印刷装置
【課題】複写用紙のたるみを発生させることなく印刷できるようにする。
【解決手段】印刷機構で印刷された連続紙を切断する用紙切断機構を有する印刷装置において、連続紙を挟持して前記印刷機構へ送り出す第1の搬送部と、前記第1の搬送部で送り出され、前記印刷機構で印刷された連続紙を挟持して前記用紙切断機構へ送り出す第2の搬送部と、前記用紙切断機構で切断された後の連続紙の先端を、前記印刷機構と前記第1の搬送部との間まで戻した後、少なくとも前記第2の搬送部まで送り出す制御手段とを設けた。
【解決手段】印刷機構で印刷された連続紙を切断する用紙切断機構を有する印刷装置において、連続紙を挟持して前記印刷機構へ送り出す第1の搬送部と、前記第1の搬送部で送り出され、前記印刷機構で印刷された連続紙を挟持して前記用紙切断機構へ送り出す第2の搬送部と、前記用紙切断機構で切断された後の連続紙の先端を、前記印刷機構と前記第1の搬送部との間まで戻した後、少なくとも前記第2の搬送部まで送り出す制御手段とを設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写用紙に印刷が可能な印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の印刷装置は、内部にロール紙を収納し、印刷後に排出されるロール紙を切断するカッターを備え、印刷結果を提出(お客へ発行)用および保存(店舗保管)用の2つに分けて印刷するようにしているものがある。
このような印刷装置には、1Pロール紙を2つ用いてそれぞれに同一内容を印刷するものと複写用紙としての2Pロール紙を用いて印刷内容を複写して印刷するようにしているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−205871号公報(段落「0013」〜段落「0014」、図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来の技術において、ひとつの印刷装置で1Pロール紙および2Pロール紙の両方を印刷可能とした場合、それぞれの用紙をローラで挟持して同一の紙経路で搬送可能にするためには、そのローラの押圧力を1Pロール紙または2Pロール紙を搬送するために必要な押圧力の中間に設定しなければならない。このような設定では、用紙の巻き取り機構がない印刷装置において、2Pロール紙を給紙して印刷を継続していくと印刷装置のプルアップローラの片側のみが駆動するため一方の用紙が他方の用紙に比べて強く引かれることにより用紙のたるみが発生する。そして、この用紙のたるみが一定量以上になると用紙の走行ジャムが発生してしまうという問題がある。
【0004】
本発明は、このような問題を解決することを課題とし、複写用紙のたるみを発生させることなく印刷できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのため、本発明は、印刷機構で印刷された連続紙を切断する用紙切断機構を有する印刷装置において、連続紙を挟持して前記印刷機構へ送り出す第1の搬送部と、前記第1の搬送部で送り出され、前記印刷機構で印刷された連続紙を挟持して前記用紙切断機構へ送り出す第2の搬送部と、前記用紙切断機構で切断された後の連続紙の先端を、前記印刷機構と前記第1の搬送部との間まで戻した後、少なくとも前記第2の搬送部まで送り出す制御手段とを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
このようにした本発明は、複写用紙のたるみを発生させることなく印刷できるようになるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明による印刷装置の実施例を説明する。
【実施例1】
【0008】
図1は第1の実施例における印刷装置の構成を示す説明図、図2は第1の実施例における印刷装置の制御の流れを示すブロック図である。
図1において、1は印刷装置であり、複写ジャーナル用紙や単票用紙に文字等を印刷する例えばワイヤドットプリンタ等のインパクト型プリンタである。
2はロール紙であり、印刷装置1で印刷するための連続紙としてのジャーナル用紙を巻き回したものである。本印刷装置1は、1枚(1P)のジャーナル用紙および2枚(2P)または3枚以上のジャーナル用紙を重ねた複写ジャーナル用紙に印刷することができるが、本実施例では、2Pの複写ジャーナル用紙に印刷するものとして説明する。
【0009】
3(3a、3b、3c)はガイドローラであり、ロール紙2を案内するためのローラである。ガイドローラ3aおよびガイドローラ3bはロール紙2の円周面に接触するように配置され、またガイドローラ3cは引き出されたロール紙2の反りを和らげるように配置されている。また、4はガイド部材であり、引き出されたロール紙2を案内するものである。
【0010】
5(5a、5b)は第1の搬送部としてのフィードローラであり、ガイドローラ3やガイド部材4で案内されたロール紙2を挟持して送り出すためのものであり、図示しないモータ等の駆動手段により回転可能に構成されている。本実施例では、フィードローラ5aが駆動手段により回転するようになっており、フィードローラ5bはフィードローラ5aに対向して配置され、その円周面がフィードローラ5aの円周面に当接するように配置されている。
【0011】
6はロール紙プラテン、7は印字ヘッドであり、ロール紙2を介して印字ヘッド7をロール紙プラテン6の突き当て部6aに突き当て、そのロール紙2に印刷機構として印刷を行うものである。
8は単票プラテンであり、図示しない単票吸入口から吸入された単票11を介して印字ヘッド7を単票プラテン8の突き当て部8aに突き当て、その単票11に印刷機構として印刷を行うものである。
【0012】
このロール紙プラテン6および単票プラテン8は図示しない回転軸に軸支され、図示しないモータ等の駆動手段により一体となって回転可能に構成されている。図1(a)はロール紙2を印刷するときの状態を示しており、ロール紙プラテン6および単票プラテン8を回動させてロール紙プラテン6を印字ヘッド7に近接させ、一方単票プラテン8を印字ヘッド7から退避させている。また、図1(b)は単票11を印刷するときの状態を示しており、ロール紙プラテン6および単票プラテン8を回動させて単票プラテン8を印字ヘッド7に近接させ、一方ロール紙プラテン6を印字ヘッド7から退避させている。
【0013】
図1(b)に示す単票11を印刷するときの状態においては、ロール紙プラテン6と単票プラテン8との間に十分な隙間が形成され、ロール紙2を搬送することができるようになっている。
9(9a、9b)は第2の搬送部としてのプルアップローラであり、フィードローラ5により送り出され、ロール紙プラテン6および印字ヘッド7(印刷機構)により印刷されたロール紙2を挟持して引き込むものであり、図示しないモータ等の駆動手段により回転可能に構成されている。本実施例では、プルアップローラ9aが駆動手段により回転するようになっており、プルアップローラ9bはプルアップローラ9aに対向して配置され、その円周面がプルアップローラ9aの円周面に当接するように配置されている。
【0014】
10は用紙切断機構としてのオートカッタであり、プルアップローラ9で送り出されたロール紙2を切断するものである。このオートカッタ10は、図示しないソレノイド等の駆動手段により駆動されてロール紙2を切断することができるようになっている。
なお、印刷装置1には図示しない操作者が操作するスイッチが設けられており、ロール紙2のオートカット動作を開始させるための操作を検知できるようになっている。
【0015】
このように印刷装置1は構成され、ロール紙2または単票11に印刷することができるようになっている。
図2において、20はパワーオン処理部であり、印刷装置1の電源が投入されるとメモリ等の記憶部に記憶される各情報の初期化および機構の初期化動作を行った後、データ処理部21、メカ動作制御部22、および操作パネルスイッチ処理部29がサイクリックに動作する構成となっている。
【0016】
データ処理部21はコマンド処理部23および印字データ展開部24で構成され、図示しない上位装置から送られてくるデータを解析し、コマンド処理部23は、例えば改行コマンドの場合は改行要求および改行量/方向の情報を記憶部に設定(記憶)し、行区切りコマンドの場合は印字要求を記憶部に設定する。また、コマンド処理部23はオートカットコマンド処理部231を有し、オートカットコマンドの場合はそのオートカットコマンド処理部231のオートカット要求情報設定部232がオートカッタ10によるロール紙2の切断動作を開始するためのオートカット要求情報を記憶部に設定する。
【0017】
さらに、印字データ展開部24は送られてきた印字データを印刷するためにその印字データを展開する処理を行う。
メカ動作制御部22は、印字制御部25、改行制御部26、プラテン制御部27、およびオートカット制御部28で構成され、印字制御部25はコマンド処理部23で記憶部に設定された印字要求に基づいて印字動作を行い、改行制御部26はコマンド処理部23で記憶部に設定された改行要求および改行量/方向の情報に基づいてロール紙2を送る改行動作を行い、プラテン制御部27はロール紙プラテン6および単票プラテン8の回動動作を行い、オートカット制御部28はオートカット要求情報232に基づいてロール紙2の切断動作を行う。
【0018】
操作パネルスイッチ処理部29は、スイッチ押下検出処理部291を有し、操作者によりロール紙2のオートカットを開始させるためのスイッチが押下されたことを検知し、そのスイッチの押下を検知するとオートカット要求情報設定部292がロール紙2の切断動作を開始させるためのオートカット要求情報を記憶部に設定する。
改行制御部26は、正改行制御部261および逆改行制御部262で構成され、記憶部に設定された改行要求および改行量/方向の情報に基づいて正改行制御部261は、ロール紙2をフィードローラ5からプルアップローラ9へ向かう方向(以下、「正方向」という。)に送り出す正改行動作を行い、逆改行制御部262は、ロール紙2をプルアップローラ9からフィードローラ5へ向かう方向(以下、「逆方向」という。)に引き戻す逆改行動作を行う。
【0019】
プラテン制御部27は、印字する用紙の種類、すなわちロール紙2または単票11に応じてロール紙プラテン6および単票プラテン8を移動させる制御を行う。
ここで、ロール紙プラテン6および単票プラテン8を移動させる制御を図1に基づいて説明する。
ロール紙2を印字する場合、図1(a)に示すようにロール紙2はロール紙プラテン6の背後からロール紙プラテン6の下方を通ってロール紙プラテン6と単票プラテン8の間に入り、さらにそのロール紙プラテン6と単票プラテン8の間のスリット孔を通って上方へ搬送される。すなわち、ロール紙2はロール紙プラテン6の突き当て部6aに密着するように装着され、このとき印字ヘッド7は突き当て部6aに対向している。さらにこのとき、図示しないロール紙プラテン6の突起部が透過センサを過ぎ、突き当て部6aが印字ヘッド7に対向していることを検知する。
【0020】
一方、単票11を印字する場合やロール紙2を吸入する場合、図1(b)に示すようにロール紙プラテン6および単票プラテン8を回動させて単票プラテン8の突き当て部8aが印字ヘッド7に対向する位置へ移動させる。この状態では、単票11が単票プラテン8の突き当て部8aに密着するように装着され、ロール紙2はロール紙プラテン6と単票プラテン8の間に入ったままであっても、単票11とロール紙2が印字位置で重ならないようになっている。
【0021】
さらに、ロール紙2をフィードローラ5からロール紙プラテン6と単票プラテン8の間に吸入し、プルアップローラ9まで搬送する場合もロール紙プラテン6および単票プラテン8を回動させて単票プラテン8の突き当て部8aが印字ヘッド7に対向する位置へ移動させ、ロール紙2がフィードローラ5の近傍からプルアップローラ9までの間が略一直線状になるようにする。ロール紙2を吸入した後、そのロール紙2に印字する場合、図1(a)に示すようにロール紙プラテン6および単票プラテン8を回動させてロール紙プラテン6の突き当て部6aが印字ヘッド7に対向する位置へ移動させる。
【0022】
図2の説明に戻り、オートカット制御部28は、オートカット要求情報読出部281および再ローディング制御部282で構成され、オートカット要求情報読出部281により記憶部に設定されたオートカット要求情報を読出し、オートカットが要求されている場合、オートカッタ10を駆動させてロール紙2の切断動作を行い、その後再ローディング制御部282は、ロール紙2の先端を所定の移動量だけ逆方向へ一旦戻し、再度ロール紙2の先端を元の位置まで送り出す再ローディング動作を行う。この再ローディング動作によりロール紙2のたるみを取ることができる。
【0023】
なお、従来技術の問題点であるたるみの発生は、2P用紙を使用する場合にのみ発生するため、たるみを取るための再ローディング動作の有効/無効を予め図示しないメニュー機能等により操作パネルスイッチで選択できるようにし、選択された有効/無効を操作パネルスイッチ処理部29が再ローディング有効/無効情報として記憶部に記憶させる。そして、再ローディング制御部282の再ローディング有効/無効情報判定部283が再ローディング動作を開始する前に再ローディング有効/無効情報の判定を行い、有効の場合にのみ再ローディング動作を行うものとする。
【0024】
このように印刷装置1は構成され、図示しないメモリ等の記憶部に印刷装置1全体を制御するための制御プログラムを記憶し、その制御プログラムに基づいてCPU等の制御手段が印刷装置1全体を制御する。
上述した構成の作用を図3の第1の実施例におけるたるみ取り動作を示すフローチャートのSで表すステップにしたがって説明する。
【0025】
S1a:ロール紙2が図4(a)に示すように印字が終了し、印字した部分がオートカッタ10を超えている状態において、印刷装置1は上位装置からオートカットコマンドを受信し、または操作者のよりオートカットを開始するためのスイッチが押下され、オートカット要求情報が記憶部に記憶されているものとする。
オートカット制御部28のオートカット要求情報読出部281は記憶部に記憶されているオートカット要求情報を読出し、オートカット制御部28は駆動手段を駆動してオートカッタ10でロール紙2を切断する動作(オートカット動作)を開始する。
【0026】
S2a:オートカット制御部28がオートカッタ10で切断動作を行うと図4(a)に示すロール紙2の先端部(図における斜線部)が切断され、さらにオートカッタ10を初期位置に戻す動作を行い、その動作が終了すると処理をS3aへ移行する。
S3a:ロール紙2を切断すると再ローディング制御部282の再ローディング有効/無効判定部283は、予め記憶部に記憶されている再ローディング有効/無効情報を読み出して判定し、無効であると判定した場合、処理を終了し、一方有効であると判定した場合、処理をS4aへ移行する。
【0027】
S4a:再ローディング有効/無効情報が有効であると判定するとプラテン制御部27は、図1(b)に示すようにロール紙プラテン6および単票プラテン8を回動して単票プラテン8の突き当て部8aが印字ヘッド7に対向する位置(単票印字用プラテン位置)へ移動し、ロール紙2がフィードローラ5の近傍からプルアップローラ9までの間が略一直線状になるようにする。
【0028】
S5a:ロール紙プラテン6および単票プラテン8を移動させると改行制御部26は改行量(fd1)および方向(逆方向)を記憶部に記憶させる。
S6a:改行量(fd1)および方向(逆方向)を記憶部に記憶させると逆改行制御部262は、改行量(fd1)に基づきロール紙2を逆改行する。
S7a:逆改行制御部262は、図4(b)に示すようにロール紙2の先端が印刷機構としての印字ヘッド7とフィードローラ5との間に位置するまで逆方向へ改行する逆改行動作を行い、その逆改行動作が終了すると処理をS8aへ移行する。
【0029】
これによりプルアップローラ9からロール紙2の先端を外すとともに印字ヘッド7とフィードローラ5との間でたるみ(図1(a)に一点鎖線で示す)が発生する位置よりもフィードローラ5側にロール紙2の先端を戻すことにより、ロール紙2を吸入したときと同様にたるみのない状態にすることができる。
S8a:逆改行動作が終了すると改行制御部26は改行量(fd1)および方向(正方向)を記憶部に記憶させる。
【0030】
S9a:改行量(fd1)および方向(正方向)を記憶部に記憶させると正改行制御部261は、改行量(fd1)に基づきロール紙2を正改行する。
S10a:正改行制御部261は、図4(c)に示すようにロール紙2の先端がプルアップローラ9を超えてオートカッタ10の位置まで正方向へ改行する正改行動作を行い、その正改行動作が終了すると処理をS11aへ移行する。
【0031】
S11a:正改行動作を終了するとプラテン制御部27は、図1(a)に示すようにロール紙プラテン6および単票プラテン8を回動してロール紙プラテン6の突き当て部6aが印字ヘッド7に対向する位置(ロール紙印字用プラテン位置)へ移動し、再ローディング動作を終了する。
このようにして印刷装置1はオートカット動作後に再ローディング動作を行い、用紙のたるみを取る動作を行う。
【0032】
なお、本実施例では、再ローディングの有効/無効を操作者の操作により設定するようにしたが、図示しない紙厚検知機構でロール紙2の紙厚を検知して1P用紙または2P用紙のいずれかであるかを判定し、2P用紙と判定したときに再ローディングを有効とするようにしてもよい。
また、本実施例では、オートカットコマンド等によるオートカット動作を行った後に再ローディング動作を行うようにしたが、所定長(例えば、1メートル)の印刷毎に再ローディング動作を行うようにしてもよい。
【0033】
以上説明したように、第1の実施例では、2Pロール紙を使用して印刷する場合、店舗のレジスタなどで使用される印刷装置で定期的に行われるオートカット動作後に再ローディング動作を行うようにしたことにより、連続して行う印刷動作で生じる用紙のたるみを蓄積させることなく解消することができ、用紙走行ジャムの発生を防止することができるという効果が得られる。
【0034】
また、用紙のたるみを解消させるための再ローディング動作をロール紙のオートカット動作後に行うようにしたことにより、お客へのレシートの発行を遅らせることがないという効果が得られる。
【実施例2】
【0035】
第2の実施例は、ロール紙の先端部の余白が少なくなるように制御するものである。その第2の実施例の構成を図5の第2の実施例における印刷装置の制御の流れを示すブロック図に基づいて説明する。なお、上述した第1の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
図5において、オートカット制御部28は、オートカット要求情報読出部281、再ローディング制御部282、再ローディング有効/無効情報判定部283、トップマージン縮小部38、およびトップマージン縮小有効/無効情報判定部381で構成され、トップマージン縮小部38はロール紙2のオートカット処理後に逆方向へロール紙2を戻すことでロール紙2の先端部の余白が少なくなるように制御する。
【0036】
このロール紙2の先端部の余白を少なくするトップマージン縮小動作の有効/無効を予め図示しないメニュー機能等により操作パネルスイッチで選択できるようにし、選択された有効/無効をトップマージン縮小有効/無効情報として記憶部に記憶させておき、トップマージン縮小部38のトップマージン縮小有効/無効情報判定部381がトップマージン縮小動作を開始する前にトップマージン縮小有効/無効情報の判定を行い、有効の場合にのみトップマージン縮小動作を行うものとする。
【0037】
また、トップマージン縮小動作においては、次の印刷動作における第1行目の印字詰まりを解消するための動作を行うバックラッシュ動作制御部263が逆改行制御部262に含まれている。
上述した構成の作用を図6の第2の実施例におけるたるみ取り動作を示すフローチャートのSで表すステップにしたがって説明する。
【0038】
S1b、S2b:図3におけるS1a、S2aと同様なのでその説明を省略する。
S3b:ロール紙2を切断すると再ローディング制御部282の再ローディング有効/無効情報判定部283は、予め記憶部に記憶されている再ローディング有効/無効情報を読み出して判定し、無効であると判定した場合、処理をS16bへ移行し、一方有効であると判定した場合、処理をS4bへ移行する。
【0039】
S4b〜S7b:図3におけるS4a〜S7aと同様なのでその説明を省略する。
S8b:逆改行動作が終了するとトップマージン縮小部38のトップマージン縮小有効/無効情報判定部381は、予め記憶部に記憶されているトップマージン縮小有効/無効情報を読み出して判定し、無効であると判定した場合、処理をS9bへ移行し、一方有効であると判定した場合、処理をS13bへ移行する。
【0040】
S9b〜S12b:図3におけるS8a〜S11aと同様なのでその説明を省略する。
S13b:トップマージン縮小有効/無効情報が有効であると判定すると改行制御部26は改行量(fd3)および方向(正方向)を記憶部に記憶させる。
本ステップは、再ローディング動作とトップマージン縮小動作が共に有効である処理であり、改行量として設定するfd3は、図7(a)に示す再ローディング動作におけるロール紙2の送り改行量(fd1)から図7(c)におけるトップマージン縮小時のロール紙2の戻し改行量(fd2)を引いた値、すなわちfd3=fd1−fd2(送り改行量fd1>戻し改行量fd2)である。
【0041】
S14b:改行量(fd3)および方向(正方向)を記憶部に記憶させると正改行制御部261は、改行量(fd3)に基づきロール紙2を正改行する。
S15b:正改行制御部261は、図7(c)に示すようにロール紙2の先端がプルアップローラ9から外れない位置まで正改行動作(ロール紙2の先端を少なくともプルアップローラ9まで戻す正改行動作)を行い、その正改行動作が終了すると処理をS12bへ移行する。
【0042】
S16b:S3bにおいて再ローディング有効/無効情報が無効であると判定するとトップマージン縮小部38のトップマージン縮小有効/無効情報判定部381は、予め記憶部に記憶されているトップマージン縮小有効/無効情報を読み出して判定し、無効であると判定した場合、処理を終了し、一方有効であると判定した場合、処理をS17bへ移行する。
【0043】
S17b:トップマージン縮小有効/無効情報が有効であると判定すると改行制御部26は改行量(fd2)および方向(逆方向)を記憶部に記憶させる。
S18b:改行量(fd2)および方向(逆方向)を記憶部に記憶させると逆改行制御部262は、改行量(fd2)に基づきロール紙2を図8(a)に示すロール紙2の先端部(図における斜線部)が切断された位置から逆改行する。
【0044】
S19b:逆改行制御部262は、図8(b)に示すようにロール紙2の先端がプルアップローラ9から外れない位置まで逆改行動作を行い、その逆改行動作が終了すると処理を終了する。
このようにして印刷装置1は、ロール紙2の先端部の余白が少なくなるように制御する。
【0045】
以上説明したように、第2の実施例では、第1の実施例の効果に加え、オートカット動作後に行う再ローディング動作でトップマージン縮小動作を行うようにしたことにより、用紙の上端部の余白を減らすことができるという効果が得られる。
また、余白を減らすことで用紙コストを削減することができるという効果が得られる。
【実施例3】
【0046】
第3の実施例は、トップマージン縮小動作を連続して実行することを防止するものである。これは、第2の実施例において、トップマージン縮小動作が終了した直後に操作ミスによりオートカットを開始させるためのスイッチが押下された場合、プルアップローラからロール紙が外れ、その後プルアップローラでロール紙を円滑に搬送することができずロール紙詰まりが発生する可能性があるが、このロール紙詰まりの発生を防止するためである。
【0047】
その第3の実施例の構成を図9の第3の実施例における印刷装置の制御の流れを示すブロック図に基づいて説明する。なお、上述した第2の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
図9において、トップマージン縮小部38はトップマージン縮小動作を連続して実行することを防止する制御を行う連続縮小動作防止制御部382を有し、その連続縮小動作防止制御部382はオートカッタ位置判定部383およびオートカッタ位置判定用カウンタ初期化処理部384を有している。
【0048】
トップマージン縮小部38がトップマージン縮小動作を行った直後にオートカッタ位置判定用カウンタ初期化処理部384が記憶部に記憶されたオートカッタ位置判定用カウンタに初期値を記憶させ、トップマージン縮小部38が次に行うトップマージン縮小動作の直前にオートカッタ位置判定部383は記憶部に記憶されたオートカッタ位置判定用カウンタを読出し、その値に基づいてトップマージン縮小動作が連続して行われるか否かを判定する。
【0049】
なお、オートカッタ位置判定用カウンタにはオートカッタ10によりロール紙2を切断した位置を“0”とし、その位置から逆改行量を負の値とし、また正改行量を正の値として記憶させるものとする。
上述した構成の作用を図10の第3の実施例におけるたるみ取り動作を示すフローチャートのSで表すステップにしたがって説明する。
【0050】
S1c、S2c:図6におけるS1b、S2bと同様なのでその説明を省略する。
S3c:ロール紙2を切断すると再ローディング制御部282の再ローディング有効/無効情報判定部283は、予め記憶部に記憶されている再ローディング有効/無効情報を読み出して判定し、無効であると判定した場合、処理をS18cへ移行し、一方有効であると判定した場合、処理をS4cへ移行する。
【0051】
S4c〜S12c:図6におけるS4b〜S12bと同様なのでその説明を省略する。
S13c:トップマージン縮小有効/無効情報が有効であると判定するとオートカッタ位置判定部383はオートカッタ位置判定用カウンタ(cnt)が負の値であるか判定し、負の値であると判定するとトップマージン縮小動作が連続して行われるものとして正改行量を逆改行量と等しくした正改行動作を行うため、処理をS9cへ移行し、一方負の値でないと判定するとトップマージン縮小動作が連続して行われるものでないとしてトップマージン縮小動作を行うため、処理をS14cへ移行する。
【0052】
なお、オートカッタ位置判定用カウンタ(cnt)が負の値を示しているとき、ロール紙2の先端はオートカッタ10とプルアップローラ9との間に位置している。
S14c、S15c:図6におけるS13b、S14bと同様なのでその説明を省略する。
S16c:正改行制御部261は、図7(c)に示すようにロール紙2の先端がプルアップローラ9から外れない位置まで正改行動作を行い、その正改行動作が終了すると処理をS17cへ移行する。
【0053】
S17c:トップマージン縮小動作を終了するとオートカッタ位置判定用カウンタ初期化処理部384は記憶部のオートカッタ位置判定用カウンタに改行量(fd2)を負の値(初期値)として記憶させ、処理をS12cへ移行する。
S18c:S3cにおいて、再ローディング有効/無効情報が無効であると判定するとオートカッタ位置判定部383はオートカッタ位置判定用カウンタ(cnt)が負の値であるか判定し、負の値であると判定するとトップマージン縮小動作が連続して行われるものとして処理を終了し、負の値でないと判定するとトップマージン縮小動作が連続して行われるものでないとして処理をS19cへ移行する。
【0054】
S19c〜S21c:図6におけるS16b〜S18bと同様なのでその説明を省略する。
S22c:逆改行制御部262は、図8(b)に示すようにロール紙2の先端がプルアップローラ9から外れない位置まで逆改行動作を行い、その逆改行動作が終了すると処理をS23cへ移行する。
【0055】
S23c:トップマージン縮小動作を終了するとオートカッタ位置判定用カウンタ初期化処理部384は記憶部のオートカッタ位置判定用カウンタに改行量(fd2)を負の値(初期値)として記憶させ、処理を終了する。
このようにしてトップマージン縮小動作の連続実行を防止することができるようになる。
【0056】
なお、パワーオン処理部20で改行量fd2を負の値として記憶部のオートカッタ位置判定用カウンタに記憶させ、電源投入直後に操作者によりロール紙2のオートカットを開始させるためのスイッチが押下された場合にもトップマージン縮小動作を行わないようにしてもよい。
以上説明したように、第3の実施例では、第1の実施例および第2の実施例の効果に加え、トップマージン縮小動作を連続して実行することによるプルアップローラからロール紙が外れることを防止し、用紙走行ジャムの発生を防止することができるという効果が得られる。
【実施例4】
【0057】
第4の実施例は、オートカッタから印字ヘッドまでの距離が異なる2種類の印刷装置1へ同一の印字データを送信してもそれぞれの印刷装置1で同一内容を印刷したロール紙を切断してお客へ渡すことができるようにするものである。
これは、第1の実施例から第3の実施例において、同一のアプリケーションソフトウェアが動作する上位装置からオートカッタ10から印字ヘッド7までの距離が異なる2種類の印刷装置1へそれぞれ同一の印字データを送信した場合、必要な印字結果の領域を切断できないという問題があり、その問題を解決するものである。
【0058】
図11は、オートカッタ10から印字ヘッド7までの距離が異なる2種類の印刷装置1であるプリンタAおよびプリンタBへ同一の印字データを送り、オートカットを行った例である。
1ジョブでプリンタAおよびプリンタBへ送信するデータは(a)〜(e)であり、(a)〜(d)は印字データおよび改行データであり、(e)はオートカットコマンドである。
【0059】
お客に渡す印刷結果としてのレシートは、前回のジョブで印字した(d)、今回のジョブで印字した(a)、(b)、(c)の印字結果である。図11に示した前回ジョブ印字範囲の内容は店舗情報等の常時同じ内容であり、先に印字しておくことでレシートの上端部の余白を減らすことができる効果がある。
このデータはプリンタAに合わせて作成されており、(d)を印字した後に(e)のオートカットコマンドにより、その時にあるオートカット位置でロール紙2を切断するため、(c)の印字の下で切断することができ、前回ジョブ印字の(d)から今回ジョブ印字の(c)の“***THANK YOU***”までを印字した領域を切断したレシートを発行することができるようになっている。
【0060】
これに対し、プリンタBはオートカッタ10から印字ヘッド7までの距離がプリンタAと比べて長いため、プリンタBのオートカット位置はプリンタAよりロール紙2の先端側になり、発行するレシートに必要な印字データ(c)がお客渡し範囲外になってしまう問題がある。
そこで本実施例では、プリンタAとプリンタBのオートカッタ10から印字ヘッド7までの距離の差異fdC(fdC=fdB−fdA)を吸収できるようにオートカット位置調整を行う。なお、fdAはプリンタAのオートカッタ10から印字ヘッド7までの距離、fdBはプリンタBのオートカッタ10から印字ヘッド7までの距離とする。
【0061】
この切断位置調整値としてのオートカット位置調整量fdCは、操作者の操作により予め操作パネルスイッチで入力することができるようになっているものとする。例えば、オートカット位置調整量が0であれば00H(16進数)、+1ミリメートルであれば01H(16進数)、+2ミリメートルであれば02H(16進数)、−1ミリメートルであればFFH(16進数)を不揮発性メモリの記憶部に格納しておくものとする。
【0062】
その第4の実施例の構成を図12の第4の実施例における印刷装置の制御の流れを示すブロック図に基づいて説明する。なお、上述した第3の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
図12において、オートカット制御部28は、オートカット位置調整部48を有し、さらにそのオートカット位置調整部48はオートカット位置調整量読出部481を有している。このオートカット位置調整部48は、オートカット位置調整量読出部481が記憶部から読み出したオートカット位置調整量(切断位置調整値)に基づいてロール紙2の送り動作を行うことでオートカット位置を変更する制御を行う。
【0063】
上述した構成の作用を図13の第4の実施例におけるたるみ取り動作を示すフローチャートのSで表すステップにしたがって説明する。
プリンタAに合わせて作られた印刷ジョブデータをプリンタBへ送信しようとする場合、プリンタAとプリンタBのオートカッタ10から印字ヘッド7までの距離の差異fdC(fdB−fdA)が+2ミリメートルであるとすると印刷装置1としての本プリンタBを設置するときにシステム管理者等の操作者によりオートカット位置調整量を予め図示しないメニュー機能等により+2ミリメートルに設定しておくものとする。この操作により不揮発性メモリの記憶部に02Hがオートカット位置調整量として記憶される。
【0064】
S1d:オートカット位置調整量読出部481は記憶部に記憶されたオートカット位置調整量(02H)を読み出す。
S2d:オートカット位置調整部48は読み出したオートカット位置調整量を判定し、オートカット位置調整量が0であると判定するとオートカット位置調整が不要であるとして処理をS1cへ移行し、一方オートカット位置調整量が0でないと判定するとオートカット位置調整が必要であるとして処理をS3dへ移行する。
【0065】
S3d:オートカット位置調整部48は読み出したオートカット位置調整量(02H)を改行制御部26で改行できる単位である改行量に変換し、その改行量を記憶部に記憶させる。また、オートカット位置調整量の値が負であれば逆方向、正であれば正方向を記憶部に記憶させる。本実施例では、オートカット位置調整量の値が正であるため正方向を記憶部に記憶させる。
【0066】
S4d:改行制御部26は、記憶部に記憶した改行量および方向に基づきロール紙2を改行する。
S5d:改行制御部26が改行動作を終了すると処理をS1cへ移行する。
なお、本実施例におけるS1cの処理を以下に説明する。
S1c:ロール紙2の印字動作およびオートカット位置調整動作が終了し、印字した部分がオートカッタ10を超えている状態において、印刷装置1は上位装置からオートカットコマンドを受信し、または操作者のよりオートカットを開始するためのスイッチが押下され、オートカット要求情報が記憶部に記憶されているものとする。
【0067】
オートカット制御部28のオートカット要求情報読出部281は記憶部に記憶されているオートカット要求情報を読出し、オートカット制御部28は駆動手段を駆動してオートカッタ10でロール紙2を切断する動作を開始し、処理をS2cへ移行する。
S2c以降は図10の第3の実施例と同様なのでその説明を省略する。
このようにオートカット位置調整を行うことにより、オートカッタから印字ヘッドまでの距離が異なる2種類の印刷装置1へ同一の印字データを送信してもそれぞれの印刷装置1で同一内容を印刷したロール紙を切断してお客へ渡すことができるようになる。
【0068】
以上説明したように、第4の実施例では、第1の実施例から第3の実施例の効果に加え、
機構部の寸法の異なる印刷装置へ同一の印字データを送信してもそれぞれの印刷装置で同一内容を印刷したロール紙を切断してお客へ渡すことができるという効果が得られる。
なお、第2の実施例から第4の実施例においても、図示しない紙圧検知機構でロール紙2の紙圧を検知して1P用紙または2P用紙のいずれかであるかを判定し、2P用紙と判定したときに再ローディングを有効とするようにしてもよい。
【0069】
また、第2の実施例から第4の実施例においても、所定長(例えば、1メートル)の印刷毎に再ローディング動作を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】第1の実施例における印刷装置の構成を示す説明図
【図2】第1の実施例における印刷装置の制御の流れを示すブロック図
【図3】第1の実施例におけるたるみ取り動作を示すフローチャート
【図4】第1の実施例におけるたるみ取り動作を示す説明図
【図5】第2の実施例における印刷装置の制御の流れを示すブロック図
【図6】第2の実施例におけるたるみ取り動作を示すフローチャート
【図7】第2の実施例におけるたるみ取り動作を示す説明図
【図8】第2の実施例におけるたるみ取り動作を示す説明図
【図9】第3の実施例における印刷装置の制御の流れを示すブロック図
【図10】第3の実施例におけるたるみ取り動作を示すフローチャート
【図11】第4の実施例におけるオートカット位置調整の説明図
【図12】第4の実施例における印刷装置の制御の流れを示すブロック図
【図13】第4の実施例におけるたるみ取り動作を示すフローチャート
【符号の説明】
【0071】
1 印刷装置
2 ロール紙
3 ガイドローラ
4 ガイド部材
5 フィードローラ
6 ロール紙プラテン
7 印字ヘッド
8 単票プラテン
9 プルアップローラ
10 オートカッタ
20 パワーオン処理部
21 データ処理部
22 メカ動作制御部
23 コマンド処理部
24 印字データ展開部
25 印字制御部
26 改行制御部
27 プラテン制御部
28 オートカット制御部
29 操作パネルスイッチ処理部
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写用紙に印刷が可能な印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の印刷装置は、内部にロール紙を収納し、印刷後に排出されるロール紙を切断するカッターを備え、印刷結果を提出(お客へ発行)用および保存(店舗保管)用の2つに分けて印刷するようにしているものがある。
このような印刷装置には、1Pロール紙を2つ用いてそれぞれに同一内容を印刷するものと複写用紙としての2Pロール紙を用いて印刷内容を複写して印刷するようにしているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−205871号公報(段落「0013」〜段落「0014」、図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来の技術において、ひとつの印刷装置で1Pロール紙および2Pロール紙の両方を印刷可能とした場合、それぞれの用紙をローラで挟持して同一の紙経路で搬送可能にするためには、そのローラの押圧力を1Pロール紙または2Pロール紙を搬送するために必要な押圧力の中間に設定しなければならない。このような設定では、用紙の巻き取り機構がない印刷装置において、2Pロール紙を給紙して印刷を継続していくと印刷装置のプルアップローラの片側のみが駆動するため一方の用紙が他方の用紙に比べて強く引かれることにより用紙のたるみが発生する。そして、この用紙のたるみが一定量以上になると用紙の走行ジャムが発生してしまうという問題がある。
【0004】
本発明は、このような問題を解決することを課題とし、複写用紙のたるみを発生させることなく印刷できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのため、本発明は、印刷機構で印刷された連続紙を切断する用紙切断機構を有する印刷装置において、連続紙を挟持して前記印刷機構へ送り出す第1の搬送部と、前記第1の搬送部で送り出され、前記印刷機構で印刷された連続紙を挟持して前記用紙切断機構へ送り出す第2の搬送部と、前記用紙切断機構で切断された後の連続紙の先端を、前記印刷機構と前記第1の搬送部との間まで戻した後、少なくとも前記第2の搬送部まで送り出す制御手段とを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
このようにした本発明は、複写用紙のたるみを発生させることなく印刷できるようになるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明による印刷装置の実施例を説明する。
【実施例1】
【0008】
図1は第1の実施例における印刷装置の構成を示す説明図、図2は第1の実施例における印刷装置の制御の流れを示すブロック図である。
図1において、1は印刷装置であり、複写ジャーナル用紙や単票用紙に文字等を印刷する例えばワイヤドットプリンタ等のインパクト型プリンタである。
2はロール紙であり、印刷装置1で印刷するための連続紙としてのジャーナル用紙を巻き回したものである。本印刷装置1は、1枚(1P)のジャーナル用紙および2枚(2P)または3枚以上のジャーナル用紙を重ねた複写ジャーナル用紙に印刷することができるが、本実施例では、2Pの複写ジャーナル用紙に印刷するものとして説明する。
【0009】
3(3a、3b、3c)はガイドローラであり、ロール紙2を案内するためのローラである。ガイドローラ3aおよびガイドローラ3bはロール紙2の円周面に接触するように配置され、またガイドローラ3cは引き出されたロール紙2の反りを和らげるように配置されている。また、4はガイド部材であり、引き出されたロール紙2を案内するものである。
【0010】
5(5a、5b)は第1の搬送部としてのフィードローラであり、ガイドローラ3やガイド部材4で案内されたロール紙2を挟持して送り出すためのものであり、図示しないモータ等の駆動手段により回転可能に構成されている。本実施例では、フィードローラ5aが駆動手段により回転するようになっており、フィードローラ5bはフィードローラ5aに対向して配置され、その円周面がフィードローラ5aの円周面に当接するように配置されている。
【0011】
6はロール紙プラテン、7は印字ヘッドであり、ロール紙2を介して印字ヘッド7をロール紙プラテン6の突き当て部6aに突き当て、そのロール紙2に印刷機構として印刷を行うものである。
8は単票プラテンであり、図示しない単票吸入口から吸入された単票11を介して印字ヘッド7を単票プラテン8の突き当て部8aに突き当て、その単票11に印刷機構として印刷を行うものである。
【0012】
このロール紙プラテン6および単票プラテン8は図示しない回転軸に軸支され、図示しないモータ等の駆動手段により一体となって回転可能に構成されている。図1(a)はロール紙2を印刷するときの状態を示しており、ロール紙プラテン6および単票プラテン8を回動させてロール紙プラテン6を印字ヘッド7に近接させ、一方単票プラテン8を印字ヘッド7から退避させている。また、図1(b)は単票11を印刷するときの状態を示しており、ロール紙プラテン6および単票プラテン8を回動させて単票プラテン8を印字ヘッド7に近接させ、一方ロール紙プラテン6を印字ヘッド7から退避させている。
【0013】
図1(b)に示す単票11を印刷するときの状態においては、ロール紙プラテン6と単票プラテン8との間に十分な隙間が形成され、ロール紙2を搬送することができるようになっている。
9(9a、9b)は第2の搬送部としてのプルアップローラであり、フィードローラ5により送り出され、ロール紙プラテン6および印字ヘッド7(印刷機構)により印刷されたロール紙2を挟持して引き込むものであり、図示しないモータ等の駆動手段により回転可能に構成されている。本実施例では、プルアップローラ9aが駆動手段により回転するようになっており、プルアップローラ9bはプルアップローラ9aに対向して配置され、その円周面がプルアップローラ9aの円周面に当接するように配置されている。
【0014】
10は用紙切断機構としてのオートカッタであり、プルアップローラ9で送り出されたロール紙2を切断するものである。このオートカッタ10は、図示しないソレノイド等の駆動手段により駆動されてロール紙2を切断することができるようになっている。
なお、印刷装置1には図示しない操作者が操作するスイッチが設けられており、ロール紙2のオートカット動作を開始させるための操作を検知できるようになっている。
【0015】
このように印刷装置1は構成され、ロール紙2または単票11に印刷することができるようになっている。
図2において、20はパワーオン処理部であり、印刷装置1の電源が投入されるとメモリ等の記憶部に記憶される各情報の初期化および機構の初期化動作を行った後、データ処理部21、メカ動作制御部22、および操作パネルスイッチ処理部29がサイクリックに動作する構成となっている。
【0016】
データ処理部21はコマンド処理部23および印字データ展開部24で構成され、図示しない上位装置から送られてくるデータを解析し、コマンド処理部23は、例えば改行コマンドの場合は改行要求および改行量/方向の情報を記憶部に設定(記憶)し、行区切りコマンドの場合は印字要求を記憶部に設定する。また、コマンド処理部23はオートカットコマンド処理部231を有し、オートカットコマンドの場合はそのオートカットコマンド処理部231のオートカット要求情報設定部232がオートカッタ10によるロール紙2の切断動作を開始するためのオートカット要求情報を記憶部に設定する。
【0017】
さらに、印字データ展開部24は送られてきた印字データを印刷するためにその印字データを展開する処理を行う。
メカ動作制御部22は、印字制御部25、改行制御部26、プラテン制御部27、およびオートカット制御部28で構成され、印字制御部25はコマンド処理部23で記憶部に設定された印字要求に基づいて印字動作を行い、改行制御部26はコマンド処理部23で記憶部に設定された改行要求および改行量/方向の情報に基づいてロール紙2を送る改行動作を行い、プラテン制御部27はロール紙プラテン6および単票プラテン8の回動動作を行い、オートカット制御部28はオートカット要求情報232に基づいてロール紙2の切断動作を行う。
【0018】
操作パネルスイッチ処理部29は、スイッチ押下検出処理部291を有し、操作者によりロール紙2のオートカットを開始させるためのスイッチが押下されたことを検知し、そのスイッチの押下を検知するとオートカット要求情報設定部292がロール紙2の切断動作を開始させるためのオートカット要求情報を記憶部に設定する。
改行制御部26は、正改行制御部261および逆改行制御部262で構成され、記憶部に設定された改行要求および改行量/方向の情報に基づいて正改行制御部261は、ロール紙2をフィードローラ5からプルアップローラ9へ向かう方向(以下、「正方向」という。)に送り出す正改行動作を行い、逆改行制御部262は、ロール紙2をプルアップローラ9からフィードローラ5へ向かう方向(以下、「逆方向」という。)に引き戻す逆改行動作を行う。
【0019】
プラテン制御部27は、印字する用紙の種類、すなわちロール紙2または単票11に応じてロール紙プラテン6および単票プラテン8を移動させる制御を行う。
ここで、ロール紙プラテン6および単票プラテン8を移動させる制御を図1に基づいて説明する。
ロール紙2を印字する場合、図1(a)に示すようにロール紙2はロール紙プラテン6の背後からロール紙プラテン6の下方を通ってロール紙プラテン6と単票プラテン8の間に入り、さらにそのロール紙プラテン6と単票プラテン8の間のスリット孔を通って上方へ搬送される。すなわち、ロール紙2はロール紙プラテン6の突き当て部6aに密着するように装着され、このとき印字ヘッド7は突き当て部6aに対向している。さらにこのとき、図示しないロール紙プラテン6の突起部が透過センサを過ぎ、突き当て部6aが印字ヘッド7に対向していることを検知する。
【0020】
一方、単票11を印字する場合やロール紙2を吸入する場合、図1(b)に示すようにロール紙プラテン6および単票プラテン8を回動させて単票プラテン8の突き当て部8aが印字ヘッド7に対向する位置へ移動させる。この状態では、単票11が単票プラテン8の突き当て部8aに密着するように装着され、ロール紙2はロール紙プラテン6と単票プラテン8の間に入ったままであっても、単票11とロール紙2が印字位置で重ならないようになっている。
【0021】
さらに、ロール紙2をフィードローラ5からロール紙プラテン6と単票プラテン8の間に吸入し、プルアップローラ9まで搬送する場合もロール紙プラテン6および単票プラテン8を回動させて単票プラテン8の突き当て部8aが印字ヘッド7に対向する位置へ移動させ、ロール紙2がフィードローラ5の近傍からプルアップローラ9までの間が略一直線状になるようにする。ロール紙2を吸入した後、そのロール紙2に印字する場合、図1(a)に示すようにロール紙プラテン6および単票プラテン8を回動させてロール紙プラテン6の突き当て部6aが印字ヘッド7に対向する位置へ移動させる。
【0022】
図2の説明に戻り、オートカット制御部28は、オートカット要求情報読出部281および再ローディング制御部282で構成され、オートカット要求情報読出部281により記憶部に設定されたオートカット要求情報を読出し、オートカットが要求されている場合、オートカッタ10を駆動させてロール紙2の切断動作を行い、その後再ローディング制御部282は、ロール紙2の先端を所定の移動量だけ逆方向へ一旦戻し、再度ロール紙2の先端を元の位置まで送り出す再ローディング動作を行う。この再ローディング動作によりロール紙2のたるみを取ることができる。
【0023】
なお、従来技術の問題点であるたるみの発生は、2P用紙を使用する場合にのみ発生するため、たるみを取るための再ローディング動作の有効/無効を予め図示しないメニュー機能等により操作パネルスイッチで選択できるようにし、選択された有効/無効を操作パネルスイッチ処理部29が再ローディング有効/無効情報として記憶部に記憶させる。そして、再ローディング制御部282の再ローディング有効/無効情報判定部283が再ローディング動作を開始する前に再ローディング有効/無効情報の判定を行い、有効の場合にのみ再ローディング動作を行うものとする。
【0024】
このように印刷装置1は構成され、図示しないメモリ等の記憶部に印刷装置1全体を制御するための制御プログラムを記憶し、その制御プログラムに基づいてCPU等の制御手段が印刷装置1全体を制御する。
上述した構成の作用を図3の第1の実施例におけるたるみ取り動作を示すフローチャートのSで表すステップにしたがって説明する。
【0025】
S1a:ロール紙2が図4(a)に示すように印字が終了し、印字した部分がオートカッタ10を超えている状態において、印刷装置1は上位装置からオートカットコマンドを受信し、または操作者のよりオートカットを開始するためのスイッチが押下され、オートカット要求情報が記憶部に記憶されているものとする。
オートカット制御部28のオートカット要求情報読出部281は記憶部に記憶されているオートカット要求情報を読出し、オートカット制御部28は駆動手段を駆動してオートカッタ10でロール紙2を切断する動作(オートカット動作)を開始する。
【0026】
S2a:オートカット制御部28がオートカッタ10で切断動作を行うと図4(a)に示すロール紙2の先端部(図における斜線部)が切断され、さらにオートカッタ10を初期位置に戻す動作を行い、その動作が終了すると処理をS3aへ移行する。
S3a:ロール紙2を切断すると再ローディング制御部282の再ローディング有効/無効判定部283は、予め記憶部に記憶されている再ローディング有効/無効情報を読み出して判定し、無効であると判定した場合、処理を終了し、一方有効であると判定した場合、処理をS4aへ移行する。
【0027】
S4a:再ローディング有効/無効情報が有効であると判定するとプラテン制御部27は、図1(b)に示すようにロール紙プラテン6および単票プラテン8を回動して単票プラテン8の突き当て部8aが印字ヘッド7に対向する位置(単票印字用プラテン位置)へ移動し、ロール紙2がフィードローラ5の近傍からプルアップローラ9までの間が略一直線状になるようにする。
【0028】
S5a:ロール紙プラテン6および単票プラテン8を移動させると改行制御部26は改行量(fd1)および方向(逆方向)を記憶部に記憶させる。
S6a:改行量(fd1)および方向(逆方向)を記憶部に記憶させると逆改行制御部262は、改行量(fd1)に基づきロール紙2を逆改行する。
S7a:逆改行制御部262は、図4(b)に示すようにロール紙2の先端が印刷機構としての印字ヘッド7とフィードローラ5との間に位置するまで逆方向へ改行する逆改行動作を行い、その逆改行動作が終了すると処理をS8aへ移行する。
【0029】
これによりプルアップローラ9からロール紙2の先端を外すとともに印字ヘッド7とフィードローラ5との間でたるみ(図1(a)に一点鎖線で示す)が発生する位置よりもフィードローラ5側にロール紙2の先端を戻すことにより、ロール紙2を吸入したときと同様にたるみのない状態にすることができる。
S8a:逆改行動作が終了すると改行制御部26は改行量(fd1)および方向(正方向)を記憶部に記憶させる。
【0030】
S9a:改行量(fd1)および方向(正方向)を記憶部に記憶させると正改行制御部261は、改行量(fd1)に基づきロール紙2を正改行する。
S10a:正改行制御部261は、図4(c)に示すようにロール紙2の先端がプルアップローラ9を超えてオートカッタ10の位置まで正方向へ改行する正改行動作を行い、その正改行動作が終了すると処理をS11aへ移行する。
【0031】
S11a:正改行動作を終了するとプラテン制御部27は、図1(a)に示すようにロール紙プラテン6および単票プラテン8を回動してロール紙プラテン6の突き当て部6aが印字ヘッド7に対向する位置(ロール紙印字用プラテン位置)へ移動し、再ローディング動作を終了する。
このようにして印刷装置1はオートカット動作後に再ローディング動作を行い、用紙のたるみを取る動作を行う。
【0032】
なお、本実施例では、再ローディングの有効/無効を操作者の操作により設定するようにしたが、図示しない紙厚検知機構でロール紙2の紙厚を検知して1P用紙または2P用紙のいずれかであるかを判定し、2P用紙と判定したときに再ローディングを有効とするようにしてもよい。
また、本実施例では、オートカットコマンド等によるオートカット動作を行った後に再ローディング動作を行うようにしたが、所定長(例えば、1メートル)の印刷毎に再ローディング動作を行うようにしてもよい。
【0033】
以上説明したように、第1の実施例では、2Pロール紙を使用して印刷する場合、店舗のレジスタなどで使用される印刷装置で定期的に行われるオートカット動作後に再ローディング動作を行うようにしたことにより、連続して行う印刷動作で生じる用紙のたるみを蓄積させることなく解消することができ、用紙走行ジャムの発生を防止することができるという効果が得られる。
【0034】
また、用紙のたるみを解消させるための再ローディング動作をロール紙のオートカット動作後に行うようにしたことにより、お客へのレシートの発行を遅らせることがないという効果が得られる。
【実施例2】
【0035】
第2の実施例は、ロール紙の先端部の余白が少なくなるように制御するものである。その第2の実施例の構成を図5の第2の実施例における印刷装置の制御の流れを示すブロック図に基づいて説明する。なお、上述した第1の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
図5において、オートカット制御部28は、オートカット要求情報読出部281、再ローディング制御部282、再ローディング有効/無効情報判定部283、トップマージン縮小部38、およびトップマージン縮小有効/無効情報判定部381で構成され、トップマージン縮小部38はロール紙2のオートカット処理後に逆方向へロール紙2を戻すことでロール紙2の先端部の余白が少なくなるように制御する。
【0036】
このロール紙2の先端部の余白を少なくするトップマージン縮小動作の有効/無効を予め図示しないメニュー機能等により操作パネルスイッチで選択できるようにし、選択された有効/無効をトップマージン縮小有効/無効情報として記憶部に記憶させておき、トップマージン縮小部38のトップマージン縮小有効/無効情報判定部381がトップマージン縮小動作を開始する前にトップマージン縮小有効/無効情報の判定を行い、有効の場合にのみトップマージン縮小動作を行うものとする。
【0037】
また、トップマージン縮小動作においては、次の印刷動作における第1行目の印字詰まりを解消するための動作を行うバックラッシュ動作制御部263が逆改行制御部262に含まれている。
上述した構成の作用を図6の第2の実施例におけるたるみ取り動作を示すフローチャートのSで表すステップにしたがって説明する。
【0038】
S1b、S2b:図3におけるS1a、S2aと同様なのでその説明を省略する。
S3b:ロール紙2を切断すると再ローディング制御部282の再ローディング有効/無効情報判定部283は、予め記憶部に記憶されている再ローディング有効/無効情報を読み出して判定し、無効であると判定した場合、処理をS16bへ移行し、一方有効であると判定した場合、処理をS4bへ移行する。
【0039】
S4b〜S7b:図3におけるS4a〜S7aと同様なのでその説明を省略する。
S8b:逆改行動作が終了するとトップマージン縮小部38のトップマージン縮小有効/無効情報判定部381は、予め記憶部に記憶されているトップマージン縮小有効/無効情報を読み出して判定し、無効であると判定した場合、処理をS9bへ移行し、一方有効であると判定した場合、処理をS13bへ移行する。
【0040】
S9b〜S12b:図3におけるS8a〜S11aと同様なのでその説明を省略する。
S13b:トップマージン縮小有効/無効情報が有効であると判定すると改行制御部26は改行量(fd3)および方向(正方向)を記憶部に記憶させる。
本ステップは、再ローディング動作とトップマージン縮小動作が共に有効である処理であり、改行量として設定するfd3は、図7(a)に示す再ローディング動作におけるロール紙2の送り改行量(fd1)から図7(c)におけるトップマージン縮小時のロール紙2の戻し改行量(fd2)を引いた値、すなわちfd3=fd1−fd2(送り改行量fd1>戻し改行量fd2)である。
【0041】
S14b:改行量(fd3)および方向(正方向)を記憶部に記憶させると正改行制御部261は、改行量(fd3)に基づきロール紙2を正改行する。
S15b:正改行制御部261は、図7(c)に示すようにロール紙2の先端がプルアップローラ9から外れない位置まで正改行動作(ロール紙2の先端を少なくともプルアップローラ9まで戻す正改行動作)を行い、その正改行動作が終了すると処理をS12bへ移行する。
【0042】
S16b:S3bにおいて再ローディング有効/無効情報が無効であると判定するとトップマージン縮小部38のトップマージン縮小有効/無効情報判定部381は、予め記憶部に記憶されているトップマージン縮小有効/無効情報を読み出して判定し、無効であると判定した場合、処理を終了し、一方有効であると判定した場合、処理をS17bへ移行する。
【0043】
S17b:トップマージン縮小有効/無効情報が有効であると判定すると改行制御部26は改行量(fd2)および方向(逆方向)を記憶部に記憶させる。
S18b:改行量(fd2)および方向(逆方向)を記憶部に記憶させると逆改行制御部262は、改行量(fd2)に基づきロール紙2を図8(a)に示すロール紙2の先端部(図における斜線部)が切断された位置から逆改行する。
【0044】
S19b:逆改行制御部262は、図8(b)に示すようにロール紙2の先端がプルアップローラ9から外れない位置まで逆改行動作を行い、その逆改行動作が終了すると処理を終了する。
このようにして印刷装置1は、ロール紙2の先端部の余白が少なくなるように制御する。
【0045】
以上説明したように、第2の実施例では、第1の実施例の効果に加え、オートカット動作後に行う再ローディング動作でトップマージン縮小動作を行うようにしたことにより、用紙の上端部の余白を減らすことができるという効果が得られる。
また、余白を減らすことで用紙コストを削減することができるという効果が得られる。
【実施例3】
【0046】
第3の実施例は、トップマージン縮小動作を連続して実行することを防止するものである。これは、第2の実施例において、トップマージン縮小動作が終了した直後に操作ミスによりオートカットを開始させるためのスイッチが押下された場合、プルアップローラからロール紙が外れ、その後プルアップローラでロール紙を円滑に搬送することができずロール紙詰まりが発生する可能性があるが、このロール紙詰まりの発生を防止するためである。
【0047】
その第3の実施例の構成を図9の第3の実施例における印刷装置の制御の流れを示すブロック図に基づいて説明する。なお、上述した第2の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
図9において、トップマージン縮小部38はトップマージン縮小動作を連続して実行することを防止する制御を行う連続縮小動作防止制御部382を有し、その連続縮小動作防止制御部382はオートカッタ位置判定部383およびオートカッタ位置判定用カウンタ初期化処理部384を有している。
【0048】
トップマージン縮小部38がトップマージン縮小動作を行った直後にオートカッタ位置判定用カウンタ初期化処理部384が記憶部に記憶されたオートカッタ位置判定用カウンタに初期値を記憶させ、トップマージン縮小部38が次に行うトップマージン縮小動作の直前にオートカッタ位置判定部383は記憶部に記憶されたオートカッタ位置判定用カウンタを読出し、その値に基づいてトップマージン縮小動作が連続して行われるか否かを判定する。
【0049】
なお、オートカッタ位置判定用カウンタにはオートカッタ10によりロール紙2を切断した位置を“0”とし、その位置から逆改行量を負の値とし、また正改行量を正の値として記憶させるものとする。
上述した構成の作用を図10の第3の実施例におけるたるみ取り動作を示すフローチャートのSで表すステップにしたがって説明する。
【0050】
S1c、S2c:図6におけるS1b、S2bと同様なのでその説明を省略する。
S3c:ロール紙2を切断すると再ローディング制御部282の再ローディング有効/無効情報判定部283は、予め記憶部に記憶されている再ローディング有効/無効情報を読み出して判定し、無効であると判定した場合、処理をS18cへ移行し、一方有効であると判定した場合、処理をS4cへ移行する。
【0051】
S4c〜S12c:図6におけるS4b〜S12bと同様なのでその説明を省略する。
S13c:トップマージン縮小有効/無効情報が有効であると判定するとオートカッタ位置判定部383はオートカッタ位置判定用カウンタ(cnt)が負の値であるか判定し、負の値であると判定するとトップマージン縮小動作が連続して行われるものとして正改行量を逆改行量と等しくした正改行動作を行うため、処理をS9cへ移行し、一方負の値でないと判定するとトップマージン縮小動作が連続して行われるものでないとしてトップマージン縮小動作を行うため、処理をS14cへ移行する。
【0052】
なお、オートカッタ位置判定用カウンタ(cnt)が負の値を示しているとき、ロール紙2の先端はオートカッタ10とプルアップローラ9との間に位置している。
S14c、S15c:図6におけるS13b、S14bと同様なのでその説明を省略する。
S16c:正改行制御部261は、図7(c)に示すようにロール紙2の先端がプルアップローラ9から外れない位置まで正改行動作を行い、その正改行動作が終了すると処理をS17cへ移行する。
【0053】
S17c:トップマージン縮小動作を終了するとオートカッタ位置判定用カウンタ初期化処理部384は記憶部のオートカッタ位置判定用カウンタに改行量(fd2)を負の値(初期値)として記憶させ、処理をS12cへ移行する。
S18c:S3cにおいて、再ローディング有効/無効情報が無効であると判定するとオートカッタ位置判定部383はオートカッタ位置判定用カウンタ(cnt)が負の値であるか判定し、負の値であると判定するとトップマージン縮小動作が連続して行われるものとして処理を終了し、負の値でないと判定するとトップマージン縮小動作が連続して行われるものでないとして処理をS19cへ移行する。
【0054】
S19c〜S21c:図6におけるS16b〜S18bと同様なのでその説明を省略する。
S22c:逆改行制御部262は、図8(b)に示すようにロール紙2の先端がプルアップローラ9から外れない位置まで逆改行動作を行い、その逆改行動作が終了すると処理をS23cへ移行する。
【0055】
S23c:トップマージン縮小動作を終了するとオートカッタ位置判定用カウンタ初期化処理部384は記憶部のオートカッタ位置判定用カウンタに改行量(fd2)を負の値(初期値)として記憶させ、処理を終了する。
このようにしてトップマージン縮小動作の連続実行を防止することができるようになる。
【0056】
なお、パワーオン処理部20で改行量fd2を負の値として記憶部のオートカッタ位置判定用カウンタに記憶させ、電源投入直後に操作者によりロール紙2のオートカットを開始させるためのスイッチが押下された場合にもトップマージン縮小動作を行わないようにしてもよい。
以上説明したように、第3の実施例では、第1の実施例および第2の実施例の効果に加え、トップマージン縮小動作を連続して実行することによるプルアップローラからロール紙が外れることを防止し、用紙走行ジャムの発生を防止することができるという効果が得られる。
【実施例4】
【0057】
第4の実施例は、オートカッタから印字ヘッドまでの距離が異なる2種類の印刷装置1へ同一の印字データを送信してもそれぞれの印刷装置1で同一内容を印刷したロール紙を切断してお客へ渡すことができるようにするものである。
これは、第1の実施例から第3の実施例において、同一のアプリケーションソフトウェアが動作する上位装置からオートカッタ10から印字ヘッド7までの距離が異なる2種類の印刷装置1へそれぞれ同一の印字データを送信した場合、必要な印字結果の領域を切断できないという問題があり、その問題を解決するものである。
【0058】
図11は、オートカッタ10から印字ヘッド7までの距離が異なる2種類の印刷装置1であるプリンタAおよびプリンタBへ同一の印字データを送り、オートカットを行った例である。
1ジョブでプリンタAおよびプリンタBへ送信するデータは(a)〜(e)であり、(a)〜(d)は印字データおよび改行データであり、(e)はオートカットコマンドである。
【0059】
お客に渡す印刷結果としてのレシートは、前回のジョブで印字した(d)、今回のジョブで印字した(a)、(b)、(c)の印字結果である。図11に示した前回ジョブ印字範囲の内容は店舗情報等の常時同じ内容であり、先に印字しておくことでレシートの上端部の余白を減らすことができる効果がある。
このデータはプリンタAに合わせて作成されており、(d)を印字した後に(e)のオートカットコマンドにより、その時にあるオートカット位置でロール紙2を切断するため、(c)の印字の下で切断することができ、前回ジョブ印字の(d)から今回ジョブ印字の(c)の“***THANK YOU***”までを印字した領域を切断したレシートを発行することができるようになっている。
【0060】
これに対し、プリンタBはオートカッタ10から印字ヘッド7までの距離がプリンタAと比べて長いため、プリンタBのオートカット位置はプリンタAよりロール紙2の先端側になり、発行するレシートに必要な印字データ(c)がお客渡し範囲外になってしまう問題がある。
そこで本実施例では、プリンタAとプリンタBのオートカッタ10から印字ヘッド7までの距離の差異fdC(fdC=fdB−fdA)を吸収できるようにオートカット位置調整を行う。なお、fdAはプリンタAのオートカッタ10から印字ヘッド7までの距離、fdBはプリンタBのオートカッタ10から印字ヘッド7までの距離とする。
【0061】
この切断位置調整値としてのオートカット位置調整量fdCは、操作者の操作により予め操作パネルスイッチで入力することができるようになっているものとする。例えば、オートカット位置調整量が0であれば00H(16進数)、+1ミリメートルであれば01H(16進数)、+2ミリメートルであれば02H(16進数)、−1ミリメートルであればFFH(16進数)を不揮発性メモリの記憶部に格納しておくものとする。
【0062】
その第4の実施例の構成を図12の第4の実施例における印刷装置の制御の流れを示すブロック図に基づいて説明する。なお、上述した第3の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
図12において、オートカット制御部28は、オートカット位置調整部48を有し、さらにそのオートカット位置調整部48はオートカット位置調整量読出部481を有している。このオートカット位置調整部48は、オートカット位置調整量読出部481が記憶部から読み出したオートカット位置調整量(切断位置調整値)に基づいてロール紙2の送り動作を行うことでオートカット位置を変更する制御を行う。
【0063】
上述した構成の作用を図13の第4の実施例におけるたるみ取り動作を示すフローチャートのSで表すステップにしたがって説明する。
プリンタAに合わせて作られた印刷ジョブデータをプリンタBへ送信しようとする場合、プリンタAとプリンタBのオートカッタ10から印字ヘッド7までの距離の差異fdC(fdB−fdA)が+2ミリメートルであるとすると印刷装置1としての本プリンタBを設置するときにシステム管理者等の操作者によりオートカット位置調整量を予め図示しないメニュー機能等により+2ミリメートルに設定しておくものとする。この操作により不揮発性メモリの記憶部に02Hがオートカット位置調整量として記憶される。
【0064】
S1d:オートカット位置調整量読出部481は記憶部に記憶されたオートカット位置調整量(02H)を読み出す。
S2d:オートカット位置調整部48は読み出したオートカット位置調整量を判定し、オートカット位置調整量が0であると判定するとオートカット位置調整が不要であるとして処理をS1cへ移行し、一方オートカット位置調整量が0でないと判定するとオートカット位置調整が必要であるとして処理をS3dへ移行する。
【0065】
S3d:オートカット位置調整部48は読み出したオートカット位置調整量(02H)を改行制御部26で改行できる単位である改行量に変換し、その改行量を記憶部に記憶させる。また、オートカット位置調整量の値が負であれば逆方向、正であれば正方向を記憶部に記憶させる。本実施例では、オートカット位置調整量の値が正であるため正方向を記憶部に記憶させる。
【0066】
S4d:改行制御部26は、記憶部に記憶した改行量および方向に基づきロール紙2を改行する。
S5d:改行制御部26が改行動作を終了すると処理をS1cへ移行する。
なお、本実施例におけるS1cの処理を以下に説明する。
S1c:ロール紙2の印字動作およびオートカット位置調整動作が終了し、印字した部分がオートカッタ10を超えている状態において、印刷装置1は上位装置からオートカットコマンドを受信し、または操作者のよりオートカットを開始するためのスイッチが押下され、オートカット要求情報が記憶部に記憶されているものとする。
【0067】
オートカット制御部28のオートカット要求情報読出部281は記憶部に記憶されているオートカット要求情報を読出し、オートカット制御部28は駆動手段を駆動してオートカッタ10でロール紙2を切断する動作を開始し、処理をS2cへ移行する。
S2c以降は図10の第3の実施例と同様なのでその説明を省略する。
このようにオートカット位置調整を行うことにより、オートカッタから印字ヘッドまでの距離が異なる2種類の印刷装置1へ同一の印字データを送信してもそれぞれの印刷装置1で同一内容を印刷したロール紙を切断してお客へ渡すことができるようになる。
【0068】
以上説明したように、第4の実施例では、第1の実施例から第3の実施例の効果に加え、
機構部の寸法の異なる印刷装置へ同一の印字データを送信してもそれぞれの印刷装置で同一内容を印刷したロール紙を切断してお客へ渡すことができるという効果が得られる。
なお、第2の実施例から第4の実施例においても、図示しない紙圧検知機構でロール紙2の紙圧を検知して1P用紙または2P用紙のいずれかであるかを判定し、2P用紙と判定したときに再ローディングを有効とするようにしてもよい。
【0069】
また、第2の実施例から第4の実施例においても、所定長(例えば、1メートル)の印刷毎に再ローディング動作を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】第1の実施例における印刷装置の構成を示す説明図
【図2】第1の実施例における印刷装置の制御の流れを示すブロック図
【図3】第1の実施例におけるたるみ取り動作を示すフローチャート
【図4】第1の実施例におけるたるみ取り動作を示す説明図
【図5】第2の実施例における印刷装置の制御の流れを示すブロック図
【図6】第2の実施例におけるたるみ取り動作を示すフローチャート
【図7】第2の実施例におけるたるみ取り動作を示す説明図
【図8】第2の実施例におけるたるみ取り動作を示す説明図
【図9】第3の実施例における印刷装置の制御の流れを示すブロック図
【図10】第3の実施例におけるたるみ取り動作を示すフローチャート
【図11】第4の実施例におけるオートカット位置調整の説明図
【図12】第4の実施例における印刷装置の制御の流れを示すブロック図
【図13】第4の実施例におけるたるみ取り動作を示すフローチャート
【符号の説明】
【0071】
1 印刷装置
2 ロール紙
3 ガイドローラ
4 ガイド部材
5 フィードローラ
6 ロール紙プラテン
7 印字ヘッド
8 単票プラテン
9 プルアップローラ
10 オートカッタ
20 パワーオン処理部
21 データ処理部
22 メカ動作制御部
23 コマンド処理部
24 印字データ展開部
25 印字制御部
26 改行制御部
27 プラテン制御部
28 オートカット制御部
29 操作パネルスイッチ処理部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷機構で印刷された連続紙を切断する用紙切断機構を有する印刷装置において、
連続紙を挟持して前記印刷機構へ送り出す第1の搬送部と、
前記第1の搬送部で送り出され、前記印刷機構で印刷された連続紙を挟持して前記用紙切断機構へ送り出す第2の搬送部と、
前記用紙切断機構で切断された後の連続紙の先端を、前記印刷機構と前記第1の搬送部との間まで戻した後、少なくとも前記第2の搬送部まで送り出す制御手段とを設けたことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1の印刷装置において、
前記制御手段は、前記連続紙の先端を送り出す移動量を、前記印刷機構と前記第1の搬送部との間まで戻す移動量より少なくしたことを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項2の印刷装置において、
前記制御手段は、前記連続紙の先端が、前記第2の搬送部と前記用紙切断機構の間に位置するとき、前記連続紙の先端を送り出す移動量を、前記印刷機構と前記第1の搬送部との間まで戻す移動量と等しくしたことを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項1、請求項2または請求項3の印刷装置において、
前記制御手段は、前記印刷機構と前記用紙切断機構との距離が異なる装置における該距離の差を切断位置調整値とし、予め記憶部に記憶された該切断位置調整値に基づいて連続紙を送り出した後、前記用紙切断機構で連続紙を切断するようにしたことを特徴とする印刷装置。
【請求項1】
印刷機構で印刷された連続紙を切断する用紙切断機構を有する印刷装置において、
連続紙を挟持して前記印刷機構へ送り出す第1の搬送部と、
前記第1の搬送部で送り出され、前記印刷機構で印刷された連続紙を挟持して前記用紙切断機構へ送り出す第2の搬送部と、
前記用紙切断機構で切断された後の連続紙の先端を、前記印刷機構と前記第1の搬送部との間まで戻した後、少なくとも前記第2の搬送部まで送り出す制御手段とを設けたことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1の印刷装置において、
前記制御手段は、前記連続紙の先端を送り出す移動量を、前記印刷機構と前記第1の搬送部との間まで戻す移動量より少なくしたことを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項2の印刷装置において、
前記制御手段は、前記連続紙の先端が、前記第2の搬送部と前記用紙切断機構の間に位置するとき、前記連続紙の先端を送り出す移動量を、前記印刷機構と前記第1の搬送部との間まで戻す移動量と等しくしたことを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項1、請求項2または請求項3の印刷装置において、
前記制御手段は、前記印刷機構と前記用紙切断機構との距離が異なる装置における該距離の差を切断位置調整値とし、予め記憶部に記憶された該切断位置調整値に基づいて連続紙を送り出した後、前記用紙切断機構で連続紙を切断するようにしたことを特徴とする印刷装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−94913(P2010−94913A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−268375(P2008−268375)
【出願日】平成20年10月17日(2008.10.17)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【出願人】(594202361)株式会社沖データシステムズ (259)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月17日(2008.10.17)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【出願人】(594202361)株式会社沖データシステムズ (259)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]