印刷装置及び印刷方法
【課題】メンテナンスインクが存在するインクジェットプリンタにおいて、正確で公平なコスト計算や課金処理を行うことができる印刷装置を提供することを目的とする。
【解決手段】ジョブ毎に、印刷で使用したインク使用量をカウントする第1カウント手段がカウントしたインク使用量と、印刷以外で使用したインク使用量をカウントする第2カウント手段がカウントしたインク使用量とを記憶し、インクの単価を記憶し、上記印刷以外で使用したインク使用量を、属性に応じて印刷で使用したインク使用量へ割り振り、上記割り振った印刷以外で使用したインク使用量と印刷で使用したインク使用量の合計と、インク単価とに基づいて、属性に対するコストを算出し、この算出したコスト情報を出力する印刷装置である。
【解決手段】ジョブ毎に、印刷で使用したインク使用量をカウントする第1カウント手段がカウントしたインク使用量と、印刷以外で使用したインク使用量をカウントする第2カウント手段がカウントしたインク使用量とを記憶し、インクの単価を記憶し、上記印刷以外で使用したインク使用量を、属性に応じて印刷で使用したインク使用量へ割り振り、上記割り振った印刷以外で使用したインク使用量と印刷で使用したインク使用量の合計と、インク単価とに基づいて、属性に対するコストを算出し、この算出したコスト情報を出力する印刷装置である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクを使用して印刷する印刷装置において、コスト計算または課金処理を、より正確かつ公平に行い、または、ユーザが所望するコスト計算または課金処理を行う印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタの普及に伴い、多くの人々がインクジェットプリンタに接する機会が増えている。オフィス等にインクジェットプリンタが設置され、1つのインクジェットプリンタを複数の人、複数の部門で共有することが多い。複数の人、複数の部門で1つのインクジェットプリンタを使う場合、コスト計算や課金処理をより正確かつ公平に行うことが、オフィスの部門管理者の要望としてある。
【0003】
しかし、インクジェットプリンタについて、コスト計算や課金処理を正確かつ公平に実行することは困難である。つまり、印刷に使用しないインク(以下、「メンテナンスインク」という)が存在するので、コスト計算や課金処理を正確かつ公平に実行することは困難である。
【0004】
インクジェットプリンタは、インクヘッドの各ノズルからインクを吐出して印字するが、このノズルが詰まり、インクを吐出できないことがある。この場合、ユーザは、インクヘッドクリーニングを行う。このインクヘッドクリーニング時に、インクが使用され、このインクは、廃インクとして廃棄される。また、インクヘッドクリーニング時以外でも、あるタイミングでインクヘッドメンテナンスをするために、インクが使用され、廃インクが発生する。このようなヘッドクリーニングは、印刷品質を維持するために、インクジェットプリンタにおいて、必要不可欠なものである。
【0005】
このメンテナンスインクがあることによって、インクジェットプリンタのコスト計算や課金処理が困難である。たとえば、メンテナンスインクが発生した場合、次のジョブのインク使用量に加算して、コスト計算/課金処理を行うと、大規模なインクヘッドクリーニング処理後に、インクジェットプリンタを使用して印字した人のジョブのインク使用量として計算される。この場合、公平なインクの割り振りができず、正確で公平なコスト計算や課金処理が実現されない。
【0006】
メンテナンスインクを、インクの使用量として計算しないと、印刷で使用したインク量と、実際に消費されたインク量(メンテナンスインクも含む)とが合致しないので、上記と同様に、正確なコスト計算や課金処理ができない。
【0007】
起動時のトナーの使用量を考慮し、起動回数を考慮し、印刷用紙1枚あたりのコスト計算を行う発明が知られている。インクジェットプリンタの場合、起動回数のみでなく、様々な場面で、メンテナンスインクが消費される。したがって、特許文献1記載の発明では、メンテナンスインクが存在するインクジェットプリンタにおいて正確で公平なコスト計算や課金処理は不可能であるという問題がある。
【0008】
プリンタが印刷データを受信するインタフェースモジュールにおいて、受信データに基づいて、インクまたはトナーの使用量、紙送り量を計算し、コスト計算する発明が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−026249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のように、メンテナンスインクが発生するインクジェットプリンタにおいて、受信したジョブの印刷データを印刷したインク使用量のみからでは、正確で公平なコスト計算は不可能であるという問題がある。
【0011】
本発明は、メンテナンスインクが発生するインクジェットプリンタにおいて、正確で公平なコスト計算を行うことができる印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、ジョブ毎に、印刷で使用したインク使用量をカウントする第1カウント手段と、印刷以外で使用したインク使用量をカウントする第2カウント手段と、上記第1カウント手段がカウントしたインク使用量と、上記第2カウント手段がカウントしたインク使用量とを記憶する使用量記憶手段と、インクの単価を記憶する単価記憶手段と、上記印刷以外で使用したインク使用量を、属性に応じて印刷で使用したインク使用量へ割り振る割り振り手段と、上記割り振り手段が割り振った印刷以外で使用したインク使用量と印刷で使用したインク使用量の合計と、上記インク単価とに基づいて、上記属性に対するコストを算出する算出手段と、上記コスト算出手段が算出したコスト情報を出力する出力手段とを有することを特徴とする印刷装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、メンテナンスインクが発生するインクジェットプリンタにおいて、メンテナンスインクの使用量を割り振ることで、より正確で公平なコスト計算を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例1である印刷装置100を示すブロック図である。
【図2】外部機器110の構成例を示すブロック図である。
【図3】メンテナンスインク発生タイミングを示すタイムチャートである。
【図4】印刷装置100のパネル装置109を示す図である。
【図5】インクコスト情報を入力するためのパネル表示画面の例である。
【図6】実施例1の動作を示すフローチャートである。
【図7】各ジョブの各色インク使用量とコスト情報とを表示する画面の例である。
【図8】ユーザがメンテナンスインクの割り振り方法を入力する画面の例である。
【図9】メンテナンスインクをジョブ毎に均等に割り振った場合の画面である。
【図10】メンテナンスインクを割り振った画面の表示である。
【図11】図6に示すフローチャートの続きの動作を示すフローチャートである。
【図12】各部門にメンテナンスインクを割り振る画面例である。
【図13】ユーザ毎の課金状況を示す画面である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明を実施するための形態は次の実施例である。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の実施例1である印刷装置100を示すブロック図である。
【0017】
印刷装置100は、コントローラ111と、インクヘッド108と、パネル装置109とを有する。
【0018】
コントローラ111は、印刷装置100の制御手段であり、内部バス101と、ホストI/F103と、CPU104と、記憶手段105と、エンジンインタフェースであるI/F106と、パネルI/F107とによって構成されている。コントローラ111は、外部ネットワーク102を介して、PC等の外部機器110と接続され、外部機器110から、画像データを受信する。
【0019】
CPU104は、記憶手段105に予め記憶されているプログラム、パネル装置109からのモード指示、または、外部機器110からのコマンド(命令)によって、コントローラ111の全体を制御する中央処理装置である。また、CPU104は、記憶手段105に記憶されている印字データを解析し、印字ジョブデータと印刷装置制御コマンドとを解析する。
【0020】
記憶手段105は、パネル装置109からのモード指示の内容や、印字ジョブデータ等を保持することが可能な記憶装置である。記憶手段105は、HDDのような大容量記憶装置である場合もある。
【0021】
エンジンI/F106は、インクヘッド108との間で、コマンド及びステータスや、印字データを通信するインタフェースモジュールである。
【0022】
インクヘッド108は、インクを実際に吐出して紙に印字する。インクヘッド108で、各色のインクをどれだけ印字で使用し、どれだけメンテナンスインクで使用したかを、エンジンI/F106が算出し、その各色インク使用データは、記憶手段105に記憶される。
【0023】
パネルI/F107は、パネル装置109との間で、コマンド及びステータスを通信するインタフェースである。
【0024】
パネル装置109は、オペレータがモード指示を行ったり、オペレータに現在の印刷装置の状態を知らせたりする操作パネルである。実施例1では、パネル装置109から各色のインクコスト情報を入力することができる。また、各色のインク使用状況、コスト計算情報、課金情報等を、パネル装置109に表示する。また、パネル装置109を介して、ユーザは、どのコスト計算方法、または課金方法であるかを任意に選択することができる。課金方法の決定は、ユーザではなく、サービスマンのような権限を持った人に限られる場合もある。
【0025】
ホストI/F103は、外部機器110との間で通信するインタフェースであり、ネットワーク、USB、1394、セントロニクス仕様のインタフェース等である。
【0026】
コントローラ111は、外部機器110から文字情報や画像情報を受信すると、受信した情報を解析し、印刷用紙1ページ分ずつのプリントデータを、記憶手段105に記憶する。この印刷用紙1ページ分ずつのプリントデータは、エンジンI/F106からインクヘッド108に出力され、記録紙に印刷される。
【0027】
図2は、外部機器110の構成例を示すブロック図である。
【0028】
外部機器110の内部には、内部バス202によって接続されているCPU203と、記憶手段204とが搭載されている。
【0029】
つまり、CPU104は、ジョブ毎に、印刷で使用したインク使用量をカウントする第1カウント手段の例であり、印刷以外で使用したインク使用量をカウントする第2カウント手段の例である。また、CPU104は、上記印刷以外で使用したインク使用量を、属性に応じて印刷で使用したインク使用量へ割り振る割り振り手段の例である。CPU104は、上記割り振り手段が割り振った印刷以外で使用したインク使用量と印刷で使用したインク使用量の合計と、インク単価とに基づいて、上記属性に対するコストを算出する算出手段の例である。ホストI/F103は、上記算出手段が算出したコスト情報を出力する出力手段の例である。記憶手段105は、上記第1カウント手段がカウントしたインク使用量と、上記第2カウント手段がカウントしたインク使用量とを記憶する使用量記憶手段、インクの単価を記憶する単価記憶手段の例である。
【0030】
図3は、実施例1において、メンテナンスにともない消費されるメンテナンスインクがどのタイミングで発生するかについて、横軸を時間の流れとして示すタイムチャートである。
【0031】
定期的なヘッドクリーニング302、ユーザが行う手動のヘッドクリーニング303等によって、メンテナンスインクが発生する。また、使用環境(印刷頻度、温度、湿度)等に応じて、不定期にメンテナンスインクが発生する。
【0032】
従来技術では、ジョブ印刷301の場合、ヘッドクリーニングのインクが加算されず、次のジョブ印刷304を実行すると、定期ヘッドクリーニング302と手動ヘッドクリーニング303とで使用したメンテナンスインク量が、ジョブ印刷304に加算される。したがって、正確性、公平性に欠ける。
【0033】
図4は、印刷装置100に設けられているパネル装置109の一例を示す図である。
【0034】
パネル装置109には、液晶表示装置402と、命令決定ボタン403と、選択ボタン404とが設けられている。
【0035】
液晶表示装置402は、各種操作、メッセージを表示する。選択ボタン404を介して、ユーザが所望の指示を選択し、命令決定ボタン403で、命令を実行する。
【0036】
図5は、パネル装置109を介して各色のインクコスト情報を入力する場合に、各色のインクコスト情報を表示するパネル表示画面501の一例を示す図である。
【0037】
図5に示す例では、各色(マゼンタ、シアン、イエロー)の1ml当たりのコスト情報を日本円、USドルの両方で入力可能である。これら以外のインク色、両通貨以外の通貨単位に対応するようにしてもよい。
【0038】
図6は、実施例1の動作を示すフローチャートである。
【0039】
S601で、プリンタに電源が投入される。S602で、コスト計算を行う命令がユーザから指示されると、S603で、コスト計算対象のメンテナンスインクをコスト計算対象の各ジョブに割り振るかどうかを、ユーザに決定させる。コスト計算対象のメンテナンスインクを、コスト計算対象の各ジョブに割り振らなければ、S604に移行する。
【0040】
上記「コスト計算対象のメンテナンスインク」は、たとえば、まだ課金処理に使用していないメンテナンスインクである。コスト計算対象のメンテナンスインクをコスト計算対象の各ジョブに割り振る場合、S605で、コスト計算対象のメンテナンスインクを、コスト計算対象の各ジョブに均等に割り振るかどうかを、ユーザに決定させる。
【0041】
コスト計算対象のメンテナンスインクを、各ジョブに均等に割り振る場合、S606で、コスト計算対象のメンテナンスインクを、コスト計算対象の各ジョブに均等に割り振る処理を行う。
【0042】
コスト計算対象のメンテナンスインクをコスト計算対象の各ジョブに均等に割り振らない場合、S607で、コスト計算対象のメンテナンスインクを、コスト計算対象の各ジョブのインク使用量に比例して、割り振る処理を実行する。その後は、S608で、ジョブ毎のコスト表示を行うかどうかを、ユーザに決定させる。
【0043】
ジョブ毎のコスト表示を行う場合、S610で、ジョブ毎に、コストを表示する。ジョブ毎のコスト表示を行わなければ、S609で、部門毎にコスト計算をするかどうかを、ユーザに決定させる。
【0044】
部門毎にコスト計算する場合、S611で、部門毎にコスト計算を行い、コストを表示する。部門毎にコスト計算を行わない場合、S612で、人毎にコストを計算し、コストを表示する。
【0045】
なお、上記属性は、印刷ジョブ、部門、ユーザの少なくともいずれか1つである。上記属性として、上記の他に、部門にとらわれないプロジェクトを考えることができ、また、1ヶ月、半年等の期間を考えることができる。
【0046】
図7は、実施例1において、各ジョブでの各色インク使用量とコスト情報とを、パネル装置109に表示した場合におけるパネル表示画面701の一例を示す図である。
【0047】
ジョブA、ジョブBで使用したマゼンタ、シアンのインク量と、ジョブA、ジョブBでのインクコスト情報とを知ることができる。
【0048】
図8は、実施例1において、ユーザがメンテナンスインクの割り振り方法を、パネル装置109を介して入力した場合に、パネル表示画面801で表示している例を示す図である。
【0049】
この表示例では、メンテナンスインクを、ジョブ毎に均等に割り振るのか、インク使用量に比例して割り振るのかの2つの選択が可能である。パネル表示画面801において、所望の方法に対応するチェックボックスにチェックを入れることによって、決定できる。この処理は、図6のフローチャートにおけるS605の処理の一例である。
【0050】
図9は、実施例1において、メンテナンスインクをジョブ毎に均等に割り振った場合におけるパネル表示画面901を示す図である。
【0051】
インクのコストが、1ml=10円(各色同じコスト)である場合、ジョブAにおいて、全てのインク色の印字で使用したインク使用量の合計は、2mlであり、ジョブBにおいて、全てのインク色の印字で使用したインク使用量の合計は、8mlである。
【0052】
ここで、詳細な説明は省略するが、コスト計算結果に応じた課金が既に行われたジョブに対しては、課金の項目に「済み」のフラグを記憶する(記憶手段105を使用して記憶される)こととする。図9(図10も同じ)では、ジョブCが課金済のジョブである。そして、メンテナンスインクの振り分けは未課金のジョブに対してのみ行い、課金済みのジョブはメンテナンスインク振り分けの対象としない。これは、メンテナンスインクの振り分けによりコスト算出結果が変化するため、一旦課金処理されたジョブに対してコスト算出結果が変化し課金処理が複雑になるのを防止するためである。図9(図10も同じ)に示すように、未課金(コスト計算の対象)のジョブは、ジョブAとジョブBとの2つであるので、これら2つのジョブが、コスト計算の対象ジョブである。前回の課金を行ってから現在までに使用したメンテナンスインクの各色合計使用量が、1mlであるので、1÷2=0.5mlが、ジョブAとジョブBとの各色合計インク使用量に加算される。したがって、ジョブAの各色合計インク使用量は、2+0.5=2.5mlであり、ジョブBの各色合計インク使用量は、8+0.5=8.5mlである。
【0053】
メンテナンスインクの各色合計使用量は、パネル表示画面901には表示しない。この結果に基づいてコスト計算を行うと、ジョブAのコストは25円であると算出され、ジョブBのコストは、85円であると算出される。
【0054】
図10は、実施例1において、コスト計算対象の各ジョブのインク使用量に比例して、メンテナンスインクを割り振った場合に、パネル表示画面1001の表示例を示す図である。
【0055】
同様に、インクのコストが1ml=10円(各色同じコスト)であれば、ジョブAにおいて、全てのインク色の印字で使用したインク使用量の合計は、2mlであり、ジョブBにおいて、全てのインク色の印字で使用したインク使用量の合計は、8mlである。未課金のジョブは、ジョブAとジョブBとの2つであるので、これら2つのジョブがコスト計算の対象ジョブである。
【0056】
メンテナンスインクは、ジョブAとジョブBとのインク使用量の比2:8=1:4の割合で分配される。前回の課金を行ってから現在までに使用したメンテナンスインクの各色合計使用量が1mlである。したがって、ジョブAには、1×1/(1+4)=0.2mlのメンテナンスインクの使用量が加算され、ジョブBには、1×4/(1+4)=0.8mlのメンテナンスインク使用量が加算される。よって、ジョブAの各色合計インク使用量は、2+0.2=2.2mlであり、ジョブBの各色合計インク使用量は、8+0.8=8.8mlである。
【0057】
メンテナンスインクの各色合計使用量は、パネル表示画面1001には表示しない。この結果でコストを計算すると、ジョブAのコストは、22円であり、ジョブBのコストは、88円であると算出される。
【0058】
図11は、図6に示すフローチャートの続きの動作を示すフローチャートである。
【0059】
コスト対象のメンテナンスインクを、コスト計算対象の各ジョブに割り当てない場合、S1101で、コスト計算対象のメンテナンスインクを、部門毎に振り分けるかどうかをユーザに決定させる。メンテナンスインクを部門毎に割り振る場合、S1102で、部門毎に均等に割り振るかどうかを、ユーザに決定させる。均等に割り振る場合、S1103で、部門毎に均等に割り振る。均等に割り振らなければ、S1104で、ユーザ設定の割合で、部門毎に割り振る。
【0060】
S1101で、メンテナンスインクを部門毎に割り振らないと判断されれば、S1105で、メンテナンスインクを各人に均等に割り振るかどうかをユーザに決定させる。各人に、メンテナンスインクを均等に割り振る場合、S1106で、人毎にメンテナンスインクを均等に割り振る。
【0061】
メンテナンスインクを人毎に均等に割り振らない場合、S1107で、メンテナンスインクを、各人のインク使用量に比例して割り振るかどうかをユーザに決定させる。メンテナンスインクを各人のインク使用量に比例して割り振る場合、S1108で、メンテナンスインクを、各人のインク使用量に比例して割り振る。メンテナンスインクを各人のインク使用量に比例して割り振らなければ、S1109で、ユーザ設定の割合で、人毎に割り振る。
【0062】
図12は、実施例1において、印刷装置100を使用する各部門に、メンテナンスインクを割り振る場合におけるパネル表示画面1201の表示例を示す図である。
【0063】
パネル表示画面1201は、メンテナンスインクを、部門Aに20%の割合で割り振り、部門Bに30%の割合で割り振り、部門Cに50%の割合で割り振る場合のパネル表示画面を表示している。ユーザは、割り当てる部門を、追加、削除ができ、配分も任意に設定することができる。
【0064】
図13は、実施例1において、各ユーザ(人毎に)のコストを算出した場合のコスト一覧を表示する画面1301を示す図である。説明は省略するが、コスト計算の結果に基づいて行われる課金処理では、各ユーザに対してこの画面に表示された金額を課金する。
【0065】
パネル表示画面1301は、各色のインクのコストが1ml=10円(各色同じコスト)である場合を示す画面である。
【0066】
なお、以上の実施例では、コスト計算結果を出力する出力手段は、パネル装置109のパネルI/F107であり、パネルI/F107(出力手段)により出力されたコスト計算結果はパネル装置109の表示部に表示されるものとする。しかし、これに限らず、コスト計算結果を出力する出力手段として、ホストI/F103(出力手段)により出力されたコスト計算結果を外部機器110(ホストPCまたはサーバ)へ送信することで外部機器による表示及び課金処理に使用できる。
【0067】
また、実施例1の変形例は、図1に示す外部機器110と連携して、印刷装置100を構築する例であり、コントローラ111と外部機器110とを、ネットワーク回線等の外部ネットワーク102によって、相互通信する例である。
【0068】
実施例1は、全ての機能が印刷装置100に備えられている。しかし、各色のインク使用量を記憶する記憶手段204、または、各色のインク単価を入力する入力手段、または各色のインクの単価を記憶する記憶手段204を、外部機器110に設けるようにしてもよい。また、印刷以外で使用したインク使用量を、ある法則に従って、各印刷ジョブ、人または部門へ属するインク使用量として割り振る割り振り手段を、外部機器110に設けるようにしてもよい。または、各色のインク単価にて、ジョブ毎または各人、各部門へ属するコスト計算または課金処理をする処理手段を、外部機器110に設けるようにしてもよい。
【0069】
これらを処理するプログラムは、外部機器110内の記憶手段204に保持され、CPU203を使うことによって処理される。
【0070】
印刷装置100に装備されるパネル装置109の表示画面は、その大きさに制限があるので、これらの機能を、PCのような外部機器110に備えることによって、より操作性が高く、高機能なシステムを構築することができる。
【0071】
なお、上記割り振り手段は、上記印刷以外で使用したインク使用量を、コスト計算対象の各属性に均等に割り振る手段である。また、上記割り振り手段は、上記印刷以外で使用したインク使用量を、各印刷ジョブで印刷に使用したインク使用量に応じて、各属性のインク使用量へ割り振る手段である。さらに、上記割り振り手段は、各ユーザまたは各部門に、予め定められた比率で割り振る手段である。しかも、上記割り振り手段における割り振り方法を、ユーザが選択し、決定可能である。そして、上記割り振り手段は、印刷以外で使用したインク使用量が割り振られていないジョブへ印刷以外で使用したインク使用量を割り振る手段である。加えて、上記出力手段は、表示手段である。また、上記出力手段は、外部機器へコスト情報を送信する送信手段である。さらに、上記使用量記憶手段、上記単価記憶手段、上記割り振り手段、上記算出手段のうちの少なくとも1つの手段が、上記印刷装置が通信する外部機器に設けられている。
【0072】
また、上記実施例における各手段を工程に置き換えれば、上記実施例を印刷方法として把握することができる。つまり、上記実施例は、第1カウント工程と、第2カウント工程と、使用量記憶工程と、単価記憶工程と、割り振り工程と、算出工程と、出力工程とを有する印刷方法の例である。
【符号の説明】
【0073】
501…インクコスト入力の表示画面、
701…インクコスト表示画面、
801…メンテナンスインク割り振り画面、
901…インクコスト表示画面、
1001…インクコスト表示画面、
1201…部門毎にメンテナンスインクを割り振る場合の表示画面、
1301…各ユーザのインクコスト表示画面。
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクを使用して印刷する印刷装置において、コスト計算または課金処理を、より正確かつ公平に行い、または、ユーザが所望するコスト計算または課金処理を行う印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタの普及に伴い、多くの人々がインクジェットプリンタに接する機会が増えている。オフィス等にインクジェットプリンタが設置され、1つのインクジェットプリンタを複数の人、複数の部門で共有することが多い。複数の人、複数の部門で1つのインクジェットプリンタを使う場合、コスト計算や課金処理をより正確かつ公平に行うことが、オフィスの部門管理者の要望としてある。
【0003】
しかし、インクジェットプリンタについて、コスト計算や課金処理を正確かつ公平に実行することは困難である。つまり、印刷に使用しないインク(以下、「メンテナンスインク」という)が存在するので、コスト計算や課金処理を正確かつ公平に実行することは困難である。
【0004】
インクジェットプリンタは、インクヘッドの各ノズルからインクを吐出して印字するが、このノズルが詰まり、インクを吐出できないことがある。この場合、ユーザは、インクヘッドクリーニングを行う。このインクヘッドクリーニング時に、インクが使用され、このインクは、廃インクとして廃棄される。また、インクヘッドクリーニング時以外でも、あるタイミングでインクヘッドメンテナンスをするために、インクが使用され、廃インクが発生する。このようなヘッドクリーニングは、印刷品質を維持するために、インクジェットプリンタにおいて、必要不可欠なものである。
【0005】
このメンテナンスインクがあることによって、インクジェットプリンタのコスト計算や課金処理が困難である。たとえば、メンテナンスインクが発生した場合、次のジョブのインク使用量に加算して、コスト計算/課金処理を行うと、大規模なインクヘッドクリーニング処理後に、インクジェットプリンタを使用して印字した人のジョブのインク使用量として計算される。この場合、公平なインクの割り振りができず、正確で公平なコスト計算や課金処理が実現されない。
【0006】
メンテナンスインクを、インクの使用量として計算しないと、印刷で使用したインク量と、実際に消費されたインク量(メンテナンスインクも含む)とが合致しないので、上記と同様に、正確なコスト計算や課金処理ができない。
【0007】
起動時のトナーの使用量を考慮し、起動回数を考慮し、印刷用紙1枚あたりのコスト計算を行う発明が知られている。インクジェットプリンタの場合、起動回数のみでなく、様々な場面で、メンテナンスインクが消費される。したがって、特許文献1記載の発明では、メンテナンスインクが存在するインクジェットプリンタにおいて正確で公平なコスト計算や課金処理は不可能であるという問題がある。
【0008】
プリンタが印刷データを受信するインタフェースモジュールにおいて、受信データに基づいて、インクまたはトナーの使用量、紙送り量を計算し、コスト計算する発明が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−026249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のように、メンテナンスインクが発生するインクジェットプリンタにおいて、受信したジョブの印刷データを印刷したインク使用量のみからでは、正確で公平なコスト計算は不可能であるという問題がある。
【0011】
本発明は、メンテナンスインクが発生するインクジェットプリンタにおいて、正確で公平なコスト計算を行うことができる印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、ジョブ毎に、印刷で使用したインク使用量をカウントする第1カウント手段と、印刷以外で使用したインク使用量をカウントする第2カウント手段と、上記第1カウント手段がカウントしたインク使用量と、上記第2カウント手段がカウントしたインク使用量とを記憶する使用量記憶手段と、インクの単価を記憶する単価記憶手段と、上記印刷以外で使用したインク使用量を、属性に応じて印刷で使用したインク使用量へ割り振る割り振り手段と、上記割り振り手段が割り振った印刷以外で使用したインク使用量と印刷で使用したインク使用量の合計と、上記インク単価とに基づいて、上記属性に対するコストを算出する算出手段と、上記コスト算出手段が算出したコスト情報を出力する出力手段とを有することを特徴とする印刷装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、メンテナンスインクが発生するインクジェットプリンタにおいて、メンテナンスインクの使用量を割り振ることで、より正確で公平なコスト計算を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例1である印刷装置100を示すブロック図である。
【図2】外部機器110の構成例を示すブロック図である。
【図3】メンテナンスインク発生タイミングを示すタイムチャートである。
【図4】印刷装置100のパネル装置109を示す図である。
【図5】インクコスト情報を入力するためのパネル表示画面の例である。
【図6】実施例1の動作を示すフローチャートである。
【図7】各ジョブの各色インク使用量とコスト情報とを表示する画面の例である。
【図8】ユーザがメンテナンスインクの割り振り方法を入力する画面の例である。
【図9】メンテナンスインクをジョブ毎に均等に割り振った場合の画面である。
【図10】メンテナンスインクを割り振った画面の表示である。
【図11】図6に示すフローチャートの続きの動作を示すフローチャートである。
【図12】各部門にメンテナンスインクを割り振る画面例である。
【図13】ユーザ毎の課金状況を示す画面である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明を実施するための形態は次の実施例である。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の実施例1である印刷装置100を示すブロック図である。
【0017】
印刷装置100は、コントローラ111と、インクヘッド108と、パネル装置109とを有する。
【0018】
コントローラ111は、印刷装置100の制御手段であり、内部バス101と、ホストI/F103と、CPU104と、記憶手段105と、エンジンインタフェースであるI/F106と、パネルI/F107とによって構成されている。コントローラ111は、外部ネットワーク102を介して、PC等の外部機器110と接続され、外部機器110から、画像データを受信する。
【0019】
CPU104は、記憶手段105に予め記憶されているプログラム、パネル装置109からのモード指示、または、外部機器110からのコマンド(命令)によって、コントローラ111の全体を制御する中央処理装置である。また、CPU104は、記憶手段105に記憶されている印字データを解析し、印字ジョブデータと印刷装置制御コマンドとを解析する。
【0020】
記憶手段105は、パネル装置109からのモード指示の内容や、印字ジョブデータ等を保持することが可能な記憶装置である。記憶手段105は、HDDのような大容量記憶装置である場合もある。
【0021】
エンジンI/F106は、インクヘッド108との間で、コマンド及びステータスや、印字データを通信するインタフェースモジュールである。
【0022】
インクヘッド108は、インクを実際に吐出して紙に印字する。インクヘッド108で、各色のインクをどれだけ印字で使用し、どれだけメンテナンスインクで使用したかを、エンジンI/F106が算出し、その各色インク使用データは、記憶手段105に記憶される。
【0023】
パネルI/F107は、パネル装置109との間で、コマンド及びステータスを通信するインタフェースである。
【0024】
パネル装置109は、オペレータがモード指示を行ったり、オペレータに現在の印刷装置の状態を知らせたりする操作パネルである。実施例1では、パネル装置109から各色のインクコスト情報を入力することができる。また、各色のインク使用状況、コスト計算情報、課金情報等を、パネル装置109に表示する。また、パネル装置109を介して、ユーザは、どのコスト計算方法、または課金方法であるかを任意に選択することができる。課金方法の決定は、ユーザではなく、サービスマンのような権限を持った人に限られる場合もある。
【0025】
ホストI/F103は、外部機器110との間で通信するインタフェースであり、ネットワーク、USB、1394、セントロニクス仕様のインタフェース等である。
【0026】
コントローラ111は、外部機器110から文字情報や画像情報を受信すると、受信した情報を解析し、印刷用紙1ページ分ずつのプリントデータを、記憶手段105に記憶する。この印刷用紙1ページ分ずつのプリントデータは、エンジンI/F106からインクヘッド108に出力され、記録紙に印刷される。
【0027】
図2は、外部機器110の構成例を示すブロック図である。
【0028】
外部機器110の内部には、内部バス202によって接続されているCPU203と、記憶手段204とが搭載されている。
【0029】
つまり、CPU104は、ジョブ毎に、印刷で使用したインク使用量をカウントする第1カウント手段の例であり、印刷以外で使用したインク使用量をカウントする第2カウント手段の例である。また、CPU104は、上記印刷以外で使用したインク使用量を、属性に応じて印刷で使用したインク使用量へ割り振る割り振り手段の例である。CPU104は、上記割り振り手段が割り振った印刷以外で使用したインク使用量と印刷で使用したインク使用量の合計と、インク単価とに基づいて、上記属性に対するコストを算出する算出手段の例である。ホストI/F103は、上記算出手段が算出したコスト情報を出力する出力手段の例である。記憶手段105は、上記第1カウント手段がカウントしたインク使用量と、上記第2カウント手段がカウントしたインク使用量とを記憶する使用量記憶手段、インクの単価を記憶する単価記憶手段の例である。
【0030】
図3は、実施例1において、メンテナンスにともない消費されるメンテナンスインクがどのタイミングで発生するかについて、横軸を時間の流れとして示すタイムチャートである。
【0031】
定期的なヘッドクリーニング302、ユーザが行う手動のヘッドクリーニング303等によって、メンテナンスインクが発生する。また、使用環境(印刷頻度、温度、湿度)等に応じて、不定期にメンテナンスインクが発生する。
【0032】
従来技術では、ジョブ印刷301の場合、ヘッドクリーニングのインクが加算されず、次のジョブ印刷304を実行すると、定期ヘッドクリーニング302と手動ヘッドクリーニング303とで使用したメンテナンスインク量が、ジョブ印刷304に加算される。したがって、正確性、公平性に欠ける。
【0033】
図4は、印刷装置100に設けられているパネル装置109の一例を示す図である。
【0034】
パネル装置109には、液晶表示装置402と、命令決定ボタン403と、選択ボタン404とが設けられている。
【0035】
液晶表示装置402は、各種操作、メッセージを表示する。選択ボタン404を介して、ユーザが所望の指示を選択し、命令決定ボタン403で、命令を実行する。
【0036】
図5は、パネル装置109を介して各色のインクコスト情報を入力する場合に、各色のインクコスト情報を表示するパネル表示画面501の一例を示す図である。
【0037】
図5に示す例では、各色(マゼンタ、シアン、イエロー)の1ml当たりのコスト情報を日本円、USドルの両方で入力可能である。これら以外のインク色、両通貨以外の通貨単位に対応するようにしてもよい。
【0038】
図6は、実施例1の動作を示すフローチャートである。
【0039】
S601で、プリンタに電源が投入される。S602で、コスト計算を行う命令がユーザから指示されると、S603で、コスト計算対象のメンテナンスインクをコスト計算対象の各ジョブに割り振るかどうかを、ユーザに決定させる。コスト計算対象のメンテナンスインクを、コスト計算対象の各ジョブに割り振らなければ、S604に移行する。
【0040】
上記「コスト計算対象のメンテナンスインク」は、たとえば、まだ課金処理に使用していないメンテナンスインクである。コスト計算対象のメンテナンスインクをコスト計算対象の各ジョブに割り振る場合、S605で、コスト計算対象のメンテナンスインクを、コスト計算対象の各ジョブに均等に割り振るかどうかを、ユーザに決定させる。
【0041】
コスト計算対象のメンテナンスインクを、各ジョブに均等に割り振る場合、S606で、コスト計算対象のメンテナンスインクを、コスト計算対象の各ジョブに均等に割り振る処理を行う。
【0042】
コスト計算対象のメンテナンスインクをコスト計算対象の各ジョブに均等に割り振らない場合、S607で、コスト計算対象のメンテナンスインクを、コスト計算対象の各ジョブのインク使用量に比例して、割り振る処理を実行する。その後は、S608で、ジョブ毎のコスト表示を行うかどうかを、ユーザに決定させる。
【0043】
ジョブ毎のコスト表示を行う場合、S610で、ジョブ毎に、コストを表示する。ジョブ毎のコスト表示を行わなければ、S609で、部門毎にコスト計算をするかどうかを、ユーザに決定させる。
【0044】
部門毎にコスト計算する場合、S611で、部門毎にコスト計算を行い、コストを表示する。部門毎にコスト計算を行わない場合、S612で、人毎にコストを計算し、コストを表示する。
【0045】
なお、上記属性は、印刷ジョブ、部門、ユーザの少なくともいずれか1つである。上記属性として、上記の他に、部門にとらわれないプロジェクトを考えることができ、また、1ヶ月、半年等の期間を考えることができる。
【0046】
図7は、実施例1において、各ジョブでの各色インク使用量とコスト情報とを、パネル装置109に表示した場合におけるパネル表示画面701の一例を示す図である。
【0047】
ジョブA、ジョブBで使用したマゼンタ、シアンのインク量と、ジョブA、ジョブBでのインクコスト情報とを知ることができる。
【0048】
図8は、実施例1において、ユーザがメンテナンスインクの割り振り方法を、パネル装置109を介して入力した場合に、パネル表示画面801で表示している例を示す図である。
【0049】
この表示例では、メンテナンスインクを、ジョブ毎に均等に割り振るのか、インク使用量に比例して割り振るのかの2つの選択が可能である。パネル表示画面801において、所望の方法に対応するチェックボックスにチェックを入れることによって、決定できる。この処理は、図6のフローチャートにおけるS605の処理の一例である。
【0050】
図9は、実施例1において、メンテナンスインクをジョブ毎に均等に割り振った場合におけるパネル表示画面901を示す図である。
【0051】
インクのコストが、1ml=10円(各色同じコスト)である場合、ジョブAにおいて、全てのインク色の印字で使用したインク使用量の合計は、2mlであり、ジョブBにおいて、全てのインク色の印字で使用したインク使用量の合計は、8mlである。
【0052】
ここで、詳細な説明は省略するが、コスト計算結果に応じた課金が既に行われたジョブに対しては、課金の項目に「済み」のフラグを記憶する(記憶手段105を使用して記憶される)こととする。図9(図10も同じ)では、ジョブCが課金済のジョブである。そして、メンテナンスインクの振り分けは未課金のジョブに対してのみ行い、課金済みのジョブはメンテナンスインク振り分けの対象としない。これは、メンテナンスインクの振り分けによりコスト算出結果が変化するため、一旦課金処理されたジョブに対してコスト算出結果が変化し課金処理が複雑になるのを防止するためである。図9(図10も同じ)に示すように、未課金(コスト計算の対象)のジョブは、ジョブAとジョブBとの2つであるので、これら2つのジョブが、コスト計算の対象ジョブである。前回の課金を行ってから現在までに使用したメンテナンスインクの各色合計使用量が、1mlであるので、1÷2=0.5mlが、ジョブAとジョブBとの各色合計インク使用量に加算される。したがって、ジョブAの各色合計インク使用量は、2+0.5=2.5mlであり、ジョブBの各色合計インク使用量は、8+0.5=8.5mlである。
【0053】
メンテナンスインクの各色合計使用量は、パネル表示画面901には表示しない。この結果に基づいてコスト計算を行うと、ジョブAのコストは25円であると算出され、ジョブBのコストは、85円であると算出される。
【0054】
図10は、実施例1において、コスト計算対象の各ジョブのインク使用量に比例して、メンテナンスインクを割り振った場合に、パネル表示画面1001の表示例を示す図である。
【0055】
同様に、インクのコストが1ml=10円(各色同じコスト)であれば、ジョブAにおいて、全てのインク色の印字で使用したインク使用量の合計は、2mlであり、ジョブBにおいて、全てのインク色の印字で使用したインク使用量の合計は、8mlである。未課金のジョブは、ジョブAとジョブBとの2つであるので、これら2つのジョブがコスト計算の対象ジョブである。
【0056】
メンテナンスインクは、ジョブAとジョブBとのインク使用量の比2:8=1:4の割合で分配される。前回の課金を行ってから現在までに使用したメンテナンスインクの各色合計使用量が1mlである。したがって、ジョブAには、1×1/(1+4)=0.2mlのメンテナンスインクの使用量が加算され、ジョブBには、1×4/(1+4)=0.8mlのメンテナンスインク使用量が加算される。よって、ジョブAの各色合計インク使用量は、2+0.2=2.2mlであり、ジョブBの各色合計インク使用量は、8+0.8=8.8mlである。
【0057】
メンテナンスインクの各色合計使用量は、パネル表示画面1001には表示しない。この結果でコストを計算すると、ジョブAのコストは、22円であり、ジョブBのコストは、88円であると算出される。
【0058】
図11は、図6に示すフローチャートの続きの動作を示すフローチャートである。
【0059】
コスト対象のメンテナンスインクを、コスト計算対象の各ジョブに割り当てない場合、S1101で、コスト計算対象のメンテナンスインクを、部門毎に振り分けるかどうかをユーザに決定させる。メンテナンスインクを部門毎に割り振る場合、S1102で、部門毎に均等に割り振るかどうかを、ユーザに決定させる。均等に割り振る場合、S1103で、部門毎に均等に割り振る。均等に割り振らなければ、S1104で、ユーザ設定の割合で、部門毎に割り振る。
【0060】
S1101で、メンテナンスインクを部門毎に割り振らないと判断されれば、S1105で、メンテナンスインクを各人に均等に割り振るかどうかをユーザに決定させる。各人に、メンテナンスインクを均等に割り振る場合、S1106で、人毎にメンテナンスインクを均等に割り振る。
【0061】
メンテナンスインクを人毎に均等に割り振らない場合、S1107で、メンテナンスインクを、各人のインク使用量に比例して割り振るかどうかをユーザに決定させる。メンテナンスインクを各人のインク使用量に比例して割り振る場合、S1108で、メンテナンスインクを、各人のインク使用量に比例して割り振る。メンテナンスインクを各人のインク使用量に比例して割り振らなければ、S1109で、ユーザ設定の割合で、人毎に割り振る。
【0062】
図12は、実施例1において、印刷装置100を使用する各部門に、メンテナンスインクを割り振る場合におけるパネル表示画面1201の表示例を示す図である。
【0063】
パネル表示画面1201は、メンテナンスインクを、部門Aに20%の割合で割り振り、部門Bに30%の割合で割り振り、部門Cに50%の割合で割り振る場合のパネル表示画面を表示している。ユーザは、割り当てる部門を、追加、削除ができ、配分も任意に設定することができる。
【0064】
図13は、実施例1において、各ユーザ(人毎に)のコストを算出した場合のコスト一覧を表示する画面1301を示す図である。説明は省略するが、コスト計算の結果に基づいて行われる課金処理では、各ユーザに対してこの画面に表示された金額を課金する。
【0065】
パネル表示画面1301は、各色のインクのコストが1ml=10円(各色同じコスト)である場合を示す画面である。
【0066】
なお、以上の実施例では、コスト計算結果を出力する出力手段は、パネル装置109のパネルI/F107であり、パネルI/F107(出力手段)により出力されたコスト計算結果はパネル装置109の表示部に表示されるものとする。しかし、これに限らず、コスト計算結果を出力する出力手段として、ホストI/F103(出力手段)により出力されたコスト計算結果を外部機器110(ホストPCまたはサーバ)へ送信することで外部機器による表示及び課金処理に使用できる。
【0067】
また、実施例1の変形例は、図1に示す外部機器110と連携して、印刷装置100を構築する例であり、コントローラ111と外部機器110とを、ネットワーク回線等の外部ネットワーク102によって、相互通信する例である。
【0068】
実施例1は、全ての機能が印刷装置100に備えられている。しかし、各色のインク使用量を記憶する記憶手段204、または、各色のインク単価を入力する入力手段、または各色のインクの単価を記憶する記憶手段204を、外部機器110に設けるようにしてもよい。また、印刷以外で使用したインク使用量を、ある法則に従って、各印刷ジョブ、人または部門へ属するインク使用量として割り振る割り振り手段を、外部機器110に設けるようにしてもよい。または、各色のインク単価にて、ジョブ毎または各人、各部門へ属するコスト計算または課金処理をする処理手段を、外部機器110に設けるようにしてもよい。
【0069】
これらを処理するプログラムは、外部機器110内の記憶手段204に保持され、CPU203を使うことによって処理される。
【0070】
印刷装置100に装備されるパネル装置109の表示画面は、その大きさに制限があるので、これらの機能を、PCのような外部機器110に備えることによって、より操作性が高く、高機能なシステムを構築することができる。
【0071】
なお、上記割り振り手段は、上記印刷以外で使用したインク使用量を、コスト計算対象の各属性に均等に割り振る手段である。また、上記割り振り手段は、上記印刷以外で使用したインク使用量を、各印刷ジョブで印刷に使用したインク使用量に応じて、各属性のインク使用量へ割り振る手段である。さらに、上記割り振り手段は、各ユーザまたは各部門に、予め定められた比率で割り振る手段である。しかも、上記割り振り手段における割り振り方法を、ユーザが選択し、決定可能である。そして、上記割り振り手段は、印刷以外で使用したインク使用量が割り振られていないジョブへ印刷以外で使用したインク使用量を割り振る手段である。加えて、上記出力手段は、表示手段である。また、上記出力手段は、外部機器へコスト情報を送信する送信手段である。さらに、上記使用量記憶手段、上記単価記憶手段、上記割り振り手段、上記算出手段のうちの少なくとも1つの手段が、上記印刷装置が通信する外部機器に設けられている。
【0072】
また、上記実施例における各手段を工程に置き換えれば、上記実施例を印刷方法として把握することができる。つまり、上記実施例は、第1カウント工程と、第2カウント工程と、使用量記憶工程と、単価記憶工程と、割り振り工程と、算出工程と、出力工程とを有する印刷方法の例である。
【符号の説明】
【0073】
501…インクコスト入力の表示画面、
701…インクコスト表示画面、
801…メンテナンスインク割り振り画面、
901…インクコスト表示画面、
1001…インクコスト表示画面、
1201…部門毎にメンテナンスインクを割り振る場合の表示画面、
1301…各ユーザのインクコスト表示画面。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジョブ毎に、印刷で使用したインク使用量をカウントする第1カウント手段と;
印刷以外で使用したインク使用量をカウントする第2カウント手段と;
上記第1カウント手段がカウントしたインク使用量と、上記第2カウント手段がカウントしたインク使用量とを記憶する使用量記憶手段と;
インクの単価を記憶する単価記憶手段と;
上記印刷以外で使用したインク使用量を、属性に応じて印刷で使用したインク使用量へ割り振る割り振り手段と;
上記割り振り手段が割り振った印刷以外で使用したインク使用量と印刷で使用したインク使用量の合計と、インク単価とに基づいて、上記属性に対するコストを算出する算出手段と;
上記算出手段が算出したコスト情報を出力する出力手段と;
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記割り振り手段は、上記印刷以外で使用したインク使用量を、コスト計算対象の各属性に均等に割り振る手段であることを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項1において、
上記割り振り手段は、上記印刷以外で使用したインク使用量を、各印刷ジョブで印刷に使用したインク使用量に応じて、各属性のインク使用量へ割り振る手段であることを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項1において、
上記属性は、印刷ジョブ、部門、ユーザの少なくともいずれか1つであることを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項4において、
上記割り振り手段は、各ユーザまたは各部門に、予め定められた比率で割り振る手段であることを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項1において、
上記割り振り手段における割り振り方法を、ユーザが選択し、決定可能であることを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項において、
上記割り振り手段は、印刷以外で使用したインク使用量が割り振られていないジョブへ印刷以外で使用したインク使用量を割り振ることを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
請求項1において、
上記出力手段は、表示手段であることを特徴とする印刷装置。
【請求項9】
請求項1において、
上記出力手段は、外部機器へコスト情報を送信する送信手段であることを特徴とする印刷装置。
【請求項10】
請求項1において、
上記使用量記憶手段、上記単価記憶手段、上記割り振り手段、上記算出手段のうちの少なくとも1つの手段が、上記印刷装置が通信する外部機器に設けられていることを特徴とする印刷装置。
【請求項11】
ジョブ毎に、印刷で使用したインク使用量をカウントする第1カウント工程と;
印刷以外で使用したインク使用量をカウントする第2カウント工程と;
上記第1カウント工程がカウントしたインク使用量と、上記第2カウント工程とがカウントしたインク使用量とを記憶する使用量記憶工程と;
インクの単価を記憶する単価記憶工程と;
上記印刷以外で使用したインク使用量を、属性に応じて印刷で使用したインク使用量へ割り振る割り振り工程と;
上記割り振り工程が割り振った印刷以外で使用したインク使用量と印刷で使用したインク使用量の合計と、インク単価とに基づいて、上記属性に対するコストを算出する算出工程と;
上記算出工程が算出したコスト情報を出力する出力工程と;
を有することを特徴とする印刷方法。
【請求項1】
ジョブ毎に、印刷で使用したインク使用量をカウントする第1カウント手段と;
印刷以外で使用したインク使用量をカウントする第2カウント手段と;
上記第1カウント手段がカウントしたインク使用量と、上記第2カウント手段がカウントしたインク使用量とを記憶する使用量記憶手段と;
インクの単価を記憶する単価記憶手段と;
上記印刷以外で使用したインク使用量を、属性に応じて印刷で使用したインク使用量へ割り振る割り振り手段と;
上記割り振り手段が割り振った印刷以外で使用したインク使用量と印刷で使用したインク使用量の合計と、インク単価とに基づいて、上記属性に対するコストを算出する算出手段と;
上記算出手段が算出したコスト情報を出力する出力手段と;
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記割り振り手段は、上記印刷以外で使用したインク使用量を、コスト計算対象の各属性に均等に割り振る手段であることを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項1において、
上記割り振り手段は、上記印刷以外で使用したインク使用量を、各印刷ジョブで印刷に使用したインク使用量に応じて、各属性のインク使用量へ割り振る手段であることを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項1において、
上記属性は、印刷ジョブ、部門、ユーザの少なくともいずれか1つであることを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項4において、
上記割り振り手段は、各ユーザまたは各部門に、予め定められた比率で割り振る手段であることを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項1において、
上記割り振り手段における割り振り方法を、ユーザが選択し、決定可能であることを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項において、
上記割り振り手段は、印刷以外で使用したインク使用量が割り振られていないジョブへ印刷以外で使用したインク使用量を割り振ることを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
請求項1において、
上記出力手段は、表示手段であることを特徴とする印刷装置。
【請求項9】
請求項1において、
上記出力手段は、外部機器へコスト情報を送信する送信手段であることを特徴とする印刷装置。
【請求項10】
請求項1において、
上記使用量記憶手段、上記単価記憶手段、上記割り振り手段、上記算出手段のうちの少なくとも1つの手段が、上記印刷装置が通信する外部機器に設けられていることを特徴とする印刷装置。
【請求項11】
ジョブ毎に、印刷で使用したインク使用量をカウントする第1カウント工程と;
印刷以外で使用したインク使用量をカウントする第2カウント工程と;
上記第1カウント工程がカウントしたインク使用量と、上記第2カウント工程とがカウントしたインク使用量とを記憶する使用量記憶工程と;
インクの単価を記憶する単価記憶工程と;
上記印刷以外で使用したインク使用量を、属性に応じて印刷で使用したインク使用量へ割り振る割り振り工程と;
上記割り振り工程が割り振った印刷以外で使用したインク使用量と印刷で使用したインク使用量の合計と、インク単価とに基づいて、上記属性に対するコストを算出する算出工程と;
上記算出工程が算出したコスト情報を出力する出力工程と;
を有することを特徴とする印刷方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−184371(P2010−184371A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−28603(P2009−28603)
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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