32にセットされ(ステップS301)、表示部27および操作部28を通じて、複写する原稿の印刷設定を受け付ける(ステップS302)。印刷設定では、ユーザは原稿の複写物(印刷物)に消去可能マークを付加するか否かの設定を行う。
【0076】
端末装置10の場合と同様に、消去可能マークは、「コピーされていません。」などの文字(文字情報)で構成され、原稿の複写画像の背景に付加される背景文字である。予め用意された複数種類のマーク(文字情報)、たとえば、「コピーされていません。」や「未コピー」などの中から付加する種類のマークを選択する構成としてもよい。さらに消去可能マークに関する設定では、文字の色、フォント(字体)、サイズ、角度(組み込み角度)などの設定を行うこともできる。色については、予め用意された複数種類の色濃度の低い色彩、たとえば、灰色や水色などの中から選択する構成としてもよい。図8の例では、上記の設定によって付加される消去可能マークをD12に示すように、色濃度の低い色彩による「コピーされていません。」の文字で示している。
【0077】
複合機20はユーザから複写の開始指示を受け付けると(ステップS303)、スキャナ部32で原稿の画像を読み取り画像データを取得する(ステップS304)。消去可能マークの付加が設定されていない場合には(ステップS305;No)、CPU21は取得した画像データと印刷設定情報とを含む印刷用の画像データを生成し、プリンタ部33に送信する(ステップS306)。プリンタ部33は、印刷設定情報に従い画像データに基づく画像を通常トナーを使用して記録紙に印刷し出力する(ステップS307(印刷処理)/End)。
【0078】
消去可能マークの付加が設定されている場合には(ステップS305;Yes)、CPU21は取得した画像データ(原稿の画像/図8のD11)に消去可能マーク(図8のD12)を付加した画像データと、付加した消去可能マークの印刷には消色トナーの使用を指定した消色トナー指定情報と、印刷設定情報とを含む印刷用の画像データ(図8のD13)を生成し、プリンタ部33に送信する(ステップS308)。プリンタ部33は、印刷設定情報に従い画像データに基づく画像を通常トナーを使用して記録紙に印刷し、この記録紙に消去可能マークを消色トナーを使用して重畳印刷し出力する(ステップS309(印刷処理)/End)。この印刷処理における通常トナーと消色トナーの印刷順はどちらが先でもかまわない。
【0079】
図8に例示するように、複合機20による原稿M11の複写で消去可能マークが付加された複写物P11には、原稿の複写画像の背景に消去可能マークである「コピーされていません。」の文字(背景文字)が紙面全域に羅列して印刷される。この消去可能マークは、消色トナーを使用し色濃度の低い色彩で印刷される。
【0080】
なお、複合機20による原稿の複写で消去可能マークを複写物に付加する上述の機能は、権限の高いユーザのみ利用可能とすることが望ましい。
【0081】
図6のステップS107および図9のステップS308で説明した印刷データ(印刷用画像データ)の生成については、たとえば、通常トナーを使用して印刷する箇所と消色トナーを使用して印刷する箇所とで印刷データを分けて生成するようにしてもよい。以下にその詳細を2つ例示する。
【0082】
1.印刷する画像と消去可能マークを単純に重ねる場合
・印刷指示されたドキュメント(もしくは画像読み取り指示がなされスキャナ部32により読み取った原稿の読取画像)に係るデータを取り込む。
・取り込んだデータに基づく画像を通常トナーで印刷するための第1の印刷データを生成する。
・消去可能マークを消色トナーで印刷するための第2の印刷データを生成する。
・第1の印刷データと、第2の印刷データと、これらを同一の記録紙に印刷することを指示する情報(設定情報)とを含む印刷データを生成する。
・生成した印刷データを複合機20(もしくはプリンタ部33)へ送信する。
本例の場合は、消色トナーによる消去可能マークを印刷した上に通常トナーによる画像を印刷することが望ましい。
【0083】
2.印刷する画像を前面画像とし消去可能マークを背景画像とする場合
・印刷指示されたドキュメント(もしくは画像読み取り指示がなされスキャナ部32により読み取った原稿の読取画像)に係るデータを取り込む。
・取り込んだデータに基づく画像を通常トナーで印刷するための第1の印刷データを生成する。
・上記の画像を前面画像とし消去可能マークを背景画像とした合成画像を作成して、消去可能マークのうち上記の画像(前面画像)に隠されていない部分のみを切り出し、この切り出し部分を消色トナーで印刷するための第2の印刷データを生成する。
・第1の印刷データと、第2の印刷データと、これらを同一の記録紙に印刷することを指示する情報(設定情報)とを含む印刷データを生成する。
・生成した印刷データを複合機20(もしくはプリンタ部33)へ送信する。
本例の場合は、通常トナーによる画像と消色トナーによる消去可能マーク(切り出し部分)の印刷順序は問わない。
【0084】
また、消去可能マークの印刷データ(電子データ)は予め記憶されている。印刷設定で消去可能マークの色、フォント、サイズなどが変更された場合は、その印刷データのうち該当する属性値を変更する。また、指定された消去可能マークの種類および属性値に応じて消去可能マークの印刷データを生成するプログラムを備え、必要時に該プログラムによって消去可能マークの印刷データを生成するようにしてもよい。
【0085】
図10は消去可能マークが付加された原稿M1と、原稿M1を複合機20で読み取った場合に取得される原稿M1の読取画像I1と読み取り後の原稿M1を示す図である。本図における読み取り前の原稿M1は、図5で説明した印刷物P1や図8で説明した複写物P11である。図11は複合機20による原稿の読取動作を示す流れ図である。図12は原稿の読取動作における光源の点灯/消灯タイミングと原稿の読み取りタイミングを示すタイミングチャートである。
【0086】
図11に示すように、複合機20はユーザによって原稿がスキャナ部32にセットされ(ステップS401)、表示部27および操作部28を通じて原稿の読取保存(スキャン機能)または複写(コピー機能)の機能選択を受け付ける(ステップS402)。複合機20はユーザから開始指示を受け付けると(ステップS403)、スキャナ部32による原稿の読み取りを開始する(ステップS404)。
【0087】
複合機20のCPU21は、スキャナ部32による原稿の読み取りを開始すると、読み取り開始前には消灯されている読取用光源44および消去用光源46のうち、消去用光源46のみを点灯させる(ステップS405〜ステップS406;No)。消去用光源46を消色トナーの無色化に必要な所定時間点灯させると(ステップS406;Yes/図12の所定の消去時間)、消去用光源46を消灯させ読取用光源44を点灯させる(ステップS407〜ステップS408;No)。ラインイメージセンサ45は(図4参照)、読取用光源44により照明光Laが照射された原稿の読取範囲Sからの反射光Lbを受光して蓄積し、読取範囲Sにおける画像(ライン画像)を読み取る。
【0088】
CPU21は、読取用光源44をラインイメージセンサ45の光蓄積による画像の読み取りに必要な所定時間点灯させ(ステップS408;Yes/図12の読取タイミング)、スキャナ部32から出力された1ライン分の画像データを取得してRAM24に一時保存する(ステップS409/図12の画像データ)。原稿の読み取り(全ライン分の画像データの取得)が完了するまでステップS405〜ステップS409を繰り返し(ステップS410;No)、原稿の読み取りが完了すると(ステップS410;Yes)、CPU21は選択された機能が保存の場合には(ステップS411;保存)、RAM24に一時保存した原稿の読取画像(画像データ)をハードディスク装置26に保存する(ステップS412/End)。選択された機能が複写の場合には(ステップS411;複写)、RAM24に一時記憶した原稿の読取画像(画像データ)に基づく画像をプリンタ部33で通常トナーを使用して記録紙に印刷し出力する(ステップS413/End)。
【0089】
図10に示すように、消去可能マークが付加された原稿M1を複合機20で読み取ると、消去可能マークの無い読取画像I1が取得される。保存の場合はこの読取画像I1がハードディスク装置26に保存され、複写の場合はこの読取画像I1が印刷(複写)された印刷物(複写物)が出力される。また、読み取り後の原稿M1では消去可能マークが消去された状態となり、読み取り前の状態から変化が起こる。原稿M1ではこのように消去可能マークの無いことが画像読み取りの行われたことを示す形跡(証拠)となる。
【0090】
図13は消去可能マークが付加された原稿M1と、原稿M1を複合機20で途中まで読み取った場合の読み取り後の原稿M1を示す図である。図14は図13の読み取り後の原稿M1を詳細に示す図である。図13および図14に示すように、消去可能マークが付加された原稿M1を複合機20のスキャナ部32で途中まで読み取ると、読み取り後の原稿M1では、読取済領域の消去可能マークが消去され、未読取領域の消去可能マークは残存した状態となる。
【0091】
このように、本実施形態に係る端末装置10は、複合機20に印刷を依頼するドキュメントの印刷物に消去可能マークを付加する設定を受け付けた場合には、ドキュメントの画像に消去可能マークを付加し、消去可能マークの印刷には消色トナーの使用を指定した印刷データを生成し、複合機20へ送信する。複合機20はこの印刷データに基づいて印刷を行う印刷物に、消色トナーを使用して消去可能マークを印刷する。
【0092】
また、本実施形態に係る複合機20は、原稿の複写において複写物に消去可能マークを付加する設定を受け付けた場合には、読み取った原稿の画像に消去可能マークを付加し、消去可能マークの印刷には消色トナーの使用を指定した印刷データ(印刷用の画像データ)を生成し、この印刷データに基づいて印刷を行う印刷物(原稿の複写物)に、消色トナーを使用して消去可能マークを印刷する。
【0093】
上記の消去可能マークが付加された印刷物を原稿とし、複合機20のスキャナ部32でこの原稿が読み取られる際に特定波長光が照射されると、原稿から消去可能マークが消去する。これにより、画像読み取りが行われたことを印刷物自体で識別することができ、印刷物の画像読み取りによる複製を禁止する場合にその複製行為を抑止することができる。たとえば、職場内で複写厳禁書類を回覧するような場合には、回覧中に複写されていないことまたは不正に複写されたことを、消去可能マークの有無により書類自体から見分けることができる。
【0094】
また、消去可能マークの消去されている領域と残存している領域がある場合には、消去されている領域が複写されたものと判断でき、このように一部の領域が複写された場合も書類自体からその複写された領域を見付けることができる。
【0095】
また、「コピーされていません」などのコピーが行われていない状態であることを文字情報などで明示し、コピーを行うと何かが起こるようなことを予感させる(コピーに対して警告的な意味合いを持つ)消去可能マークを印刷物の紙面全域に多数付加して一目で分かるようにした場合には、この印刷物のコピーやスキャンに対する警戒感を与えることができ、それらの行為に対する抑止効果を高めることもできる。
【0096】
なお、消色トナーを使用して印刷する消去可能マークは印刷物の紙面全域に多数付加するほかに、トナー消費量の低減を図るため、付加領域を小さくしたり付加数を少なくしたりするようにしてもよい。たとえば、紙面の任意箇所(指定箇所)や縁部領域(上縁部、下縁部、側縁部)に1または複数のマークを付加するようにしてもよい。また、消去可能マークは印刷物の画像に重畳して付加されてもよく、画像に重畳されずに画像の空き領域や紙面の縁部領域などに付加されてもよい。
【0097】
[第2の実施形態]
第1の実施形態で説明したように、消色トナーを使用して消去可能マークが印刷された印刷物は、複合機20による画像読み取りで特定波長光が照射されると消去可能マークのみが消去する。この場合、印刷物の画像読み取りを行った当事者以外の者、たとえば消去可能マークが消去された後の印刷物を見た第三者などは、以前に消去可能マークが印刷されていたのか否かをその印刷物自体から判断することは容易ではない。この判断を容易にする一例として、第2の実施形態では、消去可能マークを印刷する際にそのことを示す情報(表示情報)を通常トナーを用いて消去不可マークとして印刷する場合について説明する。
【0098】
図15は端末装置10から消去可能マークおよび消去不可マークを付加したドキュメントの印刷を依頼し複合機20がその印刷物を出力する流れを示す図である。本実施形態では、消去不可マークは当該印刷物(記録紙)に消去可能マークが印刷されたことを示す表示情報としての機能を有すると共に、当該印刷物は複製が禁止された機密保護対象の印刷物(セキュリティ・チェック・ペーパー)であることを示す機能も有している。
【0099】
この2つの機能を有する消去不可マークは、たとえば「This Paper is Security Check Paper」などの文字(文字情報)で構成される。消去不可マークの付加については、端末装置10における印刷設定で消去可能マークを付加する設定を行うと自動的に付加する設定がなされる、あるいは、付加するか否かをユーザが手動で設定できる構成としてもよい。消去不可マークの種類については、予め用意された複数種類の中から選択する構成としてもよい。さらに消去不可マークに関する設定では、文字の色、フォント(字体)、サイズ、付加位置、印刷面(表面/裏面)などを設定できるようにしてもよい。
【0100】
図15では、端末装置10におけるドキュメント(D21)の印刷設定で消去可能マーク(「コピーされていません。」)を付加する設定がなされ、ドキュメントの画像に対して消去不可マーク(「This Paper is Security Check Paper」)が中央位置に付加される場合を表している(D22)。端末装置10がこの印刷データ(D23)を生成して複合機20に送信すると、複合機20は印刷データに含まれている、消去不可マークが中央位置に付加されたドキュメントデータに基づく画像(ドキュメント画像およびその中央に配置された消去不可マーク)を通常トナーを使用して記録紙に印刷し、この記録紙に消色トナーを使用して消去可能マークを重畳印刷し出力する(P21)。この印刷処理における通常トナーと消色トナーの印刷順はどちらが先でもかまわない。
【0101】
また図示は省略するが、複合機20による原稿の複写においても同様に、複合機20における印刷設定で消去可能マークと消去不可マークを原稿の複写物(印刷物)に付加することができる。
【0102】
本実施形態に係る印刷データの生成も第1の実施形態で説明した印刷データの生成と同様に、たとえば、通常トナーを使用して印刷する箇所と消色トナーを使用して印刷する箇所とで印刷データを分けて生成するようにしてもよい。以下にその詳細を2つ例示する。
【0103】
1.印刷する画像と消去可能/消去不可マークを単純に重ねる場合
・印刷指示されたドキュメント(もしくは画像読み取り指示がなされスキャナ部32により読み取った原稿の読取画像)に係るデータを取り込む。
・取り込んだデータに基づく画像を通常トナーで印刷するための第1の印刷データを生成する。
・消去不可マークを通常トナーで印刷するための第2の印刷データを生成する。
・消去可能マークを消色トナーで印刷するための第3の印刷データを生成する。
・第1の印刷データと、第2の印刷データと、第3の印刷データと、これらを同一の記録紙に印刷することを指示する情報(設定情報)とを含む印刷データを生成する。
・生成した印刷データを複合機20(もしくはプリンタ部33)へ送信する。
本例の場合は、消色トナーによる消去可能マークを印刷した上に通常トナーによる消去不可マークおよび画像を印刷することが望ましい。
【0104】
2.印刷する画像を前面画像とし消去可能/消去不可マークを背景画像とする場合
・印刷指示されたドキュメント(もしくは画像読み取り指示がなされスキャナ部32により読み取った原稿の読取画像)に係るデータを取り込む。
・取り込んだデータに基づく画像を前面画像とし消去不可マークを背景画像とした第1の合成画像を作成する。
・第1の合成画像を通常トナーで印刷するための第1の印刷データを生成する。
・第1の合成画像を前面画像とし消去可能マークを背景画像とした第2の合成画像を作成して、消去可能マークのうち第1の合成画像に隠されていない部分のみを切り出し、この切り出し部分を消色トナーで印刷するための第2の印刷データを生成する。
・第1の印刷データと、第2の印刷データと、これらを同一の記録紙に印刷することを指示する情報(設定情報)とを含む印刷データを生成する。
・生成した印刷データを複合機20(もしくはプリンタ部33)へ送信する。
本例の場合は、通常トナーによる消去不可マークおよび画像(第1の合成画像)と消色トナーによる消去可能マーク(切り出し部分)の印刷順序は問わない。
【0105】
また、消去可能マークと消去不可マークの印刷データ(電子データ)は予め記憶されている。印刷設定で消去可能/消去不可マークの色、フォント、サイズなどが変更された場合は、その印刷データのうち該当する属性値を変更する。また、指定された消去可能/消去不可マークの種類および属性値に応じて当該マークの印刷データを生成するプログラムを備え、必要時に該プログラムによって当該マークの印刷データを生成するようにしてもよい。
【0106】
図16は、消去可能マークと消去不可マークが付加された印刷物(図15の印刷物P21)を原稿M21として複合機20で読み取った場合に取得される原稿M21の読取画像I21と読み取り後の原稿M21を示している。複合機20が図11に示した読取動作でスキャナ部32により特定波長光を照射し原稿M21を読み取ると、消去可能マークの消去された原稿M21が読み取られる。これにより、複合機20は消去可能マークが無く消去不可マークが中央位置に存在する読取画像I21を取得する。読み取り後の原稿M21では消去可能マークのみが消去され、消去不可マークが中央位置に残存した状態となる。
【0107】
図17は、図15に対して消去不可マークの付加位置が異なる例を示す図である。本例では、端末装置10におけるドキュメント(D31)の印刷設定で消去可能マーク(「コピーされていません。」)を付加する設定がなされ、ドキュメントの画像に対して消去不可マーク(「This Paper is Security Check Paper」)が左下位置に付加される場合を表している(D32)。
【0108】
端末装置10がこの印刷データ(D33)を生成して複合機20に送信すると、複合機20は印刷データに含まれている、消去不可マークが左下位置に付加されたドキュメントデータに基づく画像(ドキュメント画像およびその左下に配置された消去不可マーク)を通常トナーを使用して記録紙に印刷し、この記録紙に消色トナーを使用して消去可能マークを重畳印刷し出力する(P31)。この印刷処理における通常トナーと消色トナーの印刷順はどちらが先でもかまわない。
【0109】
図18は、図17で説明した消去可能マークと消去不可マークが付加された印刷物P31を原稿M31として複合機20で読み取った場合に取得される原稿M31の読取画像I31と読み取り後の原稿M31を示している。複合機20が図11に示した読取動作でスキャナ部32により特定波長光を照射し原稿M31を読み取ると、消去可能マークの消去された原稿M31が読み取られる。これにより、複合機20は消去可能マークが無く消去不可マークが左下位置に存在する読取画像I31を取得する。読み取り後の原稿M31では消去可能マークのみが消去され、消去不可マークが左下位置に残存した状態となる。
【0110】
図19は、消去不可マークを印刷物の裏面に付加する例を示す図である。本例では、端末装置10におけるドキュメント(D41)の印刷設定で消去可能マーク(「コピーされていません。」)を付加する設定がなされ、消去可能マークは表面(ドキュメント画像の印刷面)に付加され(D42a)、消去不可マーク(「This Paper is Security Check Paper」)は裏面の中央位置に付加される場合を表している(D42b)。
【0111】
端末装置10がこの印刷データ(D43aおよびD43b)を生成して複合機20に送信すると、図示は省略するが、複合機20は印刷データに含まれているドキュメントデータに基づく画像を通常トナーを使用して記録紙の表面に印刷すると共に、この表面に消去可能マークを消色トナーを使用して重畳印刷し、更に記録紙の裏面における中央位置に通常トナーを使用して消去不可マークを印刷し出力する。この印刷処理における表面の通常トナーと消色トナーの印刷順はどちらが先でもかまわない。
【0112】
上記の印刷物を原稿として表面を複合機20で読み取った場合には、複合機20は図11に示した読取動作でスキャナ部32により特定波長光を照射し、表面から消去可能マークの消去された原稿を読み取る。これにより、複合機20は消去可能マークの無い表面の読取画像を取得する。たとえば、図10に示した読取画像I1と同様の消去可能マークの無い読取画像を取得する。読み取り後の原稿では表面から消去可能マークのみが消去され(図10の読み取り後の原稿M1参照)、裏面に消去不可マークが残存した状態となる。
【0113】
図20は、消去不可マークを印刷物(ドキュメント画像)の空き領域に付加する例を示す図である。本例では、端末装置10におけるドキュメント(D51)の印刷設定で消去可能マーク(「コピーされていません。」)を付加する設定がなされ、ドキュメントの画像に対して消去不可マーク(「This Paper is Security Check Paper」)が空き領域となる下端位置に付加される場合を表している(D52)。空き領域は、端末装置10のプリンタドライバ50がドキュメントの画像を解析し自動的に検索することで指定される。
【0114】
端末装置10がこの印刷データ(D53)を生成して複合機20に送信すると、図示は省略するが、複合機20は印刷データに含まれている、消去不可マークが下端位置に付加されたドキュメントデータに基づく画像(ドキュメント画像およびその空き領域となる下端に配置された消去不可マーク)を通常トナーを使用して記録紙に印刷し、この記録紙に消色トナーを使用して消去可能マークを重畳印刷し出力する。この印刷処理における通常トナーと消色トナーの印刷順はどちらが先でもかまわない。
【0115】
上記の印刷物を原稿として表面を複合機20で読み取った場合には、複合機20は図11に示した読取動作でスキャナ部32により特定波長光を照射し、消去可能マークの消去された原稿を読み取る。これにより、複合機20は消去可能マークが無く消去不可マークが下端位置に存在する読取画像を取得する。読み取り後の原稿では消去可能マークのみが消去され、消去不可マークが下端位置に残存した状態となる。
【0116】
このように、本実施形態では、端末装置10から複合機20に印刷を依頼するドキュメントの印刷物や複合機20による原稿の複写物(印刷物)に消去可能マークを印刷(付加)する場合に、その印刷物に消去可能マークを印刷したことを示す表示情報としての機能を有する消去不可マークが通常トナーを使用して印刷される。この印刷物は、複合機20で読み取られる際に特定波長光が照射されて消去可能マークが消去しても、消去不可マークは消去せずに残存する。
【0117】
これにより、印刷物の読み取り後に、この印刷物に消去可能マークが印刷されていたことを印刷物自体で容易に識別(判断)することができる。たとえば、複写厳禁書類の回覧中に複写が行われた場合には、この書類(複写後の書類)のその後の回覧者などは、消去可能マークが存在せず、消去可能マークが印刷されていたことを示す表示情報としての消去不可マークが存在していることから回覧中に不正な複写が行われたことを容易に把握することができる。
【0118】
[第3の実施形態]
第2の実施形態では、消色トナーを使用して印刷される消去可能マークと通常トナーを使用して印刷される消去不可マークを個別のマークとして印刷物に付加していたが、第3の実施形態では、両マークを組み合せ1つの組み合せマークにして印刷物に付加する場合について説明する。
【0119】
本実施形態では、消去可能マークと消去不可マークを組み合せて構成する組み合せマークの例として、(1)地紋マーク、(2)同化マーク、(3)非同化マークを順に説明し、最後に(4)として、更に同化マークと非同化マークを組み合せた場合の例を説明する。
【0120】
地紋マークは、消去可能マークと消去不可マークのうちの一方が背景(地紋)となり他方がその背景に隠されて組み合せられた組み合せマークである。同化マークは、消去可能マークと消去不可マークの境界が目立たないようにされて両マークが同化して組み合せられた組み合せマークである。地紋マークはこの同化マークに含まれる。非同化マークは、消去可能マークと消去不可マークの境界が見た目で分かり両マークが同化されずに組み合せられた組み合せマークである。
【0121】
これらの組み合せマークを印刷物に付加する場合も、第2の実施形態で説明した印刷設定により同様に付加することができる。すなわち、端末装置10によるドキュメントの印刷設定で組み合せマークを付加する設定を行った場合には、複合機20は端末装置10から受信した印刷データに基づきドキュメントの画像に組み合せマークを付加した印刷物を出力する。複合機20によるコピーの印刷設定で組み合せマークを付加する設定を行った場合には、複合機20は原稿の複写画像に組み合せマークを付加した複写物(印刷物)を出力する。
【0122】
(1)地紋マーク
図21は従来の地紋印刷技術の概要を示す図である。地紋印刷技術は、印刷物の背景(背景模様)を構成する地紋に複写すると現れる文字(隠し文字)を目立たないように隠して埋め込み、この印刷物を複写機などで複写すると複写物にその隠し文字が現れて複写抑止効果を発揮するようにした印刷技術である。ここでは、背景模様に隠し文字が埋め込まれて構成された画像を「地紋画像」と呼ぶ。
【0123】
複写すると隠し文字が現れる原理は、地紋画像における背景模様と隠し文字のうちの一方をスキャナによる読取可能なドットで構成し他方を読取不可能なドットで構成することにより、読み取った画像(読取画像)では他方のドットが白抜きとなり一方のドットが浮き出すことで隠し文字が現れるものである。スキャナによるドットの読み取りでは、スキャナの読取解像度よりもサイズが大きいドット(スキャナの読取解像度で読み取ることができる大きさおよび密度のドット)は読取可能であり、スキャナの読取解像度よりもサイズが小さくかつ密度が所定密度(スキャナの読取解像度で読み取ることができない密度)よりも小さい(パターンが粗い)ドットは読取不可能となる。なお、隠し文字を背景模様に目立たないように埋め込むには、これらを同じ色にすることが望ましい。
【0124】
図21に示すように、たとえばスキャナの読取解像度が1200dpiの場合は、背景模様と隠し文字のうちの一方を読取解像度よりも大きい400dpiのドットで構成し他方を読取解像度よりも小さい3600dpiのドットで構成する。背景模様を構成するドットを大きくし、隠し文字を構成するドットを小さくした場合には、背景模様のみが読み取られて読取画像に再現され浮き出し、隠し文字が白抜きとなって現れる。逆に背景模様を構成するドットを小さくし、隠し文字を構成するドットを大きくした場合には、背景模様が白抜きとなり、隠し文字のみが読み取られて読取画像に再現され浮き出して現れる。
【0125】
図22は従来の地紋印刷技術で原稿に印刷された地紋画像と、この原稿(地紋画像)の読取画像と、読み取り後の原稿の地紋画像をそれぞれ構成するドットを拡大イメージにて示す図である。
【0126】
本図では、400dpiのドットと3600dpiのドットの大きさを比較するために各ドットを模式的に示している。たとえば、本図に示す原稿を印刷解像度が3600dpiの複合機もしくはプリンタで印刷した場合には、400dpiの1つのドット(400dpiに相当するドット)は、3600dpiのドットが複数個密集して形成されることになる。ここでは説明をわかりやすくするために、3600dpiのドットが複数個密集して形成される400dpiに相当するドットを、400dpiの1つのドットとして説明する。
【0127】
本図に示すように、たとえば、複合機20のスキャナ部32における読取解像度が1200dpiの場合は、読取センサ(ラインイメージセンサ)の1画素当たりの輝度レベル(アナログ信号)が400dpiのドットでは低く出力され、3600dpiのドットでは高く出力される。詳細には、1画素内の全領域に400dpiのドットが存在している画素では、輝度レベルが基準レベルに対して最も低いレベルで出力される(Vmax)。1画素内に3600dpiのドットが1つ存在している画素では、その最も低いレベルの約1/9のレベルで出力される(Vmax×1/9)。
【0128】
読取センサによる読取閾値がレベル中間に設定されている場合には、400dpiのドットは読み取られて読取画像に再現される。3600dpiのドットは読み取られずに読取画像に再現されないことになる。詳細には、1画素当たり約4.5個未満の3600dpiのドットが存在している画素では、それらの3600dpiのドットは読み取られずに読取画像に再現されないことになる。1画素当たり約4.5個以上の3600dpiのドットが存在している画素では、それらの3600dpiのドットは読み取られて読取画像に再現されることになる。また、読み取り後の原稿では読み取り前と地紋画像が変化しない状態となる。
【0129】
前述したスキャナの読取解像度よりもサイズが小さくかつ密度が所定密度よりも小さいドットとは、上記のようにスキャナの読取解像度が1200dpiで読取センサによる読取閾値がレベル中間に設定されている場合には、たとえば読取センサの1画像当たり4.5個未満の密度のドットを指す。すなわち、図22に例示した条件における所定密度は、読取センサにおける1画像当たり4.5個の密度となる。
【0130】
図23は従来の地紋印刷技術で地紋画像が印刷された原稿と、この原稿を読み取った場合の読取画像と読み取り後の原稿の一例を示す図である。
【0131】
たとえば、地紋画像における背景模様に「不正コピーです」の隠し文字が埋め込まれた原稿を複合機20で読み取ると、読取画像にはその隠し文字が現れる。図21および図22で説明したように、複合機20の読取解像度に対して背景模様を構成するドットを大きくし、隠し文字を構成するドットを小さくしかつ密度を所定密度よりも小さくした場合には、背景模様が浮き出し隠し文字は白抜きとなって現れる。複合機20の読取解像度に対して背景模様を構成するドットを小さくしかつ密度を所定密度よりも小さくし、隠し文字を構成するドットを大きくした場合には、背景模様が白抜きとなり隠し文字は浮き出して現れる。また、読み取り後の原稿では読み取り前と地紋画像が変化しないことになる。
【0132】
図24は本実施形態に係る地紋印刷技術で原稿に印刷された地紋マークと、この原稿(地紋マーク)の読取画像と、読み取り後の原稿の地紋マークをそれぞれ構成するドットを拡大イメージにて示す図である。図25は本実施形態に係る地紋印刷技術で地紋マークが印刷された原稿と、この原稿を読み取った場合の読取画像と読み取り後の原稿の一例を示す図である。
【0133】
原稿に印刷される地紋マークは前述したように、消色トナーを使用して印刷される消去可能マークと通常トナーを使用して印刷される消去不可マークのうちの一方が背景(地紋)となり他方がその背景に隠されて組み合せられたものである。更には、消去可能マークと消去不可マークの境界が目立たないようにされて両マークが同化して組み合せられた同化マークに含まれるものである。ここでは従来の地紋画像と同様に、地紋マークは背景模様に隠し文字が埋め込まれて構成される場合を例に説明する。
【0134】
たとえば、複合機20のスキャナ部32における読取解像度が1200dpiの場合には、地紋マークにおける背景模様は、読取不可能な3600dpiのドットで消色トナーにより印刷される消去可能マークで構成し、隠し文字は、読取可能な400dpiのドットで通常トナーにより印刷される消去不可マークで構成する。隠し文字の内容は「コピーされました」や「スキャンされました」などにする。
【0135】
このような地紋マークが印刷された原稿を複合機20が図11に示した読取動作でスキャナ部32により特定波長光を照射し読み取ると、消去可能マークからなる背景模様の消去された原稿が読み取られる。これにより、複合機20は背景模様が白抜きとなり、消去不可マークからなる隠し文字が浮き出した読取画像を取得する。読み取り後の原稿では背景模様のみが消去されて白抜きとなり、隠し文字が浮き出した状態となる。
【0136】
また、地紋マークにおける背景模様を消去不可マーク(通常トナーによる400dpiのドット)で構成し、隠し文字を消去可能マーク(消色トナーによる3600dpiのドット)で構成することも可能である。この地紋マークが印刷された原稿を複合機20で読み取ると、消去可能マークからなる隠し文字の消去された原稿が読み取られる。これにより、複合機20は隠し文字が白抜きとなり、消去不可マークからなる背景模様が浮き出した読取画像を取得する。読み取り後の原稿では隠し文字のみが消去されて白抜きとなり、背景模様が浮き出した状態となる。
【0137】
図26は、第1の実施形態に係る消去可能マーク(文字)および第3の実施形態に係る地紋マーク(背景模様および隠し文字)を印刷物(原稿)に付加する場合の付加パターンを一覧にして示す図である。詳細には、各付加パターンにおける、文字/隠し文字を構成するドットの内容、背景模様を構成するドットの内容、両ドットのサイズの関係、読み取り前の原稿における文字/隠し文字の目視による識別の可否、複合機20の読取動作における消去と画像読取の順番(タイミング)、読み取り後の原稿の状態、複合機20が取得する原稿の読取画像、読み取り後の原稿と読取画像の比較、を一覧にして示す図である。本図では、第1の実施形態に係る付加パターンを(a)に示し、第3の実施形態に係る各種の付加パターンによる地紋マークを(b)〜(g)に示している。
【0138】
(a)では、第1の実施形態で説明したように、印刷物に消色トナーで印刷される文字が消去可能マークとなる。(b)〜(g)の地紋マークのうち、(b)、(d)、(f)では、印刷物に通常トナーで印刷される隠し文字が消去不可マークとなり、消色トナーで印刷される背景模様が消去可能マークとなる。(c)、(e)、(g)では、印刷物に消色トナーで印刷される隠し文字が消去可能マークとなり、通常トナーで印刷される背景模様が消去不可マークとなる。
【0139】
(b)〜(g)の地紋マークでは、隠し文字を背景模様により目立たないように埋め込むには、これらを同じ色にすることが望ましい。特に(b)と(c)では、隠し文字を背景模様により完全に目視不可に埋め込むには、これらを連続したパターンのドットで構成することが望ましい。(d)と(e)では、図11で説明した読取動作における消去と画像読取の順番を逆にしても読み取り後の原稿と読取画像が同じになる。
【0140】
図24および図25に例示した地紋マークは、(d)の付加パターンによるものである。なお、図25に示した読み取り後の原稿の状態は、(c)の付加パターンによっても実現可能である。
【0141】
(f)と(g)では、通常トナーで印刷される3600dpiのドットからなる消去不可マークを複合機20の読取解像度1200dpiで読み取ることができない密度(たとえば1画像当たり4.5個未満)とし、図11で説明した読取動作における消去と画像読取の順番を逆にすることにより、読み取り後の原稿と読取画像で隠し文字が浮き出しと白抜きとで反転して現れる。これにより、読み取り後の原稿と複写物とが簡単に見分けられるようになる。
【0142】
なお、(a)における消去可能マーク(文字)を構成するドットの大きさは400dpiに限らず、他の大きさでもよい。(b)、(c)における消去可能マークと消去不可マークを構成する各ドットの大きさは400dpiに限らず、複合機20の読取解像度で読み取り可能かつ各ドットが同一の大きさであればよい。(d)、(e)における消去可能マークを構成するドットの大きさは3600dpiに限らず、複合機20の読取解像度で読み取り不可な大きさであればよい。(d)、(e)における消去不可マークを構成するドットの大きさは400dpiに限らず、複合機20の読取解像度で読み取り可能な大きさであればよい。(f)、(g)における消去可能マークを構成するドットの大きさは400dpiに限らず、複合機20の読取解像度で読み取り可能な大きさであればよい。(f)、(g)における消去不可マークを構成するドットの大きさは3600dpiに限らず、複合機20の読取解像度で読み取り不可な大きさであればよい。
【0143】
図27は、図26の(f)、(g)による原稿の読取動作における光源の点灯/消灯タイミングと原稿の読み取りタイミングを示すタイミングチャートである。図28は、図26の(f)、(g)による付加パターンの地紋マークが印刷された原稿と、この原稿を図27のタイミングチャートに示す読取動作で読み取った場合の読取画像と読み取り後の原稿の一例を示す図である。
【0144】
図29は、地紋マークの背景模様に目立たないように隠して埋め込まれた各種の情報の一例を示す図である。本例で示す情報は、(A)単語(「NG」(略語))、(B)記号(「×」)、(C)禁止マーク、(D)幾何模様(三角模様)である。本例の地紋マークは、図26の(c)または(d)の付加パターンによって原稿(印刷物)に付加されており、背景模様が消去可能マークで構成され、情報が消去不可マークで構成されている。本例の地紋マークが付加(印刷)された原稿(印刷物)を複合機20で読み取ると、読み取り後の原稿では背景模様が消去され、隠されていた情報が浮き出して現れる。
【0145】
本図の(A)〜(D)に示す情報は一例であり、他の単語、他の記号、他のマーク(異常マーク)、他の幾何模様などからなる情報を使用してもかまわない。このような情報を使用する場合には、原稿の読み取りを行っていない第三者などが原稿(読み取り後の原稿)を見た場合でも、原稿に何らかの異常が起きたことが容易に分かる情報を使用することが望ましい。付加パターンについては、図26の(c)や(d)に限らず、(b)、(e)、(f)、(g)としてもかまわない。
【0146】
(2)同化マーク
図30は、同化マークの一例を示す図である。前述したように、同化マークは消去可能マークと消去不可マークの境界が目立たないようにされて両マークが同化して組み合せられたものである。
【0147】
同化マークにおける消去可能マークと消去不可マークも地紋マークと同様に、本実施形態に係る地紋印刷技術(図26の(b)〜(g)参照)を用いて、境界が目立たないようにされ両マークが同化して組み合せられて印刷物に付加(印刷)される。地紋マークとの違いは、地紋マークは文字などの情報を隠すための背景模様が紙面の全域または大部分の領域に地紋として印刷されるのに対し、同化マークは文字などの情報を隠すための模様がトナー消費量を低減するために紙面の一部領域のみに印刷される点である。一部領域は、紙面の縁部(上縁部、下縁部、左縁部、右縁部)や中央部、印刷する画像の空き領域など、任意の領域にすることができる。
【0148】
ここで説明するのは、同化マークに含まれる地紋マークとそれ以外のものとなる非地紋マークのうちの後者についてであり、厳密には同化マークに含まれる非地紋マークについてである。
【0149】
図30の(A)と(B)に2つの同化マーク(非地紋マーク)を例示する。本例の同化マークも図26の(c)または(d)の付加パターンによって原稿(印刷物)に付加されており、紙面の一部領域に付加された模様が消去可能マークで構成され、模様に隠されて埋め込まれた情報(隠し文字)が消去不可マークで構成されている。
【0150】
(A)では、原稿の上縁部および下縁部と中央部に同化マークが付加されている。上下縁部の同化マークは、消去可能マークからなる模様が原稿(紙面)の幅方向全域にわたる帯状模様であり、この上下の帯状模様の対角位置に消去不可マークからなる「違反されました」の隠し文字が埋め込まれている。詳細には、原稿の上部右側には「回覧(コピー厳禁)」の文字が印刷されており、上縁部の同化マークでは、この文字の左側となる、帯状模様における左側領域に隠し文字が埋め込まれている。下縁部の同化マークでは、帯状模様における右側領域に隠し文字が埋め込まれている。中央部の同化マークは、全体がマル秘マークで構成されており、消去可能マークからなる模様が円周状の帯線からなる円模様であり、消去不可マークからなる隠し文字(「違反」)がこの円模様の上下左右位置に4つ埋め込まれている。
【0151】
(A)の同化マークが付加された原稿を複合機20で読み取ると、読み取り後の原稿では、図示のように、上下縁部の帯状模様が消去され、隠されていた「違反されました」の文字が浮き出して現れると共に、中央部のマル秘マークが消去され、隠されていた「違反」の文字が浮き出して現れる。特に本例では、原稿の上縁部に「コピー厳禁」などの文字が印刷される場合に、この文字の近くに「違反されました」などの文字が現れるようにすることで、この原稿を第三者が見た場合でも、禁止されているコピーが違反して行われたことを容易に把握できるようになる。
【0152】
(B)の同化マークは、消去可能マークからなる模様が原稿の周縁部を囲う枠状模様の内部に十字模様を組み合せた「田」字状の模様であり、この田字状模様を構成する6本の帯線に消去不可マークからなる隠し文字が複数埋め込まれている。詳細には、枠状模様を構成する4本の帯線には「セキュリティ違反」の隠し文字がそれぞれ埋め込まれており、十字模様を構成する2本の帯線には略全域にわたって「違反」の隠し文字が複数埋め込まれている。
【0153】
(B)の同化マークが付加された原稿を複合機20で読み取ると、読み取り後の原稿では、図示のように、周縁部を囲う枠状模様が消去され、隠されていた「セキュリティ違反」の文字が浮き出して現れると共に、枠状模様内の十字模様が消去され、隠されていた「違反」の文字が浮き出して現れる。
【0154】
また、本例の(A)と(B)の同化マークはいずれも、原稿が上下左右のいずれの方向から途中までスキャンされた場合でも(図13および図14参照)、消去可能マークからなる模様に必ず消去箇所が発生する。そのため、途中までスキャンされたことも見分けられる。また、原稿の縁部を隠したり、プラテンガラス41へのセット位置をずらしたりして原稿の中央部周辺のみがスキャンされた場合も同様に、中央部周辺の消去可能マークからなる模様に必ず消去箇所が発生するため、そのような中央部周辺のみのスキャンも見分けられる。
【0155】
本図の(A)および(B)に示す同化マーク(非地紋マーク)は一例である。模様は他の形状の模様を使用してもかまわない。隠し文字は地紋マークの場合と同様に、単語、記号、マーク(禁止マークや異常マークなど)、幾何模様などからなる情報を使用してもかまわない。付加パターンについても地紋マークの場合と同様に、図26の(c)や(d)に限らず、(b)、(e)、(f)、(g)としてもかまわない。
【0156】
(3)非同化マーク
図31は、非同化マークの一例を示す図である。前述したように、非同化マークは消去可能マークと消去不可マークの境界が見た目で分かり両マークが同化されずに組み合せられたものである。
【0157】
図31の(A)と(B)に2つの非同化マークを例示する。本例の非同化マークは、消去可能マークと消去不可マークが異なる色または同じ色で異なる濃度などとされ、消去可能マークからなる模様と消去不可マークからなる模様が1つに組み合せられて構成されている。
【0158】
(A)の非同化マークでは、消去可能マークからなる模様が原稿の周縁部を囲う枠状模様で構成され、消去不可マークからなる模様がその消去可能マークに内接する矩形模様で構成されており、両マークは境界が見た目で分かり同化されずに組み合せられている。
【0159】
(A)の非同化マークが付加された原稿を複合機20で読み取ると、読み取り後の原稿では、図示のように、周縁部を囲う枠状模様の消去可能マークが消去されて白抜きとなり、矩形模様の消去不可マークが残存した状態となり、読み取り前の状態に対して変化が起こる。
【0160】
(B)の非同化マークでは、原稿の上下左右領域を4つの二等辺三角形で4分割したうちの上下領域を占める一方の対の三角形模様によって消去可能マークが構成され、左右領域を占める他方の対の三角形模様によって消去不可マークが構成されており、両マークは境界が見た目で分かり同化されずに組み合せられている。
【0161】
(B)の非同化マークが付加された原稿を複合機20で読み取ると、読み取り後の原稿では、図示のように、原稿の上下領域を占める一対の三角形模様の消去可能マークが消去されて白抜きとなり、左右領域を占める一対の三角形模様の消去不可マークが残存した状態となり、読み取り前の状態に対して変化が起こる。
【0162】
また、本例の(A)と(B)の非同化マークはいずれも、原稿が上下左右のいずれの方向から途中までスキャンされた場合でも、消去可能マークからなる模様に必ず消去箇所が発生する。そのため、途中までスキャンされたことも見分けられる。
【0163】
本図の(A)および(B)に示す非同化マークは一例である。模様は格子模様などの他の形状の模様を使用してもかまわない。また模様同士を組み合せるほかに、模様と文字(単語、記号を含む)、模様と各種の意味合いを有するマーク(禁止マークや異常マークなど)を組み合せてもかまわない。
【0164】
(4)同化マークと非同化マークの組み合せ
図32は、同化マークと非同化マークを組み合せた場合の一例を示す図である。
【0165】
図30に例示した同化マークと図31に例示した非同化マークでは共に、消去可能マークが原稿の一部領域に付加される模様で構成されている。本例では、この模様を同化マークと非同化マークにおける共通の消去可能マークとして使用し、この共通の消去可能マークに、隠し文字を構成する消去不可マークを埋め込んで同化マークを構成すると共に、境界が見た目で分かり同化しない文字を構成する消去不可マークを組み合せて非同化マークを構成し、更にこの共通の消去可能マークに同化しない文字を構成する消去可能マークを組み合せて1つの組み合せマークを構成する場合を説明する。
【0166】
読み取り前の原稿に示すように、共通の消去可能マークは淡色を使用し原稿の周縁部を囲う枠状模様で構成する。この枠状模様における上下左右の帯線に、濃色を使用した「機密保護」の文字からなる消去不可マークを、各文字を所定の間隔を設けて配置し、この文字が枠状模様に同化せずに組み合せられた非同化マークを構成する。「機密保護」の後ろに淡色(共通の消去可能マークと同色)を使用した「違反!」の文字からなる消去不可マークを、各文字を所定の間隔を設けて配置し、この文字が隠し文字として枠状模様に同化して埋め込まれた同化マークを構成する。更に「違反!」の各文字の間に濃色を使用した「対象」の文字からなる消去可能マークを1文字ずつ配置して、1つの組み合せマークを構成する。なお、枠状模様では図示のように、上記の各文字に対応する部分を白抜きの文字とし、この白抜きの文字に上記の各文字を当てはめる。
【0167】
上記の組み合せマークが付加された原稿(読み取り前の原稿)では、淡色による枠状模様(上下左右の帯線)に、濃色による「機密保護対象」の文字が浮き出して見た目で分かる状態となる。この原稿を複合機20で読み取ると、読み取り後の原稿では、周縁部を囲う枠状模様(共通の消去可能マーク)と、「対象」の文字(消去可能マーク)が消去されて白抜きとなり、「機密保護」の文字(消去不可マーク)が残存すると共に、枠状模様に隠されていた「違反!」の文字(消去不可マーク)が現れて、「機密保護違反!」の文字が形成される。すなわち、読み取り前の原稿では「機密保護対象」であった文字が読み取り後の原稿では「機密保護違反!」の文字に変化する。
【0168】
また、本例の場合も、原稿が上下左右のいずれの方向から途中までスキャンされた場合でも、消去可能マークからなる枠状模様に必ず消去箇所が発生する。そのため、途中までスキャンされたことも見分けられる。
【0169】
このように、本実施形態では、消去可能マークと消去不可マークを1つの組み合せマーク(一体マーク)として印刷することにより、両マークを見た目では違和感(不自然感)の少ない付加画像として印刷物に付加することができる。
【0170】
特に同化マークでは、消去可能マークと消去不可マークを目視では識別困難な1つのマークとして印刷物に付加することができる。この印刷物の画像読み取りで特定波長光が照射されると消去可能マークが消去し、予期していない消去不可マークが現れて意外性の高い変化が起こる。たとえば、不正な画像読み取りに対し、読み取り元の印刷物自体に意外性の高い変化が起こることで、不正を戒める高い心理的効果(猛省を促す効果)を与えることができる。これにより、印刷物の画像読み取りによる複製行為の再発抑止効果が高められる。また、図30に例示したような紙面の一部領域のみに印刷する同化マーク(非地紋マーク)や図32に例示した同化マークと非同化マークを含む組み合せマークであれば、トナー消費量を抑えることができる。
【0171】
特に図32に例示した組み合せマークでは、読み取り前の原稿には「機密保護対象」が表示されていることで、コピーやスキャンに対して警戒心を与えることができ、複製や保存に対する抑制効果が得られる。これに違反してコピーやスキャンが行われた場合には、「機密保護違反!」に変化して原稿にその違反行為の証拠が現れると共に、予期していない警告メッセージが現れて強い心理的効果を与えることができ、再発抑止効果が高められる。
【0172】
地紋マークにおいては、消去可能マークと消去不可マークを目視では識別困難な1つのマークとし、かつ、見た目でより違和感の少ない付加画像(背景画像)として印刷物に付加することができる。
【0173】
また、地紋マークを含む同化マークにおいて、消去可能マークと消去不可マークを同一かつ連続したパターンのドットで構成した場合には、両マークを目視では識別不可能な1つのマーク(背景模様など)として印刷物に付加することができる。
【0174】
[第4の実施形態]
第4の実施形態では、第1および第3の実施形態で説明した消去可能マークや消去不可マークの印刷設定を端末装置10で行う場合の具体的な動作について説明する。ここでは、消去可能マークを背景文字として付加する図5、従来の地紋画像を付加する図23、消去可能マークと消去不可マークを組み合せて地紋マークを付加する図25に例示した印刷物を作成する場合の印刷設定(セキュリティ出力設定)を例に説明する。
【0175】
図33は、本実施形態に係る端末装置10によるドキュメントの印刷依頼動作を示す流れ図である。図34は、図33におけるセキュリティ出力設定処理のサブルーチンを示す流れ図である。図35〜図42は、本動作で端末装置10の表示部17に表示されるプリンタドライバ50の印刷設定画面60の一例を示す図である。
【0176】
図33に示すように、端末装置10はユーザから表示部17および操作部18を通じて印刷するドキュメントの選択を受け付けると(ステップS501)、CPU11は選択されたドキュメントの出力履歴を履歴管理テーブル51にて確認する(ステップS502)。出力履歴がない場合には(ステップS503;No)、CPU11(プリンタドライバ50)は表示部17に印刷設定画面60を表示し(図35参照)、印刷設定画面60を通じて印刷設定を受け付ける(ステップS504)。
【0177】
印刷設定では、出力先(印刷依頼先)の複合機20の指定を受け付ける(図36参照)。また、ユーザは必要に応じてセキュリティ出力の指定を行う。セキュリティ出力の指定は、消去可能マークとなる背景文字の設定(図37参照)、または、従来の地紋印刷技術による地紋画像を構成する隠し文字と背景模様の設定(図38〜図41参照)、または、第3の実施形態で説明した地紋マークを構成する隠し文字(消去可能マーク)と背景模様(消去不可マーク)の設定である(図42参照)。
【0178】
セキュリティ出力の指定がない場合には(ステップS505;No)、受け付けた印刷設定に係る通常出力設定処理を行い(ステップS506)、その印刷設定情報を選択されたドキュメントに関連付けて履歴管理テーブル51に登録する(ステップS507)。たとえば、ドキュメントの特定情報となるID(識別情報)やドキュメント名(ファイル名)と印刷設定情報とを関連付けて履歴管理テーブル51に登録する。また、ドキュメントの特定情報および更新日時と印刷設定情報とを関連付けて履歴管理テーブル51に登録するようにしてもよい。そして、選択されたドキュメントの電子データと印刷設定情報とを含む印刷データを生成し(ステップS508)、指定された複合機20に送信する(ステップS509/End)。
【0179】
セキュリティ出力の指定がある場合には(ステップS505;Yes)、CPU11はセキュリティ出力設定処理を行う(ステップS510)。本処理でセキュリティ出力の設定が完了した場合は(ステップS511;Yes)、ステップS507へ移行する。セキュリティ出力の設定が完了しなかった場合は(ステップS511;No)、ドキュメントの印刷指示をキャンセルする(End)。
【0180】
選択されたドキュメントの出力履歴がある場合には(ステップS503;Yes)、CPU11は履歴管理テーブル51においてその選択されたドキュメントに関連付けて登録されている印刷設定情報を表示部27に表示する(ステップS512)。ユーザから印刷設定情報を利用しない指示を受け付けた場合には(ステップS513;No)、ステップS504へ移行する。ユーザから印刷設定情報を利用する指示を受け付けた場合には(ステップS513;Yes)、選択されたドキュメントの電子データと、履歴管理テーブル51に登録されている該当の印刷設定情報とを含む印刷データを生成し(ステップS514)、この印刷設定情報によって示される出力先の複合機20に送信する(ステップS509/End)。
【0181】
図30に示すセキュリティ出力設定処理では、CPU11はネットワーク通信部19を通じて出力先の複合機20に消色トナーの残量を問い合わせて確認する(ステップS601)。端末装置10から消色トナーの残量の問い合わせを受けた複合機20は、トナー残量検出部34により検出した消色トナーの残量が所定量以下であるか否かの検出結果を端末装置10に応答する。
【0182】
セキュリティ出力の種別が背景文字の場合には(ステップS602;背景文字)、消色トナーの残量が所定量超過であれば(ステップS603;No)、CPU11は印刷設定画面60(図35〜図37参照)で受け付けた印刷設定、出力先の複合機20の設定、背景文字の印刷に係る設定を行う(ステップS604/Return)。消色トナーの残量が所定量以下であれば(ステップS603;Yes)、CPU11は印刷設定画面60で受け付けた設定を行わず、指定された複合機20では背景文字の付加によるセキュリティ出力の印刷が不可であることを表示部17に表示する(ステップS605/Return)。
【0183】
セキュリティ出力の種別が地紋の場合には(ステップS602;地紋)、消色トナーを使用しない従来の地紋画像であれば(ステップS606;No(図38〜図41参照))、CPU11は地紋画像における隠し文字および背景模様に使用するトナーを通常トナーに確定する(ステップS607)。そして、印刷設定画面60(図31、図32、図34〜図37参照)で受け付けた印刷設定、出力先の複合機20の設定、地紋画像の印刷に係る設定を行う(ステップS608/Return)。
【0184】
消色トナーを使用する地紋マークの場合には(ステップS606;Yes(図42参照))、消色トナーの残量が所定量以下であれば(ステップS609;Yes)、CPU11は地紋マークを従来の地紋画像に置き換えて印刷するようにし、隠し文字および背景模様に使用するトナーを通常トナーに確定する(ステップS607)。そして、印刷設定画面60(図35、図36、図42参照)で受け付けた印刷設定、出力先の複合機20の設定、地紋マークを従来の地紋画像に置き換えた印刷に係る設定を行う(ステップS608/Return)。
【0185】
消色トナーの残量が所定量超過であれば(ステップS609;No)、CPU11は地紋マークにおける隠し文字に使用するトナーを通常トナーに、背景模様に使用するトナーを消色トナーに確定する(ステップS610)。そして、印刷設定画面60(図35、図36、図42参照)で受け付けた印刷設定、出力先の複合機20の設定、地紋マークの印刷に係る設定を行う(ステップS608/Return)。
【0186】
本実施形態では、端末装置10において印刷を指示するドキュメントの画像に消去可能マークや消去不可マークを付加する設定を行う場合に、以前に設定を行って記憶されている印刷設定情報を使用して簡単に設定を行うことができる。
【0187】
以上、本発明の実施形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0188】
消去可能マーク(第1マーク)や消去不可マーク(第2マーク)は、ドキュメントの印刷毎や原稿の複写毎の印刷設定で付加するか否かを切り替えるようにしているが、このように印刷毎や複写毎に切り替えるのではなく、自動で付加されるように構成してもよい。たとえば、端末装置10や複合機20に初期設定(管理者設定)やユーザ設定などによって設定できるセキュリティモードなどを設け、セキュリティモードの設定状態における印刷や複写では自動でマークが付加されるような構成としてもよい。
【0189】
このようなセキュリティモードは、たとえば、端末装置10において複数のドキュメントを複写禁止の機密書類などとして連続的に印刷するような場合や、複合機20において複数の原稿を複写禁止の機密書類などとして連続的に複写作成するような場合に、印刷毎や複写毎にマークを付加する設定をその都度行う必要がなく、便利である。また、端末装置10をセキュリティ印刷専用で使用するような場合や複合機20をセキュリティ複写専用で使用するような場合にも有用である。
【0190】
また、印刷指示された画像は通常トナーのみを使用して印刷される構成に限らない。たとえば、印刷設定で画像の一部領域を指定し、その一部領域を消色トナーを使用して印刷される領域に設定できる構成としてもよい。この構成では、印刷する画像のうち特に機密性の高い情報が記載されている領域などを、消色トナーを使用して印刷される領域に設定することで、この画像が印刷された印刷物が不正に複写されたとしても、消色トナーを使用して印刷された機密性の高い情報などは複写時(画像読取時)に印刷物から消去されて複写されないようになり、情報漏洩を防止することができる。
【0191】
消色可能な印刷剤は、電子写真方式の印刷装置(複合機)を例に消色トナーとした場合で説明したが、インクジェット方式のプリンタで使用される、特定波長光の照射で消色(無色化)する消色インクなどでもよい。
【0192】
また、本発明に係る印刷装置は、実施形態で説明した複合機に限らず、複写機やスキャナ機なども対象にすることができる。
【符号の説明】
【0193】
2…ネットワーク
10…端末装置
11…CPU
12…バス
13…ROM
14…RAM
15…不揮発メモリ
16…ハードディスク装置
17…表示部
18…操作部
19…ネットワーク通信部
20…複合機(MFP)
21…CPU
22…バス
23…ROM
24…RAM
25…不揮発メモリ
26…ハードディスク装置
27…表示部
28…操作部
29…ファクシミリ通信部
30…ネットワーク通信部
31…画像処理部
32…スキャナ部
33…プリンタ部
34…トナー残量検出部
41…プラテンガラス
42…読取装置
43…移動機構
44…読取用光源
45…ラインイメージセンサ
46…消去用光源
47…反射板
48…保持部材
50…プリンタドライバ
51…履歴管理テーブル
60…印刷設定画面
La…照明光
Lb…反射光
M、M1、M11、M21、M31…原稿
P1、P11、P21、P31…印刷物(複写物)
I1、I21、I31…読取画像
S…読取範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷指示された画像と、特定波長光の照射により消色する消色印刷剤を使用して印刷される第1マークとが同一の記録紙に印刷される印刷データを生成する
ことを特徴とする印刷データ生成装置。
【請求項2】
前記印刷データを、前記特定波長光の照射により消色しない非消色印刷剤を使用して印刷される第2マークが、前記記録紙に更に印刷される印刷データとして生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷データ生成装置。
【請求項3】
前記印刷データを、前記第1マークと前記第2マークの組み合せにより1つの組み合せマークが構成される印刷データとして生成する
ことを特徴とする請求項2に記載の印刷データ生成装置。
【請求項4】
前記組み合せマークは、前記第1マークと前記第2マークの境界が目立たないようにされて前記第1マークと前記第2マークとが同化して組み合せられた同化マークを含む
ことを特徴とする請求項3に記載の印刷データ生成装置。
【請求項5】
前記同化マークは、前記第1マークと前記第2マークのうちの一方が背景となり他方が該背景に隠されて組み合せられた地紋マークを含む
ことを特徴とする請求項4に記載の印刷データ生成装置。
【請求項6】
前記第1マークと前記第2マークのうちの一方は所定の読取解像度で読み取ることができる大きさおよび密度のドットで構成され他方は前記所定の読取解像度で読み取ることができない大きさおよび密度のドットで構成される
ことを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の印刷データ生成装置。
【請求項7】
前記第1マークと前記第2マークが同一かつ連続したパターンのドットで構成される
ことを特徴とする請求項4または5に記載の印刷データ生成装置。
【請求項8】
前記第2マークは、前記記録紙に前記第1マークが印刷されたことを示す表示情報である
ことを特徴とする請求項2に記載の印刷データ生成装置。
【請求項9】
前記画像の印刷設定で前記第1マークの印刷に関する設定を受け付けた場合は該設定を示す印刷設定情報を前記画像に関連付けて記憶し、該画像に対する次回以降の印刷設定では該画像に関連付けて記憶されている印刷設定情報を使用可能とする
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の印刷データ生成装置。
【請求項10】
請求項1に記載の印刷データ生成装置と、
前記印刷データ生成装置により生成された印刷データに基づき前記画像と前記消色印刷剤を使用して印刷される前記第1マークとを同一の記録紙に印刷する印刷部と、
を備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項11】
請求項2〜8のいずれか1項に記載の印刷データ生成装置と、
前記印刷データ生成装置により生成された印刷データに基づき前記画像と前記消色印刷剤を使用して印刷される前記第1マークと前記非消色印刷剤を使用して印刷される前記第2マークとを同一の記録紙に印刷する印刷部と、
を備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項12】
情報処理装置を請求項1〜9のいずれか1項に記載の印刷データ生成装置として機能させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図9】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図22】
image rotate

【図24】
image rotate

【図27】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate

【図37】
image rotate

【図39】
image rotate

【図40】
image rotate

【図41】
image rotate

【図42】
image rotate

【図5】
image rotate

【図8】
image rotate

【図10】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図23】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図38】
image rotate


【公開番号】特開2011−171958(P2011−171958A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33233(P2010−33233)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】