印象を取るときに使用される治療構成要素及びその製作方法
【課題】情報マーカが設けられた歯科用インプラントに取り付けられる治療アバットメント及びその製作方法を提供する。
【解決手段】インプラント70は、上方に位置する歯肉を有する顎骨内に取り付けられる頂端と、歯肉と六角形ボスが設けられた顎骨の境界面付近の歯肉端とを有している。治療アバットメント10は、上記六角形ボスの方向、上記治療要素の直径、上記治療要素の高さ及び前記インプラントの寸法を決定する情報マーカ20を備えている。
【解決手段】インプラント70は、上方に位置する歯肉を有する顎骨内に取り付けられる頂端と、歯肉と六角形ボスが設けられた顎骨の境界面付近の歯肉端とを有している。治療アバットメント10は、上記六角形ボスの方向、上記治療要素の直径、上記治療要素の高さ及び前記インプラントの寸法を決定する情報マーカ20を備えている。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、全体として、歯科用インプラントシステムにおける治療構成要素及び該構成要素を製作する方法に関する。より具体的には、本発明は、歯科用インプラントシステムにおける印象コーピングを不要にし且つ永久的な歯科用構成要素を製作するのに必要な時間を短縮するため治療アバットメントの外側に情報マーカを使用することに関する。
【発明の背景】
【0002】
部分的に又は完全に無歯の患者を補綴物にて歯を修復することは、典型的に、2つの段階にて行われる。第一の段階において、その下方の骨を露出させるため歯肉を切開する。通常、歯科用インプラントである、人工歯根を同化のため顎骨内に配置する。歯科用インプラントは、全体として、その内部に合わさる構成要素を保持する止めねじを受け入れるねじ付き穴を有している。第一の段階の間、インプラントの上方の歯肉組織を縫合し、骨同化過程が続行するに伴って癒合する。
【0003】
一度び骨同化過程が完了したならば、第二の段階を開始する。この場合、歯科用インプラントの端部を露出させるため歯肉組織を再開放する。歯肉組織がその周りで癒合するのを可能にするように、歯科用インプラントの露出した端部に治療構成要素又は治療アバットメントを固定する。好ましくは、残る開口が全体として、置換する自然の歯の周りに存在する開口の寸法及び輪郭に近似したままであるように、歯肉組織が癒合するようにする。これを実現するためには、歯科用インプラントの露出端部に取り付けられた治療アバットメントは、置換する自然の歯の歯肉部分と全体として同一の輪郭を有するようにする。
【0004】
歯の修復の典型的な第二の段階の間、治療アバットメントを除去し、インプラントの露出した端部に印象コーピングを装着する。このことは、人工歯が正確に製作されるように、患者の口の特定領域の印象を取ることを可能にする。このように、典型的な歯科用インプラントシステムにおいて、治療構成要素及び印象コーピングは、物理的に別個の2つの構成要素である。好ましくは、印象コーピングは、治療構成要素と同一の歯肉寸法を有し、印象コーピングと開口を画成する歯肉組織の壁との間に何ら空隙が存在しないようにする。さもなければ、患者の口の状態の正確でない印象が取られることになる。この印象コーピングは、その双方が当該技術分野で既知の「ピックアップ」型の印象コーピング又は「トランスファ」型の印象コーピングとすることができる。これらの第二の段階の過程の後、歯科試験室は、製作した印象から歯科用インプラントに永久的に固着すべき補綴物を作る。
【0005】
補綴物を作るため印象材料及び金型を使用する方法に加えて、補綴物の製作を支援すべく走査技術を利用するシステムが存在する。走査装置は、少なくとも3つの異なる方法の1つにて使用されている。第一に、走査装置は、印象材料を使用し又は金型を製作することを必要とせずに、補綴物を配置すべき患者の口の領域を走査することができる。第二に、治療アバットメント及びその周囲の領域から除去した印象材料を走査して、永久的な構成要素を製作する。第三に、歯科医は、印象材料及び金型から形成した歯の領域の石模型を走査することができる。
【0006】
レーザ走査法、写真的撮像法、及び機械式走査法という、3つの基本的な走査技術が存在する。補綴物を形成すべく上述した方法の任意のもの(石模型の走査、印象材料の走査、又は印象材料を使用しない口内の走査)に対して走査技術の各々を使用し又は改変する。走査後、試験室は、通常、コンピュータ支援設計(「CAD」)パッケージを使用して、永久的な歯冠又はブリッジを形成し且つ製作することができる。
【0007】
その開示内容を参考として引用し本明細書に含めた、米国特許第5,338,198号(ウー(Wu))に開示されているように、CADプログラムを利用することは、三次元模型を形成するための歯の領域を走査する1つの方法である。好ましくは、患者の口から印象を取った後、X−Y面を画成する支持台の上に印象材料又は石模型を置く。その模型に走査レーザ光探針を向ける。レーザ光探針は、模型により反射されるレーザ光パルスを放出する。検出器が印象に対するビームの衝撃により散乱した光を受け取り、Z軸の測定値を計算する。模型及びビームをX−Y面内で相対的に並進させ、X−Y座標内に既知の点を有する複数の接点を集める。反射光を検出することにより、Z面内の幾つかの接点の位置を決定する。最後に、X−Y座標及びZ方向への接点のデータを相関させると、デジタル像が形成される。一度び1回のパスが完了したならば、模型を傾けて、模型の一側部を反対側に対して、持ち上げて、X−Y面から垂直方向に離れるようにする。模型の2回目の走査後、模型をより正確に読み取り得るように、模型を更に回転させることができる。全ての走査が完了した後、この電子データを既知の手段により操作し得るように、データをCADシステムに送ることができる。
【0008】
また、印象材料、石模型を走査し、又は口内を直接、走査するため写真的撮像法を使用することもできる。例えば、かかるシステムは、1回の露出にて多数の角度で写真を撮り、歯の領域を走査し、模型を形成し且つ補綴物を製作する。その開示内容を参考として引用し本明細書に含めた、米国特許第5,851,115号(カールソン(Carlsson))に開示されたように、この方法は、一般に、患者の口から約50乃至150mm離れた位置からカメラで立体写真を撮る過程にて開始する。この立体写真は、埋込み装置にて既に準備した患者の口の写真を含むことができる。インプラントを幾つかの箇所で標識することにより歯科用インプラントを正確に空間的に位置決めすることができる。形成される写真は同一の対物の多数の像を表わす。写真をデジタル化する読取り装置を使用して写真の像を走査し、歯の領域のデジタル像を形成する。スキャナからのデータを図形画像プログラムに電子的に伝送し、このプログラムがユーザに表示される模型を形成する。模型の形状、位置及びその他の詳細を識別した後、最後のステップは、製作のため、データをコンピュータに伝送することである。
【0009】
第三の走査測定法は、機械式検出法を使用する。その開示内容を参考として引用し本明細書に含めた米国特許第5,652,709号(アンダーソン(Andersson))に開示されているように、機械式の輪郭検出装置は、歯の模型を読取り且つ補綴歯を製作するために使用される別の方法である。その長手方向軸線の周りを回転し且つ同一の軸線に沿って可変速度にて並進する台に印象の模型が固着される。機械式の検出装置を既知の角度にて模型と接触するように配置し、検出装置は、ばねにより模型の表面に対ししっかりと保持する。模型を回転させ且つ並進させるとき、検出装置は、輪郭の変化を測定し且つデータの電子的表現物を形成する。次に、コンピュータが走査装置からの電子的表現物及びデータを処理し、データアレイを形成する。次に、コンピュータは、データを圧縮して保存し且つ(又は)フライス削り盤に伝送する。
【0010】
本発明は、情報マーカを備える治療アバットメント及びその製作方法を提供するものである。歯の修復の第二の段階中、治療アバットメントをアバットメント取り付けボルトによりインプラントに回転不能に固定する。本発明によれば、情報マーカは、インプラントシステム内にて印象コーピングを不要にする。更に、かかるシステムは、永久的な構成要素が患者の口内に取り付ける用意ができる迄、治療アバットメントを除去することを不要にする。
【0011】
本発明の治療アバットメントの少なくとも1つの面上に配置された情報マーカは、歯科医が治療アバットメントの寸法及び該治療アバットメントの下方に配置されたインプラントの寸法及び方向を決定することを可能にする。具体的には、情報マーカは、組み合わせて使用したとき、治療アバットメントの高さ、治療アバットメントの直径、取り付けたインプラントの着座面の寸法、及びインプラントの六面体の方向を識別することを可能にする。一般的な型式の歯科用インプラントは、その歯肉端に、修復構成要素上の協働するソケットと合わさり得るようにされた六角形のポスト又はボス(一般に「六面体」と称される)を有している。
【0012】
本発明の1つの実施の形態によれば、これらの情報マーカは、治療アバットメントの頂部及び(又は)側部に配置することができると考えられる。また、本発明の1つの実施の形態によれば、情報マーカは、治療アバットメントから外方(陽)に又は内方(陰)に伸長することができると考えられる。また、本発明の1つの実施の形態の治療アバットメントは陽及び陰の情報マーカの組み合わせを備えることができるとも考えられる。治療アバットメントの上面又は側面は、その下方の六面体、アバットメント及び(又は)インプラントの高さ、位置及び方向を表示するため多面体、数値又は線標識にてエッチングし又は画成することができる。
【0013】
本発明の1つの実施の形態において、陽又は陰の情報マーカは、印象又はその後の走査にて捕捉すべきアバットメントの高さに相応する。例えば、高さ6mmの治療アバットメントは、治療アバットメントの上面又は側面に6つの情報マーカを保持することができる。高さ4mmの治療アバットメントは、4つの情報マーカを有し、高さ2mmの治療アバットメントは、2つの情報マーカを有することができる。この標識システムは、治療アバットメントの上面又は側面にて必要とされる情報マーカの量を少なくするように変更することができる。例えば、本発明によれば、上面又は側面に3つの情報マーカを使用することは、高さ6mmの治療アバットメントを表わし、2つの情報マーカは高さ4mmのアバットメントを表わし、及び1つのマーカは、高さ2mmのアバットメントを表わすことが考えられる。
【0014】
また、本発明の治療アバットメントは、各セットが直径が等しく且つ治療アバットメントの高さが異なる治療アバットメントを有する、治療アバットメントのセットにて製作することができると考えられる。異なるセットの治療アバットメントは、直径が相違する治療アバットメントを有することになる。例えば、第一のセットの治療アバットメントは、高さがそれぞれ2mm、4mm、6mmであり、各々の直径が4mmである、3つの治療アバットメントを含むことができる。また、第二のセットの治療アバットメントは、高さが2mm、4mm、6mmのアバットメントを有するが、これらのアバットメントは、5mmの直径を有するものとする。情報マーカは、第一及び第二のセットの治療アバットメントのみならず、各セット中の3つの治療アバットメントを識別することもできる。
【0015】
インプラント及び(又は)治療アバットメントの色々な特徴を示し且つこれらに相応するように、幾つかの異なる型式の情報マーカが本発明の治療アバットメントにて使用される。治療アバットメントの直径、インプラントの着座面の直径(従って、六面体の寸法)、治療アバットメントの高さ、及び六面体の方向(従って、その下方のインプラントの角度)のような、特徴を識別するため、情報マーカが治療アバットメント上に配置される。
【0016】
機械加工による切欠きが情報マーカの一例である。治療インプラントの上面及び(又は)側面における切欠きの数及び位置は、例えば、治療アバットメントの高さ及び直径を識別することができる。また、1つの情報マーカとして、治療インプラントの上面又は側面に1つの数値が現われるようにすることができる。例えば、「4」は、高さ4mmの治療アバットメント、又は直径4mmの治療アバットメントを示すことになろう。また、本発明の治療アバットメントの上面又は側面にバーコードを配置してもよい。このバーコードは、特定の治療アバットメントの可変寸法値の殆どにて予めコード化されている。この場合、試験室又は歯科医は、治療アバットメントに関する必要な情報の全てを得るためバーコード読取り装置及びディスプレイのみを使用すればよい。この情報を得るため歯科医がバーコード読取り装置を利用するならば、治療アバットメントの上面又は側面の情報マーカによりインプラント六面体の角度方向を識別すればよい。
【0017】
治療アバットメントの上面及び(又は)側面は、また、小凹部又は盛上がった小凸部を含むこともできる。こうした型式の情報マーカは、例えば、治療アバットメントの高さ及び(又は)六面体の方向を識別するために使用される。治療アバットメント及び(又は)インプラントの幾つかの可変値の位置又はその存在を表わすためエッチング又は機械加工した多面体(例えば、三角形、五角形、四辺形等)が使用される。例えば、本発明の治療アバットメントの表面におけるエッチング処理した六面体の位置は、例えば、その下方の六面体の正確な方向を表示することができる。治療アバットメント又はインプラントの可変値を示すことを可能にする別の型式の情報マーカは、治療インプラントの上面及び(又は)側面におけるエッチングし又は盛上がった線である。これら線の数及び位置は、例えば、治療インプラントの高さ、又はインプラント又は治療アバットメントの直径を示すことができる。本発明によれば、歯科医及び試験所が治療アバットメント及びインプラントの異なる可変値を決定するのを助け得るように、異なる型式の情報マーカを単独で又は組み合わせて使用することができると考えられる。
【0018】
口の印象は、治療アバットメントをインプラント上に取り付けた状態で取る。印象過程は、上面又は側面の物理的形状を変化させる、情報マーカの「陰」像を印象材料内に形成する。勿論、エッチングしたマーカは、「陰」像を形成しない。印象から相応する金型が形成される。次に、この金型又はこの金型から形成した石模型を走査することができる。コンピュータプログラムは、インプラント及びアバットメントを含む、患者の関連する顎部分の三次元的斜視図を形成することができる。このとき、金型内に存在する治療アバットメントの表面の情報マーカのため、コンピュータプログラムは、歯肉の開口の適正な寸法及びインプラントの下方の六角形ボスの方向を正確に分析し且つ形成し、臨床医が永久的な構成要素を製作すべくフライス削り盤に指令することができる。
【0019】
1つの代替的な実施の形態において、スキャナは、単に、何らかの印象材料を必要とせずに、必要な情報を患者の口から直接、取るだけである。治療アバットメントの情報マーカは、歯肉開口の必要な情報及びインプラントにおけるその下方の六角形ボスの方向を提供する。レーザ又は写真撮影走査システムが使用されるならば、治療アバットメントの物理的形状を変化させるマーカと同程度に容易に、エッチングしたマーカが識別される。
【0020】
永久的な歯の構成要素を製作するために治療アバットメントを除去する必要がないため、このシステムは、歯科医が永久的な構成要素をより迅速に製作することを可能にする。換言すれば、印象コーピングにより印象を取る第二の段階は不要となる。また、歯科医は、治療アバットメントを除去したときに現われる、歯肉を塞ぐことの困難さに立向かう必要がない。最後に、患者は、治療アバットメントを除去するという多少痛みを伴う処置に耐えることを強いられることがない。本発明の方法によれば、永久的な構成要素を取り付けるときと同一の外科的処置の間、治療アバットメントを除去することができる。
【0021】
更なる1つの代替的な実施の形態において、本発明によれば、印象コーピングは、上述したような情報マーカを保持し且つ歯の修復過程における第二の段階中、標準型の治療アバットメントを置換することができると考えられる。印象コーピング及びその周囲環境は、口内で直接、走査する。また、1つの印象を形成し、その印象から石模型を製作することもできる。この石模型は、上述した走査技術の1つを使用して走査し、永久的な補綴物を形成する。
【0022】
本発明のその他の目的及び有利な点は、一例としての実施の形態の以下の説明を読み且つ図面を参照することにより明らかになるであろう。
本発明は色々な実施の形態及び代替的な形態に変更可能であるが、その特定の実施の形態を一例として図面に図示し、これらについて詳細に説明する。しかし、これは本発明を開示した特定の形態に限定することを意図するものではなく、これと反対に、本発明は、特許請求の範囲により規定された本発明の精神及び範囲に属する全ての改変例、等価物、及び代替例を包含するものであることを理解すべきである。
【0023】
図1a及び図1bに図示するように、本発明の1つの実施の形態の治療アバットメント10は、全体として円形の断面形状の主要本体15と、第一のテーパー付き部分17と、境界19と、第二のテーパー付き部分21と、端面23と、六角形ソケット25とを有し、また、自然の歯の出現プロフィールを複製するのに全体として適した寸法である。第一のテーパー付き部分17は、境界19にて、全体としてインプラント(図示せず)よりも大きい直径を有するアバットメント10の主要本体15から下方に伸びている。境界19は、端面23にて終わる第二のテーパー付き部分21から第一のテーパー付き部分17を分離させる。この第二のテーパー付き部分21は、インプラントの中心軸に対してある角度にあり、この角度は、全体として約5°乃至約15°の範囲にあり、10°であることが好ましい。これと代替的に、第一のテーパー付き部分17がインプラントの端面23の直径まで直接テーパーが付くように第二のテーパー付き部分21を省略してもよい。更なる実施の形態において、第一のテーパー付き部分17は、明確な境界19で2つのテーパー付き部分17、21に分離せずに、第二のテーパー付き部分21に平滑に混合することができる。六角形の方向決めソケット又は六面体25はインプラントの六角形ボスと合わさる。端面23は、インプラントの着座面と全体として同一の直径を有する。
【0024】
図1bには図1aに図示したのと同一の治療アバットメント10の平面図が開示されている。図1a及び図1bに図示するように、治療アバットメント10は、治療アバットメント10の上面29から突き出す陽情報マーカ20を有している。6つの陽情報マーカ20の各々は、その下方の六面体25の6つの隅部と整合するように配置されている。本発明によれば、6つの情報マーカ20はまた、治療アバットメントの高さに相応するようにすることが考えられる。例えば、2つの情報マーカは高さ2mmの治療アバットメントに相応し、4つの情報マーカが高さ4mmの治療アバットメントに相応するようにする。これらの実施の形態において、2つ又は4つの情報マーカは依然としてその下方の六面体25の隅部にあり、六面体の相対的な位置が把握される。
【0025】
取り付けボルト50の頭部分40の露出面におけるソケット30は、図1cに図示するように、取り付けボルト50をインプラント70のねじ穴内に回して入れるレンチ(図示せず)を受け入れ得る形状とされている。本発明によれば、本明細書に記載し且つ図面に図示した治療アバットメントの各々は当該技術分野にて既知であるように、取り付けボルトによりインプラントに固着することができるようにすることが考えられる。取り付けボルト50の頭部分40に保持されたOリング60は、頭部と、入口セクションにおける最外側(最幅広)開口部付近の入口セクションとの間に残る環状空隙を充填する。
【0026】
図2aの治療アバットメント100は、図1aに図示した治療アバットメント10と同一の多数の機能部分を備えている。図2bの破線125は図2aの治療アバットメント100の下方の六面体125に相応する。上面129は、治療アバットメント100の上面129の下方に伸びる小凹部として図2aに図示した陰情報マーカ(リセス)120を有している。治療アバットメント100の上面129はまた、隅部に機械加工による6つの切欠き130も有している。上面129は、全体として平坦であり、治療アバットメント100の周縁にて円形の形状に混合する。
【0027】
例えば、下方のインプラント六面体の位置125又は治療アバットメントの高さ或いは治療アバットメントの直径を識別するため切欠き130が使用される。この実施の形態は、治療アバットメント100の上面129に6つの切欠きを備えることにのみ限定されるものではない。本発明の1つの実施の形態は、表示する目的のため、4つの切欠き又は2つの切欠きさえも有することも考えられる。更に、情報マーカ及び切欠きの方法は、その下方のインプラントの着座面の直径及びインプラント六面体の角度に関する情報を提供し得るように組み合わせ又は改変することも可能であると考えられる。
【0028】
本発明の別の実施の形態において、図3a及び図3bに図示した治療アバットメント200は、例えば、高さ4mmの治療アバットメント200を示すために図示した4つの陽情報マーカ220を表示する。治療アバットメント200の高さに又は情報マーカが相応するように指定された別の可変値に依存して情報マーカ220の数を増減することも可能であると考えられる。陽情報マーカ220はまた、その下方の六面体225の6つの平坦面に相応する1つの面を画成する。更に、図3bの破線225は、その下方の六面体225に直接相応する。
【0029】
また、図3bの治療アバットメントの上面229に2つの切欠き230がエッチング又は機械加工により形成されている。これらの切欠きは、インプラントの着座面の直径を表示することができる。治療アバットメント200の上面229に線240が刻まれている。線240は、歯科医又は試験室に対し位置決め情報又はその他の情報を提供するために使用される。この場合、線240は治療アバットメントの直径(例えば、4mm)を表示する。要するに、陽情報マーカ220の数は治療アバットメント200の高さを表示する。陽情報マーカ220の位置は、インプラントにおける六角形ボスの方向である六面体225の方向を表示する。切欠き230はインプラントの着座面の直径を表示する。線240は治療アバットメント200の直径を表示する。
【0030】
本発明の更に別の実施の形態において、図4a、図4bの治療アバットメント300の上面329は、エッチング又は機械加工により形成した六面体335を備えている。エッチングにより形成した六面体335の隅部322は図4aに図示した下方の六面体325の隅部の位置に直接相応する。本発明の1つの実施の形態に従い、歯科医又は試験室が異なる高さ又は直径を確認し得るように治療アバットメントに更なる情報マーカを追加することが可能であると考えられる。
【0031】
図5a、図5bに図示した治療アバットメント400の上面429はエッチング又は機械加工により形成した三角形部分435を保持している。図5bの破線425はその下方の六面体425の位置を表示する。エッチングにより形成した三角形部分435の隅部422は下方の六面体425の6つの隅部の3つに相応する。更に、2つの陰情報マーカ420が図5bに図示されている。上述したように、本発明によれば、治療アバットメントの異なる高さ又は直径を考慮し得るよう6つより少ない情報マーカが存在するようにすることが可能であると考えられる。
【0032】
本発明の別の実施の形態が図6a及び図6bに図示されている。図6a、図6bに図示した治療アバットメント500は、図1a、図1bに図示した治療アバットメント10の短い型式のものである。治療アバットメント500の高さを識別するため、2つの陽情報マーカ520が図6bに図示されている。治療アバットメント500の破線525はその下方の六面体525の位置及び方向に相応する。また、下方の六面体525の下方の平坦面の2つの方向を示すため本発明のこの実施の形態の上面529における2つの切欠き530も図示されている。例えば、治療アバットメント500の直径を示すため、治療アバットメント500の上面529に参照番号537で数値「4」が表示されている。図示するように、参照番号537の数値「4」は直径4mmの治療アバットメント500に相応する。本発明によれば、治療アバットメントのその他の直径を表示するため治療アバットメント500の上面529にその他の数値を表わすことが可能であると考えられる。更に、数値は治療アバットメントの高さ又はその下方のインプラントの直径を表わすようにすることも考えられる。
【0033】
補綴物の埋込み過程の第二の段階の間及び情報マーカを有する治療アバットメントを配置した後、本明細書に記載した治療アバットメントのみにより、また、印象コーピン具を使用せずに、口の印象を作成する。印象の模型は、例えば、ダイの石にて注型する。情報マーカは治療アバットメントの上面及び(又は)側部に配置されるため、試験所は、歯肉の開口、インプラントの寸法及び下方の六面体の方向を画成するのに必要な全ての情報を有する。このことは試験所が永久的な構成要素を迅速に作成することを可能にする。本発明のシステムはまた、治療アバットメントを取り巻く状態に柔軟な組織を保つことを可能にする一方、従来のシステムでは、一度び治療アバットメントが除去されたならば、柔軟な組織は閉じる。このシステムは、治療アバットメントを除去するときの痛みから患者を解放する。
【0034】
永久的な補綴物を形成するため、上述したように、石模型、印象材料又は口内にて直接、レーザ走査技術、写真撮影走査技術又は機械式検出技術によって歯の領域を走査する。図8には、走査のために使用される1つの方法である、立体写真的撮像法が示されている。カメラ703による立体写真撮影法は、患者707の口腔705上で直接、行われる。臨床医は、患者の顎骨709内に又は顎骨709に隣接して配置されたインプラント及びその他の構成要素を写真撮影することができる。
【0035】
走査した情報は、次に、分析のため図形画像プログラム内に伝送する。図形画像ソフトウェアプログラムは、治療アバットメントの表面における情報マーカのため、多岐に亙る機能を果たすことができる。図形画像プログラムは、対向する咬合方法を形成し且つこの情報を一次模型に相関させるべく対向する鋳型像を走査することができる。多くの臨床患者は、上顎及び下顎位置の双方にインプラントを有するから、この特徴は極めて重要である。
【0036】
図形画像ソフトウェアプログラムは、治療アバットメント上にて使用される出現プロフィール輪郭の三次元像を形成することができる。インプラントが所望の審美的位置に配置されないならば、ソフトウェアプログラムは、柔軟な組織を通る修復出現の位置を再位置決めする。図形画像ソフトウェアプログラムは、全ての金型、模型、インプラント及びアバットメントの寸法に対し歯肉の縁部を正確に相関させることもできる。ソフトウェアは、無歯箇所内にて重ね合わせるため透明な歯の外形を形成する。「残影」歯の咬合外形は、可能であれば、正確であり且つ走査した対向する咬合寸法に基づくものでなければならない。本発明によれば、咬合及び治療アバットメントの高さの適正な面を保ち得るように、ロウ部分を走査することにより咬合外形が形成されると考えられる。
【0037】
ソフトウェアプログラムは、重ね合わせた歯の寸法の中間、末端、頬側、歯肉側及び咬合領域から所定の寸法を差引く。このことは、製作中、その上方の材料(例えば、金、陶材、タージス(targis)等)の適正な厚さを許容し得るように治療アバットメントを均一に縮小させることを可能にする。また、図形画像ソフトウェアプログラムは、角度の測定値をあつらえ品アバットメント内に組み込み、その後、補綴物の寸法を計算し、その寸法は、試験所の技師が検査し、必要ならば修正する。これら特徴の各々は、本発明の治療アバットメント上に存在する異なる情報マーカから分析し且つ決定する。
【0038】
図形画像コンピュータプログラムにより決定された最後の寸法情報は、コンピュータからフライス削り盤(例えば、5軸フライス削り盤)に伝送されて、あつらえ品アバットメントを製作する。本発明によれば、あつらえ品アバットメントを金又はチタン又はその他の同様の金属或いは複合材から製作することができると考えられる。次に、フライス削り加工したあつらえ品コーピングを製作することができる。本発明によれば、チタン、プラスチック、金、セラミック又は同様の金属及び複合材にてフライス削り加工したあつらえ品コーピングを形成することができると考えられる。
【0039】
図7には、本発明の別の実施の形態の分解図が図示されている。キャップ602が治療アバットメント600上に配置され、その後、治療インプラント及び患者の口の周囲の特徴の印象を取る過程中、除去する。本発明によれば、キャップ602はプラスチック又は金属或いは複合材料にて形成することができると考えられる。図7に図示するように、治療アバットメント600の側部に切欠き604が形成される。これらの切欠きは、キャップ602に予め形成された切欠き606に相応する。キャップ602が治療アバットメント600上に配置されたとき、キャップ602の切欠き606の数が治療アバットメントの側部の切欠き604の数に正確に相応するときにのみ、キャップはきちっと且つ適正に嵌まる。本発明によれば、図7に図示したものよりも多く又は少ない切欠きが存在するようにすることが考えられる。これらの切欠きは、治療アバットメントの高さ、治療アバットメント及び(又は)インプラントの直径及び上記のその他のパラメータのような情報パラメータに相応する。
【0040】
具体的には、治療インプラントをインプラントに固着した後、キャップ602を治療アバットメント600の頂部上にしっかりと配置する。次に、キャップ602の頂部上に印象材料を配置する。次に、印象を患者の口内で走査するか、又は印象材料を(キャップ602と共に)走査し、上述したように、過程が続行される。
【0041】
1つ又は1つ以上の特定の実施の形態に関して本発明を説明したが、当該技術分野の当業者は、本発明の精神及び範囲から逸脱せずに、多くの変形を為し得ることが理解されよう。これらの実施の形態の各々及びその明らかな変形例は、特許請求の範囲に記載した、本発明の精神及び範囲に属するものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1a】治療アバットメントの平面図である。
【図1b】図1aに図示した治療アバットメントの長手方向断面図である。
【図1c】インプラントに取り付けられた図1bに図示した治療アバットメントの図である。
【図2a】治療アバットメントの別の実施の形態の平面図である。
【図2b】図2aに図示した治療アバットメントの長手方向断面図である。
【図3a】治療アバットメントの更に別の実施の形態の平面図である。
【図3b】図3aに図示した治療アバットメントの長手方向断面図である。
【図4a】治療アバットメントの更なる実施の形態の平面図である。
【図4b】図4aに図示した治療アバットメントの長手方向断面図である。
【図5a】治療アバットメントの別の実施の形態の平面図である。
【図5b】図5aに図示した治療アバットメントの長手方向断面図である。
【図6a】治療アバットメントの別の実施の形態の平面図である。
【図6b】図6aに図示した治療アバットメントの長手方向断面図である。
【図7】本出願の別の実施の形態の分解図である。
【図8】立体写真画像法の側面図である。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、全体として、歯科用インプラントシステムにおける治療構成要素及び該構成要素を製作する方法に関する。より具体的には、本発明は、歯科用インプラントシステムにおける印象コーピングを不要にし且つ永久的な歯科用構成要素を製作するのに必要な時間を短縮するため治療アバットメントの外側に情報マーカを使用することに関する。
【発明の背景】
【0002】
部分的に又は完全に無歯の患者を補綴物にて歯を修復することは、典型的に、2つの段階にて行われる。第一の段階において、その下方の骨を露出させるため歯肉を切開する。通常、歯科用インプラントである、人工歯根を同化のため顎骨内に配置する。歯科用インプラントは、全体として、その内部に合わさる構成要素を保持する止めねじを受け入れるねじ付き穴を有している。第一の段階の間、インプラントの上方の歯肉組織を縫合し、骨同化過程が続行するに伴って癒合する。
【0003】
一度び骨同化過程が完了したならば、第二の段階を開始する。この場合、歯科用インプラントの端部を露出させるため歯肉組織を再開放する。歯肉組織がその周りで癒合するのを可能にするように、歯科用インプラントの露出した端部に治療構成要素又は治療アバットメントを固定する。好ましくは、残る開口が全体として、置換する自然の歯の周りに存在する開口の寸法及び輪郭に近似したままであるように、歯肉組織が癒合するようにする。これを実現するためには、歯科用インプラントの露出端部に取り付けられた治療アバットメントは、置換する自然の歯の歯肉部分と全体として同一の輪郭を有するようにする。
【0004】
歯の修復の典型的な第二の段階の間、治療アバットメントを除去し、インプラントの露出した端部に印象コーピングを装着する。このことは、人工歯が正確に製作されるように、患者の口の特定領域の印象を取ることを可能にする。このように、典型的な歯科用インプラントシステムにおいて、治療構成要素及び印象コーピングは、物理的に別個の2つの構成要素である。好ましくは、印象コーピングは、治療構成要素と同一の歯肉寸法を有し、印象コーピングと開口を画成する歯肉組織の壁との間に何ら空隙が存在しないようにする。さもなければ、患者の口の状態の正確でない印象が取られることになる。この印象コーピングは、その双方が当該技術分野で既知の「ピックアップ」型の印象コーピング又は「トランスファ」型の印象コーピングとすることができる。これらの第二の段階の過程の後、歯科試験室は、製作した印象から歯科用インプラントに永久的に固着すべき補綴物を作る。
【0005】
補綴物を作るため印象材料及び金型を使用する方法に加えて、補綴物の製作を支援すべく走査技術を利用するシステムが存在する。走査装置は、少なくとも3つの異なる方法の1つにて使用されている。第一に、走査装置は、印象材料を使用し又は金型を製作することを必要とせずに、補綴物を配置すべき患者の口の領域を走査することができる。第二に、治療アバットメント及びその周囲の領域から除去した印象材料を走査して、永久的な構成要素を製作する。第三に、歯科医は、印象材料及び金型から形成した歯の領域の石模型を走査することができる。
【0006】
レーザ走査法、写真的撮像法、及び機械式走査法という、3つの基本的な走査技術が存在する。補綴物を形成すべく上述した方法の任意のもの(石模型の走査、印象材料の走査、又は印象材料を使用しない口内の走査)に対して走査技術の各々を使用し又は改変する。走査後、試験室は、通常、コンピュータ支援設計(「CAD」)パッケージを使用して、永久的な歯冠又はブリッジを形成し且つ製作することができる。
【0007】
その開示内容を参考として引用し本明細書に含めた、米国特許第5,338,198号(ウー(Wu))に開示されているように、CADプログラムを利用することは、三次元模型を形成するための歯の領域を走査する1つの方法である。好ましくは、患者の口から印象を取った後、X−Y面を画成する支持台の上に印象材料又は石模型を置く。その模型に走査レーザ光探針を向ける。レーザ光探針は、模型により反射されるレーザ光パルスを放出する。検出器が印象に対するビームの衝撃により散乱した光を受け取り、Z軸の測定値を計算する。模型及びビームをX−Y面内で相対的に並進させ、X−Y座標内に既知の点を有する複数の接点を集める。反射光を検出することにより、Z面内の幾つかの接点の位置を決定する。最後に、X−Y座標及びZ方向への接点のデータを相関させると、デジタル像が形成される。一度び1回のパスが完了したならば、模型を傾けて、模型の一側部を反対側に対して、持ち上げて、X−Y面から垂直方向に離れるようにする。模型の2回目の走査後、模型をより正確に読み取り得るように、模型を更に回転させることができる。全ての走査が完了した後、この電子データを既知の手段により操作し得るように、データをCADシステムに送ることができる。
【0008】
また、印象材料、石模型を走査し、又は口内を直接、走査するため写真的撮像法を使用することもできる。例えば、かかるシステムは、1回の露出にて多数の角度で写真を撮り、歯の領域を走査し、模型を形成し且つ補綴物を製作する。その開示内容を参考として引用し本明細書に含めた、米国特許第5,851,115号(カールソン(Carlsson))に開示されたように、この方法は、一般に、患者の口から約50乃至150mm離れた位置からカメラで立体写真を撮る過程にて開始する。この立体写真は、埋込み装置にて既に準備した患者の口の写真を含むことができる。インプラントを幾つかの箇所で標識することにより歯科用インプラントを正確に空間的に位置決めすることができる。形成される写真は同一の対物の多数の像を表わす。写真をデジタル化する読取り装置を使用して写真の像を走査し、歯の領域のデジタル像を形成する。スキャナからのデータを図形画像プログラムに電子的に伝送し、このプログラムがユーザに表示される模型を形成する。模型の形状、位置及びその他の詳細を識別した後、最後のステップは、製作のため、データをコンピュータに伝送することである。
【0009】
第三の走査測定法は、機械式検出法を使用する。その開示内容を参考として引用し本明細書に含めた米国特許第5,652,709号(アンダーソン(Andersson))に開示されているように、機械式の輪郭検出装置は、歯の模型を読取り且つ補綴歯を製作するために使用される別の方法である。その長手方向軸線の周りを回転し且つ同一の軸線に沿って可変速度にて並進する台に印象の模型が固着される。機械式の検出装置を既知の角度にて模型と接触するように配置し、検出装置は、ばねにより模型の表面に対ししっかりと保持する。模型を回転させ且つ並進させるとき、検出装置は、輪郭の変化を測定し且つデータの電子的表現物を形成する。次に、コンピュータが走査装置からの電子的表現物及びデータを処理し、データアレイを形成する。次に、コンピュータは、データを圧縮して保存し且つ(又は)フライス削り盤に伝送する。
【0010】
本発明は、情報マーカを備える治療アバットメント及びその製作方法を提供するものである。歯の修復の第二の段階中、治療アバットメントをアバットメント取り付けボルトによりインプラントに回転不能に固定する。本発明によれば、情報マーカは、インプラントシステム内にて印象コーピングを不要にする。更に、かかるシステムは、永久的な構成要素が患者の口内に取り付ける用意ができる迄、治療アバットメントを除去することを不要にする。
【0011】
本発明の治療アバットメントの少なくとも1つの面上に配置された情報マーカは、歯科医が治療アバットメントの寸法及び該治療アバットメントの下方に配置されたインプラントの寸法及び方向を決定することを可能にする。具体的には、情報マーカは、組み合わせて使用したとき、治療アバットメントの高さ、治療アバットメントの直径、取り付けたインプラントの着座面の寸法、及びインプラントの六面体の方向を識別することを可能にする。一般的な型式の歯科用インプラントは、その歯肉端に、修復構成要素上の協働するソケットと合わさり得るようにされた六角形のポスト又はボス(一般に「六面体」と称される)を有している。
【0012】
本発明の1つの実施の形態によれば、これらの情報マーカは、治療アバットメントの頂部及び(又は)側部に配置することができると考えられる。また、本発明の1つの実施の形態によれば、情報マーカは、治療アバットメントから外方(陽)に又は内方(陰)に伸長することができると考えられる。また、本発明の1つの実施の形態の治療アバットメントは陽及び陰の情報マーカの組み合わせを備えることができるとも考えられる。治療アバットメントの上面又は側面は、その下方の六面体、アバットメント及び(又は)インプラントの高さ、位置及び方向を表示するため多面体、数値又は線標識にてエッチングし又は画成することができる。
【0013】
本発明の1つの実施の形態において、陽又は陰の情報マーカは、印象又はその後の走査にて捕捉すべきアバットメントの高さに相応する。例えば、高さ6mmの治療アバットメントは、治療アバットメントの上面又は側面に6つの情報マーカを保持することができる。高さ4mmの治療アバットメントは、4つの情報マーカを有し、高さ2mmの治療アバットメントは、2つの情報マーカを有することができる。この標識システムは、治療アバットメントの上面又は側面にて必要とされる情報マーカの量を少なくするように変更することができる。例えば、本発明によれば、上面又は側面に3つの情報マーカを使用することは、高さ6mmの治療アバットメントを表わし、2つの情報マーカは高さ4mmのアバットメントを表わし、及び1つのマーカは、高さ2mmのアバットメントを表わすことが考えられる。
【0014】
また、本発明の治療アバットメントは、各セットが直径が等しく且つ治療アバットメントの高さが異なる治療アバットメントを有する、治療アバットメントのセットにて製作することができると考えられる。異なるセットの治療アバットメントは、直径が相違する治療アバットメントを有することになる。例えば、第一のセットの治療アバットメントは、高さがそれぞれ2mm、4mm、6mmであり、各々の直径が4mmである、3つの治療アバットメントを含むことができる。また、第二のセットの治療アバットメントは、高さが2mm、4mm、6mmのアバットメントを有するが、これらのアバットメントは、5mmの直径を有するものとする。情報マーカは、第一及び第二のセットの治療アバットメントのみならず、各セット中の3つの治療アバットメントを識別することもできる。
【0015】
インプラント及び(又は)治療アバットメントの色々な特徴を示し且つこれらに相応するように、幾つかの異なる型式の情報マーカが本発明の治療アバットメントにて使用される。治療アバットメントの直径、インプラントの着座面の直径(従って、六面体の寸法)、治療アバットメントの高さ、及び六面体の方向(従って、その下方のインプラントの角度)のような、特徴を識別するため、情報マーカが治療アバットメント上に配置される。
【0016】
機械加工による切欠きが情報マーカの一例である。治療インプラントの上面及び(又は)側面における切欠きの数及び位置は、例えば、治療アバットメントの高さ及び直径を識別することができる。また、1つの情報マーカとして、治療インプラントの上面又は側面に1つの数値が現われるようにすることができる。例えば、「4」は、高さ4mmの治療アバットメント、又は直径4mmの治療アバットメントを示すことになろう。また、本発明の治療アバットメントの上面又は側面にバーコードを配置してもよい。このバーコードは、特定の治療アバットメントの可変寸法値の殆どにて予めコード化されている。この場合、試験室又は歯科医は、治療アバットメントに関する必要な情報の全てを得るためバーコード読取り装置及びディスプレイのみを使用すればよい。この情報を得るため歯科医がバーコード読取り装置を利用するならば、治療アバットメントの上面又は側面の情報マーカによりインプラント六面体の角度方向を識別すればよい。
【0017】
治療アバットメントの上面及び(又は)側面は、また、小凹部又は盛上がった小凸部を含むこともできる。こうした型式の情報マーカは、例えば、治療アバットメントの高さ及び(又は)六面体の方向を識別するために使用される。治療アバットメント及び(又は)インプラントの幾つかの可変値の位置又はその存在を表わすためエッチング又は機械加工した多面体(例えば、三角形、五角形、四辺形等)が使用される。例えば、本発明の治療アバットメントの表面におけるエッチング処理した六面体の位置は、例えば、その下方の六面体の正確な方向を表示することができる。治療アバットメント又はインプラントの可変値を示すことを可能にする別の型式の情報マーカは、治療インプラントの上面及び(又は)側面におけるエッチングし又は盛上がった線である。これら線の数及び位置は、例えば、治療インプラントの高さ、又はインプラント又は治療アバットメントの直径を示すことができる。本発明によれば、歯科医及び試験所が治療アバットメント及びインプラントの異なる可変値を決定するのを助け得るように、異なる型式の情報マーカを単独で又は組み合わせて使用することができると考えられる。
【0018】
口の印象は、治療アバットメントをインプラント上に取り付けた状態で取る。印象過程は、上面又は側面の物理的形状を変化させる、情報マーカの「陰」像を印象材料内に形成する。勿論、エッチングしたマーカは、「陰」像を形成しない。印象から相応する金型が形成される。次に、この金型又はこの金型から形成した石模型を走査することができる。コンピュータプログラムは、インプラント及びアバットメントを含む、患者の関連する顎部分の三次元的斜視図を形成することができる。このとき、金型内に存在する治療アバットメントの表面の情報マーカのため、コンピュータプログラムは、歯肉の開口の適正な寸法及びインプラントの下方の六角形ボスの方向を正確に分析し且つ形成し、臨床医が永久的な構成要素を製作すべくフライス削り盤に指令することができる。
【0019】
1つの代替的な実施の形態において、スキャナは、単に、何らかの印象材料を必要とせずに、必要な情報を患者の口から直接、取るだけである。治療アバットメントの情報マーカは、歯肉開口の必要な情報及びインプラントにおけるその下方の六角形ボスの方向を提供する。レーザ又は写真撮影走査システムが使用されるならば、治療アバットメントの物理的形状を変化させるマーカと同程度に容易に、エッチングしたマーカが識別される。
【0020】
永久的な歯の構成要素を製作するために治療アバットメントを除去する必要がないため、このシステムは、歯科医が永久的な構成要素をより迅速に製作することを可能にする。換言すれば、印象コーピングにより印象を取る第二の段階は不要となる。また、歯科医は、治療アバットメントを除去したときに現われる、歯肉を塞ぐことの困難さに立向かう必要がない。最後に、患者は、治療アバットメントを除去するという多少痛みを伴う処置に耐えることを強いられることがない。本発明の方法によれば、永久的な構成要素を取り付けるときと同一の外科的処置の間、治療アバットメントを除去することができる。
【0021】
更なる1つの代替的な実施の形態において、本発明によれば、印象コーピングは、上述したような情報マーカを保持し且つ歯の修復過程における第二の段階中、標準型の治療アバットメントを置換することができると考えられる。印象コーピング及びその周囲環境は、口内で直接、走査する。また、1つの印象を形成し、その印象から石模型を製作することもできる。この石模型は、上述した走査技術の1つを使用して走査し、永久的な補綴物を形成する。
【0022】
本発明のその他の目的及び有利な点は、一例としての実施の形態の以下の説明を読み且つ図面を参照することにより明らかになるであろう。
本発明は色々な実施の形態及び代替的な形態に変更可能であるが、その特定の実施の形態を一例として図面に図示し、これらについて詳細に説明する。しかし、これは本発明を開示した特定の形態に限定することを意図するものではなく、これと反対に、本発明は、特許請求の範囲により規定された本発明の精神及び範囲に属する全ての改変例、等価物、及び代替例を包含するものであることを理解すべきである。
【0023】
図1a及び図1bに図示するように、本発明の1つの実施の形態の治療アバットメント10は、全体として円形の断面形状の主要本体15と、第一のテーパー付き部分17と、境界19と、第二のテーパー付き部分21と、端面23と、六角形ソケット25とを有し、また、自然の歯の出現プロフィールを複製するのに全体として適した寸法である。第一のテーパー付き部分17は、境界19にて、全体としてインプラント(図示せず)よりも大きい直径を有するアバットメント10の主要本体15から下方に伸びている。境界19は、端面23にて終わる第二のテーパー付き部分21から第一のテーパー付き部分17を分離させる。この第二のテーパー付き部分21は、インプラントの中心軸に対してある角度にあり、この角度は、全体として約5°乃至約15°の範囲にあり、10°であることが好ましい。これと代替的に、第一のテーパー付き部分17がインプラントの端面23の直径まで直接テーパーが付くように第二のテーパー付き部分21を省略してもよい。更なる実施の形態において、第一のテーパー付き部分17は、明確な境界19で2つのテーパー付き部分17、21に分離せずに、第二のテーパー付き部分21に平滑に混合することができる。六角形の方向決めソケット又は六面体25はインプラントの六角形ボスと合わさる。端面23は、インプラントの着座面と全体として同一の直径を有する。
【0024】
図1bには図1aに図示したのと同一の治療アバットメント10の平面図が開示されている。図1a及び図1bに図示するように、治療アバットメント10は、治療アバットメント10の上面29から突き出す陽情報マーカ20を有している。6つの陽情報マーカ20の各々は、その下方の六面体25の6つの隅部と整合するように配置されている。本発明によれば、6つの情報マーカ20はまた、治療アバットメントの高さに相応するようにすることが考えられる。例えば、2つの情報マーカは高さ2mmの治療アバットメントに相応し、4つの情報マーカが高さ4mmの治療アバットメントに相応するようにする。これらの実施の形態において、2つ又は4つの情報マーカは依然としてその下方の六面体25の隅部にあり、六面体の相対的な位置が把握される。
【0025】
取り付けボルト50の頭部分40の露出面におけるソケット30は、図1cに図示するように、取り付けボルト50をインプラント70のねじ穴内に回して入れるレンチ(図示せず)を受け入れ得る形状とされている。本発明によれば、本明細書に記載し且つ図面に図示した治療アバットメントの各々は当該技術分野にて既知であるように、取り付けボルトによりインプラントに固着することができるようにすることが考えられる。取り付けボルト50の頭部分40に保持されたOリング60は、頭部と、入口セクションにおける最外側(最幅広)開口部付近の入口セクションとの間に残る環状空隙を充填する。
【0026】
図2aの治療アバットメント100は、図1aに図示した治療アバットメント10と同一の多数の機能部分を備えている。図2bの破線125は図2aの治療アバットメント100の下方の六面体125に相応する。上面129は、治療アバットメント100の上面129の下方に伸びる小凹部として図2aに図示した陰情報マーカ(リセス)120を有している。治療アバットメント100の上面129はまた、隅部に機械加工による6つの切欠き130も有している。上面129は、全体として平坦であり、治療アバットメント100の周縁にて円形の形状に混合する。
【0027】
例えば、下方のインプラント六面体の位置125又は治療アバットメントの高さ或いは治療アバットメントの直径を識別するため切欠き130が使用される。この実施の形態は、治療アバットメント100の上面129に6つの切欠きを備えることにのみ限定されるものではない。本発明の1つの実施の形態は、表示する目的のため、4つの切欠き又は2つの切欠きさえも有することも考えられる。更に、情報マーカ及び切欠きの方法は、その下方のインプラントの着座面の直径及びインプラント六面体の角度に関する情報を提供し得るように組み合わせ又は改変することも可能であると考えられる。
【0028】
本発明の別の実施の形態において、図3a及び図3bに図示した治療アバットメント200は、例えば、高さ4mmの治療アバットメント200を示すために図示した4つの陽情報マーカ220を表示する。治療アバットメント200の高さに又は情報マーカが相応するように指定された別の可変値に依存して情報マーカ220の数を増減することも可能であると考えられる。陽情報マーカ220はまた、その下方の六面体225の6つの平坦面に相応する1つの面を画成する。更に、図3bの破線225は、その下方の六面体225に直接相応する。
【0029】
また、図3bの治療アバットメントの上面229に2つの切欠き230がエッチング又は機械加工により形成されている。これらの切欠きは、インプラントの着座面の直径を表示することができる。治療アバットメント200の上面229に線240が刻まれている。線240は、歯科医又は試験室に対し位置決め情報又はその他の情報を提供するために使用される。この場合、線240は治療アバットメントの直径(例えば、4mm)を表示する。要するに、陽情報マーカ220の数は治療アバットメント200の高さを表示する。陽情報マーカ220の位置は、インプラントにおける六角形ボスの方向である六面体225の方向を表示する。切欠き230はインプラントの着座面の直径を表示する。線240は治療アバットメント200の直径を表示する。
【0030】
本発明の更に別の実施の形態において、図4a、図4bの治療アバットメント300の上面329は、エッチング又は機械加工により形成した六面体335を備えている。エッチングにより形成した六面体335の隅部322は図4aに図示した下方の六面体325の隅部の位置に直接相応する。本発明の1つの実施の形態に従い、歯科医又は試験室が異なる高さ又は直径を確認し得るように治療アバットメントに更なる情報マーカを追加することが可能であると考えられる。
【0031】
図5a、図5bに図示した治療アバットメント400の上面429はエッチング又は機械加工により形成した三角形部分435を保持している。図5bの破線425はその下方の六面体425の位置を表示する。エッチングにより形成した三角形部分435の隅部422は下方の六面体425の6つの隅部の3つに相応する。更に、2つの陰情報マーカ420が図5bに図示されている。上述したように、本発明によれば、治療アバットメントの異なる高さ又は直径を考慮し得るよう6つより少ない情報マーカが存在するようにすることが可能であると考えられる。
【0032】
本発明の別の実施の形態が図6a及び図6bに図示されている。図6a、図6bに図示した治療アバットメント500は、図1a、図1bに図示した治療アバットメント10の短い型式のものである。治療アバットメント500の高さを識別するため、2つの陽情報マーカ520が図6bに図示されている。治療アバットメント500の破線525はその下方の六面体525の位置及び方向に相応する。また、下方の六面体525の下方の平坦面の2つの方向を示すため本発明のこの実施の形態の上面529における2つの切欠き530も図示されている。例えば、治療アバットメント500の直径を示すため、治療アバットメント500の上面529に参照番号537で数値「4」が表示されている。図示するように、参照番号537の数値「4」は直径4mmの治療アバットメント500に相応する。本発明によれば、治療アバットメントのその他の直径を表示するため治療アバットメント500の上面529にその他の数値を表わすことが可能であると考えられる。更に、数値は治療アバットメントの高さ又はその下方のインプラントの直径を表わすようにすることも考えられる。
【0033】
補綴物の埋込み過程の第二の段階の間及び情報マーカを有する治療アバットメントを配置した後、本明細書に記載した治療アバットメントのみにより、また、印象コーピン具を使用せずに、口の印象を作成する。印象の模型は、例えば、ダイの石にて注型する。情報マーカは治療アバットメントの上面及び(又は)側部に配置されるため、試験所は、歯肉の開口、インプラントの寸法及び下方の六面体の方向を画成するのに必要な全ての情報を有する。このことは試験所が永久的な構成要素を迅速に作成することを可能にする。本発明のシステムはまた、治療アバットメントを取り巻く状態に柔軟な組織を保つことを可能にする一方、従来のシステムでは、一度び治療アバットメントが除去されたならば、柔軟な組織は閉じる。このシステムは、治療アバットメントを除去するときの痛みから患者を解放する。
【0034】
永久的な補綴物を形成するため、上述したように、石模型、印象材料又は口内にて直接、レーザ走査技術、写真撮影走査技術又は機械式検出技術によって歯の領域を走査する。図8には、走査のために使用される1つの方法である、立体写真的撮像法が示されている。カメラ703による立体写真撮影法は、患者707の口腔705上で直接、行われる。臨床医は、患者の顎骨709内に又は顎骨709に隣接して配置されたインプラント及びその他の構成要素を写真撮影することができる。
【0035】
走査した情報は、次に、分析のため図形画像プログラム内に伝送する。図形画像ソフトウェアプログラムは、治療アバットメントの表面における情報マーカのため、多岐に亙る機能を果たすことができる。図形画像プログラムは、対向する咬合方法を形成し且つこの情報を一次模型に相関させるべく対向する鋳型像を走査することができる。多くの臨床患者は、上顎及び下顎位置の双方にインプラントを有するから、この特徴は極めて重要である。
【0036】
図形画像ソフトウェアプログラムは、治療アバットメント上にて使用される出現プロフィール輪郭の三次元像を形成することができる。インプラントが所望の審美的位置に配置されないならば、ソフトウェアプログラムは、柔軟な組織を通る修復出現の位置を再位置決めする。図形画像ソフトウェアプログラムは、全ての金型、模型、インプラント及びアバットメントの寸法に対し歯肉の縁部を正確に相関させることもできる。ソフトウェアは、無歯箇所内にて重ね合わせるため透明な歯の外形を形成する。「残影」歯の咬合外形は、可能であれば、正確であり且つ走査した対向する咬合寸法に基づくものでなければならない。本発明によれば、咬合及び治療アバットメントの高さの適正な面を保ち得るように、ロウ部分を走査することにより咬合外形が形成されると考えられる。
【0037】
ソフトウェアプログラムは、重ね合わせた歯の寸法の中間、末端、頬側、歯肉側及び咬合領域から所定の寸法を差引く。このことは、製作中、その上方の材料(例えば、金、陶材、タージス(targis)等)の適正な厚さを許容し得るように治療アバットメントを均一に縮小させることを可能にする。また、図形画像ソフトウェアプログラムは、角度の測定値をあつらえ品アバットメント内に組み込み、その後、補綴物の寸法を計算し、その寸法は、試験所の技師が検査し、必要ならば修正する。これら特徴の各々は、本発明の治療アバットメント上に存在する異なる情報マーカから分析し且つ決定する。
【0038】
図形画像コンピュータプログラムにより決定された最後の寸法情報は、コンピュータからフライス削り盤(例えば、5軸フライス削り盤)に伝送されて、あつらえ品アバットメントを製作する。本発明によれば、あつらえ品アバットメントを金又はチタン又はその他の同様の金属或いは複合材から製作することができると考えられる。次に、フライス削り加工したあつらえ品コーピングを製作することができる。本発明によれば、チタン、プラスチック、金、セラミック又は同様の金属及び複合材にてフライス削り加工したあつらえ品コーピングを形成することができると考えられる。
【0039】
図7には、本発明の別の実施の形態の分解図が図示されている。キャップ602が治療アバットメント600上に配置され、その後、治療インプラント及び患者の口の周囲の特徴の印象を取る過程中、除去する。本発明によれば、キャップ602はプラスチック又は金属或いは複合材料にて形成することができると考えられる。図7に図示するように、治療アバットメント600の側部に切欠き604が形成される。これらの切欠きは、キャップ602に予め形成された切欠き606に相応する。キャップ602が治療アバットメント600上に配置されたとき、キャップ602の切欠き606の数が治療アバットメントの側部の切欠き604の数に正確に相応するときにのみ、キャップはきちっと且つ適正に嵌まる。本発明によれば、図7に図示したものよりも多く又は少ない切欠きが存在するようにすることが考えられる。これらの切欠きは、治療アバットメントの高さ、治療アバットメント及び(又は)インプラントの直径及び上記のその他のパラメータのような情報パラメータに相応する。
【0040】
具体的には、治療インプラントをインプラントに固着した後、キャップ602を治療アバットメント600の頂部上にしっかりと配置する。次に、キャップ602の頂部上に印象材料を配置する。次に、印象を患者の口内で走査するか、又は印象材料を(キャップ602と共に)走査し、上述したように、過程が続行される。
【0041】
1つ又は1つ以上の特定の実施の形態に関して本発明を説明したが、当該技術分野の当業者は、本発明の精神及び範囲から逸脱せずに、多くの変形を為し得ることが理解されよう。これらの実施の形態の各々及びその明らかな変形例は、特許請求の範囲に記載した、本発明の精神及び範囲に属するものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1a】治療アバットメントの平面図である。
【図1b】図1aに図示した治療アバットメントの長手方向断面図である。
【図1c】インプラントに取り付けられた図1bに図示した治療アバットメントの図である。
【図2a】治療アバットメントの別の実施の形態の平面図である。
【図2b】図2aに図示した治療アバットメントの長手方向断面図である。
【図3a】治療アバットメントの更に別の実施の形態の平面図である。
【図3b】図3aに図示した治療アバットメントの長手方向断面図である。
【図4a】治療アバットメントの更なる実施の形態の平面図である。
【図4b】図4aに図示した治療アバットメントの長手方向断面図である。
【図5a】治療アバットメントの別の実施の形態の平面図である。
【図5b】図5aに図示した治療アバットメントの長手方向断面図である。
【図6a】治療アバットメントの別の実施の形態の平面図である。
【図6b】図6aに図示した治療アバットメントの長手方向断面図である。
【図7】本出願の別の実施の形態の分解図である。
【図8】立体写真画像法の側面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方の歯肉(gingiva)を有する顎骨(709)内に取り付けられる頂端部と、前記歯肉及び前記顎骨の境界面付近にある歯肉端部とを有し、該歯肉端部が多角形部を有する歯科用インプラント(70)に取り付けられる治療要素(healingelement)(10、100、200、300、400、500、600)において、
(1)上面(29,129、229、329、429、529)と、
(2)前記歯肉に係合する側面と、
(3)前記治療要素の上面に設けられ、前記治療要素の少なくとも2つの特徴を識別することを可能にする第1の型式の情報マーカ(markers)(20、120、220、240、322、420、520、537)と、
(4)前記治療要素の上面に設けられた第2の型式の情報マーカ(markers)(20、120、220、240、322、420、520、537)と、
を備える、治療要素。
【請求項2】
請求項1の治療要素において、前記第1の型及び第2の型の情報マーカの少なくとも一方が、盛上った小凸部(pimple)(20、220、520)又は小凹部(dimple)(120、420)を含む、治療要素。
【請求項3】
請求項1の治療要素において、前記第1の型及び第2の型の情報マーカの少なくとも一方が、三角形、五角形、六角形又は四辺形の形状等の多角形マーカである、治療要素。
【請求項4】
請求項1の治療要素において、前記治療要素の少なくとも2つの特徴は、更に前記インプラントの多角形部の方向を示す、治療要素。
【請求項5】
請求項1の治療要素において、前記多角形部は六角形部分である、治療要素。
【請求項6】
請求項1の治療要素において、前記情報マーカを最終補綴物の形成のために読み取る走査システムを更に備え、該走査システムが、写真的撮像スキャナ、レーザ撮像スキャナ、及び機械式の検出スキャナの何れかである、治療要素。
【請求項7】
歯科用インプラントに取り付けられる治療要素において、
(1)上面(29,129、229、329、429、529)と、
(2)歯肉に係合する側面と、
(3)前記インプラントの多角形部の方向、及び前記治療要素の少なくとも一つの寸法特徴を決定する情報マーカ(20、120、220、240、322、420、520、537)とを備える、治療要素。
【請求項8】
請求項7の治療要素において、前記情報マーカが、前記上面の盛上った部分(20、220、520)又は前記上面の凹条部分(dimple)(120、420)を含む、治療要素。
【請求項9】
請求項7の治療要素において、前記多角形部はインプラントの上面の外側ボスである、治療要素。
【請求項10】
歯科用インプラントに取り付けられる治療要素において、
(1)上面(29,129、229、329、429、529)と、
(2)歯肉に係合する側面と、
(3)前記インプラントの多角形部の方向、前記治療要素の直径、及び前記治療要素の高さを決定する、前記上面の情報マーカ(20、120、220、240、322、420、520、537)とを備える、治療要素。
【請求項11】
請求項10の治療要素において、前記情報マーカが、盛上った部分(pimple)(20、220、520)又は凹状部分(dimple)(120、420)を含む、治療要素。
【請求項12】
請求項10の治療要素において、前記多角形部はインプラントの上面の外側ボスである、治療要素。
【請求項13】
患者の口の模型から補綴歯による修復を行う方法において、
前記模型は、インプラント上に取付けられる歯肉治療アバットメントに対応する表面を有し、該歯肉治療アバットメントは、前記インプラントの多角形部の方向と、前記治療要素の少なくとも一つの寸法特徴とを示す情報マーカを有する上面を有する前記方法において、
前記模型を走査して、前記模型及び情報マーカからデータを得るステップと、
前記走査した情報からコンピュータに基づく模型を得るステップであって、該コンピュータに基づく模型は、前記インプラントの多角形部の方向及び前記治療要素の少なくとも一つの寸法特徴についての情報を含む前記ステップと、
前記コンピュータに基づく模型から前記補綴歯による修復を行うステップとを備える、方法。
【請求項1】
上方の歯肉(gingiva)を有する顎骨(709)内に取り付けられる頂端部と、前記歯肉及び前記顎骨の境界面付近にある歯肉端部とを有し、該歯肉端部が多角形部を有する歯科用インプラント(70)に取り付けられる治療要素(healingelement)(10、100、200、300、400、500、600)において、
(1)上面(29,129、229、329、429、529)と、
(2)前記歯肉に係合する側面と、
(3)前記治療要素の上面に設けられ、前記治療要素の少なくとも2つの特徴を識別することを可能にする第1の型式の情報マーカ(markers)(20、120、220、240、322、420、520、537)と、
(4)前記治療要素の上面に設けられた第2の型式の情報マーカ(markers)(20、120、220、240、322、420、520、537)と、
を備える、治療要素。
【請求項2】
請求項1の治療要素において、前記第1の型及び第2の型の情報マーカの少なくとも一方が、盛上った小凸部(pimple)(20、220、520)又は小凹部(dimple)(120、420)を含む、治療要素。
【請求項3】
請求項1の治療要素において、前記第1の型及び第2の型の情報マーカの少なくとも一方が、三角形、五角形、六角形又は四辺形の形状等の多角形マーカである、治療要素。
【請求項4】
請求項1の治療要素において、前記治療要素の少なくとも2つの特徴は、更に前記インプラントの多角形部の方向を示す、治療要素。
【請求項5】
請求項1の治療要素において、前記多角形部は六角形部分である、治療要素。
【請求項6】
請求項1の治療要素において、前記情報マーカを最終補綴物の形成のために読み取る走査システムを更に備え、該走査システムが、写真的撮像スキャナ、レーザ撮像スキャナ、及び機械式の検出スキャナの何れかである、治療要素。
【請求項7】
歯科用インプラントに取り付けられる治療要素において、
(1)上面(29,129、229、329、429、529)と、
(2)歯肉に係合する側面と、
(3)前記インプラントの多角形部の方向、及び前記治療要素の少なくとも一つの寸法特徴を決定する情報マーカ(20、120、220、240、322、420、520、537)とを備える、治療要素。
【請求項8】
請求項7の治療要素において、前記情報マーカが、前記上面の盛上った部分(20、220、520)又は前記上面の凹条部分(dimple)(120、420)を含む、治療要素。
【請求項9】
請求項7の治療要素において、前記多角形部はインプラントの上面の外側ボスである、治療要素。
【請求項10】
歯科用インプラントに取り付けられる治療要素において、
(1)上面(29,129、229、329、429、529)と、
(2)歯肉に係合する側面と、
(3)前記インプラントの多角形部の方向、前記治療要素の直径、及び前記治療要素の高さを決定する、前記上面の情報マーカ(20、120、220、240、322、420、520、537)とを備える、治療要素。
【請求項11】
請求項10の治療要素において、前記情報マーカが、盛上った部分(pimple)(20、220、520)又は凹状部分(dimple)(120、420)を含む、治療要素。
【請求項12】
請求項10の治療要素において、前記多角形部はインプラントの上面の外側ボスである、治療要素。
【請求項13】
患者の口の模型から補綴歯による修復を行う方法において、
前記模型は、インプラント上に取付けられる歯肉治療アバットメントに対応する表面を有し、該歯肉治療アバットメントは、前記インプラントの多角形部の方向と、前記治療要素の少なくとも一つの寸法特徴とを示す情報マーカを有する上面を有する前記方法において、
前記模型を走査して、前記模型及び情報マーカからデータを得るステップと、
前記走査した情報からコンピュータに基づく模型を得るステップであって、該コンピュータに基づく模型は、前記インプラントの多角形部の方向及び前記治療要素の少なくとも一つの寸法特徴についての情報を含む前記ステップと、
前記コンピュータに基づく模型から前記補綴歯による修復を行うステップとを備える、方法。
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図2a】
【図2b】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8】
【図1b】
【図1c】
【図2a】
【図2b】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2008−284383(P2008−284383A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−180981(P2008−180981)
【出願日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【分割の表示】特願2001−536067(P2001−536067)の分割
【原出願日】平成12年11月10日(2000.11.10)
【出願人】(598041980)バイオメット・3アイ・エルエルシー (5)
【住所又は居所原語表記】4555 Riverside Drive,Palm Beach Gardens,Florida 33410,United States of America
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【分割の表示】特願2001−536067(P2001−536067)の分割
【原出願日】平成12年11月10日(2000.11.10)
【出願人】(598041980)バイオメット・3アイ・エルエルシー (5)
【住所又は居所原語表記】4555 Riverside Drive,Palm Beach Gardens,Florida 33410,United States of America
【Fターム(参考)】
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