説明

印刷装置及び印刷方法

【課題】印刷後に弛んだインクリボンがプラテンローラに巻きつくことがなく、更にインクリボンの位置出しも行うことができる印刷装置及び印刷方法を提供する。
【解決手段】印刷装置1は、印刷後にインクリボンRの弛みを巻き取る巻取リール駆動モータ150を備え、インクリボンRの弛みを取った距離aと、印刷終了位置から次色の印刷開始位置までの距離bとを比較して、巻取リール駆動モータ150の駆動を制御する制御手段が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷装置に係り、特に、カートリッジに収容されたインクリボンを介してサーマルヘッドを圧接してプラテンローラに一面側が支持されたカードに画像を印刷する印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクリボンを介してサーマルヘッドを圧接してプラテンローラに一面側が支持された印刷用紙に画像を印刷するものは知られている。上述した印刷装置では、印刷終了後にサーマルヘッドの圧接を解除すると、インクリボンが弛み、インクリボンとプラテンローラとが接している状態となる。この状態で印刷用紙の紙送りを行ったり、印刷用紙を挿入したりすると、弛んだリボンがサーマルヘッドの前面から外れて印刷を正常に行うことができない場合がある(例えば特許文献1)。また、この状態でプラテンローラが回転すると、静電気の影響でインクリボンがプラテンローラに巻きついてしまう場合もある(例えば特許文献2)。
【0003】
そこで、この問題を解決するためには弛んだインクリボンを巻取って、インクリボンをプラテンローラから離間させる必要がある。公知文献1、2共に、弛んだインクリボンを巻き取る技術を開示している。なお、公知文献2では弛んだインクリボンが静電気の影響でドラムに巻きつくことを防止しているが、インクリボンが静電気の影響で回転体に巻きつかないようにしている点で一致している。
【0004】
【特許文献1】特開昭60−56584号公報
【特許文献2】実開平06−45744号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、複数色のカラーインクリボンを用いた印刷装置では、例えばY(イエロー)、Y(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(ブラック)、Op(保護層)と順番に印刷することがあるため、次色のインクリボンの位置出しをしなければならない。リボン位置出しとは例えば、Y色を印刷終わった後、次にM色を印刷する場合、Y色の印刷終了位置からY色の印刷開始位置までインクリボンを送って(巻取って)、インクリボンの所定位置をM色の印刷開始位置に位置を合わせることである。
【0006】
しかし、リボン位置出しの際にリボンを送る量は常に一定ではない。例えば、カードの半分まで印刷した場合はリボン位置出しの際に送る距離は長くなり、逆にカード全面に印刷した場合はリボンを送る距離は短くなる。また、インクリボンのYの先端部にはリボンの位置出しをするためのマーカがあるため、他の色よりもその分後ろから印刷しなければならない。よって、Y色の印刷終了位置からM色の印刷開始位置までの距離は短くなるときがあり、リボン位置出しの際にリボンを送る距離が短くなる場合がある。
【0007】
更に、所定画面に一回M色とC色との間に上述したマーカがある場合もある。その際は更にY色の印刷終了位置からM色の印刷開始位置までの距離は短くなる(図15参照)。したがって、弛んだインクリボンを単に巻き取るだけではインクリボンの位置がずれてしまい、次の色の印刷に支障が出る。
【0008】
本発明は上記事案に鑑み、印刷後に一度弛んだインクリボンの弛みを取るために巻き取ったインクリボンの距離と、印刷終了位置から次色の印刷開始位置までの距離とに応じてインクリボンの位置出しを制御することができる印刷装置及びリボン位置出し方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の第一の態様においては、インクリボンを介してサーマルヘッドを圧接して媒体に画像を印刷する印刷装置において、インクリボンの未使用部が巻かれているリボン供給リールと、インクリボンの使用済み部分が巻き取られるリボン巻取リールと、サーマルヘッドを印刷位置と前記印刷位置から離間した退避位置との間で移動させるサーマルヘッド移動手段と、リボン巻取リールに駆動を与える巻取リール駆動手段と、インクリボンの位置を検出するリボン位置検出手段と、媒体を印刷位置に位置出しをする媒体位置出し手段と、印刷が終了してサーマルヘッドが退避位置に移動したときに、巻取リール駆動手段が巻取リールにインクリボンの弛みをとる方向に駆動を与えることによってインクリボンが移動する第一の距離と、リボン位置検出手段によって得られた印刷終了位置と次の印刷開始位置とまでの第二の距離とに応じて、巻取リール駆動手段がインクリボンの所定部位を印刷開始位置に位置あわせをするためにインクリボンを搬送駆動するように制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
第一の態様は、制御手段が、第一の距離が第二の距離より長い場合、巻取リール駆動手段を駆動してインクリボンの弛みを取り、媒体位置出し手段によって媒体を印刷位置に位置出しした後、巻取リール駆動手段を第一の距離と第二の距離との差分に相当する長さのインクリボンを戻すように制御することを特徴とする。
【0011】
また制御手段は、第二の距離が第一の距離より長い場合、巻取リール駆動手段によって、第二の距離に相当する長さの前記インクリボンを巻き取るように制御することを特徴とする。
【0012】
更に、第一の距離は、サーマルヘッドの印刷位置から待機位置への移動距離よりも短いことを特徴とする。
【0013】
更にリボン位置検出手段は、透過型センサと供給リールの回転を検出するエンコーダセンサとで構成したことを特徴とする。
【0014】
本発明の第二の態様においては、インクリボンを介してサーマルヘッドを圧接して媒体に画像を印刷する印刷装置において、インクリボンの未使用部が巻かれているリボン供給リールと、インクリボンの使用済み部分が巻き取られるリボン巻取リールと、サーマルヘッドを印刷位置と前記印刷位置から離間した退避位置との間で移動させるサーマルヘッド移動手段と、リボン供給リールに駆動を与える供給リール駆動手段と、リボン巻取リールに駆動を与える巻取リール駆動手段と、インクリボンの位置を検出するリボン位置検出手段と、媒体を印刷位置に位置出しをする媒体位置出し手段と、印刷が終了してサーマルヘッドが退避位置に移動したときに、供給リール駆動手段が供給リールにインクリボンの弛みをとる方向に駆動を与えることによってインクリボンを巻取り、それによってインクリボンが移動した第一の距離と、リボン位置検出手段によって得られた印刷終了位置から次の印刷開始位置までの第二の距離とに応じて、巻取リール駆動手段がインクリボンの所定部位を印刷開始位置に位置あわせをするためにインクリボンを搬送駆動するように制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
第二の態様は、制御手段が、巻取リール駆動手段によって、第一の距離と第二の距離とを加算した長さに相当するインクリボンを巻き取るように制御することを特徴とする。
【0016】
更にリボン位置検出手段は、透過型センサと供給リールの回転を検出するエンコーダセンサとで構成したことを特徴とする。
【0017】
また本発明の印刷方法によれば、サーマルヘッドを印刷位置と印刷位置から離間した退避位置との間で移動させるサーマルヘッド移動ステップと、インクリボンの位置を検出するリボン位置検出ステップと、印刷が終了してサーマルヘッドが退避位置に移動したときにインクリボンの弛みを取る弛み取りステップと、媒体を印刷位置に合わせる媒体位置出しステップと、弛み取りステップによってインクリボンが移動する第一の距離と、リボン位置検出ステップによって得られた印刷終了位置から次の印刷開始位置までの第二の距離とに応じてインクリボンの位置出しを行うリボン位置出しステップと、を有している。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、印刷後に弛んだインクリボンを巻取り、その後弛み取りの際に巻き取ったインクリボンの量を考慮してリボン位置出しを行うため、弛んだインクリボンがプラテンに巻きつくことがなく、更にリボン位置出しの時間が短縮でき、カードに対して適正な位置にリボンを位置出しすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明を、カード状記録媒体(以下、単にカードという。)に文字や画像を印刷記録する機能と、カードの磁気ストライプ部に磁気的な記録処理を行う機能とを有するプリンタ装置に適用した実施の形態について説明する。
【0020】
(構成)
<システム構成>
図11に示すように、本実施形態のプリンタ装置1は、図示を省略したインターフェースを介して、上位装置100(例えば、パーソナルコンピュータ等のホストコンピュータ)に接続され、上位装置100からプリンタ装置1に印刷記録データや磁気記録データ等を送信して、記録動作等を指示することが可能である。なお、後述するように、プリンタ装置1は、オペパネ部(操作表示部)5を有しており(図11、図1参照)、上位装置100からの記録動作指示の他、オペパネ部5からの記録動作指示も可能である。
【0021】
上位装置100には、一般に、原稿に記録された画像を読み取るスキャナ等の画像入力装置101、上位装置100に命令やデータを入力するためのキーボードやマウス等の入力装置102、上位装置100によって生成されたデータ等の表示を行なう液晶ディスプレイ等のモニタ103が接続されている。
【0022】
<外観構成>
図1に示すように、本実施形態のプリンタ装置1は、装置筐体としてのケーシング2の一側に配置され、記録処理前のブランクな複数のカードを積層状に収納可能(約100枚程度)であってケーシング2に対して着脱自在に取り付けられるカード供給部10と、同じくケーシング2の一側でカード供給部10の下方に配置され、記録処理後のカードを傾斜状に収容可能(約30枚程度)であってケーシング2に対して着脱自在に取り付けられるカード収容部20と、同じくケーシング2の一側でカード供給部10に隣接する位置に、プリンタ装置1のエラー状態を含む動作状態を表示する表示部4を有し、印刷処理や磁気記録処理の各種設定を行うためのオペパネ部5が設けられている。なお、オペパネ部5は、ダイヤル6を回転させることによりこれに同期して回転可能に設けられている。
【0023】
カード収容部20の一部には、収容オーバーとなった記録処理後のカードを装置外部へ放出可能な開口部として形成されたカード放出口21が設けられている。また、プリンタ装置1の一面には、後述する印刷記録に使用されるインクリボンRを内装したカートリッジ52を着脱する際に装置内部にアクセスするための開閉カバー7が設けられており、開閉カバー7はケーシング2の一部を構成している。
【0024】
そして、カード供給部10ないしカード収容部20に対向して、ケーシング2の他側には、第2の記録部としての磁気エンコーダユニット80がその一部をケーシング2から突出する形で配置されている。
【0025】
<内部構成>
次に、図2および図3に基づきプリンタ装置1の内部の各構成要素について説明する。なお、図2はカード供給部10から供給された記録処理前のブランクなカードCが第1の記録部としての印刷部50に向けて搬送されている状態を示し、後述するカードクリーニング機構30のクリーニング部材としてのクリーニングローラ31が搬送中のカードCの表面に当接してその印画される面を清浄にしている状態を示している。
【0026】
また、図3は印刷部50ないし磁気エンコーダユニット80により記録処理されたカードCがカード収容部20に向けて排出される際の状態を示している。このとき、搬送ローラ41、42は、後述する移動機構60により略水平状のカード搬送路を形成する第1の位置から傾斜状のカード搬送路を形成する第2の位置へと移動してカードCをカード排出口23に向けて搬送可能な状態を維持する。
【0027】
カード供給部10は、プリンタ装置1の一側に着脱自在に設けられ、その内部に記録処理前の複数のブランクなカードを積層状に収納可能としており、機体(プリンタ装置1)側に設けられ、図示を省略するモータにより回転駆動する供給ローラ11が最下位(最下層)のカードを装置内部へと繰り出す際にカードCの一枚のみの通過を許容するために、供給コロ12と板状部材からなる分離ゲート13とを有している。供給されるカードCは供給コロ12と分離ゲート13との間を通過して、カード供給部10に連接するようにケーシング2の一側に設けられたカード供給口14へと導かれる。なお、詳述すると、分離ゲート13の下端部には図示しない可撓性のパッドが設けられており、例えば、厚さの異なる薄いカードを供給する場合であっても、一枚ずつの分離を可能としている。
【0028】
一方、カード収容部20は、プリンタ装置1(ケーシング2)の一側であって、カード供給部10の下方に着脱自在に設けられて記録処理後のカードCを傾斜状に収容可能としている。カード収容部20には、その内部の底面が傾斜状に形成された収容トレイ24が設けられており、ケーシング2の一側でカード供給口14の下方に開口を有して配置されたカード排出口23から排出される記録済のカードCが排出ローラ15により収容トレイ24上に順次排出されて収容される(図3参照)。
【0029】
排出ローラ15はプリンタ装置1側に固設されており、上述した供給ローラ11を回転駆動する図示を省略するモータによって回転駆動されるが、供給ローラ11がブランクなカードCを供給するために回転する方向を正転駆動とした場合、図示を省略するモータの逆転駆動により排出されるカードCを収容トレイ24上に排出するように回転駆動される。つまり、図示を省略するモータの正逆転駆動により供給ローラ11および排出ローラ15が回転されるが、供給ローラ11には図示しないワンウェイクラッチが設けられているため、カード供給方向にのみ回転することができる(ワンウェイクラッチの作用により、カード供給方向と逆方向には回転駆動は伝達されない)。一方、排出ローラ15は、図示を省略するモータの正逆転駆動により両方向に回転駆動される。本形態では、記録処理前のブランクなカードCの供給動作と記録処理後のカードCの排出動作とが同時に行われることがなく、排出ローラ15がカードCの排出のための回転とその逆の方向に回転することであっても支障はない。
【0030】
カード供給口14から供給されたカードCは、後述する搬送駆動モータ70から伝達される駆動力を有して回転する搬送ローラ41、42、43へと順次引き継がれて略水平状のカード搬送路P1に沿って搬送される。なお、搬送ローラ42、43はそれぞれ駆動ローラと従動ローラとを有するローラ対で構成されている(以下、特に異なる説明がない限り、ローラ対の従動ローラについての説明を省略し、駆動ローラについてのみ説明する。)。
【0031】
搬送ローラ41の対向側には、追って説明するカードクリーニング機構30の一部を構成するクリーニングローラ31が搬送ローラ41に対峙するようにカード搬送路P1に対して進退可能に設けられている。このクリーニングローラ31が搬送されるカードCに当接するようにカード搬送路P1上に進出しているとき(図2に示す状態)、駆動力を有する搬送ローラ41との間でカードCを挟持して回転することで、印刷部50により印刷記録される印画面からゴミや埃等の異物を除去して清浄にすることができる。
【0032】
また、クリーニングローラ31がその動作位置であるカード搬送路P1上に進出したとき、クリーニングローラ31は、クリーニングローラ31に隣接した位置でカード搬送路P1から離間した所定の位置に配置されるクリーナとしてコロ状クリーナ32と面接触するように位置付けられる。コロ状クリーナ32は、クリーニングローラの外径(ローラ径)より小さい外径(ローラ径)を有しており、印刷部50の一部として構成されるインク媒体としてのインクリボンRを内装するカートリッジ52の所定部位に着脱自在に取り付けられる支持部材53に固着して回転可能に設けられている。
【0033】
本形態では、クリーニングローラ31は表面が粘着性を有するゴム材料などの回転自在のローラ状部材からなり、また、コロ状クリーナ32は、樹脂製の回転自在のコロ状部材にスポンジ層を有する粘着性テープが巻装されており、この粘着性テープはクリーニングローラ31の表面の粘着性より高い粘着性を有しているため、カードCから除去されクリーニングローラ31の表面に付着したゴミや埃等の異物は両者の面接触によりコロ状クリーナ32の表面を形成する粘着性テープへと移行、引き渡されることになる。
【0034】
搬送ローラ43のカード搬送方向下流側には、クリーニングローラ31によって清浄にされたカードCの表面に、所期の文字ないし画像を印刷記録する印刷部50が設けられている。
【0035】
本形態においては、印刷部50は熱転写プリンタの構成が採用されており、カード搬送路P1上の印刷位置に設けられたプラテンローラ44に対して進退可能に設けられたサーマルヘッド51を有している。プラテンローラ44とサーマルヘッド51との間には、インク層Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(ブラック)、Op(保護層)等の複数色が面順次に繰り返されたインクリボンRが介在している。このインクリボンRは、上述したようにカートリッジ52に内装されている。カートリッジ52内の供給リール54および巻取リール55はそれぞれインクリボンRが捲回された(保持された)ものであり、供給リール54には未使用のインクリボンRの捲回されており、巻取リール55には既使用の(サーマルヘッド51による熱転写後の)インクリボンRが捲回される。
【0036】
カード搬送路P1に沿って移動するカードCに文字あるいは画像などの情報を熱転写記録する際には、インクリボンRは、リボン供給リール54から供給され、サーマルヘッド51の先端部に略全面を当接させながら搬送され、インクリボンRを巻き取るリボン巻取リール55に巻取られる。リボン供給リール54およびリボン巻取リール55は、巻取リール駆動モータ150により回転駆動される。このとき、カードCの表面にインクリボンRを介在させてサーマルヘッド51を押圧しながらサーマルヘッド51の加熱素子を選択的に作動させることで、カードCに所期の文字、画像が印刷される。インクリボンRの搬送経路には、複数のガイドシャフトと、所定のインク層(本形態ではインク層Y)の位置出しを行うためにインク層Bk(ブラック)を検出する発光素子58、受光素子59からなる透過型センサが配設されている。
【0037】
巻取リール55の係合部55Aに対する装置本体側の係合部は複数の部材で構成されている。すなわち、装置フレームに支持軸154が固定されており、支持軸154は円盤状で外縁部にギヤを有する係合部材152を回転可能に軸支している。係合部材152は巻取リール55の係合部55Aと係合する係合凸部152Aが設けられている。
【0038】
図13は巻取リール55の係合部55Aと装置本体側の係合部材152(係合凸部152A)との係合状態を示したものである。係合部材152のギヤにはギヤ151Cが噛合しており、ギヤ151Cには同軸上にスリット(不図示)が形成された回転板151Aが固着している。また、回転板151Aを挟む位置には、発光素子と受光素子とからなる透過一体型のセンサ151Bが配置されている。従って、回転板151Aとセンサ151Bが、インクリボンRを巻き取る巻取リール55の回転量を検出するエンコーダ151を構成している。また、係合部材23のギヤにはギヤ153が噛合しており、ギヤ153の同軸上には巻取リール駆動モータ150(ステッピングモータ)のモータ軸が嵌着している。
【0039】
よって、巻取リール55に巻取リール駆動モータ150の駆動が伝わり、エンコーダ151によって巻取リール55の回転量(インクリボンRの巻取り量及び後述する戻し量)を検出することができる。
【0040】
一方、図14に示すように、供給リール54と装置本体側との係合関係は、原則として上述した巻取リール55と装置本体側との係合関係と同じであるが、ギヤ153および巻取リール駆動モータ150に代えて、係合部材152のギヤと噛合するギヤ153およびこのギヤ153の同軸上に配置されインクリボンRにバックテンションを与えるトルクリミッタ(不図示)を有している点で異なっている。
【0041】
また、サーマルヘッド51のカード搬送方向上流側(搬送ローラ43側)には、カード搬送路P1に沿って搬送されるカードCの搬送方向先端および後端を検出する発光素子48、受光素子49からなる透過型センサ(以下、第1カード検出センサという。)が配設されている。
【0042】
印刷部50の下方には、上記した一連の搬送ローラ41、42、43、およびプラテンローラ44を正逆転方向に回転駆動する正逆転駆動可能なステッピングモータからなる搬送駆動モータ70が配設されている。搬送駆動モータ70による回転駆動力は、搬送駆動モータ70の回転軸に設けられたプーリ71がベルト72によりプーリ73へと伝達され、プーリ73に一端が巻装されたベルト74によりプラテンローラ44の回転軸に設けられたプーリ75を介してプラテンローラ44に駆動が伝達される。なお、プーリ73は2段プーリで構成されており、それぞれの段差部分にベルト72およびベルト74が架け渡されている。
【0043】
プラテンローラ44の回転軸上、搬送ローラ41、42、43の回転軸上、並びに、それぞれのローラの間には図示を省略する複数のギヤが噛合状態で配設されており、プラテンローラ44に伝達された回転駆動力は、これら複数のギヤを介して各搬送ローラ41、42、43へと伝達される。
【0044】
また、プラテンローラ44のカード搬送方向下流側(リボン巻取リール55側)には、カードCを搬送する機能を有し、印刷部50によりカードCに印刷記録を行なうときにカードCを挟持するニップローラ45がカード搬送路P1に沿って設けられており、このニップローラ45のさらにカード搬送方向下流側には、カードCを搬送するための送りローラ46が同じくカード搬送路P1に沿って設けられている。ニップローラ45および送りローラ46の略中央には、カード搬送路P1に沿って搬送されるカードCの搬送方向先端を検出する発光素子56、受光素子57からなる透過型センサ(以下、第2カード検出センサという。)が配設されている。
【0045】
これらのニップローラ45および送りローラ46の回転軸にも図示を省略するギヤがそれぞれ設けられており、また、プラテンローラ44とニップローラ45、ニップローラ45と送りローラ45との間にも図示を省略する複数のギヤが設けられており、これら複数の図示しないギヤが相互に噛合うことにより、搬送駆動モータ70からの回転駆動力は、上述したプーリ、ベルトおよび図示しない複数のギヤを含む駆動力伝達機構を介して、プラテンローラ44の回転軸に設けられたギヤから分岐されてニップローラ45および送りローラ46にも伝達されていくことになる。なお、ニップローラ45および送りローラ46は、磁気エンコーダユニット80が、カードCの印画面の裏面に設けられた磁気ストライプ部に磁気記録処理をするときは、カードCを停止状態で挟持するように構成されている。
【0046】
<磁気エンコーダユニット>
印刷部50のカード搬送方向下流側には、送りローラ46に隣接して磁気エンコーダユニット80が設けられている。この磁気エンコーダユニット80には、ニップローラ45および送りローラ46によって挟持状態で停止保持されたカードCの磁気ストライプ部に磁気記録処理するために、カード搬送路P1に沿って走査するように往復移動する(自走する)磁気ヘッド81が設けられている。
【0047】
磁気エンコーダユニット80の一部には、カード搬送路P1に沿って搬送されるカードCを装置外へ排出可能な開口部として形成されたカード搬出口82が設けられている。つまり、このカード搬出口82は、カード供給口14に対向し、ケーシング2の他側であって、カード搬送路P1の延長線上に設けられている。
【0048】
磁気エンコーダユニット80の内部には、カードCをカード搬出口82に向けて搬送するとともに、カード搬出口82からカードCを搬出可能な搬出ローラ47が配設されている。磁気エンコーダユニット80には、この搬出ローラ47を回転駆動する駆動源は備えないが、搬出ローラ47と送りローラ46との間に図示しない複数のギヤを設けて連結することにより、送りローラ46に伝達された回転駆動力が搬出ローラ47へと伝わる。
【0049】
従って、プリンタ装置1は、カード供給部10から連なる略水平状のカード搬送路p1に沿って、カード供給口14、印刷部50および磁気エンコーダユニット80が設けられた構成を有している。
【0050】
また、図示から明らかなように、磁気エンコーダユニット80は、その一部が機体内部に差し込まれるようなユニット形状を有しており、搬送駆動モータ70は、印刷部50の下方で、かつ、磁気エンコーダユニット80と、以下に説明する、搬送ローラ41、42を第1の位置と第2の位置とに移動させる移動機構60(図8ないし図10参照)との間に配設されている。
【0051】
次に、図4〜図7を参照して、磁気エンコーダユニット80の構成についてさらに詳述する。カード搬送路P1の一部であって、プラテンローラ44の下流側には、サーマルヘッド51、プラテンローラ44を有して構成された印刷部50を通過したカードCをカード供給口14側に向けて逆搬送(スイッチバック搬送)するためのスイッチバックパスP2が形成されている(図4参照)。スイッチバックパスP2のカード搬送面の両側端には、搬送されるカードCをカード搬送路P1に沿って円滑にガイドするために、断面が略コ字状の固定側端ガイド87と断面が略逆コ字状の可動側端ガイド88とが対峙するように配設されている。
【0052】
固定側端ガイド87は、カードCの先端側を受け入れ側のニップローラ45と送りローラ46とのニップ点へ導くためのガイドである。このガイドを欠落すると、搬送されるカードCの先端がニップローラ45と送りローラ46とのニップ点以外の部分に当接し円滑な搬送が困難となる。一方、可動調整側端ガイド88は、固定側端ガイド87とともに搬送されるカードCの他側端をガイドするものである。この可動調整側端ガイド88は、カードC幅のサイズに応じガイド幅を調整するために移動可能で、図示を省略したバネにより常時固定側端ガイド87側に付勢されている。
【0053】
磁気エンコーダユニット80は、磁気ヘッド81を往復動させるためのヘッド駆動機構を備えている。ヘッド駆動機構は、ヘッドキャリッジ84、キャリッジガイド85、タイミングベルト86で構成されている。ヘッドキャリッジ84は、磁気ヘッド81を搭載しキャリッジガイド85に移動自在にガイド支持され、磁気エンコーダ領域a1(図4参照)を往復駆動する。
【0054】
この駆動力は、タイミングベルト86を介して図示しないエンコーダ付き直流モータにより駆動量が監視された状態で供給される。キャリッジガイド85は、ヘッドキャリッジ84をカードCの磁気ストライプ部に沿って平行にガイドする左右一対のシャフトで構成されている。ヘッドキャリッジ84には、磁気ヘッド81(の位置)を検出するためキャリッジガイド85を支持する支持フレームに取り付けられた透過型のヘッド検出センサ83によって検出される遮蔽板84aが一体成形により設けられている。
【0055】
また、磁気エンコーダユニット80は、カード搬送路P1のカード搬送面に対して下方に位置する退避位置と、カードCの磁気ストライプ部への書き込みないし読み取りを行うための動作位置との間で磁気ヘッド81を進退させるヘッド進退機構を備えている。
【0056】
図7に示すように、ヘッド進退機構は、カードCの側端部をガイド支持するガイド凹溝87aを形成する固定側端ガイド87のカード搬送方向前後端部より磁気ヘッド81の移動軌跡側に突出形成された傾斜ガイド部87b、87c(断面構造は図12参照)と、この傾斜ガイド部87b、87cとカード搬送方向前後端部位置で係合し磁気ヘッド81を下方に退避させるヘッドキャリッジ84に形成された傾斜部84cとで構成される。なお、この傾斜部84cは磁気ヘッド81を挟み前後に設けられるとともに、磁気ヘッド81自身が傾斜ガイド部87b、87cと接触しキズが付かないように配慮されている。また、押圧板89は、逆L字状の揺動アーム体で、一方の突出アーム89aのカードCを押圧する面には両面接着剤を用いて接着されたEPDM材等のゴム体89cを設け、他方の突出アーム89bにはヘッドキャリッジ84の移動方向に平行し当接ガイド89dが形成されている。そして、ヘッドキャリッジ84側にはその当接ガイド89dを移動時に押圧する当接ガイド揺動傾斜面84bが形成され、ヘッドキャリッジ84がホーム位置からの移動に伴い当接ガイド揺動傾斜面84bが当接ガイド89dを押圧することで、押圧板89が図中矢印方向に揺動され、ゴム体89cが停止中のカードCを上方から押圧支持するようになっている。
【0057】
従って、ヘッド進退機構により、カード搬送路P1のカード搬送面に対し下方に位置する退避位置と、カードCの磁気ストライプ部への書き込みないし読み取りを行うための動作位置との間での磁気ヘッド81の進退に連動して、押圧板89はカード搬送路P1(スイッチバックパスP2)のカード搬送面に対して昇降する。
【0058】
磁気ヘッド81は、ニップローラ45および送りローラ46に一時的に停止状態で挟持されたカードCの磁気ストライプ部に圧接し、その状態で磁気ストライプ部の端から端の全領域内で必要な範囲を移動し情報をストライプ部に記録する。なお、磁気ヘッド81の移動を阻止しないように、固定側端ガイド87と可動調整側端ガイド88、および、ニップローラ45と送りローラ46はヘッド軌跡内から退避した位置でカードCの搬送に関与するよう配設されている。
【0059】
上述したように、磁気エンコーダユニット80の一部には、カード搬送路P1に沿って搬送されるカードCを装置外へ排出可能なカード搬出口82が設けられている。搬出ローラ47は磁気ヘッド81で書き込まれた情報が書き込み不良のときは搬出ローラ47を駆動させカード搬出口82を介してカードCを装置外に排出する。また、この搬出ローラ47は上述したカード搬送系を構成する複数のローラの汚れをクリーニングするためのクリーニングカードを装置内に受け入れ(供給)、排出(搬出)するための機能を有している。
【0060】
次に、図8〜図10を参照して、カードクリーニング機構30と移動機構60について詳述する。なお、図8はカード供給口14からカードCを受け入れて、クリーニングローラ31と搬送ローラ41との間でカードCを挟持する直前の状態を示し、図9は印刷部50によりカードCの印画面に多色の面順次印刷記録を行なう際に、カードCをカード供給口14側に逆搬送した状態を示し、さらに、図10は記録処理後のカードCをカード排出口23に向けて搬送する状態を示している。
【0061】
<カードクリーニング機構>
カードクリーニング機構30は、クリーニングローラ31がカード搬送路P1に進出してカードCおよびコロ状クリーナ32に当接(面接触)可能とする動作位置と、カード搬送路P1から離間したホーム位置となる退避位置との間で移動自在に構成するために、ソレノイド34aと、このソレノイド34aの駆動切り替え(ON/OFF)により進退するプランジャ34bとからなるアクチュエータ34を有している。
【0062】
プランジャ34bの端部には、その一端部が回転自在に取り付けられたレバー部材35が設けられ、さらにレバー部材35の他端部に係合する係合部材36等が設けられている。係合部材36は、一端側が装置内部の所定位置に固定された引っ張りバネ37にフックされており、引っ張りバネ37の付勢力により常時上方側へ付勢されている。
【0063】
また、カードクリーニング機構30は、クリーニングローラ31を保持するホルダ33を有し、このホルダ33の一部に形成された凸状部位39が、上記係合部材36の一部に形成された凹状部位38に差し込まれて一体化される構成を有している。つまり、クリーニングローラ31を保持するホルダ33は、係合部材36に対して着脱自在に設けられている。さらに、カードクリーニング機構30は、印刷部50の一部として構成されるインクリボンRを内装するカートリッジ52の所定部位に着脱自在に取り付けられる支持部材53に固着して回転可能に設けられた、コロ状クリーナ32を含む構成を有している。
【0064】
なお、駆動部34のソレノイド34aが駆動されると(駆動ON)、レバー部材35が係合部材36を押し下げて、クリーニングローラ31を保持するホルダ33を間接的に押圧するように押し下げることでクリーニングローラ31が上記の動作位置に位置付けられる。
【0065】
<移動機構>
図8〜図10に示すように、移動機構60は、正逆転可能な駆動モータとしてのステッピングモータ61と、このステッピングモータ61の回転軸に設けられたモータギヤ62と、このモータギヤ62に噛合するギヤ部位を有するギヤ付きブラケット63等を有している。また、搬送ローラ41、42、43を軸支するローラシャフト64、65、66がギヤ付きブラケット63に保持されている。
【0066】
移動機構60は、ギヤ付きブラケット63が搬送ローラ43のローラシャフト66を中心として回動可能に取り付けられているため、ステッピングモータ61の正逆転駆動によりギヤ付きブラケット63が回動することで、搬送ローラ41、42を、第1の位置(搬送ローラ41、42を略水平状のカード搬送路を形成する位置、ホーム位置、図8、図9参照)と第2の位置(搬送ローラ41、42を傾斜状のカード搬送路を形成する位置、図10参照)との間で移動可能に構成されている。
【0067】
次に、プリンタ装置1の制御および電気系統について説明する。図2および図3に示すように、プリンタ装置1は、プリンタ装置1全体の動作制御を行う制御部95と、商用交流電源から各機構部および制御部等を駆動/作動可能な直流電源に変換する電源部90とを有している。
【0068】
<制御部>
図11に示すように、制御部95は、プリンタ装置1の全体の制御処理を行うマイクロコンピュータ95b(以下、マイコン95bと略称する。)を備えている。マイコン95bは、中央演算処理装置として高速クロックで作動するCPU、プリンタ装置1の基本制御動作(プログラムおよびプログラムデータ)が記憶されたROM、CPUのワークエリアとして働くRAMおよびこれらを接続する内部バスで構成されている。
【0069】
マイコン95bには外部バスが接続されている。外部バスには、上位装置100との通信を行うための図示を省略したインターフェース、カードCに印刷すべき印刷記録データやカードCの磁気ストライプ部に磁気記録すべき磁気記録データ等を一時的に格納するバッファメモリ95aが接続されている。
【0070】
また、外部バスには、各種センサからの信号を制御するセンサ制御部95c、各モータに駆動パルスや駆動電力を送出するモータドライバ等を制御するアクチュエータ制御部95d、サーマルヘッド51の熱エネルギーを制御するサーマルヘッド制御部95e、オペパネ部5を制御するための操作表示制御部95f、および、磁気エンコーダユニット80が接続されている。センサ制御部95cは発光素子48、受光素子49からなる第1カード検出センサ、発光素子56、受光素子57からなる第2カード検出センサおよび他の図示を省略するセンサに、アクチュエータ制御部95dはステッピングモータ61、搬送駆動モータ70および他の図示しないモータ、アクチュエータ34等に、サーマルヘッド制御部95eはサーマルヘッド51に、操作表示制御部95fはオペパネ部5にそれぞれ接続されている。
【0071】
なお、電源部90は、制御部95、サーマルヘッド51、オペパネ部5および磁気エンコーダユニット80に作動/駆動電源を供給している(図11参照)。
【0072】
(動作)
次に、本実施形態のプリンタ装置1の動作について、マイコン95bのCPU(以下、単にCPUという。)を主体として説明する。
【0073】
制御部95に電源が投入されると、CPUは、ROMに格納されたプログラムおよびプログラムデータを読み出し(RAMに展開し)、各機構部を作動させるための初期処理を行う。すなわち、初期処理では、外部バスを介してマイコン95bに接続され制御部95を構成するセンサ制御部95c等の各制御部95a、95c〜95f、磁気エンコーダユニット80との接続確認を行った後、各構成部が上述したホーム位置に位置しているか(図2、図8参照)をセンサ制御部95cからの信号等に基づいて判断し、各構成部がホーム位置に位置していない場合には、ホーム位置に移動させる。センサ制御部95cの信号等に基づいて、各構成要素をホーム位置への復帰動作を所定回繰り返してもホーム位置に移動しない場合には、上位装置100に報知するとともに、操作表示制御部95fを介して表示部4にその旨を表示させる。また、初期処理では、センサ制御部95cからの信号等に基づいて、カード供給部10にカードが収容されているか等も併せて判断し、収容されていないと判断したときは、同様に、上位装置100に報知するとともに、表示部4にその旨を表示し、さらに、カード供給部10にカードが収容されるまで待機する。
【0074】
上述した初期処理と並行して、CPUは、装置電源投入時に、ヘッド検出センサ83による磁気ヘッド81の検出結果に応じて、上述したヘッド駆動機構を駆動させることにより、磁気ヘッド81をホーム位置に移動させるヘッドイニシャル処理を実行する。
【0075】
すなわち、CPUは、装置電源投入時に、ヘッド検出センサ83が磁気ヘッド81を検知している場合(図12(A)の状態、このとき、磁気ヘッド81はヘッド待機領域a2(図4参照)内のホーム位置に位置しており、ヘッド検出センサ83は、例えば、オフないしローレベル信号を出力する。)には、アクチュエータ制御部95dを介して図示しないエンコーダ付き直流モータを駆動させヘッド駆動機構により磁気ヘッド81を、図12(A)の矢印Aで示すように上流側に移動させ、ヘッド検出センサ83が磁気ヘッド81を検知しない状態になった位置(図12(B)の状態、このとき、本例では、ヘッド検出センサ83はヘッド検出センサ83の中心からの距離d1が4mmに位置しており、ヘッド検出センサ83は、例えば、オンないしハイレベル信号を出力する。)から図12(B)の矢印Bで示すように下流側にスイッチバック(逆移動)させ、ヘッド検出センサ83が磁気ヘッド81を検出するホーム位置にセットする(図12(C)の状態)。このホーム位置は、キャリッジガイド85の端部からヘッドキャリッジ84が所定距離d2(本例では2.7mm)離間した位置、磁気ヘッド81がヘッド検出センサ83の中心から所定距離d3(本例では3mm)の位置に設定されている。
【0076】
これに対し、CPUは、装置電源投入時に、ヘッド検出センサ83が磁気ヘッド81を検知していない場合(図12(D)の状態、このとき、磁気ヘッド81はヘッド待機領域a2(図4参照)内には位置しておらず、ヘッド検出センサ83は、例えば、オンないしハイレベル信号を出力する。)には、磁気ヘッド81を図12(D)の矢印Bで示す下流側に移動させヘッド検出センサ83が磁気ヘッド81を検出するホーム位置にセットする(図12(E)の状態)。このようなヘッドイニシャル処理を行う理由は、何らかの事情により(例えば、停電)、装置電源投入時に、本来、ヘッド待機領域a2内のホーム位置に位置している磁気ヘッド81がホーム位置以外に位置する場合があるからである。
【0077】
一方、上位装置100にインストールされたプリンタドライバは、オペレータ(ユーザ)の指定した記録指令に基づいて、プリンタ装置1での記録動作を制御するための各種パラメータ値を決定し、その記録指令よりカードへの記録を行うための印刷記録データおよび磁気記録データを生成して、プリンタ装置1に送信する。制御部95のバッファメモリ95aには、記録制御指令となる各種パラメータ値、印刷記録データをY、M、C、Bkの色成分ごとに分解して得られた画像データないし文字データ、および、磁気記録データが格納される。なお、本形態では、上位装置100側において色成分(元データは、R、G、B)に分解し、プリンタ装置1でR、G、BからY、M、Cに変換されて画像データとして用いられ、上位装置100側で抽出されたBkデータがプリンタ装置1で同じくBkデータとして用いられて文字データに供される。
【0078】
CPUは、バッファメモリ95aに格納された記録制御指令(各種パラメータ値)を取り込み、これらのパラメータ値とRAMに展開されたプログラムおよびプログラムデータとに従って、以下のように各機構部を制御する。
【0079】
まず、アクチュエータ制御部95dを介してアクチュエータ34(ソレノイド34a)を駆動させ(ON状態)、クリーニングローラ31を図9に示す退避位置(ホーム位置)から図8に示す動作位置へと移動させて、カードCの受け入れ準備を行なう。このとき、移動機構60は、搬送ローラ41、42を、略水平状のカード搬送路を形成するように第1の位置(ホーム位置)に位置付けている(図2、図8に示す状態)。
【0080】
次に、CPUは、アクチュエータ制御部95dを介して搬送駆動モータ70を作動させ駆動伝達機構を介してカード搬送路P1上に配設された各ローラを駆動させるとともに、アクチュエータ制御部95dを介して供給ローラ11を回転駆動する図示を省略したモータを駆動する。
【0081】
これにより、カード供給部10の最下位のカードCは、供給コロ12と分離ゲート13との間およびカード供給口14を介してケーシング2内に搬入される。カードCは、クリーニングローラ31により印画面が清浄され、カード搬送路P1に沿ってカード搬出口82側に向けて搬送される(図2参照)。発光素子48、受光素子49からなる第1カード検出センサによってカードCの後端が検出されると、そのカード後端検出をトリガとして、CPUはアクチュエータ34(ソレノイド34a)の駆動を停止(OFF状態)させる。これにより、クリーニングローラ31は、レバー部材35による押圧動作から開放されて図8に示す動作位置から図9に示すホーム位置である退避位置へと移動する。
【0082】
カードCは、搬送駆動モータ70の駆動力により、両端部が送りローラ46、ニップローラ45に挟持される位置まで、カード排出口82に向けてカード搬送路P1上をさらに搬送される。CPUは、発光素子56、受光素子57からなる第2カード検出センサによるカード先端検出後、搬送駆動モータ70のパルス数が所定値に到ると、搬送駆動モータ70の駆動を停止させる。これにより、カードCは、両端部を搬送ローラ47とニップローラ45とで挟持状態で停止保持され、磁気エンコーダユニット80の磁気ヘッド81による磁気ストライプ部への磁気記録データの書き込みが可能な状態となる。
【0083】
CPUは、カードCへの磁気ストライプ部への情報書き込みを行うために、図示しないエンコーダ付き直流モータを駆動させヘッド駆動機構により磁気ヘッド81をホーム位置から動作位置に移動させ、ヘッド進退機構により、まず、カードCの浮き上がり(磁気エンコード領域a1での磁気ヘッド81による押圧によるカード搬送路P1からの離間)を防止するために、押圧板89でカードCの上面を押さえ、その状態でスイッチバックパスP2から下方の退避位置に位置していた磁気ヘッド81の押圧が解除され、磁気ヘッド81をカードCの磁気ストライプ部に圧接させる。次いで、CPUは、外部バスを介してバッファメモリ95aに格納されていた磁気記録データを磁気エンコーダユニット80に出力するとともに、図示しないエンコーダ付き直流モータを駆動させヘッド駆動機構により磁気ヘッド81を、カードCの磁気ストライプ部の端から端の全領域内の必要な範囲を図4の矢印Aで示す上流側に移動させて、磁気記録データを磁気ストライプ部に記録(記憶)させる。
【0084】
CPUは、カードCの磁気ストライプ部への磁気記録データの書き込みが終了すると、図示しないエンコーダ付き直流モータを停止、逆転させ、磁気ヘッド81を図4の矢印Aとは逆方向の下流側に移動させてカードCの磁気ストライプ部に書き込んだ磁気記録データを読み取り、バッファメモリ95aに格納された磁気記録データと読み取った磁気記録データとが一致するかのベリファイ(正しく書き込まれたかのチェック)を行う。なお、磁気ヘッド81はベリファイの終了により、ホーム位置に復帰する。
【0085】
CPUは、ベリファイ結果が書き込み不良のときは、上位装置100に報知するとともに、表示部4にその旨を表示して、搬送駆動モータ70を所定パルス数(正転)駆動することで、カードCを、カード搬出口82を介して装置外に搬出する。次いで、カード供給部10から新たなカードCの供給を受けて、上記と同様に磁気エンコーダユニット80に(新たな)カードCの磁気ストライプ部への磁気記録データの書き込みおよびベリファイを実行させる。
【0086】
一方、磁気エンコーダユニット80のマイコンからのベリファイ結果に問題がない(カードCの磁気ストライプ部への磁気記録データの書き込み不良がない)場合には、CPUは、搬送駆動モータ70を逆転駆動させ、両端部がニップローラ45、搬送ローラ47に挟持状態で停止保持されたカードCをカード搬送路P1に沿ってカード供給口14側に逆搬送する。この逆搬送の間、カードCの後端が発光素子48、受光素子49からなる第1カード検出センサで検出されると、さらに所定パルス数、搬送駆動モータ70の逆転駆動を継続して、搬送駆動モータ70の駆動を停止させる。これにより、カードCは、搬送方向後半部が搬送ローラ42、43に挟持状態で停止保持されるとともに、搬送方向先半部が搬送ローラ41に支持された状態となる(図9参照)。
【0087】
次にCPUは印刷処理を実行する。なお印刷処理の説明に先立ってリボン位置出し、カード位置出しとサーマルヘッド51による転写処理について説明する。
【0088】
<リボン位置出し>
CPUは、アクチュエータ制御部95dを介して巻取リール駆動モータ150を駆動させ、カートリッジ52のインクリボンRをリボン巻取リール55側へ巻き取り、印刷に先立って例えばインク層Y(イエロー)の所定位置が印刷開始位置に位置付けられるようにインクリボンRの位置出しを行う。
【0089】
CPUは、巻取リール駆動モータを駆動して、カートリッジ52のインクリボンRをリボン巻取リール55側へ巻き取り、発光素子58、受光素子59からなる透過型センサがインク層Bk(ブラック)の端部を検出した時点(受光素子59がインク層Bkによる発光素子58の発光が不透過状態から透過状態となったことを検出した時点)からインク層Bkの終端部を検出した時点の供給リール54の回転量(つまり巻取リール駆動モータ150のステップ数)をエンコーダセンサ251で検出しRAMに格納して現在のリボン位置と次画面の各色の印刷開始位置を算出する。
【0090】
その後さらにインクリボンRを巻き取り、保護層Opとインク層Yとの間にあるリボン位置出しマークR1を検出してから所定ステップ数、巻取リール駆動モータ150をさらに駆動して、インクリボンRを印刷開始位置まで移動させる。
【0091】
印刷中も巻取リール駆動モータ150のステップ数をカウントしているので、印刷が終了したリボン位置から次の印刷を開始するリボン位置までの距離b(図15参照。破線は印刷範囲。)は容易に算出できる。具体的には例えば、リボン位置出しマークR1からY色の印刷終了位置までの巻取リール駆動モータのステップ数と、リボン位置出しマークR1からM(マゼンタ)色の印刷開始位置までの巻取リール駆動モータ150のステップ数との差を求めれば、Y色の印刷終了位置からM色の印刷開始位置までどれだけ巻取リール駆動モータを駆動させればよいか算出できる。なお印刷終了位置とは、印刷が終わってインクリボンRがカードCから剥離された時点での位置のことである。
【0092】
<カード位置出し>
CPUは、搬送駆動モータ70を正転駆動させ、カードCを、カード搬送路P1上をカード搬出口82側へ向けて搬送するとともに、発光素子48、受光素子49からなる第1カード検出センサによりカードCの先端位置を検出する。その後検出位置から所定ステップ数搬送駆動モータ70をさらに駆動して、カードCの先端を印刷位置に合わせる。
【0093】
また、カードCに次の色の画像を印刷するためには、搬送駆動モータ70を逆転駆動させてカードCを、カード搬送路P1上をカード供給部10の方向へ搬送する。所定位置に達したら、再び搬送駆動モータ70を正転駆動させてカードCを印刷位置へ向けて搬送する。その後カードCを印刷位置に合わせるときは同様の手順で行う。
【0094】
<転写印刷処理>
そして、印刷部50によりカードCの表面に印刷記録データによる所期の文字、画像を印刷する。すなわち、カードCの表面にインクリボンR(例えばインク層Yの部分)を介在させ、CPUはアクチュエータ制御部95dを介してサーマルヘッド昇降モータ300を駆動させて、サーマルヘッド51を押圧しながら、Y色の画像データ(RGBデータからY成分が色変換された画像データ)に従ってサーマルヘッド51の加熱素子を選択的に作動させる。これにより、カードCの表面には、インクリボンRに塗着されたY(イエロー)色の熱転写インク成分が直接転写される。
【0095】
このとき、カードCは裏面側がプラテンローラ44に支持されるが、当初、搬送ローラ42、43で挟持搬送され、カード搬送路P1上をカード搬出口82側へ向けて搬送に従って、先端部側がニップローラ45、後端部側が搬送ローラ43で挟持搬送され、最後に、(後端部側をプラテンローラ44で裏面側を支持されながら)ニップローラ45により挟持搬送される。従って、搬送ローラ42、43およびニップローラ45は、印刷部50による印刷記録の際に、カードCを挟持し一定速度で搬送するキャプスタンローラとして機能する。CPUは、発光素子48、受光素子49からなるカード検出センサによりカードCの後端位置を確認して、さらに所定パルス数、搬送駆動モータ70の正転駆動を継続して、搬送駆動モータ70の駆動を停止させる。
【0096】
ちなみに、Y色の印刷が終了した時点で、次色のインクリボンRの位置出しと、カードCの位置出しをするために、CPUはサーマルヘッド昇降モータ300を駆動してサーマルヘッド51は退避させる。サーマルヘッド51が退避すると、サーマルヘッド51の移動距離分(本実施例では4mm)インクリボンRは弛んだ状態になる(図17)。
【0097】
この状態でカードCの位置出しのためにプラテンローラ44を回転させると、インクリボンRが静電気の影響でプラテンローラ44に巻きついてしまう場合がある(図28)。それを防止するために、インクリボンRの弛みを巻き取ることでプラテンローラ44から離間させる必要がある。しかし、単純に巻き取るだけでは次色の印刷のためのリボン位置出しに支障が出るので、インクリボンRの弛みを巻き取る距離aと上述した距離bとを比較してリボンの位置出しを行う必要がある。
【0098】
<印刷処理>
以下に印刷処理の流れを説明する。図20は印刷動作全体の流れを示したものである。以後、インクリボンRを巻き取るとはCPUが巻取リール駆動モータを正転駆動させてインクリボンRを巻取り、インクリボンRを戻すとはCPUが巻取リール駆動モータを逆転駆動させてインクリボンRを戻すことを言う。
【0099】
まず、カード供給口14からカードCが供給され、その後インクリボンRを所定距離a(本実施例では3mm:インクリボンRの弛みを取る量)戻す。次にインクリボンRの位置出しを行う。ここではまず、現在のリボン位置(初回印刷時はインク層Bkの後端を発光素子58、受光素子59からなる透過型センサが検出した位置。その後は前回の印刷が終了した位置。)から印刷を開始するリボン位置(本実施例では最初にY色を印刷するのでY色を印刷開始する位置)までの距離bを算出する。もし距離bが3mm未満なら、インクリボンRを3mm巻き取り、リボン戻し量を(3−b)mmにセットする。逆に距離bが3mm以上なら、この時点でインクリボンRを距離b分巻き取る。
【0100】
この状態だとインクリボンRの弛みは生じていないので、次にカードCを搬送してカードCの位置出しを行う。その後、インクリボンRを巻き戻す場合は、先ほど算出した距離(3−b)mm巻き戻して、サーマルヘッド51を印刷位置に降下してY色の印刷を開始する(図16)。
【0101】
Y色の印刷が終わったらサーマルヘッド51を退避位置へ上昇させる。このときインクリボンRはサーマルヘッド51が移動した距離分(本実施例では4mm)弛む(図17)。よって、次にM(マゼンタ)を印刷する場合はリボン位置出しを行う。ここで先ほどと同様に、現在のインクリボンRの位置(Y印刷終了位置)からM印刷開始位置までの距離bを算出する。もし距離bが3mm未満なら、インクリボンRを3mm巻き取り、リボン戻し量(3−b)mmをRAMに格納する。逆に距離bが3mm以上なら、この時点でインクリボンRを距離b巻き取る(図18)。
【0102】
その後カードCの位置出しを行い(図19)、インクリボンRを戻す場合は、先ほどRAMに格納した距離(3−b)mmインクリボンRを戻して(図20)、サーマルヘッド51を印刷位置に降下してM色の印刷を開始する(図16)。M色の印刷が終わったらサーマルヘッド51を退避位置へ上昇させる。同様にインクリボンRは再び弛む(図17)。
【0103】
以後C色(シアン)、Bk色(ブラック)、Op(保護層)を印刷するときは、M色(マゼンタ)の印刷処理と同様である。
もし、例えばMの印刷終了位置からCの印刷開始位置までの距離bが3mm以上ある場合は、インクリボンRの弛み取りを行う際にインクリボンRを距離b分巻き取るため、リボン位置出しは終了している。よって、カード位置出し後にインクリボンRを巻き戻すことはなく、そのままCの印刷を開始する(図16→図17→図18→図19→図16)。
【0104】
最後に、O(保護層)を印刷した後、カードCを排出するため、3mm巻き取ってインクリボンRの弛みを巻き取って印刷処理を終了する。
【0105】
なお、Y、M、C、Bk、Opすべて印刷するとは限らないので、インクリボンRの位置出しの際には印刷しない色を飛ばして次の色にセットされる。また、1枚のカードCの印刷が終了した時点で3mm巻き取り、カードCを排出して印刷処理を終了する。また、本実施例ではインクリボンRが4mm弛むのに対して弛みを取るために3mmリンクリボンRを巻き取っているが、弛みを取る量は4mm以下であればよい。ただし、弛んだインクリボンRが静電気の影響でプラテンローラ44に巻きつかない程度の距離は巻き取る必要がある。その際、弛みを取るために巻き取る距離をaとする。よって、カードCの表面には、Y、M、C、Bk、Opによるカラー画像(保護層含む)が形成される。
【0106】
次いで、CPUは、カードCをカード排出口23に向けて搬送する。すなわち、搬送駆動モータ70を逆転駆動させ、カードCをカード搬送路P1に沿ってカード供給口14側に逆搬送する。図8および図9に示すように、印刷部50によりカードCの印画面に多色の面順次印刷記録を行なう際に、カードCをカード供給口14側に逆搬送したとき(図9に示す状態)は、搬送ローラ41、42が略水平状のカード搬送路を形成するように位置付けられる第1の位置に維持されているが、所定の記録処理を終えたカードCがカード排出口23に向けて排出される際には、発光素子48、受光素子49からなるカード検出センサによりカード搬送路P1上を逆搬送されるカードCの後端を検出した時点、或いはカードCの後端を検出して数パルス経過した時点をトリガとして、CPUはステッピングモータ61を駆動制御して、移動機構60(ステッピングモータ61の駆動)により、搬送ローラ41、42を傾斜状のカード搬送路を形成するように位置付けられる第2の位置へと移動させる(図3、図10に示す状態)とともに、上述した供給ローラ11を回転駆動する図示を省略するモータを逆転駆動させ排出ローラ15を回転駆動させる。
【0107】
これにより、カードCはカード排出口23を介してカード収容部20に収容されるか、または、(カード収容部20にカードが満杯の場合は)カード放出口21から外部へ放出される。なお、図10に示すカード排出時においても、クリーニングローラ31は図9に示す状態と同じく、カード搬送路P1から離間したホーム位置である退避位置に位置付けられている。
【0108】
CPUは、カードCがカード収容部20に収容されたか、カード放出口21から放出された時点で、搬送駆動モータ70および図示を省略するモータの逆転駆動を停止させる。なお、CPUは、カードCのカード収容部20への排出動作が完了した所定のタイミングでステッピングモータ61を再度駆動(逆方向の回転駆動)して、搬送ローラ41、42を傾斜状のカード搬送路を形成するように位置付けられる第2の位置から略水平状のカード搬送路を形成するように位置付けられる第1の位置へと復帰させる。これにより、カードCへの記録処理が終了し、次のジョブがある場合は、以上の動作を繰り返す。
【0109】
(効果等)
次に、本実施形態のプリンタ装置1の効果等について説明する。
【0110】
上述したように、本実施形態では、印刷後のインクリボンRの弛みを取るためにインクリボンRを巻き取った距離aと、インクリボンRにおける印刷終了位置から次色の印刷開始位置までの距離bとを比較してインクリボンRの位置出しを制御している。よって、弛んだインクリボンRがプラテンローラに巻きつくことがなく、そのままリボン位置出しを行うためリボン位置出しの時間が短縮できる。また、弛み取りによってインクリボンRを巻取りすぎても上述した距離aと距離bとに応じてインクリボンRを戻すので、カードCに対して適正な位置にリボンを位置出しすることができる。
【0111】
<第二の実施例>
なお、本実施形態では巻取リール55側でインクリボンRの弛みを巻き取っていたが、供給リール54にインクリボンRの弛みを巻き取らせてもよい。この場合は、供給リール54に駆動を与える供給リール駆動モータ250を設けることでインクリボンRの弛みを取ることができる(図23)。
【0112】
以下に印刷処理の流れを説明するが、インクリボンRの弛みを取るとは、供給リール駆動モータ250が逆転駆動してインクリボンRの弛みを取る方向にリボン供給リール54を回転させることを言い、インクリボンRを戻すとは供給リール駆動モータ250が正転駆動してインクリボンRを弛ませる方向にリボン供給リール54を回転させることを言う。
【0113】
上位装置100から印刷要求を受け取ると、まず、カード供給口14からカードCが供給され、その後インクリボンRを3mm戻す(弛んだ状態になる)。
【0114】
次にインクリボンRの弛み取りを行う。ここではまず、現在のリボン位置(初回印刷時はインク層Bkの後端を発光素子58、受光素子59からなる透過型センサが検出した位置。その後は前回の印刷が終了した位置。)から印刷を開始するリボン位置(本実施例では最初にY色を印刷するのでY色を印刷開始する位置)までの距離b算出してRAMに格納する。その後インクリボンRの弛みを取り、その弛みを取った際にインクリボンRが移動した距離a(本実施例では3mm)をRAMに格納する。
【0115】
この状態だとインクリボンRの弛みは生じていないので、カードCを搬送してカードCの位置出しを行う。その後、先ほどRAMに格納した距離aと距離bとを加算した距離分巻取リール駆動モータ150を駆動してリボン巻取リール55を回転させてインクリボンRを巻き取り、Y色のリボン位置出しも行う。そして、サーマルヘッド51を印刷位置に降下してY色の印刷を開始する(図13)。
【0116】
Y色の印刷が終わったらサーマルヘッド51を退避位置へ上昇させる。このときインクリボンRはサーマルヘッド51が移動した距離分(本実施例では4mm)弛む(図17)。よって、次にM(マゼンタ)を印刷する場合はリボン弛み取りを行う。ここで先ほどと同様に、現在のインクリボンRの位置(Y色印刷終了位置)からM色印刷開始位置までの距離bを算出してRAMに格納する。その後インクリボンRの弛みを取り(図24)、その弛みを取った際にインクリボンRが移動した距離a(本実施例では3mm)をRAMに格納する。
【0117】
この状態だとインクリボンRの弛みは生じていないので、カードCを搬送してカードCの位置出しを行う(図25)。同時に、先ほどRAMに格納した距離aと距離bとを加算した距離分巻取リール駆動モータを駆動してリボン巻取リール55を回転させてインクリボンRを巻き取り、次の色(M色)のリボン位置出しも行う(図25)。そして、サーマルヘッド51を印刷位置に降下してMの印刷を開始する(図16)。以後C(シアン)、Bk(ブラック)、Op(保護層)を印刷するときは、M(マゼンタ)の印刷処理と同様である。
【0118】
最後に、O(保護層)を印刷した後、カードCを排出するため、3mm巻き取ってインクリボンRの弛みを取って印刷処理を終了する。
【0119】
なお、Y、M、C、Bk、Opすべて印刷するとは限らないので、インクリボンRの位置出しの際には印刷しない色を飛ばして次の色にセットされる。また、1枚のカードCの印刷が終了した時点で3mm巻き取り、カードCを排出して印刷処理を終了する。また、本実施例ではインクリボンRが4mm弛むのに対して弛みを取るために3mmリンクリボンRを巻き取っているが、供給リール駆動モータ250で弛みを取る場合は弛みが取れればどれだけ巻き取ってもよい。ただし、巻き取った距離aをRAMに格納する必要がある。よって、カードCの表面には、Y、M、C、Bk、Opによるカラー画像(保護層含む)が形成される。
【産業上の利用可能性】
【0120】
上述したように、本発明は印刷後にインクリボンが弛んでもプラテンローラ等に巻きつくことがなく、適正にリボン位置出しをすることができる印刷装置を提供するものであるため、印刷装置の製造、販売に寄与するので、産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】本発明が適用可能な実施形態のプリンタ装置の外観斜視図である。
【図2】実施形態のプリンタ装置の、記録処理前のブランクカードが搬入された状態を示す概略断面図である。
【図3】実施形態のプリンタ装置の、記録処理後のカードを排出する状態を示す概略断面図である。
【図4】実施形態のプリンタ装置の磁気エンコータユニットの要部を模式的に示す断面図である。
【図5】磁気エンコーダユニットの要部の外観斜視図である。
【図6】磁気エンコーダユニットの要部を図5とは異なる角度で視たときの外観斜視図である。
【図7】磁気エンコーダユニットのヘッド進退機構を示す断面図である。
【図8】搬送ローラの移動機構とカードクリーニング機構の動作を説明する部分拡大図であり、カードを受け入れる状態を示す。
【図9】搬送ローラの移動機構とカードクリーニング機構の動作を説明する部分拡大図であり、多色の面順次印刷をするときにカードを逆搬送した状態を示す。
【図10】搬送ローラの移動機構とカードクリーニング機構の動作を説明する部分拡大図であり、記録処理されたカードを排出する状態を示す。
【図11】実施形態のプリンタ装置の制御部の概略構成を示すブロック図である。
【図12】磁気ヘッドのイニシャライズを説明する動作説明図であって、(A)〜(E)はヘッド検出センサによる磁気ヘッドの検出、非検出の状態を示している。
【図13】巻取リール側のリール本体に係合するプリンタ装置の係合部の外観斜視図である。
【図14】供給リール側のリール本体に係合するプリンタ装置の係合部の外観斜視図である。
【図15】実施形態のインクリボンの構成を示す図であり、(A)はカードに前面印刷をする場合で、(B)はY色を途中まで印刷する場合で、(C)はY色とM色との間にも位置出しマークがある場合を示す。
【図16】実施形態の印刷動作を説明する図であり、印刷中の状態を示す。
【図17】実施形態の印刷動作を説明する図であり、印刷後にインクリボンが弛んだ状態を示す。
【図18】実施形態の印刷動作を説明する図であり、弛みを取った状態を示す。
【図19】実施形態の印刷動作を説明する図であり、カードの位置出しを行った状態を示す。
【図20】実施形態の印刷動作を説明する図であり、インクリボンを戻した状態を示す。
【図21】実施形態の印刷動作の流れを説明するフローチャートである。
【図22】図21の弛み取りステップを説明するフローチャートである。
【図23】第二の実施形態における供給リール側のリール本体に係合するプリンタ装置の係合部の外観斜視図である。
【図24】第二の実施形態の印刷動作を説明する図であり、弛みを取った状態を示す。
【図25】第二の実施形態の印刷動作を説明する図であり、リボン位置出しを行っている状態を示す。
【図26】第二の実施形態の印刷動作の流れを説明するフローチャートである。
【図27】図26の弛み取りステップを説明するフローチャートである。
【図28】従来の印刷装置で、弛んだインクリボンがプラテンローラに巻きついている状態を示した図である。
【符号の説明】
【0122】
1 プリンタ装置(カード記録装置)
2 ケーシング(装置筺体)
10 カード供給部
14 カード供給口
20 カード収容部
23 カード排出口
31 クリーニングローラ(クリーニング部材)
32 コロ状クリーナ(クリーナ)
41、42 搬送ローラ
45 ニップローラ(ローラ)
50 印刷部(第1の記録部)
52 カートリッジ
54 供給リール
55 巻取リール
58 発光素子
59 受光素子
60 移動機構
61 ステッピングモータ(駆動モータ)
62 モータギヤ
63 ギヤ付きブラケット
64、65、66 ローラシャフト
70 搬送駆動モータ
80 磁気エンコーダユニット(第2の記録部、磁気エンコード部)
81 磁気ヘッド
82 カード搬出口
95 制御部
95b マイコン(CPU)
150 巻取リール駆動モータ
151 (巻取り側)エンコーダセンサ
150 供給リール駆動モータ
251 (供給側)エンコーダセンサ
300 サーマルヘッド昇降モータ
C カード
R インクリボン(インク媒体)
a 弛み取りのために巻き取られる距離(第一の距離)
b 印刷終了位置から次色の印刷開始位置までの距離(第二の距離)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクリボンを介してサーマルヘッドを圧接して媒体に画像を印刷する印刷装置において、
前記インクリボンの未使用部が巻かれているリボン供給リールと、
前記インクリボンの使用済み部分が巻き取られるリボン巻取リールと、
前記サーマルヘッドを印刷位置と前記印刷位置から離間した退避位置との間で移動させるサーマルヘッド移動手段と、
前記リボン巻取リールに駆動を与える巻取リール駆動手段と、
前記インクリボンの位置を検出するリボン位置検出手段と、
前記媒体を印刷位置に位置出しをする媒体位置出し手段と、
印刷が終了して前記サーマルヘッドが退避位置に移動したときに、前記巻取リール駆動手段が前記巻取リールに前記インクリボンの弛みをとる方向に駆動を与えることによって前記インクリボンが移動する第一の距離と、前記リボン位置検出手段によって得られた印刷終了位置と次の印刷開始位置とまでの第二の距離とに応じて、前記インクリボンの所定部位を印刷開始位置に位置あわせをするために前記巻取リール駆動手段の駆動を制御する制御手段と、
を備えた印刷装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第一の距離が前記第二の距離より長い場合、前記巻取リール駆動手段を駆動して前記インクリボンの弛みを取り、前記媒体位置出し手段によって前記媒体を印刷位置に位置出しした後、前記巻取リール駆動手段を前記第一の距離と前記第二の距離との差分に相当する長さの前記インクリボンを戻すように制御することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第二の距離が前記第一の距離より長い場合、前記巻取リール駆動手段によって、前記第二の距離に相当する長さの前記インクリボンを巻き取るように制御することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記第一の距離は、前記サーマルヘッドの前記印刷位置から前記待機位置への移動距離よりも短いことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項5】
インクリボンを介してサーマルヘッドを圧接して媒体に画像を印刷する印刷装置において、
前記インクリボンの未使用部が巻かれているリボン供給リールと、
前記インクリボンの使用済み部分が巻き取られるリボン巻取リールと、
前記サーマルヘッドを印刷位置と前記印刷位置から離間した退避位置との間で移動させるサーマルヘッド移動手段と、
前記リボン供給リールに駆動を与える供給リール駆動手段と、
前記リボン巻取リールに駆動を与える巻取リール駆動手段と、
前記インクリボンの位置を検出するリボン位置検出手段と、
前記媒体を印刷位置に位置出しをする媒体位置出し手段と、
印刷が終了して前記サーマルヘッドが退避位置に移動したときに、前記供給リール駆動手段が前記供給リールに前記インクリボンの弛みをとる方向に駆動を与えることによって前記インクリボンを巻取り、それによって前記インクリボンが移動した第一の距離と、前記リボン位置検出手段によって得られた印刷終了位置から次の印刷開始位置までの第二の距離とに応じて、前記インクリボンの所定部位を印刷開始位置に位置あわせをするために前記巻取リール駆動手段の駆動を制御する制御手段と、
を備えた印刷装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記巻取リール駆動手段によって、前記第一の距離と前記第二の距離とを加算した長さに相当する前記インクリボンを巻き取るように制御することを特徴とする請求項5に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記リボン位置検出手段は、透過型センサと前記供給リールの回転を検出するエンコーダセンサとで構成したことを特徴とする請求項1又は5に記載の印刷装置。
【請求項8】
インクリボンを介してサーマルヘッドを圧接して媒体に画像を印刷する印刷方法であって、
前記サーマルヘッドを印刷位置と前記印刷位置から離間した退避位置との間で移動させるサーマルヘッド移動ステップと、
前記インクリボンの位置を検出するリボン位置検出ステップと、
印刷が終了して前記サーマルヘッドが退避位置に移動したときに前記インクリボンの弛みを取る弛み取りステップと、
前記媒体を印刷位置に合わせる媒体位置出しステップと、
前記弛み取りステップによって前記インクリボンが移動する第一の距離と、前記リボン位置検出ステップによって得られた印刷終了位置から次の印刷開始位置までの第二の距離とに応じて前記インクリボンの位置出しを行うリボン位置出しステップと、
を有する印刷方法。
【請求項9】
前記第一の距離が第二の距離よりも長い場合、前記弛み取りステップで第一の距離に相当する長さの前記インクリボンを巻取り、前記媒体位置出しステップで媒体を印刷位置に位置出しした後、前記リボン位置出しステップで前記第一の距離と第二の距離との差分に相当する長さの前記インクリボンを戻すことを特徴とする請求項8に記載の印刷方法。
【請求項10】
前記第二の距離が前記第一の距離よりも長い場合、前記リボン位置出しステップで前記第二の距離に相当する長さの前記インクリボンを巻き取ることを特徴とする請求項8に記載の印刷方法。
【請求項11】
前記弛み取りステップで弛みを取った後、前記媒体位置出しステップで媒体を印刷位置に位置出しすると同時に前記リボン位置出しステップで前記第一の距離と前記第二の距離とを加算した長さに相当する前記インクリボンを前記弛み取りステップで弛みを取った方向とは逆方向に巻き取ることを特徴とする請求項8に記載の印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2009−113228(P2009−113228A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−285848(P2007−285848)
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【出願人】(000231589)ニスカ株式会社 (568)
【Fターム(参考)】