説明

印刷装置、印刷方法およびそのプログラム

【課題】同時に使用され得る複数の収容容器からインクの供給を受けて印刷を行う印刷装置について、良好な画質を保ちつつユーザーのインク切れの解消作業に係る負担を軽減することができる新たな印刷技術を提供する。
【解決手段】L個の収容容器から同一色のインクの供給を受けて印刷を行う印刷装置は、印刷ヘッドと、印刷の制御部と、インク残量減を検知するインク検知部とを備える。印刷ヘッドは、ノズル位置が互いに同じ位置関係でL×a列配列されたノズル列であり、a列ずつ、相互に異なる収容容器からインク供給を受けるノズル列からなる第1のノズル列グループを備える。制御部は、いずれかの収容容器でインク残量減が検知された状態で、第1のノズル列グループに属し、インク残量減が検知されていない収容容器からインクの供給を受けるノズル列を少なくとも使用して、インクの総吐出量を下げた印刷データを生成し、印刷の実行を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同一色のインクを収容する複数の収容容器からインクの供給を受けて印刷を行う印刷装置の印刷技術に関する。
【背景技術】
【0002】
収容容器からインクの供給を受け、印刷ヘッドが備えるノズルからインクを吐出して印刷を行うインクジェット式の印刷装置が普及している。こうした印刷装置では、複数の収容容器からインクの供給を受けるタイプも存在する。かかるタイプの印刷装置は、複数の収容容器に収容された各々のインクが同時使用される可能性がある場合には、一般的に、複数の収容容器のうちの1つにでもインク切れが生じると、インク切れが解消されるまで、印刷を実行できないように制御される。しかしながら、複数の収容容器のいずれかにインク切れが生じるたびに、良好な画質を保ちつつインク切れを解消することは、ユーザーにとって手間のかかる作業であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−90792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の問題の少なくとも一部を踏まえ、本発明が解決しようとする課題は、同時に使用され得る複数の収容容器からインクの供給を受けて印刷を行う印刷装置について、良好な画質を保ちつつユーザーのインク切れの解消作業に係る負担を軽減することができる新たな印刷技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するために、以下の形態または適用例を取ることが可能である。
【0006】
[適用例1]同一色のインクを収容するL個(Lは2以上の整数)の収容容器から前記インクの供給を受けて印刷を行う印刷装置であって、
前記インクを吐出する複数のノズルを所定方向に配列したノズル列が、該方向と交差する方向に離間して複数設けられた印刷ヘッドと、
前記印刷ヘッドを、印刷媒体に対して、前記ノズル列の離間方向および前記ノズルの配列方向に相対移動させる制御を行うとともに、前記複数のノズルからの前記インクの吐出を制御して、印刷を実行する制御部と、
前記L個の収容容器の前記インクのいずれかの収容残量が所定値以下となったことを検知するインク検知部と
を備え、
前記印刷ヘッドは、
前記所定方向の前記複数のノズルの位置が互いに同じとなる位置関係でL×a列(aは1以上の整数)配列されたノズル列であって、前記a列ずつ、相互に異なる前記収容容器から前記インクの供給を受けるノズル列からなる第1のノズル列グループと、
前記所定方向の前記複数のノズルの位置が前記第1のノズル列グループと異なる位置にL×b列(bは1以上の整数)配列されたノズル列であって、前記b列ずつ、相互に異なる収容容器から前記インクの供給を受けるノズル列からなる第2のノズル列グループと
を備え、
前記制御部は、
前記所定値以下の収容残量が検知されていない場合に、第1の印刷データに基づいて、前記第1のノズル列グループに属する各々のノズル列の前記所定方向に同一位置に配置された各ノズルから前記インクを吐出して、前記印刷を行う印刷画像における前記離間方向に沿ったインクドットの並びであるラスターラインの各々の少なくとも一部のラインを形成して、前記印刷の実行を行い、
前記所定値以下の収容残量が検知された状態で、第2の印刷データに基づいて、前記第1のノズル列グループに属するノズル列のうちの、前記所定値以下の収容残量が検知されていない収容容器から前記インクの供給を受ける第1の特定ノズル列を少なくとも使用して、前記印刷の実行を行い、
前記第2の印刷データの記録解像度は、前記第1の印刷データの記録解像度と同じであり、
前記第2の印刷データのインクの総吐出量は、前記第1の印刷データのインクの総吐出量から下げられていることを特徴とした
印刷装置。
【0007】
かかる構成の印刷装置は、L個の収容容器のインクのいずれかの収容残量が所定値以下となったことが検知されていない状態で、印刷モード1として、第1のノズル列グループに属する各々のノズル列の所定方向に同一位置に配置された各ノズルを使用して、印刷の実行を行い、L個の収容容器のインクのいずれかの収容残量が所定値以下となったことが検知された状態で、印刷モード2として、第1のノズル列グループに属するノズル列のうちの、所定値以下の収容残量が検知されていない収容容器からインクの供給を受ける第1の特定ノズル列を少なくとも使用して、印刷の実行を行う。第1のノズル列グループは、L×a列配列されたノズル列からなり、a列ずつ、相互に異なる収容容器からインクの供給を受けるので、全ての収容容器のインクの収容残量が所定値以下となるまで、好適に印刷を継続することができる。その結果、ユーザーのインク切れの解消作業に係る負担を軽減することができる。
また、印刷モード2による印刷の実行を行う場合は、隣接するラスターラインを形成するまでのインクの着弾時間差が印刷モード1より大きくなるため、印刷物の濃度が印刷モード1の印刷物より上がる問題があるが、印刷モード2のインクの総吐出量を印刷モード1で使用するインクの総吐出量より下げた印刷データを作成し印刷することにより、印刷モード1の印刷物と濃度が同一あるいは略同一の良好な画質を得ることができる。
しかも、第1のノズル列グループに属するノズル列は、複数のノズルの位置が互いに同じとなる位置関係で設けられており、印刷装置は、印刷モード1で、第1のノズル列グループに属する各々のノズル列の所定方向に同一位置に配置された各ノズルからインクを吐出して、ラスターラインの各々の少なくとも一部のラインを形成するので、印刷画像に現れるバンディングを目立ちにくくすることができる。
【0008】
[適用例2]前記制御部は、前記所定値以下の収容残量が検知された状態で、前記第1の特定ノズル列のみを使用して、前記印刷の実行を行う適用例1記載の印刷装置。
かかる構成の印刷装置は、所定値以下の収容残量が検知された状態で、第1のノズル列グループに属するノズル列のうちの、所定値以下の収容残量が検知されていない収容容器からインクの供給を受ける第1の特定ノズル列のみを使用して、印刷の実行を行う。第1のノズル列グループに属するノズル列は、複数のノズルの位置が互いに同じとなる位置関係で設けられているから、第1のノズル列グループのうちのいずれが第1の特定ノズル列となっても、印刷の頭出し位置は同一である。したがって、印刷装置の制御を効率化することができる。また、印刷装置のリソースを有効活用することができる。
【0009】
[適用例3]適用例1記載の印刷装置であって、前記制御部は、前記所定値以下の収容残量が検知された状態で、前記第1の特定ノズル列と、前記第2のノズル列グループに属するノズル列のうちの、前記第1の特定ノズル列に前記インクを供給する前記収容容器から前記インクの供給を受ける第2の特定ノズル列とを、所定の印刷単位ごとに切り替えて使用して、前記印刷の実行を行う印刷装置。
【0010】
かかる構成の印刷装置は、インクの供給を受けることが可能な第1の特定ノズル列と第2の特定ノズル列とを所定の印刷単位ごとに切り替えて使用して印刷を行う。したがって、使用可能なノズル列が使用されない状態で長期間放置されることを抑制することができる。その結果、ノズルの重度の目詰まりを抑制し、ノズルの長寿命化に資する。
【0011】
[適用例4]適用例1ないし適用例3のいずれか記載の印刷装置であって、前記第1のノズル列グループのノズル列の各々は1つの基板に一体として形成されており、前記第2のノズル列グループのノズル列の各々は1つの基板に一体として形成されている印刷装置。
【0012】
かかる構成の印刷装置は、第1のノズル列グループのノズル列が1つの基板に一体として形成されているので、第1のノズル列グループに属するノズル列の各々のインクの吐出特性が相互に近似したものとなる。その結果、各ノズル列から吐出されるインク量を均一化することができる。第2のノズル列グループについても同様である。しかも、L個の収容容器の各々は、第1のノズル列グループに属する同数のノズル列と、第2のノズル列グループに属する同数のノズル列とに対してインクを供給するので、各収容容器のインク消費量を均一化でき、インクの片減りを抑制することができる。その結果、第1の特定ノズル列を少なくとも使用した印刷の開始タイミングを遅らせることができる。換言すれば、第1のノズル列グループに属する各々のノズル列の離間方向に同一位置に配置された各ノズルからインクを吐出して、ラスターラインの各々の少なくとも一部のラインを形成して印刷を行う期間が長くなる。つまり、印刷画像に現れるバンディングを目立ちにくくして、良好な印刷画質を得られる印刷期間が長くなる。
【0013】
なお、本発明は、印刷装置のほか、印刷制御装置、印刷方法、印刷制御方法、プログラム、当該プログラムを記録した記録媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施例としての印刷システム10の概略構成を説明する説明図である。
【図2】プリンター20の概略構成を説明する説明図である。
【図3】プリンター20が備える印刷ヘッド50の構成を模式的に示す説明図である。
【図4】インクの供給の仕組みについて説明する説明図である。
【図5】コンピューター100で実行される印刷データ送信処理の流れを示したフローチャートである。
【図6】印刷データ送信処理の一部としての印刷データ生成処理の流れを示したフローチャートである。
【図7】吐出ノズル決定テーブルM2を説明する説明図である。
【図8】第1実施例に用いる吐出ノズル決定テーブルM2を説明する説明図である。
【図9】マトリックスMTを説明する説明図である。
【図10】プリンター20で実行される印刷実行処理の流れを示したフローチャートである。
【図11】第2実施例としての印刷データ生成処理の流れを示したフローチャートである。
【図12】第2実施例としての印刷実行処理の流れを示したフローチャートである。
【図13】印刷ヘッドの構成と、インクの供給の仕組みの変形例を示す説明図である。
【図14】印刷ヘッドの構成と、インクの供給の仕組みの変形例を示す説明図である。
【図15】印刷ヘッドの構成と、インクの供給の仕組みの変形例を示す説明図である。
【図16】第1実施例に用いるパラメーターP1、P2の設定方法を示す説明図である。
【図17】第2実施例に用いるパラメーターP1〜P4の設定方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。
A.第1実施例:
A−1.印刷システムの10の概略構成:
図1は、本発明の実施例としての印刷システム10の概略構成図である。印刷システム10は、図1に示すように、印刷制御装置としてのコンピューター100と、コンピューター100の制御の下で実際に画像を印刷するプリンター20などから構成されている。印刷システム10は、全体が一体となって広義の印刷装置として機能する。コンピューター100は、後述する所定のプログラムがインストールされた汎用のパーソナルコンピューターである。プリンター20は、印刷媒体Pにインクを吐出して印刷を行うインクジェット式プリンターである。このプリンター20は、本実施例では、ブラック(Bk)インクのみを用いて単色印刷を行う印刷装置である。
【0016】
コンピューター100の概略構成について説明する。コンピューター100には、所定のオペレーティングシステムがインストールされており、このオペレーティングシステムの下で、アプリケーションプログラム110が動作している。オペレーティングシステムには、ビデオドライバー120やプリンタードライバー130が組み込まれている。プリンタードライバー130の内部には、色変換モジュール131、印刷データ生成モジュール132が備えられている。アプリケーションプログラム110は、画像データORGの入力を受け付けると、ビデオドライバー120を介して、この画像データORGによって表される画像をディスプレイ170に表示する。また、アプリケーションプログラム110は、プリンタードライバー130を介して、画像データORGをプリンター20に出力する。なお、これらのプログラムは、CPU(図示省略)によって実行されるが、本願では、CPUがプログラムを実行して、所定の処理を実現する場合に、「プリンタードライバーが実行する」といった表現も用いることとする。
【0017】
プリンター20の概略構成について説明する。プリンター20の概略構成を図2に示す。プリンター20は、双方向印刷を行うシリアル式インクジェットプリンターである。このプリンター20は、図2に示すように、紙送モーター74によって印刷媒体Pを搬送する機構と、キャリッジモーター70によってキャリッジ40をプラテン75の軸方向に往復動させる機構と、キャリッジ40に搭載された印刷ヘッド50を駆動してインクの吐出およびドット形成を行う機構と、これらの紙送モーター74,キャリッジモーター70および印刷ヘッド50との信号のやり取りを司る制御ユニット30とから構成されている。
【0018】
キャリッジ40をプラテン75の軸方向に往復動させる機構は、プラテン75の軸と平行に架設され、キャリッジ40を摺動可能に保持する摺動軸73と、キャリッジモーター70との間に無端の駆動ベルト71を張設するプーリー72等から構成されている。なお、キャリッジ40が往復動する方向を主走査方向ともいう。
【0019】
キャリッジ40には、ブラックインク(Bk)を収容した2つのインクカートリッジ42,43が搭載される。キャリッジ40の下部に設けられた印刷ヘッド50のプラテン75と対向する面には、インクを吐出する複数のノズルを主走査方向と直交する方向(以下、副走査方向ともいう)に配列したノズル列が形成されている。キャリッジ40にインクカートリッジ42,43を上方から装着すると、各カートリッジから印刷ヘッド50へのインクの供給が可能となる。
【0020】
インクカートリッジ42,43は、同一の構成を有しており、同一色(ブラック)のインクが充填されている。このインクカートリッジ42,43は、内部にインクを収容する収容室と、インクを収容室からインクカートリッジ42,43まで導くインク流路と、収容室に連通する大気連通室と、大気連通室に設けられた微細な大気開放孔とを備えている。収容室のインクがインク流路を介して印刷ヘッド50に供給され、収容室のインク収容量が減少すると、その分だけ、大気開放孔から大気が吸入され、収容室は、大気圧と等しい圧力に保たれる。また、このインクカートリッジ42,43は、インク流路内に収容されたインクの収容残量が所定値以下になったことを検知するためのセンサー45,46を備えている。なお、本願においては、インク流路内に収容されたインクの収容残量が所定値以下になったことをインクエンドともいう。ただし、インクエンドとは、インクの収容残量がゼロになった状態を意味するのではなく、予め適宜定めた所定量以下となった状態を意味する。
【0021】
センサー45,46を用いて、インクエンドを検出する技術は、周知技術であるため、その仕組みについて簡単に説明する。センサー45,46は、インク流路の経路上に設けられる。インクカートリッジ42,43をキャリッジ40に装着すると、CPU31とセンサー44,45とは電気的に接続される。このセンサー45,46は、圧電素子を備えており、CPU31が、インク検知部33の処理として、所定の制御信号をセンサー駆動回路(図示省略)に送出すると、センサー駆動回路は、圧電素子に所定の駆動電圧を印加する。これによって、圧電素子は振動する。駆動電圧の印加を停止した際に生じる圧電素子の残留振動は、センサー45,46の周囲にインクが充填されている状態と、インクが消費されて充填されていない状態とでは、周波数が異なる。かかる原理を用いて、CPU31は、インク検知部33の処理として、インクカートリッジ42のインクエンドを検知する。以下、このようにインクエンドを検知する処理をインクエンド検知処理ともいう。
【0022】
CPU31は、インクカートリッジ42,43についてインクエンド検知処理を行うたびに、その検出結果を、インクエンド情報フラグF1としてRAM38の所定の領域に記憶する。本実施例においては、インクエンド情報フラグF1の値が「0」の場合は、インクカートリッジ42,43のいずれにもインクエンドが検出されなかったことを示す。当該値が「1」の場合は、インクカートリッジ43のみにインクエンドが検出されたことを示す。当該値が「2」の場合は、インクカートリッジ42のみにインクエンドが検出されたことを示す。当該値が「3」の場合は、インクカートリッジ42,43の両方にインクエンドが検出されたことを示す。
【0023】
制御ユニット30は、CPU31や、ROM37、RAM38、EEPROM39がバスで相互に接続されて構成されている。制御ユニット30は、ROM37やEEPROM39に記憶されたプログラムをRAM38に展開し、実行することにより、プリンター20の動作全般を制御するほか、制御部32、インク検知部33としても機能する。これらの機能部の詳細については後述する。
【0024】
以上のようなハードウェア構成を有するプリンター20は、キャリッジモーター70を駆動することによって、印刷ヘッド50を印刷媒体Pに対して主走査方向に往復動させ、また、紙送モーター74を駆動することによって、印刷媒体Pを副走査方向(紙送り方向)に移動させる制御を行う。また、制御ユニット30は、キャリッジ40が往復動する動き(主走査)や、印刷媒体の紙送りの動き(副走査)に合わせて、印刷データに基づいて適切なタイミングでノズルを駆動することにより、印刷ヘットのノズルからのインクの吐出を制御する。かかる制御によって、印刷媒体P上の適切な位置にインクドットを形成して、印刷を行うことが可能となっている。
【0025】
A−2.印刷ヘッド50のノズル構成:
プリンター20における印刷ヘッド50の構成を図3に模式的に示す。印刷ヘッド50は、インク(本実施例ではブラック)を吐出する複数のノズルNZを副走査方向(紙送り方向)に並べたノズル列を複数備える。
【0026】
本実施例では、印刷ヘッド50は、複数のノズルNZを副走査方向に配列したA列,B列,C列,D列の4つのノズル列を備える。これら4つのノズル列は、図3に示すように主走査方向に並列に離間して配設されている。A列とB列とは主走査方向に40/360[inch]の間隔を隔てて配置されている。C列とD列も、同様に、主走査方向に40/360[inch]の間隔を隔てて配置されている。B列とC列とは、104/360[inch]の間隔を隔てて配置されている。C列とD列のノズル列を総称して、第1のノズルグループともいい、A列とB列のノズル列を総称して、第1のノズルグループともいう。
【0027】
A列,B列,C列,D列の各ノズル列には、ノズルNZが副走査方向に128個ずつ配列されている。各ノズル列において、ノズルNZ同士の副走査方向の間隔(以下、「ノズルピッチ」とも呼ぶ)は1/120[inch]である。C列,D列は、主走査方向の複数のノズルNZの位置が互いに同じとなる位置関係で配列されている。A列,B列は、主走査方向の複数のノズルNZの位置がC列,D列と異なる位置に配列されている。さらに、具体的には、印刷ヘッド50におけるB列の位置は、A列のノズル列を基準として、副走査方向に1/360[inch]ずらした位置に配設される。印刷ヘッド50におけるC列の位置は、B列のノズル列を基準として、副走査方向に1/360[inch]ずらした位置に配設される。印刷ヘッド50におけるD列の位置は、C列のノズル列と副走査方向に同じ位置に配設されている。従って、印刷ヘッド50を主走査方向に走査させて印刷を行うことによって、実質的に、ノズルピッチが1/360[inch]である構成の印刷ヘッドと同様の印刷を行う。本実施例においては、印刷ヘッド50は、1回の主走査で、印刷を行う印刷画像における主走査方向に沿ったインクドットの並びであるラスターラインを形成する、いわゆるバンド送り方式によって、印刷画像を形成する。つまり、印刷ヘッド50は、1回の主走査によって、384(=128×3)本のラスターラインを形成する。なお、上述したノズルの離間距離、ノズル数およびノズルピッチは、一例であり、適宜設定できることは勿論である。
【0028】
これら複数の各ノズルNZは、各々、ピエゾ素子(圧電素子)を備え、ピエゾ素子への電圧の印加に伴う、ピエゾ素子の歪みによる振動によってノズルNZからインクを吐出する。従って、各ノズルNZは、各々、上述したピエゾ素子に加え、電圧印加用の電極や、その他インクを吐出するために必要な素子を備える。なお、インクの吐出機構は、ピエゾ方式に限らず、サーマル方式などであってもよい。本実施例においては、印刷ヘッド50を製造する際に、A列およびB列のノズル列を備えるノズルユニット52と、C列およびD列のノズル列を備えるノズルユニット53とを各々製造し、ノズルユニット52とノズルユニット53とを印刷ヘッド50の本体に組み込む。
【0029】
具体的には、ノズルユニット52(またはノズルユニット53)は、A列とB列(またはC列とD列)の各ノズルNZの位置に貫通孔を有した基板を用いて製造する。ノズルユニットを製造する際、ノズルユニットに用いる基板を複数切り出し可能な基板材を用いる。この基板材の各ノズルユニットとなる位置毎に、ノズルとなる貫通孔を開口し、各貫通孔にピエゾ素子の付設や、電極のプリンティングを行う。そして、これらの工程を経た後の基板材を各ノズルユニットとして切り出すことによってノズルユニットを製造する。すなわち、本実施例の場合、A列とB列とが備える各ノズルNZは同じ一連の製造工程で製造される。同様に、C列とD列とが備える各ノズルNZは同じ一連の製造工程で製造される。換言すれば、A列とB列とはノズルユニットが共通し、C列とD列とはノズルユニットが共通する。
【0030】
次に、インクカートリッジ42,43から各ノズルNZへのインクを供給する仕組みについて、図4を用いて説明する。インクカートリッジ42は、A列のノズルNZとC列のノズルNZにインクを供給する。インクカートリッジ43は、B列のノズルNZとD列のノズルNZにインクを供給する。すなわち、1つのカートリッジから、印刷ヘッド50が備える2つのノズルユニット52,53の各々にインクを供給するようにしている。換言すれば、各ノズルユニットは、各インクカートリッジ毎に、各1列ずつのノズル列に対してインクの供給を受けている。具体的には、図4に示すように、ノズルユニット52は、インクカートリッジ42からA列のノズル列1列分に対してインクの供給を受け、インクカートリッジ43からC列のノズル列1列分に対してインクの供給を受けている。したがって、本実施例によるインク供給の態様に限らず、例えば、インクカートリッジ42がB列のノズルNZとC列のノズルNZにインクを供給し、インクカートリッジ43がA列のノズルNZとD列のノズルNZにインクを供給する態様としてもよい。
【0031】
A−3.印刷処理:
印刷システム10が実行する印刷処理について説明する。印刷システム10が実行する印刷処理は、コンピューター100において実行される印刷データ送信処理と、プリンター20が実行する印刷実行処理とからなる。以下、それぞれの処理について説明する。
【0032】
A−3−1.印刷データ送信処理:
まず、コンピューター100において実行される印刷データ送信処理について説明する。印刷データ送信処理とは、コンピューター100が、印刷対象となる画像データORGの入力を受け付けて、印刷データを生成し、印刷を実行するプリンター20に送信する処理である。印刷データ送信処理の流れを図5に示す。図示するように、印刷データ送信処理が開始されると、プリンタードライバー130は、アプリケーションプログラム110から画像データORGの入力を受け付ける(ステップS210)。
【0033】
プリンタードライバー130は、画像データORGを受け付けると、色変換モジュール131の処理として、色変換処理を行う(ステップS220)。色変換処理は、画像データORGの色成分(ここではRGB形式)を、プリンター20が表現可能な色成分Bkに変換する処理である。本実施例においては、色変換処理は、後述するステップS230,S240の処理とともに、1ページ単位で行う構成としている。なお、画像データORGの解像度が、プリンター20の出力解像度と異なる場合には、プリンタードライバー130は、色変換処理の実行に先立って、画像データORGの解像度を、プリンター20の解像度に合わせて解像度変換してもよい。
【0034】
色変換処理を行うと、プリンタードライバー130は、印刷データ生成モジュール132の処理として、印刷データ生成処理を実行する(ステップS230)。この処理は、色変換された画像データORGをもとに、ハーフトーン処理によってドットデータを生成し、ドットデータにプリンター20の制御コマンドを付加した印刷データを生成する処理である。本実施例では、ハーフトーン処理には、ドット分散型の組織的ディザ法を用いることとした。また、印刷データ生成モジュール132はドット発生テーブルT1を有している。ドット発生テーブルT1とは、ハーフトーン処理において画像データORGの階調データを2値ドット発生数に変換するためのテーブルである。なお、詳しくは後述するが、印刷データ生成処理では、必要に応じて、各々のドットを印刷ヘッド50のいずれのノズル列で形成するかを表す使用ノズル列指定情報が印刷データに付加される。印刷データ生成処理の詳細については後述する。
【0035】
印刷データを生成すると、プリンタードライバー130は、生成した1ページ分の印刷データをプリンター20に送信する(ステップS240)。印刷データを送信すると、プリンタードライバー130は、画像データORGの全てのページについて、上記ステップS220〜S240の処理を繰り返し実行し、印刷データ生成処理を終了する(ステップS250)。なお、上述した印刷データ生成処理では、1ページ単位でORGから印刷データを生成する構成としたが、全てのページを一括して印刷データを生成し、一括してプリンター20に送信してもよい。
【0036】
上述した印刷データ生成処理(上記ステップS230)の流れを図6に示す。図示するように、印刷データ生成処理が開始されると、プリンタードライバー130は、プリンター20と通信を行って、インクエンド情報フラグF1を取得する(ステップS310)。本実施例においては、プリンター20は、インクエンド検知処理を1ページ分の印刷データを印刷するたびに実行するものとした。コンピューター100は、印刷データを1ページ単位でプリンター20に送信するから、画像データORGから生成する印刷データが複数ページに亘る場合には、インクエンド情報フラグF1は、印刷データを複数回繰り返し実行する間に更新される可能性がある。上記の構成によれば、プリンター20におけるインクエンドの状況を速やかに反映することができる。
【0037】
インクエンド情報フラグF1を取得すると、プリンタードライバー130は、インクエンド情報フラグF1が値0であるか否かを判断する(ステップS320)。その結果、インクエンド情報フラグF1が値0であれば(ステップS320:YES)、プリンタードライバー130は、印刷データD1を生成する(ステップS330)。この印刷データD1は、印刷ヘッド50が備えるA〜D列の全てのノズル列を使用して印刷するための印刷データである。この印刷データD1の生成処理においては、ドット発生テーブルT1が使用される。この印刷データD1では、ドットデータに、各インクドットをA〜D列のいずれのノズル列で形成するかを示す使用ノズル列指定情報が付加される。この印刷データD1に付加する使用ノズル列指定情報の設定方法については後述する。
【0038】
一方、インクエンド情報フラグF1が値1または値2であれば(ステップS320:NO)、インクカートリッジ43またはインクカートリッジ42のいずれか一方のインクエンドが検出されたということである。そこで、プリンタードライバー130は、インクの総吐出量を印刷データD1より下げるためのドット発生テーブルT2を新たに生成し(ステップS340〜S360)、印刷データD2を生成する(ステップS370)。印刷データD2は、印刷ヘッド50が備えるA〜D列のうちの1列のノズル列のみを使用して印刷するための印刷データである。この印刷データD2の生成処理においては、ドット発生テーブルT2が使用される。本実施例においては、いずれのノズル列を使用するかは、プリンター20において決定する。したがって、印刷データD2には、使用ノズル列指定情報は付加されない。
【0039】
ここで、ドット発生テーブルT2の生成方法について説明する。
プリンター20は、C列のみで最も濃い階調を印刷するときのインク吐出量を特定するパラメーターP1と、D列のみで最も濃い階調を印刷するときのインク吐出量を特定するパラメーターP2とを、EEPROM39に記憶している。パラメーターP1およびパラメーターP2は、A〜D列の全てのノズル列で最も濃い階調を印刷するときのインク吐出量以下で設定される。プリンタードライバー130は、インクエンド情報フラグF1が値1であるときは、プリンター20より取得したパラメーターP1に設定されたインク吐出量を基準として、Bkの各階調における2値ドット発生数の計算を行い、ドット発生テーブルT2を生成する(ステップS350)。インクエンド情報フラグF1が値2であるときは、プリンター20よりパラメーターP2を取得し、同様にドット発生テーブルT2を生成する(ステップS360)。
【0040】
なお、パラメーターP1およびパラメーターP2の設定は、図16に示したパッチ選択方式により行う。まず、印刷ヘッド50が備えるA〜D列すべての列を使用して最も高い階調に設定した参照パッチ800を印刷する。次に、C列のみを使用して最も濃い階調からインク吐出量を段階的に下げた数個のパッチからなるパッチ群801〜805を印刷し、パッチ群801〜805の中から、濃度が参照パッチと最も近いパッチを選択し、そのパッチに設定されたインク吐出量をパラメーターP1とする。同様にD列のみを使用して印刷したパッチ群806〜810から、選択したパッチのインク総吐出量をパラメーターP2とする。パッチの選択は、濃度計を用いた測定データ、あるいは目視による比較にて実施する。なお、パッチの数および配置、インク吐出量減少のステップ量等は、図16に示した配置、記述に限定されない。例えば、目視による比較を容易とするために参照パッチ800を複数個配置しても良いし、パッチ同士を隣接させても良い。
【0041】
こうして、印刷データD1または印刷データD2を生成すると、プリンタードライバー130は、処理を印刷データ送信処理に戻す。なお、図6では、インクエンド情報フラグF1が値3の場合、すなわち、インクカートリッジ42,43の両方がインクエンドとなっている場合の処理を省略して図示したが、この場合、プリンタードライバー130は、印刷データを生成する処理(ステップS330またはS370)に代えて、ユーザーにインクの補充を促す旨のメッセージをディスプレイ170に表示する処理を行う。
【0042】
印刷データD1に付加する使用ノズル列指定情報の設定方法について説明する。使用ノズル列指定情報の設定は、ドットデータに吐出ノズル決定テーブルM2を適用することによって行う。吐出ノズル決定テーブルM2は、プリンター20の製造時にROM37に記憶される。まず、吐出ノズル決定テーブルM2の概念について説明する。印刷ヘッド50と吐出ノズル決定テーブルM2との対応関係を図7に示す。図示する吐出ノズル決定テーブルM2のマトリックスの各マス目は、画像データの各画素に対応している。各マス目内に記載されているA,B,C,Dのアルファベットは、使用ノズル列指定情報を示す。例えば、「A」が記載されているマス目に対応するドットデータには、使用ノズル列として、A列が指定されることを示す。1つのマス目内に「C,D」と記載されているものは、使用ノズル列として、C列またはD列のいずれかが指定されることを示す。
【0043】
本実施例における印刷処理においては、印刷画像における各ラスターラインを、印刷ヘッド50の1回の主走査で印刷する。このため、吐出ノズル決定テーブルM2において、印刷ヘッド50のA列に属するノズルNZ1に対応する位置のラスターラインR1を形成する各画素には、使用ノズル列指定情報として「A」が指定される。また、印刷ヘッド50のC列に属するノズルNZ2、または、D列に属するノズルNZ3に対応する位置のラスターラインR2を形成する各画素には、使用ノズル列指定情報として「C」または「D」が指定される。
【0044】
本実施例では、吐出ノズル決定テーブルM2として図8に示したものを採用した。図8では吐出ノズル決定テーブルM2における「C」と「D」との配列の態様を視認しやすくするために、「C」に該当するマス目にはハッチングを施して示した。この吐出ノズル決定テーブルM2のうちの、「C」または「D」が指定された画素のみを抽出してマトリックスとして表現したマトリックスMTを図9に示す。図示するように、本実施例のマトリックスMTは、「C」と「D」とが市松模様に配列されている。このマトリックスMTは以下の4つの特性を有している。
【0045】
特性(1):マトリックスMTにおける各ラスターラインに、「C」と「D」との両方が存在する。
特性(2):マトリックスMT全体において、「C」の数と「D」の数が同一または略同一である。
特性(3):「C」と「D」とが、各々、マトリックスMT全体に略均一に分散している。
特性(4):マトリックスMTにおける各ラスターラインにおいて、「C」の数と「D」の数が同一または略同一である。
【0046】
特性(3)における「略均一に分散」とは、例えば、マトリックスMTにおける「C」(または「D」)の配置パターンにおける空間周波数特性が、ブルーノイズ特性を有するような分散を言う。すなわち、高周波領域において感度が低いという人間の視覚特性を考慮して、高周波領域に最も大きな周波数成分が発生するように「C」(または「D」)が配置されている。
【0047】
上記ステップS330では、上述した吐出ノズル決定テーブルM2を、ドットデータの各画素に対して適用し、ドットデータ上の各ドットを、どのノズルから吐出したインクで形成するかを決定する。実際の処理としては、ドットデータにおける各画素データに対して、吐出ノズル決定テーブルM2に対応するデータを付加する。
【0048】
A−3−2.印刷実行処理:
プリンター20において実行される印刷実行処理について説明する。印刷実行処理とは、コンピューター100が送信する印刷データを受信して、プリンター20が印刷を実行する処理である。印刷実行処理の流れを図10に示す。この処理は、コンピューター100から印刷開始コマンドを受信することによって開始される。図示するように、印刷実行処理が開始されると、CPU31は、まず、印刷データを受信し、当該印刷データが印刷データD1であるか否かを判断する(ステップS410)。この判断は、本実施例においては、印刷データに使用ノズル列指定情報が付加されているか否かを解釈することによって行うものとした。ただし、判断手法は特に限定するものではなく、例えば、コンピューター100が印刷データD1および印刷データD2のいずれであるかを示す識別情報を印刷データに付加し、プリンター20がその識別情報を参照する構成としてもよい。
【0049】
判断の結果、受信した印刷データが印刷データD1であれば(ステップS410:YES)、CPU31は、制御部32の処理として、印刷データD1に含まれる使用ノズル列指定情報とドットデータとに基づいて印刷ヘッド50を駆動し、A〜D列を使用して印刷データD1の印刷を実行する(ステップS420)。一方、受信した印刷データが印刷データD1でなければ(ステップS410:NO)、すなわち、印刷データD2であれば、インクカートリッジ42またはインクカートリッジ43にインクエンドが検出されているということである。そこで、CPU31は、RAM38の所定領域を参照し、インクエンド情報フラグF1が値1であるか否かを判断する(ステップS430)。
【0050】
判断の結果、インクエンド情報フラグF1が値1であれば(ステップS430:YES)、インクカートリッジ43にインクエンドが検出されているということである。そこで、CPU31は、第1のノズル列グループ(C列およびD列)のうちの、インクエンドが検出されていないインクカートリッジ42からインクの供給を受けるC列のみを使用して、印刷データD2の印刷を実行する(ステップS440)。具体的には、CPU31は、印刷媒体Pと印刷ヘッド50との相対的な位置関係が、C列のみを使用する場合の所定の頭出し位置(印刷開始位置)となるように印刷ヘッド50を移動させてから、1列のみを使用する場合の専用の走査モードで、印刷を行う。この走査モードでは、印刷データD1の印刷時と比べて、1回の主走査ごとに行う紙送り量を1/3に減じて、主走査を3回行う1セットの印字を行い、1セットの印字を行う毎にバンド幅分の紙送りを行う。かかる走査モードを用いるのは、印刷データD1の印刷と同じ解像度の印刷画像を出力するためである。
【0051】
一方、インクエンド情報フラグF1が値2であれば(ステップS430:NO)、インクカートリッジ42にインクエンドが検出されているということである。そこで、CPU31は、第1のノズル列グループのうちの、インクエンドが検出されていないインクカートリッジ43からインクの供給を受けるD列のみを使用して、印刷データD2の印刷を実行する(ステップS450)。この処理は、D列を使用する点を除き、上記ステップS440と同様の処理である。なお、C列のノズルとD列のノズルとは、副走査方向に同一の位置に配列されているので、頭出し位置もステップS440と同一である。
【0052】
こうして、印刷データD1または印刷データD2を印刷すると、プリンター20は、画像データORGの全てのページを印刷するまで上記ステップS410〜S450の処理を繰り返し、印刷実行処理を終了する(ステップS460)。なお、上述の構成では、印刷データD2をいずれのノズル列を使用して印刷するかは、プリンター20がインクエンド情報フラグF1を参照して決定するものとしたが、コンピューター100がプリンター20から取得したインクエンド情報フラグF1に基づいて決定する構成としてもよい。この場合、コンピューター100は、プリンター20に送信する印刷データD2に、使用ノズル列指定情報を付加すればよい。
【0053】
A−4.効果:
かかる印刷システム10は、2個のインクカートリッジ42,43のインクエンドが検知された状態で、第1のノズル列グループに属するC列,D列のうちの、インクエンドが検知されていないインクカートリッジ42,43からインクの供給を受けるノズル列を少なくとも使用して、印刷の実行を行う。第1のノズル列グループは、1列ごとに、相互に異なる収容容器からインクの供給を受けるので、インクカートリッジ42,43の両方でインクエンドとなるまで、好適に印刷を継続することができる。その結果、ユーザーのインク切れの解消作業に係る負担を軽減することができる。
【0054】
しかも、第1のノズル列グループに属するC列,D列は、ノズルの位置が副走査方向に互いに同じとなる位置関係で設けられており、プリンター20は、インクエンドが検知されていない場合に、主走査方向に同一位置に配置された第1のノズル列グループのC列,D列からインクを吐出して、ラスターラインの各々の少なくとも一部のラインを形成するので、印刷画像に現れるバンディングを目立ちにくくすることができる。さらに、プリンター20は、複数のインクカートリッジ42,43から印刷ヘッド50に同時にインクを供給するので、インクカートリッジ1つ当たりのノズル数を削減することができ、インクの供給量が吐出量に対して瞬間的に不足する、いわゆるリフィル遅延の発生を抑制することができる。
【0055】
また、印刷システム10は、インクエンドが検知された状態で、第1のノズル列グループに属するC列,D列のうちの、インクエンドが検知されていないインクカートリッジ42,43からインクの供給を受けるノズル列のみを使用して、印刷の実行を行う。C列,D列は、複数のノズルの位置が主走査方向に互いに同じとなる位置関係で設けられているから、C列,D列のうちのいずれを使用しても、印刷の頭出し位置は同一である。したがって、C列,D列のいずれを使用しても頭出し位置の制御を変更する必要がなく、プリンター20の制御を効率化することができる。また、コンピューター100やプリンター20のリソースを有効活用することができる。
【0056】
しかも、コンピューター100で印刷データを生成してプリンター20に送信する構成としても、プリンター20が使用ノズル列を決定することができる。コンピューター100が使用ノズル列を決定する場合には、コンピューター100は、プリンター20からインクエンド情報フラグF1を取得して、その結果に基づいて生成した印刷データをプリンター20に送信し、これを受信したプリンター20が印刷を実行することとなり、この間に必要な時間分だけタイムラグが生じたインクエンド情報フラグF1を使用することとなるが、プリンター20が使用ノズル列を決定すれば、使用ノズル列の決定後、速やかに印刷を実行することができるので、インクカートリッジ42,43のインクエンドの状況をより速やかに反映させて、使用ノズル列を決定することができる。
【0057】
また、C列,D列のいずれかを使用する印刷では、A〜D列すべての列を使用する印刷と同じ解像度の印刷画像を出力するために1回の主走査ごとに行う紙送り量を減じるため、隣接するラスターラインを形成するまでのインクの着弾時間差がA〜D列全てのノズル列を使用する印刷と比べて大きくなる。その結果、用紙へのインクの沈みこみが起きにくくなり濃度が上がる問題があるが、ドット発生テーブルT2を新たに生成し、印刷データD2のインク総吐出量を印刷データD1のインク総吐出量より下げることで、C列,D列のいずれを使用しても印刷データD1による印刷物と濃度が同一あるいは略同一の良好な画質を得ることができる。
【0058】
また、印刷システム10は、第1のノズル列グループのC列,D列が1つの基板に一体として形成されているので、C列とD列とでは、インクの吐出特性が相互に近似したものとなる。その結果、C列とD列とから吐出されるインク量を均一化することができる。第2のノズル列グループのA列,B列ついても同様である。しかも、2個のインクカートリッジ42,43は、第1のノズル列グループに属する同数のノズル列と、第2のノズル列グループに属する同数のノズル列とに対してインクを供給するので、インクカートリッジ42,43のインク消費量を均一化でき、インクの片減りを抑制することができる。したがって、上述したバンディングの発生を抑制する印刷を行える期間、すなわち、良好な印刷画質を得られる印刷期間が長くなる。
【0059】
さらに、本実施例では、マトリックスMTは特性(2)を有しており、吐出ノズル決定テーブルM2を用いた印刷処理を行うことにより、インクカートリッジ42に収容されているインクとインクカートリッジ43に収容されているインクとを略均等に消費することができる。換言すれば、インクカートリッジ間におけるインクの偏った減り(片減り)をさらに抑制することができる。
【0060】
この片減り抑制の効果を具体的に説明する。例えば、図8で説明した吐出ノズル決定テーブルM2を用いて印刷処理を行った場合、A列に基づくドットとB列に基づくドットは略同一の数だけ存在する。さらに、上記特性(2)により、C列に基づくドットとD列に基づくドットは略同一の数だけ存在する。従って、A列とC列に基づくドットの総和と、B列とD列に基づくドットの総和は吐出ノズル決定テーブルM2内で略同一である。よって、上記実施例における印刷処理を通して、A列とC列のノズルにインクを供給しているインクカートリッジ42と、B列とD列のノズルにインクを供給しているインクカートリッジ43のインクの消費量は略均等になる。なお、この効果は、一般的な自然画像に基づく画像データ、すなわち、印刷画像領域内に極端な階調の偏りが少ない画像データで特に有効である。
【0061】
B.第2実施例:
本発明の第2実施例について説明する。第2実施例としての印刷システム10は、第1実施例の印刷システム10と同一のハード構成を有している。第2実施例としての印刷システム10が第1実施例と異なる点は、印刷データ生成処理および印刷実行処理の流れである。以下、第2実施例としての印刷データ生成処理および印刷実行処理の流れについて、第1実施例と異なる点を中心に説明する。
【0062】
B−1.印刷データ生成処理:
第2実施例としての印刷データ生成処理の流れを図11に示す。図示するように、印刷データ生成処理が開始されると、プリンタードライバー130は、インクエンド情報フラグF1を取得し(ステップS510)、インクエンド情報フラグF1が値0であるか否かを判断する(ステップS520)。その結果、インクエンド情報フラグF1が値0であれば(ステップS520:YES)、プリンタードライバー130は、印刷データD1を生成する(ステップS530)。これらの処理は、第1実施例と同様である。
【0063】
一方、インクエンド情報フラグF1が値1または値2であれば(ステップS520:NO)、プリンタードライバー130は、さらに、インクエンド情報フラグF1が値1であるか否かを判断する(ステップS540)。その結果、インクエンド情報フラグF1が値1であれば(ステップS540:YES)、インクカートリッジ43は、インクエンドが検出されているということである。そこで、プリンタードライバー130は、以下に説明する処理によって、インクエンドが検出されていないインクカートリッジ42からインクの供給を受けるA列またはC列のうちのいずれかを使用ノズル列として指定した使用ノズル列指定情報を付加した印刷データD2を生成する。
【0064】
具体的には、プリンタードライバー130は、まず、前回使用ノズル列NL1がC列であるか否かを判断する(ステップS550)。前回使用ノズル列NL1とは、実行中の印刷データ生成処理よりも以前に実行された印刷データ生成処理によって、インクカートリッジ42からインクの供給を受けるA列およびC列のうちの最後に指定されたノズル列である。プリンタードライバー130は、印刷データD2を生成するたびに、指定したノズル列を前回使用ノズル列NL1として、メモリーに記憶する。
【0065】
判断の結果、前回使用ノズル列NL1がC列であれば(ステップS550:YES)、プリンタードライバー130は、A列におけるインクの総吐出量を印刷データD1より下げるためのドット発生テーブルT2を新たに生成し(ステップS560)、A列を使用ノズル列として指定した印刷データD2を生成し(ステップS570)、前回使用ノズル列NL1をA列に更新する(ステップS580)。一方、前回使用ノズル列NL1がC列でなければ(ステップS550:NO)、プリンタードライバー130は、C列におけるインクの総吐出量を印刷データD1より下げるためのドット発生テーブルT2を新たに生成し(ステップS590)、C列を使用ノズル列として指定した印刷データD2を生成し(ステップS600)、前回使用ノズル列NL1をC列に更新する(ステップS610)。要するに、画像データORGが複数ページに亘る場合、プリンタードライバー130は、使用ノズル列の指定をA列とC列との間で1頁を単位として切り替えて指定してドット発生テーブルT2と印刷データD2を生成する。
【0066】
一方、インクエンド情報フラグF1が値2であれば(ステップS540:NO)、インクカートリッジ42は、インクエンドが検出されているということである。そこで、プリンタードライバー130は、前回使用ノズル列NL2がD列であるか否かを判断する(ステップS620)。前回使用ノズル列NL2とは、インクカートリッジ43からインクの供給を受けるB列およびD列のうちの最後に指定されたノズル列である。そして、プリンタードライバー130は、上記ステップS560〜610と同様にして、使用ノズル列の指定をB列とD列との間で1ページを単位として排他的に切り替えて指定してドット発生テーブルT2と印刷データD2を生成する(ステップS630〜S680)。なお、これらの切り替えの単位は、1ページに限らず、複数ページ単位であってもよいし、印刷媒体Pの主走査方向に亘ってインクドットが形成されない領域によって分割される印刷単位であってもよい。こうすれば、ノズル列の切り替えが印刷画像に影響を与えることがない。
【0067】
ここで、A列のみまたはB列のみで印刷を行うときのドット発生テーブルT2の生成方法を説明する。
プリンター20は、第1実施例で前記したパラメーターP1,P2に加えて、A列のみで最も濃い階調を印刷するときのインク吐出量を特定するパラメーターP3と、B列のみで最も濃い階調を印刷するときのインク吐出量を特定するパラメーターP4とをEEPROM39に記憶する。
プリンタードライバー130は、A列を指定して印刷するときはプリンター20よりパラメーターP3を取得し、第1実施例同様にドット発生テーブルT2を生成する。B列を指定して印刷するときはパラメーターP4を取得し、第1実施例同様にドット発生テーブルT2を生成する。また、C列あるいはD列を指定したときのドット発生テーブルT2の生成方法は第1実施例と同様である。
また、パラメーターP3,P4の設定方法も第1実施例と同様である。図17に示すように、A〜D列全ての列のパッチ群を1枚の印刷媒体に配置することもできる。
【0068】
B−2.印刷実行処理:
第2実施例としての印刷実行処理の流れを図12に示す。図示するように、印刷実行処理が開始されると、CPU31は、受信した印刷データが印刷データD1であるか否かを判断する(ステップS710)。その結果、受信した印刷データが印刷データD1であれば(ステップS710:YES)、CPU31は、A〜D列を使用して印刷データD1の印刷を実行する(ステップS720)。
【0069】
一方、受信した印刷データが印刷データD1でなければ(ステップS710:NO)、すなわち、印刷データD2であれば、上記ステップS570,S600,S640,S670のいずれかで使用ノズル列が指定されているということである。そこで、CPU31は、指定された使用ノズル列を使用して、印刷データD2を印刷する(ステップS730)。
【0070】
B−3.効果:
かかる構成の印刷システム10は、インクカートリッジ42,43の一方にインクエンドが検知された状態でインクの供給を受けることが可能なA列またはC列と、B列またはD列とを所定の印刷単位ごとに切り替えて使用して印刷を行う。したがって、使用可能なノズル列が使用されない状態で長期間放置されることを抑制することができる。その結果、ノズルの重度の目詰まりを抑制し、ノズルの長寿命化に資する。
【0071】
また、A〜D列のいずれか1列のノズル列を使用する印刷では、隣接するラスターラインを形成するまでのインクの着弾時間差がA〜D列全てのノズル列を使用する印刷と比べて大きく、用紙へのインクの沈みこみが起きにくくなり濃度が上がる問題があるが、ドット発生テーブルT2を新たに生成し、印刷データD2のインク総吐出量を印刷データD1のインク総吐出量より下げることで、A〜D列いずれかのノズル列のみによる印刷であっても、印刷データD1による印刷物と濃度が同一あるいは略同一の良好な画質を得ることができる。
【0072】
C.変形例:
なお、この発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0073】
C−1.変形例1:
上記の実施形態においては、プリンター20が、いわゆるバンド送り方式によって、印刷データD1を印刷する構成について示したが、印刷データD1の印刷には、1つのラスターラインを複数の主走査で形成するオーバーラップ方式で印刷してもよいし、インターレース方式で印刷してもよい。また、印刷データD2の印刷についても、オーバーラップ方式で印刷してもよいし、ノズル配置が許容すれば、インターレース方式で印刷してもよい。例えば、インクカートリッジ43にインクエンドが生じ、A列とC列とを同時に使用して印刷を行う場合には、インターレース方式で印刷することも可能である。
【0074】
C−2.変形例2:
上述の実施形態においては、インクの収容容器として、プリンター20に着脱可能なカートリッジ方式を採用したが、収容容器は、プリンター20に着脱不能に設けられたタンク方式を採用することもできる。
【0075】
C−3.変形例3:
上述の実施形態においては、印刷に用いる単色インクとしてブラックインクを用いたが、単色インクは、これに限らず、シアン、マゼンタ、イエローなど、適宜選択することができる。もとより、プリンター20は、単色インクで印刷するものに限らず、上述した印刷ヘッド50のノズル列の構成に加えて、ブラック以外のノズル列を有する場合には、カラー印刷を行う構成としてもよい。
【0076】
C−4.変形例4:
上記実施例では、印刷ヘッド50の構成およびインクの供給の仕組みを、図3,図4で示す態様としたが、それに限ることなく、他の印刷ヘッドの構成およびインク供給の仕組みを採用することができる。図13〜図15にその一例を示した。図13に示した態様では、ノズルユニット52aはノズル列を4列備える。ノズルユニット52aの4列のノズル列のうち、2列分はインクカートリッジ42aからインクの供給を受け、残りの2列分はインクカートリッジ43aからインクの供給を受ける。すなわち、各インクカートリッジから各々、ノズル列2列分ずつインクの供給をうけている。一方、ノズルユニット53aはノズル列を2列備える。ノズルユニット53aの2列のノズル列のうち、1列はインクカートリッジ42aからインクの供給を受け、残りの1列はインクカートリッジ43aからインクの供給を受ける。
【0077】
また、他の態様を図14に示す。図14から分かるように、ノズルユニット52bは、各インクカートリッジ42b,43b,44bの各々から、ノズル列1列分のインクの供給を受けている。ノズルユニット53bも、ノズルユニット52bと同様に、各インクカートリッジ42b,43b,44bの各々から、ノズル列1列分のインクの供給を受けている。
【0078】
また、他の態様を図15に示す。この態様は、第1のノズル列グループに対応するノズルユニットを2つ備える構成である。図15から分かるように、各ノズルユニット52c,53c,54cは、各インクカートリッジ42c,43cの各々から、ノズル列1列分のインクの供給を受けている。
【0079】
本変形例に示した種々の態様から分かるように、第1のノズル列グループは、副走査方向の複数のノズルの位置が互いに同じとなる位置関係でL(Lは2以上の整数であり、収容容器の個数を表す)×a列(aは1以上の整数)配列されたノズル列からなり、a列ずつ、相互に異なる収容容器から前記インクの供給を受ければよく、第2のノズル列グループは、副走査方向複数のノズルの位置が第1のノズル列グループと異なる位置にL×b列(bは1以上の整数)配列されたノズル列からなり、b列ずつ、相互に異なる収容容器からインクの供給を受ける構成であればよい。かかる構成に基づいて、インクエンドが検知されていない場合に、第1のノズル列グループに属する各々のノズル列の主走査方向に同一位置に配置された各ノズルからインクを吐出して、ラスターラインの各々の少なくとも一部のラインを形成して、印刷の実行を行い、インクエンドが検知された状態で、第1のノズル列グループに属するノズル列のうちの、インクエンドが検知されていない収容容器からインクの供給を受けるノズル列を少なくとも使用して、印刷の実行を行えば、上述した実施例の効果を同様に奏することができる。
【0080】
C−5.変形例5:
上述した実施形態においては、ドット発生テーブルT2の生成を、インクエンドフラグF1取得後(S310)に行っているが、各ノズル列に対応したドット発生テーブルを予め生成してEEPROM39などに記憶しておき、インクエンド情報フラグF1取得(S310)後あるいは前回使用ノズル列NL1,NL2取得(S550,S620)後に、指定された使用ノズル列に対応したドット発生テーブルを選択してもよい。
【0081】
C−6.変形例6:
上述した実施形態においては、プリンター20とコンピューター100とを備えた広義の印刷装置としての印刷システム10について示したが、上述したコンピューター100の機能の一部をプリンター20が備えていてもよいし、コンピューター100の機能の全てをプリンター20が備えていてもよい。つまり、印刷装置全体として、上述した構成を有していればよい。また、上述の実施形態においてソフトウェアで実現されている機能の一部をハードウェアで実現してもよく、あるいは、ハードウェアで実現されている機能の一部をソフトウェアで実現してもよい。
【0082】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上述した実施形態における本発明の構成要素のうち、独立クレームに記載された要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略、または、組み合わせが可能である。また、本発明はこうした実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を脱しない範囲において、種々なる態様で実施できることは勿論である。例えば、本発明は、印刷装置(広義の印刷装置としての印刷システムを含む)のほか、印刷制御装置、印刷方法、印刷制御方法、それらの装置または方法を実現するためのプログラム、そのプログラムを記録した記録媒体等の形態で実現することができる。
【符号の説明】
【0083】
10…印刷システム
20…プリンター
30…制御ユニット
31…CPU
32…制御部
33…インク検知部
37…ROM
38…RAM
39…EEPROM
40…キャリッジ
42,42a,42b,42c,43,43a,44b…インクカートリッジ
45,46…センサー
50…印刷ヘッド
52,52a,52b,52c,53,53a,53b…ノズルユニット
70…キャリッジモーター
71…駆動ベルト
72…プーリー
73…摺動軸
74…紙送モーター
75…プラテン
100…コンピューター
110…アプリケーションプログラム
120…ビデオドライバー
130…プリンタードライバー
131…色変換モジュール
132…印刷データ生成モジュール
170…ディスプレイ
P,P2,P3…印刷媒体
ORG…画像データ
LUT…色変換テーブル
T1,T2…ドット発生テーブル
NZ…ノズル
NZ1〜NZ3…ノズル
R1,R2…ラスターライン
M2…吐出ノズル決定テーブル
MT…マトリックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一色のインクを収容するL個(Lは2以上の整数)の収容容器から前記インクの供給を受けて印刷を行う印刷装置であって、
前記インクを吐出する複数のノズルを所定方向に配列したノズル列が、該方向と交差する方向に離間して複数設けられた印刷ヘッドと、
前記印刷ヘッドを、印刷媒体に対して、前記ノズル列の離間方向および前記ノズルの配列方向に相対移動させる制御を行うとともに、前記複数のノズルからの前記インクの吐出を制御して、印刷を実行する制御部と、
前記L個の収容容器の前記インクのいずれかの収容残量が所定値以下となったことを検知するインク検知部と
を備え、
前記印刷ヘッドは、
前記所定方向の前記複数のノズルの位置が互いに同じとなる位置関係でL×a列(aは1以上の整数)配列されたノズル列であって、前記a列ずつ、相互に異なる前記収容容器から前記インクの供給を受けるノズル列からなる第1のノズル列グループと、
前記所定方向の前記複数のノズルの位置が前記第1のノズル列グループと異なる位置にL×b列(bは1以上の整数)配列されたノズル列であって、前記b列ずつ、相互に異なる収容容器から前記インクの供給を受けるノズル列からなる第2のノズル列グループと
を備え、
前記制御部は、
前記所定値以下の収容残量が検知されていない場合に、第1の印刷データに基づいて、前記第1のノズル列グループに属する各々のノズル列の前記所定方向に同一位置に配置された各ノズルから前記インクを吐出して、前記印刷を行う印刷画像における前記離間方向に沿ったインクドットの並びであるラスターラインの各々の少なくとも一部のラインを形成して、前記印刷の実行を行い、
前記所定値以下の収容残量が検知された状態で、第2の印刷データに基づいて、前記第1のノズル列グループに属するノズル列のうちの、前記所定値以下の収容残量が検知されていない収容容器から前記インクの供給を受ける第1の特定ノズル列を少なくとも使用して、前記印刷の実行を行い、
前記第2の印刷データの記録解像度は、前記第1の印刷データの記録解像度と同じであり、
前記第2の印刷データのインクの総吐出量は、前記第1の印刷データのインクの総吐出量から下げられていることを特徴とした
印刷装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記所定値以下の収容残量が検知された状態で、前記第1の特定ノズル列のみを使用して、前記印刷の実行を行う請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
請求項1記載の印刷装置であって、
前記制御部は、前記所定値以下の収容残量が検知された状態で、前記第1の特定ノズル列と、前記第2のノズル列グループに属するノズル列のうちの、前記第1の特定ノズル列に前記インクを供給する前記収容容器から前記インクの供給を受ける第2の特定ノズル列とを、所定の印刷単位ごとに切り替えて使用して、前記印刷の実行を行う
印刷装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか記載の印刷装置であって、
前記第1のノズル列グループのノズル列の各々は1つの基板に一体として形成されており、
前記第2のノズル列グループのノズル列の各々は1つの基板に一体として形成されている
印刷装置。
【請求項5】
インクを吐出する複数のノズルを所定方向に配列したノズル列が、該方向と交差する方向に離間して複数設けられた印刷ヘッドを、印刷媒体に対して、前記ノズル列の離間方向および前記ノズルの配列方向に相対移動させるとともに、同一色のインクを収容するL個(Lは2以上の整数)の収容容器から前記インクの供給を受けて、前記複数のノズルから前記インクを吐出して印刷を行う印刷装置を用いた印刷方法であって、
前記印刷ヘッドは、
前記所定方向の前記複数のノズルの位置が互いに同じとなる位置関係でL×a列(aは1以上の整数)配列されたノズル列であって、前記a列ずつ、相互に異なる前記収容容器から前記インクの供給を受けるノズル列からなる第1のノズル列グループと、
前記所定方向の前記複数のノズルの位置が前記第1のノズル列グループと異なる位置にL×b列(bは1以上の整数)配列されたノズル列であって、前記b列ずつ、相互に異なる収容容器から前記インクの供給を受けるノズル列からなる第2のノズル列グループと
を備え、
前記L個の収容容器に収容された前記インクの収容残量のいずれかが所定値以下であるか否かを監視し、
前記収容残量のいずれもが前記所定値以下でない場合に、第1の印刷データに基づいて、前記第1のノズル列グループに属する各々のノズル列の前記所定方向に同一位置に配置された各ノズルから前記インクを吐出して、前記印刷を行う印刷画像における前記離間方向に沿ったインクドットの並びであるラスターラインの少なくとも一部のラインを形成して、前記印刷を行い、
前記収容残量のいずれかが所定値以下である状態で、第2の印刷データに基づいて、前記第1のノズル列グループに属するノズル列のうちの、前記収容残量が前記所定値以下ではない収容容器から前記インクの供給を受ける第1の特定ノズル列を少なくとも使用して、前記印刷を行い、
前記第2の印刷データの記録解像度は、前記第1の印刷データの記録解像度と同じであり、
前記第2の印刷データのインクの総吐出量は、前記第1の印刷データのインクの総吐出量から下げられていることを特徴とした
印刷方法。
【請求項6】
インクを吐出する複数のノズルを所定方向に配列したノズル列が、該方向と交差する方向に離間して複数設けられた印刷ヘッドを備え、同一色のインクを収容するL個(Lは2以上の整数)の収容容器から前記インクの供給を受ける印刷装置が印刷を行うためのプログラムであって、
前記印刷ヘッドは、
前記所定方向の前記複数のノズルの位置が互いに同じとなる位置関係でL×a列(aは1以上の整数)配列されたノズル列であって、前記a列ずつ、相互に異なる前記収容容器から前記インクの供給を受けるノズル列からなる第1のノズル列グループと、
前記所定方向の前記複数のノズルの位置が前記第1のノズル列グループと異なる位置にL×b列(bは1以上の整数)配列されたノズル列であって、前記b列ずつ、相互に異なる収容容器から前記インクの供給を受けるノズル列からなる第2のノズル列グループと
を備え、
前記印刷ヘッドを、印刷媒体に対して、前記ノズル列の離間方向および前記ノズルの配列方向に相対移動させる制御を行うとともに、前記複数のノズルからの前記インクの吐出を制御して、印刷を実行する制御機能と、
前記L個の収容容器に収容された前記インクの収容残量のいずれかが所定値以下となったことを検知するインク検知機能と
をコンピューターに実現させ、
前記制御機能は、
前記所定値以下の収容残量が検知されていない場合に、第1の印刷データに基づいて、前記第1のノズル列グループに属する各々のノズル列の前記所定方向に同一位置に配置された各ノズルから前記インクを吐出して、前記印刷を行う印刷画像における前記離間方向に沿ったインクドットの並びであるラスターラインの少なくとも一部のラインを形成して、前記印刷の実行を行い、
前記所定値以下の収容残量が検知された状態で、第2の印刷データに基づいて、前記第1のノズル列グループに属するノズル列のうちの、前記所定値以下の収容残量が検知されていない収容容器から前記インクの供給を受ける第1の特定ノズル列を少なくとも使用して、前記印刷の実行を行い、
前記第2の印刷データの記録解像度は、前記第1の印刷データの記録解像度と同じであり、
前記第2の印刷データのインクの総吐出量は、前記第1の印刷データのインクの総吐出量から下げられていることを特徴とした
プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−218413(P2012−218413A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89826(P2011−89826)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】