説明

印刷装置、印刷システム、印刷データ生成装置及び印刷データ生成プログラム

【課題】元画像の一部分を拡大した拡大部分と非拡大部分との合成画像を、拡大部分と非拡大部分との解像度の差が小さくなるように印刷する。
【解決手段】合成画像を印刷する場合には(S102:YES)、拡大部分の大きさ、拡大率、所定の間引き率に応じて算出された拡大部分の画素数Nsが、元画像の画像データの拡大部分に対応する部分の画素数Nmax以下の場合には(S106:YES)、元画像の画像データの画素を、非拡大部分については所定の間引き率で間引いて、拡大部分については所定の間引き率より小さい間引き率で間引いて、印刷データを生成する(S107、S108)。一方、画素数Nsが画素数Nmaxを超えている場合には(S106:NO)、元画像の画像データの画素を、非拡大部分については所定の間引き率より大きい間引き率で間引いて、拡大部分については画素を間引かずに、印刷データを生成する(S109、S110)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、元画像の一部分を拡大した拡大部分と非拡大部分とを合成した合成画像を印刷する印刷装置及び印刷システム、並びに、このような合成画像を印刷するための印刷データを生成する印刷データ生成装置及び印刷データ生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の印刷システムにおいては、ユーザが、オーダーシートに印刷されたサンプル画像のうち拡大したい拡大対象領域をマーカで囲むとともに、拡大対象領域の拡大率及び配置を指定するためのチェック欄にチェックを入れてから、オーダーシートをスキャナに読み込ませると、印刷装置において、サンプル画像において拡大対象部分のみが拡大された画像、すなわち、拡大された拡大対象部分(拡大部分)と、それ以外の部分(非拡大部分)とが合成された合成画像が印刷される。
【0003】
また、特許文献2に記載の印刷システムでは、プリンタドライバにおいて、元画像の画像データから、一部の画素のデータを所定の間引き率で間引く間引き処理を行うことにより、元画像の画像データよりもデータ量の小さい印刷イメージデータを生成し、この印刷イメージデータをプリンタに転送することにより印刷を行っている。これにより、元画像のデータよりも低い解像度で印刷を行う場合などには、元画像のデータから印刷に使用しない画素のデータを間引いた印刷イメージデータをプリンタに転送することになるため、処理を高速化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−92393号公報
【特許文献2】特開2001−195213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献2に記載されているような、元画像の画像データの一部を間引いたデータにより印刷を行う印刷システムを用いて、特許文献1に記載されているように、元画像の一部分を拡大した拡大部分と非拡大部分とを合成した合成画像を印刷する場合、拡大部分及び非拡大部分のいずれについても、元画像のデータを同じ間引き率で間引いて印刷イメージデータを生成し、生成した印刷データに基づいて合成画像を印刷すると、拡大部分については拡大されている分だけ非拡大部分よりも解像度が低くなる。その結果、印刷された合成画像においては、拡大部分と非拡大部分との間に画質の差が生じてしまう。
【0006】
本発明の目的は、元画像の一部分を拡大した拡大部分と非拡大部分の解像度の差が小さくなるように、拡大部分と非拡大部分とを合成した合成画像を印刷することが可能な印刷装置、並びに、このような合成画像を印刷するための印刷データを生成する印刷データ生成装置、及び、印刷データ生成プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明に係る印刷装置は、元画像の一部分を拡大した拡大部分と非拡大部分とを合成した合成画像を被記録媒体に印刷する印刷装置であって、前記元画像のうち前記拡大部分とする範囲である拡大範囲を決定する拡大範囲決定手段と、前記拡大部分の前記非拡大部分に対する拡大率を決定する拡大率決定手段と、前記元画像の画像データと、前記拡大範囲及び前記拡大率から、前記合成画像を印刷するための印刷データを生成する印刷データ生成手段と、前記印刷データ生成手段で生成された前記印刷データに基づいて前記被記録媒体に前記合成画像を印刷する印刷手段を備え、前記印刷データ生成手段は、前記非拡大部分については、前記元画像の画像データの画素数を所定の間引き率で間引いて、前記画像データよりも画素数の少ない前記印刷データを生成し、前記拡大部分については、前記元画像の画像データの画素を、前記所定の間引き率よりも小さい間引き率で間引いて、前記印刷データを生成することを特徴とするものである。
【0008】
これによると、非拡大部分については元画像の画像データの画素を所定の間引き率で間引いて印刷データを生成し、拡大部分については元画像の画像データの画素を上記所定の間引き率よりも小さい間引き率で間引いて印刷データを生成することにより、拡大部分と非拡大部分との解像度の差を小さくすることができる。
【0009】
なお、元画像の画像データの画素を、所定の間引き率よりも小さい間引き率で間引くことには、元画像の画像データの画素を間引かない(間引き率が0%である)ことも含まれる。
【0010】
第2の発明に係る印刷装置は、第1の発明に係る印刷装置であって、前記印刷データ生成手段は、前記拡大部分の拡大率が大きいほど、前記拡大部分の前記間引き率を小さく設定することを特徴とするものである。
【0011】
間引き率が同じであれば、拡大率が大きくなるほど解像度は小さくなるが、拡大率が大きくなるほど間引き率を小さくして拡大部分の画素数を多くすることにより、拡大部分と非拡大部分との解像度の差が大きくなるのを防止することができる。
【0012】
第3の発明に係る印刷装置は、第2の発明に係る印刷装置であって、前記印刷データ生成手段は、前記拡大部分の画素数が、前記拡大部分について前記元画像の画像データの画素を前記所定の間引き率で間引いたとした場合の前記拡大部分の画素数に、前記拡大率を2乗した値を乗じた数となるように、前記元画像の画像データからの間引きを行うことを特徴とするものである。
【0013】
これによると、拡大部分と非拡大部分とを同じ解像度にすることができる。
【0014】
第4の発明に係る印刷装置は、第3の発明に係る印刷装置であって、前記印刷データ生成手段は、前記拡大部分の画素数が、前記元画像の画像データの前記拡大部分に対応する部分における画素数を超えてしまう場合には、前記非拡大部分の間引き率を前記所定の間引き率よりも大きくして、前記非拡大部分の画素数をさらに小さくすることを特徴とするものである。
【0015】
拡大部分と非拡大部分とで解像度を同じにするために、拡大部分の画素数を決定したときに、その画素数が、元画像の画像データの拡大部分対応する部分における画素数を超えていると、実際にはその通りに印刷できない。そこで、このような場合には、非拡大部分の間引き率を大きくして、非拡大部分の解像度を小さくすることにより、拡大部分と非拡大部分とを同じ解像度にすることができる。
【0016】
第5の発明に係る印刷システムは、印刷装置を含んでおり、元画像の一部分を拡大した拡大部分と非拡大部分とを合成した合成画像を前記印刷装置において被記録媒体に印刷する印刷システムであって、前記元画像のうち前記拡大部分とする範囲である拡大範囲を決定する拡大範囲決定手段と、前記拡大部分の前記非拡大部分に対する拡大率を決定する拡大率決定手段と、前記元画像の画像データと、前記拡大範囲及び前記拡大率から、前記合成画像を印刷するための印刷データを生成する印刷データ生成手段と、前記印刷データ生成手段で生成された前記印刷データに基づいて前記被記録媒体に前記合成画像を印刷する印刷手段を備え、前記印刷データ生成手段は、前記非拡大部分については、前記元画像の画像データの画素数を所定の間引き率で間引いて、前記画像データよりも画素数の少ない前記印刷データを生成し、前記拡大部分については、前記元画像の画像データの画素を、前記所定の間引き率よりも小さい間引き率で間引いて、前記印刷データを生成することを特徴とするものである。
【0017】
第6の発明に係る印刷データ作成装置は、被記録媒体に印刷される、元画像の一部分を拡大した拡大部分と非拡大部分とを合成した合成画像の印刷データを作成する印刷データ作成装置であって、前記元画像のうち前記拡大部分とする範囲である拡大範囲を決定する拡大範囲決定手段と、前記拡大部分の前記非拡大部分に対する拡大率を決定する拡大率決定手段と、前記元画像の画像データと、前記拡大範囲及び前記拡大率から、前記印刷データ生成手段を備え、前記印刷データ生成手段は、前記非拡大部分については、前記元画像の画像データの画素数を所定の間引き率で間引いて、前記画像データよりも画素数の少ない前記印刷データを生成し、前記拡大部分については、前記元画像の画像データの画素を、前記所定の間引き率よりも小さい間引き率で間引いて、前記印刷データを生成することを特徴とするものである。
【0018】
第7の発明に係る印刷データ作成プログラムは、被記録媒体に印刷される、元画像の一部分を拡大した拡大部分と非拡大部分とを合成した合成画像の印刷データを作成するための印刷データ作成プログラムであって、コンピュータを、前記元画像のうち前記拡大部分とする範囲である拡大範囲を決定する拡大範囲決定手段、前記拡大部分の前記非拡大部分に対する拡大率を決定する拡大率決定手段、前記元画像の画像データと、前記拡大範囲及び前記拡大率から、前記印刷データを生成する印刷データ生成手段として動作させ、前記印刷データ生成手段において、前記非拡大部分については、前記元画像の画像データの画素を、所定の間引き率で間引いて、前記画像データよりも画素数の少ない前記印刷データを生成させ、前記拡大部分については、前記元画像の画像データの画素を、前記所定の間引き率よりも小さい間引き率で間引いて、前記印刷データを生成させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、拡大部分について、元画像の画像データの画素を非拡大部分よりも小さい間引き率で間引いて印刷データを生成することにより、拡大部分と非拡大部分との解像度の差を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明における実施の形態に係るプリンタの概略構成図であり、(a)が蓋を閉じた状態、(b)が蓋を開けた状態を示している。
【図2】図1(a)のタッチパネルの表示画面に表示される画像を示す図である。
【図3】図1のプリンタを制御する制御装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図4】図1のプリンタにおいて合成画像を印刷する手順を示す図である。
【図5】元画像の画像データの2分の1の解像度で印刷を行う場合であり、且つ、拡大率が200%である場合の、画素の間引き方の一例を示す図である。
【図6】元画像の画像データの2分の1の解像度で印刷を行う場合であり、且つ、拡大率が400%である場合の画素の間引き方の一例を示す図である。
【図7】元画像の画像データの4分の1の解像度で印刷を行う場合であり、且つ、拡大率が200%である場合の、画素の間引き方の一例を示す図である。
【図8】元画像の画像データの4分の1の解像度で印刷を行う場合であり、且つ、拡大率が400%である場合の、画素の間引き方の一例を示す図である。
【図9】図7の例で、拡大部分についての間引き率を、非拡大部分についての間引き率と同じとした場合の図7(c)相当の図である。
【図10】変形例1の印刷システムの機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0022】
図1は本実施の形態に係るプリンタの概略構成図であり、(a)が後述する蓋3を閉じた状態、(b)が蓋3を開けた状態を示している。図1に示すように、プリンタ1は、本体ケース2、蓋3、キャリッジ4、インクジェットヘッド5、用紙搬送ローラ6、タッチパネル7などを備えている。また、プリンタ1の動作は、後述する制御装置40(図3参照)により制御されている。
【0023】
本体ケース2は、上面が開口した略直方体形状のケースである。蓋3は本体ケース2の上面の開口を塞ぐためのものである。そして、プリンタ1は、通常は蓋3を閉じた状態で使用されるとともに、蓋3を開けることにより、インクジェットヘッド5に対するメンテナンス等を行うことができるようになっている。
【0024】
キャリッジ4は、本体ケース2の内部に配置されており、走査方向(図1の左右方向)に往復移動する。インクジェットヘッド5は、キャリッジ4の下面に配置されており、その下面に形成された図示しない複数のノズルからインクを吐出する。用紙搬送ローラ6は、本体ケース2の内部に配置されており、記録用紙Pを紙送り方向(図1の手前方向)に搬送する。
【0025】
そして、プリンタ1においては、キャリッジ4とともに走査方向に往復移動するインクジェットヘッド5から、用紙搬送ローラ6に搬送される記録用紙Pにインクを吐出することにより、記録用紙P(被記録媒体)に印刷を行う。
【0026】
タッチパネル7は、蓋3の図1における手前側の表面に配置されている。タッチパネル7は、蓋3の上記表面に露出した表示画面19aを有しており、表示画面19aに、プリンタ1において印刷される画像や、プリンタ1の操作を行うためのボタンなどを表示するディスプレイ19(図3参照)と、ユーザが指や専用のペンなどにより表示画面19aに触れたときに、その位置を検出する検出センサ18(図3参照)とを備えている。なお、タッチパネル7の構成は従来のものと同様であるので、ここではその詳細な説明を省略する。
【0027】
図2は、タッチパネル7の表示画面19aに表示される画像を示す図である。図2に示すように、表示画面19aには、印刷画像表示部21、拡大率表示部22、画像読み出しボタン23、拡大範囲設定ボタン24、拡大率設定ボタン25、拡大部分位置設定ボタン26、印刷ボタン27、決定ボタン28、4つの方向ボタン29などが表示される。
【0028】
印刷画像表示部21は、表示画面19aの左上端部と略中央部とにまたがって連続的に延びた領域に配置された略矩形の部分であり、印刷画像表示部21には、プリンタ1により印刷される画像が表示される。ここで、プリンタ1では、読み出した画像をそのまま印刷する通常の印刷に加えて、元画像にその一部分(図の枠32により囲まれた部分)を拡大した拡大部分31aを合成した合成画像、すなわち、拡大部分31aとそれ以外の拡大しない部分である非拡大部分31bとを合成した合成画像31の印刷を行うことができるようになっており、図2は、印刷画像表示部21に、合成画像31が表示された状態を示している。
【0029】
なお、このような合成画像31を印刷する具体例としては、集合写真に、その中の特定人物の拡大写真を合成した合成画像を印刷することや、装置全体の画像に、その装置の特定部分の拡大画像を合成した合成画像を印刷すること等があげられる。
【0030】
拡大率表示部22は、表示画面19aの左下端部に配置されており、拡大部分31aの拡大率(例えば200%など)が表示されている。
【0031】
画像読み出しボタン23、拡大範囲設定ボタン24、拡大率設定ボタン25、拡大部分位置設定ボタン26、印刷ボタン27、決定ボタン28、4つの方向ボタン29は、表示画面19a上に表示されたボタンであって、指や専用のペンなどでこれらのボタンに触れて操作を行うことにより、以下に説明するように、各ボタンの操作に対応する動作を実行させることができるようになっている。なお、これらのボタン23〜29は、タッチパネル7の表示画面19a上に表示されていることには限られず、タッチパネル7の外部に実際のボタンとして配置されていてもよい。
【0032】
画像読み出しボタン23は、表示画面19aの右上端部に配置されており、拡大範囲設定ボタン24が操作されると、表示画面19aに、例えば、画像データの一覧が表示されたポップアップウィンドウが表示され、合成画像31の元となる元画像の画像データの選択が可能な状態となる。
【0033】
拡大範囲設定ボタン24は、画像読み出しボタン23の下方に配置されており、拡大範囲設定ボタン24が操作されると、表示画面19aに表示された画像のうち、拡大部分31aとする範囲(枠32の範囲、拡大範囲)の設定、変更の入力が可能な状態となる。
【0034】
拡大率設定ボタン25は、拡大範囲設定ボタン24の下方に配置されており、拡大率設定ボタン25が操作されると、拡大率表示部22に表示された拡大率の設定、変更の入力が可能な状態となる。
【0035】
拡大部分位置設定ボタン26は、拡大率設定ボタン25の下方に配置されており、拡大部分位置設定ボタン26が操作されると、印刷画像表示部21に表示された、拡大部分31aが配置される位置(例えば中心位置)を規定するためのマーカ33の位置の設定、変更の入力が可能な状態となる。
【0036】
印刷ボタン27は、拡大率表示部22の右方に配置されており、印刷ボタン27が操作されると、プリンタ1において、印刷画像表示部21に表示された画像が印刷される。
【0037】
決定ボタン28は、表示画面19aの右下端部に配置されており、決定ボタン28を操作することにより、上述した画像データの選択、拡大範囲の変更、拡大率の変更、拡大部分を配置する位置の設定、変更を確定することなどができる。
【0038】
4つの方向ボタン29は、決定ボタン28の上方、下方、左方及び右方にそれぞれ配置されており、上述したように画像データの選択、及び、拡大範囲、拡大率、拡大部分を配置する位置の設定、変更の入力が可能となった状態で、方向ボタン29を操作することにより、これらの変更を行うことができるようになっている。
【0039】
次に、プリンタ1を制御する制御装置40について説明する。図3は、制御装置40を含めたプリンタ1の構成を示す機能ブロック図である。
【0040】
制御装置40は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などからなり、これらが、図3に示すように、画像データ読み出し部41、拡大範囲決定部42、拡大率決定部43、拡大部分位置決定部44、表示画像データ生成部45、表示制御部46、印刷データ生成部47、印刷制御部48などとして機能する。
【0041】
画像データ読み出し部41は、印刷する画像の元となる元画像のデータを読み出す。具体的には、例えば、画像読み出しボタン23が操作されることにより上記画像データの一覧のポップアップウィンドウが表示されている状態で、方向ボタン29が操作されることによりポップアップウィンドウ上で選択されている画像データが切り替わり、決定ボタン28が操作されると、選択されている画像データを元画像データとして決定し、プリンタ1に挿入された図示しないメモリーカードなどから対応する画像データを読み出す。
【0042】
拡大範囲決定部42は、上述の拡大範囲設定ボタン24が操作されて、拡大部分31aとする範囲の設定、変更の入力が可能となった状態で、検出センサ18が検出した決定ボタン28及び方向ボタン29の操作に応じて、元画像のうち拡大部分31aとする範囲(枠32の範囲、拡大範囲)を決定する。具体的には、例えば、制御装置40のRAMなどに枠32の範囲を記憶しておき、方向ボタン29が操作されたときに、その操作に応じて枠32の位置、大きさを変更し、決定ボタン28が操作されたときに、記憶されている枠32の範囲を拡大部分31aとする範囲に決定する。
【0043】
拡大率決定部43は、上述の拡大率決定ボタン24が操作されて、拡大率の設定、変更の入力が可能となった状態で、検出センサ18が検出した決定ボタン28及び方向ボタン29の操作に応じて拡大率を決定する。具体的には、例えば、制御装置40のRAMなどに拡大率を記憶しておき、方向ボタン29が操作されたときに、その操作に応じて記憶されている拡大率を増加又は減少させ、決定ボタン28が操作されたときに、記憶されている拡大率を拡大部分31aの拡大率として決定する。
【0044】
拡大部分位置決定部44は、上述の拡大部分位置設定ボタン26が操作されて、拡大部分31aを配置する位置の設定、変更の入力が可能となった状態で、検出センサ18が検出した決定ボタン28及び方向ボタン29の操作に応じて拡大部分31aを配置する位置を決定する。具体的には、例えば、制御装置40のRAMなどにマーカ33の位置を記憶しておき、方向ボタン29が操作されたときに、その操作に応じて記憶されているマーカ33の位置を変更し、決定ボタン28が操作されたときに、記憶されているマーカ33の位置を拡大部分31aが配置される位置(例えば、中心位置)として決定する。
【0045】
なお、本実施の形態では、上述したように、拡大部分位置設定ボタン26、拡大部分位置決定部44が設けられており、マーカ33の位置を設定することにより拡大部分31aを配置する位置を自由に設定することができるようになっているが、これには限られず、常に、拡大部分31aが、例えば合成画像31の右上端部など合成画像31の特定の箇所に配置されるように構成されていてもよい。
【0046】
表示画像データ生成部45は、表示画面19aに表示させるための表示画像の画像データを生成する。具体的には、画像データ読み出し部41により読み出された画像データに対応する元画像と、拡大範囲決定部42により決定された位置に配置された枠32と、拡大部分位置決定部44により決定された位置に配置されたマーカ33と、マーカ33の位置に配置されており、元画像の枠32内の部分を拡大率決定部43により決定された拡大率で拡大した拡大部分31aの画像とをあわせた画像の画像データを生成する。また、表示画像データ生成部45は、拡大率表示部22、操作ボタン23〜28の画像の画像データも生成する。表示制御部46は、表示画像データ生成部45により生成された画像データに対応する画像が、表示画面19aに表示されるようにディスプレイ19を制御する。
【0047】
印刷データ生成部47は、画像データ読み出し部41により読み出された元画像のデータ、拡大範囲決定部42により決定された枠32の範囲、拡大率決定部43により決定された拡大率、及び、拡大部分位置決定部44により決定されたマーカ33の位置に基づいて、印刷を行うための印刷データを生成する。このとき、印刷データ生成部47は、印刷される画像の解像度に合わせて、印刷に用いない元画像の画像データの画素の一部を間引いて印刷データを生成する。これにより、印刷データ生成部47から印刷制御部48に転送する印刷データのデータ量は、元画像の画像データに比べて小さくなり、印刷データの転送処理、印刷制御部48における印刷処理などを高速に行うことができる。なお、印刷データ生成部47において生成される印刷データについては、後ほど詳細に説明する。
【0048】
印刷制御部48は、キャリッジ4、インクジェットヘッド5及び用紙搬送ローラ6の制御を行い、プリンタ1に、印刷データ生成部47により生成された印刷データに対応する画像を印刷させる。なお、本実施の形態では、キャリッジ4、インクジェットヘッド5、用紙搬送ローラ6及びこれらを制御する印刷制御部48をあわせたものが、本発明に係る印刷手段に相当する。
【0049】
次に、プリンタ1において印刷を行う手順について説明する。図4は、この手順を示すフローチャートである。
【0050】
図4に示すように、プリンタ1において印刷を行うためには、まず、画像データ読み出し部41により画像のデータを読み出す(ステップS101、以下、単にS101などとする)。
【0051】
そして、合成画像31ではなく、読み出した画像をそのまま印刷する通常の印刷を行う場合には(S102:NO)、読み出した画像データの画素を、印刷データ生成部47において、元画像の画像データとプリンタ1において印刷される画像の解像度の比によって決まる所定の間引き率で間引いて印刷データを生成する(S103)。ここで、間引き率とは、間引き前の画素数に対する間引き後の画素数の比を示している。
【0052】
そして、印刷制御部48の制御により、キャリッジ4、インクジェットヘッド5及び用紙搬送ローラ6を動作させて、生成した印刷データに基づいて画像を印刷する(S111)。
【0053】
一方、合成画像31の印刷を行う場合には(S102:YES)、上述したボタン23〜28の操作などにより、拡大部分31aとする部分の範囲(枠32の範囲)、拡大率、拡大部分31aを配置する位置(マーカ33の位置)を指定する(S104)。
【0054】
続いて、印刷データ生成部47において、拡大部分31aの画素数を算出する(S105)。具体的には、元画像の画像データの拡大部分31aに対応する部分の画素を、上記所定の間引き率で間引いたとした場合の画素数に、拡大率を2乗した値を乗じることによって拡大部分31aの画素数を算出する。
【0055】
続いて、上記S105において算出された拡大部分31aの画素数Nsが、元画像の画像データの拡大部分31aに対応する部分の画素数Nmax以下の場合には(S106:YES)、印刷データ生成部47において、元画像の画像データの画素を、上記通常の印刷を行う場合と同様の所定の間引き率で間引いて、非拡大部分31bの印刷データを生成する(S107)。さらに、印刷データ生成部47において、元画像の画像データの画素を、所定の間引き率よりも小さい間引き率で間引いて、拡大部分31aの印刷データを生成する(S108)。このとき、拡大部分31aの拡大率が大きい場合ほど、間引き率が小さくなるようにする。
【0056】
そして、印刷制御部48の制御により、キャリッジ4、インクジェットヘッド5及び用紙搬送ローラ6を動作させて、生成した拡大部分31a及び非拡大部分31bの印刷データに基づいて、合成画像31の印刷を行う(S111)。
【0057】
一方、算出された拡大部分31aの画素数Nsが、画素数Nmaxを超えてしまう場合には(S106:NO)、印刷データ生成部47において、元画像の画像データの画素を上記所定の間引き率よりも大きい間引き率で間引いて非拡大部分31bの印刷データを生成する(S109)。さらに、印刷データ生成部47において、元画像の画像データの画素を間引かずに(所定の間引き率よりも小さい間引き率0%で間引いて)、拡大部分31aの印刷データを生成する(S110)。
【0058】
そして、印刷制御部48の制御により、キャリッジ4、インクジェットヘッド5及び用紙搬送ローラ6を動作させて、生成した拡大部分31a及び非拡大部分31bの印刷データに基づいて、合成画像31の印刷を行う(S111)。
【0059】
次に、上記ステップS103、S105、S107〜S110の具体例について説明する。なお、以下では、具体例として、元画像の画像データの2分の1又は4分の1の解像度で印刷を行う場合であり、且つ、拡大部分31aの拡大率が200%(2倍)又は400%(4倍)である場合について説明する。
【0060】
また、以下の説明においては、元画像の画像データを、図5(a)に示すような、上下方向及び左右方向に関して3つおきに配置された画素Da(図中線間の狭いハッチングを付した画素)、上下方向及び左右方向に関して1つおきに配置された画素のうち画素Daを除いた画素Db(図中線間の広いハッチングを付した画素)、及び、それ以外の画素Dc(図中ドットのハッチングを付した画素)からなるものであるとする。
【0061】
元画像の画像データの2分の1の解像度で印刷を行う場合、上記S103においては、図5(a)に示す元画像の画像データの画素Da、Db、Dcのうち、画素Dcを間引き、図5(b)に示す、元画像の画像データにおいて上下方向及び左右方向に関して1つおきに配置された画素Da、Dbからなる印刷データを生成する。なお、この場合には、間引き後の画素数が間引き前の画素数の4分の1(=(1/2))になっており、間引き率は75%(=(3/4)×100%)となる。そして、この間引き率が本発明に係る所定の間引き率に相当する。
【0062】
さらに、上記S105においては、拡大率が200%(2倍)である場合には、拡大部分31aの画素数Nsは、所定の間引き率で間引いたとしたことにより元画像の画像データの拡大部分31aに対応する部分の画素数Nmaxの4分の1(=(1/2))となった画素数を4(=2)倍したもの、つまり、画素数Nmaxと同じになる。
【0063】
このとき、算出された拡大部分31aの画素数Nsが、画素数Nmax以下となるため(S106:YES)、上記S107において、図5(a)に示す元画像の画像データの画素Da、Db、Dcのうち画素Dcを間引いて、図5(b)に示す、画素Da、Dbからなる非拡大部分31bの印刷データを生成する。
【0064】
さらに、上記S108において、元画像の画像データの画素を間引かずに(所定の間引き率よりも小さい間引き率0%で画素を間引いて)、図5(c)に示す、画素Da、Db、Dcからなる拡大部分31aの印刷データを生成する。
【0065】
一方、拡大率が400%(4倍)である場合には、上記S105において算出される拡大部分31aの画素数Nsは、所定の間引き率で間引いたとしたことにより画素数Nmaxの4分の1(=(1/2))となった画素数を16(=4)倍したもの、すなわち、画素数Nmaxを4倍したものなり、画素数Nmaxを超えてしまうこととなる。
【0066】
このとき、算出された拡大部分31aの画素数が、画素数Nmaxを超えているため(S106:NO)、上記S109において、図6(a)に示す、元画像の画像データの画素Da、Db、Dcのうち画素Db、Dcを間引いて、図6(b)に示す、元画像の画像データにおいて上下方向及び左右方向に関して3つおきに配置された画素Daからなる非拡大部分31bの印刷データを生成する。なお、この場合には、間引き後の画素数が間引き前の画素数の16分の1(=(1/4))になっており、間引き率は93.75%(=(15/16)×100%)となる。そして、この間引き率は所定の間引き率75%よりも大きくなっている。
【0067】
さらに、上記S110において、元画像の画像データの画素を間引かずに(所定の間引き率よりも小さい間引き率0%で画素を間引いて)、図6(c)に示す、画素Da、Db、Dcからなる拡大部分31aの印刷データを生成する。
【0068】
また、元画像の画像データの4分の1の解像度で印刷を行う場合には、上記S103において、図5(a)と同様の図7(a)に示す元画像の画像データの画素Da、Db、Dcのうち画素Db、Dcを間引いて、図7(b)に示す、上下方向及び左右方向に関して3つおきに配置された画素Daからなる印刷データを生成する。なお、この場合には、間引き後の画素数が間引き前の画素数の16分の1になっており、間引き率は93.75%(=(15/16)×100%)となる。そして、この間引き率が本発明に係る所定の間引き率に相当する。
【0069】
さらに、上記S105においては、拡大率が200%(2倍)であるとすると、拡大部分31aの画素数Nsは、所定の間引き率で間引いたとしたことにより、元画像の画像データの拡大部分31aに対応する部分の画素数Nmaxの16分の1(=(1/4))になった画素数を4(=2)倍したもの、つまり、画素数Nmaxの4分の1になる。
【0070】
一方、拡大率が400%(4倍)であるとすると、上記S105において算出される拡大部分31aの画素数Nsは、所定の間引き率で間引いたとしたことより画素数Nmaxの16分の1(=(1/4))となった画素数を16(=4)倍したもの、すなわち、画素数Nmaxと同じとなる。
【0071】
以上のように、この場合には、拡大率が200%及び400%のいずれであっても、算出される拡大部分31aの画素数Nsは、画素数Nmax以下となる(S106:YES)。
【0072】
したがって、拡大率が200%の場合には、上記S107において、図7(a)に示す元画像の画像データの画素Da、Db、Dcのうち画素Db、Dcを間引いて(所定の間引き率で間引いて)、図7(b)に示すような画素Daからなる非拡大部分31bの印刷データを生成する。そして、上記S108において、元画像の画像データの画素Da、Db、Dcのうち画素Dcを間引き(所定の間引き率よりも小さい間引き率で画素を間引いて)、図7(c)に示すような画素Da、Dbからなる拡大部分31aの印刷データを生成する。
【0073】
一方、拡大率が400%の場合には、上記S107において、図7(a)と同様の図8(a)に示す元画像の画像データの画素Da、Db、DcのうちDb、Dcを間引いて(所定の間引き率で画素を間引いて)、図8(b)に示すような画素Daからなる非拡大部分31bの印刷データを生成する。さらに、上記S108において、元画像の画像データの画素を間引かずに(所定の間引き率よりも小さい間引き率0%で画素を間引いて)、図8(c)に示すような、画素Da、Db、Dcからなる拡大部分31aの印刷データを生成する。
【0074】
ここで、本実施の形態では、元画像の画像データの画素を間引いて印刷データを生成する際の、拡大部分31aについての画素の間引き率が、非拡大部分31bについての画素の間引き率よりも小さくなっていたが、拡大部分31aについての間引き率と非拡大部分31bについての間引き率を同じにすることも考えられる。そして、この場合には、印刷データを生成する際に、拡大部分31a及び非拡大部分31bに関わらず、元画像の画像データに対して一律の処理を行えばよいため、印刷データの生成処理が簡単になる。
【0075】
しかしながら、この場合には、生成された印刷データに基づいて印刷された合成画像31において、拡大部分31aと非拡大部分31bとの間に解像度の差が生じ、その結果、拡大部分31aと非拡大部分31bとの間に画質の差が生じてしまう。
【0076】
上述の具体例では、拡大率が200%の場合、拡大部分31aについての間引き率と非拡大部分31bについての間引き率を同じにし、画素Dcのみを間引いて拡大部分31a及び非拡大部分31bの印刷データを生成すると、非拡大部分31bの印刷データが、前述したように図5(b)、図7(b)に示すようなものになるのに対して、拡大部分31aの印刷データが図5(d)、図7(d)に示すようなものになる。その結果、図5(b)と図5(d)、及び、図7(b)と図7(d)とをそれぞれ比較すればわかるように、印刷された合成画像31において、拡大部分31aの単位長さあたりの画素数(解像度)が、非拡大部分31bの2分の1となってしまう。
【0077】
これに対して、本実施の形態では、上記S107、S108のように、非拡大部分31bについての間引き率を所定の間引き率とするとともに、拡大部分31aについての間引き率を所定の間引き率よりも小さくすることにより、拡大部分31aの画素数Nsが、拡大部分31aについての間引き率を所定の間引き率としたとした場合の画素数に、拡大率を2乗した値を乗じた数となるようにしているため、印刷される合成画像31において、拡大部分31aと非拡大部分31bとが同じ解像度となり(拡大部分31aと非拡大部分31bとの間の解像度の差が小さくなり)、拡大部分31aと非拡大部分31bとの間に画質の差が生じない。
【0078】
上述の具体例では、拡大率が200%の場合、前述したように、拡大部分31aの印刷データは図5(c)、図7(c)に示すようなものとなり、図5(b)と図5(c)、及び、図7(b)と図7(c)をそれぞれ比較すればわかるように、印刷された合成画像31において、拡大部分31aと非拡大部分31bとが同じ解像度になる。
【0079】
また、拡大部分31aの間引き率が同じであれば、拡大部分31aの拡大率が大きいほど、その解像度は小さくなってしまうが、本実施の形態では、拡大率が大きくなるほど、拡大部分31aについての間引き率を小さくして拡大部分31aの画素数を多くしているため、拡大部分31aと非拡大部分31bとの間の解像度の差が大きくなってしまうのを防止することができる。
【0080】
上述の具体例では、前述したように、拡大率が200%の場合の拡大部分31aの印刷データは図7(c)に示すようなものになり、拡大率が400%の場合の拡大部分31aの印刷データは図8(c)に示すようなものとなり、拡大率が大きくなるほど拡大部分31aについての間引き率が小さくなっているため、図7(b)と図7(c)、及び、図8(b)と図8(c)とをそれぞれ比較すればわかるように、印刷される合成画像31において拡大部分31aと非拡大部分31bの解像度が同じとなっている。
【0081】
また、上記S105において算出された拡大部分31aの画素数Nsが、元画像の拡大部分31aに対応する部分の画素数Nmaxを超えている場合には、実際には、拡大部分31aの画素数を算出した画素数Nsとすることはできないため、拡大部分31aの解像度が最大限高くなるよう、上記S110のように、元画像の画像データの画素を間引かずに拡大部分31aの印刷データを生成する。
【0082】
しかしながら、この場合、元画像の画像データを所定の間引き率で間引いて非拡大部分31bの印刷データを生成すると、拡大部分31aと非拡大部分31bとの間に解像度の差が生じることとなり、その結果、拡大部分31aと非拡大部分31bとの間に大きな画質の差が生じてしまう。
【0083】
上記具体例では、元画像の画像データの2分の1の解像度で印刷する場合であり、かつ、拡大部分31aの拡大率が400%である場合に、上記S105において算出された拡大部分31aの画素数Nsが、元画像の拡大部分31aに対応する部分の画素数Nmaxを超えることとなる。このとき、元画像の画像データの画素を間引かずに拡大部分31aの印刷データを生成すると、その印刷データは図7(c)に示すような画素Da、Db、Dcからなるものとなる。
【0084】
一方、元画像の画像データの画素を所定の間引き率(間引き率75%)で間引いて非拡大部分31bの印刷データを生成すると、その印刷データは、図5(b)に示すような画素Da、Dbからなるものとなる。そして、図5(b)と図7(c)とを比較すればわかるように、印刷された合成画像31において、拡大部分31aの単位長さあたりの画素数(解像度)が、非拡大部分31bの2分の1となってしまう。
【0085】
これに対して、本実施の形態では、上記S109、S110のように、元画像の画像データの画素を、所定の間引き率よりも大きい間引き率で間引いて非拡大部分31bの画素数を減らしているため、印刷される合成画像31において、非拡大部分31bの解像度は低くなってしまうものの、拡大部分31aと非拡大部分31bとの解像度の差が小さくなる。
【0086】
上述の具体例では、元画像の画像データの画素を上記所定の間引き率(間引き率75%)よりも大きい間引き率93.75%で間引いて(画素Db、Dcを間引いて)非拡大部分31bの画素数をさらに減らしているため、生成される非拡大部分31bの印刷データが図7(b)に示すような画素Daからなるものとなる。そして、図7(b)と図7(c)とを比較すればわかるように、印刷された合成画像31において、非拡大部分31bの解像度は、非拡大部分31bについての間引き率が所定の間引き率である場合の2分の1になってしまうものの、拡大部分31aと非拡大部分31bとが同じ解像度となる。
【0087】
なお、本実施の形態は、上述の具体例に限られるものではなく、拡大率、及び、元画像の画像データと印刷される画像の解像度の比は適宜変更可能であり、この場合には、拡大率及び上記解像度の比にあわせて適宜間引き率を変更すればよい。
【0088】
次に、本実施の形態に種々の変更を加えた変形例について説明する。ただし、本実施の形態と同様の構成を有するものについては同じ符号を付し、適宜その説明を省略する。
【0089】
上述の実施の形態では、上記S105において算出された拡大部分31aの画素数Nsが、画素数Nmaxを超える場合に、所定の間引き率よりも大きい間引き率で元画像の画像データの画素を間引いて非拡大部分31bの印刷データを生成していたが、元画像の画像データの画素を所定の間引き率で間引いて非拡大部分31bの印刷データを生成してもよい。
【0090】
この場合には、前述したように、拡大部分31aと非拡大部分31bとの間に解像度の差が生じてしまうこととなるが、拡大部分31aについての間引き率と、非拡大部分31bについての間引き率とが同じである場合と比べれば、拡大部分31aと非拡大部分31bとの間の解像度の差は小さくなる。
【0091】
上述の具体例では、S105において算出した画素数Nsが画素数Nmaxを超える、元画像の画像データの2分の1の解像度で印刷する場合であり、且つ、拡大部分31aの拡大率が400%である場合に、前述したように、拡大部分31aの印刷データは、図6(c)に示すようなものとなり、元画像の画像データの画素を所定の間引き率(間引き率75%)で間引いて(画素Dcを間引いて)生成した非拡大部分31bの印刷データは図5(b)に示すような画素Da、Dbからなるものとなる。そして、この場合、図6(c)と図5(b)とを比較すればわかるように、拡大部分31aの解像度は非拡大部分31bの2分の1となっている。
【0092】
これに対して、元画像の画像データの画素を所定の間引き率(間引き率75%)で間引いて(画素Dcを間引いて)拡大部分31aの印刷データを生成した場合には、その印刷データは、図9のような画素Da、Dbからなるものとなる。そして、この場合、図9と図5(b)とを比較すればわかるように、拡大部分31aの解像度は非拡大部分31bの4分の1となっており、拡大部分31aと非拡大部分31bとの解像度の差がより大きくなっている。
【0093】
また、上述の実施の形態では、上記S108において、拡大部分31aの印刷データの画素数が、上記S105において算出された画素数Nsとなるような間引き率で、元画像の画像データの画素を間引いて、拡大部分31aの印刷データを生成していたが、拡大部分31aについての間引き率は、これには限られず、非拡大部分31bについての間引き率よりも小さければよい。
【0094】
この場合でも、拡大部分31aと非拡大部分31bとの間に解像度の差は生じるものの、拡大部分31aについての間引き率と、非拡大部分31bについての間引き率とが同じである場合に比べれば、印刷される合成画像31における拡大部分31aと非拡大部分31bとの間の解像度の差は小さくなる。
【0095】
また、上述の実施の形態では、拡大部分31aの拡大率が大きいほど、拡大部分31aについての間引き率が小さくなるようにしていたが、拡大部分31aについての間引き率が、非拡大部分31bについての間引き率よりも小さければ、拡大部分31aについての間引き率は拡大率に関わらず一律であってもよい。
【0096】
この場合でも、拡大部分31aと非拡大部分31bとの間に解像度の差は生じることはあるものの、拡大部分31aについての間引き率と、非拡大部分31bについての間引き率とが同じである場合に比べれば、印刷される合成画像31における拡大部分31aと非拡大部分31bとの間の解像度の差は小さくなる。
【0097】
また、上述の実施の形態では、タッチパネル7の操作などにより、元画像の画像データの読み出し、拡大部分31aとする範囲、拡大率及び拡大部分を配置する位置の決定、印刷データの生成などを、すべてプリンタ1において行っていたが、これには限られない。
【0098】
一変形例(変形例1)では、プリンタ101にPC102が接続されている。なお、変形例1では、プリンタ101とPC102とをあわせたものが、本発明に係る印刷システムに相当し、PC102が本発明に係る印刷データ生成装置に相当する。
【0099】
プリンタ101は、タッチパネル7を備えていない点、及び、制御装置40が、画像データ読み出し部41、拡大範囲決定部42、拡大率決定部43、拡大部分位置決定部44、表示画像データ生成部45、表示制御部46及び印刷データ生成部47を備えていない点のみが、上述のプリンタ1(図3参照)と異なり、他の部分についてはプリンタ1と同様の構成を有している。
【0100】
PC102は、画像データ読み出し部41、拡大範囲決定部42、拡大率決定部43、拡大部分位置決定部44、表示画像データ生成部45、表示制御部46及び印刷データ生成部47を備えている。ただし、画像データ読み出し部41、拡大範囲決定部42、拡大率決定部43及び拡大部分位置決定部44は、プリンタ1に設けられたタッチパネル7(図3参照)ではなく、PC102に接続されたキーボードやマウスなどの入力装置103装置の操作を受けて動作し、表示画像データ生成部45は、PC102の外部に接続されたディスプレイ104に表示させるための表示画像の画像データを生成し、表示制御部46は、プリンタ1においてタッチパネル7の表示画面19aに表示されていたのと同様の画像がディスプレイ104の画面に表示されるようにディスプレイ104を制御する。
【0101】
そして、この場合には、PC102の印刷データ生成部47において生成された印刷データが、PC102からプリンタ101に転送され、プリンタ101の印刷制御部48が、受信した印刷データに対応する画像が印刷されるように、キャリッジ4、インクジェットヘッド5及び用紙搬送ローラ6を制御する。
【0102】
また、変形例1では、PC102が、画像データ読み出し部41、拡大範囲決定部42、拡大率決定部43及び拡大部分位置決定部44をすべて備えていたが、これには限られず、例えば、プリンタ101の制御装置40がこれらの構成のうち印刷データ生成部47のみを備えているとともに、PC102がそれ以外の構成を備えているなど、プリンタ101がこれらの構成のうちの一部を備えており、PC102が残りの構成を備えていてもよい。
【0103】
また、以上では、本発明をいわゆるシリアルヘッドを有するインクジェットプリンタに適用した例について説明したが、これには限られず、いわゆるラインヘッドを有するインクジェットプリンタ、あるいは、このようなインクジェットプリンタを含む印刷システムに本発明を適用することも可能である。さらには、レーザプリンタなどインクジェットプリンタ以外の印刷装置、あるいは、このような印刷装置を含む印刷システムに本発明を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0104】
1 プリンタ
4 キャリッジ
5 インクジェットヘッド
7 用紙搬送ローラ
42 拡大範囲決定部
43 拡大率決定部
44 拡大部分位置決定部
47 印刷データ生成部
101 プリンタ
102 PC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
元画像の一部分を拡大した拡大部分と非拡大部分とを合成した合成画像を被記録媒体に印刷する印刷装置であって、
前記元画像のうち前記拡大部分とする範囲である拡大範囲を決定する拡大範囲決定手段と、
前記拡大部分の前記非拡大部分に対する拡大率を決定する拡大率決定手段と、
前記元画像の画像データと、前記拡大範囲及び前記拡大率から、前記合成画像を印刷するための印刷データを生成する印刷データ生成手段と、
前記印刷データ生成手段で生成された前記印刷データに基づいて前記被記録媒体に前記合成画像を印刷する印刷手段を備え、
前記印刷データ生成手段は、
前記非拡大部分については、前記元画像の画像データの画素数を所定の間引き率で間引いて、前記画像データよりも画素数の少ない前記印刷データを生成し、
前記拡大部分については、前記元画像の画像データの画素を、前記所定の間引き率よりも小さい間引き率で間引いて、前記印刷データを生成することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記印刷データ生成手段は、
前記拡大部分の拡大率が大きいほど、前記拡大部分の前記間引き率を小さく設定することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記印刷データ生成手段は、
前記拡大部分の画素数が、前記拡大部分について前記元画像の画像データの画素を前記所定の間引き率で間引いたとした場合の前記拡大部分の画素数に、前記拡大率を2乗した値を乗じた数となるように、前記元画像の画像データからの間引きを行うことを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記印刷データ生成手段は、
前記拡大部分の画素数が、前記元画像の画像データの前記拡大部分に対応する部分における画素数を超えてしまう場合には、前記非拡大部分の間引き率を前記所定の間引き率よりも大きくして、前記非拡大部分の画素数をさらに小さくすることを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
印刷装置を含んでおり、元画像の一部分を拡大した拡大部分と非拡大部分とを合成した合成画像を前記印刷装置において被記録媒体に印刷する印刷システムであって、
前記元画像のうち前記拡大部分とする範囲である拡大範囲を決定する拡大範囲決定手段と、
前記拡大部分の前記非拡大部分に対する拡大率を決定する拡大率決定手段と、
前記元画像の画像データと、前記拡大範囲及び前記拡大率から、前記合成画像を印刷するための印刷データを生成する印刷データ生成手段と、
前記印刷データ生成手段で生成された前記印刷データに基づいて前記被記録媒体に前記合成画像を印刷する印刷手段を備え、
前記印刷データ生成手段は、
前記非拡大部分については、前記元画像の画像データの画素数を所定の間引き率で間引いて、前記画像データよりも画素数の少ない前記印刷データを生成し、
前記拡大部分については、前記元画像の画像データの画素を、前記所定の間引き率よりも小さい間引き率で間引いて、前記印刷データを生成することを特徴とする印刷システム。
【請求項6】
被記録媒体に印刷される、元画像の一部分を拡大した拡大部分と非拡大部分とを合成した合成画像の印刷データを作成する印刷データ作成装置であって、
前記元画像のうち前記拡大部分とする範囲である拡大範囲を決定する拡大範囲決定手段と、
前記拡大部分の前記非拡大部分に対する拡大率を決定する拡大率決定手段と、
前記元画像の画像データと、前記拡大範囲及び前記拡大率から、前記印刷データ生成手段を備え、
前記印刷データ生成手段は、
前記非拡大部分については、前記元画像の画像データの画素数を所定の間引き率で間引いて、前記画像データよりも画素数の少ない前記印刷データを生成し、
前記拡大部分については、前記元画像の画像データの画素を、前記所定の間引き率よりも小さい間引き率で間引いて、前記印刷データを生成することを特徴とする印刷データ作成装置。
【請求項7】
被記録媒体に印刷される、元画像の一部分を拡大した拡大部分と非拡大部分とを合成した合成画像の印刷データを作成するための印刷データ作成プログラムであって、
コンピュータを、
前記元画像のうち前記拡大部分とする範囲である拡大範囲を決定する拡大範囲決定手段、
前記拡大部分の前記非拡大部分に対する拡大率を決定する拡大率決定手段、
前記元画像の画像データと、前記拡大範囲及び前記拡大率から、前記印刷データを生成する印刷データ生成手段として動作させ、
前記印刷データ生成手段において、
前記非拡大部分については、前記元画像の画像データの画素を、所定の間引き率で間引いて、前記画像データよりも画素数の少ない前記印刷データを生成させ、
前記拡大部分については、前記元画像の画像データの画素を、前記所定の間引き率よりも小さい間引き率で間引いて、前記印刷データを生成させることを特徴とする印刷データ作成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−35591(P2011−35591A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−178847(P2009−178847)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】