説明

印刷管理装置

【課題】印刷ジョブを構成する工程毎にその工程を実施させる印刷システムを負担なく容易に選択することができる印刷管理装置を提供する。
【解決手段】
印刷管理装置30は、外部ネットワーク500を介して外部印刷システムB200から、その外部印刷システムB200で所定の工程が実施可能か否かを示す実施可能工程情報を自動で取得する。印刷管理装置30は、外部印刷システムB200から取得した実施可能工程情報に基づいて、印刷ジョブの工程毎に、その工程を実施可能な印刷システムを判別して、実施先の印刷システムを選択することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷管理装置に係り、特に、印刷ジョブを印刷システムに実施させる印刷管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像データを印刷する際に用いられる印刷装置が進化しており、様々な機能を備えた印刷装置や大量の印刷を実行可能な大規模な印刷装置が提供されている。しかしながら、印刷会社によっては、設備投資の観点から顧客のニーズに応えるべく多様な印刷装置の種類を備えることが困難となることがある。たとえば、小規模の印刷会社では、大規模な印刷会社と比較して、設備投資に対する予算が厳しく、印刷装置の種類や機能を所定の機能に限定して印刷装置を揃えたり、汎用的な印刷装置のみを揃えることしかできないことがある。
【0003】
そのため、このような小規模の印刷会社では、単純な印刷ジョブの入稿なら受け付けることができるが、複雑な処理が要求される印刷ジョブや大規模な印刷装置のみでしか印刷することができない印刷ジョブについては自社で実施することができなかった。したがって、このような小規模の印刷会社は、自社で実施できない印刷ジョブを同業他社に委託することで対応していた。
【0004】
ところで、受信したプリントデータに自装置で処理することができない後処理が含まれている場合に、予め登録されている他の複合機の中から、その後処理を含めてプリントジョブ全体を実行可能な複合機を検索して、検索したその複合機にプリントジョブ全体を転送する複合機が知られている(特許文献1参照)。
【0005】
また、複数の画像処理装置のそれぞれが有する機能が画像処理装置ごとに自装置に登録され、ユーザが使用したい機能を自装置に設定して、ユーザによって設定された機能を登録されている画像処理装置が有しているか否かを画像処理装置ごとに判断する画像処理装置が知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−318722号公報
【特許文献2】特開2007−67718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1および2に記載された複合機や画像処理装置は、後処理の機能を有しており、ユーザが複合機や画像処理装置に実施させたい後処理によって、その後処理を実施することができる複合機や画像処理装置を選択するようになっている。すなわち、特許文献1および2に記載された複合機や画像処理装置では、ユーザが実施したい印刷ジョブに対し、その印刷ジョブを1台の複合機で実施することができる複合機を印刷先の複合機として選択している。
【0008】
したがって、特許文献1および2に記載された複合機や画像処理装置は、受け付けた印刷ジョブのすべての工程を1台で実施できる複合機にその印刷ジョブを依頼することしかできなかった。
【0009】
また、前述した小規模の印刷会社の例では、複数の工程からなる印刷ジョブの中に自社で実施することができない一部の工程があった場合、自社で実施できないその一部の工程について、同業他社に委託することで対応していた。具体的には、ユーザは、電話などによって同業他社に問い合わせを行い、その同業他社が所有する印刷装置やその装置の性能などの情報を取得するとともに、その印刷装置の稼動空き情報などを取得して委託していた。したがって、自社で実施できないその一部の工程について、人の力による調査と同業他社の協力により、委託による対応を行っていた。
【0010】
しかしながら、自社で実施できないその一部の工程を同業他社に委託する場合、取得すべき情報(印刷装置の性能や稼動空き情報など)の量が多く、その情報の問い合わせ先の同業他社も多数存在しているので、調査労力や調査負荷が大きく、同業他社と委託しながら協業することは困難であった。
【0011】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、印刷ジョブを構成する工程毎にその工程を実施させる印刷システムを負担なく容易に選択することができる印刷管理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0013】
[1]複数の工程が組み合わされた印刷ジョブを取得する印刷ジョブ取得部と、
ネットワークを介して接続された印刷システムからその印刷システムで所定の工程が実施可能か否かを示す実施可能工程情報を収集するネットワーク通信部と、
前記印刷ジョブ取得部によって取得した印刷ジョブを実施させる印刷システムを工程毎に選択する選択処理部と、
を備え、
前記選択処理部は、
前記印刷ジョブの工程毎に、その工程を実施可能な印刷システムの判別に必要な前記実施可能工程情報を収集して前記判別を行い、前記印刷ジョブの工程毎にその工程を実施させる印刷システムを選択する選択処理を行う
ことを特徴とする印刷管理装置。
【0014】
上記発明では、ネットワーク通信部は、ネットワークを介して接続された印刷システムから、その印刷システムで所定の工程が実施可能か否かを示す実施可能工程情報を取得している。本発明に係る印刷管理装置は、ネットワークを介して外部に接続された印刷システムで所定の工程が実施可能か否かを示す実施可能工程情報を取得することができるので、外部の印刷システムの印刷装置やその装置の性能などを調査する調査労力や調査負荷が軽減される。また、印刷管理装置は、取得した実施可能工程情報に基づいて、印刷ジョブの工程毎に、その工程を実施可能な印刷システムの判別結果を得ることができるので、印刷ジョブの工程毎に、その工程を実施させる印刷システムを選択する選択処理を容易に行うことができる。また、外部の印刷システムが1つの場合には、本発明に係る印刷管理装置は、その外部の印刷システムから所定の工程が実施可能か否かを示す実施可能工程情報を収集して、その外部の印刷システムにおいて印刷ジョブを工程毎に実施可能か否かを判別する。これに対し、ネットワークを介して接続された印刷システムが複数あり、印刷ジョブの任意の工程にその工程を実施可能な印刷システムが複数ある場合には、選択処理部は、その実施可能な複数の印刷システムの中からその任意の工程を実施させる印刷システムを選択することができる。また、ネットワーク通信部が収集する所定の工程の実施可能工程情報は、印刷ジョブ取得部によって取得した印刷ジョブのすべての工程に関する実施可能工程情報であってもよく、また、印刷ジョブの一部の工程に関する実施可能工程情報であってもよい。
【0015】
[2]前記印刷ジョブのいずれかの工程の実施先に選択された印刷システム毎に、その印刷システムに実施させる工程を示した指示書のデータを作成する指示書データ作成部を
さらに備えることを特徴とする[1]に記載の印刷管理装置。
【0016】
上記発明では、指示書データ作成部は、選択された印刷システム毎に、その印刷システムに実施させる工程を示した指示書のデータを作成する。そして、作成された指示書のデータは、複合機などによって印刷されると、印刷システム毎のそれぞれの指示書となる。印刷システム毎のそれぞれの指示書は、複合機などから印刷される印刷用紙とセットとして扱われ、印刷ジョブの工程毎にその工程が実施される印刷システムへ印刷された印刷用紙とともに送付される。これにより、本発明では、印刷された印刷用紙と印刷システム毎の指示書が一体として取り扱われるので、印刷用紙と印刷システムの指示書が離れ離れになることもなく、印刷システム毎の処理が印刷システムそれぞれの指示書に従って、確実に処理することができる。
【0017】
[3]前記選択処理部は、
特定の印刷システムにおいて前記印刷ジョブの全ての工程を実施可能か否かを判断し、実施不可の工程があった場合には、前記ネットワークを介して接続された他の印刷システムから、前記特定の印刷システムで実施不可の工程を該他の印刷システムで実施可能か否かを示す実施可能工程情報を前記ネットワーク通信部によって収集して、前記他の印刷システムが前記特定の印刷システムで実施不可な工程を実施可能な印刷システムかを判別し、前記特定の印刷システムで実施不可な工程を実施させる印刷システムを、その工程を実施可能な前記他の印刷システムの中から選択する
ことを特徴とする[1]または[2]に記載の印刷管理装置。
【0018】
上記発明では、ある特定の印刷システムを基準として、その特定の印刷システムに実施不可の工程がある場合には、選択処理部は、ネットワークに接続された他の印刷システムから、その実施不可の工程の実施可能か否かを示す実施可能工程情報をネットワーク通信部によって収集する。そして、選択処理部は、他の印刷システムがその実施不可の工程を実施可能な印刷システムかを判別する。したがって、本発明に係る印刷管理装置は、他の印刷システムがその実施不可の工程を実施可能と判別できる場合には、その実施不可の工程を他の印刷システムに実施させることができる。なお、他の印刷システムは、1つの印刷システムに限定されるものではなく、ネットワークに接続された複数の印刷システムであってもよい。また、選択処理部は、任意の工程を実施可能とする他の印刷システムが1つの印刷システムに限定されてしまう場合には、限定されるその1つの印刷システムを自動的に選択するようにしてもよい。
【0019】
[4]前記選択処理部は、
前記印刷ジョブの全ての工程のそれぞれについて前記実施可能工程情報を取得し、前記印刷ジョブの全ての工程のそれぞれについてその工程を実施可能な全ての印刷システムの中から実施先の印刷システムを選択する
ことを特徴とする[3]に記載の印刷管理装置。
【0020】
上記発明は、[3]に記載された発明に従属されているので、選択処理部は、ある特定の印刷システムで実施不可の工程を実施させる他の印刷システムだけでなく、さらにその工程以外の印刷ジョブの全ての工程のそれぞれについても、その工程を実施可能な印刷システムを判別する。すなわち、上記発明では、選択処理部は、ある特定の印刷システムで実施可能な工程であっても、その工程について他の印刷システムから実施可能工程情報を取得するので、印刷ジョブの全ての工程のそれぞれについてその工程を実施可能な全ての印刷システムの中から実施先の印刷システムを選択することができる。これにより、ある特定の印刷システムで実施可能な工程であっても、他の印刷システムにその工程を実施させる方が特定の印刷システムに実施させるよりも効率が良い場合には、その他の印刷システムに実施させるように印刷システムを選択することができる。
【0021】
[5]前記選択処理部は、
前記印刷ジョブの工程別に、選択可能な実施先の印刷システムを提示して、提示した印刷システムの中から実施先の印刷システムの選択操作をユーザから受け付ける
ことを特徴とする[1]ないし[4]のいずれか1項に記載の印刷管理装置。
【0022】
上記発明では、選択処理部は、印刷ジョブの工程別に、その工程を実施可能な印刷システムを、その工程の実施先の選択肢として提示する。したがって、ユーザは、印刷ジョブの工程別に、提示されたその工程を実施可能な印刷システムの中から所望の印刷システムを選択することができる。
【0023】
[6]前記選択処理部は、
実施可能な印刷システムが1つしか見つからない工程については、その実施可能な印刷システムをその工程の実施先の印刷システムに決定する
ことを特徴とする[1]ないし[5]のいずれか1項に記載の印刷管理装置。
【0024】
上記発明では、選択処理部は、実施可能工程情報により実施可能な印刷システムが1つしか見つからない場合には、その実施可能な印刷システムをその工程の実施先の印刷システムに自動的に決定する。
【0025】
[7]前記選択処理部は、
ユーザからの選択操作がない工程については、その工程を実施可能な印刷システムの中からその工程を実施させる印刷システムを自動的に選択する
ことを特徴とする[5]に記載の印刷管理装置。
【0026】
上記発明では、印刷ジョブの工程別に、選択可能な印刷システムが提示されていても、その工程を実施可能な印刷システムがユーザによって選択されていない場合には、選択処理部は、その工程を実施可能な印刷システムの中からその工程を実施させる印刷システムを自動的に選択する。この場合、たとえば、自装置が管理する印刷システムがその工程を実施可能な印刷システムとして提示されている場合には、自装置が管理する印刷システムをその工程の実施先の印刷システムに自動的に選択するようにしてもよい。また、企業間での業務提携や地理的特性などにより、ある特定の印刷システムを優先的に実施先の印刷システムとして選択するようにしてもよい。
【0027】
[8]前記複数の工程は、印刷処理に関する後処理工程を含む
ことを特徴とする[1]ないし[7]のいずれか1項に記載の印刷管理装置。
【0028】
上記発明では、印刷処理に関する後処理工程を前記複数の工程に含めることができる。ここで、後処理工程とは、複合機やプリンタなどにより印刷された印刷用紙に対して、印刷後の処理を施す工程のことをいう。たとえば、後処理工程には、折り工程、ステイプル工程、多穴パンチ工程などがある。これらの工程は、印刷装置が有する機能、つまり、折り機能、ステイプル機能、多穴パンチ機能などにより、後処理工程が決定される。すなわち、印刷装置が有する機能に対応した処理が工程となる。
【0029】
[9]前記複数の工程は、印刷処理に関する前処理工程を含む
ことを特徴とする[1]ないし[8]のいずれか1項に記載の印刷管理装置。
【0030】
上記発明では、印刷処理に関する前処理工程を前記複数の工程に含めることができる。ここで、前処理工程とは、複合機やプリンタなどにより印刷用紙に印刷する前に、印刷のための処理を施す工程のことをいう。この前処理工程には、大別して2種類ある。1つ目は、印刷用紙に形成される画像データに処理を施す工程である。2つ目は、画像データを印刷用紙に印刷する前に、その印刷用紙自体に処理を施す工程である。したがって、前処理工程は、印刷用紙に印刷を実施する前であれば、いずれの種類の前処理であってもよい。たとえば、1つ目の種類に対応した前処理工程として、地紋付加処理、セキュリティ付加処理などの処理に対応した工程がある。ここで、地紋付加印刷とは、印刷データに地紋と言われる文字列を隠蔽し、印刷する際に隠蔽した文字列を文書の背景に重ねて印刷する処理のことである。したがって、地紋付加処理の工程では、印刷データに地紋と言われる文字列を隠蔽する処理が行われる。また、セキュリティ付加処理は、地紋付加印刷を強化したものである。具体的には、セキュリティが付加された紙文書は、コピーあるいはスキャン時にセキュリティが付加された文書であると判別されると、コピー結果あるいはスキャン結果が破棄されて印刷内容が読めなくなるような処理を施す。したがって、セキュリティ付加処理では、地紋付加処理よりも高度な処理が施される。次に、2つ目の種類に対応した前処理工程として、たとえば、印刷用紙自体を加熱装置によって加熱して、印刷用紙に含有される水分量を減少させる加熱工程がある。また、複合機のインクの特性に合わせて、印刷される印刷媒体に薬品や薬剤などを塗布する塗布工程などであってもよい。この場合、印刷媒体は印刷用紙に限定されず、布や衣服などであってもよい。
【発明の効果】
【0031】
本発明の印刷管理装置によれば、印刷ジョブを構成する工程毎にその工程を実施させる印刷システムを負担なく容易に選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施の形態に係るネットワーク印刷システムの概略構成を示した概略構成図である。
【図2】小規模印刷会社が有する印刷システムの概略構成を示した概略構成図である。
【図3】印刷管理装置の概略構成を示したブロック図である。
【図4】印刷管理装置の機能をブロック図で示した機能ブロック図である。
【図5】外部ネットワークに接続された印刷システムと外部印刷システムの概略構成を示した概略構成図である。
【図6】本実施の形態に係る印刷管理装置が印刷ジョブを読み込み、指示書データを作成するまでの動作の流れを示した流れ図である。
【図7】印刷データが印刷された印刷用紙に後処理工程を実施する動作の流れを示した流れ図である。
【図8】外部印刷システムから提供可能な機能(後処理装置の機能)を表示した提供機能表示例を示した説明図である。
【図9】包み製本の備考の欄の詳細ボタンを押下操作したときに表示される提供機能詳細情報を示した説明図である。
【図10】表示装置に表示される工程選択画面を示した説明図である。
【図11】内部指示書の表示例を示した説明図である。
【図12】外部委託指示書の表示例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0034】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の実施の形態に係るネットワーク印刷システム1の概略構成を示している。ネットワーク印刷システム1では、小規模印刷会社Aと、中規模印刷会社Bと、小規模印刷会社Cと、大規模プリントショップDと、デザイン事務所Eとが、外部ネットワーク500を介して相互に接続されている。本実施の形態において、各印刷会社は、それぞれの印刷システムを有している。また、各印刷システムは、それぞれの会社やプリントショップにおける印刷ジョブの実行、印刷データの加工・管理などを行っている。
【0035】
小規模印刷会社Aは、印刷システムA100を有している。印刷システムA100は、50枚中綴じ装置101と、ラミネート装置102と、2穴パンチ装置103と、梱包装置104と、100枚ステイプル装置105とを備えている。
【0036】
50枚中綴じ装置101は、50枚までの印刷用紙を綴じることが可能な後処理装置である。なお、中綴じとは、ホットメルト等の糊は使用せず、印刷用紙の本文や表紙をホッチキスで綴じる方法のことをいう。ラミネート装置102は、印刷された印刷用紙の表面に透明のフィルムを貼る後処理装置である。2穴パンチ装置103は、印刷された印刷物に2穴の穴を開ける機能を有する後処理装置である。梱包装置104は、印刷された印刷物を梱包することができる後処理装置である。100枚ステイプル装置105は、印刷された100枚までの印刷用紙を、ステイプル針を用いて綴じることができる後処理装置である。
【0037】
中規模印刷会社Bは、印刷システムB200を有している。印刷システムB200は、150枚ステイプル装置201と、ラミネート装置202と、包み製本装置203と、多穴パンチ装置204と、梱包装置205とを備えている。
【0038】
中規模印刷会社Bにおいて、小規模印刷会社Aと同一の構成については、説明を省略する。150枚ステイプル装置201は、印刷された150枚までの印刷用紙を、ステイプル針を用いて綴じることができる後処理装置である。包み製本装置203は、印刷された印刷用紙に表紙を取り付け、包むように表紙を取り付けることができる後処理装置である。多穴パンチ装置204は、26穴や30穴の穴を開ける機能を有する後処理装置である。
【0039】
図2は、小規模印刷会社Aが有する印刷システムA100の概略構成を示している。印刷システムA100は、管理システム50と、印刷装置20と、後処理装置10と、用紙棚95とを備えており、内部ネットワーク90を介して相互に接続されている。また、印刷システムA100は、外部ネットワーク500に接続されているとともに、配送装置98を備えている。
【0040】
管理システム50は、印刷管理装置30と、画像処理装置70と、画像処理装置80とを備えている。印刷管理装置30は、印刷システムA100の全体動作を管理している。
【0041】
印刷管理装置30は、主にコンピュータによって構成されており、外部ネットワーク500、もしくは記憶メディアを介して入稿される印刷ジョブの管理や、各印刷ジョブを実行するための工程管理、印刷システムA100内にある各装置の情報の記憶や管理などを行っている。また、印刷管理装置30は、本システムの設置位置情報、運用元の連絡先、後述する後処理装置の機能および機能制限情報を内部のデータベース(図示せず)に保持している。後処理装置の機能および機能制限情報は、内部ネットワーク90を介して、印刷管理装置30が自動取得してもよく、またオペレータが手動で入力してもよい。また、印刷管理装置30は、印刷ジョブで指示された画像データを印刷装置20に印刷させる以外に、印刷ジョブを実行するための工程を記載した指示書を印刷装置20に印刷させる機能を有している。また、印刷管理装置30は、配送装置98の配送予定の管理や経理、出力物の配送管理などを行うこともできる。なお、印刷管理装置30に含まれるコンピュータのうち少なくとも1台は外部ネットワーク500に接続されている。
【0042】
なお、本実施の形態では、1台の印刷管理装置30が印刷ジョブの管理や各装置の情報の管理を行っているが、印刷管理装置は1台に限定されるものではなく、複数台の印刷管理装置によって印刷管理装置30を構成しても良い。
【0043】
画像処理装置70と画像処理装置80は、画像を形成するための画像データを処理する装置である。たとえば、画像処理装置70と画像処理装置80は、入稿された印刷データや撮像された画像データに対し、2値化処理やグレー処理あるいはカラー処理を行うものとする。2値化処理では、入力された画像データをアナログ信号からデジタル信号に変換する。グレー処理では、カメラ等で撮像した画像データの濃淡を8ビット(256階調)に分割し、濃淡を処理する。また、カラー処理では、入力されたカラー映像信号を、画像入力回路のA/D変換(Analog/Digital Converter)を用いて、R・G・Bのデジタルデータに変換する。変換されたデジタルデータを基に差分処理を行い、R−G、B−G、R−Bのデータを求め、これらのデータとR・G・Bのデジタルデータを用いて、色抽出などを行う。
【0044】
印刷装置20は、印刷機21と、プリンタ22とを備えている。印刷装置20は、印刷管理装置30から指示される画像を用紙に形成する処理を行う。印刷装置20は、1台以上の画像形成装置を備えていればよく、印刷処理は、印刷機21で行っても、プリンタ22で行ってもよい。なお、印刷装置20から排出された用紙は、機械搬送もしくはオペレータの手によって搬送され、後処理装置10に持ち込まれる。本実施の形態では、オペレータが印刷された印刷用紙を後処理装置10に持ち込み、後処理装置10を操作する。
【0045】
用紙棚95は、印刷前の用紙を保管し、用紙の在庫管理を行っている。なお、図示しない用紙管理装置を別途設け、内部ネットワーク90を介して印刷管理装置30と用紙管理装置とが接続されることにより、管理システム50において用紙とその種類、残数の管理が行われるようにしてもよい。また、オペレータによる手入力による管理であってもよい。
【0046】
後処理装置10は、50枚中綴じ装置101と、ラミネート装置102と、2穴パンチ装置103と、梱包装置104とを備えている。後処理装置10は、印刷システムA100内に設けられている各後処理装置によって構成されており、後処理装置の種類や台数は印刷システムによって異なっている。後処理装置10は、管理システム50からの指示により、ラミネート処理、パンチ、中綴じなどの後処理を、印刷後の印刷用紙に実施する。後処理装置の種類としては、上記に限定されるものではなく、他にも、100枚ステイプル装置、包み製本装置、折り装置なども含まれる。なお、後処理装置10は、実施の形態を簡略化するため、100枚ステイプル装置105(図1)を記載していない。
【0047】
配送装置98は、貨物車両などの物流装置で構成されており、後述する内部指示書によって指示される内容に従い、印刷済み用紙、後処理済み用紙を所定の場所に届ける機能を有している。なお、本実施の形態では、この装置は、指示書を有するオペレータによって操作されるものとする。
【0048】
図3は、印刷管理装置30の概略構成を示している。印刷管理装置30は、CPU(Central Processing Unit)31と、ROM(Read Only Memory)32と、RAM(Random Access Memory)33と、入出力I/F(Interface)部34と、不揮発メモリ37と、ハードディスク装置38と、ネットワークI/F部39とを備えている。さらに、入出力I/F部34を介して、表示装置35と、入力デバイス36とが接続されている。
【0049】
CPU31は、内部バスを介して印刷管理装置30の全体動作を制御している。ROM32には起動用のプログラムや固定データが記憶される。RAM33には、ハードディスク装置38からロードしたプログラムが記憶される。またRAM33は、CPU31がプログラムを実行する際に、各種のデータを一時的に格納するワークメモリなどとして使用される。
【0050】
表示装置35は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)やモニタなどの出力表示装置で構成され、工程毎の印刷システムの選択画面、後処理工程の詳細情報などを表示する機能を有している。入力デバイス36は、キーボードやマウスなどの入力装置で構成され、印刷システムの選択処理や選択ボタンの押下操作などのユーザからの入力操作を受け付ける機能を有している。入出力I/F部34は、表示装置35や入力デバイス36の入出力データを制御する機能を有している。
【0051】
不揮発メモリ37は、電源をオフにしても記憶内容が破壊されないメモリ(フラッシュメモリ)である。ハードディスク装置38は、各種アプリケーションプログラム、ファイル、データなどが保存される。ネットワークI/F部39は、外部ネットワーク500を介して、後述する外部印刷システムB200や他の外部装置から各種のデータを受信する機能を有している。
【0052】
図4は、印刷管理装置30の機能をブロック図で示した機能ブロック図である。印刷管理装置30は、印刷ジョブ取得部41と、ネットワーク通信部42と、選択処理部43と、指示書データ作成部44とを備えている。
【0053】
印刷ジョブ取得部41は、複数の工程が組み合わされた印刷ジョブを外部から取得する機能を有している。
【0054】
ネットワーク通信部42は、外部ネットワーク500を介して接続された印刷システムから、その印刷システムで所定の工程が実施可能か否かを示す実施可能工程情報を収集する機能を有している。
【0055】
選択処理部43は、印刷ジョブ取得部41によって取得した印刷ジョブを実施させる印刷システムを工程毎に選択する機能を有している。また、選択処理部43は、印刷ジョブの工程毎にその工程を実施可能な印刷システムの判別に必要な実施可能工程情報を収集して判別を行い、印刷ジョブの工程毎にその工程を実施させる印刷システムを選択する選択処理を行う機能を有している。
【0056】
指示書データ作成部44は、印刷ジョブのいずれかの工程の実施先に選択された印刷システム毎に、その印刷システムに実施させる工程を示した指示書のデータ(以下、これを指示書データともいう。)を作成する機能を有している。
【0057】
なお、指示書データ作成部44によって作成された指示書データは、複合機などによって印刷されると、印刷システム毎のそれぞれの指示書となる。印刷システム毎のそれぞれの指示書は、複合機などから印刷される印刷用紙とセットとして扱われ、印刷ジョブの工程毎にその工程が実施される印刷システムへ、印刷された印刷用紙とともに送付される。これにより、印刷された印刷用紙と印刷システム毎の指示書が一体として取り扱われるので、印刷用紙と印刷システムの指示書が離れ離れになることもなく、印刷システム毎の処理が印刷システムそれぞれの指示書に従って、確実に処理することができる。
【0058】
なお、図4に示した印刷管理装置30の機能ブロック図は、CPU31が、ROM32やハードディスク装置38に格納されたプログラムを読み出して、RAM33をワークエリアとして実行することにより、実現される機能を示している。
【0059】
図5は、外部ネットワーク500に接続された印刷システムA100と外部印刷システムB200の概略構成を示している。本実施の形態では、外部ネットワーク500を介して印刷システムA100と外部印刷システムB200とが接続されている。
【0060】
図5に示す印刷システムA100は、図1および図2で示した印刷システムA100と基本的に同じ構成を備えている。図5に示す外部印刷システムB200は、中規模印刷会社B(図1)の印刷システムB200と基本的に同じ構成を備えている。なお、実施の形態を説明する関係上、印刷システムA100や外部印刷システムB200を構成する装置名を、適宜、補足として付加し、または一部省略することがある。また、印刷システムB200(図1)のことを外部印刷システムB200ともいう。
【0061】
外部印刷システムB200は、印刷管理装置260と、印刷機221と、用紙棚295と、後処理装置210とを備え、内部ネットワーク290を介して相互に接続されている。また、外部印刷システムB200は、配送装置298を有している。後処理装置210は、150枚ステイプル装置201と、ラミネート装置202と、包み製本装置203と、多穴パンチ装置204とを備えている。
【0062】
以下、本実施の形態では、印刷管理装置30は、印刷システムA100(特定の印刷システム)において実施不可の工程があった場合には、外部印刷システム(他の印刷システム)から、その実施不可の工程を外部印刷システムB200で実施可能か否かを示す実施可能工程情報を収集する。そして、印刷管理装置30は、外部印刷システムB200がその実施不可な工程を実施可能な印刷システムかを判別し、その工程を外部印刷システムB200が実施可能な場合には、その外部印刷システムB200を選択する選択処理を行う例について説明する。
【0063】
また、印刷管理装置30が印刷システムA100と外部印刷システムB200の後処理工程の指示書のデータを作成する動作と、作成されたそれぞれの指示書にしたがって、印刷された印刷物に後処理工程を実施する動作について説明する。
【0064】
なお、外部印刷システムB200は、複数の外部印刷システムで構成されてもよく、特に外部印刷システムB200を限定する必要がない場合には、単に外部印刷システムと呼ぶことがある。
【0065】
<指示書のデータの作成処理>
図6は、本実施の形態に係る印刷管理装置30が印刷ジョブを読み込み、指示書のデータを作成するまでの動作の流れを示している。
【0066】
まず、印刷管理装置30は、印刷システムA100の管理下にある後処理装置10の各種情報を読み込む(ステップS101)。ここで、後処理装置10の読み込む情報として、たとえば、パンチ機能やステイプル機能や折り機能などの処理情報や、後処理装置10で実施可能な用紙の種類、厚さ、大きさ、綴じ枚数、製本時の厚さなどの情報が含まれる。
【0067】
次に、印刷管理装置30は、オペレータにより入力された印刷ジョブもしくは外部ネットワーク500を介して入力された印刷ジョブを読み込む(ステップS102)。読み込んだ印刷ジョブの中には、その印刷ジョブが使用する用紙の種類やページ数、後処理方法および完成した印刷物の納品先等が定義されている。また、印刷ジョブの中には印刷用紙に印刷する印刷データも含まれている。
【0068】
印刷管理装置30は、読み込んだ印刷ジョブに定義されている後処理工程が、印刷システムA100の後処理装置10で実施可能か否かを判断する(ステップS103)。印刷管理装置30は、印刷システムA100が、その印刷ジョブの全ての後処理工程を実施できる場合には(ステップS103;Yes)、印刷システムA100で実施するための内部指示書のデータ(以下、これを内部指示書データともいう。)を作成する(ステップS104)。内部指示書データには、印刷ジョブで定義されていた後処理方法や完成した印刷物の納品先等の情報が含まれている。また、内部指示書データは、後の工程で用紙に印刷されることにより内部指示書となるものであり、テキストやバーコードとして印刷される形式になっている。
【0069】
印刷管理装置30は、印刷システムA100で実施する工程の内部指示書データを作成した後、作成したその内部指示書データに基づいて内部指示書を印刷する(ステップS105)。なお、印刷された内部指示書は、後に印刷される印刷用紙と一緒に管理される。印刷システムA100は、印刷システムA100の内部指示書に従って、印刷機21で印刷された印刷用紙に後処理工程を実施する。
【0070】
一方、印刷システムA100で実施できない後処理工程があった場合には(ステップS103;No)、印刷管理装置30は、外部ネットワーク500を介して、外部印刷システムB200の情報および外部印刷システムB200の後処理装置210の各種情報を読み込む(ステップS106)。
【0071】
本実施の形態では、外部ネットワーク500を介して外部印刷システムB200との通信を確立するために、あらかじめオペレータによって印刷管理装置30に通信先が登録されているものとする。また、後処理装置を有する外部印刷システムは、1つの外部印刷システムに限定されず複数の外部印刷システムであってもよい。外部印刷システムB200の後処理装置210の各種情報には、たとえば、パンチ機能やステイプル機能や折り機能などの処理情報や、後処理装置10で実施可能な用紙の種類、厚さ、大きさ、綴じ枚数、製本時の厚さなどの情報のほか、外部印刷システムB200を利用する場合の費用や稼動空き情報などが含まれているものとする。また、外部印刷システムB200の情報には外部印刷システムB200の管理会社や設置位置の住所、連絡先、取引条件等が含まれているものとする。
【0072】
印刷管理装置30は、読み込んだ外部印刷システムB200の後処理装置210の情報から、印刷システムA100で実施できない後処理工程を実施可能な外部印刷システムB200を検索して、その検索結果を表示装置35に表示する(ステップS107)。
【0073】
なお、本実施の形態では、印刷システムA100で実施できない後処理工程が印刷ジョブの一部の後処理工程の場合に、その実施できない一部の工程を実施可能な外部印刷システムB200を検索する。しかしながら、本実施の形態はこれに限らず、印刷システムA100で実施できない後処理工程が印刷ジョブの全部の後処理工程の場合には、たとえば、工程毎に、その工程を実施可能な外部印刷システムを全ての工程について検索してもよく、または、2以上の後処理工程を組み合わせた複数の後処理工程もしくは全ての後処理工程を実施可能な外部印刷システムをそれぞれ検索するようにしてもよい。
【0074】
また、ある一部の工程を外部印刷システムに実施させることを、工程の一部委託ともいう。工程の一部委託では、工程毎に実施可能な外部印刷システムが振り分けられ、その工程を実施させる外部印刷システムを1つに決定する。ここで、もし、ある一部の工程を実施可能な外部印刷システムB200が1つの場合には、その外部印刷システムB200が提供可能な機能とともに表示される。また、ある一部の工程を実施可能な外部印刷システムが複数ある場合には、実施可能な外部印刷システムがそれぞれ提供可能な機能とともにリスト表示される。そして、外部印刷システムを利用する場合には、以下で説明するように、リスト表示された外部印刷システムを基に、印刷ジョブの工程毎に、その複数の外部印刷システムの中から実施させる1つの外部印刷システムを選択する。
【0075】
印刷管理装置30は、外部印刷システムB200を利用するか否か、オペレータの入力を待ち受けており、オペレータが外部印刷システムB200への一部委託を望まない場合には(ステップS108;No)、印刷ジョブを中止するか(ステップS120;Yes)、印刷システムA100で印刷ジョブの後処理工程を実施可能となるように印刷ジョブを修正するか(ステップS120;No)、オペレータに判断を求める(ステップS120)。なお、印刷ジョブを修正する場合には(ステップS120;No)、修正した印刷ジョブを再度読み込み、或いは修正後の印刷ジョブを設定し、ステップS102以降の処理を実施する。
【0076】
一方、オペレータが外部印刷システムB200への一部委託を希望する場合には(ステップS108;Yes)、印刷管理装置30は、印刷ジョブを完成させるために必要な後処理工程の種類毎に、印刷ジョブの実行工程を細分化し、細分化された工程毎に、印刷システムA100で実施するか、外部印刷システムB200へ委託するか、オペレータによる工程毎の選択を受け付ける(ステップS109)。
【0077】
なお、本実施の形態では、印刷管理装置30は、実施可能な印刷システムが1つしか見つからない工程については、その実施可能な印刷システムをその工程の実施先の印刷システムに自動的に決定するようにしてもよい。すなわち、読み込んだ印刷ジョブの設定情報と、印刷システムA100および外部印刷システムB200の各種情報と比較して、いずれか1つの印刷システムでしか実施できない工程は、自動的にその印刷システムに決定することとし、ユーザは選択できないようにしてもよい。また、以下の本実施の形態の説明では、外部印刷システムとして、1つの外部印刷システムB200のみを対象に説明するが、他の外部印刷システムが工程毎の実施可能な印刷システムとして選択対象に含まれていてもよい。
【0078】
また、上記の選択可能な工程として、印刷された印刷用紙に実施する後処理工程以外に、完成した印刷物の納品工程を含めるようにしてもよい。なお、この実行工程の細分化については、詳細を後述する。
【0079】
印刷管理装置30は、工程毎に、実施先となる印刷システムの選択をオペレータから受け付けると、工程を実施する印刷システムごとに指示書データを作成する。印刷管理装置30は、まず、印刷システムA100に実施させる工程の内部指示書データを作成する(ステップS111)。次に、印刷管理装置30は、外部印刷システムB200に委託する外部委託指示書のデータ(以下、これを外部委託指示書データともいう。)を作成する(ステップS112)。また、印刷管理装置30は、たとえば、印刷会社C(図1)などの外部印刷システムを使用する場合にも、それらの外部委託指示書データも同時に作成する。
【0080】
印刷管理装置30は、後述する工程において、印刷システムA100の印刷機21で処理対象の印刷ジョブの印刷データを印刷する場合には、印刷システムA100で実施する後処理工程を指示する内部指示書データと、外部印刷システムB200や他の外部印刷システムに委託する後処理工程を指示する外部委託指示書データをそれぞれ印刷する(ステップS105)。各指示書データは、印刷されるとそれぞれの指示書となる。なお、印刷された各指示書は、印刷機21で印刷される印刷用紙と一緒に管理される。各印刷システムは、それぞれの印刷システムの指示書に従って、印刷機21で印刷された印刷用紙に後処理工程を実施する。また、内部指示書と外部委託指示書には、各印刷システムにおいて、オペレータによって選択された工程で行うべき処理と、どの処理後に他の印刷システムへ委託するかのタイミングの情報も含まれている。また、各指示書データは、テキストやバーコードとして印刷される形式になっている。また、外部委託指示書データには、関連する内部指示書データを識別するための識別情報も含まれている。
【0081】
なお、印刷システムA100の印刷機21で印刷データを印刷せず、外部印刷システムB200の印刷機221で印刷データを印刷する場合には、印刷管理装置30は、内部指示書データと外部委託指示書データを印刷して、印刷された内部指示書と外部委託指示書を外部印刷システムB200に送付してもよい。また、印刷管理装置30は、内部指示書データと外部委託指示書データのいずれも印刷せず、印刷システムA100から外部印刷システムB200に印刷データを転送する際に、内部指示書データおよび外部委託指示書データも外部印刷システムB200に転送し、印刷管理装置260は、外部印刷システムB200の印刷機221で印刷データを印刷する前に、内部指示書データと外部委託指示書データを印刷するようにしてもよい。各指示書データは、印刷されるとそれぞれの指示書となる。内部指示書と外部委託指示書は、印刷システムA100の場合と同様に、印刷機221で印刷された印刷用紙と一緒に管理される。各印刷システムは、それぞれの印刷システムの指示書に従って、印刷機221で印刷された印刷用紙に後処理工程を実施するようになっている。
【0082】
次に、内部指示書および外部委託指示書に従って、印刷データが印刷された印刷用紙に後処理工程を実施する動作について説明する。
【0083】
<後処理工程を実施する一般的な動作>
図7は、印刷データが印刷された印刷用紙に後処理工程を実施する動作の流れを示している。ここで、印刷システムA100を操作するオペレータを第1のオペレータとし、外部印刷システムB200を操作するオペレータを第2のオペレータとして説明する。
【0084】
第1のオペレータは、印刷用紙への印刷を印刷システムA100で印刷するか、外部印刷システムB200で印刷するかを判断し、印刷システムA100で印刷データを印刷する場合には(ステップS200;No)、第1のオペレータは、印刷管理装置30を用いて印刷機21に印刷データを印刷させる(ステップS201)。なお、印刷管理装置30は、内部指示書データの作成完了時に、印刷機21に印刷指示を行い、印刷用紙に印刷データを印刷させるようにしてもよい。
【0085】
一方、外部印刷システムB200で印刷データを印刷する場合には(ステップS200;Yes)、第1のオペレータは、印刷管理装置30を用いて、外部印刷システムB200の印刷管理装置260に内部指示書データおよび外部委託指示書データと印刷データを送信する。第2のオペレータは、印刷管理装置260を用いて印刷機221に内部指示書データおよび外部委託指示書データと印刷データを印刷させる(ステップS221)。なお、印刷管理装置30は、外部委託指示書データの作成完了時に、内部指示書データおよび外部委託指示書データと印刷データを印刷管理装置260に送付するようにしてもよい。
【0086】
印刷システムA100で印刷データを印刷した後(ステップS201)、印刷した印刷用紙に印刷システムA100で後処理工程を実施する場合には(ステップS202;Yes)、第1のオペレータは、内部指示書に従って、印刷管理装置30を用いて後処理装置10に後処理工程を実施させる(ステップS203)。一方、外部印刷システムB200で後処理工程を実施する場合には、第1のオペレータは、印刷した印刷用紙と内部指示書および外部委託指示書を外部印刷システムB200に送付する。第2のオペレータは、外部委託指示書に従って、印刷管理装置260を用いて後処理装置210に後処理工程を実施させる(ステップS223)。
【0087】
また、外部印刷システムB200で印刷用紙を印刷した後(ステップS221)、印刷された印刷用紙に外部印刷システムB200で後処理工程を実施する場合には(ステップS222;Yes)、第2のオペレータは、外部委託指示書に従って、印刷管理装置260を用いて後処理装置210に後処理工程を実施させる(ステップS223)。一方、印刷システムA100で後処理工程を実施する場合には(ステップS222;No)、第2のオペレータは、印刷された印刷用紙と内部指示書および外部委託指示書を印刷システムA100に送付する。第1のオペレータは、内部指示書に従って、印刷管理装置30を用いて後処理装置10に後処理工程を実施させる(ステップS203)。
【0088】
印刷システムA100で後処理工程を実施した後(ステップS203)、外部印刷システムB200で後処理工程を実施する場合には(ステップS204;Yes)、第1のオペレータは、印刷用紙と内部指示書および外部委託指示書を外部印刷システムB200に送付する。第2のオペレータは、外部委託指示書に従って、印刷管理装置260を用いて後処理装置210に後処理工程を実施させる(ステップS223)。
【0089】
一方、外部印刷システムB200で後処理工程を実施する必要がなく、後処理工程が終了した印刷用紙を外部印刷システムB200の委託先に転送する場合には(ステップS204;No、ステップS205;Yes)、第1のオペレータは、後処理工程が終了した印刷用紙と内部指示書および外部委託指示書を外部印刷システムB200に送付する。第2のオペレータは、外部委託指示書に従って、後処理工程が終了した印刷用紙を配送装置298により配達する(ステップS226)。一方、印刷システムA100で配達する場合には(ステップS204;No、ステップS205;No)、第1のオペレータは、内部指示書に従って、後処理工程が終了した印刷用紙を配送装置98により配達する(ステップS206)。
【0090】
これに対し、外部印刷システムB200で後処理工程を実施した後(ステップS223)、印刷システムA100で後処理工程を実施する場合には(ステップS224;Yes)、第2のオペレータは、内部指示書および外部委託指示書と印刷用紙を印刷システムA100に送信する。第1のオペレータは、内部指示書に従って、印刷管理装置30を用いて後処理装置10に後処理工程を実施させる(ステップS203)。一方、外部印刷システムB200で全ての後処理工程が終了し、後処理工程が終了した印刷用紙を配送装置298で配達する場合には(ステップS224;No、ステップS225;No)、第2のオペレータは、外部委託指示書に従って、後処理工程が終了した印刷用紙を配送装置298により配達する(ステップS226)。
【0091】
一方、外部印刷システムB200で全ての後処理工程が終了し、後処理工程が終了した印刷用紙を印刷システムA100で配達する場合には、第2のオペレータは、外部印刷システムB200から印刷システムA100へ後処理工程が終了した印刷用紙と内部指示書および外部委託指示書を返送する(ステップS224;No、ステップS225;Yes)。第1のオペレータは、内部指示書に従って、後処理工程が終了した印刷用紙を配送装置298により配達する(ステップS206)。
【0092】
なお、上述の説明では、外部印刷システムB200で印刷用紙に後処理工程を実施する場合に、印刷システムA100から外部印刷システムB200へ内部指示書および外部委託指示書と印刷用紙を送付するようになっていたが、本実施の形態はこれに限らず、外部印刷システムB200から印刷システムA100に印刷された印刷用紙が戻ってこない場合や、印刷システムA100で後処理工程等を実施する際に、外部委託指示書に記載された関連付け識別情報から内部指示書を検索したり、内部指示書が再発行される場合には、外部印刷システムB200に内部指示書を送付しなくてもよい。
【0093】
また、本実施の形態はこれに限らず、たとえば、オペレータと配達工程を実施する配達員を区別して、配送装置98を用いて配達する配達員を第1の配達員とし、配送装置298を用いて配達する配達員を第2の配達員としてもよい。
【0094】
<具体的な表示例>
次に、印刷管理装置30の表示装置35に表示される具体的な表示例について説明する。まず、図6のステップS107において、表示装置35に表示される後処理装置の機能の表示例について、図を用いて説明する。
【0095】
図8は、外部印刷システムから提供可能な機能(後処理装置の機能)を表示した提供機能表示例300を示している。図8の提供機能表示例300には、「外部印刷システム名」の欄と、「外部からの提供機能」の欄と、「備考」の欄とが記載されている。「外部印刷システム」の欄には、後処理機能を提供するシステム名(印刷会社名)が記載されている。「外部からの提供機能」の欄には、外部印刷システムから提供される機能(工程)が記載されている。「備考」の欄には、詳細と記載されたボタンがあり、そのボタンを押下操作することにより、提供されるそれぞれの機能に関する詳細な内容が表示される。
【0096】
図8に示す提供機能表示300の例では、「印刷会社B」は、包み製本の機能と、ラミネートの機能と、ステイプルの機能と、梱包の機能と、配達の機能とが提供可能であることを示している。また、「印刷会社C」は、包み製本の機能と、ラミネートの機能とが提供可能であることを示している。また、「印刷会社D」は、包み製本の機能が提供可能であることを示している。
【0097】
また、図8に記載された「外部から提供可能機能」の欄は、オペレータによって入力された印刷ジョブを構成する各機能(各工程)に対応して、外部印刷システムで実施可能な機能(工程)を工程毎に判断して、外部印刷システムから提供可能な機能がリスト化されている。
【0098】
なお、「備考」の欄に設けられた詳細ボタンは、すべての「外部からの提供機能」について設けられているものとし、この詳細ボタンを押下操作したときの表示例は後述する。また、提供機能表示例300の下欄には、外部印刷システムに一部の工程を委託するか否かの確認ボタンがあり、「はい、委託します。」か「いいえ、委託しません。」を択一的に選択するようになっている。
【0099】
たとえば、図6のステップS108において、オペレータが外部印刷システムB200に工程の一部委託を実施する場合には、提供機能表示例300(図8)の「はい、委託します。」の選択ボタンを選択して押下操作することにより、表示装置35に外部印刷システムB200の選択可能な後処理工程が表示される。一方、「いいえ、委託しません。」を選択して押下操作すると、印刷ジョブの中止か、印刷ジョブの後処理工程の修正を行うことになる。
【0100】
次に、提供機能表示例300の「備考」の欄の詳細ボタンを押下操作したときの表示例について、図を用いて説明する。
【0101】
図9は、「包み製本」の「備考」の欄の詳細ボタンを押下操作したときに表示される提供機能詳細情報310を示している。提供機能詳細情報310には、「包み製本」の機能としての機能制限が記載されており、最大用紙枚数:500枚、最小用紙枚数:10枚、最小用紙斤量:350g/m2、最小用紙斤量:20g/m2、料金:¥1000/冊、使用期限制限として、空き:9月20日 14:00以降という情報が記載されている。
【0102】
オペレータは、この情報を参照して、包み製本機能(包み製本工程)を外部印刷システムB200に一部委託するか否かを判断することができる。
【0103】
なお、本実施の形態では、提供機能詳細情報310に後処理工程の機能に関する機能制限や使用期限制限が記載されているので、この提供機能詳細情報310を、本発明に係る実施可能工程情報として扱うことができる。
【0104】
次に、図6のステップS109において、表示装置35に表示される工程選択画面320の表示例について、図を用いて説明する。なお、工程選択画面320は、上述した「外部印刷システムに一部の工程を委託しますか?」(図8)という項目において、「はい、委託します。」の確認ボタンを選択して押下操作すると、表示装置35に表示される。
【0105】
図10は、表示装置35に表示される工程選択画面320を示している。工程選択画面320は、カタログを印刷して戸別配布する場合の印刷ジョブを、ラミネート処理、包み製本処理、ステイプル処理、封筒への梱包処理、配達処理に、細分化した場合の工程選択例を示している。
【0106】
図10の工程選択画面320には、「外部からの提供工程」の欄と、「自社の印刷システム」での可否を示す欄と、「選択可能な外部印刷システム」の欄と、「選択」の欄とが表示されている。「外部からの提供工程」の欄には、外部印刷システムから提供可能な工程が示されている。「自社の印刷システム」の欄には、その工程を自社の印刷システムA100で実施可能な場合は「○」が表示され、印刷システムA100での実施を選択する場合には「○」を押下操作する。一方、その工程を自社の印刷システムで実施が不可の場合は「×」が表示されている。「選択可能な外部印刷システム」の欄には、ユーザが選択可能な外部印刷システムが表示されている。ユーザは、「自社の印刷システム」の欄の「○」を押下操作するか、「選択可能な外部印刷システム」の欄の外部印刷システムを選択して押下操作することにより、実施する印刷システムを選択することができる。「選択」の欄には、ユーザがどの印刷システムを選択したか、選択結果を示している。
【0107】
図10の工程選択画面320の例では、「ラミネート工程」は、自社の印刷システムの欄が「○」であるため、自社の印刷システムA100で実施でき、「選択可能な委託先の外部印刷システム」の欄には印刷会社Bと印刷会社Cが記載されているので、印刷会社Bまたは印刷会社Cを選択することもできる。本実施例の場合、ユーザは自社の印刷システムを選択して「○」を押下操作しており、自社の印刷システムが選択されている。「選択」の欄には、自社の印刷システムA100が選択されたことを示しており、自社の印刷システムA100で「ラミネート工程」を実施することを示している。
【0108】
「包み製本工程」では、自社の印刷システムの欄が「×」であるため、自社の印刷システムA100では実施できず、「選択可能な委託先の外部印刷システム」の欄には印刷会社Bと印刷会社Cと印刷会社Dが記載されているので、印刷会社B、印刷会社Cまたは印刷会社Dから選択することができ、「選択」の欄には、印刷会社Bの印刷システムが記載されているので、印刷会社Bの外部印刷システムで「包み製本工程」を実施することを示している。
【0109】
「ステイプル工程」では、自社の印刷システムの欄が「○」であるため、自社の印刷システムA100で実施でき、「選択可能な委託先の外部印刷システム」の欄には印刷会社Bが記載されているので、印刷会社Bを選択することもでき、「選択」の欄には、印刷会社Bの印刷システムが記載されているので、印刷会社Bの外部印刷システムで「ステイプル工程」を実施することを示している。
【0110】
「梱包工程」では、自社の印刷システムの欄が「○」であるため、自社の印刷システムA100で実施でき、「選択可能な委託先の外部印刷システム」の欄には印刷会社Bが記載されているので、印刷会社Bを選択することもでき、「選択」の欄には、印刷会社Bの印刷システムが記載されているので、印刷会社Bの外部印刷システムで「梱包工程」を実施することを示している。
【0111】
「配達工程」では、自社の印刷システムの欄が「○」であるため、自社の印刷システムA100で実施でき、「選択可能な委託先の外部印刷システム」の欄には印刷会社Bが記載されているので、印刷会社Bを選択することもでき、「選択」の欄には、印刷会社Bの印刷システムが記載されているので、印刷会社Bの外部印刷システムで「配達工程」を実施することを示している。
【0112】
したがって、表示されている工程選択画面320では、ラミネート工程は自社で行い、包み製本工程は自社で実施できないので外部印刷システムの印刷会社Bに委託し、ステイプル工程、梱包工程および配達工程は自社で実施できるが、印刷会社Bに委託することを示している。
【0113】
上述した例では、印刷システムA100に包み製本機がないので、オペレータは、外部印刷システムB200に包み製本工程を一部委託している。印刷システムA100でラミネート工程を実施し、外部印刷システムB200で包み製本工程を実施した後、以降の工程については、オペレータは費用等を勘案して、外部印刷システムB200で実施するか、製本物を印刷システムA100に返送して、印刷システムA100で残りのステイプル工程、梱包工程および配達工程を実施するか、工程毎に選択を行うことができる。
【0114】
なお、工程選択画面320には、「後処理工程を実施する印刷システムを選択して、入力を確認してください。」という項目が表示されており、工程毎に実施させる印刷システムをオペレータが選択し、確定する場合には「次へ」のボタンを押下する。一方、工程の一部委託を止める場合には、「戻る」のボタンを押下する。
【0115】
次に、図6のステップS111およびステップS112で作成される内部指示書データと外部委託指示書データを印刷して得た内部指示書と外部委託指示書の表示例について、図を用いて説明する。
【0116】
図11は、内部指示書330の表示例を示している。内部指示書330には、ジョブタイトル(特許解体新書)と印刷システムA100で実施する後処理工程の処理内容が記載されている。また、内部指示書330には、依頼主の情報なども記載されている。具体的には、依頼主は××様であり、××様の住所(東京都八王子市大和田町×××と連絡先(Tel:0426−42−XXXX)が記載され、印刷ジョブのジョブ情報としては、A4サイズの400枚からなる印刷物を500部印刷する旨が記載されている。また、処理1として、ラミネート装置を用いたラミネート工程を自社で施すことが記載されており、標準ラミネートをA4サイズの前面に実施することが記載されている。また、処理2として、包み製本工程を外部委託することが記載されており、株式会社 印刷会社Bに委託する旨が記載されている。また、株式会社 印刷会社Bの住所(東京都日野市さくら町×××)と連絡先(Tel:0425−89−XXXX)も記載されている。処理3として、梱包工程を外部に委託する旨が記載されており、A4ワイドの水色の封筒で梱包することが記載されている。また、封筒タイプは、54が指定されている。処理4として、配達工程を外部に委託する旨が記載されており、委託により配達される配達先の住所(東京都八王子市大和田町×××)と連絡先(Tel:0426−42−XXXX)が記載されている。
【0117】
また、内部指示書330には、管理番号:20100927001011と、バーコードが付されており、印刷システムA100内で管理番号かバーコードを用いることにより、容易にジョブの進捗を把握・管理することができるようになっている。
【0118】
図12は、外部委託指示書340の表示例を示している。外部委託指示書340には、ジョブタイトル(特許解体新書)と外部印刷システムB200(印刷会社B)に委託する後処理工程の処理内容が記載されている。また、外部委託指示書340には、委託元と委託先の情報なども記載されている。具体的には、委託元は印刷会社A有限会社であり、また、委託先は株式会社 印刷会社Bであり、印刷会社A有限会社の住所(東京都八王子市石川町×××)および連絡先(Tel:0426−60−XXXX)と、株式会社 印刷会社Bの住所(東京都日野市さくら町×××)および連絡先(Tel:0425−89−XXXX)が記載されている。また、委託した処理は、処理1として、包み製本装置を用いた通常の包み製本工程を委託しており、A4の用紙サイズで400枚の製本を500部、通常の糊綴じを委託する旨が記載されている。処理2として、梱包装置を用いた部毎個別梱包の梱包工程を委託しており、水色のA4ワイド封筒を使用して梱包を実施する旨が記載され、封筒タイプとして、54を使用することが記載されている。処理3として、配送装置を用いて、一括配達する旨が記載されており、配達先として配達先の住所(東京都八王子市大和田町×××)および連絡先(Tel0426−42−XXXX)が指定されている。
【0119】
また、外部委託指示書340には、委託元管理番号:20100927001011と、バーコードが付されており、関連する内部指示書データを識別するための関連付け識別情報が含まれている。
【0120】
本実施の形態では、内部指示書330と外部委託指示書340に従って、オペレータは、印刷管理装置30や印刷管理装置260を用いて、後処理装置に後処理工程を実施させるようになっている。
【0121】
<第2の実施の形態>
上述した第1の実施の形態では、印刷システムA100で実施不可の工程があった場合に、その実施不可の工程を外部印刷システムB200で実施できるか否かを判断する形態であったが、本実施の形態はこれに限定されるものではない。たとえば、本発明に係る印刷管理装置30は、印刷システムA100や外部印刷システムB200などから所定の工程が実施可能か否かを示す実施可能工程情報を収集し、印刷システムA100や外部印刷システムB200のそれぞれで印刷ジョブの工程を工程毎に実施できるかを判別し、ユーザが工程毎に印刷システムを選択する形態であってもよい。
【0122】
具体的には、印刷管理装置30は、印刷システムA100内に存在せず、印刷管理装置30単独でユーザからの印刷ジョブや入稿、各種設定の情報の入力を受け付ける。そして、印刷管理装置30は、印刷システムA100や外部印刷システムB200などの任意の印刷システムから所定の工程を実施できるか否かを示す実施可能情報を取得して、実施可能な印刷システムを選択する形態であってもよい。
【0123】
以上説明したように、本実施の形態に係る印刷管理装置30は、外部ネットワーク500を介して外部の印刷システムから、その印刷システムで所定の工程が実施可能か否かを示す実施可能工程情報を自動で取得するので、印刷システムが有する後処理装置の種類や性能をユーザが調査したり、後処理装置の稼動空き情報をユーザが取得する必要がなく、同業他社との協業において、一部委託に対する調査労力や調査負担がかからない。
【0124】
また、本実施の形態に係る印刷管理装置30では、各印刷システムから取得した実施可能工程情報に基づいて、印刷ジョブの工程毎に、その工程を実施可能な印刷システムを判別して、実施先の印刷システムを選択することができるので、工程の一部委託を容易に行うことができる。
【0125】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0126】
たとえば、本実施の形態では、印刷工程のうち後処理工程を例に挙げて説明したが、本発明は後処理工程に限定されるものではなく、前処理工程であってもよい。ここで、後処理工程とは、複合機やプリンタなどにより印刷が実行されて、印刷された印刷用紙に対して、印刷後の処理を施す工程のことである。また、前処理工程とは、複合機やプリンタなどにより印刷用紙に印刷を実行する前に、印刷のために処理を施す工程のことである。
【0127】
また、前処理工程には、大別して2種類ある。1つ目は、印刷用紙に形成される画像データに予め処理を施す工程である。2つ目は、画像データを印刷用紙に印刷する前にその印刷用紙に処理を施す工程である。したがって、前処理工程では、印刷を印刷用紙に実施する前であれば、いずれの種類の工程であってもよい。
【0128】
たとえば、1つ目の種類に対応した前処理工程には、地紋付加処理、セキュリティ付加処理などの処理に対応した工程がある。ここで、地紋付加印刷とは、印刷データに地紋と言われる文字列を隠蔽し、印刷する際に隠蔽した文字列を文書の背景に重ねて印刷する処理のことである。したがって、地紋付加処理の工程では、印刷データに地紋と言われる文字列を隠蔽する処理が行われる。また、セキュリティ付加処理は、地紋付加印刷を強化したものである。具体的には、セキュリティが付加された紙文書は、コピーあるいはスキャン時にセキュリティが付加された文書であると判別され、コピー結果あるいはスキャン結果が破棄されて印刷内容が読めなくなるような処理を施す。したがって、セキュリティ付加処理では、地紋付加処理よりも高度な処理が施される。
【0129】
また、2つ目の種類に対応した前処理工程には、たとえば、印刷用紙自体を加熱装置によって加熱し、印刷用紙に含有される水分量を減少させる加熱工程がある。また、複合機のインクの特性に合わせて、印刷される印刷媒体に薬品や薬剤などを塗布する工程などであってもよい。この場合、印刷媒体は印刷用紙に限定されず、布や衣服などであってもよい。
【0130】
また、第1の実施の形態では、印刷管理装置30は、印刷ジョブの後処理工程のうち印刷システムA100で実施できない後処理工程を実施できる外部印刷システムを、印刷ジョブの工程毎に、その工程の実施の可否を判別していた。また、第2の実施の形態では、印刷管理装置30は、任意の印刷システムから、その印刷システムで所定の工程が実施可能か否かを示す実施可能工程情報を収集して、その印刷システムで印刷ジョブの工程を工程毎に実施できるかを判別し、ユーザに工程毎に印刷システムを選択させていた。
【0131】
本発明に係る実施の形態はこれらに限定されるものではなく、たとえば、任意の印刷システムで実施できない後処理工程について、その実施できない後処理工程のみの実施可能工程情報を他の印刷システムから収集して、その後処理工程のみを他の印刷システムが実施できるか否かを判別する形態であってもよい。
【0132】
また、たとえば、印刷管理装置30は、任意の印刷システムでの印刷ジョブの所定の工程の実施の可否にかかわらず、取得した印刷ジョブの全ての工程のそれぞれについてその工程を実施可能な他の印刷システムを工程別に判別するようにしてもよい。この場合、任意の印刷システムで実施可能な工程であっても、他の印刷システムにその工程を実施させる方が任意の印刷システムに実施させるよりも効率が良い場合には、その他の印刷システムに実施させるように印刷システムを選択することができる。
【0133】
また、本実施の形態では、印刷管理装置30は、ユーザから選択操作がない工程については、その工程を実施可能な印刷システムの中からその工程を実施させる印刷システムを自動的に選択するようにしてもよい。たとえば、図10の工程選択画面320において、印刷ジョブの工程別に、選択可能な印刷システムが提示されていても、その工程を実施可能な印刷システムがユーザによって選択されていない場合には、その工程を実施可能な印刷システムの中からその工程を実施させる印刷システムを自動的に選択する。
【0134】
この場合、たとえば、印刷管理装置30が管理する印刷システムA100がその工程を実施可能な印刷システムとして提示されている場合には、印刷システムA100をその工程の実施先の印刷システムに自動的に選択してもよい。また、企業間での業務提携や地理的特性などにより、ある特定の印刷システムを優先的に実施先の印刷システムとして選択するようにしてもよい。また、費用の安い順や工程の空きが早い順に印刷システムを選択するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0135】
A100…印刷システム
B200…外部印刷システム(印刷システム)
1…ネットワーク印刷システム
10…後処理装置
20…印刷装置
21…印刷機
22…プリンタ
30…印刷管理装置
31…CPU
32…ROM
33…RAM
34…入出力I/F部
35…表示装置
36…入力デバイス
37…不揮発メモリ
38…ハードディスク装置
39…ネットワークI/F部
41…印刷ジョブ取得部
42…ネットワーク通信部
43…選択処理部
44…指示書データ作成部
50…管理システム
70…画像処理装置
80…画像処理装置
90…内部ネットワーク
95…用紙棚
98…配送装置
101…50枚中綴じ装置
102…ラミネート装置
103…2穴パンチ装置
104…梱包装置
105…100枚ステイプル装置
201…150枚ステイプル装置
202…ラミネート装置
203…包み製本装置
204…多穴パンチ装置
205…梱包装置
210…後処理装置
221…印刷機
260…印刷管理装置
290…内部ネットワーク
295…用紙棚
298…配送装置
300…提供機能表示例
310…提供機能詳細情報
320…工程選択画面
330…内部指示書
340…外部委託指示書
500…外部ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の工程が組み合わされた印刷ジョブを取得する印刷ジョブ取得部と、
ネットワークを介して接続された印刷システムからその印刷システムで所定の工程が実施可能か否かを示す実施可能工程情報を収集するネットワーク通信部と、
前記印刷ジョブ取得部によって取得した印刷ジョブを実施させる印刷システムを工程毎に選択する選択処理部と、
を備え、
前記選択処理部は、
前記印刷ジョブの工程毎に、その工程を実施可能な印刷システムの判別に必要な前記実施可能工程情報を収集して前記判別を行い、前記印刷ジョブの工程毎にその工程を実施させる印刷システムを選択する選択処理を行う
ことを特徴とする印刷管理装置。
【請求項2】
前記印刷ジョブのいずれかの工程の実施先に選択された印刷システム毎に、その印刷システムに実施させる工程を示した指示書のデータを作成する指示書データ作成部を
さらに備えることを特徴とする請求項1に記載の印刷管理装置。
【請求項3】
前記選択処理部は、
特定の印刷システムにおいて前記印刷ジョブの全ての工程を実施可能か否かを判断し、実施不可の工程があった場合には、前記ネットワークを介して接続された他の印刷システムから、前記特定の印刷システムで実施不可の工程を該他の印刷システムで実施可能か否かを示す実施可能工程情報を前記ネットワーク通信部によって収集して、前記他の印刷システムが前記特定の印刷システムで実施不可な工程を実施可能な印刷システムかを判別し、前記特定の印刷システムで実施不可な工程を実施させる印刷システムを、その工程を実施可能な前記他の印刷システムの中から選択する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の印刷管理装置。
【請求項4】
前記選択処理部は、
前記印刷ジョブの全ての工程のそれぞれについて前記実施可能工程情報を取得し、前記印刷ジョブの全ての工程のそれぞれについてその工程を実施可能な全ての印刷システムの中から実施先の印刷システムを選択する
ことを特徴とする請求項3に記載の印刷管理装置。
【請求項5】
前記選択処理部は、
前記印刷ジョブの工程別に、選択可能な実施先の印刷システムを提示して、提示した印刷システムの中から実施先の印刷システムの選択操作をユーザから受け付ける
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の印刷管理装置。
【請求項6】
前記選択処理部は、
実施可能な印刷システムが1つしか見つからない工程については、その実施可能な印刷システムをその工程の実施先の印刷システムに決定する
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の印刷管理装置。
【請求項7】
前記選択処理部は、
ユーザからの選択操作がない工程については、その工程を実施可能な印刷システムの中からその工程を実施させる印刷システムを自動的に選択する
ことを特徴とする請求項5に記載の印刷管理装置。
【請求項8】
前記複数の工程は、印刷処理に関する後処理工程を含む
ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の印刷管理装置。
【請求項9】
前記複数の工程は、印刷処理に関する前処理工程を含む
ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の印刷管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−181741(P2012−181741A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45095(P2011−45095)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】