説明

印刷用マスクの製造方法

【課題】メッキ時において、基板とメッシュとの密着度を良好にして、精度の良い印刷パターンを有する印刷用マスクの製造方法を提供する。
【解決手段】まず、印刷パターンに対応するレジストパターン22をメッシュ5に形成する。次いで、レジストパターン22が形成されたメッシュ5と基板20を引き寄せ合わせる。次いで、めっきにより、レジストパターン22から露呈するメッシュ5にめっき層23を形成する。最後に、基板20を除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、スクリーン印刷をするのに好適な印刷用マスクの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の印刷用マスクとしては、例えば特許文献1に、シート上にスクリーンを接着し、その上にレジストを塗布して所望のパターンを形成後、レジストのパターンから裸出しているスクリーン上に電着金属を形成することで、所望のパターンを有する印刷用マスクが得られることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭51−78406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、レジストパターンニングから電着を一の基板上で一括して行っているが、レジストパターンニング工程と電着工程とに分けて製造する、つまり、レジストパターンニングを施したメッシュを用意し、それを基板に載置して電着することで製造すれば、レジストパターンニング工程と電着工程とを別々で行えるので、量産性に優れる。
【0005】
しかしながら、レジストパターンニング工程と電着工程とを別々で行った場合、メッシュに形成されたレジストを基板上へうまく密着載置することが難しい。基板とレジストとがしっかりと密着していなければ、基板とレジストとの間に電着金属の回り込みが生じてしまい、精度の良い印刷パターンが得られないという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、基板とメッシュとの重ね合わせ時における基板とレジストとの密着性を良くして、上記のような問題を解消できる印刷用マスクの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、印刷パターンに対応するレジストパターン22をメッシュ5に形成する工程と、レジストパターン22が形成されたメッシュ5と基板20を引き寄せ合わせる工程と、めっきにより、レジストパターン22から露呈するメッシュ5にめっき層23を形成する工程と、基板20を除去する工程とを有することを特徴とする。また、レジストパターン22が形成されたメッシュ5と基板20を引き寄せ合わせる工程は、磁力を発生する磁力発生手段6により行うことを特徴とする。さらに、レジストパターン22の厚さをメッシュ5の厚さより大きく形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、レジストパターン22と基板20との密着性を良くしているので、良好な状態でメッキを行うことができ、よって、精度の高い印刷パターンを備える印刷用マスク1を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】印刷用マスクの斜視図である。
【図2】第1実施例に係る印刷用マスクの製造方法の工程説明図である。
【図3】図2(b)に関する補足説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の印刷用マスクについて説明する。本発明の印刷用マスク1は、導電性を有するメッシュ5に電鋳や蒸着といったメッキを施すことにより、所望の印刷パターンにパターンニング形成された多数の開口2を有するものであり、このメッシュ5を枠体4に対して緊張状態で張設することで、図1に示すような印刷版が得られる。メッシュ5としては導電性を有するものであり、例えば、ステンレスやアルミニウムといった金属細線を編み込んだタイプ、ポリ四フッ化エチレンやポリエチレン、ポリイミドといった樹脂繊維を編み込んだ表面にメッキを施して導電性を付与したタイプ、あるいはニッケルや銅等の金属材をメッキにより直接メッシュを形成したタイプなどであって、これに鉄やニッケルといった磁性体が付与されたものを用いる。次に、本実施例に係る印刷用マスク1の製造方法について説明する。
【0011】
まず、上記タイプのメッシュ5表面に、例えば、ネガタイプの液状フォトレジストを均一に1〜50μm厚に塗布して乾燥する、あるいは1〜50μm厚のフィルム状のフォトレジストをラミネートする。このフォトレジストは、メッシュ5の厚さ以上に形成するのが好ましい。次いで、そのフォトレジスト上に印刷パターンに対応するネガタイプの印刷パターンフィルムを密着させ、焼き付け、現像、乾燥の各処理を行って、図2(a)に示すごとく、所望のレジストパターン22を形成する。もちろん、上記フォトレジストおよび印刷パターンフィルムとしては、ネガタイプのものに代えて、ポジタイプのものであってもよい。
【0012】
次いで、レジストパターン22と基板20とを密着させ、メッシュ5と基板20とを引き寄せ合わせる。レジストパターン22と基板20とを密着させる手段としては、押し付けて密着する圧着手段、貼り合わせて密着する接着手段、吸引して密着する吸着手段などと種々の手段があるが、ここでは、磁力発生手段6を用いて磁力により密着する手段について説明する。具体的には、図2(b)に示すように、レジストパターン22を有するメッシュ5を、好ましくはテンションをかけた状態で、ステンレス製の基板20上に配置するとともに、基板20のメッシュ5を載置した側とは反対側に磁力発生手段6としてマグネット6を配する。基板20としては、導電性基板あるいは絶縁性基板に導電性を付与したものを用いる。また、マグネット6は、メッシュ5の外形状と同程度もしくはそれより大きいものをメッシュ5と対向するように配置することが好ましく、本実施例では、シート状のマグネット6を採用した。これに加えて、図3に示すように、マグネット6上にス
ポンジなどの弾性マット26を介して平板治具25を載置することで、メッシュ5を平板治具25方向に押し付け、テンションをかけた状態にセットすることも可能である。ここで、磁力は少なくともメッシュ5を基板20上に配置してメッキする段階で発生していればよいが、終始磁力発生状況下においてマスクの製造を行っても良い。なお、磁力発生手段6としては、マグネットや電磁石に限らない。また、磁力発生手段6を別で設けず、例えば、基板20自体が磁性を有するものや磁力発生手段6を備えたものであっても良い。
【0013】
次いで、銅、ニッケル、ニッケル−コバルトなどの金属をめっきして、図2(c)に示すごとく、基板20上であって、メッシュ5のレジストパターン22で覆われていない部分にめっき層23を上記レジストパターン22と同程度かそれ以下の高さの1〜50μm厚に形成する。ここで、めっき層23を形成する前に、メッシュ5へのメッキの着きまわりを良くするため、少なくともレジストパターン22から露出するメッシュ5表面に活性化処理を施すことが好ましく、例えば、図2(b)に示すように、メッシュ5表面にニッケルや銅などの表面めっき層24を形成すると良い。もちろん、メッシュ5表面全てに活性化処理を施しても良く、その場合は、メッシュ5にレジストパターン22を形成する前に施しておくと良い。また、上記メッキに際しては、めっき層23の外周と枠体4との間のメッシュ5の外周部分5aをマスキングしてメッキを行うことにより、その外周部分5aにはメッキが施されることがなく、メッシュ5の枠張りテンション圧を一定に保つことができて良い。
【0014】
最後に、マグネット6を取り外し、基板20およびレジストパターン22を除去することにより、図2(d)に示すような印刷用マスク1が得られる。
【0015】
本実施例においては、レジストパターン22の厚みをメッシュ5の厚みと同程度に形成したものを用いても良いが、メッシュ5とレジストパターン22との厚みを異ならせる、つまり、図2(a)に示すように、レジストパターン22がメッシュ5から突出するように、レジストパターン22の厚みをメッシュ5の厚みより大きく形成したものを用いても良い。これにより、基板20にレジストパターン22を確実に密着させることができるとともに、基板20に対して、前者はメッシュ5による面接触であるのに対し、後者はレジストパターン22による局部接触となり、レジストパターン22を基板20上にしっかりと密着させることができる。加えて、局部接触となるレジストパターン22は、金属より軟らかい樹脂より構成されるため、基板20上に追随性良く載置することができる。しかも、マグネット(磁力発生手段)6を配するので、磁力によりメッシュ5を基板20側に引き付けることができる。以上のように、レジストパターン22による局部接触と追随性
効果及びマグネット(磁力発生手段)6による引き付け効果によって、レジストパターン22と基板20とをしっかりと密着することができるので、メッキ時に開口2となるレジストパターン22と基板20との間へのメッキの潜り込みや回り込みを防ぐことができ、よって、精度の良い印刷パターンを有する印刷用マスク1を得ることができる。
【0016】
また、本実施例においては、メッシュ5は磁性を有するものとしているが、非磁性のものでも良く、例えば、基板20上に非磁性のメッシュ5を配置し、これら基板20及びメッシュ5をマグネット(磁力発生手段)6・6間に挟み込むことで、基板20とメッシュ5とを密着させることができる。この場合、非磁性のメッシュ5側のマグネット6は、メッシュ5全面を覆ってしまうと、後のメッキ時に邪魔となってめっき層23の形成がうまくいかないが、レジストパターン22上のみにマグネット6を配置するようにすれば、これを防ぐことができる。また、非磁性のメッシュ5表面の一部に磁性を付与したものでも良く、非磁性メッシュ5のレジストパターン22から露出する表面に磁性を付与したものは、図2(a)の状態から磁性体を付与するだけで容易に形成することができ、非磁性メッシュ5のレジストパターン22で覆われた表面に磁性を付与したものであれば、レジストパターン22と基板20との密着をより強固なものとすることができる。これは、レジストパターン22内に磁性体を埋め込んだものであっても良い。
【符号の説明】
【0017】
1 印刷用マスク
2 開口
4 枠体
5 メッシュ
6 磁力発生手段(マグネット)
20 基板
22 レジストパターン
23 めっき層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷パターンに対応するレジストパターン(22)をメッシュ(5)に形成する工程と、
レジストパターン(22)が形成されたメッシュ(5)と基板(20)とを引き寄せ合わせる工程と、
レジストパターン(22)から露呈するメッシュ(5)にめっき層(23)を形成する工程と、
基板(20)を除去する工程
とを有することを特徴とする印刷用マスクの製造方法。
【請求項2】
レジストパターン(22)が形成されたメッシュ(5)と基板(20)を引き寄せ合わせる工程は、磁力を発生する磁力発生手段(6)により行うことを特徴とする請求項1に記載の印刷用マスクの製造方法。
【請求項3】
レジストパターン(22)の厚さをメッシュ(5)の厚さより大きく形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷用マスクの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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