説明

印刷装置におけるマーキング材料の定着強度を制御する装置および方法

【課題】印刷装置における定着強度を制御する装置および方法の提供。
【解決手段】装置100は、媒体シート112の少なくとも第1の面上にマーキング材料114を有する媒体シート112を搬送するように構成され、媒体シート112の第1の面に摩擦材料121をこすりつけるように構成された媒体シート摩擦モジュール120により、媒体シート112の第1の面から摩擦材料121上にこすりつけられた摩擦材料121上のマーキング材料114をセンサ130により検知する。装置は100、摩擦材料121上の検知されたマーキング材料114に基づいて、媒体シート112上のマーキング材料114の定着強度を判断し、装置100および方法が印刷装置における定着強度を制御するように構成されたコントローラ140を含む。この定着強度はマーキング材料114が媒体シート112にどれくらいうまく貼り付いているかを示している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は印刷装置における定着強度を制御する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、プリンタ、多機能媒体装置、静電写真機械、インク・ジェット・プリンタ、フレキソ印刷機、石版印刷機、および他の装置などの画像出力装置が、紙、基板、トランスペアレンシー、プラスチック、ラベル、または他の媒体シートなどの媒体シート上に画像を作り出す。画像を作り出すために、トナー、インクジェット用インク、または他のマーキング材料などのマーキング材料を媒体シートに塗布して、媒体シート上にマーキング材料潜像を生成する。その後、定着器アセンブリが、媒体シートに熱および/または圧力を加えることにより、媒体シートにマーキング材料潜像を貼り付けたり、または定着させたりする。
【0003】
定着器アセンブリは、定着器ニップで互いに連結される定着ロールまたはベルトのような回転部材を用いて圧力をかける。媒体シートにマーキング材料を貼り付けるために媒体シートを定着器ニップの中を通って供給するとき、マーキング材料潜像を有する媒体シートに圧力をかける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
残念ながら、多くの電子写真システムでは、マーキング材料が媒体シートに適切に定着されていない場合、故障モードが起こる。これらの故障は、製造されるマーキング材料のバッチ間変動、製造される媒体の変動、および他の要因に関連している。1つの対策は、悪い入力に対処するために定着器設定点を選択することである。他の対策は、改善された定着器設定点、例えば、重い媒体に対する高い定着温度などを、制御システムが選択できるようにすることを、媒体種類に関する操作者入力によって可能にすることである。しかしながら、これらの対策は効率が悪く、適切な定着強度性能を現場で一貫して維持することがない。
【0005】
したがって、印刷装置における定着強度を制御する装置および方法に対する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
印刷装置における定着強度を制御する装置および方法を開示する。装置は、媒体シートの少なくとも第1の面上にマーキング材料を有する媒体シートを搬送するように構成された媒体搬送を含むことができる。装置は、媒体シートの第1の面に摩擦材料をこすりつけるように構成された媒体シート摩擦モジュールを含むことができる。装置は、媒体シートの第1の面から摩擦材料上にこすりつけられた摩擦材料上のマーキング材料を検知するように構成されたセンサを含むことができる。装置は、摩擦材料上の検知されたマーキング材料に基づいて、媒体シート上のマーキング材料の定着強度を判断するように構成されたコントローラを含むことができ、この定着強度はマーキング材料が媒体シートにどれくらいうまく貼り付いているかを示している。コントローラは、作動装置に関する設定点を更新するための定着器アセンブリの閉ループ制御を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】装置の一実施例を示す図である。
【図2】装置の一実施例を示す図である。
【図3】印刷装置の一実施例を示す図である。
【図4】印刷装置における定着強度を制御する方法の一実施例のフローチャートを示す図である。
【図5】線形摩擦対定着器ニップ温度を示す一実施例のグラフである。
【図6】印刷物に対する線形摩擦対圧力を示す一実施例のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施形態は、印刷装置における定着強度を制御する装置を含んでいる。装置は、媒体シートの少なくとも第1の面上にマーキング材料を有する媒体シートを搬送するように構成された媒体搬送を含むことができる。装置は、媒体シートの第1の面に摩擦材料をこすりつけるように構成された媒体シート摩擦モジュールを含むことができる。装置は、媒体シートの第1の面から摩擦材料上にこすりつけられた摩擦材料上のマーキング材料を検知するように構成されたセンサを含むことができる。装置は、摩擦材料上の検知されたマーキング材料に基づいて、媒体シート上のマーキング材料の定着強度を判断するように構成されたコントローラを含むことができ、この定着強度はマーキング材料が媒体シートにどれくらいうまく貼り付いているかを示している。コントローラは、作動装置に関する設定点を更新するための定着器アセンブリの閉ループ制御を含むことができる。
【0009】
実施形態は、装置における定着強度を制御する方法をさらに含んでいる。装置は、媒体搬送、媒体シート摩擦モジュール、およびセンサを有することができる。方法は、媒体搬送上の媒体シートを搬送することを含むことができ、この媒体シートは媒体シートの少なくとも第1の面上にマーキング材料を有している。方法は、媒体シート摩擦モジュールを用いて媒体シートの第1の面に摩擦材料をこすりつけることを含むことができる。方法は、媒体シートの第1の面から摩擦材料上にこすりつけられた摩擦材料上のマーキング材料を、センサを用いて検知することを含むことができる。方法は、摩擦材料上の検知されたマーキング材料に基づいて、媒体シート上のマーキング材料の定着強度を判断することを含むことができ、この定着強度はマーキング材料が媒体シートにどれくらいうまく貼り付いているかを示している。方法は、作動装置に関する設定点を更新するための定着器アセンブリの閉ループ制御を含むことができる。
【0010】
実施形態は、定着強度を制御する印刷装置をさらに含んでいる。印刷装置は、媒体シートを搬送するように構成された媒体搬送を含むことができる。印刷装置は、媒体シートの少なくとも第1の面上にマーキング材料を載置することにより画像を生成するように構成された、マーキングモジュールのような画像生成モジュールを含むことができる。印刷装置は、マーキング材料の少なくとも一部分を媒体シートの第1の面に貼り付けるように構成された、定着モジュールのような画像貼り付けモジュールを含むことができる。印刷装置は、マーキング材料を含む媒体シートの第1の面に摩擦材料をこすりつけるように構成された媒体シート摩擦モジュールを含むことができる。印刷装置は、媒体シートの第1の面から摩擦材料上にこすりつけられた摩擦材料上のマーキング材料を検知するように構成されたセンサを含むことができる。印刷装置は、摩擦材料上の検知されたマーキング材料に基づいて、媒体シート上のマーキング材料の定着強度を判断するように構成されたコントローラを含むことができ、この定着強度はマーキング材料が媒体シートにどれくらいうまく貼り付いているかを示している。コントローラは、作動装置に関する設定点を更新するための定着器アセンブリの閉ループ制御を含むことができる。
【0011】
図1および図2は、静電グラフィック印刷装置、静電写真印刷装置、フレキソ印刷装置、石版印刷装置、または媒体上に画像を生成する他の任意の装置のような装置100の説明図の例である、また、装置100は、プリンタ、多機能媒体装置、静電写真機械、レーザプリンタ、または媒体上に画像を生成する他の任意の装置の一部分であってもよい。
【0012】
装置100は、媒体シート112の少なくとも第1の面上にマーキング材料114を有する媒体シート112を搬送するように構成された媒体搬送110を含むことができる。マーキング材料114は、トナー、インクジェット用インク、平版インキ、フレキソ印刷インキ、または他の任意のマーキング材料である可能性がある。
【0013】
装置100は、媒体シート112の第1の面に摩擦材料121をこすりつけるように構成された媒体シート摩擦モジュール120を含むことができる。摩擦材料121は、布、紙、または定着されていないマーキング材料を媒体シートからこすり落とすことができる他の任意の材料であることができる。媒体シート摩擦モジュール120は、摩擦材料121に関して媒体シート112の反対側に組み合わされた裏当て装置122を含むことができる。裏当て装置122は、摩擦材料121を媒体シートと選択的に係合させることができ、摩擦材料121を媒体シートから選択的に解放することができる。例えば、媒体シート摩擦モジュール120は、摩擦材料121と媒体シートとを係合させ(図1)、解放する(図2)作動装置126を含むことができる。媒体シート摩擦モジュール120は、裏当て装置112が媒体シート112に圧力を加えるときに媒体シート112に対する支持を提供する裏当て構造123を含むことができる。媒体シート摩擦モジュール120は、摩擦材料121を供給して、それを受け取ることができるローラ124および125を含むことができる。
【0014】
装置100は、媒体シート112の第1の面から摩擦材料121上にこすりつけられた摩擦材料121上のマーキング材料を検知するように構成されたセンサ130を含むことができる。センサ130は、濃度計、全幅配列センサ、分光光度計、画像読み取りバー、またはマーキング材料を検知できる他の任意のセンサである可能性がある。例えば、実験においてセンサとして使用される濃度計は、完全な白に対して255のレベルを出力でき、黒い、または灰色の測定値に対して低いレベルを出力できる。実験におけるきれいな布の測定値は、通常、245であった。基板からこすり落とされたマーキング材料のせいで、こすられた布が黒くなっている可能性があるため、こすられた布の測定値は、きれいな布の測定値よりも低い可能性がある。線形摩擦レベルを取得するために、きれいな布の測定値から、こすられた布の測定値を差し引くことができる。
【0015】
装置100は、摩擦材料121上の検知されたマーキング材料に基づいて、媒体シート112上のマーキング材料114の定着強度を判断できるコントローラ140を含むことができ、この定着強度はマーキング材料114が媒体シート112にどれくらいうまく貼り付いているかを示すことができる。例えば、コントローラ140は、摩擦材料121上の検知されたマーキング材料に対応する値と、マーキング材料のない摩擦材料121に対応する値との間の差に基づいて、媒体シート112上のマーキング材料114の定着強度を判断できる。コントローラ140は、摩擦材料121上の検知されたマーキング材料に対応する値と、マーキング材料のない摩擦材料121に対応する値との間の差を決定することにより、および差と閾値とを比較することにより、媒体シート112上のマーキング材料114の定着強度を判断できる。
【0016】
センサ130は、マーキング材料のない摩擦材料121の特徴を検知できる。コントローラ140は、摩擦材料121上の検知されたマーキング材料に対応する値と、マーキング材料のない摩擦材料121の検知された特徴に対応する値との間の差に基づいて、媒体シート112上のマーキング材料114の定着強度を判断できる。例えば、センサ130は、マーキング材料のない摩擦材料121のこすられていない白さのレベルを検知でき、こすられていない白さの値を出力できる。その後、センサ130は、媒体シート112の第1の面からこすりつけられた摩擦材料121上のマーキング材料に基づいて、こすられた白さのレベルを検知でき、こすられた白さの値を出力できる。コントローラ140は、こすられていない白さの値と、こすられた白さの値との間の差に基づいて、媒体シート112上のマーキング材料114の定着強度を判断できる。
【0017】
コントローラ140は、媒体シート112上のマーキング材料114の定着強度に基づいて、印刷装置内の少なくとも1つの作動装置の少なくとも1つの更新された設定点を決定できる。作動装置の実施例は、定着ロール温度、圧力ロール温度、定着器ニップ圧力、ニップ滞留時間(プロセス速度)、および/または他の作動装置を含むことができる。定着器ニップの前に対流予熱などの予熱があるシステムに対する他の実施例では、追加の作動装置は、空気温度、流速、衝突噴流の高さ、および/または他の作動装置である可能性がある。コントローラ140は、少なくとも1つの更新された設定点に基づいて、少なくとも1つの作動装置設定点を調節できる。他の方法として、コントローラ140は、マーキング材料の定着強度および/または更新された設定点を出力できる。例えば、プロセスはオフラインで印刷装置から実行でき、値は、着脱式メモリ上で、もしくはネットワークを介して、ユーザに出力でき、または他の方法で、印刷装置の作動装置設定点もしくは他の要素を調節するための情報を提供するために出力できる。また、マーキング材料114が媒体シート112に十分に貼り付いていない場合には、コントローラ140は警報信号を出力できる。
【0018】
例えば、装置100は、インライン定着強度サブシステムである可能性がある。定着された印刷物は、標準的な布材料などの摩擦材料121で覆うことができる裏当て装置122のような針状構造の下を通ることができる。媒体シート112上の定着された画像に針状構造122と布121とが標準的圧力を加えるように、針状構造122を係合できる。一実施形態では、針状構造122はプロセス方向に静止している可能性があり、定着された印刷物は針状構造122と布121との下を移動できる。画像が十分に定着していない場合、トナーまたはインクは布121上に蓄積できる。標準的な長さだけ印刷物をこすった後に、接触していない状態まで針状構造122を引っ込めることができる。印刷物に接触していた布121のウェブ部分を、センサ130の読み取り位置まで前進させることができる。センサ130は、こすられた布121のグレーレベルを読み取ることができ、コントローラ140に測定値を伝達できる。布のグレーレベルと、きれいな布のグレーレベルの間の差は、印刷物からこすり落とされたトナーまたはインクの量の関数である。
【0019】
一実施形態例によれば、針状構造圧力は、0.27平方インチの面積を有することができる針状構造122に加えられる500グラム重により定義できる。50%のハーフトーン画像の4直線インチを、針状構造122と布121とにより、こすることができる。コントローラ140は、センサ130からグレーレベル測定値を受信することができ、この値と許容レベルとを比較することができ、グレーレベル測定値が許容できない場合、作動装置のうちの1つ以上に関する更新された設定点を決定するためにアルゴリズムを実行できる。更新された設定点は、装置制御と組み合わせてコントローラ140により実行できる。作動装置の実施例は、定着ロール温度、圧力ロール温度、定着器ニップ圧力、およびプロセス速度に基づく可能性があるニップ滞留時間を含むことができる。定着器ニップの前に対流予熱などの予熱があるシステムでは、追加の作動装置は、空気温度、流速、衝突噴流の高さを含むことができる。
【0020】
図3は印刷装置300の説明図の実施例である。印刷装置300は、印刷装置300の中を通って媒体シートを供給できる入力トレイ310を含むことができる。印刷装置300は、媒体シート上にマーキング材料の跡を付けることができるマーキングモジュール320を含むことができる。印刷装置300は、媒体シート上にマーキング材料を貼り付けることができる定着モジュール330を含むことができる。印刷装置300は、定着強度サブシステム340を含むことができる。定着強度サブシステム340は、装置100の要素を含むことができる。印刷装置300は、定着強度コントローラ370を含むことができる印刷装置コントローラ360を含むことができる。定着強度コントローラ370はコントローラ140を含むことができ、実施形態で開示するプロセス操作を実行できる。印刷装置300は、印刷装置300の中を通って供給される媒体シートを受け取ることができる出力トレイ350を含むことができる。
【0021】
例えば、多機能装置などの印刷装置300は、定着器330の後で出力トレイ350の前に媒体経路にインラインに組み込む定着強度サブシステム340として装置100を組み込むことができる。定着強度サブシステム340からのデータは、定着強度コントローラ370により処理できる。定着強度コントローラ370は、媒体シート上の試験画像が適切な定着強度を示しているかどうかを判断できる。定着強度が不足している場合には、定着強度コントローラ370は、印刷装置作動装置に対する新しい設定点を決定できる。印刷装置コントローラ360に関連して、定着強度コントローラ370に呼応して、印刷装置300内の定着器設定点または他の設定点を変更できる。
【0022】
図4は、印刷装置における定着強度を制御する方法の一実施例のフローチャート400を示している。印刷装置は、媒体シートを搬送するように構成された媒体搬送を有することができる。印刷装置は、摩擦材料を含む媒体シート摩擦モジュールを有することができる。印刷装置はセンサを有することができる。また、印刷装置は、摩擦材料に関して媒体シートの反対側に組み合わされた裏当て装置を有することができる。
【0023】
方法は410で開始できる。420で、媒体搬送上で媒体シートを搬送できる。媒体シートは媒体シートの少なくとも第1の面上にマーキング材料を有することができる。430で、センサはマーキング材料のない摩擦材料の特徴を検知できる。例えば、センサは、媒体シートが摩擦材料に接触する前のマーキング材料のない摩擦材料のこすられていない白さのレベルを検知でき、こすられていない白さの値を出力できる。
【0024】
440で、摩擦材料を媒体シートと係合できる。裏当て装置を用いて摩擦材料を媒体シートと選択的に係合でき、摩擦材料を媒体シートから選択的に解放できる。450で、媒体シート摩擦モジュールは、媒体シートの第1の面に摩擦材料をこすりつけることができる。460で、センサは摩擦材料上のマーキング材料を検知でき、このマーキング材料は媒体シートの第1の面から摩擦材料上にこすりつけられたものである。例えば、センサは、媒体シートの第1の面からこすりつけられた摩擦材料上のマーキング材料に基づいて、こすられた白さのレベルを検知でき、こすられた白さの値を出力できる。
【0025】
470で、摩擦材料上の検知されたマーキング材料に基づいて、媒体シート上のマーキング材料の定着強度を判断できる。定着強度はマーキング材料が媒体シートにどれくらいうまく貼り付いているかを示すことができる。摩擦材料上の検知されたマーキング材料に対応する値と、マーキング材料のない摩擦材料に対応する値との間の差に基づいて、媒体シート上のマーキング材料の定着強度を判断できる。摩擦材料上の検知されたマーキング材料に対応する値と、マーキング材料のない摩擦材料に対応する値との間の差を決定することにより、および差と閾値とを比較することにより、媒体シート上のマーキング材料の定着強度を判断できる。また、摩擦材料上の検知されたマーキング材料に対応する値と、マーキング材料のない摩擦材料の検知された特徴に対応する値との間の差に基づいて、媒体シート上のマーキング材料の定着強度を判断できる。また、こすられていない白さの値と、こすられた白さの値との間の差に基づいて、媒体シート上のマーキング材料の定着強度を判断できる。媒体シート上のマーキング材料の定着強度に基づいて、印刷装置内の少なくとも1つの作動装置の少なくとも1つの更新された設定点を決定できる。少なくとも1つの更新された設定点に基づいて、少なくとも1つの作動装置設定点を調節できる。
【0026】
いくつかの実施形態によれば、フローチャート400のブロックのすべてが必要というわけではない。さらに、フローチャート400またはフローチャート400のブロックは、例えば、繰り返して何度も実行してもよい。例えば、フローチャート400は後のブロックから前のブロックに一巡して元に戻ってもよい。さらに、ブロックの多くは、同時に、または並行プロセスで実行できる。
【0027】
図5は、市販の事務用プリンタに対する線形摩擦対定着器ニップ温度を示す一実施例のグラフ500である。数値は低いほどよい。例えば、摩擦データは白い布のグレーレベルから、こすられた布のグレーレベルを差し引いた値として表すことができ、したがって、低い摩擦値は、白い布の外観を呈しており、布上のトナーまたはインクが少ないと解釈でき、媒体シート上の画像が、よりよく定着されていることに対応している。例として、許容できる性能は、40ユニット以下の線形摩擦レベルとして選択できる。このデータは、実施形態に記載の装置およびプロセスにより測定される定着強度を向上させる作動装置として温度を使用できることを示している。
【0028】
図6は、ワックス0%〜13.5%のFXC−42と、28%のFXC−42シェルとを含む青緑色ポリエステルトナーからの印刷物に対する線形摩擦対圧力を示す一実施例のグラフ600である。数値は低いほどよい可能性があり、許容できる性能は、例えば、40ユニット以下の線形摩擦レベルとして選択できる。このデータは、実施形態に記載の装置およびプロセスにより測定される定着強度を向上させる作動装置として圧力を使用できることを示している。
【0029】
実施形態は定着強度を制御するための装置およびプロセスを提供できる。装置は、プリンタ内のインライン、ニアライン、またはオフラインである可能性がある。試験印刷物上のターゲットハーフトーン領域を横切ってこすられた布基材上に残っているトナー量は、濃度計を用いて測定できる。よく定着されていないトナーは、布により印刷物から取り除くことができる。濃度計摩擦データは、定着強度コントローラへ供給して、最大許容レベルと比較できる。定着強度コントローラは、プリンタ制御と組み合わせて、適切な定着を実現するために定着器設定点を変更できる。定着強度コントローラの作動装置の実施例は、定着温度、圧力、および滞留時間に対するプロセス速度を含むことができる。
【0030】
実施形態はインライン定着強度サブシステムを提供できる。また、実施形態は、試験画像の自動供給または手動供給を備えた、および定着強度コントローラにデータを供給するための自動操作または手動操作を備えたニアラインである可能性がある定着強度サブシステムを提供できる。また、実施形態は、試験画像の自動供給または手動供給を備えた、および定着強度コントローラにデータを供給するための自動操作または手動操作を備えたオフラインである可能性がある定着強度サブシステムを提供できる。実施形態は異なるセンサに対応でき、カラートナーまたはインクの測定ができる。24ビットカラーを読み取るセンサでは、緑色チャネルは黒色トナーまたはインク画像に使用できる。赤色チャネルは青緑色トナーまたはインク画像に使用できる。緑色チャネルは赤紫色トナーまたはインクに使用できる。青色チャネルは黄色トナーまたはインクに使用できる。実施形態はカットシートまたはウェブ給紙システムで使用できる。
【0031】
例えば、線形摩擦試験を用いてトナー粒子の凝集力のレベルを測定できる。この試験では、印刷物を作り出すために基板にトナーを定着させた後に、選択された布材料で覆われた針状構造を印刷物上にこすりつけることができる。針状構造の圧力は、既知の針状構造の重量と、その上に重量が加わる既知の針状構造の面積との比率で与えることができる。針状構造は印刷物上を既知の距離移動できる。この試験では、トナー像が基板上に完全には固定または定着されていない印刷物では、トナーが布上に蓄積する可能性がある。印刷物をこすった後に、スキャナなどのセンサを用いて布を走査でき、こすられた布の平均グレーレベルと、きれいな布のグレーレベルの間の差を、線形摩擦数として報告できる。線形摩擦数は低いほど、トナーが基板によりよく固定または定着されていることを示すことができる。線形摩擦試験の実施形態例では、針状構造の重量は500グラムである可能性があり、針状構造の面積は0.27inである可能性があり、針状構造は印刷物の画像が描写された表面上を4インチ移動できる。線形摩擦試験のこの実施形態では、印刷物が、最大の線形摩擦数である約60未満の、例えば、50未満、40未満、30未満、または20未満のような線形摩擦数を有していることが好ましい可能性がある。実施形態例では、約40未満の線形摩擦数は、トナーが基板に対して優れた定着強度で定着していることを示している。40〜60の線形摩擦レベルは、トナーが基板に対して優れた定着強度から十分な定着強度で定着していることを示すことができ、高い線形摩擦レベル数は定着不足であることを示すことができる。異なる実施態様は異なるセンサを使用でき、ならびに/または異なる実施態様は異なるきれいな布の測定値、異なるこすられた布の測定値、および/もしくは異なる好ましい線形摩擦レベルをもたらす可能性がある。
【0032】
実施形態は所定の許容できる定着の窓を可能にできる。作動装置および定着値は、閾値レベルに対する適切な安全係数を含むことができる。値は、媒体、トナーのバッチ、湿度、ロール年齢、および他の要因に関連している可能性がある。実施形態は、依然として最大または最小レベルを有する状態で、要素に関して大きな許容範囲を可能にできる。例えば、定着温度は低い可能性があるが、それでもなお摩擦プロセスにより十分な定着を示す可能性がある。したがって、実施形態は、依然として十分な定着を実現しているとき、低い温度レベルを可能にできる。
【0033】
上述の説明は静電写真印刷で使用する定着器に関するものであるが、本明細書の教示およびクレームが媒体上のマーキング材料の任意の処理に適用できることが分かるであろう。例えば、マーキング材料は、トナー、液体もしくはゲルインク、平版インキ、フレキソ印刷インキ、および/もしくは熱硬化性または放射線硬化性インクを含んでいてもよく、ならびに/または印刷がうまくいくように、媒体それ自体が、温度などの特定の要件を有していてもよい。所与の実施形態における媒体上のインクの処理に必要な熱、圧力、および他の条件は、静電写真定着に適した条件とは異なっていてもよい。本明細書で使用するように、任意のこのようなマーキング材料、媒体貼り付け処理は、それの正確な特徴にかかわらず「定着」と見なすべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体シートの少なくとも第1の面上にマーキング材料を有する前記媒体シートを搬送するように構成された媒体搬送と、
前記媒体シートの前記第1の面に摩擦材料をこすりつけるように構成された媒体シート摩擦モジュールと、
前記媒体シートの前記第1の面から前記摩擦材料にこすりつけられた前記摩擦材料上のマーキング材料を検知するように構成されたセンサと、
前記摩擦材料上の前記検知されたマーキング材料に基づいて、前記媒体シート上のマーキング材料の定着強度を判断するように構成されたコントローラであって、前記定着強度は前記マーキング材料が前記媒体シートにどれくらいうまく貼り付いているかを示す、コントローラと、を含む、装置。
【請求項2】
前記コントローラが、前記摩擦材料上の前記検知されたマーキング材料に対応する値と、マーキング材料のない前記摩擦材料に対応する値との間の差に基づいて、前記媒体シート上のマーキング材料の定着強度を判断するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記コントローラが、前記摩擦材料上の前記検知されたマーキング材料に対応する値と、マーキング材料のない前記摩擦材料に対応する値との間の差を決定することにより、および前記差と閾値とを比較することにより、前記媒体シート上のマーキング材料の定着強度を判断するように構成されている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記センサが、マーキング材料のない摩擦材料の特徴を検知するように構成されており、
前記コントローラが、前記摩擦材料上の前記検知されたマーキング材料に対応する値と、マーキング材料のない摩擦材料の前記検知された特徴に対応する値との間の差に基づいて、前記媒体シート上のマーキング材料の定着強度を判断するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記センサが、マーキング材料のない摩擦材料のこすられていない白さのレベルを検知して、こすられていない白さの値を出力するように構成され、
前記センサは、前記媒体シートの前記第1の面からこすりつけられた前記摩擦材料上のマーキング材料に基づいて、こすられた白さのレベルを検知して、こすられた白さの値を出力するように構成され、
前記コントローラが、こすられていない白さの前記値と、こすられた白さの前記値との間の差に基づいて、前記媒体シート上のマーキング材料の定着強度を判断するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
媒体搬送と、媒体シート摩擦モジュールと、センサとを有する装置における方法であって、
前記媒体搬送上の媒体シートを搬送するステップであって、前記媒体シートは前記媒体シートの少なくとも第1の面上にマーキング材料を有する搬送するステップと、
前記媒体シート摩擦モジュールを用いて前記媒体シートの前記第1の面に摩擦材料をこすりつけるステップと、
前記媒体シートの前記第1の面から前記摩擦材料上にこすりつけられた前記摩擦材料上のマーキング材料を、前記センサを用いて検知するステップと、
前記摩擦材料上の前記検知されたマーキング材料に基づいて、前記媒体シート上のマーキング材料の定着強度を判断するステップであって、前記定着強度は前記マーキング材料が前記媒体シートにどれくらいうまく貼り付いているかを示す、判断するステップと、を含む、方法。
【請求項7】
判断するステップが、前記摩擦材料上の前記検知されたマーキング材料に対応する値と、マーキング材料のない前記摩擦材料に対応する値との間の差に基づいて、前記媒体シート上のマーキング材料の定着強度を判断するステップを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
判断するステップが、前記摩擦材料上の前記検知されたマーキング材料に対応する値と、マーキング材料のない前記摩擦材料に対応する値との間の差を決定するステップにより、および前記差と閾値とを比較するステップにより、前記媒体シート上のマーキング材料の定着強度を判断するステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
マーキング材料のない摩擦材料の特徴を、前記センサを用いて検知するステップをさらに含み、
判断するステップが、前記摩擦材料上の前記検知されたマーキング材料に対応する値と、マーキング材料のない摩擦材料の前記検知された特徴に対応する値との間の差に基づいて、前記媒体シート上のマーキング材料の定着強度を判断するステップを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
検知するステップが、マーキング材料のない摩擦材料のこすられていない白さのレベルを検知するステップと、こすられていない白さの値を出力するステップとを含み、前記検知するステップは、前記媒体シートの前記第1の面からこすりつけられた前記摩擦材料上のマーキング材料に基づいて、こすられた白さのレベルを検知するステップと、こすられた白さの値を出力するステップとを含み、
判断するステップが、こすられていない白さの前記値と、こすられた白さの前記値との間の差に基づいて、前記媒体シート上のマーキング材料の定着強度を判断するステップとを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記媒体シート摩擦モジュールが、前記摩擦材料に関して前記媒体シートの反対側に組み合わされた裏当て装置を含み、
前記方法は、前記裏当て装置を用いて前記摩擦材料を媒体シートと選択的に係合させるステップと、前記摩擦材料を媒体シートから選択的に解放するステップと、をさらに含む、請求項6に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−215845(P2012−215845A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−47951(P2012−47951)
【出願日】平成24年3月5日(2012.3.5)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】