説明

印刷装置および印刷方法

【課題】非純正インクが使用されている場合に、印刷に所要する時間の短縮を図る。
【解決手段】プリンター10は、印刷すべき画像が選択される印刷画像選択部52と、選択された画像のデータを画像処理することで描画データを生成する画像処理部56と、所定の基準に基づいてインクの正当性を判定する純正インク判定部54と、インクの非正当性を判定した場合、画像の印刷を実行するか、否かが決定される印刷許諾部60と、印刷の非実行が決定された場合、生成した描画データを記憶するデータ記憶部58と、印刷の実行が決定された場合、記憶された描画データ、または画像処理部56で生成された描画データから印刷ジョブデータを生成して印刷する印刷処理部62と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置および印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンターは、通常、プリンター本体にインクを収容したインクカートリッジが着脱自在に装着されることによりインクが供給され、インク切れとなった場合には新規のインクカートリッジと交換することで印刷を継続することができる(例えば、下記特許文献1参照)。このようなインクカートリッジは、そのインクジェットプリンターのメーカーが推奨する純正品を用いることが好ましいが、稀にインク切れとなったインクカートリッジにインクを詰め替えて再使用するユーザーが存在する。
一般的に、インクジェットプリンターは、純正のインクを使用した場合に最も良好な印刷結果が得られるように設計されているため、メーカーが保障しない非純正のインクを使用する場合には、インクジェットプリンターの性能が有効に発揮されず、印刷品質が低下する可能性や、異なる性質のインクがヘッド内で混ざって凝固し、ヘッドの目詰まりが発生する可能性がある。従って、インクジェットプリンターのメーカーは、印刷処理を開始する前に、プリンタードライバーのユーザーインターフェイス画面等で、非純正インクに対する警告を表示すると共に、ユーザーに対して印刷の許諾を要求し、ユーザーによる許諾を受けて印刷処理を開始するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−315323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のインクジェットプリンターでは、ユーザーによる許諾を受けて印刷処理が開始されるため、印刷すべき画像が多量に存在する場合や、画像のデータが大きい場合、許諾を行ってから印刷されるまでに多くの時間を所要した。本発明は、非純正のインクを使用する場合であっても、印刷に所要する時間を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]
本適用例にかかる印刷装置は、インクジェット方式の印刷装置であって、印刷すべき画像が選択される画像選択部と、選択された前記画像のデータを画像処理することで描画データを生成する画像処理部と、所定の基準に基づいてインクの正当性を判定するインク判定部と、前記インク判定部が前記インクの非正当性を判定した場合、前記画像の印刷を実行するか、否かが決定される印刷決定部と、前記印刷決定部で印刷の非実行が決定された場合、前記画像処理部が生成した前記描画データを記憶する記憶部と、前記印刷決定部で印刷の実行が決定された場合、前記記憶部に記憶された前記描画データ、または前記画像処理部が生成した前記描画データから印刷ジョブデータを生成して印刷する印刷処理部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、インク判定部がインクの非正当性を判定した場合であって、印刷決定部が画像の印刷の非実行を決定した場合には、画像処理部が生成した描画データは記憶部に記憶され、印刷決定部が画像の印刷の実行を決定した場合には、記憶部に記憶された描画データ、または画像処理部が生成した描画データから印刷ジョブデータを生成されて印刷される。即ち、正当ではないインクが使用され印刷が直ちに行われない場合であっても、選択された画像の描画データは生成されて記憶され、その後、印刷が実行される場合に、記憶された描画データが印刷される。従って、選択した画像の印刷の実行が決定された場合、既にその画像の描画データは生成されているため、生成された描画データから即座に印刷ジョブデータが作成されて印刷され、印刷に所要する時間の短縮を図れる。
【0008】
[適用例2]
上記適用例にかかる印刷装置において、前記印刷処理部は、前記印刷決定部で印刷の実行が決定された場合、最初に、前記記憶部に記憶された前記描画データの中から所定の順序で前記印刷ジョブデータを生成して印刷し、次に、前記画像処理部が生成した前記描画データから前記印刷ジョブデータを生成して印刷することを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、描画データが記憶部に記憶されている場合は、記憶されている描画データから先に印刷できる。
【0010】
[適用例3]
上記適用例にかかる印刷装置において、前記印刷処理部は、前記記憶部に記憶された前記描画データにおいて印刷が完了した前記描画データを前記記憶部から消去させることを特徴とする。
【0011】
このような構成によれば、印刷された描画データは記憶部から消去されるため、記憶部に不要な描画データが残存しない。
【0012】
[適用例4]
上記適用例にかかる印刷装置において、前記印刷処理部は、前記インク判定部が前記インクの正当性を判定した場合、前記画像処理部が生成した前記描画データから印刷ジョブデータを生成して印刷しても良い。
【0013】
[適用例5]
上記適用例にかかる印刷装置において、前記印刷決定部は、非正当性と判定した前記インクで印刷することにより、印刷品質の低下を警告し、印刷を実行する許諾をユーザーに要求しても良い。
【0014】
[適用例6]
本適用例にかかる印刷方法は、インクジェット方式による印刷方法であって、印刷すべき画像が選択される画像選択工程と、選択された前記画像のデータを画像処理することで描画データを生成する画像処理工程と、所定の基準に基づいてインクの正当性を判定するインク判定工程と、前記インク判定工程で前記インクの非正当性が判定された場合、前記画像の印刷を実行するか、否かが決定される印刷決定工程と、前記印刷決定工程で印刷の非実行が決定された場合、前記画像処理工程で生成された前記描画データを記憶する記憶工程と、前記印刷決定工程で印刷の実行が決定された場合、前記記憶工程で記憶された前記描画データ、または前記画像処理工程で生成された前記描画データから印刷ジョブデータを生成して印刷する印刷処理工程と、を有することを特徴とする。
【0015】
このような方法によれば、インク判定工程でインクの非正当性が判定された場合であって、印刷決定工程で画像の印刷の非実行が決定された場合には、画像処理工程で生成された描画データは記憶され、印刷決定工程で画像の印刷の実行が決定された場合には、記憶された描画データ、または画像処理工程で生成された描画データから印刷ジョブデータが生成されて印刷される。即ち、正当ではないインクが使用され印刷が直ちに行われない場合であっても、選択された画像の描画データは生成されて記憶され、その後、印刷が実行される場合に、記憶された描画データが印刷される。従って、選択した画像の印刷の実行が決定された場合、既にその画像の描画データは生成されているため、生成された描画データから即座に印刷ジョブデータが作成されて印刷され、印刷に所要する時間の短縮を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係るプリンターのハードウェア構成を示す図。
【図2】本発明の実施形態に係るプリンターの機能構成を説明する図。
【図3】非純正インクと判定した場合に表示される警告ダイアログを示す図。
【図4】本発明の実施形態に係るプリンターの印刷処理の流れを説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、印刷装置について図面を参照して説明する。
【0018】
(実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係る印刷装置であるプリンター10のハードウェア構成を示す図である。このプリンター10は、インクジェット方式で用紙に画像を形成するインクジェットプリンターであり、RMC(Removable Memory Controller)12と、RAM(Random Access Memory)16と、CPU(Central Processing Unit)14と、表示制御部18と、外部I/F(Inter Face)22と、ROM(Read Only Memory)24と、フラッシュメモリー26と、印刷制御部28と、操作部32、画像処理回路34と、カートリッジメモリーI/F46と、を備え、これらはバス36により、種々の信号が授受可能に接続されている。このプリンター10は、画像のデータを含む画像ファイルを読み込み、読み込んだ画像ファイルに含まれる画像データが示す画像を印刷する所謂スタンドアロン型プリンターである。また、このプリンター10は、PC(Personal Computer)42のプリンタードライバーで生成された印刷データを入力し、入力したデータに基づいた印刷も可能である。更に、このプリンター10は、印刷機能に加えて、スキャナー機能やコピー機能等を具備した多機能プリンターであっても良い。
【0019】
カートリッジメモリーI/F46は、インクが供給されるインクカートリッジ48に搭載された不揮発性メモリー(図示は略す。)に接続され、この不揮発性メモリーに書き込まれたインクカートリッジ48の識別情報を読み込む。本実施形態では、識別情報は、カートリッジIDや、製造年月日や、インク色や、インクの組成情報等を想定する。
RMC12は、図示しないコネクターを介してリムーバブルメモリー40に接続され、このリムーバブルメモリー40とRAM16やフラッシュメモリー26との間でデータ転送を制御する。リムーバブルメモリー40は、カード型メモリーカードでもよいし、その他の繰り返し書き込み可能な不揮発性記憶媒体であってもよい。
外部I/F22は、PC42、デジタルカメラ44および図示を略したカメラ付携帯型電話端末などの外部システムと通信するためのUSB(Universal Serial Bus)コントローラー、USBコネクターなどを備える。通信規格はUSBに限らず、IEEE1394、赤外線、イーサネット(登録商標)などの規格でもよい。
【0020】
CPU14は、プリンター10の各部を制御する中央制御部であり、フラッシュメモリー26やROM24に格納されている制御プログラムを実行することにより、各部を制御して印刷を実行する。RAM16は、各種のプログラムやデータが一時的に格納される揮発性メモリーであり、フラッシュメモリー26は、制御プログラム、色空間変換プログラムなど各種のプログラムやデータを記憶している不揮発性メモリーである。これら各種のプログラムやデータは、コンピューターで読み取り可能な記憶媒体からRAM16やフラッシュメモリー26に転送されてもよいし、遠隔地のサーバーから通信ネットワークを経由して、RAM16やフラッシュメモリー26に転送されてもよい。
【0021】
表示制御部18は、図示を略したグラフィックコントローラーやVRAM(Video Random Access Memory)等などを備え、この表示制御部18に接続された液晶表示体などのディスプレー20に対して表示信号を生成する。尚、ディスプレー20に文字や画像を表示するために必要なフレームメモリー領域は、図示を略したVRAMに確保してもよく、また、RAM16の一部領域に割り当ててもよい。フレームメモリー領域に書き込まれたデータは、グラフィックコントローラーによって定期的に読み出され、ディスプレー20に表示される文字や画像が更新される。
【0022】
画像処理回路34は、圧縮されているデジタル画像の伸張処理、イメージ合成処理、回転処理、拡大/縮小処理、カラーマッチング処理、ハーフトーン処理、マイクロウィーブ処理などをCPU14と協働して実行し、印刷データを生成する画像処理LSIである。なお、画像処理回路34は、例えばDSP(Digital Signal Processor)で構成されてもよい。また、これらの処理をCPU14によるプログラム処理によって実行してもよい。尚、画像処理LSIは高集積化されているが、印刷する画像サイズの大型化や高精細化に比例して、上述の画像処理には多くの時間を要することが知られている。
【0023】
印刷制御部28は、画像処理回路34で生成された印刷データに基づいて画像を形成するための印刷ユニット30の動作を制御する。この印刷ユニット30は、記録ヘッド、記録ヘッドの往復移動機構、給排紙機構などを備える。尚、本実施形態では、カラーインクジェット方式を採用するが、カラーに限定されるものでは無く、モノクロ専用のプリンターでも良い。
操作部32は、ユーザーのメニュー操作や印刷要求を受け付けるための操作ボタン、ジョグダイヤル、その他各種のボタンを備えている。所定のモードで特定のボタンが押されると、そのモードに応じた各種の要求がプリンター10に入力される。
【0024】
次に、図2は、プリンター10の機能構成を説明する図である。このプリンター10は、印刷画像選択部52、純正インク判定部54、画像処理部56、データ記憶部58、印刷許諾部60および印刷処理部62を備える。各機能部は、前記したハードウェア資源と、ROM24やフラッシュメモリー26等に記憶された種々のソフトウェアとが有機的に協働することによりそれぞれの機能を実現している。
【0025】
印刷画像選択部52は、印刷する画像がユーザーにより選択される。本実施形態では、リムーバブルメモリー40に記憶された画像や、PC42やデジタルカメラ等から転送された画像の中から、ユーザーが所望する画像が選択される。この印刷画像選択部52で選択された画像の画像データは、画像処理部56に送られる。その際、印刷する画像が選択されたことを示す印刷決定情報は純正インク判定部54に送られる。
純正インク判定部54は、印刷画像選択部52から印刷決定情報が送られるのを受けて、プリンター10に装着されているインクカートリッジ48に搭載された不揮発性メモリーから識別情報を取得して解析し、このインクカートリッジ48が、プリンター10のメーカーが認める純正品であるか、非純正品であるかを判定する。尚、インクカートリッジ48が複数装着されている場合は、何れか1本が純正品でない場合、非純正品であると判定する。純正インク判定部54が判定した判定結果情報は、画像処理部56と印刷許諾部60に送られる。尚、本実施形態では、インクカートリッジ48に搭載された不揮発性メモリーからの情報に基づいて正当性を判定しているが、これに限定されるものではなく、例えば、インクの組成等を解析して判定しても良い。
【0026】
印刷許諾部(印刷決定部)60は、純正インク判定部54からインクカートリッジ48が非純正品であることを示す判定結果情報を受け取った場合、ユーザーに対して警告を行い印刷の許諾を得る。一般的に、非純正品であるインクを使用して印刷した場合、印刷された画像の印刷品質は低下することが知られている。従って、印刷許諾部60は、ユーザーに対して印刷品質の低下を警告し、ユーザーに対して印刷品質の低下を承知で印刷することの許諾を求める。本実施形態では、印刷許諾部60は図3に示すような警告ダイアログをディスプレー20に表示して、ユーザーの許諾を得る。この場合、「はい」が選択された場合は「印刷を許諾」とし、「いいえ」が選択された場合は「印刷を非許諾」として、許諾結果情報を生成する。生成した許諾結果情報は、画像処理部56と印刷処理部62に送られる。また、「いいえ」が選択された場合は、純正なインクに交換するモードに遷移するように設定されている。
画像処理部56と印刷処理部62は、プリンタードライバーにおけるグラフィックス機能を有し、画像データを記憶領域に展開し画像処理を施して描画を行い、プリンター10の制御用コマンドなどを描画データに付与して印刷ジョブを生成する。
【0027】
画像処理部56は、画像データに対して、圧縮されているデジタル画像の伸張処理、イメージ合成処理、回転処理、拡大/縮小処理、カラーマッチング処理、ハーフトーン処理、マイクロウィーブ処理などを施す。この画像処理部56により画像処理が施された描画データは、純正インク判定部54から送られる判定結果情報や許諾結果情報に応じて、データ記憶部58や印刷処理部62に送られる。
例えば、判定結果情報が純正品であることを示す場合や、判定結果情報が非純正品であって、許諾結果情報が許諾を示し、更に、データ記憶部58に描画データが記憶されていない場合は、画像処理部56で処理された描画データは、印刷処理部62に送られて印刷される。また、判定結果情報が非純正品であって、許諾結果情報が非許諾を示す場合や、データ記憶部58に描画データが記憶されている場合は、画像処理部56で処理された描画データは、データ記憶部58に送られる。
【0028】
データ記憶部58は、画像処理部56から送られる描画データを記憶する。データ記憶部58に記憶された描画データは、印刷処理部62から読み込まれる。印刷処理部62から読み込まれた描画データは、印刷処理が完了した場合、消去されるように設定されている。
印刷処理部62は、印刷許諾部60から送られる許諾結果情報に応じて、描画データを画像処理部56から受けたり、データ記憶部58から読み込んだりする。例えば、許諾結果情報が許諾を示す場合であって、データ記憶部58に描画データが記憶されている場合は、データ記憶部58に記憶されている描画データの中から先に記憶された描画データから順次読み込む。また、データ記憶部58に描画データが記憶されていない場合は、画像処理部56から送られる描画データを受け取る。そして、これらの描画データにプリンター10を制御する指示を加えて、印刷ジョブを生成する。生成された印刷ジョブは印刷ユニット30に送られ、印刷ジョブに基づいて画像が印刷される。
【0029】
図4は、プリンター10の印刷処理の流れを説明するフローチャートである。最初に、CPU14は、印刷画像を選択する画面をディスプレー20に表示し、印刷する画像がユーザーにより選択される(ステップS100)<画像選択工程>。次に、CPU14は、選択された画像データに対して画像処理を行うことにより描画データを生成する(ステップS105)<画像処理工程>。
【0030】
次に、CPU14は、画像処理の完了を待つことなく、純正インク判定を行う(ステップS110)<インク判定工程>。判定の結果、純正インク使用と判定された場合(ステップS115でYes)、画像処理した描画データを印刷処理部62に送ることにより印刷を行い(ステップS170)、一連の処理を終了する。
また、判定の結果、非純正インク使用と判定された場合(ステップS115でNo)、CPU14は、ユーザーに対して非純正インク使用の警告を表示し、許諾を求める(ステップS120)<印刷決定工程>。ここで、ユーザーが印刷を許諾しない場合(ステップS125でNo)、CPU14は、描画データを記憶して(ステップS160)<記憶工程>、一連の処理を終了する。
他方で、ユーザーが印刷を許諾した場合(ステップS125でYes)、CPU14は、描画データがデータ記憶部58に記憶されているか、否かを判定する(ステップS130)。
【0031】
ここで、描画データがデータ記憶部58に記憶されていないと判定した場合(ステップS130でNo)、CPU14は、画像処理した描画データを印刷処理部62に送ることにより印刷を行い(ステップS170)、一連の処理を終了する。
他方で、描画データがデータ記憶部58に記憶されていると判定した場合(ステップS130でYes)、CPU14は、描画データをデータ記憶部58に記憶する(ステップS135)。次に、CPU14は、データ記憶部58に記憶されている描画データを記憶した順に読み込み、読み込んだ描画データを印刷処理部62に送ることにより印刷を行う(ステップS140)<印刷処理工程>。
続いて、CPU14は、印刷した描画データをデータ記憶部58から消去し(ステップS145)、データ記憶部58に記憶されている描画データは全て印刷されたか、否かを判定する(ステップS150)。ここで、印刷されていない描画データが記憶されている場合(ステップS150でNo)、ステップS140に戻る。他方で、全ての描画データが印刷された場合(ステップS150でYes)、一連の処理を終了する。
【0032】
以上述べた実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
(1)プリンター10に非純正インクが装着されている場合、ユーザーに警告すると共に、印刷ジョブを生成する際に多くの所要時間を必要とする画像処理を予め行うことで描画データを生成し、ユーザーが非純正インクの警告に対して印刷を諦めた場合は、描画データを保存しておき、ユーザーが非純正インクの警告に対して印刷を行う場合は、保存された描画データを印刷する。これにより、再度画像処理を行う場合に比べて、ユーザーが印刷を決定してから印刷されるまでに所要する時間を短縮でき、ユーザーに与える印刷待ちのストレスを軽減できる。
【0033】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明したが、具体的な構成は、この実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、以上のような手法を実施する装置は、単独の装置によって実現される場合もあれば、複数の装置を組み合わせることによって実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。
【符号の説明】
【0034】
10…プリンター、12…RMC、14…CPU、16…RAM、18…表示制御部、20…ディスプレー、22…外部I/F、24…ROM、26…フラッシュメモリー、28…印刷制御部、30…印刷ユニット、32…操作部、34…画像処理回路、36…バス、40…リムーバブルメモリー、42…PC、44…デジタルカメラ、46…カートリッジメモリーI/F、48…インクカートリッジ、52…印刷画像選択部、54…純正インク判定部、56…画像処理部、58…データ記憶部、60…印刷許諾部、62…印刷処理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェット方式の印刷装置であって、
印刷すべき画像が選択される画像選択部と、
選択された前記画像のデータを画像処理することで描画データを生成する画像処理部と、
所定の基準に基づいてインクの正当性を判定するインク判定部と、
前記インク判定部が前記インクの非正当性を判定した場合、前記画像の印刷を実行するか、否かが決定される印刷決定部と、
前記印刷決定部で印刷の非実行が決定された場合、前記画像処理部が生成した前記描画データを記憶する記憶部と、
前記印刷決定部で印刷の実行が決定された場合、前記記憶部に記憶された前記描画データ、または前記画像処理部が生成した前記描画データから印刷ジョブデータを生成して印刷する印刷処理部と、を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置において、
前記印刷処理部は、前記印刷決定部で印刷の実行が決定された場合、最初に、前記記憶部に記憶された前記描画データの中から所定の順序で前記印刷ジョブデータを生成して印刷し、次に、前記画像処理部が生成した前記描画データから前記印刷ジョブデータを生成して印刷することを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項1乃至2のいずれかに記載の印刷装置において、
前記印刷処理部は、前記記憶部に記憶された前記描画データにおいて印刷が完了した前記描画データを前記記憶部から消去させることを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の印刷装置において、
前記印刷処理部は、前記インク判定部が前記インクの正当性を判定した場合、前記画像処理部が生成した前記描画データから印刷ジョブデータを生成して印刷することを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の印刷装置において、
前記印刷決定部は、非正当性と判定した前記インクで印刷することにより、印刷品質の低下を警告し、印刷を実行する許諾をユーザーに要求することを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
インクジェット方式による印刷方法であって、
印刷すべき画像が選択される画像選択工程と、
選択された前記画像のデータを画像処理することで描画データを生成する画像処理工程と、
所定の基準に基づいてインクの正当性を判定するインク判定工程と、
前記インク判定工程で前記インクの非正当性が判定された場合、前記画像の印刷を実行するか、否かが決定される印刷決定工程と、
前記印刷決定工程で印刷の非実行が決定された場合、前記画像処理工程で生成された前記描画データを記憶する記憶工程と、
前記印刷決定工程で印刷の実行が決定された場合、前記記憶工程で記憶された前記描画データ、または前記画像処理工程で生成された前記描画データから印刷ジョブデータを生成して印刷する印刷処理工程と、を有することを特徴とする印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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