説明

印刷用塗被紙

【課題】密度が低いにもかかわらず、表面強度および内部結合強度が高く、また印刷適性に優れた塗被紙を提供することを目的とする。
【解決手段】原紙と、原紙の少なくとも片面に顔料と接着剤を主成分とする塗被層を1層以上設けてなる印刷用塗被紙であって、原紙には、比表面積が10〜250m2/g、かつ細孔径が0.08〜0.80μmである二酸化ケイ素および/またはケイ酸塩から形成されたケイ素含有粒子と耐アルカリ性微小粒子とを含有した多孔性填料を、紙中填料率として1〜30質量%含有し、パーカープリントサーフ粗さが1.0〜6.0μmである印刷用塗被紙。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷用塗被紙に関し、特に優れた表面強度、内部結合強度、印刷適性を有した低密度印刷用艶消し塗被紙に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、塗被紙として、高光沢塗被紙では得がたい、落ち着いた高級感が得られることから、白紙光沢は低いが印刷光沢は高いマット調の塗被紙の需要が増加している。特に、マット調の艶消し塗被紙は、高い訴求力が得られることから、写真や図案を多用し、さらにカラー化して意匠性を高めた印刷物に広く適用されている。
【0003】
印刷物においては、省資源、輸送および郵送コストの低減などの観点から軽量化が求められており、それに応じて、塗被紙の密度を低くすることが求められている。
塗被紙の密度を低下させる方法としては、原紙抄紙時のプレス圧およびマシンカレンダ圧を低くして、原紙の密度を低くする方法が知られている。しかし、この方法のみで、原紙の密度を所望のレベルまで低くすると、原紙の平滑度が著しく低下し、その結果として、塗被紙の平滑度も低下するという問題があった。
また、表面強度および印刷適性を向上させ、軽量化する方法として、無定形シリカ若しくは無定型シリケートを紙へ配合する方法(特許文献1参照)、使用するパルプに機械パルプを配合すると共に、填料として無定型シリカを配合する方法(特許文献2、3,4)、無定形シリカ若しくは無定型シリケートと嵩高剤を配合する方法(特許文献5参照)が提案されている。
しかし、通常の無定型シリカ若しくは無定型シリケートの配合、また嵩高剤と組み合わせでは、無定型シリカ、無定型シリケート、嵩高剤は、パルプと混合され、各工程に搬送する際のシェア、また原紙抄紙時のプレス圧およびマシンカレンダ圧で潰れてしまい、目標とする低密度化を達成できないばかりか、塗被紙の表面強度および原紙の内部結合強度を低下させるという問題があった。また、機械パルプは剛直性が高いことから、塗被紙の平滑度を低下させる上、白色度が劣るという問題があった。
また、吸油性を向上させ、不透明度および印刷適性を改良する方法、軽量化、不透明度向上、強度および剛度低下を改良する方法として、炭酸カルシウム、二酸化チタン、炭酸マグネシウム、硫酸バリウムなどの無機粒子と珪酸および/または珪酸塩とからなる複合填料を紙に配合する方法が提案されている(特許文献6,7,8、9,10,11,12参照)。
しかし、この無機粒子と珪酸および/または珪酸塩とからなる複合填料も原紙抄紙時の各種シェア、プレス圧およびマシンカレンダ圧で破壊され、良好な印刷適性を有しながら、目標とする低密度化と強度を両立させることはできなかった。また、板状の顔料を使用し、低い塗被量で原紙の被覆性を向上させ軽量化する方法として、体積分布平均粒径が3.5〜20μmのデラミネーテッドクレーを顔料100質量部に対して30〜90質量部含む塗被層を塗被する方法(特許文献13参照)、塗被層の軽量化さらにカレンダ処理による潰れを抑制し軽量化をする方法として、低比重で光沢の出やすい合成樹脂粒子などを使用する方法(特許文献14参照)が提案されている。
しかし、これらの塗被層およびカレンダ処理の方法のみでは、良好な印刷適性と目標とする軽量化を両立させることはできなかった。
【特許文献1】特開平10−226982号公報
【特許文献2】特開平11−279988号公報
【特許文献3】特開2000−345493号公報
【特許文献4】特開2001−214395号公報
【特許文献5】特開2000−282392号公報
【特許文献6】特開昭60−72963号公報
【特許文献7】特開平11−107189号公報
【特許文献8】特開2001−247310号公報
【特許文献9】特開2003−020592号公報
【特許文献10】特開2006−070413号公報
【特許文献11】特開2006−97138号公報
【特許文献12】特開2006−97162号公報
【特許文献13】特開2002−194698号公報
【特許文献14】特開平7−238493号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上のように、特許文献1〜14に記載の方法では、密度が低いにもかかわらず、表面強度および内部結合強度が高く、また印刷適性に優れた塗被紙を得ることは困難であった。
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、密度が低いにもかかわらず、表面強度および内部結合強度が高く、また印刷適性に優れた塗被紙を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は以下の発明を包含する。
[1]原紙と、原紙の少なくとも片面に顔料と接着剤を主成分とする塗被層を1層以上設けてなる印刷用塗被紙であって、原紙には、比表面積が10〜250m2/g、かつ細孔径が0.08〜0.8μmである二酸化ケイ素および/またはケイ酸塩から形成されたケイ素含有粒子と耐アルカリ性微小粒子とを含有した多孔性填料を、紙中填料率として1〜30質量%含有し、パーカープリントサーフ粗さが1.0〜6.0μmである印刷用塗被紙。
[2]多孔性填料がケイ素含有粒子100質量部に対して0.1〜40質量部の耐アルカリ性微小粒子を含有する[1]に記載の印刷用塗被紙。
[3]多孔性填料の平均粒子径が40μm以下である[1]または[2]に記載の印刷用塗被紙。
【発明の効果】
【0006】
本発明の塗被紙は、密度が低いにもかかわらず、表面強度および内部結合強度が高く、印刷適性の優れたものである。このような塗被紙は、軽量化できる上に、高級感のあるマット調の艶消しにでき、印刷物の意匠性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
(塗被紙)
本発明の塗被紙の一実施形態について説明する。
本実施形態の塗被紙は、原紙の少なくとも片面に顔料と接着剤を主成分とする塗被層を1層以上備えたものである。
【0008】
本発明の塗被紙を構成するパルプ成分としては、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、サルファイトパルプ(SP)などの化学パルプ、砕木パルプ(GP)、ストーングランドパルプ(SG)、加圧ストーングランドパルプ(PGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、レファイナーグランドパルプ(RGP)、レファイナーメカニカルパルプ(RMP)、セミケミカルパルプ(SCP)などの各種機械パルプ、各種の古紙を原料とする古紙パルプ(DIP)などが使用される。パルプ成分のフリーネスとしては、原紙における強度と剛度とのバランスの観点から、250〜580CSFが好ましい。
【0009】
本発明の塗被紙の原紙に含有する多孔性填料は、比表面積が10〜250m2/g、かつ細孔径が0.08〜0.8μmである二酸化ケイ素および/またはケイ酸塩から形成されたケイ素含有粒子と耐アルカリ性微小粒子とを含有したものである。
また、比表面積が10〜150m/g、かつ細孔径が0.12〜0.8μmであることが好ましい。さらには比表面積が10〜100m/g、かつ細孔径が0.15〜0.8μmであることが好ましい。
ここで、ケイ素含有粒子を形成するケイ酸塩とは、一般式xMO・ySiO、xMO・ySiO、xM・ySiOで表される化合物であって、MがAl,Fe,Ca,Mg,Na,K,Ti,Znのいずれかのものである(x,yは任意の正の数値である。)。
【0010】
耐アルカリ性微小粒子としては、例えば、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、タルク、アルミナ、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムなどが挙げられる。これらの中でも、コスト的にも優位であることから、炭酸カルシウム、カオリン、タルクが好ましい。
【0011】
比表面積が10m2/g未満の場合は、粒度分布が悪くなり、微細粒子と粗大粒子が多くなり、表面強度およぼ内部結合強度が低下する。また粗大粒子により、原紙表面が荒れ目的の表面平滑性を発現させるには強い平滑化処理が必要となり、嵩高性が不十分となる。
250m2/gを超えると凝集構造体の結合力が弱くなり、パルプスラリー調製時のせん断力およびプレス圧、キャレンダー処理圧力で潰れやすく、嵩高性が不十分となる。さらに紙に配合した際の不透明性が低下する。
【0012】
また、細孔径が0.08μm未満であれば、凝集構造体の結合力が弱くなり、パルプスラリー調製時のせん断力およびプレス圧、キャレンダー処理圧力で潰れやすく、嵩高性が不十分となる。
0.8μmを超えると、粒度分布が悪くなり、微細粒子と粗大粒子が多くなり、内部強度および表面強度が低下する。また、粗大粒子により、原紙表面が荒れ目的の表面平滑性を発現させるには強い平滑化処理が必要となり、嵩高性が不十分となる。さらに紙に配合した際の不透明性が低下する。
ここで、比表面積は、ポアサイザ9320((株)島津製作所製)を用いて、細孔形状が幾何学的な円筒であると仮定した全細孔の表面積で、測定範囲内における圧力と圧入された水銀量の関係から求めた値である。また細孔径も、ポアサイザ9320((株)島津製作所製)を用いて、積分比表面積曲線から得られるメジアン細孔直径のことである。
【0013】
耐アルカリ性微小粒子の含有量は、ケイ素含有粒子100質量部に対して0.1〜40質量部であることが好ましく、さらには0.3〜24質量部であることが好ましい。耐アルカリ性微小粒子の含有量が前記範囲であることにより、紙の嵩高化およびパルプスラリー調製からシートになるまでのファンポンプ、攪拌によるせん断力、プレス、カレンダなどによる圧力での潰れ防止に適した多孔性填料が得られる。
耐アルカリ性微小粒子の含有量が0.1質量部未満であると、粒度分布がブロードとなり紙の内部結合強度および表面強度が低下するほか、発生する粗大粒子により表面平滑性も低下するため、目的の平滑性を発現させるには強い平滑化処理が必要となり嵩高性が低下する。また、均一でない粒子径が内添されるため印刷適性も低下する。また40質量部を超えると、嵩高化効果が低下する。
なお、耐アルカリ性微小粒子の含有量は、多孔性填料の粉末サンプルを錠剤化した後、蛍光X線分析装置を用いて測定することにより求められる。
【0014】
該多孔性填料は、比表面積および細孔径を特定の範囲とし、さらに粒度分布を良好としたことから、紙へ添加することでの内部結合強度低下および表面強度低下が小さく、さらには、カレンダで表面処理をする際に原紙層が潰れにくく、嵩高性を維持するほか、粗大粒子に起因する原紙表面の荒れが小さく良好な平滑性を有する。また、特に印刷時等の圧力がかかった状態で良好な平滑性を有するため、印刷適性に優れたものである。該多孔性填料は、紙中填料率として1〜30質量%を含有させることが必要であり、好ましくは2.0〜15質量%の範囲で含有させる。1質量%未満では前述の効果は発揮せず、目的の低密度および表面平滑性の発現が不十分となる。また30質量%を超える場合は表面強度および内部結合強度が不十分となる。
【0015】
内部結合強度は、300J/m以上であることが好ましく、さらには、400J/m以上であることが好ましい。500J/m以上であればさらに好ましい。
【0016】
また、該多孔性填料は平均粒子径が40μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは3〜30μmであり、さらには5〜25μmであることが好ましい。多孔性填料の平均粒子径が40μmを超える場合には、表面強度が低下してしまう他、表面平滑性も低下するため、目的の平滑性を発現させるには強い平滑化処理が必要となり嵩高性が低下する。また印刷適性および白紙不透明度も低下する。
なお、本発明における平均粒子径とは、SALD2000J((株)島津製作所製)を用いて、レーザー回折法により測定し、体積積算で50%となる値のことである。また、多孔性填料の粒度分布としては、標準偏差(σ)が0.350以下であることが好ましく、さらには0.300以下であることが好ましい。このような粒度分布であれば、粗大粒子および微小粒子が共により少なくなり、より優れた内部結合強度および表面強度が得られる他、良好な表面平滑性を得ることができる。
【0017】
該多孔性填料の製造方法としては、ケイ酸アルカリ水溶液中に耐アルカリ性微小粒子を添加し、耐アルカリ性微小粒子存在化で、鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液を添加し、ケイ酸アルカリ水溶液を中和してケイ素含有粒子を一定の電解質の存在下で析出させる方法である。
【0018】
ここで、ケイ酸アルカリ水溶液としては特に制限されないが、ケイ酸ナトリウム水溶液またはケイ酸カリウム水溶液が好ましい。ケイ酸アルカリ水溶液の濃度は、多孔性填料が効率的に製造できることから、3〜15%であることが好ましく、ケイ酸アルカリ水溶液がケイ酸ナトリウム水溶液の場合には、SiO/NaOモル比が2.0〜3.4であることが好ましい。
耐アルカリ性微小粒子の添加量は、生成するケイ素含有粒子100質量部に対して0.1〜40質量部、好ましくは0.3〜30質量部になる量である。
【0019】
また、耐アルカリ性微小粒子のケイ酸アルカリ水溶液への添加は、ケイ酸アルカリ水溶液を攪拌しながら、その中に耐アルカリ性微小粒子を添加することが好ましいが、耐アルカリ性微小粒子の水性スラリーに、ケイ酸アルカリ水溶液を添加しても差しつかえない。
また、耐アルカリ性微小粒子は、鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液の添加前に全部を一括してケイ酸アルカリ水溶液中に添加してもよいし、複数に分けて添加してもよい。
【0020】
本発明で用いる鉱酸溶液および/または鉱酸の金属塩溶液において、鉱酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸などが挙げられ、鉱酸の金属塩としては、前記鉱酸のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩などが挙げられる。これらの中でも、価格、ハンドリングの点で、硫酸、硫酸アルミニウムが好ましく、また、水溶液であることが好ましい。
【0021】
本発明の塗被紙を構成する原紙は、例えば、叩解したパルプ成分を含むパルプスラリーに、上記多孔性填料、必要に応じて、紙力増強剤、サイズ剤、定着剤、消泡剤、着色剤などを添加して紙料を調製し、その紙料を抄紙することにより得られる。
抄紙方法としては、例えば、トップワイヤーなどを含む長網マシン、丸網マシン、ツインワイヤーマシン、これらを併用したマシン、ヤンキードライヤーマシンなどを用いて、酸性抄紙、中性抄紙、あるいはアルカリ性抄紙する方法などが挙げられる。
【0022】
また、原紙を得る際には、所望の塗被紙の平滑性と嵩高性を得るように、脱水工程でのプレス圧および平滑化工程におけるマシンカレンダ圧を適宜調整することが好ましい。
原紙には、抄紙適性や原紙の強度特性を調節する目的で、上記多孔性填料以外の他の填料、例えば、無定型シリカ、無定型シリケート、タルク、カオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、酸化チタン等が含まれてもよい。
【0023】
原紙の坪量は30〜300g/mであることが好ましく、原紙の不透明性および嵩高性の点から、40〜130g/mであることがより好ましい。
【0024】
本発明の塗被紙を構成する塗被層は、顔料および接着剤を含有し、塗被層に含まれる顔料としては、例えば、無機顔料、樹脂顔料などが挙げられる。
無機顔料としては、例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、サチンホワイト、亜硫酸カルシウム、石膏、硫酸バリウム、タルク、カオリン、クレー、焼成カオリン、ホワイトカーボン、デラミネーテッドカオリン、エンジニアードカオリン、珪藻土、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ベンドナイト、セリサイト等が挙げられる。
【0025】
樹脂顔料を構成する樹脂としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体を重合したスチレン系重合体、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリロニトリル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体を重合した(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸単量体を重合した不飽和カルボン酸系重合体、(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド単量体を重合した不飽和アミド系重合体などが挙げられる。また、上記芳香族ビニル単量体、アクリル酸アルキルエステル系単量体、不飽和カルボン酸単量体、不飽和アミド単量体からなる群より選ばれる少なくとも1種が共重合した共重合体(例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等)であってもよい。
このような樹脂顔料が含まれる場合には、塗被層の密度がより低くなるため、好ましい。
【0026】
樹脂顔料は、中空状、密実状などの粒子であってもよいし、貫通孔を有する粒子であってもよいし、お椀型の形状をした粒子であってもよい。
【0027】
樹脂顔料の平均粒子径は0.5〜1.5μmであることが好ましい。樹脂顔料の平均粒子径が0.5μm以上であれば、不透明度をより向上させることができ、1.5μm以下であれば、表面の平滑性をより向上させることができる。
さらに、樹脂顔料は、平均粒子径が前記範囲である上に、空隙率が30〜60%の中空粒子が好ましい。
【0028】
1層以上の塗被層のうち、最表の塗被層は、上記無機顔料および樹脂顔料の両方を含み、塗被層中の樹脂顔料の含有量が、無機顔料の合計100質量部に対して0.5〜10質量部であることが好ましい。樹脂顔料の含有量が0.5質量部以上であれば、カレンダ処理後の平滑性がより高くなり、10質量部以下であれば、白紙光沢度をより容易に低下させることができる上、印刷強度の低下をより防止できる。
なお、塗被層が1層である場合には、その塗被層が最表の層となる。
【0029】
最表の塗被層に含まれる無機顔料は、エンジニアードカオリンおよび/またはデラミネーテッドカオリンからなるカオリン成分を20〜80質量%含み、該カオリン成分における沈降法により測定された平均粒子径が0.2〜1.0μmのものが好ましい。カオリン成分の含有量が20質量%以上であれば、白紙光沢度および平滑度がより高くなる。
また、カオリン成分の沈降法により測定された平均粒子径が0.2μm以上であれば、塗被層形成時においてカオリン成分の原紙内への浸透量を少なくできるため、塗被層の平滑性をより高くできる。また、白紙光沢度を容易に低くでき、艶消しの塗被紙をより容易に製造できる。また、平均粒子径が1.0μm以下であれば、白紙光沢度の過度の低下を防止できる。
【0030】
無機顔料中の上記カオリン成分が100質量%未満である場合には、他の無機顔料が含まれる。他の無機顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、サチンホワイト、酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、シリカ、シリカ−アルミナなどが挙げられる。これらの他の無機顔料は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
他の無機顔料は、沈降法により測定した平均粒子径が0.2〜1.5μmであることが好ましく、0.2〜1.0μmであることがより好ましい。他の無機顔料の平均粒子径が0.2μm以上であれば、塗被層の平滑性をより高くでき、平均粒子径が1.5μm以下であれば、白紙光沢度の過度の低下を防止できる。
【0031】
塗被層が2層以上である場合、最表の塗被層と原紙との間の塗被層(下塗り塗被層)にも、上述したカオリン成分が含まれてもよい。
また、最表の塗被層と下塗り塗被層とは同じ成分からなってもよいし、異なる成分からなってもよい。
塗被層が2層以上設けられると、塗被紙の平滑度がより高くなる。
【0032】
塗被層に含まれる接着剤としては、例えば、水分散性接着剤、水溶性接着剤を用いることができる。
水分散性接着剤としては、例えば、スチレン・ブタジエン系共重合体、スチレン・アクリル系共重合体、エチレン・酢酸ビニル系共重合体、ブタジエン・メチルメタクリレート系共重合体、酢酸ビニル・ブチルアクリレート系共重合体等が挙げられる。
水溶性接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、無水マレイン酸共重合体、アクリル酸・メチルメタクリレート系共重合体等の合成接着剤;カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白などの蛋白質類;酸化澱粉、陽性澱粉、尿素燐酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉などのエーテル化澱粉、デキストリンなどの澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体などが挙げられる。
これら接着剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0033】
塗被層中の接着剤含有量は、顔料100質量部に対して5〜50質量部であることが好ましく、10〜30質量部であることがより好ましい。
【0034】
塗被層の合計の厚さは5〜50μmであることが好ましく、6〜30μmであることがより好ましい。塗被層の合計の厚さが5μm以上であれば、インク受容性を充分に発揮できる。また、塗被層の合計の厚さが50μm以下であれば、柔軟性を維持でき、紙としての風合いが損なわれることを防止でき、また、原紙の表面状態が塗被層の表面に容易に反映されるようになる。
【0035】
本発明の塗被紙は、パーカープリントサーフ粗さが1.0〜6.0μmであることが必要である。
すなわち、塗被紙の平滑度(パーカープリントサーフ粗さ)が1.0〜6.0μmの範囲にあることが、図柄印刷部の見栄えと可読性のバランスを図るために必要な要素であり、パーカープリントサーフ粗さが1.0μm未満、即ち過度に平滑度が高いと、白紙光沢度が30%を超えてしまい、所望のマット調の艶消し性が低下する。逆に、パーカープリントサーフ粗さが6.0μmを越えると所望の印刷適性を得ることができない。
白紙光沢度は測定用の光の入射角を75°として測定した値である。
【0036】
原紙に塗被する塗被液は、上述した顔料および接着剤を含むものである。顔料および接着剤は、例えば、水媒体中で分散・混合して調製される。塗被液中には、必要に応じて、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、着色剤等の各種助剤も添加してもよい。
塗被液の塗被量は、塗被紙の目的の品質に応じて選択される。原紙坪量が70g/mの場合を例にとると、片面あたりの乾燥塗工量を4〜15g/m程度とすれば、充分な被覆性と、所望の平滑度および印刷光沢度を得ることができる。
【0037】
塗被液を原紙に塗被する塗被装置としては、例えば、ゲートロールやシムサイザーやサイズプレスコータなどの各種サイズプレス機およびロールコーターや、ブレードコータ、バーコータ、ロッドコータ、エアナイフコータ、カーテンコータ、リバースロールコーターなどが挙げられる。
塗被液を乾燥させる乾燥装置としては、例えば、加熱シリンダ、加熱熱風エアドライヤ、ガスヒータードライヤ、電気ヒータードライヤ、赤外線ヒータードライヤ等の各種方式のドライヤなどが挙げられ、これらを単独あるいは組み合わせて用いることができる。
【0038】
また、原紙には、塗被液を塗布する前に、澱粉、ポリビニルアルコールなどをあらかじめ予備塗被しておいてもよい。予備塗被装置としては、例えば、2本ロールサイズプレスコーター、ゲートロールコーター、プレメタリングサイズプレスコーターなどが挙げられる。
【0039】
加圧仕上げ処理としては、例えば、チルドカレンダ、ソフトニップカレンダなどのマシンカレンダ処理、スーパーカレンダ処理、マットカレンダ処理、粗面化カレンダ処理等が挙げられる。
塗被紙の加圧仕上げ処理は、パーカープリントサーフ粗さを1.0〜6.0μmの範囲にするカレンダ処理が適用される。
【0040】
パーカープリントサーフ粗さを1.0〜6.0μmの範囲にするカレンダ処理は、表面を過度に平滑化しない条件でのカレンダ処理であり、例えば、線圧(ニップ圧)を低くしたカレンダ処理、ロール間の通紙回数(ニップ数)を少なくしたカレンダ処理、表面が粗いロールを用いたカレンダ処理などの方法が挙げられる。本発明では、加圧処理時に圧力を受けても潰れにくく、さらに平滑化処理条件が弱い場合でも均一で良好な平滑性を得ることができる特定の多孔性填料が含まれるため、低密度と高い印刷適性を両立した白紙光沢度が5〜30%のマット調の艶消し塗被紙を得ることができる。
【0041】
本実施形態の塗被紙の製造方法は、原紙として、上述した特定の多孔性填料を特定範囲含む原紙の少なくとも片面に塗被液を塗布し、塗被層を設け、パーカープリントサーフ粗さが1.0〜6.0μmとなるように調整し、塗被紙を得る方法である。上述したように、原紙に含まれる上記特定の多孔性填料は、圧力がかかっても潰れにくく、印刷時の印圧で均一で良好な平滑性を発現する。このような多孔性填料を含む原紙を用いた上記製造方法によれば、密度が低いにもかかわらず、高い印刷適性を有し、また、表面強度および内部結合強度が高い塗被紙を製造できる。
【実施例】
【0042】
以下に、実施例および比較例を示して、本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。なお、以下の例において、特に断りのない限り、「部」および「%」はそれぞれ「質量部」および「質量%」のことである。
また、以下の例で使用した多孔性填料においては、耐アルカリ性微小粒子含有量、比表面積、細孔径、平均粒子径、を以下のように測定した。
(耐アルカリ性微小粒子含有量)
耐アルカリ性微小粒子含有量は、蛍光X線分析装置(スペクトリス社製PW2404)を用いて測定した値である。
【0043】
(比表面積)
比表面積は、ポロシメーターであるポアサイザ9320((株)島津製作所製)を用いて、細孔形状が幾何学的な円筒であると仮定した場合の全細孔の表面積であり、測定範囲内における圧力と圧入された水銀量の関係から求めた値である。
(細孔径)
細孔径は、ポアサイザ9320((株)島津製作所製)を用いて測定されたメジアン細孔直径である。
(平均粒子径)
平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布計(SALD2000J((株)島津製作所製))を用いて測定された50%体積積算値の粒子径である。また、粒子径の標準偏差はレーザー回折式粒度分布計により求めた粒子径から算出した値である。
【0044】
また、塗被層を構成する顔料の平均粒子径を下記のように測定した。
(沈降法による顔料の平均粒子径の測定)
沈降法による顔料の平均粒子径の測定は、顔料を含む顔料分散液を測定試料とし、セディグラフ5100(マイクロメトリクス社製)を使用し、50累積質量%の平均粒子径(d50 )として測定した。
なお、測定に用いた顔料分散液は、分散剤(ポリアクリル酸ナトリウム)を、顔料100%に対して0.05%添加して得た顔料スラリーを、燐酸塩系分散剤(ナンカリン)の0.1%水溶液により、顔料固形分濃度が約1%になるように希釈することにより調製した。
【0045】
実施例1
(多孔性填料Aの製造)
水263質量部、5%濃度の硫酸ナトリウム水溶液754質量部、Si0濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%ケイ酸ソーダ330質量部を撹拌しながら順次添加した。次に、耐アルカリ性微小粒子として、サンドグラインダにて平均粒子径が0.6μmになるように調整した9.5%濃度の炭酸カルシウムの分散液A(炭酸カルシウム形状は針状)100質量部を温度55℃において撹拌しながら添加した。次に、20%濃度の硫酸74質量部を温度55℃のままで、撹拌しながら添加して1段目の中和を行い、次いで90℃まで昇温し、このままの温度で20%濃度の硫酸をpH6.8となるまで撹拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを200メッシュで篩で分離、ろ過し、多孔性填料スラリーを得た。
多孔性填料スラリーの多孔性填料の平均粒子径および標準偏差を表1に示す。
またろ過・洗浄後のケーキの一部を105℃にて乾燥し、比表面積および細孔径を測定、および、蛍光X線分析装置による耐アルカリ微細粒子含有量の測定に供した。多孔性填料中の比表面積、細孔径、耐アルカリ性微小粒子の含有量を表1に示す。
【0046】
(塗被層用塗被液Aの調製)
顔料として、平均粒子径0.55μmの軽質炭酸カルシウム(商品名:TP−123−CS、奥多摩工業社製)60%、平均粒子径0.4μmの微粒カオリン(商品名:カオグロス、ヒューバー社製:米国)17%、平均粒子径0.5μmのエンジニアードカオリン(商品名:ミラクリプスPG、エンゲルハード)14%、平均粒子径0.46μmのデラミネーテッドカオリンA(コンツアー1500/イメリス社製)5%、平均粒子径1.0μmのサチンホワイト(商品名:サチンホワイトB、白石工業社製)3%、樹脂顔料である中空プラスチックピグメント(商品名:ローペイクHP91、平均粒子径:1μm、空隙率:55%、ローム アンド ハース社製)1.0%からなる顔料スラリーに、顔料100部に対して、酸化澱粉(商品名:王子エースB、王子コーンスターチ社製)5部、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:スマーテックスPA2182−2、日本エイアンドエル社製)15部、および消泡剤、染料などの助剤を添加し、最終的に固形分濃度59%の塗被液を調製した。
【0047】
(印刷用塗被紙の作製)
DDR(ダブル・ディスク・リファイナー)で叩解しCSF(カナダスタンダードフリーネス)370mlに調製した広葉樹クラフトパルプ60質量%、DDRで叩解しCSF430mlに調製した針葉樹クラフトパルプ40質量%を混合調製したパルプスラリーに澱粉1.0部(商品名:エースK、王子コンスターチ社製)、硫酸バンドを0.5部、アルキルケテンダイマー0.03部(商品名:SKS296、荒川化学工業社製)、ポリアクリルアマイド0.5部(商品名:PS1250、荒川化学工業社製)、前記合成多孔性填料A7.0部、軽質炭酸カルシウム(平均粒子径6.1μm)3.0部、歩留向上剤0.03部(商品名:DR−1500、ハイモ社製)となるように添加、ハイブリッドフォーマーにて抄紙して、サイズプレスコーターで澱粉を両面での塗布量が5.0g/mとなるように塗布、乾燥し、オンマシンコーターにて、塗被層用塗被液を片面当たりの乾燥質量が8g/mとなるようにブレードコーターを使用して両面塗被、乾燥を行なって、塗被層を設けた。このようにして得られた塗被紙を、抄紙機に設置された平滑化処理機(ソフトニップカレンダー)で調整、平滑化処理し、パーカープリントサーフ粗さが2.27μmとなる印刷用塗被紙を得た(紙厚み102μm、坪量73.0g/m2)。
【0048】
実施例2
以下の多孔性填料Bを使用し、パーカープリントサーフ粗さが2.10μmとなるよう調整および平滑化処理した以外は実施例1と同様にして印刷用塗被紙を得た(紙厚み102μm、坪量74.2g/m2)。
(多孔質填料Bの製造)
水831質量部、5%濃度の硫酸ナトリウム水溶液161質量部、SiO濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%のケイ酸ソーダ330質量部を攪拌しながら添加した。次に、耐アルカリ性微小粒子として、サンドグラインダにて平均粒子径が0.6μmになるように調整した9.5%濃度の炭酸カルシウム分散液A100質量部を温度50℃において、攪拌しながら添加した。次に、20%濃度の硫酸74質量部を温度50℃のままで、攪拌しながら添加して1段目の中和を行い、次いで90℃まで昇温し、このままの温度で20%濃度の硫酸をpHが6.8となるまで攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを、200メッシュ篩で分離、ろ過し、多孔性填料スラリーを得た。
多孔性填料スラリーの多孔性填料の平均粒子径および標準偏差を表1に示す。
また、ろ過・洗浄後のケーキの一部を105℃にて乾燥し、比表面積および細孔径を測定し、また、蛍光X線分析装置による耐アルカリ微細粒子含有量の測定に供した。多孔性填料中の比表面積、細孔径、耐アルカリ性微小粒子の含有量を表1に示す。
【0049】
実施例3
以下の多孔性填料Cを使用し、パーカープリントサーフ粗さが2.06μmとなるよう調整および平滑化処理した以外は実施例1と同様にして印刷用塗被紙を得た(紙厚み102μm、坪量75.1g/m2)。
(多孔質填料Cの合成)
水286質量部、5%濃度の硫酸ナトリウム水溶液725質量部、SiO濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%のケイ酸ソーダ330質量部を攪拌しながら添加した。次に、耐アルカリ性微小粒子として、サンドグラインダにて平均粒子径が0.6μmになるように調整した9.5%濃度の炭酸カルシウム分散液A100質量部を温度50℃において、攪拌しながら添加した。
次に、20%濃度の硫酸79.2質量部を温度50℃のままで、攪拌しながら添加して1段目の中和を行い、次いで90℃まで昇温し、このままの温度で20%濃度の硫酸をpHが6.8となるまで攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを、200メッシュ篩で分離、ろ過し、多孔性填料スラリーを得た。
多孔性填料スラリーの多孔性填料の平均粒子径および標準偏差を表1に示す。
また、ろ過・洗浄後のケーキの一部を105℃にて乾燥し、比表面積および細孔径を測定し、また、蛍光X線分析装置による耐アルカリ微細粒子含有量の測定に供した。多孔性填料中の比表面積、細孔径、耐アルカリ性微小粒子の含有量を表1に示す。
【0050】
実施例4
DDRで叩解しCSF370mlに調製した広葉樹クラフトパルプ60質量%、DDRで叩解しCSF430mlに調製した針葉樹クラフトパルプ40質量%を混合調製したパルプスラリーに澱粉1.0部(商品名:エースK、王子コンスターチ社製)、硫酸バンドを0.5部、アルキルケテンダイマー0.03部(商品名:SKS296、荒川化学工業社製)、ポリアクリルアマイド0.5部(商品名:PS1250、荒川化学工業社製)、多孔性填料A1.8部、軽質炭酸カルシウム(平均粒子径6.1μm)8.2部、歩留向上剤0.03部(商品名:DR−1500、ハイモ社製)となるように添加、ハイブリッドフォーマーで抄紙して、サイズプレスコーターで澱粉を両面での塗布量が5.0g/mとなるように塗布、乾燥し、オンマシンコーターにて、塗被層用塗被液Aを片面当たりの乾燥質量が8g/mとなるようにブレードコーターを使用して両面塗被、乾燥を行なって、塗被層を設けた。このようにして得られた塗被紙を、抄紙機に設置された平滑化処理機(ソフトニップカレンダー)で平滑化処理し、パーカープリントサーフ粗さが2.03μmとなるよう調整および平滑化処理した以外は実施例1と同様にして印刷用塗被紙を得た(紙厚み102μm、坪量79.4g/m2)。
【0051】
実施例5
DDRで叩解しCSF370mlに調製した広葉樹クラフトパルプ47質量%、DDRで叩解しCSF430mlに調製した針葉樹クラフトパルプ53質量%を混合調製したパルプスラリーに澱粉1.0部(商品名:エースK、王子コンスターチ社製)、硫酸バンドを0.5部、アルキルケテンダイマー0.03部(商品名:SKS296、荒川化学工業社製)、ポリアクリルアマイド1.0部(商品名:PS1280、荒川化学工業社製)、多孔性填料A20部、歩留向上剤0.03部(商品名:DR−1500、ハイモ社製)となるように添加、ハイブリッドフォーマーで抄紙して、サイズプレスコーターで澱粉を両面での塗布量が5.0g/mとなるように塗布、乾燥し、オンマシンコーターにて、塗被層用塗被液Aを片面当たりの乾燥質量が8g/mとなるようにブレードコーターを使用して両面塗被、乾燥を行なって、塗被層を設けた。このようにして得られた塗被紙を、抄紙機に設置された平滑化処理機(ソフトニップカレンダー)で平滑化処理し、パーカープリントサーフ粗さが2.35μmとなるよう調整および平滑化処理した以外は実施例1と同様にして印刷用塗被紙を得た(紙厚み102μm、坪量65.2g/m2)。
【0052】
実施例6
(原紙と接する下塗り塗被層用塗被液Bの調製)
顔料として、平均粒子径0.8μmの重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブ90、備北粉化工業社製)100%からなる顔料スラリーに、顔料100部に対して、酸化澱粉(商品名:王子エースB、王子コーンスターチ社製)5部、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:スマーテックスPA2182−2、日本エイアンドエル社製)9部、および消泡剤、染料などの助剤を添加し、最終的に固形分濃度59%の塗被液を調製した。
【0053】
(最外塗被層用塗被液Cの調製)
顔料として、平均粒子径0.55μmの軽質炭酸カルシウム(商品名:TP−123−CS、奥多摩工業社製)55%、平均粒子径0.4μmの微粒カオリン(商品名:カオグロス、ヒューバー社製:米国)9%、平均粒子径0.3μmのNo2カオリン(商品名:HT、エンゲルハード)35%、樹脂顔料である中空プラスチックピグメント(商品名:ローペイクHP91、平均粒子径:1μm、空隙率:55%、ローム アンド ハース社製)1.0%からなる顔料スラリーに、顔料100部に対して、酸化澱粉(商品名:王子エースB、王子コーンスターチ社製)3部、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:スマーテックスPA2182−2、日本エイアンドエル社製)10部、および消泡剤、染料などの助剤を添加し、最終的に固形分濃度59%の塗被液を調製した。
(印刷用塗被紙の作製)
DDRで叩解しCSF370mlに調製した広葉樹クラフトパルプ60質量%、DDRで叩解しCSF430mlに調製した針葉樹クラフトパルプ40質量%を混合調製したパルプスラリーに澱粉1.0部(商品名:エースK、王子コンスターチ社製)、硫酸バンドを0.5部、アルキルケテンダイマー0.03部(商品名:SKS296、荒川化学工業社製)、ポリアクリルアマイド0.5部(商品名:PS1250、荒川化学工業社製)、上記合成多孔性填料A7.0部、軽質炭酸カルシウム(平均粒子径6.1μm)3.0部、歩留向上剤0.03部(商品名:DR−1500、ハイモ社製)となるように添加、ハイブリッドフォーマーで抄紙して、サイズプレスコーターで澱粉を両面での塗布量が3.2g/mとなるように塗布し、抄紙機に設置された平滑化処理機(ソフトニップカレンダー)で平滑化処理し、原紙を製造した。
上記原紙の上に、前記下塗り塗被層用塗被液Bを片面当たりの乾燥質量が6g/mとなるようにブレードコーターを使用して両面塗被、乾燥を行なって、下塗り塗被層を設けた。次いで、上記最外塗被層用塗被液Cを片面当たりの乾燥質量が7g/mとなるようにブレードコーターを使用して両面塗被、乾燥を行なって、最外塗被層を設けた。このようにして得られた塗被紙を、スーパーカレンダ条件を調整、通紙して、パーカープリントサーフ粗さが1.32μmとなる印刷用塗被紙を得た(紙厚み102μm、坪量79.1g/m2)。
【0054】
実施例7
以下の多孔性填料Dを使用し、パーカープリントサーフ粗さが2.02μmとなるよう調整および平滑化処理した以外は実施例1と同様にして印刷用塗被紙を得た(紙厚み102μm、坪量78.1g/m2)。
(多孔質填料Dの合成)
水162質量部、5%濃度の硫酸ナトリウム水溶液851質量部、SiO濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%のケイ酸ソーダ104質量部を攪拌しながら添加した。次に、耐アルカリ性微小粒子として、サンドグラインダにて平均粒子径が0.6μmになるように調整した50.0%濃度の炭酸カルシウム分散液B(炭酸カルシウム形状は針状)46.8質量部を温度50℃において、攪拌しながら添加した。次に、20%濃度の硫酸18質量部を温度50℃のままで、攪拌しながら添加して1段目の中和を行い、次いで90℃まで昇温し、このままの温度で20%濃度の硫酸をpHが9.0となるまで攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを、200メッシュ篩で分離、ろ過し、多孔性填料スラリーを得た。
多孔性填料スラリーの多孔性填料の平均粒子径および標準偏差を表1に示す。
また、ろ過・洗浄後のケーキの一部を105℃にて乾燥し、比表面積および細孔径を測定し、また、蛍光X線分析装置による耐アルカリ微細粒子含有量の測定に供した。多孔性填料中の比表面積、細孔径、耐アルカリ性微小粒子の含有量を表1に示す。
【0055】
実施例8
以下の多孔性填料Eを使用し、パーカープリントサーフ粗さが2.01μmとなるよう調整および平滑化処理した以外は実施例1と同様にして印刷用塗被紙を得た(紙厚み102μm、坪量76.4g/m2)。
(多孔質填料Eの合成)
水195質量部、5%濃度の硫酸ナトリウム水溶液636質量部、SiO濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%のケイ酸ソーダ208質量部を攪拌しながら添加した。次に、耐アルカリ性微小粒子として、サンドグラインダにて平均粒子径が0.6μmになるように調製した50%濃度の炭酸カルシウム分散液B46.8質量部を温度50℃において、攪拌しながら添加した。次に、20%濃度の硫酸43.8質量部を温度50℃のままで、攪拌しながら添加して1段目の中和を行い、次いで90℃まで昇温し、このままの温度で20%濃度の硫酸をpHが6.8となるまで攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを、200メッシュ篩で分離、ろ過し、多孔性填料スラリーを得た。
多孔性填料スラリーの多孔性填料の平均粒子径および標準偏差を表1に示す。
また、ろ過・洗浄後のケーキの一部を105℃にて乾燥し、比表面積および細孔径を測定し、また、蛍光X線分析装置による耐アルカリ微細粒子含有量の測定に供した。多孔性填料中の比表面積、細孔径、耐アルカリ性微小粒子の含有量を表1に示す。
【0056】
実施例9
以下の多孔性填料Fを使用し、パーカープリントサーフ粗さが2.06μmとなるよう調整および平滑化処理した以外は実施例1と同様にして印刷用塗被紙を得た(紙厚み102μm、坪量75.0g/m2)。
(多孔質填料Fの合成)
水138質量部、5%濃度の硫酸ナトリウム水溶液904質量部、SiO濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%のケイ酸ソーダ330質量部を攪拌しながら添加した。次に、耐アルカリ性微小粒子として、サンドグラインダにて平均粒子径が0.6μmになるように調製した50.0%濃度の炭酸カルシウム分散液B76質量部を温度50℃において、攪拌しながら添加した。次に、20%濃度の硫酸76.8質量部を温度50℃のままで、攪拌しながら添加して1段目の中和を行い、次いで90℃まで昇温し、このままの温度で20%濃度の硫酸をpHが6.8となるまで攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを、200メッシュ篩で分離、ろ過し、多孔性填料スラリーを得た。
多孔性填料スラリーの多孔性填料の平均粒子径および標準偏差を表1に示す。
また、ろ過・洗浄後のケーキの一部を105℃にて乾燥し、比表面積および細孔径を測定し、また、蛍光X線分析装置による耐アルカリ微細粒子含有量の測定に供した。多孔性填料中の比表面積、細孔径、耐アルカリ性微小粒子の含有量を表1に示す。
【0057】
実施例10
以下の多孔性填料Gを使用し、パーカープリントサーフ粗さが2.04μmとなるよう調整および平滑化処理した以外は実施例1と同様にして印刷用塗被紙を得た(紙厚み102μm、坪量77.1g/m2)。
(多孔質填料Gの合成)
水310質量部、5%濃度の硫酸ナトリウム696質量部、SiO濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%のケイ酸ソーダ330質量部を攪拌しながら添加した。次に、耐アルカリ性微小粒子として、サンドグラインダにて平均粒子径が0.6μmになるように調整した9.5%濃度の炭酸カルシウム分散液A100質量部を温度50℃において、攪拌しながら添加した。次に、20%濃度の硫酸84.2質量部を温度50℃のままで、攪拌しながら添加して1段目の中和を行い、次いで90℃まで昇温し、このままの温度で20%濃度の硫酸をpHが6.8となるまで攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを、200メッシュ篩で分離、ろ過し、多孔性填料スラリーを得た。
多孔性填料スラリーの多孔性填料の平均粒子径および標準偏差を表1に示す。
また、ろ過・洗浄後のケーキの一部を105℃にて乾燥し、比表面積および細孔径を測定し、また、蛍光X線分析装置による耐アルカリ微細粒子含有量の測定に供した。多孔性填料中の比表面積、細孔径、耐アルカリ性微小粒子の含有量を表1に示す。
【0058】
実施例11
(塗被層用塗被液Dの調製)
顔料として、平均粒子径0.55μmの軽質炭酸カルシウム(商品名:TP−123−CS、奥多摩工業社製)43%、平均粒子径0.4μmの微粒カオリン(商品名:カオグロス、ヒューバー社製:米国)17%、平均粒子径0.5μmのエンジニアードカオリン(商品名:ミラクリプスPG、エンゲルハード)28%、平均粒子径0.46μmのデラミネーテッドカオリンA(コンツアー1500/イメリス社製)12%からなる顔料スラリーに、顔料100部に対して、酸化澱粉(商品名:王子エースB、王子コーンスターチ社製)5部、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:スマーテックスPA2182−2、日本エイアンドエル社製)20部、および消泡剤、染料などの助剤を添加し、最終的に固形分濃度59%の塗被液を調製した。
【0059】
(印刷用塗被紙の作製)
DDRで叩解しCSF370mlに調製した広葉樹クラフトパルプ60質量%、DDRで叩解しCSF430mlに調製した針葉樹クラフトパルプ40質量%を混合調製したパルプスラリーに澱粉1.0部(商品名:エースK、王子コンスターチ社製)、硫酸バンドを0.5部、アルキルケテンダイマー0.03部(商品名:SKS296、荒川化学工業社製)、ポリアクリルアマイド0.5部(商品名:PS1250、荒川化学工業社製)、前記合成多孔性填料A7.0部、軽質炭酸カルシウム(平均粒子径6.1μm)3.0部、歩留向上剤0.03部(商品名:DR−1500、ハイモ社製)となるように添加、ハイブリッドフォーマーにて抄紙して、サイズプレスコーターで澱粉を両面での塗布量が4.0g/mとなるように塗布、乾燥し、オンマシンコーターにて、塗被層用塗被液を片面当たりの乾燥質量が5.0g/mとなるようにゲートロールコーターを使用して両面塗被、乾燥を行なって、塗被層を設けた。このようにして得られた塗被紙を、抄紙機に設置された平滑化処理機(ソフトニップカレンダー)で調整、平滑化処理し、パーカープリントサーフ粗さが4.85μmとなる印刷用塗被紙を得た(紙厚み102μm、坪量70.3g/m2)。
【0060】
実施例12
以下の多孔性填料Hを使用し、パーカープリントサーフ粗さが2.11μmとなるよう調整および平滑化処理した以外は実施例1と同様にして印刷用塗被紙を得た(紙厚み102μm、坪量73.0g/m2)。
(多孔性填料Hの製造)
水263質量部、5%濃度の硫酸ナトリウム水溶液754質量部、Si0濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%ケイ酸ソーダ330質量部を撹拌しながら順次添加した。次に、耐アルカリ性微小粒子として、平均粒子径が0.8μmである9.5%濃度の微粒カオリン(MGJ、エンゲルハード製)分散液C100質量部を温度55℃において撹拌しながら添加した。次に、20%濃度の硫酸74質量部を温度55℃のままで、撹拌しながら添加して1段目の中和を行い、次いで90℃まで昇温し、このままの温度で20%濃度の硫酸をpH6.8となるまで撹拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを200メッシュ篩で分離、ろ過し、多孔性填料スラリーを得た。
多孔性填料スラリーの多孔性填料の平均粒子径および標準偏差を表1に示す。
またろ過・洗浄後のケーキの一部を105℃にて乾燥し、比表面積および細孔径を測定、および、蛍光X線分析装置による耐アルカリ微細粒子含有量の測定に供した。多孔性填料中の比表面積、細孔径、耐アルカリ性微小粒子の含有量を表1に示す。
【0061】
実施例13
以下の多孔性填料Iを使用し、パーカープリントサーフ粗さが2.15μmとなるよう調整および平滑化処理した以外は実施例1と同様にして印刷用塗被紙を得た(紙厚み102μm、坪量73.0g/m2)。
(多孔性填料Iの製造)
水263質量部、5%濃度の硫酸ナトリウム水溶液754質量部、Si0濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%ケイ酸ソーダ330質量部を撹拌しながら順次添加した。次に、耐アルカリ性微小粒子として、平均粒子径が1.2μmである9.5%濃度の重質炭酸カルシウム(FMT−90、ファイマテック製)分散液D100質量部を温度55℃において撹拌しながら添加した。次に、20%濃度の硫酸74質量部を温度55℃のままで、撹拌しながら添加して1段目の中和を行い、次いで90℃まで昇温し、このままの温度で20%濃度の硫酸をpH6.8となるまで撹拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを200メッシュ篩で分離、ろ過し、多孔性填料スラリーを得た。
多孔性填料スラリーの多孔性填料の平均粒子径および標準偏差を表1に示す。
またろ過・洗浄後のケーキの一部を105℃にて乾燥し、比表面積および細孔径を測定、および、蛍光X線分析装置による耐アルカリ微細粒子含有量の測定に供した。多孔性填料中の比表面積、細孔径、耐アルカリ性微小粒子の含有量を表1に示す。
【0062】
実施例14
以下の多孔性填料Jを使用し、パーカープリントサーフ粗さが2.17μmとなるよう調整および平滑化処理した以外は実施例1と同様にして印刷用塗被紙を得た(紙厚み102μm、坪量73.0g/m2)。
(多孔性填料Jの製造)
水263質量部、5%濃度の硫酸ナトリウム水溶液754質量部、Si0濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%ケイ酸ソーダ330質量部を撹拌しながら順次添加した。次に、耐アルカリ性微小粒子として、平均粒子径が1.2μmである9.5%濃度のタルク(タルクB、日本タルク製)分散液E100質量部を温度55℃において撹拌しながら添加した。次に、20%濃度の硫酸74質量部を温度55℃のままで、撹拌しながら添加して1段目の中和を行い、次いで90℃まで昇温し、このままの温度で20%濃度の硫酸をpH6.8となるまで撹拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを200メッシュ篩で分離、ろ過し、多孔性填料スラリーを得た。
多孔性填料スラリーの多孔性填料の平均粒子径および標準偏差を表1に示す。
またろ過・洗浄後のケーキの一部を105℃にて乾燥し、比表面積および細孔径を測定、および、蛍光X線分析装置による耐アルカリ微細粒子含有量の測定に供した。多孔性填料中の比表面積、細孔径、耐アルカリ性微小粒子の含有量を表1に示す。
【0063】
実施例15
DDRで叩解しCSF370mlに調製した広葉樹クラフトパルプ30質量%、DDRで叩解しCSF390mlに調製した針葉樹クラフトパルプ30質量%、DDRで叩解しCSF200mlに調製したBCTMP20質量%、CSF270mlに調製したDIP(上白古紙)20質量%、を混合調製したパルプスラリーに澱粉1.0部(商品名:エースK、王子コンスターチ社製)、硫酸バンドを0.5部、アルキルケテンダイマー0.03部(商品名:SKS296、荒川化学工業社製)、ポリアクリルアマイド0.8部(商品名:PS1280、荒川化学工業社製)、前記合成多孔性填料A7.0部、軽質炭酸カルシウム(平均粒子径6.1μm)3.0部、歩留向上剤0.03部(商品名:DR−1500、ハイモ社製)となるように添加、ハイブリッドフォーマーにて抄紙して、サイズプレスコーターで澱粉を両面での塗布量が4.0g/mとなるように塗布、乾燥し、オンマシンコーターにて、塗被層用塗被液Dを片面当たりの乾燥質量が5.0g/mとなるようにゲートロールコーターを使用して両面塗被、乾燥を行なって、塗被層を設けた。このようにして得られた塗被紙を、抄紙機に設置された平滑化処理機(ソフトニップカレンダー)で、紙厚み102μm、パーカープリントサーフ粗さが5.11μmとなるよう調整および平滑化処理して印刷用塗被紙を得た(紙厚み102μm、坪量66.8g/m2)。
【0064】
実施例16
以下の多孔性填料Kを使用し、パーカープリントサーフ粗さが2.06μmとなるよう調整および平滑化処理した以外は実施例1と同様にして印刷用塗被紙を得た(紙厚み102μm、坪量76.0g/m2)。
(多孔性填料Kの製造)
水470質量部、5%濃度の硫酸ナトリウム水溶液455質量部、Si0濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%ケイ酸ソーダ330質量部を撹拌しながら順次添加した。次に、耐アルカリ性微小粒子として、サンドグラインダにて平均粒子径が0.6μmになるように調製した9.5%濃度の炭酸カルシウムの分散液A100質量部を温度50℃において撹拌しながら添加した。次に、20%濃度の硫酸99質量部を温度50℃のままで、撹拌しながら添加して1段目の中和を行い、次いで90℃まで昇温し、このままの温度で20%濃度の硫酸をpH6.8となるまで撹拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを200メッシュ篩で分離、ろ過し、多孔性填料スラリーを得た。
多孔性填料スラリーの多孔性填料の平均粒子径および標準偏差を表1に示す。
またろ過・洗浄後のケーキの一部を105℃にて乾燥し、比表面積および細孔径を測定、および、蛍光X線分析装置による耐アルカリ微細粒子含有量の測定に供した。多孔性填料中の比表面積、細孔径、耐アルカリ性微小粒子の含有量を表1に示す。
【0065】
実施例17
以下の多孔性填料Pを使用し、パーカープリントサーフ粗さが2.07μmとなるよう調整および平滑化処理した以外は実施例1と同様にして印刷用塗被紙を得た(紙厚み102μm、坪量74.0g/m2)。
(多孔性填料Pの製造)
水115質量部、5%濃度の硫酸ナトリウム水溶液836質量部、Si0濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%ケイ酸ソーダ330質量部を撹拌しながら順次添加した。次に、耐アルカリ性微小粒子として、サンドグラインダにて平均粒子径が0.6μmになるように調製した9.5%濃度の炭酸カルシウムの分散液A250質量部を温度50℃において撹拌しながら添加した。次に、20%濃度の硫酸69.3質量部を温度50℃のままで、撹拌しながら添加して1段目の中和を行い、次いで90℃まで昇温し、このままの温度で20%濃度の硫酸をpH6.8となるまで撹拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを200メッシュ篩で分離、ろ過し、多孔性填料スラリーを得た。
多孔性填料スラリーの多孔性填料の平均粒子径および標準偏差を表1に示す。
またろ過・洗浄後のケーキの一部を105℃にて乾燥し、比表面積および細孔径を測定、および、蛍光X線分析装置による耐アルカリ微細粒子含有量の測定に供した。多孔性填料中の比表面積、細孔径、耐アルカリ性微小粒子の含有量を表1に示す。
【0066】
実施例18
以下の多孔性填料Qを使用し、パーカープリントサーフ粗さが2.07μmとなるよう調整および平滑化処理した以外は実施例1と同様にして印刷用塗被紙を得た(紙厚み102μm、坪量77.5g/m2)。
(多孔性填料Qの製造)
水557質量部、5%濃度の硫酸ナトリウム水溶液479質量部、Si0濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%ケイ酸ソーダ330質量部を撹拌しながら順次添加した。次に、耐アルカリ性微小粒子として、サンドグラインダにて平均粒子径が0.6μmになるように調製した9.5%濃度の炭酸カルシウムの分散液A0.8質量部を温度50℃において撹拌しながら添加した。次に、20%濃度の硫酸76.8質量部を温度50℃のままで、撹拌しながら添加して1段目の中和を行い、次いで90℃まで昇温し、このままの温度で20%濃度の硫酸をpH6.8となるまで撹拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを200メッシュ篩で分離、ろ過し、多孔性填料スラリーを得た。
多孔性填料スラリーの多孔性填料の平均粒子径および標準偏差を表1に示す。
またろ過・洗浄後のケーキの一部を105℃にて乾燥し、比表面積および細孔径を測定、および、蛍光X線分析装置による耐アルカリ微細粒子含有量の測定に供した。多孔性填料中の比表面積、細孔径、耐アルカリ性微小粒子の含有量を表1に示す。
【0067】
比較例1
以下の多孔性填料Lを使用し、パーカープリントサーフ粗さが2.05μmとなるよう調整および平滑化処理した以外は実施例1と同様にして印刷用塗被紙を得た(紙厚み102μm、坪量81.0g/m2)。
(多孔質填料Lの合成)
水346質量部、10%濃度の硫酸ナトリウム水溶液483質量部、SiO濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%のケイ酸ソーダ174質量部を攪拌しながら添加した。次に、耐アルカリ性微小粒子として、サンドグラインダにて平均粒子径が0.6μmになるように調整した50.0%濃度の炭酸カルシウム分散液B55質量部を温度50℃において、攪拌しながら添加した。次に、20%濃度の硫酸19.5質量部を温度50℃のままで、攪拌しながら添加して1段目の中和を行い、次いで90℃まで昇温し、このままの温度で20%濃度の硫酸をpHが9.0となるまで攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを、200メッシュ篩で分離、ろ過し、多孔性填料スラリーを得た。
多孔性填料スラリーの多孔性填料の平均粒子径および標準偏差を表2に示す。
また、ろ過・洗浄後のケーキの一部を105℃にて乾燥し、比表面積および細孔径を測定し、また、蛍光X線分析装置による耐アルカリ微細粒子含有量の測定に供した。多孔性填料中の比表面積、細孔径、耐アルカリ性微小粒子の含有量を表2に示す。
【0068】
比較例2
以下の多孔性填料Mを使用し、パーカープリントサーフ粗さが2.02μmとなるよう調整および平滑化処理した以外は実施例1と同様にして印刷用塗被紙を得た(紙厚み102μm、坪量82.0g/m2)。
(多孔質填料Mの合成)
水103質量部、5%濃度の硫酸ナトリウム388質量部、SiO濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%のケイ酸ソーダ243質量部を攪拌しながら添加した。次に、耐アルカリ性微小粒子として、炭酸カルシウム分散液A295質量%を温度50℃において、攪拌しながら添加した。次に、20%濃度の硫酸64質量部を温度50℃のままで、攪拌しながら添加して1段目の中和を行い、次いで90℃まで昇温し、このままの温度で20%濃度の硫酸をpHが8.0となるまで攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを、200メッシュ篩で分離、ろ過し、多孔性填料スラリーを得た。
多孔性填料スラリーの多孔性填料の平均粒子径および標準偏差を表2に示す。
また、ろ過・洗浄後のケーキの一部を105℃にて乾燥し、比表面積および細孔径を測定し、また、蛍光X線分析装置による耐アルカリ微細粒子含有量の測定に供した。多孔性填料中の比表面積、細孔径、耐アルカリ性微小粒子の含有量を表2に示す。
【0069】
比較例3
以下の多孔性填料Nを使用し、パーカープリントサーフ粗さが2.00μmとなるよう調整および平滑化処理した以外は実施例1と同様にして印刷用塗被紙を得た(紙厚み102μm、坪量82.0g/m2)。
(多孔質填料Nの合成)
水417質量部、5%濃度の硫酸ナトリウム393質量部、SiO濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%のケイ酸ソーダ330質量部を攪拌しながら添加した。次に、耐アルカリ性微小粒子として、炭酸カルシウム分散液A100質量部を温度40℃において、攪拌しながら添加した。次に、20%濃度の硫酸94質量部を温度40℃のままで、攪拌しながら添加して1段目の中和を行い、次いで90℃まで昇温し、このままの温度で20%濃度の硫酸をpHが6.8となるまで攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを、200メッシュ篩で分離、ろ過し、多孔性填料スラリーを得た。
多孔性填料スラリーの多孔性填料の平均粒子径および標準偏差を表2に示す。
また、ろ過・洗浄後のケーキの一部を105℃にて乾燥し、比表面積および細孔径を測定し、また、蛍光X線分析装置による耐アルカリ微細粒子含有量の測定に供した。多孔性填料中の比表面積、細孔径、耐アルカリ性微小粒子の含有量を表2に示す。
【0070】
比較例4
以下の多孔性填料Oを使用し、パーカープリントサーフ粗さが2.00μmとなるよう調整および平滑化処理した以外は実施例1と同様にして印刷用塗被紙を得た(紙厚み102μm、坪量80.8g/m2)。
(多孔質填料Oの合成)
5%濃度の硫酸ナトリウム564質量部、SiO濃度28.8wt/wt%/NaO濃度9.5wt/wt%のケイ酸ソーダ330質量部を攪拌しながら添加した。次に、耐アルカリ性微小粒子として、炭酸カルシウム分散液A110質量部を温度70℃において、攪拌しながら添加した。次に、20%濃度の硫酸62質量部を温度70℃のままで、攪拌しながら添加して1段目の中和を行い、次いで90℃まで昇温し、このままの温度で20%濃度の硫酸をpHが6.8となるまで攪拌しながら添加して2段目の中和を行った。次に上述で得たスラリーを、200メッシュ篩で分離、ろ過し、多孔性填料スラリーを得た。
多孔性填料スラリーの多孔性填料の平均粒子径および標準偏差を表2に示す。
また、ろ過・洗浄後のケーキの一部を105℃にて乾燥し、比表面積および細孔径を測定し、また、蛍光X線分析装置による耐アルカリ微細粒子含有量の測定に供した。多孔性填料中の比表面積、細孔径、耐アルカリ性微小粒子の含有量を表2に示す。
【0071】
比較例5
DDRで叩解しCSF370mlに調製した広葉樹クラフトパルプ60質量%、DDRで叩解しCSF430mlに調製した針葉樹クラフトパルプ40質量%を混合調製したパルプスラリーに澱粉1.0部(商品名:エースK、王子コンスターチ社製)、硫酸バンドを0.5部、アルキルケテンダイマー0.03部(商品名:SKS296、荒川化学工業社製)、ポリアクリルアマイド0.5部(商品名:PS1250、荒川化学工業社製)、前記多孔性填料A0.8部、軽質炭酸カルシウム(平均粒子径6.1μm)9.2部、歩留向上剤0.03部(商品名:DR−1500、ハイモ社製)となるように添加、ハイブリッドフォーマーにて抄紙し、て、サイズプレスコーターで澱粉を両面での塗布量が5.0g/mとなるように塗布、乾燥し、オンマシンコーターにて、塗被層用塗被液Aを片面当たりの乾燥質量が8g/mとなるようにブレードコーターを使用して両面塗被、乾燥を行なって、塗被層を設けた。このようにして得られた塗被紙を、抄紙機に設置された平滑化処理機(ソフトニップカレンダー)で、パーカープリントサーフ粗さが2.02μmとなるよう調整および平滑化処理した以外は実施例1と同様にして印刷用塗被紙を得た(紙厚み102μm、坪量88.7g/m2)。
【0072】
比較例6
DDRで叩解しCSF370mlに調製した広葉樹クラフトパルプ60質量%、DDRで叩解しCSF430mlに調製した針葉樹クラフトパルプ40質量%を混合調製したパルプスラリーに澱粉1.0部(商品名:エースK、王子コンスターチ社製)、硫酸バンドを0.5部、アルキルケテンダイマー0.03部(商品名:SKS296、荒川化学工業社製)、ポリアクリルアマイド0.5部(商品名:PS1250、荒川化学工業社製)、多孔性填料A35部、歩留向上剤0.03部(商品名:DR−1500、ハイモ社製)となるように添加、ハイブリッドフォーマーにて抄紙して、サイズプレスコーターで澱粉を両面での塗布量が5.0g/mとなるように塗布、乾燥し、オンマシンコーターにて、塗被層用塗被液Aを片面当たりの乾燥質量が8g/mとなるようにブレードコーターを使用して両面塗被、乾燥を行なって、塗被層を設けた。このようにして得られた塗被紙を、抄紙機に設置された平滑化処理機(ソフトニップカレンダ)で調整、平滑化処理し、パーカープリントサーフ粗さが2.41μmとなるよう調整および平滑化処理した以外は実施例1と同様にして印刷用塗被紙を得た(紙厚み102μm、坪量59.9g/m2)。
【0073】
比較例7
DDRで叩解しCSF370mlに調製した広葉樹クラフトパルプ60質量%、DDRで叩解しCSF430mlに調製した針葉樹クラフトパルプ40質量%を混合調製したパルプスラリーに澱粉1.0部(商品名:エースK、王子コンスターチ社製)、硫酸バンドを0.5部、アルキルケテンダイマー0.03部(商品名:SKS296、荒川化学工業社製)、ポリアクリルアマイド0.5部(商品名:PS1250、荒川化学工業社製)、前記多孔性填料A3.0部、歩留向上剤0.03部(商品名:DR−1500、ハイモ社製)となるように添加、ハイブリッドフォーマーにて抄紙して、サイズプレスコーターで澱粉を両面での塗布量が5.0g/mとなるように塗布、乾燥し、オンマシンコーターにて、塗被層用塗被液Aを片面当たりの乾燥質量が8g/mとなるようにブレードコーターを使用して両面塗被、乾燥を行なって、塗被層を設けた。このようにして得られた塗被紙を、抄紙機に設置された平滑化処理機(ソフトニップカレンダ)で調整、平滑化処理し、パーカープリントサーフ粗さが0.70μmとなるよう調整および平滑化処理した以外は実施例1と同様にして印刷用塗被紙を得た(紙厚み102μm、坪量87.7g/m2)。
【0074】
比較例8
DDRで叩解しCSF370mlに調製した広葉樹クラフトパルプ60質量%、DDRで叩解しCSF430mlに調製した針葉樹クラフトパルプ40質量%を混合調製したパルプスラリーに澱粉1.0部(商品名:エースK、王子コンスターチ社製)、硫酸バンドを0.5部、アルキルケテンダイマー0.03部(商品名:SKS296、荒川化学工業社製)、ポリアクリルアマイド0.5部(商品名:PS1250、荒川化学工業社製)、前記多孔性填料A7.0部、歩留向上剤0.03部(商品名:DR−1500、ハイモ社製)となるように添加、ハイブリッドフォーマーにて抄紙して、サイズプレスコーターで澱粉を両面での塗布量が5.0g/mとなるように塗布、乾燥し、オンマシンコーターにて、塗被層用塗被液Aを片面当たりの乾燥質量が8g/mとなるようにブレードコーターを使用して両面塗被、乾燥を行なって、塗被層を設けた。このようにして得られた塗被紙を、抄紙機に設置された平滑化処理機(ソフトニップカレンダ)で調整、平滑化処理し、パーカープリントサーフ粗さが6.50μmとなるよう調整および平滑化処理した以外は実施例1と同様にして印刷用塗被紙を得た(紙厚み102μm、坪量71.8g/m2)。
【0075】
各実施例および比較例で得られた艶消し塗被紙について、以下に示す密度、白紙光沢度、印刷適性、平滑度、内部結合強度、表面強度、白紙不透明度、を評価した。その結果を表1、2に示す。なお本発明における印刷用塗被紙の測定および評価については、特に記載ない限り、23℃、50℃RH%の環境下で行った。
(密度)
JIS P 8118−1998に従って測定した。
(白紙光沢度)
JIS P 8142に準じて両面を測定し、その平均を求めた。
(平滑度)
ISO 8791−4(1992)に準拠してパーカープリントサーフ表面平滑度試験機(メズマー社製)を使用し、バッキングにラバー(ソフトタイプ)を用いて、クランピング圧を1MPaとして平滑度(μm)を測定した。測定値が小さいほど平滑性が高いことを示す。
(印刷適性):インキ着肉性、および印刷平滑性
RI印刷機にて、印刷インキ(Values−Gタイプ、大日本インキ化学工業社製)を0.15cc使用して印刷を行い、転写したインキ濃度(インキ着肉性)、およびインキの転写均一性(印刷平滑性)を総合的に目視で観察して評価した。
<評価基準>
5(優)−1(劣)
なお、評価が3未満のものは、実用上問題がある。
(内部結合強度)
J.Tappiパルプ試験方法18−2のインターナルボンドテスト法に準じて測定を実施した。
(表面強度)
RI印刷試験機にて、印刷インキ(紙試験用SD50紅、東洋インキ製造社製)を0.6cm使用して印刷を行い、印刷面のピッキングの程度を目視評価した。
◎:ピッキングが全く発生せず、表面強度が極めて良好であった。
○:ピッキングが僅かに発生しているが、塗被紙としては良好なレベルであった。
△:ピッキングが発生しており、表面強度が低かった。
×:ピッキングが多く発生しており、表面強度が著しく低かった。
(白紙不透明度)
JIS P 8149に準じて測定し、評価は以下基準で行った。
<評価基準>
5(優)−1(劣)
なお、評価が3未満のものは、実用上問題がある。
【0076】
【表1】

【0077】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
原紙と、原紙の少なくとも片面に顔料と接着剤を主成分とする塗被層を1層以上設けてなる印刷用塗被紙であって、原紙には、比表面積が10〜250m2/g、かつ細孔径が0.08〜0.80μmである二酸化ケイ素および/またはケイ酸塩から形成されたケイ素含有粒子と耐アルカリ性微小粒子とを含有した多孔性填料を、紙中填料率として1〜30質量%含有し、パーカープリントサーフ粗さが1.0〜6.0μmであることを特徴とする印刷用塗被紙。
【請求項2】
前記多孔性填料がケイ素含有粒子100質量部に対して0.1〜40質量部の耐アルカリ性微小粒子を含有することを特徴とする請求項1に記載の印刷用塗被紙。
【請求項3】
前記多孔性填料の平均粒子径が40μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷用塗被紙。

【公開番号】特開2008−255552(P2008−255552A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−319071(P2007−319071)
【出願日】平成19年12月11日(2007.12.11)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】