説明

印刷版の接着用の感圧接着テープ及びそれの製造方法

【課題】 長期間保存した後にも辺縁部の持ち上がりがなく、再び容易に剥離されそして理想的にも良好な位置変更が可能である接着テープの提供。
【解決手段】 少なくとも1つの発泡した支持体、該発泡した支持体の片面上の少なくとも1種類のポリマーフィルム並びに接着テープの両面の各々の上の感圧接着剤層を有する両面接着テープにおいて、
外側の感圧接着剤層の少なくとも1つが、ビニル芳香族化合物をベースとするポリマーブロックを含有しそして1,3−ジエンをベースとするポリマーブロックも含有する少なくとも50重量%の1種類以上のブロックコポリマー及び最高50重量%の少なくとも1種類の接着樹脂よりなる少なくとも1種類の樹脂−ポリマーブレンドを含む組成物であることを特徴とする、上記両面接着テープ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極性の表面で非常に低い剥離挙動を示し、容易に位置変更可能であり、そして圧胴に貼り付けた後に印刷版、及び接着テープと印刷版との複合体の辺縁部の持ち上がりが少ない、感圧接着剤の少なくとも1つの層を持つ感圧接着テープ及びこのような感圧接着テープを印刷版に貼り付けるために用いることに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷工業において、印刷見本によりモチーフを例えば紙に複写するために色々な方法が公知である。一つの可能な方法はいわゆるフレキソ印刷を本質とする。フレキソ印刷の一つの実施形態は、柔軟性のある基体を持つ多層感光性樹脂印刷版を次々に使用しており。この種類の印刷は久しい以前から従来技術に属している。この場合、印刷版は特定の機能を持つ種々のポリマー材料の複数の層で構成されている。例えばFlintGroup社の“nyloflex ACE”印刷版は二つの層、すなわち、感光性レリーフ層及びそれの下の安定化フィルムを有している。
【0003】
フレキソ印刷法では柔軟性のある印刷版が圧胴の上に貼り付けられる。この貼り付けのために一般に、非常に厳しい要求が設定された両面感圧接着テープが使用される。印刷法にとって感圧接着テープは特定の堅さも一定の弾性も有していなければならない。これらの性質は、得られる印刷像が要求に従って所望の結果をもたらすために非常に正確に調整しなければならない。感圧接着剤には、ここでも接着力が同様に十分であるべきであり、従って印刷版が両面感圧接着テープから又は感圧接着テープが胴から剥がれないような接着力が同様に十分にあるべきなので、更に厳しい要求が感圧接着剤に求められている。このことは40〜60℃の高い温度及び早い印刷速度でも当てはまる。これらの性質の他に感圧接着剤は、印刷版が何度も貼り付けられそして位置変更するために剥がさなければならないので、可逆的な感圧接着特定も有していなければならない。この剥離性は長期間(6ケ月まで)にわたって貼り付ける場合にも付与されるべきである。すなわち、印刷版はこの場合、破壊されることなく再び剥離されるべきである。さらに、印刷版にも胴にも残留物が留まるべきでない。
【0004】
従って、総括すれば、この用途に適する両面感圧接着テープは非常に厳しい要求をされている。
【0005】
米国特許第4,380,956号明細書には、フレキソ印刷法のために印刷版を固定する方法が開示されている。この方法のためには、感圧接着剤も使用されるが、詳細な説明がされていない。
【0006】
英国特許第1,533,431号明細書では、壊れ易い気泡によって発泡されているエラストマー層を有する両面感圧接着テープが請求されている。該気泡は加圧下にフレキソ印刷で使用している間に押しつぶされてしまう。
【0007】
米国特許第4,574,697号明細書では、支持体として、PET(ポリエチレンテレフタレート)−フィルムに固定されている柔軟性のあるポリウレタンフォームを持つ両面感圧接着テープが請求されている。外側層は感圧接着剤よりなる。
【0008】
上記の感圧接着テープは両面タイプであり、圧胴及び印刷版から除去可能である。同様の製品構造がヨーロッパ特許出願公開第0,206,760号明細書に記載されている。この場合には柔軟性のある発泡体支持体としてポリエチレン発泡体が使用されている。
【0009】
米国特許第4,574,712号明細書には、米国特許第4,574,697号明細書と同様に、同様の感圧接着剤テープ構造が記載されている。感圧接着剤に関して、この場合には、印刷版及び圧胴への接着力が支持体フィルム及び支持体発泡体に対してよりも小さくあるべきであるという制限が設けられている。
【0010】
米国特許第3,983,287号明細書には、支持体材料として非圧縮性のエラストマーを含有する積層体が記載されている。この圧縮性は圧縮下に崩壊しそしてそれ故に柔軟性を発生させるビーズによって達成される。米国特許第5,613,942号明細書には、湿った表面に貼り付けるのに特に適する感圧接着テープが記載されている。このような感圧接着テープが印刷版の貼り付けに適していることも記載されている。
【0011】
米国特許第5,476,712号明細書にも同様に、フレキソ印刷法で使用される両面感圧接着テープが記載されている。この感圧接着テープも熱可塑性エラストマーを含有しており、この場合には、膨張性の微細粒子によって発生するセル状構造が存在している。
【0012】
上記の場合には非常に沢山の種々の感圧接着剤が使用される。天然ゴム接着剤は良好な粘着性を有しているが、室温では強い剪断強度がなくポリマー中に存在する二重結合の崩壊の結果として老化する。
【0013】
一般に、圧胴に印刷版(以下、“版”とも称する)を接着するためにアクリレートをベースとする接着剤が使用される。この接着剤は、高い初期粘着性を有しそして再び容易に取り外すことができるという長所を有している。それにもかかわらず、この接着剤は辺縁部が持ち上がる傾向を有している。
【0014】
市場においてはスチレンブロック共重合体をベースとする接着テープも使用されているが、この接着テープは辺縁部の持ち上がりを顕著に示し、特に長期間の印刷行程で使用される2.54mmの厚さの厚版を用いた場合には辺縁部の持ち上がりが顕著である。辺縁部の持ち上がりは印刷版の厚み及び合成に比例して増加する。
【0015】
辺縁部の持ち上がりという現象は市場で入手できる殆ど全ての印刷版用貼り付けテープで知られている問題であり、柔軟性のある印刷版が圧胴に貼り付け(及びその際に必ず生じる変形)の後で平面領域で跳ね返る傾向を有する事実に由来する。辺縁部の持ち上がり傾向は、中でも胴の直径、印刷版の厚さ及びそれの性状、薄く、かつ、弾性力の小さい印刷に使用されない印刷版縁部、(印刷版を全面で押し付ける、印刷版が最も高い弾性力を一般に有している)版縁部の所の印刷設計、胴に取り付ける前の印刷版の裏側の掃除、貼り付けるときの版の押し付け及び別のパラメータに依存している。
【0016】
沢山の印刷版を同時に使用する場合には、通例のシームレスに貼り付けられた印刷版同志の間の隙間ヘの要求が常に非常に大きく、特に変わり目が視認できない大型印刷を行う場合にそうである。フレキソ印刷(要するに印刷版による印刷)は、例えばグラビア印刷の様な他の方法とますます競合しており、上述の要求が重要になっている。前記隙間が(印刷物にとって視認できない程に)常に小さくなければならないという事実の他に、印刷されない縁部をそのままに置いておく可能性がもはや存在しない。
【0017】
印刷者は現在この問題を2つ以上の作業段階で印刷行程を実施することによって征服することを試みている。しかしこれは著しく不便で追加的な費用を伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の課題は、この状況を改善しそして僅かに高い温度の下で長期間保存した後にも辺縁部の持ち上がりがなく、再び容易に剥離されそして理想的にも良好な位置変更が可能である接着テープを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この課題は驚くべきことに、請求項1に記載するようにして解決される。
【0020】
ブロックポリマーの割合が多く、特に50重量%より多くそして樹脂の割合が少ないポリマー−樹脂ブレンドよりなり、該ブロックコポリマーがビニル芳香族化合物をベースとするものであることを特徴とする接着剤が使用される。
【0021】
この接着剤は最も簡単な場合にはポリマー−樹脂ブレンドだけで実現され得るが、本発明の接着剤の更なる展開においては他の添加物及び追加物質も加えてもよい。
【0022】
この接着剤は穏やかな接着力しか有していないが、基体上で剥離する傾向が増加することがなく、それ故に容易に再び位置変更することができる。驚くべきことに、本発明の接着剤を塗工した接着テープは辺縁部の持ち上がりがないかまたは非常に僅かしか示さない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】は本発明の一つの実施態様の感圧接着テープを用いた製品構造を図示している。
【符号の説明】
【0024】
1・・・感光性樹脂の層
2・・・PETフィルム
3・・・版を繋留するための感圧接着剤
4・・・PET−フィルム(5)の粗面化された上面
5・・・ポリエチレンテレフタレート(PET)よりなるフィルム
6・・・PETフィルム(5)の粗面化された下面
7・・・ポリエチレンテレフタレート(PET)よりなるフィルム(5)上の発泡支持体(8)を繋留するための感圧接着剤
8・・・発泡支持体
9・・・圧胴上に貼り付けるための感圧接着剤。
【発明を実施するための形態】
【0025】
感圧接着剤としてはビニル芳香族化合物、例えばスチレンで形成されたポリマーブロック(A−ブロック)及び1,3−ジエン、例えばブタジエン及びイソプレンの重合によって形成された又はブタジエンとイソプレンとの共重合体よりなるブロック(B−ブロック)を含有するブロックコポリマーをベースとするものを使用する。種々のブロックコポリマーの混合物も有利に使用することができる。さらに、一部が又は全部が水素化されている生成物も有利に使用することができる。
【0026】
使用されるブロックコポリマーは特に線状のA−B−A構造を有していてもよい。同様に放射状形態並びに星型及び線状のマルチブロックコポリマーも使用することができる。別の成分としてはA−B二成分ブロックコポリマーを使用してもよい。本発明によれば、種々の構造のブロックコポリマーの混合物も有利に使用される。
【0027】
少なくとも20重量%のポリビニル芳香族化合物含有量のブロックコポリマーを使用するのが有利である。
【0028】
スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー(SIS)及び/又はスチレン−ブタジエン−スチレン−ブロックコポリマーを本発明で使用される感圧接着剤のポリマー成分として使用するのが特に有利である。
【0029】
粘着剤としては、ビニル芳香族化合物ブロックコポリマーのエラストマーブロックとの相容性のある粘着樹脂が役立つ。適する粘着樹脂は中でもコロホニウム又はコロホニウム誘導体をベースとする水素化されていない、部分的に又は完全に水素化された樹脂、C−、C−/C−又はC−モノマー留分をベースとする水素かされていない、部分的に、選択的に又は完全に水素化された炭化水素樹脂及び/又はα−ピネン及び/又はβ−ピネン及び/又はδ−リモネンをベースとする水素化された又は水素化されていないポリテルペン樹脂がある。上記の粘着樹脂は単独でも混合物の状態でも使用することができる。
【0030】
ブロックコポリマーの使用濃度は、樹脂−ポリマーブレンドを基準として50重量%〜75重量%、特に55重量%〜65重量%の範囲内にある。樹脂は有利には25〜50重量%、非常に有利には35〜45重量%の割合で選択される。
【0031】
感圧接着剤のための別の添加物としては特に以下の化合物が有利に使用できる:
− 第一酸化防止剤、例えば立体障害フェノール
− 第二酸化防止剤、例えばホスフィット又はチオエーテル
− 加工安定剤、例えばC−ラジカル捕捉剤
− 光安定剤、例えば紫外線吸収剤又は立体障害アミン
− 加工助剤
− 末端ブロック補強剤樹脂並びに
− 場合によっては特に有利なエラストマー特性の別のポリマー;これには利用可能なエラストマー、中でも純粋な炭化水素、例えば不飽和ポリジエンをベースとするもの、例えば天然に又は合成で入手されるポリイソプレン又はポリブタジエン、実質的に化学的に飽和されたエラストマー、例えば飽和エチレン−プロピレンコポリマー、α−オレフィンコポリマー、ポリイソブチレン、ブチレンゴム、エチレン−プロピレンゴム並びに化学的に官能化された炭化水素、僅かの名称を挙げると、例えばハロゲン含有、アクリレート含有又はビニルエーテル含有ポリオレフィンが含まれる。
− 無機充填剤、例えばチョーク及び/又は珪酸塩。
【0032】
本発明の感圧接着剤系は、以下に挙げる要求プロフィールを満足しそして特に以下の長所を有していることに特徴がある:
− 感圧接着テープの複数回の再使用性(位置変更性)
− 両面での異なる面への使用
− 基体から残留物なく剥離可能
− 極性の表面でも低い剥離挙動
− 圧胴に貼り付けた後に辺縁部の持ち上がりが低減されているか或いはない。
【0033】
本発明の感圧接着テープの一つの有利な実施態様においては、該感圧接着テープが支持体層及び該支持体層の両面の各々の一つの感圧接着剤層で構成されている。
【0034】
特に本発明の接着テープの支持体は、発泡体、又は複数のフィルム、複数の発泡体よりなるか又は少なくとも1つのフィルム及び少なくとも1つの発泡体よりなる複合体であり、該支持体又は複合体には両面に粘着性被覆物が塗布されており、印刷版に面する側には本発明の感圧接着剤が塗工されている。両方の感圧接着剤層のために本発明の感圧接着剤を有利に使用することができる。
【0035】
本発明によれば、発泡した支持体、該発泡した支持体の片面上のポリマーフィルム並びに接着テープの両面上の感圧接着剤のそれぞれの層を有する両面接着テープが適している。この場合、外側の感圧接着剤層の少なくとも1つには本発明の架橋した感圧接着剤が存在するが、両方の感圧接着剤層が本発明に従う感圧接着剤であるのが特に有利である。
【0036】
少なくとも1枚のフィルム及び少なくとも1つの発泡した材料(“発泡体”)よりなる複合体が支持体として使用される場合には、この支持体は有利な実施態様においては接着剤によって積層されていて、従って支持体複合体を形成していてもよい。別の実施態様においては、これらの層はヒートシールによって互いに接合されていてもよい。しかしながら、該支持体複合体を製造するためには、二つの層、特にポリマー特性の層を面接合する他の公知の方法も使用することができる。
【0037】
圧胴に向いた感圧接着テープの面の上に本発明の感圧接着剤を使用するのが有利であり得るが、原則として当業者に知られる他の感圧接着剤も使用することができる。例えばゴムベースの感圧接着剤、合成ゴムベースの感圧接着剤、ポリシリコーン、ポリウレタン、ポリオレフィン又はポリアクリレートをベースとする感圧接着剤が適する。
【0038】
フィルム支持体としては当業者に熟知される材料を使用することができる。特にポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、二軸配向されたポリプロピレン(BOPP)、ポリ塩化ビニル等が使用できる。これらの例示は本願発明を制限するものではない。ポリエチレンテレフタレートよりなるフィルムを使用するのが特に有利である。
【0039】
発泡支持体としては、ポリマー発泡体が特に有利に適し、支持体発泡体は例えばポリオレフィン類、特にポリエチレン又はポリプロピレンよりなるか、ポリウレタンよりなるか又はポリ塩化ビニルよりなる。
【0040】
発泡体を支持体材料として使用する場合には、発泡した支持体の少なくとも片面に更に少なくとも1種類の安定性支持体をもたらし、前述のように説明した支持体複合物を形成するのが特に有利である。該安定性支持体は特に紙又はフィルムであってもよく、特にポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、二軸配向されたポリプロピレン又はポリ塩化ビニルよりなるフィルムが有利である。
【0041】
有利には発泡体支持体の両面に安定性支持体を設けてもよい。
【0042】
一般に支持体材料の粗面化によって感圧接着剤の繋留性を改善するのが有利である。粗面化及びポリマー構造の化学的変性法は支持体材料の湿式化学的エッチングによって行う。該エッチングの他に別の方法でも予備処理することができる。
【0043】
支持体材料は繋留性を改善するために物理的及び化学的に前処理する。物理的処理のためには、フィルムを火炎又はコロナ又はプラズマで処理するのが有利である。化学的前処理のためには、支持体材料にプライマーを塗布する。この場合、特に有利な実施態様においては、反応性プライマーを用いる。プライマー材料としては例えば反応性プライマーが適している。
【0044】
印刷版を貼り付けるために両面感圧接着テープを使用するためには、該感圧接着テープは本発明の特に有利な実施態様においては図1の製品構造を有している。
【0045】
PETフィルム(2)及び感光性樹脂の層(1)で構成される接着テープを印刷版の貼り付けに使用する。
【0046】
層3〜9は発泡した支持体(8)によって圧縮性で弾性のある、両面接着性版貼り付けテープを形成する。
【0047】
接着テープは、版が接合される側から始まって以下の個々のセクションで構成されている:
3・・・版を繋留するための感圧接着剤
4・・・PET−フィルム(5)の粗面化された上面
5・・・ポリエチレンテレフタレート(PET)よりなるフィルム
6・・・PETフィルム(5)の粗面化された下面
7・・・ポリエチレンテレフタレート(PET)よりなるフィルム(5)上の発泡支持体(8)を繋留するための感圧接着剤
8・・・発泡支持体
9・・・圧胴上に貼り付けるための感圧接着剤。
【0048】
正に印刷工業においては、ここで使用された接着テープが高い柔軟性を有しており、それ故にその厚みが、圧力を負荷したときにある程度変化することができ或いは負荷を除いたときに再び元の状態に戻ることができることが重要である。
【0049】
さらに、発泡した支持体(8)がポリオレフィン、ポリ塩化ビニル(PVC)又はポリウレタ(PU)よりなる場合が有利である。特に有利な一つの実施態様においては発泡加工されたポリエチレン及びポリプロピレンを使用する。さらに、発泡加工された支持体の表面を物理的な前処理、特にコロナ放電処理するのが有利である。
【0050】
さらに、ポリエチレンテレフタレート(PET)よりなるフィルムが5μm〜500μm、特に5μm〜60μmの厚さを有するのが有利である。
【0051】
さらに、本発明の接着テープは片面又は両面に紙又は適当なフィルムよりなる被覆を備えている。特に、長期間の保存及び使用する間の取り扱いを有利に保証するために、両面をシリコーン加工された紙又は両面をシリコーン加工されたフィルム又はシリコーンフィルムを備えているのが有利である。
【0052】
それの特別な性質のための、有利な両面接着性に作製された本発明の接着テープは印刷版、特に感光性樹脂印刷版を圧胴又はスリーブに固定するために使用される。
【0053】
本発明の接着テープはその特別な構造のために特に印刷版を圧胴に接合するのに適する接着力を有している。一方においては印刷版を印刷前に何度も位置変更することを可能とし、もう一方において印刷行程の間、版をしっかり接合することを保証する。
【0054】
本発明の感圧接着剤を塗工した感圧接着テープで貼り付けた印刷版は、該感圧接着テープから、何らの損傷もなく、特に残留物なしにも除かれる。
【0055】
版の支持体層の剥離又は除く間に版の不所望のしわの形成がない。圧胴から接着テープを除いた後にも残留物が残らない。
【0056】
本発明の接着テープは柔軟な印刷版を印刷スリーブに貼り付けるのにも明らかに適している。
【0057】
実験:
以下に本発明の接着テープの長所を沢山の実験で説明する。製造された感圧接着剤の接着技術的性質を評価するために、以下の試験方法を使用した。
【0058】
試験方法:
接着力:
剪断強度(接着力)の測定はPSTC−1に従って行った。23μmの厚さのPETフィルムに30g/mの感圧接着剤層を塗布する。2cmの幅のストリップ状試験体を、鋼鉄製板の上に、2kgの重量のローラーを3往復転がすことによって貼り付ける。この板をクランプ止めしそして接着ストリップを引っ張り試験機において、180°の剥離角度で300mm/分の速度でそれの自由末端片から引っ張る。
【0059】
この場合、接着力は接着直後に一度、そして室温で72時間保存後にもう一度測定する。
【0060】
ポリエチレンへの接着力の測定は次の様に実施した:規定した接着基体(接着力板)としてポリエチレン製板を使用した。この板はBasell社のHDPE顆粒Hostalen GC7260 の射出成形法で試験用板として製造した。測定前にこの板をエタノールで洗浄した。試験すべき試験体として23μmの厚さの標準ポリエステル支持体にそれぞれの粘着剤を片面に塗布した(粘着剤塗布量:50g/m)。塗工された標準ポリエステル支持体の20mmの幅のストライプを接着基体の上に荷重(2kg)で押し付ける。その直後に接着テープを基体から180°の角度で300mm/分の速度で剥離し、そして室温でこれに必要な力を測定した。測定値(N/cm)は3回の測定の平均値として得た。測定法を補正するために、市販の試験用接着テープを非接着製被覆物(tesa AG社の“tesa 7475”タイプ:説明によると鋼鉄への接着強度31.25N/25mm)の試験のためにこの測定方法に相応して検査した。ポリエチレン試験板へのこの場合に測定された接着力は4.5N/cmであった。
【0061】
辺縁部の持ち上がり:
鋼鉄製の圧胴に、図1に記載の構造に相当する両面接着テープを貼り付ける。その際に安定化フィルムとしてエッチング加工した23μmのPETフィルムを使用しそして発泡体として容積重量270kg/mで、500μmのPE−EVA発泡体(ポリエチレン−エチルビニルアセテート発泡体)を使用した。両面、要するに鋼鉄製胴と印刷版の両方への接着剤として実施例B1〜B5、C6、C7からの接着剤を30g/mの厚さで使用した。
【0062】
鋼鉄製胴の上に貼り付けられた接着テープ(圧胴に対して接着テープの、図1中の接着剤9によって貼り付け)の外側に在る本発明の接着剤層(図1の符号3)に、剥離紙を除いた後に2.54mmの厚さのDuPont Cyrel HOS 社の印刷版を貼り付ける。
【0063】
試験体は貼り付けた状態で3日間室温で放置した。次いで辺縁部の持ち上がりを測定した(mm)。
【0064】
剥離性:
上記の貼り付けた印刷版を3日間の剥離強化期間の後に剥離しそして剥離性を客観的に観察した。この場合、剥離性について測定される分類は、“容易”、“許容可能”、“困難”及び“非常に困難”である。
【0065】
接着剤の製造:
感圧接着剤の製造及び加工は溶液、分散物並びに溶融物から行うことができる。特に有利な製造及び加工法は溶液並びに溶融物から行う。
【0066】
試験体の製造:
各成分をトルエンとベンジンとの50:50の混合物中に溶解して40%の固形分濃度に調製する。この調製物を23μmの厚さのエッチング加工澄みPETフィルムに塗布しそして100℃で乾燥して、30g/cmの接着剤塗布量とする。
【0067】
全ての実施例は老化防止剤として0.5部のIrganox(R) 1010 及び紫外線吸収剤として0.5部のTinuvin(R) Pを添加した。
【0068】
各実施例の組成を表1に総括掲載する(全ての表示は重量%である)。
【0069】
【表1】

使用した原料の性質:
Kraton(R) D 1165 SIS、約16重量%のジブロック、ブロックポリスチレン含有量:30重量%、クレートン(Kraton)ポリマー

Kraton(R) D 1118 SBS、約76重量%のジブロック、ブロックポリスチレン含有量:31重量%、クレートン(Kraton)ポリマー

Kraton(R) D 1102 SBS、約14重量%のジブロック、ブロックポリスチレン含有量:30重量%、クレートン(Kraton)ポリマー

Kraton(R) D 1101 SBS、約18重量%のジブロック、ブロックポリスチレン含有量:31重量%、クレートン(Kraton)ポリマー、Kraton(R) D 1102よりも高分子量

Pentalyn(R) H-E 水素化コロホニウムエステル、軟化点(環球法) 約110℃、(製造元: Eastman)
Regalite(R) R 1090 Cをベースとする水素か炭化水素樹脂、軟化点(環球法)約90℃、(製造元: Exxon Mobile)
Dercolyte(R) A 115 αピネン樹脂、軟化点約115℃、(製造元: DRT)
Picco(R) A 10液状炭化水素樹脂(製造元:Eastman)
Foralyn(R) 5020 液状コロホニウム樹脂(製造元: Eastman)
Wingtack(R) 10 液状炭化水素樹脂(製造元: Goodyear)
Shellflex(R) 371 ナフテン系油(製造元: Shell)
Irganox(R) 1010 立体障害フェノール(製造元:Ciba Additive)
Tinuvin(R) P 紫外線吸収剤(製造元: Ciba Additive)
軟化点の測定はDIN EN 1427:2007と同様に歴青の代わりに実験用樹脂を用いて行った。
【0070】
例C7:
ラジカル重合用の慣用の2L−ガラス製反応器に、8gのアクリル酸、372gの2−エチルヘキシルアクリレート、20gのイソボルニルアクリレート及び170gのアセトン:特殊沸点スピリット(special-boiling-point spirit)60/95(1:1)を装入する。45分間、窒素ガスを攪拌下に反応溶液に通した後に、反応器を58℃に加熱しそして10gのアセトンに溶解して0.2gのアゾイソブチロニトリル(AIBN、Vazo 67(R)、製造元:DuPont社)を添加する。次いで外部の加熱浴を75℃に加温しそして反応をこの外部温度のもとで常に実施する。1時間の反応時間の後に10gのアセトンに溶解して0.2gのAIBNを添加する。5時間の反応時間の後に、10gのアセトンに溶解した0.8gのビス−(4−第三ブチルシクロヘキサニル)−ペルオキシ−ジカルボナート(Perkadox 16O 、製造元: Akzo Nobel社)を添加する。6時間の反応時間の後に100gの特殊沸点スピリット60/95で希釈する。7時間の反応時間の後に、10gのアセトンに溶解した0.8gのビス−(4−第三ブチルシクロヘキサニル)−ペルオキシ−ジカルボナート(Perkadox 16O 、製造元: Akzo Nobel社)を添加する。
【0071】
10時間の反応時間の後に、150gの特殊沸点スピリット60/95で希釈する。反応は24時間の反応時間の後に中断しそして室温に冷却する。次いでこのポリアクリレートを0.6重量%の(アセトンに溶解した3%濃度溶液として)アルミニウムアセチルアセトナートとブレンドし、特殊沸点スピリット60/95で30%の固形分含有量に希釈し、この溶液でPET−フィルムに塗布する。120℃で15分間乾燥した後に30g/mの塗布量となる。
【0072】
例示の感圧接着剤は以下の接着技術的データを示した:
【0073】
【表2】

アクリレートをベースとする接着剤(C7)は確かに容易に剥離できるが、顕著な辺縁部の持ち上がりがあることがわかる。
【0074】
僅かな量のビニル芳香族ブロックコポリマーを含有する接着剤(C6)は確かに高い接着力を有しそして辺縁部の持ち上がりがないが、剥離が非常に困難であり、大きな印刷版の場合にはもはや剥離できない。
【0075】
エラストマー(ビニル芳香族ブロックコポリマー)の割合が多い、(樹脂−ブロックコポリマー混合物を基準として)50重量%以上の場合も、同様に辺縁部の持ち上がりがないが、それにも係わらず印刷版は使用後に残留物なく明らかに容易に除去され、本発明の実施例B1〜B5もこれに匹敵する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビニル芳香族化合物をベースとするポリマーブロックを含有しそして1,3−ジエンをベースとするポリマーブロックも含有する少なくとも50重量%の1種類以上のブロックコポリマー及び最高50重量%の少なくとも1種類の接着樹脂よりなる少なくとも1種類の樹脂−ポリマーブレンドを含有する感圧接着剤の、圧胴又は印刷スリーブに柔軟な印刷版を貼り付けるための用途。
【請求項2】
少なくとも1つの発泡した支持体、該発泡した支持体の片面上の少なくとも1種類のポリマーフィルム並びに接着テープの両面の各々の上の感圧接着剤層を有する両面接着テープにおいて、
外側の感圧接着剤層の少なくとも1つが、ビニル芳香族化合物をベースとするポリマーブロックを含有しそして1,3−ジエンをベースとするポリマーブロックも含有する少なくとも50重量%の1種類以上のブロックコポリマー及び最高50重量%の少なくとも1種類の接着樹脂よりなる少なくとも1種類の樹脂−ポリマーブレンドを含む組成物であることを特徴とする、上記両面接着テープ。
【請求項3】
樹脂−ポリマーブレンド中のブロックコポリマーの割合が55〜65重量%である、請求項2に記載の接着テープ。
【請求項4】
樹脂−ポリマーブレンド中の樹脂の割合が35〜45重量%である、請求項2又は3に記載の接着テープ。
【請求項5】
樹脂がコロホニウム又はコロホニウム誘導体をベースとするもの、ジシクロペンタジエンの水素化又は水素化されてない重合体、C−、C−/C−又はC−モノマー留分をベースとする水素化されていない、部分的に、選択的に又は完全に水素化された炭化水素樹脂、α−ピネン及び/又はβ−ピネン及び/又はδ−リモネンをベースとする水素化された又は水素化されていないポリテルペン樹脂がある。
【請求項6】
ブロックコポリマーが少なくとも20重量%のポリビニル芳香族化合物含有量を有する、請求項2〜5のいずれか一つに記載の接着テープ。
【請求項7】
ビニル芳香族化合物としてスチレンを使用する、請求項2〜6のいずれか一つに記載の接着テープ。
【請求項8】
1,3−ジエンとしてブタジエン及び/又はイソプレンを使用する、請求項2〜7のいずれか一つに記載の接着テープ。
【請求項9】
圧胴又は印刷スリーブに柔軟な印刷版を貼り付けるための、請求項2〜8のいずれか一つに記載の接着テープの用途。

【図1】
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【公開番号】特開2009−270110(P2009−270110A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−113110(P2009−113110)
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【出願人】(509120403)テーザ・ソシエタス・ヨーロピア (118)
【Fターム(参考)】