印刷装置、及び印刷方法
【課題】Bi−D調整と紙種判別とを同時に行いつつ紙の無駄を防止することを主な目的とする。
【解決手段】搬送部と、パターンを印字する複数のノズル列からなるヘッドと、ヘッドを搭載するキャリッジと、印刷用紙に形成された所定のドットパターンの濃度を検出するキャリッジに搭載された反射型光学センサーと、反射型光学センサーからの出力値に基づいて、主走査方向におけるインクのドット形成位置のズレの補正値を算出すると共に印刷用紙の紙種を判別するCPUと、を有し、ドットパターンは、主走査方向におけるインクのドット形成位置のズレの補正値を算出するためのドット形成位置のズレ検出パターンと、印刷用紙の紙種を判別する紙種判別パターンとから構成され、ドット形成位置のズレ検出パターンと、紙種判別パターンとは、主走査方向に並んで形成されている。
【解決手段】搬送部と、パターンを印字する複数のノズル列からなるヘッドと、ヘッドを搭載するキャリッジと、印刷用紙に形成された所定のドットパターンの濃度を検出するキャリッジに搭載された反射型光学センサーと、反射型光学センサーからの出力値に基づいて、主走査方向におけるインクのドット形成位置のズレの補正値を算出すると共に印刷用紙の紙種を判別するCPUと、を有し、ドットパターンは、主走査方向におけるインクのドット形成位置のズレの補正値を算出するためのドット形成位置のズレ検出パターンと、印刷用紙の紙種を判別する紙種判別パターンとから構成され、ドット形成位置のズレ検出パターンと、紙種判別パターンとは、主走査方向に並んで形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、及び印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1に記載されているように、所定のパターンを用いてBi−D調整を行う技術が知られていた。
また、例えば、特許文献2に記載されているように、上記パターンとは異なるパターンを用いて紙種類を判別する技術が知られていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−52438号公報
【特許文献2】特開2003−72043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1、2に記載のBi−D調整と紙種判別とを行おうとすると、同一の印刷用紙にそれぞれのパターンを印刷する場合には当該パターンを印刷するために要する印刷用紙の長さが紙搬送方向に長くなり、異なる印刷用紙にそれぞれのパターンを印刷する場合には複数枚の印刷用紙が必要となる。このため、印刷用紙が無駄になるという課題があった。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、Bi−D調整と紙種判別とを同時に行いつつ紙の無駄を防止することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[適用例1]印刷用紙を副走査方向に搬送する搬送部と、前記印刷用紙に対してインクを吐出して所定のパターンを印字する複数のノズル列からなるヘッドと、前記印刷装置におけるホームポジション側とFull桁側の間を主走査方向に移動し、前記ヘッドを搭載するキャリッジと、前記印刷用紙に形成された所定のドットパターンの濃度を検出する前記キャリッジに搭載された反射型光学センサーと、前記反射型光学センサーからの出力値に基づいて、前記主走査方向におけるインクのドット形成位置のズレの補正値を算出すると共に前記印刷用紙の紙種を判別するCPUと、を有し、前記所定のドットパターンは、前記主走査方向におけるインクのドット形成位置のズレの補正値を算出するためのドット形成位置のズレ検出パターンと、前記印刷用紙の紙種を判別する紙種判別パターンとから構成され、前記ドット形成位置のズレ検出パターンと、前記紙種判別パターンとは、前記主走査方向に並んで形成されている、ことを特徴とする印刷装置。
【0007】
これにより、ズレ検出パターンと紙種判別パターンとを主走査方向に並ぶように印字することができる。その結果、上述したように同一の印刷用紙にそれぞれのパターンを印刷する場合、及び異なる印刷用紙にそれぞれのパターンを印刷する場合に比べ印刷用紙の無駄を防ぐことができるという効果を奏する。
【0008】
[適用例2]上記適用例に加えて、さらに、前記紙種判別パターンを双方向で印字するか単方向で印字するかの入力を受け付ける印字方法受付部、を有し、前記受け付けた印字方法が双方向印字である場合、前記紙種判別パターンは前記ドット形成位置のズレ検出パターンの前記Full桁側に形成され、前記受け付けた印字方法が単方向印字である場合、前記紙種判別パターンは前記ドット形成位置のズレ検出パターンの前記ホームポジション側に形成される、ようにしてもよい。
【0009】
これにより、紙種判別パターンを検出するまでに所定時間おけるため、紙種判別パターンが十分に濡れ広がった状態で検出することができる。その結果、適切な紙種判別ができるという効果を奏する。
【0010】
[適用例3]上記適用例に加えて、さらに、前記ドット形成位置のズレ検出パターンの印字を中断する制御部、を有し、前記制御部は前記CPUが判別した紙種が印刷に適した紙ではないと判断した場合、前記ドット形成位置のズレ検出パターンの印字を中断する、ようにしてもよい。
【0011】
これにより、適した紙でない場合は印字を中断できる。その結果、ズレ検出パターン印刷に使われる印刷用紙の無駄を防ぐことができるという効果を奏する。
【0012】
[適用例4]上記適用例に加えて、前記紙種判別パターンは、前記複数のノズル列のうち特定の1の列を用いて印字され、前記特定の1の列はブラックインクを吐出するノズル列である、ようにしてもよい。
【0013】
これにより、濃淡のコントラストを明白にすることできる。その結果、反射型光学センサーを用いての紙種判別検出を容易に行うことができるという効果を奏する。
【0014】
[適用例5]上記適用例に加えて、前記紙種判別パターンは第1と第2のパターンからなり、前記第1のパターンは第1のドット列群と第2のドット列群からなり、前記第2のパターンは第3のドット列群と第4のドット列群からなり、前記第1のドット列群と前記第2のドット列群は前記主走査方向にズレなく形成され、前記第3のドット列群と前記第4のドット列群は前記主走査方向にズレて形成されるようにしてもよい。
【0015】
これにより、反射型光学センサーを用いて紙種判別パターン第一と第二のパターン濃度差を検出できる。その結果、紙種判別を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】インクジェットプリンターを備えた印刷システムの概略構成図。
【図2】制御回路を中心とした印刷装置の一例としてのプリンターの構成を示すブロック図。
【図3】反射型光学センサーの一例を説明するための図。
【図4】反射型光学センサーの位置関係を説明するための図。
【図5】吐出ヘッドの内部の概略構成を示す説明図。
【図6】ピエゾ素子とノズルとの構造を詳細に示した説明図。
【図7】吐出ヘッドにおけるノズルの配列を示す説明図。
【図8】ヘッド駆動回路内に設けられた駆動信号発生部の構成を示すブロック図。
【図9】一部を拡大して示すテストパターンTPの概要図。
【図10】テストパターンを用いた補正量の決定手順のフローチャート。
【図11】参考例のテストパターンの概念図。
【図12】拡大して示すテストパターンHTPの概要図。
【図13】テストパターンHTPを用いた紙種判別方法のフローチャート。
【図14】テストパターンTPとテストパターンHTPとの位置関係を示す説明図。
【図15】テストパターンTPとテストパターンHTPとを用いたパターン印刷、検出の手順のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0018】
===印刷装置の概要===
まず、印刷装置としてのプリンターの概要について、図1及び図2を参照しつつ説明する。図1は、インクジェットプリンター22(以下、プリンターとも呼ぶ)を備えた印刷システムの概略構成図である。図2は、制御回路40を中心とした印刷装置の一例としてのプリンター22の構成を示すブロック図である。
【0019】
プリンター22は、紙送りモーター23によって印刷用紙Pを送る副走査送り機構と、キャリッジモーター24によってキャリッジ31をプラテン26の軸方向に往復移動させる主走査送り機構とを有している。ここで、副走査送り機構による印刷用紙Pの送り方向を副走査方向といい、主走査送り機構によるキャリッジ31の移動方向を主走査方向という。なお、キャリッジ31には、後述するテストパターンの濃度測定器をなす反射型光学センサー29が設けられている。
【0020】
また、プリンター22は、キャリッジ31に搭載された吐出ヘッド60を駆動してインクの吐出及びドット形成を制御するヘッド駆動機構と、紙送りモーター23、キャリッジモーター24、吐出ヘッド60、反射型光学センサー29及び操作パネル32との信号のやり取りを司る制御回路40とを備えている。制御回路40は、コネクター56を介してコンピューター90に接続されている。このコンピューター90は、プリンター22のドライバーを搭載し、入力手段をなすキーボードや、マウス等の操作によるユーザーの指令を受け付け、また、プリンター22における種々の情報をディスプレイの画面表示によりユーザーに提示するユーザインターフェイスをなしている。
【0021】
印刷用紙Pを搬送する副走査送り機構は、紙送りモーター23の回転をプラテン26と用紙搬送ローラー(図示せず)とに伝達するギヤトレインを備える(図示省略)。また、キャリッジ31を往復移動させる主走査送り機構は、プラテン26の軸と並行に架設されキャリッジ31を摺動可能に保持する摺動軸34と、キャリッジモーター24との間に無端の駆動ベルト36を張設するプーリー38とを備えている。
【0022】
図2に示すように、制御回路40は、CPU41と、プログラマブルROM(PROM)43と、RAM44と、文字のドットマトリクスを記憶したキャラクタージェネレーター(CG)45とを備えた算術論理演算回路として構成されている。この制御回路40は、さらに、外部のモーター等とのインターフェイスを専用に行うI/F専用回路50と、このI/F専用回路50に接続され吐出ヘッド60を駆動してインクを吐出させるヘッド駆動回路52と、紙送りモーター23及びキャリッジモーター24を駆動するモーター駆動回路54と、前記反射型光学センサーを制御する反射型光学センサー制御回路53と、を備えている。I/F専用回路50は、パラレルインターフェイス回路を内蔵しており、コネクター56を介してコンピューター90から供給される印刷信号PSを受け取ることができる。
なお、印刷用紙Pをプリンター22へ供給するための給紙動作、印刷用紙Pをインクジェットプリンター22から排出させるための排紙動作も上記紙送りモーター23を用いて行われる。
【0023】
===反射型光学センサーの構成例===
次に、図3、図4を参照しつつ反射型光学センサーの構成例について説明する。図3は、反射型光学センサー29の一例を説明するための模式図である。図4は、プリンター22における反射型光学センサー29の位置関係を説明するための模式図である。
【0024】
反射型光学センサー29は、例えば主走査方向に対して印字領域全域を検知できるようキャリッジ31に取りつけられる。また、反射型光学センサー29は、例えば発光ダイオードから構成される発光部29aと例えばフォトトランジスターから構成される受光部29bを有している。発光部29aが発した光、すなわち入射光は、印刷用紙P上に所定径のスポットを形成し、そのスポットからの反射光が前記受光部29bにて受光され、電気信号に変換される。この反射型光学センサー29は、後記テストパターンの濃度を測定するための濃度測定器として機能する。
【0025】
なお、上記においては、図3に示されるように、発光部29aと受光部29bは、一体となって反射型光学センサー29という機器を構成することとしたが、発光機器と受光機器のように各々別個の機器を構成してもよい。
さらには、上記においては、受光した反射光の強さを得るために、反射光を電気信号に変換した後に電気信号の大きさを測定することとしたが、これに限定されるものではなく、受光した反射光の強さに応じた受光センサーの出力値を測定することができればよい。
【0026】
===吐出ヘッドの構成===
次に、吐出ヘッドの構成について、図5、図6、及び図7を参照しつつ説明する。図5は、吐出ヘッド60の内部の概略構成を示す説明図である。図6は、ピエゾ素子PEとノズルNzとの構造を詳細に示した説明図である。図7は、吐出ヘッド60におけるノズルNzの配列を示す説明図である。
【0027】
キャリッジ31(図1)には、ブラック色(K)インク用のカートリッジ71aと、ライトブラック色(LK)インク用のカートリッジ71bと、シアン色(C)インク用のカートリッジ71cと、ライトシアン色(LC)インク用のカートリッジ71dと、マゼンタ色(M)インク用のカートリッジ71eと、ライトマゼンタ色(LM)インク用のカートリッジ71fと、イエロー色(Y)インク用のカートリッジ71gとが搭載可能である。
【0028】
キャリッジ31の下部には吐出ヘッド60が設けられており、当該吐出ヘッド60は計7個の各色別吐出ヘッド60a、60b、60c、60d、60e、60f、60gにより構成されている。キャリッジ31の底部には、これらの各色別吐出ヘッド60a、60b、60c、60d、60e、60f、60gにインクタンクからのインクを導く導入管67(図5参照)が設けられている。キャリッジ31にカートリッジ71a、71b、71c、71d、71e、71f、71gを上方から装着すると、各カートリッジに設けられた接続孔に導入管67が挿入され、各カートリッジから各色別吐出ヘッド60a、60b、60c、60d、60e、60f、60gへのインクの供給が可能となる。
【0029】
カートリッジ71a、71b、71c、71d、71e、71f、71gがキャリッジ31に装着されると、図5に示すようにカートリッジ内のインクが導入管67を介して吸い出され、キャリッジ31下部に設けられた各色別吐出ヘッド60a、60b、60c、60d、60e、60f、60gに導かれる。
【0030】
キャリッジ31下部に設けられた各色別吐出ヘッド60a、60b、60c、60d、60e、60f、60gには、ノズルNz毎に、電歪素子の一つであって応答性に優れたピエゾ素子PEが配置されている。そして、図6に示すように、ピエゾ素子PEは、ノズルNzまでインクを導くインク通路68に接する位置に設置されている。ピエゾ素子PEは、周知のように、電圧の印加により結晶構造が歪み、極めて高速に電気−機械エネルギーの変換を行う素子である。本実施例では、ピエゾ素子PEの両端に設けられた電極間に所定時間幅の電圧を印加することにより、ピエゾ素子PEが電圧の印加時間だけ伸張し、インク通路68の一側壁を変形させる。この結果、インク通路68の体積はピエゾ素子PEの伸張に応じて収縮し、この収縮分に相当するインクがインク滴となって、ノズルNzの先端から高速に吐出される。このインク滴がプラテン26に装着された印刷用紙Pに染み込むことにより、ドットが形成されて印刷が行われる。
【0031】
図7に示すように、吐出ヘッド60は、副走査方向に沿った一直線上にそれぞれ配列されたブラックノズル列、ライトブラックノズル列、シアンノズル列、ライトシアンノズル列、マゼンタノズル列、ライトマゼンタノズル列、イエローノズル列、と、を有している。各ノズル列は、それぞれ180個のノズル#1〜#180を備えており、ノズル#1〜#180は、副走査方向に沿って一定のノズルピッチk・Dで配置されている。ここで、Dは副走査方向のドットピッチであり、kは整数である。以下では、ノズルピッチk・Dを表す整数kを、単に「ノズルピッチk」と呼ぶ。図9の例では、ノズルピッチkは4ドットである。但し、ノズルピッチkは、任意の整数に設定することができる。
【0032】
また、前述した主走査送り機構によるキャリッジ31の移動方向、すなわち、主走査方向は、ノズル列の方向に直交している。
【0033】
以上説明したハードウェア構成を有するプリンター22は、紙送りモーター23により印刷用紙Pを搬送しつつ、キャリッジ31をキャリッジモーター24により往復移動させ、同時に吐出ヘッド60のピエゾ素子PEを駆動して、各色インクの吐出を行い、ドットを形成して印刷用紙P上に多色の画像を形成する。
【0034】
なお、ここでは、既に述べた通りピエゾ素子PEを用いてインクを吐出するヘッドを備えたプリンター22を用いているが、吐出駆動素子としては、ピエゾ素子以外の種々のものを利用することが可能である。例えば、インク通路に配置したヒーターに通電し、インク通路内に発生する泡(バブル)によりインクを吐出するタイプの吐出駆動素子を備えたプリンターに適用することも可能である。そして、制御回路40の構成も、各吐出駆動素子に駆動信号を供給し、主走査の往路と復路において、インク滴の経時的な吐出順序を同一に保つように駆動信号を生成するものであれば、どのようなものでもよい。
【0035】
===吐出ヘッドの駆動===
次に、吐出ヘッド60の駆動について、図8を参照しつつ説明する。図8は、ヘッド駆動回路52(図2)内に設けられた駆動信号発生部の構成を示すブロック図である。
図8において、駆動信号発生部は、複数のマスク回路204と、原駆動信号発生部206と、駆動信号補正部230とを備えている。
【0036】
マスク回路204は、吐出ヘッド60aのノズルn1〜n180をそれぞれ駆動するための複数のピエゾ素子PEに対応して設けられている。なお、図8において、各信号名の最後に付されたかっこ内の数字は、その信号が供給されるノズルの番号を示している。原駆動信号発生部206は、ノズルn1〜n180に共通に用いられる原駆動信号ODRVを生成する。この原駆動信号ODRVは、一画素分の主走査期間内に、第1パルスW1と第2パルスW2の2つのパルスを含む信号である。
【0037】
駆動信号補正部230は、マスク回路204が整形した駆動信号波形のタイミングを主走査の往路に対して復路にて前後にずらして、前述の双方向印刷時における往路と復路との主走査方向のドット形成位置の補正を行う。すなわち、この駆動信号波形のタイミングの補正によって、双方向印刷時における往路と復路との主走査方向のドット形成位置のズレが補正される。この補正をすべく駆動信号補正部230に入力されるタイミング補正値は、後述のテストパターンによって決定される。
【0038】
なお、本実施の形態において、図8に示したヘッド駆動回路52(図2)内に設けられた駆動発生信号部は、ノズル列毎に設けられている。
【0039】
===主走査方向のドット形成位置のズレを補正するためのテストパターン===
上述したプリンター22は、主走査の往路における主走査方向のドット形成位置と、復路における主走査方向のドット形成位置とのズレを補正する目的で、ノズルからインクを吐出して印刷用紙にテストパターンTPを印刷する。
【0040】
このテストパターンTPの概念図を図9に示す。なお、このようなテストパターンTPは、ノズル列毎に印刷され、つまり、前記ドット形成位置のズレ補正は、ノズル列毎になされる。ここでは、ブラックノズル列のドット形成位置のズレを補正する場合を例に説明するが、他の色のノズル列についても同様である。
【0041】
図9に示すように、テストパターンTPは、主走査方向に沿って、例えば15個の補正用パターンCPから構成される。なお、各補正用パターンCPの上に印刷された番号#1〜#7,#−1〜#−7は、それぞれに、その補正用パターンCPに対応付けられた補正量を示しており、また、同図中では、その補正量を前記番号の下に対応させて示している。
【0042】
補正量は、各補正用パターンCPに対して異なる値が対応付けられており、当該補正量に応じて、各補正用パターンCPに係る後記第1ドット列群G1及び後記第2ドット列群G2の主走査方向における相対位置が、所定差分ずつずらされている。例えば、テストパターンTPの中央には、補正量を0inchにした補正用パターンCP(#0)が印刷されており、そこから主走査方向に沿って右側または左側に離れるに従って、各補正用パターンCP(#1)〜CP(#7),CP(#−1)〜CP(#−7)の補正量が例えば1/1440inchの所定差分ずつ変化するように、各補正用パターンCPは印刷されている。なお、前記補正用パターンCP(#0)の右側にある補正用パターンCP(#1)〜CP(#7)と左側にある補正用パターンCP(#−1)〜CP(#−7)とでは、互いに逆向きに補正量を変化させている。
【0043】
そして、これら補正用パターンCPの中から、前記第1ドット列群G1と第2ドット列群G2との互いの相対位置が最も揃った補正用パターンCPが選択され、当該選択された補正用パターンCPに対応付けられた補正量に基づき、これに相当するタイミング補正値が双方向印刷時の補正値として前記駆動信号補正部230に入力される。なお、図示例にあっては、この「最も揃った補正用パターン」は補正用パターンCP(#0)であり、この場合には、0inchに相当するタイミング補正値が前記駆動信号補正部230に入力される。
【0044】
図9中に一部拡大して示すように、各補正用パターンCPは、前記主走査方向に、例えば1/180inchの所定ピッチP1で形成された5本のドット列R1を有する第1ドット列群G1と、この第1ドット列群G1のドット列R1と同じピッチで形成された複数のドット列R2を有する第2ドット列群G2とを有し、第2ドット列群G2は、第1ドット列群G1の副走査方向の上流側に配置されている。なお、各ドット列Rは、副走査方向に1/180inchのノズルピッチk・Dで形成された複数のドットから構成されており、これら各ドットは、前記ブラックノズル列の各ノズルからインクを同時に吐出することによって形成される。
【0045】
ここで、同図中に一部拡大して示すように、この第1ドット列群G1における副走査方向の上流側部分と、第2ドット列群G2における副走査方向の下流側部分とは、副走査方向に関して互いに重なって配置されており、これによって重なり部分Lapが形成されている。そして、この重なり部分Lapにおける第1ドット列群G1のドット列R1と第2ドット列群G2のドット列R2とのズレ量の大きさを参照することによって、前記15個の補正用パターンCPの中から、前記「最も揃った補正用パターンCP」が一つ選択される。
【0046】
この重なり部分Lapにおけるドット列R1,R2同士のズレ量の大きさの評価は、前記反射型光学センサー29にて前記重なり部分Lapの濃度を測定することによってなされる。すなわち、反射型光学センサー29にて測定される濃度が最も薄い補正用パターンCPを選択することによって、前記「最も揃った補正用パターンCP」を特定する。
【0047】
この重なり部分Lapの濃度によって、前記ズレ量の大きさを評価できる理由は、次の通りである例えば、前記ズレ量が最も大きい補正用パターンCP(#4)では、ドット列R1,R2同士が、互いに相手方のドット列Rの中間に位置している。このため、反射型光学センサー29のスポット中に占める、ドット列R1,R2同士の間の空白部分の面積の割合は小さく、もって、前記スポットの反射光の強さも弱くなって、前記重なり部分Lapの濃度は濃く測定される。一方、前記ズレ量が最も小さい補正用パターンCP(#0)では、図9に示すようにドット列R1,R2同士の位置が主走査方向に関して揃っている。このため、反射型光学センサー29のスポット中に占める、ドット列R1,R2同士の間に存在する空白部分の面積の割合は大きく、もって、前記スポットの反射光の強さも強くなって、前記重なり部分Lapの濃度は薄く測定される。
【0048】
このようなテストパターンTPの印刷は、前記主走査の往路において、ブラックノズル列からインクが吐出されて第1ドット列群G1が形成され、次に副走査方向に印刷用紙を紙送りした後で、復路において同じブラックノズル列からインクが吐出されて第2ドット列群G2が形成されることによって行われる。なお、復路において第2ドット列群G2を形成する際には、各補正用パターンCPに対応付けられた補正量に基づいて、往路に対するインクの吐出タイミングを変化させており、これによって、各補正用パターンCPは、第1ドット列群G1に対する第2ドット列群G2の主走査方向の相対位置が、前記所定差分ずつずらされて印刷される。
【0049】
===テストパターンを用いた補正量の決定手順===
このようなテストパターンTPを用いて前記補正量を決定する手順を、図10に示すフローチャート、及び図11に示す参考例のテストパターンの概念図を参照しつつ説明する。
【0050】
図10に示すように、前記補正量の決定は、粗調整及び微調整の2段階で行われる。その理由は、所定差分を大きく振って粗く補正量を絞り込み、その後で所定差分を小さくして精細に絞り込む方が、短時間で高精度に補正量を追い込めるからである。このため、図11に示すように、テストパターンTPとしては、粗調整用と微調整用の二種類が用いられる。
【0051】
詳細に手順を説明すると、先ず、1段階目の粗調整では、プリンター22は、図11上段に示すように、前記補正量の所定差分を大きく設定して粗調整用テストパターンTPrを印刷する(S11)。そして、プリンター22は、この粗調整用テストパターンTPrの複数の補正用パターンCPを比較して、前記「最も揃った補正用パターンCP」を選択し、その補正量を仮の補正量として決定する(S12)。図示例では、1/720inchの所定差分ずつ補正量を変化させて15個の補正用パターンCPが形成されている。そして、その中で、「最も揃った補正用パターンCP」として、補正用パターンCP(#0)が選択され、これによって仮の補正量は0inchとなる。
【0052】
次に、2段階目の微調整では、プリンター22は、図11下段に示すように、前記補正量の所定差分を小さく設定して微調整用テストパターンTPdを印刷する(S13)。なお、ここで、この微調整用テストパターンTPdに係る複数の補正量は、これら補正量の中央値が、前記粗調整で求められた仮の補正量となるように設定される。そして、プリンター22は、この微調整用テストパターンTPdの複数の補正用パターンCPを比較して、前記「最も揃った補正用パターンCP」を選択し、その補正量を、最終の補正量として決定する(S14)。図示例では、1/1440inchの所定差分ずつ補正量を変化させて15個の補正用パターンCPが形成されている。そして、その中で、「最も揃った補正用パターンCP」として補正用パターンCP(#0)が選択され、これによって最終の補正量は0inchとなる。
【0053】
そして、プリンター22は、この最終の補正量に基づいて、これに相当するタイミング補正値を前記駆動信号補正部230に入力する。
【0054】
===紙面上におけるドットの濡れ広がり具合から紙種を判別するためのテストパターン===
上述したプリンター22は、反射型光学センサー29を用いて紙面上におけるドットの濡れ広がり具合を検出して、使用している紙種を判別するためのテストパターンHTPを印刷する。
【0055】
このテストパターンHTPの概念図を図12に示す。なお、このようなテストパターンHTPは、複数のノズル列のうち特定の1のノズル列を構成する特定のノズルを用いて印刷される。本実施例では、前記特定の1のノズル列としてブラックノズル列を用いる場合を例に説明するが、他のノズル列(CMY)を特定の1のノズル列としてもよい。
【0056】
図12に示すように、テストパターンHTPは、主走査方向に沿って、例えば2つのパターンCP0とCP1とから構成される。
【0057】
濡れ広がりパターンCP0は、主走査方向にズレが生じないように印刷された第1ドット列群G1(実線)及び第2ドット列群G2(点線)から構成される。
他方、濡れ広がりパターンCP1は、主走査方向に所定差分ずらされて印刷された第3ドット列群G3(実線)及び第4ドット列群G4(点線)から構成される。所定差分としては、例えば、10/1440inchが挙げられる。
なお、説明上第2ドット列群G2及び第4ドット列群G4を点線として説明しているが実際に紙面上に形成されるのは第1ドット列群G1及び第3ドット列群G3と同様に連続した実線である。
【0058】
図12上部にCP1の拡大図を示す。各濡れ広がりパターンCP1は、前記主走査方向に、例えば1/180inchの所定ピッチP1で形成された5本の第3ドット列群G3と、この第3ドット列群G3と同じピッチで形成された第4ドット列群G4とを有し、第4ドット列群G4は第3ドット列群G3の副走査方向の下流側に形成されている。なお、各ドット列は、副走査方向に1/180inchのノズルピッチk・Dで形成された複数のドットから構成されており、これら各ドットは、前記ブラックノズル列の特定のノズルからインクを同時に吐出することによって形成される。
なお、ここでいう特定ノズルとはノズル列を構成する全ノズルであってもよいし、一部のノズルであってもよい。一部のノズルとする場合は、画像の印字に用いられる頻度の高いノズルとしてもよい。
【0059】
ここで、同図中に一部拡大して示すように、この第3ドット列群G3における副走査方向の下流側部分と、第4ドット列群G4における副走査方向の上流側部分とは、主走査方向において互いに重なって配置されており、これによって重なり部分Lapが形成されている。
なお、このLap領域はCP0においても同様に形成される領域である。
【0060】
濡れ広がりの評価はこのCP0及びCP1における重なり部分Lap領域に形成されたインクの濃度を反射型光学センサー29を用いて測定することにより行われる。
具体的には、反射型光学センサー29にて測定されるパターンCP0におけるLap領域に形成されたインクの濃度とパターンCP1におけるLap領域に形成されたインクの濃度を比較することにより当該印刷用紙におけるドットの濡れ広がり具合を特定する。
【0061】
この重なり部分Lapの濃度によって、前記濡れ広がり具合を評価できる理由は、次の通りである。例えば、濡れ広がりパターンCP1では、ドット列G3,G4同士が、互いに他方のドット列の中間に位置している。このため、反射型光学センサー29のスポット中に占めるドット列群G3,G4同士の間の空白部分の面積の割合は後述するCP0の場合に比べ小さくなる。その結果、前記スポット内に位置する用紙からの反射光の強さは弱くなり、前記重なり部分Lapの濃度は、後述するCP0の場合に比べ濃い測定結果を得られる。
一方、濡れ広がりパターンCP0では、図12に示すようにドット列群G1,G2同士の位置が主走査方向に関して揃っている。このため、反射型光学センサー29のスポット中に占めるドット列群G1,G2同士の間に存在する空白部分の面積の割合は上述したCP1の場合に比べ大きくなる。その結果、前記スポット内に位置する用紙からの反射光の強さは強くなり、前記重なり部分Lapの濃度は、上述したCP1の場合に比べ薄いとの測定結果を得ることができる。
【0062】
このようなテストパターンHTPの印刷は、前記主走査の往路において、ブラックノズル列からインクが吐出されて第1ドット列群G1及び第3ドット列群G3が形成され、次に再度同じブラックノズル列、ノズル番号からインクが吐出されて第2ドット列群G2及び第4ドット列群G4が形成されることによって行われる。
このようにすることで、仮に主走査方向における印字ズレが生じていたとしてもその影響を受けることなく精度の高い濡れ広がり検出を行うことができるという効果を奏する。
ただし、主走査方向における印字ズレが既に補正されている場合であれば、往路で第1ドット列群G1及び第3ドット列群G3を形成し、復路において第2ドット列群G2及び第4ドット列群G4を形成する態様としてもよい。
【0063】
===検出濃度から紙種判別を行う方法===
次に検出濃度から紙種判別を行う方法について図13に示すフローチャートを参照しつつ説明する。図13に示すように、例えば上記CP0及びCP1の測定を行い(S21)、上記CP0と上記CP1の測定濃度値の差分が一定の閾値Vthを超えているか否かで上記反射型光学センサー29を用いてのドット形成位置のズレを検出可能である紙種か判断を行う(S22)。
【0064】
ここで閾値Vthは予め求めた実験値とすることができる。
【0065】
なお、上記CP0とCP1との差分が閾値Vthを超えていない場合は上記主走査方向のドット形成位置のズレを補正するためのテストパターンTPにおける各補正量の異なったパターンCP(#1)〜(#7),CP(#−1)〜CP(#−7)の測定を行っても、濃度差がでないため最も揃った補正用パターンCPが選択できないため、検出不能と判断しエラーを通知する。
【0066】
===TPとHTPの位置関係===
次に上述したTPとHTPの紙面上における位置関係について、図14に示す参考例のテストパターンの概念図、及び図15に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
【0067】
TPとHTPを主走査方向に並べて印字する。これにより、各パターンをそれぞれ独立して形成する場合に比較して紙の無駄を省くことができる。
以下詳細についてHTPをBi−D(双方向印字)で印字する場合とUni−D(単方向)で印字する場合に分けて説明する。
【0068】
HTPをBi−Dで印字する場合、図14に示すように、主走査方向のHP(ホームポジション)側にTPを印字し、HPとは異なる側(Full桁側)にHTPを印字する。
これにより、他の配置に比較して、TPの形成に用いるインク量の削減並びに紙種検出精度の向上を図ることができる。
具体的には、図14に示すように配置することで図15に示すようにHTPを2パスで形成し(S36)、3パス目には反射型光学センサー29で濃度を検出(S37)することにより紙種を判別することができ、紙種を判別した結果、想定していた紙種とは異なる場合(当該プリンターに搭載されたインクには適合しない用紙である場合)にあっては(S38:不適合)、4パス目以降のTPの印字を中断することができる。
また、2パス目で完成させたHTPを直ぐに反射型光学センサー29を用いて検出するのではなく、所定時間(2パス目でのTPの印字時間+3パス目でのTPの印字時間)おいた後にHTPを検出するので、印字したHTPが十分に濡れ広がった状態で濃度を検出することができる。印字したHTPが十分に濡れ広がった状態で濃度を検出しなければ、正しい検出結果を得ることができない。
【0069】
HTPをUni−Dで印字する場合、図14に示すように、主走査方向のHP(ホームポジション)側にHTPを印字し、HPとは異なる側(Full桁側)にTPを印字する。
これにより、他の配置に比較して、TPの形成に用いるインク量の削減並びに紙種検出精度の向上を図ることができる。
具体的には、図14に示すように配置することで図15に示すようにHTPを3パスで形成し(S34)、4パス目には反射型光学センサー29で濃度を検出(S35)することにより紙種を判別することができ、紙種を判別した結果、想定していた紙種とは異なる場合(当該プリンターに搭載されたインクには適合しない用紙である場合)にあっては(S38:不適合)、5パス目以降のTPの印字を中断することができる。
また、3パス目で完成させたHTPを直ぐに反射型光学センサー29を用いて検出するのではなく、所定時間(3パス目でのTPの印字時間+4パス目でのTPの印字時間)おいた後にHTPを検出するので、印字したHTPが十分に濡れ広がった状態で濃度を検出することができる。印字したHTPが十分に濡れ広がった状態で濃度を検出しなければ、正しい検出結果を得ることができない。
【0070】
なお、HTPをBi−Dで印字するかUni−Dで印字するかは、ユーザーの入力に従うとしてもよい。また、Bi−D調整の実行履歴を図示しないメモリーに格納しておき、前回Bi−D調整をした時から所定時間経過していない場合は、既にBi−D調整済みと判断してHTPをBi−Dで印字するとするものとしてもよい。
【符号の説明】
【0071】
22…プリンター、23…紙送りモーター、24…キャリッジモーター、26…プラテン、29…反射型光学センサー、29a…発光部、29b…受光部、31…キャリッジ、32…操作パネル、34…摺動軸、36…駆動ベルト、38…プーリー、40…制御回路、41…CPU、43…PROM、44…RAM、45…CG、50…I/F専用回路、52…ヘッド駆動回路、53…制御回路、54…モーター駆動回路、56…コネクター、60…吐出ヘッド、67…導入管、68…インク通路、71…カートリッジ、90…コンピューター、204…マスク回路、206…原駆動信号発生部、230…駆動信号補正部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、及び印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1に記載されているように、所定のパターンを用いてBi−D調整を行う技術が知られていた。
また、例えば、特許文献2に記載されているように、上記パターンとは異なるパターンを用いて紙種類を判別する技術が知られていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−52438号公報
【特許文献2】特開2003−72043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1、2に記載のBi−D調整と紙種判別とを行おうとすると、同一の印刷用紙にそれぞれのパターンを印刷する場合には当該パターンを印刷するために要する印刷用紙の長さが紙搬送方向に長くなり、異なる印刷用紙にそれぞれのパターンを印刷する場合には複数枚の印刷用紙が必要となる。このため、印刷用紙が無駄になるという課題があった。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、Bi−D調整と紙種判別とを同時に行いつつ紙の無駄を防止することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[適用例1]印刷用紙を副走査方向に搬送する搬送部と、前記印刷用紙に対してインクを吐出して所定のパターンを印字する複数のノズル列からなるヘッドと、前記印刷装置におけるホームポジション側とFull桁側の間を主走査方向に移動し、前記ヘッドを搭載するキャリッジと、前記印刷用紙に形成された所定のドットパターンの濃度を検出する前記キャリッジに搭載された反射型光学センサーと、前記反射型光学センサーからの出力値に基づいて、前記主走査方向におけるインクのドット形成位置のズレの補正値を算出すると共に前記印刷用紙の紙種を判別するCPUと、を有し、前記所定のドットパターンは、前記主走査方向におけるインクのドット形成位置のズレの補正値を算出するためのドット形成位置のズレ検出パターンと、前記印刷用紙の紙種を判別する紙種判別パターンとから構成され、前記ドット形成位置のズレ検出パターンと、前記紙種判別パターンとは、前記主走査方向に並んで形成されている、ことを特徴とする印刷装置。
【0007】
これにより、ズレ検出パターンと紙種判別パターンとを主走査方向に並ぶように印字することができる。その結果、上述したように同一の印刷用紙にそれぞれのパターンを印刷する場合、及び異なる印刷用紙にそれぞれのパターンを印刷する場合に比べ印刷用紙の無駄を防ぐことができるという効果を奏する。
【0008】
[適用例2]上記適用例に加えて、さらに、前記紙種判別パターンを双方向で印字するか単方向で印字するかの入力を受け付ける印字方法受付部、を有し、前記受け付けた印字方法が双方向印字である場合、前記紙種判別パターンは前記ドット形成位置のズレ検出パターンの前記Full桁側に形成され、前記受け付けた印字方法が単方向印字である場合、前記紙種判別パターンは前記ドット形成位置のズレ検出パターンの前記ホームポジション側に形成される、ようにしてもよい。
【0009】
これにより、紙種判別パターンを検出するまでに所定時間おけるため、紙種判別パターンが十分に濡れ広がった状態で検出することができる。その結果、適切な紙種判別ができるという効果を奏する。
【0010】
[適用例3]上記適用例に加えて、さらに、前記ドット形成位置のズレ検出パターンの印字を中断する制御部、を有し、前記制御部は前記CPUが判別した紙種が印刷に適した紙ではないと判断した場合、前記ドット形成位置のズレ検出パターンの印字を中断する、ようにしてもよい。
【0011】
これにより、適した紙でない場合は印字を中断できる。その結果、ズレ検出パターン印刷に使われる印刷用紙の無駄を防ぐことができるという効果を奏する。
【0012】
[適用例4]上記適用例に加えて、前記紙種判別パターンは、前記複数のノズル列のうち特定の1の列を用いて印字され、前記特定の1の列はブラックインクを吐出するノズル列である、ようにしてもよい。
【0013】
これにより、濃淡のコントラストを明白にすることできる。その結果、反射型光学センサーを用いての紙種判別検出を容易に行うことができるという効果を奏する。
【0014】
[適用例5]上記適用例に加えて、前記紙種判別パターンは第1と第2のパターンからなり、前記第1のパターンは第1のドット列群と第2のドット列群からなり、前記第2のパターンは第3のドット列群と第4のドット列群からなり、前記第1のドット列群と前記第2のドット列群は前記主走査方向にズレなく形成され、前記第3のドット列群と前記第4のドット列群は前記主走査方向にズレて形成されるようにしてもよい。
【0015】
これにより、反射型光学センサーを用いて紙種判別パターン第一と第二のパターン濃度差を検出できる。その結果、紙種判別を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】インクジェットプリンターを備えた印刷システムの概略構成図。
【図2】制御回路を中心とした印刷装置の一例としてのプリンターの構成を示すブロック図。
【図3】反射型光学センサーの一例を説明するための図。
【図4】反射型光学センサーの位置関係を説明するための図。
【図5】吐出ヘッドの内部の概略構成を示す説明図。
【図6】ピエゾ素子とノズルとの構造を詳細に示した説明図。
【図7】吐出ヘッドにおけるノズルの配列を示す説明図。
【図8】ヘッド駆動回路内に設けられた駆動信号発生部の構成を示すブロック図。
【図9】一部を拡大して示すテストパターンTPの概要図。
【図10】テストパターンを用いた補正量の決定手順のフローチャート。
【図11】参考例のテストパターンの概念図。
【図12】拡大して示すテストパターンHTPの概要図。
【図13】テストパターンHTPを用いた紙種判別方法のフローチャート。
【図14】テストパターンTPとテストパターンHTPとの位置関係を示す説明図。
【図15】テストパターンTPとテストパターンHTPとを用いたパターン印刷、検出の手順のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0018】
===印刷装置の概要===
まず、印刷装置としてのプリンターの概要について、図1及び図2を参照しつつ説明する。図1は、インクジェットプリンター22(以下、プリンターとも呼ぶ)を備えた印刷システムの概略構成図である。図2は、制御回路40を中心とした印刷装置の一例としてのプリンター22の構成を示すブロック図である。
【0019】
プリンター22は、紙送りモーター23によって印刷用紙Pを送る副走査送り機構と、キャリッジモーター24によってキャリッジ31をプラテン26の軸方向に往復移動させる主走査送り機構とを有している。ここで、副走査送り機構による印刷用紙Pの送り方向を副走査方向といい、主走査送り機構によるキャリッジ31の移動方向を主走査方向という。なお、キャリッジ31には、後述するテストパターンの濃度測定器をなす反射型光学センサー29が設けられている。
【0020】
また、プリンター22は、キャリッジ31に搭載された吐出ヘッド60を駆動してインクの吐出及びドット形成を制御するヘッド駆動機構と、紙送りモーター23、キャリッジモーター24、吐出ヘッド60、反射型光学センサー29及び操作パネル32との信号のやり取りを司る制御回路40とを備えている。制御回路40は、コネクター56を介してコンピューター90に接続されている。このコンピューター90は、プリンター22のドライバーを搭載し、入力手段をなすキーボードや、マウス等の操作によるユーザーの指令を受け付け、また、プリンター22における種々の情報をディスプレイの画面表示によりユーザーに提示するユーザインターフェイスをなしている。
【0021】
印刷用紙Pを搬送する副走査送り機構は、紙送りモーター23の回転をプラテン26と用紙搬送ローラー(図示せず)とに伝達するギヤトレインを備える(図示省略)。また、キャリッジ31を往復移動させる主走査送り機構は、プラテン26の軸と並行に架設されキャリッジ31を摺動可能に保持する摺動軸34と、キャリッジモーター24との間に無端の駆動ベルト36を張設するプーリー38とを備えている。
【0022】
図2に示すように、制御回路40は、CPU41と、プログラマブルROM(PROM)43と、RAM44と、文字のドットマトリクスを記憶したキャラクタージェネレーター(CG)45とを備えた算術論理演算回路として構成されている。この制御回路40は、さらに、外部のモーター等とのインターフェイスを専用に行うI/F専用回路50と、このI/F専用回路50に接続され吐出ヘッド60を駆動してインクを吐出させるヘッド駆動回路52と、紙送りモーター23及びキャリッジモーター24を駆動するモーター駆動回路54と、前記反射型光学センサーを制御する反射型光学センサー制御回路53と、を備えている。I/F専用回路50は、パラレルインターフェイス回路を内蔵しており、コネクター56を介してコンピューター90から供給される印刷信号PSを受け取ることができる。
なお、印刷用紙Pをプリンター22へ供給するための給紙動作、印刷用紙Pをインクジェットプリンター22から排出させるための排紙動作も上記紙送りモーター23を用いて行われる。
【0023】
===反射型光学センサーの構成例===
次に、図3、図4を参照しつつ反射型光学センサーの構成例について説明する。図3は、反射型光学センサー29の一例を説明するための模式図である。図4は、プリンター22における反射型光学センサー29の位置関係を説明するための模式図である。
【0024】
反射型光学センサー29は、例えば主走査方向に対して印字領域全域を検知できるようキャリッジ31に取りつけられる。また、反射型光学センサー29は、例えば発光ダイオードから構成される発光部29aと例えばフォトトランジスターから構成される受光部29bを有している。発光部29aが発した光、すなわち入射光は、印刷用紙P上に所定径のスポットを形成し、そのスポットからの反射光が前記受光部29bにて受光され、電気信号に変換される。この反射型光学センサー29は、後記テストパターンの濃度を測定するための濃度測定器として機能する。
【0025】
なお、上記においては、図3に示されるように、発光部29aと受光部29bは、一体となって反射型光学センサー29という機器を構成することとしたが、発光機器と受光機器のように各々別個の機器を構成してもよい。
さらには、上記においては、受光した反射光の強さを得るために、反射光を電気信号に変換した後に電気信号の大きさを測定することとしたが、これに限定されるものではなく、受光した反射光の強さに応じた受光センサーの出力値を測定することができればよい。
【0026】
===吐出ヘッドの構成===
次に、吐出ヘッドの構成について、図5、図6、及び図7を参照しつつ説明する。図5は、吐出ヘッド60の内部の概略構成を示す説明図である。図6は、ピエゾ素子PEとノズルNzとの構造を詳細に示した説明図である。図7は、吐出ヘッド60におけるノズルNzの配列を示す説明図である。
【0027】
キャリッジ31(図1)には、ブラック色(K)インク用のカートリッジ71aと、ライトブラック色(LK)インク用のカートリッジ71bと、シアン色(C)インク用のカートリッジ71cと、ライトシアン色(LC)インク用のカートリッジ71dと、マゼンタ色(M)インク用のカートリッジ71eと、ライトマゼンタ色(LM)インク用のカートリッジ71fと、イエロー色(Y)インク用のカートリッジ71gとが搭載可能である。
【0028】
キャリッジ31の下部には吐出ヘッド60が設けられており、当該吐出ヘッド60は計7個の各色別吐出ヘッド60a、60b、60c、60d、60e、60f、60gにより構成されている。キャリッジ31の底部には、これらの各色別吐出ヘッド60a、60b、60c、60d、60e、60f、60gにインクタンクからのインクを導く導入管67(図5参照)が設けられている。キャリッジ31にカートリッジ71a、71b、71c、71d、71e、71f、71gを上方から装着すると、各カートリッジに設けられた接続孔に導入管67が挿入され、各カートリッジから各色別吐出ヘッド60a、60b、60c、60d、60e、60f、60gへのインクの供給が可能となる。
【0029】
カートリッジ71a、71b、71c、71d、71e、71f、71gがキャリッジ31に装着されると、図5に示すようにカートリッジ内のインクが導入管67を介して吸い出され、キャリッジ31下部に設けられた各色別吐出ヘッド60a、60b、60c、60d、60e、60f、60gに導かれる。
【0030】
キャリッジ31下部に設けられた各色別吐出ヘッド60a、60b、60c、60d、60e、60f、60gには、ノズルNz毎に、電歪素子の一つであって応答性に優れたピエゾ素子PEが配置されている。そして、図6に示すように、ピエゾ素子PEは、ノズルNzまでインクを導くインク通路68に接する位置に設置されている。ピエゾ素子PEは、周知のように、電圧の印加により結晶構造が歪み、極めて高速に電気−機械エネルギーの変換を行う素子である。本実施例では、ピエゾ素子PEの両端に設けられた電極間に所定時間幅の電圧を印加することにより、ピエゾ素子PEが電圧の印加時間だけ伸張し、インク通路68の一側壁を変形させる。この結果、インク通路68の体積はピエゾ素子PEの伸張に応じて収縮し、この収縮分に相当するインクがインク滴となって、ノズルNzの先端から高速に吐出される。このインク滴がプラテン26に装着された印刷用紙Pに染み込むことにより、ドットが形成されて印刷が行われる。
【0031】
図7に示すように、吐出ヘッド60は、副走査方向に沿った一直線上にそれぞれ配列されたブラックノズル列、ライトブラックノズル列、シアンノズル列、ライトシアンノズル列、マゼンタノズル列、ライトマゼンタノズル列、イエローノズル列、と、を有している。各ノズル列は、それぞれ180個のノズル#1〜#180を備えており、ノズル#1〜#180は、副走査方向に沿って一定のノズルピッチk・Dで配置されている。ここで、Dは副走査方向のドットピッチであり、kは整数である。以下では、ノズルピッチk・Dを表す整数kを、単に「ノズルピッチk」と呼ぶ。図9の例では、ノズルピッチkは4ドットである。但し、ノズルピッチkは、任意の整数に設定することができる。
【0032】
また、前述した主走査送り機構によるキャリッジ31の移動方向、すなわち、主走査方向は、ノズル列の方向に直交している。
【0033】
以上説明したハードウェア構成を有するプリンター22は、紙送りモーター23により印刷用紙Pを搬送しつつ、キャリッジ31をキャリッジモーター24により往復移動させ、同時に吐出ヘッド60のピエゾ素子PEを駆動して、各色インクの吐出を行い、ドットを形成して印刷用紙P上に多色の画像を形成する。
【0034】
なお、ここでは、既に述べた通りピエゾ素子PEを用いてインクを吐出するヘッドを備えたプリンター22を用いているが、吐出駆動素子としては、ピエゾ素子以外の種々のものを利用することが可能である。例えば、インク通路に配置したヒーターに通電し、インク通路内に発生する泡(バブル)によりインクを吐出するタイプの吐出駆動素子を備えたプリンターに適用することも可能である。そして、制御回路40の構成も、各吐出駆動素子に駆動信号を供給し、主走査の往路と復路において、インク滴の経時的な吐出順序を同一に保つように駆動信号を生成するものであれば、どのようなものでもよい。
【0035】
===吐出ヘッドの駆動===
次に、吐出ヘッド60の駆動について、図8を参照しつつ説明する。図8は、ヘッド駆動回路52(図2)内に設けられた駆動信号発生部の構成を示すブロック図である。
図8において、駆動信号発生部は、複数のマスク回路204と、原駆動信号発生部206と、駆動信号補正部230とを備えている。
【0036】
マスク回路204は、吐出ヘッド60aのノズルn1〜n180をそれぞれ駆動するための複数のピエゾ素子PEに対応して設けられている。なお、図8において、各信号名の最後に付されたかっこ内の数字は、その信号が供給されるノズルの番号を示している。原駆動信号発生部206は、ノズルn1〜n180に共通に用いられる原駆動信号ODRVを生成する。この原駆動信号ODRVは、一画素分の主走査期間内に、第1パルスW1と第2パルスW2の2つのパルスを含む信号である。
【0037】
駆動信号補正部230は、マスク回路204が整形した駆動信号波形のタイミングを主走査の往路に対して復路にて前後にずらして、前述の双方向印刷時における往路と復路との主走査方向のドット形成位置の補正を行う。すなわち、この駆動信号波形のタイミングの補正によって、双方向印刷時における往路と復路との主走査方向のドット形成位置のズレが補正される。この補正をすべく駆動信号補正部230に入力されるタイミング補正値は、後述のテストパターンによって決定される。
【0038】
なお、本実施の形態において、図8に示したヘッド駆動回路52(図2)内に設けられた駆動発生信号部は、ノズル列毎に設けられている。
【0039】
===主走査方向のドット形成位置のズレを補正するためのテストパターン===
上述したプリンター22は、主走査の往路における主走査方向のドット形成位置と、復路における主走査方向のドット形成位置とのズレを補正する目的で、ノズルからインクを吐出して印刷用紙にテストパターンTPを印刷する。
【0040】
このテストパターンTPの概念図を図9に示す。なお、このようなテストパターンTPは、ノズル列毎に印刷され、つまり、前記ドット形成位置のズレ補正は、ノズル列毎になされる。ここでは、ブラックノズル列のドット形成位置のズレを補正する場合を例に説明するが、他の色のノズル列についても同様である。
【0041】
図9に示すように、テストパターンTPは、主走査方向に沿って、例えば15個の補正用パターンCPから構成される。なお、各補正用パターンCPの上に印刷された番号#1〜#7,#−1〜#−7は、それぞれに、その補正用パターンCPに対応付けられた補正量を示しており、また、同図中では、その補正量を前記番号の下に対応させて示している。
【0042】
補正量は、各補正用パターンCPに対して異なる値が対応付けられており、当該補正量に応じて、各補正用パターンCPに係る後記第1ドット列群G1及び後記第2ドット列群G2の主走査方向における相対位置が、所定差分ずつずらされている。例えば、テストパターンTPの中央には、補正量を0inchにした補正用パターンCP(#0)が印刷されており、そこから主走査方向に沿って右側または左側に離れるに従って、各補正用パターンCP(#1)〜CP(#7),CP(#−1)〜CP(#−7)の補正量が例えば1/1440inchの所定差分ずつ変化するように、各補正用パターンCPは印刷されている。なお、前記補正用パターンCP(#0)の右側にある補正用パターンCP(#1)〜CP(#7)と左側にある補正用パターンCP(#−1)〜CP(#−7)とでは、互いに逆向きに補正量を変化させている。
【0043】
そして、これら補正用パターンCPの中から、前記第1ドット列群G1と第2ドット列群G2との互いの相対位置が最も揃った補正用パターンCPが選択され、当該選択された補正用パターンCPに対応付けられた補正量に基づき、これに相当するタイミング補正値が双方向印刷時の補正値として前記駆動信号補正部230に入力される。なお、図示例にあっては、この「最も揃った補正用パターン」は補正用パターンCP(#0)であり、この場合には、0inchに相当するタイミング補正値が前記駆動信号補正部230に入力される。
【0044】
図9中に一部拡大して示すように、各補正用パターンCPは、前記主走査方向に、例えば1/180inchの所定ピッチP1で形成された5本のドット列R1を有する第1ドット列群G1と、この第1ドット列群G1のドット列R1と同じピッチで形成された複数のドット列R2を有する第2ドット列群G2とを有し、第2ドット列群G2は、第1ドット列群G1の副走査方向の上流側に配置されている。なお、各ドット列Rは、副走査方向に1/180inchのノズルピッチk・Dで形成された複数のドットから構成されており、これら各ドットは、前記ブラックノズル列の各ノズルからインクを同時に吐出することによって形成される。
【0045】
ここで、同図中に一部拡大して示すように、この第1ドット列群G1における副走査方向の上流側部分と、第2ドット列群G2における副走査方向の下流側部分とは、副走査方向に関して互いに重なって配置されており、これによって重なり部分Lapが形成されている。そして、この重なり部分Lapにおける第1ドット列群G1のドット列R1と第2ドット列群G2のドット列R2とのズレ量の大きさを参照することによって、前記15個の補正用パターンCPの中から、前記「最も揃った補正用パターンCP」が一つ選択される。
【0046】
この重なり部分Lapにおけるドット列R1,R2同士のズレ量の大きさの評価は、前記反射型光学センサー29にて前記重なり部分Lapの濃度を測定することによってなされる。すなわち、反射型光学センサー29にて測定される濃度が最も薄い補正用パターンCPを選択することによって、前記「最も揃った補正用パターンCP」を特定する。
【0047】
この重なり部分Lapの濃度によって、前記ズレ量の大きさを評価できる理由は、次の通りである例えば、前記ズレ量が最も大きい補正用パターンCP(#4)では、ドット列R1,R2同士が、互いに相手方のドット列Rの中間に位置している。このため、反射型光学センサー29のスポット中に占める、ドット列R1,R2同士の間の空白部分の面積の割合は小さく、もって、前記スポットの反射光の強さも弱くなって、前記重なり部分Lapの濃度は濃く測定される。一方、前記ズレ量が最も小さい補正用パターンCP(#0)では、図9に示すようにドット列R1,R2同士の位置が主走査方向に関して揃っている。このため、反射型光学センサー29のスポット中に占める、ドット列R1,R2同士の間に存在する空白部分の面積の割合は大きく、もって、前記スポットの反射光の強さも強くなって、前記重なり部分Lapの濃度は薄く測定される。
【0048】
このようなテストパターンTPの印刷は、前記主走査の往路において、ブラックノズル列からインクが吐出されて第1ドット列群G1が形成され、次に副走査方向に印刷用紙を紙送りした後で、復路において同じブラックノズル列からインクが吐出されて第2ドット列群G2が形成されることによって行われる。なお、復路において第2ドット列群G2を形成する際には、各補正用パターンCPに対応付けられた補正量に基づいて、往路に対するインクの吐出タイミングを変化させており、これによって、各補正用パターンCPは、第1ドット列群G1に対する第2ドット列群G2の主走査方向の相対位置が、前記所定差分ずつずらされて印刷される。
【0049】
===テストパターンを用いた補正量の決定手順===
このようなテストパターンTPを用いて前記補正量を決定する手順を、図10に示すフローチャート、及び図11に示す参考例のテストパターンの概念図を参照しつつ説明する。
【0050】
図10に示すように、前記補正量の決定は、粗調整及び微調整の2段階で行われる。その理由は、所定差分を大きく振って粗く補正量を絞り込み、その後で所定差分を小さくして精細に絞り込む方が、短時間で高精度に補正量を追い込めるからである。このため、図11に示すように、テストパターンTPとしては、粗調整用と微調整用の二種類が用いられる。
【0051】
詳細に手順を説明すると、先ず、1段階目の粗調整では、プリンター22は、図11上段に示すように、前記補正量の所定差分を大きく設定して粗調整用テストパターンTPrを印刷する(S11)。そして、プリンター22は、この粗調整用テストパターンTPrの複数の補正用パターンCPを比較して、前記「最も揃った補正用パターンCP」を選択し、その補正量を仮の補正量として決定する(S12)。図示例では、1/720inchの所定差分ずつ補正量を変化させて15個の補正用パターンCPが形成されている。そして、その中で、「最も揃った補正用パターンCP」として、補正用パターンCP(#0)が選択され、これによって仮の補正量は0inchとなる。
【0052】
次に、2段階目の微調整では、プリンター22は、図11下段に示すように、前記補正量の所定差分を小さく設定して微調整用テストパターンTPdを印刷する(S13)。なお、ここで、この微調整用テストパターンTPdに係る複数の補正量は、これら補正量の中央値が、前記粗調整で求められた仮の補正量となるように設定される。そして、プリンター22は、この微調整用テストパターンTPdの複数の補正用パターンCPを比較して、前記「最も揃った補正用パターンCP」を選択し、その補正量を、最終の補正量として決定する(S14)。図示例では、1/1440inchの所定差分ずつ補正量を変化させて15個の補正用パターンCPが形成されている。そして、その中で、「最も揃った補正用パターンCP」として補正用パターンCP(#0)が選択され、これによって最終の補正量は0inchとなる。
【0053】
そして、プリンター22は、この最終の補正量に基づいて、これに相当するタイミング補正値を前記駆動信号補正部230に入力する。
【0054】
===紙面上におけるドットの濡れ広がり具合から紙種を判別するためのテストパターン===
上述したプリンター22は、反射型光学センサー29を用いて紙面上におけるドットの濡れ広がり具合を検出して、使用している紙種を判別するためのテストパターンHTPを印刷する。
【0055】
このテストパターンHTPの概念図を図12に示す。なお、このようなテストパターンHTPは、複数のノズル列のうち特定の1のノズル列を構成する特定のノズルを用いて印刷される。本実施例では、前記特定の1のノズル列としてブラックノズル列を用いる場合を例に説明するが、他のノズル列(CMY)を特定の1のノズル列としてもよい。
【0056】
図12に示すように、テストパターンHTPは、主走査方向に沿って、例えば2つのパターンCP0とCP1とから構成される。
【0057】
濡れ広がりパターンCP0は、主走査方向にズレが生じないように印刷された第1ドット列群G1(実線)及び第2ドット列群G2(点線)から構成される。
他方、濡れ広がりパターンCP1は、主走査方向に所定差分ずらされて印刷された第3ドット列群G3(実線)及び第4ドット列群G4(点線)から構成される。所定差分としては、例えば、10/1440inchが挙げられる。
なお、説明上第2ドット列群G2及び第4ドット列群G4を点線として説明しているが実際に紙面上に形成されるのは第1ドット列群G1及び第3ドット列群G3と同様に連続した実線である。
【0058】
図12上部にCP1の拡大図を示す。各濡れ広がりパターンCP1は、前記主走査方向に、例えば1/180inchの所定ピッチP1で形成された5本の第3ドット列群G3と、この第3ドット列群G3と同じピッチで形成された第4ドット列群G4とを有し、第4ドット列群G4は第3ドット列群G3の副走査方向の下流側に形成されている。なお、各ドット列は、副走査方向に1/180inchのノズルピッチk・Dで形成された複数のドットから構成されており、これら各ドットは、前記ブラックノズル列の特定のノズルからインクを同時に吐出することによって形成される。
なお、ここでいう特定ノズルとはノズル列を構成する全ノズルであってもよいし、一部のノズルであってもよい。一部のノズルとする場合は、画像の印字に用いられる頻度の高いノズルとしてもよい。
【0059】
ここで、同図中に一部拡大して示すように、この第3ドット列群G3における副走査方向の下流側部分と、第4ドット列群G4における副走査方向の上流側部分とは、主走査方向において互いに重なって配置されており、これによって重なり部分Lapが形成されている。
なお、このLap領域はCP0においても同様に形成される領域である。
【0060】
濡れ広がりの評価はこのCP0及びCP1における重なり部分Lap領域に形成されたインクの濃度を反射型光学センサー29を用いて測定することにより行われる。
具体的には、反射型光学センサー29にて測定されるパターンCP0におけるLap領域に形成されたインクの濃度とパターンCP1におけるLap領域に形成されたインクの濃度を比較することにより当該印刷用紙におけるドットの濡れ広がり具合を特定する。
【0061】
この重なり部分Lapの濃度によって、前記濡れ広がり具合を評価できる理由は、次の通りである。例えば、濡れ広がりパターンCP1では、ドット列G3,G4同士が、互いに他方のドット列の中間に位置している。このため、反射型光学センサー29のスポット中に占めるドット列群G3,G4同士の間の空白部分の面積の割合は後述するCP0の場合に比べ小さくなる。その結果、前記スポット内に位置する用紙からの反射光の強さは弱くなり、前記重なり部分Lapの濃度は、後述するCP0の場合に比べ濃い測定結果を得られる。
一方、濡れ広がりパターンCP0では、図12に示すようにドット列群G1,G2同士の位置が主走査方向に関して揃っている。このため、反射型光学センサー29のスポット中に占めるドット列群G1,G2同士の間に存在する空白部分の面積の割合は上述したCP1の場合に比べ大きくなる。その結果、前記スポット内に位置する用紙からの反射光の強さは強くなり、前記重なり部分Lapの濃度は、上述したCP1の場合に比べ薄いとの測定結果を得ることができる。
【0062】
このようなテストパターンHTPの印刷は、前記主走査の往路において、ブラックノズル列からインクが吐出されて第1ドット列群G1及び第3ドット列群G3が形成され、次に再度同じブラックノズル列、ノズル番号からインクが吐出されて第2ドット列群G2及び第4ドット列群G4が形成されることによって行われる。
このようにすることで、仮に主走査方向における印字ズレが生じていたとしてもその影響を受けることなく精度の高い濡れ広がり検出を行うことができるという効果を奏する。
ただし、主走査方向における印字ズレが既に補正されている場合であれば、往路で第1ドット列群G1及び第3ドット列群G3を形成し、復路において第2ドット列群G2及び第4ドット列群G4を形成する態様としてもよい。
【0063】
===検出濃度から紙種判別を行う方法===
次に検出濃度から紙種判別を行う方法について図13に示すフローチャートを参照しつつ説明する。図13に示すように、例えば上記CP0及びCP1の測定を行い(S21)、上記CP0と上記CP1の測定濃度値の差分が一定の閾値Vthを超えているか否かで上記反射型光学センサー29を用いてのドット形成位置のズレを検出可能である紙種か判断を行う(S22)。
【0064】
ここで閾値Vthは予め求めた実験値とすることができる。
【0065】
なお、上記CP0とCP1との差分が閾値Vthを超えていない場合は上記主走査方向のドット形成位置のズレを補正するためのテストパターンTPにおける各補正量の異なったパターンCP(#1)〜(#7),CP(#−1)〜CP(#−7)の測定を行っても、濃度差がでないため最も揃った補正用パターンCPが選択できないため、検出不能と判断しエラーを通知する。
【0066】
===TPとHTPの位置関係===
次に上述したTPとHTPの紙面上における位置関係について、図14に示す参考例のテストパターンの概念図、及び図15に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
【0067】
TPとHTPを主走査方向に並べて印字する。これにより、各パターンをそれぞれ独立して形成する場合に比較して紙の無駄を省くことができる。
以下詳細についてHTPをBi−D(双方向印字)で印字する場合とUni−D(単方向)で印字する場合に分けて説明する。
【0068】
HTPをBi−Dで印字する場合、図14に示すように、主走査方向のHP(ホームポジション)側にTPを印字し、HPとは異なる側(Full桁側)にHTPを印字する。
これにより、他の配置に比較して、TPの形成に用いるインク量の削減並びに紙種検出精度の向上を図ることができる。
具体的には、図14に示すように配置することで図15に示すようにHTPを2パスで形成し(S36)、3パス目には反射型光学センサー29で濃度を検出(S37)することにより紙種を判別することができ、紙種を判別した結果、想定していた紙種とは異なる場合(当該プリンターに搭載されたインクには適合しない用紙である場合)にあっては(S38:不適合)、4パス目以降のTPの印字を中断することができる。
また、2パス目で完成させたHTPを直ぐに反射型光学センサー29を用いて検出するのではなく、所定時間(2パス目でのTPの印字時間+3パス目でのTPの印字時間)おいた後にHTPを検出するので、印字したHTPが十分に濡れ広がった状態で濃度を検出することができる。印字したHTPが十分に濡れ広がった状態で濃度を検出しなければ、正しい検出結果を得ることができない。
【0069】
HTPをUni−Dで印字する場合、図14に示すように、主走査方向のHP(ホームポジション)側にHTPを印字し、HPとは異なる側(Full桁側)にTPを印字する。
これにより、他の配置に比較して、TPの形成に用いるインク量の削減並びに紙種検出精度の向上を図ることができる。
具体的には、図14に示すように配置することで図15に示すようにHTPを3パスで形成し(S34)、4パス目には反射型光学センサー29で濃度を検出(S35)することにより紙種を判別することができ、紙種を判別した結果、想定していた紙種とは異なる場合(当該プリンターに搭載されたインクには適合しない用紙である場合)にあっては(S38:不適合)、5パス目以降のTPの印字を中断することができる。
また、3パス目で完成させたHTPを直ぐに反射型光学センサー29を用いて検出するのではなく、所定時間(3パス目でのTPの印字時間+4パス目でのTPの印字時間)おいた後にHTPを検出するので、印字したHTPが十分に濡れ広がった状態で濃度を検出することができる。印字したHTPが十分に濡れ広がった状態で濃度を検出しなければ、正しい検出結果を得ることができない。
【0070】
なお、HTPをBi−Dで印字するかUni−Dで印字するかは、ユーザーの入力に従うとしてもよい。また、Bi−D調整の実行履歴を図示しないメモリーに格納しておき、前回Bi−D調整をした時から所定時間経過していない場合は、既にBi−D調整済みと判断してHTPをBi−Dで印字するとするものとしてもよい。
【符号の説明】
【0071】
22…プリンター、23…紙送りモーター、24…キャリッジモーター、26…プラテン、29…反射型光学センサー、29a…発光部、29b…受光部、31…キャリッジ、32…操作パネル、34…摺動軸、36…駆動ベルト、38…プーリー、40…制御回路、41…CPU、43…PROM、44…RAM、45…CG、50…I/F専用回路、52…ヘッド駆動回路、53…制御回路、54…モーター駆動回路、56…コネクター、60…吐出ヘッド、67…導入管、68…インク通路、71…カートリッジ、90…コンピューター、204…マスク回路、206…原駆動信号発生部、230…駆動信号補正部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置であって、
印刷用紙を副走査方向に搬送する搬送部と、
前記印刷用紙に対してインクを吐出して所定のパターンを印字する複数のノズル列から なるヘッドと、
前記印刷装置におけるホームポジション側とFull桁側の間を主走査方向に移動し、前記ヘッドを搭載するキャリッジと、
前記印刷用紙に形成された所定のドットパターンの濃度を検出する前記キャリッジに搭載された反射型光学センサーと、
前記反射型光学センサーからの出力値に基づいて、前記主走査方向におけるインクのドット形成位置のズレの補正値を算出すると共に前記印刷用紙の紙種を判別するCPUと、
を有し、
前記所定のドットパターンは、前記主走査方向におけるインクのドット形成位置のズレの補正値を算出するためのドット形成位置のズレ検出パターンと、前記印刷用紙の紙種を判別する紙種判別パターンとから構成され、
前記ドット形成位置のズレ検出パターンと、前記紙種判別パターンとは、前記主走査方向に並んで形成されている、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
さらに、
前記紙種判別パターンを双方向で印字するか単方向で印字するかの入力を受け付ける印字方法受付部、
を有し、
前記受け付けた印字方法が双方向印字である場合、前記紙種判別パターンは前記ドット形成位置のズレ検出パターンの前記Full桁側に形成され、
前記受け付けた印字方法が単方向印字である場合、前記紙種判別パターンは前記ドット形成位置のズレ検出パターンの前記ホームポジション側に形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
さらに、
前記ドット形成位置のズレ検出パターンの印字を中断する制御部、
を有し、
前記制御部は前記CPUが判別した紙種が印刷に適した紙ではないと判断した場合、
前記ドット形成位置のズレ検出パターンの印字を中断する、
ことを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記紙種判別パターンは、前記複数のノズル列のうち特定の1の列を用いて印字され、前記特定の1の列はブラックインクを吐出するノズル列である、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記紙種判別パターンは第1と第2のパターンからなり、
前記第1のパターンは第1のドット列群と第2のドット列群からなり、
前記第2のパターンは第3のドット列群と第4のドット列群からなり、
前記第1のドット列群と前記第2のドット列群は前記主走査方向にズレなく形成され、
前記第3のドット列群と前記第4のドット列群は前記主走査方向にズレて形成され、
ていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項6】
印刷方法であって、
印刷用紙を副走査方向に搬送する搬送工程と、
前記印刷用紙に対して複数のノズル列からなるヘッドを用いてインクを吐出することにより所定のパターンを印字する工程と、
前記ヘッドを搭載するキャリッジを印刷装置におけるホームポジション側とFull桁側の間を主走査方向に移動させる工程と、
前記キャリッジに搭載された反射型光学センサーにより前記印刷用紙に形成された所定のドットパターンの濃度を検出する工程と、
前記反射型光学センサーからの出力値に基づいて、前記主走査方向におけるインクのドット形成位置のズレの補正値を算出すると共に前記印刷用紙の紙種を判別する演算工程とを有し、
前記所定のドットパターンは、前記主走査方向におけるドット形成位置のズレの補正値を算出するためのドット形成位置のズレ検出パターンと、前記印刷用紙の紙種を判別する紙種判別パターンとから構成され、
前記ドット形成位置のズレ検出パターンと、前記紙種判別パターンとは、前記主走査方向に並んで形成されている、ことを特徴とする印刷方法。
【請求項1】
印刷装置であって、
印刷用紙を副走査方向に搬送する搬送部と、
前記印刷用紙に対してインクを吐出して所定のパターンを印字する複数のノズル列から なるヘッドと、
前記印刷装置におけるホームポジション側とFull桁側の間を主走査方向に移動し、前記ヘッドを搭載するキャリッジと、
前記印刷用紙に形成された所定のドットパターンの濃度を検出する前記キャリッジに搭載された反射型光学センサーと、
前記反射型光学センサーからの出力値に基づいて、前記主走査方向におけるインクのドット形成位置のズレの補正値を算出すると共に前記印刷用紙の紙種を判別するCPUと、
を有し、
前記所定のドットパターンは、前記主走査方向におけるインクのドット形成位置のズレの補正値を算出するためのドット形成位置のズレ検出パターンと、前記印刷用紙の紙種を判別する紙種判別パターンとから構成され、
前記ドット形成位置のズレ検出パターンと、前記紙種判別パターンとは、前記主走査方向に並んで形成されている、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
さらに、
前記紙種判別パターンを双方向で印字するか単方向で印字するかの入力を受け付ける印字方法受付部、
を有し、
前記受け付けた印字方法が双方向印字である場合、前記紙種判別パターンは前記ドット形成位置のズレ検出パターンの前記Full桁側に形成され、
前記受け付けた印字方法が単方向印字である場合、前記紙種判別パターンは前記ドット形成位置のズレ検出パターンの前記ホームポジション側に形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
さらに、
前記ドット形成位置のズレ検出パターンの印字を中断する制御部、
を有し、
前記制御部は前記CPUが判別した紙種が印刷に適した紙ではないと判断した場合、
前記ドット形成位置のズレ検出パターンの印字を中断する、
ことを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記紙種判別パターンは、前記複数のノズル列のうち特定の1の列を用いて印字され、前記特定の1の列はブラックインクを吐出するノズル列である、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記紙種判別パターンは第1と第2のパターンからなり、
前記第1のパターンは第1のドット列群と第2のドット列群からなり、
前記第2のパターンは第3のドット列群と第4のドット列群からなり、
前記第1のドット列群と前記第2のドット列群は前記主走査方向にズレなく形成され、
前記第3のドット列群と前記第4のドット列群は前記主走査方向にズレて形成され、
ていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項6】
印刷方法であって、
印刷用紙を副走査方向に搬送する搬送工程と、
前記印刷用紙に対して複数のノズル列からなるヘッドを用いてインクを吐出することにより所定のパターンを印字する工程と、
前記ヘッドを搭載するキャリッジを印刷装置におけるホームポジション側とFull桁側の間を主走査方向に移動させる工程と、
前記キャリッジに搭載された反射型光学センサーにより前記印刷用紙に形成された所定のドットパターンの濃度を検出する工程と、
前記反射型光学センサーからの出力値に基づいて、前記主走査方向におけるインクのドット形成位置のズレの補正値を算出すると共に前記印刷用紙の紙種を判別する演算工程とを有し、
前記所定のドットパターンは、前記主走査方向におけるドット形成位置のズレの補正値を算出するためのドット形成位置のズレ検出パターンと、前記印刷用紙の紙種を判別する紙種判別パターンとから構成され、
前記ドット形成位置のズレ検出パターンと、前記紙種判別パターンとは、前記主走査方向に並んで形成されている、ことを特徴とする印刷方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図15】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図15】
【図14】
【公開番号】特開2012−210773(P2012−210773A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77897(P2011−77897)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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