説明

印刷制御装置およびプログラム

【課題】印刷装置において、障害の際に直ちに主電源の遮断待ちとするのではなく、印刷ジョブデータを保有したままの復帰を可能にする。
【解決手段】印刷指令部611が印刷ジョブデータを受け取って印刷ジョブデータに基づく印刷指令を送り出し、エンジン部62が印刷指令を受け取って印刷指令に対して応答するとともに、印刷指令に従って印刷装置1による印刷を制御する際、電源制御部612が、印刷指令部611から印刷指令が送り出された後、所定時間内にエンジン部62からの応答を確認できない場合、エンジン部62の電源スイッチ65を開閉してエンジン部62を再起動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷装置による印刷を制御する印刷制御装置およびプログラムに関する。より詳しくは、印刷ジョブデータを受け取って印刷指令を送り出し、当該印刷指令に従って印刷装置による印刷を制御する印刷制御装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷装置を制御する印刷制御装置においては、コントローラ部が印刷ジョブデータを受け取ると、エンジン部に印刷命令を送り出し、エンジン部が印刷指令に対して応答するとともに、印刷指令に従って印刷装置による印刷を制御し、印刷中にコントローラ部がエンジン部からの応答を確認できない場合、印刷装置または印刷制御装置に何らかの障害が発生したものとして判断している。
【0003】
このような障害有無の判断技術として、特許文献1には、空気調和機の分野において、障害を検知した後、障害の有無を再確認する判定動作を所定の回数または間隔で行った後、判定動作の結果に基づいて障害有無を判断する技術が提案されている。また、特許文献2には、情報処理装置の分野において、予め設定された時間内にコマンドが受信されない場合に障害が発生したものと判断する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−90677号公報
【特許文献2】特開平11−53225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような障害有無の判断技術を印刷制御装置に適用した場合であっても、障害から復帰するためには、メンテナンス作業者の呼び出しおよび印刷装置および印刷制御装置の主電源の遮断を待機するしかなかった。従って、受け取った印刷ジョブデータについても全て破棄しなければならなかった。
【0006】
しかしながら、障害の中には、ハードウェア異常が要因であるため、復帰するためには印刷装置および印刷制御装置の主電源を遮断しなければならない障害の他に、エンジン部のソフトウェアのバグが要因であるため、エンジン部が所定のタイミングで応答を行えなかったことによる障害がある。このようなエンジン部のソフトウェアのバグが要因となる障害は、エンジン部のみをリセットすれば、受け取った印刷ジョブデータを破棄することなく、障害から復帰する可能性がある。
【0007】
本発明の目的は、上記事情に鑑み、障害が発生した場合、直ちに印刷装置および印刷制御装置の主電源の遮断待ちに移行するのではなく、受け取った印刷ジョブデータを保有した状態で障害からの復帰動作を行う印刷制御装置およびプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の印刷制御装置は、印刷ジョブデータを受け取り、この印刷ジョブデータに基づく印刷指令を送り出す印刷指令部と、印刷指令を受け取り、この印刷指令に対して応答するとともに、この印刷指令に従って印刷装置による印刷を制御するエンジン部と、このエンジン部の電源スイッチを制御する電源制御部とを備え、この電源制御部が、印刷指令部から印刷指令が送り出された後、所定時間以内にエンジン部からの応答を確認できない場合、電源スイッチを開閉してエンジン部を再起動させることを特徴とする。
【0009】
本発明の印刷制御プログラムは、コンピュータを印刷制御装置として機能させるためのプログラムであって、印刷ジョブデータを受け取り、この印刷ジョブデータに基づく指令を送り出す印刷指令部と、印刷指令を受け取り、この印刷指令に対して応答するとともに、この印刷指令に従って印刷装置による印刷を制御するエンジン部と、印刷指令部から印刷指令が送り出された後、所定時間内にエンジン部からの応答を確認できない場合、エンジン部の電源スイッチを開閉してエンジン部を再起動させる電源制御部として、コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0010】
ここで、本発明の印刷制御装置および印刷制御プログラムにおける「印刷装置による印刷」とは、印刷装置の用紙への印刷処理のみに限定されるものではなく、印刷装置の印刷に関する処理を含む意味であり、例えば、給紙および排紙等の搬送処理をも含む意味である。上記「電源スイッチを開閉」とは、電源をオフした後にオンすることを意味するものである。
【0011】
また、本発明の印刷制御装置は、電源制御部が、エンジン部を再起動させてもエンジン部からの応答を確認できない場合、エンジン部の再起動を所定回数だけ繰り返すものであってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の印刷制御装置およびプログラムによれば、印刷指令部が印刷ジョブデータを受け取り、この印刷ジョブデータに基づく印刷指令を送り出し、エンジン部が印刷指令に対して応答するとともに、印刷指令に従って印刷装置による印刷を制御する際、電源制御部が、印刷指令部から印刷指令が送り出された後、所定時間内にエンジン部からの応答を確認できない場合、エンジン部の電源スイッチを開閉してエンジン部を再起動させるため、直ちに主電源の遮断待機に移行するのではなく、再起動によってリセットされたエンジン部から応答が得られた場合、受け取った印刷ジョブデータを保有した状態で障害から復帰できる。
【0013】
また、本発明の印刷制御装置によれば、電源制御部が、エンジン部を再起動させてもエンジン部からの応答を確認できない場合、エンジン部の再起動を所定回数だけ繰り返すため、エンジン部をリセットしても復帰できない障害において、エンジン部の再起動が何度も繰り返されることを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】インクジェット印刷装置の概略構成図
【図2】印刷制御部の構成を示すブロック図
【図3】印刷制御部による処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明に係る印刷制御装置の一実施形態を用いたインクジェット印刷装置1の概略構成図である。インクジェット印刷装置1は、給紙部10、印刷部20、排紙部30、反転部40、表示操作部50および印刷制御部60から構成されている。
【0016】
給紙部10は印刷部20に用紙Pを供給するものであり、インクジェット印刷装置1の下方側面に設けられた未印刷の用紙Pを積載する給紙台11、用紙Pを給紙台11から印刷部20へ導く給紙経路12、給紙台11から用紙Pを一枚ずつ取り出す給紙ローラ対13、用紙Pを印刷部20に所定のタイミングで送り込むタイミングローラ対14から構成されている。
【0017】
印刷部20は給紙部10から用紙Pを搬入し、用紙Pにインクを吐出して印刷し、用紙Pを排紙部30へ搬出するものであり、インクを吐出するヘッドユニット21、ヘッドユニット21の下方で用紙Pを搬送するプラテンユニット22から構成されている。
【0018】
ヘッドユニット21は、複数のインクジェットヘッド211およびインクジェットヘッド211を保持するヘッドホルダ212とから構成されている。インクジェットヘッド211は、インクを用紙Pに向けて吐出するインクジェットノズル214を下面に備えている。インクジェットノズル214は、インクジェットヘッド211の下面に配列されて、直線状のラインノズル215を形成している。各インクジェットヘッド211は黒色K、マゼンタ色M、シアン色Cおよびイエロー色Yの各インクをライン単位で吐出する。なお、インクの色については特に限定されるものではない。
【0019】
プラテンユニット22は、ヘッドユニット21の下方で各インクジェットノズル214と対向する位置に配置されたプラテン221、プラテン221上を摺動するように掛け渡された無端のプラテンベルト222、プラテンベルト222を駆動する駆動ローラ223、従動ローラ224およびプラテン221の下方の空間を負圧にするファン225から構成されている。
【0020】
プラテン221はプレート部材であり、複数の貫通孔221aが形成されており、プラテン221の表面には、貫通孔221aと連通する凹部221bが形成されている。また、プラテンベルト222には、複数のベルト孔222aが形成されており、ファン225がプラテン221の下方の空間を負圧にすることにより、各貫通孔221aに吸引力を発生させる。なお、プラテン221の下方の空間は不図示のフレームにより密閉されている。プラテンベルト222が、プラテン221上を摺動することにより、凹部221b上を通過したベルト孔222aに吸引力を発生させる。
【0021】
排紙部30は印刷された用紙Pを搬送して排紙するものであり、インクジェット印刷装置1の上方側面に設けられた印刷済みの用紙Pを積載する排紙台31、印刷済みの用紙Pを印刷面が下方を向いた状態で印刷部20から排紙台31に導く排紙経路32、排紙経路32上の用紙Pを一枚ずつ送り出す複数の排紙ローラ対33から構成されている。
【0022】
反転部40は片面印刷済みの用紙Pを反転させ、未印刷面が上方を向いた状態で用紙Pを再び印刷部20に送りだすものであり、排紙台31の裏側に設けられたバッファ空間41、排紙経路32の途中から分岐して用紙Pをバッファ空間41へ導く分岐経路42、バッファ空間41から用紙Pをタイミングローラ対14へ導く再給紙経路43、分岐経路42,再給紙経路43上の用紙Pを一枚ずつ送り出す複数の反転ローラ対44を備えている。
【0023】
表示操作部50は、表示画面や操作ボタンを備えるものであり、ユーザからの操作信号の入力を受け付けるとともに、障害が発生した場合のエラーメッセージ等を表示するものである。
【0024】
印刷制御部60は、本発明に係る印刷制御装置の一実施形態として機能するものであり、有線または無線のネットワークを介して接続されたPCから印刷ジョブデータを受け取り、この印刷ジョブデータに基づいて、給紙部10、印刷部20、排紙部30および反転部40の各動作、表示操作部50におけるユーザからの指示の受け付けおよびエラーメッセージ等の表示を制御するものである。印刷制御部60の詳細については後述する。
【0025】
次に、インクジェット印刷装置1の全体動作について説明する。未印刷の用紙Pが給紙台11から給紙ローラ対13によって給紙経路12上に取り出される。給紙経路12上の用紙Pはタイミングローラ対14によって所定のタイミングで印刷部20に送り出される。送り出された用紙Pは、センサによって上流側の先端が検出され、各ベルト孔222aによってプラテンベルト222上に吸着保持されて搬入される。用紙Pがインクジェットノズル214の直下を所定の速度で通過することにより、各インクジェットヘッド211よりライン単位でインクが吐出され、用紙Pに画像が形成される。
【0026】
印刷部20では、プラテンユニット22が所定速度で用紙Pを搬送し、ヘッドユニット21が用紙Pにインクを吐出して印刷を行う。印刷済みの用紙は、排紙ローラ対33によって一枚ずつ排紙経路32上に送りだされ、印刷面が下方を向く状態で排紙台31へ導かれて排紙される。
【0027】
また、両面印刷を行う場合は、排紙経路32上の途中に設けられた不図示の経路切換機構によって排紙経路32上の用紙Pを分岐経路42に送り出し、バッファ空間41に導く。バッファ空間41から再給紙経路43に用紙Pを送り出し、再びタイミングローラ対14に導き、印刷部20へ再給紙を行う。
【0028】
給紙経路12、排紙経路32および分岐経路42の各経路には、用紙Pの有無を検出するセンサが複数個配置されている。各センサを所定間隔で配置することにより、上流側のセンサが用紙Pを検出してから所定時間内に下流側のセンサが用紙Pを検出できない場合、搬送ジャムによる障害が発生したものと判断できる。
【0029】
次に印刷制御部60について説明する。印刷制御部60は、中央処理装置(CPU)、デジタル信号処理装置(DSP)および半導体メモリやハードディスクやSSD等のストレージデバイス等から構成された、インクジェット印刷装置1に内蔵されたコンピュータであり、当該コンピュータを印刷制御装置として機能させるプログラムがインストールされている。
【0030】
印刷制御部60は、インクジェット印刷装置1における印刷を制御するとともに、障害が発生した場合の復帰処理を制御するものである。図2は印刷制御部60の構成を示すブロック図である。印刷制御部60は、図2に示すように、コントローラ部61、エンジン部62およびコントローラ部61およびエンジン部に電力を供給する電源部63から主に構成されている。
【0031】
コントローラ部61は、印刷制御部60の全体を制御するものであり、印刷指令部611、電源制御部612および通信部613から構成されている。印刷指令部611は、ネットワークを介して接続されたPCから印刷ジョブデータを受け取り、エンジン部62に当該印刷指令を送り出すものである。印刷指令部611は、複数の印刷ジョブデータを受け取ることが可能であり、各印刷ジョブデータに基づく印刷指令を受け取り順にエンジン部62に順次送り出す。この印刷指令には、例えば、印刷開始を指示する印刷指令や、排紙を確認する印刷指令等が含まれる。
【0032】
電源制御部612は、エンジン部62からの応答が所定時間内に確認できない場合に、後述する、エンジン部62の電源スイッチ65の開閉を制御するものである。すなわち、電源制御部612はエンジン部62の電源をオフした後、所定時間後にオンを行うものである。電源制御部612による電源スイッチ65の開閉制御については後述する。通信部613は、ネットワークを介しての外部PCからの印刷ジョブデータを受け取り、表示操作部50からの操作信号を受け取り、表示操作部50へのエラーメッセージの表示、エンジン部62への印刷指令の送り出しおよびエンジン部62からの応答の受け取りの際の、例えば、TCP/IPや、PCI等の通信プロトコルの処理を行うものである。
【0033】
エンジン部62は、印刷指令部611からの印刷指令を受け取り、当該指令に対して応答するとともに、当該指令に従って給紙部10、印刷部20、排紙部30、反転部40による用紙Pの搬送制御や、印刷部20による用紙Pへの印刷制御を行うものである。例えば、印刷指令部611から印刷開始の印刷指令が送り出されると、当該印刷指令を受け取ったエンジン部62は、所定時間内に指令を受信したことの応答を行う。また、印刷指令部611から排紙確認の印刷指令が送り出されると、当該印刷指令を受け取ったエンジン部62は、所定時間内に、排紙部30で用紙Pが正常に排紙されたか否かを確認し、確認した結果を応答する。
【0034】
電源部63は、電源64と、電源64とエンジン部62との間の電源スイッチ65および電源64とコントローラ部61との間の電源スイッチ66とから構成されている。
【0035】
ここで、給紙部10等のハードウェア異常、エンジン部62のハードウェア異常、若しくはエンジン部62に特定のタイミングで応答処理が行えなくなるソフトウェアバクが存在すると、エンジン部62が印刷指令部611からの印刷指令に対して所定時間内に応答することができなくなる虞がある。
【0036】
従来では、コントローラ部61は、エンジン部62からの応答が所定時間内に確認できないと、障害の要因に関わらず、障害から復帰するために、メンテナンス作業者の呼び出し、ユーザによるインクジェット印刷装置1の不図示の主電源の遮断を促すメッセージを表示していた。主電源の遮断により、コントローラ部61は、受け取った印刷ジョブデータを全て破棄しなければならなかった。
【0037】
そこで、本発明に係る印刷制御装置の一実施形態である印刷制御部60においては、印刷指令部611から印刷指令が送り出された後、所定時間内にエンジン部62からの応答を確認できない場合、電源スイッチ65をオフし、所定時間経過後にオンするように制御してエンジン部62を再起動させる電源制御部612を設けている。電源制御部612は、発生した障害の要因がエンジン部62のソフトウェアバクのみである場合、電源制御部612がエンジン部62のみを再起動することにより、リセットされたエンジン部62から応答が得られれば、受け取った印刷ジョブを破棄することなく、障害からの復帰が可能となる。
【0038】
障害からの復帰動作を含む印刷制御部60による動作について説明する。図3は、印刷制御部60による動作を示すフローチャートである。印刷指令部611が印刷ジョブデータを受け取り、当該印刷ジョブデータに基づく印刷指令を送り出す(ST1)。エンジン部62が、当該印刷指令を受け取り、当該印刷指令に従って給紙部10等の各部の制御する(ST2)。
【0039】
電源制御部612が、エンジン部62からの所定時間内の応答の有無を確認する(ST3)。電源制御部612が、エンジン部62からの所定時間内の応答を確認できた場合、印刷指令部611は、印刷ジョブデータに基づく次の印刷指令の送り出しを行う(ST1)。
【0040】
電源制御部612が、エンジン部62からの所定時間内の応答を確認できない場合、電源スイッチ65をオフ・オンしてエンジン部62を再起動させるとともに、再起動の回数を示すカウンター値をインクリメントする(ST4)。印刷指令部611が、所定時間内の応答が確認できなかった印刷指令を再びエンジン部62に送り出す(ST5)。
【0041】
電源制御部612が、再起動したエンジン部62からの所定時間内の応答の有無を確認する(ST6)。電源制御部612が再起動したエンジン部62からの所定時間内の応答を確認できた場合、再起動の回数をカウントするカウンター値をリセットするとともに、印刷指令部611が印刷ジョブデータに基づく次の印刷指令の送り出す(ST1)。
【0042】
電源制御部612が再起動したエンジン部62からの所定時間内の応答を確認できない場合、エンジン部62の再起動の回数が、所定回数以下であるか否かを確認する(ST7)。再起動の回数が所定回数以下の場合には、電源制御部612は再び電源スイッチ65をオフ・オンしてエンジン部62を再起動させ(ST4)、印刷指令部611が所定時間内の応答が確認できなかった印刷指令を再びエンジン部62に送り出し(ST5)、電源制御部612が再起動したエンジン部62からの所定時間内の応答の有無を確認する(ST6)。
【0043】
再起動の回数が所定回数を越えている場合には、電源制御部612は、電源スイッチ65のオフ・オンによるエンジン部62の再起動を停止するとともに、電源制御部612は、表示操作部50にメンテナンス作業者の呼び出しとユーザによる主電源の遮断を促すメッセージを表示し(ST8)、その処理を終了する。
【0044】
以上の述べた通り、上記の実施形態によれば、印刷指令部611から印刷指令が送り出された後、電源制御部612がエンジン部62からの所定時間内の応答を確認できない場合、電源スイッチ65をオフ・オンしてエンジン部62を再起動させることにより、障害がエンジン部のソフトウェアバグのみに起因するものである場合、再起動したエンジン部62から所定時間内の応答を再び確認できるため、直ちに主電源の遮断待ちに移行するのではなく、受け取った印刷ジョブデータを保有したまま障害から復帰できる。
【0045】
また、上記の実施形態によれば、電源制御部612が再起動したエンジン部からの所定時間内の応答を確認できない場合、エンジン部62の再起動を所定回数だけ繰り返すため、エンジン部62を再起動しても復帰できない障害、すなわち給紙部10等のハードウェア異常や、エンジン部62のハードウェア異常に起因する障害において、エンジン部62の再起動を繰り返すことを回避できる。
【0046】
また、上記の実施形態によれば、障害がエンジン部62のソフトウェアバグのみに起因するものである場合、ユーザにより主電源が遮断されるまで、主電源がオンした状態で待機することがなく、節電効果が得られる。
【0047】
なお、上記実施形態では、電源制御部612が、電源スイッチ65を直接的に制御する場合に限定されるものではない。表示操作部50が電源スイッチ65を開閉させる操作スイッチを備えており、電源制御部612がエンジン部62からの所定時間内の応答を確認できない場合に表示操作部50に電源スイッチ65をオフし、所定時間経過後にオンする旨のメッセージを表示させ、表示操作部50がユーザからの操作信号を受け付けて電源スイッチ65を制御するものであってもよい。
【0048】
なお、上記実施形態においては、印刷制御部60をインクジェット印刷装置1に適用して説明したが、特に限定されるものではなく、孔版印刷装置に適用するものであてもよい。また、印刷制御部60は、インクジェット印刷装置1に内蔵されたコンピュータに限定されるものではなく、インクジョット印刷装置1に外部接続するコンピュータであってもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 インクジェット印刷装置
60 印刷制御部
61 コントローラ部
62 エンジン部
63 電源部
64 電源
65 電源スイッチ
611 印刷指令部
612 電源制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ジョブデータを受け取り、該印刷ジョブデータに基づく印刷指令を送り出す印刷指令部と、
前記印刷指令を受け取り、該印刷指令に対して応答するとともに、該印刷指令に従って印刷装置による印刷を制御するエンジン部と、
該エンジン部の電源スイッチを制御する電源制御部とを備え、
該電源制御部が、前記印刷指令部から前記印刷指令が送り出された後、所定時間以内に前記エンジン部からの前記応答を確認できない場合、前記電源スイッチを開閉して前記エンジン部を再起動させることを特徴とする印刷制御装置。
【請求項2】
前記電源制御部が、前記エンジン部を再起動させても該エンジン部からの前記応答を確認できない場合、前記エンジン部の再起動を所定回数だけ繰り返すことを特徴とする請求項1に記載の印刷制御装置。
【請求項3】
コンピュータを印刷制御装置として機能させるためのプログラムであって、
印刷ジョブデータを受け取り、該印刷ジョブデータに基づく印刷指令を送り出す印刷指令部と、
前記印刷指令を受け取り、該印刷指令に対して応答するとともに、該印刷指令に従って印刷装置による印刷を制御するエンジン部と、
前記印刷指令部から前記印刷指令が送り出された後、所定時間内に前記エンジン部からの前記応答を確認できない場合、前記エンジン部の電源スイッチを開閉して前記エンジン部を再起動させる電源制御部として、前記コンピュータを機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−166528(P2012−166528A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31539(P2011−31539)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】