説明

印字装置および画像が印字された植物

【課題】 植物に文字や図形等の画像を簡単、かつ短時間で印字することができるようにして、画像の印字作業の作業性を向上させることができる印字装置およびその印字装置によって画像が印字された植物を提供すること。
【解決手段】 印字装置10が、本体11と、本体11に設けられ、花びら2を挿通する挿通孔12と、本体11内に設けられ、挿通孔12に挿通された花びら2が載置される載置部13と、載置部13に対向して設けられ、載置部13に載置された花びら2の印字面にオリフィス18B、18C、18M、18Yからインクを噴射するインクジェットヘッド16と、インクジェットヘッド16をX方向に移動させる駆動ベルト22およびステッピングモータ102と、載置部13をX方向と略直交するY方向に移動させるボールネジ24およびステッピングモータ103とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物の花びら等に文字や図形等の画像を印字することができる印字装置および画像が印字された植物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ばらやカーネーション等の花は、記念日、誕生日、卒業、昇進、退職や他の有意義な出来事を祝うために様々な理由で贈り物として交換される。また、感謝、友情、愛情、恋愛、同情の気持ちを表すために用いられている。
【0003】
一方、花を送る場合には、メッセージカードに自分の気持ちを書き込んで自分で直接、または花屋を介して相手に送ることにより、自分の気持ちに花を添えて感動的に伝えることができる。
【0004】
また、近時では、花びらに直接文字を転写して相手に送るようにしたものがあり、より感動的に相手に自分の気持ちを伝えることができる。従来の花びらに文字を転写するものとしては、転写面である版の感光材に、ポジフィルムを用いて文字をフォトエッチングし、版にインクを塗った後、パッド等の転写媒体を版に接して置く、次いで、転写媒体を版の画像領域からインクを運び上げ、媒体上に反転画像を作成した後、転写媒体によってインクで描かれた画像を花びらに転写することにより、転写された画像を花びらに定着するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特表2005−504535号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の方法としては、転写面である版の感光材に、ポジフィルムを用いて文字をフォトエッチングし、版にインクを塗って転写媒体を版に接して置く工程と、転写媒体を版の画像領域からインクを運び上げ、媒体上に反転画像を作成した後、転写媒体によってインクで描かれた画像を花びらに転写する工程が必要となるとともに、その工程を人手で行う必要があるため、文字を転写するための作業が非常に面倒で時間が掛かるものとなってしまった。
【0007】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、植物に文字や図形等の画像を簡単、かつ短時間で印字することができるようにして、画像の印字作業の作業性を向上させることができる印字装置およびその印字装置によって画像が印字された植物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の印字装置は、植物の所定の印字面に画像を印字する印字装置であって、筐体と、前記筐体に設けられ、前記植物を挿通する挿通部と、前記筐体内に設けられ、前記挿通部に挿通された植物が載置される載置部と、前記筐体内に設けられ、前記載置部に載置された植物の印字面にインク噴射孔からインクを噴射するインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドを所定方向に移動させる第1の移動手段と、前記載置部を前記所定方向と略直交する方向に移動させる第2の移動手段とを備えたものから構成されている。
【0009】
この構成により、インクジェットヘッドを第1の移動手段により所定の方向に移動させながら植物にインクを噴射し、載置部を第2の移動手段により所定方向と略直交する方向に移動させることにより、植物の印字面に文字や図形等の画像を印字することができる。
このため、植物に文字や図形等の画像を簡単、かつ短時間で印字することができ、画像の印字作業の作業性を向上させることができる。
【0010】
また、本発明の印字装置は、前記載置部を前記インクジェットヘッドに対して近接・離隔させる第3の移動手段を備えたものから構成されている。
この構成により、載置部にインクジェットヘッドに対して近接・離隔させることができるので、印字面とインクジェットヘッドのインク噴射孔の距離を調整してこの距離を一定にすることができ、高性能な印字を行うことができる。
【0011】
また、本発明の印字装置は、前記載置部を回動させる回動手段を備えたものから構成されている。
この構成により、植物が載置された載置部を回動させることにより、印字面の広い範囲に亘ってインクを噴射することができ、印字面に多様な文字や図形を形成することができる。
【0012】
また、本発明の印字装置は、前記載置部に載置された植物の印字面と前記インクジェットヘッドの距離を測定する距離測定手段と、前記距離測定手段の測定結果に基づいて前記第3の移動手段を制御する移動制御手段とを備えたものから構成されている。
【0013】
この構成により、印字面とインクジェットヘッドの距離を測定してこの測定結果に基づいて第3の移動手段を制御することにより、印字面とインクジェットヘッドのインク噴射孔との距離を自動的に一定に調整することができ、高性能な印字を行うことができる。
【0014】
また、本発明の印字装置は、前記載置部に載置された植物の形状を検出する形状検出手段と、前記形状検出手段の検出結果に基づいて前記第1および第2の移動手段を制御する第2の移動制御手段とを備えたものから構成されている。
この構成により、植物の形状の検出することができるので、植物の大きさに合わせて印字面にインクを噴射することにより、植物の形状に応じた印字を行うことができる。
【0015】
また、本発明の印字装置は、前記印字面が花びらであるものから構成されている。
この構成により、記念日、誕生日、卒業、昇進、退職や他の有意義な出来事を祝うために花びらに直接メッセージを印字して送ることができる。
【0016】
また、本発明の植物は、前記印字装置によって所定の印字面に画像が印字されたものから構成されている。
この構成により、記念日、誕生日、卒業、昇進、退職や他の有意義な出来事を祝うために植物に直接メッセージを印字して送ることができる。
【0017】
また、本発明の植物は、前記印字面が花びらであるものから構成されている。
この構成により、記念日、誕生日、卒業、昇進、退職や他の有意義な出来事を祝うために花びらに直接メッセージを印字して送ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の印字装置および画像が印字された植物によれば、植物に文字や図形等の画像を簡単、かつ短時間で印字することができるようにして、画像の印字作業の作業性を向上させることができる印字装置およびその印字装置によって画像が印字された植物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を用いて説明する。
図1〜図9は、本発明に係る印字装置および画像が印字された植物の第1の実施の形態を示す図である。
【0020】
まず、構成を説明する。図1において、植物としてのばら1の花びら(所定の印字面)2には、例えば、「I LOVE YOU」という文字3が書かれており、この文字3は印字装置によって花びら2に印字されるものである。
【0021】
また、花びら2に印字するものは文字3以外に会社のロゴ等の図形でも良い。要は、画像であれば如何なるものでも良い。本実施の形態では、印字する画像として文字について説明する。また、所定の印字面としては、花びら2以外に茎や葉としても良い。
【0022】
図2〜図7は印字装置を示す図である。図2において、印字装置10の本体(筐体)11には挿通孔(挿通部)12が形成されており、この挿通孔12を通して本体11内に花びら2が挿通されるようになっている。
【0023】
図2、図3に示すように本体11内には載置部13が設けられており、この載置部13は花びら2が載置される湾曲形状のプレート14およびプレート14の下部に設けられた基部15を備えている。
【0024】
また、載置部13の上方にはインクジェットヘッド16が設けられており、このインクジェットヘッド16は、図5に示すように、記録ヘッド17B、17C、17M、17Yが集積化されており、記録ヘッド17B、17C、17M、17Yにはブラック(B)、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)を各色毎に噴射する複数個のオリフィス(インク噴射孔)18B、18C、18M、18Yが略同一平面に配列されている。すなわち、本実施形態のインクジェットヘッド16はカラーインクジェトヘッドである。
【0025】
また、各記録ヘッド17B、17C、17M、17Yの内部にはそれぞれ共通液室が設けられており、この共通液室とオリフィス18B、18C、18M、18Yを連通する液通路の壁面に沿ってインクの噴射エネルギーを発生させるための発熱抵抗体が設けられている。
【0026】
図7に示すように、コントローラ100はヘッド駆動回路101を駆動することにより、花びら2の印字面に印字する文字3に対応する画像信号によって対応する発熱抵抗体を駆動(通電)することにより、液室内のインクを膜沸騰させ、そのときに発生する圧力によってオリフィス18B、18C、18M、18Yからインクを噴射する。
【0027】
また、記録ヘッド17B、17C、17M、17Yはキャリッジ19に装着されており、このキャリッジ19には、インクジェットヘッド16によるインク噴射を制御するプリント配線板20が設けられ、このプリント配線板20はコントローラ100に接続されているとともにフレキシブルケーブル21によってインクジェットヘッド16に接続されている。
【0028】
また、キャリッジ19は駆動ベルト22に連結されているとともにガイドレール23に摺動自在に取付けられており、コントローラ100はステッピングモータ102を駆動して駆動ベルト22を図4中、X方向に駆動することにより、キャリッジ19はガイドレール23に沿ってX方向に移動する。
【0029】
このとき、記録ヘッド17B、17C、17M、17Yのオリフィス18B、18C、18M、18Yからインクを噴射することにより、後述するように花びら2の印字面に印字を行う。
【0030】
また、モノクロの印字を行う場合には記録ヘッド17Bのみを駆動してオリフィス18Bからインクを噴射する。なお、各色を噴射するオリフィス18B、18C、18M、18Yはインクジェットヘッド16が移動するX方向と略直交するY方向に配列されている。本実施の形態では、駆動ベルト22およびステッピングモータ102が第1の移動手段を構成している。
【0031】
一方、載置部13の基部15内には図示しないナットが固定されており、このナットはボールネジ24に螺合している。このボールネジ24の一端部にはステッピングモータ103が設けられており、このボールネジ24がステッピングモータ103によって回転駆動されることより、載置部13はインクジェットヘッド16の移動方向と略直交するY方向に移動するようになっている。なお、載置部13の手前側(図6中、載置部13の移動方向手前側)に挿通孔12が設けられている。
【0032】
また、ボールネジ24の他端部は支持板25に支持されており、ボールネジ24はステッピングモータ103と支持板25によって両持ちとなって安定して回転される。
また、基部15にはガイドレール26が挿通されており、このガイドレール26の両端部は支持板27a、27bに固定されている。したがって、ボールネジ24の回転に伴って載置部13がY方向に移動するときに基部15がガイドレール26に沿って案内されることにより、載置部13が回転してしまうのを防止することができる。
【0033】
また、支持板25、27a、27bおよびステッピングモータ103は基台28に固定されており、載置部13は支持板25、27a、27bおよびステッピングモータ103を介して基台28に支持されている。本実施の形態では、ボールネジ24およびステッピングモータ103が第2の移動手段を構成している。
【0034】
また、基台28の4隅にはシリンダ部材104が設けられており、このシリンダ部材104が昇降することにより載置部13がインクジェットヘッド16に対して近接・離隔するようになっている。本実施の形態では、シリンダ部材104が第3の移動手段を構成している。
【0035】
また、インクジェットヘッド16の上方でインクジェットヘッド16に対して挿通孔12側にはカメラ(形状検出手段)105およびレーザ測定器(距離検出手段)106が設けられている。
カメラ105はプレート14に載置された花びら2を撮像するようになっており、この撮像情報をコントローラ100に出力する。コントローラ100はこの出力情報を画像処理することによって花びら2の形状を解析する。
【0036】
そして、この解析結果に基づいてステッピングモータ102、103を制御してインクジェットヘッド16および載置部13をX−Y方向に移動させながら、記録ヘッド17B、17C、17M、17Yのオリフィス18B、18C、18M、18Yからインクを噴射することにより、花びら2の大きさに応じた任意の大きさの文字を印字面に印字するようになっている。本実施の形態では、コントローラ100が第2の移動制御手段を構成している。
【0037】
また、レーザ測定器106は花びら2が載置された載置部13がレーザ測定器106の下方に位置したときに、レーザ光を花びら2に照射して反射するレーザ光を検出してコントローラ100に検出情報を出力するようになっている。
【0038】
コントローラ100は予めインクジェットヘッド16の下面、すなわち、オリフィス18B、18C、18M、18Y面とホームポジション位置(シリンダ部材104の所定の昇降位置)にある載置部13との基本距離がメモリに記憶されており、レーザ測定器106の検出情報と基本位置との差分に基づいて花びら2とインクジェットヘッド16の距離が一定になるようにシリンダ部材104を昇降制御するようになっている。本実施の形態では、レーザ測定器106およびコントローラ100が距離測定手段を構成し、コントローラ100が第1の移動制御手段を構成している。
【0039】
また、本体11の上部には操作スイッチ107が設けられており、この操作スイッチ107を押下するとコントローラ100に信号が出力されるようになっている。
【0040】
コントローラ100はこの出力信号が入力されると、ヘッド駆動回路101、ステッピングモータ102、103、シリンダ部材104、カメラ105およびレーザ測定器106を駆動して花びら2に印字を行うようになっている。
【0041】
次に、図8〜図10に基づいて花びら2の印字面にインクを噴射して文字を印字する方法を説明する。
ホームポジション位置では、載置部13は挿通孔12の近傍で、かつ、基本位置である一定の高さに位置している。したがって、挿通孔12からばら1の花びら2を載置部13のプレート14に容易に載置することができる。
【0042】
この状態で作業者は花びら2をプレート14に載置した後、操作スイッチ107を押下すると、コントローラ100はステッピングモータ103を駆動する。このとき、ボールネジ24が一方向に回転するため、基部15に螺合するナットにより載置部13がインクジェットヘッド16側に移動する。
【0043】
次いで、花びら2がカメラ105およびレーザ測定器106の下方に位置したとき(図9(a)参照)、カメラ105によって花びら2の印字面を撮像するとともに、レーザ測定器106によって花びら2の印字面とレーザ測定器106の距離を測定する。
【0044】
コントローラ100は、カメラ105およびレーザ測定器106の出力情報に基づいて花びら2の形状および花びら2とインクジェットヘッド16のオリフィス18B、18C、18M、18Y面との距離を解析する。
【0045】
コントローラ100はこの解析結果に基づいてステッピングモータ103を駆動してボールネジ24を回転させ、載置部13をインクジェットヘッド16の下方に移動させるとともに、シリンダ部材104をZ方向に駆動して基台28を上昇させることにより(図9(b)参照)、花びら2の印字面とオリフィス18B、18C、18M、18Y面の高さ一定にする。
【0046】
この状態で、ステッピングモータ102を駆動すると、駆動ベルト22が周回移動するため、キャリッジ19がガイドレール23に沿ってX方向に移動するため、インクジェットヘッド16がX方向に移動する。この状態でヘッド駆動回路101によって花びら2にインクを噴射する。
【0047】
さらに、ステッピングモータ103を駆動することにより、載置部13をY方向に移動させる。この結果、花びら2の印字面に対してインクがX−Y方向に噴射されることにより、印字面に、例えば「I LOVE YOU」、「誕生日おめでとう」、「ありがとう」等の文字3が印字される。
【0048】
このように本実施の形態では、インクジェットヘッド16を駆動ベルト22およびステッピングモータ102によりX方向に移動させながら花びら2の印字面にインクを噴射し、載置部13をボールネジ24およびステッピングモータ103によりX方向と略直交するY方向に移動させることにより、花びら2の印字面に文字や図形等の画像を印字することができる。
このため、花びら2に文字や図形等の画像を簡単、かつ短時間で印字することができ、画像の印字作業の作業性を向上させることができる。
【0049】
また、本実施の形態では、載置部13をインクジェットヘッド16に対して近接・離隔させるシリンダ部材104を設け、コントローラ100が、載置部13に載置された花びら2の印字面とインクジェットヘッド16の距離を測定するレーザ測定器106の測定結果に基づいてシリンダ部材104を制御するようになっているので、花びら2とインクジェットヘッド16のオリフィス18B、18C、18M、18Y面の距離を調整してこの距離を自動的に一定にすることができ、高性能な印字を行うことができる。
【0050】
また、本実施の形態では、載置部13に載置された花びら2の形状を検出するカメラ105を設け、コントローラ100が、カメラ105の検出結果に基づいてステッピングモータ102、103を制御してインクジェットヘッド16および載置部13をX−Y方向に移動させるようにしたので、花びら2の大きさに合わせて花びら2にインクを噴射することにより、花びら2の形状に応じた印字を行うことができる。
【0051】
また、本実施の形態では、印字面を花びら2にしたので、記念日、誕生日、卒業、昇進、退職や他の有意義な出来事を祝うために花びら2に直接メッセージを転写して送ることができる。
【0052】
図10、図11は、本発明に係る印字装置および画像が印字された植物の第2の実施の形態を示す図であり、第1の実施の形態と同様の構成には同一番号を付して説明を省略する。
【0053】
図10、図11において、基台51には長手方向に沿って溝51aが形成されており、この溝51aにはラック部材52が摺動自在に嵌合され、このラック部材52は長手方向の両側面に凹凸部52aが形成されている。
【0054】
なお、ラック部材52は溝52aに対して滑らかに摺動できるように溝51aに収納されている部分には凹凸部は形成されてなく、溝51aから突出している部分に凹凸部52aが形成されている。
【0055】
また、基台51の一端部にはステッピングモータ110によって駆動される駆動歯車53および従動歯車54が設けられており、駆動歯車53および従動歯車54はラック部材52の凹凸部52aにそれぞれ噛合している。このラック部材52の他端部には駆動モータ111が設けられており、この駆動モータ111のモータ軸は載置部13に固定されている。
【0056】
ステッピングモータ110はコントローラ100によって駆動されるようになっており、ステッピングモータ110が駆動されると、駆動歯車53が回転してラック部材52を介して載置部13がY方向に移動する。このとき、ラック部材52は従動歯車54に噛合しているため、ラック部材52はY方向に滑らかに摺動する。本実施の形態では、ラック部材52、駆動歯車53および従動歯車54が第2の移動手段を構成している。
【0057】
また、駆動モータ111はコントローラ100によって駆動されるようになっており、駆動モータ111は載置部13を回動させるようになっている。本実施の形態では、駆動モータ111が回動手段を構成している。
【0058】
また、インクジェットヘッド16の下方に位置する基台51には開口部51bが形成されており、この開口部51bは載置部13の基部15よりも大きい面積を有している。そして、この開口部51aに基部15が位置して駆動モータ111を駆動したときに、載置部13の回動が許容される。
【0059】
次に、花びら2の印字面にインクを噴射して文字を印字する方法を説明する。
作業者が花びら2をプレート14に載置して、操作スイッチ107を押下すると、コントローラ100はステッピングモータ110を駆動する。このとき、駆動歯車53が回転するため、ラック部材52が溝51aに沿って一方向側に移動するため、載置部13がインクジェットヘッド16側に移動する。
【0060】
次いで、花びら2がカメラ105およびレーザ測定器106の下方に位置したとき、カメラ105によって花びら2の印字面を撮像するとともに、レーザ測定器106によって花びら2の印字面とレーザ測定器106の距離を測定する。
【0061】
コントローラ100は、カメラ105およびレーザ測定器106の出力情報に基づいて花びら2の形状および花びら2とインクジェットヘッド16のオリフィス18B、18C、18M、18Y面との距離を解析する。
【0062】
コントローラ100はこの解析結果に基づいてステッピングモータ111を駆動して駆動歯車53を回転させてラック部材52を一方向側に移動させ、載置部13をインクジェットヘッド16の下方に移動させるとともに、シリンダ部材104をZ方向に駆動して基台51を上昇させることにより、花びら2の印字面とオリフィス18B、18C、18M、18Y面の高さ一定にする。
【0063】
この状態で、ステッピングモータ102を駆動すると、駆動ベルト22が周回移動するため、キャリッジ19がガイドレール23に沿ってX方向に移動するため、インクジェットヘッド16がX方向に移動する。この状態でヘッド駆動回路101によって印字面にインクを噴射する。
【0064】
さらに、ステッピングモータ110を駆動することにより、載置部13をY方向に移動させる。この結果、花びら2の印字面に対してインクがX−Y方向に噴射されることにより、印字面に、例えば「I LOVE YOU」、「誕生日おめでとう」、「ありがとう」等の文字3が印字される。
【0065】
また、カメラ105によって撮像された花びら2が大きく、印字面積が大きい場合や、花びら2の全体に文字3を印字する場合には、コントローラ100は、駆動モータ111を駆動して、載置部13を開口部51b上で回動させる。
【0066】
このように本実施の形態では、インクジェットヘッド16を駆動ベルト22およびステッピングモータ102によりX方向に移動させながら花びら2の印字面にインクを噴射し、載置部13をラック部材52、駆動歯車53、従動歯車54およびステッピングモータ110によりX方向と略直交するY方向に移動させることにより、花びら2の印字面に文字や図形等の画像を印字することができ、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0067】
これに加えて、本実施の形態では、載置部13を駆動モータ111によって回動自在にしたので、花びら3の印字面の広い範囲に亘ってインクを噴射することができ、印字面に多様な文字や図形を形成することができる。
【0068】
なお、上記各実施の形態では、ばら1に画像を印字しているが、植物としては、カーネーションや百合等のようなものであっても良いことは言うまでもない。要は花びら、茎、葉のような印字面がある植物であれば良い。
【0069】
また、上記各実施の形態ではボールネジ24やラック部材52によって載置部13をインクジェットヘッド16の移動方向と略直交する方向に移動させるようにしているが、この構造に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0070】
以上のように、本発明に係る印字装置および画像が印字された植物は、植物に文字や図形等の画像を簡単、かつ短時間で印字することができるようにして、画像の印字作業の作業性を向上させることができるという効果を有し、植物の花びら等に文字や図形等の画像を印字することができる印字装置およびその印字装置により画像が印字された植物等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明に係る印字装置および画像が形成された植物の第1の実施の形態を示す図であり、印字装置によって花びらに文字が印字されたばらを示す図
【図2】第1の実施の形態の印字装置の外観図およびばらを示す図
【図3】第1の実施の形態の印字装置の概略正面図
【図4】第1の実施の形態の印字装置の内部の概略斜視図
【図5】第1の実施の形態の印字装置のインクジェットヘッドの斜視図
【図6】第1の実施の形態の印字装置の概略側面図
【図7】第1の実施の形態の印字装置の制御系のブロック図
【図8】第1の実施の形態の印字装置に花びらを取付けた状態を示す内部の概略構成図
【図9】(a)は第1の実施の形態の花びらがレーザ測定器の下方に位置したときの花びらとインクジェットヘッドの距離を示す図、(b)は花びらがインクジェットヘッドの下方に位置したときの花びらとインクジェットヘッドの距離を示す図
【図10】本発明に係る印字装置および画像が形成された植物の第2の実施の形態を示す図であり、印字装置の内部の概略構成図
【図11】第2の実施の形態の印字装置の制御系のブロック図
【符号の説明】
【0072】
1 ばら(植物)
2 花びら(所定の印字面)
3 文字(画像)
10 印字装置
11 本体(筐体)
12 挿通孔(挿通部)
13 載置部
16 インクジェットヘッド
22 駆動ベルト(第1の移動手段)
24 ボールネジ(第2の移動手段)
52 ラック部材(第2の移動手段)
53 駆動歯車(第2の移動手段)
54 従動歯車(第2の移動手段)
100 コントローラ(距離測定手段、第1の移動制御手段、第2の移動制御手段)
102 ステッピングモータ(第1の移動手段)
103 ステッピングモータ(第2の移動手段)
104 シリンダ部材(第3の移動手段)
105 カメラ(形状検出手段)
106 レーザ測定器(距離測定手段)
111 駆動モータ(回動手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物の所定の印字面に画像を印字する印字装置であって、
筐体と、
前記筐体に設けられ、前記植物を挿通する挿通部と、
前記筐体内に設けられ、前記挿通部に挿通された植物が載置される載置部と、
前記筐体内に設けられ、前記載置部に載置された植物の印字面にインク噴射孔からインクを噴射するインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドを所定方向に移動させる第1の移動手段と、
前記載置部を前記所定方向と略直交する方向に移動させる第2の移動手段とを備えたことを特徴とする印字装置。
【請求項2】
前記載置部を前記インクジェットヘッドに対して近接・離隔させる第3の移動手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の印字装置。
【請求項3】
前記載置部を回動させる回動手段を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の印字装置。
【請求項4】
前記載置部に設置された植物の印字面と前記インクジェットヘッドの距離を測定する距離測定手段と、前記距離測定手段の測定結果に基づいて前記第3の移動手段を制御する第1移動制御手段とを備えたことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の印字装置。
【請求項5】
前記載置部に載置された植物の形状を検出する形状検出手段と、前記形状検出手段の検出結果に基づいて前記第1および第2の移動手段を制御する第2の移動制御手段とを備えたことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の印字装置。
【請求項6】
前記印字面が花びらであることを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の印字装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の印字装置によって所定の印字面に画像が印字されたことを特徴とする植物。
【請求項8】
前記印字面が花びらであることを特徴とする請求項7に記載の植物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−289654(P2006−289654A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−110026(P2005−110026)
【出願日】平成17年4月6日(2005.4.6)
【出願人】(502197666)株式会社モック (13)
【Fターム(参考)】