説明

印刷胴の角速度を調整する方法

【課題】ブランケット胴のブランケットの効率的でかつ十分に制御されたクリーニングを可能にする方法を提案する。
【解決手段】版胴PS1と、管状のブランケット4を支持するのに適しておりかつ版胴PS1との接触領域9を規定する第1のブランケット胴BS1と、第1のブランケット胴BS1と逆圧領域5を規定する圧胴BI1とが設けられた第1の印刷ユニット1を調整する方法は、第1の印刷ユニット1が印刷している時に、6分以上の調整ステップを有し、版胴PS1の印刷角速度ω2に対する第1のブランケット胴BS1の印刷角速度ω1に関して、調整ステップの時間の少なくとも一部の間に、これらの角速度の比ω1/ω2が、版胴PS1の公称直径D2と第1のブランケット胴BS1の公称直径D1との比D2/D1と異なり、速度差Δω=ω1−ω2×D2/D1を規定し、あらゆる速度差Δωが調整ステップの時間te全体にわたって同じ符号である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷ユニットの印刷胴の角速度を調整する方法に関する。本発明は、特にウェブオフセット輪転印刷機において適用可能である。
【背景技術】
【0002】
印刷ユニットの位置合わせを調整する方法は欧州特許第1048461号明細書より公知である。別の文献である欧州特許第1364780号明細書には、メンテナンスの段階において、版胴が、関連するブランケット胴の回転速度とは異なる回転速度で駆動される方法が記載されている。
【0003】
オフセット印刷プロセスの公知の問題の1つは、ブランケットの汚れであり、これは、印刷されるドットの表面積の減少、つまりしばしば"ドット消滅"と呼ばれる現象を生じる。ブランケットは、ブランケット非印刷部位における、乾燥しかつ紙に転移されない少量のインキの堆積によって汚される。ペーパーダストが乾燥したインキと混合されることもある。このインキ及びペーパーダストの堆積物は、新鮮なインキドットを包囲し、インキドットの寸法を徐々に減じる。ドットの寸法の減少は、もはや印刷プロセスの許容できる公差の範囲にない印刷の影の変動を生じる。インキ及びペーパーダストの堆積は、ブランケットが耐えられる以上に押し潰され、破壊されるような厚さになることもある。
【0004】
ドット消滅現象を減じる1つの方法が、前記欧州特許第1048461号明細書に記載されている。この特許では、新鮮なインキが乾燥したインキを除去するように、刷版とブランケットとの間に、僅かな横方向移動及び交代する相シフトとを生ぜしめることによってその現象を減じることが提案されている。これは、印刷ユニットの周方向位置合わせ及び横方向位置合わせを定期的にシフトさせることによって行われる。この公知の方法の1つの欠点は、周方向位置合わせ及び横方向位置合わせの制限された行程を考慮すると、ブランケットが、数ミリメートルのオーダの小さな表面積を有する領域においてしかクリーニングされることができない、ということである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第1048461号明細書
【特許文献2】欧州特許第1364780号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の第1の目的は、ブランケット胴のブランケットの効率的でかつ十分に制御されたクリーニングを可能にする方法を提案することである。
【0007】
オフセット印刷の別の問題は、紙のウェブに印刷するオフセット印刷機において生じる。これらの印刷機は複数の印刷ユニットを有しており、各印刷ユニットは、関連するブランケットを備えた固有のブランケット胴を有している。関連するブランケット胴の一回転の間に印刷ユニットによって送られる紙のウェブの長さは、ブランケット胴上に存在するブランケットの特性に依存することが分かっている。紙ウェブの送り量は、ブランケットがブランケット胴と紙ウェブとの間において圧縮されている時のブランケットの挙動に従って変化する。1つの印刷ユニットと別の印刷ユニットとの間のブランケットの挙動の違いは、2つの印刷ユニットの間に位置した紙ウェブの区分における張力に影響を及ぼす。印刷ユニット間の変動する張力自体は、1つの印刷ユニットの入口から別の印刷ユニットへの紙ウェブの幅の差を生じる(この現象は"ポアソン効果"と呼ばれる)。これは、紙ウェブの走行に対して垂直な方向での、様々な印刷ユニットによって印刷される印像の不十分な重なり合いにつながる。
【0008】
この問題を回避する1つの方法は、各ブランケットに、紙の送り量に関するブランケットの挙動の関数である、送り係数と呼ばれるパラメータを関連付けることである。ブランケットの送り係数は、好適には、ブランケットの寸法特性又は剛性を測定することによって、又は、試験ベンチにおいて、互いに接触しておりかつ一方が測定されるべきブランケットを支持している2つの胴の間の相対速度を測定することによって決定される。大抵のケースでは、送り係数は、ブランケットの多かれ少なかれ良好な挙動を反映する質的なパラメータである。次いで、送り係数は、ブランケットの挙動の質を示す文字(A,B,C,D,…)に対応してよい。しかしながら、送り係数は、数字によって示された量的なパラメータであってもよい。
【0009】
ブランケットは、その送り係数に従って、印刷機の様々な印刷ユニットに、推奨される順序で取り付けられる。しかしながら、ブランケットを取り付けるための正確な順序の規定は、取付け作業を、長々とした、面倒な、融通の利かないものにする。さらに、ブランケットの送り係数は、例えば圧縮層に含まれた微小気泡の崩壊によって、又はブランケットに対する溶剤、インキ及びクリーニング剤の継続的な作用によって、使用過程で変化する。これにより、偶然に破壊された1つのブランケットを交換することが困難になっている。
【0010】
したがって、本発明の第2の目的は、印刷される印像の正確な重なり合いを、信頼できる、単純な、融通の利く形式で保証する方法を提案することである。
【0011】
接触領域を規定する2つのブランケット胴を有する印刷ユニットの場合、ブランケットの送り係数の違いは、印刷ユニットの印刷胴の様々なモータによって提供されるべきトルクの差を生じるので付加的な問題を生じる。これにより、印刷ユニットに必要以上にパワフルなモータを装備する必要があり、モータの調整をより困難にしている。
【0012】
したがって、本発明の第3の目的は、印刷ユニットにおいてよりパワフルでないモータの使用を可能にし、モータの調整をより単純にする方法を提案することである。
【0013】
本発明によって解決される共通の問題は、経済的な手段を用いて印刷品質を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的は、版胴と、管状のブランケットを支持するのに適しておりかつ版胴との接触領域を規定する第1のブランケット胴と、第1のブランケット胴と相互押圧領域を規定する圧胴とが設けられた形式の第1の印刷ユニットを調整する方法によって達成され、この方法は、第1の印刷ユニットが印刷している時に、6分以上の時間の調整ステップを有しており、
A)版胴の印刷角速度ω2に対する第1のブランケット胴の印刷角速度ω1に関して、調整ステップの時間の少なくとも一部の間に、これらの角速度の比ω1/ω2が、版胴の公称直径D2と第1のブランケット胴の公称直径D1との比D2/D1と異なり、これにより、速度差Δω=ω1−ω2×D2/D1を規定し、あらゆる速度差Δωが調整ステップの時間全体にわたって同じ符号であり、かつ/又は
B)ブランケット胴の印刷角速度ω2に対する圧胴の印刷角速度ω1に関して、調整ステップの時間の少なくとも一部の間に、これらの角速度の比ω1/ω2が、第1のブランケット胴の公称直径D2と圧胴の公称直径D1との比D2/D1と異なり、これにより、速度差Δω=ω1−ω2×D2/D1を規定しており、あらゆる速度差Δωが、調整ステップの時間全体にわたって同じ符号であり、かつ/又は
C)方法が、第1の印刷ユニット及び第2の印刷ユニットを有するウェブ輪転印刷機を調整するための方法であり、第2の印刷ユニットがブランケット胴を有しており、前記調整ステップが、第1の印刷ユニットの第1のブランケット胴の印刷角速度ω2に対する第2の印刷ユニットのブランケット胴の印刷角速度ω1の調整を含んでおり、これにより、調整ステップの時間の少なくとも一部の間、これらの角速度の比ω1/ω2が、第1の印刷ユニットの第1のブランケット胴の公称直径D2と、第2の印刷ユニットのブランケット胴の公称直径D1との比D2/D1と異なり、これにより、速度差Δω=ω1−ω2×D2/D1を規定しており、あらゆる速度差Δωが調整ステップの時間全体にわたって同じ符号である。
【0015】
本発明において、胴の角速度とは、胴の回転速度をラジアン毎秒(rad/s)で示したものを意味する。
【0016】
2つの胴の間の一定の符号の速度差を保証するために2つの印刷胴の角速度を調整することによって、増大する位相シフトが2つの胴の間で得られる。
【0017】
2つの胴が、版胴と、管状ブランケットを支持したブランケット胴とに相当する場合、増大する位相シフトとは、ブランケット上での印像の連続的な変位を示し、これにより、新鮮なインキが乾燥したインキを再吸収する。その結果、ブランケットは表面全体にわたって均一にクリーニングされる。
【0018】
2つの胴が、同じ印刷ユニットの2つの協働するブランケット胴に相当する場合、角速度の差は、提供されるモータトルクを等しくするために2つのブランケットの送り係数の差が保証されることを可能にする。
【0019】
2つの胴が、異なる印刷ユニットの2つのブランケット胴に相当する場合、角速度の差は、2つの印刷ユニットの間の紙ウェブの張力が所望の値に維持されることを可能にする。
【0020】
特定の実施形態によれば、本発明による調整方法は、個々に、又はあらゆる技術的に可能な組合せに従って、以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上を含む:
−第1のブランケット胴と版胴とは、版胴から第1のブランケット胴への印刷されるべき印像の転移のための接触領域において接触しており、第1のブランケット胴と版胴との速度差Δωが、これらの2つの胴の間の増大する単調な又は減少する単調な周方向シフトを生じ、これにより、ブランケットの全周にわたってインキ又は埃の局所的な蓄積を回避するように調整される;
−圧胴が第2のブランケット胴であり、2つのブランケット胴の相互押圧領域が、印刷されるウェブを挟持するための領域であり、これらの2つのブランケット胴の速度差Δωが、第1のブランケット胴の駆動手段によって提供されるトルクと、第2のブランケット胴の駆動手段によって提供されるトルクとの差を減じるように調整される;
−第1の印刷ユニットと第2の印刷ユニットとが2つの連続したユニットであり、第1の印刷ユニットの第1のブランケット胴と、第2の印刷ユニットのブランケット胴とが、それぞれがウェブの同じ側に部分的な印像を印刷するのに適しており、第1の印刷ユニットの第1のブランケット胴と、第2の印刷ユニットのブランケット胴との速度差Δωが、第1の印刷ユニットと第2の印刷ユニットとの間においてウェブの張力を一定に保つように又は所定の値に調整するように調整される;
−速度差Δωを規定する2つの胴が、特に、同じ公称直径を有しており、これらの2つの胴の速度差Δωが、2つの胴を、2つの胴のうちの一方が所定の回数nの回転を行った時に(nは1から5000までの整数である)、他方の胴が、n回の回転に所定の角度適応値を加えたものか、又はn回の回転から所定の角度適応値を引いたものを行っているように駆動することによって生ぜしめられる;
−角度適応値が、好適には印刷ユニットに関連したセンサを用いて、観察により経験に基づいて決定される;
−2つのブランケット胴の速度差Δωを生ぜしめるために、角度適応値が、2つのブランケット胴のうちの一方のブランケットに関連した送り係数C1に関して、及び他方のブランケット胴のブランケットに関連した送り係数C2に関して決定され、各送り係数が、印刷されるウェブに対する、関連するブランケットの案内挙動を示している;
−角度適応値が、送り係数C1と送り係数C2との差の関数である;
−第1のブランケット胴と版胴との角速度の差が、第1の所定の角度適応値によって生ぜしめられ、それと同時に、第1のブランケット胴と圧胴との角速度の差が、第2の所定の角度適応値によって生ぜしめられ、第2の角度適応値が第1の角度適応値と異なり;
−それと同時に、第2の印刷ユニットのブランケット胴と、第1の印刷ユニットの第1のブランケット胴との角速度の差が、第3の所定の角度適応値によって生ぜしめられ、第3の角度適応値が、第1の角度適応値及び第2の角度適応位置と異なり;
−各角度適応値が、2.5×10-6〜2.5×10-5ラジアンであり、特に5×10-6ラジアンのオーダである及び/又は0.5μm〜5μmである関連する胴の円周上の適応距離に相当する;
−版胴が、固有のモータによって個々に駆動され、第1のブランケット胴及び圧胴が、共通のモータによって又は2つの個々のモータによって駆動され、それぞれの速度差Δωが、これらのモータを調整することによって得られる;
−印刷作業中、各ブランケットは、ブランケット胴に対して周方向に不動に、関連するブランケット胴に固定されている;
−調整ステップの全時間を通じて、|Δω|=|ω1−ω2×D2/D1|>0である;
−調整ステップが、少なくとも2つの調整サブステップを含んでおり、これらの調整サブステップの間、|Δω|>0であり、少なくとも1つの同期したサブステップを有しており、この同期したサブステップの間、Δω=0であり、好適には2つの調整サブステップが調整ステップを区切っている。
【0021】
本発明は、印刷機における1つ又は2つ以上の印刷胴の角速度を調整するための装置にも関し、この装置は、上に規定されたような調整方法を実施するのに適している。
【0022】
これに加え、本発明は、印刷機における1つ又は2つ以上の印刷胴の角速度を調整するためのソフトウェアにも関し、このソフトウェアは、上に規定されたような調整方法を実施するのに適している。
【0023】
本発明は、完全に例として提供される以下の説明を読み、また添付の図面を参照すると、より理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明による調整方法が実施される印刷機の側面図である。
【図2】第2の胴が一回転した時に第1の胴によって行われる回転を示す図である。
【図3】本発明による2つの胴の角速度の差の、時間に関する変化の3つの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は印刷機10を示している。この印刷機10は3つのオフセット印刷ユニット1,2及び3を有している。各印刷ユニットは、印刷ユニットを通過する紙ウェブ6の2つの面に特定の色の部分的な印像を印刷するために使用される。
【0026】
各印刷ユニットは4つの印刷胴、すなわち上部版胴PSと、上部ブランケット胴BSと、下部ブランケット胴BIと、下部版胴PIとを有している。特定の胴の参照符号の接尾辞1,2又は3は、3つの印刷ユニットのうちの1つの所属を表している。例えば、参照符号BS2は、印刷ユニット2の上部ブランケット胴を表している。図1に示された実施形態において、印刷機10の各印刷胴は実質的に同じ直径を有している。しかしながら、本発明は、異なる直径を備えた印刷胴を有する印刷機にも適用可能である。
【0027】
2つの、つまり上部及び下部のブランケット胴の間に紙ウェブを挟持するための領域は符号5によって示されており、版胴とブランケット胴との間の接触領域は符号9によって示されており、ブランケット胴のブランケットは符号4によって示されている。
【0028】
版胴PS,PIには横方向溝が設けられており、この横方向溝は、刷版が懸吊されることを可能にしている。ブランケット胴BS,BIは溝を有しておらず、管状ブランケットが各ブランケット胴に滑り被せられて締め付けられる。
【0029】
各ブランケット4は、関連するブランケット胴上で周方向に完全に不動である。言い換えれば、ブランケット4は印刷運転中にブランケット胴上でシフトされない。
【0030】
各印刷ユニット1,2,3は4つのモータも有しており、各モータMは、胴のうちの1つだけに関連させられており、その胴を駆動するために使用される。図示されていない発明の別の態様においては、印刷ユニットの2つのブランケット胴BS,BIが同じモータによって駆動されるのに対し、2つの版胴のそれぞれが個々のモータによって駆動されてもよい。
【0031】
印刷機10は、調整装置8、一般的にコンピュータ等の電子装置も有している。この調整装置8は、モータMの作動、つまり各印刷胴の角速度ωを調整するためにモータMに接続されている。
【0032】
調整装置8は複数のセンサ7にも接続されており、そのうち1つが図1に示されている。これらのセンサ7は、張力T1-2,T2-3、又は紙ウェブ6の幅、様々な印刷ユニットによって印刷された異なる色のドットの間の距離、又はモータMのトルク等の種々異なる印刷パラメータを測定する。
【0033】
概して、公知の形式では、印刷機10が印刷している時、調整装置8は、印刷胴の全てが同じ角速度ωを有することを保証する。
【0034】
本発明によれば、調整装置8は、胴の角速度の差を生ぜしめるのにも適している。この説明の目的のために、印刷機10の胴は、2つの胴から成るセットとして考えられ、各セットが、第1及び第2の胴から構成されている。
【0035】
以下に説明される実施形態は、同じ公称直径を有する第1及び第2の胴について述べる。公称直径は、印刷長さの関数である。同じ周速の場合、2つの胴が同じ公称直径を有しているならば、2つの胴は同じ角速度を有する。
【0036】
第1及び第2の胴が、同じ周速において、互いに異なる公称直径を有するならば、第1の胴の角速度は第2の胴の角速度のD2/D1倍であり、D1は第1の胴の公称直径で、D2は第2の胴の公称直径である(ω1=ω2×D2/D1)。この場合、したがって、角速度ω2に補正率FC=D2/D1を乗じなければならない。好適には、補正率は以下の基準FC=D2/D1=p/qを満たしており、この場合、p;qは[1;2;3;4;5]である。好適には、FC=D2/D1又はD1/D2は整数に等しい。
【0037】
現実には、胴の実際の外径は、全ての場合にこれらの基準を厳密に満たすわけではなく、版胴は、ブランケット胴の直径とは僅かに異なる直径を有している。その場合、数p及びqは、関連する胴の円周上に配置されるページ数である。例えば、版胴が円周上に3つの印刷ページを有しており、ブランケット胴が2つの印刷ページを有しているならば、p=3及びq=2、つまりFC=3/2である。
【0038】
調整装置は、第1の印刷胴が、第2の印刷胴の角速度ω2と僅かに異なる角速度ω1で回転するように角速度を調整するのに適している。
【0039】
この速度差ω1−ω2=Δωの実施形態が図2によって示されている。時間Tの間に、第2の胴は一回転する。その結果、第2の胴の角速度ω2は2π/Tである。第2の胴の関連する周速はV2=2πR/Tであり、Rは胴の半径である。同じ時間Tの間に、第1の胴は、一回転から、距離イプシロン(ε)を引いた分だけ回転する。この距離イプシロンは、関連する角度αを備える円弧である。したがって、第1の胴の角速度ω1は(2π−α)/Tであり、第1の胴の周速V1は(2πR−ε)/Tである。角度αは、角度適応値として規定されてよい。
【0040】
変化態様において、時間Tの間に、第2の胴が常に一回転するのに対し、第1の胴が、一回転に、角度αを加えた(つまり距離イプシロン(ε)を加えた)分だけ回転するように、2つの胴の角速度を調整することも可能である。より一般的には、第2の胴がn回の回転を行った時に(nは1〜5000の整数である)、第1の胴は、n回の回転に所定の角度アルファ(α)を加えた分、又はn回の回転から所定の角度アルファ(α)を引いた分だけ回転するように、1つ又は2つの印刷胴の角速度を調整することが可能である。
【0041】
α又はεの選択は、2つの印刷胴の性質及び意図される目的に従って異なる。
【0042】
図3は、2つの印刷胴の角速度の差Δωの、時間に関する調整の3つの異なる例を示している。これらの例のそれぞれにおいて、Δωは、6分以上の時間teの調整ステップの間に調整される。好適には、時間teは、印刷ジョブにかかる時間と同じである。図3の下側のグラフは、2つの胴の角度位相ずれΔαの、時間に関する変化を示しているのに対し、上側のグラフは、Δωの対応する変化を示している。
【0043】
E1で示された第1の例によれば、Δωは調整ステップ全体を通じて一定であり、Δαの変化は直線に相当する。E2で示された第2の例によれば、Δωの変化は、複数の最大値及び最小値を有する変動する曲線に相当する。これらの2つの例は共通して、調整ステップの時間全体を通じて絶対値が|Δω|>0である。
【0044】
E3で示された第3の例において、速度差|Δω|>0が、teよりも小さい時間qの調整サブステップの間に周期的に生ぜしめられる。各調整サブステップの後には、同期サブステップが行われ、この同期サブステップにおいてはΔωは実質的に0に等しい。この図の場合、Δαの変化は、スロープによって接続された平坦部の連続の形状になっている。スロープは、2つの胴の間の周方向滑りのステップに対応する。好適には、図3に示されているように、速度差Δωの発生の時間q及び振幅Aは常に同じである。しかしながら、一回の発生ごとにq及びAを変化させることも考えられるであろう。さらに、速度差Δωは、周期的にではなく、特にランダムに発生されてもよい。
【0045】
したがって、好適には、2つの調整サブステップは調整ステップを区切っている。言い換えれば、調整ステップの開始と終了は、調整サブステップと一致している。
【0046】
図3の3つの例は共通して、調整ステップの経過において適用されるあらゆる速度差Δωが、調整ステップの時間te全体を通じて常に同じ符号である。つまり、調整ステップの経過において、位相シフトΔαは、増大するか又は一定のままではあるが、減少することはない。
【0047】
図3の3つの例は限定していない;Δωのその他の変化プロフィルも考えられる。
【0048】
第1の実施形態:ブランケットのクリーニングの最適化
第1の実施形態において、角速度の差が生ぜしめられる第1及び第2の胴は、同じ印刷ユニット内に設けられており、それぞれブランケット胴と、関連する版胴である。例えば、これらの胴は、印刷ユニット1の胴BS1及びPS1であるか、又は印刷ユニット3の胴BI3及びPI3であってよい。
【0049】
ここでの目的は、ブランケット胴のブランケットの効率的なクリーニングを得ることである。このために、適応値アルファα(又はイプシロンε)が、ブランケットの効率的なクリーニングを保証するために十分に高い値に設定される。これと同時に、アルファα(又はイプシロンε)の値は、印刷品質の妨害を生ぜしめないように十分に低い値に設定される。実験は、特に約400mmの直径を有する胴のためのアルファの好適な範囲が2.5×10-6〜2.5×10-5ラジアンにわたって延びていることを示しており、これは0.5〜5μmのイプシロン範囲に相当する。特に好適な形式では、アルファは、胴の一回転ごとに5×10-6のオーダであり、これは、胴の一回転ごとに1ミクロンのオーダのイプシロンεの値に相当する。結局、重要であるのはイプシロンの値である;アルファの値は胴の直径の関数である。
【0050】
印刷運転の経過における版胴とブランケット胴との結果的な速度差により、印像はブランケットの表面上でゆっくりと変位させられ、これが埃及び乾燥したインキを連続的に排除する。
【0051】
このクリーニング方法は特に管状ブランケットに適している。調整ステップは、版胴に設けられた横方向溝の周方向寸法を超える値に達するように、2つの胴の間の周方向変位のための十分に長い時間にわたって適用される。このような変位は、ブランケットが不連続なブランケットである場合には許容されないであろう。なぜならば、版胴の溝とブランケット胴の溝との所要の重なり合いが生じなくなるからである。
【0052】
第2の実施形態:印刷される印像の正確な重なり合いを保証する
この実施形態において、第1の胴は第1の印刷ユニットのブランケット胴に相当し、第2の胴は第2の印刷ユニットのブランケット胴に相当する。第1の胴は送り係数C1を備える第1のブランケットを支持しており、第2の胴は送り係数C2を備える第2のブランケットを支持している。
【0053】
この実施形態の目的は、2つの印刷ユニットの間に配置された紙ウェブ6の区分Sに生じる張力を所望の値に保ち、各印刷ユニットによって印刷される印像の正確な重なり合いを保証することである。このために、アルファ(又はイプシロン)の値は、2つのブランケットの送り係数の差C1−C2を補償するように選択される。
【0054】
例えば、1つのブランケットの送り係数が、理論的な送り量に対する胴の一回転のための紙送り量のずれのための正確な数字を与えるならば、イプシロン=C1−C2である。
【0055】
第1の印刷ユニットのブランケット胴と、第2の印刷ユニットのブランケット胴との結果的な速度差により、1つのブランケットと別のブランケットとの挙動の違いが補償される。つまり、2つの印刷ユニット1,2,3の間の紙ウェブの張力が所望の値に保たれる。もちろん、1つの印刷ユニットと別の印刷ユニットのブランケット胴の角速度のこのような変動は、全ての印刷ユニットのための版胴の角速度が等しいままでないと、不可能である。さもないと、様々な印刷ユニットによって印刷される印像の間に増大する変位が生じるであろう。
【0056】
図1に示された印刷機10は3つの印刷ユニット1,2,3を有している。この関係で、イプシロン(又はアルファ)の2つの値を計算する必要がある。値イプシロン1は、第1の印刷ユニット1と第2の印刷ユニット2との間の紙ウェブ6の張力T1-2を調整するために計算される。値イプシロン2は、第2の印刷ユニット2と第3の印刷ユニット3との間の紙ウェブ6の張力T2-3を調整するために計算される。
【0057】
好適には、イプシロン1とイプシロン2とは以下の式に従って計算される:
イプシロン1=Cm1−Cm2;
イプシロン2=Cm2−Cm3;
Cm1は、印刷ユニット1の2つのブランケットの送り係数の算術平均に相当し、Cm2は、印刷ユニット2の2つのブランケットの送り係数の算術平均に相当し、Cm3は、印刷ユニット3の2つのブランケットの送り係数の算術平均に相当する。
【0058】
次いで、イプシロン1が、胴BS2及びBI2の角速度に適用され、イプシロン2が、胴BS3及びBS3の角速度に適用される。つまり、胴BS1及びBI1が一回転した時、胴BS2及びBI2は、一回転からイプシロン1を引いた分だけ回転し、胴BS3及びBI3は、一回転からイプシロン2を引いた分だけ回転する。言い換えれば、印刷ユニット1の2つのブランケット胴は第1の速度ωb1で回転し、印刷ユニット2の2つのブランケット胴は、ωb1よりも僅かに遅い速度ωb2で回転し、印刷ユニット3の2つのブランケット胴は、ωb1よりも僅かに遅くかつωb2とは異なる速度ωb3で回転する。イプシロンは、ブランケットの特性に従って正又は負であってよい。
【0059】
第3の実施形態:よりパワフルでないモータの使用を可能にする
この実施形態では、第1及び第2の胴はそれぞれ、同じ印刷ユニットの上部ブランケット胴と下部ブランケット胴とに相当する。第1の胴は送り係数C1を有する第1のブランケットを支持しているのに対し、第2の胴は送り係数C2を有する第2のブランケットを支持している。これらの胴は、例えば印刷ユニット2の胴BS2及びBI2であるか、印刷ユニット3の胴BS3及びBI3であってよい。
【0060】
この場合の目的は、同じ印刷ユニット内のモータトルクの分布を最適化することである。このために、イプシロンの値は、2つのブランケットの送り係数の差C1−C2を補償するように選択される。
【0061】
例えば、1つのブランケットの送り係数が、理論的な送り量に対する胴の一回転のための紙送り量のずれを正確に表しているならば、イプシロン=C1−C2である。
【0062】
上部ブランケット胴と下部ブランケット胴との結果的な僅かな速度差により、1つのブランケットと他方のブランケットとの挙動の違いが補償される。つまり、同じ印刷ユニットのブランケット胴のモータのトルクKs,Kiが等しくなる。
【0063】
一般的な観察
3つの実施形態は別々に説明されたが、これらの実施形態は様々な形式で組み合わされてもよい。
【0064】
例えば、ブランケットのクリーニングを行うと同時に、モータトルクの同一化を行うために、第1の実施形態を第3の実施形態と組み合わせることが可能である。3つの実施形態の全てを同時に適用することも可能である。
【0065】
少なくとも2つの実施形態を組み合わせる場合には、イプシロンしきい値を規定することが有利である。
【0066】
第1の実施形態のために、ブランケットの正確なクリーニングを補償する、イプシロン最小しきい値が規定される。その場合、まずイプシロンは上記方法に従って胴のそれぞれのセットのために規定される。次に、胴のそれぞれのセットのために、関連するイプシロン値がイプシロン最小しきい値よりも大きいかどうかを決定するためのチェックが行われる。イプシロン値のいずれかがイプシロン最小しきい値よりも小さい場合には、そのイプシロンしきい値よりも低い各イプシロン値が増大される。その場合、好適には、イプシロン最小しきい値よりも小さいイプシロン値が存在しないように十分な程度に、全てのイプシロン値が同じ値だけ増大させられる。
【0067】
同様に、その速度差を超えると2つの印刷ユニットの間でダブリングが観察されるような速度差に相当する、イプシロン最大しきい値が規定される。全てのイプシロン値が、上記方法のうちの1つ又は2つ以上に従って決定される場合、イプシロン値のいずれかがイプシロン最大しきい値よりも大きいかどうかを決定するためのチェックが行われる。大きい場合は、イプシロン最大しきい値よりも高い各しきい値が、イプシロン最大しきい値と等しいか又はそれよりも小さくなるように減少させられる。好適には、イプシロン最大しきい値よりも大きいイプシロン値が存在しないように十分な程度に、全てのイプシロン値が同じ値だけ減少させられる。
【0068】
上記イプシロン計算は、例であり、イプシロンを計算する別の方法も考えられる。好適には、これらの計算は、調整装置8によって行われる。
【0069】
1つ又は2つ以上のイプシロン値の計算以外の方法によって角速度の適切な差を得ることも可能である;胴の角速度は、見つかった欠陥を低減又は排除するためにオペレータによって手動で調整されることもできる。オペレータは、例えば、ドット消滅現象が消滅するまで、及び/又は紙ウェブ区分Sの正確な張力が2つの印刷ユニットの間で得られるまで、及び/又は同じユニットのモータによって提供されるトルクが等しくなるまで、角速度を調整することができる。
【0070】
本発明による方法は、2つの印刷ユニットの間のウェブの機械的な張力を変更し、この張力が、特に張力を増大又は減少させることによって、2つの他の印刷ユニットの間のウェブの機械的な張力に近くなるようにする。
【0071】
角速度又はイプシロン値は、センサ、例えばセンサ7を用いて、調整装置8によって自動的に調整されることもできる。これらのセンサは、様々な印刷ユニット1,2,3の間のウェブ6の張力T1-2,T2-3を測定することができる。これらのセンサは、様々な印刷ユニット1,2,3の間のウェブ6の幅、又は様々な印刷ユニット1,2,3によって印刷される異なる色のドットの間の距離を測定することもできる。センサは、モータMのトルク又は印刷されたドットの寸法を測定することもできる。
【符号の説明】
【0072】
1,2,3印刷ユニット、 6 ウェブ、 7 センサ、 8 調整装置、 10 印刷機、 PS 上部版胴、 BS 上部ブランケット胴、 BI 下部ブランケット胴、 PI 下部版胴、 M モータ、 T1-2,T2-3 張力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
版胴(PS1)と、管状のブランケット(4)を支持するのに適しておりかつ版胴(PS1)との接触領域(9)を規定する第1のブランケット胴(BS1)と、第1のブランケット胴(BS1)と相互押圧領域(5)を規定する圧胴(BI1)とが設けられた形式の第1の印刷ユニット(1)を調整する方法において、この方法は、第1の印刷ユニット(1)が印刷している時に、6分以上の時間(te)の調整ステップを有しており、
A)版胴(PS1)の印刷角速度ω2に対する第1のブランケット胴(BS1)の印刷角速度ω1に関して、調整ステップの時間の少なくとも一部の間に、これらの角速度の比ω1/ω2が、版胴(PS1)の公称直径D2と第1のブランケット胴(BS1)の公称直径D1との比D2/D1と異なり、これにより、速度差Δω=ω1−ω2×D2/D1を規定し、あらゆる速度差Δωが調整ステップの時間(te)全体にわたって同じ符号であり、かつ/又は
B)第1のブランケット胴(BS1)の印刷角速度ω2に対する圧胴(BI1)の印刷角速度ω1に関して、調整ステップの時間の少なくとも一部の間に、これらの角速度の比ω1/ω2が、第1のブランケット胴(BS1)の公称直径D2と圧胴(BI1)の公称直径D1との比D2/D1と異なり、これにより、速度差Δω=ω1−ω2×D2/D1を規定し、あらゆる速度差Δωが、調整ステップの時間(te)全体にわたって同じ符号であり、かつ/又は
C)方法が、第1の印刷ユニット(1)及び第2の印刷ユニット(2)を有する、ウェブ(6)を用いる輪転印刷機(10)を調整するための方法であり、第2の印刷ユニットがブランケット胴(BS2)を有しており、前記調整ステップが、第1の印刷ユニット(1)の第1のブランケット胴(BS1)の印刷角速度ω2に対する第2の印刷ユニット(2)のブランケット胴(BS2)の印刷角速度ω1の調整を含んでおり、これにより、調整ステップの時間の少なくとも一部の間、これらの角速度の比ω1/ω2が、第1の印刷ユニット(1)の第1のブランケット胴(BS1)の公称直径D2と、第2の印刷ユニット(2)のブランケット胴(BS2)の公称直径D1との比D2/D1と異なり、これにより、速度差Δω=ω1−ω2×D2/D1を規定し、あらゆる速度差Δωが調整ステップの時間(te)全体にわたって同じ符号であることを特徴とする、第1の印刷ユニットを調整する方法。
【請求項2】
第1のブランケット胴(BS1)と版胴(PS1)とが、版胴(PS1)から第1のブランケット胴(BS1)への印刷されるべき印像の転移のために接触領域において接触しており、第1のブランケット胴(BS1)と版胴(PS1)との速度差Δωが、これらの2つの胴の間に、増大する単調な又は減少する単調な周方向変位を生じ、これにより、ブランケットの全周にわたってインキ又は埃の局所的な蓄積を回避するように調整される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
圧胴が第2のブランケット胴(BI1)であり、2つのブランケット胴の相互押圧領域が、印刷されるウェブ(6)を挟持するための領域(5)であり、これらの2つのブランケット胴の速度差Δωが、第1のブランケット胴(BS1)の駆動手段(M)によって提供されるトルク(Ks)と、第2のブランケット胴(BI1)の駆動手段(M)によって提供されるトルク(Ki)との差を減じるように調整される、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
第1の印刷ユニット(1)と第2の印刷ユニット(2)とが2つの連続したユニットであり、第1の印刷ユニット(1)の第1のブランケット胴(BS1)と、第2の印刷ユニット(2)のブランケット胴(BS2)とが、それぞれがウェブ(6)の同じ側に部分的な印像を印刷するのに適しており、第1の印刷ユニット(1)の第1のブランケット胴(BS1)と、第2の印刷ユニット(2)のブランケット胴(BS2)との速度差Δωが、第1の印刷ユニット(1)と第2の印刷ユニット(2)との間におけるウェブ(6)の張力(T1-2)を一定に保つように又は所定の値に調整するように調整される、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
速度差Δωを規定する2つの胴が、特に、同じ公称直径(D2=D1)を有しており、これらの2つの胴の速度差Δωが、2つの胴を、2つの胴のうちの一方が、nが1から5000までの整数である所定の回数nの回転を行った時に、他方の胴が、n回の回転に所定の角度適応値(α)を加えた回転か、又はn回の回転から所定の角度適応値(α)を引いた回転を行っているように、駆動することによって生ぜしめられる、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
角度適応値(α)が、好適には印刷ユニットに関連したセンサ(7)を用いて、観察により経験に基づいて決定される、請求項5記載の方法。
【請求項7】
2つのブランケット胴の速度差Δωを生ぜしめるために、角度適応値(α)が、2つのブランケット胴のうちの一方のブランケット(4)に関連した送り係数C1に関して、及び他方のブランケット胴のブランケットに関連した送り係数C2に関して決定され、各送り係数が、印刷されるウェブ(6)に対する、関連するブランケットの案内挙動を示している、請求項3又は4と組み合わされた請求項5記載の方法。
【請求項8】
角度適応値(α)が、送り係数C1と送り係数C2との差の関数である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
第1のブランケット胴(BS1)と版胴(PS1)との角速度の差が、第1の所定の角度適応値(α1)によって生ぜしめられ、それと同時に、第1のブランケット胴(BS1)と圧胴(BI1)との角速度の差が、第2の所定の角度適応値(α2)によって生ぜしめられ、第2の角度適応値(α2)が第1の角度適応値(α1)と異なる、請求項5から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
同時に、第2の印刷ユニット(2)のブランケット胴(BS2)と、第1の印刷ユニット(1)の第1のブランケット胴(BS1)との角速度の差が、第3の所定の角度適応値(α3)によって生ぜしめられ、該第3の角度適応値(α3)が、第1の角度適応値(α1)及び第2の角度適応値(α2)と異なる、請求項4と組み合わされた請求項9記載の方法。
【請求項11】
各角度適応値(α,α1,α2,α3)が、2.5×10-6〜2.5×10-5ラジアンである、特に5×10-6ラジアンのオーダである及び/又は0.5μm〜5μmである関連する胴の円周上の適応距離(ε)に相当する、請求項5から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
版胴(PS1)が、固有のモータ(M)によって個々に駆動され、第1のブランケット胴(BS1)及び圧胴(BI1)が、共通のモータによって又は2つの個々のモータ(M)によって駆動され、それぞれの速度差Δωが、これらのモータを調整することによって得られる、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
印刷作業中、各ブランケット(4)は、ブランケット胴に対して周方向に不動に、関連するブランケット胴(BS1)に固定されている、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
調整ステップの全時間を通じて、|Δω|=|ω1−ω2×D2/D1|>0である、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
調整ステップが、少なくとも2つの調整サブステップを含んでおり、これらの調整サブステップの間、|Δω|>0であり、少なくとも1つの同期サブステップを有しており、この同期サブステップの間、Δω=0であり、好適には2つの調整サブステップが調整ステップを区切っている、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
印刷機(10)における1つ又は2つ以上の印刷胴の角速度を調整するための装置(8)において、該装置(8)が、請求項1から15までのいずれか1項記載の方法を実施するのに適していることを特徴とする、装置。
【請求項17】
印刷機(10)における1つ又は2つ以上の印刷胴の角速度を調整するためのソフトウェアにおいて、該ソフトウェアが、請求項1から15までのいずれか1項記載の方法を実施するのに適していることを特徴とする、ソフトウェア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−20450(P2011−20450A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−159346(P2010−159346)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(594141705)ゴス インターナショナル モンタテール ソシエテ アノニム (41)
【氏名又は名称原語表記】Goss International Montataire,S.A.
【住所又は居所原語表記】Square H.Marinoni,F−60761 Montataire,France
【Fターム(参考)】