原子力発電所の電線管ルート設計用解析評価システム
【課題】原子力発電所に対して落雷が発生した場合、建屋内に発生する雷サージ電流の影響により、微弱信号回路が誤動作,故障する可能性があるが、従来は、建屋内に発生する雷サージ電流の分散状態や、微弱信号回路への伝搬が生じる個所を特定することが、電線管ルート設計段階では困難であり、電線管ルートの適切な設計ができなかった。
【解決手段】原子力発電所における構造物の設計データを格納したデータベース1と、前記設計データを反映して落雷時の雷サージ電流の分散状態を評価することができる解析モデル2と、構造物を流れる電流が電線管を介して微弱信号回路に与える影響を定量的に評価することができる解析モデル3を組合せて、設計データとして入力された微弱信号回路の電線管ルートが落雷時に発生する雷サージ電流の影響を受けて微弱信号回路の誤動作を生ずる可能性があるかどうかを評価する電線管ルート設計用解析評価システム。
【解決手段】原子力発電所における構造物の設計データを格納したデータベース1と、前記設計データを反映して落雷時の雷サージ電流の分散状態を評価することができる解析モデル2と、構造物を流れる電流が電線管を介して微弱信号回路に与える影響を定量的に評価することができる解析モデル3を組合せて、設計データとして入力された微弱信号回路の電線管ルートが落雷時に発生する雷サージ電流の影響を受けて微弱信号回路の誤動作を生ずる可能性があるかどうかを評価する電線管ルート設計用解析評価システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力発電所内の微弱信号回路用電線管ルートの計画設計段階で、原子力発電所に落雷が発生した場合の電流分布と雷サージ電流が微弱信号回路に与える影響を評価でき、雷サージ電流の影響を適切なしきい値以下に抑えることができる原子力発電所の電線管ルート設計用解析評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所において、電線管ルートの設計は、次のような手順で行われる。原子力発電所の電線管ルート設計を含む機器配置設計では、他設備との干渉を防ぎ、合理的な配置設計を実施する為に、発電所の躯体,配筋,埋設電線管や接地線等の埋設物,機器等のデータを保存し、ディスプレイに3次元の構造物として表示し、データを確認することができる3D−CADシステム(3次元CADシステム)を使用する。機器配置設計,配管ルート設計,埋設物配置設計,電線管ルート設計等の各担当者が、計画設計段階でそれぞれデータを3D−CADシステムのデータベースに入力し、他機器や配管等との干渉が発生しないか、合理的な配置となっているかを確認することで、適切な原子力発電所の配置設計を行っている。この3D−CADシステムを使用することにより、電線管と機器,接地線,配筋,配管,埋設物等の建屋構造物の近接状態を、計画設計段階において確認することが可能となる。
【0003】
このようにして設計される原子力発電所の微弱信号回路に対する雷サージ電流の影響を低減する対策としては、〔特許文献1〕に記載のように、埋設電線管に保安器を接続する方法や、〔特許文献2〕に記載のように、躯体のデッキスラブ,配筋等に接地線取出し用ボルトを配置する方法がある。
【0004】
【特許文献1】特開2004−250779号公報
【特許文献2】特開2004−183426号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
〔特許文献1〕や〔特許文献2〕に記載の原子力発電所の微弱信号回路に対する雷サージ電流の影響を低減する対策は、既設の微弱信号回路についての対策であり、原子力発電所の安全系設備の一つである微弱信号回路用電線管ルートは、外部からのノイズによる影響を防ぐ為に全ての電路にわたって電線管で布設されているが、原子力発電所に落雷が生じた場合は、微弱信号回路の電線管に、電線管近傍の機器,接地線,配筋,配管,埋設物等の建屋構造物を介して雷サージ電流が伝搬されることにより、微弱信号回路の誤動作,故障等を生じ、原子力発電所の運転に影響を与える事例が発生している。
【0006】
これは原子力発電所への落雷時に、建屋内に発生する雷サージ電流の分散状態や、雷サージ電流の微弱信号回路用の電線管への伝搬が生じる個所を特定することが、計画設計段階では困難であり、雷サージ電流の影響を避ける為の適切な電線管ルートの設計ができなかったことが主たる要因である。
【0007】
本発明の目的は、原子力発電所内の微弱信号回路用電線管ルートの計画設計段階で、原子力発電所に落雷が発生した場合の電流分布と雷サージ電流が微弱信号回路に与える影響を評価でき、回路の誤作動等を防ぎ、信頼性を向上させることができる原子力発電所の電線管ルート設計用解析評価システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の電線管ルート設計用解析評価システムは、微弱信号回路の検出器,ケーブル,電線管,制御回路等を電気的等価回路にモデル化し、電線管近傍から侵入する外来ノイズが回路に与える影響を、計算機を用いたシミュレーションを行うことによって評価するものである。
【0009】
また、原子力発電所の躯体,配筋,埋設電線管,接地線を含む埋設物,機器データを保管するデータベースと、データを3次元の構造物として表示できるディスプレイと、設計データを入力できる入力部を有し、建屋接地系をモデル化した落雷時の雷サージ電流の分散を評価する解析モデルと、電流による誘導ノイズが微弱信号回路に与える影響を評価する解析モデルを有し、計画設計段階で落雷の影響を受け難い適切な微弱信号回路の電線管ルートを設定するものである。
【0010】
また、雷サージ電流が微弱信号回路に与える影響を評価した場合に、影響が回路のしきい値を超過するかどうかを判断し、超過した場合はディスプレイにその旨を表示するものである。
【0011】
また、雷サージ電流が微弱信号回路に与える影響がしきい値を超過すると判断した場合、データベースに入力された電線管ルートのうち、雷サージ電流の影響を受けた個所を特定し、ディスプレイ上に表示するものである。
【0012】
また、雷サージ電流が微弱信号回路に影響を与える個所が特定された場合、当該個所の電線管ルートを自動的に変更し、影響がしきい値以下になるルートを自動的に選択した上で、ルートをディスプレイに表示するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、計画設計段階で雷サージ電流が微弱信号回路に与える影響を定量的に評価でき、原子力発電所の運転開始後におけるトラブル発生のポテンシャルを低減し、原子力発電所における安全系設備である微弱信号回路の信頼性を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の一実施例である電線管ルート設計用解析評価システムは、図1に示すように、実際の原子力発電所設計に必要となる設計データである躯体,埋設物等の構造物のデータを入力する入力部5と、入力部5により入力されたデータを3次元データとして記録する3D−CADデータベース1と、3D−CADデータベース1に格納された躯体,埋設物等のデータを用いて、落雷時の雷サージ電流の分散状態を計算する雷サージ電流分散状態解析モデル2と、雷サージ電流が微弱信号回路に与える影響を評価し、電線管ルートが適切かどうかを判定する微弱信号回路影響評価解析モデル3と、原子力発電所の3次元の構造物を表示し、電線管ルートが適切かどうかの判定結果を表示するディスプレイ4で構成される。
【0015】
実際の原子力発電所設計に必要となるデータは入力部5により入力され、3D−CADデータベース1に記録され、ディスプレイ4上に図2に示すように、原子力発電所が3次元の構造物として表示される。
【0016】
原子力発電所は、図2に示すように、原子炉建屋100,原子炉建屋100の屋上に設置される排気筒101,原子炉建屋100に隣接して配置されるタービン建屋103,変圧器102等からなっている。
【0017】
この原子力発電所は、3D−CADデータベース1に格納された躯体,埋設物等のデータを用いて、落雷時の雷サージ電流の分散状態を評価できる雷サージ電流分散状態解析モデル2により分散状態が評価される。
【0018】
雷サージ電流分散状態解析モデル2は、例えば図3に示すように、建屋内の配筋,接地線を電気的な接続状態として表記したノード図として表される。図3に示すモデル化により、落雷時の雷サージ電流が原子力発電所内でどのように分散されるかを評価することができる。
【0019】
ここで、入力部5から設計データが入力され、3D−CADデータベース1のデータが変更され、変更されたデータに合わせて雷サージ電流分散状態解析モデル2が電線管ルート自動設定により自動的に変更された場合は、3D−CADデータベース1も自動的に変更するように、各データをフィードバックする機能が設けられている。
【0020】
図4は、原子力発電所のノード図と電線管ルート設計データを重ねた状態の一例を示す斜視図である。3D−CADシステムにおいて入力した電線管ルートの情報は、雷サージ電流分散状態解析モデル2の中に取り込まれ、電線管ルート近傍の構造物にどの様な雷サージ電流が生じるかを評価することができる。
【0021】
図5,図6は、電線管とその近傍、すなわちその周囲に配設された構造物の状態を表す模式図である。電線管には露出電線管6,埋設電線管7の2種類が存在する。露出電線管6は、壁面,天井面に沿って布設され、周辺に機器,配管,ケーブルトレイ等が配置される。また、埋設電線管7は、建屋の床,壁の内部に埋設され、構造上、周辺に鉄筋9や埋設接地線10が配置される。これらの情報は設計段階で3D−CADデータベース1に入力され、電線管と機器,配管との干渉の有無や離隔距離(クライテリアともいう)の確保を確認することができるようになっている。
【0022】
これらの情報を雷サージ電流分散状態解析モデル2に反映することにより、雷サージ電流が電線管ルート上の特定の個所において、近傍の構造物からどの様な影響を受けるかを評価することが可能となる。
【0023】
図7は、微弱信号回路用電線管への雷サージ電流の侵入経路の一例を示す概略図である。図7に示すように、微弱信号用同軸ケーブル11を収納した埋設電線管7近傍の鉄筋9などの構造物に生じた雷サージ電流は、電線管と建屋構造物との接触部からの伝搬、或いは近接する構造物からの空間伝搬によって埋設電線管7に伝搬され、埋設電線管7表面に誘導電流を誘起する。このようにして誘起された誘導電流が微弱信号用同軸ケーブル11に侵入すると、回路の誤動作,故障が発生する要因となる。
【0024】
雷サージ電流の伝搬,ケーブルへの侵入を評価するための等価回路モデルの一例を図8に示す。微弱信号回路に使用するケーブル,電線管の電気特性を確認し、単位長さ当たりの等価回路モデルを作成する。この等価回路モデルをケーブル設計長さ分だけ組合せ、回路の検出器,プリアンプ,制御回路等の等価回路モデルと組合せることにより、電線管に伝搬する雷サージ電流が微弱信号回路の制御部でどれだけの電流,電圧になるかを定量的に評価できる。この等価回路モデルを使用して、雷サージ電流が微弱信号回路に与える影響を評価する解析モデルを構築する。
【0025】
この解析モデルは、例えば図8に示すように、微弱信号回路については、検出器の静電容量Cd,同軸ケーブル内部導体と外部導体間の単位長さ当たりの静電容量C1,同軸ケーブル外部導体と電線管間の単位長さ当たりの静電容量C2 ,同軸ケーブル内部導体の単位長さ当たりの抵抗Rin,同軸ケーブル内部導体の単位長さ当たりのインダクタンスRout,同軸ケーブル外部導体の単位長さ当たりの抵抗Lin,同軸ケーブル外部導体の単位長さ当たりのリアクタンスLout ,電線管の単位長さ当たりの抵抗Rcp,電線管の単位長さ当たりのインダクタンスLcpを用いて等価回路モデルを組合せ、近接する構造物については、単位長さ当たりの抵抗Rf,単位長さ当たりのインダクタンスLf ,構造物に流れる雷サージ電流I,電線管と構造物間の相互インダクタンスMを用いて等価回路モデルとすることにより、構築することができる。
【0026】
雷サージ電流が微弱信号回路に与える影響を評価し、電線管ルートが適切かどうかを判定する一例を図9から図11により説明する。
【0027】
図9は、建屋の構造物である鉄筋9と埋設電線管7との近接状態を模擬した模式図を示す。図9に示すように、埋設電線管7と鉄筋9が、中心間距離d離れて長さlで並走している個所では、鉄筋9に雷サージ電流Iが流れた場合、電線管7には雷サージ電流Iの角周波数ω,鉄筋9と電線管の相互インダクタンスMに依存して、数1に示す電圧Vが誘起される。
【0028】
【数1】
【0029】
ここで、相互インダクタンスMは、コンクリートの透磁率μ,電線管の半径a,鉄筋の半径b,中心間距離dと並走距離lを用いて、数2,数3で表すことが出来る。
【0030】
【数2】
【0031】
【数3】
【0032】
数1から数3で示されるモデルの電気的等価回路を図10に示す。コンクリートの透磁率μ,雷サージ電流Iの角周波数ωが一定であると仮定すると、数1から数3により、誘起電圧VN は雷サージ電流Iと電線管と鉄筋の離隔距離rとの関数として評価することが出来る。
【0033】
微弱信号回路には、回路が誤動作,故障を発生する誘起電圧のしきい値が存在する。これは回路の仕様,設計条件によって異なるが、各回路に固有の値である。予め、微弱信号回路影響評価解析モデル3内に微弱信号回路のしきい値VS を設定しておき、雷サージ電流Iと離隔距離rとの相関関係から、数1を用いて得られた誘起電圧VNがしきい値VSを超過するか、或いはしきい値VS 以下となるかを電線管ルート全般に渡って評価し、判定を行う。判定結果及び電線管ルート上でしきい値VS を超過する個所はディスプレイ4に表示する。この結果、特定個所の電線管から侵入した外来ノイズが、微弱信号回路に与える影響を定量的に評価することが可能となる。
【0034】
この判定結果よりルートを変更する必要がある場合は、次のようにして自動的に適切な電線管ルートを選定する。回路のしきい値VS を用いて、数1から数3より雷サージ電流Iと離隔距離rは数4のような評価関数として表すことが出来る。
【0035】
【数4】
【0036】
数4を用いて表されるチャートを図11に示す。図11で示されるように、数4の評価関数を用いて、しきい値VS 以下となる雷サージ電流Iと離隔距離rとのエリア、しきい値VSを超過する雷サージ電流Iと離隔距離rとのエリアに分割することが可能となる。これれのエリアを確認し、電線管ルートがしきい値VS 以下となるエリアに存在するように設定することによって、解析モデルにより適切な電線管ルートを自動選定することが可能となる。この結果、微弱信号回路の誤動作,故障が生じない為の、回路のしきい値を設定することにより、しきい値から逆算して、外来ノイズをどの程度減少させれば、微弱信号回路が誤動作、故障を生じず安全に運転することができるかを決定することが出来る。
【0037】
しきい値VS を超過する個所があり、ルートの変更が必要な場合は、ディスプレイ4に変更が必要であることを表示した後、当該個所を迂回する電線管ルートを自動的に再設定する。再設定に当たっては、図11に示す評価関数を用いて、構造物と電線管が干渉しないように当初のルートから適当な距離だけ離し、雷サージ電流Iと離隔距離rとがしきい値VS以下のエリアに含まれるようなルートを選定する。
【0038】
新たに設定した電線管ルートは、雷サージ電流分散状態解析モデル2に反映し、再度影響評価を実施する。この評価の結果、しきい値VSを超過する場合には、再度電線管ルートの自動設定を行い、しきい値VS以下となるまで評価,再設定を繰り返す。しきい値VS以下となった場合にはディスプレイ4上に問題ない旨を表示し、データを3D−CADデータベース1にフィードバックさせる。この結果、電線管ルートの計画段階で雷サージ電流の影響を解析評価することにより、電線管施工前に雷サージの影響を受け難いルートを選定して、施工に反映することができる電線管ルートの解析評価システムを構築でき、電線管の施工完了後に雷サージ電流低減の為の特殊な対策を実施することが不要となる。
【0039】
このように、本実施例によれば、計画設計段階で雷サージ電流が微弱信号回路に与える影響を定量的に評価でき、原子力発電所の運転開始後におけるトラブル発生のポテンシャルを低減し、原子力発電所における安全系設備である微弱信号回路の信頼性を向上させることが可能となる。
【0040】
また、トラブル発生後の対策等に要していた作業時間,作業人員を低減することが可能となる。また、適切な電線管ルートを自動設定することができることから、電線管ルートの設計段階での設計ミスを低減し、設計時間を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施例である電線管ルート設計用の3D−CADシステムの構成図。
【図2】原子力発電所の斜視図。
【図3】分散状態解析モデルの一例を示す斜視図。
【図4】原子力発電所のノード図と電線管ルート設計データを重ねた状態の一例を示す斜視図。
【図5】電線管とその近傍の構造物の状態を表す模式図。
【図6】図5の矢視A−A断面図。
【図7】微弱信号回路用電線管への雷サージ電流の侵入経路の一例を示す概略図。
【図8】雷サージ電流の伝搬,ケーブルへの侵入を評価するための等価回路モデルの一例を示す図。
【図9】建屋の構造物である鉄筋と埋設電線管との近接状態を模擬した模式図。
【図10】鉄筋と電線管との雷サージ電流の伝搬を示した電気的等価回路モデルを示す図。
【図11】雷サージ電流と離隔距離を用いた評価関数のチャートを示す図。
【符号の説明】
【0042】
1 3D−CADデータベース
2 雷サージ電流分散状態解析モデル
3 微弱信号回路影響評価解析モデル
4 ディスプレイ
5 入力部
6 露出電線管
7 埋設電線管
8 壁
9 鉄筋
10 埋設接地線
11 微弱信号用同軸ケーブル
12 制御盤
13 プリアンプ
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力発電所内の微弱信号回路用電線管ルートの計画設計段階で、原子力発電所に落雷が発生した場合の電流分布と雷サージ電流が微弱信号回路に与える影響を評価でき、雷サージ電流の影響を適切なしきい値以下に抑えることができる原子力発電所の電線管ルート設計用解析評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所において、電線管ルートの設計は、次のような手順で行われる。原子力発電所の電線管ルート設計を含む機器配置設計では、他設備との干渉を防ぎ、合理的な配置設計を実施する為に、発電所の躯体,配筋,埋設電線管や接地線等の埋設物,機器等のデータを保存し、ディスプレイに3次元の構造物として表示し、データを確認することができる3D−CADシステム(3次元CADシステム)を使用する。機器配置設計,配管ルート設計,埋設物配置設計,電線管ルート設計等の各担当者が、計画設計段階でそれぞれデータを3D−CADシステムのデータベースに入力し、他機器や配管等との干渉が発生しないか、合理的な配置となっているかを確認することで、適切な原子力発電所の配置設計を行っている。この3D−CADシステムを使用することにより、電線管と機器,接地線,配筋,配管,埋設物等の建屋構造物の近接状態を、計画設計段階において確認することが可能となる。
【0003】
このようにして設計される原子力発電所の微弱信号回路に対する雷サージ電流の影響を低減する対策としては、〔特許文献1〕に記載のように、埋設電線管に保安器を接続する方法や、〔特許文献2〕に記載のように、躯体のデッキスラブ,配筋等に接地線取出し用ボルトを配置する方法がある。
【0004】
【特許文献1】特開2004−250779号公報
【特許文献2】特開2004−183426号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
〔特許文献1〕や〔特許文献2〕に記載の原子力発電所の微弱信号回路に対する雷サージ電流の影響を低減する対策は、既設の微弱信号回路についての対策であり、原子力発電所の安全系設備の一つである微弱信号回路用電線管ルートは、外部からのノイズによる影響を防ぐ為に全ての電路にわたって電線管で布設されているが、原子力発電所に落雷が生じた場合は、微弱信号回路の電線管に、電線管近傍の機器,接地線,配筋,配管,埋設物等の建屋構造物を介して雷サージ電流が伝搬されることにより、微弱信号回路の誤動作,故障等を生じ、原子力発電所の運転に影響を与える事例が発生している。
【0006】
これは原子力発電所への落雷時に、建屋内に発生する雷サージ電流の分散状態や、雷サージ電流の微弱信号回路用の電線管への伝搬が生じる個所を特定することが、計画設計段階では困難であり、雷サージ電流の影響を避ける為の適切な電線管ルートの設計ができなかったことが主たる要因である。
【0007】
本発明の目的は、原子力発電所内の微弱信号回路用電線管ルートの計画設計段階で、原子力発電所に落雷が発生した場合の電流分布と雷サージ電流が微弱信号回路に与える影響を評価でき、回路の誤作動等を防ぎ、信頼性を向上させることができる原子力発電所の電線管ルート設計用解析評価システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の電線管ルート設計用解析評価システムは、微弱信号回路の検出器,ケーブル,電線管,制御回路等を電気的等価回路にモデル化し、電線管近傍から侵入する外来ノイズが回路に与える影響を、計算機を用いたシミュレーションを行うことによって評価するものである。
【0009】
また、原子力発電所の躯体,配筋,埋設電線管,接地線を含む埋設物,機器データを保管するデータベースと、データを3次元の構造物として表示できるディスプレイと、設計データを入力できる入力部を有し、建屋接地系をモデル化した落雷時の雷サージ電流の分散を評価する解析モデルと、電流による誘導ノイズが微弱信号回路に与える影響を評価する解析モデルを有し、計画設計段階で落雷の影響を受け難い適切な微弱信号回路の電線管ルートを設定するものである。
【0010】
また、雷サージ電流が微弱信号回路に与える影響を評価した場合に、影響が回路のしきい値を超過するかどうかを判断し、超過した場合はディスプレイにその旨を表示するものである。
【0011】
また、雷サージ電流が微弱信号回路に与える影響がしきい値を超過すると判断した場合、データベースに入力された電線管ルートのうち、雷サージ電流の影響を受けた個所を特定し、ディスプレイ上に表示するものである。
【0012】
また、雷サージ電流が微弱信号回路に影響を与える個所が特定された場合、当該個所の電線管ルートを自動的に変更し、影響がしきい値以下になるルートを自動的に選択した上で、ルートをディスプレイに表示するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、計画設計段階で雷サージ電流が微弱信号回路に与える影響を定量的に評価でき、原子力発電所の運転開始後におけるトラブル発生のポテンシャルを低減し、原子力発電所における安全系設備である微弱信号回路の信頼性を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の一実施例である電線管ルート設計用解析評価システムは、図1に示すように、実際の原子力発電所設計に必要となる設計データである躯体,埋設物等の構造物のデータを入力する入力部5と、入力部5により入力されたデータを3次元データとして記録する3D−CADデータベース1と、3D−CADデータベース1に格納された躯体,埋設物等のデータを用いて、落雷時の雷サージ電流の分散状態を計算する雷サージ電流分散状態解析モデル2と、雷サージ電流が微弱信号回路に与える影響を評価し、電線管ルートが適切かどうかを判定する微弱信号回路影響評価解析モデル3と、原子力発電所の3次元の構造物を表示し、電線管ルートが適切かどうかの判定結果を表示するディスプレイ4で構成される。
【0015】
実際の原子力発電所設計に必要となるデータは入力部5により入力され、3D−CADデータベース1に記録され、ディスプレイ4上に図2に示すように、原子力発電所が3次元の構造物として表示される。
【0016】
原子力発電所は、図2に示すように、原子炉建屋100,原子炉建屋100の屋上に設置される排気筒101,原子炉建屋100に隣接して配置されるタービン建屋103,変圧器102等からなっている。
【0017】
この原子力発電所は、3D−CADデータベース1に格納された躯体,埋設物等のデータを用いて、落雷時の雷サージ電流の分散状態を評価できる雷サージ電流分散状態解析モデル2により分散状態が評価される。
【0018】
雷サージ電流分散状態解析モデル2は、例えば図3に示すように、建屋内の配筋,接地線を電気的な接続状態として表記したノード図として表される。図3に示すモデル化により、落雷時の雷サージ電流が原子力発電所内でどのように分散されるかを評価することができる。
【0019】
ここで、入力部5から設計データが入力され、3D−CADデータベース1のデータが変更され、変更されたデータに合わせて雷サージ電流分散状態解析モデル2が電線管ルート自動設定により自動的に変更された場合は、3D−CADデータベース1も自動的に変更するように、各データをフィードバックする機能が設けられている。
【0020】
図4は、原子力発電所のノード図と電線管ルート設計データを重ねた状態の一例を示す斜視図である。3D−CADシステムにおいて入力した電線管ルートの情報は、雷サージ電流分散状態解析モデル2の中に取り込まれ、電線管ルート近傍の構造物にどの様な雷サージ電流が生じるかを評価することができる。
【0021】
図5,図6は、電線管とその近傍、すなわちその周囲に配設された構造物の状態を表す模式図である。電線管には露出電線管6,埋設電線管7の2種類が存在する。露出電線管6は、壁面,天井面に沿って布設され、周辺に機器,配管,ケーブルトレイ等が配置される。また、埋設電線管7は、建屋の床,壁の内部に埋設され、構造上、周辺に鉄筋9や埋設接地線10が配置される。これらの情報は設計段階で3D−CADデータベース1に入力され、電線管と機器,配管との干渉の有無や離隔距離(クライテリアともいう)の確保を確認することができるようになっている。
【0022】
これらの情報を雷サージ電流分散状態解析モデル2に反映することにより、雷サージ電流が電線管ルート上の特定の個所において、近傍の構造物からどの様な影響を受けるかを評価することが可能となる。
【0023】
図7は、微弱信号回路用電線管への雷サージ電流の侵入経路の一例を示す概略図である。図7に示すように、微弱信号用同軸ケーブル11を収納した埋設電線管7近傍の鉄筋9などの構造物に生じた雷サージ電流は、電線管と建屋構造物との接触部からの伝搬、或いは近接する構造物からの空間伝搬によって埋設電線管7に伝搬され、埋設電線管7表面に誘導電流を誘起する。このようにして誘起された誘導電流が微弱信号用同軸ケーブル11に侵入すると、回路の誤動作,故障が発生する要因となる。
【0024】
雷サージ電流の伝搬,ケーブルへの侵入を評価するための等価回路モデルの一例を図8に示す。微弱信号回路に使用するケーブル,電線管の電気特性を確認し、単位長さ当たりの等価回路モデルを作成する。この等価回路モデルをケーブル設計長さ分だけ組合せ、回路の検出器,プリアンプ,制御回路等の等価回路モデルと組合せることにより、電線管に伝搬する雷サージ電流が微弱信号回路の制御部でどれだけの電流,電圧になるかを定量的に評価できる。この等価回路モデルを使用して、雷サージ電流が微弱信号回路に与える影響を評価する解析モデルを構築する。
【0025】
この解析モデルは、例えば図8に示すように、微弱信号回路については、検出器の静電容量Cd,同軸ケーブル内部導体と外部導体間の単位長さ当たりの静電容量C1,同軸ケーブル外部導体と電線管間の単位長さ当たりの静電容量C2 ,同軸ケーブル内部導体の単位長さ当たりの抵抗Rin,同軸ケーブル内部導体の単位長さ当たりのインダクタンスRout,同軸ケーブル外部導体の単位長さ当たりの抵抗Lin,同軸ケーブル外部導体の単位長さ当たりのリアクタンスLout ,電線管の単位長さ当たりの抵抗Rcp,電線管の単位長さ当たりのインダクタンスLcpを用いて等価回路モデルを組合せ、近接する構造物については、単位長さ当たりの抵抗Rf,単位長さ当たりのインダクタンスLf ,構造物に流れる雷サージ電流I,電線管と構造物間の相互インダクタンスMを用いて等価回路モデルとすることにより、構築することができる。
【0026】
雷サージ電流が微弱信号回路に与える影響を評価し、電線管ルートが適切かどうかを判定する一例を図9から図11により説明する。
【0027】
図9は、建屋の構造物である鉄筋9と埋設電線管7との近接状態を模擬した模式図を示す。図9に示すように、埋設電線管7と鉄筋9が、中心間距離d離れて長さlで並走している個所では、鉄筋9に雷サージ電流Iが流れた場合、電線管7には雷サージ電流Iの角周波数ω,鉄筋9と電線管の相互インダクタンスMに依存して、数1に示す電圧Vが誘起される。
【0028】
【数1】
【0029】
ここで、相互インダクタンスMは、コンクリートの透磁率μ,電線管の半径a,鉄筋の半径b,中心間距離dと並走距離lを用いて、数2,数3で表すことが出来る。
【0030】
【数2】
【0031】
【数3】
【0032】
数1から数3で示されるモデルの電気的等価回路を図10に示す。コンクリートの透磁率μ,雷サージ電流Iの角周波数ωが一定であると仮定すると、数1から数3により、誘起電圧VN は雷サージ電流Iと電線管と鉄筋の離隔距離rとの関数として評価することが出来る。
【0033】
微弱信号回路には、回路が誤動作,故障を発生する誘起電圧のしきい値が存在する。これは回路の仕様,設計条件によって異なるが、各回路に固有の値である。予め、微弱信号回路影響評価解析モデル3内に微弱信号回路のしきい値VS を設定しておき、雷サージ電流Iと離隔距離rとの相関関係から、数1を用いて得られた誘起電圧VNがしきい値VSを超過するか、或いはしきい値VS 以下となるかを電線管ルート全般に渡って評価し、判定を行う。判定結果及び電線管ルート上でしきい値VS を超過する個所はディスプレイ4に表示する。この結果、特定個所の電線管から侵入した外来ノイズが、微弱信号回路に与える影響を定量的に評価することが可能となる。
【0034】
この判定結果よりルートを変更する必要がある場合は、次のようにして自動的に適切な電線管ルートを選定する。回路のしきい値VS を用いて、数1から数3より雷サージ電流Iと離隔距離rは数4のような評価関数として表すことが出来る。
【0035】
【数4】
【0036】
数4を用いて表されるチャートを図11に示す。図11で示されるように、数4の評価関数を用いて、しきい値VS 以下となる雷サージ電流Iと離隔距離rとのエリア、しきい値VSを超過する雷サージ電流Iと離隔距離rとのエリアに分割することが可能となる。これれのエリアを確認し、電線管ルートがしきい値VS 以下となるエリアに存在するように設定することによって、解析モデルにより適切な電線管ルートを自動選定することが可能となる。この結果、微弱信号回路の誤動作,故障が生じない為の、回路のしきい値を設定することにより、しきい値から逆算して、外来ノイズをどの程度減少させれば、微弱信号回路が誤動作、故障を生じず安全に運転することができるかを決定することが出来る。
【0037】
しきい値VS を超過する個所があり、ルートの変更が必要な場合は、ディスプレイ4に変更が必要であることを表示した後、当該個所を迂回する電線管ルートを自動的に再設定する。再設定に当たっては、図11に示す評価関数を用いて、構造物と電線管が干渉しないように当初のルートから適当な距離だけ離し、雷サージ電流Iと離隔距離rとがしきい値VS以下のエリアに含まれるようなルートを選定する。
【0038】
新たに設定した電線管ルートは、雷サージ電流分散状態解析モデル2に反映し、再度影響評価を実施する。この評価の結果、しきい値VSを超過する場合には、再度電線管ルートの自動設定を行い、しきい値VS以下となるまで評価,再設定を繰り返す。しきい値VS以下となった場合にはディスプレイ4上に問題ない旨を表示し、データを3D−CADデータベース1にフィードバックさせる。この結果、電線管ルートの計画段階で雷サージ電流の影響を解析評価することにより、電線管施工前に雷サージの影響を受け難いルートを選定して、施工に反映することができる電線管ルートの解析評価システムを構築でき、電線管の施工完了後に雷サージ電流低減の為の特殊な対策を実施することが不要となる。
【0039】
このように、本実施例によれば、計画設計段階で雷サージ電流が微弱信号回路に与える影響を定量的に評価でき、原子力発電所の運転開始後におけるトラブル発生のポテンシャルを低減し、原子力発電所における安全系設備である微弱信号回路の信頼性を向上させることが可能となる。
【0040】
また、トラブル発生後の対策等に要していた作業時間,作業人員を低減することが可能となる。また、適切な電線管ルートを自動設定することができることから、電線管ルートの設計段階での設計ミスを低減し、設計時間を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施例である電線管ルート設計用の3D−CADシステムの構成図。
【図2】原子力発電所の斜視図。
【図3】分散状態解析モデルの一例を示す斜視図。
【図4】原子力発電所のノード図と電線管ルート設計データを重ねた状態の一例を示す斜視図。
【図5】電線管とその近傍の構造物の状態を表す模式図。
【図6】図5の矢視A−A断面図。
【図7】微弱信号回路用電線管への雷サージ電流の侵入経路の一例を示す概略図。
【図8】雷サージ電流の伝搬,ケーブルへの侵入を評価するための等価回路モデルの一例を示す図。
【図9】建屋の構造物である鉄筋と埋設電線管との近接状態を模擬した模式図。
【図10】鉄筋と電線管との雷サージ電流の伝搬を示した電気的等価回路モデルを示す図。
【図11】雷サージ電流と離隔距離を用いた評価関数のチャートを示す図。
【符号の説明】
【0042】
1 3D−CADデータベース
2 雷サージ電流分散状態解析モデル
3 微弱信号回路影響評価解析モデル
4 ディスプレイ
5 入力部
6 露出電線管
7 埋設電線管
8 壁
9 鉄筋
10 埋設接地線
11 微弱信号用同軸ケーブル
12 制御盤
13 プリアンプ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子力発電所の躯体,埋設物等の構造物の設計データを3次元で格納した3次元CADデータベースと、該3次元CADデータベースに格納された前記設計データを用いて落雷時の雷サージ電流の分散状態を計算する雷サージ電流分状態解析モデルと、該雷サージ電流分状態解析モデルで計算された前記構造物を流れる雷サージ電流が電線管を介して微弱信号回路に与える影響を定量的に評価し、設計データとして入力された微弱信号回路の電線管ルートが落雷時に発生する雷サージ電流の影響を受けて微弱信号回路の誤動作を生ずる可能性があるかどうかを判定する微弱信号回路影響評価解析モデルを備えた原子力発電所の電線管ルート設計用解析評価システム。
【請求項2】
前記微弱信号回路影響評価解析モデルは、微弱信号回路が誤動作を発生する誘起電圧のしきい値が予め設定されるものであって、前記雷サージ電流分状態解析モデルで計算された前記構造物を流れる雷サージ電流から計算される誘起電圧が前記しきい値を超過するかどうかを判断し、超過した場合にはディスプレイにその旨を表示する請求項1に記載の原子力発電所の電線管ルート設計用解析評価システム。
【請求項3】
微弱信号回路用電線管とその回りに配設された構造物との離隔距離と、構造物に流れる雷サージ電流の大きさと、微弱信号回路に誤動作,故障が発生するしきい値との関係を示す評価関数が予め入力され、微弱信号回路影響評価解析モデルは、雷サージ電流が微弱信号回路の電線管ルートに与える影響を解析評価した場合に、微弱信号回路に与える影響がしきい値を超過するかどうかを判断し、超過した場合に、前記評価関数から雷サージ電流の影響を受けていると判断される箇所を特定して、ディスプレイ上に当該個所を表示する請求項1に記載の原子力発電所の電線管ルート設計用解析評価システム。
【請求項4】
微弱信号回路影響評価解析モデルにより特定された、雷サージ電流の影響を受けていると判断される箇所のデータ変更により新たに電線管ルートを設定し、前記雷サージ電流分状態解析モデルにより落雷時の雷サージ電流の分散状態を計算し、前記微弱信号回路影響評価解析モデルにより雷サージ電流が微弱信号回路の電線管ルートに与える影響を解析評価し、当該個所が雷サージ電流の影響を受けないルートとなるように、電線管ルートを自動設定する請求項1に記載の原子力発電所の電線管ルート設計用解析評価システム。
【請求項1】
原子力発電所の躯体,埋設物等の構造物の設計データを3次元で格納した3次元CADデータベースと、該3次元CADデータベースに格納された前記設計データを用いて落雷時の雷サージ電流の分散状態を計算する雷サージ電流分状態解析モデルと、該雷サージ電流分状態解析モデルで計算された前記構造物を流れる雷サージ電流が電線管を介して微弱信号回路に与える影響を定量的に評価し、設計データとして入力された微弱信号回路の電線管ルートが落雷時に発生する雷サージ電流の影響を受けて微弱信号回路の誤動作を生ずる可能性があるかどうかを判定する微弱信号回路影響評価解析モデルを備えた原子力発電所の電線管ルート設計用解析評価システム。
【請求項2】
前記微弱信号回路影響評価解析モデルは、微弱信号回路が誤動作を発生する誘起電圧のしきい値が予め設定されるものであって、前記雷サージ電流分状態解析モデルで計算された前記構造物を流れる雷サージ電流から計算される誘起電圧が前記しきい値を超過するかどうかを判断し、超過した場合にはディスプレイにその旨を表示する請求項1に記載の原子力発電所の電線管ルート設計用解析評価システム。
【請求項3】
微弱信号回路用電線管とその回りに配設された構造物との離隔距離と、構造物に流れる雷サージ電流の大きさと、微弱信号回路に誤動作,故障が発生するしきい値との関係を示す評価関数が予め入力され、微弱信号回路影響評価解析モデルは、雷サージ電流が微弱信号回路の電線管ルートに与える影響を解析評価した場合に、微弱信号回路に与える影響がしきい値を超過するかどうかを判断し、超過した場合に、前記評価関数から雷サージ電流の影響を受けていると判断される箇所を特定して、ディスプレイ上に当該個所を表示する請求項1に記載の原子力発電所の電線管ルート設計用解析評価システム。
【請求項4】
微弱信号回路影響評価解析モデルにより特定された、雷サージ電流の影響を受けていると判断される箇所のデータ変更により新たに電線管ルートを設定し、前記雷サージ電流分状態解析モデルにより落雷時の雷サージ電流の分散状態を計算し、前記微弱信号回路影響評価解析モデルにより雷サージ電流が微弱信号回路の電線管ルートに与える影響を解析評価し、当該個所が雷サージ電流の影響を受けないルートとなるように、電線管ルートを自動設定する請求項1に記載の原子力発電所の電線管ルート設計用解析評価システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−267930(P2008−267930A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−109977(P2007−109977)
【出願日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(507250427)日立GEニュークリア・エナジー株式会社 (858)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(507250427)日立GEニュークリア・エナジー株式会社 (858)
【Fターム(参考)】
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