説明

原料ガスの脱炭酸脱硫方法および脱炭酸脱硫装置

【課題】少ないエネルギーで、原料ガスから純度の高い二酸化炭素を得るための酸性物質の除去方法および装置を提供する。
【解決手段】二酸化炭素と硫化水素を含む原料ガス31を一次吸収塔1に導入し、一次吸収液51と接触させ主に硫化水素を除去し、続いて脱硫ガス32を二次吸収塔3に導入し、二次吸収液52と接触させて二酸化炭素と残存する硫化水素を除去する。一次吸収塔1で二酸化炭素と硫化水素を吸収した一次吸収液51は、再生塔2へ導いて二酸化炭素と硫化水素を放出させて再生する。二次吸収塔3で二酸化炭素と硫化水素を吸収した二次吸収液52は、二次吸収塔3よりも低い圧力に設定したフラッシュタンク4〜6へ導き、二酸化炭素の一部と硫化水素を放出させて再生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素と硫化水素を含む各種原料ガスから、二酸化炭素と硫化水素を同時に除去する脱炭酸脱硫方法および脱炭酸脱硫装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化を抑制するために、燃焼する際に他の化石燃料と比べて二酸化炭素の発生量の少ない天然ガスの燃料または各種原料としての利用は、今後益々拡大していくと考えられている。地層中から産出された天然ガスには、二酸化炭素や硫化水素等の酸性物質が含まれており、二酸化炭素が液化過程で固化することにより配管や熱交換器の閉塞が生じたり、硫化水素がパイプラインなどの設備の腐食を招くことから、これらの酸性物質は液化前に除去される。天然ガスの他にも炭層ガス、重質油や固体燃料のガス化ガス等で同様の問題がある。
【0003】
このようなガスから二酸化炭素と硫化水素を除去する方法として、この二酸化炭素と硫化水素を含む原料ガスをN−メチルジエタノールアミンの水溶液と10〜100バール、40〜100℃の条件下で接触させる方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、その他の方法として、モノ低級アルキルアミノ低級アルカノールから選ばれるヒンダードアミンの水溶液を吸収液として用いて、二酸化炭素と硫化水素を含む原料ガスを除去する方法がある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
二酸化炭素と硫化水素を含むガスから吸収液を使ってこれらを同時に除去した場合、吸収液を再生すると二酸化炭素と硫化水素が混在するガスが生成する。地球温暖化防止の観点から、回収した二酸化炭素は再び大気に放出せずに、地中や海底などの安定な場所に貯留するのが望ましい。しかし、地中や海底に貯留する場合には二酸化炭素を圧入する必要があるが、この再生ガスには硫化水素も混在しているため、圧縮機や圧入ポンプの腐食が懸念されている。一般に、排ガスなどに含まれる希薄な硫化水素は、燃焼して二酸化硫黄に変換して除去し、石灰石と反応させて石膏として回収される。しかし、この方法では酸化剤として供給した酸素や空気が残存して二酸化炭素の純度を低下させるという問題がある。一方、吸着剤を使って硫化水素のみを除去する方法もあるが、大量のガスを処理するためには膨大な量の吸着剤とそれを再生するための膨大なエネルギーが必要になるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】USP4553984号公報
【特許文献2】特許2824387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、天然ガス、炭層ガス、重質油のガス化ガス等の二酸化炭素と硫化水素を含むガスと吸収液を接触させて、二酸化炭素と硫化水素を除去するガス精製プロセスにおいて、少ないエネルギーで純度の高い二酸化炭素を得るための酸性物質の除去方法および除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の特徴は、二酸化炭素と硫化水素を含む原料ガスを一次吸収塔に導入し、一次吸収液と接触させ主に硫化水素を除去し、続いて原料ガスを二次吸収塔に導入して二次吸収液と接触させて二酸化炭素と残存する硫化水素を除去する。
【0009】
なお、一次吸収塔で二酸化炭素と硫化水素を吸収した一次吸収液は、再生塔へ導いて加熱し、吸収した二酸化炭素と硫化水素を放出させる。
【0010】
一次吸収液から放出された二酸化炭素と硫化水素の混合ガスは、硫化水素除去工程に導入し、硫化水素を除去し高純度二酸化炭素として回収する。再生塔で再生された一次吸収液は、所定温度に冷却した後に再び一次吸収塔へ導入する。
【0011】
一方、二次吸収塔で二酸化炭素と硫化水素を吸収した二次吸収液は、二次吸収塔よりも低い圧力に設定したフラッシュタンクへ導き、二酸化炭素の一部と硫化水素を放出させる。放出された二酸化炭素と硫化水素を含む混合ガスは、一次吸収塔へ導入して原料ガスと共に再び吸収分離処理が行われる。前記フラッシュタンクで二酸化炭素と硫化水素を放出した後の二次吸収液は、さらに低い圧力に設定されたフラッシュタンクへ導入し、残存する二酸化炭素を放出させ、吸収液中の二酸化炭素濃度が所定濃度になるまで、順次圧力の低いフラッシュタンクに導入し吸収液を再生する。再生された二次吸収液は、所定温度に冷却した後に再び二次吸収塔へ導入し、二次吸収液から放出されたガスは高純度二酸化炭素として回収する。
【0012】
前記フラッシュタンクで放出された二酸化炭素と硫化水素を含む混合ガスは、前記再生塔において吸収液から放出された混合ガスと共に硫化水素除去工程へ導入してもよい。
【0013】
一次接触層と二次接触層からなる複合吸収塔を用いることも出来る。この場合は、二酸化炭素と硫化水素を含む原料ガスを複合吸収塔の一次接触層の下から導入し、一次接触層において一次吸収液と接触させることにより主に硫化水素を除去し、続いて硫化水素を除去した後の原料ガスを二次接触層に導入し、二次接触層において二次吸収液と接触させて二酸化炭素と残存する硫化水素を除去する。
【0014】
一次接触層で二酸化炭素と硫化水素を吸収した一次吸収液は、再生塔へ導いて加熱し、吸収した二酸化炭素と硫化水素を放出させる。一次吸収液から放出された二酸化炭素と硫化水素の混合ガスは硫化水素除去工程に導入して硫化水素を除去し、高純度二酸化炭素として回収する。再生塔で再生された一次吸収液は、所定温度に冷却した後に再び複合吸収塔の一次接触層へ導入する。
【0015】
一方、二次接触層で二酸化炭素と硫化水素を吸収した二次吸収液は、当該二次接触層の下から抜き出し、二次接触層よりも低い圧力に設定したフラッシュタンクへ導き、二酸化炭素の一部と硫化水素を放出させる。放出された混合ガスは一次吸収塔へ導入し、原料ガスと共に吸収分離処理が行われる。前記フラッシュタンクで二酸化炭素と硫化水素を放出した後の二次吸収液はさらに低い圧力に設定されたフラッシュタンクへ導入し、残存する二酸化炭素を放出させ、二酸化炭素濃度が所定濃度になるまで順次圧力の低いフラッシュタンクに導入し二次吸収液を再生する。再生された二次吸収液は、所定温度に冷却した後に、再び複合吸収塔の二次接触層へ導入し、二次吸収液から放出されたガスは高純度二酸化炭素として回収する。
【0016】
前記フラッシュタンクにおいて二次吸収液から放出された二酸化炭素と硫化水素を含む混合ガスは、前記再生塔において吸収液から放出された混合ガスと共に硫化水素除去工程へ導入してもよい。
【0017】
一次吸収塔で二酸化炭素と硫化水素を吸収した一次吸収液を、再生搭へ導入する前に一次吸収塔よりも低い圧力に設定したフラッシュタンクへ導き、主に吸収した二酸化炭素を放出させる事が出来る。前記フラッシュタンクで主に二酸化炭素を放出した後の吸収液は、前記フラッシュタンクよりもさらに低い圧力に設定されたフラッシュタンクへ導入し、放出ガス中の二酸化炭素濃度が所定濃度になるまで、順次圧力の低いフラッシュタンクに導入し吸収液を再生させてもよい。この複数のフラッシュ処理により放出された主に二酸化炭素を含む混合ガスは、昇圧した後に原料ガスと共に一次吸収塔へ導入する。またフラッシュ処理を行った一次吸収液は、再生塔へ導いて加熱し残存する二酸化炭素と硫化水素を放出させる。
【0018】
複合吸収塔を用いる場合も同様に、複合吸収塔の一次接触層で二酸化炭素と硫化水素を吸収した吸収液を、一次接触層よりも低い圧力に設定したフラッシュタンクへ導き、主に吸収した二酸化炭素を放出させる。前記フラッシュタンクで主に二酸化炭素を放出した後の一次吸収液は、さらに低い圧力に設定されたフラッシュタンクへ導入し、放出された混合ガス中の二酸化炭素濃度が所定濃度になるまで、順次圧力の低いフラッシュタンクに導入し吸収液を再生する。フラッシュ処理により放出された主に二酸化炭素を含むガスは、昇圧した後に、再び一次吸収塔へ導入し原料ガスと共に処理される。一方、フラッシュ処理により再生された一次吸収液は再生塔へ導いて加熱し、残存する二酸化炭素と硫化水素を放出させる。
【0019】
前記フラッシュタンクにおいて、吸収液から放出された混合ガスの二酸化炭素濃度を測定し、二酸化炭素濃度が所定濃度に達していない場合のみ、放出された混合ガスを一次吸収塔もしくは硫化水素除去工程に導入する。
【0020】
ここで、前記硫化水素除去工程において、吸収液から放出された二酸化炭素と硫化水素を含む混合ガスを、少なくともチタンおよびモリブデンの酸化物を含有する吸着剤と接触させて硫化水素を除去し、吸着剤を再生する際には、吸着剤と酸素を含有する混合ガスを接触させる。このとき、吸着の際にはガスと吸着剤を100〜300℃の温度条件下で接触させ、再生の際には吸着剤と酸素を含有するガスを100〜600℃で接触させる。また、吸着剤の再生に使用する酸素を含有するガスとして、再生排ガスもしくは再生排ガスの一部と空気を混合したガスを使用してもよい。このとき、吸着剤層の温度を計測し、当該温度が所定の値になるように再生排ガスと空気の混合比を調節してもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、二酸化炭素と硫化水素を含む原料ガスを一次吸収塔又は複合吸収塔の一次接触層に導入して一次吸収液と接触させ主に硫化水素を吸収し、一次吸収液を再生塔へ導いて加熱し硫化水素除去工程に導入して硫化水素を除去した後に高純度二酸化炭素を回収し、次に、主に硫化水素を除去した原料ガスを二次吸収塔または複合吸収塔の二次接触層に導入して二次吸収液と接触させ主に二酸化炭素と残存する硫化水素を吸収して精製原料ガスを得たのち、二次吸収液をより低い圧力に設定したフラッシュタンクへ導いて硫化水素と二酸化炭素の一部を含む混合ガスを放出させ、二次吸収液中の二酸化炭素濃度が所定濃度に低下するまで順次圧力の低いフラッシュタンクに導入して残存する二酸化炭素を放出させ、二酸化炭素を高純度二酸化炭素として回収する。
【0022】
このプロセスにより、天然ガスや炭層ガスなどの原料ガスから高純度の二酸化炭素を効率よく分離および回収することができ、その結果、回収した二酸化炭素を地中や海底に貯留することが容易となり、地球温暖化の防止に寄与できるという独自の効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第一、第二吸収塔の実施例1を示すブロック図である。
【図2】本発明の第一、第二吸収塔の実施例2を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施例2の制御方法を説明する模式図である。
【図4】本発明の複合吸収塔の実施例3を示すブロック図である。
【図5】本発明の複合吸収塔の実施例4を示すブロック図である。
【図6】本発明の一次吸収液処理の実施例5を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明で対象となるガスは、酸性物質として少なくとも二酸化炭素と硫化水素を含み、硫化水素の濃度が二酸化炭素の濃度に比べて低い天然ガス、炭層ガス等である。以下に本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【実施例1】
【0025】
本発明の実施例1を図1を用いて説明する。実施例1では、本発明を原料ガスとしての天然ガスの精製設備に適用した例を示す。
〔一次吸収塔〕
あらかじめ必要な前処理や温度調節をされた二酸化炭素と硫化水素を含む天然ガス31は、一次吸収塔1に供給される。一次吸収塔1には、再生搭2において再生された一次吸収液51が塔上部から供給されて原料ガス31と向流接触し、主に原料ガス31に含まれる硫化水素が除去された後、塔頂部から脱硫ガス32として排出される。
【0026】
一次吸収液51は、硫化水素を選択的に除去するための吸収液であり、3級アルカノールアミンであるMDEA(N-メチルジエタノールアミン)がよく知られており、MDEAに吸収促進剤を添加したものや、立体障害アミン等が使用される。
【0027】
一次吸収塔1で主に硫化水素を吸収した一次吸収液51は、塔底部より排出されて液液熱交換器11に導入され、再生塔2で再生された一次吸収液51との熱交換により加熱された後、再生塔2に導入される。再生塔2に導入された一次吸収液51はリボイラ12により加熱され、吸収していた二酸化炭素と硫化水素を放出し再生される。
【0028】
ここで発生した混合ガス38は硫化水素除去装置9に導入され、硫化水素が除去されて高純度二酸化炭素39が得られる。一方、再生搭2において再生された一次吸収液51は、液液熱交換器11で冷却され、さらに熱交換器13で所定温度まで冷却された後、再び一次吸収塔1に導入される。
〔二次吸収塔〕
脱硫ガス32は二次吸収塔3に供給され、フラッシュタンク4〜6において再生された二次吸収液52と向流接触することにより二酸化炭素と残存する硫化水素が除去されて、精製ガス33が得られる。本発明でのフラッシュタンクは、高圧の吸収液から溶解ガス成分を分離する減圧タンクを意味する。またフラッシュタンク処理とは、高圧吸収液を減圧することにより溶解ガス成分を分離する処理をいう。
【0029】
二次吸収塔3で二酸化炭素と残存する硫化水素を吸収した二次吸収液52は、熱交換器14で所定温度まで加熱された後、二次吸収塔3よりも低い圧力に設定されたフラッシュタンク4に導入される。ここで、吸収液から二酸化炭素の一部と大部分の硫化水素が混合ガス37として放出され、混合ガス37は圧縮機24で昇圧され、さらに熱交換器18で所定温度まで冷却された後、原料ガス31と共に一次吸収塔1に導入される。
【0030】
二次吸収液52は、二酸化炭素を選択的に除去するための吸収液であり、1級アルカノールアミンであるMEA(モノエタノールアミン)がよく知られており、MEAに腐食抑制剤を添加したものが用いられる。あるいは二酸化炭素の分圧が高い場合には物理的に二酸化炭素を選択吸収するポリエチレングリコール等が吸収液として使われる。
【0031】
一方、フラッシュタンク4で吸収していた二酸化炭素の一部と硫化水素ガスを放出した後の二次吸収液52は、熱交換器15で必要に応じて加熱された後、第一のフラッシュタンク4よりも低い圧力に設定された第二のフラッシュタンク5に導入される。吸収されていた硫化水素の大部分は前段の一次のフラッシュタンク4で放出されているので、第二のフラッシュタンク5で放出されたガスは高純度二酸化炭素35として回収される。
【0032】
一方、二酸化炭素を放出した後の二次吸収液は熱交換器16で必要に応じて加熱された後、第二のフラッシュタンク5よりも低い圧力に設定された第三のフラッシュタンク6に導入され、放出されたガスは高純度二酸化炭素36として回収される。
【0033】
この複数の操作により二酸化炭素と硫化水素の濃度が所定値まで低下した二次吸収液52は、熱交換器17で所定温度まで冷却された後、再び二次吸収塔3に導入されて混合ガスの吸収に供される。
【0034】
このように、濃度の低い硫化水素を第一のフラッシュタンクで大部分除去すると同時に、二酸化炭素を多量に吸収した二次吸収液の再生過程においてフラッシュ処理を行うことにより、吸収液の再生過程で純度の高い二酸化炭素を得ることができる。二酸化炭素回収のためのフラッシュ処理は少なくとも二段必要であるが、二次吸収液の二酸化炭素濃度に応じ多段フラッシュ処理を行うことが出来る。
【0035】
従来のプロセスでは、吸収液に吸収されていた二酸化炭素と硫化水素は、液の再生過程において同時に排出されるため、膨大な量の二酸化炭素と硫化水素の混合ガスから硫化水素を除去する必要があり、処理装置は非常に大規模であった。しかし、本発明によれば、二酸化炭素の一部は高純度の二酸化炭素として吸収液の再生過程において回収できるため、硫化水素除去装置の小型化が可能となる。
【実施例2】
【0036】
〔硫化水素除去〕
本発明の実施例2を図2を用いて説明する。実施例2は、実施例1の構成において、フラッシュタンク4で吸収液から発生した二酸化炭素と硫化水素の混合ガスを、一次吸収塔1ではなく硫化水素除去装置9へ導入した例である。二次吸収液52から発生したガスの硫化水素濃度が比較的高い場合には、本実施例のように硫化水素除去装置9へ導入することにより一次吸収塔1の一次吸収液量を削減することができ、吸収塔の小型化や使用する液量の削減が可能となり、再生搭2で使用するエネルギーを低減することが可能となる。
〔再生制御方法〕
次に、図3を用いて、二次吸収塔3で二酸化炭素と硫化水素を吸収した二次吸収液52の再生制御方法について説明する。
【0037】
フラッシュタンク4から6の運用条件は、二次吸収塔3に導入される二次吸収液52の二酸化炭素濃度と、精製ガス33の二酸化炭素濃度および硫化水素濃度に基づき決定される。吸収液循環量が一定の場合には、二次吸収塔3に導入される二次吸収液52の二酸化炭素濃度を指標として運用条件を決定する。
【0038】
各フラッシュタンクにおける吸収液の再生率は、それぞれのフラッシュタンクの入口における吸収液の温度とフラッシュタンクの圧力を調節することで制御する。91は本精製システムの各要素と図示しない信号線で接続された制御装置である。
【0039】
二次吸収液52の温度制御は、熱交換器14、15および16の出口に設置した温度計61、62および63により計測した値を制御装置91に入力し、流量調節弁81、83および85の開度を制御装置91により調節して冷却水量を制御することにより行う。
【0040】
フラッシュタンクの圧力制御は、フラッシュタンクに設置されている圧力計64、65および66により計測した値を制御装置91に入力し、流量調節弁82、84および80の開度を制御装置91により調節することにより行う。
【0041】
二次吸収塔3に導入される二次吸収液52の二酸化炭素濃度が所定の値を上回った場合には、上述した方法で各フラッシュタンクに流入する吸収液の温度を上げる。それでも所定濃度を上回る場合には、上述した方法で各フラッシュタンクの圧力を下げることにより吸収液の再生率を上げる。
【0042】
また、フラッシュタンク4およびフラッシュタンク5において、吸収液から放出されたガスの硫化水素濃度は、分析計67および68により連続的もしくは一定の時間間隔を置いて測定され、制御装置91に入力される。入力された硫化水素濃度があらかじめ設定されていた値を上回っている場合には、遮断弁86および88を開に、遮断弁87および89を閉にし、吸収液から放出されたガスを硫化水素除去装置9へ導入する。
【0043】
一方、制御装置91に入力された硫化水素濃度が設定値を下回っている場合には、遮断弁87および89を開に、遮断弁86および88を閉にし、高純度二酸化炭素として回収する。
【0044】
なお、本実施例では、分析計67および68で硫化水素濃度を測定したが、二酸化炭素濃度を測定してもよい。また、本実施例では一次から第三までのフラッシュタンクを用いたが、これに限定されるものではなく目標とする二酸化炭素の純度に合わせて使用するフラッシュタンクの個数は適宜追加、省略できる。
【0045】
以上のように実施例2によれば、吸収液の再生工程で直接、高純度の二酸化炭素を回収でき、その結果として硫化水素除去処理が必要なガス量が削減できることから、硫化水素除去装置を小型化できると共に、消費エネルギーを削減することが出来る。また、従来の再生塔による加熱再生では吸収液の加熱に膨大なエネルギーを消費していたが、本発明によればフラッシュ再生(減圧処理)のみで二酸化炭素を多量に吸収した吸収液を再生できるため、再生エネルギーを大幅に削減できる。
【実施例3】
【0046】
本発明の実施例3を図4を用いて説明する。実施例3は、実施例2における一次吸収塔1と二次吸収塔3の代わりに、一次接触層21と二次接触層22を有する単一の複合吸収塔23を用いる。フラッシュタンク4で二次吸収液から発生した二酸化炭素と硫化水素を含む混合ガス37を、圧縮機27、熱交換器19を通して圧力を上昇させた後、複合吸収塔23の一次接触層21に導入した例である。
【0047】
原料ガス31の硫化水素濃度が低い場合には、混合ガス37の大部分は二酸化炭素である。よって、実施例3に示したようにこの混合ガス37を複合吸収塔23に戻すことにより、硫化水素除去装置9へ導入される二酸化炭素の流量を最小限に抑えることができ、その結果として硫化水素除去装置9を小型化することができる。
【実施例4】
【0048】
本発明の実施例4を図5を用いて説明する。始めに、原料ガス31を一次接触層21の下から導入し、当該一次接触層21において再生塔2で再生した一次吸収液51と接触させることにより主に硫化水素を除去する。続いて硫化水素を除去した後の原料ガスを二次接触層22に導入し、当該二次接触層22において複数のフラッシュタンク4から6において再生した二次吸収液52とを接触させて二酸化炭素と残存する硫化水素を除去する。
【0049】
一次接触層21において二酸化炭素と硫化水素を吸収した一次吸収液は、複合吸収塔23の底部から抜き出され、液液熱交換器11を経て再生塔9に導入される。一方、二次接触層22において二酸化炭素と硫化水素を吸収した二次吸収液は、熱交換器14を経てフラッシュタンク4〜6に導入される。
【0050】
原料ガス31の硫化水素濃度が低い場合には、原料ガス31と一次接触層21を通過した後のガスの流量に大差がないため、複合吸収塔の塔径が同じでも複合吸収塔を通過するガスの線速度に大差が生じない。よって、原料ガス31の硫化水素濃度が低い場合には、実施例4によればシステムの簡素化が可能となる。
【実施例5】
【0051】
本発明の実施例5を図6を用いて説明する。本実施例は、実施例2において、一次吸収塔1と再生搭2の間に、フラッシュタンク7およびフラッシュタンク8を追加した例である。一次吸収塔1で二酸化炭素と硫化水素を吸収した一次吸収液は、液液熱交換器11を経て、一次吸収塔1よりも低い圧力に設定されたフラッシュタンク7に導入され、さらに、フラッシュタンク7よりも低い圧力に設定されたフラッシュタンク8へ導入された後、再生塔2へ導入される。フラッシュタンク7および8において、一次吸収液から発生した二酸化炭素と硫化水素の混合ガスは、それぞれ圧縮機25および26において原料ガス31と同じ圧力まで昇圧される。その後、熱交換器18に導入され、所定温度まで冷却された後、一次吸収塔1へ導入される。
【0052】
本実施例は、原料ガス31中の二酸化炭素の濃度が硫化水素の濃度に対して非常に高い場合に特に有効であり、一次吸収塔1で吸収された二酸化炭素をフラッシュタンク7および8で放出させ、回収して原料ガス31とともに一次吸収塔へ導入することにより、結果として硫化水素除去装置9へ導入される混合ガス38の量を削減することができ、硫化水素除去装置9の小型化が図れる。この場合、フラッシュタンクは一段でも足りる。
【符号の説明】
【0053】
1・・・一次吸収塔
2・・・再生塔
3・・・二次吸収塔
4〜8・・・フラッシュタンク
9・・・硫化水素除去装置
11・・・液液熱交換器
12・・・リボイラ
13〜19・・・熱交換器
21・・・一次接触層
22・・・二次接触層
23・・・複合吸収塔
31・・・原料ガス
32・・・脱硫ガス
33・・・精製ガス
35、36、39・・・二酸化炭素
37、38・・・混合ガス
51・・・一次吸収液
52・・・二次吸収液
61〜63・・・温度計
64〜66・・・圧力計
67、68・・・分析計
80〜85・・・流量調節弁
86〜89・・・遮断弁
91・・・制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料ガスより二酸化炭素と硫化水素を除去する原料ガスの脱炭酸脱硫方法であって、
二酸化炭素と硫化水素を含む原料ガスを一次吸収塔に導入し、一次吸収液と接触させることにより一次吸収液に主に硫化水素を吸収させて除去するステップと、
前記一次吸収塔で硫化水素と二酸化炭素を吸収した一次吸収液を再生塔へ導いて加熱し、一次吸収液に吸収された硫化水素と二酸化炭素の混合ガスを放出させて硫化水素除去工程に導入し、硫化水素を除去して高純度二酸化炭素として回収するステップと、
前記再生塔で再生された一次吸収液を所定温度に冷却した後に前記一次吸収塔へ導入するステップと、
前記一次吸収塔で主に硫化水素を除去した後の原料ガスを二次吸収塔に導入し、二次吸収液と接触させて二次吸収液に二酸化炭素と残存する硫化水素を吸収除去して精製ガスを得るステップと、
前記二次吸収塔で二酸化炭素と硫化水素を吸収した二次吸収液を、前記二次吸収塔よりも低い圧力に設定したフラッシュタンクへ導き硫化水素と二酸化炭素の一部を含む混合ガスを放出させ、混合ガスを原料ガスと共に前記一次吸収塔へ導入するステップと、
前記フラッシュタンクで二酸化炭素と硫化水素を放出した後の二次吸収液を、二次吸収液中の二酸化炭素濃度が所定濃度になるまで、順次圧力の低いフラッシュタンクに導入して二次吸収液中に残存する二酸化炭素を放出させるステップと、
複数の前記フラッシュタンクにより再生された二次吸収液を所定温度に冷却した後に二次吸収塔へ導入するとともに、前記フラッシュタンクで二次吸収液から放出された二酸化炭素を高純度二酸化炭素として回収するステップと
を有することを特徴とする原料ガスの脱炭酸脱硫方法。
【請求項2】
原料ガスより二酸化炭素と硫化水素を除去する脱炭酸脱硫方法であって、
二酸化炭素と硫化水素を含む原料ガスを一次吸収塔に導入し、一次吸収液と接触させることにより一次吸収液に主に硫化水素を吸収させて除去するステップと、
前記一次吸収塔で硫化水素と二酸化炭素を吸収した一次吸収液を再生塔へ導いて加熱し、一次吸収液に吸収された硫化水素と二酸化炭素の混合ガスを放出させて硫化水素除去工程に導入し、硫化水素を除去して高純度二酸化炭素として回収するステップと、
前記再生塔で再生された吸収液を所定温度に冷却した後に前記一次吸収塔へ導入するステップと、
前記一次吸収塔で主に硫化水素を除去した後の原料ガスを二次吸収塔に導入し、二次吸収液と接触させて、二次吸収液に二酸化炭素と残存する硫化水素を吸収させ除去して精製ガスを得るステップと、
二次吸収塔で二酸化炭素と硫化水素を吸収した二次吸収液を二次吸収塔よりも低い圧力に設定したフラッシュタンクへ導いて硫化水素と二酸化炭素の一部を放出させ、放出された硫化水素と二酸化炭素を含む混合ガスを、前記再生塔において一次吸収液から放出された主に硫化水素を含む混合ガスと共に硫化水素除去工程へ導入するステップと、
前記フラッシュタンクで二酸化炭素と硫化水素を放出した後の二次吸収液を、二次吸収液中の二酸化炭素濃度が所定濃度になるまで、順次圧力の低いフラッシュタンクに導入して二次吸収液中に残存する二酸化炭素を放出させるステップと、
複数の前記フラッシュタンクにより再生された二次吸収液を所定温度に冷却した後に二次吸収塔へ導入するとともに、前記フラッシュタンクで二次吸収液から放出された二酸化炭素を高純度二酸化炭素として回収するステップと
を有することを特徴とする原料ガスの脱炭酸脱硫方法。
【請求項3】
原料ガスより二酸化炭素と硫化水素を除去する原料ガスの脱炭酸脱硫方法であって、
二酸化炭素と硫化水素を含む原料ガスを一次接触層と二次接触層を有する複合吸収塔の下部から導入し、前記一次接触層において一次吸収液と接触させて主に硫化水素を除去し、続いて硫化水素を除去した後の原料ガスを二次接触層に導入し、該二次接触層において二次吸収液と接触させて二酸化炭素と残存する硫化水素を除去して精製ガスを得るステップと、
前記一次接触層で二酸化炭素と硫化水素を吸収した吸収液を、再生塔へ導いて加熱して吸収した二酸化炭素と硫化水素を混合ガスとして放出させ、混合ガスを硫化水素除去工程に導入し、硫化水素を除去し高純度二酸化炭素として回収するステップと、
再生塔で再生された一次吸収液を所定温度に冷却した後に複合吸収塔の一次接触層へ導入するステップと、
二次接触層で二酸化炭素と硫化水素を吸収した二次吸収液を、前記二次接触層の下部から抜き出し、二次接触層よりも低い圧力に設定したフラッシュタンクへ導き二酸化炭素の一部と硫化水素をふくむ混合ガスを放出させ、原料ガスと共に複合吸収塔へ導入するステップと、
前記フラッシュタンクで二酸化炭素と硫化水素を放出した後の二次吸収液を、二次吸収液中の二酸化炭素濃度が所定濃度になるまで順次圧力の低いフラッシュタンクに導入して二次吸収液中に残存する二酸化炭素を放出させるステップと、
前記複数のフラッシュタンクにより再生された二次吸収液を所定温度に冷却した後、前記複合吸収塔の二次接触層へ導入し、前記フラッシュタンクで二次吸収液から放出された二酸化炭素を高純度二酸化炭素として回収するステップと
を有することを特徴とする原料ガスの脱炭酸脱硫方法。
【請求項4】
原料ガスより二酸化炭素と硫化水素を除去する原料ガスの脱炭酸脱硫方法であって、
二酸化炭素と硫化水素を含む原料ガスを一次接触層と二次接触層を有する複合吸収塔の下部から導入し、前記一次接触層において一次吸収液と接触させて主に硫化水素を除去し、続いて硫化水素を除去した後の原料ガスを二次接触層に導入し、該二次接触層において二次吸収液と接触させて二酸化炭素と残存する硫化水素を除去して精製ガスを得るステップと、
前記一次接触層で二酸化炭素と硫化水素を吸収した吸収液を、再生塔へ導いて加熱し、吸収した二酸化炭素と硫化水素を混合ガスとして放出させ、混合ガスを硫化水素除去工程に導入して硫化水素を除去し高純度二酸化炭素として回収するステップと、
前記再生塔で再生された一次吸収液を所定温度に冷却した後に複合吸収塔の一次接触層へ導入するステップと、
前記二次接触層で二酸化炭素と硫化水素を吸収した二次吸収液を二次接触層の下部から抜き出し、二次接触層よりも低い圧力に設定したフラッシュタンクへ導いて二酸化炭素の一部と硫化水素を含む混合ガスを放出させ、放出された混合ガスを前記再生塔において一次吸収液から放出された主に硫化水素を含む混合ガスと共に硫化水素除去工程へ導入するステップと、
前記フラッシュタンクで二酸化炭素と硫化水素を放出した後の二次吸収液を、二次吸収液中の二酸化炭素濃度が所定濃度になるまで順次圧力の低いフラッシュタンクに導入し二次吸収液中に残存する二酸化炭素を放出させるステップと、
前記複数のフラッシュタンクにより再生された吸収液を所定温度に冷却した後、前記複合吸収塔の二次接触層へ導入し、二次吸収液から放出されたガスを高純度二酸化炭素として回収するステップと
を有することを特徴とする原料ガスの脱炭酸脱硫方法。
【請求項5】
請求項1または2に記載の原料ガスの脱炭酸脱硫方法において、
さらに、前記一次吸収塔で二酸化炭素と硫化水素を吸収した一次吸収液を、一次吸収塔よりも低い圧力に設定した少なくとも一つのフラッシュタンクへ導いて主に吸収した二酸化炭素を放出させ、一次吸収液中の二酸化炭素濃度が所定濃度になるまで一次吸収液中に残存する二酸化炭素を放出させるステップと、
前記フラッシュタンクにより放出された主に二酸化炭素を含む混合ガスを昇圧した後、原料ガスと共に一次吸収塔へ導入するステップと、
前記複数のフラッシュタンクにより再生された一次吸収液を前記再生塔へ導いて加熱し、残存する二酸化炭素と硫化水素を放出させるステップを有することを特徴とする原料ガスの脱炭酸脱硫方法。
【請求項6】
請求項3または4に記載された原料ガスの脱炭酸脱硫方法において、
前記複合吸収塔の一次接触層で二酸化炭素と硫化水素を吸収した一次吸収液を、一次接触層よりも低い圧力に設定した少なくとも一つのフラッシュタンクへ導いて主に吸収した二酸化炭素を含む混合ガスを放出させ、一次吸収液中の二酸化炭素濃度が所定濃度になるまで一次吸収液中に残存する二酸化炭素を放出させるステップと、
前記複数のフラッシュタンクにより放出された主に二酸化炭素を含む混合ガスを昇圧した後、原料ガスと共に前記一次接触層へ導入するステップと、
前記フラッシュタンクにより再生された一次吸収液を前記再生塔へ導いて加熱し、残存する二酸化炭素と硫化水素を放出させるステップを有することを特徴とする原料ガスの脱炭酸脱硫方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の原料ガスの脱炭酸脱硫方法において、前記一次吸収塔または複合吸収塔の一次接触層へ導入する一次吸収液は、硫化水素を選択的に吸収する特性を有し、前記二次吸収塔または前記複合吸収塔の二次接触層へ導入する二次吸収液は、二酸化炭素を選択的に吸収する特性を有することを特徴とする原料ガスの脱炭酸脱硫方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の原料ガスの脱炭酸脱硫方法において、前記硫化水素除去工程で前記一次吸収液または二次吸収液から放出された二酸化炭素と硫化水素を含む混合ガスを、硫化水素を選択的に吸着する吸着剤と接触させて硫化水素を硫化物として吸着除去し、吸着剤を再生する際には吸着剤と酸素を含有するガスを接触させて二酸化硫黄として除去することを特徴とする原料ガスの脱炭酸脱硫方法。
【請求項9】
請求項8記載の原料ガスの脱炭酸脱硫方法において、前記吸着剤が少なくともチタンおよびモリブデンの酸化物を含有することを特徴とする原料ガスの脱炭酸脱硫方法。
【請求項10】
請求項8または9に記載の原料ガスの脱炭酸脱硫方法において、吸着時には前記一次吸収液または二次吸収液から放出された二酸化炭素と硫化水素を含む混合ガスと前記吸着剤を100〜300℃の温度条件下で接触させ、再生時には酸素を含有するガスと前記吸着剤を100〜600℃で接触させることを特徴とする原料ガスの脱炭酸脱硫方法。
【請求項11】
請求項8乃至10のいずれかに記載の原料ガスの脱炭酸脱硫方法において、吸着剤の再生に使用する酸素を含有するガスとして、吸着剤を再生する際に発生する酸素を含有する再生排ガスもしくは当該再生排ガスの一部と空気を混合したガスを使用することを特徴とする原料ガスの脱炭酸脱硫方法。
【請求項12】
請求項8に記載の原料ガスの脱炭酸脱硫方法において、前記吸着剤の再生処理における吸着剤温度を計測し、吸着剤温度が所定値になるように供給する酸素を含有するガスの酸素濃度を制御することを特徴とする原料ガスの脱炭酸脱硫方法。
【請求項13】
請求項11に記載の原料ガスの脱炭酸脱硫方法において、前記吸着剤の再生処理における吸着剤温度を計測し、吸着剤温度が所定値になるように吸着剤に供給する再生排ガスと空気の混合比を制御することを特徴とする原料ガスの脱炭酸脱硫方法。
【請求項14】
請求項1または5に記載の原料ガスの脱炭酸脱硫方法において、前記フラッシュタンクにおける二次吸収液から放出された混合ガスの二酸化炭素濃度を測定し、二酸化炭素濃度が所定濃度に達していない場合のみ混合ガスを一次吸収塔に導入することを特徴とする原料ガスの脱炭酸脱硫方法。
【請求項15】
請求項3または6に記載の原料ガスの脱炭酸脱硫方法において、前記フラッシュタンクにおける二次吸収液から放出された混合ガスの二酸化炭素濃度を測定し、二酸化炭素濃度が所定濃度に達していない場合のみ混合ガスを前記複合吸収塔の一次接触層に導入することを特徴とする原料ガスの脱炭酸脱硫方法。
【請求項16】
請求項2、4、5または6のいずれかに記載の原料ガスの脱炭酸脱硫方法において、前記フラッシュタンクにおける吸収液から放出された混合ガスの二酸化炭素濃度を測定し、二酸化炭素濃度が所定濃度に達していない場合のみ混合ガスを硫化水素除去工程に導入することを特徴とする原料ガスの脱炭酸脱硫方法。
【請求項17】
請求項1、2または5のいずれかに記載の原料ガスの脱炭酸脱硫方法において、前記一次吸収塔において主に硫化水素が除去されたあとの原料ガス、もしくは二次吸収塔において二酸化炭素と硫化水素が除去された後の原料ガスに含まれる硫化水素の濃度が設定濃度以下となるように、再生塔のリボイラで使用する蒸気流量もしくは一次吸収塔に供給する一次吸収液の流量を制御することを特徴とする原料ガスの脱炭酸脱硫方法。
【請求項18】
請求項3、4または6のいずれかに記載の原料ガスの脱炭酸脱硫方法において、前記複合吸収塔において二酸化炭素と硫化水素が除去された後の原料ガスに含まれる硫化水素の濃度が設定濃度以下となるように、再生塔のリボイラで使用する蒸気流量もしくは一次接触層に供給する一次吸収液の流量を制御することを特徴とするの原料ガスの脱炭酸脱硫方法。
【請求項19】
二酸化炭素と硫化水素を含む原料ガスと、一次吸収液とを接触させ主に硫化水素を除去する一次吸収塔と、前記一次吸収塔を通過した原料ガスと、二次吸収液とを接触させて二酸化炭素と残存する硫化水素を除去する二次吸収塔と、前記一次吸収塔で二酸化炭素と硫化水素を吸収した吸収液を加熱して二酸化炭素と硫化水素を放出させる再生塔と、前記再生塔において吸収液から放出された二酸化炭素と硫化水素の混合ガスから硫化水素を除去する硫化水素除去装置と、前記二次吸収塔よりも低い圧力に設定されており、二次吸収塔において二酸化炭素と硫化水素を吸収した吸収液から二酸化炭素の一部と硫化水素を放出させるフラッシュタンクと、前記フラッシュタンクで吸収液から放出された二酸化炭素と硫化水素を含むガスを前記一次吸収塔へ導入する前に昇圧する加圧装置と、前記フラッシュタンクよりも低い圧力に設定されており前記フラッシュタンクを通過した吸収液から残りの二酸化炭素を放出させる少なくとも一つのフラッシュタンクと、前記複数のフラッシュタンクにおいて再生された二次吸収液を前記二次吸収塔へ導入する前に冷却する冷却器を有することを特徴とする原料ガスの脱炭酸脱硫装置。
【請求項20】
二酸化炭素および硫化水素を含む原料ガスと一次吸収液とを接触させ主に硫化水素を除去する一次吸収塔と、前記一次吸収塔を通過した原料ガスと二次吸収液とを接触させて二酸化炭素と残存する硫化水素を除去する二次吸収塔と、前記一次吸収塔で二酸化炭素と硫化水素を吸収した吸収液を加熱して二酸化炭素と硫化水素を放出させる再生塔と、前記二次吸収塔よりも低い圧力に設定されており、二次吸収塔において二酸化炭素と硫化水素を吸収した吸収液から二酸化炭素の一部と硫化水素を放出させるフラッシュタンクと、前記再生塔において一次吸収液から放出された二酸化炭素と硫化水素を含む混合ガスと、前記フラッシュタンクで二次吸収液から放出された二酸化炭素と硫化水素を含む混合ガスから硫化水素を除去する硫化水素除去装置と、前記フラッシュタンクよりも低い圧力に設定されており前記フラッシュタンクを通過した吸収液から残りの二酸化炭素を放出させる少なくとも一つのフラッシュタンクと、前記複数のフラッシュタンクにおいて再生された二次吸収液を前記二次吸収塔へ導入する前に冷却する冷却器を有することを特徴とする原料ガスの脱炭酸脱硫装置。
【請求項21】
二酸化炭素および硫化水素を含む原料ガスと吸収液とを接触させ主に硫化水素を除去する一次接触層と、一次接触層を通過した原料ガスと二次吸収液とを接触させて二酸化炭素と残存する硫化水素を除去する二次接触層を有する複合吸収塔と、前記一次接触層で二酸化炭素と硫化水素を吸収した吸収液を加熱して二酸化炭素と硫化水素を放出させる再生塔と、前記再生塔において一次吸収液から放出された二酸化炭素と硫化水素の混合ガスから硫化水素を除去する硫化水素除去装置と、前記二次接触層よりも低い圧力に設定されており、前記二次接触層において二酸化炭素と硫化水素を吸収した吸収液から二酸化炭素の一部と硫化水素を放出させるフラッシュタンクと、前記フラッシュタンクで吸収液から放出された二酸化炭素と硫化水素を含むガスを一次接触層へ導入する前に昇圧する加圧装置と、
前記フラッシュタンクよりも低い圧力に設定されており前記フラッシュタンクを通過した吸収液から残りの二酸化炭素を放出させる少なくとも一つのフラッシュタンクと、前記複数のフラッシュタンクにおいて再生された吸収液を二次接触層へ導入する前に冷却する冷却器とを有することを特徴とする原料ガスの脱炭酸脱硫装置。
【請求項22】
二酸化炭素および硫化水素を含む原料ガスと一次吸収液とを接触させ主に硫化水素を除去する一次接触層と、一次接触層を通過した原料ガスと二次吸収液とを接触させて二酸化炭素と残存する硫化水素を除去する二次接触層を有する複合吸収塔と、前記一次接触層で二酸化炭素と硫化水素を吸収した吸収液を加熱して二酸化炭素と硫化水素を放出させる再生塔と、前記再生塔で再生された吸収液を一次接触層へ導入する前に冷却する冷却器と、前記二次接触層よりも低い圧力に設定されており、前記二次接触層において二酸化炭素と硫化水素を吸収した吸収液から二酸化炭素の一部と硫化水素を放出させるフラッシュタンクと、前記フラッシュタンクよりも低い圧力に設定されており前記フラッシュタンクを通過した吸収液から残りの二酸化炭素を放出させる少なくとも一つのフラッシュタンクと、前記再生塔において吸収液から放出された二酸化炭素と硫化水素を含む混合ガスと、前記フラッシュタンクで吸収液から放出された二酸化炭素と硫化水素を含む混合ガスから硫化水素を除去する硫化水素除去装置を有することを特徴とする原料ガスの脱炭酸脱硫装置。
【請求項23】
請求項19または20に記載の原料ガスの脱炭酸脱硫装置において、前記一次吸収塔と前記再生塔の間に設けられるとともに前記一次吸収塔よりも低い圧力に設定され、前記一次吸収塔において二酸化炭素と硫化水素を吸収した一次吸収液を前記再生搭に導入する前に二酸化炭素の一部と硫化水素を含むガスを放出させる少なくとも一つのフラッシュタンクと、前記フラッシュタンクで一次吸収液から放出された二酸化炭素と硫化水素を含むガスを前記一次吸収塔へ導入する前に昇圧する加圧装置を有することを特徴とする原料ガスの脱炭酸脱硫装置。
【請求項24】
請求項21または22に記載の原料ガスの脱炭酸脱硫装置において、前記複合吸収塔と前記再生塔の間に設けられるとともに前記一次接触層よりも低い圧力に設定されており、前記一次接触層において二酸化炭素と硫化水素を吸収した吸収液を前記再生搭に導入する前に二酸化炭素の一部と硫化水素を含むガスを放出させる少なくとも一つのフラッシュタンクと、前記フラッシュタンクで吸収液から放出された二酸化炭素と硫化水素を含むガスを前記一次接触層へ導入する前に昇圧する加圧装置を有することを特徴とする原料ガスの脱炭酸脱硫装置。
【請求項25】
請求項19乃至24のいずれかに記載の原料ガスの脱炭酸脱硫装置において、前記硫化水素除去装置は、硫化水素を吸着する吸着剤が充填された複数の吸着塔と、該吸着塔を通過したガスの硫化水素濃度を測定する硫化水素測定装置を有することを特徴とする原料ガスの脱炭酸脱硫装置。
【請求項26】
請求項25に記載の原料ガスの脱炭酸脱硫装置において、前記吸着剤が少なくともチタンまたはモリブデンの酸化物を含むことを特徴とする原料ガスの脱炭酸脱硫装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−68751(P2011−68751A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−220244(P2009−220244)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】