印刷装置、印刷方法及びその印刷方法を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体
【課題】被印刷基板上で転写ローラを転動させることによって被印刷基板にパターンを印刷する際に、被印刷基板と転写ローラとの接触状態が変動して印刷パターンがデバイスの設計寸法からずれることを防止し、高い寸法精度でパターンを印刷できる印刷装置を提供する。
【解決手段】転写ローラ3と、被印刷基板11を保持する保持機構5とを備え、保持機構5が保持している被印刷基板11上で転写ローラ3を転動させることによって、転写ローラ3に形成されている印刷パターンを被印刷基板11に印刷する印刷装置1において、被印刷基板11上で転写ローラ3を転動させる際に、被印刷基板11上に印刷されたパターンの位置情報に基づいて、転写ローラ3に被印刷基板11が押し込まれる押し込み量を調整することによって、転写ローラ3に形成されている印刷パターンを、転写ローラ3が転動する方向に沿って伸縮させる調整機構5aを有する。
【解決手段】転写ローラ3と、被印刷基板11を保持する保持機構5とを備え、保持機構5が保持している被印刷基板11上で転写ローラ3を転動させることによって、転写ローラ3に形成されている印刷パターンを被印刷基板11に印刷する印刷装置1において、被印刷基板11上で転写ローラ3を転動させる際に、被印刷基板11上に印刷されたパターンの位置情報に基づいて、転写ローラ3に被印刷基板11が押し込まれる押し込み量を調整することによって、転写ローラ3に形成されている印刷パターンを、転写ローラ3が転動する方向に沿って伸縮させる調整機構5aを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、印刷方法及びその印刷方法を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ等のデバイスのパターンをガラス基板やフィルム基板等上に形成する一手法として、印刷方法による手法が提案されている。このようなデバイスのパターンとしては、例えば液晶ディスプレイの画素の微細化に伴って高い寸法精度が要求されるようになってきており、高い寸法精度を有するパターンが印刷できる印刷方法として、反転印刷法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この反転印刷法による印刷方法として、ローラ転写胴を用いるものがある。ローラ転写胴を用いる場合、例えば、シリコーン樹脂を表面とするローラ転写胴面にインクを塗布して塗布面を形成する塗布工程と、塗布工程を経たローラ転写胴を、所定の形状に凸部が形成された凸版であるマスター板上で転動させ、マスター板の凸部に対応する塗布面のインクを転写除去する除去工程と、塗布面に残っているインクを被印刷基板であるワーク板に転写する転写工程とを有するものがある(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
このようなローラ転写胴を用いた反転印刷法では、ガラス基板やフィルム基板等よりなるマスター板とローラ転写胴とを相対移動させ、マスター板上でローラ転写胴を転動させることによって、マスター板のパターンをローラ転写胴に転写する。次いで、ガラス基板やフィルム基板等よりなるワーク板とローラ転写胴とを相対移動させ、ワーク板上でローラ転写胴を転動させることによって、ローラ転写胴に転写されているパターンをワーク板に転写する。そのため、フォトリソグラフィ法により形成されるパターン並みの寸法精度を容易に得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−279349号公報
【特許文献2】特許第3689536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記したような反転印刷法には、以下のような問題がある。
【0007】
ローラ転写胴を用いた反転印刷法は、従前の印刷方法に比べれば、フォトリソグラフィ法並みの寸法精度を容易に得ることができる。しかし、ローラ転写胴に塗布されたインクから不要部分を転写除去するマスター板に形成されているパターンの寸法精度に比べると、ローラ転写胴に形成されたパターンが転写されることによりワーク板に印刷されるパターンの寸法精度が低下するという問題がある。
【0008】
マスター板又はワーク板上でローラ転写胴が転動する際に、例えば印刷装置の各部の寸法公差、がたつき等により、マスター板又はワーク板とローラ転写胴との接触状態が変動するおそれがある。その結果、ワーク板に印刷されるパターンの寸法精度が低下し、印刷されるパターンがデバイスの設計寸法からずれるおそれがある。
【0009】
また、上記した課題は、ローラ転写胴、マスター板及びワーク板を用いて反転印刷法により印刷する場合に限られず、ローラ転写胴を含めた転写ローラに形成された印刷パターンを被印刷基板に印刷する場合にも共通する課題である。
【0010】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、被印刷基板上で転写ローラを転動させることによって被印刷基板にパターンを印刷する際に、被印刷基板と転写ローラとの接触状態が変動して印刷パターンがデバイスの設計寸法からずれることを防止し、高い寸法精度でパターンを印刷できる印刷装置及び印刷方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために本発明では、次に述べる手段を講じたことを特徴とするものである。
【0012】
本発明の一実施例によれば、転写ローラと、被印刷基板を保持する保持機構とを備え、前記保持機構が保持している前記被印刷基板上で前記転写ローラを転動させることによって、前記転写ローラに形成されている印刷パターンを前記被印刷基板に印刷する印刷装置において、前記被印刷基板上で前記転写ローラを転動させる際に、、前記被印刷基板上に印刷されたパターンの位置情報に基づいて、前記転写ローラに前記被印刷基板が押し込まれる押し込み量を調整することによって、前記転写ローラに形成されている前記印刷パターンを、前記転写ローラが転動する方向に沿って伸縮させる調整機構を有する、印刷装置が提供される。
【0013】
また、本発明の他の一実施例によれば、保持機構が保持している被印刷基板上で転写ローラを転動させることによって、前記転写ローラに形成されている印刷パターンを前記被印刷基板に印刷する印刷方法において、前記被印刷基板上で前記転写ローラを転動させる際に、前記被印刷基板上に既に印刷されたパターンの位置情報に基づいて、前記転写ローラに前記被印刷基板が押し込まれる押し込み量を調整することによって、前記転写ローラに形成されている前記印刷パターンを、前記転写ローラが転動する方向に沿って伸縮させる調整工程を有する、印刷方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、被印刷基板上で転写ローラを転動させることによって被印刷基板にパターンを印刷する際に、被印刷基板と転写ローラとの接触状態が変動して印刷パターンがデバイスの設計寸法からずれることを防止し、高い寸法精度でパターンを印刷できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施の形態に係る印刷装置の概略の構成を示す斜視図である。
【図2】第1の実施の形態に係る印刷装置の動作を説明するための概略断面図である。
【図3】マーク検出器の概略構造を示す断面図及びCCD検出器により得られた画像情報の例を示す図である。
【図4】基板変形歪計測器により計測された変形歪マップの一例を示す図である。
【図5】ローラ転写胴とマスター板又はワーク板との接触状態を拡大して示す図である。
【図6】押し込み量hと縮小率d/Dとの関係を示すグラフである。
【図7】第1の実施の形態に係る印刷方法における各工程の手順を説明するためのフローチャートである。
【図8】ワーク板に印刷されたパターン(実線)を設計寸法通りのパターン(破線)とともに示した図である。
【図9】第1の実施の形態の第1の変形例に係る印刷方法における各工程の手順を説明するためのフローチャートである。
【図10】第1の実施の形態の第2の変形例に係る印刷方法における各工程の手順を説明するためのフローチャートである。
【図11】印刷装置調整用のマスター板の概略構成を示す平面図である。
【図12】第2の実施の形態に係る印刷装置の伸縮機構の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明を実施するための形態について図面と共に説明する。
(第1の実施の形態)
始めに、本発明の第1の実施の形態に係る印刷装置について説明する。本実施の形態に係る印刷装置は、保持機構が保持している被印刷基板すなわちワーク板上でローラ転写胴を転動させることによって、ローラ転写胴に形成されている印刷パターンをワーク板に印刷するものである。また、ローラ転写胴は、本発明における転写ローラに相当する。
【0017】
図1は、本実施の形態に係る印刷装置1の概略の構成を示す斜視図である。
【0018】
印刷装置1は1本のローラ転写胴3を備えている。印刷装置1の本体9には、連結されたテーブル4、5が移動可能に設置されている。テーブル4上にはマスター板(板状体の版)10が載置される。また、テーブル5上にはワーク板(板状体のフィルム)11が載置される。
【0019】
マスター板10は、平板状でワーク板11に印刷されるパターンの反転パターンが形成された凸版とされている。マスター板10は、テーブル4上に固定された状態で保持されている。マスター板10は、全体にインキが塗布されたローラ転写胴3上から、反転パターンに対応したインキを転写させて除去するものである。
【0020】
ワーク板11は、ガラス基板やフィルム基板よりなる平板状の被印刷物であり、ローラ転写胴3から印刷パターンに対応したインキが転写される。ワーク板11は、テーブル5上に固定された状態で保持されている。なお、テーブル5は、本発明における保持機構に相当する。
【0021】
ローラ転写胴3は、図2を用いて後述するように、外周に例えばシリコーンよりなる撥水性ブランケット16が巻回されたブランケット胴とされていてもよい。また、ローラ転写胴3は、図5を用いて後述するように、金属製の母材31、例えばポリウレタンよりなる弾性材32、インクが塗布される例えばシリコーン樹脂よりなる樹脂シート33により構成されていてもよい。このとき、樹脂シート33が撥水性ブランケット16に相当する。
【0022】
ローラ転写胴3はその回転軸RCがブラケット13に固定された軸受で支持されている。ローラ転写胴3の両側にはブラケット13との間にピニオン12が取り付けられ、後述するクラッチ7で回転軸RCと連動、非連動で動くようになっている。本体9には、ピニオン12と噛合可能なラック2が設けられている。ブラケット13全体は上下機構14により上下動する。これにより、ラック2とピニオン12が噛合、離間、分離の三状態を選択することができる。
【0023】
図1に示すように、本実施の形態では、ラック2、ピニオン12をローラ転写胴3の両側に設置してもよい。これにより、ラック2、ピニオン12のがたつきを減らすことができ、マスター板10又はワーク板11とローラ転写胴3とを位置合わせする際の位置合わせ精度を向上させることができる。ローラ転写胴3の一端には、ブラケット13に固定された回転駆動用の駆動部6が連結されており、ローラ転写胴3の他端には、クラッチ7が取り付けられている。このクラッチ7をつなげるとローラ転写胴3とピニオン12が連動して回転し、クラッチ7を切るとローラ転写胴3だけが回転するようになっている。また、ブラケット13には、ローラ転写胴3の表面にインクを塗布するためのインクコーター8も固定されている。
【0024】
本体9上にはラック2と平行した直線軸受のリニアガイド15が固定され、リニアガイド15の上を連結されたテーブル4、5が移動自在に固定されている。またピニオン12の下にも直線すべり軸受けが設置されテーブルの剛性が低下しないようにしている。
【0025】
テーブル4、5には、各々載置されたマスター板10とワーク板11をX、Y、Z方向、及び各X、Y、Z軸周りの回転Θ、Υ、Ψ方向に移動可能な6軸駆動機構4a、5aが組み込まれている。この6軸駆動機構4a、5aにより、ロール転写胴3に対するマスター板10とワーク板11とのZ方向の間隔、X方向のずれ、Θ方向の傾きの調整、マスター板10とワーク板11とのY方向の距離を調整することができる。
【0026】
なお、6軸駆動機構4a、5aは、本発明における調整機構に相当する。
【0027】
図2は、本実施の形態に係る印刷装置1の動作を説明するための概略断面図である。
【0028】
先ず連結したテーブル4、5を原点(図1のテーブル位置の状態)に戻し、そこでマスター板10、ワーク板11の各々を、テーブル4、5の各々の所定の位置に置き固定する。固定は、例えば真空チャックや機械式固定法等により行うことができる。
【0029】
次に、テーブル4、5に組み込まれた6軸駆動機構4a、5aを動作させ、ロール転写胴3に対するマスター板10とワーク板11とのZ方向の間隔、X方向のずれ、Θ方向の傾き、マスター板10とワーク板11とのY方向の距離などを調整する。そして、ローラ転写胴3の回転と同期してテーブル4、5をX方向に移動させ、テーブル4、5上をローラ転写胴3が転動する際に、テーブル4、5上のマスター板10、ワーク板11と、ローラ転写胴3との間でインクの転写(印刷)が行えるようにする。
【0030】
上下機構14を動作させることによってブラケット13を上昇させ、ピニオン12とラック2の歯が噛合わないように完全に分離する。そして、クラッチ7を切った状態で駆動部6によりローラ転写胴3を回転させ、ローラ転写胴3を原点位置に戻す。次いで、図2(a)に示すように所定の位置でインクコーター8をローラ転写胴3に近づけ、インクコーター8の先端とローラ転写胴3の表面との間隔を設定値にする。この状態で、ローラ転写胴3を回転させ、メニスカス法によりローラ転写胴3の表面の必要な領域に一定膜厚のインク膜17を形成する。インク膜17を形成した後は、インクコーター8を所定の位置まで戻す。ロータ転写胴3をさらに回転させ所定の位置でクラッチ7を接続し、上下機構14を動作させてブラケット13を下降させ、ラック2とピニオン12を噛合わせる。そして、駆動部6を動作させることによって、ローラ転写胴3をテーブル4と連動させて動かす。ラック2とピニオン12が噛合し、ローラ転写胴3の半径とピニオン12との半径は一致させてあるので、ローラ転写胴3の外周速度はテーブル4の移動速度と一致する。このため、テーブル4上のマスター板10は、回転軸RCに沿って直線状に接触する領域において、凸部10bにより、ローラ転写胴3に塗られたインク膜17から接触したインクをはぎ取りながら、転動する。この結果、ローラ転写胴3の撥水性ブランケット16の表面には、図2(b)に示すように、マスター板10に形成されているパターンとは反転したパターンが残り、印刷パターンが形成される。
【0031】
次に、上下機構14によりブラケット13を上昇させ、ラック2とピニオン12との噛合を解除し、ローラ転写胴3を所定の位置まで回転させ、その後再び上下機構14によりブラケット13を下降させ、ラック2とピニオン12とを噛合させる。そして、駆動部6を動作させることによって、ローラ転写胴3をテーブル5と連動させて動かし、図2(c)に示すように、撥水性ブランケット16上のインクをワーク板11上に転写する。
【0032】
このような動作を繰り返すことによって、ワーク板11上にパターンを重ね印刷し、所望の構造体を作製することができる。ワーク板11へのパターンの重ね印刷の際には、先に印刷されたパターンに対して位置合わせが行われる。マスター板10に位置合わせマークを形成しておき、他のパターンと同じように、位置合わせマークもローラ転写胴3に転写される。ローラ転写胴3に転写された位置合わせマークは、さらにワーク板11に転写される。ワーク板11に転写されている位置合わせマークと、ローラ転写胴3に転写されている位置合わせマークが一致するように制御すれば、正確にパターンの重ね印刷をすることができる。
【0033】
図3(a)は、マーク検出器22の概略構造を示す断面図である。図3(b)は、CCD検出器により得られた画像情報の例を示す図である。
【0034】
なお、マーク検出器22及び6軸駆動機構4a、5aは、本発明における位置合わせ機構に相当する。
【0035】
ローラ転写胴3とテーブル5とが接触する近傍には、テーブル5に載置されたワーク板11上の位置合わせマークと、ローラ転写胴3の表面上の位置合わせマークとを同時に観察できるマーク検出器22が設置されている。このマーク検出器22は、ストロボ光源22aと、ハーフミラー22bと、CCD(Charge Coupled Device)検出器22cとを備えている。そして、マーク検出器22は、ローラ転写胴3とテーブル5が連動して動いている際にそれぞれの位置合わせマークの画像を撮像することによって各々の画像を観察することができる。
【0036】
ストロボ光源22aは、移動中の物体を観察するためのものであり、光を発光するものである。ストロボ光源22aにより発光された光は、レンズ22dにより平行光としてハーフミラー22bに入射する。ハーフミラー22bに入射した光は2方向に分岐され、一方の光はハーフミラー22bにより反射されて90°曲げられてローラ転写胴3に導かれ、他方の光はハーフミラー22bを透過して直進し、テーブル5上のワーク板11に導かれる。また、ローラ転写胴3からの反射光はハーフミラー22bを透過して直進し、ワーク板11からの反射光はハーフミラー22bにより反射され90°曲げられ、2つの光は合成される。そして、合成された光は、CCD検出器22cに導かれる。
【0037】
CCD検出器22cは、ハーフミラー22bにより合成された光を受光することによって、ローラ転写胴3に形成されているパターン中の位置合わせマークの画像と、ワーク板11に形成されている位置合わせマークの画像とを撮像する。具体的には、CCD検出器22cが検出した検出信号に基づいて、イメージプロセッサ27により画像を合成する。そして、CCD検出器22cにより撮像した画像に基づいて、図示しない制御部により、6軸駆動機構5aの動作を制御し、ワーク板11とローラ転写胴3との相対位置を位置合わせする。また、CCD検出器22cは、ストロボ光源22aが発光した時にのみ、ローラ転写胴3に形成されているパターン中の位置合わせマークAM1の画像と、ワーク板11に形成されている位置合わせマークAM2の画像とを撮像するようにしてもよい。
【0038】
予め、ラック2、ピニオン12等にがたつき等がなく、ワーク板11がテーブル5上に正確に位置合わせされている場合に、両者の位置合わせマークAM1、AM2がCCD検出器22cで撮像された画像中でぴったり重なるように調整しておく。すると、位置合わせが正確でないときは、クラッチ7とラック2、ピニオン12で発生するすべりやがたつき又は各部の寸法公差等により、位置合わせマークAM1が、図3(b)に示すように、位置合わせマークAM2の位置からX、Y方向の各々にΔX、ΔYずれる。
【0039】
例えば、テーブル5に保持されているワーク板11に、ローラ転写胴3の表面に塗布されているインクを転写する場合を考える。すると、前述したずれ量がテーブル駆動回路28にフィードバックされ、ワーク板11とローラ転写胴3とが接触する前に、6軸駆動機構5aにより、位置合わせマークAM1、AM2が重なるように、ワーク板11とローラ転写胴3とが位置合わせされる。この結果、ローラ転写胴3をテーブル5に保持されているワーク板11上で転動させる際の、ローラ転写胴3の表面の回転距離とワーク板11の移動距離とを等しくすることができる。そして、ワーク板11とローラ転写胴3とが正確に位置合わせされた状態で、ローラ転写胴3の表面からインクをワーク板11に転写して印刷することができる。
【0040】
図4は、基板変形歪計測器23により計測された変形歪マップの一例を示す図である。なお、図4において、矢印の方向は、縦横破線が交差する各交差点に位置する位置合わせマークAM2のずれの方向を示しており、矢印の長さは、各交差点に位置する位置合わせマークAM2のずれの大きさ(ずれ量)を示している。
【0041】
テーブル4、5の間には基板変形歪計測器23が設置されており、テーブル4上に載置されたマスター板10の変形量、又は、テーブル5上に載置されたワーク板11の変形量が、テーブル4、5の移動中に計測できるようになっている。
【0042】
基板変形歪計測器23には、光学レンズ群とTDI(Time Delay Integration)センサが組み込まれ、基板変形歪計測器23の両側におかれた照明24で照らされたマスター板10の表面又はワーク板11の表面の画像を取得する。TDIセンサを使うことによって、マスター板10又はワーク板11が移動中であってもS/N比の高い画像を取得することができる。基板変形歪計測器23により取得された画像のデータは、歪イメージ処理回路25に送られ、図4(a)に一例を示すように、マスター板10又はワーク板11の変形歪マップが求められる。
【0043】
歪イメージ処理回路25では、その変形歪マップから線形歪成分(以下「線形歪モード」ともいう。)の抽出が行われ、抽出された線形歪モードに基づいて、後述する押し込み量hの補正量がローラ制御回路26に送られる。ローラ制御回路26では、送られた補正量に基づいて押し込み量hが調整される。これにより、撥水性ブランケット16上のパターンを、X方向、すなわちローラ転写胴3が転動する方向に沿って自在に伸縮させることができるため、印刷パターンがデバイスの設計寸法からずれることを防止できる。
【0044】
図4(b)に示すように、例えばワーク板11に大きな線形歪が存在すると、従来では、下地となる印刷パターンの上に重ねて印刷するパターンが徐々にずれるおそれがある。一方、本実施の形態では、ワーク板11に存在する線形歪を補正できるため、下地となる印刷パターンとのずれ量を少なくした状態でパターンを重ねて印刷することができる。
【0045】
なお、本実施の形態に係る印刷装置1では、基板変形歪計測器23を印刷装置1中に組み込んでいるが、基板変形歪計測器を印刷装置1と別に設け、その基板変形歪計測器によりマスター板10の変形量又はワーク板11の変形量を計測し、計測情報を印刷装置1に入力するようにしてもよい。
【0046】
本体9のローラ転写胴3を挟んでテーブル4、5と反対側には、洗浄ユニット29が設置されている。洗浄ユニット29の中までリニアガイド15が引き込まれており、ローラ転写胴3とテーブル5上のワーク板11との間でインクの転写が行われている間に、洗浄ユニット29に入り込んだテーブル4上のマスター板10が洗浄される。マスター板10の凸部の表面にはインクが付着しているため、このインクを例えば粘着ローラにより除去することができる。粘着ローラにより不要インクを取り除いた後、表面の有機洗浄、イオナイズドエアーブロー、UV(Ultra Violet)光照射による表面エネルギーの調整等が行われる。ローラ転写胴3からワーク板11へのインクの転写が行われている最中に洗浄処理が行われるため、時間の増加を伴うことなく次の印刷の準備が完了できることになる。
【0047】
図5は、ローラ転写胴3とマスター板10又はワーク板11との接触状態を拡大して示す図である。図6は、押し込み量hと縮小率d/Dとの関係を示すグラフである。
【0048】
なお、図2ではマスター板10の凹凸が誇張して示されているが、凹凸の高さは数ミクロンであるため、図5ではマスター板10の凹凸を示していない。
【0049】
図5に示すように、ローラ転写胴3の母材は、例えば金属よりなる母材31である。そして、母材31の外周には、例えばポリウレタンよりなる弾性材32が設けられており、更に弾性材32の外周面には、例えばシリコーンよりなる樹脂シート33が設けられている。
【0050】
テーブル4、5がマスター板10又はワーク板11を保持するZ方向の位置は、マスター板10又はワーク板11をローラ転写胴3に接触させる際に、マスター板10又はワーク板11がローラ転写胴3に押し込まれるように、調整される。マスター板10又はワーク板11がローラ転写胴3に全く押し込まれないような状態(押し込み量が0のとき)では、テーブル面の平坦性やテーブルの移動時の位置精度、ローラ転写胴3の表面の平坦性などにより、インクを全面に転写できないおそれがあるからである。
【0051】
本実施の形態では、マスター板10又はワーク板11がローラ転写胴3に押し込まれる押し込み量hが正の値になるように、テーブル4、5がマスター板10又はワーク板11を保持するZ方向の位置を6軸駆動機構4a、5aにより調整した状態で、印刷を行う。押し込み量hが正の値になるときは、ローラ転写胴3を構成する材料のうち最も柔らかい弾性材32が潰れる。これにより、インクを転写する際に押し込み量hが変動した場合でも、インクを確実に転写することができる。
【0052】
なお、テーブル4、5が保持するマスター板10又はワーク板11のローラ転写胴3に対する相対位置が調整できればよく、ローラ転写胴3のZ方向の位置を調整するようにしてもよい。
【0053】
ここで、ローラ転写胴3の半径をRとし、ローラ転写胴3を押し込み量hで潰し、ワーク板11とローラ転写胴3とを面接触状態にする場合を考える。そして、図5に示すように、ローラ転写胴3がワーク板11と面接触状態になっている部分の、ワーク板11の進行方向(X方向)すなわちローラ転写胴3が転動する方向に沿った長さを2dとする。また、面接触状態になっている部分が面接触状態になっていないときの円弧の長さを2Dとし、2Dの長さに対応する中心角を2θとする。θが微小であるときは、D=R×θと表される。すると、ローラ転写胴3がθだけ回転したときに、長さR×θの円弧、すなわち長さDの円弧上に塗布されたインクのパターンは、ワーク板11の進行方向(X方向)に沿って、長さdに縮小されて転写されることになる。
【0054】
図6に示すように、縮小率d/Dは、Rとhの関数であり、半径Rが大きいほど、又は、押し込み量hが小さいほど、縮小率d/Dは小さくなる。半径Rは一定であるため、押し込み量hを調整することによって、ワーク板11の進行方向(X方向)に沿った縮小率d/Dを自在に調整することができる。よって、ローラ転写胴3にワーク板11が押し込まれる押し込み量hを6軸駆動機構5aにより調整することにより、ワーク板11とローラ転写胴3との接触状態が変動して印刷パターンがデバイスの設計寸法からずれることを防止し、高い寸法精度でパターンを印刷できる。
【0055】
また、マスター板10によりインクを除去する際には、ローラ転写胴3がθだけ回転したときに、長さR×θ(長さD)の円弧上のパターンが、マスター板10の進行方向(X方向)に沿って長さdに縮小された状態で、ローラ転写胴3からインクを除去することになる。しかし、マスター板10との接触が終了すると、すなわちインクの除去が完了すると、弾性体32の変形は回復して元通りの径になるため、縮小パターンは拡大されマスター板10上のパターン寸法と同じになる。このため、マスター板10によりインクを除去する際には、パターン寸法のずれはほとんど発生しない。
【0056】
なお、印刷装置1には、例えば図示しない演算処理部、記憶部及び表示部が備えられていてもよい。演算処理部は、例えばCPU(Central Processing Unit)を有するコンピュータである。記憶部は、演算処理部に、各種の処理を実行させるためのプログラムを記録した、例えばハードディスクにより構成されるコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。表示部は、例えばコンピュータの画面よりなる。演算処理部は、記憶部に記録されたプログラムを読み取り、そのプログラムに従って、印刷装置1を構成する各部に制御信号を送り、後述するような印刷方法を実行する。
【0057】
次に、本実施の形態に係る印刷方法について説明する。
【0058】
図7は、本実施の形態に係る印刷方法における各工程の手順を説明するためのフローチャートである。
【0059】
本実施の形態に係る印刷方法による印刷処理は、大別すると、2つの工程、マスター板作製工程と、印刷工程とよりなる。
【0060】
マスター板作製工程では、デバイス設計データ及び印刷装置の仕様に合ったマスター板10を作製する。
【0061】
先ず、デバイス設計データを、例えば印刷装置1の内部又は印刷装置1とは別に設けられた記憶部から読み込む(ステップS11)。
【0062】
次いで、印刷装置の仕様、例えばローラ転写胴3の直径R及び弾性体32の許容される押し込み量を、例えば前述した記憶部から読み込む(ステップS12)。
【0063】
そして、ローラ転写胴3の直径R及び弾性体32の許容される押し込み量に基づいて、前述した縮小率d/Dを決定する(ステップS13)。例えば、ローラ転写胴3の直径を1200mm(R=600mm)とし、弾性体32の厚さを5mmとする場合、許容される押し込み量hが、1.5±0.5mmの範囲になるように調整することができる。押し込み量hが中心値1.5mmであるときの縮小率d/Dは、図6に示すグラフから0.25%になる。
【0064】
次いで、押し込み量hが1.5mmの時にローラ転写胴3の回転方向の寸法がデバイス設計寸法と一致するように、予め0.25%拡大させてマスター板のパターンデータを作製する(ステップS14、データリサイズ処理)。
【0065】
次いで、作製されたパターンデータを用い、例えばフォトリソグラフィ技術により石英板に凸部のパターンを形成する(ステップS15)。これら一連の工程によって、マスター板10を作製することができる。
【0066】
印刷工程では、先ず、マスター板10をテーブル4に設置し、ローラ転写胴3にマスター板10が押し込まれる押し込み量hが1.5mmになるように、6軸駆動機構4aによりテーブル4の姿勢を調整する。ワーク板11をテーブル5に設置し、ローラ転写胴3にワーク板11が押し込まれる押し込み量hが1.5mmになるように、6軸駆動機構5aによりテーブル5の姿勢を調整する(ステップS16、調整工程)。
【0067】
次いで、図2を用いて前述したように、反転印刷法による印刷を行う。これが印刷工程になる。このとき、図3を用いて前述したように、マーク検出器22及び6軸駆動機構4aにより、テーブル4に保持されているマスター板10と、ローラ転写胴3との相対位置を位置合わせする。また、マーク検出器22及び6軸駆動機構5aにより、テーブル5に保持されているワーク板11と、ローラ転写胴3に形成されている印刷パターンとの相対位置を位置合わせする(位置合わせ工程)。
【0068】
このように調整された印刷装置1では、押し込み量hが中心値1.5mmのときに、デバイス設計寸法と同じパターンが印刷できる。また、押し込み量hを中心値から増加させるときに、印刷されるパターンをX方向に縮小して印刷することができ、押し込み量hを中心値から減少させるときに、印刷されるパターンをX方向に拡大して印刷することができる。すなわち、ワーク板11に印刷されるパターンを、ローラ転写胴3が転動する方向に沿って伸縮させることができる。例えば押し込み量hの許容量を±0.5mmとするとき、印刷されるパターンを±0.083%伸縮させることができる。これにより、予めワーク板11の伸縮量が分かっていれば、その伸縮量を補正して印刷ができるようになる。
【0069】
図8は、ワーク板11に印刷されたパターン(実線)を設計寸法通りのパターン(破線)とともに示した図である。図8(a)は、押し込み量hを1.5mmよりも大きくした状態で印刷した場合を示す。図8(b)は、押し込み量hを中心値1.5mmとした状態で印刷した場合を示す。図8(c)は、押し込み量hを1.5mmよりも小さくした状態で印刷した場合を示す。図8(b)では、印刷されたパターンは設計寸法通りであり、図8(a)では、印刷されたパターン(実線)は設計寸法(破線)よりも縮小されており、図8(c)では、印刷されたパターン(実線)は設計寸法(破線)よりも拡大されている。このように、押し込み量hを調整することによって、印刷されるパターンを設計寸法に対し自在に伸縮することができる。
(第1の実施の形態の第1の変形例)
次いで、本発明の第1の実施の形態の第1の変形例に係る印刷方法について説明する。
【0070】
第1の実施の形態では、ワーク板に印刷されるパターンの伸縮量が、ローラ転写胴が転動する方向に沿って、ワーク板の面内で一様である例について説明した。しかしながら、ローラ転写胴が転動する方向に沿った印刷パターンの設計寸法からのずれ量が、ワーク板の面内で一様でなく変動することもある。本変形例では、ローラ転写胴が転動する方向に沿ってワーク板の面内で印刷パターンの伸縮量に線形的な変化をもたせるように補正した上で印刷する印刷方法について説明する。
【0071】
なお、本変形例では、第1の実施の形態に係る印刷装置1を用いることができるため、印刷装置1についての説明を省略する。
【0072】
図9は、本変形例に係る印刷方法における各工程の手順を説明するためのフローチャートである。
【0073】
先ず、パターンが既に印刷されているワーク板11について、パターンの寸法を寸法計測装置により計測する(ステップS21)。計測した計測データから次に行う線形歪モードの抽出ができればよく、寸法の計測は印刷装置1に組み込まれた前述の基板変形歪計測器23により行ってもよいし、印刷装置1と別に設けられた寸法計測装置により行ってもよい。
【0074】
次いで、計測した計測データを解析し、線形歪モードを抽出する(ステップS22)。すなわち、マスター板10の表面又はワーク板11の表面の画像を取得して変形歪マップを求め、その変形歪マップから、線形歪モードを抽出する。
【0075】
次いで、抽出した線形歪モードに基づいて、6軸駆動機構4a、5aの調整に必要なZ位置(押し込み量hに相当)、Θ角度、Υ角度を設定する(ステップS23)。そして、設定された値になるように、6軸駆動機構4a、5aを調整する。
【0076】
次いで、マスター板10及びワーク板11の各々をテーブル4、5の各々に載置固定し、図7に示すフローチャートのうち、印刷工程で示される印刷処理を行う(ステップS24)。
【0077】
Z位置を調整することにより、例えばワーク板11面内の平均的な縮小率を補正することができる。また、Υ角度を調整することにより、テーブル4、5の移動方向(X方向)に沿った縮小率の線形変化を補正することができる。更に、Θ角度を調整することにより、テーブル4、5の移動方向(X方向)と直交する方向(Y方向)に沿った縮小率の線形変化を補正することができる。そして、これらを補正した上で、印刷パターンをワーク板11に対して重ね印刷することができる。
【0078】
図9に示すフローチャートでは、印刷工程の前にZ位置、Θ角度、Υ角度を調整した状態で印刷を行うが、印刷工程においてZ位置、Θ角度、Υ角度を変化させながら印刷を行ってもよい。これにより、X方向に沿って伸縮量が細かく変動する場合でも、印刷パターンがデバイスの設計寸法からずれることを防止し、高い寸法精度でパターンを印刷できる。
(第1の実施の形態の第2の変形例)
次いで、本発明の第1の実施の形態の第2の変形例に係る印刷方法について説明する。
【0079】
本変形例に係る印刷方法では、印刷工程を実施する際に先立って印刷装置の各部の特性、特に、マスター板を載置するマスター板用のテーブル、ワーク板を載置するワーク板用のテーブルの幾何学的な精度を調整する。
【0080】
なお、本変形例でも、第1の実施の形態に係る印刷装置1を用いることができるため、印刷装置1についての説明を省略する。
【0081】
図10は、本変形例に係る印刷方法における各工程の手順を説明するためのフローチャートである。図11は、印刷装置調整用のマスター板10aの概略構成を示す平面図である。
【0082】
先ず、図11に示すように、位置合わせマークAM3が多数形成された、印刷装置調整用のマスター板10aを用いてワーク板11に寸法計測用のパターンを印刷する。すなわち、印刷装置1の機械調整を行った後(ステップS31)、テーブル4に印刷装置調整用のマスター板10aを置き、テーブル5にワーク板11を置く。そして、テーブル4上の印刷装置調整用のマスター板10aからローラ転写胴3に印刷装置調整用パターンを転写し、転写された印刷装置調整用パターンを、テーブル5上のワーク板11に印刷する(ステップS32)。
【0083】
次いで、ワーク板11に印刷されたパターンの寸法を、前述の基板変形歪計測器23等の寸法計測装置により計測し、計測された計測データを解析し、線形歪モードを抽出する(ステップS33)。すなわち、ワーク板11の表面の画像を取得して変形歪マップを求め、その変形歪マップから、線形歪モードを抽出する。そして、抽出した線形歪モードに基づいて、6軸駆動機構5aの調整に必要なZ位置(押し込み量hに相当)、Θ角度、Υ角度を設定する(ステップS34)。そして、設定された値になるように、6軸駆動機構5aを調整する。すなわち、6軸駆動機構5aに含まれる、Θ角度、Υ角度、及びZ位置についての調整機構を動作させ、ローラ転写胴3に対するテーブル5の走行姿勢が常に一定、すなわち変化しなくなるように調整する。
【0084】
次にこのような調整が行われたテーブル5に印刷装置調整用のマスター板10aを置き、テーブル4にワーク板11を置く。そして、テーブル5上の印刷装置調整用のマスター板10aからローラ転写胴3に印刷装置調整用パターンを転写し、転写された印刷装置調整用パターンを、テーブル4上のワーク板11に印刷する(ステップS35)。
【0085】
次いで、ワーク板11に印刷されたパターンの寸法を、前述の基板変形歪計測器23等の寸法計測装置により計測し、計測された計測データを解析し、線形歪モードを抽出する(ステップS36)。すなわち、ワーク板11の表面の画像を取得して変形歪マップを求め、その変形歪マップから、線形歪モードを抽出する。そして、抽出した線形歪モードに基づいて、6軸駆動機構4aの調整に必要なZ位置(押し込み量hに相当)、Θ角度、Υ角度を設定する(ステップS37)。そして、設定された値になるように、6軸駆動機構4aを調整する。すなわち、6軸駆動機構4aに含まれる、Θ角度、Υ角度、及びZ位置についての調整機構を動作させ、ローラ転写胴3に対するテーブル4の走行姿勢が常に一定、すなわち変化しなくなるように調整する。
【0086】
より精度の高い印刷が求められる場合には、この作業を複数回繰り返してより高精度な姿勢精度を達成するようにする。
【0087】
これにより、印刷装置1は、機械調整治具のみで調整されるよりも高精度印刷が可能になり、印刷パターンがデバイスの設計寸法からずれることを防止し、高い寸法精度でパターンを印刷できる(ステップS38)。
(第1の実施の形態の第3の変形例)
次いで、本発明の第1の実施の形態の第3の変形例に係る印刷方法について説明する。
【0088】
本変形例に係る印刷方法は、ローラ転写胴に巻きつけられた樹脂シートの寿命を延長するためのものである。
【0089】
反転印刷法においては、ローラ転写胴3の決まった位置にワーク板11に転写されるインクが残り、それが印圧がかかった状態でワーク板11と接触し、インクの転写が行われる。従って同一パターンを繰り返し印刷する場合には、ローラ転写胴3の同一箇所が長期にわたってインクと接触していることになり、溶媒による樹脂シートの膨潤などが起こる。膨潤の有無によりローラ転写胴3の各領域における耐刷性が異なる。例えば、膨潤のある領域での寿命が短くなることがある。
【0090】
このような問題を解決するために、印刷ごとに印刷パターンの位置が変わるようにローラ転写胴3とマスター板用のテーブル4の頭出しの位置(接触開始位置)を変えるようにしてもよい。印刷ごとにインクが残る場所が変わるため、樹脂シート33全体における膨潤の程度が均一になる。この結果、同一箇所のみで膨潤が継続することがなくなり樹脂シート33の寿命が延長することになる。また、樹脂シート33全体が均一な耐刷性を持つことになる。
(第2の実施の形態)
次いで、第2の実施の形態に係る印刷装置について説明する。
【0091】
第1の実施の形態では、ワーク板の進行方向(X方向)に沿った印刷パターンのずれ量を補正する例について説明した。しかしながら、ワーク板の進行方向(X方向)に直交する方向、すなわちローラ転写胴の回転軸方向(Y方向)に沿った印刷パターンのずれが発生することがある。本実施の形態では、伸縮機構により、ローラ転写胴の回転軸方向(Y方向)に沿ってローラ転写胴の樹脂シートを伸縮させることによって、Y方向に沿った印刷パターンのずれ量を補正した上で印刷する印刷装置について説明する。
【0092】
なお、本実施の形態に係る印刷装置のうち、歪イメージ処理回路25及び伸縮機構34以外の部分は、第1の実施の形態に係る印刷装置1と同一であるため、歪イメージ処理回路25及び伸縮機構34以外の部分についての説明を省略する。
【0093】
図12は、本実施の形態に係る印刷装置の伸縮機構34の分解斜視図である。図12(a)は、弾性材32及び樹脂シート33の構成を示し、図12(b)は、母材31の構成を示す。
【0094】
伸縮機構34は、ローラ転写胴3aを備えている。
【0095】
図12(b)に示すように、ローラ転写胴3aの母材は、母材31aと母材31bからなり、母材31aは回転軸RCと固定されている。一方、母材31bは例えばスプライン軸受により母材31aとの間隔が可変できるように、回転軸RCに沿って移動可能になっている。母材31bの内部には、例えばパルスモータよりなるモータ37が組み込まれ、母材31aと噛合する三角ねじ38と自在継手を介して連結されている。モータ37を回転させることによって、母材31bが母材31aに対して相対移動し、母材31aと母材31bとの間隔が調整できる。
【0096】
図12(a)に示すように、母材31a及び母材31bの外周には、例えばポリウレタンよりなる弾性材32が設けられており、更に弾性材32の外周面には、例えばシリコーンよりなる樹脂シート33が設けられている。
【0097】
弾性材32と樹脂シート33とは、回転軸RCに沿って一端が母材31aに固定され、他端が母材31bに固定されている。そのため、母材31aと母材31bとの間隔をモータ37の駆動により調整することによって、樹脂シート33が伸縮する。その伸縮量は±0.01%以下である。実際には0.02%伸ばしたところを中心として±0.01%の伸縮ができるようにする。従って樹脂シート33には最大0.03%の伸びを加えることになる。
【0098】
このように構成されたローラ転写胴3aを印刷装置に組み込むことで、XY方向に沿った印刷パターンの設計寸法からのずれ量を補正した上でパターンを印刷する印刷方法が実現できる。
【0099】
本実施の形態では、歪イメージ処理回路25で、変形歪マップから線形歪成分(線形歪モード)の抽出が行われ、抽出された線形歪モードに基づいて、押し込み量hの補正量、及び、ローラ転写胴3aの回転軸RCに沿った伸縮量の補正量がローラ制御回路26に送られる。ローラ制御回路26では、送られた補正量に基づいて押し込み量hとローラ転写胴3aの伸縮量が独立に調整される。これにより、撥水性ブランケット16上のパターンを、X方向に沿って自在に伸縮させることができ、かつ、Y方向に沿って伸縮させることができるため、印刷パターンがXY両方向においてデバイスの設計寸法からずれることを防止できる。
【0100】
本実施の形態に係る印刷方法は、図7に示すフローチャートを用いて説明した第1の実施の形態に係る印刷方法、又は、図9に示すフローチャートを用いて説明した第1の実施の形態の第1の変形例に係る印刷方法と同様にすることができる。以下、図9に示すフローチャートを用いて説明する。
【0101】
先ず、パターンが既に印刷されているワーク板11について、パターンの寸法を計測する(ステップS21)。寸法の計測は印刷装置に組み込まれた前述の基板変形歪計測器23により行ってもよいし、印刷装置と別に設けられた寸法計測装置により行ってもよい。
【0102】
次いで、計測した計測データを解析し、線形歪モードを抽出する(ステップS22)。そして、抽出した線形歪モードに基づいて、6軸駆動機構4a、5a及び伸縮機構34の調整に必要なY方向の伸縮量、Z位置(押し込み量hに相当)、Θ角度、Υ角度及びローラ転写胴3aの回転軸RCに沿った伸縮量を設定する(ステップS23)。そして、設定された値になるように、6軸駆動機構4a、5a及び伸縮機構34を調整し、図7に示すフローチャートのうち、印刷工程で示される印刷処理を行う(ステップS24)。
【0103】
Y方向の伸縮量を調整することにより、回転軸RCに沿った縮小率の線形変化を補正することができる。そして、Z位置を調整することにより、例えばワーク板11面内の平均的な縮小率を補正することができる。また、Υ角度を調整することにより、テーブル4、5の移動方向(X方向)に沿った縮小率の線形変化を補正することができる。更に、Θ角度を調整することにより、テーブル4、5の移動方向(X方向)と直交する方向(Y方向)に沿った縮小率の線形変化を補正することができる。そして、これらを補正した上で、印刷パターンをワーク板11に対して重ね印刷することができる。
【0104】
図9に示すフローチャートでは、印刷工程の前にY方向の伸縮量、Z位置、Θ角度、Υ角度を調整した状態で印刷を行うが、印刷工程においてY方向の伸縮量、Z位置、Θ角度、Υ角度を変化させながら印刷を行ってもよい。これにより、X方向のみならずY方向にも沿って伸縮量が細かく変動する場合でも、印刷パターンがデバイスの設計寸法からずれることを防止し、高い寸法精度でパターンを印刷できる。
【0105】
また、第2の実施の形態でも、第1の実施の形態の第2の変形例、第1の実施の形態の第3の変形例と同様な印刷方法を行うことができる。これにより、印刷パターンがデバイスの設計寸法からずれることを更に防止し、高い寸法精度でパターンを印刷できる。
【0106】
以上、本発明の好ましい実施の形態について記述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0107】
1 印刷装置
3、3a ローラ転写胴
4、5 テーブル
4a、5a 6軸駆動機構
6 駆動部
10 マスター板
11 ワーク板
22 マーク検出器
22a ストロボ光源
22b ハーフミラー
22c CCD検出器
34 伸縮機構
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、印刷方法及びその印刷方法を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ等のデバイスのパターンをガラス基板やフィルム基板等上に形成する一手法として、印刷方法による手法が提案されている。このようなデバイスのパターンとしては、例えば液晶ディスプレイの画素の微細化に伴って高い寸法精度が要求されるようになってきており、高い寸法精度を有するパターンが印刷できる印刷方法として、反転印刷法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この反転印刷法による印刷方法として、ローラ転写胴を用いるものがある。ローラ転写胴を用いる場合、例えば、シリコーン樹脂を表面とするローラ転写胴面にインクを塗布して塗布面を形成する塗布工程と、塗布工程を経たローラ転写胴を、所定の形状に凸部が形成された凸版であるマスター板上で転動させ、マスター板の凸部に対応する塗布面のインクを転写除去する除去工程と、塗布面に残っているインクを被印刷基板であるワーク板に転写する転写工程とを有するものがある(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
このようなローラ転写胴を用いた反転印刷法では、ガラス基板やフィルム基板等よりなるマスター板とローラ転写胴とを相対移動させ、マスター板上でローラ転写胴を転動させることによって、マスター板のパターンをローラ転写胴に転写する。次いで、ガラス基板やフィルム基板等よりなるワーク板とローラ転写胴とを相対移動させ、ワーク板上でローラ転写胴を転動させることによって、ローラ転写胴に転写されているパターンをワーク板に転写する。そのため、フォトリソグラフィ法により形成されるパターン並みの寸法精度を容易に得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−279349号公報
【特許文献2】特許第3689536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記したような反転印刷法には、以下のような問題がある。
【0007】
ローラ転写胴を用いた反転印刷法は、従前の印刷方法に比べれば、フォトリソグラフィ法並みの寸法精度を容易に得ることができる。しかし、ローラ転写胴に塗布されたインクから不要部分を転写除去するマスター板に形成されているパターンの寸法精度に比べると、ローラ転写胴に形成されたパターンが転写されることによりワーク板に印刷されるパターンの寸法精度が低下するという問題がある。
【0008】
マスター板又はワーク板上でローラ転写胴が転動する際に、例えば印刷装置の各部の寸法公差、がたつき等により、マスター板又はワーク板とローラ転写胴との接触状態が変動するおそれがある。その結果、ワーク板に印刷されるパターンの寸法精度が低下し、印刷されるパターンがデバイスの設計寸法からずれるおそれがある。
【0009】
また、上記した課題は、ローラ転写胴、マスター板及びワーク板を用いて反転印刷法により印刷する場合に限られず、ローラ転写胴を含めた転写ローラに形成された印刷パターンを被印刷基板に印刷する場合にも共通する課題である。
【0010】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、被印刷基板上で転写ローラを転動させることによって被印刷基板にパターンを印刷する際に、被印刷基板と転写ローラとの接触状態が変動して印刷パターンがデバイスの設計寸法からずれることを防止し、高い寸法精度でパターンを印刷できる印刷装置及び印刷方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために本発明では、次に述べる手段を講じたことを特徴とするものである。
【0012】
本発明の一実施例によれば、転写ローラと、被印刷基板を保持する保持機構とを備え、前記保持機構が保持している前記被印刷基板上で前記転写ローラを転動させることによって、前記転写ローラに形成されている印刷パターンを前記被印刷基板に印刷する印刷装置において、前記被印刷基板上で前記転写ローラを転動させる際に、、前記被印刷基板上に印刷されたパターンの位置情報に基づいて、前記転写ローラに前記被印刷基板が押し込まれる押し込み量を調整することによって、前記転写ローラに形成されている前記印刷パターンを、前記転写ローラが転動する方向に沿って伸縮させる調整機構を有する、印刷装置が提供される。
【0013】
また、本発明の他の一実施例によれば、保持機構が保持している被印刷基板上で転写ローラを転動させることによって、前記転写ローラに形成されている印刷パターンを前記被印刷基板に印刷する印刷方法において、前記被印刷基板上で前記転写ローラを転動させる際に、前記被印刷基板上に既に印刷されたパターンの位置情報に基づいて、前記転写ローラに前記被印刷基板が押し込まれる押し込み量を調整することによって、前記転写ローラに形成されている前記印刷パターンを、前記転写ローラが転動する方向に沿って伸縮させる調整工程を有する、印刷方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、被印刷基板上で転写ローラを転動させることによって被印刷基板にパターンを印刷する際に、被印刷基板と転写ローラとの接触状態が変動して印刷パターンがデバイスの設計寸法からずれることを防止し、高い寸法精度でパターンを印刷できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施の形態に係る印刷装置の概略の構成を示す斜視図である。
【図2】第1の実施の形態に係る印刷装置の動作を説明するための概略断面図である。
【図3】マーク検出器の概略構造を示す断面図及びCCD検出器により得られた画像情報の例を示す図である。
【図4】基板変形歪計測器により計測された変形歪マップの一例を示す図である。
【図5】ローラ転写胴とマスター板又はワーク板との接触状態を拡大して示す図である。
【図6】押し込み量hと縮小率d/Dとの関係を示すグラフである。
【図7】第1の実施の形態に係る印刷方法における各工程の手順を説明するためのフローチャートである。
【図8】ワーク板に印刷されたパターン(実線)を設計寸法通りのパターン(破線)とともに示した図である。
【図9】第1の実施の形態の第1の変形例に係る印刷方法における各工程の手順を説明するためのフローチャートである。
【図10】第1の実施の形態の第2の変形例に係る印刷方法における各工程の手順を説明するためのフローチャートである。
【図11】印刷装置調整用のマスター板の概略構成を示す平面図である。
【図12】第2の実施の形態に係る印刷装置の伸縮機構の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明を実施するための形態について図面と共に説明する。
(第1の実施の形態)
始めに、本発明の第1の実施の形態に係る印刷装置について説明する。本実施の形態に係る印刷装置は、保持機構が保持している被印刷基板すなわちワーク板上でローラ転写胴を転動させることによって、ローラ転写胴に形成されている印刷パターンをワーク板に印刷するものである。また、ローラ転写胴は、本発明における転写ローラに相当する。
【0017】
図1は、本実施の形態に係る印刷装置1の概略の構成を示す斜視図である。
【0018】
印刷装置1は1本のローラ転写胴3を備えている。印刷装置1の本体9には、連結されたテーブル4、5が移動可能に設置されている。テーブル4上にはマスター板(板状体の版)10が載置される。また、テーブル5上にはワーク板(板状体のフィルム)11が載置される。
【0019】
マスター板10は、平板状でワーク板11に印刷されるパターンの反転パターンが形成された凸版とされている。マスター板10は、テーブル4上に固定された状態で保持されている。マスター板10は、全体にインキが塗布されたローラ転写胴3上から、反転パターンに対応したインキを転写させて除去するものである。
【0020】
ワーク板11は、ガラス基板やフィルム基板よりなる平板状の被印刷物であり、ローラ転写胴3から印刷パターンに対応したインキが転写される。ワーク板11は、テーブル5上に固定された状態で保持されている。なお、テーブル5は、本発明における保持機構に相当する。
【0021】
ローラ転写胴3は、図2を用いて後述するように、外周に例えばシリコーンよりなる撥水性ブランケット16が巻回されたブランケット胴とされていてもよい。また、ローラ転写胴3は、図5を用いて後述するように、金属製の母材31、例えばポリウレタンよりなる弾性材32、インクが塗布される例えばシリコーン樹脂よりなる樹脂シート33により構成されていてもよい。このとき、樹脂シート33が撥水性ブランケット16に相当する。
【0022】
ローラ転写胴3はその回転軸RCがブラケット13に固定された軸受で支持されている。ローラ転写胴3の両側にはブラケット13との間にピニオン12が取り付けられ、後述するクラッチ7で回転軸RCと連動、非連動で動くようになっている。本体9には、ピニオン12と噛合可能なラック2が設けられている。ブラケット13全体は上下機構14により上下動する。これにより、ラック2とピニオン12が噛合、離間、分離の三状態を選択することができる。
【0023】
図1に示すように、本実施の形態では、ラック2、ピニオン12をローラ転写胴3の両側に設置してもよい。これにより、ラック2、ピニオン12のがたつきを減らすことができ、マスター板10又はワーク板11とローラ転写胴3とを位置合わせする際の位置合わせ精度を向上させることができる。ローラ転写胴3の一端には、ブラケット13に固定された回転駆動用の駆動部6が連結されており、ローラ転写胴3の他端には、クラッチ7が取り付けられている。このクラッチ7をつなげるとローラ転写胴3とピニオン12が連動して回転し、クラッチ7を切るとローラ転写胴3だけが回転するようになっている。また、ブラケット13には、ローラ転写胴3の表面にインクを塗布するためのインクコーター8も固定されている。
【0024】
本体9上にはラック2と平行した直線軸受のリニアガイド15が固定され、リニアガイド15の上を連結されたテーブル4、5が移動自在に固定されている。またピニオン12の下にも直線すべり軸受けが設置されテーブルの剛性が低下しないようにしている。
【0025】
テーブル4、5には、各々載置されたマスター板10とワーク板11をX、Y、Z方向、及び各X、Y、Z軸周りの回転Θ、Υ、Ψ方向に移動可能な6軸駆動機構4a、5aが組み込まれている。この6軸駆動機構4a、5aにより、ロール転写胴3に対するマスター板10とワーク板11とのZ方向の間隔、X方向のずれ、Θ方向の傾きの調整、マスター板10とワーク板11とのY方向の距離を調整することができる。
【0026】
なお、6軸駆動機構4a、5aは、本発明における調整機構に相当する。
【0027】
図2は、本実施の形態に係る印刷装置1の動作を説明するための概略断面図である。
【0028】
先ず連結したテーブル4、5を原点(図1のテーブル位置の状態)に戻し、そこでマスター板10、ワーク板11の各々を、テーブル4、5の各々の所定の位置に置き固定する。固定は、例えば真空チャックや機械式固定法等により行うことができる。
【0029】
次に、テーブル4、5に組み込まれた6軸駆動機構4a、5aを動作させ、ロール転写胴3に対するマスター板10とワーク板11とのZ方向の間隔、X方向のずれ、Θ方向の傾き、マスター板10とワーク板11とのY方向の距離などを調整する。そして、ローラ転写胴3の回転と同期してテーブル4、5をX方向に移動させ、テーブル4、5上をローラ転写胴3が転動する際に、テーブル4、5上のマスター板10、ワーク板11と、ローラ転写胴3との間でインクの転写(印刷)が行えるようにする。
【0030】
上下機構14を動作させることによってブラケット13を上昇させ、ピニオン12とラック2の歯が噛合わないように完全に分離する。そして、クラッチ7を切った状態で駆動部6によりローラ転写胴3を回転させ、ローラ転写胴3を原点位置に戻す。次いで、図2(a)に示すように所定の位置でインクコーター8をローラ転写胴3に近づけ、インクコーター8の先端とローラ転写胴3の表面との間隔を設定値にする。この状態で、ローラ転写胴3を回転させ、メニスカス法によりローラ転写胴3の表面の必要な領域に一定膜厚のインク膜17を形成する。インク膜17を形成した後は、インクコーター8を所定の位置まで戻す。ロータ転写胴3をさらに回転させ所定の位置でクラッチ7を接続し、上下機構14を動作させてブラケット13を下降させ、ラック2とピニオン12を噛合わせる。そして、駆動部6を動作させることによって、ローラ転写胴3をテーブル4と連動させて動かす。ラック2とピニオン12が噛合し、ローラ転写胴3の半径とピニオン12との半径は一致させてあるので、ローラ転写胴3の外周速度はテーブル4の移動速度と一致する。このため、テーブル4上のマスター板10は、回転軸RCに沿って直線状に接触する領域において、凸部10bにより、ローラ転写胴3に塗られたインク膜17から接触したインクをはぎ取りながら、転動する。この結果、ローラ転写胴3の撥水性ブランケット16の表面には、図2(b)に示すように、マスター板10に形成されているパターンとは反転したパターンが残り、印刷パターンが形成される。
【0031】
次に、上下機構14によりブラケット13を上昇させ、ラック2とピニオン12との噛合を解除し、ローラ転写胴3を所定の位置まで回転させ、その後再び上下機構14によりブラケット13を下降させ、ラック2とピニオン12とを噛合させる。そして、駆動部6を動作させることによって、ローラ転写胴3をテーブル5と連動させて動かし、図2(c)に示すように、撥水性ブランケット16上のインクをワーク板11上に転写する。
【0032】
このような動作を繰り返すことによって、ワーク板11上にパターンを重ね印刷し、所望の構造体を作製することができる。ワーク板11へのパターンの重ね印刷の際には、先に印刷されたパターンに対して位置合わせが行われる。マスター板10に位置合わせマークを形成しておき、他のパターンと同じように、位置合わせマークもローラ転写胴3に転写される。ローラ転写胴3に転写された位置合わせマークは、さらにワーク板11に転写される。ワーク板11に転写されている位置合わせマークと、ローラ転写胴3に転写されている位置合わせマークが一致するように制御すれば、正確にパターンの重ね印刷をすることができる。
【0033】
図3(a)は、マーク検出器22の概略構造を示す断面図である。図3(b)は、CCD検出器により得られた画像情報の例を示す図である。
【0034】
なお、マーク検出器22及び6軸駆動機構4a、5aは、本発明における位置合わせ機構に相当する。
【0035】
ローラ転写胴3とテーブル5とが接触する近傍には、テーブル5に載置されたワーク板11上の位置合わせマークと、ローラ転写胴3の表面上の位置合わせマークとを同時に観察できるマーク検出器22が設置されている。このマーク検出器22は、ストロボ光源22aと、ハーフミラー22bと、CCD(Charge Coupled Device)検出器22cとを備えている。そして、マーク検出器22は、ローラ転写胴3とテーブル5が連動して動いている際にそれぞれの位置合わせマークの画像を撮像することによって各々の画像を観察することができる。
【0036】
ストロボ光源22aは、移動中の物体を観察するためのものであり、光を発光するものである。ストロボ光源22aにより発光された光は、レンズ22dにより平行光としてハーフミラー22bに入射する。ハーフミラー22bに入射した光は2方向に分岐され、一方の光はハーフミラー22bにより反射されて90°曲げられてローラ転写胴3に導かれ、他方の光はハーフミラー22bを透過して直進し、テーブル5上のワーク板11に導かれる。また、ローラ転写胴3からの反射光はハーフミラー22bを透過して直進し、ワーク板11からの反射光はハーフミラー22bにより反射され90°曲げられ、2つの光は合成される。そして、合成された光は、CCD検出器22cに導かれる。
【0037】
CCD検出器22cは、ハーフミラー22bにより合成された光を受光することによって、ローラ転写胴3に形成されているパターン中の位置合わせマークの画像と、ワーク板11に形成されている位置合わせマークの画像とを撮像する。具体的には、CCD検出器22cが検出した検出信号に基づいて、イメージプロセッサ27により画像を合成する。そして、CCD検出器22cにより撮像した画像に基づいて、図示しない制御部により、6軸駆動機構5aの動作を制御し、ワーク板11とローラ転写胴3との相対位置を位置合わせする。また、CCD検出器22cは、ストロボ光源22aが発光した時にのみ、ローラ転写胴3に形成されているパターン中の位置合わせマークAM1の画像と、ワーク板11に形成されている位置合わせマークAM2の画像とを撮像するようにしてもよい。
【0038】
予め、ラック2、ピニオン12等にがたつき等がなく、ワーク板11がテーブル5上に正確に位置合わせされている場合に、両者の位置合わせマークAM1、AM2がCCD検出器22cで撮像された画像中でぴったり重なるように調整しておく。すると、位置合わせが正確でないときは、クラッチ7とラック2、ピニオン12で発生するすべりやがたつき又は各部の寸法公差等により、位置合わせマークAM1が、図3(b)に示すように、位置合わせマークAM2の位置からX、Y方向の各々にΔX、ΔYずれる。
【0039】
例えば、テーブル5に保持されているワーク板11に、ローラ転写胴3の表面に塗布されているインクを転写する場合を考える。すると、前述したずれ量がテーブル駆動回路28にフィードバックされ、ワーク板11とローラ転写胴3とが接触する前に、6軸駆動機構5aにより、位置合わせマークAM1、AM2が重なるように、ワーク板11とローラ転写胴3とが位置合わせされる。この結果、ローラ転写胴3をテーブル5に保持されているワーク板11上で転動させる際の、ローラ転写胴3の表面の回転距離とワーク板11の移動距離とを等しくすることができる。そして、ワーク板11とローラ転写胴3とが正確に位置合わせされた状態で、ローラ転写胴3の表面からインクをワーク板11に転写して印刷することができる。
【0040】
図4は、基板変形歪計測器23により計測された変形歪マップの一例を示す図である。なお、図4において、矢印の方向は、縦横破線が交差する各交差点に位置する位置合わせマークAM2のずれの方向を示しており、矢印の長さは、各交差点に位置する位置合わせマークAM2のずれの大きさ(ずれ量)を示している。
【0041】
テーブル4、5の間には基板変形歪計測器23が設置されており、テーブル4上に載置されたマスター板10の変形量、又は、テーブル5上に載置されたワーク板11の変形量が、テーブル4、5の移動中に計測できるようになっている。
【0042】
基板変形歪計測器23には、光学レンズ群とTDI(Time Delay Integration)センサが組み込まれ、基板変形歪計測器23の両側におかれた照明24で照らされたマスター板10の表面又はワーク板11の表面の画像を取得する。TDIセンサを使うことによって、マスター板10又はワーク板11が移動中であってもS/N比の高い画像を取得することができる。基板変形歪計測器23により取得された画像のデータは、歪イメージ処理回路25に送られ、図4(a)に一例を示すように、マスター板10又はワーク板11の変形歪マップが求められる。
【0043】
歪イメージ処理回路25では、その変形歪マップから線形歪成分(以下「線形歪モード」ともいう。)の抽出が行われ、抽出された線形歪モードに基づいて、後述する押し込み量hの補正量がローラ制御回路26に送られる。ローラ制御回路26では、送られた補正量に基づいて押し込み量hが調整される。これにより、撥水性ブランケット16上のパターンを、X方向、すなわちローラ転写胴3が転動する方向に沿って自在に伸縮させることができるため、印刷パターンがデバイスの設計寸法からずれることを防止できる。
【0044】
図4(b)に示すように、例えばワーク板11に大きな線形歪が存在すると、従来では、下地となる印刷パターンの上に重ねて印刷するパターンが徐々にずれるおそれがある。一方、本実施の形態では、ワーク板11に存在する線形歪を補正できるため、下地となる印刷パターンとのずれ量を少なくした状態でパターンを重ねて印刷することができる。
【0045】
なお、本実施の形態に係る印刷装置1では、基板変形歪計測器23を印刷装置1中に組み込んでいるが、基板変形歪計測器を印刷装置1と別に設け、その基板変形歪計測器によりマスター板10の変形量又はワーク板11の変形量を計測し、計測情報を印刷装置1に入力するようにしてもよい。
【0046】
本体9のローラ転写胴3を挟んでテーブル4、5と反対側には、洗浄ユニット29が設置されている。洗浄ユニット29の中までリニアガイド15が引き込まれており、ローラ転写胴3とテーブル5上のワーク板11との間でインクの転写が行われている間に、洗浄ユニット29に入り込んだテーブル4上のマスター板10が洗浄される。マスター板10の凸部の表面にはインクが付着しているため、このインクを例えば粘着ローラにより除去することができる。粘着ローラにより不要インクを取り除いた後、表面の有機洗浄、イオナイズドエアーブロー、UV(Ultra Violet)光照射による表面エネルギーの調整等が行われる。ローラ転写胴3からワーク板11へのインクの転写が行われている最中に洗浄処理が行われるため、時間の増加を伴うことなく次の印刷の準備が完了できることになる。
【0047】
図5は、ローラ転写胴3とマスター板10又はワーク板11との接触状態を拡大して示す図である。図6は、押し込み量hと縮小率d/Dとの関係を示すグラフである。
【0048】
なお、図2ではマスター板10の凹凸が誇張して示されているが、凹凸の高さは数ミクロンであるため、図5ではマスター板10の凹凸を示していない。
【0049】
図5に示すように、ローラ転写胴3の母材は、例えば金属よりなる母材31である。そして、母材31の外周には、例えばポリウレタンよりなる弾性材32が設けられており、更に弾性材32の外周面には、例えばシリコーンよりなる樹脂シート33が設けられている。
【0050】
テーブル4、5がマスター板10又はワーク板11を保持するZ方向の位置は、マスター板10又はワーク板11をローラ転写胴3に接触させる際に、マスター板10又はワーク板11がローラ転写胴3に押し込まれるように、調整される。マスター板10又はワーク板11がローラ転写胴3に全く押し込まれないような状態(押し込み量が0のとき)では、テーブル面の平坦性やテーブルの移動時の位置精度、ローラ転写胴3の表面の平坦性などにより、インクを全面に転写できないおそれがあるからである。
【0051】
本実施の形態では、マスター板10又はワーク板11がローラ転写胴3に押し込まれる押し込み量hが正の値になるように、テーブル4、5がマスター板10又はワーク板11を保持するZ方向の位置を6軸駆動機構4a、5aにより調整した状態で、印刷を行う。押し込み量hが正の値になるときは、ローラ転写胴3を構成する材料のうち最も柔らかい弾性材32が潰れる。これにより、インクを転写する際に押し込み量hが変動した場合でも、インクを確実に転写することができる。
【0052】
なお、テーブル4、5が保持するマスター板10又はワーク板11のローラ転写胴3に対する相対位置が調整できればよく、ローラ転写胴3のZ方向の位置を調整するようにしてもよい。
【0053】
ここで、ローラ転写胴3の半径をRとし、ローラ転写胴3を押し込み量hで潰し、ワーク板11とローラ転写胴3とを面接触状態にする場合を考える。そして、図5に示すように、ローラ転写胴3がワーク板11と面接触状態になっている部分の、ワーク板11の進行方向(X方向)すなわちローラ転写胴3が転動する方向に沿った長さを2dとする。また、面接触状態になっている部分が面接触状態になっていないときの円弧の長さを2Dとし、2Dの長さに対応する中心角を2θとする。θが微小であるときは、D=R×θと表される。すると、ローラ転写胴3がθだけ回転したときに、長さR×θの円弧、すなわち長さDの円弧上に塗布されたインクのパターンは、ワーク板11の進行方向(X方向)に沿って、長さdに縮小されて転写されることになる。
【0054】
図6に示すように、縮小率d/Dは、Rとhの関数であり、半径Rが大きいほど、又は、押し込み量hが小さいほど、縮小率d/Dは小さくなる。半径Rは一定であるため、押し込み量hを調整することによって、ワーク板11の進行方向(X方向)に沿った縮小率d/Dを自在に調整することができる。よって、ローラ転写胴3にワーク板11が押し込まれる押し込み量hを6軸駆動機構5aにより調整することにより、ワーク板11とローラ転写胴3との接触状態が変動して印刷パターンがデバイスの設計寸法からずれることを防止し、高い寸法精度でパターンを印刷できる。
【0055】
また、マスター板10によりインクを除去する際には、ローラ転写胴3がθだけ回転したときに、長さR×θ(長さD)の円弧上のパターンが、マスター板10の進行方向(X方向)に沿って長さdに縮小された状態で、ローラ転写胴3からインクを除去することになる。しかし、マスター板10との接触が終了すると、すなわちインクの除去が完了すると、弾性体32の変形は回復して元通りの径になるため、縮小パターンは拡大されマスター板10上のパターン寸法と同じになる。このため、マスター板10によりインクを除去する際には、パターン寸法のずれはほとんど発生しない。
【0056】
なお、印刷装置1には、例えば図示しない演算処理部、記憶部及び表示部が備えられていてもよい。演算処理部は、例えばCPU(Central Processing Unit)を有するコンピュータである。記憶部は、演算処理部に、各種の処理を実行させるためのプログラムを記録した、例えばハードディスクにより構成されるコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。表示部は、例えばコンピュータの画面よりなる。演算処理部は、記憶部に記録されたプログラムを読み取り、そのプログラムに従って、印刷装置1を構成する各部に制御信号を送り、後述するような印刷方法を実行する。
【0057】
次に、本実施の形態に係る印刷方法について説明する。
【0058】
図7は、本実施の形態に係る印刷方法における各工程の手順を説明するためのフローチャートである。
【0059】
本実施の形態に係る印刷方法による印刷処理は、大別すると、2つの工程、マスター板作製工程と、印刷工程とよりなる。
【0060】
マスター板作製工程では、デバイス設計データ及び印刷装置の仕様に合ったマスター板10を作製する。
【0061】
先ず、デバイス設計データを、例えば印刷装置1の内部又は印刷装置1とは別に設けられた記憶部から読み込む(ステップS11)。
【0062】
次いで、印刷装置の仕様、例えばローラ転写胴3の直径R及び弾性体32の許容される押し込み量を、例えば前述した記憶部から読み込む(ステップS12)。
【0063】
そして、ローラ転写胴3の直径R及び弾性体32の許容される押し込み量に基づいて、前述した縮小率d/Dを決定する(ステップS13)。例えば、ローラ転写胴3の直径を1200mm(R=600mm)とし、弾性体32の厚さを5mmとする場合、許容される押し込み量hが、1.5±0.5mmの範囲になるように調整することができる。押し込み量hが中心値1.5mmであるときの縮小率d/Dは、図6に示すグラフから0.25%になる。
【0064】
次いで、押し込み量hが1.5mmの時にローラ転写胴3の回転方向の寸法がデバイス設計寸法と一致するように、予め0.25%拡大させてマスター板のパターンデータを作製する(ステップS14、データリサイズ処理)。
【0065】
次いで、作製されたパターンデータを用い、例えばフォトリソグラフィ技術により石英板に凸部のパターンを形成する(ステップS15)。これら一連の工程によって、マスター板10を作製することができる。
【0066】
印刷工程では、先ず、マスター板10をテーブル4に設置し、ローラ転写胴3にマスター板10が押し込まれる押し込み量hが1.5mmになるように、6軸駆動機構4aによりテーブル4の姿勢を調整する。ワーク板11をテーブル5に設置し、ローラ転写胴3にワーク板11が押し込まれる押し込み量hが1.5mmになるように、6軸駆動機構5aによりテーブル5の姿勢を調整する(ステップS16、調整工程)。
【0067】
次いで、図2を用いて前述したように、反転印刷法による印刷を行う。これが印刷工程になる。このとき、図3を用いて前述したように、マーク検出器22及び6軸駆動機構4aにより、テーブル4に保持されているマスター板10と、ローラ転写胴3との相対位置を位置合わせする。また、マーク検出器22及び6軸駆動機構5aにより、テーブル5に保持されているワーク板11と、ローラ転写胴3に形成されている印刷パターンとの相対位置を位置合わせする(位置合わせ工程)。
【0068】
このように調整された印刷装置1では、押し込み量hが中心値1.5mmのときに、デバイス設計寸法と同じパターンが印刷できる。また、押し込み量hを中心値から増加させるときに、印刷されるパターンをX方向に縮小して印刷することができ、押し込み量hを中心値から減少させるときに、印刷されるパターンをX方向に拡大して印刷することができる。すなわち、ワーク板11に印刷されるパターンを、ローラ転写胴3が転動する方向に沿って伸縮させることができる。例えば押し込み量hの許容量を±0.5mmとするとき、印刷されるパターンを±0.083%伸縮させることができる。これにより、予めワーク板11の伸縮量が分かっていれば、その伸縮量を補正して印刷ができるようになる。
【0069】
図8は、ワーク板11に印刷されたパターン(実線)を設計寸法通りのパターン(破線)とともに示した図である。図8(a)は、押し込み量hを1.5mmよりも大きくした状態で印刷した場合を示す。図8(b)は、押し込み量hを中心値1.5mmとした状態で印刷した場合を示す。図8(c)は、押し込み量hを1.5mmよりも小さくした状態で印刷した場合を示す。図8(b)では、印刷されたパターンは設計寸法通りであり、図8(a)では、印刷されたパターン(実線)は設計寸法(破線)よりも縮小されており、図8(c)では、印刷されたパターン(実線)は設計寸法(破線)よりも拡大されている。このように、押し込み量hを調整することによって、印刷されるパターンを設計寸法に対し自在に伸縮することができる。
(第1の実施の形態の第1の変形例)
次いで、本発明の第1の実施の形態の第1の変形例に係る印刷方法について説明する。
【0070】
第1の実施の形態では、ワーク板に印刷されるパターンの伸縮量が、ローラ転写胴が転動する方向に沿って、ワーク板の面内で一様である例について説明した。しかしながら、ローラ転写胴が転動する方向に沿った印刷パターンの設計寸法からのずれ量が、ワーク板の面内で一様でなく変動することもある。本変形例では、ローラ転写胴が転動する方向に沿ってワーク板の面内で印刷パターンの伸縮量に線形的な変化をもたせるように補正した上で印刷する印刷方法について説明する。
【0071】
なお、本変形例では、第1の実施の形態に係る印刷装置1を用いることができるため、印刷装置1についての説明を省略する。
【0072】
図9は、本変形例に係る印刷方法における各工程の手順を説明するためのフローチャートである。
【0073】
先ず、パターンが既に印刷されているワーク板11について、パターンの寸法を寸法計測装置により計測する(ステップS21)。計測した計測データから次に行う線形歪モードの抽出ができればよく、寸法の計測は印刷装置1に組み込まれた前述の基板変形歪計測器23により行ってもよいし、印刷装置1と別に設けられた寸法計測装置により行ってもよい。
【0074】
次いで、計測した計測データを解析し、線形歪モードを抽出する(ステップS22)。すなわち、マスター板10の表面又はワーク板11の表面の画像を取得して変形歪マップを求め、その変形歪マップから、線形歪モードを抽出する。
【0075】
次いで、抽出した線形歪モードに基づいて、6軸駆動機構4a、5aの調整に必要なZ位置(押し込み量hに相当)、Θ角度、Υ角度を設定する(ステップS23)。そして、設定された値になるように、6軸駆動機構4a、5aを調整する。
【0076】
次いで、マスター板10及びワーク板11の各々をテーブル4、5の各々に載置固定し、図7に示すフローチャートのうち、印刷工程で示される印刷処理を行う(ステップS24)。
【0077】
Z位置を調整することにより、例えばワーク板11面内の平均的な縮小率を補正することができる。また、Υ角度を調整することにより、テーブル4、5の移動方向(X方向)に沿った縮小率の線形変化を補正することができる。更に、Θ角度を調整することにより、テーブル4、5の移動方向(X方向)と直交する方向(Y方向)に沿った縮小率の線形変化を補正することができる。そして、これらを補正した上で、印刷パターンをワーク板11に対して重ね印刷することができる。
【0078】
図9に示すフローチャートでは、印刷工程の前にZ位置、Θ角度、Υ角度を調整した状態で印刷を行うが、印刷工程においてZ位置、Θ角度、Υ角度を変化させながら印刷を行ってもよい。これにより、X方向に沿って伸縮量が細かく変動する場合でも、印刷パターンがデバイスの設計寸法からずれることを防止し、高い寸法精度でパターンを印刷できる。
(第1の実施の形態の第2の変形例)
次いで、本発明の第1の実施の形態の第2の変形例に係る印刷方法について説明する。
【0079】
本変形例に係る印刷方法では、印刷工程を実施する際に先立って印刷装置の各部の特性、特に、マスター板を載置するマスター板用のテーブル、ワーク板を載置するワーク板用のテーブルの幾何学的な精度を調整する。
【0080】
なお、本変形例でも、第1の実施の形態に係る印刷装置1を用いることができるため、印刷装置1についての説明を省略する。
【0081】
図10は、本変形例に係る印刷方法における各工程の手順を説明するためのフローチャートである。図11は、印刷装置調整用のマスター板10aの概略構成を示す平面図である。
【0082】
先ず、図11に示すように、位置合わせマークAM3が多数形成された、印刷装置調整用のマスター板10aを用いてワーク板11に寸法計測用のパターンを印刷する。すなわち、印刷装置1の機械調整を行った後(ステップS31)、テーブル4に印刷装置調整用のマスター板10aを置き、テーブル5にワーク板11を置く。そして、テーブル4上の印刷装置調整用のマスター板10aからローラ転写胴3に印刷装置調整用パターンを転写し、転写された印刷装置調整用パターンを、テーブル5上のワーク板11に印刷する(ステップS32)。
【0083】
次いで、ワーク板11に印刷されたパターンの寸法を、前述の基板変形歪計測器23等の寸法計測装置により計測し、計測された計測データを解析し、線形歪モードを抽出する(ステップS33)。すなわち、ワーク板11の表面の画像を取得して変形歪マップを求め、その変形歪マップから、線形歪モードを抽出する。そして、抽出した線形歪モードに基づいて、6軸駆動機構5aの調整に必要なZ位置(押し込み量hに相当)、Θ角度、Υ角度を設定する(ステップS34)。そして、設定された値になるように、6軸駆動機構5aを調整する。すなわち、6軸駆動機構5aに含まれる、Θ角度、Υ角度、及びZ位置についての調整機構を動作させ、ローラ転写胴3に対するテーブル5の走行姿勢が常に一定、すなわち変化しなくなるように調整する。
【0084】
次にこのような調整が行われたテーブル5に印刷装置調整用のマスター板10aを置き、テーブル4にワーク板11を置く。そして、テーブル5上の印刷装置調整用のマスター板10aからローラ転写胴3に印刷装置調整用パターンを転写し、転写された印刷装置調整用パターンを、テーブル4上のワーク板11に印刷する(ステップS35)。
【0085】
次いで、ワーク板11に印刷されたパターンの寸法を、前述の基板変形歪計測器23等の寸法計測装置により計測し、計測された計測データを解析し、線形歪モードを抽出する(ステップS36)。すなわち、ワーク板11の表面の画像を取得して変形歪マップを求め、その変形歪マップから、線形歪モードを抽出する。そして、抽出した線形歪モードに基づいて、6軸駆動機構4aの調整に必要なZ位置(押し込み量hに相当)、Θ角度、Υ角度を設定する(ステップS37)。そして、設定された値になるように、6軸駆動機構4aを調整する。すなわち、6軸駆動機構4aに含まれる、Θ角度、Υ角度、及びZ位置についての調整機構を動作させ、ローラ転写胴3に対するテーブル4の走行姿勢が常に一定、すなわち変化しなくなるように調整する。
【0086】
より精度の高い印刷が求められる場合には、この作業を複数回繰り返してより高精度な姿勢精度を達成するようにする。
【0087】
これにより、印刷装置1は、機械調整治具のみで調整されるよりも高精度印刷が可能になり、印刷パターンがデバイスの設計寸法からずれることを防止し、高い寸法精度でパターンを印刷できる(ステップS38)。
(第1の実施の形態の第3の変形例)
次いで、本発明の第1の実施の形態の第3の変形例に係る印刷方法について説明する。
【0088】
本変形例に係る印刷方法は、ローラ転写胴に巻きつけられた樹脂シートの寿命を延長するためのものである。
【0089】
反転印刷法においては、ローラ転写胴3の決まった位置にワーク板11に転写されるインクが残り、それが印圧がかかった状態でワーク板11と接触し、インクの転写が行われる。従って同一パターンを繰り返し印刷する場合には、ローラ転写胴3の同一箇所が長期にわたってインクと接触していることになり、溶媒による樹脂シートの膨潤などが起こる。膨潤の有無によりローラ転写胴3の各領域における耐刷性が異なる。例えば、膨潤のある領域での寿命が短くなることがある。
【0090】
このような問題を解決するために、印刷ごとに印刷パターンの位置が変わるようにローラ転写胴3とマスター板用のテーブル4の頭出しの位置(接触開始位置)を変えるようにしてもよい。印刷ごとにインクが残る場所が変わるため、樹脂シート33全体における膨潤の程度が均一になる。この結果、同一箇所のみで膨潤が継続することがなくなり樹脂シート33の寿命が延長することになる。また、樹脂シート33全体が均一な耐刷性を持つことになる。
(第2の実施の形態)
次いで、第2の実施の形態に係る印刷装置について説明する。
【0091】
第1の実施の形態では、ワーク板の進行方向(X方向)に沿った印刷パターンのずれ量を補正する例について説明した。しかしながら、ワーク板の進行方向(X方向)に直交する方向、すなわちローラ転写胴の回転軸方向(Y方向)に沿った印刷パターンのずれが発生することがある。本実施の形態では、伸縮機構により、ローラ転写胴の回転軸方向(Y方向)に沿ってローラ転写胴の樹脂シートを伸縮させることによって、Y方向に沿った印刷パターンのずれ量を補正した上で印刷する印刷装置について説明する。
【0092】
なお、本実施の形態に係る印刷装置のうち、歪イメージ処理回路25及び伸縮機構34以外の部分は、第1の実施の形態に係る印刷装置1と同一であるため、歪イメージ処理回路25及び伸縮機構34以外の部分についての説明を省略する。
【0093】
図12は、本実施の形態に係る印刷装置の伸縮機構34の分解斜視図である。図12(a)は、弾性材32及び樹脂シート33の構成を示し、図12(b)は、母材31の構成を示す。
【0094】
伸縮機構34は、ローラ転写胴3aを備えている。
【0095】
図12(b)に示すように、ローラ転写胴3aの母材は、母材31aと母材31bからなり、母材31aは回転軸RCと固定されている。一方、母材31bは例えばスプライン軸受により母材31aとの間隔が可変できるように、回転軸RCに沿って移動可能になっている。母材31bの内部には、例えばパルスモータよりなるモータ37が組み込まれ、母材31aと噛合する三角ねじ38と自在継手を介して連結されている。モータ37を回転させることによって、母材31bが母材31aに対して相対移動し、母材31aと母材31bとの間隔が調整できる。
【0096】
図12(a)に示すように、母材31a及び母材31bの外周には、例えばポリウレタンよりなる弾性材32が設けられており、更に弾性材32の外周面には、例えばシリコーンよりなる樹脂シート33が設けられている。
【0097】
弾性材32と樹脂シート33とは、回転軸RCに沿って一端が母材31aに固定され、他端が母材31bに固定されている。そのため、母材31aと母材31bとの間隔をモータ37の駆動により調整することによって、樹脂シート33が伸縮する。その伸縮量は±0.01%以下である。実際には0.02%伸ばしたところを中心として±0.01%の伸縮ができるようにする。従って樹脂シート33には最大0.03%の伸びを加えることになる。
【0098】
このように構成されたローラ転写胴3aを印刷装置に組み込むことで、XY方向に沿った印刷パターンの設計寸法からのずれ量を補正した上でパターンを印刷する印刷方法が実現できる。
【0099】
本実施の形態では、歪イメージ処理回路25で、変形歪マップから線形歪成分(線形歪モード)の抽出が行われ、抽出された線形歪モードに基づいて、押し込み量hの補正量、及び、ローラ転写胴3aの回転軸RCに沿った伸縮量の補正量がローラ制御回路26に送られる。ローラ制御回路26では、送られた補正量に基づいて押し込み量hとローラ転写胴3aの伸縮量が独立に調整される。これにより、撥水性ブランケット16上のパターンを、X方向に沿って自在に伸縮させることができ、かつ、Y方向に沿って伸縮させることができるため、印刷パターンがXY両方向においてデバイスの設計寸法からずれることを防止できる。
【0100】
本実施の形態に係る印刷方法は、図7に示すフローチャートを用いて説明した第1の実施の形態に係る印刷方法、又は、図9に示すフローチャートを用いて説明した第1の実施の形態の第1の変形例に係る印刷方法と同様にすることができる。以下、図9に示すフローチャートを用いて説明する。
【0101】
先ず、パターンが既に印刷されているワーク板11について、パターンの寸法を計測する(ステップS21)。寸法の計測は印刷装置に組み込まれた前述の基板変形歪計測器23により行ってもよいし、印刷装置と別に設けられた寸法計測装置により行ってもよい。
【0102】
次いで、計測した計測データを解析し、線形歪モードを抽出する(ステップS22)。そして、抽出した線形歪モードに基づいて、6軸駆動機構4a、5a及び伸縮機構34の調整に必要なY方向の伸縮量、Z位置(押し込み量hに相当)、Θ角度、Υ角度及びローラ転写胴3aの回転軸RCに沿った伸縮量を設定する(ステップS23)。そして、設定された値になるように、6軸駆動機構4a、5a及び伸縮機構34を調整し、図7に示すフローチャートのうち、印刷工程で示される印刷処理を行う(ステップS24)。
【0103】
Y方向の伸縮量を調整することにより、回転軸RCに沿った縮小率の線形変化を補正することができる。そして、Z位置を調整することにより、例えばワーク板11面内の平均的な縮小率を補正することができる。また、Υ角度を調整することにより、テーブル4、5の移動方向(X方向)に沿った縮小率の線形変化を補正することができる。更に、Θ角度を調整することにより、テーブル4、5の移動方向(X方向)と直交する方向(Y方向)に沿った縮小率の線形変化を補正することができる。そして、これらを補正した上で、印刷パターンをワーク板11に対して重ね印刷することができる。
【0104】
図9に示すフローチャートでは、印刷工程の前にY方向の伸縮量、Z位置、Θ角度、Υ角度を調整した状態で印刷を行うが、印刷工程においてY方向の伸縮量、Z位置、Θ角度、Υ角度を変化させながら印刷を行ってもよい。これにより、X方向のみならずY方向にも沿って伸縮量が細かく変動する場合でも、印刷パターンがデバイスの設計寸法からずれることを防止し、高い寸法精度でパターンを印刷できる。
【0105】
また、第2の実施の形態でも、第1の実施の形態の第2の変形例、第1の実施の形態の第3の変形例と同様な印刷方法を行うことができる。これにより、印刷パターンがデバイスの設計寸法からずれることを更に防止し、高い寸法精度でパターンを印刷できる。
【0106】
以上、本発明の好ましい実施の形態について記述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0107】
1 印刷装置
3、3a ローラ転写胴
4、5 テーブル
4a、5a 6軸駆動機構
6 駆動部
10 マスター板
11 ワーク板
22 マーク検出器
22a ストロボ光源
22b ハーフミラー
22c CCD検出器
34 伸縮機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
転写ローラと、被印刷基板を保持する保持機構とを備え、前記保持機構が保持している前記被印刷基板上で前記転写ローラを転動させることによって、前記転写ローラに形成されている印刷パターンを前記被印刷基板に印刷する印刷装置において、
前記被印刷基板上で前記転写ローラを転動させる際に、前記被印刷基板上に印刷されたパターンの位置情報に基づいて、前記転写ローラに前記被印刷基板が押し込まれる押し込み量を調整することによって、前記転写ローラに形成されている前記印刷パターンを、前記転写ローラが転動する方向に沿って伸縮させる調整機構を有する、印刷装置。
【請求項2】
前記転写ローラに前記被印刷基板が押し込まれる押し込み量は、前記転写ローラ上に形成されたパターンの位置情報に基づいて調整することを特徴とする、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記転写ローラを、前記転写ローラの回転軸に沿って伸縮させることによって、前記転写ローラに形成されている前記印刷パターンを、前記回転軸に沿って伸縮させる伸縮機構を有する、請求項1又は請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記保持機構に保持されている前記被印刷基板と前記転写ローラに形成されている前記印刷パターンとの相対位置を合わせる位置合わせ機構を有する、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項5】
前記位置合わせ機構は、
光を発光する光源と、
前記光源から発光された光を透過及び反射することによって2つに分岐し、分岐された2つの光の各々を前記転写ローラ及び前記被印刷基板の各々に導くとともに、前記転写ローラからの光及び前記被印刷基板からの光を合成するハーフミラーと、
前記ハーフミラーにより合成された光を受光することによって、前記転写ローラの画像及び前記被印刷基板の画像を撮像する撮像素子と
を有する、請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
保持機構が保持している被印刷基板上で転写ローラを転動させることによって、前記転写ローラに形成されている印刷パターンを前記被印刷基板に印刷する印刷方法において、
前記被印刷基板上で前記転写ローラを転動させる際に、前記被印刷基板上に既に印刷されたパターンの位置情報に基づいて、前記転写ローラに前記被印刷基板が押し込まれる押し込み量を調整することによって、前記転写ローラに形成されている前記印刷パターンを、前記転写ローラが転動する方向に沿って伸縮させる調整工程を有する、印刷方法。
【請求項7】
前記転写ローラに前記被印刷基板が押し込まれる押し込み量は、前記転写ローラ上に形成されたパターンの位置情報に基づいて調整することを特徴とする、請求項6に記載の印刷方法。
【請求項8】
伸縮機構により、前記転写ローラを、前記転写ローラの回転軸に沿って伸縮させることによって、前記転写ローラに形成されている前記印刷パターンを、前記回転軸に沿って伸縮させる伸縮工程を有する、請求項6又は請求項7に記載の印刷方法。
【請求項9】
位置合わせ機構により、前記保持機構に保持されている前記被印刷基板と前記転写ローラに形成されている前記印刷パターンとの相対位置を合わせる位置合わせ工程を有する、請求項6ないし請求項8のいずれかに記載の印刷方法。
【請求項10】
前記位置合わせ工程は、
光源により光を発光する工程と、
前記光源から発光された光をハーフミラーにより透過及び反射することによって2つに分岐し、分岐された2つの光の各々を前記転写ローラ及び前記被印刷基板の各々に導くとともに、前記転写ローラからの光及び前記被印刷基板からの光を前記ハーフミラーにより合成する工程と、
前記ハーフミラーにより合成された光を撮像素子により受光することによって、前記転写ローラの画像及び前記被印刷基板の画像を撮像する工程と
を有する、請求項9に記載の印刷方法。
【請求項11】
コンピュータに請求項6から請求項10のいずれかに記載の印刷方法を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項1】
転写ローラと、被印刷基板を保持する保持機構とを備え、前記保持機構が保持している前記被印刷基板上で前記転写ローラを転動させることによって、前記転写ローラに形成されている印刷パターンを前記被印刷基板に印刷する印刷装置において、
前記被印刷基板上で前記転写ローラを転動させる際に、前記被印刷基板上に印刷されたパターンの位置情報に基づいて、前記転写ローラに前記被印刷基板が押し込まれる押し込み量を調整することによって、前記転写ローラに形成されている前記印刷パターンを、前記転写ローラが転動する方向に沿って伸縮させる調整機構を有する、印刷装置。
【請求項2】
前記転写ローラに前記被印刷基板が押し込まれる押し込み量は、前記転写ローラ上に形成されたパターンの位置情報に基づいて調整することを特徴とする、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記転写ローラを、前記転写ローラの回転軸に沿って伸縮させることによって、前記転写ローラに形成されている前記印刷パターンを、前記回転軸に沿って伸縮させる伸縮機構を有する、請求項1又は請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記保持機構に保持されている前記被印刷基板と前記転写ローラに形成されている前記印刷パターンとの相対位置を合わせる位置合わせ機構を有する、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項5】
前記位置合わせ機構は、
光を発光する光源と、
前記光源から発光された光を透過及び反射することによって2つに分岐し、分岐された2つの光の各々を前記転写ローラ及び前記被印刷基板の各々に導くとともに、前記転写ローラからの光及び前記被印刷基板からの光を合成するハーフミラーと、
前記ハーフミラーにより合成された光を受光することによって、前記転写ローラの画像及び前記被印刷基板の画像を撮像する撮像素子と
を有する、請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
保持機構が保持している被印刷基板上で転写ローラを転動させることによって、前記転写ローラに形成されている印刷パターンを前記被印刷基板に印刷する印刷方法において、
前記被印刷基板上で前記転写ローラを転動させる際に、前記被印刷基板上に既に印刷されたパターンの位置情報に基づいて、前記転写ローラに前記被印刷基板が押し込まれる押し込み量を調整することによって、前記転写ローラに形成されている前記印刷パターンを、前記転写ローラが転動する方向に沿って伸縮させる調整工程を有する、印刷方法。
【請求項7】
前記転写ローラに前記被印刷基板が押し込まれる押し込み量は、前記転写ローラ上に形成されたパターンの位置情報に基づいて調整することを特徴とする、請求項6に記載の印刷方法。
【請求項8】
伸縮機構により、前記転写ローラを、前記転写ローラの回転軸に沿って伸縮させることによって、前記転写ローラに形成されている前記印刷パターンを、前記回転軸に沿って伸縮させる伸縮工程を有する、請求項6又は請求項7に記載の印刷方法。
【請求項9】
位置合わせ機構により、前記保持機構に保持されている前記被印刷基板と前記転写ローラに形成されている前記印刷パターンとの相対位置を合わせる位置合わせ工程を有する、請求項6ないし請求項8のいずれかに記載の印刷方法。
【請求項10】
前記位置合わせ工程は、
光源により光を発光する工程と、
前記光源から発光された光をハーフミラーにより透過及び反射することによって2つに分岐し、分岐された2つの光の各々を前記転写ローラ及び前記被印刷基板の各々に導くとともに、前記転写ローラからの光及び前記被印刷基板からの光を前記ハーフミラーにより合成する工程と、
前記ハーフミラーにより合成された光を撮像素子により受光することによって、前記転写ローラの画像及び前記被印刷基板の画像を撮像する工程と
を有する、請求項9に記載の印刷方法。
【請求項11】
コンピュータに請求項6から請求項10のいずれかに記載の印刷方法を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−22944(P2013−22944A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163200(P2011−163200)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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