説明

印刷装置

【課題】
用紙終端が用紙センサ位置通過後の用紙残量を正確に算出でき、用紙切れによる印刷停止位置の誤差がない印刷装置を提供する。
【解決手段】
印刷頁における縦方向の印刷位置を算出する印刷位置座標算出手段と、使用する印刷用紙の総頁数と印刷済み頁数から印刷可能な用紙残量を算出する用紙残量算出手段と、電源を切断しても記憶情報を保持できる不揮発性記憶素子と、使用する印刷用紙の総頁数、用紙切れ警告の有無及び開始位置をオペレータが設定し不揮発性記憶素子に記憶させることができる不揮発性記憶素子に記憶する手段と、前記のオペレータが設定した情報を不揮発性記憶素子から読み出すことができる不揮発性記憶素子から読み出す手段と、オペレータが操作できるスイッチと表示ディスプレイを備えた操作パネルと、紙送り速度の調整、操作パネルへの表示等の用紙切れ警告を行うペーパニアエンド処理手段とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷用紙として連続紙を使用する印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図3により、連続紙印刷装置における用紙残量検出機構を説明する。
【0003】
図3において、41は印刷機構部、42は印刷用紙、43は用紙終端を検出する用紙センサである。図の状態から印刷を開始し用紙終端が用紙センサ43を通過後は、用紙センサと印刷機構部間の距離Aをもとに、印刷可能用紙残量を算出する手段により印刷可能用紙残量の計算を開始し、頁先頭等の適切な位置で印刷を停止する。実際に印刷を停止させる方法には以下の2通りがある。第一には、印刷制御部内部でも頁中の縦座標の論理位置を計算し、双方の計算結果により頁先頭等で印刷を停止させ、表示装置等に用紙無し状態を表示する方法であり、第二には、用紙残量の計算値が0になった場合に印刷を停止させ、表示装置等に用紙無し状態を表示する方法である。
【0004】
また、精度がそれ程必要のない印刷装置においては、用紙の全長データと累計使用量との比較を行い、用紙切れを検出している場合もある(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】特開2001−18469号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来、特に高速印刷装置において、印刷データによって用紙終端が用紙センサ43を通過する速度が異なり、データによって距離Aの計算値が異なるといった問題があった。従ってこの場合、用紙残量の計算値が0になった場合に印刷を停止させ、表示装置等に用紙なし状態を表示する方法の場合、正確に用紙終端位置で印刷を停止させることができない。
【0007】
また、一方で用紙終端が用紙センサ43を通過する速度を一定にし、距離Aの計算値のばらつきを抑える制御を加えればこの様な問題は回避できるが、用紙センサ通過速度は遅い方に合わせなければならず、実効印刷速度が低下するという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の印刷装置は、連続紙で印刷を実行する印刷機構部と、印刷機構部を制御する印刷制御部と、用紙終端を検出する用紙センサと、印刷頁における縦方向の印刷位置を算出する印刷位置座標算出手段と、使用する印刷用紙の総頁数と印刷済み頁数から印刷可能な用紙残量を算出する用紙残量算出手段と、電源を切断しても記憶情報を保持できる不揮発性記憶素子と、使用する印刷用紙の総頁数、用紙切れ警告の有無、及び開始位置をオペレータが設定し前記不揮発性記憶素子に記憶させることができる不揮発性記憶素子に記憶する手段と、前記のオペレータが設定した情報を不揮発性記憶素子から読み出すことができる不揮発性記憶素子から読み出す手段と、オペレータが操作できるスイッチと表示ディスプレイとを備えた操作パネルと、紙送り速度の調整、操作パネルへの表示等の用紙切れ警告を行うペーパニアエンド処理手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、用紙終端が用紙センサ位置通過後の用紙残量を正確に算出でき、用紙切れによる印刷停止位置の誤差をなくすことが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳述する。
【0011】
図1にブロック図、図2にフローチャート、図4に操作パネル、図5に設定情報を不揮発性記憶素子に記憶する手段を示す。
【0012】
図1において、1は連続紙で印刷を実行する印刷機構部、2は用紙終端を検出する用紙センサ、3は印刷機構部1を制御する印刷制御部、4は印刷頁における縦方向の印刷位置を算出する印刷位置座標算出手段、5は紙送り速度の調整、操作パネルへの表示等の用紙切れ警告を行うペーパニアエンド処理手段、6は使用する印刷用紙の総頁数と印刷済み頁数から印刷可能な用紙残量を算出する用紙残量算出手段、7は電源を切断しても記憶情報を保持できる不揮発性記憶素子、8は使用する印刷用紙の総頁数、用紙切れ警告の有無及び開始位置をオペレータが設定し不揮発性記憶素子7に記憶させることができる不揮発性記憶素子に記憶する手段、9は前記のオペレータが設定した情報を不揮発性記憶素子7から読み出すことができる不揮発性記憶素子から読み出す手段、10はオペレータが操作できるスイッチと表示ディスプレイを備えた操作パネルである。
【0013】
図2において、処理21にて印刷紙送りを実行し、処理22にて印刷位置座標算出手段4を用いて印刷位置座標を算出する。処理23にて算出した座標が頁先頭位置か否かの判断を行い、頁先頭であれば、処理24で印刷済み頁を1増加させる。処理25では設定情報を不揮発性記憶素子に記憶する手段8によって予めオペレータが設定した警告設定値と印刷済み頁を比較し、印刷済み頁が警告設定値を超えていたら処理26で紙送り速度の低下、操作パネルへの表示等のペーパニアエンド処理を行う。処理27で用紙終端が用紙センサ位置を通過しているか否かの判断を行い、用紙終端が用紙センサ位置を通過していた場合には、処理28で印刷可能用紙残量を算出する。処理29では処理28で算出した用紙残量が0であるかのどうかの判断を行い、0であるならば処理30で操作パネルに用紙切れを表示して印刷を終了する。
【0014】
図4において、51〜60は夫々スイッチ、61は表示ディスプレイである。
【0015】
図5は設定情報を不揮発性記憶素子に記憶する手段8の例である。用紙切れの警告の有無、印刷用紙の頁数、警告開始の頁を設定することができる。警告開始の頁を設定する理由は、オペレータが用紙切れに備えて次の用紙を準備するタイミングを設定できるようにするためである。例えば、印刷用紙を「2000頁」に、警告開始を「10頁前」に設定し、用紙切れ警告を「警告する」、に設定した場合には、印刷紙送りが1990頁終了後、操作パネル10に「ヨウシノコリ10ペイジ」の表示を行い、紙送りの速度を毎行印刷と同じ速度まで低下させる。これにより用紙終端が用紙センサ位置を通過時には毎行印刷と同じ紙送り速度となり、紙送り量によるばらつきを防ぐことができる。またこの時、オペレータが次の用紙をセットする準備を行うことができる。その後、用紙終端が用紙センサ位置を通過した後には印刷可能用紙残量算出手段6により用紙残量を算出し、残量が0になったら操作パネル10に「ヨウシガアリマセン」表示を行い、印刷を停止する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施例のブロック図である。
【図2】本発明の一実施例のフローチャートである。
【図3】印刷機構部と用紙センサ、印刷用紙の位置関係を示す説明図である。
【図4】本発明の一実施例における操作パネルを示す図である。
【図5】本発明の一実施例における設定情報を不揮発性記憶素子に記憶する手段を示す図である。
【符号の説明】
【0017】
1:印刷機構部
2:用紙センサ
3:印刷制御部
4:印刷位置座標算出手段
5:ペーパニアエンド処理手段
6:用紙残量算出手段
7:不揮発性記憶素子
8:設定情報を不揮発性記憶素子に記憶する手段
9:設定情報を不揮発性記憶素子から読み出す手段
10:操作パネル
21:印刷紙送り実行処理
22:印刷位置座標算出処理
23:算出した座標が頁先頭位置か否かの判断
24:印刷済み頁を1増加させる処理
25:警告設定値と印刷済み頁との比較処理
26:ペーパニアエンド処理を行う
27:用紙終端が用紙センサ位置を通過しているか否かの判断
28:印刷可能用紙残量算出処理
29:用紙残量が0であるかのどうかの判断
30:用紙切れ処理
51〜60:スイッチ
61:表示ディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続紙で印刷を実行する印刷機構部と、印刷機構部を制御する印刷制御部と、用紙終端を検出する用紙センサと、印刷頁における縦方向の印刷位置を算出する印刷位置座標算出手段と、使用する印刷用紙の総頁数と印刷済み頁数から印刷可能な用紙残量を算出する用紙残量算出手段と、電源を切断しても記憶情報を保持できる不揮発性記憶素子と、使用する印刷用紙の総頁数、用紙切れ警告の有無、及び開始位置をオペレータが設定し前記不揮発性記憶素子に記憶させることができる不揮発性記憶素子に記憶する手段と、前記のオペレータが設定した情報を不揮発性記憶素子から読み出すことができる不揮発性記憶素子から読み出す手段と、オペレータが操作できるスイッチと表示ディスプレイとを備えた操作パネルと、紙送り速度の調整、操作パネルへの表示等の用紙切れ警告を行うペーパニアエンド処理手段とを有することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
オペレータが使用する印刷用紙の総頁数、用紙切れ警告の有無及び開始位置を設定し、印刷済み頁数を算出し、印刷用紙の総頁数との比較を行うことによって用紙残量を算出し、オペレータが設定した用紙残量になった場合に用紙切れ警告を行うことを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
オペレータが使用する印刷用紙の総頁数、用紙切れ警告の有無及び開始位置を設定し、印刷済み頁数を算出し、印刷用紙の総頁数との比較を行うことによって用紙残量を算出し、オペレータが設定した用紙残量になった場合に紙送り速度を遅くすることを特徴とする請求項1記載の印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−1163(P2006−1163A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−180756(P2004−180756)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(302057199)リコープリンティングシステムズ株式会社 (1,130)
【Fターム(参考)】