説明

卵巣癌の診断システム及び卵巣癌の診断方法

【課題】生体分子の発現量に基づいて卵巣癌を診断可能な卵巣癌の診断システムを提供する。
【解決手段】診断対象卵巣組織におけるアポリポタンパク質A1遺伝子の発現量の検出値を検出する検出装置100、正常な卵巣組織におけるアポリポタンパク質A1遺伝子の発現量の正常値を保存する記憶装置200、及び正常値より検出値が低い場合、診断対象卵巣組織が明細胞腺癌であると判定する判定機構301を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は癌の診断技術に関し、特に卵巣癌の診断システム及び卵巣癌の診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から卵巣癌組織中における遺伝子発現の情報はあった。しかし卵巣癌組織は多様な組織型に分類されるが、組織型毎の遺伝子発現情報は非常に少なかった。近年、デオキシリボ核酸(DNA)やリボ核酸(RNA)等からなるプローブを基板に固定したバイオチップによる医療診断の研究が盛んである(例えば、特許文献1参照。)。しかし卵巣癌組織の組織型毎の遺伝子発現情報がほとんどなかったため、卵巣組織中の遺伝子発現に基づく卵巣癌の診断方法は確立されていない。
【特許文献1】特表2001-517300号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、生体分子の発現量に基づいて卵巣癌を診断可能な卵巣癌の診断システム及び卵巣癌の診断方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の特徴は、(イ)診断対象卵巣組織におけるアポリポタンパク質A1(ApoA1: Apolipoprotein A1)遺伝子の発現量の検出値を検出する検出装置と、(ロ)正常な卵巣組織におけるApoA1遺伝子の発現量の正常値を保存する記憶装置と、(ハ)正常値より検出値が低い場合、診断対象卵巣組織が明細胞腺癌であると判定する判定機構とを備える卵巣癌の診断システムであることを要旨とする。
【0005】
本発明の第2の特徴は、(イ)診断対象卵巣組織におけるアポリポタンパク質E(ApoE: Apolipoprotein E)遺伝子の発現量の検出値を検出する検出装置と、(ロ)正常な卵巣組織におけるApoE遺伝子の発現量の正常値を保存する記憶装置と、(ハ)正常値より検出値が低い場合、診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定する判定機構とを備える卵巣癌の診断システムであることを要旨とする。
【0006】
本発明の第3の特徴は、(イ)診断対象卵巣組織におけるアポリポタンパク質J(ApoJ: Apolipoprotein J)遺伝子の発現量の検出値を検出する検出装置と、(ロ)正常な卵巣組織におけるApoJ遺伝子の発現量の正常値を保存する記憶装置と、(ハ)正常値より検出値が低い場合、診断対象卵巣組織が粘液性腺癌又は明細胞腺癌であると判定する判定機構とを備える卵巣癌の診断システムであることを要旨とする。
【0007】
本発明の第4の特徴は、(イ)診断対象卵巣組織におけるアルデケト還元酵素群1(ARL-1: Homo sapiens aldo-keto reductase family 1 member B10)遺伝子の発現量の検出値を検出する検出装置と、(ロ)正常な卵巣組織におけるARL-1遺伝子の発現量の正常値を保存する記憶装置と、(ハ)正常値より検出値が高い場合、診断対象卵巣組織が粘液性腺癌であると判定する判定機構とを備える卵巣癌の診断システムであることを要旨とする。
【0008】
本発明の第5の特徴は、(イ)診断対象卵巣組織における骨髄間質細胞抗原2(BST2: Bone marrow stromal cell antigen 2)遺伝子の発現量の検出値を検出する検出装置と、(ロ)正常な卵巣組織におけるBST2遺伝子の発現量の正常値を保存する記憶装置と、(ハ)正常値より検出値が低い場合、診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定する判定機構とを備える卵巣癌の診断システムであることを要旨とする。
【0009】
本発明の第6の特徴は、(イ)診断対象卵巣組織におけるサイクリンE1(CCNE1: Cyclin E1)遺伝子の発現量の検出値を検出する検出装置と、(ロ)正常な卵巣組織におけるCCNE1遺伝子の発現量の正常値を保存する記憶装置と、(ハ)正常値より検出値が高い場合、診断対象卵巣組織が明細胞腺癌又は漿液性腺癌であると判定する判定機構とを備える卵巣癌の診断システムであることを要旨とする。
【0010】
本発明の第7の特徴は、(イ)診断対象卵巣組織におけるサイクリン依存性キナーゼ4(CDK4: Cyclin-dependent kinase 4)遺伝子の発現量の検出値を検出する検出装置と、(ロ)正常な卵巣組織におけるCDK4遺伝子の発現量の正常値を保存する記憶装置と、(ハ)正常値より検出値が低い場合、診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定する判定機構とを備える卵巣癌の診断システムであることを要旨とする。
【0011】
本発明の第8の特徴は、(イ)診断対象卵巣組織におけるβカテニン(CTNNB1: Catenin, beta-1)遺伝子の発現量の検出値を検出する検出装置と、(ロ)正常な卵巣組織におけるCTNNB1遺伝子の発現量の正常値を保存する記憶装置と、(ハ)正常値より検出値が低い場合、診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定する判定機構とを備える卵巣癌の診断システムであることを要旨とする。
【0012】
本発明の第9の特徴は、(イ)診断対象卵巣組織におけるv-erb-b2赤芽球白血病ウイルス癌遺伝子ホモログ2(ERBB2: V-erb-2 erythroblastic leukemia viral oncogene homolog2)遺伝子の発現量の検出値を検出する検出装置と、(ロ)正常な卵巣組織におけるERBB2遺伝子の発現量の正常値を保存する記憶装置と、(ハ)正常値より検出値が高い場合、診断対象卵巣組織が明細胞腺癌又は漿液性腺癌であると判定する判定機構とを備える卵巣癌の診断システムであることを要旨とする。
【0013】
本発明の第10の特徴は、(イ)診断対象卵巣組織におけるエストロゲン受容体1(ESR1: Estrogen receptor 1)遺伝子の発現量の検出値を検出する検出装置と、(ロ)正常な卵巣組織におけるESR1遺伝子の発現量の正常値を保存する記憶装置と、(ハ)正常値より検出値が低い場合、診断対象卵巣組織が粘液性腺癌又は明細胞腺癌であると判定する判定機構とを備える卵巣癌の診断システムであることを要旨とする。
【0014】
本発明の第11の特徴は、(イ)診断対象卵巣組織におけるヒト卵巣癌特異的転写物2(HOST2: Human ovarian cancer specific transcript 2)遺伝子の発現量の検出値を検出する検出装置と、(ロ)正常な卵巣組織におけるHOST2遺伝子の発現量の正常値を保存する記憶装置と、(ハ)正常値より検出値が高い場合、診断対象卵巣組織が明細胞腺癌、類内膜腺癌、又は漿液性腺癌であると判定する判定機構とを備える卵巣癌の診断システムであることを要旨とする。
【0015】
本発明の第12の特徴は、(イ)診断対象卵巣組織における17βヒドロキシステロイド・デヒドロゲナーゼ(HSD17B1: Hydroxysteroid (17-beta) dehydrogenase 1)遺伝子の発現量の検出値を検出する検出装置と、(ロ)正常な卵巣組織におけるHSD17B1遺伝子の発現量の正常値を保存する記憶装置と、(ハ)正常値より検出値が低い場合、診断対象卵巣組織が明細胞腺癌又は漿液性腺癌であると判定する判定機構とを備える卵巣癌の診断システムであることを要旨とする。
【0016】
本発明の第13の特徴は、(イ)診断対象卵巣組織におけるインシュリン様成長因子結合タンパク質4(IGFBP4: Insulin like growth factor binding protein 4)遺伝子の発現量の検出値を検出する検出装置と、(ロ)正常な卵巣組織におけるIGFBP4遺伝子の発現量の正常値を保存する記憶装置と、(ハ)正常値より検出値が低い場合、診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定する判定機構とを備える卵巣癌の診断システムであることを要旨とする。
【0017】
本発明の第14の特徴は、(イ)診断対象卵巣組織におけるインシュリン様成長因子結合タンパク質6(IGFBP6: Insulin like growth factor binding protein 6)遺伝子の発現量の検出値を検出する検出装置と、(ロ)正常な卵巣組織におけるIGFBP6遺伝子の発現量の正常値を保存する記憶装置と、(ハ)正常値より検出値が低い場合、診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定する判定機構とを備える卵巣癌の診断システムであることを要旨とする。
【0018】
本発明の第15の特徴は、(イ)診断対象卵巣組織におけるインヒビンα(INHA: Inhibin alpha)遺伝子の発現量の検出値を検出する検出装置と、(ロ)正常な卵巣組織におけるINHA遺伝子の発現量の正常値を保存する記憶装置と、(ハ)正常値より検出値が低い場合、診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定する判定機構とを備える卵巣癌の診断システムであることを要旨とする。
【0019】
本発明の第16の特徴は、(イ)診断対象卵巣組織におけるケラチン7(KRT7: keratin 7)遺伝子の発現量の検出値を検出する検出装置と、(ロ)正常な卵巣組織におけるKRT7遺伝子の発現量の正常値を保存する記憶装置と、(ハ)正常値より検出値が高い場合、診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定する判定機構とを備える卵巣癌の診断システムであることを要旨とする。
【0020】
本発明の第17の特徴は、(イ)診断対象卵巣組織におけるラミニンα2(LAMA2: Laminin, alpha 2)遺伝子の発現量の検出値を検出する検出装置と、(ロ)正常な卵巣組織におけるLAMA2遺伝子の発現量の正常値を保存する記憶装置と、(ハ)正常値より検出値が低い場合、診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定する判定機構とを備える卵巣癌の診断システムであることを要旨とする。
【0021】
本発明の第18の特徴は、(イ)診断対象卵巣組織におけるマトリックス・メタロペプチダーゼ2(MMP2: Matrix metallopeptidase2)遺伝子の発現量の検出値を検出する検出装置と、(ロ)正常な卵巣組織におけるMMP2遺伝子の発現量の正常値を保存する記憶装置と、(ハ)正常値より検出値が低い場合、診断対象卵巣組織が粘液性腺癌、明細胞腺癌、又は漿液性腺癌であると判定する判定機構とを備える卵巣癌の診断システムであることを要旨とする。
【0022】
本発明の第19の特徴は、(イ)診断対象卵巣組織における組織メタロプロテアーゼ・インヒビター1(TIMP1: Tissue inhibitor of metalloproteinase 1)遺伝子の発現量の検出値を検出する検出装置と、(ロ)正常な卵巣組織におけるTIMP1遺伝子の発現量の正常値を保存する記憶装置と、(ハ)正常値より検出値が低い場合、診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定する判定機構とを備える卵巣癌の診断システムであることを要旨とする。
【0023】
本発明の第20の特徴は、(イ)診断対象卵巣組織におけるApoA1遺伝子の発現量の検出値を検出するステップと、(ロ)正常な卵巣組織におけるApoA1遺伝子の発現量の正常値より検出値が低い場合、診断対象卵巣組織が明細胞腺癌であると判定するステップとを含む卵巣癌の診断方法であることを要旨とする。
【0024】
本発明の第21の特徴は、(イ)診断対象卵巣組織におけるApoE遺伝子の発現量の検出値を検出するステップと、(ロ)正常な卵巣組織におけるApoE遺伝子の発現量の正常値より検出値が低い場合、診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定するステップとを含む卵巣癌の診断方法であることを要旨とする。
【0025】
本発明の第22の特徴は、(イ)診断対象卵巣組織におけるApoJ遺伝子の発現量の検出値を検出するステップと、(ロ)正常な卵巣組織におけるApoJ遺伝子の発現量の正常値より検出値が低い場合、診断対象卵巣組織が粘液性腺癌又は明細胞腺癌であると判定するステップとを含む卵巣癌の診断方法であることを要旨とする。
【0026】
本発明の第23の特徴は、(イ)診断対象卵巣組織におけるARL-1遺伝子の発現量の検出値を検出するステップと、(ロ)正常な卵巣組織におけるARL-1遺伝子の発現量の正常値より検出値が高い場合、診断対象卵巣組織が粘液性腺癌であると判定するステップとを含む卵巣癌の診断方法であることを要旨とする。
【0027】
本発明の第24の特徴は、(イ)診断対象卵巣組織におけるBST2遺伝子の発現量の検出値を検出するステップと、(ロ)正常な卵巣組織におけるBST2遺伝子の発現量の正常値より検出値が低い場合、診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定するステップとを含む卵巣癌の診断方法であることを要旨とする。
【0028】
本発明の第25の特徴は、(イ)診断対象卵巣組織におけるCCNE1遺伝子の発現量の検出値を検出するステップと、(ロ)正常な卵巣組織におけるCCNE1遺伝子の発現量の正常値より検出値が高い場合、診断対象卵巣組織が明細胞腺癌又は漿液性腺癌であると判定するステップとを含む卵巣癌の診断方法であることを要旨とする。
【0029】
本発明の第26の特徴は、(イ)診断対象卵巣組織におけるCDK4遺伝子の発現量の検出値を検出するステップと、(ロ)正常な卵巣組織におけるCDK4遺伝子の発現量の正常値より検出値が低い場合、診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定するステップとを含む卵巣癌の診断方法であることを要旨とする。
【0030】
本発明の第27の特徴は、(イ)診断対象卵巣組織におけるCTNNB1遺伝子の発現量の検出値を検出するステップと、(ロ)正常な卵巣組織におけるCTNNB1遺伝子の発現量の正常値より検出値が低い場合、診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定するステップとを含む卵巣癌の診断方法であることを要旨とする。
【0031】
本発明の第28の特徴は、(イ)診断対象卵巣組織におけるERBB2遺伝子の発現量の検出値を検出するステップと、(ロ)正常な卵巣組織におけるERBB2遺伝子の発現量の正常値より検出値が高い場合、診断対象卵巣組織が明細胞腺癌又は漿液性腺癌であると判定するステップとを含む卵巣癌の診断方法であることを要旨とする。
【0032】
本発明の第29の特徴は、(イ)診断対象卵巣組織におけるESR1遺伝子の発現量の検出値を検出するステップと、(ロ)正常な卵巣組織におけるESR1遺伝子の発現量の正常値より検出値が低い場合、診断対象卵巣組織が粘液性腺癌又は明細胞腺癌であると判定するステップとを含む卵巣癌の診断方法であることを要旨とする。
【0033】
本発明の第30の特徴は、(イ)診断対象卵巣組織におけるHOST2遺伝子の発現量の検出値を検出するステップと、(ロ)正常な卵巣組織におけるHOST2遺伝子の発現量の正常値より検出値が高い場合、診断対象卵巣組織が明細胞腺癌、類内膜腺癌、又は漿液性腺癌であると判定するステップとを含む卵巣癌の診断方法であることを要旨とする。
【0034】
本発明の第31の特徴は、(イ)診断対象卵巣組織におけるHSD17B1遺伝子の発現量の検出値を検出するステップと、(ロ)正常な卵巣組織におけるHSD17B1遺伝子の発現量の正常値より検出値が低い場合、診断対象卵巣組織が明細胞腺癌又は漿液性腺癌であると判定するステップとを含む卵巣癌の診断方法であることを要旨とする。
【0035】
本発明の第32の特徴は、(イ)診断対象卵巣組織におけるIGFBP4遺伝子の発現量の検出値を検出するステップと、(ロ)正常な卵巣組織におけるIGFBP4遺伝子の発現量の正常値より検出値が低い場合、診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定するステップとを含む卵巣癌の診断方法であることを要旨とする。
【0036】
本発明の第33の特徴は、(イ)診断対象卵巣組織におけるIGFBP6遺伝子の発現量の検出値を検出するステップと、(ロ)正常な卵巣組織におけるIGFBP6遺伝子の発現量の正常値より検出値が低い場合、診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定するステップとを含む卵巣癌の診断方法であることを要旨とする。
【0037】
本発明の第34の特徴は、(イ)診断対象卵巣組織におけるINHA遺伝子の発現量の検出値を検出するステップと、(ロ)正常な卵巣組織におけるINHA遺伝子の発現量の正常値より検出値が低い場合、診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定するステップとを含む卵巣癌の診断方法であることを要旨とする。
【0038】
本発明の第35の特徴は、(イ)診断対象卵巣組織におけるKRT7遺伝子の発現量の検出値を検出するステップと、(ロ)正常な卵巣組織におけるKRT7遺伝子の発現量の正常値より検出値が高い場合、診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定するステップとを含む卵巣癌の診断方法であることを要旨とする。
【0039】
本発明の第36の特徴は、(イ)診断対象卵巣組織におけるLAMA2遺伝子の発現量の検出値を検出するステップと、(ロ)正常な卵巣組織におけるLAMA2遺伝子の発現量の正常値より検出値が低い場合、診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定するステップとを含む卵巣癌の診断方法であることを要旨とする。
【0040】
本発明の第37の特徴は、(イ)診断対象卵巣組織におけるMMP2遺伝子の発現量の検出値を検出するステップと、(ロ)正常な卵巣組織におけるMMP2遺伝子の発現量の正常値より検出値が低い場合、診断対象卵巣組織が粘液性腺癌、明細胞腺癌、又は漿液性腺癌であると判定するステップとを含む卵巣癌の診断方法であることを要旨とする。
【0041】
本発明の第38の特徴は、(イ)診断対象卵巣組織におけるTIMP1遺伝子の発現量の検出値を検出するステップと、(ロ)正常な卵巣組織におけるTIMP1遺伝子の発現量の正常値より検出値が低い場合、診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定するステップとを含む卵巣癌の診断方法であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、生体分子の発現量に基づいて卵巣癌を診断可能な卵巣癌の診断システム及び卵巣癌の診断方法を提供可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下に本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものである。したがって、具体的な寸法等は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0044】
(第1の実施の形態)
図1に示すように、第1の実施の形態に係る卵巣癌の診断システムは、診断対象卵巣組織におけるApoA1遺伝子の発現量の検出値を検出する検出装置100、及び検出装置100に接続された中央演算処理装置(CPU)300を備える。CPU300には、正常な卵巣組織におけるApoA1遺伝子の発現量の正常値を保存する記憶装置200が接続されている。またCPU300は、記憶装置200に保存されている正常値より、検出装置100が検出したApoA1遺伝子の発現量の検出値が低い場合、診断対象卵巣組織が明細胞腺癌であると判定する判定機構301を備える。なおApoA1遺伝子の発現量とは、ApoA1そのものの発現量のみならず、ApoA1をコードする遺伝子(DNA又はRNA)の発現量も含む。
【0045】
検出装置100は、例えば核酸チップのスキャナである。核酸チップにおいては、ApoA1をコードする遺伝子の一部又は全部と相補的なポリヌクレオチドが、プローブとして基板に固定されている。診断対象卵巣組織から抽出された遺伝子が核酸チップに滴下されると、ApoA1をコードする遺伝子のみが核酸チップに補足される。検出装置100は核酸チップに補足されたApoA1をコードする遺伝子の量を、ApoA1遺伝子の発現量の検出値として検出する。
【0046】
また、予め癌ではなく正常と診断された卵巣組織から抽出された遺伝子を核酸チップに滴下して、核酸チップに補足された正常卵巣組織由来の遺伝子の量の検出装置100による検出値が、記憶装置200に正常値として保存されている。
【0047】
CPU300の判定機構301は、検出装置100から診断対象卵巣組織由来のApoA1遺伝子の発現量の検出値を受信し、記憶装置200から正常卵巣組織由来のApoA1遺伝子の発現量の正常値を読み出す。さらに判定機構301はApoA1遺伝子の発現量の検出値とApoA1遺伝子の発現量の正常値とを比較し、正常値より検出値が低い場合は、診断対象卵巣組織が明細胞腺癌であると判定する。正常値より検出値が低い場合に、明細胞腺癌であると判断する理由については後述する。
【0048】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係る卵巣癌の診断システムにおいては、図1に示す検出装置100は診断対象卵巣組織におけるApoE遺伝子の発現量の検出値を検出し、記憶装置200は正常な卵巣組織におけるApoE遺伝子の発現量の正常値を保存する。また判定機構301は、記憶装置200に保存されている正常値より、検出装置100が検出したApoE遺伝子の発現量の検出値が低い場合、診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定する。なおApoE遺伝子の発現量とは、ApoEそのものの発現量のみならず、ApoEをコードする遺伝子(DNA又はRNA)の発現量も含む。
【0049】
検出装置100に配置される核酸チップにおいては、ApoEをコードする遺伝子の一部又は全部と相補的なポリヌクレオチドが、プローブとして基板に固定されている。診断対象卵巣組織から抽出された遺伝子が核酸チップに滴下されると、ApoEをコードする遺伝子のみが核酸チップに補足される。検出装置100は核酸チップに補足されたApoEをコードする遺伝子の量を、ApoE遺伝子の発現量の検出値として検出する。
【0050】
CPU300の判定機構301は、検出装置100から診断対象卵巣組織由来のApoE遺伝子の発現量の検出値を受信し、記憶装置200から正常卵巣組織由来のApoE遺伝子の発現量の正常値を読み出す。さらに判定機構301はApoE遺伝子の発現量の検出値とApoE遺伝子の発現量の正常値とを比較し、正常値より検出値が低い場合は、診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定する。正常値より検出値が低い場合に、上皮性卵巣癌であると判断する理由については後述する。
【0051】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態に係る卵巣癌の診断システムにおいては、図1に示す検出装置100は診断対象卵巣組織におけるApoJ遺伝子の発現量の検出値を検出し、記憶装置200は正常な卵巣組織におけるApoJ遺伝子の発現量の正常値を保存する。また判定機構301は、記憶装置200に保存されている正常値より、検出装置100が検出したApoJ遺伝子の発現量の検出値が低い場合、診断対象卵巣組織が粘液性腺癌又は明細胞腺癌であると判定する。なおApoJ遺伝子の発現量とは、ApoJそのものの発現量のみならず、ApoJをコードする遺伝子(DNA又はRNA)の発現量も含む。
【0052】
検出装置100に配置される核酸チップにおいては、ApoJをコードする遺伝子の一部又は全部と相補的なポリヌクレオチドが、プローブとして基板に固定されている。診断対象卵巣組織から抽出された遺伝子が核酸チップに滴下されると、ApoJをコードする遺伝子のみが核酸チップに補足される。検出装置100は核酸チップに補足されたApoJをコードする遺伝子の量を、ApoJ遺伝子の発現量の検出値として検出する。
【0053】
CPU300の判定機構301は、検出装置100から診断対象卵巣組織由来のApoJ遺伝子の発現量の検出値を受信し、記憶装置200から正常卵巣組織由来のApoJ遺伝子の発現量の正常値を読み出す。さらに判定機構301はApoJ遺伝子の発現量の検出値とApoJ遺伝子の発現量の正常値とを比較し、正常値より検出値が低い場合は、診断対象卵巣組織が粘液性腺癌又は明細胞腺癌であると判定する。正常値より検出値が低い場合に、粘液性腺癌又は明細胞腺癌であると判断する理由については後述する。
【0054】
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態に係る卵巣癌の診断システムにおいては、図1に示す検出装置100は診断対象卵巣組織におけるARL-1遺伝子の発現量の検出値を検出し、記憶装置200は正常な卵巣組織におけるARL-1遺伝子の発現量の正常値を保存する。また判定機構301は、記憶装置200に保存されている正常値より、検出装置100が検出したARL-1遺伝子の発現量の検出値が高い場合、診断対象卵巣組織が粘液性腺癌であると判定する。なおARL-1遺伝子の発現量とは、ARL-1そのものの発現量のみならず、ARL-1をコードする遺伝子(DNA又はRNA)の発現量も含む。
【0055】
検出装置100に配置される核酸チップにおいては、ARL-1をコードする遺伝子の一部又は全部と相補的なポリヌクレオチドが、プローブとして基板に固定されている。診断対象卵巣組織から抽出された遺伝子が核酸チップに滴下されると、ARL-1をコードする遺伝子のみが核酸チップに補足される。検出装置100は核酸チップに補足されたARL-1をコードする遺伝子の量を、ARL-1遺伝子の発現量の検出値として検出する。
【0056】
CPU300の判定機構301は、検出装置100から診断対象卵巣組織由来のARL-1遺伝子の発現量の検出値を受信し、記憶装置200から正常卵巣組織由来のARL-1遺伝子の発現量の正常値を読み出す。さらに判定機構301はARL-1遺伝子の発現量の検出値とARL-1遺伝子の発現量の正常値とを比較し、正常値より検出値が高い場合は、診断対象卵巣組織が粘液性腺癌であると判定する。正常値より検出値が高い場合に、粘液性腺癌であると判断する理由については後述する。
【0057】
(第5の実施の形態)
第5の実施の形態に係る卵巣癌の診断システムにおいては、図1に示す検出装置100は診断対象卵巣組織におけるBST2遺伝子の発現量の検出値を検出し、記憶装置200は正常な卵巣組織におけるBST2遺伝子の発現量の正常値を保存する。また判定機構301は、記憶装置200に保存されている正常値より、検出装置100が検出したBST2遺伝子の発現量の検出値が低い場合、診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定する。なおBST2遺伝子の発現量とは、BST2そのものの発現量のみならず、BST2をコードする遺伝子(DNA又はRNA)の発現量も含む。
【0058】
検出装置100に配置される核酸チップにおいては、BST2をコードする遺伝子の一部又は全部と相補的なポリヌクレオチドが、プローブとして基板に固定されている。診断対象卵巣組織から抽出された遺伝子が核酸チップに滴下されると、BST2をコードする遺伝子のみが核酸チップに補足される。検出装置100は核酸チップに補足されたBST2をコードする遺伝子の量を、BST2遺伝子の発現量の検出値として検出する。
【0059】
CPU300の判定機構301は、検出装置100から診断対象卵巣組織由来のBST2遺伝子の発現量の検出値を受信し、記憶装置200から正常卵巣組織由来のBST2遺伝子の発現量の正常値を読み出す。さらに判定機構301はBST2遺伝子の発現量の検出値とBST2遺伝子の発現量の正常値とを比較し、正常値より検出値が低い場合は、診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定する。正常値より検出値が低い場合に、上皮性卵巣癌であると判断する理由については後述する。
【0060】
(第6の実施の形態)
第6の実施の形態に係る卵巣癌の診断システムにおいては、図1に示す検出装置100は診断対象卵巣組織におけるCCNE1遺伝子の発現量の検出値を検出し、記憶装置200は正常な卵巣組織におけるCCNE1遺伝子の発現量の正常値を保存する。また判定機構301は、記憶装置200に保存されている正常値より、検出装置100が検出したCCNE1遺伝子の発現量の検出値が高い場合、診断対象卵巣組織が明細胞腺癌又は漿液性腺癌であると判定する。なおCCNE1遺伝子の発現量とは、CCNE1そのものの発現量のみならず、CCNE1をコードする遺伝子(DNA又はRNA)の発現量も含む。
【0061】
検出装置100に配置される核酸チップにおいては、CCNE1をコードする遺伝子の一部又は全部と相補的なポリヌクレオチドが、プローブとして基板に固定されている。診断対象卵巣組織から抽出された遺伝子が核酸チップに滴下されると、CCNE1をコードする遺伝子のみが核酸チップに補足される。検出装置100は核酸チップに補足されたCCNE1をコードする遺伝子の量を、CCNE1遺伝子の発現量の検出値として検出する。
【0062】
CPU300の判定機構301は、検出装置100から診断対象卵巣組織由来のCCNE1遺伝子の発現量の検出値を受信し、記憶装置200から正常卵巣組織由来のCCNE1遺伝子の発現量の正常値を読み出す。さらに判定機構301はCCNE1遺伝子の発現量の検出値とCCNE1遺伝子の発現量の正常値とを比較し、正常値より検出値が高い場合は、診断対象卵巣組織が明細胞腺癌又は漿液性腺癌であると判定する。正常値より検出値が高い場合に、明細胞腺癌又は漿液性腺癌であると判断する理由については後述する。
【0063】
(第7の実施の形態)
第7の実施の形態に係る卵巣癌の診断システムにおいては、図1に示す検出装置100は診断対象卵巣組織におけるCDK4遺伝子の発現量の検出値を検出し、記憶装置200は正常な卵巣組織におけるCDK4遺伝子の発現量の正常値を保存する。また判定機構301は、記憶装置200に保存されている正常値より、検出装置100が検出したCDK4遺伝子の発現量の検出値が低い場合、診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定する。なおCDK4遺伝子の発現量とは、CDK4そのものの発現量のみならず、CDK4をコードする遺伝子(DNA又はRNA)の発現量も含む。
【0064】
検出装置100に配置される核酸チップにおいては、CDK4をコードする遺伝子の一部又は全部と相補的なポリヌクレオチドが、プローブとして基板に固定されている。診断対象卵巣組織から抽出された遺伝子が核酸チップに滴下されると、CDK4をコードする遺伝子のみが核酸チップに補足される。検出装置100は核酸チップに補足されたCDK4をコードする遺伝子の量を、CDK4遺伝子の発現量の検出値として検出する。
【0065】
CPU300の判定機構301は、検出装置100から診断対象卵巣組織由来のCDK4遺伝子の発現量の検出値を受信し、記憶装置200から正常卵巣組織由来のCDK4遺伝子の発現量の正常値を読み出す。さらに判定機構301はCDK4遺伝子の発現量の検出値とCDK4遺伝子の発現量の正常値とを比較し、正常値より検出値が低い場合は、診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定する。正常値より検出値が低い場合に、上皮性卵巣癌であると判断する理由については後述する。
【0066】
(第8の実施の形態)
第8の実施の形態に係る卵巣癌の診断システムにおいては、図1に示す検出装置100は診断対象卵巣組織におけるCTNNB1遺伝子の発現量の検出値を検出し、記憶装置200は正常な卵巣組織におけるCTNNB1遺伝子の発現量の正常値を保存する。また判定機構301は、記憶装置200に保存されている正常値より、検出装置100が検出したCTNNB1遺伝子の発現量の検出値が低い場合、診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定する。なおCTNNB1遺伝子の発現量とは、CTNNB1そのものの発現量のみならず、CTNNB1をコードする遺伝子(DNA又はRNA)の発現量も含む。
【0067】
検出装置100に配置される核酸チップにおいては、CTNNB1をコードする遺伝子の一部又は全部と相補的なポリヌクレオチドが、プローブとして基板に固定されている。診断対象卵巣組織から抽出された遺伝子が核酸チップに滴下されると、CTNNB1をコードする遺伝子のみが核酸チップに補足される。検出装置100は核酸チップに補足されたCTNNB1をコードする遺伝子の量を、CTNNB1遺伝子の発現量の検出値として検出する。
【0068】
CPU300の判定機構301は、検出装置100から診断対象卵巣組織由来のCTNNB1遺伝子の発現量の検出値を受信し、記憶装置200から正常卵巣組織由来のCTNNB1遺伝子の発現量の正常値を読み出す。さらに判定機構301はCTNNB1遺伝子の発現量の検出値とCTNNB1遺伝子の発現量の正常値とを比較し、正常値より検出値が低い場合は、診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定する。正常値より検出値が低い場合に、上皮性卵巣癌であると判断する理由については後述する。
【0069】
(第9の実施の形態)
第9の実施の形態に係る卵巣癌の診断システムにおいては、図1に示す検出装置100は診断対象卵巣組織におけるERBB2遺伝子の発現量の検出値を検出し、記憶装置200は正常な卵巣組織におけるERBB2遺伝子の発現量の正常値を保存する。また判定機構301は、記憶装置200に保存されている正常値より、検出装置100が検出したERBB2遺伝子の発現量の検出値が高い場合、診断対象卵巣組織が明細胞腺癌又は漿液性腺癌であると判定する。なおERBB2遺伝子の発現量とは、ERBB2そのものの発現量のみならず、ERBB2をコードする遺伝子(DNA又はRNA)の発現量も含む。
【0070】
検出装置100に配置される核酸チップにおいては、ERBB2をコードする遺伝子の一部又は全部と相補的なポリヌクレオチドが、プローブとして基板に固定されている。診断対象卵巣組織から抽出された遺伝子が核酸チップに滴下されると、ERBB2をコードする遺伝子のみが核酸チップに補足される。検出装置100は核酸チップに補足されたERBB2をコードする遺伝子の量を、ERBB2遺伝子の発現量の検出値として検出する。
【0071】
CPU300の判定機構301は、検出装置100から診断対象卵巣組織由来のERBB2遺伝子の発現量の検出値を受信し、記憶装置200から正常卵巣組織由来のERBB2遺伝子の発現量の正常値を読み出す。さらに判定機構301はERBB2遺伝子の発現量の検出値とERBB2遺伝子の発現量の正常値とを比較し、正常値より検出値が高い場合は、診断対象卵巣組織が明細胞腺癌又は漿液性腺癌であると判定する。正常値より検出値が高い場合に、明細胞腺癌又は漿液性腺癌であると判断する理由については後述する。
【0072】
(第10の実施の形態)
第10の実施の形態に係る卵巣癌の診断システムにおいては、図1に示す検出装置100は診断対象卵巣組織におけるESR1遺伝子の発現量の検出値を検出し、記憶装置200は正常な卵巣組織におけるESR1遺伝子の発現量の正常値を保存する。また判定機構301は、記憶装置200に保存されている正常値より、検出装置100が検出したESR1遺伝子の発現量の検出値が低い場合、診断対象卵巣組織が粘液性腺癌又は明細胞腺癌であると判定する。
【0073】
検出装置100に配置される核酸チップにおいては、ESR1をコードする遺伝子の一部又は全部と相補的なポリヌクレオチドが、プローブとして基板に固定されている。診断対象卵巣組織から抽出された遺伝子が核酸チップに滴下されると、ESR1をコードする遺伝子のみが核酸チップに補足される。検出装置100は核酸チップに補足されたESR1をコードする遺伝子の量を、ESR1遺伝子の発現量の検出値として検出する。なおESR1遺伝子の発現量とは、ESR1そのものの発現量のみならず、ESR1をコードする遺伝子(DNA又はRNA)の発現量も含む。
【0074】
CPU300の判定機構301は、検出装置100から診断対象卵巣組織由来のESR1遺伝子の発現量の検出値を受信し、記憶装置200から正常卵巣組織由来のESR1遺伝子の発現量の正常値を読み出す。さらに判定機構301はESR1遺伝子の発現量の検出値とESR1遺伝子の発現量の正常値とを比較し、正常値より検出値が低い場合は、診断対象卵巣組織が粘液性腺癌又は明細胞腺癌であると判定する。正常値より検出値が低い場合に、粘液性腺癌又は明細胞腺癌であると判断する理由については後述する。
【0075】
(第11の実施の形態)
第11の実施の形態に係る卵巣癌の診断システムにおいては、図1に示す検出装置100は診断対象卵巣組織におけるHOST2遺伝子の発現量の検出値を検出し、記憶装置200は正常な卵巣組織におけるHOST2遺伝子の発現量の正常値を保存する。また判定機構301は、記憶装置200に保存されている正常値より、検出装置100が検出したHOST2遺伝子の発現量の検出値が高い場合、診断対象卵巣組織が明細胞腺癌、類内膜腺癌、又は漿液性腺癌であると判定する。なおHOST2遺伝子の発現量とは、HOST2そのものの発現量のみならず、HOST2をコードする遺伝子(DNA又はRNA)の発現量も含む。
【0076】
検出装置100に配置される核酸チップにおいては、HOST2をコードする遺伝子の一部又は全部と相補的なポリヌクレオチドが、プローブとして基板に固定されている。診断対象卵巣組織から抽出された遺伝子が核酸チップに滴下されると、HOST2をコードする遺伝子のみが核酸チップに補足される。検出装置100は核酸チップに補足されたHOST2をコードする遺伝子の量を、HOST2遺伝子の発現量の検出値として検出する。
【0077】
CPU300の判定機構301は、検出装置100から診断対象卵巣組織由来のHOST2遺伝子の発現量の検出値を受信し、記憶装置200から正常卵巣組織由来のHOST2遺伝子の発現量の正常値を読み出す。さらに判定機構301はHOST2遺伝子の発現量の検出値とHOST2遺伝子の発現量の正常値とを比較し、正常値より検出値が高い場合は、診断対象卵巣組織が明細胞腺癌、類内膜腺癌、又は漿液性腺癌であると判定する。正常値より検出値が高い場合に、明細胞腺癌、類内膜腺癌、又は漿液性腺癌であると判断する理由については後述する。
【0078】
(第12の実施の形態)
第12の実施の形態に係る卵巣癌の診断システムにおいては、図1に示す検出装置100は診断対象卵巣組織におけるHSD17B1遺伝子の発現量の検出値を検出し、記憶装置200は正常な卵巣組織におけるHSD17B1遺伝子の発現量の正常値を保存する。また判定機構301は、記憶装置200に保存されている正常値より、検出装置100が検出したHSD17B1遺伝子の発現量の検出値が低い場合、診断対象卵巣組織が明細胞腺癌又は漿液性腺癌であると判定する。なおHSD17B1遺伝子の発現量とは、HSD17B1そのものの発現量のみならず、HSD17B1をコードする遺伝子(DNA又はRNA)の発現量も含む。
【0079】
検出装置100に配置される核酸チップにおいては、HSD17B1をコードする遺伝子の一部又は全部と相補的なポリヌクレオチドが、プローブとして基板に固定されている。診断対象卵巣組織から抽出された遺伝子が核酸チップに滴下されると、HSD17B1をコードする遺伝子のみが核酸チップに補足される。検出装置100は核酸チップに補足されたHSD17B1をコードする遺伝子の量を、HSD17B1遺伝子の発現量の検出値として検出する。
【0080】
CPU300の判定機構301は、検出装置100から診断対象卵巣組織由来のHSD17B1遺伝子の発現量の検出値を受信し、記憶装置200から正常卵巣組織由来のHSD17B1遺伝子の発現量の正常値を読み出す。さらに判定機構301はHSD17B1遺伝子の発現量の検出値とHSD17B1遺伝子の発現量の正常値とを比較し、正常値より検出値が低い場合は、診断対象卵巣組織が明細胞腺癌又は漿液性腺癌であると判定する。正常値より検出値が低い場合に、明細胞腺癌又は漿液性腺癌であると判断する理由については後述する。
【0081】
(第13の実施の形態)
第13の実施の形態に係る卵巣癌の診断システムにおいては、図1に示す検出装置100は診断対象卵巣組織におけるIGFBP4遺伝子の発現量の検出値を検出し、記憶装置200は正常な卵巣組織におけるIGFBP4遺伝子の発現量の正常値を保存する。また判定機構301は、記憶装置200に保存されている正常値より、検出装置100が検出したIGFBP4遺伝子の発現量の検出値が低い場合、診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定する。なおIGFBP4遺伝子の発現量とは、IGFBP4そのものの発現量のみならず、IGFBP4をコードする遺伝子(DNA又はRNA)の発現量も含む。
【0082】
検出装置100に配置される核酸チップにおいては、IGFBP4をコードする遺伝子の一部又は全部と相補的なポリヌクレオチドが、プローブとして基板に固定されている。診断対象卵巣組織から抽出された遺伝子が核酸チップに滴下されると、IGFBP4をコードする遺伝子のみが核酸チップに補足される。検出装置100は核酸チップに補足されたIGFBP4をコードする遺伝子の量を、IGFBP4遺伝子の発現量の検出値として検出する。
【0083】
CPU300の判定機構301は、検出装置100から診断対象卵巣組織由来のIGFBP4遺伝子の発現量の検出値を受信し、記憶装置200から正常卵巣組織由来のIGFBP4遺伝子の発現量の正常値を読み出す。さらに判定機構301はIGFBP4遺伝子の発現量の検出値とIGFBP4遺伝子の発現量の正常値とを比較し、正常値より検出値が低い場合は、診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定する。正常値より検出値が低い場合に、上皮性卵巣癌であると判断する理由については後述する。
【0084】
(第14の実施の形態)
第14の実施の形態に係る卵巣癌の診断システムにおいては、図1に示す検出装置100は診断対象卵巣組織におけるIGFBP6遺伝子の発現量の検出値を検出し、記憶装置200は正常な卵巣組織におけるIGFBP6遺伝子の発現量の正常値を保存する。また判定機構301は、記憶装置200に保存されている正常値より、検出装置100が検出したIGFBP6遺伝子の発現量の検出値が低い場合、診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定する。なおIGFBP6遺伝子の発現量とは、IGFBP6そのものの発現量のみならず、IGFBP6をコードする遺伝子(DNA又はRNA)の発現量も含む。
【0085】
検出装置100に配置される核酸チップにおいては、IGFBP6をコードする遺伝子の一部又は全部と相補的なポリヌクレオチドが、プローブとして基板に固定されている。診断対象卵巣組織から抽出された遺伝子が核酸チップに滴下されると、IGFBP6をコードする遺伝子のみが核酸チップに補足される。検出装置100は核酸チップに補足されたIGFBP6をコードする遺伝子の量を、IGFBP6遺伝子の発現量の検出値として検出する。
【0086】
CPU300の判定機構301は、検出装置100から診断対象卵巣組織由来のIGFBP6遺伝子の発現量の検出値を受信し、記憶装置200から正常卵巣組織由来のIGFBP6遺伝子の発現量の正常値を読み出す。さらに判定機構301はIGFBP6遺伝子の発現量の検出値とIGFBP6遺伝子の発現量の正常値とを比較し、正常値より検出値が低い場合は、診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定する。正常値より検出値が低い場合に、上皮性卵巣癌であると判断する理由については後述する。
【0087】
(第15の実施の形態)
第15の実施の形態に係る卵巣癌の診断システムにおいては、図1に示す検出装置100は診断対象卵巣組織におけるINHA遺伝子の発現量の検出値を検出し、記憶装置200は正常な卵巣組織におけるINHA遺伝子の発現量の正常値を保存する。また判定機構301は、記憶装置200に保存されている正常値より、検出装置100が検出したINHA遺伝子の発現量の検出値が低い場合、診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定する。なおINHA遺伝子の発現量とは、INHAそのものの発現量のみならず、INHAをコードする遺伝子(DNA又はRNA)の発現量も含む。
【0088】
検出装置100に配置される核酸チップにおいては、INHAをコードする遺伝子の一部又は全部と相補的なポリヌクレオチドが、プローブとして基板に固定されている。診断対象卵巣組織から抽出された遺伝子が核酸チップに滴下されると、INHAをコードする遺伝子のみが核酸チップに補足される。検出装置100は核酸チップに補足されたINHAをコードする遺伝子の量を、INHA遺伝子の発現量の検出値として検出する。
【0089】
CPU300の判定機構301は、検出装置100から診断対象卵巣組織由来のINHA遺伝子の発現量の検出値を受信し、記憶装置200から正常卵巣組織由来のINHA遺伝子の発現量の正常値を読み出す。さらに判定機構301はINHA遺伝子の発現量の検出値とINHA遺伝子の発現量の正常値とを比較し、正常値より検出値が低い場合は、診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定する。正常値より検出値が低い場合に、上皮性卵巣癌であると判断する理由については後述する。
【0090】
(第16の実施の形態)
第16の実施の形態に係る卵巣癌の診断システムにおいては、図1に示す検出装置100は診断対象卵巣組織におけるKRT7遺伝子の発現量の検出値を検出し、記憶装置200は正常な卵巣組織におけるKRT7遺伝子の発現量の正常値を保存する。また判定機構301は、記憶装置200に保存されている正常値より、検出装置100が検出したKRT7遺伝子の発現量の検出値が高い場合、診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定する。なおKRT7遺伝子の発現量とは、KRT7そのものの発現量のみならず、KRT7をコードする遺伝子(DNA又はRNA)の発現量も含む。
【0091】
検出装置100に配置される核酸チップにおいては、KRT7をコードする遺伝子の一部又は全部と相補的なポリヌクレオチドが、プローブとして基板に固定されている。診断対象卵巣組織から抽出された遺伝子が核酸チップに滴下されると、KRT7をコードする遺伝子のみが核酸チップに補足される。検出装置100は核酸チップに補足されたKRT7をコードする遺伝子の量を、KRT7遺伝子の発現量の検出値として検出する。
【0092】
CPU300の判定機構301は、検出装置100から診断対象卵巣組織由来のKRT7遺伝子の発現量の検出値を受信し、記憶装置200から正常卵巣組織由来のKRT7遺伝子の発現量の正常値を読み出す。さらに判定機構301はKRT7遺伝子の発現量の検出値とKRT7遺伝子の発現量の正常値とを比較し、正常値より検出値が高い場合は、診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定する。正常値より検出値が高い場合に、上皮性卵巣癌であると判断する理由については後述する。
【0093】
(第17の実施の形態)
第17の実施の形態に係る卵巣癌の診断システムにおいては、図1に示す検出装置100は診断対象卵巣組織におけるLAMA2遺伝子の発現量の検出値を検出し、記憶装置200は正常な卵巣組織におけるLAMA2遺伝子の発現量の正常値を保存する。また判定機構301は、記憶装置200に保存されている正常値より、検出装置100が検出したLAMA2遺伝子の発現量の検出値が低い場合、診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定する。なおLAMA2遺伝子の発現量とは、LAMA2そのものの発現量のみならず、LAMA2をコードする遺伝子(DNA又はRNA)の発現量も含む。
【0094】
検出装置100に配置される核酸チップにおいては、LAMA2をコードする遺伝子の一部又は全部と相補的なポリヌクレオチドが、プローブとして基板に固定されている。診断対象卵巣組織から抽出された遺伝子が核酸チップに滴下されると、LAMA2をコードする遺伝子のみが核酸チップに補足される。検出装置100は核酸チップに補足されたLAMA2をコードする遺伝子の量を、LAMA2遺伝子の発現量の検出値として検出する。
【0095】
CPU300の判定機構301は、検出装置100から診断対象卵巣組織由来のLAMA2遺伝子の発現量の検出値を受信し、記憶装置200から正常卵巣組織由来のLAMA2遺伝子の発現量の正常値を読み出す。さらに判定機構301はLAMA2遺伝子の発現量の検出値とLAMA2遺伝子の発現量の正常値とを比較し、正常値より検出値が低い場合は、診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定する。正常値より検出値が低い場合に、上皮性卵巣癌であると判断する理由については後述する。
【0096】
(第18の実施の形態)
第18の実施の形態に係る卵巣癌の診断システムにおいては、図1に示す検出装置100は診断対象卵巣組織におけるMMP2遺伝子の発現量の検出値を検出し、記憶装置200は正常な卵巣組織におけるMMP2遺伝子の発現量の正常値を保存する。また判定機構301は、記憶装置200に保存されている正常値より、検出装置100が検出したMMP2遺伝子の発現量の検出値が低い場合、診断対象卵巣組織が粘液性腺癌、明細胞腺癌、又は漿液性腺癌であると判定する。なおMMP2遺伝子の発現量とは、MMP2そのものの発現量のみならず、MMP2をコードする遺伝子(DNA又はRNA)の発現量も含む。
【0097】
検出装置100に配置される核酸チップにおいては、MMP2をコードする遺伝子の一部又は全部と相補的なポリヌクレオチドが、プローブとして基板に固定されている。診断対象卵巣組織から抽出された遺伝子が核酸チップに滴下されると、MMP2をコードする遺伝子のみが核酸チップに補足される。検出装置100は核酸チップに補足されたMMP2をコードする遺伝子の量を、MMP2遺伝子の発現量の検出値として検出する。
【0098】
CPU300の判定機構301は、検出装置100から診断対象卵巣組織由来のMMP2遺伝子の発現量の検出値を受信し、記憶装置200から正常卵巣組織由来のMMP2遺伝子の発現量の正常値を読み出す。さらに判定機構301はMMP2遺伝子の発現量の検出値とMMP2遺伝子の発現量の正常値とを比較し、正常値より検出値が低い場合は、診断対象卵巣組織が粘液性腺癌、明細胞腺癌、又は漿液性腺癌であると判定する。正常値より検出値が低い場合に、粘液性腺癌、明細胞腺癌、又は漿液性腺癌であると判断する理由については後述する。
【0099】
(第19の実施の形態)
第19の実施の形態に係る卵巣癌の診断システムにおいては、図1に示す検出装置100は診断対象卵巣組織におけるTIMP1遺伝子の発現量の検出値を検出し、記憶装置200は正常な卵巣組織におけるTIMP1遺伝子の発現量の正常値を保存する。また判定機構301は、記憶装置200に保存されている正常値より、検出装置100が検出したTIMP1遺伝子の発現量の検出値が低い場合、診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定する。なおTIMP1遺伝子の発現量とは、TIMP1そのものの発現量のみならず、TIMP1をコードする遺伝子(DNA又はRNA)の発現量も含む。
【0100】
検出装置100に配置される核酸チップにおいては、TIMP1をコードする遺伝子の一部又は全部と相補的なポリヌクレオチドが、プローブとして基板に固定されている。診断対象卵巣組織から抽出された遺伝子が核酸チップに滴下されると、TIMP1をコードする遺伝子のみが核酸チップに補足される。検出装置100は核酸チップに補足されたTIMP1をコードする遺伝子の量を、TIMP1遺伝子の発現量の検出値として検出する。
【0101】
CPU300の判定機構301は、検出装置100から診断対象卵巣組織由来のTIMP1遺伝子の発現量の検出値を受信し、記憶装置200から正常卵巣組織由来のTIMP1遺伝子の発現量の正常値を読み出す。さらに判定機構301はTIMP1遺伝子の発現量の検出値とTIMP1遺伝子の発現量の正常値とを比較し、正常値より検出値が低い場合は、診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定する。正常値より検出値が低い場合に、上皮性卵巣癌であると判断する理由については後述する。
【0102】
(実施例)
上述した第1乃至第19の実施の形態に係る卵巣癌の診断システムの判定機構301の半的基準を裏付ける実施例を、以下に詳述する。
【0103】
(試料の調整)
慶應義塾大学医学部産婦人科で卵巣癌と診断された日本人の患者のうち、インフォームドコンセントを得られた患者から20の卵巣悪性腫瘍組織を摘出した。摘出された卵巣悪性腫瘍組織は、慶應義塾大学中央臨床検査部臨床病理部及び産婦人科学教室によって、病理学的な組織型診断がされ、7つの漿液性腺癌(Serous adenocarcinoma)、4つの類内膜腺癌(Endometrioid adenocarcinoma)、2つの粘液性腺癌(Mucinous adenocarcinoma)、及び7つの明細胞腺癌(Clear cell adenocarcinoma)に分類された。
【0104】
次に液体窒素を入れた乳鉢に卵巣悪性腫瘍組織を入れ、乳棒で細かく破砕した。破砕された卵巣悪性腫瘍組織を、リボヌクレアーゼの阻害剤を含む溶液(RNAlaer-ICE Kit、登録商標、AMBION社製)中に入れ、卵巣悪性腫瘍組織に溶液を浸透させた。その後、-80℃で保存した。またRNAを抽出する前に、-20℃で一昼夜の間、卵巣悪性腫瘍組織にリボヌクレアーゼの阻害剤を含む溶液を充分に浸透させた。
【0105】
次にRNA抽出キット(RNAqueous Kit、登録商標、AMBION社製)を用いて、卵巣悪性腫瘍組織から全RNA(total RNA)を抽出した。抽出されたtotal RNAに混在していたDNAをデオキシリボヌクレアーゼ(Turbo DNA free kit、登録商標、AMBION社製)で分解し、エタノール沈殿法によりtotal RNAを凝縮した。その後、電気泳動によってtotal RNAの純度と28sリボソームRNA及び18sリボソームRNAの存在を確認した。また分光光度計(BioSpec Mini、登録商標、島津製作所製)によってtotal RNAの濃度を確認した。
【0106】
次に、1μgのtotal RNAを鋳型にして、増幅キット(Message Amp II Biotin Enhanced、登録商標、AMBION社製)を用いて、totalRNAに含まれるmRNAからcDNAを合成した。さらにcDNAから、mRNAに対し相補的な配列を有し、ビオチン化された多数のアンチセンスRNAを増幅した。
【0107】
(プローブの調整)
ApoA1_1遺伝子のmRNAのアンチセンスRNAを検出するための5つのポリヌクレオチドの配列を、配列設計ソフトウェア(Combi社)で設計した。ApoE_2遺伝子、ApoJ_1遺伝子、ARL-1_1遺伝子、BST2_1遺伝子、CCNE1_1遺伝子、CDK4遺伝子、CTNNB1遺伝子、ERBB2_1遺伝子、ESR1遺伝子、HOST2遺伝子、HSD17B1遺伝子、IGFBP4遺伝子、IGFBP6遺伝子、INHA遺伝子、KRT7_1遺伝子、LAMA2遺伝子、MMP2遺伝子、TIMP1_1遺伝子のそれぞれについても、アンチセンスRNAを検出するための5つのポリヌクレオチドを設計した。その後、他のポリヌクレオチドと相補的なポリヌクレオチドや、他のポリヌクレオチドと配列が近似するポリヌクレオチドを除外し、各々の5つのポリヌクレオチドから3つのポリヌクレオチドをプローブとして選定した。選定されたプローブを有するマイクロアレイは、Combi社でホスホアミダイト法等を用いて製造された。
【0108】
(アッセイの方法)
まずプローブをコンビマトリックス社のカスタムアレイ(登録商標)に配置し、粘液性腺癌、明細胞腺癌、類内膜腺癌、及び漿液性腺癌由来の2μgのアンチセンスRNAとハイブリダイゼーションさせた。またコントロールとして、正常卵巣組織由来のRNA(Clontech社製)から調整されたビオチン化されたアンチセンスRNAとプローブとをハイブリダイゼーションさせた。なおClontech社の正常卵巣組織由来のRNAは、15人の白人(Caucasian)女性から採取されたものである。
【0109】
ハイブリダイゼーション後、コンビマトリックス社のマニュアルに従ってカスタムアレイを洗浄し、未反応のプローブをブロッキングした。その後、ビオチン化されたRNAをCy3標識ストレプトアビジンでラベリングした。次にCy3の蛍光をスキャナ(GenePix4000B、Axon社)で読み取り、TIFF画像を生成した。さらに画像解析ソフトウェア(Imager、Combi社)でTIFF画像を解析し、Cy3の蛍光強度を数値化し、テキストファイルを生成した。さらにテキストファイルをマイクロアレイデータ解析ソフトウェア(GeneSpring GX 7.3.1, TOMY Digital Biology社)に取り込み、カスタムアレイ毎の標準化を行うためにCy3の蛍光強度の総てのデータを正規化し、その後、コントロールにおけるCy3の蛍光強度が1となるようCy3の蛍光強度の数値を規格化した。なおGeneSpring GX 7.3.1には、正常組織中の発現データが1.0となるように、データをノーマライズする機能が備わっている。以下、規格化及び標準化されたCy3の蛍光強度を、遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度とする。
【0110】
(ApoA1_1遺伝子発現のアッセイ)
ApoA1_1遺伝子のアンチセンスRNAを検出するための第1のプローブは配列表に記載された配列番号2の塩基配列からなり、第2のプローブは配列番号3の塩基配列からなり、第3のプローブは配列番号4の塩基配列からなる。第1のプローブは、配列番号1の塩基配列からなるApoA1_1遺伝子の155番目から189番目までのヌクレオチドに対応する。第2のプローブはApoA1_1遺伝子の234番目から268番目までのヌクレオチドに対応し、第3のプローブはApoA1_1遺伝子の795番目から829番目までのヌクレオチドに対応する。
【0111】
図2及び図3は第1のプローブを用いた場合の、カスタムアレイの3つのレーンのそれぞれにおけるアンチセンスRNAの検出強度を示す。従来、卵巣癌患者の血清中のApoA1の発現量は非常に少ないとされていたが、組織型毎の発現量は不明であり、明細胞腺癌における報告はなかった。これに対し、第1のプローブを用いた場合、明細胞腺癌由来のApoA1_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度は、他の組織型の腺癌由来のRNAの検出強度よりも低かった。よって第1のプローブにハイブリダイズする検査対象RNAの量が少ない場合、検査対象RNAが由来する組織は明細胞腺癌であると診断することが可能である。
【0112】
図4及び図5は第2のプローブを用いた場合のアンチセンスRNAの検出強度を示し、図6及び図7は第3のプローブを用いた場合のアンチセンスRNAの検出強度を示す。第2及び第3のプローブを用いた場合も、明細胞腺癌由来のApoA1_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度は1よりも小さかった。
【0113】
(ApoE_2遺伝子発現のアッセイ)
ApoE_2遺伝子のアンチセンスRNAを検出するための第1のプローブは配列番号6の塩基配列からなり、第2のプローブは配列番号7の塩基配列からなり、第3のプローブは配列番号8の塩基配列からなる。第1のプローブは、配列番号5の塩基配列からなるApoE_2遺伝子の309番目から343番目までのヌクレオチドに対応する。第2のプローブはApoE_2遺伝子の335番目から369番目までのヌクレオチドに対応し、第3のプローブはApoE_2遺伝子の1103番目から1137番目までのヌクレオチドに対応する。
【0114】
図8及び図9は第1のプローブを用いた場合、図10及び図11は第2のプローブを用いた場合、図12及び図13は第3のプローブを用いた場合のApoE_2遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す。従来、卵巣癌患者においてApoE_2の発現量は高くなると考えられていた。また組織型毎の発現量は報告されてなかった。これに対し、粘液性腺癌、明細胞腺癌、類内膜腺癌、及び漿液性腺癌の総ての組織型において、ApoE_2遺伝子の発現量は正常卵巣組織より低くなることが示された。したがってApoE_2遺伝子の発現量が低い場合、上皮性卵巣癌であると診断することが可能である。
【0115】
(ApoJ_1遺伝子発現のアッセイ)
ApoJ_1遺伝子のアンチセンスRNAを検出するための第1のプローブは配列番号10の塩基配列からなり、第2のプローブは配列番号11の塩基配列からなり、第3のプローブは配列番号12の塩基配列からなる。第1のプローブは、配列番号9の塩基配列からなるApoJ_1遺伝子の737番目から772番目までのヌクレオチドに対応する。第2のプローブはApoJ_1遺伝子の811番目から845番目までのヌクレオチドに対応し、第3のプローブはApoJ_1遺伝子の1033番目から1067番目までのヌクレオチドに対応する。
【0116】
図14及び図15は第1のプローブを用いた場合、図16及び図17は第2のプローブを用いた場合、図18及び図19は第3のプローブを用いた場合のApoJ_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す。従来、卵巣癌患者においてApoJ_1の発現量は高くなると考えられていた。また組織型毎の発現量は報告されてなかった。これに対し、類内膜腺癌及び漿液性腺癌においてはApoJ_1遺伝子の発現量はばらつくが、粘液性腺癌及び明細胞腺癌においてはApoJ_1遺伝子の発現量は正常卵巣組織より低下することが示された。したがってApoJ_1遺伝子の発現量が低い場合、粘液性腺癌又は明細胞腺癌であると診断することが可能である。
【0117】
(ARL-1_1遺伝子発現のアッセイ)
ARL-1_1遺伝子のアンチセンスRNAを検出するための第1のプローブは配列番号14の塩基配列からなり、第2のプローブは配列番号15の塩基配列からなり、第3のプローブは配列番号16の塩基配列からなる。第1のプローブは、配列番号13の塩基配列からなるARL-1_1遺伝子の567番目から602番目までのヌクレオチドに対応する。第2のプローブはARL-1_1遺伝子の802番目から836番目までのヌクレオチドに対応し、第3のプローブはARL-1_1遺伝子の1320番目から1357番目までのヌクレオチドに対応する。
【0118】
図20及び図21は第1のプローブを用いた場合、図22及び図23は第2のプローブを用いた場合、図24及び図25は第3のプローブを用いた場合のARL-1_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す。従来、卵巣腫瘍におけるARL-1_1の発現量は報告されてなかった。これに対し、粘液性腺癌においてARL-1_1遺伝子の発現量は正常卵巣組織より高くなることが示された。したがってARL-1_1遺伝子の発現量が高い場合、粘液性腺癌であると診断することが可能である。
【0119】
(BST2_1遺伝子発現のアッセイ)
BST2_1遺伝子のアンチセンスRNAを検出するための第1のプローブは配列番号18の塩基配列からなり、第2のプローブは配列番号19の塩基配列からなり、第3のプローブは配列番号20の塩基配列からなる。第1のプローブは、配列番号17の塩基配列からなるBST2_1遺伝子の11番目から45番目までのヌクレオチドに対応する。第2のプローブはBST2_1遺伝子の186番目から220番目までのヌクレオチドに対応し、第3のプローブはBST2_1遺伝子の373番目から407番目までのヌクレオチドに対応する。
【0120】
図26及び図27は第1のプローブを用いた場合、図28及び図29は第2のプローブを用いた場合、図30及び図31は第3のプローブを用いた場合のBST2_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す。従来、卵巣癌患者においてBST2_1の発現量は高くなると考えられていた。また組織型毎の発現量は報告されてなかった。これに対し、粘液性腺癌、明細胞腺癌、類内膜腺癌、及び漿液性腺癌の総ての組織型において、BST2_1遺伝子の発現量は正常卵巣組織より低くなることが示された。したがってBST2_1遺伝子の発現量が低い場合、上皮性卵巣癌であると診断することが可能である。
【0121】
(CCNE1_1遺伝子発現のアッセイ)
CCNE1_1遺伝子のアンチセンスRNAを検出するための第1のプローブは配列番号22の塩基配列からなり、第2のプローブは配列番号23の塩基配列からなり、第3のプローブは配列番号24の塩基配列からなる。第1のプローブは、配列番号21の塩基配列からなるCCNE1_1遺伝子の910番目から945番目までのヌクレオチドに対応する。第2のプローブはCCNE1_1遺伝子の956番目から990番目までのヌクレオチドに対応し、第3のプローブはCCNE1_1遺伝子の1484番目から1518番目までのヌクレオチドに対応する。
【0122】
図32及び図33は第1のプローブを用いた場合、図34及び図35は第2のプローブを用いた場合、図36及び図37は第3のプローブを用いた場合のCCNE1_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す。従来、卵巣癌患者においてCCNE1_1の発現量は低くなると考えられていた。また組織型毎の発現量は報告されてなかった。これに対し、明細胞腺癌及び漿液性腺癌において、CCNE1_1遺伝子の発現量は正常卵巣組織より高くなることが示された。したがってCCNE1_1遺伝子の発現量が高い場合、明細胞腺癌又は漿液性腺癌であると診断することが可能である。
【0123】
(CDK4遺伝子発現のアッセイ)
CDK4遺伝子のアンチセンスRNAを検出するための第1のプローブは配列番号26の塩基配列からなり、第2のプローブは配列番号27の塩基配列からなり、第3のプローブは配列番号28の塩基配列からなる。第1のプローブは、配列番号25の塩基配列からなるCDK4遺伝子の579番目から613番目までのヌクレオチドに対応する。第2のプローブはCDK4遺伝子の731番目から765番目までのヌクレオチドに対応し、第3のプローブはCDK4遺伝子の1115番目から1149番目までのヌクレオチドに対応する。
【0124】
図38及び図39は第1のプローブを用いた場合、図40及び図41は第2のプローブを用いた場合、図42及び図43は第3のプローブを用いた場合のCDK4遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す。従来、卵巣癌患者においてCDK4の発現量は高くなると考えられていた。また組織型毎の発現量は報告されてなかった。これに対し、粘液性腺癌、明細胞腺癌、類内膜腺癌、及び漿液性腺癌の総ての組織型において、CDK4遺伝子の発現量は正常卵巣組織より低くなることが示された。したがってCDK4遺伝子の発現量が低い場合、上皮性卵巣癌であると診断することが可能である。
【0125】
(CTNNB1遺伝子発現のアッセイ)
CTNNB1遺伝子のアンチセンスRNAを検出するための第1のプローブは配列番号30の塩基配列からなり、第2のプローブは配列番号31の塩基配列からなり、第3のプローブは配列番号32の塩基配列からなる。第1のプローブは、配列番号29の塩基配列からなるCTNNB1遺伝子の2950番目から2985番目までのヌクレオチドに対応する。第2のプローブはCTNNB1遺伝子の3012番目から3046番目までのヌクレオチドに対応し、第3のプローブはCTNNB1遺伝子の3625番目から3660番目までのヌクレオチドに対応する。
【0126】
図44及び図45は第1のプローブを用いた場合、図46及び図47は第2のプローブを用いた場合、図48及び図49は第3のプローブを用いた場合のCTNNB1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す。従来、卵巣腫瘍においてCTNNB1の発現量は高くなると考えられていた。また組織型毎の発現量は報告されてなかった。これに対し、第1及び第2のプローブで検出されるCTNNB1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度は、いずれの組織型でも正常卵巣組織より低かった。よって第1及び第2のプローブにハイブリダイズする検査対象RNAの量が少ない場合、検査対象RNAが由来する組織は上皮性卵巣癌であると診断することが可能である。
【0127】
(ERBB2_1遺伝子発現のアッセイ)
ERBB2_1遺伝子のアンチセンスRNAを検出するための第1のプローブは配列番号34の塩基配列からなり、第2のプローブは配列番号35の塩基配列からなり、第3のプローブは配列番号36の塩基配列からなる。第1のプローブは、配列番号33の塩基配列からなるERBB2_1遺伝子の4074番目から4108番目までのヌクレオチドに対応する。第2のプローブはERBB2_1遺伝子の4495番目から4529番目までのヌクレオチドに対応し、第3のプローブはERBB2_1遺伝子の4623番目から4657番目までのヌクレオチドに対応する。
【0128】
図50及び図51は第1のプローブを用いた場合、図52及び図53は第2のプローブを用いた場合、図54及び図55は第3のプローブを用いた場合のERBB2_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す。従来、卵巣腫瘍においてERBB2_1の発現量は低くなると考えられていた。また組織型毎の発現量は報告されてなかった。これに対し、第2及び第3のプローブを用いた場合に、明細胞腺癌及び漿液性腺癌由来のERBB2_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度は正常卵巣組織より高くなることが示された。よって第2及び第3のプローブにハイブリダイズする検査対象RNAの量が多い場合、検査対象RNAが由来する組織は明細胞腺癌又は漿液性腺癌であると診断することが可能である。
【0129】
(ESR1遺伝子発現のアッセイ)
ESR1遺伝子のアンチセンスRNAを検出するための第1のプローブは配列番号38の塩基配列からなり、第2のプローブは配列番号39の塩基配列からなり、第3のプローブは配列番号40の塩基配列からなる。第1のプローブは、配列番号37の塩基配列からなるESR1遺伝子の5681番目から5715番目までのヌクレオチドに対応する。第2のプローブはESR1遺伝子の6281番目から6317番目までのヌクレオチドに対応し、第3のプローブはESR1遺伝子の6385番目から6419番目までのヌクレオチドに対応する。
【0130】
図56及び図57は第1のプローブを用いた場合、図58及び図59は第2のプローブを用いた場合、図60及び図61は第3のプローブを用いた場合のESR1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す。従来、卵巣腫瘍においてESR1の発現量は高くなると考えられていた。また組織型毎の発現量は報告されてなかった。これに対し、第2及び第3のプローブを用いた場合、粘液性腺癌及び明細胞腺癌由来のESR1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度は正常卵巣組織より低くなることが示された。よって第2及び第3のプローブにハイブリダイズする検査対象RNAの量が少ない場合、検査対象RNAが由来する組織は粘液性腺癌及び明細胞腺癌であると診断することが可能である。
【0131】
(HOST2遺伝子発現のアッセイ)
HOST2遺伝子のアンチセンスRNAを検出するための第1のプローブは配列番号42の塩基配列からなり、第2のプローブは配列番号43の塩基配列からなり、第3のプローブは配列番号44の塩基配列からなる。第1のプローブは、配列番号41の塩基配列からなるHOST2遺伝子の374番目から408番目までのヌクレオチドに対応する。第2のプローブはHOST2遺伝子の465番目から499番目までのヌクレオチドに対応し、第3のプローブはHOST2遺伝子の608番目から644番目までのヌクレオチドに対応する。
【0132】
図62及び図63は第1のプローブを用いた場合、図64及び図65は第2のプローブを用いた場合、図66及び図67は第3のプローブを用いた場合のHOST2遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す。従来、日本人の卵巣腫瘍におけるHOST2の発現量は報告されてなかった。これに対し、日本人の明細胞腺癌、類内膜腺癌、及び漿液性腺癌において、HOST2遺伝子の発現量は正常卵巣組織より高くなることが示された。したがってHOST2遺伝子の発現量が高い場合、明細胞腺癌、類内膜腺癌、又は漿液性腺癌であると診断することが可能である。
【0133】
(HSD17B1遺伝子発現のアッセイ)
HSD17B1遺伝子のアンチセンスRNAを検出するための第1のプローブは配列番号46の塩基配列からなり、第2のプローブは配列番号47の塩基配列からなり、第3のプローブは配列番号48の塩基配列からなる。第1のプローブは、配列番号45の塩基配列からなるHSD17B1遺伝子の1305番目から1340番目までのヌクレオチドに対応する。第2のプローブはHSD17B1遺伝子の1445番目から1479番目までのヌクレオチドに対応し、第3のプローブはHSD17B1遺伝子の2056番目から2090番目までのヌクレオチドに対応する。
【0134】
図68及び図69は第1のプローブを用いた場合、図70及び図71は第2のプローブを用いた場合、図72及び図73は第3のプローブを用いた場合のHSD17B1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す。従来、正常卵巣組織中でHSD17B1は多量に発現すると報告されていたが、第3のプローブを用いた場合、明細胞腺癌及び漿液性腺癌由来のHSD17B1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度は正常卵巣組織より低くなることが示された。よって第3のプローブにハイブリダイズする検査対象RNAの量が少ない場合、検査対象RNAが由来する組織は明細胞腺癌又は漿液性腺癌由来であると診断することが可能である。
【0135】
(IGFBP4遺伝子発現のアッセイ)
IGFBP4遺伝子のアンチセンスRNAを検出するための第1のプローブは配列番号50の塩基配列からなり、第2のプローブは配列番号51の塩基配列からなり、第3のプローブは配列番号52の塩基配列からなる。第1のプローブは、配列番号49の塩基配列からなるIGFBP4遺伝子の1100番目から1134番目までのヌクレオチドに対応する。第2のプローブはIGFBP4遺伝子の1360番目から1394番目までのヌクレオチドに対応し、第3のプローブはIGFBP4遺伝子の1772番目から1806番目までのヌクレオチドに対応する。
【0136】
図74及び図75は第1のプローブを用いた場合、図76及び図77は第2のプローブを用いた場合、図78及び図79は第3のプローブを用いた場合のIGFBP4遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す。従来、卵巣腫瘍においてIGFBP4の発現量は高くなると考えられていた。また組織型毎の発現量は報告されてなかった。これに対し、粘液性腺癌、明細胞腺癌、類内膜腺癌、及び漿液性腺癌のいずれの組織型においても、IGFBP4の発現量は正常卵巣組織より低くなることが示された。したがってIGFBP4遺伝子の発現量が低い場合、上皮性卵巣癌であると診断することが可能である。
【0137】
(IGFBP6遺伝子発現のアッセイ)
IGFBP6遺伝子のアンチセンスRNAを検出するための第1のプローブは配列番号54の塩基配列からなり、第2のプローブは配列番号55の塩基配列からなり、第3のプローブは配列番号56の塩基配列からなる。第1のプローブは、配列番号53の塩基配列からなるIGFBP6遺伝子の445番目から479番目までのヌクレオチドに対応する。第2のプローブはIGFBP6遺伝子の529番目から563番目までのヌクレオチドに対応し、第3のプローブはIGFBP6遺伝子の609番目から643番目までのヌクレオチドに対応する。
【0138】
図80及び図81は第1のプローブを用いた場合、図82及び図83は第2のプローブを用いた場合、図84及び図85は第3のプローブを用いた場合のIGFBP6遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す。従来、卵巣腫瘍におけるIGFBP6の発現量は報告されてなかった。これに対し、粘液性腺癌、明細胞腺癌、類内膜腺癌、及び漿液性腺癌のいずれの組織型においても、IGFBP6の発現量は正常卵巣組織より低くなることが示された。したがってIGFBP6遺伝子の発現量が低い場合、上皮性卵巣癌であると診断することが可能である。
【0139】
(INHA遺伝子発現のアッセイ)
INHA遺伝子のアンチセンスRNAを検出するための第1のプローブは配列番号58の塩基配列からなり、第2のプローブは配列番号59の塩基配列からなり、第3のプローブは配列番号60の塩基配列からなる。第1のプローブは、配列番号57の塩基配列からなるINHA遺伝子の374番目から408番目までのヌクレオチドに対応する。第2のプローブはINHA遺伝子の465番目から499番目までのヌクレオチドに対応し、第3のプローブはINHA遺伝子の608番目から644番目までのヌクレオチドに対応する。
【0140】
図86及び図87は第1のプローブを用いた場合、図88及び図89は第2のプローブを用いた場合、図90及び図91は第3のプローブを用いた場合のINHA遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す。従来、卵巣腫瘍におけるINHAの発現量は高いと考えられていた。また組織型毎の発現量は報告されてなかった。これに対し、粘液性腺癌、明細胞腺癌、類内膜腺癌、及び漿液性腺癌のいずれの組織型においても、INHAの発現は正常卵巣組織より低くなることが示された。特に第1及び第3のプローブにおいて顕著であった。したがってINHA遺伝子の発現量が低い場合、上皮性卵巣癌であると診断することが可能である。
【0141】
(KRT7_1遺伝子発現のアッセイ)
KRT7_1遺伝子のアンチセンスRNAを検出するための第1のプローブは配列番号62の塩基配列からなり、第2のプローブは配列番号63の塩基配列からなり、第3のプローブは配列番号64の塩基配列からなる。第1のプローブは、配列番号61の塩基配列からなるKRT7_1遺伝子の797番目から832番目までのヌクレオチドに対応する。第2のプローブはKRT7_1遺伝子の1092番目から1126番目までのヌクレオチドに対応し、第3のプローブはKRT7_1遺伝子の1610番目から1644番目までのヌクレオチドに対応する。
【0142】
図92及び図93は第1のプローブを用いた場合、図94及び図95は第2のプローブを用いた場合、図96及び図97は第3のプローブを用いた場合のKRT7_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す。従来、明細胞腺癌におけるKRT7_1の発現量は報告されてなかった。これに対し、明細胞腺癌においてKRT7_1の発現量は正常卵巣組織より高くなることが示された。したがってKRT7_1遺伝子の発現量が高い場合、上皮性卵巣癌であると診断することが可能である。
【0143】
(LAMA2遺伝子発現のアッセイ)
LAMA2遺伝子のアンチセンスRNAを検出するための第1のプローブは配列番号66の塩基配列からなり、第2のプローブは配列番号67の塩基配列からなり、第3のプローブは配列番号68の塩基配列からなる。第1のプローブは、配列番号65の塩基配列からなるLAMA2遺伝子の8695番目から8729番目までのヌクレオチドに対応する。第2のプローブはLAMA2遺伝子の8759番目から8793番目までのヌクレオチドに対応し、第3のプローブはLAMA2遺伝子の9271番目から9305番目までのヌクレオチドに対応する。
【0144】
図98及び図99は第1のプローブを用いた場合、図100及び図101は第2のプローブを用いた場合、図102及び図103は第3のプローブを用いた場合のLAMA2遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す。従来、卵巣腫瘍においてLAMA2の発現量は高くなると考えられていた。また組織型毎の発現量は報告されてなかった。これに対し、粘液性腺癌、明細胞腺癌、類内膜腺癌、及び漿液性腺癌のいずれの組織型においても、LAMA2の発現量は正常卵巣組織より低くなることが示された。特に第3のプローブを用いた場合に顕著であった。したがってLAMA2遺伝子の発現量が低い場合、上皮性卵巣癌であると診断することが可能である。
【0145】
(MMP2遺伝子発現のアッセイ)
MMP2遺伝子のアンチセンスRNAを検出するための第1のプローブは配列番号70の塩基配列からなり、第2のプローブは配列番号71の塩基配列からなり、第3のプローブは配列番号72の塩基配列からなる。第1のプローブは、配列番号69の塩基配列からなるMMP2遺伝子の2635番目から2699番目までのヌクレオチドに対応する。第2のプローブはMMP2遺伝子の2862番目から2896番目までのヌクレオチドに対応し、第3のプローブはMMP2遺伝子の3439番目から3473番目までのヌクレオチドに対応する。
【0146】
図104及び図105は第1のプローブを用いた場合、図106及び図107は第2のプローブを用いた場合、図108及び図109は第3のプローブを用いた場合のMMP2遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す。従来、卵巣腫瘍においてMMP2の発現量は高くなると考えられていた。また組織型毎の発現量は報告されてなかった。これに対し、粘液性腺癌、明細胞腺癌、及び漿液性腺癌において、MMP2の発現量は正常卵巣組織より低くなることが示された。したがってMMP2遺伝子の発現量が低い場合、粘液性腺癌、明細胞腺癌、又は漿液性腺癌であると診断することが可能である。
【0147】
(TIMP1_1遺伝子発現のアッセイ)
TIMP1_1遺伝子のアンチセンスRNAを検出するための第1のプローブは配列番号74の塩基配列からなり、第2のプローブは配列番号75の塩基配列からなり、第3のプローブは配列番号76の塩基配列からなる。第1のプローブは、配列番号73の塩基配列からなるTIMP1_1遺伝子の293番目から327番目までのヌクレオチドに対応する。第2のプローブはTIMP1_1遺伝子の345番目から379番目までのヌクレオチドに対応し、第3のプローブはTIMP1_1遺伝子の451番目から491番目までのヌクレオチドに対応する。
【0148】
図110及び図111は第1のプローブを用いた場合、図112及び図113は第2のプローブを用いた場合、図114及び図115は第3のプローブを用いた場合のTIMP1_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す。従来、卵巣腫瘍においてTIMP1_1の発現量は高くなると考えられていた。また組織型毎の発現量は報告されてなかった。これに対し、粘液性腺癌、明細胞腺癌、類内膜腺癌、及び漿液性腺癌のいずれの組織型においても、TIMP1_1の発現量は正常卵巣組織より低くなることが示された。したがってTIMP1_1遺伝子の発現量が低い場合、上皮性卵巣癌であると診断することが可能である。
【0149】
(配列表の説明)
本明細書の配列表に記載された配列番号1乃至76は、以下の配列を示す。
【0150】
[配列番号 : 1] ApoA1_1遺伝子の塩基配列。
【0151】
[配列番号 : 2] ApoA1_1遺伝子のアンチセンスRNAの第1のプローブの塩基配列。
【0152】
[配列番号 : 3] ApoA1_1遺伝子のアンチセンスRNAの第2のプローブの塩基配列。
【0153】
[配列番号 : 4] ApoA1_1遺伝子のアンチセンスRNAの第3のプローブの塩基配列。
【0154】
[配列番号 : 5] ApoE_2遺伝子の塩基配列。
【0155】
[配列番号 : 6] ApoE_2遺伝子のアンチセンスRNAの第1のプローブの塩基配列。
【0156】
[配列番号 : 7] ApoE_2遺伝子のアンチセンスRNAの第2のプローブの塩基配列。
【0157】
[配列番号 : 8] ApoE_2遺伝子のアンチセンスRNAの第3のプローブの塩基配列。
【0158】
[配列番号 : 9] ApoJ_1遺伝子の塩基配列。
【0159】
[配列番号 : 10] ApoJ_1遺伝子のアンチセンスRNAの第1のプローブの塩基配列。
【0160】
[配列番号 : 11] ApoJ_1遺伝子のアンチセンスRNAの第2のプローブの塩基配列。
【0161】
[配列番号 : 12] ApoJ_1遺伝子のアンチセンスRNAの第3のプローブの塩基配列。
【0162】
[配列番号 : 13] ARL-1_1遺伝子の塩基配列。
【0163】
[配列番号 : 14] ARL-1_1遺伝子のアンチセンスRNAの第1のプローブの塩基配列。
【0164】
[配列番号 : 15] ARL-1_1遺伝子のアンチセンスRNAの第2のプローブの塩基配列。
【0165】
[配列番号 : 16] ARL-1_1遺伝子のアンチセンスRNAの第3のプローブの塩基配列。
【0166】
[配列番号 : 17] BST2_1遺伝子の塩基配列。
【0167】
[配列番号 : 18] BST2_1遺伝子のアンチセンスRNAの第1のプローブの塩基配列。
【0168】
[配列番号 : 19] BST2_1遺伝子のアンチセンスRNAの第2のプローブの塩基配列。
【0169】
[配列番号 : 20] BST2_1遺伝子のアンチセンスRNAの第3のプローブの塩基配列。
【0170】
[配列番号 : 21] CCNE1_1遺伝子の塩基配列。
【0171】
[配列番号 : 22] CCNE1_1遺伝子のアンチセンスRNAの第1のプローブの塩基配列。
【0172】
[配列番号 : 23] CCNE1_1遺伝子のアンチセンスRNAの第2のプローブの塩基配列。
【0173】
[配列番号 : 24] CCNE1_1遺伝子のアンチセンスRNAの第3のプローブの塩基配列。
【0174】
[配列番号 : 25] CDK4遺伝子の塩基配列。
【0175】
[配列番号 : 26] CDK4遺伝子のアンチセンスRNAの第1のプローブの塩基配列。
【0176】
[配列番号 : 27] CDK4遺伝子のアンチセンスRNAの第2のプローブの塩基配列。
【0177】
[配列番号 : 28] CDK4遺伝子のアンチセンスRNAの第3のプローブの塩基配列。
【0178】
[配列番号 : 29] CTNNB1遺伝子の塩基配列。
【0179】
[配列番号 : 30] CTNNB1遺伝子のアンチセンスRNAの第1のプローブの塩基配列。
【0180】
[配列番号 : 31] CTNNB1遺伝子のアンチセンスRNAの第2のプローブの塩基配列。
【0181】
[配列番号 : 32] CTNNB1遺伝子のアンチセンスRNAの第3のプローブの塩基配列。
【0182】
[配列番号 : 33] ERBB2_1遺伝子の塩基配列。
【0183】
[配列番号 : 34] ERBB2_1遺伝子のアンチセンスRNAの第1のプローブの塩基配列。
【0184】
[配列番号 : 35] ERBB2_1遺伝子のアンチセンスRNAの第2のプローブの塩基配列。
【0185】
[配列番号 : 36] ERBB2_1遺伝子のアンチセンスRNAの第3のプローブの塩基配列。
【0186】
[配列番号 : 37] ESR1遺伝子の塩基配列。
【0187】
[配列番号 : 38] ESR1遺伝子のアンチセンスRNAの第1のプローブの塩基配列。
【0188】
[配列番号 : 39] ESR1遺伝子のアンチセンスRNAの第2のプローブの塩基配列。
【0189】
[配列番号 : 40] ESR1遺伝子のアンチセンスRNAの第3のプローブの塩基配列。
【0190】
[配列番号 : 41] HOST2遺伝子の塩基配列。
【0191】
[配列番号 : 42] HOST2遺伝子のアンチセンスRNAの第1のプローブの塩基配列。
【0192】
[配列番号 : 43] HOST2遺伝子のアンチセンスRNAの第2のプローブの塩基配列。
【0193】
[配列番号 : 44] HOST2遺伝子のアンチセンスRNAの第3のプローブの塩基配列。
【0194】
[配列番号 : 45] HSD17B1遺伝子の塩基配列。
【0195】
[配列番号 : 46] HSD17B1遺伝子のアンチセンスRNAの第1のプローブの塩基配列。
【0196】
[配列番号 : 47] HSD17B1遺伝子のアンチセンスRNAの第2のプローブの塩基配列。
【0197】
[配列番号 : 48] HSD17B1遺伝子のアンチセンスRNAの第3のプローブの塩基配列。
【0198】
[配列番号 : 49] IGFBP4遺伝子の塩基配列。
【0199】
[配列番号 : 50] IGFBP4遺伝子のアンチセンスRNAの第1のプローブの塩基配列。
【0200】
[配列番号 : 51] IGFBP4遺伝子のアンチセンスRNAの第2のプローブの塩基配列。
【0201】
[配列番号 : 52] IGFBP4遺伝子のアンチセンスRNAの第3のプローブの塩基配列。
【0202】
[配列番号 : 53] IGFBP6遺伝子の塩基配列。
【0203】
[配列番号 : 54] IGFBP6遺伝子のアンチセンスRNAの第1のプローブの塩基配列。
【0204】
[配列番号 : 55] IGFBP6遺伝子のアンチセンスRNAの第2のプローブの塩基配列。
【0205】
[配列番号 : 56] IGFBP6遺伝子のアンチセンスRNAの第3のプローブの塩基配列。
【0206】
[配列番号 : 57] INHA遺伝子の塩基配列。
【0207】
[配列番号 : 58] INHA遺伝子のアンチセンスRNAの第1のプローブの塩基配列。
【0208】
[配列番号 : 59] INHA遺伝子のアンチセンスRNAの第2のプローブの塩基配列。
【0209】
[配列番号 : 60] INHA遺伝子のアンチセンスRNAの第3のプローブの塩基配列。
【0210】
[配列番号 : 61] KRT7_1遺伝子の塩基配列。
【0211】
[配列番号 : 62] KRT7_1遺伝子のアンチセンスRNAの第1のプローブの塩基配列。
【0212】
[配列番号 : 63] KRT7_1遺伝子のアンチセンスRNAの第2のプローブの塩基配列。
【0213】
[配列番号 : 64] KRT7_1遺伝子のアンチセンスRNAの第3のプローブの塩基配列。
【0214】
[配列番号 : 65] LAMA2遺伝子の塩基配列。
【0215】
[配列番号 : 66] LAMA2遺伝子のアンチセンスRNAの第1のプローブの塩基配列。
【0216】
[配列番号 : 67] LAMA2遺伝子のアンチセンスRNAの第2のプローブの塩基配列。
【0217】
[配列番号 : 68] LAMA2遺伝子のアンチセンスRNAの第3のプローブの塩基配列。
【0218】
[配列番号 : 69] MMP2遺伝子の塩基配列。
【0219】
[配列番号 : 70] MMP2遺伝子のアンチセンスRNAの第1のプローブの塩基配列。
【0220】
[配列番号 : 71] MMP2遺伝子のアンチセンスRNAの第2のプローブの塩基配列。
【0221】
[配列番号 : 72] MMP2遺伝子のアンチセンスRNAの第3のプローブの塩基配列。
【0222】
[配列番号 : 73] TIMP1_1遺伝子の塩基配列。
【0223】
[配列番号 : 74] TIMP1_1遺伝子のアンチセンスRNAの第1のプローブの塩基配列。
【0224】
[配列番号 : 75] TIMP1_1遺伝子のアンチセンスRNAの第2のプローブの塩基配列。
【0225】
[配列番号 : 76] TIMP1_1遺伝子のアンチセンスRNAの第3のプローブの塩基配列。
【0226】
本明細書において塩基を略号で表示する場合、IUPAC-IUB Commision on Biochemical Nomenclatureによる略号、あるいは当該分野における慣用略号を用いる。以下に、略号の例を示す。
【0227】
a : アデニン、t : チミン、g : グアニン、c : シトシン、u:ウラシル。
【図面の簡単な説明】
【0228】
【図1】本発明の第1の実施の形態に卵巣癌の診断システムの模式図である。
【図2】本発明の実施例に係るApoA1_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第1の表である。
【図3】本発明の実施例に係るApoA1_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第2の表である。
【図4】本発明の実施例に係るApoA1_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第3の表である。
【図5】本発明の実施例に係るApoA1_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第4の表である。
【図6】本発明の実施例に係るApoA1_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第5の表である。
【図7】本発明の実施例に係るApoA1_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第6の表である。
【図8】本発明の実施例に係るApoE_2遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第1の表である。
【図9】本発明の実施例に係るApoE_2遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第2の表である。
【図10】本発明の実施例に係るApoE_2遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第3の表である。
【図11】本発明の実施例に係るApoE_2遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第4の表である。
【図12】本発明の実施例に係るApoE_2遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第5の表である。
【図13】本発明の実施例に係るApoE_2遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第6の表である。
【図14】本発明の実施例に係るApoJ_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第1の表である。
【図15】本発明の実施例に係るApoJ_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第2の表である。
【図16】本発明の実施例に係るApoJ_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第3の表である。
【図17】本発明の実施例に係るApoJ_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第4の表である。
【図18】本発明の実施例に係るApoJ_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第5の表である。
【図19】本発明の実施例に係るApoJ_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第6の表である。
【図20】本発明の実施例に係るARL-1_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第1の表である。
【図21】本発明の実施例に係るARL-1_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第2の表である。
【図22】本発明の実施例に係るARL-1_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第3の表である。
【図23】本発明の実施例に係るARL-1_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第4の表である。
【図24】本発明の実施例に係るARL-1_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第5の表である。
【図25】本発明の実施例に係るARL-1_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第6の表である。
【図26】本発明の実施例に係るBST2_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第1の表である。
【図27】本発明の実施例に係るBST2_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第2の表である。
【図28】本発明の実施例に係るBST2_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第3の表である。
【図29】本発明の実施例に係るBST2_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第4の表である。
【図30】本発明の実施例に係るBST2_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第5の表である。
【図31】本発明の実施例に係るBST2_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第6の表である。
【図32】本発明の実施例に係るCCNE1_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第1の表である。
【図33】本発明の実施例に係るCCNE1_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第2の表である。
【図34】本発明の実施例に係るCCNE1_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第3の表である。
【図35】本発明の実施例に係るCCNE1_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第4の表である。
【図36】本発明の実施例に係るCCNE1_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第5の表である。
【図37】本発明の実施例に係るCCNE1_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第6の表である。
【図38】本発明の実施例に係るCDK4遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第1の表である。
【図39】本発明の実施例に係るCDK4遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第2の表である。
【図40】本発明の実施例に係るCDK4遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第3の表である。
【図41】本発明の実施例に係るCDK4遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第4の表である。
【図42】本発明の実施例に係るCDK4遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第5の表である。
【図43】本発明の実施例に係るCDK4遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第6の表である。
【図44】本発明の実施例に係るCTNNB1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第1の表である。
【図45】本発明の実施例に係るCTNNB1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第2の表である。
【図46】本発明の実施例に係るCTNNB1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第3の表である。
【図47】本発明の実施例に係るCTNNB1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第4の表である。
【図48】本発明の実施例に係るCTNNB1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第5の表である。
【図49】本発明の実施例に係るCTNNB1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第6の表である。
【図50】本発明の実施例に係るERBB2_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第1の表である。
【図51】本発明の実施例に係るERBB2_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第2の表である。
【図52】本発明の実施例に係るERBB2_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第3の表である。
【図53】本発明の実施例に係るERBB2_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第4の表である。
【図54】本発明の実施例に係るERBB2_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第5の表である。
【図55】本発明の実施例に係るERBB2_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第6の表である。
【図56】本発明の実施例に係るESR1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第1の表である。
【図57】本発明の実施例に係るESR1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第2の表である。
【図58】本発明の実施例に係るESR1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第3の表である。
【図59】本発明の実施例に係るESR1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第4の表である。
【図60】本発明の実施例に係るESR1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第5の表である。
【図61】本発明の実施例に係るESR1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第6の表である。
【図62】本発明の実施例に係るHOST2遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第1の表である。
【図63】本発明の実施例に係るHOST2遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第2の表である。
【図64】本発明の実施例に係るHOST2遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第3の表である。
【図65】本発明の実施例に係るHOST2遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第4の表である。
【図66】本発明の実施例に係るHOST2遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第5の表である。
【図67】本発明の実施例に係るHOST2遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第6の表である。
【図68】本発明の実施例に係るHSD17B1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第1の表である。
【図69】本発明の実施例に係るHSD17B1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第2の表である。
【図70】本発明の実施例に係るHSD17B1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第3の表である。
【図71】本発明の実施例に係るHSD17B1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第4の表である。
【図72】本発明の実施例に係るHSD17B1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第5の表である。
【図73】本発明の実施例に係るHSD17B1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第6の表である。
【図74】本発明の実施例に係るIGFBP4遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第1の表である。
【図75】本発明の実施例に係るIGFBP4遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第2の表である。
【図76】本発明の実施例に係るIGFBP4遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第3の表である。
【図77】本発明の実施例に係るIGFBP4遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第4の表である。
【図78】本発明の実施例に係るIGFBP4遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第5の表である。
【図79】本発明の実施例に係るIGFBP4遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第6の表である。
【図80】本発明の実施例に係るIGFBP6遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第1の表である。
【図81】本発明の実施例に係るIGFBP6遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第2の表である。
【図82】本発明の実施例に係るIGFBP6遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第3の表である。
【図83】本発明の実施例に係るIGFBP6遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第4の表である。
【図84】本発明の実施例に係るIGFBP6遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第5の表である。
【図85】本発明の実施例に係るIGFBP6遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第6の表である。
【図86】本発明の実施例に係るINHA遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第1の表である。
【図87】本発明の実施例に係るINHA遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第2の表である。
【図88】本発明の実施例に係るINHA遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第3の表である。
【図89】本発明の実施例に係るINHA遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第4の表である。
【図90】本発明の実施例に係るINHA遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第5の表である。
【図91】本発明の実施例に係るINHA遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第6の表である。
【図92】本発明の実施例に係るKRT7_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第1の表である。
【図93】本発明の実施例に係るKRT7_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第2の表である。
【図94】本発明の実施例に係るKRT7_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第3の表である。
【図95】本発明の実施例に係るKRT7_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第4の表である。
【図96】本発明の実施例に係るKRT7_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第5の表である。
【図97】本発明の実施例に係るKRT7_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第6の表である。
【図98】本発明の実施例に係るLAMA2遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第1の表である。
【図99】本発明の実施例に係るLAMA2遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第2の表である。
【図100】本発明の実施例に係るLAMA2遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第3の表である。
【図101】本発明の実施例に係るLAMA2遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第4の表である。
【図102】本発明の実施例に係るLAMA2遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第5の表である。
【図103】本発明の実施例に係るLAMA2遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第6の表である。
【図104】本発明の実施例に係るMMP2遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第1の表である。
【図105】本発明の実施例に係るMMP2遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第2の表である。
【図106】本発明の実施例に係るMMP2遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第3の表である。
【図107】本発明の実施例に係るMMP2遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第4の表である。
【図108】本発明の実施例に係るMMP2遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第5の表である。
【図109】本発明の実施例に係るMMP2遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第6の表である。
【図110】本発明の実施例に係るTIMP1_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第1の表である。
【図111】本発明の実施例に係るTIMP1_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第2の表である。
【図112】本発明の実施例に係るTIMP1_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第3の表である。
【図113】本発明の実施例に係るTIMP1_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第4の表である。
【図114】本発明の実施例に係るTIMP1_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第5の表である。
【図115】本発明の実施例に係るTIMP1_1遺伝子のアンチセンスRNAの検出強度を示す第6の表である。
【符号の説明】
【0229】
100…検出装置
200…記憶装置
300…CPU
301…判定機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
診断対象卵巣組織におけるアポリポタンパク質A1遺伝子の発現量の検出値を検出する検出装置と、
正常な卵巣組織における前記アポリポタンパク質A1遺伝子の発現量の正常値を保存する記憶装置と、
前記正常値より前記検出値が低い場合、前記診断対象卵巣組織が明細胞腺癌であると判定する判定機構
とを備えることを特徴とする卵巣癌の診断システム。
【請求項2】
診断対象卵巣組織におけるアポリポタンパク質E遺伝子の発現量の検出値を検出する検出装置と、
正常な卵巣組織における前記アポリポタンパク質E遺伝子の発現量の正常値を保存する記憶装置と、
前記正常値より前記検出値が低い場合、前記診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定する判定機構
とを備えることを特徴とする卵巣癌の診断システム。
【請求項3】
診断対象卵巣組織におけるアポリポタンパク質J遺伝子の発現量の検出値を検出する検出装置と、
正常な卵巣組織における前記アポリポタンパク質J遺伝子の発現量の正常値を保存する記憶装置と、
前記正常値より前記検出値が低い場合、前記診断対象卵巣組織が粘液性腺癌又は明細胞腺癌であると判定する判定機構
とを備えることを特徴とする卵巣癌の診断システム。
【請求項4】
診断対象卵巣組織におけるアルデケト還元酵素群1遺伝子の発現量の検出値を検出する検出装置と、
正常な卵巣組織における前記アルデケト還元酵素群1遺伝子の発現量の正常値を保存する記憶装置と、
前記正常値より前記検出値が高い場合、前記診断対象卵巣組織が粘液性腺癌であると判定する判定機構
とを備えることを特徴とする卵巣癌の診断システム。
【請求項5】
診断対象卵巣組織における骨髄間質細胞抗原2遺伝子の発現量の検出値を検出する検出装置と、
正常な卵巣組織における前記骨髄間質細胞抗原2遺伝子の発現量の正常値を保存する記憶装置と、
前記正常値より前記検出値が低い場合、前記診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定する判定機構
とを備えることを特徴とする卵巣癌の診断システム。
【請求項6】
診断対象卵巣組織におけるサイクリンE1遺伝子の発現量の検出値を検出する検出装置と、
正常な卵巣組織における前記サイクリンE1遺伝子の発現量の正常値を保存する記憶装置と、
前記正常値より前記検出値が高い場合、前記診断対象卵巣組織が明細胞腺癌又は漿液性腺癌であると判定する判定機構
とを備えることを特徴とする卵巣癌の診断システム。
【請求項7】
診断対象卵巣組織におけるサイクリン依存性キナーゼ4遺伝子の発現量の検出値を検出する検出装置と、
正常な卵巣組織における前記サイクリン依存性キナーゼ4遺伝子の発現量の正常値を保存する記憶装置と、
前記正常値より前記検出値が低い場合、前記診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定する判定機構
とを備えることを特徴とする卵巣癌の診断システム。
【請求項8】
診断対象卵巣組織におけるβカテニン遺伝子の発現量の検出値を検出する検出装置と、
正常な卵巣組織における前記βカテニン遺伝子の発現量の正常値を保存する記憶装置と、
前記正常値より前記検出値が低い場合、前記診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定する判定機構
とを備えることを特徴とする卵巣癌の診断システム。
【請求項9】
診断対象卵巣組織におけるv−erb−b2赤芽球白血病ウイルス癌遺伝子ホモログ2遺伝子の発現量の検出値を検出する検出装置と、
正常な卵巣組織における前記v−erb−b2赤芽球白血病ウイルス癌遺伝子ホモログ2遺伝子の発現量の正常値を保存する記憶装置と、
前記正常値より前記検出値が高い場合、前記診断対象卵巣組織が明細胞腺癌又は漿液性腺癌であると判定する判定機構
とを備えることを特徴とする卵巣癌の診断システム。
【請求項10】
診断対象卵巣組織におけるエストロゲン受容体1遺伝子の発現量の検出値を検出する検出装置と、
正常な卵巣組織における前記エストロゲン受容体1遺伝子の発現量の正常値を保存する記憶装置と、
前記正常値より前記検出値が低い場合、前記診断対象卵巣組織が粘液性腺癌又は明細胞腺癌であると判定する判定機構
とを備えることを特徴とする卵巣癌の診断システム。
【請求項11】
診断対象卵巣組織におけるヒト卵巣癌特異的転写物2遺伝子の発現量の検出値を検出する検出装置と、
正常な卵巣組織における前記ヒト卵巣癌特異的転写物2遺伝子の発現量の正常値を保存する記憶装置と、
前記正常値より前記検出値が高い場合、前記診断対象卵巣組織が明細胞腺癌、類内膜腺癌、又は漿液性腺癌であると判定する判定機構
とを備えることを特徴とする卵巣癌の診断システム。
【請求項12】
診断対象卵巣組織における17βヒドロキシステロイド・デヒドロゲナーゼ遺伝子の発現量の検出値を検出する検出装置と、
正常な卵巣組織における前記17βヒドロキシステロイド・デヒドロゲナーゼ遺伝子の発現量の正常値を保存する記憶装置と、
前記正常値より前記検出値が低い場合、前記診断対象卵巣組織が明細胞腺癌又は漿液性腺癌であると判定する判定機構
とを備えることを特徴とする卵巣癌の診断システム。
【請求項13】
診断対象卵巣組織におけるインシュリン様成長因子結合タンパク質4遺伝子の発現量の検出値を検出する検出装置と、
正常な卵巣組織における前記インシュリン様成長因子結合タンパク質4遺伝子の発現量の正常値を保存する記憶装置と、
前記正常値より前記検出値が低い場合、前記診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定する判定機構
とを備えることを特徴とする卵巣癌の診断システム。
【請求項14】
診断対象卵巣組織におけるインシュリン様成長因子結合タンパク質6遺伝子の発現量の検出値を検出する検出装置と、
正常な卵巣組織における前記インシュリン様成長因子結合タンパク質6遺伝子の発現量の正常値を保存する記憶装置と、
前記正常値より前記検出値が低い場合、前記診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定する判定機構
とを備えることを特徴とする卵巣癌の診断システム。
【請求項15】
診断対象卵巣組織におけるインヒビンα遺伝子の発現量の検出値を検出する検出装置と、
正常な卵巣組織における前記インヒビンα遺伝子の発現量の正常値を保存する記憶装置と、
前記正常値より前記検出値が低い場合、前記診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定する判定機構
とを備えることを特徴とする卵巣癌の診断システム。
【請求項16】
診断対象卵巣組織におけるケラチン7遺伝子の発現量の検出値を検出する検出装置と、
正常な卵巣組織における前記ケラチン7遺伝子の発現量の正常値を保存する記憶装置と、
前記正常値より前記検出値が高い場合、前記診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定する判定機構
とを備えることを特徴とする卵巣癌の診断システム。
【請求項17】
診断対象卵巣組織におけるラミニンα2遺伝子の発現量の検出値を検出する検出装置と、
正常な卵巣組織における前記ラミニンα2遺伝子の発現量の正常値を保存する記憶装置と、
前記正常値より前記検出値が低い場合、前記診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定する判定機構
とを備えることを特徴とする卵巣癌の診断システム。
【請求項18】
診断対象卵巣組織におけるマトリックス・メタロペプチダーゼ2遺伝子の発現量の検出値を検出する検出装置と、
正常な卵巣組織における前記マトリックス・メタロペプチダーゼ2遺伝子の発現量の正常値を保存する記憶装置と、
前記正常値より前記検出値が低い場合、前記診断対象卵巣組織が粘液性腺癌、明細胞腺癌、又は漿液性腺癌であると判定する判定機構
とを備えることを特徴とする卵巣癌の診断システム。
【請求項19】
診断対象卵巣組織における組織メタロプロテアーゼ・インヒビター1遺伝子の発現量の検出値を検出する検出装置と、
正常な卵巣組織における前記組織メタロプロテアーゼ・インヒビター1遺伝子の発現量の正常値を保存する記憶装置と、
前記正常値より前記検出値が低い場合、前記診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定する判定機構
とを備えることを特徴とする卵巣癌の診断システム。
【請求項20】
診断対象卵巣組織におけるアポリポタンパク質A1遺伝子の発現量の検出値を検出するステップと、
正常な卵巣組織における前記アポリポタンパク質A1遺伝子の発現量の正常値より前記検出値が低い場合、前記診断対象卵巣組織が明細胞腺癌であると判定するステップ
とを含むことを特徴とする卵巣癌の診断方法。
【請求項21】
診断対象卵巣組織におけるアポリポタンパク質E遺伝子の発現量の検出値を検出するステップと、
正常な卵巣組織における前記アポリポタンパク質E遺伝子の発現量の正常値より前記検出値が低い場合、前記診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定するステップ
とを含むことを特徴とする卵巣癌の診断方法。
【請求項22】
診断対象卵巣組織におけるアポリポタンパク質J遺伝子の発現量の検出値を検出するステップと、
正常な卵巣組織における前記アポリポタンパク質J遺伝子の発現量の正常値より前記検出値が低い場合、前記診断対象卵巣組織が粘液性腺癌又は明細胞腺癌であると判定するステップ
とを含むことを特徴とする卵巣癌の診断方法。
【請求項23】
診断対象卵巣組織におけるアルデケト還元酵素群1遺伝子の発現量の検出値を検出するステップと、
正常な卵巣組織における前記アルデケト還元酵素群1遺伝子の発現量の正常値より前記検出値が高い場合、前記診断対象卵巣組織が粘液性腺癌であると判定するステップ
とを含むことを特徴とする卵巣癌の診断方法。
【請求項24】
診断対象卵巣組織における骨髄間質細胞抗原2遺伝子の発現量の検出値を検出するステップと、
正常な卵巣組織における前記骨髄間質細胞抗原2遺伝子の発現量の正常値より前記検出値が低い場合、前記診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定するステップ
とを含むことを特徴とする卵巣癌の診断方法。
【請求項25】
診断対象卵巣組織におけるサイクリンE1遺伝子の発現量の検出値を検出するステップと、
正常な卵巣組織における前記サイクリンE1遺伝子の発現量の正常値より前記検出値が高い場合、前記診断対象卵巣組織が明細胞腺癌又は漿液性腺癌であると判定するステップ
とを含むことを特徴とする卵巣癌の診断方法。
【請求項26】
診断対象卵巣組織におけるサイクリン依存性キナーゼ4遺伝子の発現量の検出値を検出するステップと、
正常な卵巣組織における前記サイクリン依存性キナーゼ4遺伝子の発現量の正常値より前記検出値が低い場合、前記診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定するステップ
とを含むことを特徴とする卵巣癌の診断方法。
【請求項27】
診断対象卵巣組織におけるβカテニン遺伝子の発現量の検出値を検出するステップと、
正常な卵巣組織における前記βカテニン遺伝子の発現量の正常値より前記検出値が低い場合、前記診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定するステップ
とを含むことを特徴とする卵巣癌の診断方法。
【請求項28】
診断対象卵巣組織におけるv−erb−b2 赤芽球白血病ウイルス癌遺伝子ホモログ 2遺伝子の発現量の検出値を検出するステップと、
正常な卵巣組織における前記v−erb−b2 赤芽球白血病ウイルス癌遺伝子ホモログ 2遺伝子の発現量の正常値より前記検出値が高い場合、前記診断対象卵巣組織が明細胞腺癌又は漿液性腺癌であると判定するステップ
とを含むことを特徴とする卵巣癌の診断方法。
【請求項29】
診断対象卵巣組織におけるエストロゲン受容体1遺伝子の発現量の検出値を検出するステップと、
正常な卵巣組織における前記エストロゲン受容体1遺伝子の発現量の正常値より前記検出値が低い場合、前記診断対象卵巣組織が粘液性腺癌又は明細胞腺癌であると判定するステップ
とを含むことを特徴とする卵巣癌の診断方法。
【請求項30】
診断対象卵巣組織におけるヒト卵巣癌特異的転写物2遺伝子の発現量の検出値を検出するステップと、
正常な卵巣組織における前記ヒト卵巣癌特異的転写物2遺伝子の発現量の正常値より前記検出値が高い場合、前記診断対象卵巣組織が明細胞腺癌、類内膜腺癌、又は漿液性腺癌であると判定するステップ
とを含むことを特徴とする卵巣癌の診断方法。
【請求項31】
診断対象卵巣組織における17βヒドロキシステロイド・デヒドロゲナーゼ遺伝子の発現量の検出値を検出するステップと、
正常な卵巣組織における前記17βヒドロキシステロイド・デヒドロゲナーゼ遺伝子の発現量の正常値より前記検出値が低い場合、前記診断対象卵巣組織が明細胞腺癌又は漿液性腺癌であると判定するステップ
とを含むことを特徴とする卵巣癌の診断方法。
【請求項32】
診断対象卵巣組織におけるインシュリン様成長因子結合タンパク質4遺伝子の発現量の検出値を検出するステップと、
正常な卵巣組織における前記インシュリン様成長因子結合タンパク質4遺伝子の発現量の正常値より前記検出値が低い場合、前記診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定するステップ
とを含むことを特徴とする卵巣癌の診断方法。
【請求項33】
診断対象卵巣組織におけるインシュリン様成長因子結合タンパク質6遺伝子の発現量の検出値を検出するステップと、
正常な卵巣組織における前記インシュリン様成長因子結合タンパク質6遺伝子の発現量の正常値より前記検出値が低い場合、前記診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定するステップ
とを含むことを特徴とする卵巣癌の診断方法。
【請求項34】
診断対象卵巣組織におけるインヒビンα遺伝子の発現量の検出値を検出するステップと、
正常な卵巣組織における前記インヒビンα遺伝子の発現量の正常値より前記検出値が低い場合、前記診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定するステップ
とを含むことを特徴とする卵巣癌の診断方法。
【請求項35】
診断対象卵巣組織におけるケラチン7遺伝子の発現量の検出値を検出するステップと、
正常な卵巣組織における前記ケラチン7遺伝子の発現量の正常値より前記検出値が高い場合、前記診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定するステップ
とを含むことを特徴とする卵巣癌の診断方法。
【請求項36】
診断対象卵巣組織におけるラミニンα2遺伝子の発現量の検出値を検出するステップと、
正常な卵巣組織における前記ラミニンα2遺伝子の発現量の正常値より前記検出値が低い場合、前記診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定するステップ
とを含むことを特徴とする卵巣癌の診断方法。
【請求項37】
診断対象卵巣組織におけるマトリックス・メタロペプチダーゼ2遺伝子の発現量の検出値を検出するステップと、
正常な卵巣組織における前記マトリックス・メタロペプチダーゼ2遺伝子の発現量の正常値より前記検出値が低い場合、前記診断対象卵巣組織が粘液性腺癌、明細胞腺癌、又は漿液性腺癌であると判定するステップ
とを含むことを特徴とする卵巣癌の診断方法。
【請求項38】
診断対象卵巣組織における組織メタロプロテアーゼ・インヒビター1遺伝子の発現量の検出値を検出するステップと、
正常な卵巣組織における前記組織メタロプロテアーゼ・インヒビター1遺伝子の発現量の正常値より前記検出値が低い場合、前記診断対象卵巣組織が上皮性卵巣癌であると判定するステップ
とを含むことを特徴とする卵巣癌の診断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【図72】
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【図73】
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【図74】
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【図75】
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【図76】
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【図77】
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【図78】
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【図79】
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【図80】
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【図81】
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【図82】
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【図83】
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【図84】
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【図85】
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【図86】
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【図87】
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【図88】
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【図89】
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【図90】
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【図91】
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【図92】
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【図93】
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【図94】
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【図95】
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【図96】
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【図97】
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【図98】
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【図99】
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【図100】
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【図101】
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【図102】
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【図103】
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【図104】
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【図105】
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【図106】
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【図107】
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【図108】
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【図109】
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【図110】
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【図111】
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【図112】
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【図113】
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【図114】
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【図115】
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【公開番号】特開2009−92440(P2009−92440A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−261395(P2007−261395)
【出願日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【出願人】(899000079)学校法人慶應義塾 (742)
【Fターム(参考)】