印刷回路基板及びその製造方法
【課題】ビアホール加工の所要時間を短縮でき、ビアホールの内部に対するメッキ工程を効率的に行うことができるので、層間導通を信頼性よく実現できる印刷回路基板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明による印刷回路基板の製造方法は、基板の一面に、レーザドリルを用いてテーパ状の第1ホールを加工する工程と、第1ホールの位置に対応する基板の他面に、レーザドリルを用いて第1ホールと連結されるテーパ状の第2ホールを加工する工程と、メッキを行って、第1ホール及び第2ホールを介して基板の両面を電気的に接続させる導電部を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【解決手段】本発明による印刷回路基板の製造方法は、基板の一面に、レーザドリルを用いてテーパ状の第1ホールを加工する工程と、第1ホールの位置に対応する基板の他面に、レーザドリルを用いて第1ホールと連結されるテーパ状の第2ホールを加工する工程と、メッキを行って、第1ホール及び第2ホールを介して基板の両面を電気的に接続させる導電部を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷回路基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷回路基板における層間の電気的接続は、基板にホールを加工し、ホール内部を化学的/電気的にメッキする工程により行われる。印刷回路基板に用いられる多様な形態のホール中、代表的な形態としては、図1に示すように、PTH(Plated Through Hole、図1の(a))とBVH(Blind Via Hole、図1の(b))が挙げられる。
【0003】
PTHは印刷回路基板を完全に貫通する形態であって、ドリルビットを用いた切削加工により形成され、主に両面印刷回路基板の層間導通や多層印刷回路基板のコア層における層間導通に用いられる。ドリルビットにより加工されたPTHは、断面の大きさが一定である円柱状を有する。
【0004】
BVHは片面が開放されていない構造であって、レーザ加工により形成される。BVHの断面はレーザが照射される部分のホールの大きさが底面のホールよりも大きい逆台形の形状を有する。
【0005】
印刷回路基板がますます高密度化されることにより、回路の線幅だけでなく、ホールの大きさ、ランド(Land)の大きさの縮小への要求が高まっている。極小径(100μm未満)のホール加工においては、従来のドリルビットを用いたPTH加工方式では限界がある。これは、ドリルビットの剛性はドリル直径の2乗に比例するため、ドリルビットの大きさが小さくなるほど剛性が大きく低下するからである。ドリルビットの剛性低下を克服するためには、ドリルの回転速度を増加すればよいが、CNCドリルマシーンの主軸回転数には限界があるため、従来のドリルビットを用いたPTH加工方式では極小径のホールを加工することは困難であり、高コストになる。
【0006】
印刷回路基板の高密度化に必要とされる極小径のPTHを効果的かつ経済的に加工するために、ドリルビットを用いた切削加工の代わりにレーザ加工を適用したPTH加工技術の開発が望まれる。
【0007】
レーザを用いたホール加工においては、レーザのエネルギーが中心部になるほど高まるため、テーパ(taper)状のホールが加工される。従来のレーザを用いたPTH加工においては、BVH加工のように、レーザを片面に数回照射してテーパ状のホールを加工し、ホールの内部をメッキしてPTHを形成した。
【0008】
PTH加工により貫通された底面のホールは、メッキ能力及びホール内部の充填のために常に一定の大きさや形状で維持されるべきである。しかし、従来方式のレーザドリル加工においては、貫通された底面のホールの大きさが小さく、大きさ及び形状の均一度が悪いという問題点があった。
【0009】
底面のホールの大きさが小さいと、メッキの際、底面のホールが詰まる問題が発生する。極小径のPTH加工工程では、一方が詰まると、ホール内でメッキ液が円滑に流れなくなり、不メッキやメッキ厚さの不均一による不良が発生することがあり、メッキの後にソルダレジストや樹脂の充填が円滑に行われず、ホール内にボイド(void)が発生する可能性が高くなる。
【0010】
底面のホールの大きさ及び形状を調節するためには、レーザのエネルギー及びショット数(Number of laser shots)を増加させなければならないが、これはレーザドリル工程において生産性の低下をもたらし、また絶縁層を過度に加工することになるため、ホールの大きさが小さい場合と同様に、メッキ不良及びホール内部のボイド問題を引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
こうした従来技術の問題点に鑑み、本発明は、層間導通を信頼性よく実現できる印刷回路基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態によれば、基板の一面に、レーザドリルを用いてテーパ状の第1ホールを加工する工程と、第1ホールの位置に対応する基板の他面に、レーザドリルを用いて第1ホールと連結されるテーパ状の第2ホールを加工する工程と、メッキを行って、第1ホール及び第2ホールを介して基板の両面を電気的に接続させる導電部を形成する工程と、を含む印刷回路基板の製造方法が提供される。
【0013】
導電部は、第1ホール及び第2ホールの内部一杯に満たされるように形成されてもよい。ここで、第1ホールの内壁の傾斜角は15°以上45°以下であってもよく、基板の中央部に位置した第1ホールの下端部の大きさは、第1ホール表面の大きさの50%以上70%以下であってもよい。
【0014】
また、第1ホールと第2ホールは互いに対称をなすように形成されることができる。
【0015】
本発明の他の実施形態によれば、基板と、基板の一面に形成されるテーパ状の第1ホールと、基板の他面に形成され、第1ホールと連結されるテーパ状の第2ホールと、第1ホール及び第2ホールを介して基板の両面を電気的に接続させる導電部と、を含む印刷回路基板が提供される。
【0016】
第1ホールと第2ホールは互いに対称をなすように形成されることができ、導電部は第1ホール及び第2ホールの内部一杯に満たされるように形成されることができる。ここで、第1ホールの内壁の傾斜角は15°以上45°以下であってもよく、基板の中央部に位置した第1ホールの下端部の大きさは、第1ホールの表面の大きさの50%以上70%以下であってもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の好ましい実施形態によれば、ビアホール加工の所要時間を短縮でき、ビアホールの内部に対するメッキ工程を効率的に行うことができるため、層間導通を信頼性よく実現することができる。
【0018】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】従来技術による印刷回路基板のビアを示す断面図である。
【図2】本発明の一実施例による印刷回路基板の製造方法を示す順序図である。
【図3】本発明の一実施例による印刷回路基板の製造方法の一工程を示す図面である。
【図4】本発明の一実施例による印刷回路基板の製造方法の一工程を示す図面である。
【図5】本発明の一実施例による印刷回路基板の製造方法の一工程を示す図面である。
【図6】本発明の一実施例による印刷回路基板の製造方法の一工程を示す図面である。
【図7】本発明の一実施例による印刷回路基板の製造方法の一工程を示す図面である。
【図8】本発明の一実施例による印刷回路基板の製造方法の一工程を示す図面である。
【図9】本発明の一実施例による印刷回路基板の製造方法の一工程を示す図面である。
【図10】本発明の一実施例による印刷回路基板の製造方法の一工程を示す図面である。
【図11】本発明の一実施例による印刷回路基板の製造方法の一工程を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は多様な変換を加えることができ、様々な実施例を有することができるため、本願では特定実施例を図面に例示し、詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変換、均等物及び代替物を含むものとして理解されるべきである。本発明を説明するに当たって、係る公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨をかえって不明にすると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0021】
以下、本発明による印刷回路基板及びその製造方法の好ましい実施例を添付図面を参照しながら詳細に説明し、本発明を説明するに当たって、同一または対応の構成要素には同一の図面符号を付し、これに対する重複説明は省略する。
【0022】
先ず、本発明の一実施形態による印刷回路基板の製造方法について説明する。図2は、本発明の一実施例による印刷回路基板の製造方法を示す順序図である。図3から図11は、本発明の一実施例による印刷回路基板の製造方法の各工程を示す図面である。図3から図11を参照すると、基板10、絶縁体11、金属膜12,13、パターン12',13'、基準ホール15、第1ホール20、第2ホール30、導電部40a,40b,40cが示されている。
【0023】
先ず、基板10を用意し、ステップS110で、両面加工のための基準ホール15を加工する。基準ホール15は基板10を貫通して形成され、例えば、図3に示すように基板10の周縁のダミー領域に形成されることができる。このような基準ホール15を用いることにより、基板10の両面にそれぞれ形成される第1ホール20及び第2ホール30を正確に位置合わせすることができる。
【0024】
一方、基準ホール15が形成される基板10としては、絶縁体11に金属膜12,13が形成されている銅張積層板のようなものを用いてもよく、金属膜が形成されていない絶縁体を用いてもよい。
【0025】
次に、ステップS120で、図4及び図5に示すように、基板10の一面にレーザドリルを用いてテーパ状の第1ホール20を加工し、ステップS130で、図6及び図7に示すように、第1ホール20の位置に対応する基板10の他面にレーザドリルを用いて第1ホール20と連結されるテーパ状の第2ホール30を加工する。このように基板10の両面を加工すると、図7に示すように、基板10の両面にそれぞれ形成された第1ホール20及び第2ホール30が重なって砂時計形状のビアホールが生成される。
【0026】
従来技術の場合、レーザドリルを用いてビアホールを加工する工程においては片面だけに加工工程を行うので、反対側の銅箔を穿孔するためにレーザのショット数を増加させることになり、その結果、加工時間が長くなり、加工費用が上昇する問題点があった。
【0027】
しかし、本実施例によれば、上述したように、ビアホールの加工工程を基板10の両面から行うので、片面当たり少ないショット数(例えば、2回以下)で加工できるようになり、加工時間及び加工費用を低減する効果が期待できる。さらに、基板10の両面を両方とも加工するため、両面からホール20,30の形状を調節しやすく、ホール内部の形状も調節できるので、製品の信頼度向上も期待できる。
【0028】
その後、ステップS140で、第1ホール20及び第2ホール30に、基板10の両面を電気的に接続させる導電部40a,40b,40cを形成する。導電部40a,40b,40cを形成する方法としては、無電解メッキ及び電解メッキのようなメッキ方式が用いられる。
【0029】
一方、図8及び図9に示すように、第1ホール20と第2ホール30の内壁だけに導電部40aを形成してもよく、図10に示すように、フィル(fill)メッキ方式でホールの内部一杯に満たされるように導電部40bを形成してもよい。それだけでなく、図11に示すように、ホールの中心部分だけに導電性物質を満たして導電部40cを形成してもよい。
【0030】
次に、基板10の両面にパターン12',13'を形成する。本実施例のように基板10として銅張積層板を用いた場合には、絶縁体11の両面に積層されている金属膜12,13を選択的にエッチングすることによりパターン12',13'を形成することができる。
【0031】
それに対して、金属膜が形成されていない絶縁体(図示せず)を基板として用いた場合には、無電解メッキなどの方法を用いて基板の表面にシード層(図示せず)を形成した後に電解メッキを用いてパターンを形成することができる。このような工程は上述したホール20,30の内部に導電部40a,40b,40cを形成する工程と同時に行われることができる。
【0032】
上述した方法により製造された印刷回路基板が図9から図11に示されている。このような印刷回路基板は、図9から図11に示すように、ビアホール20,30は両面から中央部に向かうに従って小さくなる形状を有する。すなわち、ビアホールが砂時計形状を有する。
【0033】
従来技術のようにレーザドリルを用いて基板10の片面だけにホール加工を行う場合、レーザが照射された面へのメッキ液の流れは円滑であるが、レーザが照射された面の反対面のホールはその大きさが小さいか、メッキ中に詰まることになって、メッキ液の流れが円滑ではないという問題点がある。したがって、極小径のホールの場合、ホール内部のメッキにバラツキや不メッキによる不良が発生する可能性が大きい。
【0034】
しかし、本実施例のように砂時計形状のホールを形成すると、ホール20,30の表面の大きさが内部(中央部)よりも大きいため、ホール20,30の内部へのメッキ液の流れが円滑になって、不メッキやメッキのバラツキが少なくなる効果が期待できる。特に、第1ホール20と第2ホール30が互いに対称に形成される場合、すなわち、第1ホール20と第2ホール30が互いに同じ大きさで同じ位置に形成されると、メッキのバラツキを最小化することができる。
【0035】
さらに、フィルメッキ(図10参照)またはハーフフィルメッキ(図11参照)を行う場合にも、ホール20,30の中間部分からメッキ物質が成長してホール20,30の内部全体を満たすことができるようになり、従来のフィルメッキ設備やメッキ液をそのまま適用することができる。
【0036】
フィルメッキを施す場合には、図10のホールの内壁の傾斜角(θ)を調節してメッキ能力を向上させることができる。具体的に、ホールの内壁が15°以上45°以下の傾斜を有するようにすると、フィルメッキ能力が向上される。
【0037】
ホールの内壁の傾斜以外にも、ホールの表面の大きさに対する中央部の大きさの比率を調節することによりメッキ能力を向上させることもできる。具体的に、第1ホール20を基準として説明すると、第1ホール20の表面の大きさ(d1)に対する基板の中央部に位置した第1ホール20の下端部の大きさ(d2)を50%以上70%以下にすると、フィルメッキ能力が非常に向上される。上記範囲内においては、従来のフィルメッキ設備やメッキ液をそのまま適用してフィルメッキを行うことができるという長所がある。ここで、第1ホール20の下端部とは、第1ホール20と第2ホール30が互いに連結される部分を意味する。
【0038】
本実施例によれば、上述したように、フィルメッキを行う場合のみならず、ホール20,30の内部にソルダレジストや樹脂を充填する場合にも、ホールの両側入口の大きさが内部よりも大きいため、ソルダレジストや樹脂などをホール20,30の内部に容易に充填することができる。
【0039】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0040】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した方法における動作、手順、ステップ、および工程等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「先ず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0041】
10 基板
11 絶縁体
12,13 金属膜
12',13' パターン
15 基準ホール
20 第1ホール
30 第2ホール
40a,40b,40c 導電部
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷回路基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷回路基板における層間の電気的接続は、基板にホールを加工し、ホール内部を化学的/電気的にメッキする工程により行われる。印刷回路基板に用いられる多様な形態のホール中、代表的な形態としては、図1に示すように、PTH(Plated Through Hole、図1の(a))とBVH(Blind Via Hole、図1の(b))が挙げられる。
【0003】
PTHは印刷回路基板を完全に貫通する形態であって、ドリルビットを用いた切削加工により形成され、主に両面印刷回路基板の層間導通や多層印刷回路基板のコア層における層間導通に用いられる。ドリルビットにより加工されたPTHは、断面の大きさが一定である円柱状を有する。
【0004】
BVHは片面が開放されていない構造であって、レーザ加工により形成される。BVHの断面はレーザが照射される部分のホールの大きさが底面のホールよりも大きい逆台形の形状を有する。
【0005】
印刷回路基板がますます高密度化されることにより、回路の線幅だけでなく、ホールの大きさ、ランド(Land)の大きさの縮小への要求が高まっている。極小径(100μm未満)のホール加工においては、従来のドリルビットを用いたPTH加工方式では限界がある。これは、ドリルビットの剛性はドリル直径の2乗に比例するため、ドリルビットの大きさが小さくなるほど剛性が大きく低下するからである。ドリルビットの剛性低下を克服するためには、ドリルの回転速度を増加すればよいが、CNCドリルマシーンの主軸回転数には限界があるため、従来のドリルビットを用いたPTH加工方式では極小径のホールを加工することは困難であり、高コストになる。
【0006】
印刷回路基板の高密度化に必要とされる極小径のPTHを効果的かつ経済的に加工するために、ドリルビットを用いた切削加工の代わりにレーザ加工を適用したPTH加工技術の開発が望まれる。
【0007】
レーザを用いたホール加工においては、レーザのエネルギーが中心部になるほど高まるため、テーパ(taper)状のホールが加工される。従来のレーザを用いたPTH加工においては、BVH加工のように、レーザを片面に数回照射してテーパ状のホールを加工し、ホールの内部をメッキしてPTHを形成した。
【0008】
PTH加工により貫通された底面のホールは、メッキ能力及びホール内部の充填のために常に一定の大きさや形状で維持されるべきである。しかし、従来方式のレーザドリル加工においては、貫通された底面のホールの大きさが小さく、大きさ及び形状の均一度が悪いという問題点があった。
【0009】
底面のホールの大きさが小さいと、メッキの際、底面のホールが詰まる問題が発生する。極小径のPTH加工工程では、一方が詰まると、ホール内でメッキ液が円滑に流れなくなり、不メッキやメッキ厚さの不均一による不良が発生することがあり、メッキの後にソルダレジストや樹脂の充填が円滑に行われず、ホール内にボイド(void)が発生する可能性が高くなる。
【0010】
底面のホールの大きさ及び形状を調節するためには、レーザのエネルギー及びショット数(Number of laser shots)を増加させなければならないが、これはレーザドリル工程において生産性の低下をもたらし、また絶縁層を過度に加工することになるため、ホールの大きさが小さい場合と同様に、メッキ不良及びホール内部のボイド問題を引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
こうした従来技術の問題点に鑑み、本発明は、層間導通を信頼性よく実現できる印刷回路基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態によれば、基板の一面に、レーザドリルを用いてテーパ状の第1ホールを加工する工程と、第1ホールの位置に対応する基板の他面に、レーザドリルを用いて第1ホールと連結されるテーパ状の第2ホールを加工する工程と、メッキを行って、第1ホール及び第2ホールを介して基板の両面を電気的に接続させる導電部を形成する工程と、を含む印刷回路基板の製造方法が提供される。
【0013】
導電部は、第1ホール及び第2ホールの内部一杯に満たされるように形成されてもよい。ここで、第1ホールの内壁の傾斜角は15°以上45°以下であってもよく、基板の中央部に位置した第1ホールの下端部の大きさは、第1ホール表面の大きさの50%以上70%以下であってもよい。
【0014】
また、第1ホールと第2ホールは互いに対称をなすように形成されることができる。
【0015】
本発明の他の実施形態によれば、基板と、基板の一面に形成されるテーパ状の第1ホールと、基板の他面に形成され、第1ホールと連結されるテーパ状の第2ホールと、第1ホール及び第2ホールを介して基板の両面を電気的に接続させる導電部と、を含む印刷回路基板が提供される。
【0016】
第1ホールと第2ホールは互いに対称をなすように形成されることができ、導電部は第1ホール及び第2ホールの内部一杯に満たされるように形成されることができる。ここで、第1ホールの内壁の傾斜角は15°以上45°以下であってもよく、基板の中央部に位置した第1ホールの下端部の大きさは、第1ホールの表面の大きさの50%以上70%以下であってもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の好ましい実施形態によれば、ビアホール加工の所要時間を短縮でき、ビアホールの内部に対するメッキ工程を効率的に行うことができるため、層間導通を信頼性よく実現することができる。
【0018】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】従来技術による印刷回路基板のビアを示す断面図である。
【図2】本発明の一実施例による印刷回路基板の製造方法を示す順序図である。
【図3】本発明の一実施例による印刷回路基板の製造方法の一工程を示す図面である。
【図4】本発明の一実施例による印刷回路基板の製造方法の一工程を示す図面である。
【図5】本発明の一実施例による印刷回路基板の製造方法の一工程を示す図面である。
【図6】本発明の一実施例による印刷回路基板の製造方法の一工程を示す図面である。
【図7】本発明の一実施例による印刷回路基板の製造方法の一工程を示す図面である。
【図8】本発明の一実施例による印刷回路基板の製造方法の一工程を示す図面である。
【図9】本発明の一実施例による印刷回路基板の製造方法の一工程を示す図面である。
【図10】本発明の一実施例による印刷回路基板の製造方法の一工程を示す図面である。
【図11】本発明の一実施例による印刷回路基板の製造方法の一工程を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は多様な変換を加えることができ、様々な実施例を有することができるため、本願では特定実施例を図面に例示し、詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変換、均等物及び代替物を含むものとして理解されるべきである。本発明を説明するに当たって、係る公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨をかえって不明にすると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0021】
以下、本発明による印刷回路基板及びその製造方法の好ましい実施例を添付図面を参照しながら詳細に説明し、本発明を説明するに当たって、同一または対応の構成要素には同一の図面符号を付し、これに対する重複説明は省略する。
【0022】
先ず、本発明の一実施形態による印刷回路基板の製造方法について説明する。図2は、本発明の一実施例による印刷回路基板の製造方法を示す順序図である。図3から図11は、本発明の一実施例による印刷回路基板の製造方法の各工程を示す図面である。図3から図11を参照すると、基板10、絶縁体11、金属膜12,13、パターン12',13'、基準ホール15、第1ホール20、第2ホール30、導電部40a,40b,40cが示されている。
【0023】
先ず、基板10を用意し、ステップS110で、両面加工のための基準ホール15を加工する。基準ホール15は基板10を貫通して形成され、例えば、図3に示すように基板10の周縁のダミー領域に形成されることができる。このような基準ホール15を用いることにより、基板10の両面にそれぞれ形成される第1ホール20及び第2ホール30を正確に位置合わせすることができる。
【0024】
一方、基準ホール15が形成される基板10としては、絶縁体11に金属膜12,13が形成されている銅張積層板のようなものを用いてもよく、金属膜が形成されていない絶縁体を用いてもよい。
【0025】
次に、ステップS120で、図4及び図5に示すように、基板10の一面にレーザドリルを用いてテーパ状の第1ホール20を加工し、ステップS130で、図6及び図7に示すように、第1ホール20の位置に対応する基板10の他面にレーザドリルを用いて第1ホール20と連結されるテーパ状の第2ホール30を加工する。このように基板10の両面を加工すると、図7に示すように、基板10の両面にそれぞれ形成された第1ホール20及び第2ホール30が重なって砂時計形状のビアホールが生成される。
【0026】
従来技術の場合、レーザドリルを用いてビアホールを加工する工程においては片面だけに加工工程を行うので、反対側の銅箔を穿孔するためにレーザのショット数を増加させることになり、その結果、加工時間が長くなり、加工費用が上昇する問題点があった。
【0027】
しかし、本実施例によれば、上述したように、ビアホールの加工工程を基板10の両面から行うので、片面当たり少ないショット数(例えば、2回以下)で加工できるようになり、加工時間及び加工費用を低減する効果が期待できる。さらに、基板10の両面を両方とも加工するため、両面からホール20,30の形状を調節しやすく、ホール内部の形状も調節できるので、製品の信頼度向上も期待できる。
【0028】
その後、ステップS140で、第1ホール20及び第2ホール30に、基板10の両面を電気的に接続させる導電部40a,40b,40cを形成する。導電部40a,40b,40cを形成する方法としては、無電解メッキ及び電解メッキのようなメッキ方式が用いられる。
【0029】
一方、図8及び図9に示すように、第1ホール20と第2ホール30の内壁だけに導電部40aを形成してもよく、図10に示すように、フィル(fill)メッキ方式でホールの内部一杯に満たされるように導電部40bを形成してもよい。それだけでなく、図11に示すように、ホールの中心部分だけに導電性物質を満たして導電部40cを形成してもよい。
【0030】
次に、基板10の両面にパターン12',13'を形成する。本実施例のように基板10として銅張積層板を用いた場合には、絶縁体11の両面に積層されている金属膜12,13を選択的にエッチングすることによりパターン12',13'を形成することができる。
【0031】
それに対して、金属膜が形成されていない絶縁体(図示せず)を基板として用いた場合には、無電解メッキなどの方法を用いて基板の表面にシード層(図示せず)を形成した後に電解メッキを用いてパターンを形成することができる。このような工程は上述したホール20,30の内部に導電部40a,40b,40cを形成する工程と同時に行われることができる。
【0032】
上述した方法により製造された印刷回路基板が図9から図11に示されている。このような印刷回路基板は、図9から図11に示すように、ビアホール20,30は両面から中央部に向かうに従って小さくなる形状を有する。すなわち、ビアホールが砂時計形状を有する。
【0033】
従来技術のようにレーザドリルを用いて基板10の片面だけにホール加工を行う場合、レーザが照射された面へのメッキ液の流れは円滑であるが、レーザが照射された面の反対面のホールはその大きさが小さいか、メッキ中に詰まることになって、メッキ液の流れが円滑ではないという問題点がある。したがって、極小径のホールの場合、ホール内部のメッキにバラツキや不メッキによる不良が発生する可能性が大きい。
【0034】
しかし、本実施例のように砂時計形状のホールを形成すると、ホール20,30の表面の大きさが内部(中央部)よりも大きいため、ホール20,30の内部へのメッキ液の流れが円滑になって、不メッキやメッキのバラツキが少なくなる効果が期待できる。特に、第1ホール20と第2ホール30が互いに対称に形成される場合、すなわち、第1ホール20と第2ホール30が互いに同じ大きさで同じ位置に形成されると、メッキのバラツキを最小化することができる。
【0035】
さらに、フィルメッキ(図10参照)またはハーフフィルメッキ(図11参照)を行う場合にも、ホール20,30の中間部分からメッキ物質が成長してホール20,30の内部全体を満たすことができるようになり、従来のフィルメッキ設備やメッキ液をそのまま適用することができる。
【0036】
フィルメッキを施す場合には、図10のホールの内壁の傾斜角(θ)を調節してメッキ能力を向上させることができる。具体的に、ホールの内壁が15°以上45°以下の傾斜を有するようにすると、フィルメッキ能力が向上される。
【0037】
ホールの内壁の傾斜以外にも、ホールの表面の大きさに対する中央部の大きさの比率を調節することによりメッキ能力を向上させることもできる。具体的に、第1ホール20を基準として説明すると、第1ホール20の表面の大きさ(d1)に対する基板の中央部に位置した第1ホール20の下端部の大きさ(d2)を50%以上70%以下にすると、フィルメッキ能力が非常に向上される。上記範囲内においては、従来のフィルメッキ設備やメッキ液をそのまま適用してフィルメッキを行うことができるという長所がある。ここで、第1ホール20の下端部とは、第1ホール20と第2ホール30が互いに連結される部分を意味する。
【0038】
本実施例によれば、上述したように、フィルメッキを行う場合のみならず、ホール20,30の内部にソルダレジストや樹脂を充填する場合にも、ホールの両側入口の大きさが内部よりも大きいため、ソルダレジストや樹脂などをホール20,30の内部に容易に充填することができる。
【0039】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0040】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した方法における動作、手順、ステップ、および工程等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「先ず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0041】
10 基板
11 絶縁体
12,13 金属膜
12',13' パターン
15 基準ホール
20 第1ホール
30 第2ホール
40a,40b,40c 導電部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の一面に、レーザドリルを用いてテーパ状の第1ホールを加工する工程と、
前記第1ホールの位置に対応する前記基板の他面に、レーザドリルを用いて前記第1ホールと連結されるテーパ状の第2ホールを加工する工程と、
メッキを行って、前記第1ホール及び前記第2ホールを介して前記基板の両面を電気的に接続させる導電部を形成する工程と、を含む印刷回路基板の製造方法。
【請求項2】
前記導電部は、前記第1ホール及び前記第2ホールの内部一杯に満たされるように形成されることを特徴とする請求項1に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項3】
前記第1ホールの内壁の傾斜角が15°以上45°以下であることを特徴とする請求項2に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項4】
前記基板の中央部に位置した前記第1ホールの下端部の大きさが、前記第1ホール表面の大きさの50%以上70%以下であることを特徴とする請求項2または3に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項5】
前記第1ホールと前記第2ホールが、互いに対称をなすことを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項6】
基板と、
前記基板の一面に形成されるテーパ状の第1ホールと、
前記基板の他面に形成され、前記第1ホールと連結されるテーパ状の第2ホールと、
前記第1ホール及び前記第2ホールを介して前記基板の両面を電気的に接続させる導電部と、を含むことを特徴とする印刷回路基板。
【請求項7】
前記第1ホールと前記第2ホールが、互いに対称をなすことを特徴とする請求項6に記載の印刷回路基板。
【請求項8】
前記導電部が前記第1ホール及び前記第2ホールの内部一杯に満たされるように形成されることを特徴とする請求項6または7に記載の印刷回路基板。
【請求項9】
前記第1ホールの内壁の傾斜角が15°以上45°以下であることを特徴とする請求項8に記載の印刷回路基板。
【請求項10】
前記基板の中央部に位置した前記第1ホールの下端部の大きさが、前記第1ホール表面の大きさの50%以上70%以下であることを特徴とする請求項8に記載の印刷回路基板。
【請求項1】
基板の一面に、レーザドリルを用いてテーパ状の第1ホールを加工する工程と、
前記第1ホールの位置に対応する前記基板の他面に、レーザドリルを用いて前記第1ホールと連結されるテーパ状の第2ホールを加工する工程と、
メッキを行って、前記第1ホール及び前記第2ホールを介して前記基板の両面を電気的に接続させる導電部を形成する工程と、を含む印刷回路基板の製造方法。
【請求項2】
前記導電部は、前記第1ホール及び前記第2ホールの内部一杯に満たされるように形成されることを特徴とする請求項1に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項3】
前記第1ホールの内壁の傾斜角が15°以上45°以下であることを特徴とする請求項2に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項4】
前記基板の中央部に位置した前記第1ホールの下端部の大きさが、前記第1ホール表面の大きさの50%以上70%以下であることを特徴とする請求項2または3に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項5】
前記第1ホールと前記第2ホールが、互いに対称をなすことを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項6】
基板と、
前記基板の一面に形成されるテーパ状の第1ホールと、
前記基板の他面に形成され、前記第1ホールと連結されるテーパ状の第2ホールと、
前記第1ホール及び前記第2ホールを介して前記基板の両面を電気的に接続させる導電部と、を含むことを特徴とする印刷回路基板。
【請求項7】
前記第1ホールと前記第2ホールが、互いに対称をなすことを特徴とする請求項6に記載の印刷回路基板。
【請求項8】
前記導電部が前記第1ホール及び前記第2ホールの内部一杯に満たされるように形成されることを特徴とする請求項6または7に記載の印刷回路基板。
【請求項9】
前記第1ホールの内壁の傾斜角が15°以上45°以下であることを特徴とする請求項8に記載の印刷回路基板。
【請求項10】
前記基板の中央部に位置した前記第1ホールの下端部の大きさが、前記第1ホール表面の大きさの50%以上70%以下であることを特徴とする請求項8に記載の印刷回路基板。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−147461(P2010−147461A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−257484(P2009−257484)
【出願日】平成21年11月10日(2009.11.10)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月10日(2009.11.10)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】
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