説明

原位置岩盤引張り試験方法及び試験装置

【課題】理想的な破壊状態をつくり出すために軸心方向に真っ直ぐな引張荷重であって振動やぶれといった乱れがない引張荷重を試験体に付与して試験体を軸心方向に真っ直ぐに引っ張ることを可能とする。
【解決手段】試験体11のセンター孔11aに挿入されると共にセンター孔11aの底部に固定されるアンカーブロック2dが下端に備えられたセンターガイド2cと、センターガイド2cを貫通させて試験体11の上面に載置され且つ下面が試験体11の上面と接着される加圧板4と、該加圧板4の上面に取り付けられる荷重計測手段3と、該荷重計測手段3の上方に備えられ且つセンターガイド2cの上端寄りの位置に固定されて取り付けられる引張荷重付与手段2と、センターガイド2cと引張荷重付与手段2のピストン2b及び荷重計測手段3及び加圧板4との間に介在するガイド機構7Aとを有するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原位置岩盤引張り試験方法及び試験装置に関する。さらに詳述すると、本発明は、原位置において岩盤に引張荷重を付与することによって行う一軸及び三軸引張り試験の方法とその装置に関する。この試験方法は、一軸引張り及び三軸引張り応力状態において岩盤が発揮することができる引張り強さやせん断強さなどの強度特性と、剛性やポアソン比などの変形特性との評価に用いて好適な技術である。
【背景技術】
【0002】
岩盤の引張り強度を試験する方法として、円柱供試体の側面に線荷重を載荷する「圧裂試験」が社団法人地盤工学会によって基準化されている。この方法は、具体的には、例えばボーリングなどによって得られた試料から円柱供試体を成形し、当該円柱供試体に圧縮荷重を付与しながら破壊荷重を計測しその値を用いて引張り強度を算定するものである(非特許文献1)。
【0003】
また、均質な岩石を対象として円柱供試体の軸心方向両端面に端部材を接着剤で固定し当該端部材をボールジョイントを介して引っ張る「一軸及び三軸引張試験」に関する研究も行われている(非特許文献2)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】地盤工学会基準(JGS 2551−2002):圧裂による岩石の引張り強さ試験方法,社団法人地盤工学会,2002年
【0005】
【非特許文献2】谷和夫:三軸引張試験による均質な軟岩の低拘束圧下の破壊機構,第27回岩盤力学に関するシンポジウム,pp.226〜230,土木学会,1996年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、岩石・岩盤はもともと不均質であったり割れ目を有していたりする場合が多いために非特許文献1の「圧裂試験」のように圧縮荷重を付与して引張強度を算定する方法では理想的(即ち線形弾性論的)な応力状態をつくることができないので正確な引張り強度を求めることは極めて困難であり、このため、非特許文献1の方法は信頼性が高いとは言い難い。なお、小さな供試体(室内試験では一般に直径φ=50〔mm〕)であっても不均質であったり割れ目を含んでいたりすることが多く、原位置試験レベルの大きな供試体(直径φ=300〔mm〕以上)であれば不均質さや割れ目を含むことを避けることはほとんどできない。圧裂試験では、さらに、理想的に線荷重を載荷することができず載荷幅がゼロではなく有限な帯荷重になってしまい、また、理想的に線形弾性体ではないので、信頼性が高いとは言い難い。
【0007】
また、非特許文献1の「圧裂試験」の場合には、供試体に圧縮荷重を付与することによって上下の加圧板と供試体との接線を通る概ね平らな破壊面が供試体に生じて破壊することが理想的な状態であるところ、例えば風化などによって供試体の外殻部分が軟らかいと供試体に圧縮荷重を付与した際にこの軟らかい部分がつぶれてしまって理想的な応力状態をつくることができなかったり、或いはまた、供試体内に硬い礫が含まれていると当該礫を避けるために引張亀裂が大きく曲がってしまって理想的な引張亀裂が生じなかったりするので、正確な引張り強度を求めることができず、この点からも、非特許文献1の方法は信頼性が高いとは言い難い。
【0008】
また、「一軸及び三軸引張試験」では供試体に引張荷重を付与して軸心方向に真っ直ぐに引っ張って当該軸心方向に直角な平らな破壊面が供試体に生じて破壊することが理想的な状態であるところ、非特許文献2の技術の場合には供試体の軸心方向両端面に接着剤で取り付けられた端部材をボールジョイントを介して引っ張るようにしているので供試体の非一様な変形によって端部材の回転や軸ずれが生じる可能性があり供試体の中心軸のずれや傾きによって供試体に曲げモーメントが作用してしまって引張り強度を過小評価する可能性があり、すなわち供試体を軸心方向に真っ直ぐに引っ張ることができず、したがって正確な引張り強度を求めることは極めて困難であり、この点からも、非特許文献2の方法は信頼性が高いとは言い難い。
【0009】
そこで、本発明は、理想的な破壊状態をつくり出すために軸心方向に真っ直ぐな引張荷重であって振動やぶれといった乱れがない引張荷重を試験体に付与して試験体を軸心方向に真っ直ぐに引っ張ることができると共に原位置における岩盤の特性がそのまま反映された正確な引張り強度を原位置において計測することができる原位置岩盤引張り試験方法及び試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するため、請求項1記載の原位置岩盤引張り試験方法は、岩盤に円筒状のスリットを形成すると共に該スリットによって外側周面が形成され且つ底面が岩盤と連続している円柱状部分の軸心位置にセンター孔を形成して試験体を成形する工程と、センター孔に棒状のセンターガイドを挿入すると共に該センターガイド下端のアンカーブロックをセンター孔の底部に固定する工程と、岩盤の地表面から突出しているセンターガイドの上端寄りの部分を貫通させて試験体の上面に載置され且つ下面が試験体の上面と接着される加圧板を設置する工程と、加圧板の上方に備えられ且つセンターガイドの上端寄りの位置に固定されて取り付けられた引張荷重付与手段を用いて加圧板を介して試験体に軸心方向に引張荷重を付与する工程と、試験体が引張破壊する時の破壊荷重を計測する工程とを有し、引張荷重を付与する際に引張荷重付与手段に及ぼされる反力をセンターガイドによって岩盤に伝達させて制御すると共に、センターガイド並びに加圧板とセンターガイドとの間に介在するガイド機構の働きによって振動・ぶれが抑制された状態でセンターガイドに沿って加圧板が移動することによって軸心方向に真っ直ぐな且つ乱れがない引張荷重が試験体に付与されるようにしている。
【0011】
また、請求項5記載の原位置岩盤引張り試験装置は、円筒状のスリットによって岩盤と切り分けられて外側周面が形成され且つ底面が岩盤と連続している円柱の軸心位置にセンター孔が形成されている試験体のセンター孔に挿入されると共にセンター孔の底部に固定されるアンカーブロックが下端に備えられたセンターガイドと、岩盤の地表面から突出しているセンターガイドの上端寄りの部分を貫通させて試験体の上面に載置され且つ下面が試験体の上面と接着される加圧板と、該加圧板の上面に取り付けられる荷重計測手段と、該荷重計測手段の上方に備えられ且つセンターガイドの上端寄りの位置に固定されて取り付けられる引張荷重付与手段と、センターガイドと少なくとも加圧板との間に介在するガイド機構とを有し、引張荷重付与手段によって加圧板を介して試験体に軸心方向に引張荷重を付与する際に引張荷重付与手段に及ぼされる反力をセンターガイドによって岩盤に伝達させて制御すると共に、センターガイド並びに少なくとも加圧板とセンターガイドとの間に介在するガイド機構の働きによって振動・ぶれが抑制された状態でセンターガイドに沿って加圧板が移動することによって軸心方向に真っ直ぐな且つ乱れがない引張荷重を試験体に付与するようにしている。
【0012】
また、請求項6記載の原位置岩盤引張り試験装置は、円筒状のスリットによって岩盤と切り分けられて外側周面が形成され且つ底面が岩盤と連続している円柱の軸心位置にセンター孔が形成されている試験体のセンター孔に挿入されると共にセンター孔の底部に固定されるアンカーブロックが下端に備えられたセンターガイドと、岩盤の地表面から突出しているセンターガイドの上端寄りの部分を貫通させて試験体の上面に載置され且つ下面が試験体の上面と接着される加圧板と、センターガイドの上端寄りの位置に固定されて取り付けられる引張荷重付与手段と、上端部分が引張荷重付与手段を跨ぐ若しくは覆うと共に下端面が加圧板の上面に取り付けられるフレームと、引張荷重付与手段とフレームとの間に介在する荷重計測手段と、センターガイドと少なくとも加圧板との間に介在するガイド機構とを有し、引張荷重付与手段によって加圧板を介して試験体に軸心方向に引張荷重を付与する際に引張荷重付与手段に及ぼされる反力をセンターガイドによって岩盤に伝達させて制御すると共に、センターガイド並びに少なくとも加圧板とセンターガイドとの間に介在するガイド機構の働きによって振動・ぶれが抑制された状態でセンターガイドに沿って加圧板が移動することによって軸心方向に真っ直ぐな且つ乱れがない引張荷重を試験体に付与するようにしている。
【0013】
したがって、これらの原位置岩盤引張り試験方法及び試験装置によると、原位置の岩盤から切り分けられた試験体の軸心位置に固定されるセンターガイドを設けると共に当該センターガイドと加圧板との間で機能するガイド機構を備えるようにしているので、センターガイドに沿って加圧板が移動することによって軸心方向に真っ直ぐな且つ安定した(言い換えれば乱れがない)引張荷重が試験体に付与される。また、従来の方法のように圧縮荷重を付与して供試体を破壊すると共に理想的(即ち線形弾性論的)な応力状態を前提として引張り強度を算定するものではなく、原位置において切り分けられた岩盤試験体を引っ張ることによって引張荷重を付与して試験体が引張破壊する時の破壊荷重を直接的に計測するようにしているので、供試体の特性に起因して誤った影響が試験結果に反映されることがなく、原位置における岩盤の特性がそのまま反映された引張強度が原位置において計測される。
【0014】
なお、本発明において、軸心方向に真っ直ぐな且つ乱れがない荷重とは、荷重軸と試験体軸とが相互に平行で偏心がなく一致していることと、加速度や慣性力を作用させることがなく振動がないこととの二つの条件を満足する荷重のことをいう。ただし、静的な繰り返しや交番載荷であっても構わない。
【0015】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の原位置岩盤引張り試験方法において、センターガイド並びにガイド機構の働きに加え、加圧板の外側周面を覆って設けられるサイドガイド並びに加圧板とサイドガイドとの間に介在するサイドガイド機構の働きにより、内周面と外周面との両側から振動・ぶれが抑制された状態で加圧板が移動するようにしている。
【0016】
また、請求項7記載の発明は、請求項5または6記載の原位置岩盤引張り試験装置において、加圧板の外側周面を覆って設けられるサイドガイドと、加圧板とサイドガイドとの間に介在するサイドガイド機構とを更に有するようにしている。
【0017】
これらの場合には、加圧板の内周面と外周面との両側から振動やぶれを抑制する仕組みを有するようにしているので、一定方向の且つより一層安定した(言い換えれば乱れがない)引張荷重が試験体に付与される。
【0018】
また、請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の原位置岩盤引張り試験方法において、試験体の外側周面及びセンター孔の周面に拘束圧としての側圧を更に付与して三軸引張り試験を行うようにしている。
【0019】
また、請求項8記載の発明は、請求項5から7のいずれか一つに記載の原位置岩盤引張り試験装置において、スリットに配置されて試験体の外側周面に拘束圧としての側圧を付与するためのパッカー及びセンター孔に配置されてセンター孔の周面に拘束圧としての側圧を付与するためのパッカーを更に有するようにしている。
【0020】
これらの場合には、試験体の側周面に拘束圧が付与された状態が達成されて三軸引張り試験が行われる。
【0021】
また、請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか一つに記載の原位置岩盤引っ張り試験方法において、試験体の外側周面において軸心方向及び半径方向若しくは周方向の変位を計測して試験体の変形特性を求めるようにしている。この場合には、試験体の引張り強さを求める他に、一軸引張りの応力状態及び三軸引張りの応力状態下における変形特性を求めて評価することが可能になる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の原位置岩盤引張り試験方法及び試験装置によれば、センターガイドに沿って加圧板が移動することによって軸心方向に真っ直ぐな且つ乱れがない引張荷重が試験体に付与されて試験体が軸心方向に真っ直ぐに引っ張られるので、理想的な破壊状態をつくり出して正確な引張強度を計測することができ、計測の信頼性の向上を図ることが可能になる。また、供試体の特性に起因して誤った影響が試験結果に反映されることがなく、原位置における岩盤の特性がそのまま反映された引張強度が原位置において計測されるので、計測結果の精度が向上し、計測の信頼性の向上を図ることが可能になる。
【0023】
さらに、加圧板の内周面と外周面との両側から振動やぶれを抑制する仕組みを有するようにする場合には、一定方向の且つより一層安定した(言い換えれば乱れがない)引張荷重が試験体に付与されるので、計測の信頼性のより一層の向上を図ることが可能になる。
【0024】
さらに、試験体の外側周面及びセンター孔の周面に拘束圧としての側圧を更に付与するようにする場合には、試験体の側周面に拘束圧が付与された状態が達成されて三軸引張り試験を行うことができるので、本発明の汎用性の向上を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の原位置岩盤引張り試験装置の実施形態の一例の装置構成の概略を説明する図である。
【図2】本発明の原位置岩盤引張り試験方法の実施形態の一例を説明するフローチャートである。
【図3】実施形態の原位置岩盤引張り試験方法を説明する概略図である。(A)は岩盤にスリットを形成する手順を説明する概略図である。(B)はセンター孔を形成する手順を説明する概略図である。
【図4】実施形態の原位置岩盤引張り試験方法を説明する概略図である。(A)は岩盤から切り分けられてセンター孔を有する試験体が形成された状態を説明する概略図である。(B)はセンター孔の底部にアンカーブロックを固定する手順を説明する概略図である。
【図5】実施形態の原位置岩盤引張り試験方法の手順を説明する概略図である。(A)は試験体の上面に試験装置を設置した状態を説明する概略図である。(B)は引張荷重を付与することによって試験体が引張破壊した状態を説明する概略図である。
【図6】本発明の原位置岩盤引張り試験装置の他の実施形態の一例の装置構成の概略を説明する図である。
【図7】本発明において拘束圧として側圧を付与する場合の概略を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
【0027】
図1に、本発明の原位置岩盤引張り試験装置の実施形態の一例を示す。この原位置岩盤引張り試験装置1は、円筒状のスリット10aによって岩盤10と切り分けられて外側周面が形成され且つ底面が岩盤10と連続している円柱の軸心位置にセンター孔11aが形成されている試験体11のセンター孔11aに挿入されると共にセンター孔11aの底部に固定されるアンカーブロック2dが下端に備えられたセンターガイド2cと、岩盤10の地表面から突出しているセンターガイド2cの上端寄りの部分を貫通させて試験体11の上面に載置され且つ下面が試験体11の上面と接着される加圧板4と、該加圧板4の上面に取り付けられる荷重計測手段3と、該荷重計測手段3の上方に備えられ且つセンターガイド2cの上端寄りの位置に固定されて取り付けられる引張荷重付与手段2と、センターガイド2cと引張荷重付与手段2のピストン2b及び荷重計測手段3及び加圧板4との間に介在するガイド機構7Aとを有し、引張荷重付与手段2によって加圧板4を介して試験体11に引張荷重を付与する際に引張荷重付与手段2に及ぼされる反力をセンターガイド2cによって岩盤10に伝達させて制御すると共に、センターガイド2c並びにピストン2b及び荷重計測手段3及び加圧板4とセンターガイド2cとの間に介在するガイド機構7Aの働きによって振動・ぶれが抑制された状態でセンターガイド2cに沿って加圧板4が移動することによって軸心方向に真っ直ぐな且つ乱れがない引張荷重を試験体11に付与するものである。
【0028】
ここで、センター孔11aの軸心方向を以下の説明における軸心方向と定義する。また、図1に示すように原位置岩盤引張り試験装置1が岩盤10の地表面に設置されて試験を実施する姿勢を基準にして上下方向及び上下を定義する。なお、本発明においては、センター孔11aの軸心方向は鉛直方向には限られず(即ち、鉛直方向から傾いた方向もあり得る)、そして、センターガイド2cの軸心方向も鉛直方向には限られない。
【0029】
本発明の引張荷重付与手段2としては、例えば油圧式若しくは機械式のセンターホール型ジャッキが用いられる。センターホール型ジャッキ自体は周知の技術であるのでここでは詳細については省略するが、本実施形態の引張荷重付与手段2は一般的なセンターホール型ジャッキの概略構造と同様に、中空円筒状のシリンダー2aと、該シリンダー2aの中空部に設けられ軸心方向貫通孔を有する円筒状のピストン2bと、該ピストン2bの軸心方向貫通孔を貫通して設けられるセンターガイド2cと、該センターガイド2cの下端部に取り付けられるアンカーブロック2dと、シリンダー2aの中空部上端部分に固定されて取り付けられると共にセンターガイド2cの上端部分を固定するクランプ2eとを有する。
【0030】
アンカーブロック2dは、センターガイド2cの下端部を岩盤10に対して固定するためのものである。そして、センターガイド2cは下端部のアンカーブロック2dとによって岩盤10に対して位置が固定される。
【0031】
荷重計測手段3と加圧板4とは中央に貫通孔を有する円盤状をなす。そして、引張荷重付与手段2のピストン2bの軸心方向貫通孔の位置と荷重計測手段3及び加圧板4の貫通孔の位置とが一致した状態で、ピストン2bの下端面に荷重計測手段3が取り付けられ、当該荷重計測手段3の下面に加圧板4が取り付けられる。
【0032】
本発明の荷重計測手段3としては、例えばセンターホール型ロードセルが用いられる。
【0033】
加圧板4は例えば鋼のように剛性を有する材料を用いて形成される。また、加圧板4は試験体11の外径と同じ外径を有するものとして作成される。
【0034】
加圧板4の下面は、スリット10aによって岩盤10から切り分けられた試験体11の上面と接着部材6によって接着される。
【0035】
接着部材6としては例えば接着剤が用いられ、具体的には、加圧板4の下面と試験体11の上面との間の隙間を埋めることができ且つ両者を強固に接着できるものが用いられる。なお、接着部材6は、加圧板4と試験体11とを強固に接着して一体化させることができるものであれば接着剤には限られない。
【0036】
本実施形態の原位置岩盤引張り試験装置1は、引張荷重付与手段2のセンターガイド2cとピストン2b及び荷重計測手段3及び加圧板4との間に介在するガイド機構7Aを有する。
【0037】
ガイド機構7Aは、ピストン2bが動作することによって荷重計測手段3及び加圧板4がセンターガイド2cの軸心方向に動作する際に、センターガイド2cとピストン2b及び荷重計測手段3及び加圧板4との間の摩擦を防止すると共に、振動したりぶれたりすることなくセンターガイド2cに沿って真っ直ぐにピストン2b及び荷重計測手段3及び加圧板4を動作させるためのものである。したがって、ガイド機構7Aとしては、対向する周面同士を摩擦がない若しくは殆どない状態で滑らかに摺動させ得るものが用いられる。ガイド機構7Aとしては具体的には例えばボールベアリングやブッシングが用いられる。
【0038】
なお、本実施形態においては、ピストン2bと荷重計測手段3と加圧板4とに亘ってガイド機構7Aが設けられるようにしているが、本発明においては加圧板4をセンターガイド2cに沿って真っ直ぐに且つ振動したりぶれたりしないで移動させることが重要であるので、ガイド機構7Aはセンターガイド2cと少なくとも加圧板4との間に設けられていれば良い(この場合には、センターガイド2cとピストン2b及び荷重計測手段3とは接触しないように構成される)。また、ガイド機構7Aはセンターガイド2cの外周面に取り付けられるようにしても良いしピストン2b,荷重計測手段3,加圧板4の内周面に取り付けられるようにしても良い。
【0039】
本実施形態の原位置岩盤引張り試験装置1は、加圧板4の外側周面を覆うように設けられる環状のサイドガイド5を有する。サイドガイド5は、例えば鋼のように剛性を有する材料を用いて形成され、下面に取り付けられたアンカー(図示省略)などによって岩盤10の地表面に固定される。
【0040】
そして、加圧板4とサイドガイド5との間にはこれらの間に介在するサイドガイド機構7Bが設けられる。
【0041】
サイドガイド5及びサイドガイド機構7Bは、ピストン2bが動作することによって荷重計測手段3を介して加圧板4がセンターガイド2cの軸心方向に動作する際に振動したりぶれたりすることなくセンターガイド2cに沿って真っ直ぐに加圧板4を動作させるためのものである。したがって、サイドガイド機構7Bとしては、対向する周面同士を摩擦がない若しくは殆どない状態で滑らかに摺動させ得るものが用いられる。なお、サイドガイド機構7Bは加圧板4の外周面に取り付けられるようにしても良いしサイドガイド5の内周面に取り付けられるようにしても良い。
【0042】
サイドガイド機構7Bとしては具体的には例えばボールベアリングが用いられる。そして、ボールベアリングを用いる場合には、加圧板4の側周面に周方向に配置されるものを用いるようにしても良い。この場合には、周方向環状のものでも良いし、扇形の弧状のものを間隔をあけて周方向に並べて複数配置するようにしても良いし、また、一段(言い換えると一周り)でも良いし上下方向に複数段(複数周り)でも良い。また、軸心方向のものを加圧板4の側周面に間隔をあけて配置するようにしても良い。なおこの場合で周方向に等間隔に配置する場合には少なくとも三つの上下方向のボールベアリングを配置する。
【0043】
また、加圧板4とサイドガイド5との間に、岩盤10の地表面に固定されるサイドガイド5に対して加圧板4を軸心方向にのみ可動とする仕組みを更に有するようにしても良い。例えば、加圧板4の外周面に雄型のガイド(例えば凸部)を備えるようにすると共に、サイドガイド5の内周面に前記雄型のガイドと滑らかに摺動可能に噛み合う軸心方向の雌型のガイドスライド(例えば凹溝)を備えるようにしても良い。この場合には加圧板4の軸回転がより確実に防止され、捻れのない軸心方向に真っ直ぐな引っ張り荷重を試験体11に付与するようにすることができる。
【0044】
以上の構成により、本発明の原位置岩盤引張り試験装置1によれば、センターガイド2cが岩盤10及び試験体11に対して位置が固定された状態で引張荷重付与手段2のピストン2bが上向きに動作することによってロードセル3と加圧板4と接着部材6とを介して試験体11に軸心方向の引張荷重が付与される。そして、このとき、センターガイド2c及びガイド機構7A並びにサイドガイド5及びサイドガイド機構7Bによって振動したりぶれたりすることなく試験体軸心方向真っ直ぐに安定して加圧板4が動作し、これによって軸心方向上向き真っ直ぐに乱れがない引張荷重が試験体11に付与される。
【0045】
ここで、引張荷重付与手段2中心でみるとピストン2bが上向きに動作しようとすると当該動作の反力として引張荷重付与手段2に下向きの荷重が及ぼされるが、当該下向きの荷重はクランプ2eを介してシリンダー2aが固定されて取り付けられているセンターガイド2cを伝達してセンター孔11a底面(そして、試験体11の下方)の岩盤10に伝達され受け止められて制御されるので、引張荷重付与手段2の位置が固定された状態でピストン2bの動作によって試験体11に引張荷重が付与される。
【0046】
次に、図2から図5を用いて、本発明の原位置岩盤引張り試験方法について説明する。
【0047】
本実施形態の原位置岩盤引張り試験方法は、図2に示すように、岩盤10に円筒状のスリット10aを形成すると共に該スリット10aによって外側周面が形成され且つ底面が岩盤10と連続している円柱状部分の軸心位置にセンター孔11aを形成して試験体11を成形する工程(S1)と、センター孔11aに棒状のセンターガイド2cを挿入すると共に該センターガイド2c下端のアンカーブロック2dをセンター孔11aの底部に固定する工程(S2)と、岩盤10の地表面から突出しているセンターガイド2cの上端寄りの部分を貫通させて試験体11の上面に載置され且つ下面が試験体11の上面と接着される加圧板4を設置する工程(S3)と、加圧板4の上方に備えられ且つセンターガイド2cの上端寄りの位置に固定されて取り付けられた引張荷重付与手段2を用いて加圧板4を介して試験体11に引張荷重を付与する工程(S4)と、試験体11が引張破壊する時の破壊荷重を計測する工程(S5)と、試験体11の破断面を観察する工程(S6)とを有し、引張荷重を付与する際に引張荷重付与手段2に及ぼされる反力をセンターガイド2cによって岩盤10に伝達させて制御すると共に、センターガイド2c並びに加圧板4とセンターガイド2cとの間に介在するガイド機構7Aの働きによって振動・ぶれが抑制された状態でセンターガイド2cに沿って加圧板4が移動することによって軸心方向に真っ直ぐな且つ乱れがない引張荷重が試験体11に付与されるようにしている。
【0048】
具体的には、本発明の原位置岩盤引張り試験方法の実行にあたっては、まず、原位置において試験体を成形する(S1)。
【0049】
試験体11の成形は、まず、岩盤10に対して円筒状の大孔径ボーリング20を用いて掘削が行われ(図3(A))、円筒状のスリット10aが形成される(図3(B))。これにより、岩盤10から切り分けられて円柱状の試験体11の外側周面が形成される。
【0050】
次に、小孔径ボーリング21を用いて掘削が行われ(図3(B))、上記の処理によって岩盤10から切り分けられた円柱状の試験体11の軸心位置に軸心方向のセンター孔11aが形成される。なお、センター孔11aはスリット10aよりも深くなるように形成される。
【0051】
以上により、スリット10aによって岩盤10から切り分けられて外側周面が形成され且つ底面が岩盤10と連続していると共に、軸心位置に軸心方向のセンター孔11aを有する円柱状の試験体11が成形される(図4(A))。
【0052】
次に、試験体のセンター孔にセンターガイドを挿入し固定する(S2)。
【0053】
センターガイド2cは、センター孔11aの軸心方向とセンターガイド2cの軸心方向とを一致させた状態でセンター孔11aに挿入される。また、さらに、センター孔11aの軸心位置とセンターガイド2cの軸心位置とを一致させた状態でセンターガイド2cがセンター孔11aに挿入されることが望ましい。なお、小口径ボーリング21を用いた掘削によってセンター孔11aを形成する際に用いたボーリングマシンを用いることによってセンター孔11aの軸心位置及び方向とセンターガイド2cの軸心位置及び方向とを一致させた状態でセンター孔11aにセンターガイド2cを挿入させることができる。
【0054】
そして、センター孔11aの底部にセンターガイド2c下端のアンカーブロック2dを載置させた状態で例えばモルタルや接着剤などの固着材8を流し込んでセンター孔11aの底部にアンカーブロック2dを確実に固定する(図4(B))。これにより、試験体11のセンター孔11aにセンターガイド2cが固定されて設置される。
【0055】
次に、試験体の上面に原位置岩盤引張り試験装置を設置する(S3)。
【0056】
具体的には、岩盤10の地表面から突出しているセンターガイド2cの上端側から加圧板4及び荷重計測手段3の中央の貫通孔並びにピストン2bの軸心方向貫通孔を貫通させて引張荷重付与手段2(シリンダー2a,ピストン2b,クランプ2e)と荷重計測手段3と加圧板4とを試験体11の上面に設置する(図5(A))。
【0057】
このとき、加圧板4の下面は試験体11の上面と接着部材6によって接着される。
【0058】
次に、試験体に軸心方向に引張荷重を付与する(S4)。
【0059】
具体的には、S3の処理によって試験体11の上面に設置された原位置岩盤引張り試験装置1のピストン2bが上向きに移動してシリンダー2aの内部に格納される動作をする。このとき、上述したように、ピストン2bの動作に伴って引張荷重付与手段2に及ぼされる反力はセンターガイド2cを伝達して岩盤10によって制御されるので引張荷重付与手段2の位置が固定された状態でピストン2bの動作によってロードセル3と加圧板4と接着部材6とを介して試験体11に引張荷重が付与される。
【0060】
そして、試験体11が引張破壊をしたら(図5(B))、その時の荷重(即ち破壊荷重)の大きさを荷重計測手段3によって計測する(S5)。また、試験体の破断面の角度などの形状と性状とを観察する(S6)。この破断面の形状と性状との観察結果は試験体11が間違いなく引張破壊モードで破壊したことを確認すると共に試験結果の解釈に利用する。ただし、S6の処理は本発明に必須の工程ではない。そして、当該試験体11についての原位置岩盤引張り試験を終了する(END)。
【0061】
以上のように構成された本発明の原位置岩盤引張り試験方法及び試験装置によれば、原位置の岩盤10から切り分けられた試験体11の軸心位置に固定されるセンターガイド2cを設けると共に当該センターガイド2cと加圧板4との間で機能するガイド機構7Aを備えるようにしているので、センターガイド2cに沿って加圧板4が移動することによってセンターガイド2cの軸心方向であってセンター孔11aの軸心方向に真っ直ぐな且つ安定した(言い換えれば乱れがない)引張荷重を試験体11に付与してセンターガイド2cの軸心方向であってセンター孔11aの軸心方向であって且つ試験体11の軸心方向に真っ直ぐに試験体11を引っ張ることができる。なお、本発明においては、少なくとも、アンカーブロック2dを介して下端部が岩盤10に固定されるセンターガイド2cの上端にクランプ2eを介してシリンダー2aが固定されて取り付けられているので、軸回転が防止された引張荷重が試験体11に付与される。
【0062】
また、本発明の原位置岩盤引張り試験方法及び試験装置によれば、従来の圧裂試験のように圧縮荷重を付与して供試体を破壊すると共に理想的(即ち線形弾性論的)な応力状態を前提として引張り強度を算定するものではなく、原位置において切り分けられた岩盤試験体11を引っ張ることによって引張荷重を付与して試験体11が引張破壊する時の破壊荷重を直接的に計測するようにしているので、供試体の特性に起因して誤った影響が試験結果に反映されることがなく、原位置における岩盤10の特性がそのまま反映された引張強度を原位置において計測することができる。
【0063】
また、本発明の原位置岩盤引張り試験方法及び試験装置によれば、加圧板4の内周面と外周面との両側から振動やぶれを抑制する仕組みを有するようにすることにより、一定方向の且つより一層安定した(言い換えれば乱れがない)引張荷重を試験体11に付与して試験体を軸心方向に真っ直ぐに引っ張ることができる。
【0064】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、本実施形態では、サイドガイド5とサイドガイド機構7Bとを備えるようにしているが、これらは本発明を成立させるための必須の構成ではなく、例えば岩盤10の予想される強度などに基づいて判断するとこれらがなくてもセンターガイド2cに沿って真っ直ぐに且つ振動したりぶれたりしないで加圧板4を移動させることができる場合にはこれらを備えない構成としても良い。
【0065】
また、引張荷重付与手段2による加圧板4の引っ張り並びに当該引っ張り時の荷重計測に纏わる構成は本実施形態における構成に限られるものではなく、図6に示すように、上向きの力を発揮し得るようにピストンを上に向けたジャッキを引張荷重付与手段2としてセンターガイド2cの上端にクランプ2eを介して取り付けると共に当該ジャッキ2のピストン2bの先端面に荷重計測手段3を取り付け、さらに、上端部分が荷重計測手段3の上面に取り付けられると共に下端面が加圧板4の上端面に取り付けられるフレーム12を設けるようにしても良い。なお、他の構成は上述の実施形態と同様である。この場合も、センターガイド2cが岩盤10及び試験体11に対して位置が固定された状態で引張荷重付与手段2のピストン2bが上向きに動作することによって荷重計測手段3とフレーム12と加圧板4と接着部材6とを介して試験体11に軸心方向の引張荷重が付与される。そして、このとき、センターガイド2c及びガイド機構7A並びにサイドガイド5及びサイドガイド機構7Bによって振動したりぶれたりすることなく試験体軸心方向真っ直ぐに安定して加圧板4が動作し、これによって軸心方向上向き真っ直ぐに乱れがない引張荷重が試験体11に付与される。なお、フレーム12は、ピストン2bの上向きの力を荷重計測手段3を介して加圧板4に伝達するものであれば特定の形状に限られるものではなく、開口部を下に向けたコ字形状であっても良いし、上端面が塞がれた円筒状(即ち、開口を下に向けたコップ形状)であっても良い。
【0066】
また、本実施形態では、試験体11の外側周面及びセンター孔周面に側圧を付与することなく側面拘束自由の状態で引張り試験を行う場合、即ち一軸引張り試験を行う場合を前提として説明したが、試験体11の外側周面及びセンター孔周面に拘束圧として同じ大きさの側圧を付与して側面変位を拘束した状態で三軸引張り試験を行うようにしても良い。なお、試験体11に対しては、例えば図7に示すように、スリット10aとセンター孔11aとに従来の原位置試験において用いられてきた円筒状のパッカー9aとパッカー9bとをそれぞれ配置してこれらパッカー9a,9bの膨張収縮を調整することによって側圧を付与することが考えられる。
【0067】
さらに、本発明の原位置岩盤引張試験装置によれば、試験体11の外側周面において軸心方向及び半径方向若しくは周方向の変位を計測することにより、一軸引張りの応力状態(即ち、軸心方向応力をσa,半径方向・周方向応力をσrとすると、σa<0=σr)、或いは、三軸引張りの応力状態(即ち、σa<0<σr)の下におけるヤング率やポアソン比といった変形特性も求めることができる。このような変形特性も求める場合には、適宜、試験体の変位計測に従来用いられてきた変位計を従来の計測の仕方と同様に試験体11の外側周面に取り付けて軸心方向及び半径方向若しくは周方向の変位を計測すれば良い。
【符号の説明】
【0068】
1 原位置岩盤引張り試験装置
2 引張荷重付与手段
2a シリンダー
2b ピストン
2c センターガイド
2d アンカーブロック
2e クランプ
3 荷重計測手段
4 加圧板
5 サイドガイド
6 接着部材
7A ガイド機構
7B サイドガイド機構
8 固着材
10 岩盤
10a スリット
11 試験体
11a センター孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
岩盤に円筒状のスリットを形成すると共に該スリットによって外側周面が形成され且つ底面が前記岩盤と連続している円柱状部分の軸心位置にセンター孔を形成して試験体を成形する工程と、前記センター孔に棒状のセンターガイドを挿入すると共に該センターガイド下端のアンカーブロックを前記センター孔の底部に固定する工程と、前記岩盤の地表面から突出している前記センターガイドの上端寄りの部分を貫通させて前記試験体の上面に載置され且つ下面が前記試験体の上面と接着される加圧板を設置する工程と、前記加圧板の上方に備えられ且つ前記センターガイドの上端寄りの位置に固定されて取り付けられた引張荷重付与手段を用いて前記加圧板を介して前記試験体に軸心方向に引張荷重を付与する工程と、前記試験体が引張破壊する時の破壊荷重を計測する工程とを有し、前記引張荷重を付与する際に前記引張荷重付与手段に及ぼされる反力を前記センターガイドによって前記岩盤に伝達させて制御すると共に、前記センターガイド並びに前記加圧板と前記センターガイドとの間に介在するガイド機構の働きによって振動・ぶれが抑制された状態で前記センターガイドに沿って前記加圧板が移動することによって軸心方向に真っ直ぐな且つ乱れがない引張荷重が前記試験体に付与されることを特徴とする原位置岩盤引張り試験方法。
【請求項2】
前記センターガイド並びに前記ガイド機構の働きに加え、前記加圧板の外側周面を覆って設けられるサイドガイド並びに前記加圧板と前記サイドガイドとの間に介在するサイドガイド機構の働きにより、内周面と外周面との両側から振動・ぶれが抑制された状態で前記加圧板が移動することを特徴とする請求項1記載の原位置岩盤引張り試験方法。
【請求項3】
前記試験体の外側周面及び前記センター孔の周面に拘束圧としての側圧を更に付与して三軸引張り試験を行うことを特徴とする請求項1または2記載の原位置岩盤引張り試験方法。
【請求項4】
前記試験体の外側周面において軸心方向及び半径方向若しくは周方向の変位を計測して前記試験体の変形特性を求めることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の原位置岩盤引張り試験方法。
【請求項5】
円筒状のスリットによって岩盤と切り分けられて外側周面が形成され且つ底面が前記岩盤と連続している円柱の軸心位置にセンター孔が形成されている試験体の前記センター孔に挿入されると共に前記センター孔の底部に固定されるアンカーブロックが下端に備えられたセンターガイドと、前記岩盤の地表面から突出している前記センターガイドの上端寄りの部分を貫通させて前記試験体の上面に載置され且つ下面が前記試験体の上面と接着される加圧板と、該加圧板の上面に取り付けられる荷重計測手段と、該荷重計測手段の上方に備えられ且つ前記センターガイドの上端寄りの位置に固定されて取り付けられる引張荷重付与手段と、前記センターガイドと少なくとも前記加圧板との間に介在するガイド機構とを有し、前記引張荷重付与手段によって前記加圧板を介して前記試験体に軸心方向に引張荷重を付与する際に前記引張荷重付与手段に及ぼされる反力を前記センターガイドによって前記岩盤に伝達させて制御すると共に、前記センターガイド並びに少なくとも前記加圧板と前記センターガイドとの間に介在する前記ガイド機構の働きによって振動・ぶれが抑制された状態で前記センターガイドに沿って前記加圧板が移動することによって軸心方向に真っ直ぐな且つ乱れがない引張荷重を前記試験体に付与することを特徴とする原位置岩盤引張り試験装置。
【請求項6】
円筒状のスリットによって岩盤と切り分けられて外側周面が形成され且つ底面が前記岩盤と連続している円柱の軸心位置にセンター孔が形成されている試験体の前記センター孔に挿入されると共に前記センター孔の底部に固定されるアンカーブロックが下端に備えられたセンターガイドと、前記岩盤の地表面から突出している前記センターガイドの上端寄りの部分を貫通させて前記試験体の上面に載置され且つ下面が前記試験体の上面と接着される加圧板と、前記センターガイドの上端寄りの位置に固定されて取り付けられる引張荷重付与手段と、上端部分が前記引張荷重付与手段を跨ぐ若しくは覆うと共に下端面が前記加圧板の上面に取り付けられるフレームと、前記引張荷重付与手段と前記フレームとの間に介在する荷重計測手段と、前記センターガイドと少なくとも前記加圧板との間に介在するガイド機構とを有し、前記引張荷重付与手段によって前記加圧板を介して前記試験体に軸心方向に引張荷重を付与する際に前記引張荷重付与手段に及ぼされる反力を前記センターガイドによって前記岩盤に伝達させて制御すると共に、前記センターガイド並びに少なくとも前記加圧板と前記センターガイドとの間に介在する前記ガイド機構の働きによって振動・ぶれが抑制された状態で前記センターガイドに沿って前記加圧板が移動することによって軸心方向に真っ直ぐな且つ乱れがない引張荷重を前記試験体に付与することを特徴とする原位置岩盤引張り試験装置。
【請求項7】
前記加圧板の外側周面を覆って設けられるサイドガイドと、前記加圧板と前記サイドガイドとの間に介在するサイドガイド機構とを更に有することを特徴とする請求項5または6記載の原位置岩盤引張り試験装置。
【請求項8】
前記スリットに配置されて前記試験体の外側周面に拘束圧としての側圧を付与するためのパッカー及び前記センター孔に配置されて前記センター孔の周面に拘束圧としての側圧を付与するためのパッカーを更に有することを特徴とする請求項5から7のいずれか一つに記載の原位置岩盤引張り試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−107049(P2011−107049A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−264336(P2009−264336)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(000173809)財団法人電力中央研究所 (1,040)
【出願人】(504182255)国立大学法人横浜国立大学 (429)
【Fターム(参考)】