説明

原料の粉砕方法及び粉砕システム

【課題】造粒後の原料を効率良く微粉砕するのに好適な粉砕方法と粉砕システムを提供する。
【解決手段】造粒後の原料を、予め破砕機50により破砕し、粉砕ローラに噛み込み易い形状としてから、竪型粉砕機1にて粉砕するので、粉砕ローラと原料の間で滑りが発生しにくく、粉砕ローラにより原料が効率よく挟み噛み込まれるので、効率の良い粉砕が可能である。特に、ロールプレス等のプレス装置により圧密されて成形されて造粒された原料は、プレスの型から造粒された後の原料が外れやすいように、その形状が略球状、或いは略アーモンド状(丸みをおびた形状)となっており、また、表面が硬く滑りやすく効果は大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に亜炭、褐炭等の石炭類、石油コークス、又はバイオマス原料等の可燃物を原料として粉砕することにより燃焼装置の燃料とする原料の粉砕方法及び粉砕システムに係り、特に、前記した可燃物を、一旦、成形し造粒して人為的に製造した粒状の原料を、微粉砕する際に好適な粉砕方法及び粉砕システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、一般的に、発電所やセメントプラント等では、瀝青炭や亜瀝青炭等の石炭を粉砕して、燃焼装置の燃料としている。
石炭等の鉱物類を粉砕する粉砕機としては、竪型粉砕機(竪型ミル等と称されることもある)と呼ばれる粉砕機が知られており、特に、瀝青炭や亜瀝青炭等の石炭等を微粉砕するに適した粉砕機として、竪型粉砕機は広く利用されている。
【0003】
ところで、近年になって資源の有効活用という観点から、瀝青炭や亜瀝青炭ではなく、亜炭、褐炭等といった所謂、低品位炭を燃焼装置の燃料として利用することが多く求められるようになってきた。また、同様に、資源の有効活用という観点から、石油コークスやバイオマス原料等の可燃物を燃焼装置の原料として使用する場合も増えてきた。
【0004】
しかし、前述した低品位炭やバイオマス原料等と言った可燃物原料の多くは、その内部に、水分を大量に含んでいるケースが多い。
前述した竪型粉砕機は、原料を、粉砕と同時に熱ガスにより脱水するという優れた装置ではあるが、高水分の原料を機内で無理に脱水しようとすれば、熱ガスの温度を上げざるを得なくなり、その結果、機内で発火又爆発の危険性が高くなるという問題を生じる。
そのため、原料の水分量が極めて多い場合は、十分に脱水できず、水分を大量に含んだままの原料が、粉砕品として機外に排出されてしまう可能性がある。
従って、高水分の可燃物を、竪型粉砕機で、そのまま粉砕して燃焼装置の燃料にした場合には、燃焼装置の効率をあげることができないという問題を生じる危険性があった。
【0005】
また、高水分の原料を燃焼装置の原料として使用する際に、最も問題となるのは、採掘又は採取現場から燃焼装置のある発電所やプラント工場まで、高水分の原料を輸送するために必要なコストである。
例えば、褐炭は、その内部の水分含有量が極めて高く、褐炭全体の重量に対して、燃焼に関わる炭素分の割合が極めて低いということは一般的に良く知られている。仮に、水分量が50%の低品位炭を輸送すると、輸送重量の半分が、水分ということになり、燃料を輸送するという観点から考えれば、極めて効率の悪い輸送しかできない。
言い換えれば、水分含有量が極めて高い褐炭等の低品位炭を燃焼させて、水分含有量の少ない瀝青炭等の高品位炭と同じ熱量を得るためには、高品位炭より多くの量の低品位炭を燃焼させることが必要である。また、揮発分が多い原料は、輸送中に発火や爆発の恐れも懸念される。
このように、低品位炭は、高品位炭に比較して、輸送量が増加するので輸送効率が極めて悪い。また、同様な理由により、水分を多く含む、バイオマス原料等の可燃物を燃焼装置の原料として使用する場合も、極めて効率が悪い。
【0006】
前述した2つの問題点を解決するためには、採掘又は採取現場付近で、可燃物中の水分を、脱水させて除去しておけば良いが、前述した低品位炭やバイオマス原料等の可燃物については、通常、採掘又は採取したままの形状では十分な脱水は難しく、内部の水分まで十分に除去できない。
【0007】
以上のような理由により、前述した低品位炭やバイオマス原料等の可燃物を燃料として利用する際においては、可燃物の採掘又は採取現場の近くで、可燃物を、一旦、粉砕、脱水させて水分を除去した後、所定の形状に成形し造粒してから、燃焼装置のある工場まで輸送するという技術が、近年、提案されている。
この方法であれば、高水分の可燃物を燃料とする際においても、内部の水分を除去した後の可燃物を輸送すれば良いので効率が良く、さらに、粉砕及び脱水された可燃物は、そのままでは粉末状であって嵩高い上に輸送中に爆発の危険性があっても、造粒した後の原料を輸送するのであれば、爆発の危険性も小さい。
【0008】
粉末状になった燃料を、一旦、造粒装置で造粒してから輸送することにより、安全性を向上させて、輸送コストを下げる技術として、例えば、特許文献1等に開示されている技術がある。
【0009】
【特許文献1】特開2007−23239号公報
【0010】
特許文献1に開示される技術は、バイオマス原料の供給システムであり、粉砕機で粉砕した原料を一旦、造粒装置で造粒することにより輸送コストを下げる技術が開示されている。
【0011】
なお、褐炭等の低品位炭を、造粒する場合においては、ロールプレス等のプレス装置により圧密化して造粒する方法が知られている。
ロールプレス等のプレス装置により、粉体を圧密化すれば、粉砕後の原料の嵩を飛躍的に小さくできるとともに、造粒後の原料体強度が著しく向上するので、ハンドリング性が良くなるとともに、輸送中に壊れにくく、粉塵が発生しにくいので、爆発の危険性が大きく低下する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、前述した輸送方法を行うために、人為的な方法で、造粒された原料の形状は、その造粒がし易いように、又輸送中に割れにくいように、コーナ部が丸められており、その表面がなめらかである。
例えば、粉砕後の原料について、嵩密度を高めるために、ロールプレス等のプレス装置で圧密し、造粒すると、その形状は、通常、プレスの型から抜けやすいように、略球状、或いは略アーモンド状(或いはラグビーボール状)になるとともに、その表面が強く圧密されて、硬く、なめらかな表面となる。言い換えれば、造粒後の原料は、極めて、滑りやすい形状と表面を有した形状となっている。
【0013】
燃焼装置の燃焼効率を向上させるためには、例えば、石炭等の原料を、できるだけ微粉化した方が有利であるので、前述した竪型粉砕機等においては、粉砕ローラと回転テーブルの間で原料を挟み噛み込み、原料を粉砕ローラですりつぶすように粉砕することで、数十ミクロン単位まで微粉砕する。ところが、粉砕ローラで原料を粉砕するにあたって、前述した造粒後の原料は、滑りやすい形状と表面を有した形状となっているために、粉砕ローラと回転テーブルの間にうまく挟み込まれずに、滑ってしまい十分な粉砕ができず、その結果、粉砕効率が低下するといった問題を引き起こした。
【0014】
本発明は、以上のような要求に鑑みてなされたものであり、造粒後の原料を効率良く微粉砕するに好適な粉砕方法と粉砕システムに関する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するため、本発明による原料の粉砕方法は、
(1) 原料を切断刃、可動板、又はハンマーにより破砕する破砕機と、原料を回転テーブルと粉砕ローラにより粉砕する粉砕機とを用いて、造粒装置により造粒した原料を、該破砕機に供給して破砕した後、該粉砕機に供給して粉砕した。
【0016】
(2) (1)に記載の原料の粉砕方法において、前記造粒した原料は、略球状、又は略アーモンド状に造粒されて、その最大部の寸法が10mm以上とした。
【0017】
(3) (1)又は(2)に記載の原料の粉砕方法において、前記造粒した原料が、亜炭、又は褐炭を、一旦、破砕又は粉砕した後、水分を除去して脱水させてから成形し造粒した。
【0018】
(4) (1)から(3)までのいずれか1つに記載の竪型粉砕機の運転方法において、前記竪型粉砕機は回転テーブルの回転速度が可変速式であることを特徴とした。
【0019】
上記の目的を達成するため、本発明による原料の粉砕システムは、
(5) 原料を固定板と可動板の間で破砕するジョークラッシャと、原料を回転テーブルと粉砕ローラとの間で粉砕する竪型粉砕機とを備えて、該ジョークラッシャで破砕した原料を、該竪型粉砕機に供給して、再度粉砕するよう構成した。
【発明の効果】
【0020】
造粒後の原料は、その形状に角が少なく、なめらかで丸みをおびた形状になっていることが多いので、そのままでは、粉砕ローラに噛み込まれにくく粉砕しにくい。
本発明においては、造粒後の原料を、予め破砕機により破砕し、粉砕ローラに噛み込み易い形状としてから、粉砕ローラにて粉砕する。
本発明によれば、粉砕ローラと原料の間で滑りが発生しにくく、粉砕ローラにより原料が効率よく挟み噛み込まれるので、効率の良い粉砕が可能である。
【0021】
特に、ロールプレス等のプレス装置により圧密されて成形されて造粒された原料は、プレスの型から造粒された後の原料が外れやすいように、その形状が略球状、或いは略アーモンド状(丸みをおびた形状)となっており、また、表面が硬く滑りやすく、本発明の適応による効果は大きい。
【0022】
また、造粒後の原料の大きさが10mm以上の場合に、粉砕ローラと回転テーブルの間の間隙に挟みこまれる際に引っかかりやすく、抵抗になる場合がある。
本発明においては、予め破砕機で、造粒した原料を破砕して小さくすると同時に、破断面を形成して角張りや凸凹を有する面を増やすことによって、粉砕ローラと回転テーブルの間に供給される原料の摩擦係数を大きくして、粉砕ローラと原料を滑りにくくする。
【0023】
また、亜炭や褐炭を、一旦、粉砕及び脱水してから造粒した場合においては、輸送効率の大幅な向上が期待できるが、亜炭や褐炭は、圧密すると、特に表面が硬く滑りやすくなるため、前述した本発明の効果が顕著である。
【0024】
また、運転中、何らかの理由により、振動が生じたとしても、回転テーブルの回転速度を任意に変更することにより、振動の抑制が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面に基づき本発明の実施形態の好ましい1例について説明する。
図1は本実施形態に係り粉砕システムの構成を説明するための説明図である。図2は本実施形態に使用した竪型粉砕機の断面図であり、図3は本実施形態に使用したジョークラッシャの要部断面図である。図4はロールプレスの構成を説明するための説明図であり、図5はロールプレスを使用して造粒した造粒原料の外観を説明する概念図である。図6は造粒した原料を破砕機で破砕した際の形状の変化を説明する概念図である。図7は粒度分布を比較するための図であり、(B)が造粒原料の粒度分布を示し、(A)が造粒原料を破砕した場合の粒度分布を示す。
【0026】
以下、本発明の実施形態に係り粉砕システム10の好ましい構成の1例について説明する。
図1に示す粉砕システムの実施形態においては、破砕機としてジョークラッシャ50、粉砕機として竪型粉砕機1を備えており、原料ホッパ20に蓄えられた造粒後の原料(造粒原料)は、バケットエレベータ25とベルトコンベヤを介して、ジョークラッシャ50に投入されて、破砕される構成となっている。また、
ジョークラッシャ50で破砕された原料は、竪型粉砕機1に投入されて粉砕され、竪型粉砕機1で粉砕後の原料が、燃料としてバーナー84に供給される構成となっている。
なお、本実施形態に用いた竪型粉砕機1は、駆動電源としてインバータ電源を備えて、運転中、回転テーブルの回転速度が任意の変更可能な可変速式の竪型粉砕機1である。
【0027】
以下、原料の造粒行程について、褐炭のケースを例に挙げて、簡略に説明する。
なお、本実施形態においては、好ましい1例として褐炭を例示するが、本発明にできる原料がこれに限るものでないことは勿論であって、本発明の範囲を逸脱しない範囲で、亜炭、或いは、石油コークス、バイオマス原料等、その他の公知の可燃物を原料として使用しても良い。
【0028】
採掘現場から採掘された褐炭は、その内部に多くの水分等を多く含んでいる。水分を多く含む褐炭は、有効な固定炭素量が少なく、輸送コストが高くなるので、固定炭素の割合を向上させるため、水分を除去する必要がある。
褐炭内部の水分については、褐炭を、そのままの状態で脱水させても除去できないため、一旦、破砕機、或いは粉砕機で、粗粉砕して、粒径を細かくした状態としてから、その後、脱水させることにより除去する。水分を除去した後の褐炭は重量的に軽くなるが、粉末状になっており、嵩高くなるので、ロールプレス等のプレス式の造粒装置を用いて所定の形状に成形し造粒して、輸送の効率を上げる。
【0029】
なお、本実施形態に用いたロールプレス60の概念図を図4に示す。図4(2)のA−A図を見ればわかるように、2本のロール64の表面には、複数の楕円形凹み68が形成されている。図4に示したロールプレス60においては、ロールプレス60上部の原料投入口61から供給されて、2本のローラ64の間に流れてきた原料を、ロール64の凹部68の型部内で圧密しながら造粒して、下部取出口63から排出する。
【0030】
造粒した原料について、その代表的な形状を図5(1)〜(4)に示す。造粒した原料は、寸法が大きく、所謂、大きめのペレットのような形状となっているので、輸送の際の容積量(嵩)を減らすことができ、粉塵が舞いにくく、爆発の危険性が小さいという利点を有している。特に、2本軸のロールプレス60により、強く圧密して造粒した原料の形状を、図5(1)〜(3)に示す。ロールプレスによる造粒性を高めるために、その形状は、角の少ないなめらかな、略球状、或いは略アーモンド状である。
【0031】
造粒した原料の大きさとしては、図6(1)に示す略アーモンド状の原料で、概略寸法が長径部で40mm、短径部で20mm程度である。また、同様に、図6(2)〜(4)に示すものはいずれも、長径部が10mm以上である。
粉砕機のサイズにより異なるが、使用するサイズの粉砕機において物理的に粉砕できないほど大きなサイズの造粒原料を除けば、本発明において、造粒した後の原料の寸法は限定されない。ただし、造粒後の原料について、大きな部分が10mm以上であるという場合に、造粒後の原料が粉砕ローラと回転テーブルの間に噛み込まれにくくなるという現象が発生しやすくなる。
【0032】
また、造粒後の原料の形状としては、図6の(1)〜(3)のように、楕円形で丸みをおびたものが、特に粉砕ローラに噛み込まれにくい。また、炭素分を含む褐炭や亜炭の場合は、表面が強く圧密されて、特に、滑りやすくなる傾向にある。
【0033】
以下、本発明による造粒原料の粉砕方法について、好ましい実施形態の1例を説明する。
【0034】
まず、第1の行程として、原料ホッパ20に蓄えられた造粒後の原料は、バケットエレベータ25とベルトコンベヤを介して、ジョークラッシャ50の上部に配された図示しない原料投入口から、ジョークラッシャ50の内部に供給される。
ここで、ジョークラッシャ50は、固定板55と可動板56を備えており、固定板55がジョークラッシャ50のフレームに固定されるとともに、可動板56が偏心した回転軸53に取りつけられて固定板55に向かって前後に移動するよう構成されている。
ジョークラッシャ50に供給された造粒後の原料は、ジョークラッシャ50に備えられた固定板55と可動板56の間の間隙部分に流れていく。そして、該間隙に造粒後の原料が入った状態で、可動板56が固定板55に対して前後移動することによって、造粒後の原料が破砕される。造粒後の原料は、破砕された後、ジョークラッシャ50の下部に配された下部取出口63から排出される。
【0035】
ジョークラッシャ50で破砕される前の造粒原料と、破砕後の造粒原料の形状を図6に示す。破砕前に、なめらかな表面を持つ略アーモンド形状であった造粒原料(1)は、破砕後、複数個の破片となって、なめらかでない、角張った破断面がもった原料(2)となる。
【0036】
なお、本実施形態においては、破砕機としてジョークラッシャ50を使用したが、本発明に適応できる破砕機はこれに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、例えば、回転刃により原料を裁断して破砕するタイプの破砕機であっても良く、また、ハンマータイプの破砕機であっても、その他の公知のタイプの破砕機であっても良く、前述した造粒後の原料を、効率よく破砕して複数個に分断して破断面を生成することができる破砕機であれ良い。
なお、本願においては、略球状、或いは略アーモンド状のペレットを効率良く破砕できる好ましい破砕機の1つとして、ジョークラッシャタイプの破砕機を例示した。
【0037】
なお、通常、前述したような造粒原料は、予め破砕機で予備粉砕しなくても竪型粉砕機1に投入して、粉砕することができる。しかし、本願発明は、特に、粉砕ローラと回転テーブルの摩擦力を調整する目的で、予め予備粉砕し、前処理を行った造粒原料を竪型粉砕機1で粉砕する。
【0038】
次に、第2の行程として、ジョークラッシャ50で破砕した造粒後の原料を、ベルトコンベヤを介して、竪型粉砕機1の原料投入口35に投入する。
なお、本実施形態に用いる竪型粉砕機の1例として、図2に示すような竪型粉砕機1を使用したが、本発明に用いることのできる竪型粉砕機1の構造はこれに限ることがないことは勿論であって、本発明の適応の範囲を逸脱しない範囲において、他の公知の構成の竪型粉砕機を使用しても良く、例えば、内部に分級機を備えていないタイプでも良く、又、粉砕ローラの形状がスフェリカル形状のタイヤ型の竪型粉砕機であっても良い。
【0039】
原料投入口35から原料投入シュート13を介して、回転テーブル2の中央部に供給された原料は、回転テーブル2の外周部に向かって移動し、回転テーブル2と粉砕ローラ3に挟まれ、噛み込まれて粉砕される。
【0040】
回転テーブル2と粉砕ローラ3に噛み込まれて粉砕された原料の一部は、回転テーブルの外縁部に周設されたダムリングを乗り越え、回転テーブル2の上面の外周部と下部ケーシングとの隙間である環状通路30へと向かう。
【0041】
竪型粉砕機1の運転中には、粉砕機下部に設けられた環状通路33より、エキゾーストファン89を用いて機内にガスを導入しており、導入したガスは、分級機14を介して、粉砕機上方に設けた製品取出口39から機外に排出している。
その結果、竪型粉砕機1のケーシング内で、回転テーブル2の下方から分級機14に向かうガスの気流が生じており、ダムリングを乗り越えて環状通路30に達した原料の一部は、前記ガスの気流により吹き上げられて、ケーシング内を上昇する。
【0042】
ケーシング内において上昇する気流は、分級機14の回転分級羽根14Aの影響を受けて、旋回しながら上昇する気流となっている。
気流により吹き上げられた原料の中で、径が大きく重量の大きな原料は、その重量のためにケーシング下方に落下する、或いは、旋回により原料自身に発生する遠心力によって気流から逸脱してケーシング下方に落下する等して、分級機14の分級羽根14Aを通過することができない。
【0043】
分級羽根14Aを通過できず、落下した原料は、再度、粉砕ローラ3に噛み込まれて粉砕される、或いは、環状通路30より回転テーブル下方に落下して下部取出口34より竪型粉砕機1の外に取り出された後、図示しないバケットエレベータ等の搬送機を介して、型粉砕機1の原料投入口35から再度投入されて、粉砕される。
【0044】
分級羽根14Aを通過した原料は、製品取出口39からガスと共に機外に取り出されて、燃焼装置の燃料としてバーナー84に送給される。
【0045】
従来技術においては、竪型粉砕機1に投入された原料について、例えば、アーモンド状の造粒原料であった場合に、粉砕ローラ3と回転テーブル2の間に挟み込まれる際に、滑って粉砕効率を悪くする。
【0046】
本実施形態によれば、ロールプレス60で造粒後の原料を、第1の行程としてジョークラッシャ50により破砕することにより粉砕ローラに噛み込み易い形状としてから、第2の行程に移行して、竪型粉砕機1にて微粉砕する。
そのため、竪型粉砕機1に投入される原料について、角張った部分を有する形状となっているので、粉砕ローラ3と回転テーブル2の間に挟み込まれる際に、滑りにくく、粉砕の効率が向上する。特に、本実施形態のように、ロールプレス60により圧密されて造粒された原料は、その形状が略球状、或いは略アーモンド状になり、表面が硬く滑りやすいので、効果が大きい。
【0047】
また、本実施形態のように、造粒後の原料の大きさが、大きい部分で10mm以上になると、粉砕ローラと回転テーブルの間の間隙に挟みこまれる際に引っかかり抵抗になる可能性がある。本実施形態においては、予めジョークラッシャ50により造粒した原料を破砕して、粉砕ローラと回転テーブルの間に供給される原料のサイズを小さくしているので、前述した抵抗が発生しにくい。
【0048】
また、亜炭や褐炭は、圧密すると、特に表面が硬く滑りやすくなるため、前述した本発明の効果が顕著である。
【0049】
なお、本来、竪型粉砕機で粉砕する一般的な石炭の大きさは、通常、50mm以下のサイズである。造粒後の原料も、通常、50mm以下で製造されるので、予備適に破砕しなくても、竪型粉砕機で粉砕できないサイズではない。
しかし、人為的に造粒された原料は、例えば、図7に示すように、造粒された曲線(B)のデータが極めてシャープな立ち上がりを示しているように、その粒度分布は極めて狭い範囲に集中して、画一された形状となっている。
そのため、回転テーブル上において層をなしている造粒された原料同士が、互いの間に大きな隙間を生み、その結果、互いに部分的にしか接触しないので、滑りやすい状態となっているので、粉砕に適した摩擦係数を確保できない。
【0050】
本発明においては、造粒された原料を予め破砕することにより、例えば、図7の曲線(A)のように、原料の粒度分布を広げることによって、原料同士の接触部分を多くし、摩擦係数をたかめることができ、その結果、粉砕ローラと原料が滑りにくくなるという効果が期待できる。また、予め破砕された原料は、多くの破断面を有して、その表面に多くの角張りや凸凹を有しているので、摩擦係数が大きくなり、その結果、粉砕ローラと原料の滑りを小さくできるので、振動を小さくできる。
なお、図7に示した図は篩の通過率を示す図であり、使用する篩目の大きさを粒子径として記載している。例えば、粒子径20mmと記載した場合は、篩目の寸法(ワイヤ内側寸法)が縦20mm×横20mmの篩の通過率を示す。
【0051】
また、本実施形態の構成であれば、運転中、何らかの理由により、振動が生じたとしても、回転テーブルの回転速度を任意に変更することにより、振動の抑制が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上のように本願発明に係わる粉砕方法及び粉砕システムは、可燃物を、一旦、造粒して人為的に製造した粒状の原料を、微粉砕する際に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本実施形態に係り粉砕システムの構成を説明するための説明図である。
【図2】本実施形態に使用した竪型粉砕機の断面図である。
【図3】本実施形態に使用したジョークラッシャの断面図である。
【図4】ロールプレスの構成を説明するための説明図である。
【図5】ロールプレスを使用して造粒した造粒原料の外観を説明する概念図である。
【図6】造粒原料を破砕機で破砕した際の形状の変化を説明する概念図である。
【図7】粒度分布の比較図である。
【符号の説明】
【0054】
1 竪型粉砕機
2 回転テーブル
3 粉砕ローラ
10 粉砕システム
13 原料投入シュート(原料シュート)
14 分級機
14A 分級羽根
20 原料ホッパ
25 バケットエレベータ
30 環状通路
34 下部取出口
35 原料投入口
39 製品取出口
50 ジョークラッシャ
53 回転軸
55 固定板
56 可動板
60 ロールプレス
84 バーナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料を切断刃、可動板、又はハンマーにより破砕する破砕機と、原料を回転テーブルと粉砕ローラにより粉砕する粉砕機とを用いて、造粒装置により造粒した原料を、該破砕機に供給して破砕した後、該粉砕機に供給して粉砕する原料の粉砕方法。
【請求項2】
前記造粒した原料は、略球状、又は略アーモンド状に造粒されて、その最大部の寸法が10mm以上であることを特徴とした請求項1記載の原料の粉砕方法。
【請求項3】
前記造粒した原料が、亜炭、又は褐炭を、一旦、破砕又は粉砕した後、水分を除去して乾燥させてから成形し造粒したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の原料の粉砕方法。
【請求項4】
前記竪型粉砕機は回転テーブルの回転速度が可変速式であることを特徴とした請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の竪型粉砕機の運転方法。
【請求項5】
原料を固定板と可動板の間で破砕するジョークラッシャと、原料を回転テーブルと粉砕ローラとの間で粉砕する竪型粉砕機とを備えて、該ジョークラッシャで破砕した原料を、該竪型粉砕機に供給して、再度粉砕するよう構成した原料の粉砕システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−69458(P2010−69458A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−242488(P2008−242488)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(300041192)宇部興産機械株式会社 (268)
【Fターム(参考)】