説明

印刷制御装置、印刷制御システムおよび印刷制御方法

【課題】印刷ジョブの処理効率を向上させる印刷制御装置、印刷制御システムおよび印刷制御方法を提供する。
【解決手段】本発明の印刷制御装置10は、印刷ジョブの1部当たりのページ数を取得する印刷情報取得部3と、印刷装置の給紙トレイ内の用紙残量を取得する装置情報取得部4と、印刷ジョブの1部当たりのページ数と給紙トレイ内の用紙残量とを比較して、給紙トレイ内の用紙残量が1部当たりのページ数より小さくなった場合、処理中の印刷ジョブを部単位で完了するように中断する印刷中断判定部5と、印刷中断判定部5が処理中の印刷ジョブを中断した場合に、印刷ジョブリスト中に実行可能な待機中の印刷ジョブがあるか否かを判定し、実行可能な印刷ジョブがある場合に、当該印刷ジョブを実行させるよう制御する印刷ジョブ制御部6と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷制御装置、印刷制御システムおよび印刷制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、顧客から印刷物(雑誌、新聞、カタログ、広告等)の作成依頼を受注し、印刷物を作成する印刷業界において、電子写真方式の印刷装置やインクジェット方式の印刷装置の高速化、高画質化に伴い、プリント・オン・ディマンド(Print On Demand:以下、PODと表記する)と呼ばれる市場が拡大している。PODは、顧客が小ロットの印刷物を必要なときに必要な部数だけ印刷し、低価格かつ短納期で提供することを特徴とするサービスであり、商品の多様化やより短納期化することが市場から要求されている。
【0003】
POD市場では、多種多様な用紙を使用して高品質な印刷物を最終顧客へ提供するため、印刷装置内の複数の給紙トレイに多種類の用紙をそれぞれセットし、各印刷ジョブで指定された種類の用紙がセットされている給紙トレイを指定して、目的の印刷物を印刷・作成している。
【0004】
このようなPODシステムでは、印刷装置から出力された用紙束を、カタログや取扱説明書等の冊子として整えるために、リングバインド装置やステープル装置等の後処理装置を印刷装置に直接接続することが多く、印刷ジョブ効率を高める目的で種々の技術が開示されている。
【0005】
例えば、特許第3647152号公報(特許文献1)には、印刷装置や後処理装置等で発生した印刷エラーの状態に基づき、実行中のジョブを停止した後、待機中の印刷ジョブのうち実行可能なジョブを出力させるように各印刷ジョブの出力順序を制御する画像処理装置が記載されている。
【0006】
また、特開2009−123147号公報(特許文献2)には、印刷ジョブを処理する複数の印刷装置に対して分割した印刷ジョブを分配し、該分割した印刷ジョブを処理する印刷装置のエラー状況を監視して、エラー検知の際に、検出したエラーの種類および分割した印刷ジョブの処理状況に基づいて、再度受付印刷ジョブについて分割し分配する印刷制御装置が記載されている。
【0007】
さらに、特許第3775026号公報(特許文献3)には、給紙トレイ内の用紙不足やスタッカ(排紙トレイ、排紙ビン)の満杯状態等の印刷装置が停止する要因を予測し、オペレータに通知する印刷装置が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1および2に開示の発明では、エラーが発生した印刷ジョブを中断して他の実行可能な印刷ジョブを優先して処理するため、中断された印刷ジョブが、例えば、部単位の全ページを印刷した後にステープル留めなどの後処理を行うジョブの場合、後処理装置内にステープル待ちの用紙が滞留することになる。このため、ステープル装置を使用しない印刷ジョブを選択し処理することになるが、PODではステープルや製本処理などの後処理を行うことが多いため、優先実行可能な印刷ジョブが少ない、または実行可能な印刷ジョブがない場合が多く、印刷ジョブの処理効率が上がらないという問題を有していた。
【0009】
また、上記特許文献3に開示の発明では、用紙不足やスタッカ満杯などの通知に対し、オペレータが対応しない場合は印刷が中断することになり、オペレータが長時間別の作業を行う場合や、休憩中などの無人運転時には該通知に対応することができず、印刷ジョブが中断したままになってしまうという問題を有していた。
【0010】
本発明は、上記の点に鑑みて、これらの問題を解消するために発明されたものであり、印刷装置や後処理装置内に処理待ちの用紙が滞留することを防止し、印刷ジョブの処理効率を向上させる印刷制御装置、印刷制御システムおよび印刷制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明にかかる印刷制御装置は、ネットワークを介して複数の印刷装置と通信可能であり、受け付けた印刷ジョブを前記印刷装置に分配し、印刷装置毎に印刷ジョブリストを作成して、該印刷ジョブリストに基づき各印刷装置に印刷処理させる印刷制御装置であって、処理対象の印刷ジョブについて1部当たりのページ数を含む印刷情報を取得する印刷情報取得手段と、印刷装置の給紙トレイ内の用紙残量を取得する装置情報取得手段と、前記印刷情報取得手段が取得した印刷ジョブの1部当たりのページ数と、前記装置情報取得手段が取得した印刷装置の給紙トレイ内の用紙残量とを比較して、給紙トレイ内の用紙残量が1部当たりのページ数より小さくなった場合、処理中の印刷ジョブを部単位で完了するように中断する印刷中断判定手段と、前記印刷中断判定手段が処理中の印刷ジョブを中断した場合に、前記印刷ジョブリスト中に実行可能な待機中の印刷ジョブがあるか否かを判定し、実行可能な印刷ジョブがある場合に、当該印刷ジョブを実行させるよう制御する印刷ジョブ制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の印刷制御装置は、上記発明において、前記印刷中断判定手段が印刷ジョブを中断した場合に、用紙切れの紙種および印刷装置を報知する報知手段を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の印刷制御装置は、上記発明において、前記報知手段は、ネットワークを介して当該印刷制御装置に接続された情報処理装置に通知することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の印刷制御装置は、上記発明において、前記印刷中断判定手段が印刷ジョブを中断した場合に、ネットワークに接続された他の印刷装置に該印刷ジョブを分配する印刷ジョブ分配手段を備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の印刷制御装置は、上記発明において、前記報知手段は、前記印刷ジョブ分配手段により他の印刷装置に中断した印刷ジョブが分配された場合、用紙切れの給紙トレイ数が、事前に設定された数を超えたとき、用紙切れの警告を報知することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の印刷制御装置は、ネットワークを介して複数の印刷装置と通信可能であり、受け付けた印刷ジョブを前記印刷装置に分配し、印刷装置毎に印刷ジョブリストを作成して、該印刷ジョブリストに基づき各印刷装置に印刷処理させる印刷制御装置であって、処理対象の印刷ジョブの1部当たりで使用するトナー量を算出するトナー量算出手段と、印刷装置からトナー残量を取得する装置情報取得手段と、前記トナー量算出手段が算出した印刷ジョブの1部当たりで使用するトナー量と、前記装置情報取得手段が取得した印刷装置のトナー残量とを比較して、トナー残量が1部当たりで使用するトナー量より小さくなった場合に、処理中の印刷ジョブを部単位で完了するように中断する印刷中断判定手段と、前記印刷中断判定手段が処理中の印刷ジョブを中断した場合に、前記印刷ジョブリスト中に実行可能な待機中の印刷ジョブがあるか否かを判定し、実行可能な印刷ジョブがある場合に、当該印刷ジョブを実行させるよう制御する印刷ジョブ制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の印刷制御システムは、印刷ジョブを入力する情報処理装置と、受け付けた印刷ジョブを印刷装置毎に印刷ジョブリストを作成して印刷処理させる印刷制御装置と、前記印刷ジョブリストに基づき印刷処理を行う印刷装置とがネットワークで相互に通信可能に接続された印刷制御システムであって、処理対象の印刷ジョブについて1部当たりのページ数を含む印刷情報を取得する印刷情報取得手段と、印刷装置の給紙トレイ内の用紙残量を取得する装置情報取得手段と、前記印刷情報取得手段が取得した印刷ジョブの1部当たりのページ数と、前記装置情報取得手段が取得した印刷装置の給紙トレイ内の用紙残量とを比較して、給紙トレイ内の用紙残量が1部当たりのページ数より小さくなった場合に、処理中の印刷ジョブを部単位で完了するように中断する印刷中断判定手段と、前記印刷判定中断手段が処理中の印刷ジョブを中断した場合に、前記印刷ジョブリスト中に実行可能な待機中の印刷ジョブがあるか否かを判定し、実行可能な印刷ジョブがある場合に該印刷ジョブを実行させるよう制御する印刷ジョブ制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の印刷制御システムは、印刷ジョブを入力する情報処理装置と、受け付けた印刷ジョブを印刷装置毎に印刷ジョブリストを作成して印刷処理させる印刷制御装置と、前記印刷ジョブリストに基づき印刷処理を行う印刷装置とがネットワークで相互に通信可能に接続された印刷制御システムであって、処理対象の印刷ジョブの1部当たりで使用するトナー量を算出するトナー量算出手段と、印刷装置からトナー残量を取得する装置情報取得手段と、前記トナー量算出手段が算出した印刷ジョブの1部当たりで使用するトナー量と、前記装置情報取得手段が取得した印刷装置のトナー残量とを比較して、トナー残量が1部当たりで使用するトナー量より小さくなった場合に、処理中の印刷ジョブを部単位で完了するように中断する印刷中断判定手段と、前記印刷中断判定手段が処理中の印刷ジョブを中断した場合に、前記印刷ジョブリスト中に実行可能な待機中の印刷ジョブがあるか否かを判定し、実行可能な印刷ジョブがある場合に、当該印刷ジョブを実行させるよう制御する印刷ジョブ制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の印刷制御方法は、ネットワークを介して複数の印刷装置と通信可能であり、受け付けた印刷ジョブを前記印刷装置に分配し、印刷装置毎に印刷ジョブリストを作成して、該印刷ジョブリストに基づき各印刷装置に印刷処理させる印刷制御方法であって、処理対象の印刷ジョブについて1部当たりのページ数を含む印刷情報を取得する印刷情報取得ステップと、印刷装置の給紙トレイ内の用紙残量を取得する装置情報取得ステップと、前記印刷情報取得ステップが取得した印刷ジョブの1部当たりのページ数と、前記装置情報取得ステップが取得した印刷装置の給紙トレイ内の用紙残量とを比較して、給紙トレイ内の用紙残量が1部当たりのページ数より小さくなった場合、処理中の印刷ジョブを部単位で完了するように中断する印刷中断判定ステップと、前記印刷中断判定ステップが処理中の印刷ジョブを中断した場合に、前記印刷ジョブリスト中に実行可能な待機中の印刷ジョブがあるか否かを判定して、実行可能な印刷ジョブがある場合に、該印刷ジョブを実行させるよう制御する印刷ジョブ制御ステップと、を含むことを特徴とする。
【0020】
また、本発明の印刷制御方法は、ネットワークを介して複数の印刷装置と通信可能であり、受け付けた印刷ジョブを前記印刷装置に分配し、印刷装置毎に印刷ジョブリストを作成して、該印刷ジョブリストに基づき各印刷装置に印刷処理させる印刷制御ステップであって、処理対象の印刷ジョブの1部当たりで使用するトナー量を算出するトナー量算出ステップと、印刷装置からトナー残量を取得する装置情報取得ステップと、前記トナー量算出手段が算出した印刷ジョブの1部当たりで使用するトナー量と、前記装置情報取得手段が取得した印刷装置のトナー残量とを比較して、トナー残量が1部当たりで使用するトナー量より小さくなった場合に、処理中の印刷ジョブを部単位で完了するように中断する印刷中断判定ステップと、前記印刷中断判定手段が処理中の印刷ジョブを中断した場合に、前記印刷ジョブリスト中に実行可能な待機中の印刷ジョブがあるか否かを判定し、実行可能な印刷ジョブがある場合に、当該印刷ジョブを実行させるよう制御する印刷ジョブ制御ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、印刷装置内または後処理装置内に1部単位の印刷が完了していない用紙が滞留しないため、印刷実行可能な待機中の印刷ジョブの選択肢が増えるとともに、印刷中断時間を低減でき、印刷ジョブの処理効率を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本実施の形態1に係る印刷制御装置を備える印刷制御システムの構成の例を示す図である。
【図2】図2は、本実施の形態1に係る印刷制御装置の構成を説明するブロック図である。
【図3】図3は、印刷処理装置の構成と搬送経路について説明する図である。
【図4】図4は、記憶部に記憶される印刷ジョブリストの表示例を説明する図である。
【図5】図5は、図4に示す印刷ジョブリストが、中断情報により更新された場合の表示例を説明する図である。
【図6】図6は、図5に示す印刷ジョブリストが、印刷ジョブ実行情報により更新された場合の表示例を説明する図である。
【図7】図7は、本実施の形態1に係る印刷制御装置の印刷制御処理の手順を説明するフローチャートである。
【図8】図8は、実施の形態1の変形例1に係る印刷制御装置の印刷制御処理の手順を説明するフローチャートである。
【図9】図9は、変形例1にかかる印刷制御処理の印刷ジョブの再分配を説明するための図である。
【図10】図10は、変形例1にかかる印刷制御処理の印刷ジョブの再分配を説明するための図である。
【図11】図11は、本実施の形態2に係る印刷制御装置の構成を説明するブロック図である。
【図12】図12は、本実施の形態2に係る印刷制御装置の印刷制御処理の手順を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる印刷制御装置、印刷制御システムおよび印刷制御方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0024】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1に係る印刷制御装置10を有する印刷制御システム100の構成の例を示す図である。図1の印刷制御システム100は、印刷制御装置10と、情報処理装置J1〜Jn(nは任意の自然数)と、印刷処理装置P1〜Pm(mは任意の自然数)とを備え、LAN(Local Area Network)等の有線または無線のネットワークNWで接続されている。
【0025】
図2は、本実施の形態に係る印刷制御装置10の構成を説明するブロック図である。印刷制御装置10は、図2に示すように、データ受付部1と、印刷ジョブ分配部2と、印刷情報取得部3と、装置情報取得部4と、印刷中断判定部5と、印刷ジョブ制御部6と、記憶部7と、エラー報知部8と、データ送信部9と、を備える。
【0026】
データ受付部1は、ネットワークNWに接続されているクライアント装置である情報処理装置J1〜Jnから、印刷データと印刷設定情報からなる印刷ジョブを受信し、印刷ジョブ分配部2へ送信する。また、データ受付部1は、後述する装置情報取得部4による印刷処理装置P1〜Pmからの用紙残量情報等のデータを受信する。
【0027】
印刷ジョブ分配部2は、データ受付部1から受け取った印刷ジョブを、ネットワークNWに接続されている印刷処理装置P1〜Pmにそれぞれ分配し、印刷処理装置P1〜Pm毎に分配した印刷ジョブについて印刷ジョブリストQ1〜Qmを作成する。印刷ジョブは、印刷を行う画像情報と、作成する製本の種類、使用する紙種、部数、納期等の印刷情報とからなる。印刷ジョブ分配部2は、印刷ジョブにより指定された前記条件に基づき、印刷ジョブを印刷処理装置P1〜Pmに分配する。印刷ジョブリストQ1〜Qmは記憶部7に記憶される。
【0028】
印刷情報取得部3は、印刷処理装置P1〜Pm毎に処理対象の印刷ジョブについて1部当たりのページ数を含む印刷情報を、記憶部7に記憶された印刷ジョブリストQ1〜Qmから取得する。
【0029】
装置情報取得部4は、印刷処理装置P1〜Pmの処理対象の印刷ジョブに使用される種類の紙を供給する給紙トレイ内の用紙残量を、データ受付部2を介して印刷処理装置P1〜Pmからそれぞれ取得する。
【0030】
印刷中断判定部5は、印刷情報取得部3が取得した印刷ジョブの1部当たりのページ数と、装置情報取得部4が取得した給紙トレイ内の用紙残量とを比較して、給紙トレイ内の用紙残量が1部当たりのページ数より小さくなった場合、処理中の印刷ジョブを部単位で完了するように中断する。印刷ジョブの1部当たりのページ数と給紙トレイ内の用紙残量との比較は、印刷処理装置P1〜Pm毎に行う。用紙切れと判定して印刷ジョブを中断した場合、印刷中断判定部5は、用紙切れと判定した印刷ジョブの中断情報(以下、「中断情報」という)を印刷ジョブ制御部6と、記憶部7と、エラー送信部8とにそれぞれ送信する。
【0031】
印刷ジョブ制御部6は、たとえば、印刷中断判定部5が印刷処理装置Pmの印刷ジョブを中断した場合に、記憶部7から印刷ジョブリストQmを取得し、印刷ジョブリストQm中に実行可能な待機中の印刷ジョブがあるか否かを判定し、実行可能な印刷ジョブがある場合に、該印刷ジョブを実行させるよう印刷処理装置Pmを制御する。印刷ジョブ制御部6が実行可能と判定した印刷ジョブ情報は(以下、「印刷ジョブ情報」という)、記憶部6とデータ送信部9とに送信される。
【0032】
記憶部7は、印刷ジョブ分配部2が作成した印刷ジョブリストQ1〜Qmを記憶する。また、印刷中断判定部5から中断情報を、印刷ジョブ制御部6から印刷ジョブ情報を受信した場合には、該中断情報および印刷ジョブ情報に基づき印刷ジョブリストQ1〜Qmを更新する。
【0033】
エラー報知部8は、印刷中断判定部5が印刷処理装置P1〜Pmの印刷ジョブを中断した場合に、用紙切れが発生した印刷処理装置P、給紙トレイおよび用紙切れの紙種を報知する。エラー報知部8による報知は、通常、印刷制御装置10の図示しない出力部を介して報知される。あるいは、エラー報知部8は、印刷制御装置10の図示しない入力部を介して指定した情報処理装置J1〜Jnに報知させてもよい。用紙切れを報知する情報処理装置Jを指定することにより、印刷制御装置10から離れて作業している場合でも、用紙切れの紙種情報を知ることができ、より早く給紙トレイに用紙を補給することが可能となる。
【0034】
データ送信部9は、印刷ジョブ分配部2により印刷処理装置P1〜Pmに分配された印刷ジョブを、ネットワークNWを介して印刷処理装置P1〜Pmに送信して印刷ジョブを実行させる。送付するデータとしての印刷ジョブは、印刷を行う画像データや製本指示のコマンド等を含む。また、データ送信部9は、印刷中断判定部5による印刷ジョブの中断情報や、印刷ジョブ制御部6による新たな印刷ジョブの実行に関する印刷ジョブ情報を、印刷処理装置P1〜Pmに送信する。
【0035】
なお、図2には図示していないが、印刷制御装置10が印刷処理装置P1〜Pmに搭載されていてもよい。かかる場合には、印刷制御装置10は、印刷処理装置P1〜Pmの印刷状況の監視を行う。
【0036】
続いて、印刷装置K1〜Kmと後処理装置L1〜Lmとが接続された印刷処理装置P1〜Pmについて説明する。図3は、印刷処理装置200の構成と搬送経路について説明する図である。印刷処理装置200は、印刷装置Kと後処理装置Lを接続した印刷処理装置Pの代表的な例であるが、実施の形態1の印刷制御システム100に接続される印刷処理装置P1〜Pmはこれに限定されるものではない。
【0037】
印刷処理装置200は、印刷装置210と、大容量給紙トレイ装置220と、リングバインド装置230と、大容量スタッカ240と、ステープル装置250と、中綴じ製本機260と、を備える。
【0038】
印刷装置210は、印刷制御装置10から送信された印刷ジョブを受け取り、印刷ジョブで指定された内容に基づき、印刷処理を行う。
【0039】
大容量給紙トレイ装置220は、使用頻度が高い紙種を収容する大容量の給紙トレイTa、Tb、Tcを備える。また、印刷装置210内には、使用頻度が低い紙種を収容する給紙トレイTd、Te、Tfを備える。給紙トレイTa、Tb、Tc、Td、Te、Tfには異なる紙種の用紙が載置収容される。
【0040】
リングバインド装置230は、用紙にパンチ穴を開け、らせん状の専用部材で用紙束を製本する。
【0041】
大容量スタッカ240は、大容量の排紙トレイ241および242を備える。
【0042】
ステープル装置250は、用紙束をステープル留めする。
【0043】
中綴じ製本機260は、ステープル装置250によりステープル留めを行った後に、用紙束を二つ折にする。
【0044】
その他、後処理装置として、図示していないが、用紙束に対して糊付けを行い、表紙を貼り付けて裁断を行うくるみ製本機等を備えていてもよい。
【0045】
次に、図3に太線と矢印で示す用紙の搬送経路について説明する。給紙トレイTa〜Tfには、それぞれ異なる紙種、紙サイズの用紙が載置されている。印刷処理装置200は、印刷ジョブで指定された用紙を載置する給紙トレイから用紙を引き出して、図示しない搬送機構によって印刷装置210内のプリントエンジン部211に搬送する。プリントエンジン部で211は、印刷ジョブにより指定された画像データの印刷を行う。印刷ジョブで製本処理が指定されていない場合には、印刷された用紙は、リングバインド装置230を通過して、大容量スタッカ240に搬送され、排紙トレイ241または242に排紙される。
【0046】
印刷後、印刷ジョブが、例えば、リングバインド製本を指定している場合には、印刷された用紙はリングバインド装置230内のパンチ穴開け部231に搬送され、用紙にパンチ穴が開けられる。その後、パンチ穴処理後の用紙は、リング製本処理部232に搬送され積載される。製本処理される1部単位の印刷およびリング穴開け処理が完了し、リング穴製本処理部232に搬送されると、用紙束に対してリングバインド処理が行われる。リングバインド処理の完了後、製本された用紙束は、リングバインド製本積載トレイ233に搬送され、排出される。
【0047】
また、印刷ジョブがステープル処理を指定している場合には、印刷された用紙は、印刷装置210から、リングバインド装置230および大容量スタッカ240を通過し、ステープル装置250に搬送される。搬送された用紙は、ステープル処理部252に積載され、一部単位の印刷が完了し、一部単位の用紙がステープル処理部252に載置されると、用紙束に対してステープル処理が行われる。ステープル処理された用紙束は、積載スタッカ253に排出される。
【0048】
また、印刷ジョブが中綴じ製本を指定している場合には、ステープル装置250でステープル処理された用紙束は、中綴じ製本機260に搬送される。ステープル留めされた用紙束は、中綴じ処理部261に搬送されて二つ折り処理された後、排出トレイ262に排出される。
【0049】
以上のような後処理装置を備える印刷処理装置200は、図示しない印刷管理部を介して各給紙トレイTa〜Tfの用紙残量を取得し、取得した用紙残量情報を印刷制御装置10に送信する。
【0050】
実施の形態1では、印刷制御装置10は、情報処理装置J1〜Jnから受信した印刷ジョブを、印刷ジョブで指定された作成する製本の種類、使用する紙種、部数、納期等の印刷条件と、印刷処理装置P1〜Pmの処理能力、搭載する紙種、接続する後処理装置等を考慮して、印刷処理装置P1〜Pmに分配して、印刷ジョブリストQ1〜Qmとして登録する。印刷制御装置10は、印刷処理装置P1〜Pm毎に、処理する印刷ジョブの1部当たりの総ページ数と該印刷ジョブに使用する用紙を載置する給紙トレイの用紙残量とを比較し、用紙残量が1部当たりのページ数より大きい場合は、1部の途中で印刷が中断しないと判断して印刷を実行する。印刷ジョブが複数部の繰り返し印刷の場合、1部の最初の印刷を行う度に、用紙残量と1部あたりのページ数との比較を行い、用紙残量が1部当たりのページ数より小さい場合は、用紙切れと判断して次の部の印刷を開始せずに印刷を中断する。
【0051】
続いて、実施の形態1にかかる印刷処理装置10において、印刷ジョブを中断した後の印刷ジョブ処理について説明する。図4は、記憶部7に記憶される印刷処理装置Pmの印刷ジョブリストQmの表示例を説明する図である。図5は、図4に示す印刷ジョブリストQmが、中断情報により更新された場合の表示例を説明する図である。図6は、図5に示す印刷ジョブリストQmが、印刷ジョブ実行情報により更新された場合の表示例を説明する図である。
【0052】
図4に示すように、印刷ジョブリストQmには、印刷ジョブの印刷順401、状態402、ジョブ名、給紙トレイ、製本動作、排紙スタッカ、1部当たりの総ページ数、トータル部数、残部数などが表示されている。印刷ジョブリストQmの印刷順401は、印刷処理装置Pmの印刷ジョブの順番を示している。状態402は、印刷ジョブが、現在印刷中か、待機中であるかを示す。エラーにより印刷ジョブが中断している場合には、その中断理由が表示される。
【0053】
印刷ジョブリストQmの印刷順1であるジョブAは、現在印刷中であり、トレイ1に載置されるA4コート紙を使用して1部当たり32ページで50部のリングバインド製本が指定されている。また、製本の排紙は、リングバインド装置230の積載スタッカに排紙されるように指定され、現在処理終了部数は40部、残部数は10部である。印刷順2のジョブB、印刷順3のジョブC、印刷順4のジョブD、印刷順5のジョブE、印刷順6のジョブFは待機中である。
【0054】
印刷中断判定部5は、印刷処理装置Pmの給紙トレイ1内A4コート紙の残量が、印刷ジョブAの1部当たりの総ページ数の32よりも小さい場合に、印刷ジョブAを中断する。給紙トレイ1内の用紙残量が1部当たりの総ページより小さい場合に中断しないで印刷を行うと、印刷後にリングバインド装置230内のリング製本処理部232に搬送されても、1部揃わないためにリングバインド処理することができず、リング製本処理部232に用紙が載置されたままとなる。このため、ジョブAを中止しても、印刷ジョブリストQm中のリングバインド処理が指定されている待機中の印刷ジョブ(図4ではジョブB)は処理することができなくなる。実施の形態1では、給紙トレイ内の用紙残量が印刷ジョブで指定する1部当たりの総ページより小さい場合には、印刷ジョブを中断して1部単位の印刷・製本処理を完了させるため、後処理装置内に1部単位の印刷が完了していない用紙が滞留することがなく、その後に実施可能な印刷ジョブの選択肢を増やすことが可能となる。
【0055】
印刷中断判定部5が印刷ジョブAの中断情報を記憶部7に送信することにより、記憶部7は、図5に示すように、印刷ジョブリストQmの印刷ジョブAの状態を更新する。
【0056】
印刷中断判定部5がジョブAを中断した後、印刷ジョブ制御部6は、記憶部7から図5に示す印刷ジョブリストQmを取得し、印刷ジョブリストQm中に実行可能な待機中の印刷ジョブがあるか否かを判定する。図5では、待機中の印刷ジョブは、ジョブB、ジョブC、ジョブD、ジョブE、およびジョブFであり、A4コート紙を使用しない印刷ジョブが実行可能であるから、待機中のすべての印刷ジョブが実行可能であることがわかる。可能な実行ジョブ中、最も印刷順が早いジョブBが選択される。印刷ジョブ制御部6は、ジョブBの印刷ジョブ情報を、データ送信部9を介して印刷処理装置Pmに送付することにより、印刷処理装置PmでジョブBの印刷が実行される。
【0057】
また、印刷ジョブ制御部6がジョブBの印刷ジョブ情報を記憶部7に送信することにより、記憶部7は、図6に示すように、印刷ジョブリストQmの印刷ジョブBの状態を更新する。
【0058】
実施の形態1では、上記のようにして印刷ジョブ処理を行うことにより、実行可能な印刷ジョブを判定し、処理効率を向上させることができる。
【0059】
次に、実施の形態1に係る印刷制御装置10の印刷制御処理について説明する。図7は、実施の形態1に係る印刷制御装置10の印刷制御処理の手順を説明するフローチャートである。
【0060】
情報処理装置Jから送信された印刷ジョブは、データ受付部1により受信され、印刷ジョブ分配部2により印刷処理装置Pに分配され、分配された印刷ジョブは、印刷処理装置P毎に印刷ジョブリストQとして記憶部7に登録されている。
【0061】
印刷ジョブ制御部6は、印刷処理装置P毎に、印刷ジョブリストQの中に待機中の印刷ジョブがあるか否かを判断する(ステップS101)。
【0062】
待機中の印刷ジョブがある場合には(ステップS101:Yes)、印刷ジョブ制御部6は、待機中の印刷ジョブが実行可能であるか否かを判断する(ステップS102)。
【0063】
待機中で、かつ実行可能な印刷ジョブがある場合には(ステップS102:Yes)、印刷中断判定部5が、処理する印刷ジョブの1部単位のページ数が、印刷ジョブで指定する紙種を収容する給紙トレイ内の用紙残量より大きいか否かを判断する(ステップS103)。1部当たりのページ数は印刷情報取得部3が印刷ジョブリストQから取得し、給紙トレイ内の用紙残量は装置情報取得部4が印刷処理装置Pから取得する。
【0064】
印刷中断判定部5は、給紙トレイの用紙残量が印刷ジョブ1部当たりのページ数より大きい場合は(ステップS103:Yes)、印刷処理装置Pに対して印刷ジョブの実行指示を行う(ステップS104)。
【0065】
印刷実行指示は、印刷ジョブの1部が完了するまで行われる(ステップS105)。
【0066】
1部単位の印刷処理を終了すると(ステップS105:Yes)、印刷制御装置10は印刷ジョブに製本動作があるか否かを判定する(ステップS106)。
【0067】
1部単位の印刷処理が終了しない場合(ステップS105:No)、印刷制御装置10は1部単位の印刷処理が終了するまで印刷を繰り返す(ステップS105)。
【0068】
製本動作がある場合には(ステップS106:Yes)、印刷制御装置10は、用紙束について製本の実行を指示する(ステップS107)。
【0069】
製本動作がない場合には(ステップS106:No)、印刷制御装置10は、印刷ジョブが終了したか否かを判定する(ステップS108)。
【0070】
印刷ジョブが終了していない場合には(ステップS108:No)、ステップS103から繰り返し、印刷中断判定部5が用紙残量と1部当たりのページ数との比較判定を行う。印刷中断判定部5による判定は、印刷ジョブの1部単位の印刷が完了する度に行い、装置情報取得部4は、その都度、印刷処理装置P内の給紙トレイ内の用紙残量を取得する。
【0071】
印刷ジョブが終了した場合には(ステップS108:Yes)、印刷ジョブ制御部6は、印刷処理装置Pの印刷ジョブリストQに待機中のジョブがあるかどうか、ステップS101から繰り返して処理を行う。
【0072】
待機中の印刷ジョブが実行可能でない場合には(ステップS102:No)、印刷ジョブ制御部6は、ステップS101に戻って、印刷ジョブリストQの次の印刷順の印刷ジョブについて、待機中か(ステップS101)、実行可能か(ステップS102)を判断する。
【0073】
また、1部当たりのページ数が用紙残量より小さい場合は(ステップS103:No)、印刷中断判定部5は、印刷処理装置Pに対して印刷ジョブの印刷中断処理を行う(ステップS109)。
【0074】
印刷中断処理後、エラー報知部8は、印刷制御装置10または指定された情報処理装置Jのモニタに、用紙切れが発生した印刷処理装置P、給紙トレイおよび用紙切れの紙種を報知する報知処理を行う(ステップS110)。報知処理後は、ステップS101から印刷ジョブの処理を繰り返す。
【0075】
印刷ジョブ制御部6は、印刷ジョブリストQに待機中の印刷ジョブがない場合には(ステップS101:No)、印刷処理装置Pの印刷制御処理を終了する。
【0076】
実施の形態1では、印刷中断判定部5は、印刷ジョブの1部当たりの印刷開始前に、給紙トレイ内の用紙残量が印刷ジョブの1部当たりのページ数より大きいか否かを判定し、小さい場合に印刷処理を中断するので、印刷処理装置P内に1部単位の印刷が完了していない用紙が滞留することがない。また、印刷処理装置P内に用紙が残存しないため、他の印刷ジョブを実行する際に選択肢が増え、処理効率が向上するという効果を奏する。
【0077】
また、実施の形態1の変形例として、たとえば、印刷中断判定部5が印刷処理装置Pの印刷ジョブを中断した場合に、印刷ジョブ制御部6が印刷制御装置Pの印刷ジョブリストQ中から待機中で実行可能な印刷ジョブを判定し、印刷処理装置Pに当該印刷ジョブを実行させるとともに、中断した印刷ジョブについて実行可能な他の印刷処理装置Pを選定し、選定した印刷処理装置Pの印刷ジョブリストQに当該印刷ジョブを分配する印刷制御装置10を例示することができる。
【0078】
図8〜図10を参照して実施の形態1の変形例に係る印刷制御装置10の印刷制御処理について説明する。図8は、実施の形態1の変形例に係る印刷制御装置10の印刷制御処理の手順を説明するフローチャートである。図9は、実施の形態1の変形例にかかる印刷制御処理の印刷ジョブの再分配を説明するための図である。図10は、実施の形態1の変形例にかかる印刷制御処理の印刷ジョブの再分配を説明するための図である。
【0079】
実施の形態1と同様に、情報処理装置Jから送信された印刷ジョブは、データ受付部1により受信され、印刷ジョブ分配部2により印刷処理装置Pに分配され、分配された印刷ジョブは、印刷処理装置P毎に印刷ジョブリストQとして記憶部7に登録されている。
【0080】
図8に示すステップS201〜ステップS209は、実施の形態1のステップS101〜ステップS109と同様にして行なう。
【0081】
変形例では、ステップS209の印刷中断処理後、印刷ジョブ制御部6は、同一紙種の用紙を収容する給紙トレイのうち、用紙残量が印刷ジョブ1部当たりのページ数より小さい給紙トレイ数が所定数以下であるか否かを判定する(ステップS210)。本変形例では、印刷ジョブが中断された場合、他の印刷処理装置Pに中断した印刷ジョブを分配し、用紙残量がない給紙トレイ数が所定数を超えた場合に、用紙切れの報知を行う。装置情報取得部4が、印刷処理装置P1〜Pmから中断された印刷ジョブで指定された用紙を収容する給紙トレイのうち、用紙切れ状態である給紙トレイ数を取得する。
【0082】
用紙切れとなった同一紙種の用紙を収容する給紙トレイ数が所定数以下である場合(ステップS210:Yes)、印刷ジョブ分配部2は、中断した印刷ジョブの再分配処理を行う(ステップS211)。印刷ジョブの再分配は、分配される印刷ジョブの優先度、他の印刷処理装置における同一紙種を収容する給紙トレイの状況、印刷処理性能等を考慮して行われる。
【0083】
たとえば、図9に示すように、印刷処理装置P1には、印刷ジョブ2、印刷ジョブ4、印刷ジョブ5および印刷ジョブ7が分配されており、印刷処理装置P2には、印刷ジョブ1、印刷ジョブ3および印刷ジョブ6が分配されている。印刷処理装置P1およびP2に分配された印刷ジョブ1〜印刷ジョブ6の末尾の数値は、各印刷ジョブの優先度を示している。ここで、印刷処理装置P1の印刷ジョブ2が中断され、印刷ジョブ分配部2が、印刷ジョブ2を印刷処理装置P2に再分配した場合、印刷ジョブ2は、各印刷ジョブの優先度を考慮して、図10に示すように、印刷ジョブ1と印刷ジョブ3の間にスケジューリングされる。印刷ジョブを再分配した後は、ステップS201から印刷制御処理を繰り返す。
【0084】
用紙切れとなった同一紙種の用紙を収容する給紙トレイ数が所定数より大きい場合(ステップS210:Yes)、エラー報知部8は、印刷制御装置10または指定された情報処理装置Jのモニタに、用紙切れが発生した印刷処理装置P、給紙トレイおよび用紙切れの紙種を報知する報知処理を行う(ステップS212)。報知処理後は、ステップS201から印刷制御処理を繰り返す。エラー報知を行う用紙切れの給紙トレイ数は予め設定され、状況に応じて変更できるものとする。
【0085】
変形例1にかかる印刷制御装置10は、印刷制御システム100に接続される他の印刷処理装置Pを使用して、中断された印刷ジョブを速やかに実行することができる。オペレータによる迅速な用紙補給なしで、中断された印刷ジョブをその優先度に応じて実行処理できるので、オペレータの負担を軽減しながら、印刷ジョブの処理効率を向上することができる。本変形例1では、他の印刷処理装置Pに中断した印刷ジョブを分配するが、印刷処理装置内に同一紙種の用紙を収容する給紙トレイを備える場合は、給紙トレイを変更して同じ印刷処理装置で印刷ジョブを実行してもよい。
【0086】
(実施の形態2)
実施の形態2として、処理対象の印刷ジョブの1部当たりで使用するトナー量を算出するトナー量算出部を備えた印刷制御装置10Aが例示される。
【0087】
図11は、本実施の形態の変形例2に係る印刷制御装置10Aの構成を説明するブロック図である。
【0088】
印刷制御装置10Aは、処理対象の印刷ジョブの画像情報を基に1部当たりで使用するトナー量を算出するトナー量算出部3Aを備える。
【0089】
装置情報取得部4Aは、印刷装置Kからトナー収容器内のトナー残量を取得する。
【0090】
印刷中断判定部5Aは、トナー量算出部3Aが算出した印刷ジョブの1部当たりで使用するトナー量と、装置情報取得4Aが取得した印刷装置Kのトナー残量とを比較して、トナー残量が1部当たりで使用するトナー量より小さくなった場合に、処理中の印刷ジョブを部単位で完了するように中断する。
【0091】
印刷ジョブ制御部6Aは、たとえば、印刷中断判定部5Aが、印刷処理装置Pmのイエローがトナー切れと判定して印刷ジョブを中断した場合に、記憶部7から印刷ジョブリストQmを取得し、印刷ジョブリストQm中に実行可能な待機中の印刷ジョブ(モノクロ印刷)があるか否かを判定し、実行可能な印刷ジョブがある場合に、該印刷ジョブを実行させるよう印刷処理装置Pmを制御する。
【0092】
エラー報知部8Aは、印刷中断判定部5Aが印刷処理装置P1〜Pmの印刷ジョブを中断した場合に、トナー切れが発生した印刷処理装置Pおよびトナー種を報知する。
【0093】
次に、図12を参照して本変形例2に係る印刷制御装置10Aの印刷制御処理について説明する。図12は、本変形例2に係る印刷制御装置10Aの印刷制御処理の手順を説明するフローチャートである。
【0094】
印刷ジョブ制御部6Aは、印刷処理装置P毎に印刷ジョブリストQの中に待機中の印刷ジョブがあるか否かを判断する(ステップS301)。
【0095】
待機中の印刷ジョブがある場合には(ステップS301:Yes)、待機中の印刷ジョブが実行可能であるか否かを判断する(ステップS302)。
【0096】
待機中で、かつ実行可能な印刷ジョブがある場合には(ステップS302:Yes)、印刷中断判定部5Aが、印刷装置Kのトナー残量が、印刷ジョブの1部当たりで使用するトナー量より大きいか否かを判断する(ステップS303)。
【0097】
トナー残量が1部当たりで使用するトナー量より大きい場合は(ステップS303:Yes)、印刷中断判定部5Aは、印刷処理装置Pに対して印刷ジョブの実行を指示する(ステップS304)。
【0098】
印刷実行指示は、印刷ジョブの1部が完了するまで行われる(ステップS305)。
【0099】
1部単位の印刷処理を終了すると(ステップS305;Yes)、印刷制御装置10Aは印刷ジョブに製本動作があるか否かを判定する(ステップS306)。
【0100】
1部単位の印刷処理が終了しない場合(ステップS305:No)、印刷制御装置10Aは1部単位の印刷処理が終了するまで印刷を繰り返す(ステップS305)。
【0101】
製本動作がある場合には(ステップS306:Yes)、印刷制御装置10Aは、用紙束について製本の実行を指示する(ステップS307)。
【0102】
製本動作がない場合には(ステップS306:No)、印刷制御装置10Aは、印刷ジョブが終了したか否かを判定する(ステップS308)。
【0103】
印刷ジョブが終了していない場合には(ステップS308:No)、ステップS303から繰り返して印刷中断判定部5Aによりトナー切れの判定を行う。印刷中断判定部5Aによるトナー切れの判定は、印刷ジョブの1部単位の印刷が完了する度に行い、装置情報取得部4Aは、その都度、印刷処理装置P内のトナー残量を取得する。
【0104】
印刷ジョブが終了した場合には(ステップS308:Yes)、印刷ジョブ制御部6Aは、印刷処理装置Pの印刷ジョブリストQに待機中のジョブがあるかどうか、ステップS301から繰り返して処理を行う。
【0105】
待機中の印刷ジョブが実行可能でない場合には(ステップS302:No)、印刷ジョブ制御部6Aは、ステップS301に戻って、印刷ジョブリストの次の印刷順の印刷ジョブについて、待機中か(ステップS301)、実行可能か(ステップS302)を判断する。
【0106】
また、トナー残量が1部当たりで使用するトナー量より少ない場合は(ステップS303:No)、印刷中断判定部5Aは、印刷処理装置Pに対して印刷ジョブの印刷中断処理を行う(ステップS309)。
【0107】
印刷中断処理後、エラー報知部8Aは、印刷制御装置10Aまたは指定された情報処理装置のモニタに、トナー切れが発生した印刷装置Kおよびトナー切れのトナー種を報知する報知処理を行う(ステップS310)。報知処理後は、ステップS301から印刷ジョブの処理を繰り返す。
【0108】
印刷ジョブリストQに待機中の印刷ジョブがない場合には(ステップS301:No)、印刷処理装置Pの印刷制御処理を終了する。
【0109】
本実施の形態2では、印刷中断判定部5Aは、印刷ジョブの1部当たりの印刷開始前に、トナー残量が印刷ジョブの1部当たりで使用するトナー量より多いか否かを判定し、少ない場合に印刷処理を中断するので、印刷処理装置P内に1部単位の印刷が完了していない用紙が滞留することがない。また、印刷処理装置P内に用紙が残存しないため、他の印刷ジョブを実行する際に選択肢が増え、処理効率が向上するという効果を奏する。
【0110】
以上、発明を実施するための最良の形態について説明を行ったが、本発明は、この最良の形態で述べた実施の形態に限定されるものではない。本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することが可能である。
【0111】
以上のように、本発明にかかる印刷制御装置は、PODに有用であり、特に、製本処理などの後処理装置を接続する印刷処理装置に適している。
【符号の説明】
【0112】
1 データ受付部
2 印刷ジョブ分配部
3 印刷情報取得部
4 装置情報取得部
5 印刷中断判定部
6 印刷ジョブ制御部
7 記憶部
8 エラー報知部
9 データ送信部
10 印刷制御装置
100 印刷制御システム
J1〜Jn 情報処理装置
K1〜Km 印刷装置
L1〜Lm 後処理装置
P1〜Pm 印刷処理装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0113】
【特許文献1】特許第3647152号公報
【特許文献2】特開2009−123147号公報
【特許文献3】特許第3775026号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して複数の印刷装置と通信可能であり、受け付けた印刷ジョブを前記印刷装置に分配し、印刷装置毎に印刷ジョブリストを作成して、該印刷ジョブリストに基づき各印刷装置に印刷処理させる印刷制御装置であって、
処理対象の印刷ジョブについて1部当たりのページ数を含む印刷情報を取得する印刷情報取得手段と、
印刷装置の給紙トレイ内の用紙残量を取得する装置情報取得手段と、
前記印刷情報取得手段が取得した印刷ジョブの1部当たりのページ数と、前記装置情報取得手段が取得した印刷装置の給紙トレイ内の用紙残量とを比較して、給紙トレイ内の用紙残量が1部当たりのページ数より小さくなった場合、処理中の印刷ジョブを部単位で完了するように中断する印刷中断判定手段と、
前記印刷中断判定手段が処理中の印刷ジョブを中断した場合に、前記印刷ジョブリスト中に実行可能な待機中の印刷ジョブがあるか否かを判定し、実行可能な印刷ジョブがある場合に、当該印刷ジョブを実行させるよう制御する印刷ジョブ制御手段と、
を備えることを特徴とする印刷制御装置。
【請求項2】
前記印刷中断判定手段が印刷ジョブを中断した場合に、用紙切れの紙種および印刷装置を報知する報知手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の印刷制御装置。
【請求項3】
前記報知手段は、ネットワークを介して当該印刷制御装置に接続された情報処理装置に通知することを特徴とする請求項2に記載の印刷制御装置。
【請求項4】
前記印刷中断判定手段が印刷ジョブを中断した場合に、ネットワークに接続された他の印刷装置に該印刷ジョブを分配する印刷ジョブ分配手段を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の印刷制御装置。
【請求項5】
前記報知手段は、前記印刷ジョブ分配手段により他の印刷装置に中断した印刷ジョブが分配された場合、用紙切れの給紙トレイ数が、事前に設定された数を超えたとき、用紙切れの警告を報知することを特徴とする請求項4に記載の印刷制御装置。
【請求項6】
ネットワークを介して複数の印刷装置と通信可能であり、受け付けた印刷ジョブを前記印刷装置に分配し、印刷装置毎に印刷ジョブリストを作成して、該印刷ジョブリストに基づき各印刷装置に印刷処理させる印刷制御装置であって、
処理対象の印刷ジョブの1部当たりで使用するトナー量を算出するトナー量算出手段と、
印刷装置からトナー残量を取得する装置情報取得手段と、
前記トナー量算出手段が算出した印刷ジョブの1部当たりで使用するトナー量と、前記装置情報取得手段が取得した印刷装置のトナー残量とを比較して、トナー残量が1部当たりで使用するトナー量より小さくなった場合に、処理中の印刷ジョブを部単位で完了するように中断する印刷中断判定手段と、
前記印刷中断判定手段が処理中の印刷ジョブを中断した場合に、前記印刷ジョブリスト中に実行可能な待機中の印刷ジョブがあるか否かを判定し、実行可能な印刷ジョブがある場合に、当該印刷ジョブを実行させるよう制御する印刷ジョブ制御手段と、
を備えることを特徴とする印刷制御装置。
【請求項7】
印刷ジョブを入力する情報処理装置と、受け付けた印刷ジョブを印刷装置毎に印刷ジョブリストを作成して印刷処理させる印刷制御装置と、前記印刷ジョブリストに基づき印刷処理を行う印刷装置とがネットワークで相互に通信可能に接続された印刷制御システムであって、
処理対象の印刷ジョブについて1部当たりのページ数を含む印刷情報を取得する印刷情報取得手段と、
印刷装置の給紙トレイ内の用紙残量を取得する装置情報取得手段と、
前記印刷情報取得手段が取得した印刷ジョブの1部当たりのページ数と、前記装置情報取得手段が取得した印刷装置の給紙トレイ内の用紙残量とを比較して、給紙トレイ内の用紙残量が1部当たりのページ数より小さくなった場合に、処理中の印刷ジョブを部単位で完了するように中断する印刷中断判定手段と、
前記印刷判定中断手段が処理中の印刷ジョブを中断した場合に、前記印刷ジョブリスト中に実行可能な待機中の印刷ジョブがあるか否かを判定し、実行可能な印刷ジョブがある場合に該印刷ジョブを実行させるよう制御する印刷ジョブ制御手段と、
を備えることを特徴とする印刷制御システム。
【請求項8】
印刷ジョブを入力する情報処理装置と、受け付けた印刷ジョブを印刷装置毎に印刷ジョブリストを作成して印刷処理させる印刷制御装置と、前記印刷ジョブリストに基づき印刷処理を行う印刷装置とがネットワークで相互に通信可能に接続された印刷制御システムであって、
処理対象の印刷ジョブの1部当たりで使用するトナー量を算出するトナー量算出手段と、
印刷装置からトナー残量を取得する装置情報取得手段と、
前記トナー量算出手段が算出した印刷ジョブの1部当たりで使用するトナー量と、前記装置情報取得手段が取得した印刷装置のトナー残量とを比較して、トナー残量が1部当たりで使用するトナー量より小さくなった場合に、処理中の印刷ジョブを部単位で完了するように中断する印刷中断判定手段と、
前記印刷中断判定手段が処理中の印刷ジョブを中断した場合に、前記印刷ジョブリスト中に実行可能な待機中の印刷ジョブがあるか否かを判定し、実行可能な印刷ジョブがある場合に、当該印刷ジョブを実行させるよう制御する印刷ジョブ制御手段と、
を備えることを特徴とする印刷制御システム。
【請求項9】
ネットワークを介して複数の印刷装置と通信可能であり、受け付けた印刷ジョブを前記印刷装置に分配し、印刷装置毎に印刷ジョブリストを作成して、該印刷ジョブリストに基づき各印刷装置に印刷処理させる印刷制御方法であって、
処理対象の印刷ジョブについて1部当たりのページ数を含む印刷情報を取得する印刷情報取得ステップと、
印刷装置の給紙トレイ内の用紙残量を取得する装置情報取得ステップと、
前記印刷情報取得ステップが取得した印刷ジョブの1部当たりのページ数と、前記装置情報取得ステップが取得した印刷装置の給紙トレイ内の用紙残量とを比較して、給紙トレイ内の用紙残量が1部当たりのページ数より小さくなった場合、処理中の印刷ジョブを部単位で完了するように中断する印刷中断判定ステップと、
前記印刷中断判定ステップが処理中の印刷ジョブを中断した場合に、前記印刷ジョブリスト中に実行可能な待機中の印刷ジョブがあるか否かを判定して、実行可能な印刷ジョブがある場合に、該印刷ジョブを実行させるよう制御する印刷ジョブ制御ステップと、
を含むことを特徴とする印刷制御方法。
【請求項10】
ネットワークを介して複数の印刷装置と通信可能であり、受け付けた印刷ジョブを前記印刷装置に分配し、印刷装置毎に印刷ジョブリストを作成して、該印刷ジョブリストに基づき各印刷装置に印刷処理させる印刷制御ステップであって、
処理対象の印刷ジョブの1部当たりで使用するトナー量を算出するトナー量算出ステップと、
印刷装置からトナー残量を取得する装置情報取得ステップと、
前記トナー量算出手段が算出した印刷ジョブの1部当たりで使用するトナー量と、前記装置情報取得手段が取得した印刷装置のトナー残量とを比較して、トナー残量が1部当たりで使用するトナー量より小さくなった場合に、処理中の印刷ジョブを部単位で完了するように中断する印刷中断判定ステップと、
前記印刷中断判定手段が処理中の印刷ジョブを中断した場合に、前記印刷ジョブリスト中に実行可能な待機中の印刷ジョブがあるか否かを判定し、実行可能な印刷ジョブがある場合に、当該印刷ジョブを実行させるよう制御する印刷ジョブ制御ステップと、
を含むことを特徴とする印刷制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−59234(P2012−59234A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−204923(P2010−204923)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】