説明

卵形管用自走式管内検査ロボット

【課題】逆卵形に形成された下水管の中を安定して自律走行することができ、専任のオペレータや大掛かりな設備が不要で、取扱い性に優れ、管内に凹凸、陥没、継ぎ目の位置ずれ、枝管の開口部などがある場合だけでなく、管が傾斜している場合や曲がっている場合でも、管に沿って確実に出口に向かって走行することができ、短時間で効率よく、内壁の表面を撮影することができ、検査作業の信頼性、効率性に優れる卵形管用自走式管内検査ロボットの提供。
【解決手段】フレームと、フレームの下部にハの字型に配設され卵形管の側壁部に当接する左右の無限軌道部と、フレームの進行方向側の先端部に配設されたカメラと、進行方向を照らす照明部と、カメラで撮影した画像を記憶する記憶部と、無限軌道部を駆動する駆動モータと、駆動モータに電力を供給するバッテリと、を備え、左右の無限軌道部の間の下部中央にバッテリ及び/又は重錘部が配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆卵形に形成された下水用の卵形管の中を走行して卵形管の内壁の表面を撮影する卵形管用自走式管内検査ロボットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、円形の下水管の内壁表面におけるひび割れや亀裂などの発生状態を確認するために、下水管の中を走行し、内壁表面の撮影や測定を行う、自走式管内検査ロボットが提案されている。
例えば(特許文献1)には、「オペレータからの移動命令と、ロボット自身の周囲状況に応じたロボット自身の生成する移動命令とを協調させてオペレータによる遠隔操作とロボット自身の自律移動とで安定した移動が行える遠隔操作ロボット装置」が開示されている。
(特許文献2)には、「駆動プーリと従動プーリの間に無端ベルトを張設した管内面検査装置の走行装置」が開示されている。
(特許文献3)には、「配管の内面に吸着するマグネット車輪を備えた作業台車を走行用モータにより自走し得るようにし、該作業台車にビデオカメラを搭載し、該作業台車の走行方向と直交する面内にて旋回自在でかつ進退自在なるようにアームを設け、該アームに厚み測定センサを設け、アームを進退させることにより該厚み測定センサが配管の内面に当接せられるようにしたことを特徴とする配管検査装置」が開示されている。
(特許文献4)には、「フレームと、フレームの下部にハの字型に配設された左右の無限軌道部と、フレームの進行方向側の先端部に配設されたカメラと、進行方向を照らす照明部と、カメラで撮影した画像を記憶する記憶部と、無限軌道部を駆動する駆動モータと、駆動モータに電力を供給するバッテリと、を備えていることを特徴とする自走式管内検査ロボット」が開示されている。
【特許文献1】特開平6−155350号公報
【特許文献2】実公昭63−50224号公報
【特許文献3】特開2001−12934号公報
【特許文献4】実用新案登録第3133667号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら上記従来の技術は、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)では、遠隔操作を行うための大掛かりな設備を搭載した車で現場まで移動しなければならず、多額の設備投資が必要なだけでなく、専任の熟練したオペレータを必要とし、作業に時間がかかり、人件費も高くなり、また、作業時に駐車スペースを必要とし、道路が塞がれてしまい、取扱い性に欠けるという課題を有していた。
(2)(特許文献2)では、駆動プーリと従動プーリの間に張設した無端ベルトの管内面への接触面をベルト幅方向に円弧状に形成しているが、左右の無端ベルトが平行に配置されているため、管内面との接触面積が狭く、円筒状の管の内面を安定して走行することが困難で、走行時に傾きが発生した場合に姿勢を復帰させることができず、走行の安定性に欠けるという課題を有していた。また、無端ベルトを円弧状に形成しなければならず、量産性に欠けると共に、管の内径に応じて円弧の寸法が異なる無端ベルトを使用しなければならず、汎用性に欠けるという課題を有していた。
(3)(特許文献3)では、配管の内面に吸着するマグネット車輪を備えているので、管の材質が着磁性の金属である場合には、安定した走行が可能であるが、管がコンクリート製や合成樹脂製などの場合には、マグネット車輪を吸着することができず、走行の安定性に欠けるという課題を有していた。
(4)車輪で走行する管内検査ロボットは、管内に凹凸、陥没、継ぎ目の位置ずれ、枝管の開口部などがある場合や木の根やその他の障害物がある場合に、車輪が引っ掛かって走行不能になり易く、また、管が曲がっている場合には走行することができず、走破力に欠けるという課題を有していた。
(5)本願出願人は、前述の(特許文献1)乃至(特許文献3)の課題を解決するために鋭意検討を行い(特許文献4)を出願した。
(特許文献4)の自走式管内検査ロボットは、簡素な構造で、部品点数が少なく、量産性に優れ、配線を用いて外部から操作する必要がなく、自律走行でき、専任のオペレータや大掛かりな設備が不要で、取扱い性に優れ、管内に凹凸、陥没、継ぎ目の位置ずれ、枝管の開口部などがある場合や木の根やその他の障害物がある場合でも、それらを踏み越えて走行でき、走行安定性に優れ、また、管が傾斜している場合や曲がっている場合でも、管に沿って確実に出口に向かって走行でき、短時間で効率よく、内壁の表面を撮影でき、検査作業の信頼性、効率性に優れるものであった。
しかしながら、(特許文献4)の自走式管内検査ロボットは、従来と同様に、円形の下水管の中を走行することを前提としているため、逆卵形に形成された下水管には対応することができないという課題を有しており、その改善が強く望まれていた。
【0004】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、卵の尖った部分を下にして配設された卵形の下水管の中を安定して自律走行することができ、専任のオペレータや大掛かりな設備が不要で、取扱い性に優れ、管内に凹凸、陥没、継ぎ目の位置ずれ、枝管の開口部などがある場合だけでなく、卵形管が傾斜している場合や曲がっている場合でも、管に沿って確実に出口に向かって走行することができ、短時間で効率よく、内壁の表面を撮影することができ、人が入れない管径の小さな卵形管でも確実に検査することができ、検査作業の信頼性、効率性、安全性に優れる卵形管用自走式管内検査ロボットの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記従来の課題を解決するために本発明の卵形管用自走式管内検査ロボットは、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の卵形管用自走式管内検査ロボットは、半円弧状に形成された大径の上壁部と劣弧状に形成された小径の下壁部の両端部間を円弧状の側壁部で接続して逆卵形に形成された下水用の卵形管の中を走行して前記卵形管の内壁の表面を撮影する卵形管用自走式管内検査ロボットであって、フレームと、前記フレームの下部にハの字型に配設され前記卵形管の前記側壁部に当接する左右の無限軌道部と、前記フレームの進行方向側の先端部に配設されたカメラと、進行方向を照らす照明部と、前記カメラで撮影した画像を記憶する記憶部と、前記無限軌道部を駆動する駆動モータと、前記駆動モータに電力を供給するバッテリと、を備え、左右の前記無限軌道部の間の下部中央に前記バッテリ及び/又は重錘部が配設されている構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)フレームの下部にハの字型に配設され卵形管の側壁部に当接する左右の無限軌道部を有するので、卵形管の側壁部の表面に確実に無限軌道部を接触させてフレームを安定して支持することができ、カメラによって管内の表面の様子を確実に撮影することができ、管内検査の信頼性に優れる。
(2)無限軌道部をハの字型に配置することにより、卵形管の下壁部中央に溜まった水や異物、或いは一般的に管の下壁部や側壁部に接続される枝管の開口部などを避けて走行することができ、フレームと障害物との接触を防ぐことができ、振動の少ない安定した走行と高品質な画像の撮影が可能で、画像品質の信頼性に優れる。
(3)管内に凹凸,陥没,段差或いは木の根やその他の避けられない障害物がある場合でも、左右の無限軌道部のいずれか一方が側壁部に接触することにより、それらを踏み越えて走行することができ、走破力に優れる。
(4)無限軌道部により全長の半分の隙間でも乗り越えることができるので、無限軌道部の位置に枝管などの分岐の開口部や陥没或いは管の継ぎ目の位置ずれなどの段差の一部が重なることがあっても、それらに引っ掛かることなく、確実に出口に向かって移動することができ、直進性に優れる。
(5)左右の無限軌道部がハの字型に配置されていることにより、その全面を側壁部の形状に沿って確実に接触させることができ、姿勢の安定性に優れるだけでなく、もし管内の凹凸,陥没,段差などにより姿勢が傾いても、左右の無限軌道部の一方が側壁部に接触し、重量のあるバッテリ及び/又は重錘部が左右の無限軌道部の間の下部中央に配置されていることにより、その重量によって姿勢を矯正しながら前進し、自動的に元の水平状態に復帰させることができ、卵形管が曲がっている場合でも、側壁部に接触した左右いずれか一方の無限軌道部の動力によって管路に沿って確実に出口に向かって走行することができ、走行状態では外部からの人為的な操作が不要で、取扱い性に優れる。
(6)無限軌道部をハの字型に配置し、卵形管表面との接触面積を増加させることにより、適切なグリップ力を保持することができ、卵形管が上下に傾斜している場合でも確実に前進することができ、走行安定性に優れる。
(7)フレームの進行方向側の先端部に配設されたカメラと、進行方向を照らす照明部を有するので、進行方向に向かって走行しながら、撮影箇所を照明して、確実に管内の表面を撮影することができ、管内検査の効率性に優れる。
(8)カメラで撮影した画像を記憶する記憶部を有することにより、走行時に撮影した画像を確実に記憶することができ、検査箇所を走行し終わった後で、記憶部から画像を取り出し、まとめて管内表面のひび割れや亀裂などの発生状態を確認することができるので、現場での作業と机上での作業を完全に分離することができ、現場での作業時間を短縮することができ、管内検査の作業性、効率性に優れる。
(9)無限軌道部を駆動する駆動モータと、駆動モータに電力を供給するバッテリを備えることにより、電力供給のための配線が不要で、自律走行することができるので、検査を行う管内の入口に置くだけで自走して出口まで移動しながら、短時間で効率的に管内の撮影を行うことができ、取扱い性に優れる。
(10)無限軌道部がハの字型に配置されることにより、フレームを支持する支点間距離を長くすることができ、卵形管の繋ぎ目における上下方向や、左右方向の位置ずれによる段差を通過する際に、引っ掛かったり転倒したりすることがなく、水平姿勢を保持し易く、自律走行の安定性に優れる。
(11)左右の無限軌道部の間の下部中央に重量のあるバッテリや重錘部を配置することにより、重心の位置を無限軌道部の位置よりも低くすることができ、走行時の姿勢の安定性に優れる。
【0006】
ここで、フレームの材質としては、アルミニウム等の金属以外に、ポリカーボネート等の合成樹脂やFRPやFRTP等の繊維強化プラスチック等が好適に用いられる。
フレームの寸法は、検査を行う卵形管の開口の大きさに応じて、数種作製し、適宜、選択して使用することができる。フレームの寸法や無限軌道部の取り付け位置を変更するだけで、様々な内径に対応することができ、同じ無限軌道部を使用することができるので、複雑な部品を共通化することができ、量産性、設計自在性に優れる。
【0007】
無限軌道部は、起動輪と遊動輪との間にベルト状の履板やチェーンを巻回したものが好適に用いられる。幅広に形成されたベルト状の履板を用いた場合は、卵形管表面との接触面積を大きくすることができ、走行安定性に優れる。履板の表面に凹凸を形成してもよいが、平坦に形成した場合、卵形管の表面と密着して大きなグリップ力を得ることができ、走行の安定性に優れる。履板は、合成ゴム製、合成樹脂製、金属製のいずれでもよいが、合成ゴム製のものが滑り難く、管の表面を傷付け難いので、信頼性に優れる。
左右の無限軌道部のなす角度は、卵形管の円弧状の側壁部と当接する範囲で選択することができるが、特に、120度〜150度が好ましい。
左右の無限軌道部のなす角度が120度より小さくなるにつれ、側壁部にかかる力の垂直成分が増加し、側壁部と無限軌道部の密着性が不足して、走行安定性が低下し易くなる傾向があり、150度より大きくなるにつれ、側壁部にかかる力の水平成分が増加し、側壁部で確実に無限軌道部を支持することが困難になり、走行安定性が低下し易くなる傾向があり、いずれも好ましくない。
左右の無限軌道部のなす角度を120度〜150度とすることにより、フレームを支持する無限軌道部の間隔(車幅)を確保して、左右の無限軌道部で確実にフレームを支持することができると共に、左右の無限軌道部と側壁部を密着させ、卵形管用自走式管内検査ロボットの姿勢を安定させることができ、走行の安定性に優れる。また、卵形管内部の繋ぎ目や段差などの障害を確実に乗り越えることができるだけでなく、車体の傾きや転倒を防止して水平姿勢を確保することができ、自律走行の信頼性に優れる。
【0008】
カメラ、記憶部などはフレームの内部に収容することができる。フレームに開閉自在及び/又は着脱自在なカバー部を覆設することにより、カメラ、記憶部などを水や外部からの衝撃等から保護することができる。また、カメラ、記憶部などの交換やメンテナンスなどを簡便に行うことができ、取扱い性に優れる。
カメラは、防水性を有するものが好適に用いられるが、特にレンズを保護するレンズカバーを設けることにより、レンズを水や衝撃から確実に保護して破損を防止することができ信頼性、耐久性に優れる。
カメラのレンズの位置は、検査する卵形管の内径に応じて、適宜、選択することができるが、カメラのレンズを卵形管の上壁部の曲率の中心部近傍に配置した場合、管内の表面全体を斑無く撮影することができ、管内検査の信頼性に優れる。
カメラ視野角に合わせて、照明部で進行方向の撮影部分を照らすことにより、暗い管内でもカメラで確実に撮影することができる。照明部としては、省電力性、長寿命性に優れる発光ダイオードが好適に用いられる。複数のランプや発光ダイオードなどをカメラのレンズの外周部に円周上に配置した場合、照明部によって斑無く確実に管内を照明して撮影を行うことができ、画像の高品質性に優れる。
【0009】
記憶部は、カメラで撮影した画像を記憶できるものであればよいが、記憶部の本体から着脱自在なSDメモリカード、メモリスティックなどの記憶媒体を有するものが好適に用いられる。記憶媒体のみを簡便に交換することができ、取扱い性に優れると共に、予め複数の記憶媒体を用意しておくことにより、卵形管用自走式管内検査ロボットによる管内の撮影作業と、記憶媒体に記憶された撮影画像の確認作業を独立して並行に行うことができ、作業の効率性に優れるためである。記憶媒体として記憶部と一体のハードディスクを備えている場合は、記憶部或いは記憶部とカメラをフレームから着脱して取り換えることも可能である。
カメラは動画が撮影できるものを用いることにより、卵形管用自走式管内検査ロボットの走行中に検査対象の管内を全長に渡って漏れなく撮影することができ、不具合検出の信頼性に優れる。
尚、カメラや記憶部を別々に用意する代わりに、カメラと記憶部やモニタが一体となったビデオカメラを使用することもできる。
カメラの先には、反射鏡を配設してもよい。反射鏡を撮影したい方向に傾けることにより、前進しながら卵形管の側面側,上面側、下面側を正面から撮影することができ、視認性を向上させることができる。また、2枚の反射鏡をV字状に配置したり、4枚の反射鏡を四角錐状に配置したりすれば、2方向或いは4方向を同時に撮影することができ、検査に要する時間を短縮することができる。
【0010】
駆動モータは、少なくとも無限軌道部を一方向に回転させることができるものであればよい。正逆回転の切替えが可能なDCモータを用いた場合、必要に応じて前進と後退を切り替えることができ、汎用性に優れる。
バッテリは、無限軌道部の下方に配設されたバッテリ収容部に収容することにより、水や外部からの衝撃等から保護することができる。バッテリのみで十分な重量がない場合には、重錘部を付加する。バッテリ収容部自体を肉厚に形成する等して重錘部と兼用するようにしてもよいし、バッテリ収容部の内部若しくは外部に別部材で形成された重錘部を配設してもよい。
バッテリ収容部は、卵形管の下壁部中央に溜まった水の影響を受け難い形状に形成することが好ましい。例えば、卵形管用自走式管内検査ロボットの進行方向の先端部が円錐状や半球状の紡錘型や砲弾型に形成したものなどが好適に用いられる。卵形管の下壁部中央に溜まった水や異物などの障害物を押しのけて前進することができ、走行安定性に優れるためである。
尚、バッテリとしては、充電式のものが好適に用いられる。未使用時に充電して繰り返し使用することができ、長寿命性、省資源性に優れるためである。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の卵形管用自走式管内検査ロボットであって、左右の前記無限軌道部のベルト状の履板又はチェーンが巻回されたプーリーの少なくとも外周部が弾性を有する合成樹脂又は合成ゴムで形成されている構成を有している。
この構成により、請求項1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)プーリーの少なくとも外周部が弾性を有する合成樹脂又は合成ゴムで形成されていることにより、複雑なダンパ機構を用いることなく、走行時の振動を吸収することができ、カメラで撮影される画像のブレを防止し、画像の品質を向上させて、管内表面のひび割れや亀裂などの検出精度を高めることができ、量産性、使用性に優れる。
ここで、プーリー全体を弾性を有する合成樹脂又は合成ゴムで形成してもよいし、金属などの硬質性の材料で形成されたプーリーの外周に合成樹脂製又は合成ゴム製の幅広のバンドや複数のO−リングを配設してもよい。特に、O−リングは耐久性、耐薬品性に優れると共に、損耗時の交換が容易でメンテナンス性に優れるので好ましい。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の卵形管用自走式管内検査ロボットであって、前記駆動モータの停止と正回転及び/又は逆回転の切り替えを行う駆動切り替えスイッチと、前記駆動切り替えスイッチに連結された紐状操作部と、を備えている構成を有している。
この構成により、請求項1又は2で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)駆動モータの停止と正回転及び/又は逆回転の切り替えを行う駆動切り替えスイッチと、駆動切り替えスイッチに連結された紐状操作部を有することにより、走行距離が長い場合、管路が曲がっている場合や分岐している場合などのように、電波或いは赤外線やレーザなどの光が届かない場所を走行していても、卵形管の入口側から紐状操作部を操作するだけで、駆動モータの停止と正回転及び/又は逆回転の切り替えを簡便かつ確実に行うことができ、操作の信頼性に優れる。
(2)障害物などによって、前進が不可能になった場合に、紐状操作部で駆動切り替えスイッチを操作し、駆動モータを逆回転させて自力で後退させて回収すること、駆動モータを停止させた状態で紐状操作部を引っ張って入り口側に引きずり戻すこと、一旦、駆動モータを逆回転させて後退させた後、再度、正回転させてリトライ走行させることなどが可能であり、紐状操作部を命綱として使用することができ、操作性、取り扱い性に優れる。特に、駆動モータを逆回転させて後退させることにより、無限軌道部のベルト状の履板が損耗することを防止でき、長寿命性に優れる。
(3)紐状操作部をメジャーとして使用することにより、自走式管内検査ロボットの現在位置や走行距離を確認しながら検査を行うことができ、取り扱い性に優れる。
【0013】
ここで、駆動モータの停止と正回転のみを切り替える駆動切り替えスイッチとしては、a接点切替式のものが好適に用いられる。通常の正回転時に、板バネやコイルバネなどで可動接点を固定端子側に付勢して導通状態としておけば、可動接点に連設された紐状操作部を引っ張った時に駆動モータを停止させることができる。また、駆動モータの停止と正回転及び/又は逆回転の切り替えを行う駆動切り替えスイッチとして、紐状操作部を引く度に、駆動モータの停止と正回転及び/又は逆回転の切り替えを行うものは操作性に優れ、好ましい。この切り替えは電気的に行ってもよいし、電灯のスイッチと同様の機構などを用いて機械的に行ってもよい。
尚、駆動切り替えスイッチは、フレーム又はバッテリ収容部の後端部に配設し、紐状操作部が卵形管用自走式管内検査ロボットの後端側から引き出されるようにすることが好ましい。検査を行う卵形管の入り口側から確実に紐状操作部を操作するためである。
紐状操作部を一定間隔で異なる色に着色したり、目盛りを付けたりすることにより、一目で自走式管内検査ロボットの現在位置や走行距離を知ることができ、使用性に優れる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の卵形管用自走式管内検査ロボットであって、外部からの音響信号を受信して前記駆動モータの停止と正回転及び/又は逆回転の切り替えを制御する音響スイッチを備えている構成を有している。
この構成により、請求項1又は2で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)外部からの音響信号を受信して駆動モータの停止と正回転及び/又は逆回転の切り替えを制御する音響スイッチを有することにより、走行距離が長い場合、管路が曲がっている場合や分岐している場合などのように、電波或いは赤外線やレーザなどの光が届かない場所を走行していても、ブザーやスピーカーから発生させた音響信号によって、駆動モータの停止と正回転及び/又は逆回転の切り替えを簡便かつ確実に行うことができ、操作の信頼性に優れる。
(2)障害物などによって、前進が不可能になった場合に、卵形管に向かって音響信号を発するだけで、駆動モータを逆回転させて自力で後退させて回収すること、駆動モータを停止させた状態で命綱を引っ張って入口側に引きずり戻すこと、一旦、駆動モータを逆回転させて後退させた後、再度、正回転させてリトライ走行させることなどが可能であり、操作性、取り扱い性に優れる。特に、駆動モータを逆回転させて後退させることにより、無限軌道部のベルト状の履板が損耗することを防止でき、長寿命性に優れる。
【0015】
ここで、音響スイッチとしては、所定時間内に受信した音響信号の発生回数や音響信号の長さによって、駆動モータの停止と正回転及び/又は逆回転の切り替えを制御するものが好適に用いられる。
音響信号を発する発音器は、音響スイッチで受信可能な音響信号を発することができるものであればよく、ブザーやスピーカーなどが好適に用いられる。
音響信号の周波数は、作業者が耳で聴き取ることができる可聴域で、不快を感じない範囲で選択することが好ましい。作業者がブザーやスピーカーなどを操作して音響信号を発生させる際に、音響信号の発生回数を耳で確認することができ、誤操作を防止できるためである。
卵形管(下水管)は、船舶などの伝声管と同様に、距離が長い場合、管路が曲がっている場合や分岐している場合でも、確実に音を伝達することができ、音響スイッチの動作の信頼性に優れる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の内いずれか1項に記載の卵形管用自走式管内検査ロボットであって、前記フレームの進行方向側の先端部に角度調整自在に配設された反射鏡を備えている構成を有している。
この構成により、請求項1乃至4の内いずれか1項で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)フレームの進行方向側の先端部に角度調整自在に配設された反射鏡を有するので、反射鏡を予め所定の角度に設定して卵形管の中を走行させることにより、卵形管の上壁部,下壁部,側壁部の所望の場所を選択して正面から撮影することができ、管内表面のひび割れや亀裂などの検出精度を高めることができ、不具合検出の信頼性に優れる。
【0017】
ここで、反射鏡は、反射鏡をフレームに取り付けるための反射鏡保持部の取り付け角度自体を可変としてもよいし、反射鏡保持部において反射鏡を回動自在に保持してもよい。反射鏡保持部の取り付け角度及び反射鏡保持部における反射鏡の保持角度の両方を可変とした場合、直交する2軸周りに反射鏡の角度を調整することができ、角度設定の自由度を向上させることができ、取り扱い性に優れる。
尚、フレームに対し、反射鏡保持部を回転させる回転モータを配設してもよい。卵形管用自走式管内検査ロボットを前進させながら、回転モータによって反射鏡保持部を回転させることにより、自動的に撮影箇所を切り替えることができるので、作業時間を短縮することができ、使用性に優れる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の内いずれか1項に記載の卵形管用自走式管内検査ロボットであって、前記フレームの進行方向側の先端側に段差状に形成されたくびれ部を備えている構成を有している。
この構成により、請求項1乃至5の内いずれか1項で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)卵形管用自走式管内検査ロボットを卵形管に出し入れする際に、ロープなどの先端に形成した環状部をくびれ部に引っ掛けるようにして、卵形管用自走式管内検査ロボットを吊り下げたり吊り上げたりすることができるので、卵形管に接続された縦孔の中に人が入る必要がなく、作業性に優れ、特に、人が入れない管径の小さな縦孔からでも、調査を行うことができ、汎用性に優れる。
ここで、フレームの後端側に紐状操作部が配設されている場合、くびれ部に引っ掛けたロープと紐状操作部の両方を用いて卵形管用自走式管内検査ロボットの上げ下げを行うことができ、作業性に優れる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明の卵形管用自走式管内検査ロボットによれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、以下のような有利な効果が得られる。
(1)走行状態では外部から人為的な操作が不要で、管の入口から出口まで自律走行することができ、専任のオペレータや大掛かりな設備が不要で、取扱い性に優れ、短時間で効率よく、卵形管の内壁の表面を撮影することができる検査作業の信頼性、効率性に優れた卵形管用自走式管内検査ロボットを提供することができる。
(2)複雑な機構を必要とせず、簡素な構造で、部品点数が少なく、量産性、メンテナンス性に優れ、高度な操作が不要で、誰でも容易に使用することができ、卵形管の検査の効率性を向上させ、不具合を確実に検出することができる取り扱い性、信頼性に優れた卵形管用自走式管内検査ロボットを提供することができる。
(3)左右の無限軌道部の下方に重量のあるバッテリや重錘部を配置して重心の位置を無限軌道部の位置よりも低くすることにより、卵形管を走行するために最適な形状に形成され、走行時の姿勢の安定性に優れた卵形管用自走式管内検査ロボットを提供することができる。
【0020】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の効果に加えて以下のような有利な効果が得られる。
(1)プーリーの少なくとも外周部が弾性を有する合成樹脂又は合成ゴムで形成されていることにより、複雑なダンパ機構を用いることなく、走行時の振動を吸収することができ、カメラで撮影される画像のブレを防止し、画像の品質を向上させて、管内表面のひび割れや亀裂などの検出精度を高めることができる量産性、使用性に優れた卵形管用自走式管内検査ロボットを提供することができる。
【0021】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の効果に加えて以下のような有利な効果が得られる。
(1)駆動モータの停止と正回転及び/又は逆回転の切り替えを行う駆動切り替えスイッチに連結された紐状操作部を卵形管の入口側から操作するだけで、電波或いは赤外線やレーザなどの光が届かない場所を走行している場合でも、駆動モータの停止と正回転及び/又は逆回転の切り替えを簡便かつ確実に行うことができる操作の信頼性に優れた卵形管用自走式管内検査ロボットを提供することができる。
【0022】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の効果に加えて以下のような有利な効果が得られる。
(1)音響スイッチを備えることにより、電波或いは赤外線やレーザなどの光が届かない場所を走行している場合でも、外部から受信した音響信号に応じて確実に駆動モータの停止と正回転及び/又は逆回転の切り替えを簡便かつ確実に行うことができる操作の信頼性に優れた卵形管用自走式管内検査ロボットを提供することができる。
【0023】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至4の内いずれか1項に記載の効果に加えて以下のような有利な効果が得られる。
(1)フレームの進行方向側の先端部に配設された反射鏡を所定の角度に設定して卵形管の中を走行させることにより、卵形管の上壁部,下壁部,側壁部の所望の場所を選択して正面から撮影することができ、管内表面のひび割れや亀裂などの検出精度を高めることができる不具合検出の信頼性に優れた卵形管用自走式管内検査ロボットを提供することができる。
【0024】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1乃至5の内いずれか1項に記載の効果に加えて以下のような有利な効果が得られる。
(1)フレームの先端側に形成されたくびれ部に、ロープなどの先端に形成した環状部を引っ掛けることにより、卵形管に接続された縦孔の中に人が入ることなく、吊り下げや吊り上げを行って卵形管に出し入れすることができ、特に、人が入れない管径の小さな縦孔からでも、特別な治具などを用いることなく出し入れを行って、簡便に調査を行うことができる作業性、汎用性に優れた卵形管用自走式管内検査ロボットを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態における卵形管用自走式管内検査ロボットについて、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は実施の形態1における卵形管用自走式管内検査ロボットの斜視図であり、図2は実施の形態1における卵形管用自走式管内検査ロボットの卵形管内での走行状態を示す正面図である。
図1中、1は卵の尖った部分を下にして配設された卵形管の中を走行して内壁の表面を撮影する実施の形態1における卵形管用自走式管内検査ロボット、2は卵形管用自走式管内検査ロボット1のアルミニウム製のフレーム、2aはフレーム2の進行方向側の先端側に段差状に形成されたくびれ部、3A,3Bはフレーム2の下部に略150度をなすようにハの字型に配設された卵形管用自走式管内検査ロボット1の左右の無限軌道部、4は略コ字型に形成されフレーム2の下部に配設された左右の無限軌道部3A,3Bの無限軌道固定部、4aは無限軌道固定部4に回動自在に保持された無限軌道部3A,3Bの複数のプーリー、4bは各々のプーリー4aの外周に配設された複数のO−リング、5は表面が平滑な合成ゴム製で複数のプーリー4aと後述する起動輪6a及び遊動輪6bの周りに巻回された無限軌道部3A,3Bのベルト状の履板、5aは履板5の裏に形成された凸条部、6は左右の無限軌道部3A,3Bのそれぞれを駆動する卵形管用自走式管内検査ロボット1の駆動モータ、6aは無限軌道部3A,3Bの後方側に配設され駆動モータ6によって駆動される無限軌道部3A,3Bの起動輪、6bは無限軌道部3A,3Bの前方側に配設され起動輪6aの回動に従動する無限軌道部3A,3Bの遊動輪、7はフレーム2の進行方向側の先端部に配設されたカメラ、9はカメラ7のレンズの外周部に配設された複数の発光ダイオード9aによって卵形管用自走式管内検査ロボット1の進行方向を照らす照明部、10はフレーム2に覆設された開閉や着脱が可能な卵形管用自走式管内検査ロボット1のカバー部、11は略砲弾型に形成され左右の無限軌道部3A,3Bの下方に配設された卵形管用自走式管内検査ロボット1のバッテリ収容部、11aは截頭円錐状に形成されたバッテリ収容部11の先端部、11bはバッテリ収容部11の後端部に形設され駆動モータ6の停止と正回転を切り替える駆動切り替えスイッチが収容されたスイッチ収容部である。
【0026】
図2中、20は卵形管用自走式管内検査ロボット1で検査を行う逆卵形に配設された下水用の卵形管、20aは半円弧状に形成された大径の上壁部、20bは劣弧状に形成された小径の下壁部、20cは上壁部20aと下壁部20bの両端部間を接続した円弧状の側壁部、20dは20の内壁、R1は上壁部20aの曲率半径、R2は下壁部20bの曲率半径、R3は側壁部20cの曲率半径、αは卵形管用自走式管内検査ロボット1の左右の無限軌道部3A,3Bのなす角度である。
【0027】
次に、卵形管用自走式管内検査ロボットの内部構造の詳細について説明する。
図3は実施の形態1における卵形管用自走式管内検査ロボットのカバー部を取り外した状態を示す斜視図である。
図3中、7aはカメラ7に接続された卵形管用自走式管内検査ロボット1の記憶部、7bは記憶部7aに着脱自在に配設されカメラ7で撮影された画像を記憶するSDメモリカードやメモリスティックなどの記憶媒体、7cは記憶部7aに配設され記憶媒体7bに記憶された画像の再生が可能なモニタ、12はバッテリ収容部11に収容され駆動モータ6に電力を供給する卵形管用自走式管内検査ロボット1の充電式のバッテリである。
【0028】
無限軌道部3A,3Bは、起動輪6aと遊動輪6bとの間に合成ゴム製のベルト状の履板5を巻回したものを用いた。幅広に形成されたベルト状の履板5を用いることにより、卵形管20の内壁20dの表面との接触面積を大きくすることができ、走行安定性に優れる。また、合成ゴム製の履板5は表面が平滑で滑り難く、卵形管20の内壁20dの表面を傷付け難いので、信頼性に優れる。
本実施の形態では、履板5が巻回されたプーリー4aの外周部に複数のO−リング4bを配設することにより、走行時の振動を吸収したが、O−リング4bの代わりに、プーリー4aの外周部に弾性を有する合成樹脂製又は合成ゴム製の幅広のバンドや幅広のリングを配設してもよいし、プーリー4aを弾性を有する合成樹脂又は合成ゴムで形成してもよい。
【0029】
また、本実施の形態では、左右の無限軌道部3A,3Bのなす角度α=150度としたが、これに限定されるものではなく、卵形管20の側壁部20cに確実に当接してフレーム2を支持できるものであればよい。特に、左右の無限軌道部3A,3Bのなす角度α=120度〜150度とすることにより、側壁部20cの内壁面との接触面が大きく、フレーム2を支持する無限軌道部3A,3Bの間隔(車幅)を確保して、左右の無限軌道部3A,3Bで確実にフレーム2を支持することができると共に、左右の無限軌道部3A,3Bと側壁部20cを密着させ、卵形管用自走式管内検査ロボット1の姿勢を安定させることができ、走行の安定性に優れる。また、管内部の繋ぎ目や段差などの障害がある場合も、ハの字型に配置された左右の無限軌道部3A,3Bのいずれか一方が側壁部20cに接触することにより前進して、それらを確実に乗り越えることができると共に、バッテリ12などの重量によって車体の傾きや転倒を防止或いは矯正することができ、自律走行の信頼性に優れる。
尚、左右の無限軌道部3A,3Bのなす角度αが120度より小さくなるにつれ、側壁部20cにかかる力の垂直成分が増加し、側壁部20cと無限軌道部3A,3Bの密着性が不足して、走行安定性が低下し易くなる傾向があり、150度より大きくなるにつれ、側壁部20cにかかる力の水平成分が増加し、側壁部20cで確実に無限軌道部3A,3Bを支持することが困難になり、走行安定性が低下し易くなる傾向があることが分かった。
【0030】
照明部9の照明として発光ダイオード9aを用いることにより、省電力性、長寿命性に優れる。
バッテリ12は、無限軌道部3A,3Bの下方に配設されたバッテリ収容部11に収容することにより、水や外部からの衝撃等から保護することができる。左右の無限軌道部3A,3Bの下方にバッテリ収容部11を配置し、重量のあるバッテリ12を収容することにより、重心の位置を無限軌道部3A,3Bの位置よりも低くすることができ、走行時の姿勢の安定性に優れる。バッテリ12のみで十分な重量がない場合には、重錘部を付加してもよい。例えば、バッテリ収容部11自体を肉厚に形成する等して重錘部と兼用することや、バッテリ収容部11の内部若しくは外部に鉛等の別部材で形成された重錘部を配設することができる。
バッテリ収容部11が截頭円錐状の先端部11aを有することにより、バッテリ収容部11全体を砲弾型に形成することができ、卵形管20の下壁部20b中央に溜まった水や異物などの障害物を押しのけたり、乗り越えたりして前進することができ、走行安定性に優れる。
尚、充電式のバッテリ12を使用することにより、未使用時に充電して繰り返し使用することができ、長寿命性、省資源性に優れる。
【0031】
次に、卵形管用自走式管内検査ロボットの駆動切り替えスイッチについて説明する。
図4(a)は実施の形態1における卵形管用自走式管内検査ロボットの駆動切り替えスイッチのON状態を示す要部断面側面図であり、図4(b)は実施の形態1における卵形管用自走式管内検査ロボットの駆動切り替えスイッチのOFF状態を示す要部断面側面図であり、図5は実施の形態1における自走式管内検査ロボットのブロック図である。
図4中、13はスイッチ収容部11bに収容され駆動モータ6の停止と正回転の切り替えを行う駆動切り替えスイッチ、13aは駆動切り替えスイッチ13の接点部、13bは駆動切り替えスイッチ13の固定端子、13cは板バネで形成された駆動切り替えスイッチ13の可動接点、14はスイッチ収容部11bに摺動自在に配設された駆動切り替えスイッチ13の押圧部、14aは押圧部14の先端部に半球状に形成され可動接点13cに当接する当接部、14bは押圧部14の先端側に形成された鍔部、14cは押圧部14の外周に挿設され鍔部14bに当接して押圧部14を可動接点13c側に付勢して可動接点13cを固定端子13bに接触させるコイルバネ、15は駆動切り替えスイッチ13の押圧部14に連結された紐状操作部である。
図5に示すように、駆動モータ6と駆動モータ6に電力を供給するバッテリ12を接続する電気回路上に駆動切り替えスイッチ13を配設することにより、駆動切り替えスイッチ13の開閉に伴って、直接、駆動モータ6の停止と正回転の切り替えを行うことができる。
【0032】
通常状態では、図4(a)に示すように、コイルバネ14cによって摺動部14はスイッチ基板13a側に付勢され、押圧部14aで押圧された可動接点13cが固定端子13bに接触して導通状態となり、駆動モータ6は正回転を行っている。
卵形管用自走式管内検査ロボット1が、障害物などによって、前進不能になった場合に、紐状操作部15を引くことにより、図4(b)に示したように、固定端子13bと可動接点13cが離間し、駆動モータ6を停止させることができる。駆動モータ6が停止した状態でそのまま紐状操作部15を引っ張り続ければ、卵形管用自走式管内検査ロボット1を入り口側に引きずり戻して回収することができる。また、紐状操作部15を引っ張って、一旦、駆動モータ6を停止させた後、紐状操作部15を緩めて駆動モータ6を正回転させ、リトライ走行させることもできる。
尚、駆動切り替えスイッチ13の構成はこれに限定されるものではなく、駆動モータ6の停止と正回転及び/又は逆回転の切り替えが可能な様々なスイッチを使用することができる。特に、紐状操作部15を引く度に、駆動モータ6の停止と正回転及び逆回転の切り替えを行うことができるものを用いた場合、卵形管用自走式管内検査ロボット1を自力で後退させて回収することもでき、操作性に優れる。駆動モータ6の停止と正回転及び逆回転の切り替えは、電気的に行ってもよいし、電灯のスイッチと同様の機構などを用いて機械的に行ってもよい。
【0033】
次に、実施の形態1における卵形管用自走式管内検査ロボットに着脱自在に配設される反射鏡について説明する。
図6は実施の形態1における卵形管用自走式管内検査ロボットに反射鏡を取り付けた状態を示す要部斜視図である。
図6中、16はフレーム2の先端部に着脱自在に配設され固定された反射鏡保持部、16aはフレーム2の先端部に嵌合され螺子等で固定された反射鏡保持部16の固定部、16bは固定部16aに対して回動自在に配設された反射鏡保持部16の回動部、16cは回動部16bの両側部から延設された反射鏡保持部16のアーム部、17は反射鏡保持部16のアーム部16cの先端で回動自在に保持された反射鏡である。
反射鏡保持部16の回動部16bによる取り付け角度及び反射鏡保持部16のアーム部16cによる反射鏡17の保持角度の両方が可変であるため、直交する2軸周りに反射鏡17の角度を調整することができ、角度設定の自由度に優れる。これにより、反射鏡17を撮影したい任意の方向に傾けることができるので、前進しながら卵形管20の側面側,上面側、下面側を正面から撮影することができ、視認性を向上させることができる。また、2枚の反射鏡をV字状に配置したり、4枚の反射鏡を四角錐状に配置したりすれば、2方向或いは4方向を同時に撮影することができ、検査に要する時間を短縮することができる。
【0034】
以上のように構成された実施の形態1における卵形管用自走式管内検査ロボットの使用方法について説明する。
図7は実施の形態1における卵形管用自走式管内検査ロボットの投入方法を示す要部断面側面図である。
図7中、15aは50cm毎に色分けされた紐状操作部15の距離計、18は卵形管用自走式管内検査ロボット1のフレーム2のくびれ部2aに引っ掛けられて紐状操作部15と共に卵形管用自走式管内検査ロボット1を吊り下げるためのロープ、21は検査を行う卵形管20の入り口側に接続された縦孔、21aは卵形管20の下壁部20b及び側壁部20c(図2参照)の形状と同様に卵形の円弧状に形成された縦孔21の下端接続部である。
図7において、卵形管用自走式管内検査ロボット1のカメラ7,記憶部7a,照明部9のスイッチを入れ、駆動モータ6が停止している状態で、紐状操作部15とロープ18により、卵形管用自走式管内検査ロボット1を縦孔21の入口から吊り下げ、検査を行う卵形管20の入口側に接続された縦孔21の下端接続部21aに載置する。その後、ロープ18を抜き取ってから紐状操作部15を操作し、駆動モータ6を正回転させる。
縦孔21の下端接続部21aが、図2に示したように、卵形管20の下壁部20b及び側壁部20cと同形状に形成されているので、左右の無限軌道部3A,3Bの履板5が下端接続部21aの内壁に接触すると、卵形管用自走式管内検査ロボット1は走行を開始し、卵形管20に進入する。卵形管用自走式管内検査ロボット1は卵形管20の側壁部20cの内壁20dに沿って移動しながら、カメラ7で内壁20dの表面を撮影し、撮影した画像を記憶媒体7bに記憶して行く。
紐状操作部15に50cm毎に色分けされた距離計15aを設けることにより、一目で自走式管内検査ロボット1の現在位置や走行距離を確実に知ることができ、使用性に優れる。
【0035】
図8(a)は実施の形態1における卵形管用自走式管内検査ロボットの回収前の状態を示す要部断面側面図であり、図b(b)は実施の形態1における卵形管用自走式管内検査ロボットの回収状態を示す要部断面側面図である。
図8中、18aはロープ18の先端に形成された環状部、22は検査を行う卵形管20の出口側に接続された縦孔、22aは卵形管20の下壁部20b及び側壁部20c(図2参照)の形状と同様に卵形の円弧状に形成された縦孔22の下端接続部である。
作業者は、図8(a)に示すように、卵形管20の出口側にロープ18を垂らして卵形管用自走式管内検査ロボット1を待ち受け、図8(b)に示すように、出て来た卵形管用自走式管内検査ロボット1のくびれ部2aに環状部18aを引っ掛けて引き上げる。尚、卵形管用自走式管内検査ロボット1が卵形管20の出口から出て来たところで紐状操作部15を操作して駆動モータ6を停止させれば、環状部18aを簡便かつ確実にくびれ部2aに引っ掛けることができる。
卵形管用自走式管内検査ロボット1を地上に回収したら、カメラ7,照明部9のスイッチを切る。
モニタ7cにより、記憶部7aに記憶された画像を確認し、問題がなければ、記憶部7aから記憶媒体7bを抜き取る。画像に不具合があった場合は、再度、卵形管用自走式管内検査ロボット1を走行させて検査を行うことができる。
抜き取った記憶媒体7bに記憶された画像は、別途、パーソナルコンピュータなどで再生し、内壁20aの表面におけるひび割れや亀裂などの発生状態を確認する。
他の場所で、検査を続ける場合には、同様の作業を繰り返す。このとき、必要に応じてバッテリ12への充電や交換を行う。尚、記憶媒体7bが十分な容量を有する場合は、同じ記憶媒体7bを引き続き使用してもよいし、検査場所毎に記憶媒体7bを交換するようにしてもよい。
【0036】
以上のように実施の形態1における卵形管用自走式管内検査ロボットは構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)フレーム2の下部にハの字型に配設され卵形管20の側壁部20cに当接する左右の無限軌道部3A,3Bを有するので、卵形管20の側壁部20cの表面に確実に無限軌道部3A,3Bを接触させてフレーム2を安定して支持することができ、カメラ7によって管内の表面の様子を確実に撮影することができ、管内検査の信頼性に優れる。
(2)無限軌道部3A,3Bをハの字型に配置することにより、卵形管20の下壁部20b中央に溜まった水や異物、或いは一般的に管の下壁部20bや側壁部20cに接続される枝管の開口部などを避けて走行することができ、フレーム2と障害物との接触を防ぐことができ、振動の少ない安定した走行と高品質な画像の撮影が可能で、画像品質の信頼性に優れる。
(3)管内に凹凸,陥没,段差或いは木の根やその他の避けられない障害物がある場合でも、左右の無限軌道部3A,3Bのいずれか一方が側壁部20cに接触することにより、それらを踏み越えて走行することができ、走破力に優れる。
(4)無限軌道部3A,3Bにより全長の半分の隙間でも乗り越えることができるので、無限軌道部3A,3Bの位置に枝管などの分岐の開口部や陥没或いは管の継ぎ目の位置ずれなどの段差の一部が重なることがあっても、それらに引っ掛かることなく、確実に出口に向かって移動することができ、直進性に優れる。
(5)左右の無限軌道部3A,3Bがハの字型に配置されていることにより、その全面を側壁部20cの形状に沿って確実に接触させることができ、姿勢の安定性に優れるだけでなく、もし管内の凹凸,陥没,段差などにより姿勢が傾いても、左右の無限軌道部3A,3Bの一方が側壁部3cに接触し、重量のあるバッテリ12及び/又は重錘部が左右の無限軌道部3A,3Bの間の下部中央に配置されていることにより、その重量によって姿勢矯正しながら前進し、自動的に元の水平状態に復帰させることができるので、卵形管20が曲がっている場合でも、側壁部3cに接触した左右いずれか一方の無限軌道部3A,3Bの動力によって管路に沿って確実に出口に向かって走行することができ、走行状態では外部からの人為的な操作が不要で、取扱い性に優れる。
(6)無限軌道部3A,3Bをハの字型に配置し、卵形管20表面との接触面積を増加させることにより、適切なグリップ力を保持することができ、管が傾斜している場合でも確実に前進することができ、走行安定性に優れる。
(7)フレーム2の進行方向側の先端部に配設されたカメラ7と、進行方向を照らす照明部9を有するので、進行方向に向かって走行しながら、撮影箇所を照明して、確実に管内の表面を撮影することができ、管内検査の効率性に優れる。
(8)カメラ7で撮影した画像を記憶する記憶部7aを有することにより、走行時に撮影した画像を確実に記憶することができ、検査箇所を走行し終わった後で、記憶部7aから画像を取り出し、まとめて管内表面のひび割れや亀裂などの発生状態を確認することができるので、現場での作業と机上での作業を完全に分離することができ、現場での作業時間を短縮することができ、管内検査の作業性、効率性に優れる。
(9)無限軌道部3A,3Bを駆動する駆動モータ6と、駆動モータ6に電力を供給するバッテリ12を備えることにより、電力供給のための配線が不要で、自律走行することができるので、検査を行う管内の入口に置くだけで自走して出口まで移動しながら、短時間で効率的に管内の撮影を行うことができ、取扱い性に優れる。
(10)無限軌道部3A,3Bがハの字型に配置されることにより、フレーム2を支持する支点間距離を長くすることができ、管の繋ぎ目における上下方向や、左右方向の位置ずれによる段差を通過する際に、引っ掛かったり転倒したりすることがなく、水平姿勢を保持し易く、自律走行の安定性に優れる。
(11)左右の無限軌道部3A,3Bの間の下部中央に重量のあるバッテリ12や重錘部を配置することにより、重心の位置を無限軌道部3A,3Bの位置よりも低くすることができ、走行時の姿勢の安定性に優れる。
(12)プーリー4aの少なくとも外周部が弾性を有する合成樹脂又は合成ゴムで形成されていることにより、複雑なダンパ機構を用いることなく、走行時の振動を吸収することができ、カメラ7で撮影される画像のブレを防止し、画像の品質を向上させて、管内表面のひび割れや亀裂などの検出精度を高めることができ、量産性、使用性に優れる。
(13)駆動モータ6の停止と正回転の切り替えを行う駆動切り替えスイッチ13と、駆動切り替えスイッチ13に連結された紐状操作部15を有することにより、走行距離が長い場合、管路が曲がっている場合や分岐している場合などのように、電波或いは赤外線やレーザなどの光が届かない場所を走行している場合でも、卵形管20の入口側から紐状操作部15を操作するだけで、駆動モータ6の停止と正回転の切り替えを簡便かつ確実に行うことができ、操作の信頼性に優れる。
(14)障害物などによって、前進が不可能になった場合に、紐状操作部15で駆動切り替えスイッチ13を操作し、駆動モータ6を停止させた状態で紐状操作部13を引っ張って入り口側に引きずり戻すことや、一旦、駆動モータ6を停止させた状態で紐状操作部13を引っ張って後退させた後、再度、正回転させてリトライ走行させることが可能であり、紐状操作部13を命綱として使用することができ、操作性、取り扱い性に優れる。
(15)フレーム2の進行方向側の先端部に角度調整自在に配設された反射鏡17を有する場合、反射鏡17を予め所定の角度に設定して卵形管20の中を走行させることにより、卵形管20の上壁部20a,下壁部20b,側壁部20cの所望の場所を選択して正面から撮影することができ、管内表面のひび割れや亀裂などの検出精度を高めることができ、不具合検出の信頼性に優れる。
(16)卵形管用自走式管内検査ロボット1を卵形管20に出し入れする際に、ロープ18の先端に形成した環状部18aをくびれ部2aに引っ掛けるようにして、卵形管用自走式管内検査ロボット1を吊り下げたり吊り上げたりすることができるので、卵形管20に接続された縦孔21の中に人が入る必要がなく、作業性に優れ、特に、人が入れない管径の小さな縦孔21からでも調査を行うことができ、汎用性、安全性に優れる。
(17)紐状操作部15をメジャーとして使用することにより、自走式管内検査ロボット1の現在位置や走行距離を確認しながら検査を行うことができ、取り扱い性に優れる。
【0037】
(実施の形態2)
図9は実施の形態2における卵形管用自走式管内検査ロボットのブロック図であり、図10は実施の形態2における卵形管用自走式管内検査ロボットの音響スイッチにより発生する制御信号を示す模式図である。尚、実施の形態1と同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図9中、13Aは外部からの音響信号をマイク30で受信して制御信号を送信する音響スイッチ、31は音響スイッチ13Aから受信した制御信号に基づいて駆動モータ6の停止と正回転及び逆回転を切り替える制御部である。
図9において、実施の形態2における卵形管用自走式管内検査ロボットが実施の形態1と異なるのは、紐状操作部15で操作される駆動切り替えスイッチ13の代わりに、外部からの音響信号をマイク30で受信して駆動モータ6の停止と正回転及び逆回転の切り替えを制御する音響スイッチ13Aと制御部31を備えている点である。
【0038】
図9に示すように、駆動モータ6を制御する制御部21に対して制御信号を送信する音響スイッチ13Aを有することにより、マイク30からの音響信号の入力に伴って、図10に示すように、音響信号の入力回数に応じた制御信号を送信することができ、制御部31によって駆動モータ6の停止と正回転及び逆回転の切り替えを行うことができる。
【0039】
制御部31は、一定時間T内に受信した制御信号の数により、駆動モータ6の停止と正回転及び逆回転の切り替えを行う。
本実施の形態においては、制御部31が1回目の制御信号を受信した時点で駆動モータ6を停止させ、1回目の制御信号の受信から一定時間Tが経過する間に、2回目或いは3回目の制御信号を受信したか否かを判断し、駆動モータ6の正回転或いは逆回転への切り替えを行った。
尚、音響スイッチ13Aとマイク30の代わりに、実施の形態1と同様の紐状操作部15で操作する駆動切り替えスイッチ13を利用し、紐状操作部15を引っ張る回数に応じて制御信号を送信することにより、駆動モータ6の停止と正回転及び逆回転の切り替えを行うこともできる。
【0040】
以上のように、本発明の実施の形態2における卵形管用自走式管内検査ロボットは構成されているので、実施の形態1の(1)乃至(12)、(15),(16)で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)外部からの音響信号を受信して駆動モータ6の停止と正回転及び逆回転の切り替えを制御する音響スイッチ13Aを有することにより、走行距離が長い場合、管路が曲がっている場合や分岐している場合などのように、電波或いは赤外線やレーザなどの光が届かない場所を走行していても、ブザーやスピーカーから発生させた音響信号によって、駆動モータ6の停止と正回転及び逆回転の切り替えを簡便かつ確実に行うことができ、操作の信頼性に優れる。
(2)障害物などによって、前進が不可能になった場合に、卵形管20に向かって音響信号を発するだけで、駆動モータ6を逆回転させて自力で後退させて回収すること、駆動モータ6を停止させた状態で命綱を引っ張って入口側に引きずり戻すこと、一旦、駆動モータ6を逆回転させて後退させた後、再度、正回転させてリトライ走行させることなどが可能であり、操作性、取り扱い性に優れる。特に、駆動モータ6を逆回転させて後退させることにより、無限軌道部3A,3Bのベルト状の履板5が損耗することを防止でき、長寿命性に優れる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、逆卵形に形成された下水管の中を安定して自律走行することができ、専任のオペレータや大掛かりな設備が不要で、取扱い性に優れ、管内に凹凸、陥没、継ぎ目の位置ずれ、枝管の開口部などがある場合だけでなく、管が傾斜している場合や曲がっている場合でも、管に沿って確実に出口に向かって走行することができ、短時間で効率よく、内壁の表面を撮影することができ、人が入れない管径の小さな卵形管でも確実に検査することができ、検査作業の信頼性、効率性、安全性に優れる卵形管用自走式管内検査ロボットの提供を行うことができるので、各自治体などが低予算で卵形管の検査体勢を整えることができ、検査の効率性を向上させ、不具合の発生を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】実施の形態1における卵形管用自走式管内検査ロボットの斜視図
【図2】実施の形態1における卵形管用自走式管内検査ロボットの卵形管内での走行状態を示す正面図
【図3】実施の形態1における卵形管用自走式管内検査ロボットのカバー部を取り外した状態を示す斜視図
【図4】(a)実施の形態1における卵形管用自走式管内検査ロボットの駆動切り替えスイッチのON状態を示す要部断面側面図(b)実施の形態1における卵形管用自走式管内検査ロボットの駆動切り替えスイッチのOFF状態を示す要部断面側面図
【図5】実施の形態1における自走式管内検査ロボットのブロック図卵形管用自走式管内検査ロボットの駆動切り替えスイッチの要部断面側面図
【図6】実施の形態1における卵形管用自走式管内検査ロボットに反射鏡を取り付けた状態を示す要部斜視図
【図7】実施の形態1における卵形管用自走式管内検査ロボットの投入方法を示す要部断面側面図
【図8】(a)実施の形態1における卵形管用自走式管内検査ロボットの回収前の状態を示す要部断面側面図(b)実施の形態1における卵形管用自走式管内検査ロボットの回収状態を示す要部断面側面図
【図9】実施の形態2における卵形管用自走式管内検査ロボットのブロック図
【図10】実施の形態2における卵形管用自走式管内検査ロボットの音響スイッチにより発生する制御信号を示す模式図
【符号の説明】
【0043】
1 卵形管用自走式管内検査ロボット
2 フレーム
2a くびれ部
3A,3B 無限軌道部
4 無限軌道固定部
4a プーリー
4b O−リング
5 履板
5a 凸条部
6 駆動モータ
6a 起動輪
6b 遊動輪
7 カメラ
7a 記憶部
7b 記憶媒体
7c モニタ
9 照明部
9a 発光ダイオード
10 カバー部
11 バッテリ収容部
11a 先端部
11b スイッチ収容部
12 バッテリ
13 駆動切り替えスイッチ
13A 音響スイッチ
13a 接点部
13b 固定端子
13c 可動接点
14 押圧部
14a 当接部
14b 鍔部
14c コイルバネ
15 紐状操作部
16 反射鏡保持部
16a 固定部
16b 回動部
16c アーム部
17 反射鏡
18 ロープ
18a 環状部
20 卵形管
20a 上壁部
20b 下壁部
20c 側壁部
20d 内壁
21,22 縦孔
21a,22a 下端接続部
30 マイク
31 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半円弧状に形成された大径の上壁部と劣弧状に形成された小径の下壁部の両端部間を円弧状の側壁部で接続して逆卵形に形成された下水用の卵形管の中を走行して前記卵形管の内壁の表面を撮影する卵形管用自走式管内検査ロボットであって、フレームと、前記フレームの下部にハの字型に配設され前記卵形管の前記側壁部に当接する左右の無限軌道部と、前記フレームの進行方向側の先端部に配設されたカメラと、進行方向を照らす照明部と、前記カメラで撮影した画像を記憶する記憶部と、前記無限軌道部を駆動する駆動モータと、前記駆動モータに電力を供給するバッテリと、を備え、左右の前記無限軌道部の間の下部中央に前記バッテリ及び/又は重錘部が配設されていることを特徴とする卵形管用自走式管内検査ロボット。
【請求項2】
左右の前記無限軌道部のベルト状の履板又はチェーンが巻回されたプーリーの少なくとも外周部が弾性を有する合成樹脂又は合成ゴムで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の卵形管用自走式管内検査ロボット。
【請求項3】
前記駆動モータの停止と正回転及び/又は逆回転の切り替えを行う駆動切り替えスイッチと、前記駆動切り替えスイッチに連結された紐状操作部と、を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の卵形管用自走式管内検査ロボット。
【請求項4】
外部からの音響信号を受信して前記駆動モータの停止と正回転及び/又は逆回転の切り替えを制御する音響スイッチを備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の卵形管用自走式管内検査ロボット。
【請求項5】
前記フレームの進行方向側の先端部に角度調整自在に配設された反射鏡を備えていることを特徴とする請求項1乃至4の内いずれか1項に記載の卵形管用自走式管内検査ロボット。
【請求項6】
前記フレームの進行方向側の先端側に段差状に形成されたくびれ部を備えていることを特徴とする請求項1乃至5の内いずれか1項に記載の卵形管用自走式管内検査ロボット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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