説明

原子炉燃料集合体に冷却剤を供給するための制御棒案内管および方法

【課題】燃料集合体への流体の流れの対称性と安定性を向上させる制御棒案内管を提供する。
【解決手段】 この制御棒案内管30は、下端部44と上端部42を画定する軸方向長さを備える本体40と、本体40の実質的な長さの範囲内の空洞部46とを有する。本体40の上端部および下端部42、44にはオリフィス48、50が含まれる。制御棒室52は、空洞部46内に配置され制御棒28を受容する。複数の出入口38は空洞部46に連通されて設けられ、本体40の上端部42から実質的な長さ位置に配置される。また、本体40の軸方向長さのかなりの部分に亘って延在する空洞部46内に少なくとも2つの流路58を含み、各流路58は、本体40外からの流体の流れを受けるために1つ以上の出入口38と、受けた流体の流れを供給するために本体40の上端部42に近接する吐出口62とに、流体的に連通する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は原子炉に関し、さらに具体的には、炉心から引き抜かれた制御棒を支持し、冷却材の流れを燃料支持部および炉心中の燃料集合体に流すための制御棒案内管に関する。
【背景技術】
【0002】
この項における記述は、本開示に関する背景情報を単に提供するだけであり、先行技術を構成するものとは限らない。
【0003】
原子炉圧力容器(RPV)は一般に円筒形状をしており、両端、例えば底部ヘッドおよび取り外し可能な頂部ヘッドは閉じている。頂部案内は、RPV中で炉心板の上に離間配置される。炉心シュラウド、またはシュラウドは炉心板を囲み、シュラウド支持構造によって支持される。特に、シュラウドは一般に円筒形状で、炉心板と頂部案内の両方を囲む。頂部案内はいくつかの開口部を含み、燃料集合体が開口部より挿入され、炉心板によって支持される。炉心板は複数の梁によって支持された平坦な板を含む。
【0004】
原子炉炉心は、複数の個々の燃料集合体を含み、この燃料集合体は種々の特性を有し、炉心の運転のための計画に影響を与える。例えば原子炉炉心は、典型的に、種々の特性を有する数百の個々の燃料集合体を備え、それぞれの燃料集合体は複数の燃料棒を含む。燃料集合体は、燃料集合体間の相互作用が規制および原子炉設計ガイドラインおよび制約事項を満たすように炉心内に配置される。さらに、炉心配置は、炉心が新しい燃料要素の補給を必要とする迄に炉心で発生するエネルギの量である、周期エネルギを決定し、この炉心の搭載配置は、好ましくは炉心周期エネルギを最適化する。
【0005】
炉心の1つの定期燃料補給から次の炉心燃料補給までの炉心周期が決定される。運転周期の過程を通じて、炉心の熱容量を規定する過剰な反応性は2つの方法で制御される。具体的には、可燃毒物、例えばガドリニウムが新しい燃料中に混合される。初期燃焼毒物の量は、通常、用途によって設定される設計上の制約およびNational Regulatory Commission (NRC)によって決定される。この燃焼毒物が、ほとんどしかし全てではないが、過剰な反応性を制御する。次の方法は、炉心内の制御棒の操作を通して行う。制御棒は過剰な反応性を制御する。具体的には、炉心は制御棒を含み、この制御棒が安全な停止を確保し、最大出力ピーク因子を制御するための主要な機構を提供する。利用できる制御棒の総数は炉心の大きさと形状によって異なるが、典型的には50と269の間である。制御棒の位置、すなわち、全て挿入された位置、全て引き抜かれた位置、その間のいずれかの位置は過剰な反応性を制御し、最大炉心出力ピーク因子等の他の運転制約に合致するための必要性に基づく。
【0006】
冷却材は炉心に導入され炉心を冷却すると共に、エネルギ発生のための作動流体として水蒸気に変化する。典型的な冷却材の流れは、燃料支持部からの半冷却されたわずかの冷却材と共に、単相流として燃料集合体に入る。この流れは制御棒案内管の回りを垂直に上昇し、そこで、流れが、燃料集合体を支持している燃料支持部の側面の流入口へ入る際に、水平に方向を転ずる。この流れは、次に、燃料支持部内で90度方向を転じて燃料支持部のオリフィスを通り抜けるまで上昇し、圧力降下を発生して燃料集合体に冷却剤を分配することを助ける。次に、この流れは垂直になって燃料集合体の下部タイプレートの内腔に入り、燃料集合体の個々の燃料棒の回りに配分される。
【0007】
既知の原子炉では、炉心内に燃料支持部オリフィス領域含んでおり、1つが周辺部に、1つが中心付近であった。周辺領域では、炉心の周辺部回りの全ての燃料位置を含み、中心領域ではその残りの位置を含む。燃料支持部オリフィスは、周辺領域の燃料集合体への流体の流れを、中心領域の燃料要素当たりの流体の流れの約半分に制限するように設計される。周辺の流れをこの大きさに制限することにより、非常に低出力な周辺燃料要素が冷却剤の流れを飽和することを可能としたが、他の高出力領域におけるよりももっと低い出口特性と平均空隙を持続させてしまっている。この不均一な出口特性と平均空隙は、非効率な水蒸気分離および核減速を発生し得る。
【0008】
冷却剤の流れは燃料集合体の設計を変更することで調整可能であることも知られている。例えば、それぞれの燃料集合体は、主冷却剤流路および実質的に定常の流れを有する流入口を含んでよいことが知られている。しかし、燃料集合体は、また、1つまたは複数の第2の冷却剤流路を含んでよく、これを変化させて特定の燃料集合体中の冷却材の流れを調節することが可能である。いくつかの場合では、3種類の燃料集合体が3つの異なった第2の冷却材の流れを提供することが可能である。そのような燃料集合体のそれぞれは、炉心に配置して所望の冷却材の流れを提供することが可能である。例えば、3つの異なった燃料集合体を3つまたはそれより多い炉心領域に配置することができる。それぞれの領域中のそれぞれ燃料集合体を通る冷却材の流れは、3つの異なった燃料集合体の位置によって、それぞれ他の領域中の燃料集合体を通る冷却材の流れと異なってよい。しかし、これは3つの異なった燃料集合体および/またはタイプレートを製造する必要がある。
【0009】
既知の原子炉配置では、燃料支持部内へ、それに次いで燃料集合体の下部タイプレートへの流体の流れは非対称であり不安定である。
【特許文献1】米国特許第4,904,443号公報
【特許文献2】米国特許第5,241,570号公報
【特許文献3】米国特許第5,329,563号公報
【特許文献4】米国特許第6,418,178号公報
【特許文献5】米国特許出願公開第2006/0096026号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の発明者らは、燃料支部部内への、次いで燃料集合体への流体の流れの対称性および/または安定性を向上させることを可能とするような制御棒案内管の設計に成功した。さらに、本開示の発明者らは、流体の流れを燃料支持部に、したがって燃料集合体に供給することに関連する圧力降下が少ない、冷却材を燃料集合体に供給するための、炉心流体流れアッセンブリおよび方法を設計した。
【0011】
一態様によると、原子炉のための制御棒案内管は、下端部および上端部を画定する軸方向長さを有する本体と、本体の上端部および下端部においてオリフィスを含む実質的な長さの本体範囲内の空洞部とを有する。空洞部内に配置される制御棒室は、制御棒を受容するように構成される。複数の出入口が空洞部に接続されており、本体の上端部から実質的な長さの場所に配置される。また、本体の軸方向長さのかなりの部分に延在する空洞部内に少なくとも2つの流路を含む。それぞれの流路は、本体の外部から流体の流れを受けるために1つまたは複数の出入口と、受けた流体の流れを供給するために本体の上端部に近接する吐出口とに流体的に接続される。
【0012】
本発明の他の態様によると、原子炉のための制御棒案内管は、上端部を画定する円筒状の壁を有する本体と、下端部と、この壁の内面によって画定され上端部から下端部に延在する空洞部と、流体の流れを本体空洞部内に供給するために、上端部と下端部の間に軸方向にこの壁に沿って配置された複数の出入口とを含む。また、制御棒案内管は挿入体を含み、この挿入体は、本体空洞部内に設置され、上端部および下端部を有し、かつ制御棒と、本体の空洞部内に少なくとも部分的に1つまたは複数の流路を画定する複数の流路固定具とを受容するように構成された制御棒室を含むように寸法設定される。この流路は、1つまたは複数の本体の出入口を通して流体の流れを受け、受けた流体の流れを本体空洞部内で下端部と上端部との間に流し、流体の流れを本体の上端部に供給するように構成される。
【0013】
さらに他の態様によると、原子炉のための制御棒案内管は、制御棒を受容するための手段と、燃料支持部の燃料集合体空洞部の下部オリフィスの中に実質的に対称な流体の流れを流すための手段とを含む。
【0014】
さらに他の態様によると、原子炉内で燃料集合体への流体の流れを安定させる方法には、制御棒室を制御棒案内管の本体空洞部内で封入することを含む。制御棒室は制御棒を受容するように構成される。制御棒案内管の本体空洞部内に複数の軸方向の流路が設置される。この方法は、また、燃料集合体に流体の流れを供給するように構成された複数の燃料集合体空洞部を有する燃料支持部に、本体を接続することを含む。この接続には、それぞれの軸方向の流路と、対応する燃料集合体空洞部とを流体的に組み合わせることを含む。
【0015】
他の態様によると、原子炉中での流れ制御管理の方法には、制御棒案内管によって画定される1つまたは複数の出入口を通して制御棒案内管の流路中に流体の流れを受けること、受けた流体の流れを流路から燃料支持部の空洞部に供給すること、流体の流れを燃料支持部空洞部から燃料集合体の下部タイプレート上の内腔に供給することを含む。
【0016】
本発明のさらなる態様を、以下に部分的に明らかにし部分的に指摘する。本開示のさまざまな態様は個々に実施してもよいし、互いに組み合わせて実施してもよいことを理解すべきである。また、ある例示的な実施形態で示したが、詳細な説明と図面は例示目的のみを意図したものであり、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきでないことを、理解すべきである。
【0017】
図面全体を通し、同じ参照番号は、同様物または同じ部品や特徴を示すものと理解されるべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下の説明は、本質的に単なる例示であり、本開示、または開示の応用、または利用を制限することを意図するものではない。
【0019】
いくつかの実施形態では、原子炉のための制御棒案内管は、下端部および上端部を画定する軸方向長さを有する本体と、本体の上端部および下端部においてオリフィスを含む実質的な長さの本体範囲内の空洞部とを有する。空洞部内に設置される制御棒室は、制御棒を受容するように構成される。複数の出入口が空洞部に接続されており、本体の上端部から実質的な長さの場所に配置される。また、本体の軸方向長さのかなりの部分に延在する空洞部内に少なくとも2つの流路を含む。それぞれの流路は、本体の外部から流体の流れを受けるために1つまたは複数の出入口と、受けた流体の流れを供給するために本体の上端部に近接する吐出口とに流体的に接続される。これは、図面を参照することによって一層よく理解可能である。
【0020】
図1の例示的な運転環境に見られるように、従来の沸騰水型原子炉(BWR)は、原子炉圧力容器10および原子炉圧力容器10の中に同心円状に配置された炉心シュラウド12を有し、両者の間には環状領域、すなわち、降水管環状部14を備える。炉心シュラウド12は核燃料炉心13を囲むスレンレス鋼製の円筒であり。具体的には、炉心シュラウド12はシュラウドヘッド(図示せず)を支持するためのシュラウドヘッドフランジ12a、シュラウドヘッドフランジ12aに溶接された頂端を有する円形で円筒状の上部シュラウド壁12b、上部シュラウド壁12bの底端に溶接された環状の頂部案内支持リング12c、頂部案内支持リング12cに溶接された溶接アッセンブリである円形で円筒状の中央シュラウド壁12d、および中央シュラウド壁12dの底部および下部シュラウド壁12fの頂部に溶接された環状の炉心板支持リング12eを含む。図1に示すように、シュラウド12は複数のシュラウド支持脚16によって垂直に支持されており、このシュラウド支持脚16のそれぞれは原子炉圧力容器10の底部ヘッド17に溶接されている。炉心シュラウド12は、環状のシュラウド支持板18によって側方で支持されており、このシュラウド支持板18は自身の内径で炉心シュラウド12に、自身の外径で原子炉圧力容器10に溶接されている。シュラウド支持板18は、複数のジェットポンプアッセンブリ(図示せず)の拡散器との流れ伝達のために複数の円形の開口部20を有している。
【0021】
BWRの燃料炉心13は整列して配置された複数の直立で平行な燃料集合体22(燃料束とも称される)からなり、それぞれの燃料集合体22はジルコニウムをベースにした合金から製造される燃料路の内部に燃料棒の配列を含む。燃料束集合体のそれぞれの配列は頂部案内24によって頂部を、炉心板26およびこの下支持構造27によって底部を支持される。炉心板26は原子炉を炉心13と下部プレナム15とに分ける。炉心頂部案内24は、燃料集合体22の頂部のための側方支持を提供し、炉心板26は燃料集合体22の底部のための側方支持を提供する。この側方支持は、それぞれの配列中で燃料路の正しい離間配置を維持し、複数の制御棒翼29を含む制御棒28が燃料集合体22間で垂直に移動することを可能にする。
【0022】
燃料集合体22が静止保持される一方、制御棒28は炉心13内で上下させて適当な位置に配置することにより原子炉の出力水準を維持または調節する。それぞれの制御棒28は、直角な4つの翼すなわち制御棒翼29からなる十字形の断面を有する。それぞれの制御棒翼29は一列に溶接された平行な複数の管よりなり、それぞれの管は中性子吸収材料で充填されたカプセルが積み重なったものを含む。それぞれの制御棒28は、制御棒案内管30に支持されて関連する制御棒駆動部33によって上下移動し、制御棒駆動部33はその頂部でスパッドによって制御棒28の底部にある受部に解放可能に接続可能である。
【0023】
制御棒駆動部33は制御棒28をBWRの中で適当な位置に配置して、核分裂速度および核分裂密度を制御すると共に、適切な過剰な負の反応性を提供することにより、炉心寿命において最も反応性が高い時に、いかなる通常運転または事故状態からも、原子炉を停止させるために使用される。それぞれの制御棒駆動部33は突出管34に溶接された制御棒駆動部枠32の中に垂直に取り付けられ、この突出管34はさらに原子炉圧力容器10の底部ヘッド17に溶接される。制御棒駆動部33は、二重作動であって、機械的掛金のある油圧シリンダーである。制御棒駆動部33は通常の原子炉運転では制御棒28を遅い制御速度で挿入または引き抜きが可能であり、原子炉の急速停止が必要な緊急時の場合には急速な制御棒28の挿入(スクラム(scram))を行うことが可能である。
【0024】
制御棒駆動部枠32は、制御棒案内管30の下部フランジにボルト締めするための上部フランジを有する。それぞれの制御棒案内管30は、自身に関連づけられた制御棒駆動部枠32の頂部に着座し垂直に支持される。制御棒案内管30の最上部は、炉心板26中の対応する円形の開口部を貫通する。制御棒案内管30の数は140を超えることもあり、炉心板26中にある同数の円形の開口部35を貫通するが、それぞれの開口部35は制御棒案内管30の外径よりもわずかに大きな直径を有する。
【0025】
制御棒駆動部枠32および制御棒案内管30は2つの機能を有する。第1に制御棒駆動部33の機構部および制御棒28を、それぞれ収容すること、第2に燃料集合体22中の燃料の重量を支持することである。燃料の重量は、制御棒案内管30の上に位置する燃料支持部36のオリフィスのところで受ける。制御棒案内管30および枠32は、燃料の重量を伝達する柱をして作用する。
【0026】
原子炉の運転中、下部プレナム15中の水は制御棒案内管30の入出口38に入る。この水は制御棒案内管30内を燃料支持部36のオリフィスに流れ、燃料集合体22の下部タイプレートの内腔に流れ込む。この水は続いて燃料集合体22中および燃料炉心13中を上昇するが、かなりの量が水蒸気に変化し、この水蒸気が電気エネルギの発生に使用される。
【0027】
図2〜5の例示的な実施形態に示されるように、制御棒案内管30は、上端部42と下端部44を画定する軸方向長さを備えた本体40と、実質的な長さの本体40範囲内の空洞部46と、本体40の上端部42のオリフィス48および下端部44のオリフィス50とを有する。上端部42は燃料支持部36の底部に接続するように適合可能であって、流路を、燃料支持部36の底部オリフィスと、燃料支持部36の頂部に係合するまたは位置する燃料集合体22とに流体的に接続する。下端部44は制御棒駆動部枠32に接続するように適合可能であって、制御棒案内管30を下部プレナム15内で制御棒駆動部33と一直線上に支持する。これは接続具(図6参照)を含んでよく、この接続具は本体40の下端部に取り付けられて制御棒案内管30に解放可能に接続される。
【0028】
制御棒室52(図3〜5に例示)が空洞部46内に配置される。制御棒室52は、制御棒28を受容するように適合、構成および/または寸法設定される。制御棒28は一般に十字形状をしているため、制御棒室52も対応する十字形状をしてよい。制御棒室52は、空洞部46内に1つまたは複数の構造物によって、少なくとも部分的に画定されることがあるが、本開示では一般に挿入体54と称する。挿入体は一体型の本体でも、空洞部46内に少なくとも部分的に制御棒室52を画定し互いに合わさって挿入体54を形成する1つまたは複数の挿入体部品の集合でもよい。
【0029】
図3に例として多部品挿入体54Aの一例を示す。この実施形態では、挿入体54Aは4つの挿入流れ固定具56を含み、それぞれが曲線形状をしており、凸部を背中合わせに組み立てられて十字形状の制御棒室52を画定する。さらに、それぞれの挿入流れ固定具56は、自身の凸形状によって流路58の一部を画定する。ある実施形態では、挿入流れ固定具56(本開示では流路固定具とも称する)のそれぞれの対は外周部で接続して中空腕部61を形成し、制御棒30の制御棒翼29を受容するように構成された制御棒室52の一部を画定する。
【0030】
図4には、挿入体54Bの一体型本体の例示的な一実施形態を示す。この実施形態では、十字形状の制御棒室52は、各翼29の端のところで完全に封入されている。挿入体54Bの実施形態の外部凸部表面に沿って流路58が具備される。適宜、1つまたは複数の制御棒口60を備え、制御棒室52の中に、したがって制御棒室52に収容された制御棒28およびその制御棒翼29の回りに冷却材の流れを提供するようにしてもよい。
【0031】
出入口38は空洞部46に接続されており、本体40の上端部42から実質的な長さの場所に配置される。一般に、本開示において記述した実質的な長さとは、出入口38から上端部42までの空洞部46内の流れが安定になる、またはそうでなければ流れが一般に対称になる、または非対称性または乱流のかなりの量がなくなるような全ての実質的な本体長を含む。実質的な長さは図2が示すように下端部分44に近接するような、または上端部42に近いまたは近接する距離より大きなどのよう距離でもよい。このような理由のため、実質的な長さとは、わずかの長さより大きいどのような長さをも含み得るのであり、本体40の全長の大部分またはそれ以上を必要とすることを示す意図はない。
【0032】
さらに、図2および5が本体40の4つの側に沿って設置された5つの出入口38を示しているが、出入口がこれよりも多いまたは少ないこともあり得るのであって、やはり本開示の範囲内である。さらに、本体40に沿って軸方向に整列した出入口の数と同様に、出入口38の断面積も変わり得る。
【0033】
先に述べたように、制御棒案内管30は空洞部46内に少なくとも2つの流路58を含む。いくつかの実施形態では、流路58は部分的に挿入体54によって、および部分的に本体40の内面によって画定される。一般的に、いくつかの実施形態では、流路58は本体40の軸方向長さのかなりの部分に延在している。それぞれの流路58は下部プレナム15から流体の流れを受けるために1つまたは複数の出入口38と、本体40の上端部42に近接するおよび/または上端部42によって画定される吐出口62とに流体的に接続されている。吐出口62は、接続された燃料支持部36のオリフィスに流体の流れを供給する。一般に、いくつかの実施形態では、それぞれの流路58の断面積は、接続された燃料集合体のオリフィス(図示せず)の断面積とほぼ同じまたはそれより小さい。一実施形態では、複数の出入口38は流路58に接続され、接続された出入口38の総断面積は接続された流路58の断面積よりも大きい。このように、下部プレナム15から流路58中への流れは出入口38で制限されず、乱流は減少可能である。
【0034】
いくつかの実施形態では、挿入体54は本体40に対して位置を固定可能であることに留意されたい。例えば、挿入体54Aの挿入流れ固定具56は、空洞部46内で空洞部46を画定する内面などに溶接、または溶接以外では付着させてもよい。これは、挿入体54を内面に固定的に付着させることを含み、これによってそれぞれの流路58は実質的に挿入体54と内面の一部により封入され、挿入体54および内面で封入されていない、または開放された、または付着されていない部分によって引き起こされる、またはその部分に関係する、いかなる乱流をも減少させる。
【0035】
さらに、一体型の挿入体54Bは本体40の空洞部46内に付着させてもよい。他の実施形態では、挿入体54は空洞部46内で回転可能であってもよい。回転可能な挿入体54を有することで、とりわけ、燃料補給の操作の間に制御棒38が制御棒案内管30内で回転することを可能とし、制御棒38および/または制御棒案内管30を取り外す必要性がなくなる。
【0036】
ここで図6を参照するが、ここには、燃料支持部36の一実施形態を底部から斜視した図が示されている。図示するように、一般に燃料支持部36はまた、燃料炉心13の中に制御棒28の通過を可能にするための十字形室を含む。燃料支持部36は、制御棒案内管30の流路38から流れを受けるため複数のオリフィス66を含む。燃料支持部36の下端部68は、本体40の上端部42と接続するように構成される。これは、溶接または他の適する取り付け方法を含んでよい。図7に示すように、燃料支持部36と制御棒案内管30は接続されて流路58とオリフィス66を整列させる。図示するように、挿入流れ固定具56は整列されて流路58を画定し、流体の流れが各オリフィス66に流入することを可能とする。上述のように、流路58の断面積は、接続されたオリフィス66の断面積とほぼ同じ、またはそれより小さくてよい。このような実施形態では、流路58とオリフィス66との間の界面において圧力の増加は、ほとんど、または全く起こらない。いくつかの実施形態では、この相応する断面積でこの界面において圧力降下が起こり得る。
【0037】
図8は上端部42に付着された燃料支持部36および下端部44に付着された接続具70と共に組み立てられた制御棒案内管30の一実施形態を示す。
【0038】
他の実施形態によると、原子炉内で燃料集合体への流体の流れを安定させる方法には、制御棒室を制御棒案内管の本体の空洞部内で封入し、ここで制御棒室が制御棒を受容するように構成することを含む。この方法はまた、制御棒案内管の本体空洞部内に複数の軸方向の流路を画定することを含む。この方法は、さらには、燃料集合体に流体の流れを供給するように構成された複数の燃料集合体空洞部を有する燃料支持部に、本体を接続することを含む。この接続には、それぞれの軸方向の流路と、対応する燃料集合体空洞部とを流体的に組み合わせることを含む。
【0039】
これは、それぞれの軸方向の流路に対し1つまたは複数の出入口を本体に設けること、および/または、流体的に組み合わされた燃料集合体空洞部と同じまたはそれより小さな断面積を有するように軸方向の流路を画定することを含み得る。
【0040】
他の運転実施形態では、原子炉中での流れ制御管理の方法には、制御棒案内管によって画定される1つまたは複数の出入口を通して制御棒案内管の流路中に流体の流れを受けることを含む。この方法は、また、受けた流体の流れを流路から燃料支持部の空洞部に供給すること、流体の流れを燃料支持部空洞部から燃料集合体の下部タイプレート上の内腔に供給することを含む。一般に、これは流体の流れを1つまたは複数の出入口から受けることにより、流路内の流体非対称性、および流路からそれに接続された燃料集合体のオリフィスに供給される際の流体の非対称性を減少させることを含み得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、この方法はまた、流路から燃料支持部オリフィスまたは空洞部に流体の流れを供給し、制御棒案内管によって流体が供給される際に、供給された流体の流れで流体圧力の増加(いくつかの実施形態ではかなりの増加)が発生しない、または結果として起こらないようにすることを含み得る。これは、燃料支持部の側面上にある従来の流入口から供給される流体の流れに対する改良となり得る。この例示的な方法では、本開示の数々の実施形態によって説明したように、燃料支持部または原子炉の他の流体操作部分の改造を行い、制御棒案内管による流体圧力の減少の利点を活かすことが可能である。
【0042】
これには、いくつかの実施形態において、本開示で記載したように制御棒案内管に渡って流体の流れの圧力降下を減少させること、および、流入流体の流れが制御棒案内管によって供給されるので燃料支持部の側面の流入口と比べて流入流体の流れが減少する結果、燃料支持部および下部タイプレートに渡る流体の流れの圧力降下を増加させることを含み得る。さらに、燃料支持部またはそのオリフィスや空洞部を構成または改造して、燃料集合体への流体の流れをさらに変更することによって、原子炉に対する運転上のさらなる利点がもたらされ得る。
【0043】
ここで、要素または特徴、および/またはそれらの実施形態の記述にあたり、冠詞「a」、「an」、「the」および「said」は要素または特徴が1つまたは複数あることを意味することを意図している。用語「含む(comprising)」、「含む(including)」および「有する(having)」は包含的であることを意図し、これらが具体的に記述するもの以上にさらなる要素または特徴があってよいことを意味する。
【0044】
当業者は、上述の本開示の範囲から逸脱することなく、上に述べた例示的な実施形態および実装形態に対してさまざまな変更をなし得ることを認識するだろう。したがって、上述の説明に包含された、または付属する図面に図示された全てのものは、例示的であり、意味を限定するものではないと理解されるべきである。
【0045】
さらに、本開示で説明した工程または段階は、それらの実行において、説明または例示した特定の順序を必ずしも必要としないと解釈されるべきと理解されるべきである。また、さらなる、または代替の工程または段階が採用可能であることも理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】いくつかの例示的な実施形態に適する原子炉運転環境の側方断面図である。
【図2】例示的な一実施形態による制御棒案内管本体の側方斜視図である。
【図3】制御棒案内管の例示的な一実施形態による、4つの挿入具を有する多部品挿入体の側方斜視図である。
【図4】制御棒案内管の他の例示的な一実施形態による、一体型の挿入体の側方斜視図である。
【図5】例示的な一実施形態による制御棒案内管の端部斜視図である。
【図6】本開示の実施形態のいくつかの制御棒案内管の接続に適する燃料支持部の底部斜視図である。
【図7】例示的な一実施形態による、接続された燃料支持部をともなう制御棒案内管の部分的に分解された底部斜視図であり、燃料支持部に対して制御棒案内管挿入体の配置を例示する図である。
【図8】例示的な一実施形態によるアッセンブリの側方斜視図であり、例示的な一制御棒案内管、接続された燃料支持部および付着された接続具を含む。
【符号の説明】
【0047】
10 原子炉
12 炉心シュラウド
12a シュラウドヘッドフランジ
12b 上部シュラウド壁
12c 案内支持リング
12d シュラウド壁
12e 炉心板支持リング
12f 下部シュラウド壁
13 炉心
14 降水管環状部
15 下部プレナム
16 シュラウド支持脚
17 底部ヘッド
18 シュラウド支持板
20 炉心板開口部
22 燃料集合体
24 頂部案内
26 炉心板
27 炉心板下支持構造
28 制御棒
29 制御棒翼
30 制御棒案内管
32 制御棒駆動部枠
33 制御棒駆動部
34 突出管
35 炉心板開口部
36 燃料支持部
38 出入口
40 制御棒案内管本体
42 制御棒案内管上端部
44 制御棒案内管下端部
46 空洞部
48 制御棒案内管上部オリフィス
50 制御棒案内管下部オリフィス
52 制御棒室
54 挿入体
56 挿入固定具
58 流路
60 制御棒口
61 挿入体中空腕部
62 制御棒案内管吐出口
66 燃料支持部オリフィス
68 燃料棒下端部
70 接続具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉10のための制御棒案内管30であって、
下端部42および上端部44を画定する軸方向長さを有する本体40と、
前記本体40の前記上端部42および下端部44において1つまたは複数のオリフィス48、50を有し、前記本体40の実質長の範囲内の長さの空洞部46と、
前記空洞部46内で制御棒28を受容するための制御棒室52と、
前記空洞部46に接続され、かつ前記本体40の前記上端部42から実質的な距離位置に設けられた複数の出入口38と、
前記本体40の前記軸方向長さのかなりの部分に亘って延在して前記空洞部46内に設けられた少なくとも2つの流路58とを備え、
それぞれの流路58は、前記本体40の外部から流体の流れを受けるために前記1つまたは複数の出入口38と、受けた前記流体の流れを供給するために前記本体40の前記上端部42に近接して設けられた吐出口62とに、流体的に接続されたことを特徴とする制御棒案内管30。
【請求項2】
前記制御棒室52が十字形状を有することを特徴とする請求項1記載の制御棒案内管30。
【請求項3】
前記流路58のそれぞれを燃料支持部36によって画定される燃料集合体空洞部のオリフィス66に流体的に接続するために、前記本体40の前記上端部42が前記燃料支持部36の底部に接続されるように構成されることを特徴とする請求項1記載の制御棒案内管30。
【請求項4】
それぞれの流路58の断面積が、前記接続された燃料集合体のオリフィス66の断面積とほぼ同じまたはそれより小さいことを特徴とする請求項3記載の制御棒案内管30。
【請求項5】
それぞれの流路58に接続された前記出入口38の総断面積が、前記接続された流路58の断面積よりも大きいことを特徴とする請求項1記載の制御棒案内管30。
【請求項6】
前記空洞部46内に配置された挿入体54であって、前記空洞部46内に前記制御棒室52を画定し、かつ前記空洞部46を画定する前記本体40の内面と共に前記流路58のそれぞれを画定する挿入体54をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の制御棒案内管30。
【請求項7】
前記挿入体54が前記空洞部46内で回転可能であることを特徴とする請求項6記載の制御棒案内管30。
【請求項8】
前記挿入体54が前記本体40の前記内面に固定的に付着されていることを特徴とする請求項6記載の制御棒案内管30。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−157941(P2008−157941A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−326684(P2007−326684)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【出願人】(301068310)グローバル・ニュークリア・フュエル・アメリカズ・エルエルシー (56)