説明

原子炉内構造物作業装置および原子炉内構造物作業方法

【課題】シュラウドなどの炉内構造物の壁面の点検・補修などの作業を行うにあたり、クレーンをあまり使わずに、人手をあまりかけずに短時間で広範囲の作業を行う。
【解決手段】水平走行機構8,9は、原子炉圧力容器1内の円筒構造物2の上に載置されて、車輪によって円筒構造物2の上に沿って水平に走行し、中空のマスト10は、水平走行機構8,9によって搬送され、伸縮可能である。展開作業機構13は、マスト10の内部に対して収納および展開可能で、展開したときに円筒構造物2の壁面に接近又は接触して作業を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力発電プラントにおいて水中に設置された炉内構造物として例えばシュラウドの洗浄、点検、検査、予防保全、補修などの各種作業を行う原子炉内構造物作業装置およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ここでは、原子炉運転停止時に原子炉圧力容器の上部を開放して原子炉内の水中で行われるシュラウドの溶接線の点検、検査作業を例として説明する。原子炉内水中におけるシュラウドの溶接線の点検、検査作業は、作業工期短縮、コスト削減のために燃料交換中に並行して行うことが求められており、作業時間、検査範囲、およびコストの優位性が求められている。
【0003】
このような原子炉内水中における炉内構造物としてのシュラウドの点検、検査や予防保全を遠隔かつ自動で行う手法として以下が提案されている。
【0004】
(1) 作業装置の位置決めにガイドなどの機械的な移動手段を用いる方法
(2) 作業装置の位置決めに搬送用のビークルを用いる方法
(3) 水中遊泳式ビークルによりシュラウドへアクセスする方法
(4) 原子炉上部に作業用プラットフォームを設置する方法
上記(1)に関わる方法として、例えば特許文献1に記載された方法においては、原子炉内シュラウド外側のアニュラス部においてシュラウドサポートプレート上を円周方向に移動するため、牽引ロープを炉上部の作業台車上から操作して移動させている。また、上記(1)に関わる方法には、原子炉内のシュラウド上部に設置された周方向の走行台車にシュラウド外側に沿うよう垂下されたアクセスアームを搭載し、シュラウド外周に作業装置を移動設置する方法もある。
【0005】
上記(2)に関する方法として、例えば特許文献2に記載された方法においては、原子炉内のアニュラス部に設置されているジェットポンプに対し、ジェットポンプ内の点検装置を遊泳式の大型ビークルで搬送して、遠隔で作業装置の設置を行っている。
【0006】
上記(3)に関する方法として、例えば特許文献3に記載された方法においては、原子炉内の水中を遊泳移動する水中ビークルによりシュラウドへアクセスし、シュラウド壁面に吸着しながら周方向に自走移動している。
【0007】
上記(4)に関する方法として、例えば特許文献4に記載された方法おいては、炉上部に円形の作業用プラットフォームを設置して原子炉内の作業を行う。これにより、複数の炉内作業を並行して実施することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−309788号公報
【特許文献2】米国特許公開2006/0227921
【特許文献3】特許第3819380号公報
【特許文献4】特開2003−255077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来、原子炉内の主要構造物であるシュラウドに対し溶接線の点検や検査は、点検、検査用のビークルやアクセス装置を燃料交換機や作業台車の上から作業員が操作し、対象溶接線への位置決めや動作状況の監視などを作業員が直接確認しながら進めている。そのため、作業時間がばらつくとともに遅延を招きやすい状況であった。
【0010】
さらに、作業工期短縮、コスト削減のためにシュラウドの点検、検査を燃料交換と同時期に並行して行うことが求められており、作業時間が短いこと、検査範囲が広いこと、およびコストが低いことが点検、検査を行う作業システムに必要である。
【0011】
このようなシュラウドの溶接線の点検や検査を遠隔/自動で行う手法として、例えば特許文献1に記載された技術では、作業装置の位置決めにガイドなどの機械的な移動手段を用いている。しかしながら、特許文献1のように、炉上部の燃料交換機や作業台車から牽引ロープや移動用ガイドを設置する方法では、点検、検査中も常に燃料交換機や作業台車が必須であり、燃料交換中の並行作業には不向きと考えられる。また、作業装置はシュラウドサポートプレート上を移動するので、シュラウド上方の溶接線に対しては適さないと考えられる。さらに、上述した(1)に関わる方法のように、シュラウド上部胴などの炉内構造物をガイドにして移動する方法では、作業装置をマストなどの伸縮構造物の先端に取付けてシュラウド外周に設置されたジェットポンプを回避しながら移動する必要があり、移動装置の設置変更が必要になるなど作業時間の増大を招く可能性がある。
【0012】
また、特許文献2に記載された技術では、作業装置の位置決めに搬送用のビークルを用いている。しかしながら、特許文献2のように、搬送用のビークルを用い方法は、作業装置を設置するために作業台車や天井クレーンが不要で、これらを用いずに任意の箇所に作業装置を位置決め可能であるが、人間の技量に依存する割合が大きいため、作業の信頼性向上や作業時間短縮を阻害してしまう可能性がある。
【0013】
さらに、特許文献3に記載された技術では、原子炉内水中を移動するビークルによりシュラウド外周へアクセスして作業装置の位置決めを行うようにしている。しかしながら、特許文献3のように原子炉内水中を移動するビークルを用いる方法は、装置の小型化が可能であり、少ない設置回数により短時間で広範囲の検査が可能であるが、その反面で装置の移動時にケーブル調整を人間が行わなければならず、ケーブル状態を監視し人間の判断によりケーブル余長を調整しなければならず、作業の信頼性向上や作業時間短縮を阻害してしまう可能性がある。
【0014】
また、特許文献4に記載された技術では、原子炉上部に作業用プラットフォームを固定設置または移動設置するようにしている。しかしながら、特許文献4のように炉上部にプラットフォームを設置する方法では、直接上方から人間が操作できて監視可能であるが、プラットフォームの物量が大きく設置、撤去の作業工数が多大に必要であり、コスト増大を招いてしまう可能性がある。
【0015】
本発明は上述した課題を解決するためになされたものであり、原子炉停止中に、シュラウドなどの炉内構造物の点検や補修などの作業を行うにあたり、人手を余りかけずに短時間で、しかも作業中にクレーンや作業台車などを用いずに広範囲の作業ができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明に係る原子炉内構造物作業装置は、原子炉の運転停止時に、軸を鉛直にして原子炉圧力容器内に配置されている円筒構造物の上に載置されて、その円筒構造物の上に沿って水平に前記円筒構造物の円周方向に走行する水平走行機構と、前記水平走行機構に取り付けられて、少なくとも鉛直方向に延びたときに伸縮可能な中空のマストと、前記マストの内部に対して収納および展開可能で、展開したときに前記円筒構造物の壁面に接近又は接触して作業を行う展開作業機構と、を有することを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る原子炉内構造物作業装置は、原子炉の運転停止時に、軸を鉛直にして原子炉圧力容器内に配置されている円筒構造物の上に載置されて、その円筒構造物の上に沿って水平に前記円筒構造物の円周方向に走行する水平走行機構と、前記水平走行機構に取り付けられて、少なくとも鉛直方向に延びたときに伸縮可能な中空のマストと、前記マストを貫通するケーブルに接続されて、前記円筒構造物の壁面に接近又は接触して作業を行う水中ビークルと、を有することを特徴とする。
【0018】
上記目的を達成するために、本発明に係る原子炉内構造物作業方法は、軸を鉛直にして配置された円筒構造物が原子炉圧力容器内に配置された原子炉の運転停止時に、前記円筒構造物の外壁面に対し展開作業機構を展開して接近又は接触させて作業を行う原子炉内構造物作業方法であって、前記原子炉圧力容器の上部が開放され、原子炉圧力容器内が水で満たされた状態で、前記原子炉圧力容器の上方から、マストが取り付けられた走行機構を搬送して前記円筒構造物の上端に載置する搬送載置ステップと、前記搬送載置ステップの後に、前記円筒構造物の上端に沿って前記円筒構造物の円周方向に水平に、前記走行機構によって走行移動させる水平走行ステップと、前記水平走行ステップの後に、前記円筒構造物の作業部位に向けて、前記マストを伸ばすマスト延伸ステップと、前記マスト延伸ステップの後に、前記マスト内に配置された前記展開作業機構を前記円筒構造物の作業部位に展開させる展開ステップと、前記展開ステップの後に、前記円筒構造物の壁面の作業を行う作業走行ステップと、を有すること、を特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る原子炉内構造物作業方法は、軸を鉛直にして配置された円筒構造物が原子炉圧力容器内に配置された原子炉の運転停止時に、前記円筒構造物の外壁面に対し水中ビークルを接近又は接触させて作業を行う原子炉内構造物作業方法であって、前記原子炉圧力容器の上部が開放され、原子炉圧力容器内が水で満たされた状態で、前記原子炉圧力容器の上方から、マストが取り付けられた走行機構を搬送して前記円筒構造物の上端に載置する搬送載置ステップと、前記搬送載置ステップの後に、前記円筒構造物の上端に沿って前記円筒構造物の円周方向に水平に、前記走行機構によって走行移動させる水平走行ステップと、前記水平走行ステップの後に、前記円筒構造物の作業部位に向けて、前記マストを伸ばすマスト延伸ステップと、前記マスト延伸ステップの後に、前記マスト先端に配置された前記水中ビークルを前記円筒構造物の作業部位に接近動作させる接近動作ステップと、前記接近動作ステップの後に、前記水中ビークルを移動させて前記円筒構造物の壁面の作業を行う作業走行ステップと、を有すること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、原子炉停止中に、シュラウドなどの炉内構造物の点検や補修などの作業を行うにあたり、人手を余りかけずに短時間で、しかも作業中にクレーンや作業台車などを用いずに広範囲の作業ができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る原子炉内構造物作業装置の第1実施形態を原子炉内に設置した状態を示す部分断面立面図である。
【図2】図1におけるマストを横姿勢とした状態を示す部分断面立面図である。
【図3】図1の原子炉内構造物作業装置を矢印III方向から見た側面図であって、図1よりも広範囲を縮小し展開アームを展開した状態を示す図である。
【図4】図1の原子炉内構造物作業装置を拡大して示す部分断面立面図である。
【図5】図4の矢印V方向から見た部分断面側面図である。
【図6】図5の原子炉内構造物作業装置のマストの駆動構造を拡大して示す部分断面立面図である。
【図7】図6のマストの内部構造を示す横断面図である。
【図8】原子炉内構造物作業装置の第1実施形態における検査補修駆動部の駆動構造を拡大して示す部分断面立面図である。
【図9】原子炉内構造物作業装置の第1実施形態における検査補修駆動部のカメラおよびセンサを拡大して示す部分断面立面図である。
【図10】本発明に係る原子炉内構造物作業装置の第2実施形態を原子炉内に設置した状態を示す部分断面立面図である。
【図11】図10の原子炉内構造物作業装置を矢印XI方向から見た側面図である。
【図12】図10の原子炉内構造物作業装置を拡大して示す部分断面立面図である。
【図13】図12の矢印XIII方向から見た部分断面側面図である。
【図14】図12の原子炉内構造物作業装置のマスト下端部および水中ビークルを拡大して示す部分断面立面図である。
【図15】図14の水中ビークルを拡大して示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明に係る原子炉内構造物作業装置の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0023】
(第1実施形態)
図1は本発明に係る原子炉内構造物作業装置の第1実施形態を原子炉内に設置した状態を示す部分断面立面図である。図2は図1におけるマストを横姿勢とした状態を示す部分断面立面図である。図3は図1の原子炉内構造物作業装置を矢印III方向から見た側面図であって、図1よりも広範囲を縮小し展開アームを展開した状態を示す図である。図4は図1の原子炉内構造物作業装置を拡大して示す部分断面立面図である。図5は図4の矢印V方向から見た部分断面側面図である。
【0024】
ここに示す原子炉内構造物作業装置6は、沸騰水型原子炉の運転停止時に、円筒状の構造物であるシュラウド2の溶接線の点検、検査の作業に用いる場合を例として説明する。
【0025】
図3において、原子炉圧力容器1は軸を鉛直とする円筒状であって、その内部に原子炉圧力容器1と同軸の円筒状の構造物であるシュラウド2が設置されている。シュラウド2の上端にはその円周に沿って上部リング7が配置されている。シュラウド2と原子炉圧力容器1との間の環状部に複数のジェットポンプ3が配列されている。ジェットポンプ3の上端は上部リング7よりも低い位置にある。シュラウド2の上方には、給水スパジャー4とコアスプレイ配管5が原子炉圧力容器1の内壁に沿って設置されている。
【0026】
原子炉内構造物作業装置6は、図示しないクレーンまたは搬送手段を用いてシュラウド2の上部リング7に設置される。このとき、原子炉は運転停止中であって、原子炉圧力容器1の上蓋(図示せず)およびシュラウド2の上方に設置されるシュラウドヘッドや気水分離器、蒸気乾燥器など(図示せず)は外され、原子炉圧力容器1内は水で満たされている。
【0027】
原子炉内構造物作業装置6には、左右方向(シュラウド2の円周方向)へ水平移動可能な左右移動ステージ8と、原子炉圧力容器1側に前後(シュラウド2の半径方向)へ水平移動可能な前後移動ステージ9が配置されている。前後移動ステージ9には、自在に伸縮可能なマスト10と、このマスト10の上部にはケーブルの送りまたは回収を可能としたケーブル処理装置11とが配置され、このケーブル処理装置11を用いてケーブル14を送りまたは回収することにより、マスト10が伸縮する構造となっている。マスト10には、マスト10の姿勢を変更するための回転駆動機構12が取り付けられている。
【0028】
マスト10の先端(下端)部方向には、展開作業機構としての検査補修駆動部13が配置されており、この検査補修駆動部13を設けたマスト10は、ケーブル処理装置11を用いて検査補修駆動部13をシュラウド2の溶接線検査部位近傍まで伸ばし、マスト10の先端部から検査補修駆動部13をシュラウド2方向に展開駆動し、検査補修駆動部13に搭載した後述する検査用センサをシュラウド2に接近して接触させる。
【0029】
原子炉内構造物作業装置6には、左右に2個の車輪15a、車輪15bが配置されており、車輪15aには歯車16を介して駆動モータ17が連結され、この駆動モータ17を駆動させることにより、上部リング7に沿って左右に走行される。また、原子炉内構造物作業装置6には、左右に水平移動できる左右移動ステージ8が設けられ、図示しないボールネジに駆動モータ18が接続され、このボールネジの図示しないナットを駆動し、リニアガイド19a、リニアガイド19bで左右水平に移動する。また、左右移動ステージ8の上には、前後に水平移動できる前後移動ステージ9が設けられ、図示しないボールネジに駆動モータが接続され、このボールネジの図示しないナットを駆動し、リニアガイド21a、リニアガイド21bで前後水平に移動する。
【0030】
なおここで、マスト10をシュラウド2の円周方向(左右方向)へ水平移動させる方法として、車輪15a、車輪15bの回転による方法と、リニアガイド19a、リニアガイド19bにより左右移動ステージ8を駆動する方法の2通りがある。前者は大きな移動のためのものであって、後者は小さな移動を精密に制御するためのものである。
【0031】
マスト10は、同軸の筒状体である外筒10a、内筒10bで構成されている。外筒10aの内側に内筒10bが配置されて、軸方向に互いに抜け出さない範囲で摺動可能に構成されている(図5および図6を参照して後述する)。内筒10bの内部には、検査用センサ22を搭載した検査補修駆動部13がケーブル14により収納されている。
【0032】
外筒10aにはケーブル処理装置11が設置されており、このケーブル処理装置11は回転ローラ23a、回転ローラ23b、ガイドローラ24a、およびガイドローラ24bによりケーブル14を挟み込み、駆動モータ26で回転ローラ23aを回転させることによりケーブル14を送り出したり戻したりする。
【0033】
外筒10aには、マスト10を立姿勢から横姿勢に回転する回転駆動機構12が、接続パイプ27を介して前後移動ステージ9に固定されており、駆動モータ28を駆動することにより回転駆動ができる。したがって、回転駆動機構12を回転することにより、マスト10の姿勢を変えることが可能である。マスト10を横姿勢にすることで、原子炉内構造物作業装置6の重心を低く抑えることが可能となり、搬送時の姿勢を安定させることが可能である。また、マスト10を横姿勢にすることで、シュラウド2に配置されたタイロッドまたは図示しないLPCI(低圧注水系)カップリングを回避して全周に移動することができる。
【0034】
さらに、回転駆動機構12には、外筒10a、内筒10bを自転させるマスト自転駆動部29が配置されており、駆動モータ30を駆動することにより、回転駆動ができる。上記のモータの各ケーブルは、図示しないケーブル中継ボックスを介して複合ケーブル31により、図示しないオペレーションフロアに設置された制御盤に接続し遠隔制御ができる。
【0035】
図6は、図5の原子炉内構造物作業装置のマストの駆動構造を拡大して示す部分断面立面図である。また、図6は、マスト10の外筒10aから内筒10bが伸びた状態を示している。図7は、図6のマストの内部構造を示す横断面図である。
【0036】
図6および図7に示すように、マスト10は、外筒10aと内筒10bとがそれぞれ外径が異なり、内筒10bは外筒10aより細い径に形成されている。外筒10aには、軸方向に溝31aと溝31bが互いに対向して配置されている一方、内筒10bには、これらの溝31aと溝31bに沿って上下に移動するブロック32aとブロック32bがそれぞれ配置されている。
【0037】
図6において、内筒10bの上端には、リング状に形成された固定リング33が固定されており、この固定リング33に固定金具34が固着されている。そして、この固定金具34には、検査補修駆動部13のケーブル14が貫通している。
【0038】
マスト10を伸ばすには、ケーブル処理装置11(図6参照)により、検査補修駆動部13のケーブル14を送り出すことにより、ケーブル14の先端が取り付けられた内筒10bが下降すると同時に、内筒10bの後端部に固定された固定リング33および固定金具34も下降し、内筒10bの先端部に設けられた検査補修駆動部13が下降することにより、シュラウド2の高さ方向での検査部位と検査用センサ22との位置合わせが可能となる。
【0039】
次に、外筒10aの溝31aおよび溝31bにそれぞれ嵌め合う内筒10bのブロック32aおよびブロック32bにより、マスト10をマスト自転駆動部29の駆動モータ30で回転させると、内筒10bの検査補修駆動部13が回転し、シュラウド2の周方向での検査部位と検査用センサ22との位置合わせが可能となる。
【0040】
また、本実施形態の原子炉内構造物作業装置6のケーブル処理装置について説明する。図6において、検査補修駆動部13のケーブル14は、回転ローラ23aとガイドローラ24aとの間、および回転ローラ23bとガイドローラ24bとの間を通過するように配置されている。回転ローラ23aには、歯車25aが配置され、この歯車25aには図示しない歯車を介して駆動モータ26が取り付けられている。この回転ローラ23aは、タイミングプーリ25bと結合され、回転ローラ23bはタイミングプーリ25cと結合されている。タイミングプーリ25bとタイミングプーリ25cとは、タイミングベルト25dによって連動する。駆動モータ26を駆動することにより、タイミングベルト25dを介して回転ローラ23aと回転ローラ23bを同時に回転することが可能である。
【0041】
また、回転ローラ23aと回転ローラ23bの上部にはケーブル14を挟み込むようにガイドローラ24a、ガイドローラ24bが配置され、それぞれ調整ボルト24cと調整ボルト24dにより、ケーブル14に対するガイドローラ24a、ガイドローラ24bの押付け力の調整が可能である。
【0042】
上記の構成により、ケーブル処理装置11で安定したケーブル14の引き上げと繰り出しが可能である。
【0043】
また、ケーブル処理装置11で、ケーブル14の繰り出し量が確認できるように、ケーブル14に直接触れるように、回転ローラ24eを配置し、回転ローラ24eに回転式の距離計測センサを取り付け、ケーブル14の繰り出し量を制御することが可能である。
【0044】
図8は原子炉内構造物作業装置の第1実施形態における検査補修駆動部の駆動構造を拡大して示す部分断面立面図である。なお、図8は、検査補修駆動部13の展開アーム35が展開した状態を示している。
【0045】
図8に示すように、展開アーム35は、一端が内筒10bの内壁面にリンク式接続金具37aを介して接続されている。また、内筒10bの先端部(下端部)内面には、リンク式接続部38bを介して空気圧または水圧などで駆動するシリンダ36が取り付けられ、このシリンダ36のピストン36aの先端がリンク式接続金具37bを介して展開アーム35の中央に連結されている。さらに、シリンダ36の側面は、リンク式接続部38aを介して内筒10bの内壁面に接続されている。
【0046】
したがって、シリンダ36を駆動してピストン36aを伸長させると、シリンダ36が時計方向に回転しつつ、展開アーム35を水平位置になるまで反時計方向に回転させて展開する。また、シリンダ36を駆動してピストン36aを縮めると、展開アーム35が時計方向に回転しつつ、シリンダ36を反時計方向に回転させて、マスト10b内にシリンダ36および展開アーム35を収納することができる。
【0047】
図9は原子炉内構造物作業装置の第1実施形態における検査補修駆動部のカメラおよびセンサを拡大して示す部分断面立面図である。
【0048】
図9に示すように、展開アーム35の他端には、センサ取付金具39を介して検査用センサ22aおよび検査用センサ22bが取り付けられている。
【0049】
展開アーム35の一端近傍には、シュラウド2の壁面の検査部位と検査用センサ22aと検査用センサ22bとの位置を確認することのできる監視カメラとしての水中カメラ40が取付金具41により取り付けられている。したがって、水中カメラ40は、検査用センサ22aおよび検査用センサ22bがシュラウド2の壁面の検査部位を正しく検査しているかを確認することが可能である。
【0050】
次に、本実施形態の原子炉内構造物作業装置6を用いて原子炉内構造物であるシュラウド2の溶接線の点検、検査の作業方法の説明をする。
【0051】
図1および図2に示すように、原子炉運転停止時に、原子炉圧力容器1の上蓋およびシュラウドヘッドは開放され、原子炉圧力容器1内は水で満たされている。その状態で、原子炉格納容器1内のオペレーションフロアからクレーン(天井クレーンやホイストなど)と吊り具を用いて原子炉内構造物作業装置6を吊り下ろして上部リング7に載置する。そのとき、マスト10は、横姿勢にある。
【0052】
次いで、マスト10を立姿勢に変更し、さらに、左右移動ステージ8および前後移動ステージ9の動作により、マスト10の水平方向の位置決めを行う。その後、ケーブル処理装置11によってケーブル14を繰り出してマスト10を下方に伸ばし、マスト10の先端部をシュラウド2の壁面の検査部位近傍まで伸ばす。すると、検査補修駆動部13が検査部位近傍に接近し、その状態でマスト10の先端部から検査補修駆動部13をシュラウド2方向に展開し、検査補修駆動部13に搭載した検査用センサ22aおよび検査用センサ22bをシュラウド2に接近して接触させる。
【0053】
その後、原子炉内構造物作業装置6の走行車輪15aと走行車輪15bを駆動することで、原子炉内構造物作業装置6をシュラウド2の周方向へ移動しながら、図9に示す検査補修駆動部13に搭載した検査用センサ22aおよび検査用センサ22bにより溶接線の点検、検査を行うことが可能となる。
【0054】
なお、本実施形態においては、検査補修駆動部13により点検、検査作業を行う場合について説明したが、これに限らず検査補修駆動部13に搭載する作業手段として、例えばレーザピーニングヘッドを用いた予防保全作業、溶接ヘッドを用いた補修作業も可能である。
【0055】
以上説明した本実施形態による原子炉内構造物作業装置によれば、燃料交換中にシュラウド2の溶接線の点検、検査など作業を実施するにあたり、点検、検査中において天井クレーンや作業台車を使用することなく、原子炉内構造物作業装置6およびその検査補修駆動部13によってシュラウド2の上部に存在する溶接線の点検、検査が可能となる。また、装置の制御および装置の監視が遠隔および自動で行うことが可能となり、人手による作業を削減するとともに、作業時間を短縮することができる。その結果、定期点検工程の短縮およびコストの低減に寄与することができる。
【0056】
また、本実施形態によれば、検査補修駆動部13に水中カメラ40を取り付けて、シュラウド2の上部に存在する溶接線に対する展開アーム35に取り付けた検査用センサ22aおよび検査用センサ22bの位置を監視するため、シュラウド2の壁面の検査部位を正しく検査しているかを確認することが可能となる。
【0057】
(第2実施形態)
図10は本発明に係る原子炉内構造物作業装置の第2実施形態を原子炉内に設置した状態を示す部分断面立面図である。図11は図10の原子炉内構造物作業装置を矢印XI方向から見た側面図である。図12は図10の原子炉内構造物作業装置を拡大して示す部分断面立面図である。図13は図12の矢印XIII方向から見た部分断面側面図である。なお、前記第1実施形態と同一または対応する部分には、同一の符号を用いて説明する。
【0058】
原子炉内構造物作業装置6Aは、図示しないクレーンまたは搬送手段を用いてシュラウド2の上部リング7に設置される。このとき、原子炉は運転停止中であって、原子炉圧力容器1の上蓋(図示せず)およびシュラウド2の上方に設置されるシュラウドヘッドや気水分離器、蒸気乾燥器など(図示せず)は外され、原子炉圧力容器1内は水で満たされている。
【0059】
原子炉内構造物作業装置6Aには、図10〜図12に示すように、左右方向(シュラウド2の円周方向)へ水平移動可能な左右移動ステージ8と、原子炉圧力容器1側に前後(シュラウド2の半径方向)へ水平移動可能な前後移動ステージ9が配置されている。前後移動ステージ9には、自在に伸縮可能なマスト10と、このマスト10の上部にはケーブルの送りまたは回収を可能としたケーブル処理装置11とが配置され、このケーブル処理装置11を用いてケーブル14を送りまたは回収することにより、マスト10が伸縮する構造となっている。マスト10には、マスト10の姿勢を変更するための回転駆動機構12が取り付けられている。
【0060】
また、マスト10の先端(下端)方向には、水中ビークル50がケーブル51を介して設けられている。この水中ビークル50を備えたマスト10は、ケーブル処理装置11により、シュラウド2の溶接線検査部位まで伸ばし、マスト10の先端部から水中ビークル50をシュラウド2の方向に移動させ、水中ビークル50を駆動し水中ビークル50に搭載した検査用センサ52をシュラウド2に接近して接触させてシュラウド2の溶接線検査を可能としている。
【0061】
なお、原子炉内構造物作業装置6Aにおける左右移動ステージ8、前後移動ステージ9、マスト10、およびケーブル処理装置11の具体的な構成および作用は、前記第1実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0062】
図12に示すように、水中ビークル50は、後述する駆動モータおよび車輪でシュラウド2の壁面を走行する場合、水中ビークル50の図示しない距離センサにより走行距離を確認し、この走行距離に基づいて原子炉内構造物作業装置6Aも走行を可能としている。
【0063】
具体的には、本実施形態では、駆動モータ17により車輪15aを回転させて左右に走行させ、原子炉内構造物作業装置6Aを上部リング7に沿って左右に移動させるとき、後述する水中ビークル50の距離センサにより水中ビークル50が移動する時間に対する移動距離を検出し、その移動時間および移動距離に基づいて車輪15aの回転速度を図示しない制御手段によって制御することにより、水中ビークル50の移動速度と同期をとることができる。
【0064】
上記の駆動モータの各ケーブルは、後述するケーブル中継ボックス、ケーブル、および複合ケーブル31を介して図示しないオペレーションフロアに設置された制御盤に接続されて遠隔制御が可能になっている。
【0065】
図14は図12の原子炉内構造物作業装置のマスト下端部および水中ビークルを拡大して示す部分断面立面図である。また、図14は、内筒10bから水中ビークル50のケーブル51を繰り出して水中ビークル50が後述する駆動モータと車輪にて走行する状態を示している。
【0066】
図14に示すように、内筒10bには、水中ビークル50のケーブル51をガイドするケーブルローラ54が設置されている。また、内筒10bの内部には、取付金具57により監視カメラとしての水中カメラ55および水中ライト56が取り付けられている。この水中カメラ55は、走行する水中ビークル50のシュラウド2の壁面における検査部位、検査用センサ52の位置、水中ビークル50の姿勢の状態をそれぞれ確認することができる。これにより、水中カメラ55は、検査用センサ52が正しく検査部位を検査しているかを確認することが可能である。
【0067】
図15は図14の水中ビークルを拡大して示す構成図である。
【0068】
図15に示すように、水中ビークル50には、水中ビークル本体をシュラウド2の壁面に押し付けるための水中ファン53a、水中ファン53bと、これらの水中ファン53a、水中ファン53bをそれぞれ回転駆動するためにギアやベルトなどを介して接続された駆動モータ58a、駆動モータ58bとが搭載されている。
【0069】
また、水中ビークル50には、シュラウド2の壁面を走行するための車輪59a、車輪59bと、これらの車輪59a、車輪59bを回転駆動する駆動モータ60a、駆動モータ60bと、水中ビークル50の走行に従って回転する計測車輪61a、計測車輪61bと、これらの計測車輪61a、計測車輪61bの回転数に基づいて水中ビークル50の移動距離を検出する検出手段としての距離センサ62a、距離センサ62bと、車輪59a、車輪59bの走行に伴って従動回転するボールキャスタ63とが搭載されている。
【0070】
さらに、水中ビークル50は、ケーブル51の取付部にケーブル中継ボックス64が取り付けられ、このケーブル中継ボックス64に各駆動モータ58a、駆動モータ58b、駆動モータ60a、駆動モータ60bの各ケーブルが接続されている。
【0071】
次に、本実施形態の原子炉内構造物作業装置6Aを用いて原子炉内構造物であるシュラウド2の溶接線の点検、検査の作業方法の説明をする。
【0072】
図10に示すように、原子炉運転停止時に、原子炉圧力容器1の上蓋およびシュラウドヘッドは開放され、原子炉圧力容器1内は水で満たされている。その状態で、原子炉格納容器1内のオペレーションフロアからクレーン(天井クレーンやホイストなど)と吊り具を用いて原子炉内構造物作業装置6Aを吊り下ろして上部リング7に載置する。この状態では、水中ビークル50は、マスト10の先端部に接触した状態にある。
【0073】
次いで、左右移動ステージ8および前後移動ステージ9の動作により、マスト10の水平方向の位置決めを行う。その後、ケーブル処理装置11によってケーブル14を繰り出してマスト10を下方に伸ばし、マスト10の先端部をシュラウド2の壁面の検査部位近傍まで伸ばす。すると、水中ビークル50が検査部位近傍に接近し、その状態で水中ビークル50の水中ファン53a、水中ファン53bを回転させてマスト10の先端部から水中ビークル50を離脱して遊泳させ、この水中ビークル50がシュラウド2の壁面に接近する。続いて水中ファン53a、水中ファン53bを回転させると、水中ビークル50とシュラウド2の壁面との間が負圧になるため、シュラウド2の壁面に水中ビークル50が吸着されることとなる。
【0074】
その後、車輪59a、車輪59bを回転駆動して原子炉内構造物作業装置6Aを上部リング7に沿って左右に移動させると同時に、水中ビークル50をシュラウド2の壁面を周方向に沿って走行させ、この壁面における溶接線の検査部位を検査用センサ52により検査する。このとき、ボールキャスタ63は車輪59a、車輪59bを回転駆動に伴って従動回転する。また、シュラウド2の壁面に対する水中ビークル50の走行距離は、距離センサ62a、距離センサ62b、計測車輪61a、計測車輪61bにより計測される。
【0075】
なお、本実施形態では、前記第1実施形態と同様に、シュラウド2の壁面における溶接線の点検、検査作業を行う場合について説明したが、これに限らず水中ビークル50に搭載する作業手段として、例えばレーザピーニングヘッドを用いた予防保全作業、溶接ヘッドを用いた補修作業も可能である。
【0076】
以上説明した本実施形態による原子炉内構造物作業装置によれば、燃料交換中にシュラウド2の溶接線の点検、検査など作業を実施するにあたり、点検、検査中において天井クレーンや作業台車を使用することなく、原子炉内構造物作業装置6Aおよびその水中ビークル50によってシュラウド2の上部に存在する溶接線の点検、検査が可能となる。また、装置の制御および装置の監視が遠隔および自動で行うことが可能となり、人手による作業を削減するとともに、作業時間を短縮することができる。その結果、定期点検工程の短縮およびコストの低減に寄与することができる。
【0077】
また、内筒10bの内部に、水中カメラ55および水中ライト56を取り付けたことにより、走行する水中ビークル50のシュラウド2の壁面における検査部位、検査用センサ52の位置、水中ビークル50の姿勢の状態をそれぞれ確認することができるため、検査用センサ52が正しく検査部位を検査しているかを確認することが可能である。
【0078】
さらに、本実施形態によれば、水中ビークル50の距離センサ62a、距離センサ62bにより水中ビークル50が移動する時間に対する移動距離を検出し、その移動時間および移動距離に基づいて車輪15aの回転速度を図示しない制御手段によって制御することにより、車輪15aの移動速度と水中ビークル50の移動速度との同期をとることができる。そのため、ケーブル51が引っ張られることや、ケーブル51が緩むことがなくなることから、ケーブル51の取扱い性が良好となる。これにより、水中ビークル50の安定した走行が可能となり、点検、検査精度を高めることができる。
【0079】
なお、上記各実施形態では、シュラウド2の溶接線の点検、検査の作業のために、検査用センサをシュラウド2に接近して接触させるようにしたが、これに限らず補修などの作業を行う場合には、シュラウド2に接触させずに接近させるだけの場合もある。
【0080】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0081】
例えば、水平移動ステージでマストを位置決めするものとして説明したが、例えば接続パイプを原子炉の径方向に伸縮可能として位置決めする等、マストを原子炉の水平面上で位置決めする位置決め手段があればよく、水平移動ステージに限定されない。
【符号の説明】
【0082】
1…原子炉圧力容器
2…シュラウド(円筒構造物、炉内構造物)
3…ジェットポンプ
4…給水スパジャー
5…コアスプレイ配管
6,6A…原子炉内構造物作業装置
7…上部リング
8…左右移動ステージ(水平走行機構)
9…前後移動ステージ(水平走行機構)
10…マスト、10a…外筒、10b…内筒
11…ケーブル処理装置
12…回転駆動機構
13…検査補修駆動部(展開作業機構)
14…ケーブル
15a,15b…走行車輪
16…歯車
17…駆動モータ
18…駆動モータ
19a,19b…リニアガイド
20…駆動モータ
21a,21b…リニアガイド
22a,22b…検査用センサ
23a,23b…回転ローラ
24a,24b…ガイドローラ
25a…歯車
26…駆動モータ
27…接続パイプ
28…駆動モータ
29…マスト自転駆動部
30…駆動モータ
31…複合ケーブル
32a,32b…ブロック
33…固定リング
34…固定金具
35…展開アーム
36…シリンダ
37a,37b…リンク式接続金具
38a,38b…リンク式接続部
39…センサ取付金具
40…水中カメラ(監視カメラ)
41…取付金具
50…水中ビークル
51…ケーブル
52…検査用センサ
53a,53b…水中ファン
54…ケーブルローラ
55…水中カメラ(監視カメラ)
56…水中ライト
57…取付金具
58a,58b…駆動モータ
59a,59b…車輪
60a,60b…駆動モータ
61a,61b…計測車輪
62a,62b…距離センサ(検出手段)
64…ケーブル中継ボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉の運転停止時に、軸を鉛直にして原子炉圧力容器内に配置されている円筒構造物の上に載置されて、その円筒構造物の上に沿って水平に前記円筒構造物の円周方向に走行する水平走行機構と、
前記水平走行機構に取り付けられて、少なくとも鉛直方向に延びたときに伸縮可能な中空のマストと、
前記マストの内部に対して収納および展開可能で、展開したときに前記円筒構造物の壁面に接近又は接触して作業を行う展開作業機構と、
を有することを特徴とする原子炉内構造物作業装置。
【請求項2】
前記マストが上部に取り付けられ、前記マスト先端に接続されたケーブルに対して引き上げ動作および繰り出し動作を行って前記前記マストを伸縮させるケーブル処理装置をさらに有すること、
を特徴とする請求項1に記載の原子炉内構造物作業装置。
【請求項3】
前記マストは、外筒と、この外筒の内側で同軸に重なって外筒位置から下方に摺動可能な内筒とを備え、この内筒に対して前記展開作業機構を収納および展開可能としたこと、
を特徴とする請求項1に記載の原子炉内構造物作業装置。
【請求項4】
前記展開作業機構に取り付けられて、前記円筒構造物に対する前記展開作業機構の位置を監視するための監視カメラをさらに備えること、
を特徴とする請求項1または3に記載の原子炉内構造物作業装置。
【請求項5】
原子炉の運転停止時に、軸を鉛直にして原子炉圧力容器内に配置されている円筒構造物の上に載置されて、その円筒構造物の上に沿って水平に前記円筒構造物の円周方向に走行する水平走行機構と、
前記水平走行機構に取り付けられて、少なくとも鉛直方向に延びたときに伸縮可能な中空のマストと、
前記マストを貫通するケーブルに接続されて、前記円筒構造物の壁面に接近又は接触して作業を行う水中ビークルと、
を有することを特徴とする原子炉内構造物作業装置。
【請求項6】
前記水中ビークルを前記円筒構造物の作業部位へ移動させるため、前記ケーブルの引き上げ動作および繰り出し動作を行うケーブル処理装置をさらに有すること、
を特徴とする請求項5に記載の原子炉内構造物作業装置。
【請求項7】
前記水中ビークルの移動時間に対する移動距離を検出する検出手段を有し、その移動時間および移動距離に基づいて前記水平走行機構を速度制御して、前記水中ビークルの速度と同期させること、
を特徴とする請求項5に記載の原子炉内構造物作業装置。
【請求項8】
前記マストに取り付けられて、前記円筒構造物に対する前記水中ビークルの位置を監視する監視カメラをさらに備えること、
を特徴とする請求項5に記載の原子炉内構造物作業装置。
【請求項9】
前記水中ビークルは、前記円筒構造物の外壁面に吸着するための水中ファンを備えていること、
を特徴とする請求項5ないし請求項8のいずれか一項に記載の原子炉内構造物作業装置。
【請求項10】
軸を鉛直にして配置された円筒構造物が原子炉圧力容器内に配置された原子炉の運転停止時に、前記円筒構造物の外壁面に対し展開作業機構を展開して接近又は接触させて作業を行う原子炉内構造物作業方法であって、
前記原子炉圧力容器の上部が開放され、原子炉圧力容器内が水で満たされた状態で、前記原子炉圧力容器の上方から、マストが取り付けられた走行機構を搬送して前記円筒構造物の上端に載置する搬送載置ステップと、
前記搬送載置ステップの後に、前記円筒構造物の上端に沿って前記円筒構造物の円周方向に水平に、前記走行機構によって走行移動させる水平走行ステップと、
前記水平走行ステップの後に、前記円筒構造物の作業部位に向けて、前記マストを伸ばすマスト延伸ステップと、
前記マスト延伸ステップの後に、前記マスト内に配置された前記展開作業機構を前記円筒構造物の作業部位に展開させる展開ステップと、
前記展開ステップの後に、前記円筒構造物の壁面の作業を行う作業走行ステップと、
を有すること、を特徴とする原子炉内構造物作業方法。
【請求項11】
軸を鉛直にして配置された円筒構造物が原子炉圧力容器内に配置された原子炉の運転停止時に、前記円筒構造物の外壁面に対し水中ビークルを接近又は接触させて作業を行う原子炉内構造物作業方法であって、
前記原子炉圧力容器の上部が開放され、原子炉圧力容器内が水で満たされた状態で、前記原子炉圧力容器の上方から、マストが取り付けられた走行機構を搬送して前記円筒構造物の上端に載置する搬送載置ステップと、
前記搬送載置ステップの後に、前記円筒構造物の上端に沿って前記円筒構造物の円周方向に水平に、前記走行機構によって走行移動させる水平走行ステップと、
前記水平走行ステップの後に、前記円筒構造物の作業部位に向けて、前記マストを伸ばすマスト延伸ステップと、
前記マスト延伸ステップの後に、前記マスト先端に配置された前記水中ビークルを前記円筒構造物の作業部位に接近動作させる接近動作ステップと、
前記接近動作ステップの後に、前記水中ビークルを移動させて前記円筒構造物の壁面の作業を行う作業走行ステップと、
を有すること、を特徴とする原子炉内構造物作業方法。
【請求項12】
前記走行機構と前記水中ビークルを同期して移動させること、
を特徴とする請求項11に記載の原子炉内構造物作業方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−37299(P2012−37299A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175908(P2010−175908)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】