説明

卵殻イオン水生成・配給装置

【課題】卵殻イオンパウダーを水に溶かし所望のPH値に希釈した卵殻イオン水を生成して、各種の使用対象へ配給する卵殻イオン水生成・配給装置を提供する。
【解決手段】原液タンクと希釈液タンクとを備え、給水源から水又は温水を給水量を設定して原液タンクへ給水し、原液タンクへ装入された卵殻イオンパウダーを溶かし一定の希釈倍率に希釈して原液イオン水とする給水制御手段と、原液イオン水を攪拌する攪拌手段と、原液イオン水を希釈液タンクへ送ると共にその流量を設定可能な原液イオン水送り手段と、給水源から水又は温水を希釈液タンクへ給水して原液イオン水を希釈すると共にその流量を設定可能な希釈制御手段とを備え、原液イオン水送り手段の流量と、希釈制御手段の流量のいずれか一方を固定し他方を調整して又は双方を調整して目標とする希釈倍率若しくはPH値を達成した卵殻イオン水を生成し、使用対象へ配給する配給手段を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鶏卵の卵黄、卵白を取り出した後の使用済み卵殻を焙焼して製造された卵殻イオンパウダーを水に溶かし所望のPH値に希釈した卵殻イオン水を生成して、各種の使用対象へ配給する卵殻イオン水生成・配給装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人が先に出願した特願2005−63382号の明細書及び図面に、鶏卵の卵黄、卵白を取り出した後の使用済み卵殻を焙焼して製造する卵殻イオンパウダー及びその製造方法の発明が開示されている。前記卵殻イオンパウダーは、カルシウムとマグネシウムを主成分として構成されているため、水に溶けやすく、水に添加すると水はイオン化され、水の一部が水素と酸素に分離される。このとき発生する水素は還元作用が強く、この還元作用が種々の優れた作用効果を奏する。
卵殻イオンパウダー1gを100ccの水に溶かすとPH値が13以上の強アルカリ性を呈する。これを1万倍〜5万倍に希釈して、PH値を8.0〜10程度に下げて使用すると、下記(1)〜(3)に例示したように広範な分野で優れた効果を発揮することが確認されている。
【0003】
(1)PH値8.0〜9.5(又は8.0〜10)の卵殻イオン水を人の飲水に使用し、又は養鶏の飲水として使用すると、人や養鶏の健康状態が飛躍的に向上する。鶏卵の洗浄水に使用すると、鶏卵の汚れが落ちやすく、卵殻の浅い傷を修復できる。
(2)PH値10(又は10〜9.0)の卵殻イオン水を鶏舎の消毒剤、清掃剤として使用すると、ダニ類や害虫の駆除剤、忌避剤としての効果や殺菌効果がある。鶏舎内の空中に噴射すると大量のマイナスイオンを発生して養鶏の健康状態が良好になる。また、野菜や花卉類の洗剤、活性剤として使用すると、甘みが増し食べやすくなる、生花(切り花)の日持ちが2倍〜3倍長くなる等の効果がある。また、土壌改良剤として散布すると酸性化した土壌を中性ないし弱アルカリ性に改良できる。
(3)PH値13のまま鯉や金魚等の養殖に使用すると、稚魚の成育が早まり、尾びれの血管が浮き出た状態が2日〜3日で解消し、魚糞の硝酸を中和して酸欠状態を解決できる。
【0004】
卵殻イオンパウダーは、上述したとおり、水に溶かし卵殻イオン水として使用することがベストの使用方法と現状は考えられている。
ところで、所謂イオン水の生成や配給装置として幾つか先行技術が開示されている。
下記する特許文献1、2には、水道等の水を酸性イオン水、アルカリイオン水に電気分解する電解槽を備えた技術が開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、電解槽で生成したイオン水を貯水槽に貯えて大量のイオン水を配給できる構成とした技術が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開平7−24461号公報
【特許文献2】特開平10−252112号公報
【特許文献3】特開平10−286569号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
卵殻イオンパウダーは、水に溶けやすく、イオン化傾向が強く、酸化、水酸化しやすい。このような性質を抑制するべく、適切な保存状態から速やかに所定のPH値に希釈することで、実効性のある卵殻イオン水を生成できる。
しかし、現状のところ、前記要請を満たす条件で卵殻イオン水を生成し、使用対象へ配給する装置は未だ開発されていない。
【0008】
因みに、特許文献1〜3は、水道等の水を電解槽で電気分解させてイオン水を生成する装置であり、卵殻イオンパウダーにより卵殻イオン水を生成し配給するイオン水配給装置ではないし、代用もできない。
【0009】
本発明の目的は、卵殻イオンパウダーを水に溶かして希釈し、速やかに所望PH値の卵殻イオン水を自在に生成して、各種の使用対象へ配給することができる卵殻イオン水生成・配給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した従来技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る卵殻イオン水生成・配給装置は、
卵殻イオンパウダーを水に溶かし希釈して卵殻イオン水を生成し配給する卵殻イオン水生成・配給装置であって、
原液タンクと希釈液タンクを備え、
給水源から水又は温水を導き給水量を設定して前記原液タンクへ給水し、別途原液タンクへ装入された卵殻イオンパウダーを溶かし、一定の希釈倍率に希釈して原液イオン水とする給水制御手段と、
原液タンク内の原液イオン水を攪拌する攪拌手段と、
原液タンク内の原液イオン水を希釈液タンクへ送ると共にその流量を設定することが可能な原液イオン水送り手段と、
給水源から水又は温水を導き前記希釈液タンクへ給水して原液イオン水を希釈すると共にその流量を設定することが可能な希釈制御手段とを備え、
前記原液イオン水送り手段の流量と、前記希釈制御手段の流量のいずれか一方を固定し他方を調整して又は双方を調整して目標とする希釈倍率若しくはPH値を達成した卵殻イオン水を生成することができ、
希釈液タンク内の卵殻イオン水を使用対象へ配給する配給手段を有することを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載した卵殻イオン水生成・配給装置において、
原液タンク内に卵殻イオンパウダー装入部を備え、給水制御手段による給水は、前記卵殻イオンパウダー装入部を通じて卵殻イオンパウダーを溶かしながら原液タンクへ入る構成であることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2の記載した卵殻イオン水生成・配給装置において、
給水制御手段は、原液タンクへ給水する水又は温水の給水量を設定でき、且つ給水量を測定する給水量センサーと、前記給水量センサーからの閉信号により設定給水量毎に水又は温水の流れを止める電磁弁とから成り、
原液タンクは液位センサーを備え、前記液位センサーが原液タンク内の原液イオン水の下限水位を検出すると、前記給水制御手段の電磁弁へ開信号を送り、水又は温水を設定給水量だけ給水させることを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一に記載した卵殻イオン水生成・配給装置において、
希釈制御手段は、希釈液タンクへ給水する水又は温水の流量を設定可能な流量調整バルブと、前記流量を測定する流量センサーと、前記希釈液タンクに設備された液位センサーからの開閉信号により水又は温水の流れを開始する又は止める電磁弁とから成り、
前記液位センサーが下限水位を検出すると希釈制御手段の電磁弁へ開信号を送り、且つ原液イオン水送り手段へ始動信号を送って水又は温水および原液イオン水を各設定流量で供給させ、
前記液位センサーが上限水位を検出すると、希釈制御手段の電磁弁へ閉信号を送り、且つ原液イオン水送り手段へ停止信号を送って、水又は温水及び原液イオン水の給水を停止させることを特徴とする。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一に記載した卵殻イオン水生成・配給装置において、
給水制御手段は、原液タンクに設備された液位センサーから原液イオン水の下限水位を検出した信号を受けると、卵殻イオンパウダー装入部へ卵殻イオンパウダーの装入を促す警告手段を具備しており、前記警告手段の解除を条件として原液タンクへの給水を開始する構成であることを特徴とする。
【0015】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一に記載した卵殻イオン水生成・配給装置において、
原液タンクの液位センサーは、原液タンク内の原液イオン水が非常下限水位に達したことを検出すると、原液タンクの攪拌手段および原液イオン水送り手段を止める信号を送ることを特徴とする。
【0016】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一に記載した卵殻イオン水生成・配給装置において、
原液タンクの液位センサーは、原液タンク内の原液イオン水が上限水位に達したことを検出すると、警告手段へ信号を送り警告を発生させ、非常上限水位に達したことを検出すると、前記警告手段へ信号を送り警告を発生させると共に、給水制御手段の電磁弁へ閉信号を送り給水を停止させることを特徴とする。
【0017】
請求項8記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一に記載した卵殻イオン水生成・配給装置において、
原液イオン水送り手段は、希釈液タンクへ送る原液イオン水の流量を設定可能な可変・定量ポンプであることを特徴とする。
【0018】
請求項9記載の発明は、請求項1〜8のいずれか一に記載した卵殻イオン水生成・配給装置において、
希釈液タンクは、希釈された卵殻イオン水を攪拌する攪拌手段を備えており、希釈液タンクの液位センサーが卵殻イオン水の非常下限水位を検出すると、希釈制御手段に具備された警告手段に信号を送り警告を発生させると共に、前記攪拌手段へ信号を送り運転を停止させることを特徴とする。
【0019】
請求項10記載の発明は、請求項1〜9のいずれか一に記載した卵殻イオン水生成・供給装置において、
希釈液タンクの液位センサーは、非常上限水位を検出すると警告手段へ信号を送り警告を発生させると共に、前記希釈制御手段の電磁弁へ信号を送り給水を停止させることを特徴とする。
【0020】
請求項11の記載は、請求項1に記載した卵殻イオン水生成・配給装置において、
配給手段は、希釈液タンクの卵殻イオン水を使用対象へ配給するポンプとこれにより接続された貯水タンクとで構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1〜11に係る卵殻イオン水生成・配給装置は、下記の効果を奏する。
(1)給水制御手段3が、予め設定した給水量の水又は温水を原液タンク4へ給水して、別途装入した卵殻イオンパウダーを水に溶かし一定の希釈倍率(例えば100倍、PH値13程度)に希釈した原液イオン水Gを生成させる。次に、原液イオン水送り手段6が、前記原液イオン水Gを希釈液タンク7へ送り出す流量と、希釈制御手段8が給水する水又は温水の流量との比率による希釈倍率若しくはPH値を達成した卵殻イオン水Rを生成する。つまり、原液イオン水送り手段6において設定する原液イオン水Gの流量と、希釈制御手段8において設定する給水の流量の調整の如何で、所望するPH値の卵殻イオン水Rを容易に確実に必要量だけ生成することができ、目的とする用途に広く使用できる。
(2)本発明の装置は、全体の動作をほぼ自動制御化しているので、格別の警報、警告が生じない限り、使用者は生成した卵殻イオン水Rの使用に専念できるから、使い勝手が良く、安全に安心して使用できる。卵殻イオン水Rは、100時間以上連続してカルシウムの水酸化反応が起き、卵殻イオン水に生命体の健康維持に必要な水素を十分に含有させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の卵殻イオン水生成・配給装置1は、原液タンク4と希釈液タンク7が主要部をなす。
そして、給水源2から水又は温水を導き給水量を設定して原液タンク4へ給水し、別途原液タンク4へ装入された卵殻イオンパウダーを溶かし、一定の希釈倍率に希釈して原液イオン水Gとする給水制御手段3と、原液タンク4内の原液イオン水Gを希釈液タンク7へ送ると共にその流量を設定することが可能な原液イオン水送り手段6と、給水源2から水又は温水を導き前記希釈液タンク7へ給水して原液イオン水Gを希釈すると共にその流量を設定することが可能な希釈制御手段8とを備え、前記原液イオン水送り手段6の流量と、前記希釈制御手段8の流量のいずれか一方を固定し他方を調整して又は双方を調整して目標とする希釈倍率若しくはPH値を達成した卵殻イオン水Rを生成することができ、希釈液タンク7内の卵殻イオン水Rを使用対象へ配給する配給手段10とで構成する。
【実施例1】
【0023】
本発明の卵殻イオン水生成・配給装置1を、図1に示す実施例に基づいて説明する。
本実施例の生成・配給装置1は、一例として養鶏の飲水に使用する卵殻イオン水の生成及び配給に使用する目的のもので、原液タンク4と希釈液タンク7とが主要部をなす。
因みに、原液タンク4の容量は70リットル(L)、希釈液タンク7はその3倍の210リットル(L)の容量とされている。
【0024】
上記原液タンク4に付随する給水制御手段3は、水道、又は地下水、水道水などを貯めた貯水タンクの如き給水源2から伸びる給水管21が原液タンク4につながっていて、同給水管21の途中に、水(又は温水)の給水量を設定でき、しかも給水量を測定して計量信号を発する給水量センサー31と、前記給水量センサー31からの計量信号、即ち設定給水量を計量したことを知らせる閉信号により前記給水管21の水の流れを止める電磁弁32とで構成されている。その具体例としては、(株)キッツが製造販売する「SFBD−AO9−PA−1−25」(登録商標)が好適に使用される。
上記給水量センサー31に設定する給水量は、一例として卵殻イオンパウダーの装入量350gに対して、これを100倍に希釈する35リットル(L)とされる。但し、水1cc=1gとして計算している。
【0025】
上記原液タンク4には、上記350gの卵殻イオンパウダーを、例えば人手により投入するのを受け入れるカップ容器状の卵殻イオンパウダー装入部41が設備されている。そして、上記給水制御手段3の給水管21は、前記卵殻イオンパウダー装入部41の上へ接続されており、給水は同装入部41を通じて卵殻イオンパウダーを溶かしながら原液タンク4へ入る構成とされている。(請求項2記載の発明)。前記卵殻イオンパウダー装入部41に投入された350gの卵殻イオンパウダーは、供給された水によって原液タンク4内へ押し流されつつ溶けるのである。こうして卵殻イオンパウダーを100倍に希釈した原液イオン水Gが原液タンク4内に生成される。この原液イオン水GのPH値は13程度の強アルカリ性である。
【0026】
上記原液タンク4内に生成された原液イオン水Gは、原液タンク4に付随する攪拌手段5により攪拌され、水と卵殻イオンパウダーの均一な混合が行われる。図示した攪拌手段5は、吸入管51と吐出管52を原液タンク4の低部へ接続したポンプ53とにより構成されている。但し、他の機械的な攪拌手段を採用し実施しても良い。前記ポンプ53の具体例としては、(株)ツルミが製造販売する「SQM−252E04」(登録商標)を好適に使用することができる。
【0027】
上記原液タンク4内の原液イオン水Gは、原液イオン水送り手段6により希釈液タンク7へ送られる。図示した原液イオン水送り手段6は、吸上げ管61を原液タンク4内へ深く接続し、吐出管63を希釈液タンク7へ接続した可変・定量ポンプ62で構成されている(請求項8記載の発明)。この可変・定量ポンプ62は、希釈液タンク7へ送る原液イオン水Gの流量を自在に可変・設定することができ、しかも、一旦流量を設定すると、その流量を保持して正確に定量運転される構成のものである。因みに可変・定量ポンプ62の具体例としては、日機装エイコー(株)が製造販売するダイヤフラム型の電磁ポンプ「ケミポンN型」又は「ケミポンBB型」(登録商標)を好適に使用することができる。前記可変・定量ポンプ62で設定される原液イオン水Gの流量は、通例、毎分当たり150cc/分〜250cc/分であるが、具体的な流量設定は、後述する希釈制御手段8で設定される水(又は温水)の流量との関係で説明する。
【0028】
上記原液タンク4には、原液イオン水Gの水位制御を行う液位センサ42が設備されている。この液位センサー42は、非常下限水位を計測する電極aと、下限水位を計測する電極b、及び上限水位を計測する電極c、更に非常上限水位を計測する電極dから成る4本のセンサー棒で構成されている。
この液位センサー42の電極bが、原液タンク4内の原液イオン水Gの下限水位(電極bの下端位置)を検出すると、上記給水制御手段3の電磁弁32へ開信号を送り、水(又は温水)の給水を開始させ、給水量センサー31により設定した給水量(35リットル)がバッチ方式に給水される。
【0029】
なお、上記給水制御手段3による給水に先行して、卵殻イオンパウダー350gの投入を促すため、給水制御手段3には、前記液位センサー42の電極bから前記下限水位(電極bの下端位置)を検出する信号を受けると、卵殻イオンパウダー装入部41へ卵殻イオンパウダーの装入を促す警告手段30が設備されている(請求項5記載の発明)。同パウダーを投入した後に前記警告手段30の警告を解除することを条件として原液タンク4への給水が開始される。前記警告手段30は、例えばランプやブザーであり、警報の解除と給水の開始信号を上記電磁弁32へ送信する解除ボタンでなる制御系で構成されている。
【0030】
次に、前記液位センサー42の電極aが、原液タンク4内の原液イオン水Gが非常下限水位(電極aの下端位置)に低下したことを検出すると、原液タンク4の攪拌手段5及び原液イオン水送り手段6の可変・定量ポンプ62を止める信号を送る(請求項6記載の発明)。
【0031】
また、上記液位センサー42の電極cが、原液タンク4内の原液イオン水Gが上限水位(電極cの下端位置)に達したことを検出すると、やはり上記警告手段30へ信号を送り警告を発生させる。
更に、同センサー42の電極dが、原液タンク4内の原液イオン水Gが非常上限水位(電極dの下端位置)まで上昇したことを検出すると、上記警報手段30へ信号を送り警告を発生させると共に、給水制御手段3の電磁弁32へ閉信号を送り給水を停止させる(請求項7記載の発明)。因みに、上記液位センサー42の電極cの上限水位(電極cの下端位置)は、給水制御手段3が電極bの下限水位(電極bの下端位置)から給水する一回分の給水量、つまり35リットル(L)分の水位と略同水位となるように設計されている。したがって、給水制御手段3が正常に作動している場合は電極cと電極dは作動しない。
【0032】
次に、希釈液タンク7に付属する希釈制御手段8は、上記給水制御手段3と同じ(又は異なっても良い。)給水源2から伸びる給水管22が希釈液タンク7につながっていて、同給水管22の途中に、水(又は温水)の流量を設定可能な流量調整バルブ81と、前記流量を測定する流量センサー82と、希釈液タンク7に設備された液位センサー71からの開閉信号により水の流れを開始するか又は止める電磁弁83とで構成されている。その具体例として、(株)キッツが製造販売する「SFF1−PO−25SFF1−C1」(登録商標)が好適に使用される。
【0033】
上記希釈制御手段8の前記流量調整バルブ81に設定できる流量は、一例として毎分当たり1L/分〜200L/分程度であるが、例えば分かり易く35L/分に調節し固定したとする。養鶏の飲水に求められるPH値は8.5である。上記原液タンク4内のPH値13の原液イオン水GをPH値8.5に下げるには、3.5万倍に希釈する必要がある。そこで上記原液イオン水送り手段6の可変・定量ポンプ62で設定する原液イオン水Gの流量は毎分当たり100cc/分に設定する。かくすると要求される希釈倍率3.5万倍若しくはPH値8.5の卵殻イオン水Rを生成できる。
【0034】
しかし、厳密には上記給水源2から給水される水(又は温水)のPH値は一定ではないため、上記の流量設定のみで目標のPH値の卵殻イオン水Rを生成できると考えるのは早計である。そこで、運転開始当初の段階で希釈液タンク7内に生成した卵殻イオン水RのPH値をPH値測定器を用いて実測し、目標のPH値を達成しているか否かを確認する。誤差が検出された場合には、例えば上記流量調整バルブ81の設定流量を固定したまま、可変・定量ポンプ62の流量を目標のPH値となるように微調整を行う。逆に原液イオン水送り手段6の可変・定量ポンプ62の流量を固定し、前記流量調整バルブ81を調整して所望するPH値を達成することもできる。
【0035】
要は配給先における卵殻イオン水Rの需要量に応じて、増量が必要であれば上記給水制御手段8の流量調整バルブ81の流量を上記設定の30L/分から50L/分に調整する。そして、上記可変・定量ポンプ62の流量も必要に応じて調整する。増量の必要がなければ、上記給水制御手段8の流量調整バルブ81と前記可変・定量ポンプ62のいずれか一方の流量を固定し、他方を調整する方法で、目標とする希釈倍率若しくはPH値を達成した卵殻イオン水Rを生成できる。
【0036】
上記のようにして設定した後は、希釈制御手段8を通じて水(又は温水)を、原液イオン水送り手段6により原液イオン水Gをそれぞれ連続供給させることにより、希釈液タンク7内には一定量の卵殻イオン水Rを連続的に安定に生成できる。
上記希釈液タンク7内に生成された卵殻イオン水Rは、攪拌手段9により攪拌され、希釈液タンク7内の卵殻イオン水Rを均質にする。図示した攪拌手段7は、上記攪拌手段5と同様に吸入管91と吐出管92を希釈液タンク7の低部へ接続したポンプ93により構成されている。前記ポンプ93も上記ポンプ53と同様のものが好適に使用される。
【0037】
次に、上記希釈液タンク7に設備された液位センサー71の構成、作用について説明する。この液位センサ71は、上記原液タンク4の液位センサ41と同様に、非常下限水位を計測する電極aと、下限水位を計測する電極b、及び上限水位を計測する電極c、更に非常上限水位を計測する電極dとの4本のセンサー棒で構成されている。
この液位センサー71の電極bが、希釈液タンク7内の卵殻イオン水Rが下限水位(電極bの下端位置)に低下したことを検出すると希釈制御手段8の電磁弁83へ開信号を送り、且つ原液イオン水送り手段6の可変・定量ポンプ62へ始動信号を送って、水(又は温水)及び原液イオン水Gを上述の各設定流量(水:35L/min、原液イオン水:100cc/min)で希釈液タンク7内へ供給させる。
遂に、同センサー71の電極cが、希釈液タンク7内の卵殻イオン水Rが上限水位(電極cの下端位置)に達したことを検出すると、上記希釈制御手段8の電磁弁83へ閉信号を送り、且つ原液イオン水送り手段6の可変・定量ポンプ62へ停止信号を送って、水(又は温水)及び原液イオン水Gの給水を停止させる(請求項4記載の発明)。
【0038】
上記液位センサー71の電極aが、希釈液タンク7内の卵殻イオン水Rが非常下限水位(電極aの下端位置)まで低下したこと検出すると、上記希釈制御手段8に設備した警告手段80に信号を送り警告を発生させると共に、前記攪拌手段9のポンプ93へ信号を送りその運転を停止させる。前記の警告手段80は、例えばランプやブザーであり、前記警告を解除する解除ボタンを備えた制御系の構成とされている。
同じ液位センサー71の電極dが、希釈液タンク7内の卵殻イオン水Rが非常上限水位(電極dの下端位置)まで上昇したことを検出すると、上記警告手段80に信号を送り一層強い警告を発生させると共に、上記希釈制御手段8の電磁弁83へも信号を送り給水を停止させる(請求項10記載の発明)。
【0039】
上記の構成により生成された希釈液タンク7内の卵殻イオン水Rは、配給手段10により目的の鶏舎へ随時配給する。この配給手段10は、上記希釈液タンク7と接続された吸入管111を持つポンプ110と、その吐出管112とから成り、更には前記吐出管112の先に接続された貯水タンク(図示省略)を含む構成とされている(請求項11記載の発明)。前記貯水タンクにも上述した液位センサー42、71と同様の液位センサーを備え、常に上限水位を維持するように前記ポンプ110の運転制御をする。勿論、卵殻イオン水Rの配給は、用途に応じて多様に行われる。因みに、前記ポンプ110は上述した攪拌手段5のポンプ53と同様のものが使用される。
【0040】
以上に実施形態を図面に基づいて説明したが、本発明は、図示例の実施形態の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために付言する。また、鶏舎で実施する場合を示したが、スーパーで食品の鮮度維持等々に使用するなど、多くの分野で広範囲に使用できることも併せて付言する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る卵殻イオン水生成・配給装置の概要を示す構成図である。
【符号の説明】
【0042】
1 卵殻イオン水生成・配給装置
2 給水源
3 給水制御手段
4 原液タンク
5 攪拌手段
6 原液イオン水送り手段
7 希釈液タンク
8 希釈制御手段
9 攪拌手段
10 配給手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
卵殻イオンパウダーを水に溶かし希釈して卵殻イオン水を生成し配給する卵殻イオン水生成・配給装置であって、
原液タンクと希釈液タンクとを備え、
給水源から水又は温水を導き給水量を設定して前記原液タンクへ給水し、別途原液タンクへ装入された卵殻イオンパウダーを溶かし、一定の希釈倍率に希釈して原液イオン水とする給水制御手段と、
原液タンク内の原液イオン水を攪拌する攪拌手段と、
原液タンク内の原液イオン水を希釈液タンクへ送ると共にその流量を設定することが可能な原液イオン水送り手段と、
給水源から水又は温水を導き前記希釈液タンクへ給水して原液イオン水を希釈すると共にその流量を設定することが可能な希釈制御手段とを備え、
前記原液イオン水送り手段の流量と、前記希釈制御手段の流量のいずれか一方を固定し他方を調整して又は双方を調整して目標とする希釈倍率若しくはPH値を達成した卵殻イオン水を生成することができ、
希釈液タンク内の卵殻イオン水を使用対象へ配給する配給手段を有することを特徴とする、卵殻イオン水生成・配給装置。
【請求項2】
原液タンク内に卵殻イオンパウダー装入部を備え、給水制御手段による給水は、前記卵殻イオンパウダー装入部を通じて卵殻イオンパウダーを溶かしながら原液タンクへ入る構成であることを特徴とする、請求項1に記載した卵殻イオン水生成・配給装置。
【請求項3】
給水制御手段は、原液タンクへ給水する水又は温水の給水量を設定でき、且つ給水量を測定する給水量センサーと、前記給水量センサーからの閉信号により設定給水量毎に水又は温水の流れを止める電磁弁とから成り、
原液タンクは液位センサーを備え、前記液位センサーが原液タンク内の原液イオン水の下限水位を検出すると、前記給水制御手段の電磁弁へ開信号を送り、水又は温水を設定給水量だけ給水させることを特徴とする、請求項1又は2の記載した卵殻イオン水生成・配給装置。
【請求項4】
希釈制御手段は、希釈液タンクへ給水する水又は温水の流量を設定可能な流量調整バルブと、前記流量を測定する流量センサーと、前記希釈液タンクに設備された液位センサーからの開閉信号により水又は温水の流れを開始する又は止める電磁弁とから成り、
前記液位センサーが下限水位を検出すると希釈制御手段の電磁弁へ開信号を送り、且つ原液イオン水送り手段へ始動信号を送って水又は温水および原液イオン水を各設定流量で供給させ、
前記液位センサーが上限水位を検出すると、希釈制御手段の電磁弁へ閉信号を送り、且つ原液イオン水送り手段へ停止信号を送って、水又は温水及び原液イオン水の給水を停止させることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載した卵殻イオン水生成・配給装置。
【請求項5】
給水制御手段は、原液タンクに設備された液位センサーから原液イオン水の下限水位を検出した信号を受けると、卵殻イオンパウダー装入部へ卵殻イオンパウダーの装入を促す警告手段を具備しており、前記警告手段の解除を条件として原液タンクへの給水を開始する構成であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載した卵殻イオン水生成・配給装置。
【請求項6】
原液タンクの液位センサーは、原液タンク内の原液イオン水が非常下限水位に達したことを検出すると、原液タンクの攪拌手段および原液イオン水送り手段を止める信号を送ることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載した卵殻イオン水生成・配給装置。
【請求項7】
原液タンクの液位センサーは、原液タンク内の原液イオン水が上限水位に達したことを検出すると、警告手段へ信号を送り警告を発生させ、非常上限水位に達したことを検出すると、前記警告手段へ信号を送り警告を発生させると共に、給水制御手段の電磁弁へ閉信号を送り給水を停止させることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一に記載した卵殻イオン水生成・配給装置。
【請求項8】
原液イオン水送り手段は、希釈液タンクへ送る原液イオン水の流量を設定可能な可変・定量ポンプであることを特徴とする、請求項1〜7いずれか一に記載した卵殻イオン水生成・配給装置。
【請求項9】
希釈液タンクは、希釈された卵殻イオン水を攪拌する攪拌手段を備えており、希釈液タンクの液位センサーが卵殻イオン水の非常下限水位を検出すると、希釈制御手段に設備された警告手段に信号を送り警告を発生させると共に、前記攪拌手段へ信号を送り運転を停止させることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一に記載した卵殻イオン水生成・配給装置。
【請求項10】
希釈液タンクの液位センサーは、非常上限水位を検出すると警告手段へ信号を送り警告を発生させると共に、前記希釈制御手段の電磁弁へ信号を送り給水を停止させることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一に記載した卵殻イオン水生成・供給装置。
【請求項11】
配給手段は、希釈液タンクの卵殻イオン水を使用対象へ配給するポンプとこれにより接続された貯水タンクとで構成されていることを特徴とする、請求項1に記載した卵殻イオン水生成・配給装置。

【図1】
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【公開番号】特開2006−297177(P2006−297177A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−117931(P2005−117931)
【出願日】平成17年4月15日(2005.4.15)
【出願人】(505080714)
【出願人】(505080725)
【Fターム(参考)】