説明

印刷制御装置、印刷制御システム、印刷制御プログラム、及びそのプログラムを記録した記録媒体

【課題】複数のジョブ蓄積先を有するシステムにおいて、利便性の高い印刷サービスを実現できる印刷制御装置、印刷制御システム、印刷制御プログラム、及びそのプログラムを記録した記録媒体を提供する。
【解決手段】印刷制御装置100は、ジョブ保持手段90を有し、ジョブ保持手段90から取得したジョブを印刷する画像処理装置200と接続される装置であって、画像処理装置200からの処理要求を受け付ける手段14と、処理要求への応答データRDを生成する手段16と、画像処理装置200からの処理要求に応答する手段15とを有し、ジョブ一覧取得要求を受け付けると、システム1内の蓄積ジョブの書誌情報を一元管理する書誌情報保持手段80から取得した利用者の蓄積ジョブの書誌情報に基づき、ジョブ蓄積先特定情報を含むジョブ一覧の応答データRDを生成し、生成した応答データRDを要求元に送信し、ジョブ一覧取得要求に応答することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄積ジョブを印刷する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、印刷サーバが保持する蓄積ジョブ(印刷データ)をプリンタから取得し、該プリンタでジョブを実行(印刷)する技術が開示されている。
【0003】
近年、このような印刷制御システムは、広域環境で利用されるケースがある。例えば、グローバルに事業展開する顧客先などにシステム導入する場合などである。この場合、印刷サーバは、各国や各地の事業所に複数設置され、大規模なシステムが構築されることになる。利用者は、このような環境下であっても、自身の蓄積ジョブを、印刷サーバやプリンタの設置場所に関係なく、どこからでも実行できる環境(ロケーションフリー)を望む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の印刷制御では、複数の印刷サーバを備える大規模システムの場合、利用者がジョブを実行する場合、実行対象ジョブをどの印刷サーバに蓄積したかを把握しておく必要がある。
【0005】
例えば、従来では、次のような方法で、利用者が実行対象ジョブを選択可能なジョブ一覧情報を提供している。画像処理装置は、デフォルト設定された印刷サーバから、利用者の蓄積ジョブの書誌情報を取得し、ジョブ一覧画面を表示する。
【0006】
これに対し利用者は、表示されたジョブ一覧情報に実行対象ジョブの書誌情報が含まれていなければ、画像処理装置に対し、書誌情報の取得先を他の印刷サーバに切り替える指示を行い、新たなジョブ一覧情報を表示させる。
【0007】
そのため、利用者は、実行対象ジョブをどの印刷サーバに蓄積したかを把握していなければ、画像処理装置において、上述した印刷サーバの切り替え指示の操作を繰り返し、再表示されたジョブ一覧情報から実行対象ジョブを見つけることになる。このような操作は、利用者にとって煩雑である。
【0008】
このように、従来の印刷制御では、複数の印刷サーバを備える大規模システムの場合、利用者に対し、利便性の低い印刷サービスを提供することになる。
【0009】
本発明は上記従来技術の問題点を鑑み提案されたものであり、複数のジョブ蓄積先を有するシステムにおいて、利便性の高い印刷サービスを実現できる印刷制御装置、印刷制御システム、印刷制御プログラム、及びそのプログラムを記録した記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る印刷制御装置は、所定の記憶領域に蓄積ジョブを保持するジョブ保持手段を有し、ジョブ一覧画面から選択されたジョブを前記ジョブ保持手段から取得し、取得ジョブを印刷する画像処理装置と、所定のデータ伝送路で接続される印刷制御装置であって、前記画像処理装置からの処理要求を受け付ける要求受付手段と、前記処理要求に応じて実行された処理結果に基づき、前記処理要求への応答データを生成する応答データ生成手段と、前記応答データを前記画像処理装置に送信し、受け付けた前記処理要求に対して応答する要求応答手段と、を有し、前記要求受付手段が、前記画像処理装置からジョブ一覧取得要求を受け付けると、前記応答データ生成手段が、当該印刷制御装置で保持される蓄積ジョブと他の印刷制御装置で保持される蓄積ジョブとを含む全ての蓄積ジョブに対応する複数の書誌情報を一元管理するために該書誌情報を所定の記憶領域に保持する書誌情報保持手段から、利用者の蓄積ジョブに対応する書誌情報を取得し、取得した書誌情報に基づき、ジョブ蓄積先を特定するためのジョブ蓄積先特定情報を含むジョブ一覧の応答データを生成し、前記要求応答手段が、生成されたジョブ一覧の応答データを前記画像処理装置に送信し、前記ジョブ一覧取得要求に対して応答することを特徴とする。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係る印刷制御システムは、所定の記憶領域に蓄積ジョブを保持するジョブ保持手段を有する印刷制御装置と、ジョブ一覧画面から選択されたジョブを前記ジョブ保持手段から取得し、取得ジョブを印刷する画像処理装置とが、所定のデータ伝送路を介して接続される印刷制御システムであって、前記印刷制御装置が、前記画像処理装置からの処理要求を受け付ける要求受付手段と、前記処理要求に応じて実行された処理結果に基づき、前記処理要求への応答データを生成する応答データ生成手段と、前記応答データを前記画像処理装置に送信し、受け付けた前記処理要求に対して応答する要求応答手段と、を有し、前記画像処理装置が、前記印刷制御装置に対し、所定の処理を要求する要求手段と、前記印刷制御装置から前記処理要求に対する応答を受け付ける応答受付手段と、を有し、前記画像処理装置は、前記要求手段が、前記印刷制御装置に対し、ジョブ一覧取得を要求し、前記印刷制御装置は、前記要求受付手段が、前記画像処理装置からジョブ一覧取得要求を受け付けると、前記応答データ生成手段が、当該印刷制御装置で保持される蓄積ジョブと他の印刷制御装置で保持される蓄積ジョブとを含む全ての蓄積ジョブに対応する複数の書誌情報を一元管理するために該書誌情報を所定の記憶領域に保持する書誌情報保持手段から、利用者の蓄積ジョブに対応する書誌情報を取得し、取得した書誌情報に基づき、ジョブ蓄積先を特定するためのジョブ蓄積先特定情報を含むジョブ一覧の応答データを生成し、前記要求応答手段が、生成されたジョブ一覧の応答データを前記画像処理装置に送信し、前記ジョブ一覧取得要求に対して応答し、前記画像処理装置は、前記応答受付手段が、前記印刷制御装置から前記ジョブ一覧取得要求に対する応答を受け付けると、応答受付時に受信した前記ジョブ一覧の応答データに基づき、利用者の前記ジョブ一覧画面を表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数のジョブ蓄積先を有するシステムにおいて、利便性の高い印刷サービスを実現可能な印刷制御装置、印刷制御システム、印刷制御プログラム、及びそのプログラムを記録した記録媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る印刷制御システムの構成例を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る印刷制御装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図4】従来の印刷制御システムの動作例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る印刷制御システムの動作例を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る印刷制御の機能構成例を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る印刷データ管理情報のデータ例を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る書誌管理情報のデータ例を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係るジョブ蓄積の処理手順例を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第1の実施形態に係るジョブ一覧表示の処理手順例を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第1の実施形態に係る応答データのデータ例を示す図である。
【図12】本発明の第1の実施形態に係るジョブ実行の処理手順例を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る印刷制御の機能構成例を示す図である。
【図14】本発明の第2の実施形態に係るジョブ一覧提供の処理手順例を示すフローチャートである。
【図15】本発明の変形例1に係るジョブ一覧の設定画面例を示す図である。
【図16】本発明の変形例1に係るジョブ一覧提供の処理手順例を示すフローチャートである。
【図17】本発明の変形例2に係るジョブ一覧表示の処理手順例を示すフローチャートである。
【図18】本発明の変形例2に係るジョブ一覧表示の画面遷移例を示す図である。
【図19】クラスタリング技術を採用した印刷制御システムの動作例を示す図である。
【図20】本発明の変形例3に係るジョブ蓄積の処理手順例を示すフローチャートである。
【図21】本発明の変形例4に係るジョブ削除の処理手順例を示す図である。
【図22】本発明の変形例5に係る印刷制御システムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施の形態(以下「実施形態」という)について、図面を用いて詳細に説明する。
【0015】
[第1の実施形態]
<システム構成>
図1は、本実施形態に係る印刷制御システム1の構成例を示す図である。
図1には、複数の端末300a,300b(以降総称する場合「端末300」という)、複数の画像処理装置200a,200b(以降総称する場合「画像処理装置200」という)、及び複数の印刷制御装置100a,100bが、所定のデータ伝送路で接続されるシステム構成例が示されている。
【0016】
端末300は、ジョブ送信機能を有する機器である。端末300は、例えば、PC(Personal Computer)や携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)などであり、プリンタドライバやWebブラウザといったアプリケーションを介して、各種実行設定を行ったジョブデータを印刷制御装置100に送信する。
【0017】
印刷制御装置100は、蓄積ジョブの印刷制御機能を有する機器であり、印刷サーバにあたる。印刷制御装置100は、例えば、PCなどであり、端末300からの受信データを所定の記憶領域に格納・蓄積し、各種管理情報に基づき、ジョブデータを管理し、利用者のジョブ一覧やジョブデータを画像処理装置200に送信する。
【0018】
画像処理装置200は、画像処理機能を有する機器である。画像処理装置200は、例えば、LP(Laser Printer)やMFP(Multifunction Peripheral)などであり、MFPの場合、画像処理機能に、コピー機能、スキャン機能、プリント機能などがある。画像処理装置200は、例えば、実行対象ジョブの指定に基づき、印刷制御装置100から該当データを受信し、プリント機能により印刷を行う。
【0019】
また、図1には、例えば、LAN(Local Area Network)などの2つの内部ネットワークNa,Nb(以降総称する場合「内部ネットワークN」という)のエリアLa,Lb(以降総称する場合「エリアL」という)が示されている。これらのエリアLa,Lbは、例えば、システム導入先である事業所や室内に構築されたネットワーク環境を表す。よって、上記各機器(「端末」、「画像処理装置」、及び「印刷制御装置」)は、内部ネットワークNa,Nbに接続される。
【0020】
また、図1には、これら2つの内部ネットワークNa,Nbが、ファイアウォール(非図示)などを介して接続される外部ネットワークIが示されている。このように、図1には、広域環境で利用される大規模システムの例が示されている。
【0021】
印刷制御システム1は、上記機器及び上記ネットワーク環境により、次のようなサービスを提供する。例えば、利用者は、エリアLaに設置された端末300aから、各種印刷条件を設定したジョブデータを印刷制御装置100aに送信し、ジョブデータを蓄積する。
【0022】
次に、利用者は、自身が赴いたエリアLbに設置された画像処理装置200bで、利用者情報(例えば「利用者ID」)を入力し、システム1内に設置される複数の印刷制御装置100a,100bに蓄積した自身の蓄積ジョブの一覧情報を取得する。次に、利用者は、画像処理装置200bで、一覧情報から実行対象ジョブを選択し、ジョブ実行を指示する。
【0023】
その結果、画像処理装置200bは、実行指示に従って、選択された実行対象ジョブを蓄積する印刷制御装置100aから該当ジョブデータを取得し、ジョブを実行する。つまり、本実施形態に係る印刷制御システム1では、エリアLa内で蓄積したジョブをエリアLbで実行できる。
【0024】
以上のように、本実施形態に係る印刷制御システム1では、上記システム構成により、利用者が、印刷制御装置100や画像処理装置200の設置場所に関係なく、自身の蓄積ジョブをどこからでも実行できる環境(ロケーションフリー)を提供することができる。
【0025】
<ハードウェア構成>
ここで、上述した印刷制御装置100、画像処理装置200、及び端末300のハードウェア構成について説明する。なお、印刷制御装置100と端末300は、略同一の装置であることから、印刷制御装置100について説明し、端末300の説明は省略する。
【0026】
《印刷制御装置》
図2は、本実施形態に係る印刷制御装置100のハードウェア構成例を示す図である。
図2に示すように、印刷制御装置100は、入力装置101、表示装置102、ドライブ装置103、RAM(Random Access Memory)104、ROM(Read Only Memory)105、CPU(Central Processing Unit)106、インタフェース装置107、及びHDD(Hard Disk Drive)108などを備え、それぞれがバスBで相互に接続されている。
【0027】
入力装置101は、キーボードやマウスなどを含み、印刷制御装置100に各操作信号を入力するのに用いられる。表示装置102は、ディスプレイなどを含み、印刷制御装置100による処理結果を表示する。
【0028】
インタフェース装置107は、印刷制御装置100を所定のデータ伝送路に接続するインタフェースである。これにより、印刷制御装置100は、インタフェース装置107を介して、端末300や画像処理装置200とデータ通信を行うことができる。
【0029】
HDD108は、プログラムやデータを格納している不揮発性の記憶装置である。格納されるプログラムやデータには、装置全体を制御する情報処理システム(例えば「Windows(商標又は登録商標)」や「UNIX(商標又は登録商標)」などの基本ソフトウェアであるOS(Operating System))、及びシステム1上において各種機能(例えば「印刷制御機能」)を提供するアプリケーションなどがある。
【0030】
また、HDD108は、格納しているプログラムやデータを、所定のファイルシステム及び/又はDB(Data Base)により管理している。なお、端末300からの受信データ(ジョブデータ)は、HDD108の所定の記憶領域に格納・蓄積され、DBにより管理される。
【0031】
ドライブ装置103は、着脱可能な記録媒体103aとのインタフェースである。これにより、印刷制御装置100は、ドライブ装置103を介して、記録媒体103aの読み取り及び/又は書き込みを行うことができる。記録媒体103aには、例えば、フロッピー(商標又は登録商標)ディスク、CD(Compact Disk)、及びDVD(Digital Versatile Disk)、ならびに、SDメモリカード(SD memory card)やUSBメモリ(Universal Serial Bus memory)などがある。
【0032】
ROM105は、電源を切っても内部データを保持することができる不揮発性の半導体メモリ(記憶装置)である。ROM105には、印刷制御装置100の起動時に実行されるBIOS(Basic Input/Output System)、情報処理システム設定、及びネットワーク設定などのプログラムやデータが格納されている。
【0033】
RAM104は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリ(記憶装置)である。CPU106は、上記記憶装置(「HDD」や「ROM」など)から、プログラムやデータをRAM(メモリ)上に読み出し、処理を実行することで、装置全体の制御や搭載機能を実現する演算装置である。
【0034】
以上のように、本実施形態に係る印刷制御装置100は、上記ハードウェア構成により、印刷制御サービスを提供することができる。
【0035】
《画像処理装置》
図3は、本実施形態に係る画像処理装置200のハードウェア構成例を示す図である。
図3に示すように、画像処理装置200は、コントローラ210、操作パネル220、プロッタ230、及びスキャナ240などを備え、それぞれが相互にバスBで接続されている。
【0036】
操作パネル220は、表示部及び入力部を備えており、機器情報などの各種情報を利用者に提供したり、動作設定や動作指示などの各種利用者操作を受け付けたりする。なお、印刷制御装置100から取得したジョブリストは、操作パネル220の表示部に表示され、所定のGUI(Graphical User Interface)などの入力部により、利用者からのジョブ実行指示を受け付ける。
【0037】
プロッタ230は、画像形成部を備えており、用紙に出力画像を形成する。出力画像を形成する方式には、例えば、電子写真プロセスやインクジェット方式などがある。スキャナ240は、原稿を光学的に読み取り、読み取り画像を生成する。
【0038】
コントローラ210は、CPU211、記憶装置212、ネットワークI/F213、及び外部記憶I/F214などを備えており、それぞれが相互にバスBで接続されている。
【0039】
CPU211は、演算装置であり、プログラムを実行することで装置全体を制御する。また、記憶装置212は、上記プログラムや各種データ(例えば「画像データ」)を格納し保持する。
【0040】
記憶装置212には、例えば、揮発性のメモリであるRAM、不揮発性のメモリであるROM、及び大容量の記憶領域を備えたHDDなどがある。RAMは、CPU211のワークエリア(プログラムやデータが一時的に読み出される記憶エリア)として機能する。ROMやHDDは、プログラムや各種データの格納先として用いられる。これにより、画像処理装置200では、CPU211がROMに格納されたプログラムをRAM(メモリ)上に読み出し、プログラムを実行する。
【0041】
ネットワークI/F213は、画像処理装置200を所定のデータ伝送路に接続するためのインタフェースである。これにより、画像処理装置200は、ネットワークI/F213を介して、印刷制御装置100や画像処理装置200とデータ通信を行うことができる。
【0042】
外部記憶I/F214は、外部記憶装置にあたる記録媒体214aを接続するためのインタフェースである。これにより、画像処理装置200は、外部記憶I/F214を介して、記録媒体214aの読み取り及び/又は書き込みを行うことができる。記録媒体214aには、例えば、記録媒体214aには、例えば、SDメモリカードやUSBメモリなどがある。
【0043】
以上のように、本実施形態に係る画像処理装置200では、上記ハードウェア構成により、画像処理サービスを提供することができる。
【0044】
<印刷制御機能>
本実施形態に係る印刷制御機能について説明する。
本実施形態に係る印刷制御装置100は、画像処理装置200からジョブ一覧取得要求を受け付けると、システム1内の全ての蓄積ジョブに対応する複数の書誌情報を一元管理する情報管理先から、利用者の蓄積ジョブの書誌情報を取得する。印刷制御装置100は、取得した書誌情報に基づき、ジョブ蓄積先を特定するためのジョブ蓄積先特定情報を含む利用者のジョブ一覧情報を生成する。印刷制御装置100は、要求元の画像処理装置200に対し、生成したジョブ一覧情報を応答する。また、印刷制御装置100は、画像処理装置200からジョブ取得要求を受け付けると、自機で保持する蓄積ジョブの中から、該当ジョブを取得する。印刷制御装置100は、要求元の画像処理装置200に対し、取得したジョブを応答する。本実施形態に係る印刷制御装置100は、このような印刷制御機能を有している。
【0045】
従来の印刷制御では、例えば、図4に示すような問題があった。
図4は、従来の印刷制御システムの動作例を示す図である。なお、図4には、同一利用者から、端末300を介して、2つのジョブが異なるエリアLa,Lbに設置された印刷制御装置100a,100bに格納されている例が示されている。また、画像処理装置200には、ジョブ一覧情報の取得先に印刷制御装置100aがデフォルト設定されている。
【0046】
従来では、画像処理装置200で、まず、デフォルト設定された印刷制御装置100aから、利用者の蓄積ジョブの一覧情報を取得し(1)、印刷制御装置100aのジョブ一覧画面W1が表示される。よって、画面W1には、利用者の蓄積ジョブである[印刷ジョブX]を含むジョブ一覧情報が表示される。
【0047】
このとき、利用者が[印刷ジョブY]を実行したい場合、表示されたジョブ一覧画面W1に実行対象ジョブが表示されていないことになる。そのため利用者は、画像処理装置200に対し、ジョブ一覧情報の取得先を印刷制御装置100bに切り替える指示を行う。
【0048】
その結果、画像処理装置200では、切り替えられた印刷制御装置100bから、利用者の蓄積ジョブの一覧情報を取得し(2)、印刷制御装置100bのジョブ一覧画面W2が表示される。これにより、利用者は、実行対象ジョブを見つけることができる。
【0049】
このように、従来の方法では、利用者が実行対象ジョブをどの印刷制御装置100に蓄積したかを把握していなければ、画像処理装置200において、上述した蓄積先切り替え指示の操作を、実行対象ジョブが見つかるまで繰り返すことになる。その作業は、利用者にとって煩雑である。
【0050】
そこで、本実施形態に係る印刷制御装置100では、図5に示すような仕組みとした。
図5は、本実施形態に係る印刷制御システム1の動作例を示す図である。
本実施形態に係る印刷制御装置100では、システム1内の全ての蓄積ジョブに対応する複数の書誌情報を一元管理する情報管理先DBから、利用者の蓄積ジョブの書誌情報を取得し、画像処理装置200に対し、ジョブ蓄積先特定情報を含むジョブ一覧情報を提供する。
【0051】
これにより、画像処理装置200では、システム1内における利用者の全ての蓄積ジョブのジョブ一覧画面Wが表示され、蓄積先切り替え操作なしに実行対象ジョブを選択可能な操作環境を提供する。また、画像処理装置200では、選択ジョブの蓄積先を特定するための情報により、選択ジョブを格納する印刷制御装置100から該当ジョブが取得され、実行対象ジョブの蓄積先を把握しておく必要のないジョブ実行環境を提供する。
【0052】
このように、本実施形態では、利用者が、実行対象ジョブを見つけるために、ジョブ蓄積先の把握やジョブ蓄積先の切り替え操作を行わなくてもよく、簡便にジョブが実行できる。これにより、本実施形態では、複数のジョブ蓄積先を有するシステム1において、利便性の高い印刷サービスを実現できる。
【0053】
以下に、本実施形態に係る印刷制御機能の構成とその動作について説明する。
図6は、本実施形態に係る印刷制御の機能構成例を示す図である。
図6に示すように、本実施形態に係る印刷制御機能は、ジョブ受付部11a,11b、ジョブ解析部12a,12b、ジョブ管理部13a,13b、要求受付部14a,14b、要求応答部15a,15b、及び応答データ生成部16aなどを有している。これらの機能部は、各エリアLa,Lbに設置された印刷制御装置100a,100bが有する機能である。
【0054】
一方、各エリアLa,Lbに設置された画像処理装置200a,200bは、認証部21a,21b、要求部22a,22b、応答受付部23a,23b、表示制御部24a,24b、及び印刷制御部25a,25bなどを有し、印刷制御装置100a,100bが有する機能部は、画像処理装置200a,200bが有する機能部と連携動作する。
【0055】
なお、以降の説明では、便宜上、各エリアLa,Lbに設置された機器が有する機能部を識別する際、'a'又は'b'を含む参照符号を付す。一方、機能部を識別する必要がない場合には、'a'又は'b'を含まない参照符号を付し、機能部を総称する。
【0056】
《印刷制御装置》
ジョブ受付部11は、利用者からのジョブを受け付ける機能部である。ジョブ受付部11は、端末300から送信されたジョブデータを受信し、ジョブを受け付ける。
【0057】
ジョブ解析部12は、受け付けたジョブを解析する機能部である。ジョブ解析部12は、受信したジョブデータを解析する。ジョブ解析部12は、例えば、ジョブ受付部11がジョブデータとして受信した印刷データ(「PJLデータ:Printer Job Language data及びPDLデータ:Page Description Language data」)などを解析する。その結果、ジョブ解析部12では、ジョブ投入時に設定された印刷条件などを含むジョブに関する情報(以下「書誌情報」という)を解析結果として得る。
【0058】
ジョブ管理部13は、利用者から受け付けたジョブを管理する機能部である。ジョブ管理部13は、ジョブ受付部11の受信データ(ジョブデータ)及びジョブ解析部12の解析結果(書誌情報)を、所定の記憶領域に格納(保存)し、データを管理する。具体的には、次の通りである。
【0059】
ジョブ管理部13は、例えば、ジョブ受付部11がジョブデータとして受信した印刷データを、印刷制御装置100が備える記憶装置の所定の記憶領域にあたる印刷データ保持部90に格納し、ジョブ単位で印刷データを管理する。なお、印刷データ保持部90は、各印刷制御装置100a,100bが有している。よって、ジョブ管理部13a,13bは、ジョブ受付部12a,12bが受信したジョブデータを、印刷データ保持部90a,90bそれぞれに格納する。
【0060】
図7は、本実施形態に係る印刷データ管理情報90Dのデータ例を示す図である。
図7に示すように、印刷データは、[ジョブ識別]及び[ジョブデータ]の情報項目が対応付けられた印刷データ管理情報90Dによって管理される。[ジョブ識別]項目は、ジョブを識別する情報(以下「ジョブ識別情報」という)が格納される項目であり、項目値は、例えば、ジョブ受付時に採番されたユニークなID値(ジョブ識別子)などである。[ジョブデータ]項目は、ジョブデータが格納される項目であり、項目値は、例えば、ジョブデータとして受信した印刷データなどである。
【0061】
このように、ジョブ管理部13は、ジョブ識別情報とジョブデータとを紐付けて、ジョブ単位でデータ管理する。
【0062】
図6の説明に戻る。ジョブ管理部13は、例えば、ジョブ解析部12が解析結果として得た書誌情報を、印刷制御装置100aが備える記憶装置の所定の記憶領域にあたる書誌情報保持部80aに格納し、ジョブ単位で書誌情報を管理する。なお、図6には、書誌情報保持部80aを、印刷制御装置100aが有する構成が示されている。書誌情報保持部80aは、図5に示した書誌情報を一元管理する情報管理先DBにあたる。よって、書誌情報保持部80aは、システム1内に1箇所設けられていればよい。よって、図6に示す構成の場合、ジョブ管理部13aは、ジョブ解析部12aが解析結果として得た書誌情報を、印刷制御装置100aが有する書誌情報保持部80aに格納する。一方、ジョブ管理部13bは、印刷制御装置100aに対し、ジョブ解析部12bが解析結果として得た書誌情報を送信し、書誌情報保持部80aに格納する。
【0063】
図8は、本実施形態に係る書誌管理情報80Dのデータ例を示す図である。
図8に示すように、書誌情報は、[ジョブ識別]及び[書誌]の情報項目が対応付けられた書誌管理情報80Dによって管理される。[ジョブ識別]項目は、ジョブ識別情報が格納される項目である。[書誌]項目は、書誌情報が格納される項目であり、項目値は、例えば、解析結果として得た書誌情報の各値などである。具体的には、投入ジョブのオーナー(利用者)を識別する情報(以下「利用者識別情報」という)、投入ジョブの名前を示す情報(以下「ジョブ名情報」という)、及びジョブ投入機器(端末)を識別する情報(以下「端末識別情報」という)などの各値を含む。また、書誌情報には、両面、カラー、集約、後処理などのジョブ投入時に設定された印刷条件の各値を含む。
【0064】
なお、利用者識別情報の値には、例えば、ログイン処理に用いられる利用者ID(利用者識別子)などがある。ジョブ名情報の値には、例えば、ジョブ名などの文字列値がある。端末識別情報の値には、例えば、端末300に割り当てられたネットワーク設定値(IPアドレス:internet Protocol address)などがある。
【0065】
また、書誌管理情報80Dには、ジョブ管理部13により、ジョブデータを格納した印刷制御装置100を識別する情報(以下「サーバ識別情報」という)及び記憶領域内におけるデータ格納場所を示す情報(以下「格納場所情報」という)などの各値が書誌情報として格納される。これらの値が、ジョブ蓄積先特定情報にあたる。
【0066】
なお、サーバ識別情報の値には、例えば、印刷制御装置100に割り当てられたネットワーク設定値などがある。また、格納場所情報の値には、例えば、データパスの文字列値などがある。図8には、ネットワーク設定値とデータパスの文字列値とが、ジョブ蓄積先特定情報の例として示されているが、この限りでない。例えば、システム1上に存在する蓄積ジョブのアクセス先を示すURI(Uniform Resource Identifier)であってもよい。
【0067】
このように、ジョブ管理部13は、ジョブ識別情報と書誌情報とを紐付けて、ジョブ単位でデータを管理する。
【0068】
以上のように、ジョブ管理部13は、ジョブ識別情報、サーバ識別情報、及び格納場所情報に基づき、蓄積ジョブの書誌情報とジョブデータとを関連付けて保存する。その結果、本実施形態では、ジョブデータが各印刷制御装置100a,100bごとに管理され、書誌情報のみがシステム1内に1箇所設けられた情報管理先DBで一元管理される。
【0069】
要求受付部14は、利用者からの処理要求を受け付ける機能部である。要求受付部14は、画像処理装置200から送信された処理実行要求データ(リクエストデータ)を受信し、処理要求を受け付ける。このとき受け付ける処理要求は、例えば、利用者のジョブ一覧の取得要求や実行対象ジョブの印刷データの取得要求などがある。
【0070】
要求応答部15は、受け付けた処理要求に対し、処理結果を応答する機能部である。要求応答部15は、画像処理装置200から受信した処理実行要求データに基づき実行された要求処理の実行結果を、応答データ(レスポンスデータ)として要求元に送信し、処理要求に応答する。よって、上記処理要求を受け付けた場合には、ジョブ一覧情報や印刷データが応答される。
【0071】
応答データ生成部16aは、ジョブ一覧の取得要求の応答データを生成する機能部である。よって、応答データ生成部16aは、書誌情報保持部80aを有する印刷制御装置100aで動作し、ジョブ一覧の取得要求の受付・応答処理も、応答データ生成部16aが動作する同一環境の要求受付部14a及び要求応答部15aで行われる。
【0072】
応答データ生成部16aは、要求受付部14aでジョブ一覧の取得要求を受け付けると、要求受付時に受信した利用者識別情報に基づき、書誌情報保持部80aにアクセスし、利用者の蓄積ジョブに対応する書誌管理情報80Dを特定する。応答データ生成部16aは、特定した書誌管理情報80Dから取得した書誌情報に基づき、所定のデータ形式のジョブ一覧の応答データを生成する。
【0073】
このとき生成される応答データには、ジョブ一覧画面W上の表示情報として、利用者の全ての蓄積ジョブのジョブ名情報によるジョブ一覧情報などを含む。また、応答データには、ジョブごとのジョブ識別情報、サーバ識別情報、及び格納場所情報なども含まれる。つまり、応答データ生成部16aは、ジョブ蓄積先特定情報を含むジョブ一覧の応答データを生成する。
【0074】
以上のように、応答データ生成部16aは、利用者の全ての蓄積ジョブの表示データとともに、応答先で選択された実行対象ジョブのジョブデータを取得する際に用いるデータを含むジョブ一覧の応答データを生成する。そして、要求応答部15aは、このような特徴を有するジョブ一覧の応答データを要求元に送信する。
【0075】
その結果、本実施形態では、画像処理装置200において、システム1内における利用者の全ての蓄積ジョブのジョブ一覧画面Wが表示され、蓄積先切り替え操作なしに実行対象ジョブを選択可能な操作環境を提供できる。また、本実施形態では、画像処理装置200において、選択ジョブのサーバ識別情報により特定された印刷制御装置100から、格納場所情報に基づき該当ジョブが取得され、実行対象ジョブの蓄積先を把握しておく必要のないジョブ実行環境を提供できる。
【0076】
《画像処理装置》
認証部21は、利用者認証を行う機能部である。認証部21は、例えば、ログイン画面や記録媒体214aを介して受け取った入力情報に基づき、利用者認証を行う。なお、ここでいう記憶媒体214aには、ICカード(Integrated Circuit card)などを想定しており、このICカードには、認証時に用いる利用者情報(例えば「利用者ID」や「パスワード」)が記録されている。この場合、画像処理装置200では、外部記憶I/F214を介して接続されるICカードリーダ(読み取り装置(非図示))により情報を読み取ることで、情報入力が行える。
【0077】
認証部21は、入力情報に基づき、次のような認証処理を行う。例えば、外部認証を行う場合、認証部21は、システム1内に設置された外部の認証サーバ(非図示)に対し、入力情報を送信し、認証結果を得ることで、利用者認証を行う。また、内部認証を行う場合、認証部21は、画像処理装置200の所定の記憶領域で保持する認証情報にアクセスし、入力情報と認証情報とを照合することで、利用者認証を行う。
【0078】
要求部22は、利用者から受け付けた処理の実行を要求する機能部である。要求部22は、画面操作により受け付けた処理実行指示に従って、印刷制御装置100に対し、指示された処理の実行を要求する。このとき受け付ける処理実行指示は、例えば、利用者のジョブ一覧の取得要求指示や実行対象ジョブの印刷データの取得要求指示などがある。
【0079】
要求部22は、ジョブ一覧の取得要求指示を受け付けると、書誌情報保持部80aを有する印刷制御装置100a(要求受付部14a)に対し、ジョブ一覧の取得処理の実行を要求する処理実行要求データを送信する。なお、要求部22には、印刷制御装置100aを識別するためのサーバ識別情報(IPアドレス)が設定されているものとする。また、要求部22は、認証部21が利用者認証に成功した場合に発行するジョブ一覧の取得要求指示を受け付ける。
【0080】
また、要求部22は、印刷データの取得要求指示を受け付けると、画面操作により選択された実行対象ジョブのサーバ識別情報により特定された印刷制御装置100(要求受付部14)に対し、格納場所情報に基づき、該当印刷データの取得処理の実行を要求する処理実行要求データを送信する。つまり、要求部22は、ジョブ一覧の応答データに含まれるジョブごとのサーバ識別情報に基づき、ジョブ取得先となる印刷制御装置100を判断する(ジョブ取得先を特定する)。なお、要求部22は、後述する表示制御部24から印刷データの取得要求指示を受け付ける。
【0081】
応答受付部23は、処理要求先からの応答を受け付ける機能部である。応答受付部23は、印刷制御装置100で処理実行要求データに基づき実行された要求処理の実行結果を、応答データとして要求先から受信し、処理要求の応答を受け付ける。よって、上記処理要求を行った場合には、ジョブ一覧の応答データ(ジョブ一覧情報)や印刷データを受け付ける。なお、ジョブ一覧の応答データは、書誌情報保持部80aを有する印刷制御装置100a(要求応答部15a)から受信し、印刷データは、実行対象ジョブを格納する印刷制御装置100(要求応答部15)から受信する。
【0082】
表示制御部24は、表示画面を制御する機能部である。表示制御部24は、画像処理装置200が備える操作パネル220に操作画面を表示したり、画面操作による入力情報を受け付けたりする。表示制御部24は、応答受付部23により受け付けたジョブ一覧の応答データに基づき、操作パネル220上にジョブ一覧画面Wを表示する。また、表示制御部24は、ジョブ一覧画面W上の操作による実行対象ジョブの選択(印刷データの取得要求指示)やジョブ実行指示などの入力情報を受け付ける。
【0083】
印刷制御部25は、プリント機能(印刷)を制御する機能部である。印刷制御部25は、画像処理装置200が備えるプロッタ230に対し、所定の印刷条件を設定し、印刷データのラスタイメージ(ビットマップデータ)を渡すことで、印刷の実行を指示する。なお、印刷制御部25は、応答受付部23が該当印刷データを取得した場合に、取得データをプロッタ230に渡すことで、印刷の実行を指示する。
【0084】
以上のように、表示制御部24は、システム1内におけるログイン利用者の全ての蓄積ジョブのジョブ一覧画面Wを表示し、ジョブ一覧画面Wを介して実行対象ジョブの選択を受け付ける。印刷制御部25は、印刷制御装置100から取得した選択ジョブの印刷データの印刷を行う。
【0085】
その結果、本実施形態では、印刷制御システム1において、利用者が、印刷制御装置100や画像処理装置200の設置場所に関係なく、自身の蓄積ジョブをどこからでも実行できる環境(ロケーションフリー)を提供できる。
【0086】
以上のように、本実施形態に係る印刷制御機能は、上記各機能部が連携動作することにより実現される。なお、上記各機能部は、システム1を構成する各機器(「印刷制御装置」や「画像処理装置」など)に搭載(インストール)されるプログラム(印刷制御機能を実現するソフトウェア)が、演算装置(CPU)により、記憶装置(「HDD」や「ROM」など)からメモリ(RAM)上に読み出され、各機器において、以下の処理が実行されることで実現される。
【0087】
本実施形態に係る印刷制御機能の詳細な動作(機能部群の連携動作)について、処理手順を示すフローチャートを用いて説明する。なお、本実施形態に係る印刷制御の主な処理は、ジョブ蓄積処理、ジョブ一覧表示、ジョブ実行(印刷)などである。よって、以下には、これらの処理について順に説明する。
【0088】
《ジョブ蓄積処理》
図9は、本実施形態に係るジョブ蓄積の処理手順例を示すフローチャートである。具体的には、(A)に書誌情報を一元管理する印刷制御装置100aにおけるジョブ蓄積処理、(B)に印刷制御装置100bにおけるジョブ蓄積処理が示されている。
【0089】
(A)に示すように、印刷制御装置100aでは、ジョブ受付部11aにより、端末300から送信されたジョブデータを受信し、利用者からのジョブを受け付ける(ステップS101a:YES)。なお、ジョブ受付部11aは、ジョブデータを受信するまで、ジョブ受付待ち状態となる(ステップS101a:NO)。
【0090】
印刷制御装置100aは、ジョブ解析部12aにより、受信されたジョブデータを解析する(ステップS102a)。このとき、ジョブ解析部12aは、例えば、ジョブデータとして受信された印刷データ内のPJL・PDLデータなどを解析する。その結果、ジョブ解析部12aでは書誌情報を解析結果として得る。
【0091】
印刷制御装置100aは、ジョブ管理部13aにより、解析結果として得た書誌情報と印刷データとを関連付けて所定の記憶領域に格納する(ステップS103a)。
【0092】
このとき、ジョブ管理部13aは、印刷データをジョブ識別情報と対応付けて、新たな印刷データ管理情報90Dとして印刷データ保持部90aに保存する。また、ジョブ管理部13aは、書誌情報をジョブ識別情報と対応付けて、新たな書誌管理情報80Dとして、書誌情報保持部80aに保存する。
【0093】
なおこのとき、ジョブ管理部13aは、書誌管理情報80Dの[書誌]項目のサーバ識別情報及び格納場所情報(ジョブ蓄積先特定情報)の項目値に、自機(印刷制御装置100a)に割り当てられたネットワーク設定値及び印刷データへのデータパスを示す文字列値を設定する。
【0094】
これにより、本実施形態では、利用者から受け付けたジョブが印刷制御装置100aに蓄積される。
【0095】
一方、(B)に示すように、印刷制御装置100bでは、ジョブ受付部11bにより、端末300から送信されたジョブデータを受信する(ステップS101b:YES)。
【0096】
印刷制御装置100bは、ジョブ解析部12bにより、受信されたジョブデータを解析する(ステップS102b)。その結果、ジョブ解析部12bでは書誌情報を解析結果として得る。
【0097】
印刷制御装置100bは、ジョブ管理部13bにより、解析結果として得た書誌情報と印刷データとを関連付けて所定の記憶領域に格納する(ステップS103b)。
【0098】
このとき、ジョブ管理部13bは、印刷データをジョブ識別情報と対応付けて、新たな印刷データ管理情報90Dとして印刷データ保持部90bに保存する。また、ジョブ管理部13bは、印刷制御装置100aに対し、書誌情報とジョブ識別情報と対応付けた新たな書誌管理情報80Dを送信し、書誌情報保持部80aへの保存を要求する。
【0099】
なおこのとき、ジョブ管理部13bは、書誌管理情報80Dの[書誌]項目のサーバ識別情報及び格納場所情報の項目値に、自機(印刷制御装置100b)に割り当てられたネットワーク設定値及び印刷データへのデータパスを示す文字列値を設定する。その結果、印刷制御装置100aでは、印刷制御装置100bから受信した書誌管理情報80Dが書誌情報保持部80aに保存される。
【0100】
これにより、本実施形態では、利用者から受け付けたジョブが印刷制御装置100bに蓄積され、システム1内に蓄積されるジョブの書誌情報が書誌情報を一元管理する印刷制御装置100aに蓄積される。
【0101】
《ジョブ一覧表示処理》
図10は、本実施形態に係るジョブ一覧表示の処理手順例を示すフローチャートである。具体的には、画像処理装置200におけるジョブ一覧表示処理と、書誌情報を一元管理する印刷制御装置100aにおけるジョブ一覧提供処理が示されている。
【0102】
図10に示すように、画像処理装置200は、認証部21により、利用者ログインイベントを受け付けると(ステップS301:YES)、その際に受け取った入力情報に基づき、利用者認証を行う(ステップS302)。このとき、認証部21は、入力情報と認証情報とを照合することで、利用者認証を行う。なお、認証部21は、利用者ログインイベントを受け付けるまで、ログイン受付待ち状態となる(ステップS301:NO)。
【0103】
画像処理装置200は、認証部21による認証結果が[失敗/NG]の場合(ステップS303:NO)、所定のエラー処理を行う(ステップS307)。このとき行われるエラー処理は、例えば、表示制御部24が、利用者認証に失敗した旨を知らせるエラー画面を表示するなどがある。
【0104】
一方、画像処理装置200は、認証部21による認証結果が[成功/OK]の場合(ステップS303:YES)、要求部22により、ジョブ一覧の取得要求指示を受け付けると、印刷制御装置100a(要求受付部14a)に対し、ログイン利用者のジョブ一覧の取得処理の実行を要求する(ステップS304)。このとき、要求部22は、印刷制御装置100aに、ログイン利用者の利用者識別情報を含む処理実行要求データを送信する。
【0105】
これを受けて印刷制御装置100aは、要求受付部14aにより、画像処理装置200から送信された処理実行要求データを受信し、ログイン利用者のジョブ一覧の取得要求を受け付ける(ステップS201a:YES)。なお、要求受付部14aは、処理実行要求データを受信するまで、処理要求受付待ち状態となる(ステップS201a:NO)。
【0106】
印刷制御装置100aは、応答データ生成部16aにより、要求受付時に受信した利用者識別情報に基づき、書誌情報保持部80aに保持されるログイン利用者の蓄積ジョブに対応する書誌管理情報80Dを特定し、特定した書誌管理情報80Dから書誌情報を取得する(ステップS202a)。
【0107】
印刷制御装置100aは、応答データ生成部16aにより、取得した書誌情報に基づき、ジョブ一覧の応答データを生成する(ステップS203a)。
【0108】
ここで、このとき生成される応答データについて説明する。
図11は、本実施形態に係る応答データ16RDのデータ例を示す図である。
図11に示す応答データ16RDには、ジョブ一覧画面W上の表示情報として、ログイン利用者の利用者識別情報、該当ジョブ数、及びログイン利用者の全ての蓄積ジョブのジョブ名情報によるジョブ一覧情報などが含まれている。また、応答データ16RDには、ジョブごとのジョブ識別情報や、ジョブ蓄積先を特定するサーバ識別情報及び格納場所情報なども含まれている。これらの情報は、応答データ生成部16aにより、例えば、階層構造のデータ形式(「XML:eXtensible Markup Language」形式など)に従ってデータ化される。
【0109】
図10の説明に戻る。印刷制御装置100aは、要求応答部15aにより、生成されたジョブ一覧の応答データ16RDを要求元の画像処理装置200に送信し、ログイン利用者のジョブ一覧の取得要求に対して応答する(ステップS204a)。
【0110】
これにより、本実施形態では、書誌情報を一元管理する印刷制御装置100aにおいて、ログイン利用者の全ての蓄積ジョブの表示データとともに、応答先で選択された実行対象ジョブのジョブデータを取得する際に用いるデータを含むジョブ一覧の応答データ16RDが生成され、取得要求元に提供される。
【0111】
これを受けて画像処理装置200は、応答受付部23により、印刷制御装置100aから送信された応答データ16RDを受信し、ログイン利用者のジョブ一覧の取得処理応答を受け付ける(ステップS305:YES)。なお、応答受付部23は、応答データ16RDを受信するまで、処理応答受付待ち状態となる(ステップS305:NO)。
【0112】
その結果、画像処理装置200は、表示制御部24により、受信されたジョブ一覧の応答データ16RDに基づき、操作パネル220上にジョブ一覧画面Wを表示する(ステップS306)。
【0113】
これにより、本実施形態では、画像処理装置200において、システム1内におけるログイン利用者の全ての蓄積ジョブのジョブ一覧画面Wが表示される。このように、本実施形態では、蓄積先切り替え操作なしに実行対象ジョブを選択可能な操作環境を提供できる。
【0114】
《ジョブ実行(印刷)処理》
図12は、本実施形態に係るジョブ実行の処理手順例を示すフローチャートである。具体的には、画像処理装置200におけるジョブ実行処理と、書誌情報を一元管理する印刷制御装置100aにおけるジョブ提供処理が示されている。なお、画像処理装置200におけるジョブ取得処理は、図10に示したジョブ一覧画面Wを表示(ステップS306)後の後続処理にあたる。
【0115】
図12に示すように、画像処理装置200は、表示制御部24により、ジョブ一覧画面W上の操作による実行対象ジョブの選択イベントを受け付ける(ステップS308)。このとき、表示制御部24は、選択イベントを受け付けることで、選択された実行対象ジョブの印刷データの取得要求指示を受け付ける。なお、表示制御部24は、選択イベントを受け付けるまで、実行対象ジョブ選択待ち状態となる(ステップS308:NO)。
【0116】
画像処理装置200は、受け付けた印刷データの取得要求指示に従って、要求部22により、ジョブ一覧の応答データ16RD内に含まれる選択ジョブのサーバ識別情報に基づき、ジョブ取得先を特定する(ステップS309)。
【0117】
なお、本処理では、選択ジョブのジョブ識別情報に、印刷制御装置100bに割り当てられたネットワーク設定値が設定されていた場合を想定している。つまり、選択ジョブの印刷データが印刷制御装置100bに格納されていた場合を想定している。
【0118】
画像処理装置200は、要求部22により、特定した印刷制御装置100b(要求受付部14b)に対し、選択ジョブの印刷データの取得処理の実行を要求する(ステップS310)。このとき、要求部22は、印刷制御装置100bに、選択ジョブのジョブ識別情報及び格納場所情報を含む処理実行要求データを送信する。
【0119】
これを受けて印刷制御装置100bは、要求受付部14bにより、画像処理装置200から送信された処理実行要求データを受信し、選択ジョブの印刷データの取得要求を受け付ける(ステップS401b:YES)。なお、要求受付部14bは、処理実行要求データを受信するまで、処理要求受付待ち状態となる(ステップS401b:NO)。
【0120】
印刷制御装置100bは、要求応答部15bにより、要求受付時に受信したジョブ識別情報及び格納場所情報に基づき、印刷データ保持部90bに保持される選択ジョブに対応する印刷データ管理情報90Dを特定し、特定した印刷データ管理情報90Dから印刷データを取得する(ステップS402b)。
【0121】
印刷制御装置100bは、要求応答部15bにより、取得した印刷データを要求元の画像処理装置200に送信し、選択ジョブの印刷データの取得要求に対して応答する(ステップS403b)。
【0122】
これを受けて画像処理装置200は、応答受付部23により、印刷制御装置100bから送信された印刷データを受信し、選択ジョブの印刷データの取得処理応答を受け付ける(ステップS311:YES)。なお、応答受付部23は、印刷データを受信するまで、処理応答受付待ち状態となる(ステップS311:NO)。
【0123】
その結果、画像処理装置200は、印刷制御部25により、プロッタ230に対し、所定の印刷条件(選択ジョブの書誌情報の印刷条件)を設定し、受信された印刷データを渡すことで、印刷の実行を指示する(ステップS312)。
【0124】
これにより、本実施形態では、画像処理装置200において、ジョブ一覧画面Wを介して実行対象ジョブの選択を受け付け、選択ジョブのサーバ識別情報により特定された印刷制御装置100bから、格納場所情報に基づき該当ジョブが取得され、選択ジョブが実行される。このように、本実施形態では、実行対象ジョブの蓄積先を把握しておく必要のないジョブ実行環境を提供できる。
【0125】
<まとめ>
以上のように、本実施形態に係る印刷制御装置100によれば、要求受付部14により、画像処理装置200からジョブ一覧取得要求を受け付けると、応答データ生成部16により、次のような処理が行われる。
【0126】
応答データ生成部16は、システム1内の全ての蓄積ジョブに対応する複数の書誌情報を一元管理する書誌情報保持部80から、利用者の蓄積ジョブの書誌情報を取得する。応答データ生成部16は、取得した書誌情報に基づき、ジョブ蓄積先特定情報を含む利用者のジョブ一覧の応答データ16RDを生成する。
【0127】
これにより、印刷制御装置100は、要求応答部15により、要求元の画像処理装置200に対し、生成されたジョブ一覧の応答データ16RDを応答する。
【0128】
また、印刷制御装置100は、要求受付部14により、画像処理装置200からジョブ取得要求を受け付けると、要求応答部15により、自機で保持する蓄積ジョブの中から、該当ジョブを取得する。
【0129】
これにより、印刷制御装置100は、要求応答部15により、要求元の画像処理装置200に対し、取得したジョブを応答する。
【0130】
これによって、本実施形態に係る印刷制御装置100では、利用者が、実行対象ジョブを見つけるために、ジョブ蓄積先の把握やジョブ蓄積先の切り替え操作を行わなくてもよく、簡便にジョブを実行できる。本実施形態に係る印刷制御装置100では、複数のジョブ蓄積先を有するシステム1において、利便性の高い印刷サービスを実現できる。
【0131】
[第2の実施形態]
本実施形態では、書誌情報を一元管理する印刷制御装置から画像処理装置に対し、該画像処理装置からジョブ取得可能な印刷制御装置に保持される蓄積ジョブの一覧情報を応答する技術を提案する。
【0132】
本実施形態において提案する技術は、次のような場面を防止するためである。利用者が、画像処理装置において、ジョブ一覧画面を介して、実行対象ジョブを選択した際に、選択ジョブを印刷制御装置から取得不可能であった場合、所望するジョブ実行が行えない。
【0133】
そのため、本実施形態では、書誌情報を一元管理する印刷制御装置から画像処理装置に対し、ジョブ一覧画面を介してジョブ選択した後に取得可能な蓄積ジョブのみを含むジョブ一覧を応答する仕組みを提案する。
【0134】
なお、以降では、上記実施形態と異なる事項についてのみ説明し、同一事項については、同じ参照符号を付して、その説明を省略する。
【0135】
<印刷制御機能>
図13は、本実施形態に係る印刷制御の機能構成例を示す図である。
図6と図13との違い(上記実施形態に係る機能構成との違い)は、書誌情報を一元管理する印刷制御装置100aが、動作確認部17aを有している点である。
【0136】
動作確認部17aは、ジョブを格納する印刷制御装置100の動作状態を確認する機能部である。動作確認部17aは、応答データ生成部16aと連携して機能する。よって、動作確認部17aは、応答データ生成部16aが動作する印刷制御装置100aで動作する。
【0137】
動作確認部17aは、応答データ生成部16aが書誌情報保持部80aから取得した書誌情報に含まれるジョブ識別情報に基づき、ジョブを格納する印刷制御装置100を特定し、特定した印刷制御装置100に対し、動作状態を確認する。
【0138】
動作確認部17aは、例えば、次のような方法で動作状態を確認する。動作確認部17aは、印刷制御装置100に対し、所定の機器管理コマンドを送信し、印刷制御装置100からの応答結果(応答有無/応答内容)を受けて状態を確認する。動作確認部17aは、状態確認結果に基づき、ジョブを格納する印刷制御装置100がジョブ取得可能な状態か否かを判断する。
【0139】
具体的には、状態確認結果が応答無し/エラー応答であった場合に、ジョブを格納する印刷制御装置100がジョブ取得不可能な状態と判断する。
【0140】
これを受けて応答データ生成部16aは、動作確認部17aによる判断結果(ジョブ取得可能/不可能)に基づき、先に取得した書誌情報の中から、ジョブ取得可能と判断された印刷制御装置100に格納される蓄積ジョブの書誌情報を特定する。このとき、ジョブ取得不可能と判断された印刷制御装置100に格納される蓄積ジョブの書誌情報は削除される。
【0141】
応答データ生成部16aは、特定した書誌情報に基づき、ジョブ一覧の応答データ16RDを生成する。
【0142】
これにより、本実施形態では、書誌情報を一元管理する印刷制御装置100aから画像処理装置200に対し、ジョブ選択後に取得可能な蓄積ジョブのみを含むジョブ一覧情報が提供される。
【0143】
《ジョブ一覧提供処理》
図14は、本実施形態に係るジョブ一覧提供の処理手順例を示すフローチャートである。具体的には、書誌情報を一元管理する印刷制御装置100aにおけるジョブ一覧提供処理が示されている。
【0144】
図14に示すように、印刷制御装置100aは、要求受付部14aにより、画像処理装置200から送信された処理実行要求データを受信し、ログイン利用者のジョブ一覧の取得要求を受け付ける(ステップS501a:YES)。
【0145】
印刷制御装置100aは、応答データ生成部16aにより、要求受付時に受信した利用者識別情報に基づき、書誌情報保持部80aに保持されるログイン利用者の蓄積ジョブに対応する書誌管理情報80Dを特定し、特定した書誌管理情報80Dから書誌情報を取得する(ステップS502a)。
【0146】
印刷制御装置100aは、動作確認部17aにより、書誌情報保持部80aから取得された書誌情報に含まれるジョブ識別情報に基づき、ジョブを格納する印刷制御装置100を特定する(ステップS503a)。
【0147】
なお、本処理では、取得された書誌情報に含まれるジョブ識別情報に、2台の印刷制御装置100a,100bそれぞれに割り当てられたネットワーク設定値が設定されていた場合を想定している。また、そのうち、印刷制御装置100bが、何らかの原因で故障していた場合を想定している。
【0148】
印刷制御装置100aは、動作確認部17aにより、特定した2台の印刷制御装置100a,100bに対し、動作状態を確認する(ステップS504a)。このとき、動作確認部17aは、状態確認結果に基づき、自機(印刷制御装置100a)と印刷制御装置100bとが、それぞれジョブ取得可能/不可能な状態か否かを判断する。
【0149】
印刷制御装置100aは、応答データ生成部16aにより、先に取得した書誌情報の中から、ジョブ取得可能と判断された自機(印刷制御装置100a)に格納される蓄積ジョブの書誌情報を特定する(ステップS505a)。このとき、応答データ生成部16aにより、先に取得した書誌情報の中から、ジョブ取得不可能と判断された印刷制御装置100bに格納される蓄積ジョブの書誌情報を削除する。
【0150】
印刷制御装置100aは、応答データ生成部16aにより、特定した書誌情報に基づき、ジョブ取得可能な自機(印刷制御装置100a)を特定するための情報を含む利用者のジョブ一覧の応答データ16RDを生成する(ステップS506a)。
【0151】
印刷制御装置100aは、要求応答部15aにより、生成されたジョブ一覧の応答データ16RDを要求元の画像処理装置200に送信し、ログイン利用者のジョブ一覧の取得要求に対して応答する(ステップS507a)。
【0152】
これにより、本実施形態では、書誌情報を一元管理する印刷制御装置100aにおいて、ジョブ一覧画面Wを介してジョブ選択された後に取得可能な蓄積ジョブのみを含むジョブ一覧の応答データ16RDが生成され、取得要求元に提供される。
【0153】
<まとめ>
以上のように、本実施形態に係る印刷制御装置100によれば、要求受付部14により、画像処理装置200からジョブ一覧取得要求を受け付けると、応答データ生成部16及び動作確認部17aにより、次のような処理が行われる。
【0154】
応答データ生成部16は、システム1内の全ての蓄積ジョブに対応する複数の書誌情報を一元管理する書誌情報保持部80から、利用者の蓄積ジョブの書誌情報を取得する。動作確認部17は、取得された書誌情報に含まれるサーバ識別情報から、ジョブを格納する印刷制御装置100を特定し、特定した印刷制御装置100の動作状態を確認する。
【0155】
応答データ生成部16は、状態確認結果に基づき、先に取得した書誌情報の中から、ジョブ取得可能と判断された印刷制御装置100に格納される蓄積ジョブの書誌情報を特定する。応答データ生成部16は、特定した取得した書誌情報に基づき、ジョブ取得可能なジョブ蓄積先特定情報を含む利用者のジョブ一覧の応答データ16RDを生成する。
【0156】
これにより、印刷制御装置100は、要求応答部15により、要求元の画像処理装置200に対し、生成されたジョブ一覧の応答データ16RDを応答する。
【0157】
また、印刷制御装置100は、要求受付部14により、画像処理装置200からジョブ取得要求を受け付けると、要求応答部15により、自機で保持する蓄積ジョブの中から、該当ジョブを取得する。
【0158】
これにより、印刷制御装置100は、要求応答部15により、要求元の画像処理装置200に対し、取得したジョブを応答する。
【0159】
これによって、本実施形態に係る印刷制御装置100では、第1の実施形態と同様の効果を奏するとともに、利用者が、ジョブ一覧画面Wを介して、実行対象ジョブを選択した際に、選択ジョブを印刷制御装置100から取得できず、ジョブ実行が行えないといった問題を未然に防ぐことができる。
【0160】
ここまで、上記実施形態の説明を行ってきたが、上記実施形態に係る「印刷制御機能」は、図を用いて説明を行った各処理手順を、動作環境(プラットフォーム)にあったプログラミング言語でコード化したプログラムが、システム1を構成する各機器の演算装置(CPU)により実行されることで実現される。
【0161】
上記プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体103a,214aに格納することができる。これにより、例えば、上記プログラムは、印刷制御装置100の場合、ドライブ装置103を介してインストールすることができる。また、印刷制御装置100は、インタフェース装置107を備えていることから、電気通信回線を用いてダウンロードし、インストールすることもできる。
【0162】
例えば、上記プログラムは、画像処理装置200の場合、外部記憶I/F214を介してインストールすることができる。また、画像処理装置200は、ネットワークI/F213を備えていることから、電気通信回線を用いてダウンロードし、インストールすることもできる。
【0163】
ここからは、上記実施形態の各変形例について説明する。なお、以降では、上記実施形態と異なる事項についてのみ説明し、同一事項については、同じ参照符号を付して、その説明を省略する。
【0164】
[変形例1]
本変形例1では、書誌情報を一元管理する印刷制御装置100aにおいて、画像処理装置200におけるジョブ一覧画面Wに表示するジョブをジョブ蓄積先単位で制限する技術を提案する。
【0165】
図15は、本変形例1に係るジョブ一覧の設定画面例を示す図である。
本変形例1では、例えば、図15に示すような設定画面JWを介して、印刷制御装置100aにより、ジョブ一覧画面Wに表示されるジョブを格納する印刷制御装置100を設定できる。
【0166】
図15に示す設定画面JWでは、システム1内に設置された全ての印刷制御装置100に格納された蓄積ジョブをジョブ一覧画面Wの表示候補とする設定[表示制限なし]と、システム1内に設定された全ての印刷制御装置100のうち、特定の印刷制御装置100に格納された蓄積ジョブを表示候補とする設定[表示制限あり]と、のどちらか一方を表示制限有無値として設定できる。また、設定画面JWでは、特定の印刷制御装置100に格納された蓄積ジョブを表示候補とする設定を行う場合、表示候補とするジョブを格納する1又は複数の印刷制御装置100を選択し、機器指定値として設定できる。
【0167】
これにより、印刷制御装置100aでは、上記表示制限有無値及び/又は上記機器指定値(ジョブ識別情報)を設定画面JWの設定値として得る。
【0168】
これを受けて応答データ生成部16aは、ジョブ一覧の応答データ16RDを生成する際に、次のような処理を行う。応答データ生成部16aは、表示制限有無値に基づき、ジョブ一覧画面Wの表示制限を行うか否かを判断する。応答データ生成部16aは、表示制限を行うと判断した場合、機器指定値に基づき、表示候補ジョブを格納する印刷制御装置100を特定する。
【0169】
応答データ生成部16aは、特定した印刷制御装置100のジョブ識別情報に基づき、書誌情報保持部80aにアクセスし、表示候補ジョブに対応する書誌管理情報80Dを特定する。応答データ生成部16aは、ジョブ一覧の取得要求を受け付けた際に受信した利用者識別情報に基づき、特定した書誌管理情報80Dから、利用者の蓄積ジョブに対応する書誌管理情報80Dを特定する。応答データ生成部16aは、特定した書誌管理情報80Dから取得した書誌情報に基づき、ジョブ一覧の応答データ16RDを生成する。
【0170】
これにより、本実施形態では、書誌情報を一元管理する印刷制御装置100aから画像処理装置200に対し、予め設定されたジョブ一覧画面Wの表示制御に応じて、表示が許可された蓄積ジョブのみを含むジョブ一覧情報が提供される。
【0171】
《ジョブ一覧提供処理》
図16は、本変形例1に係るジョブ一覧提供の処理手順例を示すフローチャートである。具体的には、書誌情報を一元管理する印刷制御装置100aにおけるジョブ一覧提供処理が示されている。
【0172】
図16に示すように、印刷制御装置100aは、要求受付部14aにより、画像処理装置200から送信された処理実行要求データを受信し、ログイン利用者のジョブ一覧の取得要求を受け付ける(ステップS601a:YES)。
【0173】
印刷制御装置100aは、応答データ生成部16aにより、設定画面JWからの設定値である表示制限有無値に基づき、ジョブ一覧画面Wの表示制限を行うか否か(設定値が[表示制限あり]/[表示制限なし])を判定する(ステップS602a)。
【0174】
印刷制御装置100aは、表示制限を行わないと判定された場合(ステップS602a:NO)、応答データ生成部16aにより、要求受付時に受信した利用者識別情報に基づき、書誌情報保持部80aに保持されるログイン利用者の蓄積ジョブに対応する書誌管理情報80Dを特定し、特定した書誌管理情報80Dから書誌情報を取得する(ステップS603a)。
【0175】
一方、印刷制御装置100aは、表示制限を行うと判定された(設定値が[表示制限あり]の)場合(ステップS602a:YES)、応答データ生成部16aにより、設定画面JWからの設定値である機器指定値に基づき、書誌情報保持部80aに保持される表示候補ジョブに対応する書誌管理情報80Dを特定する(ステップS604a)。
【0176】
印刷制御装置100aは、応答データ生成部16aにより、要求受付時に受信した利用者識別情報に基づき、特定した書誌管理情報80Dからログイン利用者の蓄積ジョブに対応する書誌管理情報80Dを特定し、特定した書誌管理情報80Dから書誌情報を取得する(ステップS605a)。
【0177】
印刷制御装置100aは、応答データ生成部16aにより、取得した書誌情報に基づき、ジョブ蓄積先特定情報を含むジョブ一覧の応答データ16RDを生成する(ステップS606a)。
【0178】
印刷制御装置100aは、要求応答部15aにより、生成されたジョブ一覧の応答データ16RDを要求元の画像処理装置200に送信し、ログイン利用者のジョブ一覧の取得要求に対して応答する(ステップS607a)。
【0179】
これにより、本実施形態では、書誌情報を一元管理する印刷制御装置100aにおいて、表示が許可された蓄積ジョブのみを含むジョブ一覧の応答データ16RDが生成され、取得要求元に提供される。
【0180】
このように、本変形例1では、画像処理装置200において、ジョブ一覧画面Wに表示されるジョブをジョブ蓄積先単位で制限できる。これにより、システム管理者は、情報機密性の高いシステム運用を行うことができる。
【0181】
[変形例2]
本変形例2では、画像処理装置200において、ジョブ一覧画面Wに表示するジョブをジョブ蓄積先単位で限定する技術を提案する。
【0182】
《ジョブ一覧表示処理》
図17は、本変形例2に係るジョブ一覧表示の処理手順例を示すフローチャートである。具体的には、画像処理装置200におけるジョブ一覧表示処理が示されている。また、図18は、本変形例2に係るジョブ一覧表示の画面遷移例を示す図である。
【0183】
図17に示すように、画像処理装置200は、認証部21により、利用者ログインイベントを受け付けると(ステップS701:YES)、その際に受け取った入力情報に基づき、利用者認証を行う(ステップS702)。
【0184】
画像処理装置200は、認証部21による認証結果が[失敗/NG]の場合(ステップS703:NO)、所定のエラー処理を行う(ステップS709)。
【0185】
一方、画像処理装置200は、認証部21による認証結果が[成功/OK]の場合(ステップS703:YES)、要求部22により、ジョブ一覧の取得要求指示を受け付けると、印刷制御装置100a(要求受付部14a)に対し、ログイン利用者のジョブ一覧の取得処理の実行を要求する(ステップS704)。
【0186】
その結果、印刷制御装置100aが、要求応答部15aにより、ジョブ蓄積先特定情報を含むジョブ一覧の応答データ16RDを画像処理装置200に送信し、ログイン利用者のジョブ一覧の取得要求に対して応答する。
【0187】
これを受けて画像処理装置200は、応答受付部23により、印刷制御装置100aから送信された応答データ16RDを受信し、ログイン利用者のジョブ一覧の取得処理応答を受け付ける(ステップS705:YES)。
【0188】
その結果、画像処理装置200は、表示制御部24により、受信されたジョブ一覧の応答データ16RDに基づき、操作パネル220上に、図18(A)に示すジョブ一覧画面Wを表示する(ステップS706)。
【0189】
このとき、画像処理装置200は、表示制御部24により、ジョブ一覧画面W上の[サーバ一覧]ボタンの押下イベントを受け付けると、同図(B)に示すサーバ選択画面SWを表示する。表示されたサーバ選択画面SWには、システム1内に設置された全ての印刷制御装置100を選択指定可能な機器選択ボタン([印刷サーバA]や[印刷サーバB])が表示されている。
【0190】
これにより、利用者は、機器選択ボタンを押下することで、ジョブ蓄積先にあたる印刷制御装置100を指定でき、表示指示ボタン([OK]ボタン)を押下することで、ジョブ蓄積先単位でのジョブ一覧情報の再表示(限定表示)を指示できる。
【0191】
画像処理装置200は、表示制御部24により、ジョブ一覧画面W上の機器選択ボタン及び表示指示ボタンの押下イベントを受け付けると(ステップS707:YES)、受信されたジョブ一覧の応答データ16RDから、選択された印刷制御装置100に該当するデータを抽出する。表示制御部24は、抽出データに基づき、操作パネル220上に、図18(B)又は(C)に示すジョブ蓄積先単位のジョブ一覧画面W1又はW2を表示する(ステップS708)。なお、表示制御部24は、機器選択ボタン及び表示指示ボタンの押下イベントを受け付けるまで、再表示受付待ち状態となる(ステップS707:NO)。
【0192】
図18(B)は、印刷制御装置100aのジョブ一覧の画面例であり、機器選択ボタンにより、印刷制御装置100a(印刷サーバA)が選択された場合に表示される。一方、図18(C)は、印刷制御装置100bのジョブ一覧の画面例であり、機器選択ボタンにより、印刷制御装置100b(印刷サーバB)が選択された場合に表示される。
【0193】
これにより、本変形例2では、画像処理装置200において、まず、システム1内におけるログイン利用者の全ての蓄積ジョブのジョブ一覧画面Wが表示され、そこからさらにジョブ蓄積先単位でジョブ一覧画面Wが再表示される。
【0194】
このように、本変形例2では、ジョブ一覧画面Wをジョブ蓄積先単位で限定表示できる。これにより、利用者は、システム1内において自身の蓄積ジョブが多数存在し、実行対象ジョブを見つけることが困難な場合であっても、該当ジョブ候補を簡便に絞り込むことができる。
【0195】
[変形例3]
本変形例3では、クラスタリング技術を採用した印刷制御システム1への対応方法を提案する。クラスタリングとは、複数の機器を連結し、他の機器に対して全体で1台の機器であるかのように振舞わせる技術である。このような技術を採用した印刷制御システム1では、例えば、図19に示すような問題が挙げられる。
【0196】
図19は、クラスタリング技術を採用した印刷制御システム1の動作例を示す図である。
図19には、1台の印刷制御装置100aが設置されたエリアLaと、2台の印刷制御装置100b,100bが設置されたエリアLbと、を含むシステム構成例が示されている。つまり、エリアLbには、クラスタリング技術を採用したネットワーク環境(クラスタ環境)が構築されている。
【0197】
例えば、画像処理装置200は、クラスタリング技術が採用されていない非クラスタ環境のエリアLaに配置された印刷制御装置100aから実行対象ジョブを取得する場合、印刷制御装置100aに割り当てられたネットワーク設定値[物理アドレス]に基づき取得できる。
【0198】
一方、画像処理装置200は、クラスタ環境のエリアLbに配置された印刷制御装置100bから実行対象ジョブを取得する場合、印刷制御装置100b,100bそれぞれに割り当てられたネットワーク設定値[物理アドレス1,2]に基づき取得できない。
【0199】
なぜなら、クラスタ環境では、上述したように、複数の機器を連結し、他の機器に対して全体で1台の機器であるかのように振舞わせるため、仮想的に割り当てられたネットワーク設定値[仮想アドレス]に基づき、外部からのアクセスが可能な仕組みとなっているためである。つまり、各機器に割り当てられたネットワーク設定値[物理アドレス]に基づき、外部からアクセスできない。
【0200】
このようなことから、クラスタリング技術を採用した印刷制御システム1では、次のような処理を行う必要がある。印刷制御装置100において、ジョブ蓄積時に、自機の設置環境に応じて、外部アクセス可能なネットワーク設定値([物理アドレス]又は[仮想アドレス]のどちらか一方の値)を、書誌管理情報80Dの[書誌]項目のサーバ識別情報として保存する。つまり、システム1内において、クラスタ環境のネットワーク設定値[仮想アドレス]を認識させる必要がある。
【0201】
《ジョブ蓄積処理》
図20は、本変形例3に係るジョブ蓄積の処理手順例を示すフローチャートである。具体的には、図19に示すシステム1に対応し、クラスタ環境に設置された印刷制御装置100bにおけるジョブ蓄積処理が示されている。
【0202】
図20に示すように、印刷制御装置100bでは、ジョブ受付部11bにより、端末300から送信されたジョブデータを受信する(ステップS801b:YES)。
【0203】
印刷制御装置100bは、ジョブ解析部12bにより、受信されたジョブデータを解析する(ステップS802b)。その結果、ジョブ解析部12bでは書誌情報を解析結果として得る。
【0204】
印刷制御装置100bは、ジョブ管理部13bにより、自機(印刷制御装置100b)にクラスタ環境のネットワーク設定値[仮想アドレス]が設定されているか否かを判定する(ステップS803b)。
【0205】
印刷制御装置100bは、ネットワーク設定値[仮想アドレス]が設定されていないと判定された場合(ステップS803b:NO)、ジョブ管理部13bにより、"仮想アドレス設定なし"の場合の書誌情報と印刷データとの格納処理を実行する(ステップS804b)。
【0206】
このとき、ジョブ管理部13bは、印刷データをジョブ識別情報と対応付けて、新たな印刷データ管理情報90Dとして印刷データ保持部90bに保存する。また、ジョブ管理部13bは、印刷制御装置100aに対し、書誌情報とジョブ識別情報と対応付けた新たな書誌管理情報80Dを送信し、書誌情報保持部80aへの保存を要求する。その結果、印刷制御装置100aでは、印刷制御装置100bから受信した書誌管理情報80Dが書誌情報保持部80aに保存される。
【0207】
なお、"仮想アドレス設定なし"の場合、ジョブ管理部13bは、書誌管理情報80Dの[書誌]項目のサーバ識別情報の項目値に、自機(印刷制御装置100b)に割り当てられたネットワーク設定値[物理アドレス]を設定する。また、ジョブ管理部13bは、格納場所情報の項目値に、印刷データへのデータパスを示す文字列値を設定する。
【0208】
一方、印刷制御装置100bは、ネットワーク設定値[仮想アドレス]が設定されていると判定された場合(ステップS803b:YES)、ジョブ管理部13bにより、"仮想アドレス設定あり"の場合の書誌情報と印刷データとの格納処理を実行する(ステップS805b)。
【0209】
このときも、ジョブ管理部13bは、印刷データを含む新たな印刷データ管理情報90Dを印刷データ保持部90bに保存し、印刷制御装置100aに対し、書誌情報を含む書誌管理情報80Dを送信し、書誌情報保持部80aへの保存を要求する。その結果、印刷制御装置100aでは、印刷制御装置100bから受信した書誌管理情報80Dが書誌情報保持部80aに保存される。
【0210】
なお、"仮想アドレス設定あり"の場合、ジョブ管理部13bは、書誌管理情報80Dの[書誌]項目のサーバ識別情報の項目値に、クラスタ環境に仮想的に割り当てられたネットワーク設定値[仮想アドレス]を設定し、格納場所情報の項目値に、印刷データへのデータパスを示す文字列値を設定する。
【0211】
これにより、本変形例3では、利用者から受け付けたジョブが印刷制御装置100bに蓄積され、外部アクセス可能なジョブ識別情報を含むジョブの書誌情報が書誌情報を一元管理する印刷制御装置100aに蓄積される。
【0212】
このように、本変形例3では、クラスタリング技術を採用した印刷制御システム1であっても、利用者が、ジョブ一覧画面W上で選択したジョブを実行できる。
【0213】
なお、本変形例3において提案した技術は、NIC(Network Interface Card)などのインタフェース装置107を複数備え、複数のネットワーク設定値が割り当てられた印刷制御装置100が接続される印刷制御システム1にも適用できる。
【0214】
[変形例4]
本変形例4では、例えば、利用者が、Webブラウザなどの表示アプリケーション(以下単に「表示アプリ」という)を用いて、端末300から蓄積ジョブを削除する技術を提案する。
【0215】
《ジョブ削除処理》
図21は、本変形例4に係るジョブ削除の処理手順例を示す図である。具体的には、端末300におけるジョブ削除要求処理と、書誌情報を一元管理する印刷制御装置100aにおけるジョブ削除処理が示されている。
【0216】
図21に示すように、端末300は、表示アプリ画面上でジョブ一覧の取得要求指示を受け付けると、印刷制御装置100a(要求受付部14a)に対し、利用者のジョブ一覧の取得処理の実行を要求する(ステップS1001)。このとき、端末300は、印刷制御装置100aに、利用者の利用者識別情報を含む処理実行要求データを送信する。
【0217】
これを受けて印刷制御装置100aは、要求受付部14aにより、端末300から送信された処理実行要求データを受信し、利用者のジョブ一覧の取得要求を受け付ける(ステップS901a:YES)。
【0218】
印刷制御装置100aは、応答データ生成部16aにより、要求受付時に受信した利用者識別情報に基づき、書誌情報保持部80aに保持されるログイン利用者の蓄積ジョブに対応する書誌管理情報80Dを特定し、特定した書誌管理情報80Dから書誌情報を取得する(ステップS902a)。
【0219】
印刷制御装置100aは、応答データ生成部16aにより、取得した書誌情報に基づき、ジョブ一覧の応答データ16RDを生成する(ステップS903a)。
【0220】
印刷制御装置100aは、要求応答部15aにより、生成されたジョブ一覧の応答データ16RDを要求元の端末300に送信し、利用者のジョブ一覧の取得要求に対して応答する(ステップS904a)。
【0221】
これを受けて端末300は、印刷制御装置100aから送信された応答データ16RDを受信し、利用者のジョブ一覧の取得処理応答を受け付ける(ステップS1002:YES)。
【0222】
その結果、端末300は、受信されたジョブ一覧の応答データ16RDに基づき、表示装置102上にジョブ一覧画面Wを表示する(ステップS1003)。
【0223】
これにより、本変形例3では、端末300において、システム1内における利用者の全ての蓄積ジョブのジョブ一覧画面Wが表示される。このように、本実施形態では、削除対象ジョブを選択可能な操作環境を提供できる。
【0224】
端末300は、ジョブ一覧画面W上の操作による削除対象ジョブの選択イベントを受け付ける(ステップS1004)。このとき、端末300は、選択イベントを受け付けることで、選択された削除対象ジョブの印刷データの削除要求指示を受け付ける。
【0225】
端末300は、印刷制御装置100a(要求受付部14a)に対し、選択ジョブの印刷データの削除処理の実行を要求する(ステップS1005)。このとき、端末300は、印刷制御装置100aに、選択ジョブのジョブ識別情報を含む処理実行要求データを送信する。
【0226】
これを受けて印刷制御装置100aは、要求受付部14aにより、端末300から送信された処理実行要求データを受信し、選択ジョブの印刷データの削除要求を受け付ける(ステップS905a:YES)。
【0227】
印刷制御装置100aは、ジョブ管理部13aにより、要求受付時に受信したジョブ識別情報に基づき、削除対象ジョブの印刷データを自機(印刷制御装置100a)で保持しているか否かを判定する(ステップS906a)。
【0228】
印刷制御装置100aは、削除対象ジョブの印刷データを自機で保持していると判定された場合(ステップS906a:YES)、ジョブ管理部13aにより、ジョブ識別情報に基づき、印刷データ保持部90aにアクセスする。ジョブ管理部13aは、削除対象ジョブに対応する印刷データ管理情報90Dを特定し、特定した印刷データ管理情報90D(印刷データを含む)を削除する(ステップS907a)。このとき、ジョブ管理部13aは、ジョブ識別情報に基づき、書誌情報保持部80aにアクセスし、削除対象ジョブに対応する書誌管理情報80Dを特定し、特定した書誌管理情報80Dを削除する。
【0229】
一方、印刷制御装置100aは、削除対象ジョブの印刷データを自機(印刷制御装置100a)で保持していないと判定された場合(ステップS906a:NO)、ジョブ管理部13aにより、ジョブ識別情報に基づき、書誌情報保持部80aにアクセスする。ジョブ管理部13aは、削除対象ジョブに対応する書誌管理情報80Dを特定し、特定した書誌管理情報80Dに含まれるサーバ識別情報に基づき、削除対象ジョブのジョブ蓄積先を特定する(ステップS908a)。
【0230】
なお、本処理では、削除対象ジョブのジョブ識別情報に、印刷制御装置100bに割り当てられたネットワーク設定値が設定されていた場合を想定している。つまり、削除対象ジョブの印刷データが印刷制御装置100bに格納されていた場合を想定している。
【0231】
印刷制御装置100aは、要求部22により、特定した印刷制御装置100b(要求受付部14b)に対し、削除対象ジョブの印刷データの削除処理の実行を要求する(ステップS909a)。このとき、要求部22は、印刷制御装置100bに、削除対象ジョブのジョブ識別情報を含む処理実行要求データを送信する。
【0232】
これにより、本変形例4では、端末300において、ジョブ一覧画面Wを介して削除対象ジョブの選択を受け付け、選択ジョブのサーバ識別情報により特定された印刷制御装置100bから該当ジョブが削除される。このように、本変形例4では、遠隔操作によるジョブ削除実行環境を提供できる。
【0233】
[変形例5]
図22は、本変形例5に係る印刷制御システム1の構成例を示す図である。
上記実施形態では、書誌情報の一元管理を印刷制御装置100aで行う構成について説明を行ったが、この限りでない。例えば、図22に示すように、書誌情報の一元管理を印刷制御装置100と異なる情報管理装置400で行うようにしてもよい。この場合、情報管理装置400は、要求受付部41、要求応答部42、応答データ生成部43、及び書誌情報保持部80を有する。
【0234】
本変形例5に係る印刷制御システム1では、上述したジョブ蓄積処理、ジョブ一覧提供処理が次のように実行される。
【0235】
《ジョブ蓄積処理》
印刷制御装置100は、端末300から利用者からのジョブを受け付けると、受信した印刷データをジョブ識別情報と対応付けて、新たな印刷データ管理情報90Dとして、自機(印刷制御装置100a、100b)が有する印刷データ保持部90に格納する。このとき、印刷制御装置100は、情報管理装置400に対し、書誌情報とジョブ識別情報と対応付けた新たな書誌管理情報80Dを送信し、書誌情報保持部80への保存を要求する。
【0236】
《ジョブ一覧提供処理》
情報管理装置400は、画像処理装置200からジョブ一覧情報の取得要求を受け付けると、受信した処理実行要求データに含まれる利用者識別情報に基づき、書誌情報保持部80にアクセスし、特定した書誌管理情報80Dから取得し、取得した書誌情報からジョブ一覧の応答データを生成する。情報管理装置400は、生成した応答データを要求元の画像処理装置200に送信し、ジョブ一覧情報の取得要求に対して応答する。
【0237】
これによって、本変形例5に係る印刷制御システム1でも、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0238】
最後に、上記実施形態に挙げた形状や構成に、その他の要素との組み合わせなど、ここで示した要件に、本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0239】
1 印刷制御システム
11 ジョブ受付部
12 ジョブ解析部
13 ジョブ管理部
14 要求受付部
15 要求応答部
16 応答データ生成部(RD:応答データ)
17 動作確認部
80 書誌情報保持部(D:書誌管理情報)
90 印刷データ保持部(D:印刷データ管理情報)
100 印刷制御装置(印刷サーバ)
200 画像処理装置
300 端末(情報処理装置)
400 情報管理装置(データベース)
N 内部ネットワーク
I 外部ネットワーク
【先行技術文献】
【特許文献】
【0240】
【特許文献1】特開2009−294889号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の記憶領域に蓄積ジョブを保持するジョブ保持手段を有し、ジョブ一覧画面から選択されたジョブを前記ジョブ保持手段から取得し、取得ジョブを印刷する画像処理装置と、所定のデータ伝送路で接続される印刷制御装置であって、
前記画像処理装置からの処理要求を受け付ける要求受付手段と、
前記処理要求に応じて実行された処理結果に基づき、前記処理要求への応答データを生成する応答データ生成手段と、
前記応答データを前記画像処理装置に送信し、受け付けた前記処理要求に対して応答する要求応答手段と、を有し、
前記要求受付手段が、前記画像処理装置からジョブ一覧取得要求を受け付けると、
前記応答データ生成手段が、
当該印刷制御装置で保持される蓄積ジョブと他の印刷制御装置で保持される蓄積ジョブとを含む全ての蓄積ジョブに対応する複数の書誌情報を一元管理するために該書誌情報を所定の記憶領域に保持する書誌情報保持手段から、利用者の蓄積ジョブに対応する書誌情報を取得し、取得した書誌情報に基づき、ジョブ蓄積先を特定するためのジョブ蓄積先特定情報を含むジョブ一覧の応答データを生成し、
前記要求応答手段が、生成されたジョブ一覧の応答データを前記画像処理装置に送信し、前記ジョブ一覧取得要求に対して応答することを特徴とする印刷制御装置。
【請求項2】
ジョブ蓄積要求受付時に受信したジョブを解析するジョブ解析手段と、
解析結果に基づき、前記蓄積ジョブのデータ管理を行うジョブ管理手段と、を有し、
前記ジョブ解析手段が、受信ジョブの書誌情報と受信ジョブのジョブデータを含む解析結果を得ると、
前記ジョブ管理手段は、
前記受信ジョブを識別するジョブ識別情報と前記書誌情報とが対応付けられた書誌管理情報を前記書誌情報保持手段に格納し、
前記ジョブ識別情報と前記ジョブデータとが対応付けられたジョブ管理情報を前記ジョブ保持手段に格納することを特徴とする請求項1に記載の印刷制御装置。
【請求項3】
前記ジョブ管理手段は、
前記受信ジョブのジョブデータが格納された前記ジョブ保持手段を有する印刷制御装置を識別するサーバ識別情報と、前記受信ジョブのジョブデータの格納場所を示す格納場所情報とを含む、前記ジョブ蓄積先特定情報が前記書誌情報として設定された前記書誌管理情報を前記書誌情報保持手段に格納することを特徴とする請求項2に記載の印刷制御装置。
【請求項4】
前記応答データ生成手段は、
前記書誌情報保持手段から、利用者の蓄積ジョブに対応する書誌管理情報を特定し、特定した書誌管理情報に設定される前記サーバ識別情報と前記格納場所情報とに基づき、前記ジョブ蓄積先特定情報を含む前記ジョブ一覧の応答データを生成することを特徴とする請求項3に記載の印刷制御装置。
【請求項5】
当該印刷制御装置と他の印刷制御装置とを含む印刷制御装置の動作確認を行う動作確認手段を有し、
前記動作確認手段は、
前記応答データ生成手段が特定した書誌管理情報に設定される前記サーバ識別情報に基づき、該当印刷制御装置の動作状態を確認し、
前記応答データ生成手段は、
前記動作確認手段による動作確認結果に基づき、正常動作が確認され、前記画像処理装置からジョブ取得可能な印刷制御装置で保持される蓄積ジョブに対応する書誌情報に基づき、前記ジョブ一覧の応答データを生成することを特徴とする請求項3又は4に記載の印刷制御装置。
【請求項6】
前記要求受付手段が、前記画像処理装置からジョブ取得要求を受け付けると、
前記ジョブ管理手段は、
ジョブ取得要求受付時に受信した前記格納場所情報に基づき、当該印刷制御装置が有する前記ジョブ保持手段から該当ジョブデータを取得し、
前記要求応答手段が、取得されたジョブデータを前記画像処理装置に送信し、前記ジョブ取得要求に対して応答することを特徴とする請求項3ないし5のいずれか一項に記載の印刷制御装置。
【請求項7】
前記応答データ生成手段は、
当該印刷制御装置と他の印刷制御装置とを含む印刷制御装置の中で、予め設定された1又は複数の印刷制御装置で保持される蓄積ジョブに対応する書誌情報に基づき、前記ジョブ一覧の応答データを生成することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の印刷制御装置。
【請求項8】
所定の記憶領域に蓄積ジョブを保持するジョブ保持手段を有する印刷制御装置と、ジョブ一覧画面から選択されたジョブを前記ジョブ保持手段から取得し、取得ジョブを印刷する画像処理装置とが、所定のデータ伝送路を介して接続される印刷制御システムであって、
前記印刷制御装置が、
前記画像処理装置からの処理要求を受け付ける要求受付手段と、
前記処理要求に応じて実行された処理結果に基づき、前記処理要求への応答データを生成する応答データ生成手段と、
前記応答データを前記画像処理装置に送信し、受け付けた前記処理要求に対して応答する要求応答手段と、を有し、
前記画像処理装置が、
前記印刷制御装置に対し、所定の処理を要求する要求手段と、
前記印刷制御装置から前記処理要求に対する応答を受け付ける応答受付手段と、を有し、
前記画像処理装置は、前記要求手段が、前記印刷制御装置に対し、ジョブ一覧取得を要求し、
前記印刷制御装置は、前記要求受付手段が、前記画像処理装置からジョブ一覧取得要求を受け付けると、前記応答データ生成手段が、当該印刷制御装置で保持される蓄積ジョブと他の印刷制御装置で保持される蓄積ジョブとを含む全ての蓄積ジョブに対応する複数の書誌情報を一元管理するために該書誌情報を所定の記憶領域に保持する書誌情報保持手段から、利用者の蓄積ジョブに対応する書誌情報を取得し、取得した書誌情報に基づき、ジョブ蓄積先を特定するためのジョブ蓄積先特定情報を含むジョブ一覧の応答データを生成し、前記要求応答手段が、生成されたジョブ一覧の応答データを前記画像処理装置に送信し、前記ジョブ一覧取得要求に対して応答し、
前記画像処理装置は、前記応答受付手段が、前記印刷制御装置から前記ジョブ一覧取得要求に対する応答を受け付けると、応答受付時に受信した前記ジョブ一覧の応答データに基づき、利用者の前記ジョブ一覧画面を表示することを特徴とする印刷制御システム。
【請求項9】
所定の記憶領域に蓄積ジョブを保持するジョブ保持手段を有し、ジョブ一覧画面から選択されたジョブを前記ジョブ保持手段から取得し、取得ジョブを印刷する画像処理装置と、所定のデータ伝送路で接続される印刷制御装置における印刷制御プログラムであって、
コンピュータを、
前記画像処理装置からの処理要求を受け付ける要求受付手段と、
前記処理要求に応じて実行された処理結果に基づき、前記処理要求への応答データを生成する応答データ生成手段と、
前記応答データを前記画像処理装置に送信し、受け付けた前記処理要求に対して応答する要求応答手段として機能させ、
前記要求受付手段により、前記画像処理装置からジョブ一覧取得要求を受け付けると、
前記応答データ生成手段により、当該印刷制御装置で保持される蓄積ジョブと他の印刷制御装置で保持される蓄積ジョブとを含む全ての蓄積ジョブに対応する複数の書誌情報を一元管理するために該書誌情報を所定の記憶領域に保持する書誌情報保持手段から、利用者の蓄積ジョブに対応する書誌情報を取得し、取得した書誌情報に基づき、ジョブ蓄積先を特定するためのジョブ蓄積先特定情報を含むジョブ一覧の応答データを生成し、
前記要求応答手段により、生成されたジョブ一覧の応答データを前記画像処理装置に送信し、前記ジョブ一覧取得要求に対して応答するように動作させる印刷制御プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラムを記憶した、コンピュータが読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−238110(P2012−238110A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105529(P2011−105529)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】