説明

印刷処理装置の制御方法、レシート印刷装置の制御方法、印刷処理装置、レシート発行システムおよびプログラム

【課題】多額のコストをかけることなく、偽造防止効果の高い印刷物を作成すること。
【解決手段】レシートを作成するレシート印刷装置の制御方法であって、会計情報を取得するステップ(S01)と、会計情報に基づいて、暗号化情報の要否を判別する偽造防止判別ステップ(S02)と、暗号化情報が必要と判定された場合、会計情報の少なくとも一部を用いて暗号化情報を生成する暗号化情報生成ステップ(S06)と、暗号化情報が必要と判定された場合(S03:Yes)、会計情報および暗号化情報を印刷し、暗号化情報が不要と判定された場合(S03:No)、会計情報のみを印刷する印刷ステップ(S04,S07)と、を実行することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
偽造防止の必要性がある印刷物(レシート)を作成する印刷処理装置の制御方法、レシート印刷装置の制御方法、印刷処理装置、レシート発行システムおよびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、偽造防止の必要性がある印刷物の印刷方法として、例えば特許文献1が提案されている。当該特許文献1の発明は、複数の情報を、可視インク、蛍光インクおよび赤外光吸収インクなどの特殊インクで印刷することにより、偽造が困難で、且つ偽造物を簡単に識別可能としている。また、同じく特殊インクを用いて偽造防止された印刷物に関する発明として、特許文献2が提案されている。当該特許文献2の発明は、暗号化した真偽認証用データを、ステルスインクを用いて有価担体に記録することにより、有価担体の不正使用を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−326443号公報
【特許文献2】特開2001−236487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記特許文献1の発明は、高価な特殊インクを複数種類用いて印刷するため、ランニングコストが高いといった問題がある。また、特許文献1に記載の印刷装置は、外部指令装置から取得した印刷データに基づいて印刷を行っているため、偽造防止機能を搭載するためには、外部指令装置の改造が必要となり、イニシャルコストがかかるという問題もある。また、上記特許文献2の発明は、各種カードや株券などの有価担体に対してステルスインクを用いた印刷を行うものであるが、大量に発行される印刷物に適用した場合は、やはりランニングコストがかかってしまう。
【0005】
一方、近年レシートの偽造が社会問題化している。偽造されたレシートは、万引き商品を店外に持ち出すために用いられる。また、悪質なケースでは、万引きした商品を、その店に返品して代金を受け取る場合もある。このため、効果的な偽造レシート防止策の提案が望まれている。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑み、多額のコストをかけることなく、偽造防止効果の高い印刷物を作成可能な印刷処理装置の制御方法、レシート印刷装置の制御方法、印刷処理装置、レシート発行システムおよびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の印刷処理装置の制御方法は、印刷物を作成する印刷処理装置の制御方法であって、印刷処理装置が、可変情報である第1の情報に基づいて、暗号化情報の要否を判別する偽造防止判別ステップと、偽造防止判別ステップにおいて、暗号化情報が必要と判定された場合、第1の情報の少なくとも一部を用いて暗号化情報を生成する暗号化情報生成ステップと、偽造防止判別ステップにおいて、暗号化情報が必要と判定された場合、第1の情報および暗号化情報を印刷し、暗号化情報が不要と判定された場合、第1の情報のみを印刷する印刷ステップと、を実行することを特徴とする。
【0008】
上記に記載の印刷処理装置の制御方法において、印刷処理装置が、印刷処理装置に固有の情報である第2の情報を、所定の記憶領域から読み出す第2の情報読み出しステップをさらに実行し、暗号化情報生成ステップでは、第1の情報および第2の情報を用いて、暗号化情報を生成することが好ましい。
【0009】
この構成によれば、印刷処理装置に固有の情報である第2の情報を用いて暗号化情報を生成するため、当該暗号化情報を復号化することで、どの印刷処理装置で印刷された印刷物であるかを特定できる。これにより、印刷物の信頼性を高めることができる。
【0010】
本発明のレシート印刷装置の制御方法は、POS端末と接続されて用いられるレシート印刷装置の制御方法であって、レシート印刷装置が、POS端末から、当該POS端末の会計処理結果である会計情報を取得する会計情報取得ステップと、会計情報に基づいて、暗号化情報の要否を判別する偽造防止判別ステップを実行する。そして偽造防止判別ステップにおいて、暗号化情報が必要と判定された場合、会計情報の少なくとも一部を用いて暗号化情報を生成する暗号化情報生成ステップと、偽造防止判別ステップにおいて、暗号化情報が必要と判定された場合、会計情報および暗号化情報を印刷し、暗号化情報が不要と判定された場合、会計情報のみを印刷する印刷ステップと、を実行することを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、会計処理に伴って発行されるレシートの偽造を防止できる。また、暗号化情報の印刷は、会計情報に基づいて暗号化情報が必要と判定された場合に限られるため、レシート印刷に要するランニングコストを軽減できる。特に、レシートは、大量に発行される印刷物であるため、そのコスト軽減効果は高い。また、レシート印刷装置によって、偽造防止機能を実現するため、既存のPOS端末を用いることができる。つまり、POS端末の改造を必要としないため、イニシャルコストの軽減を図ることができる。
【0012】
上記に記載のレシート印刷装置の制御方法において、レシート印刷装置が、レシート印刷装置に固有の情報である装置情報を、所定の記憶領域から読み出す装置情報読み出しステップをさらに実行し、暗号化情報生成ステップでは、会計情報および装置情報を用いて、暗号化情報を生成することが好ましい。
【0013】
この構成によれば、レシート印刷装置の装置情報を用いて暗号化情報を生成するため、当該暗号化情報を復号化することで、どのレシート印刷装置で印刷されたレシートであるかを特定できる。これにより、レシートの信頼性を高めることができる。
【0014】
上記に記載のレシート印刷装置の制御方法において、偽造防止判別ステップでは、会計情報に含まれる取引合計金額が所定額を超えている場合、暗号化情報が必要と判定することが好ましい。
【0015】
上記に記載のレシート印刷装置の制御方法において、偽造防止判別ステップでは、会計情報に、特定商品の商品情報が含まれる場合、暗号化情報が必要と判定することが好ましい。
【0016】
上記に記載のレシート印刷装置の制御方法において、偽造防止判別ステップでは、会計情報に含まれる商品数が所定数を超えている場合、暗号化情報が必要と判定することが好ましい。
【0017】
これらの構成によれば、取引合計金額が高額の場合、特定商品(換金または転売されやすい商品、目玉商品など商品切れが発生しやすい商品、プレミアム商品など)が購入された場合や商品数が多い場合、などに、暗号化情報を印刷するため、小売店の甚大な被害を未然に防止できる。
なお、取引合計金額の判別基準となる所定額、特定商品の種類、商品数の判別基準となる所定数、などについて、ユーザーが設定可能としても良い。また、どの判別条件を用いるか、各条件をOR条件とするかAND条件とするか、などについて、設定可能としても良い。
【0018】
上記に記載のレシート印刷装置の制御方法において、偽造防止判別ステップでは、会計情報に基づいて、暗号化情報の要否と共に、偽造防止ランクを判別し、暗号化情報生成ステップでは、偽造防止ランクに応じた暗号化方式により、暗号化情報を生成することが好ましい。
【0019】
この構成によれば、会計情報に基づいて偽造防止ランクを判別し、その判別結果に応じた暗号化方式により暗号化情報を生成するため、例えば、偽造レシートによる被害額が大きいと想定される場合に暗号化方式を複雑化することにより、小売店の甚大な被害を効果的に防止できる。
なお、暗号化方式としては、DES、トリプルDES、AESなど、偽造防止ランクに応じて、レベルを上げていくことが好ましい。また、これらの共通鍵暗号以外に、秘密鍵暗号や、公開鍵暗号などを採用しても良い。また、偽造防止ランクが低い場合は、特定の人が判別可能な隠語レベルのものを採用しても良い。その他、暗号化のアルゴリズムは問わない。
【0020】
上記に記載のレシート印刷装置の制御方法において、偽造防止判別ステップでは、会計情報に含まれる商品の種類に基づいて暗号化情報の要否を判定し、暗号化情報が必要ないと判定された場合は、暗号化情報を印刷しないことが好ましい。
【0021】
上記に記載のレシート印刷装置の制御方法において、暗号化情報は、インセンティブを受けるための引換番号または抽選番号として機能することが好ましい。
【0022】
この構成によれば、暗号化情報が、インセンティブ(クーポン、金券、商品券など)を受けるための引換番号または抽選番号として機能するため、レシートの破棄を防止できる。これにより、拾ったレシートを店内の商品と一緒に提示して不正返品に利用する、レシートを複製して偽造レシートを作成する、などの犯罪行為を、未然に抑止できる。
【0023】
上記に記載のレシート印刷装置の制御方法において、印刷ステップでは、暗号化情報を、不可視塗料で印刷することが好ましい。
【0024】
この構成によれば、暗号化情報が、不可視塗料で印刷されるため、レシートの複製を困難化することができ、ひいては偽造防止効果を高めることができる。
なお、「不可視塗料」とは、ステルスインク、蛍光インク、赤外線インクなど、光によって可視化されるものの他、熱、化学反応、紙の変質などによって可視化されるものなど、特定の処理を施すことによって可視化される塗料を指す。
【0025】
本発明の印刷処理装置は、印刷物を作成する印刷処理装置であって、可変情報である第1の情報に基づいて、暗号化情報の要否を判別する偽造防止判別部と、偽造防止判別部により、暗号化情報が必要と判定された場合、第1の情報の少なくとも一部を用いて暗号化情報を生成する暗号化情報生成部と、偽造防止判別部により、暗号化情報が必要と判定された場合、第1の情報および暗号化情報を印刷し、暗号化情報が不要と判定された場合、第1の情報のみを印刷する印刷部と、を備えたことを特徴とする。
【0026】
これらの構成によれば、可変情報である第1の情報に基づいて、暗号化情報の要否を判別し、暗号化情報が必要と判定したのみ、暗号化情報を生成して印刷する。言い換えれば、暗号化情報が不要と判定した場合は、暗号化情報の生成および印刷を行わないため、偽造防止を目的とした暗号化情報の印刷に要するランニングコストを軽減できる。また、偽造防止策として、暗号化情報を用いることで、偽造防止効果およびセキュリティー効果を高めることができる。
なお、印刷物の印刷方法は、インクジェット印刷、サーマル印刷、ドットインパクト印刷、熱転写印刷など、その種類を問わない。
【0027】
本発明のレシート発行システムは、レシート印刷装置と、顧客端末と、Webサーバーと、がネットワークを介して接続されたレシート発行システムである。レシート印刷装置は、POS端末から、当該POS端末の会計処理結果である会計情報を取得する会計情報取得部と、会計情報に基づいて、暗号化情報の要否を判別する偽造防止判別部と、偽造防止判別部により、暗号化情報が必要と判定された場合、会計情報の少なくとも一部を用いて暗号化情報を生成する暗号化情報生成部と、偽造防止判別部により、暗号化情報が必要と判定された場合は、会計情報および暗号化情報を印刷し、暗号化情報が不要と判定された場合は、会計情報のみを印刷する印刷部と、会計情報を含むレシート情報を、Webサーバーに送信するレシート情報送信部と、を備え、顧客端末は、Webサーバーにアクセスし、会計情報の一部により、レシート情報を指定して、個人情報を入力する個人情報入力部を備え、Webサーバーは、レシート印刷装置から取得したレシート情報と、顧客端末から取得した個人情報と、を関連付けて記憶するデータベースと、データベースに記憶されているレシート情報を対象としてインセンティブの付与を決定するインセンティブ付与決定部と、インセンティブ付与決定部による決定結果を、顧客端末に送信する付与結果送信部と、を備えたことを特徴とする。
【0028】
この構成によれば、多額のランニングコストをかけることなく、会計処理に伴って発行されるレシートの偽造を防止できる。また、インセンティブを受けるために、レシートに印刷された情報(会計情報)が必要となるため、顧客によるレシートの破棄を防止できる。これにより、拾ったレシートを店内の商品と一緒に提示して不正返品に利用する、レシートを複製して偽造レシートを作成する、などの犯罪行為を、未然に抑止できる。また、インセンティブの付与結果は、顧客端末に対して送信するため、わざわざ店舗まで赴いて付与結果を確認するなどの顧客の手間をなくすことができる。さらに、本システムを、会員登録などのCRM(Customer Relationship Management)導入のきっかけとしたり、本システムの活用により、顧客の個人情報を入手したりできる。また、個人情報と、それに関連付けて記憶されているレシート情報とを、マーケティング情報として収集し、販売戦略に役立てることができる。
なお、インセンティブ付与決定部により、インセンティブの付与を決定した後、実際にインセンティブを付与しても良い。例えば、金券やクーポン券の印刷データを生成する、顧客データベースに次回割引額を書き込む、などの処理を行っても良い。但し、前者の場合、付与結果送信部は、金券やクーポン券の印刷データを顧客端末に送信することとなる。
また、インセンティブ付与決定部は、抽選を行ない、その抽選結果に応じて、インセンティブの付与を決定するものであっても良い。
【0029】
上記に記載のレシート発行システムにおいて、レシート印刷装置は、レシート印刷装置に固有の情報である装置情報を、所定の記憶領域から読み出す装置情報読み出し部をさらに備え、暗号化情報生成部は、会計情報および装置情報を用いて、暗号化情報を生成することが好ましい。
【0030】
この構成によれば、レシート印刷装置の装置情報を用いて暗号化情報を生成するため、当該暗号化情報を復号化することで、どのレシート印刷装置で印刷されたレシートであるかを特定できる。これにより、レシートの信頼性を高めることができる。
【0031】
上記に記載のレシート発行システムにおいて、レシート情報送信部は、会計情報および装置情報を、Webサーバーに送信し、インセンティブ付与決定部は、会計情報および装置情報に基づいて、インセンティブを決定することが好ましい。
【0032】
この構成によれば、例えば会計情報に応じてインセンティブの付与率を可変したり、購入商品に応じたインセンティブを付与したり、装置情報に応じてその地域に応じたインセンティブを付与したりするなど、会計情報や装置情報に応じて、適切なインセンティブを付与できる。
【0033】
本発明のプログラムは、コンピューターに、上記に記載の印刷処理装置の制御方法における各ステップ、若しくは上記に記載のレシート印刷装置の制御方法における各ステップを実行させるためのものであることを特徴とする。
【0034】
この構成によれば、多額のコストをかけることなく、偽造防止効果の高い印刷物(レシート)を作成可能な印刷処理装置の制御方法、またはレシート印刷装置の制御方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態に係るレシート発行システムのシステム構成図である。
【図2】レシート発行システムの制御ブロック図である。
【図3】レシートの印刷例を示す図である。
【図4】(a)はWebサーバーに備えられたデータベースに格納される情報を示す図、(b)はクーポンの一例を示す図である。
【図5】レシート発行システムの機能ブロック図である。
【図6】レシート印刷装置による印刷処理を示すフローチャートである。
【図7】レシート印刷装置による偽造防止判別処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の一実施形態に係る印刷処理装置の制御方法、レシート印刷装置の制御方法、印刷処理装置、レシート発行システムおよびプログラムについて、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0037】
図1は、レシート発行システムSYのシステム構成図である。本実施形態に係るレシート発行システムSYは、会計処理を行うPOS端末10と、会計レシートR(以下、単に「レシートR」と称する)を発行するレシート印刷装置20と、顧客によって操作される顧客端末30と、Web上に設けられたWebサーバー40と、レシートRを読み取ってその真贋を判別するスキャナー50と、から成る。なお、このうちレシート印刷装置20により、請求項における「印刷処理装置」が実現される。また、レシート印刷装置20、顧客端末30およびWebサーバー40により、請求項における「レシート発行システム」が実現される。
【0038】
POS端末10、レシート印刷装置20およびスキャナー50は、小売店である店舗内に設けられる。また、レシート印刷装置20は、POS端末10から取得した会計情報(第1の情報)に基づいて、レシートRを発行する。なお、本実施形態では、レシート印刷装置20が、インターネット等のネットワークNTに接続される構成であるが、POS端末10を介してネットワークNTに接続される構成としても良い。
【0039】
顧客端末30は、ネットワークNTへの接続機能を有する情報処理端末であり、顧客の自宅に配置されるパーソナルコンピューターや、顧客が所有する携帯電話等を適用可能である。また、顧客端末30は、本実施形態において、顧客の個人情報を入力(Webサーバー40に登録)するために用いられる。
【0040】
Webサーバー40は、ネットワークNTに接続され、レシート印刷装置20から、上記の会計情報を含むレシート情報を取得し、顧客端末30から個人情報を取得して、これらを関連付けてデータベースDBに格納する。また、データベースDBに格納されたレシート情報を対象として、定期的または所定のタイミングで抽選を行い、当選者の顧客端末30に対し、賞品となるクーポン70(図4(b)参照)を配信する。
【0041】
次に、図2を参照し、レシート発行システムSYの制御構成について説明する。まず、POS端末10は、商品に印刷または貼付されたバーコードを読み取るバーコードリーダー11、商品コードなど各種情報を入力するためのキーボード12、商品金額や取引合計金額など各種情報を表示するためのPOSディスプレー13、CPU(Central Processing Unit)を主要部とし、POS端末10を統括制御するPOS制御部15、POSアプリケーション16aなどを記憶するPOS記憶部16、レシート印刷装置20とケーブル等を介して接続されるPOSインターフェース(POS I/F)18を備えている。
【0042】
続いて、レシート印刷装置20の制御構成について説明する。レシート印刷装置20は、通常インク(可視塗料)によって印刷を行う通常印刷部21、ステルスインク(不可視塗料)によって印刷を行うステルス印刷部22、長尺状のレシート用紙の印刷済み部分をレシート幅方向に切断するレシート切断部23、POS端末10とケーブル等を介して接続される印刷装置インターフェース(印刷装置I/F)24、レシート印刷装置20を統括制御する印刷装置制御部25、各種情報を不揮発に記憶する不揮発性メモリー26(所定の記憶領域)、偽造防止を目的とした印刷を行うための偽造防止印刷プログラム27aなどを記憶する印刷装置記憶部27、ネットワークNTと接続されるネットワークインターフェース28(ネットワークI/F)を備えている。
【0043】
通常印刷部21およびステルス印刷部22は、インクジェット方式により印刷を行う。なお、通常インク吐出用およびステルスインク吐出用として、2つのインクジェットヘッドを備えた構成としても良いし、複数のノズル列を搭載したインクジェットヘッドであれば、ノズル列単位で、異なるインクを吐出させる構成としても良い。
【0044】
また、不揮発性メモリー26には、レシート発行システムSYが導入された店舗の店番号、およびレシート印刷装置20に固有の印刷装置番号などが、装置情報(第2の情報)として記憶されている。
【0045】
また、偽造防止印刷プログラム27aは、偽造防止を目的とした暗号化情報69(図3参照)をレシートR上に印刷するためのプログラムである。印刷装置制御部25は、当該偽造防止印刷プログラム27aに従い、POS端末10から取得した会計情報に基づいて、暗号化情報の要否を判別し、その判別結果に応じて、暗号化処理を行う。暗号化処理を行った場合は、会計情報および暗号化情報69を印刷し、暗号化処理を行わなかった場合は、会計情報のみを印刷する。なお、暗号化情報69は、会計情報の一部の情報(会計日時、取引合計金額、レジ担当者番号など)と、装置情報とを、所定の暗号化方式で暗号化することにより得られる情報である。
【0046】
ここで、図3を参照し、レシートRの印刷項目について説明する。同図に示すように、レシートRには、店情報61と、会計日時情報62と、商品情報63と、取引合計金額情報64と、精算情報65と、レジ担当者情報66と、レシートID情報67と、が印刷される(以下においては、店情報61からレシートID情報67までの情報のことを「項目」とも呼ぶ)。これらは、POS端末10によって生成される会計情報に基づく項目であり、全て通常印刷部21により印刷される。
【0047】
また、暗号化情報が必要と判定され、暗号化処理が行われた場合、レシートRには、上記の各項目61〜67の下端側に、メッセージ68と、暗号化情報69と、が印刷される。メッセージ68は、通常印刷部21により印刷され、暗号化情報69は、ステルス印刷部22により印刷される。なお、メッセージ68は、印刷装置記憶部27などから読み出される情報である。また、暗号化情報69は、通常光下では視認できない情報であるため、図3では、鎖線枠にて、その印刷領域を示している。
【0048】
続いて、図2に戻り、顧客端末30の制御構成について説明する。ここでは、顧客端末30として、パーソナルコンピューター(PC)が適用されたものとする。顧客端末30は、ネットワークNTと接続されるネットワークインターフェース(ネットワークI/F)31、各種情報を入力するための入力部32(キーボード、マウスなど)、顧客端末30を統括制御するPC制御部33、各種情報を表示するためのPCディスプレー34を備えている。
【0049】
本実施形態において、入力部32は、主に個人情報を入力するために用いられる。個人情報としては、電子メールアドレス、住所、氏名、性別、年齢、職業などが入力される(図4(a)参照)。特に、電子メールアドレスは、Webサーバー40が、インセンティブの付与結果を顧客端末30に送信する際に、宛先として用いられる。
【0050】
続いて、Webサーバー40の制御構成について説明する。Webサーバー40は、ネットワークNTと接続されるネットワークインターフェース(ネットワークI/F)41、Webサーバー40を統括制御するサーバー制御部42、抽選を行うための抽選プログラム43a、クーポン印刷データを生成するためのクーポン生成プログラム43bなどを記憶するサーバー記憶部43、上記のデータベースDB、などを備えている。
【0051】
図4(a)は、データベースDBに格納される情報を示す図である。同図に示すように、データベースDBには、レシート印刷装置20から送信されたレシート情報と、顧客端末30によって入力された個人情報と、を関連付けした状態で記憶している。レシート情報には、POS端末10の会計処理結果である会計情報と、レシート印刷装置20を特定するための装置情報(店番号および印刷装置番号)と、が含まれる。
【0052】
一方、図4(b)は、クーポン70の一例を示す図である。当該クーポン70には、クーポンコード71と、クーポン名72と、クーポンコード71をコード化したバーコード73と、有効期限74と、が印刷される。当該クーポン70の印刷データは、クーポン生成プログラム43bに基づいて生成される。すなわち、サーバー制御部42は、抽選プログラム43aにより、データベースDBに格納されているレシート情報を対象として抽選を行い、その当選者に対して、クーポン生成プログラム43bにより生成されたクーポン印刷データを送信する。クーポン印刷データが送信された当選者(顧客)は、不図示の印刷装置により、当該クーポン印刷データを印刷し、店舗に持参することで、クーポン70を利用できるようになっている。
【0053】
続いて、図2に戻り、スキャナー50の制御構成について説明する。スキャナー50は、通常インクで印刷された情報を読み取る通常印刷読み取り部51、ステルスインクで印刷された情報(暗号化情報69)を読み取るステルス印刷読み取り部52、スキャナー50を統括制御するスキャナー制御部53、POS端末10とケーブル等を介して接続するためのスキャナーインターフェース(スキャナーI/F)54、などを備えている。
【0054】
通常印刷読み取り部51は、一般的なスキャナーを適用可能であり、光源の種類(LED、レーザーなど)は問わない。また、ステルス印刷読み取り部52は、例えば、赤外線カメラ(CMOSセンサーに赤外線フィルターを装着したもの)でレシートR上に赤外線を照射し、その反射光を撮影する。なお、これら通常印刷読み取り部51およびステルス印刷読み取り部52は、同時に読み取っても良いし、時間分割で読み取っても良い。
【0055】
上記の構成により、スキャナー制御部53は、ステルス印刷読み取り部52の読み取り結果を復号化して得られる会計情報および装置情報から、レシートRが偽造されたものであるか否かを判別する。例えば、レジ担当者番号が存在する番号であるか否か、会計日時、正常な日時であるか否か、取引合計金額が正常な数値か否か、などに基づいて、偽造の有無を判別する。また、通常印刷読み取り部51により読み取った会計情報の一部の項目(項目61〜67のいずれか1つ以上の項目,図3参照)と、復号化によって得られた情報と、の整合性に基づいて、偽造の有無を判別するようにしても良い。なお、スキャナー50による偽造の判別結果は、POS端末10のPOSディスプレー13上に表示される。
【0056】
次に、図5を参照し、レシート発行システムSY(レシート印刷装置20、顧客端末30およびWebサーバー40)の主な機能構成について説明する。まず、レシート印刷装置20は、会計情報取得部210、偽造防止判別部220、装置情報読み出し部230、暗号化情報生成部240、印刷部250、および、レシート情報送信部260を備えている。会計情報取得部210は、印刷装置インターフェース24が、POS端末10から会計情報を取得するものである。
【0057】
また、偽造防止判別部220は、取得した会計情報に基づいて、暗号化情報の要否を判別する。本実施形態では、会計情報に含まれる取引合計金額情報64(図3参照)から、取引合計金額が所定額(例えば、1,000円)を超えると判別された場合、暗号化情報が必要と判定する。また、偽造防止判別部220は、会計情報に含まれる商品情報63に基づいて、偽造防止ランクを判別する。偽造防止ランクは、例えばA〜Dの4段階に分類され、例えばAランクの場合は、暗号化方式として「AES」を採用する。また、Bランクの場合は「トリプルDES」、Cランクの場合は「DES」、Dランクの場合は、特定の人が判別可能な隠語レベル、のように、暗号化方式を決定する。
【0058】
装置情報読み出し部230は、印刷装置制御部25が不揮発性メモリー26から装置情報を読み出す。また、暗号化情報生成部240は、印刷装置制御部25が、偽造防止印刷プログラム27aに含まれる暗号化プログラムに従い、POS端末10から取得した会計情報および読み出した装置情報を用いて、暗号化情報69を生成する。また、この場合、暗号化情報生成部240は、偽造防止判別部220により判別された偽造防止ランクに応じて暗号化方式を決定し、当該暗号化方式を用いて暗号化を行う。
【0059】
印刷部250は、POS端末10からの会計情報の取得をトリガーとして、通常印刷部21により会計情報(項目61〜67)およびメッセージ68を印刷する。また、偽造防止判別部220により暗号化情報が必要と判定された場合は、ステルス印刷部22により、さらに暗号化情報69を印刷する。
【0060】
また、レシート情報送信部260は、レシート情報として、会計情報および装置情報を、Webサーバー40に送信する。なお、レシート情報は、印刷終了毎に送信しても良いし、印刷終了後の非稼働時間を利用して、幾つかのレシート情報をまとめて送信するようにしても良い。以下の説明では、前者のパターンを記載する。
【0061】
続いて、顧客端末30の機能構成について説明する。顧客端末30は、主な機能構成として、個人情報入力部310および付与結果受信部320を備えている。
【0062】
個人情報入力部310は、顧客による入力部32の操作により、Webサーバー40にアクセスし、さらに会計情報の一部(例えば、レシートRを一意に特定するレシートID情報67)によりレシート情報を指定して、個人情報を入力する。
【0063】
付与結果受信部320は、ネットワークインターフェース31により、Webサーバー40から、インセンティブの付与結果(図4(b)に示したクーポン70)を受信する。本実施形態では、Webサーバー40による抽選で当選した顧客の顧客端末30のみ、インセンティブの付与結果を受信するものとする。
【0064】
続いて、Webサーバー40の機能構成について説明する。Webサーバー40は、主な機能構成として、レシート情報取得部410、個人情報取得部420、記録部430、インセンティブ付与決定部440、クーポン生成部450および付与結果送信部460を備えている。
【0065】
レシート情報取得部410は、ネットワークインターフェース41により、POS端末10からレシート情報を取得する。また、個人情報取得部420は、ネットワークインターフェース41により、顧客端末30から個人情報を取得する。記録部430は、サーバー制御部42が、取得したレシート情報をデータベースDBに格納し、顧客端末30からから個人情報が入力された場合は、対応するレシート情報と関連付けてこれを記憶する。
【0066】
インセンティブ付与決定部440は、サーバー制御部42が、データベースDBに記憶されているレシート情報を対象としてインセンティブの付与を決定する。
本実施形態では、会計情報および装置情報に基づいて、抽選プログラム43aを用いた抽選により、付与するインセンティブを決定する。例えば、会計情報に含まれる取引合計金額情報64に基づいて、抽選口数を決定したり、購入商品に応じて、当選商品を可変したり、装置情報に応じて、その地域に特化したクーポンを発行するなど、会計情報や装置情報に応じて、適切なインセンティブを付与する。
【0067】
クーポン生成部450は、サーバー制御部42が、インセンティブ付与決定部440の決定にしたがい、クーポン生成プログラム43bを用いて、クーポン70の印刷データを生成する。
【0068】
付与結果送信部460は、サーバー制御部42が、クーポン生成部450により生成された印刷データを、ネットワークインターフェース41を介して、顧客端末30に送信する。
【0069】
次に、図6および図7のフローチャートを参照し、レシート印刷装置20による印刷処理について説明する。図6は、印刷処理のメインルーチン、図7は、そのサブルーチンを示している。
【0070】
図6に示すように、レシート印刷装置20(印刷装置制御部25)は、POS端末10から会計情報を取得すると(S01)、偽造防止判別処理を行う(S02)。当該偽造防止判別処理については、図7を参照して後述する。偽造防止判別処理により、暗号化情報が不要と判定された場合は(S03:No)、取得した会計情報のみを印刷したレシートRを発行する(S04)。
【0071】
一方、暗号化情報が必要と判定された場合は(S03:Yes)、不揮発性メモリー26から装置情報を読み出し(S05)、会計情報および装置情報、並びに偽造防止判別処理(S02)により判別された偽造防止ランクに基づいて暗号化情報69を生成する(S06)。その後、会計情報、メッセージ68および暗号化情報69を印刷したレシートRを発行する(S07)。また、Webサーバー40に対し、レシート情報(会計情報および装置情報)を送信する(S08)。
【0072】
続いて、図7を参照し、偽造防止判別処理(S02)について説明する。レシート印刷装置20(印刷装置制御部25)は、POS端末10から取得した会計情報に基づいて、まず取引合計金額が所定額を超えているか否かを判別する(S21)。取引合計金額が所定額を超えていない場合は(S21:No)、暗号化情報が不要と判定する(S22)。
【0073】
また、取引合計金額が所定額を超えている場合は(S21:Yes)、続いて、購入商品の中にプレミアム商品が含まれるか否かを判別する(S23)。プレミアム商品が含まれているか否かの判別は、商品情報63に、所定の商品名または商品コードが含まれているか否かによって判別する。プレミアム商品が含まれている場合は(S23:Yes)、暗号化情報が必要であって、偽造防止ランク:A(最高ランク)と判定する(S24)。
【0074】
また、プレミアム商品が含まれていない場合は(S23:No)、続いて、購入商品の中に換金されやすい商品(または転売されやすい商品)が含まれるか否かを判別する(S25)。当該工程でも、商品情報63に、所定の商品名または商品コードが含まれているか否かによって判別する。換金されやすい商品が含まれている場合は(S25:Yes)、偽造防止ランク:Bと判定する(S26)。
【0075】
また、換金されやすい商品が含まれていない場合は(S25:No)、続いて、購入商品数が所定数を超えているか否かを判別する(S27)。当該工程では、商品情報63に含まれる商品数に基づいて判別する。購入商品数が所定数を超えている場合は(S27:Yes)、偽造防止ランク:Cと判定する(S28)。一方、購入商品数が所定数を超えていない場合は(S27:No)、偽造防止ランク:D(最低ランク)と判定する(S29)。
【0076】
なお、偽造防止判別処理における判別条件は、これらに限定されるものではなく、他の条件を採用しても良い。例えば、上記の例では、取引合計金額が所定額を超えている場合(S21:Yes)、暗号化情報が必要と判定したが、商品情報63に特定商品の商品情報が含まれていること、若しくは商品情報63に含まれる商品数が所定数を超えていることを条件として、暗号化情報が必要と判定しても良い。また、換金または転売されやすい商品の商品数が所定数を超えていることを条件として、暗号化情報が必要と判定しても良い。その他、判別工程の数や、偽造防止ランクの分類数も任意である。また、ユーザーが、判別条件と、偽造防止ランク(暗号化方式)とを、設定可能としても良い。また、S21において取引合計金額が所定額を超えていない場合、暗号化情報は不要と判定したが、商品の種類により、暗号化情報を不要と判定してもよい。例えば、商品の種類として、プレミアム商品でないものや換金されやすい商品でないものが該当する。
【0077】
以上説明したとおり、本実施形態のレシート発行システムSYによれば、暗号化情報が必要と判定された場合のみレシートR上に暗号化情報69を印刷する、言い換えれば、暗号化情報が不要と判定された場合は暗号化情報69を印刷しないため、全てのレシートR上に暗号化情報69を印刷する場合と比較して、暗号化情報69の印刷に要するステルスインクの使用量を大幅に軽減できる。これにより、偽造防止効果を維持しつつも、レシート印刷に要するランニングコストを軽減できる。
【0078】
また、レシート印刷装置20によって、偽造防止機能を実現できるため、既存のPOS端末10を用いることができる。これにより、POS端末10の改造を必要としないため、イニシャルコストの軽減も図ることができる。
【0079】
また、偽造防止に用いられる暗号化情報69は、レシート印刷装置20に固有の情報である装置情報に基づいて生成されるため、当該暗号化情報69を復号化することで、どのレシート印刷装置20で印刷されたレシートRであるかを特定できる。つまり、復号化によって得られる装置情報によって、管理されたレシート印刷装置20で印刷されたことを証明できるため、レシートRの信頼性を高めることができる。また、復号化によって得られる装置情報が、存在し得ない情報である場合、そのレシートRは偽造の可能性が高いと判別するなど、真贋判定にも用いることができる。
【0080】
また、偽造防止判別処理では、取引合計金額が所定額を超えた場合(高額の場合)に、暗号化情報が必要と判定するため、小売店の甚大な被害を未然に防止できる。また、偽造防止判別処理では、会計情報に基づいて偽造防止ランクを判別し、その判別結果に応じた暗号化方式を用いて暗号化情報69を生成するため、偽造レシートによる被害額が大きいと想定される場合により複雑な暗号化方式を採用することにより、小売店の甚大な被害を効果的に防止できる。また、暗号化情報69は、ステルスインクで印刷されるため、レシートRの複製を困難化することになるので、ひいては偽造抑止効果を高めることができる。
【0081】
また、顧客は、レシートRが発行された後、Webサーバー40に個人情報を登録することで、抽選により、何らかのインセンティブを受けることができるため、顧客によるレシートRの破棄を防止できる。これにより、拾ったレシートRを店内の商品と一緒に提示して不正返品に利用する、レシートRを複製して偽造レシートを作成する、などの犯罪行為を、未然に抑止できる。また、小売店側は、顧客端末30から個人情報を取得できるため、本実施形態のレシート発行システムSYを、会員登録などのCRM(Customer Relationship Management)導入のきっかけとしたり、レシート発行システムSYの活用により、顧客の個人情報を入手したりすることができる。また、データベースDBに格納されているレシート情報および個人情報を、マーケティング情報として利用し、販売戦略に役立てることができる。
【0082】
なお、上記の実施形態において、インセンティブ付与決定部440は、抽選によりクーポン70を発行するものとしたが、個人情報を登録した全ての顧客に対して、インセンティブを付与するようにしても良い。また、お買得情報を通知したり、新たな抽選券を送信したり、クーポン70以外のインセンティブを付与するようにしても良い。
【0083】
また、上記の実施形態において、付与結果送信部460は、クーポン70の印刷データを送信するものとしたが、インセンティブ付与決定部440による決定結果のみを送信し、インセンティブの付与は、後日店舗にて行うようにしても良い。この場合、付与結果送信部460は、「商品○○が当選しました。当選レシートRと引き換えに、商品を受けとってください。」などのメッセージのみを送信すれば良い。この構成によれば、レシートR自体が引換証となるため、レシートRの破棄をより効果的に防止できる。
【0084】
また、付与結果送信部460は、インセンティブを付与しない場合(抽選に外れた場合)も、付与結果を送信するようにしても良い。すなわち、「残念ながら、抽選の結果、非当選となりました。またのご参加をお待ちしております。」などのメッセージを送信しても良い。
【0085】
また、上記の実施形態では、ステルス印刷部22により暗号化情報69を印刷するものとしたが、例えば、レシート印刷装置20がステルス印刷部22を有しない構成の場合など、通常印刷部21により暗号化情報69を印刷しても良い。また、暗号化情報69を、通常印刷部21により印刷するか、ステルス印刷部22により印刷するかについて、ユーザーが選択可能としても良い。また、会計情報が所定の条件を満たした場合は(例えば、極端に取引合計金額が大きい場合など)、ステルス印刷部22による印刷を行い、そうでない場合には、通常印刷部21による印刷を行うようにしても良い。
【0086】
さらに、偽造防止判別処理の判別結果に依らず、全てのレシートRに対して、メッセージ68および暗号化情報69を印刷し、会計情報が所定の条件を満たした場合は、ステルス印刷部22により暗号化情報69を印刷し、そうでない場合には、通常印刷部21により暗号化情報69を印刷するようにしても良い。
【0087】
また、上記の実施形態では、レシート情報として、会計情報および装置情報を、データベースDBに記録しておくものとしたが、これらに代えて、若しくはこれらに加えて、暗号化情報69を記録しておくようにしても良い。また、インセンティブ付与決定部440は、暗号化情報69に基づいて、インセンティブを付与するようにしても良い。上記の通り、暗号化情報69は、会計情報および装置情報に基づいて生成されるため、暗号化情報69に基づいて、インセンティブを付与することで、間接的に、会計情報および装置情報に応じた適切なインセンティブを付与できる。また、暗号化情報69に基づいて、抽選を行う(暗号化情報69を抽選番号として利用する)ことも可能である。また、暗号化情報69を通常インクで印刷するようにすれば、当該暗号化情報69を、個人情報入力の際にレシート情報を特定するための番号として利用できる。
【0088】
また、上記の実施形態では、会計情報の下端部に暗号化情報69を印刷するものとしたが、会計情報の一部に、暗号化情報69を重なるように印刷するようにしても良い。また、暗号化情報69として、文字列を印刷するものとしたが、バーコードや2次元コードなどのコード画像を印刷しても良い。
【0089】
また、上記の実施形態では、インクジェット方式により暗号化情報69の印刷を行うものとしたが、サーマル印刷、ドットインパクト印刷、熱転写印刷など、その種類を問わない。また、暗号化情報69を、通常インクおよびステルスインクで印刷するものとしたが、ステルスインクに代えて、蛍光インクや赤外線インクなどを採用しても良い。また、光によって可視化されるものの他、熱、化学反応、紙の変質などによって可視化される塗料を用いても良い。すなわち、特定の処理を施すことによって可視化される塗料であれば、その種類は問わない。
【0090】
また、上記の実施形態では、スキャナー50により、レシートRの真贋判定を行うものとしたが、POS端末10により真贋判定を行うようにしても良い。すなわち、スキャナー50では、暗号化情報69の読み取りのみを行って、その読み取り結果をPOS端末10に送信し、POS端末10側で、暗号化情報69の復号化および真贋判定を行うようにしても良い。
【0091】
また、上記の実施形態では、レシート印刷装置20により、偽造防止判別処理を行うものとしたが、POS端末10により偽造防止判別処理を行うようにしても良い。また、暗号化情報69の生成についても、POS端末10側で行うようにしても良い。但し、装置情報に基づいて暗号化情報69を生成する場合、装置情報(店番号や、POS端末10の端末番号)を、予めPOS端末10内に不揮発に記憶しておく必要がある。また、この場合、POS端末10は、会計情報の一部として、メッセージ68および暗号化情報69をレシート印刷装置20に送信することとなる。すなわち、レシート印刷装置20は、POS端末10から送信された会計情報に基づいて印刷を行うだけであり、偽造防止機能を実現するための特別な構成としては、ステルスインクによる印刷が可能な点だけである。この構成によれば、POS端末10およびレシート印刷装置20によって、請求項における「印刷処理装置」を実現できる。また、POS端末10側で、偽造防止判別処理や暗号化情報69の生成を行う構成であるため、レシート印刷装置20側で複雑な演算処理を必要とせず、パフォーマンスの低下を防ぐことができる。
【0092】
また、上記の実施形態では、Webサーバー40を利用して、抽選を行うものとしたが、Webサーバー40を利用することなく、単に、暗号化情報69を、インセンティブを受けるための引換番号または抽選番号として機能させるようにしても良い。この構成によれば、Webサーバー40を構築するなどのイニシャルコストをかけることなく、レシートRの破棄を防止できる。
【0093】
また、上記の実施形態に示したレシート発行システムSYの各構成要素や処理工程をプログラムとして提供することが可能である。また、そのプログラムを各種記録媒体(CD−ROM、フラッシュメモリー等)に格納して提供することも可能である。すなわち、コンピューターをレシート発行システムSYの各構成要素として機能させるためのプログラム、コンピューターにレシート発行システムSYの各処理工程を実行させるためのプログラム、およびそれらを記録した記録媒体も、本発明の権利範囲に含まれるものである。
【0094】
また、上記の実施形態では、本発明の印刷処理装置を、レシート印刷装置20に適用した場合について例示したが、レシートR以外の印刷物を印刷可能な装置に適用可能である。印刷対象となる印刷物としては、クーポン、金券、証書、領収書、くじ番号、証明書などが考えられる。つまり、換金可能なものや、各種証明に使用可能なものなど、暗号化情報の必要性のあるものを印刷物として印刷する場合に、本発明の適用が有用である。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0095】
10…POS端末 20…レシート印刷装置 21…通常印刷部 22…ステルス印刷部 27a…偽造防止印刷プログラム 30…顧客端末 40…Webサーバー 43a…抽選プログラム 43b…クーポン生成プログラム 50…スキャナー 51…通常印刷読み取り部 52…ステルス印刷読み取り部 69…暗号化情報 70…クーポン DB…データベース R…レシート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷物を作成する印刷処理装置の制御方法であって、
前記印刷処理装置が、
可変情報である第1の情報に基づいて、暗号化情報の要否を判別する偽造防止判別ステップと、
前記偽造防止判別ステップにおいて、暗号化情報が必要と判定された場合、前記第1の情報の少なくとも一部を用いて暗号化情報を生成する暗号化情報生成ステップと、
前記偽造防止判別ステップにおいて、暗号化情報が必要と判定された場合、前記第1の情報および前記暗号化情報を印刷し、暗号化情報が不要と判定された場合、前記第1の情報のみを印刷する印刷ステップと、を実行することを特徴とする印刷処理装置の制御方法。
【請求項2】
前記印刷処理装置が、
前記印刷処理装置に固有の情報である第2の情報を、所定の記憶領域から読み出す第2の情報読み出しステップをさらに実行し、
前記暗号化情報生成ステップでは、前記第1の情報および前記第2の情報を用いて、前記暗号化情報を生成することを特徴とする請求項1に記載の印刷処理装置の制御方法。
【請求項3】
POS端末と接続されて用いられるレシート印刷装置の制御方法であって、
前記レシート印刷装置が、
前記POS端末から、当該POS端末の会計処理結果である会計情報を取得する会計情報取得ステップと、
前記会計情報に基づいて、暗号化情報の要否を判別する偽造防止判別ステップと、
前記偽造防止判別ステップにおいて、暗号化情報が必要と判定された場合、前記会計情報の少なくとも一部を用いて暗号化情報を生成する暗号化情報生成ステップと、
前記偽造防止判別ステップにおいて、暗号化情報が必要と判定された場合、前記会計情報および前記暗号化情報を印刷し、暗号化情報が不要と判定された場合、前記会計情報のみを印刷する印刷ステップと、を実行することを特徴とするレシート印刷装置の制御方法。
【請求項4】
前記レシート印刷装置が、
前記レシート印刷装置に固有の情報である装置情報を、所定の記憶領域から読み出す装置情報読み出しステップをさらに実行し、
前記暗号化情報生成ステップでは、前記会計情報および前記装置情報を用いて、前記暗号化情報を生成することを特徴とする請求項3に記載のレシート印刷装置の制御方法。
【請求項5】
前記偽造防止判別ステップでは、前記会計情報に含まれる取引合計金額が所定額を超えている場合、暗号化情報が必要と判定することを特徴とする請求項3または4に記載のレシート印刷装置の制御方法。
【請求項6】
前記偽造防止判別ステップでは、前記会計情報に、特定商品の商品情報が含まれる場合、暗号化情報が必要と判定することを特徴とする請求項3または4に記載のレシート印刷装置の制御方法。
【請求項7】
前記偽造防止判別ステップでは、前記会計情報に含まれる商品数が所定数を超えている場合、暗号化情報が必要と判定することを特徴とする請求項3または4に記載のレシート印刷装置の制御方法。
【請求項8】
前記偽造防止判別ステップでは、前記会計情報に基づいて、暗号化情報の要否と共に、偽造防止ランクを判別し、
前記暗号化情報生成ステップでは、前記偽造防止ランクに応じた暗号化方式により、前記暗号化情報を生成することを特徴とする請求項3ないし7のいずれか一項に記載のレシート印刷装置の制御方法。
【請求項9】
前記偽造防止判別ステップにおいて、前記会計情報に含まれる商品の種類に基づいて暗号化情報の要否を判定し、前記暗号化情報が必要ないと判定された場合は、暗号化情報を印刷しないことを特徴とする請求項3ないし8に記載のレシート印刷装置の制御方法。
【請求項10】
前記暗号化情報は、インセンティブを受けるための引換番号または抽選番号として機能することを特徴とする請求項3ないし9のいずれか一項に記載のレシート印刷装置の制御方法。
【請求項11】
前記印刷ステップでは、前記暗号化情報を、不可視塗料で印刷することを特徴とする請求項3ないし10のいずれか一項に記載のレシート印刷装置の制御方法。
【請求項12】
印刷物を作成する印刷処理装置であって、
可変情報である第1の情報に基づいて、暗号化情報の要否を判別する偽造防止判別部と、
前記偽造防止判別部により、暗号化情報が必要と判定された場合、前記第1の情報の少なくとも一部を用いて暗号化情報を生成する暗号化情報生成部と、
前記偽造防止判別部により、暗号化情報が必要と判定された場合、前記第1の情報および前記暗号化情報を印刷し、暗号化情報が不要と判定された場合、前記第1の情報のみを印刷する印刷部と、を備えたことを特徴とする印刷処理装置。
【請求項13】
レシート印刷装置と、顧客端末と、Webサーバーと、がネットワークを介して接続されたレシート発行システムであって、
前記レシート印刷装置は、
POS端末から、当該POS端末の会計処理結果である会計情報を取得する会計情報取得部と、
前記会計情報に基づいて、暗号化情報の要否を判別する偽造防止判別部と、
前記偽造防止判別部により、暗号化情報が必要と判定された場合、前記会計情報の少なくとも一部を用いて暗号化情報を生成する暗号化情報生成部と、
前記偽造防止判別部により、暗号化情報が必要と判定された場合、前記会計情報および前記暗号化情報を印刷し、暗号化情報が不要と判定された場合、前記会計情報のみを印刷する印刷部と、
前記会計情報を含むレシート情報を、前記Webサーバーに送信するレシート情報送信部と、を備え、
前記顧客端末は、
前記Webサーバーにアクセスし、前記会計情報の一部により、前記レシート情報を指定して、前記個人情報を入力する個人情報入力部を備え、
前記Webサーバーは、
前記レシート印刷装置から取得した前記レシート情報と、前記顧客端末から取得した個人情報と、を関連付けて記憶するデータベースと、
前記データベースに記憶されている前記レシート情報を対象としてインセンティブの付与を決定するインセンティブ付与決定部と、
前記インセンティブ付与決定部による決定結果を、前記顧客端末に送信する付与結果送信部と、を備えたことを特徴とするレシート発行システム。
【請求項14】
前記レシート印刷装置は、
前記レシート印刷装置に固有の情報である装置情報を、所定の記憶領域から読み出す装置情報読み出し部をさらに備え、
前記暗号化情報生成部は、前記会計情報および前記装置情報を用いて、前記暗号化情報を生成することを特徴とする請求項13に記載のレシート発行システム。
【請求項15】
前記レシート情報送信部は、前記会計情報および前記装置情報を、前記Webサーバーに送信し、前記インセンティブ付与決定部は、前記会計情報および前記装置情報に基づいて、インセンティブを決定することを特徴とする請求項13または14に記載のレシート発行システム。
【請求項16】
コンピューターに、請求項1または2に記載の印刷処理装置の制御方法における各ステップ、若しくは請求項3ないし11のいずれか一項に記載のレシート印刷装置の制御方法における各ステップを実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−20439(P2011−20439A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−109032(P2010−109032)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】