説明

印刷装置

【課題】開閉蓋の開閉を検出するセンサへの防水性を確保し、開閉検出性能を良好に維持する。
【解決手段】プリンタ1は、装置外郭を構成する略箱形の筐体100と、筐体100の内部構造を、前方側に位置する第1領域Pと後方側に位置する第2領域Qとに仕切るメインシャーシ部材150及び仕切壁Rと、第1領域Pに設けられた制御基板170等の電装品と、第2領域Qに設けられロール紙Sを収納するロール収納部161と、開き位置と閉じ位置との間で開閉可能な開閉蓋101Bと、閉じ位置へと下降する開閉蓋101Bに移動入力部202が当接して下降するとともに当該移動入力部202の下降移動を移動出力部203に機械的に伝達し、当該移動出力部203の上昇移動として出力する移動伝達機構200と、第1領域Pに設けられ移動出力部203の移動を検出する移動検出センサLSとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被印字媒体に対し所望の印字を行う印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、筐体の内部に、被印字媒体を収納する媒体収納室を設けた印刷装置として、特許文献1記載の技術が知られている。この印刷装置においては、媒体収納室は、筐体(プリンタケース)に設けた開閉蓋(プリンタカバー)を用いて外部開放可能となっている。これにより、操作者は、開閉蓋を開き位置として媒体収納室を外部に露出することで、被印字媒体(ロール紙)の媒体収納室への装着や新しい被印字媒体との交換を容易に行うことができる。なお、開閉蓋の開閉動作はセンサ(カバーオープン検出器)によって検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−218872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、開閉蓋の開閉動作を検出するセンサを、上記開閉蓋により外部開放される側に設けている。この場合、開閉蓋が開き状態となり筐体内部が外部開放されたときに、雨水など外部からの飛沫がセンサの検出性能に悪影響を与えるおそれがある。しかしながら、上記従来技術では、特にこのようなセンサ性能への飛沫の影響について、特に配慮されていなかった。
【0005】
本発明の目的は、開閉蓋の開閉を検出するセンサへの防水性を確保し、開閉検出性能を良好に維持できる、印刷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明は、被印字媒体に所望の印字を行う印刷装置であって、装置外郭を構成する略箱形の筐体と、前記筐体の内部構造を、水平方向一方側に位置する第1領域と水平方向他方側に位置する第2領域とに仕切る、遮蔽手段と、前記第1領域に設けられた電装品と、前記第2領域に設けられ、前記被印字媒体を収納する媒体収納室と、開き位置と閉じ位置との間で開閉可能に前記筐体に設けられ、前記媒体収納室を外部に露出可能な開閉蓋と、前記遮蔽手段の前記他方側に設けられた移動入力部、及び、前記遮蔽手段の前記一方側に設けられた移動出力部、を備え、前記閉じ位置へと下降する前記開閉蓋に前記移動入力部が当接して下降するとともに当該移動入力部の下降移動を前記移動出力部に機械的に伝達し、当該移動出力部の所定方向に沿った移動として出力する、移動伝達機構と、 前記第1領域に設けられ前記移動出力部の前記移動を検出する移動検出センサと、を有することを特徴とする。
【0007】
本願第1発明の印刷装置においては、筐体の内部に、被印字媒体を収納する媒体収納室が設けられ、この媒体収納室は筐体に設けた開閉蓋を用いて外部開放可能となっている。これにより、操作者は、開閉蓋を開き位置として媒体収納室を外部に露出することで、被印字媒体の媒体収納室への装着や新しい被印字媒体との交換を容易に行うことができる。
【0008】
その際、筐体内部が外部に開放されることから、筐体内部の電装品の防水性に配慮する必要がある。本願発明では、筐体内部に遮蔽手段を設けて水平方向一方側の第1領域と水平方向他方側の第2領域とに仕切るとともに、開閉蓋で開閉される上記媒体収納室を第2領域に設け電装品を第1領域に設けている。これにより、電装品への防水性を確保することができる。
【0009】
一方、通常、開閉蓋の開閉動作を検出するためにセンサ(移動検出センサ)が設けられるが、このセンサを上記開閉蓋と同じ側である第2領域に設けた場合、上述と同様、センサへの防水性の懸念が生じる。
【0010】
そこで、本願第1発明においては、開閉蓋の動作を直接センサで検出するのではなく、第2領域側の開閉蓋の動作を移動伝達機構を介して機械的に第1領域側へ伝達し、これをセンサで検出する。すなわち、移動伝達機構は、上記第1領域と第2領域とにまたがって設けられており、遮蔽手段より水平方向他方側(すなわち第2領域)に位置する移動入力部と、遮蔽手段より水平方向一方側(すなわち第1領域)に位置する移動出力部と、を有している。第2領域側において開閉蓋が閉じられるとき、閉じ位置へと下降する開閉蓋に対し上記移動入力部が当接し、これによって移動入力部が下降する。この移動入力部の下降移動は機械的に第1領域に位置する移動出力部へと伝達され、これによって移動出力部が所定方向に沿って移動する。そして、この移動出力部の移動が、第1領域に位置するセンサ(移動検出センサ)によって検出される。
【0011】
以上のようにして、外部開放状態となる第2領域での開閉蓋の移動を第1領域側へと伝達して移動検出センサで検出することにより、移動検出センサへの防水性を確保することができる。この結果、開閉蓋の開閉検出性能を良好に維持することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、開閉蓋の開閉を検出するセンサへの防水性を確保し、開閉検出性能を良好に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態であるプリンタの外観構成を表す斜視図である。
【図2】筐体のトップカバーを外した状態を前方側斜め上方向から見た斜視図である。
【図3】図1中F−F断面による断面図、及び、G−G断面による断面図である。
【図4】メカユニットの詳細構造を表す斜視図である。
【図5】筐体のトップカバーのうちの固定部を外した状態を表す、前方側斜め上方向から見た斜視図及び平面図である。
【図6】筐体のトップカバー全部を外した状態を表す、前方側斜め上方向から見た斜視図及び後方側斜め上方向から見た斜視図である。
【図7】筐体のトップカバー全部及びメカユニットを外した状態を表す、前方側斜め上方向から見た斜視図及び平面図である。
【図8】図4に示したメカユニットの拡大斜視図である。
【図9】開閉蓋が開き位置にあるときの移動伝達機構と移動検出センサとの状態を表す、説明図である。
【図10】開閉蓋が閉じ位置にあるときの移動伝達機構と移動検出センサとの状態を表す、説明図である。
【図11】ユーザによるプリンタの使用状態の一例を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0015】
<プリンタの概略構成>
図1〜図3を用いて、本発明の一実施形態のプリンタ(印刷装置)1の全体構成を説明する。以下では、図1中の右下方向を右方、左上方向を左方、右上方向を後方、左下方向を前方、上方向を上方、下方向を下方、と定義して説明する(各図の矢印の図示参照)。なお、この例では、上記のような定義における前後方向が各請求項記載の水平方向に相当し、前方が水平方向一方側に相当し、後方が水平方向他方側に相当する。
【0016】
プリンタ1は、例えばPC端末や携帯電話等の外部機器(図示せず)より受信した印刷データを、ロール紙S(被印字媒体)に印刷する。このプリンタ1は、電池(図示せず)を電源として駆動可能である。
【0017】
プリンタ1は、例えば樹脂材料で構成された、装置外郭を構成する略箱形形状の筐体100を備えている。この筐体100は、装置外郭上部を構成するトップカバー101と、装置外郭下部を構成するアンダーカバー102とを備えている。トップカバー101は、固定部101Aと開閉蓋101Bとを備えている。
【0018】
アンダーカバー102の端部には、左・右一対の挿通部102aが備えられている。これら挿通部102aに例えばストラップSP(後述の図11参照)などを挿通し、肩や首、さらには腰ベルトなどに架けることにより、操作者は、前述のように電池駆動であるプリンタ1を様々な場所(屋外を含む)に手軽に持ち運び、使用することができる(後述の図11参照)。
【0019】
トップカバー101の開閉蓋101Bの下方(筐体100の内部)には、ロール収納部161(媒体収納室)が設けられている(図2、図3参照)。このロール収納部161には、ロール紙Sが両端部を支持部材162によって回転可能に軸支されて収納されており、これによってロール収納部161から連続的にロール紙Sを供給可能な構成となっている。このとき、開閉蓋101Bはヒンジ部Hを介しアンダーカバー102の後端部に対して回転可能に連結されており、これによってロール収納部161を外部に露出させる開き状態と、ロール収納部161を内部に収容する閉じ状態とに切り替えられる。開閉蓋101Bを開き状態とすることで、ロール収納部161を装置外部に露出させ、ロール紙Sの装着や交換を容易に行うことができる。
【0020】
また、トップカバー101の前後方向略中央部(この例では固定部101Aと開閉蓋101Bとが付き合わされる部分)には、印字後のロール紙Sを排出するための排出口107が設けられている(図1、図3参照)。このとき、排出口107は、上下方向に沿った一方側に(この例では上方に)向かって開口するように設けられている。
【0021】
開閉蓋101Bの前方側端部101C(後述の図9及び図10参照)には、プラテンローラ111が回転自在に支持されている。プラテンローラ111は、開閉蓋101Bが上記閉じ状態にあるときに、モータケーシング21内の回転子(図示せず)の回転が伝達されることにより、ロール紙Sを搬送する。
【0022】
<メカユニット及び周辺>
一方、筐体100の内部の、前後方向中央部付近には、メインシャーシ部材150を備えたメカユニットMU(印刷処理機構)が設けられている。メカユニットMUの詳細構成を図4に示す。図4、上記図2、及び上記図3に示すように、メカユニットMUにおいて、メインシャーシ部材150の内部に、ヘッドユニットHUが前後方向に揺動自在に配置されている。そして、ヘッドユニットHUには、サーマルラインヘッド112と、このサーマルラインヘッド112での発熱を冷却するためのヒートシンク114と、が一体化されて備えられている。そして、ヒートシンク114が、前方側端部がメインシャーシ部材150に支持された複数(この例では2つ)のコイルバネ115により、上記プラテンローラ111側(すなわち後方側)へと付勢されている。これにより、開閉蓋101Bが上記閉じ状態にあるときに、サーマルラインヘッド112はプラテンローラ111に所定の圧接力で接触する。
【0023】
また、メカユニットMUには、図4に示すように、メインシャーシ部材150の左側に、プラテンローラ111を回転駆動する駆動力を発生する前述のモータの外郭となる略円筒形状のモータケーシング21と、複数のギアから構成され、開閉蓋101Bの閉じ状態においてプラテンローラ111に作動連結されることで上記モータの駆動力をプラテンローラ111に伝達するギア機構132と、が設けられている。モータケーシング21は、筐体100の内部において、上記排出口107から下側に設けられる(前述の図3(b)参照)。上記駆動モータは、メカユニットMUの下方から筐体100内部の後方にかけて配置された制御基板170(図3参照)によって、その駆動が制御される。なお、制御基板170は、取り扱い性や組立性の便宜を図るために、この例では、水平方向に延設されている。制御基板170は、上記電池から供給される電力を用いつつ、メカユニットMUのサーマルラインヘッド112及び上記駆動モータ等の制御を行う。
【0024】
また、上記モータケーシング21は、筐体100の内部において、上記排出口107から下側に設けられる(前述の図3(b)参照)。このため、屋外環境や建物内の水回り環境など、雨水やその他の水に曝される可能性のある環境でプリンタ1を使用した場合に、例えば飛沫が排出口107から筐体100内部に侵入し、モータに悪影響を与えるおそれがある。そこで本実施形態では、上記駆動モータの外郭となるモータケーシング21を覆うモータカバー31を設けている。また、モータケーシング21は、左右方向を軸方向としており、駆動モータのモータ軸MAが当該モータケーシング21から左側に突出して設けられている。
【0025】
<プリンタの概略動作>
上記構成において、印刷時には、PC端末や携帯電話等の外部機器より、プリンタ1に対し、無線通信(又は有線通信や赤外線通信でもよい)を介して、印刷データが送信される。また、モータの駆動力に基づくプラテンローラ111の回転によってロール収納部161からロール紙Sが繰り出される。繰り出されたロール紙Sは、排出口107の下方に設けられたガイド部材120により、プラテンローラ111とサーマルラインヘッド112との圧接部に案内される。そして、サーマルラインヘッド112とプラテンローラ111との間に挿通されたロール紙Sに対し、サーマルラインヘッド112が上記印刷データに基づいた所望の態様の印刷を行う。印刷後のロール紙Sは、排出口107から筐体100の外部へと排出される。このとき、メインシャーシ部材150には、排出口107の内側において当該排出口107に沿うように固定歯160が取り付けられている。操作者は、上記のようにして印刷が完了し排出口107から排出されたロール紙Sの端部を、この固定歯160を用いて手動で切断することができる。
【0026】
なお、前述のようにして操作者が開閉蓋101Bを開き、ロール収納部161にロール紙Sを収納したとき、その後の印刷動作時に上記のような搬送・印刷動作を円滑に実現するためには、ロール収納部161から取り出したロール紙Sの先端余剰部をメカユニットMUのサーマルラインヘッド112と、開閉蓋101B側に設けたプラテンローラ111との間に通し、さらに当該先端余剰部を排出口107を挿通させて筐体100の外部へと露出させてから、開閉蓋101Bを閉じる必要がある。そこで、本実施形態においては、上記開閉蓋101Bの前方側端部101Cが、排出口107の後方側(言い換えればロール収納部161側)の縁部を兼ねている。
【0027】
また、印刷中に紙詰まり等が生じた場合には、トップカバー101の上記開閉蓋101Bを開放することで、サーマルラインヘッド112からプラテンローラ111がリリースされ、容易にロール紙Sを引き出すことが可能となる。
【0028】
<本実施形態の特徴>
以上の構成において、本実施形態の特徴は、飛沫に対する防水を図りつつ上記開閉蓋101Bの開閉検出を行うための構成にある。以下、その詳細を図5〜図10により順を追って説明する。
【0029】
前述したように、本実施形態のプリンタ1では、ロール収納部161は、開閉蓋101Bを用いて外部開放可能となっている。これにより、操作者は、開閉蓋101Bを開き位置としてロール収納部161を外部に露出することで、ロール紙Sのロール収納部161への装着や新しいロール紙Sとの交換を容易に行うことができる。その際、筐体100内部が外部に開放されることから、筐体100内部の制御基板170の防水性に配慮する必要がある。
【0030】
そこで本実施形態のプリンタ1では、図5〜図7に示すように、筐体100の内部構造を水平方向一方側(前方側)の第1領域Pと水平方向他方側(後方側)の第2領域Qとに仕切るために、当該第1領域Pと第2領域Qとの境界部に、仕切壁Rがアンダーカバー102の内底部から立設されている。また、開閉蓋101Bで開閉される上記ロール収納部161を第2領域Qに設け、制御基板170を含む各種電装品(図示せず。以下単に「制御基板170等」という)を第1領域Pに設けている。さらに、図5及び図6に示すように、第1領域Pと第2領域Qと仕切る仕切壁Rの上部を覆うように、メカユニットMUを設けている。このとき、メカユニットMUは、前述したように、モータケーシング21を外郭とする駆動モータ及びヘッドユニットHUを含んでおり、仕切壁Rの上にネジ止め固定される。これにより、上記のように外部開放可能な第2領域Qと制御基板170等のある第1領域Pとの間を、仕切壁R及びメインシャーシ部材150によって密閉することができる。この結果、制御基板170等への防水性を確保することができる。なお、メカユニットMUと仕切壁Rとが各請求項記載の遮蔽手段に相当している。
【0031】
<制御基板の突出形状>
図7に示すように、本実施形態においては、制御基板170は、メカユニットMUの下方へ入り込むように突出した突出基板部170aを備えている。これに対応して、筐体100内部の第1領域Pは、通常の部分である第1ベース領域部P1と、第1ベース領域部P1からロール収納部161側へ突出した第1突出領域部P2を備えており、上記突出基板部170aはこの第1突出領域部P2に配置される。
【0032】
一方、筐体100内部の第2領域Qは、上記の第1突出領域部P2の突出形状と対応するように、当該第1突出領域部P2の左右方向に隣接する第2突出領域部Q2を備えている。このとき第2領域Qは、第2突出領域部Q2よりもロール収納部161側に引っ込んで配置された第2ベース領域部Q1を備えており、この第2ベース領域部Q1が上記第1突出領域部P2のロール収納部161側(言い換えれば後方側)に対向して配置されている。なお、これら左右2つの第2突出領域部Q2には、上記メカユニットMUの左右両端部分が挿入配置される。すなわち、左側の第2突出領域部Q2には、メカユニットMUの左端部分である、上記モータケーシング21やギア機構132(図4参照)が挿入配置される。一方、右側の第2突出領域部Q2には、メカユニットMUの右端部分である、リリース機構(詳細図示は省略)が挿入配置される。
【0033】
<仕切壁の具体的構成>
本実施形態では、仕切壁Rは、上記した第1領域Pの第1突出領域部P2と第2領域Qの第2突出領域部Q2との境界部に対応して、第1仕切部R1と、第2仕切部R2と、第3仕切部R3と、を備えている。第1仕切部R1は、第1突出領域部P2と第2ベース領域部Q1とを仕切るように左右方向に沿って延設され、突出基板部170aの突出端に位置し、メカユニットMUのメインシャーシ部材150下方に潜り込むように配置される。第2仕切部R2は、第1仕切部R1よりも前方側に位置し、第2突出領域部Q2と第1ベース領域部P1とを仕切るように左右方向に沿って延設される。第3仕切部R3は、第1仕切部R1と第2仕切部R2とを接続するとともに、第1突出領域部P2と第2突出領域部Q2とを仕切るように、前後方向に沿って延設される。この結果、上記第1仕切部R1、第2仕切部R2、第3仕切部R3を備えた仕切壁Rは、図7(a)及び図7(b)に示すように、平面視において、直角に曲がる略クランク形状となっている。
【0034】
このとき、メカユニットMUのサーマルラインヘッド112及びこれに対向配置されるプラテンローラ111を、第3仕切部R3の上方に配置されている(図5(a)、図5(b)、図6(a)、図6(b)参照)。そして、上記駆動モータは、サーマルラインヘッド112やプラテンローラ111の左右方向一方側(この例では左側)の端部の下方において、第2領域Qの左側の第2突出領域部Q2に配置されている。すなわち、サーマルラインヘッド112及びプラテンローラ111を仕切壁Rの上方に設ける一方で、駆動モータを仕切壁Rの上方ではなく、第2仕切部R2及び第3仕切部R3の側方にある第2突出領域部Q2に配置している。
【0035】
<開閉検出のためのセンサ>
ここで、本実施形態のプリンタ1では、通常のこの種の開閉蓋方式のプリンタと同様、開閉蓋101Bの開閉動作を検出するためのセンサ(移動検出センサLS)が設けられる。但し、このセンサを上記開閉蓋101Bと同じ側である第2領域Qに設けた場合、上述と同様、センサへの防水性の懸念が生じる。
【0036】
そこで、本実施形態においては、開閉蓋101Bと反対側である第1領域Pに、例えばリミットスイッチ等の移動検出センサLSを設ける(図5(a)、図5(b)、図6(a)、図6(b)参照)。そして、開閉蓋101Bの動作を移動検出センサLSで直接的に検出するのではなく、第2領域Q側の開閉蓋101Bの動作を、例えばシーソー型もしくは梃子レバー式等の移動伝達機構200(後述の図8参照)を介して機械的に第1領域P側へ伝達し、これを移動検出センサLSによって間接的に検出する。以下、その詳細を順を追って説明する。
【0037】
<移動検出センサの詳細構成及び動作>
図8に示すように、上記移動検出センサLSは、前述のように第1領域Pと第2領域Qとの境界位置に、それら第1領域Pと第2領域Qとに跨るように配置されるメカユニットMUの、第1領域P側の部分に配置されている。そして、移動検出センサLSへ開閉蓋101Bの動作を伝達するための移動伝達機構200は、図8、図9、及び図10に示すように、メインシャーシ部材150の側面に対し揺動軸201を介し回動可能に支持された状態で上記第1領域Pと第2領域Qとにまたがって設けられている。この移動伝達機構200は、メカユニットMU及び仕切壁Rの後方側(すなわち第2領域Q側)に位置する移動入力部202と、メカユニットMU及び仕切壁Rの前方側(すなわち第1領域P側)に位置する幅広矩形板状の移動出力部203と、を有している。
【0038】
ここで、上記開閉蓋101Bは、前述したように、アンダーカバー102に対し、基端に設けたヒンジ部Hを介して回動自在となっている。そして、開閉蓋101Bの先端下面側において、プラテンローラ111の両端軸が、開閉蓋101Bに突設した円筒状の軸受111Aによって支承されている。この開閉蓋101Bが、ロール収納部161を開放する上記開き位置(図9参照)から、閉じ方向に回動されて上記閉じ位置(図10参照)となると、上記軸受111Aが、メインシャーシ部材150の左右側面上部に設けられた嵌合凹部111Bに嵌合される(図10参照)。このとき、嵌合凹部111Bに隣接するように、移動伝達機構200の上記移動入力部202が配置されている。そして、軸受111Aが上記嵌合凹部111Bに嵌合した際に、当該軸受111Aによって移動入力部202が下方へ押下され、移動伝達機構200は揺動軸201を中心にして反時計回りに揺動する。
【0039】
一方このとき、上記移動検出センサLSは、メインシャーシ部材150の左側側面において、上記移動伝達機構200の移動出力部203よりも上方側に配置されている。詳細には、移動検出センサLSには、第1領域P側に向けて斜め下方に突出したスイッチレバーLS1が備えられており、そのスイッチレバーLS1の下方側に上記移動出力部203が対向配置されている。
【0040】
すなわち、第2領域Q側において上記のようにして開閉蓋101Bが閉じられるとき、閉じ位置へと下降する開閉蓋101Bに対し上記移動入力部202が当接する。これにより、移動入力部202が下降して移動伝達機構200が揺動軸201を中心にして反時計回りに揺動する。この揺動により、移動入力部202の下降移動が機械的に第1領域Pに位置する移動出力部203へと伝達され、移動出力部203が上昇移動してスイッチレバーLS1を押し上げる。すなわち、移動入力部202の下降移動が、移動出力部203の上昇移動に変換して出力される。これにより、移動検出センサLSがオン作動し、開閉蓋101Bが閉じ状態であることを検知する。
【0041】
以上説明したように、本実施形態のプリンタ1においては、外部開放状態となる第2領域Qでの開閉蓋101Bの開閉動作を、移動伝達機構200を介して第1領域P側へと伝達し、移動検出センサLSで検出する。これにより、移動検出センサLSへの防水性を確保しつつ開閉検出を行うことができる。この結果、開閉蓋101Bの開閉検出性能を良好に維持することができる。
【0042】
また、本実施形態では特に、メカユニットMUを仕切壁Rの上部に設けることで、それらメカユニットMUと仕切壁Rとの協働によって第2領域Q側から第1領域Pへの飛沫の飛び散りを十分に遮蔽し、移動検出センサLSへの防水性を確保することができる。
【0043】
また、本実施形態では特に、移動伝達機構200において、移動出力部203は、開閉蓋101Bの下降に伴う移動入力部202の下降移動を変換し上昇移動として出力する。そして、移動検出センサLSは移動出力部203より上方に位置し、当該移動出力部203の上昇移動を検出する。これにより、万が一、第2領域Qの移動入力部202から飛沫が侵入し移動伝達機構200の表面を伝わって移動出力部203から第1領域Pへと現れた場合を想定したとしても、移動検出センサLSは移動出力部203より上方に位置することから、当該現れた飛沫が移動検出センサLSに到達することはない。したがって、移動検出センサLSが飛沫にさらされるのを防止できる。
【0044】
さらに、図11に示すように、操作者Uが上記挿通部102aに挿通したストラップSPを用い肩や腰にぶら下げて制御基板側170が上、ロール収納部161が下となる姿勢でプリンタ1を使用する際に、プリンタ1全体が多少傾斜した場合であっても、移動検出センサLSが上方で移動出力部203が下方にある位置関係は(例えばプリンタ1の天地を逆さまにしない限りは)大きく変わることはない。したがって、上記のような操作者Uの使用態様においても、移動検出センサLSが飛沫にさらされるのを防止することができる。
【0045】
また、本実施形態では特に、開閉蓋101Bの端部101Cと排出口107の縁部とを一致させている。これにより、開閉蓋101Bを開き状態にしてロール紙Sの先端余剰部を露出させた後、当該開閉蓋101Bを閉めるだけでロール紙Sの上記排出口107への挿通を容易に実現することができる。この結果、操作者による印刷開始前の準備操作を簡略化することができ、利便性を向上することができる。
【0046】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0047】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0048】
1 プリンタ(印刷装置)
100 筐体
101B 開閉蓋
101C 端部
107 排出口
161 ロール収納部(媒体収納室)
170 制御基板(電装品)
200 移動伝達機構
202 移動入力部
203 移動出力部
LS 移動検出センサ
MU メカユニット(印刷処理機構、遮蔽手段)
S ロール紙(被印字媒体)
P 第1領域
Q 第2領域
R 仕切壁(遮蔽手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印字媒体に所望の印字を行う印刷装置であって、
装置外郭を構成する略箱形の筐体と、
前記筐体の内部構造を、水平方向一方側に位置する第1領域と水平方向他方側に位置する第2領域とに仕切る、遮蔽手段と
前記第1領域に設けられた電装品と、
前記第2領域に設けられ、前記被印字媒体を収納する媒体収納室と、
開き位置と閉じ位置との間で開閉可能に前記筐体に設けられ、前記媒体収納室を外部に露出可能な開閉蓋と、
前記遮蔽手段の前記他方側に設けられた移動入力部、及び、前記遮蔽手段の前記一方側に設けられた移動出力部、を備え、前記閉じ位置へと下降する前記開閉蓋に前記移動入力部が当接して下降するとともに当該移動入力部の下降移動を前記移動出力部に機械的に伝達し、当該移動出力部の所定方向に沿った移動として出力する、移動伝達機構と、
前記第1領域に設けられ前記移動出力部の前記移動を検出する移動検出センサと、
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1記載の印刷装置において、
前記遮蔽手段は、
前記第1領域と前記第2領域との境界位置に延設された仕切壁と、
前記仕切壁の上部を覆うように設けられ、前記電装品に備えられる制御基板からの制御に基づき前記媒体収納室から供給される前記被印字媒体を搬送しつつ所望の印字を行う印刷処理機構と、
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項2記載の印刷装置において、
前記移動伝達機構の前記移動出力部は、
前記開閉蓋の下降に伴う移動入力部の下降移動を変換し上昇移動として出力可能に構成されており、
前記移動検出センサは、
前記移動出力部より上方に位置して当該移動出力部の前記上昇移動を検出する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3記載の印刷装置において、
前記筐体は、
前記印刷処理機構により印字が形成された前記被印字媒体を排出する排出口を備えており、
前記開閉蓋の端部は、
前記排出口の前記水平方向他方側の縁部を兼ねる
ことを特徴とする印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−49177(P2013−49177A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187867(P2011−187867)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】