説明

印刷装置、印刷方法およびコンピュータープログラム

【課題】印刷時間の増加を抑制しつつ印刷画質を向上させる。
【解決手段】印刷装置は、K個のノズルからなる有彩色ノズル列と(n・K)個(nは2以上の整数)のノズルからなる無彩色ノズル列を備える。印刷装置は、カラー領域では有彩色ノズル列と無彩色ノズル列とが用いられる1回の画像形成動作と有彩色ノズル列のみが用いられる(m−1)回の画像形成動作(mは1以上n以下の整数)とにより画像領域を形成し、モノクロ領域では無彩色ノズル列のみが用いられる1回の画像形成動作により画像領域を形成する。印刷装置は、無彩色ノズル列を構成する(n・K)個のノズルに対応した容量を有するスケジューリングテーブルを共通して使用して、有彩色ノズル列用の印刷データと無彩色ノズル列用の印刷データとを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクを吐出して印刷媒体上に画像を形成する印刷に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、印刷ヘッドを往復動させる主走査を行いつつ印刷ヘッドに設けられたノズルからインクを吐出して印刷媒体上にインクドットを形成することにより画像を印刷する印刷装置が普及している。このような印刷装置において、無彩色インク(例えば黒インク)を吐出する無彩色用ノズル列と有彩色インク(例えばシアンインク、マゼンタインク、イエローインク)を吐出する有彩色用ノズル列とを用いて印刷画像における有彩色を含むカラー領域を形成すると共に、無彩色用ノズル列のみを用いて印刷画像における有彩色を含まないモノクロ領域を形成する技術が開示されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−231930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の技術では、印刷画質の向上と印刷処理に要する時間の増加の抑制との両立の点で、向上の余地があった。特に、上記従来の技術では、無彩色インクを用いて形成される印刷媒体の搬送方向(副走査方向)に略平行な線の主走査方向に沿った位置ずれを抑制することによる印刷画質の向上と、印刷処理に要する時間の増加の抑制との両立の点で、向上の余地があった。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、インクを吐出して印刷媒体上に画像を形成する印刷処理を行う際に、印刷処理に要する時間の増加を抑制しつつ印刷画質を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の少なくとも一部を解決するために、本発明は、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]印刷装置であって、
第1の方向に沿って並んだ有彩色インクを吐出するK個(Kは2以上の整数)のノズルにより構成される有彩色ノズル列と、前記第1の方向に沿って並んだ無彩色インクを吐出する(n・K)個(nは2以上の整数)のノズルにより構成される無彩色ノズル列と、を含み、前記第1の方向に交差する第2の方向に沿って並んで配置された複数のノズル列と、
前記複数のノズル列を印刷媒体に対して前記第2の方向に沿って相対的に往復移動させる移動機構と、
前記印刷媒体を前記複数のノズル列に対して前記第1の方向に沿って相対的に搬送する搬送機構と、
印刷データに基づき、前記移動機構に前記複数のノズル列の往方向および復方向への移動を行わせながら前記複数のノズル列にインクを吐出させる画像形成動作と、前記搬送機構に前記印刷媒体を搬送させる搬送動作と、を繰り返すことにより前記印刷媒体上に画像を形成する制御部を備え、
前記制御部は、前記画像における有彩色を含むカラー領域では、前記複数のノズル列の移動方向が往方向と復方向とで交互に切り替わるm回(mは1以上n以下の整数)の前記画像形成動作であって、前記複数のノズル列の移動方向が往方向と復方向とのいずれか一方である特定方向であり前記有彩色ノズル列と前記無彩色ノズル列との両方が用いられる1回の前記画像形成動作と前記有彩色ノズル列のみが用いられる(m−1)回の前記画像形成動作とを含むm回の前記画像形成動作により前記画像の前記第1の方向に沿った所定幅の領域を形成し、前記画像における有彩色を含まないモノクロ領域では、前記無彩色ノズル列のみが用いられる1回の前記画像形成動作により前記画像の前記所定幅の領域を形成し、
前記制御部は、画像を表す画像データに基づき、各前記画像形成動作における各前記ノズルによるインク吐出態様を特定する前記印刷データを生成する印刷データ生成部を含み、
前記印刷装置は、さらに、各前記画像形成動作における各前記ノズルの前記第1の方向に沿った位置とインク吐出態様とを記録するスケジューリングテーブルであって、前記無彩色ノズル列を構成する(n・K)個の前記ノズルに対応した容量を有するスケジューリングテーブルを格納する記憶部を備え、
前記印刷データ生成部は、前記スケジューリングテーブルを共通して使用して、前記有彩色ノズル列用の前記印刷データと前記無彩色ノズル列用の前記印刷データとを生成する、印刷装置。
【0008】
この印刷装置では、カラー領域において、無彩色用ノズル列が使用される画像形成動作の方向はすべて同一方向となるため、無彩色インクを用いて形成される第1の方向に略平行な罫線の第2の方向に沿った位置ずれの発生を抑制することができ、印刷画質を向上させることができる。また、この印刷装置では、無彩色用ノズル列を構成するノズル数が有彩色用ノズル列を構成するノズル数のn倍とされ、カラー領域において、有彩色用ノズル列と無彩色用ノズル列との両方が用いられる1回の画像形成動作と有彩色用ノズル列のみが用いられる(m−1)回の画像形成動作とにより画像の第1の方向に沿った所定幅の領域が形成されるため、無彩色用ノズル列が使用される画像形成動作の方向をすべて同一方向としつつも印刷処理に要する時間の増加を抑制することができる。従って、この印刷装置では、印刷処理に要する時間の増加を抑制しつつ印刷画質を向上させることができる。また、この印刷装置では、スケジューリングテーブルが無彩色ノズル列を構成する(n・K)個のノズルに対応した容量を有し、印刷データ生成部がスケジューリングテーブルを共通して使用して有彩色ノズル列用の印刷データと無彩色ノズル列用の印刷データとを生成するため、スケジューリングテーブルを格納するための記憶部の容量を削減することができる。
【0009】
[適用例2]適用例1に記載の印刷装置であって、
前記印刷データ生成部は、前記カラー領域用の前記印刷データを生成する際に、各無彩色ノズルサブグループの1回の前記画像形成動作の前記第1の方向に沿った印刷解像度が各前記有彩色ノズル列のm回の前記画像形成動作の前記第1の方向に沿った印刷解像度と同一となるように、前記無彩色ノズル列を構成する(n・K)個の前記ノズルを複数の無彩色ノズルサブグループにグループ分けし、前記有彩色ノズル列用の前記印刷データと各前記無彩色ノズルサブグループ用の前記印刷データとを共通の方法で生成し、
前記スケジューリングテーブルは、各前記無彩色ノズルサブグループを構成するノズルに対応した容量を有する、印刷装置。
【0010】
この印刷装置では、この印刷装置では、印刷データ生成部が、カラー領域用の印刷データを生成する際に、各無彩色ノズルサブグループの1回の画像形成動作の第1の方向に沿った印刷解像度が各有彩色ノズル列のm回の画像形成動作の第1の方向に沿った印刷解像度と同一となるように、無彩色ノズル列を構成する(n・K)個のノズルを複数の無彩色ノズルサブグループにグループ分けし、有彩色ノズル列用の印刷データと各無彩色ノズルサブグループ用の印刷データとを共通の方法で生成するため、印刷処理の高速化、必要なメモリー容量の低減を実現することができる。また、この印刷装置では、スケジューリングテーブルの容量を各無彩色ノズルサブグループを構成するノズルに対応した容量とすることができるため、スケジューリングテーブルを格納するための記憶部の容量をさらに削減することができる。
【0011】
[適用例3]適用例2に記載の印刷装置であって、
前記印刷データ生成部は、前記無彩色ノズル列を構成する(n・K)個の前記ノズルを、それぞれ(m・K)個の前記ノズルにより構成されるn/m個の前記無彩色ノズルサブグループにグループ分けする、印刷装置。
【0012】
この印刷装置では、印刷データ生成部が、無彩色ノズル列を構成する(n・K)個のノズルを、それぞれ(m・K)個のノズルにより構成されるn/m個の無彩色ノズルサブグループにグループ分けするため、各無彩色ノズルサブグループの1回の画像形成動作の第1の方向に沿った印刷解像度が各有彩色ノズル列のm回の画像形成動作の第1の方向に沿った印刷解像度と同一となるようにグループ分けを行うことができ、印刷処理の高速化、必要なメモリー容量の低減を実現することができると共にスケジューリングテーブルを格納するための記憶部の容量をさらに削減することができる。
【0013】
[適用例4]適用例1ないし適用例3のいずれかに記載の印刷装置であって、
前記制御部は、前記m回の画像形成動作の内、前記複数のノズル列の移動方向が前記特定方向である最初の前記画像形成動作を、前記有彩色ノズル列と前記無彩色ノズル列との両方が用いられる1回の前記画像形成動作とする、印刷装置。
【0014】
この印刷装置では、m回の画像形成動作の内、複数のノズル列の移動方向が特定方向である最初の画像形成動作が有彩色用ノズル列と無彩色用ノズル列との両方が用いられる画像形成動作とされるため、比較的印刷媒体上のインク量が少なく印刷媒体のたわみが小さいときに無彩色用ノズル列が使用されることとなり、罫線位置ずれの発生を効果的に抑制することができる。
【0015】
[適用例5]適用例1ないし適用例4のいずれかに記載の印刷装置であって、
前記nの値は偶数である、印刷装置。
【0016】
この印刷装置では、処理の単純化による高速化を図ることができる。
【0017】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、印刷方法および印刷装置、印刷装置の制御方法および制御装置、印刷システム、これらの方法、装置またはシステムの機能を実現するためのコンピュータープログラム、そのコンピュータープログラムを記録した記録媒体、そのコンピュータープログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号、等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施例における印刷システムの概略構成図である。
【図2】第1実施例における制御回路40を中心としたインクジェットプリンター20の構成を示すブロック図である。
【図3】第1実施例におけるインクジェットプリンター20の印刷ヘッド28に設けられたノズルの配置を示す説明図である。
【図4】インクジェットプリンター20による印刷処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】第1実施例のインクジェットプリンター20による印刷処理における記録方法の一例を示す説明図である。
【図6】第1実施例のインクジェットプリンター20による印刷処理における記録方法の別の例を示す説明図である。
【図7】第1実施例のインクジェットプリンター20による印刷処理における記録方法の一例を示す説明図である。
【図8】第1実施例のインクジェットプリンター20による印刷処理における記録方法の一例を示す説明図である。
【図9】ブラック用ノズル列のグループ分けを考慮した記録方法の一例を示す説明図である。
【図10】第2実施例におけるインクジェットプリンター20の印刷ヘッド28aに設けられたノズルの配置を示す説明図である。
【図11】第2実施例のインクジェットプリンター20による印刷処理における記録方法の一例を示す説明図である。
【図12】第3実施例のインクジェットプリンター20による印刷処理における記録方法の一例を示す説明図である。
【図13】第3実施例のインクジェットプリンター20による印刷処理における記録方法の一例を示す説明図である。
【図14】スケジューリングテーブルの一例を示す説明図である。
【図15】スケジューリングテーブルの一例を示す説明図である。
【図16】第4実施例のインクジェットプリンター20による印刷処理における記録方法の一例を示す説明図である。
【図17】仮想スケジューリングテーブルの一例を示す説明図である。
【図18】仮想スケジューリングテーブルの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.第1実施例:
A−1.印刷装置の構成:
A−2.印刷処理:
B.第2実施例:
C.第3実施例:
D.第4実施例:
E.変形例:
【0020】
A.第1実施例:
A−1.印刷装置の構成:
図1は、本発明の第1実施例における印刷システムの概略構成図である。第1実施例の印刷システムは、インクジェットプリンター20と、インクジェットプリンター20に画像を表す画像データIDを供給するコンピューター88と、を備えている。インクジェットプリンター20は、コネクター56を介してコンピューター88と接続されている。
【0021】
コンピューター88では、所定のオペレーティングシステムの下、画像を扱うアプリケーションプログラムが動作している。コンピューター88がマウスやキーボードを介して画像の印刷指示を受け付けると、アプリケーションプログラムは、オペレーティングシステムを介して画像データIDを出力する。画像データIDは、例えばRGB色空間における各画素の階調値を示すRGBデータである。
【0022】
インクジェットプリンター20は、キャリッジ30をプラテン26の軸に平行な方向に沿って往復移動させる主走査を行う移動機構と、印刷媒体としての用紙Pを主走査方向と交差する方向(副走査方向)に搬送する副走査を行う搬送機構と、キャリッジ30に搭載された印刷ヘッドユニット60と、インクジェットプリンター20による印刷処理を制御する制御回路40と、を備えている。
【0023】
用紙Pを搬送する搬送機構は、紙送りモーター22と、紙送りモーター22の回転を図示しない用紙搬送ローラーに伝達するギヤトレイン(図示省略)と、を備える。紙送りモーター22の回転は用紙搬送ローラーに伝達され、用紙搬送ローラーの回転により用紙Pは搬送される。また、キャリッジ30を往復動させる移動機構は、キャリッジモーター24と、プラテン26の軸と平行に架設されキャリッジ30を摺動可能に保持する摺動軸34と、キャリッジモーター24との間に無端の駆動ベルト36を張設するプーリー38と、キャリッジ30の原点位置を検出する位置検出センサー39と、を含んでいる。キャリッジモーター24の回転は駆動ベルト36を介してキャリッジ30に伝達され、これによりキャリッジ30は摺動軸34に沿って往復動する。なお、主走査方向と平行な方向は本発明における第2の方向に相当し、副走査方向と平行な方向は本発明における第1の方向に相当する。
【0024】
図2は、第1実施例における制御回路40を中心としたインクジェットプリンター20の構成を示すブロック図である。制御回路40は、CPU41と内部メモリー43とを備えている。内部メモリー43には、インクジェットプリンター20を制御するためのコンピュータープログラムであるプリンタードライバー45が格納されている。プリンタードライバー45は、画像データIDに基づき各画像形成動作における各ノズルによるインク吐出態様(インク吐出/非吐出の別や吐出インク量)を特定する印刷データを生成するためのモジュールである印刷データ生成部47を含んでいる。CPU41は、内部メモリー43に格納されたプリンタードライバー45を読み出して実行することにより、インクジェットプリンター20を制御する制御部として機能する。
【0025】
制御回路40は、さらに、外部のモーター等とのインターフェイスであるI/F専用回路50と、I/F専用回路50に接続されると共に印刷ヘッドユニット60を駆動するヘッド駆動回路52と、紙送りモーター22およびキャリッジモーター24を駆動するモーター駆動回路54と、を備えている。I/F専用回路50は、コネクター56を介してコンピューター88から供給される画像データIDを受け取る。
【0026】
印刷ヘッドユニット60は、印刷ヘッド28を備えている。印刷ヘッド28は、インクを吐出する複数のノズル列(後述)と、各ノズル列を構成する各ノズルに設けられたピエゾ素子を動作させるアクチュエータ回路と、を有している。アクチュエータ回路は、ヘッド駆動回路52の一部であり、ヘッド駆動回路52内の図示しない駆動信号生成回路から与えられた駆動信号をオン/オフ制御する。すなわち、アクチュエータ回路は、制御回路40から供給される印刷データに従って、各ノズルに関してオン(インクを吐出する)またはオフ(インクを吐出しない)を示すドットデータをラッチし、オンのノズルについてのみ駆動信号をピエゾ素子に印加する。
【0027】
印刷ヘッド28を有する印刷ヘッドユニット60は、キャリッジ30に搭載されている。そのため、印刷ヘッド28は、キャリッジモーター24(図1)によって印刷媒体に対して摺動軸34に沿って(主走査方向に沿って)相対的に往復移動される。また、用紙Pは、印刷ヘッド28に対して紙送りモーター22によって紙送り方向(副走査方向)に搬送される。
【0028】
図3は、第1実施例におけるインクジェットプリンター20の印刷ヘッド28に設けられたノズルの配置を示す説明図である。第1実施例のインクジェットプリンター20は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4色のインクを用いて印刷を行う。そのため、印刷ヘッド28には、4つのインク色に対応する複数のノズル列が主走査方向に沿って並んで配置されている。具体的には、印刷ヘッド28には、3つの有彩色インク(シアンインク、イエローインク、マゼンタインク)のそれぞれに関しては、副走査方向に沿って並ぶ152個のノズルで構成された1つのノズル列が配置されており(図3においてそれぞれ「C」,「Y」,「M」と示す)、無彩色インク(ブラックインク)に関しては、副走査方向に沿って並ぶ152個のノズルで構成されたノズル列が4つ配置されている(図3において「K0」ないし「K3」と示す)。
【0029】
図3に示すように、各ノズル列のノズルピッチは同一である。副走査方向に沿った位置に関しては、シアン用ノズル列とマゼンタ用ノズル列とブラック用ノズル列K0の位置は同じであり、イエロー用ノズル列およびブラック用ノズル列K1の位置は、ブラック用ノズル列K0の位置からノズルピッチの2分の1分ずれた位置である。また、ブラック用ノズル列K2の位置は、ブラック用ノズル列K0の位置からノズルピッチの4分の1分ずれた位置であり、ブラック用ノズル列K3の位置は、ブラック用ノズル列K1の位置からノズルピッチの4分の1分ずれた位置である。従って、4つのブラック用ノズル列は、K0,K2,K1,K3の順に、ノズルピッチの4分の1分ずつ副走査方向に沿ってずらして配置されている。
【0030】
なお、4つのブラック用ノズル列は、それぞれ152個のノズルを有するため、合計608個のノズルで構成される1つのノズル列であると捉えることもできる。このように捉えれば、有彩色用の各ノズル列を構成するノズル数をK個とすると、ブラック用ノズル列を構成するノズル数は(n・K)個(ただしn=4)となる。すなわち、ブラック用ノズル列を構成するノズル数は、有彩色用の各ノズル列を構成するノズル数の4倍となる。また、ブラック用ノズル列のノズルピッチは、有彩色用の各ノズル列のノズルピッチより4倍細かいピッチとなる。
【0031】
本実施例では、ブラック用ノズル列を構成する(n・K)個のノズルが、n/m個のブラック用ノズルサブグループにグループ分けされる。ここで、後述するように、mはカラー領域における単位バンド形成のための画像形成動作の回数であり、第1実施例ではmの値は2である。従って、図3において破線で示すように、ブラック用ノズル列を構成するノズルは、2(=4/2)個のブラック用ノズルサブグループKg0およびKg1にグループ分けされる。
【0032】
一方のブラック用ノズルサブグループKg0は、2つのブラック用ノズル列K0およびK1により構成され、他方のブラック用ノズルサブグループKg1は、2つのブラック用ノズル列K2およびK3により構成される。図3において括弧付きのノズル番号で示すように、ブラック用ノズルサブグループKg0およびKg1は、それぞれ、いわゆる千鳥配置の合計304個のノズルで構成される1つのノズル列であると捉えることもできる。このように捉えれば、ブラック用ノズルサブグループを構成するノズル数は(m・K)個(ただしm=2)となる。すなわち、ブラック用ノズルサブグループを構成するノズル数は、有彩色用の各ノズル列を構成するノズル数の2倍となる。また、各ブラック用ノズルサブグループのノズルピッチは、互いに同一であり、有彩色用の各ノズル列のノズルピッチより2倍細かいピッチとなる。
【0033】
このように、4つのブラック用ノズル列は、千鳥配置の1つのノズル列であると捉えることもできる。同様に、各ブラック用ノズルサブグループも、千鳥配置の1つのノズル列であると捉えることができる。図3の例では、印刷ヘッド28の有彩色用の各ノズル列において、ノズル列を構成する各ノズルの主走査方向に沿った位置はすべて同じとなっているが(すなわち、直線的な配列となっているが)、有彩色用の各ノズル列をいわゆる千鳥配置のノズル列としてもよい。すなわち、本明細書では、「ノズル列」とは、副走査方向に沿って並んで配置された複数のノズルを意味し、「複数のノズルが副走査方向に沿って並んで配置されている」とは、各ノズルの主走査方向に沿った位置にかかわらず、複数のノズルのそれぞれの副走査方向に沿った位置が互いに異なるように並んで配置されていることを意味する。
【0034】
なお、各ノズル列のノズル数やノズルピッチ等の色毎に異なり得るパラメーターは、内部メモリー43に記録されており、プリンタードライバー45により参照される。
【0035】
A−2.印刷処理:
図4は、インクジェットプリンター20による印刷処理の流れを示すフローチャートである。印刷処理は、コンピューター88から取得された画像データIDを印刷データに変換し、印刷データに基づき画像形成動作と搬送動作とを繰り返すことにより、用紙P上に画像を形成する処理である。インクジェットプリンター20のプリンタードライバー45は、インクジェットプリンター20の各部を制御して印刷処理を実行する。
【0036】
印刷処理では、解像度変換処理(ステップS110)と、インク色分版処理(ステップS120)と、ハーフトーン処理(ステップS130)と、ラスタライズ処理(ステップS140)と、記録処理(ステップS150)とが実行される。解像度変換処理は、画像データID(例えばRGBデータ)の解像度を印刷解像度に一致するように変換する処理である。インク色分版処理は、解像度変換後の画像データIDを、インクジェットプリンター20の各インク色のインク量データ(例えばCMYKデータ)に変換する処理である。ハーフトーン処理は、インク色分版処理で得られたインク量データを2値化(あるいは多値化)し、各画素における各色インクドットのON/OFF(あるいはインクドットの大きさ)を示すドット配置データを生成する処理である。ラスタライズ処理は、ドット配置データを、インクジェットプリンター20のノズル配置や用紙Pの搬送量等に応じて、画像形成動作の順に並び替える処理である。ラスタライズ処理により、各画像形成動作における各ノズルによるインク吐出態様(インク吐出/非吐出の別や吐出インク量)を特定する印刷データが生成される。なお、印刷データは、インクジェットプリンター20の各部に特定の動作の実行を指示するためのコマンドデータを含んでいる。
【0037】
記録処理は、印刷データに基づき、移動機構に印刷ヘッドユニット60を搭載したキャリッジ30の往復移動を行わせながら印刷ヘッドユニット60にインクを吐出させる画像形成動作と、搬送機構に用紙Pを搬送させる搬送動作と、を繰り返すことにより、用紙P上に画像を形成する処理である。
【0038】
図5は、第1実施例のインクジェットプリンター20による印刷処理における記録方法の一例を示す説明図である。図5には、印刷画像を副走査方向(紙送り方向)に沿って有彩色を含む画像領域であるカラー領域と有彩色を含まない画像領域であるモノクロ領域に分割したときの、各画像領域を形成するための各パスにおいて使用されるノズル列の副走査方向に沿った位置を示している。なお、図5では、ノズル列が副走査方向に移動しているように表現されているが、実際には用紙Pを副走査方向に搬送することにより、ノズル列が用紙Pに対して相対的に移動する(他の図においても同様)。
【0039】
ここで、「パス」は、上述した移動機構により、各ノズル列を備える印刷ヘッド28(図3)を主走査方向の往方向または復方向へ移動させる動作を意味する。図5において、パス数に「r」符号が付されたパスは、印刷ヘッド28を復方向へ移動させるパスであり、その他のパスは印刷ヘッド28を往方向へ移動させるパスである。なお、往方向とは、キャリッジ30の移動経路の一端近辺に予め設定されたホームポジションから他端近辺に向かう方向であり、復方向とは、往方向の反対方向である。また、各パスにおいて、「K」符号が付されている場合には「K」符号が付された矩形の副走査方向に沿った位置においてブラック用ノズル列が使用され、「Co」符号が付されている場合には「Co」符号が付された矩形の副走査方向に沿った位置において各有彩色用ノズル列が使用される。また、各パスにおいて、「K」符号が付されていない場合にはブラック用ノズル列が使用されず、「Co」符号が付されていない場合には各有彩色用ノズル列が使用されない。なお、各パスにおいてブラック用ノズル列または有彩色用ノズル列が使用されるとは、当該パスに対応するドットデータにブラックインクまたは有彩色インクを吐出すべきとするデータが存在する場合に、対応するノズル列から対応する色のインクが吐出されることを意味する。あるパスにおいてブラック用ノズル列または有彩色用ノズル列が使用される場合であっても、当該パスに対応するドットデータにブラックインクまたは有彩色インクを吐出すべきとするデータが存在しない場合には、対応するノズル列から対応する色のインクが吐出されることはない。また、ブラック用ノズル列または有彩色用ノズル列の使用を伴うパスは、上述した画像形成動作に該当する。後述するように、パスをブラック用ノズル列および有彩色用ノズル列の両方の使用を伴わないパス(空パス)とすることも可能である。
【0040】
図5の例では、印刷画像が、カラー領域、モノクロ領域、カラー領域、モノクロ領域・・・の順に構成されている。そのため、印刷処理では、まずカラー領域の画像形成が行われる。最初のカラー領域では、ブラック用ノズル列と有彩色用ノズル列とが共に使用される往方向の第1パスと、有彩色用ノズル列のみが使用される復方向の第2パスとにより、副走査方向に沿った所定幅の画像(以下、「単位バンド」とも呼ぶ)が形成される。図5の例では、単位バンドの幅は各ノズル列の長さに相当する幅となっている。なお、以下では、ブラック用ノズル列と有彩色用ノズル列とが共に使用されるパスを「ブラック・有彩色併用パス」とも呼び、有彩色用ノズル列のみが使用されるパスを「有彩色のみパス」とも呼び、ブラック用ノズル列のみが使用されるパスを「ブラックのみパス」とも呼ぶ。続いて、往方向のブラック・有彩色併用パスである第3パスと、復方向の有彩色のみパスである第4パスとにより、第1パスおよび第2パスにより形成された単位バンドに隣接する次の単位バンドが形成される。このように、カラー領域では、往方向および復方向のパスが交互に繰り返されると共に、特定方向(例えば往方向)の1回のブラック・有彩色併用パスと、特定方向の逆方向(例えば復方向)の1回の有彩色のみパスと、の合計2回(m=2)のパス(画像形成動作)により単位バンドが形成される記録方法が採用される。すなわち、カラー領域では、ブラック用ノズル列が使用されるパスの方向はすべて同一方向(特定方向)となる。なお、後述するように、単位バンドを形成する2回のパス間には、1主走査ライン分の搬送動作(紙送り)が行われる。
【0041】
また、図5において第5パスおよび第6パスとして示すように、本実施例では、形成すべき単位バンド全体がカラー領域内に位置する場合に加えて、形成すべき単位バンドの一部がカラー領域内に位置し残りの一部がモノクロ領域内に位置するような場合にも、上述したカラー領域における記録方法が採用される。この場合には、有彩色用ノズル列を構成するノズルの内、モノクロ領域内に位置するノズルはマスクされて使用されない。形成すべき単位バンド全体がモノクロ領域内に位置する場合には、以下に示すモノクロ領域における記録方法が採用される。
【0042】
図5の例における最初のモノクロ領域では、まず、往方向のブラックのみパスである第7パスにより、単位バンドが形成される。次に、復方向のブラックのみパスである第8パスにより、第7パスにより形成された単位バンドに隣接する次の単位バンドが形成される。このように、モノクロ領域では、往方向および復方向のブラックのみパスが交互に繰り返されると共に、1回のブラックのみパス(画像形成動作)により単位バンドが形成される記録方法が採用される。なお、続く第9パスおよび第10パスでは、形成すべき単位バンドの一部がカラー領域内に位置することとなるため、上述したカラー領域における記録方法に則った印刷が行われる。
【0043】
図6は、第1実施例のインクジェットプリンター20による印刷処理における記録方法の別の例を示す説明図である。図6の例において、第1パスから第7パスまでの記録方法は、図5の例と同じである。図6の例では、往方向の第7パスが終了すると、次の復方向の第8パスで形成すべき単位バンドの一部がカラー領域内に位置することとなる。そのため、上述したカラー領域における記録方法に則っとれば、次の復方向の第8パスは、ブラック・有彩色併用パスとなる。しかし、本実施例では、モノクロ領域におけるカラー領域との境界の直前の単位バンドが、他のカラー領域の形成の際における上述した特定方向(ブラック・有彩色併用パスの方向)と同じ方向のパスにより形成された場合には、当該直前の単位バンドを形成するためのパスの次のパスは、ブラック用ノズル列および有彩色用ノズル列のいずれの使用も伴わない特定方向とは逆対方向の空パスとし、さらに次のパス以降によってカラー領域の形成を行うものとしている。図6の例では、最初のカラー領域における特定方向(すなわち往方向)と同じ方向のパスである第7パスによりモノクロ領域におけるカラー領域との境界の直前の単位バンドが形成されているため、次のパスである第8パスを特定方向とは逆方向(復方向)の空パス(すなわち、ホームポジションHPに移動するパス)とし、続く第9パスを特定方向と同一方向のブラック・有彩色併用パスとしている。このようにすれば、印刷画像中のすべてのカラー領域において、ブラック・有彩色併用パスの方向は同一方向に統一されることとなる。
【0044】
図7および図8は、第1実施例のインクジェットプリンター20による印刷処理における記録方法の一例を示す説明図である。図7および図8には、印刷画像の各画像領域(カラー領域およびモノクロ領域)を形成するための各パスにおいて使用されるノズル列の副走査方向に沿った位置を示している。図7および8では、各ノズル列を構成する各ノズルの位置が数字で示されている。なお、シアン用ノズル列(C)およびマゼンタ用ノズル列(M)の副走査方向に沿った位置は同じであるため、図7および8ではシアン用ノズル列およびマゼンタ用ノズル列の一方のみの位置を示している。また、ノズル位置を示す数字に重ねて×マークが付されているノズルは、当該パスにおいて使用されないノズルを表している。
【0045】
図7および図8の例では、説明を簡単にするために、有彩色用ノズル列はそれぞれ7個のノズルにより構成されている。また、ブラックについては、4つのブラック用ノズル列K0ないしK3のそれぞれが7個のノズルにより構成され、全体で合計28個のノズルにより構成された1つのブラック用ノズル列を形成している。すなわち、有彩色用の各ノズル列を構成するノズル数をK個とすると、ブラック用ノズル列を構成するノズル数は(n・K)個(ただしn=4)である。また、図7および図8の例では、印刷画像において、第1主走査ライン(第1ラスター)から第34主走査ラインまでの領域はカラー領域であり、第35主走査ラインから第86主走査ラインまでの領域はモノクロ領域であり、第87主走査ライン以降の領域はカラー領域である。
【0046】
図7に示すように、最初のカラー領域では、第1パスとして往方向のブラック・有彩色併用パスが実行され、2主走査ライン分の微小搬送動作Scが行われた後に、第2パスとして復方向の有彩色のみパスが実行される。第1パスおよび第2パスの計2回のパスにより、最初の単位バンドの形成が完了する。次に、26主走査ライン分の主搬送動作Smが行われ、第3パスとして往方向のブラック・有彩色併用パスが実行され、2主走査ライン分の微小搬送動作Scが行われた後に、第4パスとして復方向の有彩色のみパスが実行される。第3パスおよび第4パスの計2回のパスにより、次の単位バンドの形成が完了する。なお、このとき形成される単位バンドは一部がモノクロ領域内に位置しているため、各パスにおいて、モノクロ領域内に位置する有彩色用ノズルはマスクされて使用されない。
【0047】
このように、カラー領域では、往方向および復方向のパスが交互に繰り返されると共に、特定方向(例えば往方向)の1回のブラック・有彩色併用パスと、特定方向の逆方向(例えば復方向)の1回の有彩色のみパスと、の合計2回のパス(画像形成動作)により単位バンドが形成される記録方法が採用される。すなわち、カラー領域では、有彩色用ノズル列はすべての画像形成動作において使用され、ブラック色用ノズル列は1回のみの画像形成動作において使用される。また、ブラック用ノズル列が使用されるパスの方向はすべて同一方向(特定方向)となる。ブラック用ノズル列により形成される主走査ラインの副走査方向に沿った解像度は、有彩色用ノズル列により形成される主走査ラインの副走査方向に沿った解像度の2倍細かい解像度となる。
【0048】
また、最初のモノクロ領域では、第5パス(図8)として往方向のブラックのみパスが実行される。この1回のパスにより、モノクロ領域の最初の単位バンドの形成が完了する。図8の例では、第5パスの後に26主走査ライン分の主搬送動作Smを行うと、次のパスで形成すべき単位バンドの一部がカラー領域内に位置することとなる。そのため、図8の例では、モノクロ領域におけるカラー領域との境界の直前の単位バンドが、他のカラー領域の形成の際における上述した特定方向(ブラック・有彩色併用パスの方向)と同じ方向のパスにより形成されたこととなる。従って、次のパスである第6パスは、いずれのノズル列の使用も伴わない復方向の空パスとなる。その後、26主走査ライン分の主搬送動作Smが行われた後、第7パス以降によって2つ目のカラー領域の形成が行われる。なお、図8の例では、空パスである第6パスの後に主搬送動作Smが行われているが、第5パスの後に主搬送動作Smが行われ、その後に空パスである第6パスが実行されるものとしてもよい。
【0049】
上述したように、第1実施例のインクジェットプリンター20による記録処理では、カラー領域において、ブラック用ノズル列により形成される主走査ラインの副走査方向に沿った解像度(印刷解像度)は、有彩色用ノズル列により形成される主走査ラインの副走査方向に沿った解像度の2(=n/m)倍細かい解像度となる。これは、有彩色用の各ノズル列を構成するノズル数に対するブラック用ノズル列を構成するノズル数の比nの値が4であり、カラー領域における単位バンド形成のための画像形成動作の回数mの値が2であるからである。
【0050】
ここで、本実施例では、ブラック用ノズル列を構成する(n・K)個のノズルが、2(=n/m)個のブラック用ノズルサブグループKg0およびKg1にグループ分けされる(図3)。ブラック用ノズルサブグループKg0およびKg1のそれぞれを、仮想的に互いに異なる色(例えばブラックAとブラックB)のノズル列であるとすると、有彩色用の各ノズル列を構成するノズル数に対するブラックA(またはブラックB)用ノズルサブグループを構成するノズル数の比nの値は2となる。そのため、ブラックA(またはブラックB)用ノズルサブグループにより形成される主走査ラインの副走査方向に沿った解像度は、有彩色用ノズル列により形成される主走査ラインの副走査方向に沿った解像度の1(=n/m)倍、すなわち同一解像度となる。このように本実施例では、各ブラック用ノズルサブグループの1回の画像形成動作の第1の方向に沿った印刷解像度が各有彩色用ノズル列のm回の画像形成動作の第1の方向に沿った印刷解像度と同一となるように、ブラック用ノズル列を構成する(n・K)個のノズルが複数のブラック用ノズルサブグループにグループ分けされる。
【0051】
図9は、ブラック用ノズル列のグループ分けを考慮した記録方法の一例を示す説明図である。図9には、図7に示した記録方法において、ブラック用ノズル列をブラック用ノズルサブグループKg0(ブラック用ノズル列K0およびK1)とブラック用ノズルサブグループKg1(ブラック用ノズル列K2およびK3)とのグループ分けを考慮した図を示している。図9に示すように、各ブラック用ノズルサブグループにより形成される主走査ラインの副走査方向に沿った解像度は、有彩色用ノズル列により形成される主走査ラインの副走査方向に沿った解像度と同一となる。
【0052】
印刷データ生成部47は、ブラック用ノズルサブグループKg0およびKg1を仮想的に異なる色(ブラックAとブラックB)のノズル列であるとして、ラスタライズ処理(図4のステップS140)を行う。ブラック用ノズルサブグループKg0およびKg1を仮想的に異なる色のノズル列であるとすれば、各ブラック用ノズルサブグループおよび各有彩色用ノズル列について、画像形成動作における第1の方向に沿った印刷解像度が同一となるため、ラスタライズ処理を共通の方法で実行することができる。印刷データ生成部47は、各ブラック用ノズルサブグループおよび各有彩色用ノズル列について、共通の方法でラスタライズ処理を行い、各ノズル列についての印刷データを生成する。なお、印刷データ生成部47は、各ブラック用ノズルサブグループについての印刷データを、各ブラック用ノズルサブグループの副走査方向に沿った位置ずれ分(有彩色用ノズル列のノズルピッチの4分の1)だけずらして並べ替えることにより、ブラック用ノズル列についての印刷データを生成する。
【0053】
以上説明したように、本実施例のインクジェットプリンター20では、有彩色用の各ノズル列を構成するノズル数をK個とすると、ブラック用ノズル列を構成するノズル数は(n・K)個(ただしn=4)である。本実施例のインクジェットプリンター20による印刷処理において、カラー領域では、往方向および復方向のパスが交互に繰り返されると共に、特定方向(例えば往方向)の1回のブラック・有彩色併用パスと特定方向の逆方向(例えば復方向)の1回の有彩色のみパスとの合計2回のパス(画像形成動作)により単位バンドが形成される記録方法が採用される。すなわち、各カラー領域において、ブラック用ノズル列が使用されるパスの方向はすべて同一方向(特定方向)となる。あるカラー領域において、ブラック用ノズル列が使用されるパスの方向が往方向と復方向との両方を含む場合には、ブラックインクを用いて形成される副走査方向に略平行な罫線の主走査方向に沿った位置ずれ(いわゆるBi−dずれ)が発生する恐れがある。本実施例では、各カラー領域において、ブラック用ノズル列が使用されるパスの方向はすべて同一方向に統一されるため、上記罫線の位置ずれの発生を抑制することができ、印刷画質を向上させることができる。なお、本実施例では、ブラック用ノズル列を構成するノズル数を有彩色用の各ノズル列を構成するノズル数の4倍として、カラー領域において単位バンドを1回のブラック・有彩色併用パスと1回の有彩色のみパスとで形成するものとしているため、上述の罫線位置ずれの発生を抑制しつつ印刷速度の低下を抑制することができる。さらに、本実施例において、モノクロ領域では、往方向および復方向のブラックのみパスが交互に繰り返されると共に、1回のブラックのみパスにより単位バンドが形成される記録方法が採用されるため、モノクロ領域における印刷速度も向上させることができる。また、モノクロ領域では、有彩色インクの吐出が行われないため、カラー領域と比較して印刷媒体の単位面積当たりのインク量が相対的に少なく印刷媒体のたわみが小さい。そのため、モノクロ領域では、往方向および復方向のブラックのみパスを併用しても、上述した罫線位置ずれの発生の恐れが少ない。以上のことから、本実施例のインクジェットプリンター20では、印刷処理に要する時間の増加を抑制しつつ印刷画質を向上させることができる。
【0054】
また、本実施例のインクジェットプリンター20では、モノクロ領域におけるカラー領域との境界の直前の単位バンドが他のカラー領域の形成の際における上述した特定方向(ブラック・有彩色併用パスの方向)と同じ方向のパスにより形成された場合には、当該直前の単位バンドを形成するためのパスの次のパスは、ブラック用ノズル列および有彩色用ノズル列のいずれの使用も伴わない空パスとし、さらに次のパス以降によってカラー領域の形成を行うものとしている。そのため、本実施例では、印刷画像中のすべてのカラー領域において、ブラック・有彩色併用パスの方向は同一方向に統一される。ここで、往方向のブラック・有彩色併用パスと復方向のブラック・有彩色併用パスとでは、印刷媒体上におけるブラックインクドットと有彩色インクドットとの重なり順が逆となる。そのため、印刷画像において、往方向のブラック・有彩色併用パスとで形成された画像領域と復方向のブラック・有彩色併用パスで形成された画像領域とが混在すると、色ムラが発生する恐れがある。本実施例では、印刷画像中のすべてのカラー領域においてブラック・有彩色併用パスの方向は同一方向に統一されるため、色ムラの発生を抑制することができ、印刷画質をさらに向上させることができる。
【0055】
また、本実施例のインクジェットプリンター20では、印刷データ生成部47が、カラー領域用の印刷データを生成する際に、各ブラック用ノズルサブグループの1回の画像形成動作における副走査方向に沿った印刷解像度が各有彩色ノズル列のm回の画像形成動作における副走査方向に沿った印刷解像度と同一となるように、ブラック用ノズル列を構成する(n・K)個のノズルを複数のブラック用ノズルサブグループにグループ分けし、有彩色用ノズル列用の印刷データと各ブラック用ノズルサブグループ用の印刷データとを共通の方法で生成する。そのため、印刷データ生成部47は、各ブラック用ノズルサブグループと各有彩色用ノズル列とについて、ラスタライズ処理を共通の方法で実行することができ、印刷処理の高速化、必要なメモリー容量の低減を実現することができる。
【0056】
B.第2実施例:
図10は、第2実施例におけるインクジェットプリンター20の印刷ヘッド28aに設けられたノズルの配置を示す説明図である。第2実施例における印刷ヘッド28aのノズル配置は、ブラックインクに関して、152個のノズルで構成されたノズル列が2つ配置されている点が、図3に示した第1実施例における印刷ヘッド28のノズル配置とは異なっている。すなわち、第2実施例における印刷ヘッド28aのノズル配置は、第1実施例における印刷ヘッド28のノズル配置から、ブラック用ノズル列K2およびK3を除いた配置となっている。
【0057】
印刷ヘッド28aに配置された2つのブラック用ノズル列K0,K1は、図10において括弧付きのノズル番号で示すように、304個のノズルで構成される1つのノズル列であると捉えることもできる。このように捉えれば、有彩色用の各ノズル列を構成するノズル数をK個とすると、ブラック用ノズル列を構成するノズル数は(n・K)個(ただしn=2)となる。すなわち、ブラック用ノズル列を構成するノズル数は、有彩色用の各ノズル列を構成するノズル数の2倍となる。また、ブラック用ノズル列のノズルピッチは、有彩色用の各ノズル列のノズルピッチより2倍細かいピッチとなる。
【0058】
また、本実施例では、ブラック用ノズル列を構成する(n・K)個のノズルが、n/m個のブラック用ノズルサブグループにグループ分けされる。ここで、後述するように、mはカラー領域における単位バンド形成のための画像形成動作の回数であり、第2実施例ではmの値は1である。従って、ブラック用ノズル列を構成するノズルは、2(=2/1)個のブラック用ノズルサブグループにグループ分けされる。一方のブラック用ノズルサブグループは、ブラック用ノズル列K0に対応し、他方のブラック用ノズルサブグループは、ブラック用ノズル列K1に対応する。各ブラック用ノズルサブグループを構成するノズル数は(m・K)個(ただしm=1)である。すなわち、ブラック用ノズルサブグループを構成するノズル数は、有彩色用の各ノズル列を構成するノズル数と同じとなる。また、各ブラック用ノズルサブグループのノズルピッチは、互いに同一であり、有彩色用の各ノズル列のノズルピッチと同じとなる。
【0059】
図11は、第2実施例のインクジェットプリンター20による印刷処理における記録方法の一例を示す説明図である。図11には、印刷画像の各画像領域(カラー領域およびモノクロ領域)を形成するための各パスにおいて使用されるノズル列の副走査方向に沿った位置を示している。図11では、各ノズル列を構成する各ノズルの位置が数字で示されている。なお、シアン用ノズル列(C)およびマゼンタ用ノズル列(M)の副走査方向に沿った位置は同じであるため、図11ではシアン用ノズル列およびマゼンタ用ノズル列の一方のみの位置を示している。また、ノズル位置を示す数字に重ねて×マークが付されているノズルは、当該パスにおいて使用されないノズルを表している。
【0060】
図11の例では、説明を簡単にするために、有彩色用ノズル列はそれぞれ7個のノズルにより構成されている。また、ブラックについては、2つのブラック用ノズル列K0,K1のそれぞれが7個のノズルにより構成され、全体で合計14個のノズルにより構成された1つのブラック用ノズル列を形成している。すなわち、有彩色用の各ノズル列を構成するノズル数をK個とすると、ブラック用ノズル列を構成するノズル数は(n・K)個(ただしn=2)である。また、図11の例では、印刷画像において、第1主走査ライン(第1ラスター)から第39主走査ラインまでの領域はカラー領域であり、第40主走査ライン以降の領域はモノクロ領域である。
【0061】
図11に示すように、最初のカラー領域では、第1パスとして往方向のブラック・有彩色併用パスが実行され、この第1パスにより最初の単位バンドの形成が完了する。すなわち、本実施例では、有彩色のみパスは実行されず、カラー領域における単位バンド形成のための画像形成動作の回数mの値は1である。なお、このとき形成される単位バンドにおいて、ブラック用ノズル列(ブラック用ノズル列K0およびブラック用ノズル列K1)により形成される主走査ラインの副走査方向に沿った解像度は、有彩色用ノズル列により形成される主走査ラインの副走査方向に沿った解像度の2倍細かい解像度となる。
【0062】
続いて14主走査ライン分の主搬送動作Smが行われた後、第2パスとして往方向のブラック・有彩色併用パスが実行され、この第2パスにより、次の単位バンドの形成が完了する。さらに、14主走査ライン分の主搬送動作Smが行われた後、第3パスとして往方向のブラック・有彩色併用パスが実行され、この第3パスにより、次の単位バンドの形成が完了する。なお、このとき形成される単位バンドは一部がモノクロ領域内に位置しているため、モノクロ領域内に位置する有彩色用ノズルはマスクされて使用されない。
【0063】
このように、カラー領域では、往方向のパスのみが繰り返し実行され、往方向の1回のブラック・有彩色併用パス(画像形成動作)により単位バンドが形成される記録方法が採用される。すなわち、カラー領域では、ブラック用ノズル列が使用されるパスの方向はすべて同一方向となる。
【0064】
また、最初のモノクロ領域では、第4パスとして往方向のブラックのみパスが実行される。この第4パスにより、モノクロ領域の最初の単位バンドの形成が完了する。続いて14主走査ライン分の主搬送動作Smが行われた後、第5パスとして往方向のブラックのみパスが実行され、この第5パスにより、次の単位バンドの形成が完了する。
【0065】
上述したように、第2実施例のインクジェットプリンター20による記録処理では、カラー領域において、ブラック用ノズル列により形成される主走査ラインの副走査方向に沿った解像度は、有彩色用ノズル列により形成される主走査ラインの副走査方向に沿った解像度の2(=n/m)倍細かい解像度となる。これは、有彩色用の各ノズル列を構成するノズル数に対するブラック用ノズル列を構成するノズル数の比nの値が2であり、カラー領域における単位バンド形成のための画像形成動作の回数mの値が1であるからである。
【0066】
ここで、第2実施例では、ブラック用ノズル列を構成する(n・K)個のノズルが、2(=n/m)個のブラック用ノズルサブグループ(ブラック用ノズル列K0およびブラック用ノズル列K1)にグループ分けされる(図10)。2つのブラック用ノズルサブグループを、仮想的に異なる色(例えばブラックAとブラックB)のノズル列であるとすると、有彩色用の各ノズル列を構成するノズル数に対するブラックA(またはブラックB)用ノズルサブグループを構成するノズル数の比nの値は1となる。そのため、ブラックA(またはブラックB)用ノズルサブグループにより形成される主走査ラインの副走査方向に沿った解像度は、有彩色用ノズル列により形成される主走査ラインの副走査方向に沿った解像度の1(=n/m)倍、すなわち同一解像度となる。このように本実施例では、各ブラック用ノズルサブグループの1回の画像形成動作における第1の方向に沿った印刷解像度が各有彩色用ノズル列のm回の画像形成動作における第1の方向に沿った印刷解像度と同一となるように、ブラック用ノズル列を構成する(n・K)個のノズルが複数のブラック用ノズルサブグループにグループ分けされる。
【0067】
第2実施例においても、第1実施例と同様に、印刷データ生成部47は、2つのブラック用ノズルサブグループ(ブラック用ノズル列K0およびブラック用ノズル列K1)を、仮想的に異なる色(ブラックAとブラックB)のノズル列であるとして、ラスタライズ処理(図4のステップS140)を行う。各ブラック用ノズルサブグループを仮想的に異なる色のノズル列であるとすれば、各ブラック用ノズルサブグループおよび各有彩色用ノズル列について、画像形成動作における第1の方向に沿った印刷解像度が同一となるため、ラスタライズ処理を共通の方法で実行することができる。印刷データ生成部47は、各ブラック用ノズルサブグループおよび各有彩色用ノズル列について、共通の方法でラスタライズ処理を行い、各ノズル列についての印刷データを生成する。なお、印刷データ生成部47は、各ブラック用ノズルサブグループについての印刷データを、各ブラック用ノズルサブグループの副走査方向に沿った位置ずれ分(有彩色用ノズル列のノズルピッチの2分の1)だけずらして並べ替えることにより、ブラック用ノズル列についての印刷データを生成する。
【0068】
以上説明したように、第2実施例のインクジェットプリンター20では、有彩色用の各ノズル列を構成するノズル数をK個とすると、ブラック用ノズル列を構成するノズル数は(n・K)個(ただしn=2)である。本実施例のインクジェットプリンター20による印刷処理において、カラー領域では、往方向の1回のブラック・有彩色併用パス(画像形成動作)により単位バンドが形成される記録方法が採用される。すなわち、各カラー領域において、ブラック用ノズル列が使用されるパスの方向はすべて同一方向となる。そのため、罫線の位置ずれの発生を抑制することができ、印刷画質を向上させることができる。
【0069】
また、第2実施例のインクジェットプリンター20では、印刷データ生成部47が、カラー領域用の印刷データを生成する際に、各ブラック用ノズルサブグループの1回の画像形成動作における副走査方向に沿った印刷解像度が各有彩色ノズル列のm回の画像形成動作における副走査方向に沿った印刷解像度と同一となるように、ブラック用ノズル列を構成する(n・K)個のノズルを複数のブラック用ノズルサブグループにグループ分けし、有彩色用ノズル列用の印刷データと各ブラック用ノズルサブグループ用の印刷データとを共通の方法で生成する。そのため、印刷データ生成部47は、各ブラック用ノズルサブグループと各有彩色用ノズル列とについて、ラスタライズ処理を共通の方法で実行することができ、印刷処理の高速化、必要なメモリー容量の低減を実現することができる。
【0070】
C.第3実施例:
図12は、第3実施例のインクジェットプリンター20による印刷処理における記録方法の一例を示す説明図である。第3実施例のインクジェットプリンター20の印刷ヘッド28の構成は、図3に示す第1実施例と同じである。すなわち、印刷ヘッド28には、152個のノズルで構成された各有彩色用ノズル列と、それぞれ152個のノズルで構成された4つのブラック用ノズル列と、が配置されている。有彩色用の各ノズル列を構成するノズル数をK個とすると、ブラック用ノズル列を構成するノズル数は(n・K)個(ただしn=4)となる。ブラック用ノズル列を構成する(n・K)個のノズルは、n/m個のブラック用ノズルサブグループにグループ分けされている。後述するように、mはカラー領域における単位バンド形成のための画像形成動作の回数であり、第3実施例ではmの値は2である。従って、ブラック用ノズル列を構成するノズルは、2(=4/2)個のブラック用ノズルサブグループKg0およびKg1にグループ分けされる。一方のブラック用ノズルサブグループKg0は、2つのブラック用ノズル列K0およびK1により構成され、他方のブラック用ノズルサブグループKg1は、2つのブラック用ノズル列K2およびK3により構成される。
【0071】
図12には、印刷画像を副走査方向(紙送り方向)に沿って有彩色を含む画像領域であるカラー領域と有彩色を含まない画像領域であるモノクロ領域に分割したときの、各画像領域を形成するための各パスにおいて使用されるノズル列の副走査方向に沿った位置を示している。
【0072】
図12に示すように、第3実施例では、図5に示す第1実施例と同様に、カラー領域において、往方向および復方向のパスが交互に繰り返されると共に、特定方向(例えば往方向)の1回のブラック・有彩色併用パスと、特定方向の逆方向(例えば復方向)の1回の有彩色のみパスと、の合計2回(m=2)のパス(画像形成動作)により単位バンドの形成が完了する記録方法が採用される。すなわち、カラー領域では、ブラック用ノズル列が使用されるパスの方向はすべて同一方向(特定方向)となる。
【0073】
ただし、第3実施例では、合計2回のパスにより形成される単位バンドの幅は、ノズル列の長さより小さい。第3実施例では、パス方向が同一であって相前後して実行される2回のパスにおける副走査方向に沿ったノズル列の位置が一部重なるような送り量で搬送動作が実行される。例えば、図12に示すように、相前後して実行される往方向パスである第1パスと第3パスにおける副走査方向に沿ったノズル列の位置は一部が重なっており、同様に、第2パスと第4パスにおける副走査方向に沿ったノズル列の位置も一部が重なっている。このような態様で印刷を行う場合、少なくとも一部の主走査ライン(ラスター)に関しては、主走査ラインを形成可能なパスが複数存在することとなる。本実施例では、各主走査ラインは1回のパスで形成されるため、複数のパスで形成可能な主走査ラインは、複数のパスの内の選択された1回のパスで形成される。各パスにおいて主走査ラインの形成に関与しないノズルは、マスクされて使用されない。
【0074】
なお、モノクロ領域では、往方向および復方向のブラックのみパスが交互に繰り返されると共に、1回のブラックのみパス(画像形成動作)により単位バンドが形成される記録方法が採用される。
【0075】
図13は、第3実施例のインクジェットプリンター20による印刷処理における記録方法の一例を示す説明図である。図13には、印刷画像のカラー領域を形成するための各パスにおいて使用されるノズル列の副走査方向に沿った位置を示している。図13では、各ノズル列を構成する各ノズルの位置が数字で示されている。なお、シアン用ノズル列(C)およびマゼンタ用ノズル列(M)の副走査方向に沿った位置は同じであるため、シアン用ノズル列およびマゼンタ用ノズル列の一方のみの位置を示している。また、ブラック用ノズル列の位置は、ブラック用ノズルサブグループKg0(ブラック用ノズル列K0およびK1)とブラック用ノズルサブグループKg1(ブラック用ノズル列K2およびK3)とにグループ分けして示している。また、ノズル位置を示す数字に重ねて×マークが付されているノズルは、当該パスにおいて使用されないノズルを表している。
【0076】
図13の例では、説明を簡単にするために、有彩色用ノズル列はそれぞれ8個のノズルにより構成されている。また、ブラック用ノズル列は、ブラック用ノズルサブグループKg0(ブラック用ノズル列K0およびK1)を構成する16個のノズルと、ブラック用ノズルサブグループKg1(ブラック用ノズル列K2およびK3)を構成する16個のノズルと、の合計32個のノズルにより構成されている。すなわち、有彩色用の各ノズル列を構成するノズル数をK個とすると、ブラック用ノズル列を構成するノズル数は(n・K)個(ただしn=4)である。
【0077】
図13に示すように、最初のカラー領域では、第1パスとして往方向のブラック・有彩色併用パスが実行され、6主走査ライン分の搬送動作Skが行われた後に、第2パスとして復方向の有彩色のみパスが実行される。第1パス(ブラック・有彩色併用パス)では、各ノズル列の内、用紙Pの範囲外に位置するノズル(第1,2ノズル)と副走査方向に沿った最上流側に位置するノズル(第8ノズル)が使用されない。また、第2パス(有彩色のみパス)では、各ノズル列の内、用紙Pの範囲外に位置するノズル(C,M用の第1ノズル)と副走査方向に沿った上流側に位置するノズル(C,M用の第7,8ノズルおよびY用の第6−8ノズル)が使用されない。第1パスおよび第2パスの計2回のパスにより、第1主走査ラインから第20主走査ラインにより構成される最初の単位バンドの形成が完了する。なお、このとき形成される単位バンドにおいて、ブラック用ノズル列により形成される主走査ラインの副走査方向に沿った解像度は、有彩色用ノズル列により形成される主走査ラインの副走査方向に沿った解像度の2倍細かい解像度となる。
【0078】
次に、14主走査ライン分の搬送動作Skが行われ、第3パスとして往方向のブラック・有彩色併用パスが実行され、6主走査ライン分の搬送動作Skが行われた後に、第4パスとして復方向の有彩色のみパスが実行される。第3パス(ブラック・有彩色併用パス)では、各ノズル列の内、既に形成された主走査ライン上に位置するノズル(第1,2ノズル)と副走査方向に沿った最上流側に位置するノズル(第8ノズル)が使用されない。また、第4パス(有彩色のみパス)では、各ノズル列の内、既に形成された主走査ライン上に位置するノズル(C,M用の第1ノズル)と副走査方向に沿った上流側に位置するノズル(C,M用の第7,8ノズルおよびY用の第6−8ノズル)が使用されない。第3パスおよび第4パスの計2回のパスにより、第21主走査ラインから第40主走査ラインにより構成される次の単位バンドの形成が完了する。
【0079】
このように、カラー領域では、往方向および復方向のパスが交互に繰り返されると共に、特定方向(例えば往方向)の1回のブラック・有彩色併用パスと、特定方向の逆方向(例えば復方向)の1回の有彩色のみパスと、の合計2回のパス(画像形成動作)により単位バンドが形成される記録方法が採用される。すなわち、カラー領域では、有彩色用ノズル列はすべての画像形成動作において使用され、ブラック用ノズル列は1回のみの画像形成動作において使用される。また、ブラック用ノズル列が使用されるパスの方向はすべて同一方向(特定方向)となる。
【0080】
上述したように、第3実施例のインクジェットプリンター20による記録処理では、カラー領域において、ブラック用ノズル列により形成される主走査ラインの副走査方向に沿った解像度は、有彩色用ノズル列により形成される主走査ラインの副走査方向に沿った解像度の2(=n/m)倍細かい解像度となる。これは、有彩色用の各ノズル列を構成するノズル数に対するブラック用ノズル列を構成するノズル数の比nの値が4であり、カラー領域における単位バンド形成のための画像形成動作の回数mの値が2であるからである。
【0081】
ここで、本実施例では、ブラック用ノズルサブグループKg0およびKg1を、仮想的に異なる色(例えばブラックAとブラックB)のノズル列であるとすると、有彩色用の各ノズル列を構成するノズル数に対するブラックA(またはブラックB)用ノズルサブグループを構成するノズル数の比nの値は2となる。そのため、ブラックA(またはブラックB)用ノズルサブグループにより形成される主走査ラインの副走査方向に沿った解像度は、有彩色用ノズル列により形成される主走査ラインの副走査方向に沿った解像度の1(=n/m)倍、すなわち同一解像度となる。このように本実施例では、各ブラック用ノズルサブグループの1回の画像形成動作における第1の方向に沿った印刷解像度が各有彩色用ノズル列のm回の画像形成動作における第1の方向に沿った印刷解像度と同一となるように、ブラック用ノズル列を構成する(n・K)個のノズルが複数のブラック用ノズルサブグループにグループ分けされる。
【0082】
印刷データ生成部47は、ブラック用ノズルサブグループKg0およびKg1を、仮想的に異なる色(ブラックAとブラックB)のノズル列であるとして、ラスタライズ処理(図4のステップS140)を行う。各ブラック用ノズルサブグループを仮想的に異なる色のノズル列であるとすれば、各ブラック用ノズルサブグループおよび各有彩色用ノズル列について、画像形成動作における第1の方向に沿った印刷解像度が同一となるため、ラスタライズ処理を共通の方法で実行することができる。印刷データ生成部47は、各ブラック用ノズルサブグループおよび各有彩色用ノズル列について、共通の方法でラスタライズ処理を行い、各ノズル列についての印刷データを生成する。なお、印刷データ生成部47は、各ブラック用ノズルサブグループについての印刷データを、各ブラック用ノズルサブグループの副走査方向に沿った位置ずれ分(有彩色用ノズル列のノズルピッチの2分の1)だけずらして並べ替えることにより、ブラック用ノズル列についての印刷データを生成する。
【0083】
印刷データ生成部47は、ラスタライズ処理において、印刷ヘッド28におけるノズル配置と搬送動作量とに基づき各パスにおける各ノズルの副走査方向に沿った位置を特定し、各パスにおいて使用するノズルを決定する。第3実施例では、上述したように、少なくとも一部の主走査ラインに関して、主走査ラインを形成可能なパスが複数存在する。印刷データ生成部47は、1つのパスにおけるある色用のノズルの位置が、他のパスにおける当該色用のノズル位置と同一である場合には、いずれか1つのノズルを使用するノズルに設定し、他のノズルを使用しないノズルに設定する。
【0084】
例えば、図13の例では、第1パスのブラック用ノズル列K1の第8ノズルと、第3パスのブラック用ノズル列K1の第3ノズルとが、共に第23主走査ライン(R23)の位置に位置する。この場合、ブラックの第23主走査ラインは、例えば、第3パスのブラック用ノズル列K1の第3ノズルにより形成され、第1パスにおいてブラック用ノズル列K1の第8ノズルは使用されない。また、第1パスのイエロー用ノズル列Yの第8ノズルと、第3パスのイエロー用ノズル列Yの第3ノズルとが、共に第23主走査ライン(R23)の位置に位置する。この場合、イエローの第23主走査ラインは、例えば、第3パスのイエロー用ノズル列Yの第3ノズルにより形成され、第1パスにおいてイエロー用ノズル列Yの第8ノズルは使用されない。また、第2パスのシアン用ノズル列Cの第7ノズルと、第4パスのシアン用ノズル列Cの第2ノズルとが、共に第23主走査ライン(R23)の位置に位置する。この場合、シアンの第23主走査ラインは、例えば、第4パスのシアン用ノズル列Cの第2ノズルにより形成され、第2パスにおいてシアン用ノズル列Cの第7ノズルは使用されない。
【0085】
なお、各パスにおいて使用するノズルを決定する処理は、例えば特開2005−319616号公報や特開2006−264056号公報に記載された公知の方法で実行することができる。
【0086】
印刷データ生成部47は、各パスにおいて使用するノズルを決定してスケジューリングテーブルを作成し、スケジューリングテーブルを用いて、有彩色ノズル列用の印刷データおよびブラックノズル列用の印刷データを生成する。スケジューリングテーブルは、内部メモリー43に格納される。
【0087】
図14および図15は、スケジューリングテーブルの一例を示す説明図である。図14には、ブラック用ノズルサブグループ用のスケジューリングテーブルTkの一例を示しており、図15には、シアンノズル列用のスケジューリングテーブルTcの一例を示している。図14および図15に示すように、スケジューリングテーブルTkおよびTcは、各パスにおける各ノズルの副走査方向に沿った位置と各ノズルのインク吐出態様(使用/不使用)とを記録するテーブルである。図では、ノズル列を構成する各ノズルの内、各パスにおいて使用されるノズルを黒丸で示し、使用されないノズルを白丸で示している。また、使用されるノズル(黒丸で示すノズル)の右隣には、当該パスにおける当該ノズルの副走査方向に沿った位置(主走査番号)を示している。なお、ブラック用ノズルサブグループ用のスケジューリングテーブルTkは、1つのブラック用ノズルサブグループを構成するノズル数(すなわち第1ノズルから第16ノズルまでの16個)に対応したものとなっており、各ブラック用ノズルサブグループで共用される。
【0088】
例えば、図14に示すように、第1パスでは、各ブラック用ノズルサブグループを構成する16個のノズルの内、第5ノズルから第14ノズルまでの10個のノズルが使用され、他のノズルは使用されない。また、第3パスでは、同様に、各ブラック用ノズルサブグループを構成する16個のノズルの内、第5ノズルから第14ノズルまでの10個のノズルが使用され、他のノズルは使用されない。
【0089】
一方、図15に示すように、第1パスでは、シアン用ノズル列Cを構成する8個のノズルの内、第3ノズルから第7ノズルまでの5個のノズルが使用され、他のノズルは使用されない。また、第2パスでは、シアン用ノズル列Cを構成する8個のノズルの内、第2ノズルから第6ノズルまでの5個のノズルが使用され、他のノズルは使用されない。シアン以外の有彩色についても、同様に、スケジューリングテーブルが作成される。
【0090】
ここで、本実施例では、スケジューリングテーブルが、ブラック用と有彩色用とで共用される。すなわち、1つのブラック用ノズルサブグループを構成するノズル数(16個)に対応したスケジューリングテーブルが準備され、テーブルにおける必要な領域のみが使用される。例えば、図15に示すように、シアン用のスケジューリングテーブルTcは、スケジューリングテーブルの領域の内、8個のノズルに対応する領域のみが使用され、残りの領域Pxは使用されない。従って、第3実施例では、スケジューリングテーブルを格納するための内部メモリー43の容量を削減することができる。
【0091】
また第3実施例では、各カラー領域において、ブラック用ノズル列が使用されるパスの方向はすべて同一方向となるため、罫線の位置ずれの発生を抑制することができ、印刷画質を向上させることができる。また、第2実施例では、印刷データ生成部47が、ブラック用ノズル列を構成する(n・K)個のノズルを、2(=n/m)個のブラック用ノズルサブグループにグループ分けするため、各ブラック用ノズルサブグループにより形成される主走査ラインの副走査方向に沿った解像度は、有彩色用ノズル列により形成される主走査ラインの副走査方向に沿った解像度と同一となる。そのため、各ブラック用ノズルサブグループと各有彩色用ノズル列とについてラスタライズ処理を共通の方法で実行することができ、印刷処理の高速化、必要なメモリー容量の低減を実現することができる。
【0092】
D.第4実施例:
図16は、第4実施例のインクジェットプリンター20による印刷処理における記録方法の一例を示す説明図である。図16には、印刷画像における用紙Pの下端部のカラー領域を形成するための各パスにおいて使用されるノズル列の副走査方向に沿った位置を示している。なお、図16の例では、最終ラスターと記された第78主走査ラインが用紙Pの下端に相当する。
【0093】
第4実施例のインクジェットプリンター20の印刷ヘッド28の構成は、図3に示す第1実施例と同じである。すなわち、印刷ヘッド28には、152個のノズルで構成された各有彩色用ノズル列と、それぞれ152個のノズルで構成された4つのブラック用ノズル列と、が配置されている。有彩色用の各ノズル列を構成するノズル数をK個とすると、ブラック用ノズル列を構成するノズル数は(n・K)個(ただしn=4)となる。ブラック用ノズル列を構成する(n・K)個のノズルは、n/m個のブラック用ノズルサブグループにグループ分けされている。後述するように、mはカラー領域における単位バンド形成のための画像形成動作の回数であり、第3実施例ではmの値は2である。従って、ブラック用ノズル列を構成するノズルは、2(=4/2)個のブラック用ノズルサブグループKg0およびKg1にグループ分けされる。一方のブラック用ノズルサブグループKg0は、2つのブラック用ノズル列K0およびK1により構成され、他方のブラック用ノズルサブグループKg1は、2つのブラック用ノズル列K2およびK3により構成される。
【0094】
図16の例では、説明を簡単にするために、有彩色用ノズル列はそれぞれ8個のノズルにより構成され、ブラック用ノズル列は、ブラック用ノズルサブグループKg0(ブラック用ノズル列K0およびK1)を構成する16個のノズルと、ブラック用ノズルサブグループKg1(ブラック用ノズル列K2およびK3)を構成する16個のノズルと、の合計32個のノズルにより構成されている。すなわち、有彩色用の各ノズル列を構成するノズル数をK個とすると、ブラック用ノズル列を構成するノズル数は(n・K)個(ただしn=4)である。
【0095】
カラー領域では、往方向および復方向のパスが交互に繰り返されると共に、特定方向(例えば往方向)の1回のブラック・有彩色併用パスと、特定方向の逆方向(例えば復方向)の1回の有彩色のみパスと、の合計2回のパス(画像形成動作)により単位バンドが形成される。すなわち、カラー領域では、有彩色用ノズル列はすべての画像形成動作において使用され、ブラック用ノズル列は1回のみの画像形成動作において使用される。また、ブラック用ノズル列が使用されるパスの方向はすべて同一方向(特定方向)となる。なお、このとき形成される単位バンドにおいて、ブラック用ノズル列により形成される主走査ラインの副走査方向に沿った解像度は、有彩色用ノズル列により形成される主走査ラインの副走査方向に沿った解像度の2倍細かい解像度となる。
【0096】
ここで、本実施例では、ブラック用ノズルサブグループKg0およびKg1を、仮想的に異なる色(例えばブラックAとブラックB)のノズル列であるとすると、有彩色用の各ノズル列を構成するノズル数に対するブラックA(またはブラックB)用ノズルサブグループを構成するノズル数の比nの値は2となる。そのため、ブラックA(またはブラックB)用ノズルサブグループにより形成される主走査ラインの副走査方向に沿った解像度は、有彩色用ノズル列により形成される主走査ラインの副走査方向に沿った解像度の1(=n/m)倍、すなわち同一解像度となる。印刷データ生成部47は、ブラック用ノズルサブグループKg0およびKg1を、仮想的に異なる色のノズル列であるとして、ラスタライズ処理(図4のステップS140)を行う。このようにすれば、すべての色は、同一解像度となるため、ラスタライズ処理を共通の方法で実行することができる。
【0097】
用紙Pの下端部では、用紙Pの中央部において実行される態様の印刷(以下、通常印刷と呼ぶ)を継続して行うと、主走査ラインが副走査方向に連続して形成されない場合がある。このような場合には、主走査ラインを副走査方向に連続して形成するために、通常印刷とは異なる態様での印刷(以下、下端印刷と呼ぶ)が実行される。本実施例の下端印刷では、搬送量が通常印刷から変更される。印刷データ生成部47は、下端印刷を実行できるように、ラスタライズ処理を行う。下端印刷のためのラスタライズ処理は、例えば特開2006−264056号公報に記載された公知の方法で実行することができる。具体的には、印刷データ生成部47は、下端部において下端印刷の代わりに通常印刷を継続して実行したと仮定した場合のスケジューリングテーブル(以下、仮想スケジューリングテーブルと呼ぶ)を作成し、下端印刷において、仮想スケジューリングテーブルでインクを吐出すべきとされた主走査ラインでインクが吐出されるように、下端印刷におけるスケジューリングテーブルを作成する。
【0098】
図16の例では、第97パスまでが通常印刷として実行され、それ以降のパスが下端印刷として実行される。このとき、印刷データ生成部47は、第98パス以降の仮想的な通常印刷処理(以下、ダミー処理と呼ぶ)を継続して実行したと仮定した場合の仮想スケジューリングテーブルを、通常印刷時と同様の方法で作成する。すなわち、主走査ラインが最終主走査ラインまで副走査方向に連続して形成されるように、各パスにおけるインクを吐出すべきノズルの位置が特定される。図16には、ダミー処理の第98−100パスにおいて特定された使用ノズルおよびその位置を示している。
【0099】
次に、印刷データ生成部47は、下端印刷用として予め設定された搬送量で用紙Pを搬送した場合の各ノズルの位置を特定すると共に、仮想スケジューリングテーブルでインクを吐出すべきとされた主走査ラインにインクが吐出されるように、下端印刷における使用ノズルを特定する。例えば、第78主走査ライン(最終主走査ライン)では、ダミー処理の往方向の第99パスで、ブラック用ノズルサブグループKg1の第4ノズルによりインクを吐出すべきとされている。従って、印刷データ生成部47は、下端印刷の往方向の第99パスでは、第78主走査ラインに位置するブラック用ノズルサブグループKg1の第6ノズルによりインクを吐出すべきと設定する。同様に、例えば、第63主走査ラインでは、ダミー処理の第98パスで、イエロー用ノズル列Yの第3ノズルによりインクを吐出すべきとされている。従って、印刷データ生成部47は、下端印刷の第99パスでは、第63主走査ラインに位置するイエロー用ノズル列Yの第2ノズルによりインクを吐出すべきと設定する。
【0100】
印刷データ生成部47は、各色について仮想スケジューリングテーブルを個別に作成し、仮想スケジューリングテーブルを用いて、下端印刷用のスケジューリングテーブルを作成し、有彩色ノズル列用の印刷データおよびブラックノズル列用の印刷データを生成する。仮想スケジューリングテーブルは、内部メモリー43に格納される。図17および図18は、仮想スケジューリングテーブルの一例を示す説明図である。図17には、ブラック用ノズルサブグループ用の仮想スケジューリングテーブルDTkの一例を示しており、図18には、シアンノズル列用の仮想スケジューリングテーブルDTcの一例を示している。図17および図18に示すように、仮想スケジューリングテーブルDTkおよびDTcは、仮想的な各パスにおいて使用するノズルを特定するテーブルである。図では、ノズル列を構成する各ノズルの内、各パスで使用されるノズルを黒丸で示し、使用されないノズルを白丸で示している。また、使用されるノズル(黒丸で示すノズル)の右隣には、当該パスにおける当該ノズルの副走査方向に沿った位置(主走査ライン番号)を示している。
【0101】
ブラック用ノズルサブグループ用の仮想スケジューリングテーブルDTkは、1つのブラック用ノズルサブグループを構成するノズル数(すなわち第1ノズルから第16ノズルまでの16個)に対応したものとなっており、各ブラック用ノズルサブグループで共用される。例えば、図17に示すように、第99パスでは、各ブラック用ノズルサブグループを構成する16個のノズルの内、第5ノズルから第12ノズルまでの8個のノズルが使用され、他のノズルは使用されない。
【0102】
一方、シアン用ノズル列用の仮想スケジューリングテーブルDTcは、シアン用ノズル列を構成するノズル数(すなわち第1ノズルから第8ノズルまでの8個)に対応したものとなっている。図18に示すように、第98パスでは、シアン用ノズル列Cを構成する8個のノズルの内、第2ノズルから第5ノズルまでの4個のノズルが使用され、他のノズルは使用されない。また、第99パスでは、シアン用ノズル列Cを構成する8個のノズルの内、第3ノズルから第6ノズルまでの4個のノズルが使用され、他のノズルは使用されない。なお、シアン用ノズル列用の仮想スケジューリングテーブルDTは、他の有彩色用にも共用される。
【0103】
このように、第4実施例では、下端印刷に用いられる仮想スケジューリングテーブルが、ブラック用と有彩色用とで個別に準備される。そのため、副走査方向の解像度が異なるブラック用ノズル列での印刷と有彩色用ノズル列での印刷の双方で、個別に準備された仮想スケジューリングテーブルを用いて、下端印刷を実行することができる。
【0104】
また第4実施例では、各カラー領域において、ブラック用ノズル列が使用されるパスの方向はすべて同一方向となるため、罫線の位置ずれの発生を抑制することができ、印刷画質を向上させることができる。
【0105】
E.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0106】
E1.変形例1:
上記各実施例では、有彩色用の各ノズル列を構成するノズル数をK個とし、ブラック用ノズル列を構成するノズル数を(n・K)個とすると、nの値は2または4であるが、nの値は2以上の整数であれば2および4以外の任意の値であってよい。nの値に関わらず、カラー領域では、往方向および復方向のパスが交互に繰り返されると共に、特定方向の1回のブラック・有彩色併用パスと往方向または復方向の(m−1)回(mは2以上n以下の整数)の有彩色のみパスとの合計m回のパス(画像形成動作)により単位バンドが形成される記録方法が採用され、モノクロ領域では、1回のブラックのみパスにより単位バンドが形成される記録方法が採用されるとすればよい。
【0107】
なお、nの値が偶数である場合には、各カラー領域において、各単位バンドを形成するための一連のパスの方向の組み合わせを統一することができる。例えば、nの値が4であり、合計4回のパスにより単位バンドが形成される記録方法が採用される場合には、各単位バンドを形成するための一連のパスの方向の組み合わせは、例えば、往方向、復方向、往方向、復方向の組み合わせに統一することができる。一方、例えば、nの値が3であり、合計3回のパスにより単位バンドが形成される記録方法が採用される場合には、各単位バンドを形成するための一連のパスの方向の組み合わせは、例えば、ある単位バンドについては往方向、復方向、往方向の組み合わせとなり、次の単位バンドについては復方向、往方向、復方向の組み合わせとなるというように、一連のパスの方向の組み合わせを統一することが難しい。各単位バンドを形成するための一連のパスの方向の組み合わせが統一されないと、主走査ライン(ラスター)の抜けをなくすために搬送動作における搬送量の調整が必要となるなど、処理が複雑化する恐れがある。そのため、処理の単純化による高速化の観点から、nの値は偶数であることが好ましい。
【0108】
また、上記各実施例では、モノクロ領域において、往方向および復方向のブラックのみパスが交互に繰り返される記録方法が採用されるとしているが、モノクロ領域において、往方向および復方向の一方のみのブラックのみパスが繰り返される記録方法が採用されるとしてもよい。このようにすれば、印刷時間の増大の恐れはあるものの、モノクロ領域における罫線の位置ずれの発生を効果的に抑制することができる。
【0109】
また、カラー領域およびモノクロ領域における記録方法は、上記実施例の方法に限られない。例えば、カラー領域の単位バンドの形成が複数回のブラック・有彩色併用パスにより実現されるとしてもよいし、モノクロ領域の単位バンドの形成が複数回のブラックのみパスにより実現されるとしてもよい。
【0110】
E2.変形例2:
上記各実施例では、カラー領域において単位バンドの形成のために行われる複数回のパスの内、最初の特定方向のパスをブラック・有彩色併用パスとしているが、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、図8の例において、最初の単位バンドの形成のために行われる第1パスから第4パスの内、最初の特定方向のパスである第1パスではなく、2番目の特定方向のパスである第3パスがブラック・有彩色併用パスとなるものとしてもよい。すなわち、あるカラー領域においてブラック・有彩色併用パスの方向が統一されている限り、単位バンドの形成のために行われる複数回のパスの内、いずれか1回のパスをブラック・有彩色併用パスとし、残りのパスを有彩色のみパスとすればよい。ただし、パスを重ねる毎に印刷媒体上の単位バンドの領域におけるインク量が多くなって印刷媒体のたわみが大きくなる傾向にあるため、単位バンドの形成のために行われる複数回のパスの内、より先に実行されるパスをブラック・有彩色併用パスとするのが、罫線ずれ発生抑制の点で好ましい。
【0111】
E3.変形例3:
上記各実施例では、モノクロ領域におけるカラー領域との境界の直前の単位バンドが他のカラー領域の形成の際における上述した特定方向と同じ方向のパスにより形成された場合には、例えば当該直前の単位バンドを形成するためのパスの次のパスはブラック用ノズル列および有彩色用ノズル列のいずれの使用も伴わない特定方向とは逆対方向の空パスとし、さらに次のパス以降によってカラー領域の形成を行うなどして、印刷画像におけるすべてのカラー領域についてブラック・有彩色併用パスの方向を同一方向に統一し、色ムラの発生を抑制して印刷画質をさらに向上させているが、このような場合にも、例えば空パスを実行せず、当該直前の単位バンドを形成するためのパスの次のパスをカラー領域の形成を行うためのパスとしてもよい。このようにしても、印刷画像における個々のカラー領域をみれば、ブラック用ノズル列が使用されるパスの方向はすべて同一方向(特定方向)となるため、罫線ずれの発生を抑制することはできる。
【0112】
E4.変形例4:
上記各実施例におけるブラック用ノズルサブグループへのグループ分け方法はあくまで一例であり、各ブラック用ノズルサブグループの1回の画像形成動作における第1の方向に沿った印刷解像度が各有彩色用ノズル列のm回の画像形成動作における第1の方向に沿った印刷解像度と同一となる方法であれば、他の方法によりグループ分けされるとしてもよい。このようにしても、各ブラック用ノズルサブグループと各有彩色用ノズル列とについて、ラスタライズ処理を共通の方法で実行することができ、印刷処理の高速化、必要なメモリー容量の低減を実現することができる。
【0113】
E5.変形例5:
上記第3実施例では、ブラック用ノズルサブグループ用のスケジューリングテーブルTkは、1つのブラック用ノズルサブグループを構成するノズル数に対応したものとなっており、各ブラック用ノズルサブグループで共用されるとしているが、スケジューリングテーブルTkを、すべてのブラック用ノズル列を構成するノズル数に対応したものとしてもよい。このようにしても、スケジューリングテーブルを格納するための内部メモリー43の容量を削減することができる。
【0114】
また、上記第4実施例では、ブラック用ノズルサブグループ用の仮想スケジューリングテーブルDTkが作成されるとしているが、すべてのブラック用ノズル列を構成するノズル数に対応した仮想スケジューリングテーブルが作成されるとしてもよい。
【0115】
E6.変形例6:
上記各実施例におけるインクジェットプリンター20の構成はあくまで一例であり、インクジェットプリンター20の構成は種々に変形可能である。例えば、上記各実施例では、インクジェットプリンター20は無彩色としてのブラックのインクと有彩色としてのシアン、マゼンタ、イエローのインクとの計4色のインクを用いて印刷を行うプリンターであるとしているが、インクジェットプリンター20は、無彩色インクおよび有彩色インクの両者を含んでいれば、4色以下、あるいは6色以上のインクを用いて印刷を行うプリンターであってもよい。使用されるインク色数に関わらず、インクジェットプリンター20の印刷ヘッド28には各インク色に対応するノズル列が設けられる。
【0116】
また、上記各実施例では、インクジェットプリンター20がコンピューター88から画像データIDを受領し、制御回路40のプリンタードライバー45が画像データIDから印刷データを生成するとしているが、コンピューター88がインクジェットプリンター20を制御する制御部として機能するものとしてもよい。この場合には、コンピューター88がプリンタードライバーとして機能して画像データIDから印刷データを生成し、生成した画像データIDをインクジェットプリンター20に供給する。インクジェットプリンター20は、コンピューター88から受領した印刷データに基づき、印刷動作を行う。なお、この場合には、インクジェットプリンター20とコンピューター88とが全体として本発明における印刷装置に相当する。
【0117】
また、上記各実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。
【0118】
また、本発明の機能の一部または全部がソフトウェアで実現される場合には、そのソフトウェア(コンピュータープログラム)は、コンピューター読み取り可能な記録媒体に格納された形で提供することができる。この発明において、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスクやCD−ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種のRAMやROM等のコンピューター内の内部記憶装置や、ハードディスク等のコンピューターに固定されている外部記憶装置も含んでいる。
【符号の説明】
【0119】
20…インクジェットプリンター
22…モーター
24…キャリッジモーター
26…プラテン
28…印刷ヘッド
30…キャリッジ
34…摺動軸
36…駆動ベルト
38…プーリー
39…位置検出センサー
40…制御回路
41…CPU
43…内部メモリー
45…プリンタードライバー
47…印刷データ生成部
52…ヘッド駆動回路
54…モーター駆動回路
56…コネクター
60…印刷ヘッドユニット
88…コンピューター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置であって、
第1の方向に沿って並んだ有彩色インクを吐出するK個(Kは2以上の整数)のノズルにより構成される有彩色ノズル列と、前記第1の方向に沿って並んだ無彩色インクを吐出する(n・K)個(nは2以上の整数)のノズルにより構成される無彩色ノズル列と、を含み、前記第1の方向に交差する第2の方向に沿って並んで配置された複数のノズル列と、
前記複数のノズル列を印刷媒体に対して前記第2の方向に沿って相対的に往復移動させる移動機構と、
前記印刷媒体を前記複数のノズル列に対して前記第1の方向に沿って相対的に搬送する搬送機構と、
印刷データに基づき、前記移動機構に前記複数のノズル列の往方向および復方向への移動を行わせながら前記複数のノズル列にインクを吐出させる画像形成動作と、前記搬送機構に前記印刷媒体を搬送させる搬送動作と、を繰り返すことにより前記印刷媒体上に画像を形成する制御部を備え、
前記制御部は、前記画像における有彩色を含むカラー領域では、前記複数のノズル列の移動方向が往方向と復方向とで交互に切り替わるm回(mは1以上n以下の整数)の前記画像形成動作であって、前記複数のノズル列の移動方向が往方向と復方向とのいずれか一方である特定方向であり前記有彩色ノズル列と前記無彩色ノズル列との両方が用いられる1回の前記画像形成動作と前記有彩色ノズル列のみが用いられる(m−1)回の前記画像形成動作とを含むm回の前記画像形成動作により前記画像の前記第1の方向に沿った所定幅の領域を形成し、前記画像における有彩色を含まないモノクロ領域では、前記無彩色ノズル列のみが用いられる1回の前記画像形成動作により前記画像の前記所定幅の領域を形成し、
前記制御部は、画像を表す画像データに基づき、各前記画像形成動作における各前記ノズルによるインク吐出態様を特定する前記印刷データを生成する印刷データ生成部を含み、
前記印刷装置は、さらに、各前記画像形成動作における各前記ノズルの前記第1の方向に沿った位置とインク吐出態様とを記録するスケジューリングテーブルであって、前記無彩色ノズル列を構成する(n・K)個の前記ノズルに対応した容量を有するスケジューリングテーブルを格納する記憶部を備え、
前記印刷データ生成部は、前記スケジューリングテーブルを共通して使用して、前記有彩色ノズル列用の前記印刷データと前記無彩色ノズル列用の前記印刷データとを生成する、印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置であって、
前記印刷データ生成部は、前記カラー領域用の前記印刷データを生成する際に、各無彩色ノズルサブグループの1回の前記画像形成動作の前記第1の方向に沿った印刷解像度が各前記有彩色ノズル列のm回の前記画像形成動作の前記第1の方向に沿った印刷解像度と同一となるように、前記無彩色ノズル列を構成する(n・K)個の前記ノズルを複数の無彩色ノズルサブグループにグループ分けし、前記有彩色ノズル列用の前記印刷データと各前記無彩色ノズルサブグループ用の前記印刷データとを共通の方法で生成し、
前記スケジューリングテーブルは、各前記無彩色ノズルサブグループを構成するノズルに対応した容量を有する、印刷装置。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷装置であって、
前記印刷データ生成部は、前記無彩色ノズル列を構成する(n・K)個の前記ノズルを、それぞれ(m・K)個の前記ノズルにより構成されるn/m個の前記無彩色ノズルサブグループにグループ分けする、印刷装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の印刷装置であって、
前記制御部は、前記m回の画像形成動作の内、前記複数のノズル列の移動方向が前記特定方向である最初の前記画像形成動作を、前記有彩色ノズル列と前記無彩色ノズル列との両方が用いられる1回の前記画像形成動作とする、印刷装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の印刷装置であって、
前記nの値は偶数である、印刷装置。
【請求項6】
第1の方向に沿って並んだ有彩色インクを吐出するK個(Kは2以上の整数)のノズルにより構成される有彩色ノズル列と、前記第1の方向に沿って並んだ無彩色インクを吐出する(n・K)個(nは2以上の整数)のノズルにより構成される無彩色ノズル列と、を含み、前記第1の方向に交差する第2の方向に沿って並んで配置された複数のノズル列と、前記複数のノズル列を印刷媒体に対して前記第2の方向に沿って相対的に往復移動させる移動機構と、前記印刷媒体を前記複数のノズル列に対して前記第1の方向に沿って相対的に搬送する搬送機構と、を備える印刷装置の制御方法であって、
印刷データに基づき、前記移動機構に前記複数のノズル列の往方向および復方向への移動を行わせながら前記複数のノズル列にインクを吐出させる画像形成動作と、前記搬送機構に前記印刷媒体を搬送させる搬送動作と、を繰り返すことにより前記印刷媒体上に画像を形成する工程を備え、
前記画像を形成する工程は、前記画像における有彩色を含むカラー領域では、前記複数のノズル列の移動方向が往方向と復方向とで交互に切り替わるm回(mは1以上n以下の整数)の前記画像形成動作であって、前記複数のノズル列の移動方向が往方向と復方向とのいずれか一方である特定方向であり前記有彩色ノズル列と前記無彩色ノズル列との両方が用いられる1回の前記画像形成動作と前記有彩色ノズル列のみが用いられる(m−1)回の前記画像形成動作とを含むm回の前記画像形成動作により前記画像の前記第1の方向に沿った所定幅の領域を形成し、前記画像における有彩色を含まないモノクロ領域では、前記無彩色ノズル列のみが用いられる1回の前記画像形成動作により前記画像の前記所定幅の領域を形成する工程であり、
前記方法は、さらに、
画像を表す画像データに基づき、各前記画像形成動作における各前記ノズルによるインク吐出態様を特定する前記印刷データを生成する工程と、
各前記画像形成動作における各前記ノズルの前記第1の方向に沿った位置とインク吐出態様とを記録するスケジューリングテーブルであって、前記無彩色ノズル列を構成する(n・K)個の前記ノズルに対応した容量を有するスケジューリングテーブルを準備する工程と、を備え、
前記印刷データを生成する工程は、前記スケジューリングテーブルを共通して使用して、前記有彩色ノズル列用の前記印刷データと前記無彩色ノズル列用の前記印刷データとを生成する工程である、方法。
【請求項7】
第1の方向に沿って並んだ有彩色インクを吐出するK個(Kは2以上の整数)のノズルにより構成される有彩色ノズル列と、前記第1の方向に沿って並んだ無彩色インクを吐出する(n・K)個(nは2以上の整数)のノズルにより構成される無彩色ノズル列と、を含み、前記第1の方向に交差する第2の方向に沿って並んで配置された複数のノズル列と、前記複数のノズル列を印刷媒体に対して前記第2の方向に沿って相対的に往復移動させる移動機構と、前記印刷媒体を前記複数のノズル列に対して前記第1の方向に沿って相対的に搬送する搬送機構と、を備える印刷装置の制御用のコンピュータープログラムであって、
印刷データに基づき、前記移動機構に前記複数のノズル列の往方向および復方向への移動を行わせながら前記複数のノズル列にインクを吐出させる画像形成動作と、前記搬送機構に前記印刷媒体を搬送させる搬送動作と、を繰り返すことにより前記印刷媒体上に画像を形成する制御機能を、前記印刷装置に実現させ、
前記制御機能は、前記画像における有彩色を含むカラー領域では、前記複数のノズル列の移動方向が往方向と復方向とで交互に切り替わるm回(mは1以上n以下の整数)の前記画像形成動作であって、前記複数のノズル列の移動方向が往方向と復方向とのいずれか一方である特定方向であり前記有彩色ノズル列と前記無彩色ノズル列との両方が用いられる1回の前記画像形成動作と前記有彩色ノズル列のみが用いられる(m−1)回の前記画像形成動作とを含むm回の前記画像形成動作により前記画像の前記第1の方向に沿った所定幅の領域を形成し、前記画像における有彩色を含まないモノクロ領域では、前記無彩色ノズル列のみが用いられる1回の前記画像形成動作により前記画像の前記所定幅の領域を形成する機能であり、
前記コンピュータープログラムは、さらに、
画像を表す画像データに基づき、各前記画像形成動作における各前記ノズルによるインク吐出態様を特定する前記印刷データを生成する印刷データ生成機能と、
各前記画像形成動作における各前記ノズルの前記第1の方向に沿った位置とインク吐出態様とを記録するスケジューリングテーブルであって、前記無彩色ノズル列を構成する(n・K)個の前記ノズルに対応した容量を有するスケジューリングテーブルを準備する機能と、を前記印刷装置に実現させ、
前記印刷データ生成機能は、前記スケジューリングテーブルを共通して使用して、前記有彩色ノズル列用の前記印刷データと前記無彩色ノズル列用の前記印刷データとを生成する機能である、コンピュータープログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−192591(P2012−192591A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57649(P2011−57649)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】