説明

印鑑照合プログラムおよび印鑑照合装置

【課題】比較的印影の形状が簡素な三文判等であっても、精度の高い印鑑照合を行なうことが可能な印鑑照合プログラムおよび印鑑照合装置を提供すること。
【解決手段】印鑑照合装置のコンピュータを、媒体上に押印された印鑑の印影を読取印画像データとして画像読取装置で読み取る印影読取手段、読み取った読取印画像データから円形状検出処理を用いて印鑑枠相当部分を抽出する印鑑枠抽出手段、読み取った読取印画像データを構成する画素のうち、印鑑枠抽出手段によって抽出された印鑑枠相当部分の内周から中心に向かって所定数以上連続している部分を、印鑑枠相当部分と印鑑枠相当部分以外の文字相当部分とが接触している接触部分として検出する連続画素検出手段、検出された接触部分の数及び位置データ並びに各接触部分の幅データを含む接点情報を算出する接点情報算出手段として機能させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバに登録された登録印と帳票等に押印された印影の照合を行う印鑑照合プログラムおよび印鑑照合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、銀行等においては、顧客が書類に押印した印鑑の印影と、予め登録されている登録印の印影を照合するために印鑑照合装置が用いられている。
この印鑑照合装置は、スキャナ等の入力装置から読み込んだ印鑑の照合印影画像と予め登録した登録印影画像とを比較することで、照合印影画像と登録印影画像とが同一の印鑑から得られた印影であるか否かを判別している。
【0003】
具体的には、画素の一致率、ベクトルの一致率、エッジの一致率の特徴3要素による判断が行われていた。例えば、照合印影画像および登録印影画像から濃淡画像をそれぞれ作成し、濃淡画像の濃度値に基づいてベクトル演算を行ない、照合率を算出することで、位置ずれやかすれ等による影響を受け難くした照合を行なっていた(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、画素の固まり方式、および密集方式による局所解析による判断も行われていた。例えば、照合印影画像と登録印影画像との位置ずれなどを防止すべく、それぞれの画像を複数のブロックに分割し、ブロックごとに相関画像を作成した後、その相関画像の極大値を持つ画素と該画素の近傍画素のみに画素値を付与した補間極大値画像を作成し、この補間極大値画像を各ブロックについて加算した累積値画像に基づいて、印鑑の照合をおこなっていた(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−202514号公報
【特許文献2】特開平9−288734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、比較的印影の形状が簡素な所謂三文判等は、比較的印影の形状が複雑な社印等に比べ、非常に似通った形状が多く、判断材料となる画素数が少ないことから、従来から実施している判断では、一致率が高くなってしまい、相違印を同一印と誤判断してしまうことがある、という問題点があった。
【0007】
本発明は、上述のような実状に鑑みたものであり、比較的印影の形状が簡素な三文判等であっても、精度の高い印鑑照合を行なうことが可能な印鑑照合プログラムおよび印鑑照合装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するため、下記のような構成を採用した。
すなわち、本発明の一態様によれば、本発明の印鑑照合プログラムは、印鑑照合装置のコンピュータを、媒体上に押印された印鑑の印影を読取印画像データとして画像読取装置で読み取る印影読取手段、前記印影読取手段によって読み取った読取印画像データから円形状検出処理を用いて印鑑枠相当部分を抽出する印鑑枠抽出手段、前記印影読取手段によって読み取った読取印画像データを構成する画素のうち、前記印鑑枠抽出手段によって抽出された印鑑枠相当部分の内周から中心に向かって所定数以上連続している部分を、前記印鑑枠相当部分と前記印鑑枠相当部分以外の文字相当部分とが接触している接触部分として検出する連続画素検出手段、前記連続画素検出手段によって検出された接触部分の数及び位置データ並びに各接触部分の幅データを含む接点情報を算出する接点情報算出手段として機能させるための印鑑照合プログラムである。
【0009】
また、本発明の印鑑照合プログラムは、前記接点情報算出手段が、前記接触部分において前記内周に沿って連続している画素数を前記幅データとすることが望ましい。
また、本発明の印鑑照合プログラムは、さらに、前記接点情報算出手段によって算出した接点情報を前記読取印画像データと対応付けて登録印データとして記憶装置に格納する登録印データ格納手段として機能させるための印鑑照合プログラムであることが望ましい。
【0010】
また、本発明の印鑑照合プログラムは、さらに、前記接点情報算出手段によって算出された前記読取印画像データの接点情報と前記登録印データ格納手段に格納された登録印データの接点情報とを比較する接点情報比較手段として機能させるための印鑑照合プログラムであることが望ましい。
【0011】
また、本発明の一態様によれば、本発明の印鑑照合装置は、媒体上に押印された印鑑の印影を読取印画像データとして画像読取装置で読み取る印影読取手段と、前記印影読取手段によって読み取った読取印画像データから円形状検出処理を用いて印鑑枠相当部分を抽出する印鑑枠抽出手段と、前記印影読取手段によって読み取った読取印画像データを構成する画素のうち、前記印鑑枠抽出手段によって抽出された印鑑枠相当部分の内周から中心に向かって所定数以上連続している部分を、前記印鑑枠相当部分と前記印鑑枠相当部分以外の文字相当部分とが接触している接触部分として検出する連続画素検出手段と、前記連続画素検出手段によって検出された接触部分の数及び位置データ並びに各接触部分の幅データを含む接点情報を算出する接点情報算出手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の印鑑照合装置は、前記接点情報算出手段が、前記接触部分において前記内周に沿って連続している画素数を前記幅データとすることが望ましい。
また、本発明の印鑑照合装置は、さらに、前記接点情報算出手段によって算出した接点情報を前記読取印画像データと対応付けて登録印データとして記憶装置に格納する登録印データ格納手段を備えることが望ましい。
【0013】
また、本発明の印鑑照合装置は、さらに、前記接点情報算出手段によって算出された前記読取印画像データの接点情報と前記登録印データ格納手段によって格納された登録印データの接点情報とを比較する接点情報比較手段を備えることが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、同一印/相違印の判断条件を追加することで、照合の精度を向上させることができる。特に、従来の判断では誤判断するケースがあった所謂三文判においては、社印と比較すると二値化した印影イメージの黒色画素が少ないことから、判断情報を追加することで、三文判においても同一印/相違印を確実に判別することが可能となる。さらに、三文判における相違印の判断が向上することで、印鑑照合におけるオペレーションの効率化が図れる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明を適用した印鑑照合装置の機能ブロック図である。
【図2】印鑑照合装置1が実行する印鑑照合処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】連続画素検出部12が実行する連続画素検出処理の流れを示すフローチャート(その1)である。
【図4】連続画素検出部12が実行する連続画素検出処理の流れを示すフローチャート(その2)である。
【図5】連続画素検出部12が実行する連続画素検出処理を説明するための図である。
【図6】取得画素workテーブルの例を示す図である。
【図7】接点情報workテーブルの例を示す図である。
【図8】接点情報算出部13が実行する接点情報算出処理の流れを示すフローチャート(その1)である。
【図9】接点情報算出部13が実行する接点情報算出処理の流れを示すフローチャート(その2)である。
【図10】接点情報算出部13が実行する接点情報算出処理を説明するための図である。
【図11】接点情報テーブルの例を示す図である。
【図12】接触部分の位置データを説明するための図である。
【図13】印鑑Aの印影の例を示す図である。
【図14】印鑑Bの印影の例を示す図である。
【図15】接点情報比較部14が実行する接点情報比較処理の流れを示すフローチャート(その1)である。
【図16】接点情報比較部14が実行する接点情報比較処理の流れを示すフローチャート(その2)である。
【図17】比較する登録印と読取印の例を示す図である。
【図18】登録印と読取印の接点情報の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、金融機関等のサーバに登録された登録印のデータ、及び画像読取装置で印影を読み取った読取印のデータそれぞれにおいて、印鑑の枠に相当する部分、より厳密には枠に相当する部分の内周と、その枠の内側の文字部分との接点数、位置および接する幅を抽出し、抽出した接点数、位置および接する幅が、登録印と読取印で一致するか否かを判断する。ただし、印鑑の印影は、一般に滲みや擦れが存在するため、所定の閾値を設け、閾値範囲内での相違であれば一致していると判断する。なお、閾値は、動作環境にて指定可能とする。
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明を適用した印鑑照合装置の機能ブロック図である。
図1において、印鑑照合装置1は、印鑑枠抽出部11、連続画素検出部12、接点情報算出部13及び接点情報比較部14を備え、管理部10を介して制御されている。
【0018】
印鑑枠抽出部11は、読取印画像データとしてスキャナ等の画像読取装置で読み取った、帳票等の媒体に押印された印鑑の印影から、公知の円形状検出処理等の外枠検出処理を用いて印鑑枠相当部分を抽出する。そして、抽出した印鑑枠相当部分の情報を、メモリ上の印鑑枠情報記憶部15に格納する。
【0019】
連続画素検出部12は、読み取った読取印画像データを構成する画素のうち、前記印鑑枠抽出部11によって抽出された印鑑枠相当部分の内周から中心に向かって所定数以上連続している部分を、前記印鑑枠相当部分と前記印鑑枠相当部分以外の文字相当部分とが接触している接触部分(以下、接点ともいう)として検出する。そして、検出した接触部分の情報を、メモリ上の連続画素情報記憶部16に格納する。
【0020】
接点情報算出部13は、前記連続画素検出部12によって検出された接触部分の数及び接触部分の位置データ並びに各接触部分の幅データを含む接点情報を算出する。各接触部分の位置は、接点情報算出部13が備える接点位置情報算出部131によって算出される。そして、算出された各接触部分の位置の情報を、メモリ上の接点位置情報記憶部17に格納する。
また、各接触部分の幅は、接点幅情報算出部132によって、各接触部分において前記印鑑枠抽出部11によって抽出された印鑑枠相当部分の内周に沿って連続している画素数を前記幅データとすることにより算出される。そして、算出された各接触部分の幅データを、メモリ上の接点幅情報記憶部18に格納する。
【0021】
また、前記接点情報算出部13によって算出された接点情報は、前記読取印画像データと対応付けて登録印データとして不図示の登録印データ格納部に格納される。
接点情報比較部14は、前記接点情報算出部13によって算出された前記読取印画像データの接点情報と前記登録印データ格納部に格納された登録印データの接点情報を比較する。より具体的には、接点位置情報比較部141が接触部分の位置データ同士を比較し、接点の幅情報比較部142が各接触部分の幅データ同士を比較する。
【0022】
図2は、印鑑照合装置1が実行する印鑑照合処理の流れを示すフローチャートである。
まず、ステップS21において、印鑑枠抽出部11が、読取印画像データとしてスキャナ等の画像読取装置で読み取った、帳票等の媒体に押印された印鑑の印影から、公知の円形状検出処理等の外枠検出処理を用いて印鑑枠相当部分、特に印鑑枠相当部分の内周を抽出する。
【0023】
次に、ステップS22において、連続画素検出部12が、読取印画像データを構成する画素のうち、ステップS21で抽出された印鑑枠相当部分の内周から中心に向かって所定数以上連続している部分を、前記印鑑枠相当部分と前記印鑑枠相当部分以外の文字相当部分とが接触している接触部分として検出する。より具体的には以下のようにして検出する。
【0024】
図3及び図4は、連続画素検出部12が実行する連続画素検出処理の流れを示すフローチャートであり、図5は、連続画素検出部12が実行する連続画素検出処理を説明するための図であり、図6は、取得画素workテーブルの例を示す図であり、図7は、接点情報workテーブルの例を示す図である。
【0025】
まず、図3のステップS301において、連続画素検出処理の起点および終点の画素を決定する。通常は、印鑑枠相当部分の内周(図5に示した内周51参照)に沿って順に連続画素検出処理を開始していくので、内周51上の任意の画素を起点として決定し、内周51を一周して戻ってきた最後の画素を終点として決定する。
【0026】
そして、ステップS302において、連続画素検出処理を施す対象範囲54を決定する。この範囲は、予め定めておくことが可能であるが、図5に示した例では、印鑑枠相当部分の内周51から中心53に向かって、内周51から中心53までの3分の1の距離52までを対象範囲54として決定する。
【0027】
ステップS303において、接点情報workテーブル70(図7参照)を初期化しておく。
そして、ステップS304乃至S410をステップS301で決定した起点から終点まで繰り返す。すなわち、印鑑枠相当部分の内周51に沿って順に連続画素の検出処理を行う。
【0028】
まず、ステップS304において、取得画素workテーブル60(図6参照)を初期化しておく。
そして、ステップS305乃至S306をステップS302で決定した対象範囲54内で繰り返す。
【0029】
すなわち、内周51上の起点の画素から中心に向かって上記3分の1の距離52まで1画素ずつ、ステップS305において、画素を取得し、ステップS306において、黒色画素であれば「1」を、白色画素であれば「0」を順に取得画素workテーブル60に格納する。ここで、起点の画素は、中心53の画素位置を(0,0)とした場合の内周51上の画素位置(0,44)であるので、この画素位置(0,44)から順に、上記3分の1の距離52までの画素を取得する。例えば、「黒色画素」「黒色画素」「黒色画素」「白色画素」「白色画素」「白色画素」「白色画素」「白色画素」「白色画素」の9画素を取得する。その結果を図6の(a)に示す。
【0030】
次に、ステップS407において、取得画素workテーブル60(図6の(a))を参照し、先頭から「黒色画素」の連続が所定の閾値、例えば3画素以上連続しているか否かを判断する。
【0031】
「黒色画素」が所定閾値以上連続していれば(ステップS407:Yes)、ステップS408において、内周51上の座標を接点情報workテーブル70に格納する。図6の(a)の場合は、先頭から「黒色画素」の連続が3画素以上連続しているので、図7に示すように、一番左に(0,44)が格納されている。
【0032】
そして、ステップS304に戻り、取得画素workテーブル60を初期化し、円周51上の起点の次の画素から上記3分の1の距離52まで1画素ずつ、ステップS305で画素を取得し、ステップS306で「1」又は「0」を順に取得画素workテーブル60に格納する。ここで、起点の次の画素は、画素位置(1,44)であるので、この画素位置(1,44)から順に、上記3分の1の距離52までの画素を取得する。例えば、「黒色画素」「白色画素」「黒色画素」「黒色画素」「黒色画素」「黒色画素」「黒色画素」「黒色画素」の8画素を取得する。その結果を、図6の(b)に示す。
【0033】
次に、ステップS407において、取得画素workテーブル60(図6の(b))を参照すると、先頭から「黒色画素」が3画素以上連続していない(最初の「黒色画素」の次は「白色画素」)ので(ステップS407:No)、ステップS409において、連続しなかった「黒色画素」の次の「白色画素」が所定数、例えば2つ以内か(「白色画素」が2つ以上続くか)を判断する。
【0034】
図6の(b)に示した例では、2つ以上続いていない(1つだけ)ので(ステップS409:Yes)、ステップS410において、取得画素workテーブル60の当該「白色画素」を「黒色画素」に、すなわち「0」を「1」に書き換えてステップS407に戻る。これは、印影の「擦れ」のために本来「黒色画素」であったことを考慮したものである。
【0035】
図6の(b)に示した例での再度のステップS407では、「黒色画素」の連続が3画素以上連続していることになるので(ステップS407:Yes)、ステップS408に進み、図7に示すように、左から2番目に(1,44)を格納する。
【0036】
なお、ステップS409で「白色画素」が所定数以上続くと(ステップS409:No)、本連続画素検出処理を終了し、図7に示したような接点情報workテーブル70が作成される。
【0037】
図2の説明に戻る。
上述したようにして接点情報workテーブル70が作成されると、ステップS23において、接点情報算出部13が、ステップS22で検出された接触部分の数及び接触部分の位置データ並びに各接触部分の幅データを含む接点情報を算出する。より具体的には以下のようにして算出する。
【0038】
図8及び図9は、接点情報算出部13が実行する接点情報算出処理の流れを示すフローチャートであり、図10は、接点情報算出部13が実行する接点情報算出処理を説明するための図であり、図11は、接点情報テーブルの例を示す図であり、図12は、接触部分の位置データを説明するための図である。
【0039】
まず、図8のステップS801において、接点情報テーブル110(図11参照)を初期化しておく。
そして、ステップS802乃至S805を接点情報workテーブル70に格納されている画素位置の数分繰り返す。
【0040】
まず、ステップS802において、接点情報workテーブル70から順に画素位置の情報を取得する。例えば、図7に示した例では、最初に画素位置(0,44)を取得する。
【0041】
次に、ステップS803において、前回取得した画素位置の情報と隣り合っているか否かを判断する。最初の場合は、前回取得した画素位置の情報が無く、隣り合っていることにならないので(ステップS803:No)、ステップS804において、ステップS802で取得した画素位置(0,44)に対応付けて、図7に示すように接点番号「1」を付与する。
【0042】
そして、2度目のステップS802で接点情報workテーブル70から画素位置(1,44)を取得し、ステップS803で前回取得した画素位置(0,44)と隣り合っているか否かを判断する。この場合、画素位置(1,44)は画素位置(0,44)と1画素違いであり隣り合っているので(ステップS803:Yes)、ステップS805において、ステップS802で取得した画素位置(1,44)に対応付けて、画素位置(0,44)と同じ接点番号「1」を付与する(図7参照)。
【0043】
これを繰り返し、8度目のステップS802で接点情報workテーブル70から画素位置(17,40)を取得し、ステップS803で前回(7度目)取得した画素位置(6,42)と隣り合っているか否かを判断する。すると、画素位置(17,40)は画素位置(6,42)とは隣り合っていないので(ステップS803:No)、ステップS802で取得した画素位置(17,40)に対応付けて、図7に示すように接点番号「2」を付与する。
【0044】
このようにして接点情報workテーブル70が完成する。
次に、上述のようにして完成させた接点情報workテーブル70の接点番号の数分、図9のステップS906乃至S908を繰り返す。
【0045】
まず、ステップS906において、図10に示したような接触部分101や接触部分102の各接触部分の幅(接点幅)を算出する。具体的には、接点情報workテーブル70の接点番号「1」が付与された画素位置の数を取得する。図7に示した例では、接点番号「1」が付与された画素位置は、(0,44)(1,44)(2,43)(3,43)(4,43)(5,43)(6,42)であるので「7」を取得する。
【0046】
次に、ステップS907において、各接触部分の位置情報を算出する。具体的には、同じ接点番号が付与された画素位置のうち、例えば、最初の画素位置、中央の画素位置等を各接触部分の位置情報として算出する。
【0047】
そして、ステップS908において、接点情報テーブル(図11参照)を作成する。接点情報workテーブル70の接点番号の数分、上述のステップS906乃至S908を繰り返すと、図11に示したような接点情報テーブルが完成する。
【0048】
なお、ここで、位置情報は、図12に示すように、中心53の画素位置を(0,0)にしたXY平面で表される。また、前記接点情報算出部13によって算出された接点情報は、前記読取印画像データと対応付けて不図示の登録印データ格納部に格納されることにより、登録印データとして登録される。
【0049】
図2の説明に戻る。
ステップS24において、接点情報比較部14が、ステップS23で算出された前記読取印画像データの接点情報と、事前に登録印データ格納部に格納された登録印データの接点情報とを比較する。より具体的には以下のようにして比較する。
【0050】
図15及び図16は、接点情報比較部14が実行する接点情報比較処理の流れを示すフローチャートであり、図17は、比較する登録印と読取印の例を示す図であり、図18は、登録印と読取印の接点情報の例を示す図である。
【0051】
最初に、図17の(b)の印影Yを登録印X(図17の(a))と比較する場合について説明する。
まず、図15のステップS1501において、登録印(印影X)及び読取印(印影Y)の接点情報テーブル(図18参照)を取得する。
【0052】
そして、ステップS1502において、接点情報テーブルから「接点数」が同じか否か判断する。登録印(印影X)の接点数は「6」であり、読取印(印影Y)の接点数は「6」であるので(ステップS1502:Yes)、ステップS1503に進む。
【0053】
次に、ステップS1503において、登録印(印影X)の接点番号1と読取印(印影Y)の接点番号1の接点情報である接点位置及び接点幅を比較する。そして、ステップS1504において、これらの接点情報が一致しているか否か判断する。登録印(印影X)の接点位置は(0,44)であり、読取印(印影Y)の接点位置は(5,45)で異なるので(ステップS1504:No)、比較する接点位置をずらすため、ステップS1505に進み、比較する接点位置を1つずつずらして、ステップS1506において、ずらした接点位置で接点情報を比較する。読取印(印影Y)の場合は、接点番号1乃至6の何れについても登録印(印影X)と一致しないので、図16のステップS1607に進み、本接点情報比較処理を終了する。
【0054】
次に、図17の(c)の印影Zを登録印X(図17の(a))と比較する場合について説明する。
まず、図15のステップS1501において、登録印(印影X)及び読取印(印影Z)の接点情報テーブル(図18参照)を取得する。
【0055】
そして、ステップS1502において、接点情報テーブルから「接点数」が同じか否か判断する。登録印(印影X)の接点数は「6」であり、読取印(印影Z)の接点数は「6」であるので(ステップS1502:Yes)、ステップS1503に進む。
【0056】
次に、ステップS1503において、登録印(印影X)の接点番号1と読取印(印影Z)の接点番号1の接点情報である接点位置及び接点幅を比較する。そして、ステップS1504において、これらの接点情報が一致しているか否か判断する。登録印(印影X)の接点位置は(0,44)であり、読取印(印影Z)の接点位置は(0,44)で一致するので(ステップS1504:Yes)、ステップS1608乃至S1609において、次の接点番号同士の接点情報を比較する。
【0057】
そして、全ての接点情報が一致すれば(ステップS1609:Yes)、ステップS1610において、両印鑑は同一印であると判断される。他方、何れかの接点情報が一致しなければ(ステップS1609:No)、ステップS1607において、両印鑑は相違印であると判断される。
【0058】
以上、本発明を適用した実施の形態を説明してきたが、本実施の形態の印鑑照合装置1は、従来技術の同一印/相違印の判断のような、対象となる印影の白色画素/黒色画素の比率による判断処理に加え、本発明の印鑑照合処理をさらに実施することで、同一印/相違印の判断精度を向上させることができる。特に、所謂三文判においては、社印と比較すると二値化した印鑑イメージの黒色画素が少ないことから、判断する情報を追加することで、三文判においても同一印/相違印を確実に判別することが可能となる。
【0059】
以上、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明してきたが、上述してきた本発明の実施の形態は、印鑑照合装置の一機能としてハードウェアまたはDSP(Digital Signal Processor)ボードやCPUボードでのファームウェアもしくはソフトウェアにより実現することができる。
【0060】
また、本発明が適用される印鑑照合装置は、その機能が実行されるのであれば、上述の実施の形態に限定されることなく、単体の装置であっても、複数の装置からなるシステムあるいは統合装置であっても、LAN、WAN等のネットワークを介して処理が行なわれるシステムであってもよいことは言うまでもない。
【0061】
また、バスに接続されたCPU、ROMやRAMのメモリ、入力装置、出力装置、外部記録装置、媒体駆動装置、ネットワーク接続装置で構成されるシステムでも実現できる。すなわち、前述してきた実施の形態のシステムを実現するソフトェアのプログラムを記録したROMやRAMのメモリ、外部記録装置、可搬記録媒体を、印鑑照合装置に供給し、その印鑑照合装置のコンピュータがプログラムを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
【0062】
この場合、可搬記録媒体等から読み出されたプログラム自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムを記録した可搬記録媒体等は本発明を構成することになる。
【0063】
プログラムを供給するための可搬記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、DVD−ROM、DVD−RAM、磁気テープ、不揮発性のメモリーカード、ROMカード、電子メールやパソコン通信等のネットワーク接続装置(言い換えれば、通信回線)を介して記録した種々の記録媒体などを用いることができる。
【0064】
また、コンピュータ(情報処理装置)がメモリ上に読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施の形態の機能が実現される他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施の形態の機能が実現される。
【0065】
さらに、可搬型記録媒体から読み出されたプログラムやプログラム(データ)提供者から提供されたプログラム(データ)が、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施の形態の機能が実現され得る。
【0066】
すなわち、本発明は、以上に述べた実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の構成または形状を取ることができる。
【符号の説明】
【0067】
1 印鑑照合装置
10 管理部
11 印鑑枠抽出部
12 連続画素検出部
13 接点情報算出部
14 接点情報比較部
15 印鑑枠情報記憶部
16 連続画素情報記憶部
17 接点位置情報記憶部
18 接点幅情報記憶部
51 内周
52 3分の1の距離
53 中心
54 対象範囲
60 取得画素workテーブル
70 接点情報workテーブル
101 接触部分
102 接触部分
110 接点情報テーブル
131 接点位置情報算出部
132 接点幅情報算出部
141 接点位置情報比較部
142 接点の幅情報比較部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印鑑照合装置のコンピュータを、
媒体上に押印された印鑑の印影を読取印画像データとして画像読取装置で読み取る印影読取手段、
前記印影読取手段によって読み取った読取印画像データから円形状検出処理を用いて印鑑枠相当部分を抽出する印鑑枠抽出手段、
前記印影読取手段によって読み取った読取印画像データを構成する画素のうち、前記印鑑枠抽出手段によって抽出された印鑑枠相当部分の内周から中心に向かって所定数以上連続している部分を、前記印鑑枠相当部分と前記印鑑枠相当部分以外の文字相当部分とが接触している接触部分として検出する連続画素検出手段、
前記連続画素検出手段によって検出された接触部分の数及び位置データ並びに各接触部分の幅データを含む接点情報を算出する接点情報算出手段、
として機能させるための印鑑照合プログラム。
【請求項2】
前記接点情報算出手段は、前記接触部分において前記内周に沿って連続している画素数を前記幅データとすることを特徴とする請求項1に記載の印鑑照合プログラム。
【請求項3】
前記接点情報算出手段によって算出した接点情報を前記読取印画像データと対応付けて登録印データとして記憶装置に格納する登録印データ格納手段、
として機能させるための請求項1または2に記載の印鑑照合プログラム。
【請求項4】
前記接点情報算出手段によって算出された前記読取印画像データの接点情報と前記登録印データ格納手段に格納された登録印データの接点情報を比較する接点情報比較手段、
として機能させるための請求項1乃至3の何れか1項に記載の印鑑照合プログラム。
【請求項5】
媒体上に押印された印鑑の印影を読取印画像データとして画像読取装置で読み取る印影読取手段と、
前記印影読取手段によって読み取った読取印画像データから円形状検出処理を用いて印鑑枠相当部分を抽出する印鑑枠抽出手段と、
前記印影読取手段によって読み取った読取印画像データを構成する画素のうち、前記印鑑枠抽出手段によって抽出された印鑑枠相当部分の内周から中心に向かって所定数以上連続している部分を、前記印鑑枠相当部分と前記印鑑枠相当部分以外の文字相当部分とが接触している接触部分として検出する連続画素検出手段と、
前記連続画素検出手段によって検出された接触部分の数及び位置データ並びに各接触部分の幅データを含む接点情報を算出する接点情報算出手段と、
を備えることを特徴とする印鑑照合装置。
【請求項6】
前記接点情報算出手段は、前記接触部分において前記内周に沿って連続している画素数を前記幅データとすることを特徴とする請求項5に記載の印鑑照合装置。
【請求項7】
前記接点情報算出手段によって算出した接点情報を前記読取印画像データと対応付けて登録印データとして記憶装置に格納する登録印データ格納手段、
を備えることを特徴とする請求項5または6に記載の印鑑照合装置。
【請求項8】
前記接点情報算出手段によって算出された前記読取印画像データの接点情報と前記登録印データ格納手段に格納された登録印データの接点情報を比較する接点情報比較手段、
を備えることを特徴とする請求項5乃至7の何れか1項に記載の印鑑照合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図15】
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【図16】
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【図18】
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【図5】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図17】
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