説明

印画物およびその形成方法、並びに印画物形成キット

【課題】不可視色剤を含むトナーまたはインクによって形成された潜像が顕像化されて可視色の色像が視認される印画物およびその形成方法、並びに印画物形成キットの提供。
【解決手段】印画物は、不可視色剤を含むトナーまたはインクによって形成された潜像15が、当該不可視色剤と反応して可視色を呈する発色化剤が含まれる発色化剤含有層25と重ね合わされて顕像化された、前記不可視色剤と前記発色剤とが反応することによって得られる可視色の前記潜像15に従った色像を有する印画物であって、前記不可視色剤が、特定の構造の金属錯体からなり、前記発色化剤が、複素環化合物または芳香族炭素環化合物からなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印画物およびその形成方法、並びに印画物形成キットに関する。
【背景技術】
【0002】
公文書の偽造防止には充分に配慮しなくてはならない。従来、金融機関の一部において、手形や小切手の不正コピーを抑止するために、真贋判定可能な特殊インクを採用したり、本物であることを証明するためのホログラム・シールを貼付したりすることが行われていた。
また、近年、認証物品および有価証券以外の物品についても、偽造品の流通が問題視されている。
そのため、このような物品および公文書に関して上述した偽造防止技術を適用する機会が増えている。
【0003】
このような偽造防止技術として、例えば特許文献1には、証券発行装置による改竄や偽造防止のために、証券の券面の印刷項目を透明蛍光トナーで印刷可能にする技術が開示されている。
また例えば、特許文献2には、半導体ナノ粒子蛍光体を含有する蛍光発光性の電子写真用トナーが開示されている。特許文献2に開示された電子写真用トナーを用いることにより、文書の真贋判定のみならず模造品トナーカートリッジ等の純正品と非純正品との識別が可能となる。
【0004】
しかしながら、真贋判定用の印刷物の偽造自体が容易であれば、より高度な印刷技術に更新する必要が生じる、という問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−275830号公報
【特許文献2】特開2010−256523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
インフラを必要とせずに簡単に、文書の真贋判定を行う方法や、純正品と非純正品とを識別する方法として、例えば視認することのできない画像とこれを可視化させることのできる部材とを用い、これらを接触させるなどの所定の処理を行うことにより視認することのできない画像を可視化させる技術が考えられる。
【0007】
本発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、その目的は、不可視色剤を含むトナーまたはインクによって形成された潜像が顕像化されて可視色の色像が視認される印画物およびその形成方法、並びに印画物形成キットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の印画物は、不可視色剤を含むトナーまたはインクによって形成された潜像が、当該不可視色剤と反応して可視色を呈する発色化剤が含まれる発色化剤含有層と重ね合わされて顕像化された、前記不可視色剤と前記発色剤とが反応することによって得られる可視色の前記潜像に従った色像を有する印画物であって、
前記不可視色剤が、下記一般式(1)で表される金属錯体からなり、
前記発色化剤が、下記一般式(2)または下記一般式(3)で表される化合物からなることを特徴とする。
【0009】
【化1】

【0010】
〔式中、Mは、2価の金属原子を示し、R1 は水素原子または1価の有機基を示し、R2 は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、スルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基またはシアノ基を示し、R3 は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基または複素環基を示す。〕
【0011】
【化2】

【0012】
〔式中、R4 は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基を示し、R5 は、−NR7 8 基(但し、R7 およびR8 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基を示す。)または−OR9 基(但し、R9 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基を示す。)を示し、R6 は、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、アルキルスルホニルアミノ基またはアリールスルホニルアミノ基を示し、A1 〜A3 は、それぞれ独立に、−CR10=基(但し、R10は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基を示す。)または−N=基を示し、X1 は、5員または6員の芳香族環または複素環を形成するために必要な原子団を示し、Z1 は、少なくとも1個の窒素原子を含む5員または6員の複素環を形成するために必要な原子団を示し、これらの原子団は無置換または置換基を有していてもよく、当該置換基によって縮環を形成していてもよい。L1 は、炭素数1または2の連結基または環構造の一部を示し、R6 と結合して5員または6員の環構造を形成していてもよい。pは0〜3の整数である。〕
【0013】
【化3】

【0014】
〔式中、X2 は、少なくとも1個の環が5員〜7員の芳香族の炭素環または複素環の形成に必要な原子団を示し、かつ複素環の形成に必要な原子団は、アゾ結合には炭素原子が結合し、この炭素原子の隣接位の少なくとも1個が窒素原子であるか、または炭素環における炭素原子が窒素原子、酸素原子あるいは硫黄原子で置換されてなる構造を有するものである。X3 は、少なくとも1個の環が1〜7個の原子から構成されている芳香族の炭素環または複素環を形成するために必要な原子団を示し、Gは、水酸基、アミノ基、メトキシ基、チオール基またはチオアルコキシ基を示す。〕
【0015】
本発明の印画物形成方法は、潜像支持体上に不可視色剤を含むトナーまたはインクによって形成された潜像に、当該不可視色剤と反応して可視色を呈する発色化剤が含まれる発色化剤含有層を重ね合わせて加熱処理することにより、前記潜像を顕像化させて前記可視色の当該潜像に従った色像を得る印画物形成方法であって、
前記不可視色剤が、下記一般式(1)で表される金属錯体からなり、
前記発色化剤が、下記一般式(2)または下記一般式(3)で表される化合物からなることを特徴とする。
【0016】
【化4】

【0017】
〔式中、Mは、2価の金属原子を示し、R1 は水素原子または1価の有機基を示し、R2 は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、スルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基またはシアノ基を示し、R3 は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基または複素環基を示す。〕
【0018】
【化5】

【0019】
〔式中、R4 は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基を示し、R5 は、−NR7 8 基(但し、R7 およびR8 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基を示す。)または−OR9 基(但し、R9 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基を示す。)を示し、R6 は、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、アルキルスルホニルアミノ基またはアリールスルホニルアミノ基を示し、A1 〜A3 は、それぞれ独立に、−CR10=基(但し、R10は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基を示す。)または−N=基を示し、X1 は、5員または6員の芳香族環または複素環を形成するために必要な原子団を示し、Z1 は、少なくとも1個の窒素原子を含む5員または6員の複素環を形成するために必要な原子団を示し、これらの原子団は無置換または置換基を有していてもよく、当該置換基によって縮環を形成していてもよい。L1 は、炭素数1または2の連結基または環構造の一部を示し、R6 と結合して5員または6員の環構造を形成していてもよい。pは0〜3の整数である。〕
【0020】
【化6】

【0021】
〔式中、X2 は、少なくとも1個の環が5員〜7員の芳香族の炭素環または複素環の形成に必要な原子団を示し、かつ複素環の形成に必要な原子団は、アゾ結合には炭素原子が結合し、この炭素原子の隣接位の少なくとも1個が窒素原子であるか、または炭素環における炭素原子が窒素原子、酸素原子あるいは硫黄原子で置換されてなる構造を有するものである。X3 は、少なくとも1個の環が1〜7個の原子から構成されている芳香族の炭素環または複素環を形成するために必要な原子団を示し、Gは、水酸基、アミノ基、メトキシ基、チオール基またはチオアルコキシ基を示す。〕
【0022】
本発明の印画物形成方法においては、前記潜像が、上記一般式(1)で表される金属錯体からなる不可視色剤を含むトナーによって形成されたものであることが好ましい。
【0023】
本発明の印画物形成方法においては、前記加熱処理の温度が、70〜80℃であることが好ましい。
【0024】
本発明の印画物形成キットは、潜像支持体上に、下記一般式(1)で表される金属錯体からなる不可視色剤を含むトナーまたはインクによって潜像が形成されてなる潜像入りシートと、
顕像化基材上に、下記一般式(2)または下記一般式(3)で表される化合物からなり、不可視色剤と反応して可視色を呈する発色化剤が含まれる発色化剤含有層が形成されてなる顕像化シートと
からなり、
前記潜像支持体および顕像化基材の少なくともいずれかが透光性を有するものであることを特徴とする。
【0025】
【化7】

【0026】
〔式中、Mは、2価の金属原子を示し、R1 は水素原子または1価の有機基を示し、R2 は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、スルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基またはシアノ基を示し、R3 は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基または複素環基を示す。〕
【0027】
【化8】

【0028】
〔式中、R4 は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基を示し、R5 は、−NR7 8 基(但し、R7 およびR8 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基を示す。)または−OR9 基(但し、R9 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基を示す。)を示し、R6 は、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、アルキルスルホニルアミノ基またはアリールスルホニルアミノ基を示し、A1 〜A3 は、それぞれ独立に、−CR10=基(但し、R10は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基を示す。)または−N=基を示し、X1 は、5員または6員の芳香族環または複素環を形成するために必要な原子団を示し、Z1 は、少なくとも1個の窒素原子を含む5員または6員の複素環を形成するために必要な原子団を示し、これらの原子団は無置換または置換基を有していてもよく、当該置換基によって縮環を形成していてもよい。L1 は、炭素数1または2の連結基または環構造の一部を示し、R6 と結合して5員または6員の環構造を形成していてもよい。pは0〜3の整数である。〕
【0029】
【化9】

【0030】
〔式中、X2 は、少なくとも1個の環が5員〜7員の芳香族の炭素環または複素環の形成に必要な原子団を示し、かつ複素環の形成に必要な原子団は、アゾ結合には炭素原子が結合し、この炭素原子の隣接位の少なくとも1個が窒素原子であるか、または炭素環における炭素原子が窒素原子、酸素原子あるいは硫黄原子で置換されてなる構造を有するものである。X3 は、少なくとも1個の環が1〜7個の原子から構成されている芳香族の炭素環または複素環を形成するために必要な原子団を示し、Gは、水酸基、アミノ基、メトキシ基、チオール基またはチオアルコキシ基を示す。〕
【発明の効果】
【0031】
本発明の印画物によれば、不可視色剤を含むトナーまたはインクによって形成された潜像が、当該不可視色剤と反応して可視色を呈する発色化剤が含まれる発色化剤含有層と重ね合わされていることによって、不可視色剤と発色化剤との接触による変色反応によって潜像の形状に従った可視色の色像が視認される。
また、本発明の印画物形成方法によれば、上記の印画物を形成することができる。
また、本発明の印画物形成キットによれば、潜像入りシートと顕像化シートとを重ね合わせて加熱することのみによって上記の印画物を簡単に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の印画物形成方法を説明するための模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明について具体的に説明する。
【0034】
図1は、本発明の印画物形成方法を説明するための模式断面図である。
本発明の印画物形成方法は、不可視色剤を含むトナーまたはインクによって形成された潜像に、当該不可視色剤と反応して特定の可視色を呈する発色化剤が含まれる発色化剤含有層を重ね合わせて加熱処理することにより、潜像を顕像化させて、不可視色剤と発色剤とが反応することによって得られる特定の可視色の、当該潜像に従った色像が視認される印画物を得る方法である。
そして、潜像を形成するトナーまたはインクに含まれる不可視色剤は、上記一般式(1)で表される金属錯体からなり、また、発色化剤含有層に含まれる発色化剤は、上記一般式(2)または上記一般式(3)で表される化合物からなることを特徴とする。
【0035】
本発明において、不可視色剤は、視認が困難な無色、あるいはごく薄い色を有するものである。
潜像は、不可視色剤がほぼ無色であることから、視認が困難なものである。また、発色化剤含有層は、発色化剤に固有の色相の可視色に視認されるものである。そして、本発明の印画物における色像は、発色化剤に固有の色相の可視色とは異なり、また、不可視色剤の色と発色化剤の色とを加色法によって混色して得られる色相とも異なる色相の可視色が発現されたものである。
従って、以上のように形成された印画物においては、潜像支持体上に形成された潜像に従った形状の、特定の可視色の色像が視認されると共に、発色化剤含有層について潜像と接触されない部分がある場合は、当該部分について潜像支持体において発色化剤に固有の色相の可視色による像が残留した状態に視認される。
【0036】
本発明の印画物形成方法は、例えば印画物形成キットを用いて簡単に実行することができる。
印画物形成キットは、図1(a)に示されるように、潜像支持体11上に、上記一般式(1)で表される金属錯体からなる不可視色剤を含むトナーまたはインクによって潜像15が形成されてなる潜像入りシート10と、顕像化基材21上に、上記一般式(2)または上記一般式(3)で表される化合物からなり、不可視色剤と反応して特定の可視色を呈する発色化剤が含まれる発色化剤含有層25が形成されてなる顕像化シート20とからなり、潜像支持体11および顕像化基材の少なくともいずれかが透光性を有するものとされる。
この潜像入りシート10と顕像化シート20とを、潜像入りシート10の潜像15と顕像化シート20の発色化剤含有層25とが接触する状態に重ね合わせて加熱処理することにより、図1(b)に示されるように、特定の可視色の当該潜像15に従った色像35を有する本発明の印画物を形成することができる。
【0037】
加熱処理の温度は、発色化剤の種類や不可視色剤の種類などによっても異なるが、例えば50〜200℃とすることができ、特に、70〜80℃であることが好ましい。
加熱処理の具体的な方法としては、例えばドライヤーを用いて熱風を供給する方法、アイロン、ホットプレートなどの発熱体を接触させる方法、ラミネート装置や電子写真定着装置を使用する方法などが挙げられる。
また、加熱処理の時間は、例えば0.02〜8秒間であることが好ましい。
【0038】
潜像入りシート10を形成するための潜像支持体11としては、例えば当該潜像支持体11が不透光性のものである場合、例えば薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙あるいはコート紙などの塗工された印刷用紙、市販されているOA和紙やはがき用紙などの各種の印刷用紙などの各種を用いることができるが、これらに限定されるものではない。また、潜像支持体11は、紙状のものであることに限定されず、例えば箱状のものなどであってもよい。
【0039】
顕像化シート20を形成するための顕像化基材21としては、例えば当該顕像化基材21が透光性を有するものである場合、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)シート、アクリルシート、セロファンシート、ポリオレフィンシートなどが挙げられる。
【0040】
〔不可視色剤〕
本発明の印画物形成方法に用いられる潜像15を形成するための不可視色剤は、上記一般式(1)で表される金属錯体からなる。
不可視色剤を示す一般式(1)において、Mは、2価の金属原子を示し、好ましくは2価の遷移金属原子である。
基Mとしては、2価の遷移金属原子の中でも、一般式(2)で表される化合物または一般式(3)で表される化合物よりなる発色化剤と金属錯体を生成すること、また最終的に得られる色像35の色調の安定性の観点から、ニッケル原子、銅原子、亜鉛原子が好ましく、最も好ましくは銅原子である。
【0041】
一般式(1)において、R1 は、水素原子または1価の有機基を示す。
基R1 を示す1価の有機基としては、例えばアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、クロロメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基、ペンタフルオロエチル基、メトキシエチル基等)、シクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えばビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えばエチニル基、プロパルギル基等)、アリール基(例えばフェニル基、ナフチル基、p−ニトロフェニル基、p−フルオロフェニル基、p−メトキシフェニル基等)、複素環基(例えばフリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キナゾリル基、フタラジル基、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えばアミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えばアセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、カルバモイル基(例えばアミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、スルフィニル基(例えばメチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えばメチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、シアノ基などが挙げられる。
【0042】
基R1 は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、複素環基、アルコキシカルボニル基、アシル基、カルバモイル基、シアノ基であることが好ましく、最も好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、シアノ基である。これらの好ましいものとして例示した1価の有機基は、無置換のものであってもよく、また置換基を有する者であってもよい。
【0043】
一般式(1)において、R2 は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基またはシアノ基を示す。
【0044】
基R2 を示す有機基の各々の具体例を以下に例示する。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、クロロメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基、ペンタフルオロエチル基、メトキシエチルなどが挙げられる。
アルケニル基としては、ビニル基、アリル基などが挙げられる。
アルキニル基としては、エチニル基、プロパルギル基などが挙げられる。
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、p−ニトロフェニル基、p−フルオロフェニル基、p−メトキシフェニルなどが挙げられる。
複素環基としては、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キナゾリル基、フタラジル基、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基などが挙げられる。
アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基などが挙げられる。
アリールオキシカルボニル基としては、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基などが挙げられる。
カルバモイル基としては、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基などが挙げられる。
スルファモイル基としては、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基などが挙げられる。
スルフィニル基としては、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基などが挙げられる。
アルキルスルホニル基としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基などが挙げられる。
アリールスルホニル基としては、フェニルスルホニル、ナフチルスルホニル、2−ピリジルスルホニルなどが挙げられる。
【0045】
基R2 は、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシカルボニル基、シアノ基であることが好ましく、最も好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、シアノ基である。これらの好ましいものとして例示した1価の有機基は、無置換のものであってもよく、また置換基を有するものであってもよい。
【0046】
一般式(1)において、R3 は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基または複素環基を示す。
【0047】
基R3 を示す有機基の各々の具体例を以下に例示する。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基などが挙げられる。
アルケニル基としては、ビニル基、アリル基などが挙げられる。
アルキニル基としては、エチニル基、プロパルギル基などが挙げられる。
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、p−ニトロフェニル基、p−フルオロフェニル基、p−メトキシフェニル基などが挙げられる。
複素環基としては、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キナゾリル基、フタラジル基、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基などが挙げられる。
【0048】
基R3 は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基であることが好ましく、最も好ましくは、アルキル基、アリール基である。これらの好ましいものとして例示した1価の有機基は、無置換のものであってもよく、また置換基を有するものであってもよい。
【0049】
また、一般式(1)において、R1 とR2 、あるいはR2 とR3 は、それぞれ互いに連結して5〜6員の環を形成してもよい。
【0050】
更に、この一般式(1)においては、R1 およびR2 のいずれか一方は、電子吸引性基であることが更に好ましく、R1 およびR2 のσρ値の合計が0.2〜2.0であることが最も好ましい。
ここに、「電子吸引性基」とは、ハメット則に係る置換基定数ρが正の値をとり得る置換基のことであり、ハメット則の置換基定数とは、芳香族化合物のメタ置換体またはパラ置換体において、無置換の化合物と置換基を有する化合物との反応速度定数を、それぞれk0およびkとした時に成立するハメット式:log(k/k0)=ρσにおけるσと定義される。
なお、上記ハメット式においては、安息香酸およびその誘導体の25℃の水溶液中における解離反応をρ=1としている。また、ハメットの置換基定数に関しては、JournalofMedicinalChemistry,1973,Vol.16,No.11,1207〜1216等を参考することができる。
【0051】
電子吸引性基の具体例としては、置換基を有するアルキル基(例えばハロゲン置換アルキル基等)、置換基を有するアルケニル基(例えばシアノビニル基等)、無置換または置換基を有するアルキニル基(例えばトリフルオロメチルアセチレニル基、シアノアセチレニル基等)、置換基を有するアリール基(例えばシアノフェニル等)、無置換または置換基を有する複素環基(例えばピリジル基、トリアジニル基、ベンゾオキサゾリル基等)、ハロゲン原子、シアノ基、アシル基(例えばアセチル基、トリフルオロアセチル基、ホルミル基等)、チオアセチル基(例えばチオアセチル基、チオホルミル基等)、オキサリル基(例えばメチルオキサリル基等)、オキシオキサリル基(例えばエトキサリル基等)、チオオキサリル基(例えばエチルチオオキサリル基等)、オキサモイル基(例えばメチルオキサモイル基等)、オキシカルボニル基(例えばエトキシカルボニル基等)、カルボキシル基、チオカルボニル基(例えばエチルチオカルボニル基等)、カルバモイル基、チオカルバモイル基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシスルホニル基(例えばエトキシスルホニル基等)、チオスルホニル基(例えばエチルチオスルホニル基等)、スルファモイル基、オキシスルフィニル基(例えばメトキシスルフィニル基等)、チオスルフィニル基(例えばメチルチオスルフィニル基等)、スルフィナモイル基、ホスホリル基、ニトロ基、イミノ基、N−カルボニルイミノ基(例えばN−アセチルイミノ基等)、N−スルホニルイミノ基(例えばN−メタンスルホニルイミノ基等)、ジシアノエチレン基、アンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、ピリリウム基、インモニウム基などが挙げられる。
これらのうちでは、置換基を有するアルキル基、置換基を有するアリール基、シアノ基、アシル基、オキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基が好ましく、具体的には、シアノ基、ニトロ基、トリクロロメチル基、ジクロロメチル基、クロロメチル基、トリブロモメチル基、ジブロモメチル基、ブロモメチル基、アルコキシアシル基、アシル基、およびこれらの有機基が置換した芳香環であることが好ましい。
【0052】
このような一般式(1)で表される不可視色剤は、下記一般式(4)で表される化合物を合成し、この化合物を2価の金属を含有する化合物と反応させることによって得られるものであることが好ましい。
ここに、これらの金属錯体の合成方法は、「キレート化学(5)錯体化学実験法[I](南江堂編)」等に記載の方法に準じて合成することができる。この合成に供される2価の金属を含有する化合物としては、塩化ニッケル、酢酸ニッケル、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、塩化チタン(II)、塩化鉄(II)、塩化銅(II)、塩化コバルト、塩化マンガン(II)、塩化鉛、酢酸鉛、塩化水銀、酢酸水銀などが挙げられるが、前述の通り、一般式(2)で表される化合物または一般式(3)で表される化合物よりなる発色化剤と金属錯体を生成すること、また最終的に得られる色像35の色調の安定性の観点から、好ましくは塩化亜鉛、酢酸亜鉛、塩化ニッケル、酢酸ニッケル、塩化銅、酢酸銅であり、最も好ましくは酢酸銅である。
【0053】
【化10】

【0054】
〔式中、R1 は、水素原子または1価の有機基を示し、R2 は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基またはシアノ基を示し、R3 は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基または複素環基を示す。〕
【0055】
この一般式(1)で表される不可視色剤の具体例としては、下記式(1−1)〜式(1−14)で表される化合物が挙げられる。
【0056】
【化11】

【0057】
以上の不可視色剤は、当該不可視色剤を含むトナーまたはインクとして潜像15の形成に供されるが、トナーとして供されて例えば電子写真方式の画像形成方法によって潜像15が形成されることが好ましい。
以下、不可視色剤を含むトナーについて説明する。
【0058】
〔不可視色剤を含有するトナー〕
不可視色剤を含有するトナーは、着色剤を含まないいわゆるクリアトナーに不可視色剤が含有されてなるものとすることができ、当該トナー自体が視認が困難な無色、あるいはごく薄い色を有するものである。具体的には結着樹脂および不可視色剤を含有するトナー粒子よりなり、当該トナー粒子は、所望に応じて、さらに、磁性粉、離型剤、荷電制御剤などを含有するものとすることができる。
トナー粒子における不可視色剤の含有割合は、トナー粒子中2〜11質量%であることが好ましく、より好ましくは4〜9質量%である。
【0059】
結着樹脂としては、特に限定されるものではないが、テトラヒドロフラン(THF)不溶分がトナー100%に対して20%未満のものを好ましく用いることができる。THF不溶分が過大である場合には、潜像15と発色化剤含有層25とが重ね合わされて加熱処理されたときに発色化剤と不可視色剤との反応が生じにくく、色像35に特定の可視色を発現させることができないおそれがある。
結着樹脂として更に好ましくは、ラジカル重合性単量体を重合することによって得られる重合体よりなるものが用いられる。この結着樹脂は、少なくとも一種の重合性単量体を重合することによって得られる重合体を構成材料とするものであり、一種の重合性単量体よりなるものであっても、複数種の重合性単量体を組み合わせてなるものであってもよい。
この結着樹脂として用いられる重合体の具体例としては、その代表的なものとして、重合性単量体としてビニル系単量体が用いられてなるビニル系重合体が挙げられる。
【0060】
ビニル系重合体を得るためのビニル系単量体としては、例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等のスチレンあるいはスチレン誘導体;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル誘導体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル誘導体;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類;プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ペンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のビニルケトン類;N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物類などが挙げられ、またその他、ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体などが挙げられる。
【0061】
また、ビニル系重合体を得るための重合性単量体としては、ビニル系単量体と共に、例えばカルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基などの官能基を側鎖に有するイオン性解離基を有するものを用いることもできる。
イオン性解離基を有する重合性単量体の具体例としては、カルボキシル基を有するものとして、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステルなどが挙げられる。またスルフォン酸基を有するものとして、スチレンスルフォン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸などが挙げられ、リン酸基を有するものとして、アシドホスホオキシエチルメタクリレートなどが挙げられる。
【0062】
また、多官能性ビニル類を用いることにより、架橋構造を有する樹脂を得ることもできる。
多官能性ビニル類の具体例としては、例えばジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等が挙げられる。
【0063】
トナーを粉砕手法によって得る場合の製造工程の一例を具体的に示すと、
(1)結着樹脂、不可視色剤、並びに必要に応じて離型剤や荷電制御剤などのその他の構成成分を、例えばヘンシェルミキサー(三井三池鉱業社製)などを用いて混合する混合工程、
(2)混合工程において得られた混合物を、例えば二軸押出混練機などを用い、加熱しながら混練する混練工程、
(3)混練工程において得られた混練物を、例えばハンマーミルを用いた粗粉砕処理の後、更にターボミル粉砕機(ターボ工業社製)と用いた粉砕処理を行なう粉砕工程、
(4)粉砕工程において得られた粉砕物を、例えばコアンダ効果を利用した気流分級機を用いて微粉分級処理を行なう分級工程、
(5)必要に応じて、微粉分級処理されたトナー粒子に外添剤を添加する外添剤添加工程から構成される。
【0064】
混練工程において、加熱温度は70〜180℃であることが好ましく、特に95〜115℃であることが好ましい。
加熱温度、すなわち混練物の温度を70℃以上で180℃以下に維持した状態とすることが好ましい理由は、混練物の温度が130℃を超えた場合には、当該混練物において結着樹脂の溶融粘度低下が過多となり、不可視色剤や離型剤に対する剪断力が不十分となり、分散の均一性が保てないためである。また、70℃以上とする理由は、粉砕法の場合、70℃以上において安定したトナーの色調が得られるためである。
また、混練工程において、加熱時間は2〜16時間であることが好ましい。
【0065】
また、トナーを重合手法によって得る場合の製造工程の好ましい例を具体的に示すと、
(1)不可視色剤よりなる不可視色剤の粒子が水系媒体中に分散されてなる不可視色剤分散液を得る不可視色剤分散液調製工程、
(2)結着樹脂を形成すべき重合性単量体に必要に応じて離型剤、荷電制御剤などのトナー粒子構成成分を溶解あるいは分散させて重合性単量体溶液を調製し、これを水系媒体中に添加し、機械的エネルギーを加えて油滴を形成し、次いで水溶性ラジカル重合開始剤からのラジカルにより当該油滴中において重合反応を行うことにより、樹脂粒子を得る樹脂粒子重合工程、
(3)樹脂粒子重合工程において得られる樹脂粒子分散液に、不可視色剤分散液を加えて撹拌する撹拌工程、
(4)撹拌工程において得られる混合分散液を加温することによって樹脂粒子と不可視色剤の粒子との凝集体を形成する凝集工程、
(5)必要に応じて更に凝集を進行させたり、凝集停止剤を添加したりすることにより、円形度を調節しながらトナー粒子を得るトナー粒子形成工程、
(6)水系媒体からトナー粒子を濾別し、当該トナー粒子から界面活性剤などを除去する濾過、洗浄工程、
(7)洗浄処理されたトナー粒子を乾燥する乾燥工程、
(8)乾燥処理されたトナー粒子に外添剤を添加する外添剤添加工程、
から構成される。
【0066】
ここに、「水系媒体」とは、水50〜100質量%と、水溶性の有機溶媒0〜50質量%とからなる媒体であって、好ましくは、例えばデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、その他の公知のアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤などの界面活性剤を含有する水溶液である。水溶性の有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランを例示することができ、得られる樹脂を溶解しないアルコール系有機溶媒が好ましい。
【0067】
不可視色剤分散液調製工程においては、機械的エネルギーによって水系媒体中に不可視色剤の粒子の各々を分散させた微粒子の分散液が調製される。機械的エネルギーによる油滴分散を行うための分散機としては、特に限定されるものではなく、高速回転するローターを備えた撹拌装置「クレアミックス」(エムテクニック社製)、超音波分散機、機械式ホモジナイザー、マントンゴーリンおよび圧力式ホモジナイザーなどを挙げることができる。
【0068】
この不可視色剤分散液調製工程において調製される分散液中の不可視色剤の粒子は、その体積基準のメジアン径が50〜700nmの範囲であることが好ましく、より好ましくは100〜500nm、特に好ましくは150〜250nmである。
不可視色剤の粒子の体積基準のメジアン径を150〜250nmに制御する方法としては、例えば上述の機械的エネルギーの大きさを調整することなどにより、制御することができる。
【0069】
トナー粒子形成工程においては、加熱による温度調節によって系の温度を70〜97℃とすることが好ましく、特に75〜90℃とすることが好ましい。系の温度を70〜97℃に維持した状態とすることが好ましい理由は、系の温度が97℃を超えた場合には、トナー粒子において結着樹脂の溶融粘度低下が過多となり、不可視色剤の分散の均一性が保てないためである。また、70℃以上とする理由は、70℃以上において安定したトナーの色調が得られるためである。
また、加熱時間は2〜16時間であることが好ましい。
【0070】
トナー粒子に離型剤を含有させる場合において、離型剤の具体例としては、例えばポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィン系ワックス;パラフィンワックス、サゾールワックス等の長鎖炭化水素系ワックス;ジステアリルケトン等のジアルキルケトン系ワックス;カルナウバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート等のエステル系ワックス;エチレンジアミンジベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミド等のアミド系ワックスなどが挙げられる。
【0071】
離型剤は、その融点が、通常、40〜125℃のものを用い、好ましくは50〜120℃、更に好ましくは60〜90℃である。
離型剤として上記の範囲の融点を有するものを用いることにより、トナーの耐熱保存性が確保されると共に、低温定着を行なう場合であってもコールドオフセットが発生するなどの弊害を伴わずに安定した画像形成を行なうことができる。
また、トナーにおける離型剤の含有割合は、トナー全体において1〜30質量%であることが好ましく、更に5〜20質量%であることが好ましい。
【0072】
トナーの粒径は、体積基準のメジアン径(D50v)で3μm以上であって8μm以下であることが好ましい。
体積基準メジアン径を上記の範囲とすることにより、例えば1200dpi(1インチ(2.54cm)当たりのドット数)レベルの非常に微小なドット画像を忠実に再現することが可能となる。その結果、写真画像として、印刷インクによって形成された画像と同等あるいはそれ以上の高精細性を有するものを形成することができ、従って可視画像として写真画像を形成した場合にもその画像に高い色再現性を得ることができる。
【0073】
トナーの体積基準のメジアン径は、「コールターマルチサイザーTA−III 」(ベックマン・コールター社製)にデータ処理用のコンピューターシステム(ベックマン・コールター社製)を接続した測定装置を用いて測定・算出することができる。具体的には、トナー0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナーの分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加して馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を調製し、このトナー分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTONII」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が8%になるまでピペットにて注入する。ここで、この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャ径を50μmにし、測定範囲である1〜30μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒子径が体積基準のメジアン径とされる。
【0074】
また、トナーは、その体積基準の粒度分布における変動係数(CV値)が、2%以上であって21%以下であることが好ましく、特に5%以上であって15%以下であることが好ましい。
体積基準の粒度分布における変動係数は、トナー粒子の粒度分布における分散度を体積基準によって示したものであり、下記式(x)によって算出される。
式(x):CV値(%)={(個数粒度分布における標準偏差)/(個数粒度分布における体積基準のメディアン径)}×100
このCV値は、その値が小さい程、粒度分布がシャープであることを示し、従ってトナー粒子の大きさが揃っていることを意味する。
【0075】
CV値を上記の範囲とすることにより、トナーがトナー粒子の大きさの揃ったものとなるため、デジタル画像形成において求められるような繊細なドットや細線をより高精度に再現することが可能となる。また、写真画像として、印刷インクによって形成された画像と同等あるいはそれ以上の高精細性を有するものを形成することができる。
【0076】
また、トナーは、その軟化点(Tsp)が70℃以上であって110℃以下であることが好ましく、特に70℃以上であって100℃以下であることが好ましい。
軟化点を上記の範囲とすることにより、定着時に加えられる熱によって生じる弊害を低減させることができ、その結果、着色剤に大きな負担をかけることなく画像を形成することができるため、形成される可視画像に、より広く安定した色再現性を得ることができる。。
また、定着温度が極めて低温の低温定着を弊害を伴うことなく行なうことができるため、電力消費の低減を実現した環境に優しい画像形成を行なうことが可能となる。
【0077】
トナーの軟化点は、例えば(1)結着樹脂を得るための重合性単量体の種類や組成比を調節すること、(2)トナーの製造工程において、例えば結着樹脂を得る過程に連鎖移動剤を用い、その種類や使用量により、結着樹脂の分子量を調整すること、(3)離型剤などの構成材料の種類や使用量を調節すること、あるいはこれらの(1)〜(3)の手法を組み合わせることなどによって制御することができる。
【0078】
トナーの軟化点は、例えば「フローテスターCFT−500」(島津製作所社製)を用い、トナーにより、高さ10mmの円柱形状体を形成し、この円柱形状体を、昇温速度6℃/分で加熱しながらプランジャーによって1.96×106 Paの圧力を加え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出すようにし、これにより、プランジャーからの降下量と温度との関係を示す軟化流動曲線を得ることによって測定され、降下量5mmにおける温度が軟化点とされる。
【0079】
以上のような不可視色剤を含有するトナーは、トナー粒子のみによって構成されてなるものであってもよいが、外添剤(外部添加剤)として、数平均一次粒子径が4〜800nmの無機微粒子や有機微粒子などの粒子、または滑剤がトナー粒子に添加されてなる構成のものであってもよい。
外添剤を添加することにより、流動性および帯電性などが改良されると共に、クリーニング性および転写性が向上されることとなる。
【0080】
無機微粒子としては、従来公知のものを用いることができ、例えばシリカ微粒子、チタニア微粒子、アルミナ微粒子およびチタン酸ストロンチウム微粒子などを好適に用いることができる。また、これらの無機微粒子を疎水化処理したものを用いることもできる。
【0081】
シリカ微粒子の具体例としては、例えば日本エアロジル社製の「R−805」、「R−976」、「R−974」、「R−972」、「R−812」、「R−809」;ヘキスト社製の「HVK−2150」、「H−200」;キャボット社製の「TS−720」、「TS−530」、「TS−610」、「H−5」、「MS−5」などが挙げられる。
チタニア微粒子の具体例としては、例えば日本アエロジル社製の「T−805」、「T−604」;テイカ社製の「MT−600S」、「MT−100B」、「MT−500BS」、「MT−600」、「MT−600SS」、「JA−1」;富士チタン社製の「TA−300SI」、「TA−500」、「TAF−130」、「TAF−510」、「TAF−510T」;出光興産社製の「IT−S」、「IT−OA」、「IT−OB」、「IT−OC」などが挙げられる。
アルミナ微粒子の具体例としては、例えば日本エアロジル社製の「RFY−C」、「C−604」、石原産業社製の「TTO−55」などが挙げられる。
【0082】
有機微粒子としては、数平均一次粒子径が10〜2000nmであって球形のものを用いることができ、具体的には、例えばスチレンやメチルメタクリレートなどの単独重合体およびこれらの共重合体などが挙げられる。
【0083】
滑剤としては、高級脂肪酸の金属塩を用いることができ、具体的には、ステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩;オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウム等の塩;パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩;リノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩などが挙げられる。
【0084】
外添剤の添加量は、トナー全体において0.1〜4.5質量%であることが好ましい。
【0085】
外添剤の添加方法においては、タービュラーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの種々の公知の混合装置を用いることができる。
【0086】
また、不可視色剤を含有するトナーは、磁性または非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用することもできる。
【0087】
二成分現像剤として用いる場合には、例えば後述するタンデム型の画像形成装置により、弊害を伴うことなく高速で良好な画質を有するフルカラー画像を得ることが可能となる。また、トナーの構成材料を適宜に選択することにより、定着時の紙温度が100℃程度とされる、いわゆる低温定着に好適に用いることもできる。
【0088】
トナーを二成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来から公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。また、キャリアは、その体積平均粒径が15〜100μmであることが好ましく、特に25〜80μmであることが好ましい。
【0089】
また、非磁性の一成分現像剤として用いる場合には、当該現像剤を構成するトナー自体が、帯電部材や現像ローラ面に摺擦および押圧されることによって帯電されることとなるため、現像装置の構造を簡略化することができ、従って画像形成装置全体をコンパクト化することができることから、スペース的に制限のある作業環境においても色再現性に優れたフルカラー画像を形成することが可能となる。
【0090】
〔発色化剤〕
本発明の印画物形成方法に用いられる発色化剤含有層25に含まれる発色化剤は、上記一般式(2)で表される化合物または上記一般式(3)で表される化合物からなり、これらのうちでは、上記一般式(3)で表される化合物からなることが特に好ましい。
【0091】
〔一般式(2)で表される化合物〕
発色化剤を示す一般式(2)において、R4 は、水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基を示す。
この基R4 は、pが2または3である場合には、それぞれ独立の基であってもよい。
【0092】
基R4 を示すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子および臭素原子が挙げられる。
また、基R4 を示す1価の有機基としては、例えばアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アリール基(例えばビニル基、アリル基等)、アルケニル基(例えばエチニル基、プロパギル基等)、アルキニル基(例えばフェニル基、ナフチル基等)、ヘテロアリール基(例えばフリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリジミル基、ピラジル基、トリアジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キナゾリル基、フタラジル基等)、ヘテロ環基(例えばピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えばシクロペンチルオキシ基、シクロオヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えばシクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えばメチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えばアミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えばアセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えばアセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えばメチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、トリフルオロメチルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えばアミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えばメチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドレシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えばメチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−メチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えばメチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(例えばフェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えばアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、シアノ基およびニトロ基などが挙げられる。
【0093】
また、一般式(2)において、R5 は、−NR7 8 基(但し、R7 およびR8 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基を示す。)または−OR9 基(但し、R9 は、水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基を示す。)を示す。
この基R5 は、モル吸光係数εの観点からは−NR7 8 基であることが好ましく、また波長調整の観点からは−OR9 基が好ましい。
【0094】
また、基R5 に係る−NR7 8 基におけるR7 およびR8 、並びに−OR9 基におけるR9 を示すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子および臭素原子が挙げられる。
基R5 に係る−NR7 8 基におけるR7 およびR8 、並びに−OR9 基におけるR9 を示す1価の有機基としては、基R4 を示す1価の有機基として例示したものが挙げられる。
これらの基R7 〜R9 は、各々、水素原子、アルキル基、アリール基、アシル基、アルキルスルホニル基および複素環基であることが好ましく、特に水素原子、アルキル基、アリール基およびアシル基であることが好ましい。
【0095】
また、一般式(2)において、R6 は、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、アルキルスルホニルアミノ基またはアリールスルホニルアミノ基を示す。
この基R6 は、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、アミド基およびアルキルスルホニル基であることが好ましい。
【0096】
基R6 を示すアルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アルキルスルホニルアミノ基およびアリールスルホニルアミノ基としては、各々、基R4 を示す1価の有機基の一種として例示したものが挙げられる。
【0097】
また、一般式(2)において、A1 〜A3 は、それぞれ独立に、−CR10=基(但し、R10は、水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基を示す。)または−N=基を示す。
基A1 および基A2 は、各々、−CR10=基であることが好ましい。
【0098】
この基A1 〜基A3 に係る−CR10=基におけるR10を示す1価の有機基としては、基R4 を示す1価の有機基として例示したものが挙げられる。
この基R10は、水素原子、ハロゲン原子およびアルコキシカルボニル基であることが好ましく、特に水素原子であることが好ましい。
【0099】
一般式(2)において、X1 は、5員または6員の芳香族環または複素環を形成するために必要な原子団を示す。
【0100】
基X1 を示す原子団によって形成される、5員または6員の芳香族環または複素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピラジン環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、チアゾール環などが挙げられ、好ましくはベンゼン環、ピリジン環およびチオフェン環である。
【0101】
一般式(2)において、L1 は、炭素数1または2の連結基または環構造の一部を示す。
この連結基および環構造の一部は、基R6 と結合して5員または6員の環構造を形成していてもよい。
【0102】
基L1 を示す炭素数1または2の連結基としては、無置換または置換基を有する、メチレン基、エチレン基およびエチン基が挙げられる。
また、基L1 を示す環構造の一部としては、下記一般式(5)で表される基が挙げられる。
【0103】
【化12】

【0104】
〔式中、Z2 は、5員または6員の芳香族環または複素環を示し、一方の結合手によって一般式(2)におけるZ1 と結合し、他方の結合手によって一般式(2)におけるR6 と結合する。〕
【0105】
この一般式(5)において、Z2 は、5員または6員の芳香族環または複素環を示すが、これらの芳香族環および複素環は、無置換であっても置換基を有するものであってもよい。
置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、ウレイド基などが挙げれ、好ましくはハロゲン原子、アルコキシ基、アミノ基、アシルアミノ基である。
また、置換基としてキレート可能な基を有していることも好ましい。このキレート可能な基とは、非共有電子対を有する原子を含有する置換基であり、具体的には、複素環基、ヒドロキシ基、カルボニル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アルコキシ基、複素環オキシ基、カルボニルオキシ基、ウレタン基、スルホニルオキシ基、アミノ基、イミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルホニル基、スルファモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基および複素環チオ基が挙げれ、好ましくはヒドロキシ基、カルボニル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アルコキシ基、カルボニルオキシ基、ウレタン基、スルホニルオキシ基、アミノ基、イミノ基、スルホニルアミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、アルキルチオ基およびアリールチオ基であり、特に好ましくはヒドロキシ基、カルボニル基、カルバモイル基、アルコキシ基、スルホニルアミノ基およびアシルアミノ基である。
【0106】
一般式(2)において、Z1 は、少なくとも1個の窒素原子を含む5員または6員の複素環を形成するために必要な原子団を示す。
この基Z1 を示す原子団は、無置換または置換基を有していてもよく、当該置換基によって縮環を形成していてもよい。
【0107】
基Z1 を示す原子団によって形成される、少なくとも1個の窒素原子を含む5員または6員の複素環としては、ピリジン環、ピリミジン環、キノリン環、ピラゾール環、イミダゾール環、ピロール環およびピラゾリジン環(例えば、ピラゾリジン−3,5−ジオンに由来の環)、並びにこれらの環に置換基を有するもの、この置換基によって縮環が形成されてなるものなどが挙げられる。
この基Z1 の好ましい具体例としては、下記一般式(6)〜一般式(11)で表される基が挙げられる。
【0108】
【化13】

【0109】
〔一般式(6)および一般式(7)において、各々、R11およびR13は、水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基を示し、R12およびR14は、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、アルキルスルホニルアミノ基またはアリールスルホニルアミノ基を示し、L2 およびL3 は、炭素数1または2の連結基または環構造の一部を示し、前記一般式(2)におけるA1 と*で示した部位において結合する。
また、一般式(8)において、R15およびR16、は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基を示し、R17は、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、アルキルスルホニルアミノ基またはアリールスルホニルアミノ基を示す。L4 は、炭素数1または2の連結基または環構造の一部を示し、前記一般式(2)におけるA1 と*で示した部位において結合する。
また、一般式(9)において、R18は、水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基を示し、R19は、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、アルキルスルホニルアミノ基またはアリールスルホニルアミノ基を示す。L5 は、炭素数1または2の連結基または環構造の一部を示し、前記一般式(2)におけるA1 と*で示した部位において結合する。
また、一般式(10)において、R20およびR21は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基を示し、R22は、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、アルキルスルホニルアミノ基またはアリールスルホニルアミノ基を示す。L6 は、炭素数1または2の連結基または環構造の一部を示し、前記一般式(2)におけるA1 と*で示した部位において結合する。
また、一般式(11)において、R23およびR24は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基を示し、R25は、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、アルキルスルホニルアミノ基またはアリールスルホニルアミノ基を示す。L7 は、炭素数1または2の連結基または環構造の一部を示し、前記一般式(2)におけるA1 と*で示した部位において結合する。〕
【0110】
一般式(6)および一般式(7)において、各々、R11およびR13を示す1価の有機基としては、上記一般式(2)におけるR4 を示す1価の有機基として例示したものが挙げられる。
この基R11およびR13は、各々、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、カルバモイル基、カルボキシル基またはアルコキシカルボニル基であることが好ましく、更に好ましくは、アルキル基、カルボキシル基、アルコキシル基、カルバモイル基であり、特に好ましくは、アルキル基(特にメチル基、tert−ブチル基、トリフルオロメチル基)、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基である。
【0111】
一般式(6)および一般式(7)において、R12およびR14は、各々、上記一般式(2)におけるR6 と同義であり、好ましい基についても同義である。
【0112】
また、一般式(6)および一般式(7)において、L2 およびL3 は、各々、上記一般式(2)におけるL1 と同義であり、好ましい基についても同義である。
【0113】
一般式(8)および一般式(9)において、各々、R15、R16およびR18を示す1価の有機基としては、上記一般式(2)におけるR4 を示す1価の有機基として例示したものを挙げることができる。
この基R15は、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基またはアリールスルホニル基であることが好ましく、更に好ましくはアリール基、複素環基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基である。
また、基R16は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基であることが好ましく、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アシルアミノ基である。
また、基R18は、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシル基、アリールオキシ基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基またはカルバモイル基であることが好ましく、更に好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アルコキシ基である。
【0114】
一般式(8)および一般式(9)において、各々、R17およびR19は、一般式(2)におけるR6 と同義であり、好ましい基についても同義である。
【0115】
また、一般式(8)および一般式(9)において、L4 およびL5 は、各々、上記一般式(2)におけるL1 と同義であり、好ましい基についても同義である。
【0116】
一般式(10)および一般式(11)において、各々、R20、R21、R23およびR24を示す1価の有機基としては、上記一般式(2)におけるR4 を示す1価の有機基として例示したものを挙げることができる。
この基R20および基R21は、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基またはニトロ基であることが好ましく、更に好ましくはアルコキシカルボニル基、シアノ基である。
【0117】
また、基R23は、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシル基、アリールオキシ基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基またはカルバモイル基であることが好ましく、更に好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アシル基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基がである。
【0118】
また、一般式(10)および一般式(11)において、R22およびR25は、各々、一般式(2)におけるR6 と同義であり、好ましい基についても同義である。
【0119】
また、一般式(10)および一般式(11)において、L6 およびL7 は、各々、上記一般式(2)におけるL1 と同義であり、好ましい基についても同義である。
【0120】
この一般式(2)で表される化合物の具体例としては、下記式(2−1)〜式(2−20)で表される化合物が挙げられる。
【0121】
【化14】

【0122】
【化15】

【0123】
【化16】

【0124】
〔一般式(3)で表される化合物〕
発色化剤を示す一般式(3)において、X2 は、少なくとも1個の環が5員〜7員の芳香族の炭素環または複素環を形成するのに必要な原子団を示し、かつ複素環を形成するのに必要な原子団は、アゾ結合には炭素原子が結合し、この炭素原子の隣接位の少なくとも1個が窒素原子であるか、または炭素環における炭素原子が窒素原子、酸素原子あるいは硫黄原子で置換されてなる構造を有するものである。
この基X2 を示す原子団は、無置換または置換基を有していてもよい。
【0125】
基X2 を示す原子団によって形成される、少なくとも1個の環が5員〜7員の芳香族の炭素環または複素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環およびキノリン環が好ましい。
また、基X2 を示す原子団に係る好ましい置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基等)、アルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、チオール基、チオアルコキシ基およびハロゲン原子が挙げられる。
【0126】
また、一般式(3)において、X3 は、少なくとも1個の環が1〜7個の原子から構成されている芳香族の炭素環または複素環を形成するために必要な原子団を示し、無置換であっても置換基を有していてもよい。
基X3 を示す原子団によって形成される、少なくとも1個の環が1〜7個の原子から構成されている芳香族の炭素環または複素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、キノリン環が好ましい。また、置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、水酸基、アミノ基およびハロゲン原子が好ましい。
【0127】
また、一般式(3)において、Gは、水酸基、アミノ基、メトキシ基、チオール基またはチオアルコキシ基を示す。
【0128】
この一般式(3)で表される発色化剤の具体例としては、1−(2−ピリジルアゾ)−2−ナフトール、2−(2−ヒドロキシフェニルアゾ)−5−ヒドロキシピリジン、1−(2−ヒドロキシフェニルアゾ)−2−ナフトール、2−(2−ヒドロキシフェニルアゾ)−5−メトキシフェノール、8−(2−ヒドロキシフェニルアゾ)−キノリンなどが挙げられる。
【0129】
顕像化シート20における発色化剤含有層25は、例えば発色化剤を含むトナーまたはインクを作製し、これを用いて一般の画像形成方法によって形成してもよく、また、発色化剤を含む塗布液を調製し、これを顕像化基材21上に塗布することにより形成してもよい。
また、顕像化シート20における発色化剤含有層25は、顕像化基材21の全面に形成されていてもよく、特定の領域、例えば潜像入りシート10における潜像15に対応する領域等のみに形成されていてもよい。
【0130】
〔発色化剤を含有するトナー〕
発色化剤を含有するトナーは、上述した不可視色剤を含有するトナーにおいて不可視色剤の代わりに発色化剤を含有させたものとすることができ、上述と同様にして製造することができる。
トナー粒子における発色化剤の含有割合は、トナー粒子中2〜11質量%であることが好ましく、より好ましくは4〜9質量%である。
【0131】
以上のような印画物によれば、不可視色剤を含むトナーまたはインクによって形成された潜像15が、当該不可視色剤と反応して可視色を呈する発色化剤が含まれる発色化剤含有層25と重ね合わされていることによって、不可視色剤と発色化剤との接触による変色反応によって特定の可視色の潜像15の形状に従った色像35が視認される。
また、以上のような印画物形成方法によれば、上記の印画物を形成することができる。
また、以上のような印画物形成キットによれば、潜像入りシート10と顕像化シート20とを重ね合わせて加熱することのみによって上記の印画物を簡単に形成することができる。
【0132】
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明の実施形態は上記の例に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
例えば、印画物形成キットにおいて、潜像入りシート10の潜像支持体11が透光性のものであってもよく、この場合、顕像化シート20の顕像化基材21は不透光性のものとされてもよい。また、潜像支持体11および顕像化基体21のいずれもが透光性のものであってもよい。
【実施例】
【0133】
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔不可視トナーの製造例1:粉砕法によるトナーの製造〕
ポリエステル樹脂(ビスフェノールA−エチレンオキサイド付加物、テレフタル酸およびトリメリット酸の縮合物、重量平均分子量20000)100質量部と、式(1−4)で表される不可視色剤0.8質量部と、ペンタエリスリトールテトラステアレートよりなる離型剤6質量部と、ジベンジル酸ホウ素よりなる荷電制御剤1質量部とを、ジャケットを備えたヘンシェルミキサ(三井三池鉱業社製)に投入し、撹拌羽の周速を25m/秒に設定して5分間かけて混合処理した。この混合処理中には、ヘンシェルミキサのジャケットに9℃の冷却水を流通させることによって混合物の温度を25℃以下に維持した。
得られた混合物を二軸押出混練機によって140℃に加熱しながら混練した。この混練処理中、混練機の吐出部における混練物の温度は145℃であった。その後、混練物を6時間かけて放冷した。
混練物の温度が28℃に達した時点において、ハンマーミルによって粗粉砕した後、ターボミル粉砕機(ターボ工業社製)によって粉砕処理し、更に、コアンダ効果を利用した気流分級機で微粉分級処理を行なうことにより、体積基準メディアン径が5.4μmのトナー粒子を得た。
得られたトナー粒子に、ヘキサメチルシラザン処理したシリカ(平均一次粒径12nm)0.6質量部およびn−オクチルシラン処理した二酸化チタン(平均一次粒径24nm)0.8質量部よりなる外添剤を添加し、ヘンシェルミキサ(三井三池鉱業社製)を用い、撹拌羽の周速35m/秒、処理温度35℃、処理時間15分間の条件で混合する外添処理を行なうことにより、不可視トナー〔1〕を得た。
なお、トナー粒子は、外添剤の添加によっては、その形状および粒径は変化しなかった。
【0134】
〔比較用の不可視トナーの製造例1:粉砕法によるトナーの製造〕
不可視トナーの製造例1において、式(1−4)で表される不可視色剤0.8質量部を加えなかったことの他は同様にして、比較用の不可視トナー〔H1〕を得た。
【0135】
〔比較用の不可視トナーの製造例2:粉砕法によるトナーの製造〕
不可視トナーの製造例1において、式(1−4)で表される不可視色剤0.8質量部の代わりに、下記式(R)で表される化合物0.8質量部を用いたことの他は同様にして、比較用の不可視トナー〔H2〕を得た。
【0136】
【化17】

【0137】
〔発色化トナーの製造例1:粉砕法によるトナーの製造〕
不可視トナーの製造例1において、式(1−4)で表される不可視色剤0.8質量部の代わりに、式(2−6)で表される発色化剤2質量部を用いたことの他は同様にして、発色化トナー〔1〕を得た。
【0138】
〔不可視トナーの製造例2:乳化会合法によるトナーの製造〕
(1)不可視色剤分散液の調製例1
n−ドデシル硫酸ナトリウム11.5質量部をイオン交換水160質量部に撹拌溶解することによって界面活性剤水溶液を調製した。この界面活性剤水溶液に、式(1−8)で表される不可視色剤を19.4質量部を徐々に添加し、次いで、「クレアミックスWモーションCLM−0.8」(エムテクニック社製)を用いて分散処理することにより、不可視色剤の粒子が分散された不可視色剤分散液〔1〕を調製した。
この不可視色剤分散液〔1〕における不可視色剤粒子の粒子径について、体積基準のメジアン径を測定したところ、221nmであった。
なお、体積基準のメジアン径は、「MICROTRAC UPA−150」(HONEYWELL社製)を用い、サンプル屈折率1.59、サンプル比重1.05(球状粒子換算)、溶媒屈折率1.33、溶媒粘度0.797(30℃)および1.002(20℃)の測定条件により、測定セルにイオン交換水を投入することによって0点調整を行なうことによって測定した。
【0139】
(2)トナー粒子の調製例1
(A)コア部用樹脂粒子の調製
(a)第1段重合
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウムよりなるアニオン系界面活性剤4質量部をイオン交換水3040質量部に溶解させた界面活性剤水溶液を仕込み、過硫酸カリウム(KPS)10質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、液温を75℃に昇温させた後、スチレン532質量部、n−ブチルアクリレート200質量部、メタクリル酸68質量部およびn−オクチルメルカプタン16.4質量部よりなる重合性単量体溶液を1時間かけて滴下後、75℃にて2時間加熱、撹拌することにより重合(第1段重合)を行い、樹脂粒子(1h)を含有する樹脂粒子分散液(1H)を調製した。
なお、得られた樹脂粒子(1h)の重量平均分子量は16500であった。
【0140】
(b)第2段重合
撹拌装置を取り付けたフラスコ内に、スチレン101.1質量部、n−ブチルアクリレート62.2質量部、メタクリル酸12.3質量部およびn−オクチルメルカプタン1.75質量部からなる重合性単量体溶液を仕込み、その後パラフィンワックス「HNP−57」(日本製蝋社製)93.8質量部を添加し、内温を90℃に加温して溶解させることによって単量体溶液を調製した。
一方、第1段重合において用いたアニオン系界面活性剤3質量部をイオン交換水1560質量部に溶解させた界面活性剤水溶液を仕込み、内温が98℃となるよう加熱した。この界面活性剤水溶液に、第1段重合において得られた樹脂粒子(1h)32.8質量部(固形分換算)を添加し、更に、パラフィンワックスを含有する単量体溶液を添加した後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス」(エムテクニック社製)を用い、8時間かけて混合分散することにより、分散粒子径340nmの乳化粒子(油滴)を含有する乳化粒子分散液を調製した。
次いで、この分散液に、過硫酸カリウム6質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、この系を98℃にて12時間にわたって加熱撹拌することにより重合(第2段重合)を行い、樹脂粒子(1hm)を含有する樹脂粒子分散液(1HM)を調製した。
なお、得られた樹脂粒子(1hm)の重量平均分子量は23000であった。
【0141】
(c)第3段重合
第2段重合において得られた樹脂粒子分散液(1HM)に、過硫酸カリウム5.45質量部をイオン交換水220質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下に、スチレン293.8質量部、n−ブチルアクリレート154.1質量部およびn−オクチルメルカプタン7.08質量部からなる重合性単量体溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたって加熱撹拌することにより重合(第3段重合)を行った後、28℃まで冷却しコア部用樹脂粒子(1)を含有する樹脂粒子分散液を得た。
得られたコア部用樹脂粒子(1)の重量平均分子量は26800であった。
【0142】
(B)シェル用樹脂粒子の調製
前記の第1段重合において、重合性単量体として、スチレン624質量部、2−エチルヘキシルアクリレート120質量部、メアクリル酸56質量部およびn−オクチルメルカプタン16.4質量部を用いたこと以外は第1段重合と同様の手法により、重合を行い、これにより、シェル用樹脂粒子(1)を得た。
【0143】
(C)トナー粒子の調製
(a)コア部の形成
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、コア部用樹脂粒子(1)420.7質量部、イオン交換水900質量部および不可視色剤分散液〔1〕42質量部を仕込んで撹拌し、内温が30℃となるよう調整した後、濃度5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加することによってpHを9に調整した。
次いで、塩化マグネシウム6水和物2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて65℃まで昇温した。
その後、「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にて会合粒子の平均粒径を測定し、体積基準のメジアン径が6.5μmになった時点で、塩化ナトリウム40.2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させ、更に、液温度70℃にて1時間にわたって加熱、撹拌することにより融着を継続させることにより、コア部(1)を含有するコア部含有液(1)を得た。
得られたコア部(1)について、「FPIA2100」(シスメック社製)を用い、平均円形度を測定したところ、0.912であった。
【0144】
(b)シェルの形成
コア部含有液(1)を65℃に調整した後、シェル用樹脂粒子(1)96質量部を添加し、更に、塩化マグネシウム6水和物2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を10分間かけて添加し、70℃にまで昇温して1時間にわたって撹拌することにより、コア部(1)の表面にシェル用樹脂粒子(1)を融着させた後、液温度75℃にて20時間にわたって熟成処理を行なうことにより、シェルを形成した。
その後、塩化ナトリウム40.2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を添加することによって熟成処理(シェル形成)を停止させた後、8℃/分の条件で30℃にまで冷却し、生成した粒子を濾過し、更に45℃のイオン交換水による洗浄を繰り返し、40℃の温風で乾燥することにより、コア部表面にシェルが形成されてなる構成のトナー粒子を得た。
【0145】
(3)外添処理
得られたトナー粒子に、ヘキサメチルシラザン処理したシリカ(平均一次粒径12nm)0.6質量部およびn−オクチルシラン処理した二酸化チタン(平均一次粒径24nm)0.8質量部よりなる外添剤を添加し、ヘンシェルミキサ(三井三池鉱業社製)を用い、撹拌羽の周速35m/秒、処理温度35℃、処理時間15分間の条件で混合する外添処理を行なうことにより、不可視トナー〔2〕を得た。
なお、トナー粒子は、外添剤の添加によっては、その形状および粒径は変化しなかった。
【0146】
〔不可視トナーの製造例3〜10:乳化会合法によるトナーの製造〕
不可視トナーの製造例2において、下記表1に示す不可視色剤を用いたこと以外は不可視色剤分散液の調製例1と同様にして不可視色剤分散液を得、得られた不可視色剤分散液を用いたこと以外はトナー粒子の調製例1と同様にしてトナー粒子を得、更にこの得られたトナー粒子に対して外添処理を施すことにより、不可視トナー〔3〕〜〔10〕を得た。
【0147】
〔比較用不可視トナーの製造例3:乳化会合法によるトナーの製造〕
不可視トナーの製造例2において、不可視色剤分散液〔1〕に代えて、下記の着色剤分散液の調製例1によって得られた着色剤分散液200質量部を用いたこと以外はトナー粒子の調製例1と同様にして比較用のトナー粒子を得、更にこの得られたトナー粒子に対して外添処理を施すことにより、比較用の不可視トナー〔H3〕を得た。
【0148】
(着色剤分散液の調製例1)
n−ドデシル硫酸ナトリウム11.5質量部をイオン交換水160質量部に撹拌溶解することによって界面活性剤水溶液を調製した。この界面活性剤水溶液に、上記式(R)で表される化合物よりなる着色剤2質量部を徐々に添加し、次いで、「クレアミックスWモーションCLM−0.8」(エムテクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤微粒子が分散された着色剤分散液〔1〕を調製した。
この着色剤微粒子分散液〔1〕における着色剤微粒子の粒子径について、不可視色剤分散液の調製例1と同様の測定条件によって体積基準のメジアン径を測定したところ、545nmであった。
【0149】
〔発色化トナーの製造例2:乳化会合法によるトナーの製造〕
不可視トナーの製造例2における不可視色剤分散液の調製例1において、式(1−8)で表される不可視色剤19.4質量部の代わりに、式(2−3)で表される発色化剤20質量部を用いて発色化剤分散液を調製し、これを用いたこと以外はトナー粒子の調製例1と同様にしてトナー粒子を得、更にこの得られたトナー粒子に対して外添処理を施すことにより、発色化トナー〔2〕を得た。
【0150】
〔発色化トナーの製造例3〜10:乳化会合法によるトナーの製造〕
発色化トナーの製造例2において、下記表1に示す不可視色剤を用いたこと以外は同様にして、発色化トナー〔3〕〜〔10〕を得た。
【0151】
〔不可視現像剤の製造例1〜10、比較用の不可視現像剤1〜3の製造例および発色化現像剤の製造例1〜10〕
不可視トナー〔1〕〜〔10〕、比較用の不可視トナー〔H1〕〜〔H3〕および発色化トナー〔1〕〜〔10〕の各々に、シリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径60μmのフェライトキャリアを、不可視トナーまたは発色化トナーの濃度が6質量%となるよう混合することにより、不可視現像剤〔1〕〜〔10〕、比較用の不可視現像剤〔H1〕〜〔H3〕および発色化現像剤〔1〕〜〔10〕を得た。
【0152】
〔実施例1〜10および比較例1〜3〕
画像形成装置「bizhub PRO C6500」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)製)を用い、黒色現像剤の代わりに上記の不可視現像剤〔1〕〜〔10〕、〔H1〕〜〔H3〕を搭載し、単色モードにより、潜像支持体(紙「POD−128」)上に、トナー付着量4.0g/m2 で文字画像「ABCDEFG(明朝体、12ポイント)」(潜像)を出力した。これらを潜像入りシート〔1〕〜〔10〕、〔H1〕〜〔H3〕とする。
この潜像入りシート〔1〕〜〔10〕、〔H1〕〜〔H3〕のベタ画像(潜像)の画像濃度を測定した。画像濃度の測定は、分光光度計「Gretag Macbeth Spectrolino」(Gretag Macbeth社製)を用い、光源としてD50光源、反射測定アパーチャをφ4mmを用い、視野角(observer)を2°とし、UVカットフィルターを用い、基準合わせには専用白タイルを用い、測定モード「リフレクタンス」とした条件において行った。
一方、画像形成装置「bizhub PRO C6500」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)製)を用い、黒色現像剤の代わりに上記の発色化現像剤〔1〕〜〔10〕を搭載し、単色モードにより、顕像化基材(OHP用透明シート)上に、トナー付着量4.0g/m2 で全面にベタ画像(発色化剤含有層)を出力した。これらを顕像化シート〔1〕〜〔10〕とする。
そして、潜像入りシート〔1〕〜〔10〕、〔H1〕〜〔H3〕および顕像化シート〔1〕〜〔10〕を、表1に示す組み合わせに従って、潜像入りシートの文字画像(潜像)と顕像化シートのベタ画像(発色化剤含有層)とが接触する状態に重ね合わせ、密着した状態でドライヤーで30秒加熱した。加熱後のものを印画物〔1〕〜〔10〕、〔H1〕〜〔H3〕とする。
印画物〔1〕〜〔10〕については、顕像化シートの発色化剤含有層の色を背景に、潜像に従った、発色化剤含有層の色とはことなる色の色像が視認された。印画物〔H1〕〜〔H3〕については色像が視認されず、一面に顕像化シートの発色化剤含有層の色が視認されるのみであった。
この印画物〔1〕〜〔10〕、〔H1〕〜〔H3〕における色像の画像濃度を、上述のベタ画像(潜像)と同様にして測定した。結果を表1に示す。
以上において、発色前の潜像の画像濃度と、発色後の色像の画像濃度の差が1.60以上である場合を合格レベルとする。
【0153】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0154】
本発明の印画物形成方法は、文書の真贋判定を行う方法、純正のトナーカートリッジと非純正のトナーカートリッジとを識別する方法などに有用である。
【符号の説明】
【0155】
10 潜像入りシート
11 潜像支持体
15 潜像
20 顕像化シート
21 顕像化基材
25 発色化剤含有層
35 色像



【特許請求の範囲】
【請求項1】
不可視色剤を含むトナーまたはインクによって形成された潜像が、当該不可視色剤と反応して可視色を呈する発色化剤が含まれる発色化剤含有層と重ね合わされて顕像化された、前記不可視色剤と前記発色剤とが反応することによって得られる可視色の前記潜像に従った色像を有する印画物であって、
前記不可視色剤が、下記一般式(1)で表される金属錯体からなり、
前記発色化剤が、下記一般式(2)または下記一般式(3)で表される化合物からなることを特徴とする印画物。
【化1】


〔式中、Mは、2価の金属原子を示し、R1 は水素原子または1価の有機基を示し、R2 は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、スルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基またはシアノ基を示し、R3 は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基または複素環基を示す。〕
【化2】


〔式中、R4 は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基を示し、R5 は、−NR7 8 基(但し、R7 およびR8 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基を示す。)または−OR9 基(但し、R9 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基を示す。)を示し、R6 は、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、アルキルスルホニルアミノ基またはアリールスルホニルアミノ基を示し、A1 〜A3 は、それぞれ独立に、−CR10=基(但し、R10は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基を示す。)または−N=基を示し、X1 は、5員または6員の芳香族環または複素環を形成するために必要な原子団を示し、Z1 は、少なくとも1個の窒素原子を含む5員または6員の複素環を形成するために必要な原子団を示し、これらの原子団は無置換または置換基を有していてもよく、当該置換基によって縮環を形成していてもよい。L1 は、炭素数1または2の連結基または環構造の一部を示し、R6 と結合して5員または6員の環構造を形成していてもよい。pは0〜3の整数である。〕
【化3】


〔式中、X2 は、少なくとも1個の環が5員〜7員の芳香族の炭素環または複素環の形成に必要な原子団を示し、かつ複素環の形成に必要な原子団は、アゾ結合には炭素原子が結合し、この炭素原子の隣接位の少なくとも1個が窒素原子であるか、または炭素環における炭素原子が窒素原子、酸素原子あるいは硫黄原子で置換されてなる構造を有するものである。X3 は、少なくとも1個の環が1〜7個の原子から構成されている芳香族の炭素環または複素環を形成するために必要な原子団を示し、Gは、水酸基、アミノ基、メトキシ基、チオール基またはチオアルコキシ基を示す。〕
【請求項2】
潜像支持体上に不可視色剤を含むトナーまたはインクによって形成された潜像に、当該不可視色剤と反応して可視色を呈する発色化剤が含まれる発色化剤含有層を重ね合わせて加熱処理することにより、前記潜像を顕像化させて前記可視色の当該潜像に従った色像を得る印画物形成方法であって、
前記不可視色剤が、下記一般式(1)で表される金属錯体からなり、
前記発色化剤が、下記一般式(2)または下記一般式(3)で表される化合物からなることを特徴とする印画物形成方法。
【化4】


〔式中、Mは、2価の金属原子を示し、R1 は水素原子または1価の有機基を示し、R2 は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、スルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基またはシアノ基を示し、R3 は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基または複素環基を示す。〕
【化5】


〔式中、R4 は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基を示し、R5 は、−NR7 8 基(但し、R7 およびR8 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基を示す。)または−OR9 基(但し、R9 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基を示す。)を示し、R6 は、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、アルキルスルホニルアミノ基またはアリールスルホニルアミノ基を示し、A1 〜A3 は、それぞれ独立に、−CR10=基(但し、R10は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基を示す。)または−N=基を示し、X1 は、5員または6員の芳香族環または複素環を形成するために必要な原子団を示し、Z1 は、少なくとも1個の窒素原子を含む5員または6員の複素環を形成するために必要な原子団を示し、これらの原子団は無置換または置換基を有していてもよく、当該置換基によって縮環を形成していてもよい。L1 は、炭素数1または2の連結基または環構造の一部を示し、R6 と結合して5員または6員の環構造を形成していてもよい。pは0〜3の整数である。〕
【化6】


〔式中、X2 は、少なくとも1個の環が5員〜7員の芳香族の炭素環または複素環の形成に必要な原子団を示し、かつ複素環の形成に必要な原子団は、アゾ結合には炭素原子が結合し、この炭素原子の隣接位の少なくとも1個が窒素原子であるか、または炭素環における炭素原子が窒素原子、酸素原子あるいは硫黄原子で置換されてなる構造を有するものである。X3 は、少なくとも1個の環が1〜7個の原子から構成されている芳香族の炭素環または複素環を形成するために必要な原子団を示し、Gは、水酸基、アミノ基、メトキシ基、チオール基またはチオアルコキシ基を示す。〕
【請求項3】
前記潜像が、上記一般式(1)で表される金属錯体からなる不可視色剤を含むトナーによって形成されたものであることを特徴とする請求項2に記載の印画物形成方法。
【請求項4】
前記加熱処理の温度が、70〜80℃であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の印画物形成方法。
【請求項5】
潜像支持体上に、下記一般式(1)で表される金属錯体からなる不可視色剤を含むトナーまたはインクによって潜像が形成されてなる潜像入りシートと、
顕像化基材上に、下記一般式(2)または下記一般式(3)で表される化合物からなり、不可視色剤と反応して可視色を呈する発色化剤が含まれる発色化剤含有層が形成されてなる顕像化シートと
からなり、
前記潜像支持体および顕像化基材の少なくともいずれかが透光性を有するものであることを特徴とする印画物形成キット。
【化7】


〔式中、Mは、2価の金属原子を示し、R1 は水素原子または1価の有機基を示し、R2 は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、スルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基またはシアノ基を示し、R3 は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基または複素環基を示す。〕
【化8】


〔式中、R4 は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基を示し、R5 は、−NR7 8 基(但し、R7 およびR8 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基を示す。)または−OR9 基(但し、R9 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基を示す。)を示し、R6 は、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、アルキルスルホニルアミノ基またはアリールスルホニルアミノ基を示し、A1 〜A3 は、それぞれ独立に、−CR10=基(但し、R10は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基を示す。)または−N=基を示し、X1 は、5員または6員の芳香族環または複素環を形成するために必要な原子団を示し、Z1 は、少なくとも1個の窒素原子を含む5員または6員の複素環を形成するために必要な原子団を示し、これらの原子団は無置換または置換基を有していてもよく、当該置換基によって縮環を形成していてもよい。L1 は、炭素数1または2の連結基または環構造の一部を示し、R6 と結合して5員または6員の環構造を形成していてもよい。pは0〜3の整数である。〕
【化9】


〔式中、X2 は、少なくとも1個の環が5員〜7員の芳香族の炭素環または複素環の形成に必要な原子団を示し、かつ複素環の形成に必要な原子団は、アゾ結合には炭素原子が結合し、この炭素原子の隣接位の少なくとも1個が窒素原子であるか、または炭素環における炭素原子が窒素原子、酸素原子あるいは硫黄原子で置換されてなる構造を有するものである。X3 は、少なくとも1個の環が1〜7個の原子から構成されている芳香族の炭素環または複素環を形成するために必要な原子団を示し、Gは、水酸基、アミノ基、メトキシ基、チオール基またはチオアルコキシ基を示す。〕



【図1】
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【公開番号】特開2013−97360(P2013−97360A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243281(P2011−243281)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】