印刷装置及びその制御方法
【課題】 印刷ジョブが保存されてから所定時間が経過した場合にその印刷ジョブを削除すると、プリントしたいユーザにとって利便性が損なわれる。また所定時間を長く設定すれば利便性は向上するものの、印刷装置に保存されている印刷ジョブのドキュメントに対する機密性が損なわれる。
【解決手段】 ホストコンピュータから受信した再印刷対象の印刷データを記憶する記憶手段に記憶された再印刷対象の印刷データにセキュアプリント用のパスワードが付加されているか否かを判定し、セキュアプリント用のパスワードが付加されていると判定された印刷データと、セキュアプリント用のパスワードが付加されていないと判定された印刷データとに対する、削除までの所定時間を互いに異なる時間に設定する(S1204,S1205)。
【解決手段】 ホストコンピュータから受信した再印刷対象の印刷データを記憶する記憶手段に記憶された再印刷対象の印刷データにセキュアプリント用のパスワードが付加されているか否かを判定し、セキュアプリント用のパスワードが付加されていると判定された印刷データと、セキュアプリント用のパスワードが付加されていないと判定された印刷データとに対する、削除までの所定時間を互いに異なる時間に設定する(S1204,S1205)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一度印刷した印刷データを再印刷指示に従って再度印刷できる印刷装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ホストコンピュータ等のデータ処理装置から受信した印刷データを基に印刷を行った後、同じデータをもう一部印刷したいというユーザの要求がある。この要求に対して、ホストコンピュータから印刷データを再送することなく、印刷装置のパネル操作による再印刷(以降、リプリント)指示に従って、その印刷データを印刷するリプリント技術がある(例えば、特許文献1)。
【0003】
通常の印刷処理では、印刷装置は、ホストコンピュータから受信した印刷ジョブを印刷装置が有する二次記憶装置に保存し、印刷処理が終了した後、その二次記憶装置に保存した印刷ジョブを削除する。これに対してリプリント可能な印刷装置では、印刷処理が終了した後も、その二次記憶装置に保存した印刷ジョブを削除しないで残しておく。それによって、ユーザは、ホストコンピュータからの印刷データを再度受信することなく、印刷装置の操作パネルからのリプリント指示によって、一度印刷した画像を再度印刷することができる。
【0004】
一方で、上記従来のリプリント技術では、印刷装置の操作パネルを操作することで、不特定多数のユーザがリプリントを実行することができる。即ち、誰でも他人のドキュメントを、当人の断りなくリプリントすることが可能になり、機密性を大きく欠くことになる。この課題を解決する技術として特許文献2では、画像形成装置の記憶装置に保存されている印刷ジョブを所定の条件を満たした場合に削除することが提案されている。例えば、印刷ジョブが記憶装置に保存されてから所定の時間が経過した場合に、その印刷ジョブを削除する、等の提案がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−75748号公報
【特許文献2】特開2007−179140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2で提案されている技術のように、所定時間が経過すると印刷ジョブを削除する場合、その所定時間が短く設定されていると、プリントしたいユーザにとって利便性が損なわれる。一方、その所定時間を長く設定すれば利便性は向上するものの、印刷装置に保存されている印刷ジョブのドキュメントに対する機密性が損なわれてしまうという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決することにある。
【0008】
本発明の特徴は、リプリント機能におけるセキュリティのリスクを低減させつつ、リプリント機能を利用するユーザに対する利便性を損なわない印刷装置及びその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明の一態様に係る印刷装置は以下のような構成を備える。即ち、
印刷データに基づいて印刷処理を行う印刷装置であって、
ホストコンピュータから受信した再印刷対象の印刷データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記再印刷対象の印刷データにセキュアプリント用のパスワードが付加されているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により印刷データに前記セキュアプリント用のパスワードが付加されていると判定された場合、ユーザから当該パスワードが入力されたことに従って印刷手段に印刷処理を行わせる印刷制御手段と、
所定時間が経過した後、前記記憶手段に記憶された前記再印刷対象の印刷データを削除する削除手段と、
前記判定手段により前記セキュアプリント用のパスワードが付加されていると判定された印刷データと、前記判定手段により前記セキュアプリント用のパスワードが付加されていないと判定された印刷データとに対する前記所定時間を互いに異なる時間に設定するように制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、リプリント機能におけるセキュリティのリスクを低減させつつ、リプリント機能を利用するユーザに対する利便性を損なわないようにできるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置(印刷装置)を含む印刷システムの構成を示すブロック図。
【図2】実施形態に係る画像形成装置のコントローラの構成を説明するブロック図。
【図3】実施形態に係る画像形成装置がPCから受信した印刷ジョブの属性を判定して印刷モードを決定する処理を説明するフローチャート。
【図4】図3のS304の通常の印刷処理を説明するフローチャート。
【図5】図3のS305の通常の印刷ジョブでリプリントモードの場合の処理を説明するフローチャート。
【図6】図3のS307の、セキュアプリントモードでの印刷処理を説明するフローチャート。
【図7】図3のS308の、セキュアリプリントモードでの印刷処理を説明するフローチャート。
【図8】図5のS502のリプリントモード時のジョブスプール領域の確保処理を説明するフローチャート。
【図9】図7のS702のセキュアリプリント時におけるジョブスプール領域を確保する処理を説明するフローチャート。
【図10】本実施形態に係る保存ジョブ管理テーブルを説明する図。
【図11】ユーザがリプリントを実行する場合の操作パネルの表示例を説明する図。
【図12】本実施形態1に係る、リプリント用に保存されている印刷ジョブの削除処理を説明するフローチャート。
【図13】実施形態2に係るPCで動作するプリンタドライバの、リプリントパスワードの設定画面例を示す図。
【図14】実施形態2において、リプリントパスワードが設定可能なプリンタドライバから印刷ジョブが送信される場合に対応した、印刷ジョブの削除処理を示すフローチャート。
【図15】実施形態2に係る保存ジョブ管理テーブルの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置(印刷装置)100を含む印刷システムの構成を示すブロック図である。
【0014】
画像形成装置100は、コントローラ102、操作パネル103、プリンタエンジン104を有している。またパーソナルコンピュータ(PC)101は、画像形成装置100に印刷ジョブを送信するホストコンピュータとして機能しており、画像形成装置100に対して、印刷ジョブとして印刷データや当該印刷ジョブの属性情報等を送信する。
【0015】
図2は、実施形態に係る画像形成装置100のコントローラ102の構成を説明するブロック図である。
【0016】
コントローラ102は、CPU201,RAM202,ROM203、2次記憶装置として機能するハードディスクドライブ(HDD)204を含む。更に、PC101から送信される印刷データを画像形成装置100のHDD204等に保存する処理を制御する保存ジョブ制御部205を含む。保存ジョブ制御部205は、リプリント用にRAM202やHDD204に格納されている印刷ジョブの保存や削除等の処理を担う。これら処理は定期的に実行されるため、計時するRTC(Real Time Clock)か、それに相当する機能を保存ジョブ制御部205が含んでいる(図示せず)。更に、エンジンI/F206,メディアI/F207,USBI/F208、ネットワークI/F209を含む。以上の各部は、システムバス210を介してCPU201と接続されている。
【0017】
エンジンI/F206は、プリンタエンジン104とCPU201との間のインタフェース制御する。またシステムバス210は、操作パネル103とも接続する。印刷ジョブを画像形成装置100に送信するPC101は、USB、或いはローカルエリアネットワーク(LAN212)等のネットワーク網を介し、コントローラ102のUSBI/F208や、ネットワークI/F209に接続される。また、メディアI/F207には、USBメモリや各種メディアカード(例えば、SDカード)等の可搬メディア211が接続される。この可搬メディア211には、画像データや機器設定情報、アップデート用のプログラム等が格納されてもよい。
【0018】
CPU201は、ROM203に記憶されている各種制御プログラムに従って前記の各ブロックを総括的に制御する。この各種制御プログラムは、ROM203のプログラム領域に記憶された圧縮されたプログラムをRAM103へ伸張、展開して実行されても良く、また或いは、HDD204に前述の各種制御プログラムを圧縮状態/非圧縮状態で格納してもよい。ネットワークI/F209は、LAN212などを介してPC101との通信処理を行う。USBI/F208も同様にPC101と通信処理を行う。CPU201は、USBI/F208やネットワークI/F209を介してPC101から受信した印刷ジョブに含まれるデータに必要な画像処理を施す。そして、その画像処理を行ったデータをRAM202やHDD204へ一時的に格納し、順次プリント画像信号としてエンジンI/F206へ出力する。
【0019】
保存ジョブ制御部205は、CPU201の指示によってPC101より受信した印刷データや属性情報の記憶や削除等の管理を行う。保存ジョブ制御部205はリプリント機能を実現させる上で重要な構成のひとつである。
【0020】
次に図3〜図9のフローチャートを参照して、リプリントモードを含む印刷処理について説明する。先にも記述した通り、図3〜図9に示すフローチャートで示す処理は、ROM203、或いはHDD204に格納された制御プログラムに従ってCPU201が制御及び処理するものである。
【0021】
図3は、実施形態に係る画像形成装置100がPC101から受信した印刷ジョブの属性を判定して印刷モードを決定する処理を説明するフローチャートである。
【0022】
まずS301で、USBI/F208或いはネットワークI/F209を介して、PC101から印刷ジョブを受信したか否かを判断する。ここで受信したと判断するとS302に進み、その受信した印刷ジョブの属性情報よりセキュアプリントの印刷ジョブか否かを判断する。尚、印刷ジョブの属性情報は、PC101で動作するプリンタドライバ(図示せず)により、印刷データと共に画像形成装置100へ送信される。プリンタドライバは、ユーザより指示された内容に従って印刷ジョブの属性情報を設定する(但し、プリンタドライバの処理フローは図示せず)。
【0023】
ここで、セキュアプリントとは、印刷ジョブを実行する際に予めプリンタドライバでパスワードが設定され、画像形成装置100の操作パネル103で、その設定されているパスワードが入力されると初めて、その印刷ジョブを実行する機能である。このようにユーザがパスワードを入力することによりプリント処理が開始されるので、機密性の高い書類などを印刷する場合に有効な機能の一つである。
【0024】
S302でセキュア印刷ジョブではないと判断された場合はS303へ進み、当該印刷ジョブがリプリントモードを利用するジョブであるか否かを判断する。リプリント対象(再印刷対象)外の場合はS304へ進んで、通常の印刷処理を実行する。一方、リプリント対象の場合はS305へ進んで、リプリントモードでの印刷処理を実行する。尚、S304及びS305の処理の詳細は、図4及び図5のフローチャートを参照して後述する。
【0025】
一方、S302でセキュア印刷ジョブであると判断された場合はS306に進み、リプリントを利用するリプリント対象の印刷ジョブであるか否かを判断する。リプリント対象でない印刷ジョブであればS307のセキュア印刷モードの処理に進み、リプリント対象の印刷ジョブであればS308のセキュアリプリントモードの処理に進む。尚、S307及びS308の処理の詳細は、図6及び図7のフローチャートを参照して後述する。
【0026】
図4は、図3のS304の通常の印刷処理を説明するフローチャートである。
【0027】
S401で、PC101から受信した印刷ジョブに含まれる印刷データを、RAM202の一部に確保されている受信バッファに格納する。次にS402に進み、全ての印刷データを受信バッファに格納すると、RAM202或いはHDD204の一部に、受信した印刷データの容量と同じ容量のジョブスプール領域を確保する。次にS403で、ジョブスプール領域を確保できたかどうかを判定し、確保できない場合(空きがない場合)はS404に進み、RAM202或いはHDD204に、必要とする空きができるまで待機する。
【0028】
S403で、ジョブスプール領域が確保できたと判断するとS405に進み、受信した印刷データを、受信バッファからそのジョブスプール領域に転送し、受信バッファに格納されている印刷データを、次の印刷データの受信に備えて消去する。次にS406に進み、CPU201は、印刷データからエンジンI/F206へ転送するデータ形式(本実施形態ではビットマップデータと表現する)へ変換する。そして変換後のビットマップデータを、再度、HDD204(或いはRAM202)に格納する。そしてS407に進み、プリンタエンジン104と同期を取りながら、変換後のビットマップデータをエンジンI/F206を介してプリンタエンジン104へ転送する。このビットマップデータを受けたプリンタエンジン104は、その転送されたビットマップデータに従って印刷を行う。こうしてS408で、印刷が正常に終了したかどうかを判断し、正常に終了するとS409に進み、S405でジョブスプール領域に格納した印刷データを削除する。こうして印刷処理を終了する。
【0029】
図5は、図3のS305の通常の印刷ジョブでリプリントモードの場合の処理を説明するフローチャートである。
【0030】
図4で説明した通常の印刷処理と同様に、S501で、受信した印刷データをRAM202等に確保された受信バッファ領域に格納する。次に、リプリント用に印刷データを保存しておく必要があるため、S502で、リプリントモード時におけるジョブスプール領域を確保している。リプリントモードの場合は、受信した印刷データは、印刷後もジョブスプール領域に保持しておき、ユーザからの指示に従って再度印刷を行う。従って、ジョブスプール領域に格納された印刷データを、保存ジョブ制御部205で管理する必要がある。本実施形態では、保存ジョブ管理テーブル1001(図10)をRAM202或いはHDD204に作成して格納し、印刷データ及びその印刷データの属性情報の管理を行う。尚、S503〜S505の処理は、図4の406〜S408の処理と同様であるため、その説明を省略する。但し、図4で説明した通常の印刷処理ーと異なるのは、印刷が終了してもジョブスプール領域に保存されている印刷データを削除しない点である。これは、リプリントする際に印刷データを再利用するためである。
【0031】
このように図5に示す処理によれば、セキュアリプリントが指定されていない通常の印刷データであって、リプリントの対象に設定されている印刷データは、その印刷データの印刷後もジョブスプール領域に保存されることになる。
【0032】
図8は、図5のS502のリプリントモード時のジョブスプール領域の確保処理を説明するフローチャートである。
【0033】
まずS801で、現在リプリント用に保存されているジョブ数が、予め決められている制限数(所定の条件)に達しているか否かを判定する。ここでは、今回受信した印刷データもそのジョブ数に含めて判断する。S801で、ジョブ数の制限数に達していると判定するとS802に進み、既に保存されている印刷データの内、最も古くから保存されている印刷データを、保存ジョブ管理テーブル1001を参照して特定する。そして、その特定した印刷データを削除すると共に、保存ジョブ管理テーブル1001から登録を抹消してS803に進む。またS801でジョブ数の制限数に達していないと判定した場合もS803に進む。S803では、今回受信した印刷データを保存できるメモリ容量が、例えばHDD204の保存領域に確保できるか否かを判定する。S803で、保存領域に十分な空きがない場合はS804に進み、S802と同様に、保存されている印刷データのうち最も古いデータを、その保存領域から削除し、保存ジョブ管理テーブル1001から当該印刷ジョブの登録を抹消する。このS804の処理は、保存領域に十分な空きが確保できるまで繰り返し行う必要がある。
【0034】
こうしてS803で、保存領域にジョブスプール領域分の空きがあると判断するとS805に進み、今回受信した印刷データの容量と同じ容量のジョブスプール領域を、例えばHDD204に確保する。次にS806に進み、受信バッファに保存されている印刷データを、S805で確保したジョブスプール領域へ転送し、受信バッファに記憶されていた印刷データを削除する。そしてS807に進み、保存ジョブ管理テーブル1001に、今回保存した印刷ジョブの属性情報を登録する。
【0035】
これにより、リプリントモードが指定されている場合は、受信した印刷データはジョブスプール領域に保存されるため、操作パネル103からリプリント指示が入力されると、PC101から再度印刷データを受信しなくても、再印刷を行うことができる。
【0036】
図6は、図3のS307の、セキュアプリントモードでの印刷処理を説明するフローチャートである。尚、図6のS601〜S605の処理は、図4の通常の印刷処理で説明したS401〜S405の処理と同じであるため、その説明を省略する。
【0037】
S605で、ジョブスプール領域に印刷データを格納した後S606に進み、印刷処理へ進む前に操作パネル103からパスワードの入力があったか否かを判定する。前述した通り、セキュアプリントモードではPC101から印刷を指示する際、プリンタドライバ上でパスワードを予め付加する(フローチャートの図示無し)。ここで付加されたパスワードは、印刷ジョブとともに画像形成装置100へ送信され、画像形成装置100のユーザが操作パネル103から入力したパスワードと一致した場合にのみ、その印刷ジョブが実行される。従ってS606でパスワードが入力されるとS607に進み、その入力されたパスワードが、印刷ジョブに設定されているパスワードと一致するか否かを判定する。ここでパスワードが不一致であればS606に戻って、ユーザによるパスワードの再入力を待つ。そしてS607で、パスワードが一致した場合のみ、S608〜S611の印刷制御処理を実行する。尚、S608〜S611の処理は、図4のS406〜S409の処理と同じであるため、その説明を省略する。ここでは、リプリントモードが設定されていないため、ジョブスプール領域に格納された印刷データは、プリント処理が終了するとS611で削除される。
【0038】
図7は、図3のS308の、セキュアリプリントモードでの印刷処理を説明するフローチャートである。
【0039】
まずS701で、図5のS501と同様に、受信した印刷データを受信バッファに格納する。次にS702に進み、再印刷時のジョブスプール領域の確保処理をセキュアプリントに特化した処理として行う。この処理を図9のフローチャートを参照して詳細に述べる。
【0040】
図9は、図7のS702のセキュアリプリント時におけるジョブスプール領域を確保する処理を説明するフローチャートである。尚、図9のS901〜S904の処理は、前述の図8のS801〜S804で説明したのと同様で、保存ジョブ数の制限や保存領域の制限についての条件を判断し、必要ならば印刷データの削除処理を行う。そしてS903で、ジョブスプール領域分の空きがあると判断するとS905に進み、受信した印刷データの容量と同じ容量のジョブスプール領域を、例えばHDD204に確保する。次にS906に進み、受信バッファに保存されている印刷データをジョブスプール領域へ転送して受信バッファをクリアする。そして次にセキュアプリントジョブに特有の処理を行う。即ち、S907で、保存ジョブ管理テーブル1001への登録の際に、セキュアプリントジョブである旨を示すフラグを立てる。そしてS908で、保存ジョブ管理テーブル1001へ登録する。これによって、保存ジョブ管理テーブル1001を参照した際に、セキュアプリントジョブであるか否かが判別できる。
【0041】
再び図7のセキュアプリントモードでの印刷処理に戻る。S703〜S707の処理は、前述の図6のS6060〜S610の処理と同じであるため、その説明を省略する。但し図7では、リプリント用に印刷データを保存したまま保持するので、プリントの正常終了が判断された後、図6のS611のように、ジョブスプール領域に保存している印刷データを削除しない。
【0042】
このような処理により、セキュアプリントモードでリプリントが指示されている印刷ジョブの印刷データは、その印刷ジョブのパスワードとともに保存領域に保存される。
【0043】
図10は、本実施形態に係るリプリント用印刷データの管理テーブルである、保存ジョブ管理テーブル1001を説明する図である。このテーブルは、保存領域である、例えばHDD204にジョブスプール領域として保存されている複数の印刷ジョブを管理するためのテーブルである。
【0044】
保存ジョブ管理テーブル1001には、ジョブID、ジョブのオーナ名、ジョブ名(ドキュメントのファイル名)、データサイズ、印刷ジョブの登録日時、そして、セキュアプリントフラグ1002が登録されている。また、図10には図示していないが、印刷データの保存先(RAM202やHDD204等)や、リンク先(アドレス等)も登録してもよい。尚、図9のフローチャートのS907の処理は、保存ジョブ管理テーブル1001のセキュアプリントフラグ1002に反映される。
【0045】
図10の例では、ジョブIDが「id0003」であるファイル名が「Financial_data」である印刷ジョブが、セキュアリプリントとして登録されている。
【0046】
図11(A)〜(E)は、ユーザがリプリントを実行する場合の操作パネル103の表示例を説明する図である。
【0047】
図11(A)は、リプリントメニュー画面例を示し、ユーザは画像形成装置100の操作パネル103を操作し、このリプリントメニューからリプリントを指示する。図11(A)は、「リプリント」が選択された状態を示している。
【0048】
図11(B)は、リプリントメニューに入り、リプリントが可能な印刷ジョブを登録したユーザ(オーナユーザ)のリストの表示例を示している。ユーザは、このリストから自分のユーザ名を選択する。図11(B)では、「user1505」というユーザ名が選択されている。
【0049】
図11(C)は、選択されたオーナユーザが登録したリプリント可能な印刷ジョブのリストの表示例を示している。ここでは、「user1505」がリプリント可能なドキュメントとして、「スケジュール」、「happyo_shiryo」、「Financial_data」の3つが表示されている。この中から、ユーザはリプリントしたいドキュメントを選択する。図11(C)では「Financial_data」を選択している。
【0050】
図11(D)は、図11(C)で選択した「Financial_data」というドキュメントが、セキュアプリントとして指定されている場合、セキュアプリント用に設定されているパスワードの入力を求める画面例を示す。ユーザは、この画面の指示に従ってパスワードを入力する。入力したパスワードと登録されているパスワードとが一致した場合は、図11(E)に示すような、リプリントを開始するか否かを問う画面が表示される。また図11(D)で、入力したパスワードが、登録されているパスワードと一致しない場合は、パスワードが一致しないことを示す警告画面(不図示)が表示される。
【0051】
一方、図11(C)で選択したドキュメントがセキュアプリントジョブでは無かった場合は、図11(D)の画面は表示されず、図11(E)に示す、リプリントを開始するか否かを問う画面が表示される。図11(E)で、ユーザが「はい」を選択すると、選択されたドキュメントがリプリントされる。
【0052】
本実施形態1によれば、例えばHDD204に保存されているリプリント用の印刷データは、登録されているジョブ数が制限数に達したり、保存領域に空きが無くなったりした場合以外に、削除される条件がある。ここでは、リプリント用に保存している印刷データの削除タイミングについて以降詳細に述べる。尚、このリプリント用の印刷データは、HDD204だけでなく、例えばSDカードのような図2の可搬メディア211に保存するようにしても良い。
【0053】
上述したように、画像形成装置100に保持されているリプリント用の印刷データは、セキュアリプリントモードで無い限り、誰でも印刷できる。これはセキュリティの観点から避けるべきである。そこで本実施形態1では、リプリント用の印刷データが保存ジョブ管理テーブル1001に登録されてから所定時間が経過すると自動的に削除し、保存ジョブ管理テーブル1001からも、その登録データを抹消する。更に、この所定時間を、セキュアリプリントモードとして登録された印刷ジョブであるか否かに応じて変更する。具体的には、セキュアリプリントモードで登録された印刷ジョブを削除するまでの第1の所定時間を、セキュアリプリントでない印刷ジョブを削除するまでの第2の所定時間よりも長くする。
【0054】
このようにすることで、セキュアリプリントでない印刷ジョブであってもリプリント用に保存でき、またセキュアリプリントでない印刷ジョブが他人により印刷される可能性がある時間を短くできる。
【0055】
図12は、本実施形態1に係る、リプリント用に保存されている印刷ジョブの削除処理を説明するフローチャートである。この処理は、画像形成装置100に内蔵された保存ジョブ制御部205、及びCPU201によって実施される。
【0056】
まずS1201で、変数Nの初期値を「1」にセットする。この変数Nは、RAM202にセットされている。次にS1202に進み、現在、保存ジョブ管理テーブル1001に登録されている印刷ジョブを、No.N(N=1)から参照していく。次にS1203に進み、保存ジョブ管理テーブル1001に登録された情報より、当該印刷ジョブがセキュアプリントジョブであるか否かを判定する。セキュアプリントジョブか否かは保存ジョブ管理テーブル1001に登録されているセキュアプリントフラグ1002を確認することで判断できる。S1203で、セキュアプリントジョブであると判定するとS1204に進み、削除日時を、(登録日時+t1)に設定する。一方、S1203で、セキュアプリントジョブで無いと判定した場合はS1205に進み、削除日時を、(登録日時+t2)に設定する。こうしてS1204或いはS1205で削除日時を設定するとS1206に進み、現在の日時と、その設定した削除日時とを比較する。ここで現在の日時が削除日時に達しているとS1207に進み、その印刷ジョブを削除する。そしてS1208に進み、変数Nを+1し、S1209でNの値が、保存しているジョブ数よりも大きくなったかを判定し、ジョブ数に達していないときはS1202に戻る。
【0057】
このようにして、保存ジョブ管理テーブル1001に登録されている全ての印刷ジョブについてS1202〜S1207の処理を終えたならば、本サブルーチンを終了する。
【0058】
ここで、t1及びt2に、それぞれ異なる時間を設定する効果について説明する。例えばt1を5日、t2を1日とする。これによって、セキュアプリントジョブは登録されてから5日間は自動削除されないが、セキュアプリントジョブで無い印刷ジョブの場合は、登録されてから1日が経過した後に自動削除される。これは、セキュアプリントジョブは再印刷するのにパスワードが必要なので、長く保存してもセキュリティ性が高いと判断できるためである。よって、セキュアプリントジョブはより長時間、画像形成装置100に保持してリプリントを利用したいユーザに対する利便性を確保している。
【0059】
一方、セキュアプリントで無い印刷ジョブは、どのユーザでもリプリントできるため、画像形成装置100で長時間保持せずに短期間で自動削除することで、利便性よりもセキュリティ性を高めている。
【0060】
逆に、セキュアプリント対象の印刷ジョブは機密性が高いと考えられるため、不特定多数のユーザがアクセスできる画像形成装置100に、その印刷データを長期間保存しておくことは好ましくない。このような考えから、例えばt1を5時間、t2を1日と設定し、セキュアプリントの印刷ジョブは速やかに削除して、その印刷ジョブを再印刷できる時間を短くする、という設定も可能である。本実施形態1では、セキュアプリントジョブか否かによって、自動削除するまでの時間を可変にするので、t1>t2であっても、t1<t2であっても、何れの形態も取ることができる。
【0061】
[実施形態2]
次に本発明に係る実施形態2について説明する。実施形態2についても、実施形態1で説明した画像形成装置100のハードウェア構成で実現可能である。
【0062】
実施形態2では、印刷ジョブを送信するPC101のプリンタドライバにてリプリントパスワードを設定可能な構成について言及する。
【0063】
図13は、実施形態2に係るPC101上で動作するプリンタドライバの、リプリントパスワードの設定画面例を示す図である。
【0064】
図13のように、チェックボックス1301にチェックを入れると、パスワード入力領域1302がアクティブになり、リプリントを実行する際のパスワードを設定することが可能になる。
【0065】
このリプリントパスワードの機能は、実施形態1で説明したセキュアプリントとは異なる。このリプリントパスワードが設定されていても、PC1から、この印刷ジョブを実行した場合は、その印刷ジョブは、通常のリプリント印刷ジョブと同様にパスワード無しでプリントされる。
【0066】
しかし、画像形成装置100の操作パネル103より、ユーザによってリプリントが指示された場合に、画像形成装置100はその指示された印刷ジョブ(ドキュメント)に対応したパスワード(リプリントパスワード)の入力を要求する。尚、プリンタドライバの画面で、チェックボックス1301にチェックを入れない場合は、実施形態1で説明したリプリントモードと同様の動作になる。
【0067】
図15は、実施形態2に係る保存ジョブ管理テーブルの一例を示す図である。
【0068】
ここでは、リプリントパスワードが設定可能な画像形成装置100、及び、PC101上のプリンタドライバを使用した場合に、保存ジョブ制御部205で管理する保存ジョブ管理テーブル1501の一例を示している。図15に示す通り、図10にて説明した保存ジョブ管理テーブル1001に、リプリントパスワードの有無を示すフラグ1502を加えたテーブルになっている。PC101から受信した印刷ジョブの属性情報にリプリントパスワードが含まれている場合、保存ジョブ管理テーブル1501のリプリントパスワードフラグ1502に「1」がセットされる。
【0069】
図14は、実施形態2において、リプリントパスワードが設定可能なプリンタドライバから印刷ジョブが送信される場合に対応した、印刷ジョブの削除処理を示すフローチャートである。この図14のフローチャートは、ROM203、或いはHDD204に格納された制御プログラムに従ってCPU201が制御及び処理することにより実現される。図14のフローチャートは、実施形態1の図12で説明したフローチャートに、S1405の判断が追加されている。
【0070】
S1405で、図15で説明したリプリントパスワードフラグ1502をチェックすることにより、その印刷ジョブの属性情報として、リプリントパスワードが設定されているか否かを判断する。即ち、S1405で、リプリントパスワードが設定されているときはS1404に進み、削除日時を(登録日時+t1)に設定し、そうでないときはS1406に進み、削除日時を(登録日時+t2)に設定する。尚、図14のS1401〜S1404,S1406〜S1410の処理は、前述の図12のS1201〜S1204、S1205〜S1209の処理と同じであるため、その説明を省略する。尚、ここでt1及びt2は、前述の実施形態1の場合と同様に定義される。
【0071】
このような処理により、リプリントパスワードが設定されている場合は、セキュアプリントジョブと同様の削除処理になるように設定できる。これによって、リプリント用印刷ジョブに対するセキュリティ性と、リプリントを利用したいユーザに対する利便性とを両立させることができる。
【0072】
尚、上記実施形態1,2では、セキュアリプリント時、或いはリプリント用のパスワードが設定されている場合でも、リプリント用に保存されている印刷データを削除するようにした。しかし、ジョブスプール領域を保存するメモリの容量に余裕があれば、これらパスワードによるセキュリティがなされているリプリント印刷ジョブを削除しないようにしても良い。これは、パスワードにより保護されている印刷ジョブは、当人の断りなく他人によりリプリントされる恐れがないと考えられるためである。
【0073】
(その他の実施例)
また本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一度印刷した印刷データを再印刷指示に従って再度印刷できる印刷装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ホストコンピュータ等のデータ処理装置から受信した印刷データを基に印刷を行った後、同じデータをもう一部印刷したいというユーザの要求がある。この要求に対して、ホストコンピュータから印刷データを再送することなく、印刷装置のパネル操作による再印刷(以降、リプリント)指示に従って、その印刷データを印刷するリプリント技術がある(例えば、特許文献1)。
【0003】
通常の印刷処理では、印刷装置は、ホストコンピュータから受信した印刷ジョブを印刷装置が有する二次記憶装置に保存し、印刷処理が終了した後、その二次記憶装置に保存した印刷ジョブを削除する。これに対してリプリント可能な印刷装置では、印刷処理が終了した後も、その二次記憶装置に保存した印刷ジョブを削除しないで残しておく。それによって、ユーザは、ホストコンピュータからの印刷データを再度受信することなく、印刷装置の操作パネルからのリプリント指示によって、一度印刷した画像を再度印刷することができる。
【0004】
一方で、上記従来のリプリント技術では、印刷装置の操作パネルを操作することで、不特定多数のユーザがリプリントを実行することができる。即ち、誰でも他人のドキュメントを、当人の断りなくリプリントすることが可能になり、機密性を大きく欠くことになる。この課題を解決する技術として特許文献2では、画像形成装置の記憶装置に保存されている印刷ジョブを所定の条件を満たした場合に削除することが提案されている。例えば、印刷ジョブが記憶装置に保存されてから所定の時間が経過した場合に、その印刷ジョブを削除する、等の提案がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−75748号公報
【特許文献2】特開2007−179140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2で提案されている技術のように、所定時間が経過すると印刷ジョブを削除する場合、その所定時間が短く設定されていると、プリントしたいユーザにとって利便性が損なわれる。一方、その所定時間を長く設定すれば利便性は向上するものの、印刷装置に保存されている印刷ジョブのドキュメントに対する機密性が損なわれてしまうという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決することにある。
【0008】
本発明の特徴は、リプリント機能におけるセキュリティのリスクを低減させつつ、リプリント機能を利用するユーザに対する利便性を損なわない印刷装置及びその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明の一態様に係る印刷装置は以下のような構成を備える。即ち、
印刷データに基づいて印刷処理を行う印刷装置であって、
ホストコンピュータから受信した再印刷対象の印刷データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記再印刷対象の印刷データにセキュアプリント用のパスワードが付加されているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により印刷データに前記セキュアプリント用のパスワードが付加されていると判定された場合、ユーザから当該パスワードが入力されたことに従って印刷手段に印刷処理を行わせる印刷制御手段と、
所定時間が経過した後、前記記憶手段に記憶された前記再印刷対象の印刷データを削除する削除手段と、
前記判定手段により前記セキュアプリント用のパスワードが付加されていると判定された印刷データと、前記判定手段により前記セキュアプリント用のパスワードが付加されていないと判定された印刷データとに対する前記所定時間を互いに異なる時間に設定するように制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、リプリント機能におけるセキュリティのリスクを低減させつつ、リプリント機能を利用するユーザに対する利便性を損なわないようにできるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置(印刷装置)を含む印刷システムの構成を示すブロック図。
【図2】実施形態に係る画像形成装置のコントローラの構成を説明するブロック図。
【図3】実施形態に係る画像形成装置がPCから受信した印刷ジョブの属性を判定して印刷モードを決定する処理を説明するフローチャート。
【図4】図3のS304の通常の印刷処理を説明するフローチャート。
【図5】図3のS305の通常の印刷ジョブでリプリントモードの場合の処理を説明するフローチャート。
【図6】図3のS307の、セキュアプリントモードでの印刷処理を説明するフローチャート。
【図7】図3のS308の、セキュアリプリントモードでの印刷処理を説明するフローチャート。
【図8】図5のS502のリプリントモード時のジョブスプール領域の確保処理を説明するフローチャート。
【図9】図7のS702のセキュアリプリント時におけるジョブスプール領域を確保する処理を説明するフローチャート。
【図10】本実施形態に係る保存ジョブ管理テーブルを説明する図。
【図11】ユーザがリプリントを実行する場合の操作パネルの表示例を説明する図。
【図12】本実施形態1に係る、リプリント用に保存されている印刷ジョブの削除処理を説明するフローチャート。
【図13】実施形態2に係るPCで動作するプリンタドライバの、リプリントパスワードの設定画面例を示す図。
【図14】実施形態2において、リプリントパスワードが設定可能なプリンタドライバから印刷ジョブが送信される場合に対応した、印刷ジョブの削除処理を示すフローチャート。
【図15】実施形態2に係る保存ジョブ管理テーブルの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置(印刷装置)100を含む印刷システムの構成を示すブロック図である。
【0014】
画像形成装置100は、コントローラ102、操作パネル103、プリンタエンジン104を有している。またパーソナルコンピュータ(PC)101は、画像形成装置100に印刷ジョブを送信するホストコンピュータとして機能しており、画像形成装置100に対して、印刷ジョブとして印刷データや当該印刷ジョブの属性情報等を送信する。
【0015】
図2は、実施形態に係る画像形成装置100のコントローラ102の構成を説明するブロック図である。
【0016】
コントローラ102は、CPU201,RAM202,ROM203、2次記憶装置として機能するハードディスクドライブ(HDD)204を含む。更に、PC101から送信される印刷データを画像形成装置100のHDD204等に保存する処理を制御する保存ジョブ制御部205を含む。保存ジョブ制御部205は、リプリント用にRAM202やHDD204に格納されている印刷ジョブの保存や削除等の処理を担う。これら処理は定期的に実行されるため、計時するRTC(Real Time Clock)か、それに相当する機能を保存ジョブ制御部205が含んでいる(図示せず)。更に、エンジンI/F206,メディアI/F207,USBI/F208、ネットワークI/F209を含む。以上の各部は、システムバス210を介してCPU201と接続されている。
【0017】
エンジンI/F206は、プリンタエンジン104とCPU201との間のインタフェース制御する。またシステムバス210は、操作パネル103とも接続する。印刷ジョブを画像形成装置100に送信するPC101は、USB、或いはローカルエリアネットワーク(LAN212)等のネットワーク網を介し、コントローラ102のUSBI/F208や、ネットワークI/F209に接続される。また、メディアI/F207には、USBメモリや各種メディアカード(例えば、SDカード)等の可搬メディア211が接続される。この可搬メディア211には、画像データや機器設定情報、アップデート用のプログラム等が格納されてもよい。
【0018】
CPU201は、ROM203に記憶されている各種制御プログラムに従って前記の各ブロックを総括的に制御する。この各種制御プログラムは、ROM203のプログラム領域に記憶された圧縮されたプログラムをRAM103へ伸張、展開して実行されても良く、また或いは、HDD204に前述の各種制御プログラムを圧縮状態/非圧縮状態で格納してもよい。ネットワークI/F209は、LAN212などを介してPC101との通信処理を行う。USBI/F208も同様にPC101と通信処理を行う。CPU201は、USBI/F208やネットワークI/F209を介してPC101から受信した印刷ジョブに含まれるデータに必要な画像処理を施す。そして、その画像処理を行ったデータをRAM202やHDD204へ一時的に格納し、順次プリント画像信号としてエンジンI/F206へ出力する。
【0019】
保存ジョブ制御部205は、CPU201の指示によってPC101より受信した印刷データや属性情報の記憶や削除等の管理を行う。保存ジョブ制御部205はリプリント機能を実現させる上で重要な構成のひとつである。
【0020】
次に図3〜図9のフローチャートを参照して、リプリントモードを含む印刷処理について説明する。先にも記述した通り、図3〜図9に示すフローチャートで示す処理は、ROM203、或いはHDD204に格納された制御プログラムに従ってCPU201が制御及び処理するものである。
【0021】
図3は、実施形態に係る画像形成装置100がPC101から受信した印刷ジョブの属性を判定して印刷モードを決定する処理を説明するフローチャートである。
【0022】
まずS301で、USBI/F208或いはネットワークI/F209を介して、PC101から印刷ジョブを受信したか否かを判断する。ここで受信したと判断するとS302に進み、その受信した印刷ジョブの属性情報よりセキュアプリントの印刷ジョブか否かを判断する。尚、印刷ジョブの属性情報は、PC101で動作するプリンタドライバ(図示せず)により、印刷データと共に画像形成装置100へ送信される。プリンタドライバは、ユーザより指示された内容に従って印刷ジョブの属性情報を設定する(但し、プリンタドライバの処理フローは図示せず)。
【0023】
ここで、セキュアプリントとは、印刷ジョブを実行する際に予めプリンタドライバでパスワードが設定され、画像形成装置100の操作パネル103で、その設定されているパスワードが入力されると初めて、その印刷ジョブを実行する機能である。このようにユーザがパスワードを入力することによりプリント処理が開始されるので、機密性の高い書類などを印刷する場合に有効な機能の一つである。
【0024】
S302でセキュア印刷ジョブではないと判断された場合はS303へ進み、当該印刷ジョブがリプリントモードを利用するジョブであるか否かを判断する。リプリント対象(再印刷対象)外の場合はS304へ進んで、通常の印刷処理を実行する。一方、リプリント対象の場合はS305へ進んで、リプリントモードでの印刷処理を実行する。尚、S304及びS305の処理の詳細は、図4及び図5のフローチャートを参照して後述する。
【0025】
一方、S302でセキュア印刷ジョブであると判断された場合はS306に進み、リプリントを利用するリプリント対象の印刷ジョブであるか否かを判断する。リプリント対象でない印刷ジョブであればS307のセキュア印刷モードの処理に進み、リプリント対象の印刷ジョブであればS308のセキュアリプリントモードの処理に進む。尚、S307及びS308の処理の詳細は、図6及び図7のフローチャートを参照して後述する。
【0026】
図4は、図3のS304の通常の印刷処理を説明するフローチャートである。
【0027】
S401で、PC101から受信した印刷ジョブに含まれる印刷データを、RAM202の一部に確保されている受信バッファに格納する。次にS402に進み、全ての印刷データを受信バッファに格納すると、RAM202或いはHDD204の一部に、受信した印刷データの容量と同じ容量のジョブスプール領域を確保する。次にS403で、ジョブスプール領域を確保できたかどうかを判定し、確保できない場合(空きがない場合)はS404に進み、RAM202或いはHDD204に、必要とする空きができるまで待機する。
【0028】
S403で、ジョブスプール領域が確保できたと判断するとS405に進み、受信した印刷データを、受信バッファからそのジョブスプール領域に転送し、受信バッファに格納されている印刷データを、次の印刷データの受信に備えて消去する。次にS406に進み、CPU201は、印刷データからエンジンI/F206へ転送するデータ形式(本実施形態ではビットマップデータと表現する)へ変換する。そして変換後のビットマップデータを、再度、HDD204(或いはRAM202)に格納する。そしてS407に進み、プリンタエンジン104と同期を取りながら、変換後のビットマップデータをエンジンI/F206を介してプリンタエンジン104へ転送する。このビットマップデータを受けたプリンタエンジン104は、その転送されたビットマップデータに従って印刷を行う。こうしてS408で、印刷が正常に終了したかどうかを判断し、正常に終了するとS409に進み、S405でジョブスプール領域に格納した印刷データを削除する。こうして印刷処理を終了する。
【0029】
図5は、図3のS305の通常の印刷ジョブでリプリントモードの場合の処理を説明するフローチャートである。
【0030】
図4で説明した通常の印刷処理と同様に、S501で、受信した印刷データをRAM202等に確保された受信バッファ領域に格納する。次に、リプリント用に印刷データを保存しておく必要があるため、S502で、リプリントモード時におけるジョブスプール領域を確保している。リプリントモードの場合は、受信した印刷データは、印刷後もジョブスプール領域に保持しておき、ユーザからの指示に従って再度印刷を行う。従って、ジョブスプール領域に格納された印刷データを、保存ジョブ制御部205で管理する必要がある。本実施形態では、保存ジョブ管理テーブル1001(図10)をRAM202或いはHDD204に作成して格納し、印刷データ及びその印刷データの属性情報の管理を行う。尚、S503〜S505の処理は、図4の406〜S408の処理と同様であるため、その説明を省略する。但し、図4で説明した通常の印刷処理ーと異なるのは、印刷が終了してもジョブスプール領域に保存されている印刷データを削除しない点である。これは、リプリントする際に印刷データを再利用するためである。
【0031】
このように図5に示す処理によれば、セキュアリプリントが指定されていない通常の印刷データであって、リプリントの対象に設定されている印刷データは、その印刷データの印刷後もジョブスプール領域に保存されることになる。
【0032】
図8は、図5のS502のリプリントモード時のジョブスプール領域の確保処理を説明するフローチャートである。
【0033】
まずS801で、現在リプリント用に保存されているジョブ数が、予め決められている制限数(所定の条件)に達しているか否かを判定する。ここでは、今回受信した印刷データもそのジョブ数に含めて判断する。S801で、ジョブ数の制限数に達していると判定するとS802に進み、既に保存されている印刷データの内、最も古くから保存されている印刷データを、保存ジョブ管理テーブル1001を参照して特定する。そして、その特定した印刷データを削除すると共に、保存ジョブ管理テーブル1001から登録を抹消してS803に進む。またS801でジョブ数の制限数に達していないと判定した場合もS803に進む。S803では、今回受信した印刷データを保存できるメモリ容量が、例えばHDD204の保存領域に確保できるか否かを判定する。S803で、保存領域に十分な空きがない場合はS804に進み、S802と同様に、保存されている印刷データのうち最も古いデータを、その保存領域から削除し、保存ジョブ管理テーブル1001から当該印刷ジョブの登録を抹消する。このS804の処理は、保存領域に十分な空きが確保できるまで繰り返し行う必要がある。
【0034】
こうしてS803で、保存領域にジョブスプール領域分の空きがあると判断するとS805に進み、今回受信した印刷データの容量と同じ容量のジョブスプール領域を、例えばHDD204に確保する。次にS806に進み、受信バッファに保存されている印刷データを、S805で確保したジョブスプール領域へ転送し、受信バッファに記憶されていた印刷データを削除する。そしてS807に進み、保存ジョブ管理テーブル1001に、今回保存した印刷ジョブの属性情報を登録する。
【0035】
これにより、リプリントモードが指定されている場合は、受信した印刷データはジョブスプール領域に保存されるため、操作パネル103からリプリント指示が入力されると、PC101から再度印刷データを受信しなくても、再印刷を行うことができる。
【0036】
図6は、図3のS307の、セキュアプリントモードでの印刷処理を説明するフローチャートである。尚、図6のS601〜S605の処理は、図4の通常の印刷処理で説明したS401〜S405の処理と同じであるため、その説明を省略する。
【0037】
S605で、ジョブスプール領域に印刷データを格納した後S606に進み、印刷処理へ進む前に操作パネル103からパスワードの入力があったか否かを判定する。前述した通り、セキュアプリントモードではPC101から印刷を指示する際、プリンタドライバ上でパスワードを予め付加する(フローチャートの図示無し)。ここで付加されたパスワードは、印刷ジョブとともに画像形成装置100へ送信され、画像形成装置100のユーザが操作パネル103から入力したパスワードと一致した場合にのみ、その印刷ジョブが実行される。従ってS606でパスワードが入力されるとS607に進み、その入力されたパスワードが、印刷ジョブに設定されているパスワードと一致するか否かを判定する。ここでパスワードが不一致であればS606に戻って、ユーザによるパスワードの再入力を待つ。そしてS607で、パスワードが一致した場合のみ、S608〜S611の印刷制御処理を実行する。尚、S608〜S611の処理は、図4のS406〜S409の処理と同じであるため、その説明を省略する。ここでは、リプリントモードが設定されていないため、ジョブスプール領域に格納された印刷データは、プリント処理が終了するとS611で削除される。
【0038】
図7は、図3のS308の、セキュアリプリントモードでの印刷処理を説明するフローチャートである。
【0039】
まずS701で、図5のS501と同様に、受信した印刷データを受信バッファに格納する。次にS702に進み、再印刷時のジョブスプール領域の確保処理をセキュアプリントに特化した処理として行う。この処理を図9のフローチャートを参照して詳細に述べる。
【0040】
図9は、図7のS702のセキュアリプリント時におけるジョブスプール領域を確保する処理を説明するフローチャートである。尚、図9のS901〜S904の処理は、前述の図8のS801〜S804で説明したのと同様で、保存ジョブ数の制限や保存領域の制限についての条件を判断し、必要ならば印刷データの削除処理を行う。そしてS903で、ジョブスプール領域分の空きがあると判断するとS905に進み、受信した印刷データの容量と同じ容量のジョブスプール領域を、例えばHDD204に確保する。次にS906に進み、受信バッファに保存されている印刷データをジョブスプール領域へ転送して受信バッファをクリアする。そして次にセキュアプリントジョブに特有の処理を行う。即ち、S907で、保存ジョブ管理テーブル1001への登録の際に、セキュアプリントジョブである旨を示すフラグを立てる。そしてS908で、保存ジョブ管理テーブル1001へ登録する。これによって、保存ジョブ管理テーブル1001を参照した際に、セキュアプリントジョブであるか否かが判別できる。
【0041】
再び図7のセキュアプリントモードでの印刷処理に戻る。S703〜S707の処理は、前述の図6のS6060〜S610の処理と同じであるため、その説明を省略する。但し図7では、リプリント用に印刷データを保存したまま保持するので、プリントの正常終了が判断された後、図6のS611のように、ジョブスプール領域に保存している印刷データを削除しない。
【0042】
このような処理により、セキュアプリントモードでリプリントが指示されている印刷ジョブの印刷データは、その印刷ジョブのパスワードとともに保存領域に保存される。
【0043】
図10は、本実施形態に係るリプリント用印刷データの管理テーブルである、保存ジョブ管理テーブル1001を説明する図である。このテーブルは、保存領域である、例えばHDD204にジョブスプール領域として保存されている複数の印刷ジョブを管理するためのテーブルである。
【0044】
保存ジョブ管理テーブル1001には、ジョブID、ジョブのオーナ名、ジョブ名(ドキュメントのファイル名)、データサイズ、印刷ジョブの登録日時、そして、セキュアプリントフラグ1002が登録されている。また、図10には図示していないが、印刷データの保存先(RAM202やHDD204等)や、リンク先(アドレス等)も登録してもよい。尚、図9のフローチャートのS907の処理は、保存ジョブ管理テーブル1001のセキュアプリントフラグ1002に反映される。
【0045】
図10の例では、ジョブIDが「id0003」であるファイル名が「Financial_data」である印刷ジョブが、セキュアリプリントとして登録されている。
【0046】
図11(A)〜(E)は、ユーザがリプリントを実行する場合の操作パネル103の表示例を説明する図である。
【0047】
図11(A)は、リプリントメニュー画面例を示し、ユーザは画像形成装置100の操作パネル103を操作し、このリプリントメニューからリプリントを指示する。図11(A)は、「リプリント」が選択された状態を示している。
【0048】
図11(B)は、リプリントメニューに入り、リプリントが可能な印刷ジョブを登録したユーザ(オーナユーザ)のリストの表示例を示している。ユーザは、このリストから自分のユーザ名を選択する。図11(B)では、「user1505」というユーザ名が選択されている。
【0049】
図11(C)は、選択されたオーナユーザが登録したリプリント可能な印刷ジョブのリストの表示例を示している。ここでは、「user1505」がリプリント可能なドキュメントとして、「スケジュール」、「happyo_shiryo」、「Financial_data」の3つが表示されている。この中から、ユーザはリプリントしたいドキュメントを選択する。図11(C)では「Financial_data」を選択している。
【0050】
図11(D)は、図11(C)で選択した「Financial_data」というドキュメントが、セキュアプリントとして指定されている場合、セキュアプリント用に設定されているパスワードの入力を求める画面例を示す。ユーザは、この画面の指示に従ってパスワードを入力する。入力したパスワードと登録されているパスワードとが一致した場合は、図11(E)に示すような、リプリントを開始するか否かを問う画面が表示される。また図11(D)で、入力したパスワードが、登録されているパスワードと一致しない場合は、パスワードが一致しないことを示す警告画面(不図示)が表示される。
【0051】
一方、図11(C)で選択したドキュメントがセキュアプリントジョブでは無かった場合は、図11(D)の画面は表示されず、図11(E)に示す、リプリントを開始するか否かを問う画面が表示される。図11(E)で、ユーザが「はい」を選択すると、選択されたドキュメントがリプリントされる。
【0052】
本実施形態1によれば、例えばHDD204に保存されているリプリント用の印刷データは、登録されているジョブ数が制限数に達したり、保存領域に空きが無くなったりした場合以外に、削除される条件がある。ここでは、リプリント用に保存している印刷データの削除タイミングについて以降詳細に述べる。尚、このリプリント用の印刷データは、HDD204だけでなく、例えばSDカードのような図2の可搬メディア211に保存するようにしても良い。
【0053】
上述したように、画像形成装置100に保持されているリプリント用の印刷データは、セキュアリプリントモードで無い限り、誰でも印刷できる。これはセキュリティの観点から避けるべきである。そこで本実施形態1では、リプリント用の印刷データが保存ジョブ管理テーブル1001に登録されてから所定時間が経過すると自動的に削除し、保存ジョブ管理テーブル1001からも、その登録データを抹消する。更に、この所定時間を、セキュアリプリントモードとして登録された印刷ジョブであるか否かに応じて変更する。具体的には、セキュアリプリントモードで登録された印刷ジョブを削除するまでの第1の所定時間を、セキュアリプリントでない印刷ジョブを削除するまでの第2の所定時間よりも長くする。
【0054】
このようにすることで、セキュアリプリントでない印刷ジョブであってもリプリント用に保存でき、またセキュアリプリントでない印刷ジョブが他人により印刷される可能性がある時間を短くできる。
【0055】
図12は、本実施形態1に係る、リプリント用に保存されている印刷ジョブの削除処理を説明するフローチャートである。この処理は、画像形成装置100に内蔵された保存ジョブ制御部205、及びCPU201によって実施される。
【0056】
まずS1201で、変数Nの初期値を「1」にセットする。この変数Nは、RAM202にセットされている。次にS1202に進み、現在、保存ジョブ管理テーブル1001に登録されている印刷ジョブを、No.N(N=1)から参照していく。次にS1203に進み、保存ジョブ管理テーブル1001に登録された情報より、当該印刷ジョブがセキュアプリントジョブであるか否かを判定する。セキュアプリントジョブか否かは保存ジョブ管理テーブル1001に登録されているセキュアプリントフラグ1002を確認することで判断できる。S1203で、セキュアプリントジョブであると判定するとS1204に進み、削除日時を、(登録日時+t1)に設定する。一方、S1203で、セキュアプリントジョブで無いと判定した場合はS1205に進み、削除日時を、(登録日時+t2)に設定する。こうしてS1204或いはS1205で削除日時を設定するとS1206に進み、現在の日時と、その設定した削除日時とを比較する。ここで現在の日時が削除日時に達しているとS1207に進み、その印刷ジョブを削除する。そしてS1208に進み、変数Nを+1し、S1209でNの値が、保存しているジョブ数よりも大きくなったかを判定し、ジョブ数に達していないときはS1202に戻る。
【0057】
このようにして、保存ジョブ管理テーブル1001に登録されている全ての印刷ジョブについてS1202〜S1207の処理を終えたならば、本サブルーチンを終了する。
【0058】
ここで、t1及びt2に、それぞれ異なる時間を設定する効果について説明する。例えばt1を5日、t2を1日とする。これによって、セキュアプリントジョブは登録されてから5日間は自動削除されないが、セキュアプリントジョブで無い印刷ジョブの場合は、登録されてから1日が経過した後に自動削除される。これは、セキュアプリントジョブは再印刷するのにパスワードが必要なので、長く保存してもセキュリティ性が高いと判断できるためである。よって、セキュアプリントジョブはより長時間、画像形成装置100に保持してリプリントを利用したいユーザに対する利便性を確保している。
【0059】
一方、セキュアプリントで無い印刷ジョブは、どのユーザでもリプリントできるため、画像形成装置100で長時間保持せずに短期間で自動削除することで、利便性よりもセキュリティ性を高めている。
【0060】
逆に、セキュアプリント対象の印刷ジョブは機密性が高いと考えられるため、不特定多数のユーザがアクセスできる画像形成装置100に、その印刷データを長期間保存しておくことは好ましくない。このような考えから、例えばt1を5時間、t2を1日と設定し、セキュアプリントの印刷ジョブは速やかに削除して、その印刷ジョブを再印刷できる時間を短くする、という設定も可能である。本実施形態1では、セキュアプリントジョブか否かによって、自動削除するまでの時間を可変にするので、t1>t2であっても、t1<t2であっても、何れの形態も取ることができる。
【0061】
[実施形態2]
次に本発明に係る実施形態2について説明する。実施形態2についても、実施形態1で説明した画像形成装置100のハードウェア構成で実現可能である。
【0062】
実施形態2では、印刷ジョブを送信するPC101のプリンタドライバにてリプリントパスワードを設定可能な構成について言及する。
【0063】
図13は、実施形態2に係るPC101上で動作するプリンタドライバの、リプリントパスワードの設定画面例を示す図である。
【0064】
図13のように、チェックボックス1301にチェックを入れると、パスワード入力領域1302がアクティブになり、リプリントを実行する際のパスワードを設定することが可能になる。
【0065】
このリプリントパスワードの機能は、実施形態1で説明したセキュアプリントとは異なる。このリプリントパスワードが設定されていても、PC1から、この印刷ジョブを実行した場合は、その印刷ジョブは、通常のリプリント印刷ジョブと同様にパスワード無しでプリントされる。
【0066】
しかし、画像形成装置100の操作パネル103より、ユーザによってリプリントが指示された場合に、画像形成装置100はその指示された印刷ジョブ(ドキュメント)に対応したパスワード(リプリントパスワード)の入力を要求する。尚、プリンタドライバの画面で、チェックボックス1301にチェックを入れない場合は、実施形態1で説明したリプリントモードと同様の動作になる。
【0067】
図15は、実施形態2に係る保存ジョブ管理テーブルの一例を示す図である。
【0068】
ここでは、リプリントパスワードが設定可能な画像形成装置100、及び、PC101上のプリンタドライバを使用した場合に、保存ジョブ制御部205で管理する保存ジョブ管理テーブル1501の一例を示している。図15に示す通り、図10にて説明した保存ジョブ管理テーブル1001に、リプリントパスワードの有無を示すフラグ1502を加えたテーブルになっている。PC101から受信した印刷ジョブの属性情報にリプリントパスワードが含まれている場合、保存ジョブ管理テーブル1501のリプリントパスワードフラグ1502に「1」がセットされる。
【0069】
図14は、実施形態2において、リプリントパスワードが設定可能なプリンタドライバから印刷ジョブが送信される場合に対応した、印刷ジョブの削除処理を示すフローチャートである。この図14のフローチャートは、ROM203、或いはHDD204に格納された制御プログラムに従ってCPU201が制御及び処理することにより実現される。図14のフローチャートは、実施形態1の図12で説明したフローチャートに、S1405の判断が追加されている。
【0070】
S1405で、図15で説明したリプリントパスワードフラグ1502をチェックすることにより、その印刷ジョブの属性情報として、リプリントパスワードが設定されているか否かを判断する。即ち、S1405で、リプリントパスワードが設定されているときはS1404に進み、削除日時を(登録日時+t1)に設定し、そうでないときはS1406に進み、削除日時を(登録日時+t2)に設定する。尚、図14のS1401〜S1404,S1406〜S1410の処理は、前述の図12のS1201〜S1204、S1205〜S1209の処理と同じであるため、その説明を省略する。尚、ここでt1及びt2は、前述の実施形態1の場合と同様に定義される。
【0071】
このような処理により、リプリントパスワードが設定されている場合は、セキュアプリントジョブと同様の削除処理になるように設定できる。これによって、リプリント用印刷ジョブに対するセキュリティ性と、リプリントを利用したいユーザに対する利便性とを両立させることができる。
【0072】
尚、上記実施形態1,2では、セキュアリプリント時、或いはリプリント用のパスワードが設定されている場合でも、リプリント用に保存されている印刷データを削除するようにした。しかし、ジョブスプール領域を保存するメモリの容量に余裕があれば、これらパスワードによるセキュリティがなされているリプリント印刷ジョブを削除しないようにしても良い。これは、パスワードにより保護されている印刷ジョブは、当人の断りなく他人によりリプリントされる恐れがないと考えられるためである。
【0073】
(その他の実施例)
また本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データに基づいて印刷処理を行う印刷装置であって、
ホストコンピュータから受信した再印刷対象の印刷データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記再印刷対象の印刷データにセキュアプリント用のパスワードが付加されているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により印刷データに前記セキュアプリント用のパスワードが付加されていると判定された場合、ユーザから当該パスワードが入力されたことに従って印刷手段に印刷処理を行わせる印刷制御手段と、
所定時間が経過した後、前記記憶手段に記憶された前記再印刷対象の印刷データを削除する削除手段と、
前記判定手段により前記セキュアプリント用のパスワードが付加されていると判定された印刷データと、前記判定手段により前記セキュアプリント用のパスワードが付加されていないと判定された印刷データとに対する前記所定時間を互いに異なる時間に設定するように制御する制御手段と、
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記判定手段により前記セキュアプリント用のパスワードが付加されていると判定された印刷データに対する所定時間を、前記判定手段により前記セキュアプリント用のパスワードが付加されていないと判定された印刷データに対する所定時間よりも長くすることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記所定の条件は、前記記憶手段に記憶できる印刷ジョブの数に達したかどうかであることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
印刷データに基づいて印刷処理を行う印刷装置であって、
ホストコンピュータから受信した再印刷対象の印刷データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記再印刷対象の印刷データが再印刷時にパスワードを要求する印刷ジョブの印刷データであるか否かを判定する判定手段と、
所定時間が経過した後、前記記憶手段に記憶された前記再印刷対象の印刷データを削除する削除手段と、
前記判定手段により再印刷時にパスワードを要求する印刷ジョブであると判定された印刷ジョブの印刷データと、前記判定手段により再印刷時にパスワードを要求する印刷ジョブでないと判定された印刷データとに対する前記所定時間を互いに異なる時間に設定するように制御する制御手段と、
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記判定手段によりリプリント時にパスワードを要求する印刷ジョブであると判定された印刷ジョブに対する所定時間を、前記判定手段によりリプリント時にパスワードを要求する印刷ジョブでないと判定された印刷ジョブに対する所定時間よりも長くすることを特徴とする請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
印刷データに基づいて印刷処理を行う印刷装置を制御する制御方法であって、
記憶手段が、ホストコンピュータから受信した再印刷対象の印刷データをメモリに記憶する記憶工程と、
判定手段が、前記メモリに記憶された前記再印刷対象の印刷データにセキュアプリント用のパスワードが付加されているか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程で印刷データに前記セキュアプリント用のパスワードが付加されていると判定された場合、ユーザから当該パスワードが入力されたことに従って印刷手段に印刷処理を行わせる印刷制御工程と、
削除手段が、所定時間が経過した後に前記メモリに記憶された前記再印刷対象の印刷データを削除する削除工程と、
制御手段が、前記判定工程で前記セキュアプリント用のパスワードが付加されていると判定された印刷データと、前記判定工程で前記セキュアプリント用のパスワードが付加されていないと判定された印刷データとに対する前記所定時間を互いに異なる時間に設定するように制御する制御工程と、
を有することを特徴とする印刷装置の制御方法。
【請求項7】
印刷データに基づいて印刷処理を行う印刷装置を制御する制御方法であって、
記憶手段が、ホストコンピュータから受信した再印刷対象の印刷データをメモリに記憶する記憶工程と、
判定手段が、前記メモリに記憶された前記再印刷対象の印刷データが再印刷時にパスワードを要求する印刷ジョブの印刷データであるか否かを判定する判定工程と、
削除手段が、所定時間が経過した後に、前記メモリに記憶された前記再印刷対象の印刷データを削除する削除工程と、
制御手段が、前記判定工程で再印刷時にパスワードを要求する印刷ジョブであると判定された印刷ジョブの印刷データと、前記判定工程で再印刷時にパスワードを要求する印刷ジョブでないと判定された印刷データとに対する前記所定時間を互いに異なる時間に設定するように制御する制御工程と、
を有することを特徴とする印刷装置の制御方法。
【請求項1】
印刷データに基づいて印刷処理を行う印刷装置であって、
ホストコンピュータから受信した再印刷対象の印刷データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記再印刷対象の印刷データにセキュアプリント用のパスワードが付加されているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により印刷データに前記セキュアプリント用のパスワードが付加されていると判定された場合、ユーザから当該パスワードが入力されたことに従って印刷手段に印刷処理を行わせる印刷制御手段と、
所定時間が経過した後、前記記憶手段に記憶された前記再印刷対象の印刷データを削除する削除手段と、
前記判定手段により前記セキュアプリント用のパスワードが付加されていると判定された印刷データと、前記判定手段により前記セキュアプリント用のパスワードが付加されていないと判定された印刷データとに対する前記所定時間を互いに異なる時間に設定するように制御する制御手段と、
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記判定手段により前記セキュアプリント用のパスワードが付加されていると判定された印刷データに対する所定時間を、前記判定手段により前記セキュアプリント用のパスワードが付加されていないと判定された印刷データに対する所定時間よりも長くすることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記所定の条件は、前記記憶手段に記憶できる印刷ジョブの数に達したかどうかであることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
印刷データに基づいて印刷処理を行う印刷装置であって、
ホストコンピュータから受信した再印刷対象の印刷データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記再印刷対象の印刷データが再印刷時にパスワードを要求する印刷ジョブの印刷データであるか否かを判定する判定手段と、
所定時間が経過した後、前記記憶手段に記憶された前記再印刷対象の印刷データを削除する削除手段と、
前記判定手段により再印刷時にパスワードを要求する印刷ジョブであると判定された印刷ジョブの印刷データと、前記判定手段により再印刷時にパスワードを要求する印刷ジョブでないと判定された印刷データとに対する前記所定時間を互いに異なる時間に設定するように制御する制御手段と、
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記判定手段によりリプリント時にパスワードを要求する印刷ジョブであると判定された印刷ジョブに対する所定時間を、前記判定手段によりリプリント時にパスワードを要求する印刷ジョブでないと判定された印刷ジョブに対する所定時間よりも長くすることを特徴とする請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
印刷データに基づいて印刷処理を行う印刷装置を制御する制御方法であって、
記憶手段が、ホストコンピュータから受信した再印刷対象の印刷データをメモリに記憶する記憶工程と、
判定手段が、前記メモリに記憶された前記再印刷対象の印刷データにセキュアプリント用のパスワードが付加されているか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程で印刷データに前記セキュアプリント用のパスワードが付加されていると判定された場合、ユーザから当該パスワードが入力されたことに従って印刷手段に印刷処理を行わせる印刷制御工程と、
削除手段が、所定時間が経過した後に前記メモリに記憶された前記再印刷対象の印刷データを削除する削除工程と、
制御手段が、前記判定工程で前記セキュアプリント用のパスワードが付加されていると判定された印刷データと、前記判定工程で前記セキュアプリント用のパスワードが付加されていないと判定された印刷データとに対する前記所定時間を互いに異なる時間に設定するように制御する制御工程と、
を有することを特徴とする印刷装置の制御方法。
【請求項7】
印刷データに基づいて印刷処理を行う印刷装置を制御する制御方法であって、
記憶手段が、ホストコンピュータから受信した再印刷対象の印刷データをメモリに記憶する記憶工程と、
判定手段が、前記メモリに記憶された前記再印刷対象の印刷データが再印刷時にパスワードを要求する印刷ジョブの印刷データであるか否かを判定する判定工程と、
削除手段が、所定時間が経過した後に、前記メモリに記憶された前記再印刷対象の印刷データを削除する削除工程と、
制御手段が、前記判定工程で再印刷時にパスワードを要求する印刷ジョブであると判定された印刷ジョブの印刷データと、前記判定工程で再印刷時にパスワードを要求する印刷ジョブでないと判定された印刷データとに対する前記所定時間を互いに異なる時間に設定するように制御する制御工程と、
を有することを特徴とする印刷装置の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−67028(P2013−67028A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205233(P2011−205233)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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