説明

印刷制御装置、印刷制御装置の制御方法、プログラム、および記録媒体

【課題】複数の印刷文書に対して、現在の印刷記録材残量内で印刷できる文書をユーザに提示することが可能な印刷システムを提供する。
【解決手段】印刷装置15の記録材残量を取得可能な記録材残量取得手段34と、印刷要求を受付けた複数の文書の印刷に必要な記録材使用量を算出する記録材使用量算出手段23と、記録材使用量算出手段により算出された記録材使用量と前記記録材残量取得手段により取得された記録材残量とを比較する記録材量比較手段42と、前記印刷要求を受付けた複数の文書を表示制御する表示制御手段を有し、前記記録材量比較手段により記録材残量の方が多いと判定された場合、前記表示手段に表示される複数の文書を印刷可能な文書として識別可能なように表示制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の印刷文書に対して、現在の印刷インク等の記録材の残量内で印刷できる文書をユーザに提示することが可能な印刷制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インク式プリンタで印刷する際に、インク残量が足らない場合、印刷できなくなるという問題がある。また、所望の印字結果が得られないという問題も発生している。
【0003】
これらの問題に対し、特許文献1には、インク残量を検出することができる印刷システムにおいて印刷可能な印刷条件を算出に関するシステムが開示されている。このシステムにおいては現在のインク残量が印刷文書のインク使用量に満たない場合、より少ない量のインク使用量で印刷ができる印刷条件を表示するというものである。
【0004】
また、特許文献2には、インク残量を取得することができる印刷システムにおいて印刷可能枚数を取得することができる印刷可能枚数算出に関するシステムが開示されている。
【0005】
このシステムにおいては、印刷選択画像と印刷モードが記録情報と一致した場合、記録されているインク消費量と現在のインク残量から、印刷可能枚数を算出し、結果の印刷可能枚数を表示するというものである。
【0006】
また、特許文献3には、インクを吐出して印字を行う印刷装置においてインクカートリッジの交換時期情報をユーザに通知させる技術が開示されている。この技術においては、検出されたインク残量より導出した印刷可能枚数よりも使用履歴を基にした印刷における予測枚数が上回ると判定した場合、インクカートリッジの交換推奨画面を表示部に表示を行う印刷装置の制御プログラムについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−268441
【特許文献2】特開2009−113208
【特許文献3】特開2009−119676
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1で開示された印刷システムは、印刷実行時にインク残量が印刷文書のインク使用量に満たない場合、より少ないインク使用量で印刷可能となる印刷条件をユーザに提示するというものだが、各印刷文書に対して印刷システムが判定を行っているため、ユーザが複数文書を印刷する際に、複数の印刷文書を印刷する場合に印刷途中でインク切れを起こす可能性がある。
【0009】
また、特許文献2では、インク残量から印刷文書の印刷可能枚数を算出するというものだが、複数の印刷文書を印刷する場合に、特許文献1と同様に印刷途中にインク切れを起こす可能性がある。
【0010】
一方、特許文献3では、使用履歴を基にインクカートリッジの交換時期をユーザに通知するというものだが、現在のインク残量内で印刷可能範囲をユーザに通知していないため、ユーザが必要としている印刷が行えない可能性がある。
例えば、複数のファイルを表示可能な画面から、複数のファイルを選択して印刷したい場合など、上記従来技術では対応することが出来ない。
【0011】
そこで、本発明では、複数の印刷文書に対して、現在の印刷インク残量内で印刷できる文書をユーザに提示することが可能な印刷システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願発明は、印刷装置と接続され複数文書の印刷要求を受付け可能な印刷制御装置であって、前記印刷装置の記録材残量を取得可能な記録材残量取得手段と、前記印刷要求を受付けた複数の文書の印刷に必要な記録材使用量を算出する記録材使用量算出手段と、前記記録材使用量算出手段により算出された記録材使用量と前記記録材残量取得手段により取得された記録材残量とを比較する記録材量比較手段と、前記印刷要求を受付けた複数の文書を表示制御する表示制御手段と、を有し、前記記録材量比較手段により記録材残量の方が多いと判定された場合、前記表示制御手段は、前記表示手段に表示される複数の文書を印刷可能な文書として識別可能なように表示制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数の印刷文書に対して、現在の印刷インク残量内で印刷できる文書をユーザに提示することが可能な印刷システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】は、実施例の印刷システムの具体例を示すブロック図である。
【図2】は、印刷システムのハードウェアブロック図である。
【図3】は、印刷条件比率テーブルを作成するためのインク使用量に関係する要素の例である。
【図4】は、印刷条件比率テーブルの説明図である。
【図5】は、印刷システム実行時に表示される画面の一例を示す図である。
【図6】は、印刷システム実行時に表示される画面の一例を示す図である。
【図7】は、印刷システム実行時に表示される画面の一例を示す図である。
【図8】は、印刷システム実行時に表示される画面の一例を示す図である。
【図9】は、印刷システム実行時に表示される画面の一例を示す図である。
【図10】は、印刷システム実行時に表示される画面の一例を示す図である。
【図11】は、印刷システム実行時に表示される画面の一例を示す図である。
【図12】は、印刷システム実行時に表示される画面の一例を示す図である。
【図13】は、印刷システム実行時に表示される画面の一例を示す図である。
【図14】は、印刷システム実行時に表示される画面の一例を示す図である。
【図15】は、印刷システム実行時に表示される画面の一例を示す図である。
【図16】は、印刷システム実行時に表示される画面の一例を示す図である。
【図17】は、印刷システム実行時に表示される画面の一例を示す図である。
【図18】は、印刷システム実行時に表示される画面の一例を示す図である。
【図19】は、本発明における第一の制御フローを示すフローチャートである。
【図20】は、本発明における第二の制御フローを示すフローチャートである。
【図21】は、本発明における第三の制御フローを示すフローチャートである。
【図22】は、本発明における第四の制御フローを示すフローチャートである。
【図23】は、本発明における第五の制御フローを示すフローチャートである。
【図24】は、本発明における第六の制御フローを示すフローチャートである。
【図25】は、本発明における第七の制御フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明における実施例を説明する。
本実施形態では、記録材として好適なインクを用いて説明するが、記録材としては、他にトナーであっても本発明を実現することが可能である。
【0016】
本発明のアプリケーションでは、以下の機能を実現する。複数の印刷文書の印刷要求を受け付けると、各印刷文書に必要なインク使用量を算出し、前記各印刷文書に必要なインク使用量を表示する。各印刷文書に必要なインク使用量の合計が、インク残量より少ないと判断されたとき、より少ないインク使用量で印刷が可能となる印刷条件を表示する。各印刷文書が印刷不可能である場合、印刷不可表示を表示する。前記印刷不可文書を選択した時、余りインク使用量から前記印刷不可文書を印刷可能とする印刷条件を算出し表示する。
【0017】
また、前記複数印刷文書の中で印刷を実行する文書の選択を可能とする。印刷文書選択時に、各選択文書に必要なインク使用量がインク残量より少ないと判断されたとき、より少ないインク使用量で印刷が可能となる印刷条件を表示する。印刷文書選択時に、印刷不可文書を選択した場合、余りインク使用量から前記印刷不可文書を印刷可能とする印刷条件を算出し表示する。
【0018】
インク残量が複数印刷文書に必要なインク使用量より少ない場合、より少ない印刷条件を提示、印刷条件を複数印刷文書に設定を行うことで印刷中のインク切れを防止し、より多くの印刷文書の印刷を実行する。また、ユーザが印刷文書を選択することでユーザが希望する印刷を優先的に実行し、ユーザが必要とする印刷文書の印刷を可能とする。
【0019】
図1は実施例の印刷システムの具体例を示すブロック図である。コンピュータ10により全体が制御される。コンピュータ10は、ディスプレイ11、本体制御12、キーボード13、及び、マウス14を備える。コンピュータ10の本体制御部12には、記憶装置20と演算処理装置30とが設けられている。
【0020】
記憶装置20には、印刷データ21、印刷管理データ25、印刷条件管理データ27が記憶されている。印刷データ21は、選択された複数文書内で印刷可能な文書のインク使用量を合計したインク使用量である合計インク使用量22、選択された複数文書の全てを、現在の印刷条件で印刷する際に必要なインク使用量である必要総インク使用量23、ファイルもしくはディレクトリなど単一の文書やディレクトリなどを印刷するためのインク使用量24などのデータを含む。これらは図3に示すインク使用量に関する要素から求められる。なお、合計インク使用量22には、印刷不可な文書のインク使用量も含む。
印刷管理データ25は、インク残量26などのデータを含む。印刷条件管理データ27は印刷条件28などを含む。
【0021】
演算制御装置30は、印刷文書選択手段31と印刷代替手段32とインク使用量表示手段33とインク残量表示手段34とインク使用量算出手段35とインク残量検出手段36と複数文書要求受付手段37と印刷条件表示手段38と印刷制御手段39と印刷可否表示手段40と印刷条件設定手段41と印刷条件算出手段42とを備える。
【0022】
プリンタ15はコンピュータ10によって、要求される文書の印刷を実行する機能を持つ。文書は印刷用紙18に印刷される。記憶装置20に記憶された印刷データ21は、要求された文書を印刷するためのデータであってプリンタ15に転送される。印刷管理データ25はプリンタから取得するデータである。印刷条件管理データは、各印刷条件のインク使用比率が計算されているデータである。
【0023】
演算処理装置30の、印刷文書選択手段31は印刷データ21に格納された印刷データの中からユーザが印刷する文書を選択できる機能を持つ。印刷代替手段32は、必要総インク使用量23がインク残量26を満たさない場合、コンピュータ10に接続されている別のプリンタに印刷を行える機能を持つ。インク使用量表示手段33は、印刷データ21が持つ要求された文書に使用するインク使用量を画面に表示する機能を持つ。インク残量表示手段34は印刷管理データ25のインク残量26を画面に表示する機能を持つ。インク使用量算出手段35は、文書を印刷するために必要なインク使用量を算出する機能を持つ。
【0024】
印刷残量検出手段36は、プリンタの印刷用の印刷を受け付ける機能を持つ。印刷条件表示手段38は、インク残量26が印刷に必要な総インク使用量23に満たないとき、印刷条件算出手段42によって算出された印刷条件を表示する機能を持つ。印刷制御手段39は印刷文書制御手段39によって選択された複数印刷文書を印刷条件設定手段41によって設定された印刷条件でプリンタ15に対し印刷を実行させる機能を持つ。
【0025】
印刷可否表示手段40は、複数文書要求受付37によって受け付けられた文書の合計インク使用量22とインク残量26から印刷可能か判断する機能を持つ。印刷条件設定手段41は、複数文書要求受付37によって受け付けられた文書に印刷条件を設定する機能を持つ。印刷条件算出手段42は、印刷条件管理データ27からインク残量26が合計インク使用量21を満たさない時に、より少ないインク使用量である印刷条件を算出する機能を持つ。
【0026】
図2は、上記のシステムのハードウェアブロック図である。図1に示すコンピュータ10の本体制御部12に適用可能である。内部バス210には、CPU(中央処理装置)211と、ROM(リードオンリメモリ)212とRAM(ランダムアクセスメモリ)213と、HDD(ハードディスク)214と、入出力インタフェース215と出力インタフェースには、ディスプレイ11とキーボード13とマウス14とプリンタ15とが接続されている。
【0027】
図3は、印刷管理データ26に存在する印刷条件比率テーブルを作成するためにインク使用量24に登録する要素の例である。このテーブルは、インク使用量に影響のある項目が記憶されている。本実施例では、モード詳細301、解像度302、諧調302、カラー中間色304、サイズ305、レイアウト306、およびスタンプ有無307が記憶されている。また、プリンタごとに異なった設定を有することも可能である。
【0028】
図4は記憶装置20に記憶された印刷条件比率テーブル29の説明図である。印刷条件比率テーブルは、図3で示したインク使用量に関係する要素の組み合わせにより各印刷条件下におけるインク使用比率を求めたものである。インク使用比率は最も多くインクを使用する条件を100とし、各条件での比率を求める。印刷条件比率テーブル29を元にインク残量が合計インク使用量に満たない場合に、最もインク使用比率が高い条件を印刷条件としてユーザに提示する。
【0029】
インク使用比率408は、用紙のサイズ401、モード詳細402、解像度403、諧調404、カラー中間色405、レイアウト406およびスタンプ有無407より決定される。
図19は、ユーザにより本発明のアプリケーションが起動された時にコンピュータ10によって実行される。起動時には、図5に示すような画面が表示される。
図5は本発明の実行時にディスプレイ11に表示される画面の例を示す図である。
【0030】
本発明が実行されると、コンピュータ10は、プリンタ15に対してインク残量の要求を行う。その後、図3に示したインク使用量に関する要素から印刷条件比率テーブル29を作成する。ドキュメント表示エリア501に印刷するファイルが表示される。本実施形態では、印刷するドキュメントをドラッグして表示エリアに投入するようにしているが、エクスプローラなどのファイルシステムと連動させることも可能である。その場合、フォルダなどを選択することで、選択されたフォルダの中身の文書が対象となる。
【0031】
印刷開始ボタン504を押下することによりプリンタ15に印刷データが送信され、複数文書要求受付で受け付けられたすべての文書の印刷が行われる。モード切替ボタン502を押下することにより、複数文書要求受付で受け付けられた複数文書を印刷するオールプリントモードと、複数文書要求受付で受け付けられた複数文書の中から印刷を行う文書を選択できる選択モードの切り替えを行うことができる。現在の表示モードが現在のモード欄503に表意される。
印刷設定欄505には、予めユーザがデフォルトで設定してある印刷条件を表示し、複数文書要求受付を開始する。
【0032】
ステップS1901でアプリケーションはプリンタ15と通信してインク残量を取得し、記憶装置20の印刷管理データ25にインク残量26として格納する。次にステップS1902においてインク使用量に影響するプリンタの設定を基に印刷条件比率テーブル29を作成する。その後、ステップS1003で現在設定されている印刷条件を取得し図6に示すような画面表示を行う。
【0033】
図6は本発明の実行時にインク残量表示機能を実施した際に表示される画面の例を示す図である。インク残量601はプリンタ15から取得されたインク残量と最大インク残量の割合を表示する。インク残量表示はメニューバーのメニュー内の不図示のボタンを押下することで表示の切り替えができるものとする。
図19のフローチャートに戻り、ステップS1004で印刷文書要求受付を行う。
図20は、印刷文書要求を受付けた後のコンピュータ10の処理フローである。
【0034】
ステップS2001では印刷文書要求受付が実行される。受付はドキュメント表示エリア501にファイルをドロップすることやOSのファイルシステムとの連動により、ファイルやフォルダが選択されることとすることもできる。ステップS2002では、ユーザにより複数の印刷文書がアプリケーションに投入される。
【0035】
図8は、本発明の実行時に複数文書要求受付機能により単一文書だけでなくディレクトリごと複数の文書が投入された際に、表示される画面の例を示す図である。前記ディレクトリの印刷要求がなされた場合は、前記ディレクトリ内に存在するすべての文書に対して行われる。ディレクトリ内にサブディレクトリが存在する場合はそのディレクトリを対象にするのかなどはオプションによって設定可能である。
【0036】
そのため、表示されるインク使用量は、前記ディレクトリ内に存在する複数文書のインク使用量をインク使用量算出機能により算出し、その合計を前記ディレクトリ801のインク使用量として表示する。印刷可能表示もディレクトリに対して行われる。
【0037】
ステップ2003で、各印刷文書に対して順に印刷文書インク使用量算出処理を行い、印刷文書ごとのインク使用量の算出を行う。ステップ2004で、算出されたインク使用量は、図7に示すように、アプリケーション内に投入された各印刷文書に右側に表示される。
図7は本発明の実行時に複数文書要求受付機能により複数の印刷文書を投入した際に表示される画面の例を示す図である。
【0038】
印刷文書を投入後、本発明は各印刷文書を基に、各印刷文書の印刷に必要なインク使用量を算出する。算出されたインク使用量は各印刷文書701の右側に使用されるインク使用量欄702にインクの色別に表示される。
【0039】
ステップS2005で、印刷文書ごとに印刷可否表示処理を行い、それまでの印刷可能文書の合計インク使用量22とその文書のインク使用量の合計が、インク残量26に格納されたインク残量を超えてしまうか判断し、図9に示すようにその印刷文書の印刷可否の表示を行う。
【0040】
投入された全ての印刷文書に対して上記を実行する。ステップS2006では、全ての文書のインク使用量算出が終わったかを判断する。全ての印刷文書に対して、インク使用量の算出と印刷可否表示が行われたのちに、ステップS2007で印刷不可文書があった場合、ステップS2008で印刷条件検出を行う。そしてステップS2009で、印刷条件を表示する。ステップS2007で印刷不可文書が存在しないと判断された場合には、処理を終了する。
【0041】
図9は、本発明の実行時に複数文書要求受付機能により複数文書が投入された場合、インク残量が合計インク使用量に満たないため、印刷不可な印刷文書が存在した際に、表示される画面の例を示す図である。
【0042】
各印刷文書のインク使用量を算出する際に、複数文書印刷に使用する合計印刷使用量を算出し、インク残量を超えた場合、901や902に示すような印刷不可の表示をする。表示は一例であり、印刷が不可だということが分かるようであれば、別の表示方法を用いても構わない。
印刷不可が表示された場合、印刷条件比率テーブルから、より少ないインク使用量で印刷可能な印刷条件を算出し表示する。
【0043】
インク残量が合計インク残量に満たない場合、印刷不可印刷文書が存在するので、複数文書要求受付機能により投入された全ての印刷文書が、印刷可能となる条件を算出するために、必要総インク使用量とインク残量の比率を求める。
【0044】
この比率を印刷可能係数とする。印刷可能係数は、インク残量/必要総インク使用量で算出される。この印刷可能係数を、現在ユーザが設定している印刷条件に満たない印刷条件を、印刷条件比率テーブル29から取得し、現在設定している印刷条件に満たない印刷条件の印刷比率に乗算することにより印刷可能となる印刷条件を算出し表示する。印刷条件欄903に、算出結果が表示される。本実施例では、品質を「最良」から「標準」に変更すれば、印刷可能となることが分かる。「はい」ボタン901が選択されることで、新しい条件が設定され、「いいえ」ボタン902が選択されば場合は、印刷設定の変更は行われない。この印刷条件を求める際に使用する印刷条件にはユーザが優先させる事項を設定させることができ、算出する印刷条件の範囲を制限することもできる。
【0045】
図10は、本発明の実行時に複数文書要求受付機能により複数文書が投入された場合、インク残量が合計インク使用量に満たないため、印刷不可な印刷文書が存在した際に、すべての印刷文書が印刷可能となる印刷条件を設定した際に、表示される画面の例を示す図である。
印刷条件をすべての印刷文書に設定を行うと、各印刷文書のインク使用量を再度算出し、各印刷文書のインク使用量表示の更新を行う。
図21は、図20のS1201に示す印刷文書インク使用量検出処理の一例を示す図である。
【0046】
印刷文書インク使用量算出処理は、ファイルの場合ファイルインク使用量算出処理を実行する。ディレクトリの場合はディレクトリインク使用量算出処理を実行する。
【0047】
ステップS2101で、選択されたインク使用量算出の方式がファイルなのかディレクトリ判定する。ファイルインク使用量算出処理の場合は、ステップS2102でファイルインク使用量算出処理を行う。
【0048】
一方、ディレクトリインク使用量算出処理の場合は、ディレクトリ内のすべてのファイルに対してファイルインク使用量算出処理を実施し、すべてのインク使用量を加算したものを、ディレクトリインク使用量とする。算出したそれぞれのインク使用量は文書ごとにインク使用量24に格納する。
図22は、ディレクトリインク使用量算出の処理の一例を示す図である。
【0049】
ステップ2001で、ディレクトリ内のファイルのインク使用量を算出する。次にステップS2202でディレクトリには含まれないファイルのインク使用量を算出し、ステップS2203で、ディレクトリのインク使用量に加算する。ステップS2204で全ての文書を算出するまで処理をループする。算出したそれぞれのインク使用量は文書ごとにインク使用量24に格納する。
図23は、図20のS2208の印刷条件検出処理の一例を示す図である。
印刷条件検出処理は、印刷不可文書が存在した場合に実行される処理である。また、印刷不可文書が選択された際にも実行される処理である。
【0050】
図9は、本発明の実行時に複数文書要求受付機能により複数文書が投入された場合、インク残量が合計インク使用量に満たないため、印刷不可な印刷文書が存在した際に、表示される画面の例を示す図である。
【0051】
各印刷文書のインク使用量を算出する際に、複数文書印刷に使用する合計印刷使用量を算出し、インク残量を超えた場合、901や902に示すような印刷不可の表示をする。表示は一例であり、印刷が不可だということが分かるようであれば、別の表示方法を用いても構わない。
印刷不可が表示された場合、印刷条件比率テーブルから、より少ないインク使用量で印刷可能な印刷条件を算出し表示する。
【0052】
インク残量が合計インク残量に満たない場合、印刷不可印刷文書が存在するので、複数文書要求受付機能により投入された全ての印刷文書が、印刷可能となる条件を算出するために、必要総インク使用量とインク残量の比率を求める。
【0053】
この比率を印刷可能係数とする。印刷可能係数は、インク残量/必要総インク使用量で算出される。この印刷可能係数を、現在ユーザが設定している印刷条件に満たない印刷条件を、印刷条件比率テーブル29から取得し、現在設定している印刷条件に満たない印刷条件の印刷比率に乗算することにより印刷可能となる印刷条件を算出し表示する。印刷条件欄903に、算出結果が表示される。本実施例では、品質を「最良」から「標準」に変更すれば、印刷可能となることが分かる。「はい」ボタン901が選択されることで、新しい条件が設定され、「いいえ」ボタン902が選択されば場合は、印刷設定の変更は行われない。この印刷条件を求める際に使用する印刷条件にはユーザが優先させる事項を設定させることができ、算出する印刷条件の範囲を制限することもできる。
【0054】
図9や図13に示す画面は、現在のモードが「オールプリントモード」となっており、選択された全ての文書を印刷しようとするものである。よって、印刷不可な文書に901、902および1301のようなマークが付与されている。ここで、モード切替ボタン1302が押されることで、モードが「オールプリントモード」から図14〜図18に示すような「選択モード」へ切り替わる。
【0055】
図13は、複数文書要求受付機能により複数文書が投入され、印刷を実施する印刷文書を選択可能な選択モードへ切り替える前に、表示される画面の例を示す図である。
【0056】
図14は、複数文書要求受付機能により複数文書が投入され、印刷を実施する印刷文書を選択可能な選択モードへ切り替えた後に、表示される画面の例を示す図である。選択モードに切り替えた際に、印刷文書はすべて選択されていない状態になる。
【0057】
図15は、複数文書要求受付機能により複数文書が投入され、印刷を実施する印刷文書を選択可能な選択モードへ切り替えた後に、印刷を実施する印刷文書を選択した際に、表示される画面の例を示す図である。印刷を実施する印刷文書を選択すると印刷を実施する印刷文書に対して印刷を実施すると分かるようなマーク1504や1505が表示される。現在の印刷設定欄1501に表示されているモードは、マークにより選択されている文書4と文書5に対する印刷設定である。
【0058】
図16は、複数文書要求受付機能により複数文書が投入され、印刷を実施する印刷文書を選択可能な選択モードへ切り替えた後に、印刷を実施する印刷文書を複数個選択した時、インク残量が合計インク使用量に満たないため、印刷不可と表示された文書が、表示される画面の例を示す図である。印刷不可が表示された場合、オールプリントモードの時と同様に、すべての文書が印刷可能となる印刷条件が算出され表示欄1601に表示される。算出された印刷条件を、選択するとオールプリントモードの時と同様に全ての文書に対して印刷可能条件が設定され、インク使用量の表示などが更新される。
【0059】
図17は、複数文書要求受付機能により複数文書が投入され、印刷を実施する印刷文書を選択可能な選択モードへ切り替えた後に、印刷を実施する印刷文書を複数個選択した時、インク残量が合計インク使用量に満たないため、印刷不可と表示された文書を選択した際に、表示される画面の例を示す図である。選択した印刷文書に対して算出される印刷条件は、図11での算出と同様に行われる。
【0060】
図18は、複数文書要求受付機能により複数文書が投入され、印刷を実施する印刷文書を選択可能な選択モードへ切り替えた後に、印刷を実施する印刷文書を複数個選択した時、インク残量が合計インク使用量に満たないため、印刷不可と表示された文書を選択した後に、印刷可能条件を設定した際に、表示される画面の例を示す図である。
【0061】
図23の説明に戻る。ステップS2301で印刷不可文書が存在するかどうか判定し、印刷不可文書が選択された場合、ステップS2302で、印刷不可文書を処理対象として選択する。ステップS2303で、インク残量と合計インク量から余りインク量を算出し、ステップS2305で、余りインク量と選択した文書の必要インク使用量から印刷可能係数(余りインク量/必要インク使用量)を算出する。
【0062】
一方、ステップS2301で印刷不可文書が選択されなかった場合、ステップS2304で、インク残量と印刷対象の必要総インク使用量から印刷可能係数(インク残量/必要総インク使用量)を算出する。
【0063】
その後、ステップS2306で、それぞれの印刷可能係数を印刷比率条件テーブル29内の、現在設定されているインク使用比率408に乗算する。ステップS2307で、乗算した結果得られた比率より少ないインク使用比率408の印刷条件401〜407を印刷比率条件テーブル29から算出する。
【0064】
ステップS2308で、印刷可能条件が存在するか判定し、存在した場合、その印刷条件で印刷可能であると判定され、ステップS2309で図11に示すような印刷条件が表示される。存在しない場合、印刷不可能と判定され、ステップS2310で印刷不可能と表示される。
【0065】
図11は、本発明の実行時に複数文書要求受付機能により複数文書が投入された場合、インク残量が合計インク使用量に満たないため、印刷不可な印刷文書が存在した時に、印刷不可表示が行われた印刷文書を選択した際に、表示される画面の例を示す図である。
【0066】
印刷不可表示が行われた印刷文書を選択した場合、前記選択された印刷文書に対して印刷可能条件の算出を行う。印刷可能条件の算出は、インク残量から合計インク使用量を減算し余りインク量を算出する。前記余りインク量/インク使用量から印刷可能係数を算出する。この印刷可能係数を現在の印刷条件のインク使用比率408に乗算し、印刷可能比率を算出する。この印刷可能比率より少ない印刷比率を印刷条件比率テーブルから算出し、その条件を印刷可能条件とし表示する。本実施例では、現在の印刷設定「カラー・はがき・最良」では印刷不可であるが、「カラー・はがき・標準」であれば印刷できることを示している。
ここで、印刷不可文書に対して印刷可能な条件が設定された場合、図12に示すように条件が設定される。
【0067】
図12は、本発明起動後に複数文書要求受付機能により複数文書が投入された場合、インク残量が合計インク使用量に満たないため、印刷不可な印刷文書が存在した時に、印刷不可表示が行われた印刷文書を選択することで、提示される印刷可能条件を、印刷文書に対して設定を行った際に、表示される画面の例を示す図である。新しく設定された条件が個別条件表示欄1201に「カラー・はがき・標準」と表示される
図24は、図20のステップS2005の印刷可否表示の処理の一例を示すフローチャートである。
印刷可否表示処理は、複数文書要求受付によって印刷文書が受け付けられた際に、実行される処理である。
【0068】
ステップS2401で、文書の印刷が受け付けられると、ファイルもしくはディレクトリのインク使用量を、一時的に使用量として一時インク使用量が算出される。ステップS2402で、その一時インク使用量を現在の合計使用量に加算を行い、ステップS2403で、一時インク使用量と現在の合計使用量が加算された、合計使用量とインク残量を比較する。インク残量が合計使用量に満たない場合、ステップS2407で、印刷不可の表示を行い、ステップS2402で加算した一時インク使用量を減産して合計インク量を確定させる。一方、インク残量が合計使用量を満たす場合、ステップS2405で、合計インク使用量を確定させ、ステップS2406で印刷可の表示を行う。ステップS2408で、確定した合計インク量を総インク必要量に加算して処理を終了する。
【0069】
図25は、インク使用量の更新を示すフローチャートである。ステップS2501で全文書に印刷条件が再設定されると、ステップS2502で全文書のインク使用量を更新する。アプリケーションの画面から更新ボタンを押下されることで実行されるようにしてもよいし、別途更新の処理が命令された時に行うようにしてもよい。
【0070】
以上、一実施形態について示したが、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記録媒体等としての実施態様をとることが可能であり、具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
【0071】
また、本発明におけるプログラムは、実施例中に示すフローチャートの処理方法をコンピュータが実行可能なプログラムであり、本発明の記憶媒体はフローチャートの処理方法をコンピュータが実行可能なプログラムが記憶されている。なお、本発明におけるプログラムは各装置の処理方法ごとのプログラムであってもよい。
【0072】
以上のように、前述した実施形態の機能を実現するプログラムを記録した記録媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に格納されたプログラムを読出し実行することによっても、本発明の目的が達成されることは言うまでもない。
【0073】
この場合、記録媒体から読み出されたプログラム自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムを記憶した記録媒体は本発明を構成することになる。
【0074】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、DVD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、EEPROM、シリコンディスク、ソリッドステートドライブ等を用いることができる。
【0075】
また、コンピュータが読み出したプログラムを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0076】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0077】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。また、本発明は、システムあるいは装置にプログラムを供給することによって達成される場合にも適応できることは言うまでもない。この場合、本発明を達成するためのプログラムを格納した記録媒体を該システムあるいは装置に読み出すことによって、そのシステムあるいは装置が、本発明の効果を享受することが可能となる。
【0078】
さらに、本発明を達成するためのプログラムをネットワーク上のサーバ、データベース等から通信プログラムによりダウンロードして読み出すことによって、そのシステムあるいは装置が、本発明の効果を享受することが可能となる。
なお、上述した各実施形態およびその変形例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0079】
コンピュータ 10
ディスプレイ 11
本体制御 12
キーボード 13
マウス 14
記憶装置 20
演算処理装置 30

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置と接続され複数文書の印刷要求を受付け可能な印刷制御装置であって、
前記印刷装置の記録材の残量を取得可能な記録材残量取得手段と、
前記印刷要求を受付けた複数の文書の印刷に必要な記録材使用量を算出する記録材使用量算出手段と、
前記記録材使用量算出手段により算出された記録材使用量と前記記録材残量取得手段により取得された記録材残量とを比較する記録材量比較手段と、
前記印刷要求を受付けた複数の文書を表示制御する表示制御手段と、を有し、
前記記録材量比較手段により記録材残量の方が多いと判定された場合、
前記表示制御手段は、前記表示制御手段に表示される複数の文書を印刷可能な文書として識別可能なように表示制御することを特徴とする印刷制御装置。
【請求項2】
前記記録材使用量比較手段により記録材の残量が記録材使用量より少ないと判定された場合、記録材の残量が不足している文書に対して、印刷不可な文書として識別可能なように表示制御することを特徴とする請求項1印刷制御装置。
【請求項3】
前記印刷不可な文書が印刷可能になるような印刷設定を算出する印刷設定算出手段を有し、
前記表示制御手段は、前記印刷不可な文書に対して、前記印刷可能となるよう算出された印刷条件を選択可能なように表示制御することを特徴とする請求項2記載の印刷制御装置。
【請求項4】
前記表示制御された印刷条件の選択を受付ける印刷条件受付け手段を有し、
前記印刷条件受付け手段により印刷条件を受付けた場合は、再度、複数の印刷文書の記録材使用量を算出することを特徴とする請求項1〜3記載の印刷制御装置。
【請求項5】
記録材使用量算出手段は、前記複数文書の文書毎の記録材使用量を算出しその合計を算出することとし、前記文書毎の記録材使用量は文書毎に表示することを特徴とする請求項1〜4記載の印刷制御装置。
【請求項6】
前記複数文書の印刷要求を受け付ける要求受付手段は、文書もしくは文書の格納されたファイルシステム上のディレクトリもしくはそれに類するものに対して要求受付を行う事を特徴とする請求項1〜5記載の印刷制御装置。
【請求項7】
前記複数文書から印刷する文書を選択できる手段は、前記複数文書を選択したものを優先的に印刷するものとし、選択された前記複数文書の記録材使用量が前記記録材残量を満たさなくときに、選択を行っていない前記複数文書に対して、前記印刷可能不可表示手段を行うことを特徴とする請求項1〜6記載の印刷制御装置。
【請求項8】
印刷装置と接続され複数文書の印刷要求を受付け可能な印刷制御装置の制御方法であって、
前記印刷装置の記録材残量を取得可能な記録材残量取得ステップと、
前記印刷要求を受付けた複数の文書の印刷に必要な記録材使用量を算出する記録材使用量算出ステップと、
前記記録材使用量算出ステップにより算出された記録材使用量と前記記録材残量取得手段により取得された記録材残量とを比較する記録材量比較ステップと、
前記印刷要求を受付けた複数の文書を表示制御する表示制御ステップと、を有し、
前記記録材量比較ステップにより記録材残量の方が多いと判定された場合、
前記表示制御ステップは、前記表示ステップに表示される複数の文書を印刷可能な文書として識別可能なように表示制御することを特徴とする印刷制御装置の制御方法。
【請求項9】
コンピュータを請求項1記載の印刷制御装置として動作可能させるためのプログラム
【請求項10】
 請求項9記載のプログラムを記録した記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2011−138330(P2011−138330A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298167(P2009−298167)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(301015956)キヤノンソフトウェア株式会社 (364)
【Fターム(参考)】