説明

印鑑照合用データ生成装置、印鑑照合用データ生成プログラム、および印鑑照合システム

【課題】印鑑照合率を向上させる照合用データを生成すること。
【解決手段】3つ以上の印影情報を対応付けて記憶する記憶手段と、前記3つ以上の印影情報を重ね合わせ、半数以上の前記印影情報が重なる部分を算出し、該重なる部分からなる照合用印影を生成する照合用印影生成手段と、を備える印鑑照合用データ生成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印鑑照合に用いる印鑑照合用データの生成装置、生成プログラム、および印鑑照合を行う印鑑照合システムに関する。
【背景技術】
【0002】
銀行等の金融機関において、窓口で預金の引き出しなどを行う際に、伝票に押印された印影と届出印の印影とが一致するか否か判定している。
このような印鑑照合処理は、例えば印鑑照合装置で実施される。
【0003】
印鑑照合装置において、印鑑照合処理は、判定対象印影(伝票に押印された印影)と届出印の印影(印影マスター)とを比較し、判定対象印影が印影マスターと一致する割合(照合率)を算出する。そして、照合率が閾値以上であるか否かに基づいて、判定対象印影が印影マスターと同一であるか、すなわち判定対象印影と印影マスターを生成した印鑑が同一であるか判定している。
【0004】
印影マスターは、印鑑簿に押印された届出印の印影をスキャンして、画像データとしてマスターデータベース(DB)に保存したものである。
印鑑簿は、何度も取り出して付帯情報を補記するなどしているため、汚れ(手垢、ボールペン擦れ、折り目)が存在している。
【0005】
印影マスターは、それら汚れも含めてスキャンした印影を用いているため、印影マスターにも汚れが含まれている。
印影情報(印影マスター)に汚れが含まれていると、伝票の印影が綺麗に押印されていても、印鑑照合処理において、照合率が低くなってしまい、エラーと判定されてしまう可能性が高くなるという問題があった。その場合、オペレータによる確認が必要となり、負担が増大するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−245459号公報
【特許文献2】特開平7−65171号公報
【特許文献3】特開2009−77049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、印鑑照合率を向上させる照合用データを生成することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施の形態の印鑑照合用データ生成装置は、記憶手段と、照合用印影生成手段と、を備える。
記憶手段は、3つ以上の印影情報を対応付けて記憶する。
【0009】
照合用印影生成手段は、前記記憶手段に対応付けて記憶された3つ以上の印影情報を重ね合わせ、半数以上の前記印影情報が重なる部分を算出し、該半数以上の前記印影情報が重なる部分からなる照合用印影を生成する。
【発明の効果】
【0010】
実施の形態の装置によれば、印鑑照合率を向上させる照合用データを生成することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態に係る印鑑照合システムの構成図である。
【図2】設定値DBの例である。
【図3】印鑑マスターDBの例である。
【図4】印影保管用DBの例である。
【図5A】印影情報の例である。
【図5B】印影情報の例である。
【図5C】印影情報の例である。
【図6】精緻化印影の例である。
【図7】実施の形態に係るサーバの印鑑登録処理のフローチャートである。
【図8】実施の形態に係るサーバの印影照合処理のフローチャートである。
【図9A】実施の形態に係る窓口システムの印影照合処理のフローチャートである。
【図9B】実施の形態に係る窓口システムの印影照合処理のフローチャートである。
【図10】表示手段の表示例である。
【図11】表示手段の表示例である。
【図12】表示手段の表示例である。
【図13】実施の形態に係る印影情報保存処理のフローチャートである。
【図14】実施の形態に係る照合用精緻印影要求応答処理のフローチャートである。
【図15】実施の形態に係る精緻化印影の生成処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら実施の形態を説明する。
図1は、実施の形態に係る印鑑照合システムの構成図である。
印鑑照合システム100は、窓口システム101およびサーバ201を備える。
【0013】
窓口システム101とサーバ201はネットワーク301を介して接続している。
窓口システム101は、例えば、銀行の支店に設けられる。
窓口システム101は、印鑑登録手段102、印影照合手段103、読み取り手段104、取引手段105、印鑑マスター更新案内手段106、表示手段107、記憶手段108、伝票109、印鑑簿110を備える。
【0014】
印鑑登録手段102は、サーバ201に印影や各種データの登録を依頼する。
印影照合手段103は、二つの印影データ、例えば、第1の印影と第2の印影とを比較し、照合率を算出し、二つの印影データが同一の印鑑により生成されたものであるかを判定する。照合率は、第1の印影と第2の印影とを重ね合わせたときの両印影の一致する画素の割合である。
【0015】
読み取り手段104は、伝票109や印鑑簿110の印影112、113を読み取り、印影照合処理などに用いる印影データを生成する。
取引手段105は、入金や出金、振込み等の処理をサーバ201に依頼する。
【0016】
印鑑マスター更新案内手段106は、印鑑の再登録する旨の表示を表示手段107に表示する。
表示手段107は、取引情報や印鑑の照合結果等の情報を表示する。
記憶手段108には、設定値DB111が格納されている。
【0017】
図2は、設定値DBの例である。
設定値DB111には、許容差分および自動OK照合率の値が格納されている。
許容差分は、前回の照合率と今回の照合率との差分を求めたときに、判定対象印影が破損や偽造であるか否かの判定に用いる閾値である。
【0018】
自動OK照合率は、判定対象印影と印鑑照合において基準となる照合用印影との一致する割合(照合率)を算出したとき、判定対象印影がOK(照合用印影と一致する)と判定するのに用いる閾値である。
【0019】
伝票109は、口座番号、住所、氏名が記載され、印鑑が押印されている。伝票に押印された印影112は、判定対象印影となる。また、該印影は、照合用印影の元となる精緻化データとなることもある。
【0020】
印鑑簿110には、口座番号、住所、氏名が記載され、印鑑が押印されている。印鑑簿110に押印された印影113は、いわゆる届出印の印影である。
サーバ201は、印鑑登録手段202、印影照合処理手段203、取引手段204、照合用精緻印影作成手段205、印影データ保存手段206、および記憶部207を備える。
【0021】
印鑑登録手段202は、印鑑マスターDB211および印影保管用DB212にデータを格納する。
印影照合処理手段203、窓口システム101からの照合用印影要求に応じて、印鑑照合に用いられる照合用印影を送信する。
【0022】
取引手段204は、窓口システム101からの取引要求に応じて、振込み等の各種取引を行う。
照合用精緻印影作成手段205は、記憶部207に格納された複数の印影情報を元に、精緻化印影を生成する。尚、精緻化印影の生成方法については後述する。
【0023】
印影データ保存手段206は、窓口システム101から送信された印影データを印影保管用DB212に保存する。
記憶部207には、印鑑マスターDB211および印影保管用DB212が格納されている。
【0024】
図3は、印鑑マスターDBの例である。
印鑑マスターDB211には、口座番号、支店、科目、印影マスター、精緻化印影、および前回照合率が対応付けられて格納されている。
【0025】
口座番号は、金融機関の口座の番号である。
支店は、金融機関の支店名である。
科目は、口座の科目である。
【0026】
印影マスターは、印鑑簿110の印影113をスキャンしたデータである。
精緻化印影は、複数の印影情報から生成されたゴミやかすれ等の無い印影データである。尚、精緻化印影の生成方法については後述する。
前回照合率は、前回の印鑑照合を行ったときの照合率である。
【0027】
図4は、印影保管用DBの例である。
印影保管用DB212には、口座番号、支店、科目、印影情報#1、印影情報#2、および印影情報#3が対応付けられて格納されている。
【0028】
口座番号は、金融機関における口座の番号である。
支店は、金融機関の支店名である。
科目は、口座の科目である。
【0029】
印影情報#1、印影情報#2、および印影情報#3は、それぞれ別の伝票109の印影112をスキャンしたデータである。
【0030】
図5A〜Cは、それぞれ印影情報#1〜#3の例である。
上述のように、印影情報#1、印影情報#2、および印影情報#3は、それぞれ別の伝票109の印影112をスキャンしたデータであり、印影保管用DB212に格納されている。
【0031】
印影情報#1〜#3は、伝票109の印影112をスキャンしたものであるため、汚れやかすれ等が含まれている。
例えば、図5Aの印影情報#1には、ボールペン汚れ401、図5Bの印影情報#2には、かすれ402、図5Cの印影情報#3には、ゴミ403が含まれている。
【0032】
図6は、精緻化印影の例である。
上述のように、精緻化印影は複数の印影情報から生成された印影データであり、印鑑マスターDB211に格納される。
【0033】
例えば、図6の精緻化印影404は、図5A〜Cの印影情報#1〜#3のうち、2つ以上の印影情報に含まれる部分を抽出した印影である。
上記のような処理を行うことにより、ゴミやかすれ等の無い精緻化印影404が生成される。
【0034】
以下、印鑑の登録処理、印影照合処理、および精緻化印影の生成処理などの印鑑照合システムの動作について述べる。
最初に、印鑑登録処理について説明する。
【0035】
図7は、実施の形態に係るサーバの印鑑登録処理のフローチャートである。
先ず、窓口システム101は、口座番号、支店、科目、および印影マスターを含む印鑑登録依頼をサーバ201に送信する。印鑑登録依頼は、例えば、口座開設時や登録印鑑変更時に行われる。印影マスターは、印鑑簿110の印影113を読み取り手段104でスキャンすることにより生成される。
【0036】
ステップS501において、印鑑登録手段202は、印鑑登録依頼を窓口システム101から受信する。そして、印鑑登録手段202は、口座番号、支店、科目、および印影マスターを印鑑マスターDB211に登録する。
【0037】
ステップS502において、印鑑登録手段202は、印鑑マスターDB211の印影マスターを登録したレコードの精緻化印影および前回照合率を初期化する。
ステップS503において、印鑑登録手段202は、印鑑登録依頼の口座番号、支店、科目をキーにして、印影保管用DB212を検索する。
【0038】
ステップS504において、印鑑登録依頼の口座番号、支店、科目に該当するレコードが印影保管用DB212に存在する場合、制御はステップS505に進み、存在しない場合、ステップS506に進む。
【0039】
ステップS505において、印鑑登録手段202は、印影保管用DB212の該当するレコードの印影情報#1〜#3を初期化する。
ステップS506において、印鑑登録手段202は、印影保管用DB212に印鑑登録依頼の口座番号、支店、科目を設定したレコードを追加する。
【0040】
次に印影照合処理について説明する。
先ず、サーバ側の処理について説明する。
図8は、実施の形態に係るサーバの印影照合処理のフローチャートである。
【0041】
ステップS601において、印影照合処理手段203は、窓口システム101から照合用印影要求を受信する。照合用印影要求には、口座番号、支店、科目が含まれている。
ステップS602において、印影照合処理手段203は、照合用印影要求の口座番号、支店、科目をキーとして、印鑑マスターDB211を検索し、該当するレコードの精緻化印影が設定されているかチェックする。
【0042】
ステップS603において、精緻化印影が設定されている場合、制御はステップS605に進み、精緻化印影が設定されていない場合、制御はステップS604に進む。
ステップS604において、印影照合処理手段203は、該当するレコードの印影マスターを照合用印影とする。そして、精緻化印影の存在を示す精緻化印影フラグのフラグを立てずに、照合用印影、該当するレコードの前回照合率、口座番号、支店、科目を合わせて、照合用印影応答として設定する。
【0043】
ステップS605において、印影照合処理手段203は、該当するレコードの精緻化印影を照合用印影とする。そして、精緻化印影の存在を示す精緻化印影フラグのフラグを立てて、照合用印影、該当するレコードの前回照合率、口座番号、支店、科目を合わせて、照合用印影応答として設定する。
【0044】
ステップS606において、印影照合処理手段203は、照合用印影要求の口座番号、支店、科目をキーとして、印影保管用DB212を検索する。そして、該当するレコードに設定されている印影情報の数を精緻化用データ数として、照合用印影応答に追加する。
ステップS607において、印影照合処理手段203は、窓口システム101に照合用印影応答を送信する。
【0045】
次に、窓口システム側の処理について説明する。
図9Aおよび9Bは、実施の形態に係る窓口システムの印影照合処理のフローチャートである。
【0046】
ステップS701において、印影照合手段103には、口座番号、支店、科目、氏名、住所、印影、取引情報が入力される。印影照合手段103は、口座番号、支店、科目を含む照合用印影要求をサーバ201へ送信する。尚、口座番号、支店、科目、氏名、住所、取引情報は、伝票109に記載された情報に基づいて、例えば、オペレータにより入力される。また、印影は、伝票109に押印された印影112を読み取り手段104によりスキャンされた印影データであり、該印影データが判定対象印影となる。
【0047】
サーバ201では、上述の図8に示す印影照合処理が行われ、窓口システム101に照合用印影応答を送信する。
ステップS702において、印影照合手段103は、サーバ201から照合用印影応答を受信する。そして、印影照合手段103は、照合用印影応答に含まれる照合用印影、精緻化印影フラグ、前回照合率、精緻化用データ数を抽出する。
【0048】
ステップS703において、印影照合手段103は、精緻化印影フラグが立っているか否か判定する。精緻化印影フラグが立っている場合、制御はステップS704に進み、精緻化印影フラグが立っていない場合、制御はステップS705に進む。
【0049】
ステップS704において、印鑑マスター更新案内手段106は、印鑑(再)登録案内を表示手段107に表示する。例えば、印鑑(再)登録案内は、図10に示すように、「精緻化印影を照合に用いています。印鑑マスター再登録することを呼びかけてください。」と表示し、客に対して印鑑の再登録を行うようにさせる旨をオペレータに提示する。
【0050】
ステップS705において、印影照合手段103は、伝票109に記載された情報を元に入力された情報を表示手段107に表示する。例えば、表示手段107には、口座番号、氏名、印影などの情報が表示される。
【0051】
ステップS706において、印影照合手段103は、口座番号等の取引情報に間違いがあれば、修正する。
ステップS707において、印影照合手段103は、判定対象印影と照合用印影との印鑑照合を行い、照合率を算出する。照合率は、判定対象印影と照合用印影を重ね合わせたときの両印影の一致する画素の割合である。印影照合手段103は、図11に示すように、ステップS705で表示した情報に加えて、算出した照合率を表示手段107に表示する。
【0052】
ステップS708において、印影照合手段103は、照合がOKであるか否か、すなわち照合率が閾値以上であるか否か判定する。照合率が閾値以上の場合、制御はステップS720に進み、照合率が閾値未満の場合、制御はステップS709に進む。
【0053】
ステップS709において、印影照合手段103は、照合用印影応答の精緻化用データ数が3以上であるか否か判定する。精緻化用データ数が3以上の場合、制御はステップS710に進み、精緻化用データ数が3未満の場合、制御はステップS719に進む。
【0054】
ステップS710において、印影照合手段103は、設定値DB111から許容差分を読み出す。
ステップS711において、印影照合手段103は、前回照合率と今回の照合率との差分を算出する。
【0055】
ステップS712において、算出した差分が許容差分より大きい場合、制御はステップS719に進み、算出した差分が許容差分以下の場合、制御はステップS713に進む。照合率が閾値以下で、算出した差分が許容差分より大きい場合は、印鑑は破損または偽造されている可能性があると判断する。照合率が閾値以下でも、算出した差分が許容差分以下の場合、すなわち今回の照合率が前回照合率よりわずかに低い場合は、磨耗した印鑑による印影とみなせるので、以下のように精緻化された印影との照合を行う。
【0056】
ステップS713において、印影照合手段103は、照合用精緻印影要求として、口座番号、支店、科目をセンター201に送信する。
センター201は、照合用精緻印影要求を受信すると、照合用精緻印影要求応答処理を行い、照合用精緻印影応答を窓口システム101に送信する。尚、照合用精緻印影要求応答処理の詳細については後述する。
【0057】
ステップS714において、印影照合手段103は、照合用精緻印影応答を受信する。照合用精緻印影応答には、口座番号、支店、科目、および照合用印影が含まれる。印影照合手段103は、照合用精緻印影応答の照合用印影を抽出し、伝票109に記載された情報に基づいて入力された情報、および照合用印影を表示手段107に表示する。照合用精緻印影応答にふくまれる照合用印影は、複数の印影情報を元に作成された精緻化された印影である。
【0058】
ステップS715において、印影照合手段103は、口座番号等の取引情報に間違いがあれば、修正する。
ステップS716において、印影照合手段103は、判定対象印影と照合用印影との印鑑照合を行い、照合率を算出する。
【0059】
ステップS717において、印影照合手段103は、照合がOKであるか否か、すなわち照合率が閾値以上であるか否か判定する。照合率が閾値以上の場合、制御はステップS718に進み、照合率が閾値未満の場合、制御はステップS719に進む。
【0060】
ステップS718において、印鑑マスター更新案内手段106は、印鑑(再)登録案内を表示手段107に表示する。
ステップS719において、印影照合手段103は、警告画面を表示手段107に表示する。例えば、図12に示すように、警告画面には、「印鑑が違う可能性が高いです。」と、伝票109の印影112と印影マスターが異なる旨の表示が行われる。
【0061】
ステップS720において、取引手段105は、伝票109を元に入力された口座番号や取引情報等の情報を取引要求としてサーバ201に送信する。
ステップS721において、印影照合手段103は、伝票109を元に入力された口座番号、支店、科目、印影、およびステップS707またはS716で算出した照合率を印影精緻化用データ登録依頼としてサーバ201に送信する。
【0062】
図13は、実施の形態に係る印影情報保存処理のフローチャートである。
ステップS801において、印影データ保存手段206は、窓口システム101から、印影精緻化用データ登録依頼を受信する。印影精緻化用データ登録依頼には、口座番号、支店、科目、印影、および照合率の情報が含まれている。
【0063】
ステップS802において、印影データ保存手段206は、印影精緻化用データ登録依頼から印影を抽出する。
ステップS803において、印影データ保存手段206は、印影精緻化用データ登録依頼の口座番号、支店、科目をキーとして、印影保管用DB212を検索し、該当するレコードを特定する。
【0064】
ステップS804において、印影データ保存手段206は、該当するレコードの印影情報#1、#2、#3の設定状況(データの有無)を取得する。
ステップS805において、印影データ保存手段206は、印影情報#1、#2、#3の内、印影情報が印影情報#1のみ設定されている(データがある)か否か判定する。印影情報#1のみ設定されている場合、制御はステップS806に進み、印影情報#1以外にも設定されている場合、制御はステップS807に進む。
【0065】
ステップS806において、印影データ保存手段206は、特定したレコードの印影情報#2に抽出した印影を設定する。
ステップS807において、印影データ保存手段206は、印影情報#1、#2、#3の内、印影情報が印影情報#1および#2のみ設定されているか否か判定する。印影情報#1および#2のみ設定されている場合、制御はステップS808に進み、印影情報#1および#2以外にも設定されている場合、制御はステップS809に進む。
【0066】
ステップS808において、印影データ保存手段206は、特定したレコードの印影情報#3に抽出した印影を設定する。
ステップS809において、印影データ保存手段206は、印影情報#1、#2、#3に印影情報が設定されているか否か判定する。印影情報#1、#2、#3に設定されている場合、制御はステップS810に進み、印影情報#1、#2、#3に設定されていない場合、制御はステップS811に進む。
【0067】
ステップS810において、印影データ保存手段206は、特定したレコードの印影情報#2のデータを印影情報#1へコピーし、印影情報#3のデータを印影情報#2へコピーする。さらに、印影データ保存手段206は、特定したレコードの印影情報#3に抽出した印影を設定する。
【0068】
ステップS811において、印影データ保存手段206は、特定したレコードの印影情報#1に抽出した印影を設定する。
ステップS812において、印影データ保存手段206は、印影精緻化用データ登録依頼から照合率を抽出する。
【0069】
ステップS813において、印影データ保存手段206は、印影精緻化用データ登録依頼の口座番号、支店、科目をキーとして、印鑑マスターDB211を検索し、該当するレコードを特定する。
ステップS814において、印影データ保存手段206は、特定したレコードの前回照合率に抽出した照合率を設定する。
【0070】
図14は、実施の形態に係る照合用精緻印影要求応答処理のフローチャートである。
ステップS901において、照合用精緻印影作成手段205は、照合用精緻印影要求(ステップS713)を窓口システム101から受信する。照合用精緻印影要求には、口座番号、支店、科目の情報が含まれている。
【0071】
ステップS902において、照合用精緻印影作成手段205は、照合用精緻印影要求の、口座番号、支店、科目をキーとして、印影保管用DB212を検索し、該当するレコードを特定する。
【0072】
ステップS903において、照合用精緻印影作成手段205は、特定したレコードの印影情報#1〜#3を読み出し、それぞれ精緻化データ#1〜#3とする。
ステップS904において、照合用精緻印影作成手段205は、照合用印影精緻化を行い、精緻化された印影である作業用印影データを生成する。尚、照合用印影精緻化の詳細については後述する。
【0073】
ステップS905において、照合用精緻印影作成手段205は、作業用印影データを照合用印影とする。
ステップS906において、照合用精緻印影作成手段205は、照合用精緻印影要求の、口座番号、支店、科目、および照合用印影を照合用精緻印影応答として、窓口システム101へ送信する。
【0074】
ステップS907において、照合用精緻印影作成手段205は、窓口システム101から、印影精緻化用データ登録依頼を受信したか否か判定する。印影精緻化用データ登録依頼を受信した場合、制御はステップS908へ進み、受信していない場合、処理を終了する。
【0075】
ステップS908において、照合用精緻印影作成手段205は、照合用精緻印影要求の、口座番号、支店、科目をキーとして、印鑑マスターDB211を検索し、該当するレコードを特定する。
ステップS909において、照合用精緻印影作成手段205は、照合用印影を特定したレコードの精緻化印影に設定する。
【0076】
図15は、実施の形態に係る精緻化印影の生成処理(ステップS904)のフローチャートである。
ステップS1001において、照合用精緻印影作成手段205は、精緻化データ#1〜#3を2値化する。これにより、精緻化データの印影部分やゴミ部分、汚れ部分は1となり、背景部分やかすれ部分は0となる。2値化された精緻化データ#1〜#3はレイヤーデータ#1〜#3とする。そして、レイヤーデータ#1〜#3を最も一致率が高くなる角度で重ね合わせる。尚、一致率は、複数の印影(レイヤーデータ)を重ね合わせたとき、該複数の印影の一致する画素の割合である。
【0077】
上記の最も一致率が高くなる角度に関して、例えば、レイヤーデータの中心座標を求め、その座標を中心としてレイヤーデータを回転させながら、一致率を算出することで、一致率が最も高くなる角度を算出することができる。
【0078】
ステップS1002において、照合用精緻印影作成手段205は、作業用印影データを初期化する。すなわち、作業用印影データの各座標の値を0とする。
尚、重ね合わせ後のレイヤーデータおよび作業用印影データのサイズは、横xMax、縦yMaxとする。
【0079】
ステップS1003において、照合用精緻印影作成手段205は、縦方向の座標yを0とする。yは、レイヤーデータおよび作業用印影データの縦方向の座標を表す。
ステップS1004において、照合用精緻印影作成手段205は、横方向の座標xを0とする。xは、レイヤーデータおよび作業用印影データの横方向の座標を表す。
【0080】
ステップS1005において、照合用精緻印影作成手段205は、各レイヤーデータの座標(x,y)の画素値の合計を算出する。
ステップS1006において、照合用精緻印影作成手段205は、算出した合計値がm以上であるか否か判定する。但し、精緻化データの数をnとしたとき、mはn/2以上の最小の整数とする。合計値がm以上の場合、制御はステップS1007に進み、合計値がm未満の場合、制御はステップS1008に進む。
【0081】
すなわち、実施の形態において、精緻化データの数は3であるので、照合用精緻印影作成手段205は、算出した合計値が2以上であるか否か判定する。合計値が2以上の場合、制御はステップS1007に進み、合計値が2未満の場合、制御はステップS1008に進む。
【0082】
ステップS1007において、照合用精緻印影作成手段205は、作業用印影データの座標(x,y)の画素値を1とする。
例えば、レイヤーデータ#1〜#3の座標(x,y)の画素値がそれぞれ、1、1、1の場合、各レイヤーデータの画素値の合計値は3となる。合計値が2以上であるため、作業用印影データの座標(x,y)の画素値は1となる。
【0083】
同様に、レイヤーデータ#1〜#3の座標(x,y)の画素値がそれぞれ、1、1、0の場合、1、0、1の場合、および0、1、1の場合も、各レイヤーデータの画素値の合計値は2以上であるため、作業用印影データの座標(x,y)の画素値は1となる。
【0084】
ステップS1008において、照合用精緻印影作成手段205は、座標xに1を加算する。
ステップS1009において、照合用精緻印影作成手段205は、xがxの上限値であるxMaxより大きいか判定する。xがxMaxより大きい場合、ステップS1010に進み、xがxMax以下の場合、ステップS1005に戻る。
【0085】
ステップS1010において、照合用精緻印影作成手段205は、座標yに1を加算する。
ステップS1011において、照合用精緻印影作成手段205は、yがyの上限値であるyMaxより大きいか判定する。yがyMaxより大きい場合、処理を終了し、yがyMax以下の場合、ステップS1004に戻る。
【0086】
上記の精緻化印影の生成処理では、複数の精緻化データを重ね合わせ、半数以上の精緻化データに含まれる部分で作業用印影データが生成される。
ゴミやかすれの位置は、精緻化データごとに異なるので、半数以上の精緻化データに含まれる部分で生成された作業用印影データには、ゴミやかすれ等は含まれない。
【0087】
実施の形態において、精緻化データの数は3としているが、本発明はこれに限るものではなく、精緻化データの数は3以上であれば良い。
実施の形態の印鑑照合システムによれば、複数の印影情報から精緻化された印影を生成することが出来る。精緻化された印影には、ゴミやかすれ等の情報が含まれていないため、印影照合において、照合率が向上する。これにより、エラーとなる可能性が低くなるので、オペレータによる目視のチェックが必要なくなり、オペレータの負担が軽減される。
【符号の説明】
【0088】
100 印鑑照合システム
101 窓口システム
102 印鑑登録手段
103 印影照合手段
104 読み取り手段
105 取引手段
106 印鑑マスター更新案内手段
107 表示手段
108 記憶手段
109 伝票
110 印鑑簿
111 設定値DB
112、113 印影
201 サーバ
202 印鑑登録手段
203 印影照合処理手段
204 取引手段
205 照合用精緻印影作成手段
206 印影データ保存手段
207 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3つ以上の印影情報を対応付けて記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に対応付けて記憶された3つ以上の印影情報を重ね合わせ、半数以上の前記印影情報が重なる部分を算出し、該半数以上の前記印影情報が重なる部分からなる照合用印影を生成する照合用印影生成手段と、
を備える印鑑照合用データ生成装置。
【請求項2】
3つ以上の印影情報を対応付けて記憶する記憶手段を有するコンピュータに
前記記憶手段に対応付けて記憶された3つ以上の印影情報を読み出す工程と、
前記読み出された3つ以上の印影情報を重ね合わせる工程と、
前記重ね合わされた3つ以上の印影情報のうち、半数以上の前記印影情報が重なる部分を算出する工程と、
該半数以上の前記印影情報が重なる部分からなる照合用印影を生成する工程と、
を実行させるための印鑑照合用データ生成プログラム。
【請求項3】
3つ以上の印影情報を対応付けて記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に対応付けて記憶された3つ以上の印影情報を重ね合わせ、半数以上の前記印影情報が重なる部分を算出し、該半数以上の前記印影情報が重なる部分からなる照合用印影を生成する照合用印影生成手段と、
を備える印鑑照合用データ生成装置と、
判定対象印影が前記照合用印影と一致する割合を示す照合率を算出し、前記照合率が閾値以上であるか否かに基づき、前記判定対象印影が前記照合用印影と一致するか否かを判定する印鑑照合手段を備える印鑑照合装置と、
を備える印鑑照合システム。
【請求項4】
前記印鑑照合用データ生成装置は、前記照合用印影と一致すると判定した前記判定対象印影を新たな印影情報として前記記憶手段に前記照合用印影と対応付けて記憶することを特徴とする請求項3記載の印鑑照合システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−210185(P2011−210185A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−79684(P2010−79684)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】